説明

亜鉛と水の酸化還元によって水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法

本発明は、亜鉛と水の酸化還元による水素を生成及び吸蔵する方法を提供する。方法は、ガス発生電極―電解質―亜鉛電極からなる密封系を含み、ガス発生電極と亜鉛電極は、それぞれ外部回路に接続されており、水素を生成させるとき、外部電気回路を接続して、ガス発生電極上で水は還元されて、そして亜鉛電極上で亜鉛は亜鉛酸化物に酸化され;水素を吸蔵させるとき、十分な水を密封系に供給し、そして電源の陰極を亜鉛電極の外部回路に接続し、電源の陽極をガス発生電極の外部回路と接続し、次いで直流電流を流すと、亜鉛の酸化生成物は亜鉛電極上で亜鉛に還元され、水はガス発生電極上で酸素に酸化され、次いで酸素が放出される。方法は、広く使用され、その操作は簡単であり、水素燃料電池の水素源を提供するのに特に適しており、その発生する電力は、燃料電池と一緒に電力を生成するのに利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を生成及び吸蔵するための技術、特に、亜鉛と水の酸化還元による水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法に関する。
【0002】
技術背景
石化燃料の消耗及び石油燃料の貯蔵量の枯渇が日々増加するにつれ、環境保護はますます重要な課題となってきている。石油、石炭、天然ガスをはじめとする一次エネルギーは、最終的に太陽エネルギー、風力エネルギー、海からのエネルギー、生物エネルギーなどのクリーンかつ再生可能なエネルギー源に置き換えられる。汚染のない二次エネルギーとして水素エネルギーは、その資源が豊富であり、高い燃焼熱量を有し、その燃焼生成物として水を生成し、環境汚染がないなどの重要な利点のために、世界中の国から非常に評価されている。特に、最近は盛んになっている燃料として水素を使用する水素−酸素(空気)燃料電池は、効率が高く、クリーンで、長寿命な電気発生装置のひとつであり、携帯式電子製品及び電気自動車の理想的な電源になるであろう。その普及を防げる主な原因は、水素の適切な原料の欠乏である。現在、燃料電池に水素を供給する4つの方法:1、高圧水素ボンベ(high pressure hydrogen bottle)法 2、低温液化法 3、炭化水素燃料リフォーミング法 4、金属水素化物の水素吸蔵法がある。ここで、高圧水素ボンベ法と低温液化法は、高コストであり、安全性の面が不足しているなどの深刻な欠点がある。リフォーミング法は、水素ガスの純度の面が不足しており、比較的高い温度、巨大な設備が必要である。金属水素化物の水素吸蔵法は、安全性のために水素の吸蔵技術の研究及び開発の重要な役割を果たす。しかし、水素吸蔵合金は非常に高価であり、水素ガスの生成の間に合金が白亜化しやすく、放出の過程が比較的複雑である。現在、『アルミニウム―水の酸化還元による水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法及び装置』(申請番号:02148850.9)の名称の特許は、高効率で、安全で、環境汚染がない、高性能なアルミニウム合金電極―電解質の水素発生触媒の平板電極からなる二相循環式の濾過の密封系を与える。しかし、その欠点は、以下のとおりである:アルミニウム合金が使い捨てされる消耗材料であり;水素を発生させた後はいつでもアルミニウム合金電極を置き換えることが必要であり;アルミニウム合金の消費量が多く;さらに、生成したアルミニウム酸化物はポンプの循環で濾過し排出されなければならず、そして水素の発生過程が比較的複雑で、コストを増加させる。
【0003】
発明内容
本発明の目的は、高信頼性であり、低コストであり、簡単かつ便利である工程である亜鉛と水の酸化還元により水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法において、亜鉛電極は、繰り返して使用することができる方法を与えることである。
【0004】
上記目的を満たすため、本発明の技術的なプログラムは以下のとおりである。
本発明は、ガス発生電極―電解質―亜鉛電極からなる密封系を含む。ガス発生電極と亜鉛電極の両方は、それぞれ外部電気回路に接続されている。水素を生成させるとき、ガス電極と亜鉛電極の外部電気回路を接続し、水の還元反応はガス発生電極上で起こり、亜鉛は亜鉛電極上で酸化されて、亜鉛の酸化生成物を発生する。外部電気回路のスイッチを切ると、水素の放出がすぐに止まる;水素を吸蔵させるとき、追加の水を密封系に供給し、次いで電源の陰極を亜鉛電極の外部電気回路に接続し、電源の陽極をガス電極の外部電気回路と接続し、次いで直流電流を流すと、亜鉛の酸化生成物は亜鉛電極上で亜鉛に還元され、水はガス発生電極上で酸素に酸化され、次いで酸素が放出される。
【0005】
本発明で使用されるガス発生電極は、水素発生電極と酸素発生電極、又は酸素発生電極を兼ねる水素発生電極からなる。前者は、酸素発生電極―電解質―亜鉛電極―電解質−水素発生電極、又は酸素発生電極−電解質−亜鉛電極−電解質−水素発生電極からなる系を使用する。水素を発生させるとき、水素発生電極と亜鉛電極の外部電気回路を接続し;水素を吸蔵させるとき、電源の陰極を亜鉛電極の外部電気回路に接続し、電源の陽極を酸素発生電極の外部電気回路に接続する。後者は、亜鉛電極―電解質―水素発生電極(酸素発生電極を兼ねる)、又は亜鉛電極−電解質−水素発生電極からなる系を使用し、ここで、水素発生電極は、酸素発生電極として兼用する。水素を放出させるとき、亜鉛電極と、酸素発生電極として兼用される水素発生電極とを外部電気回路を接続し、水素を吸蔵させるとき、電源の陰極を亜鉛電極の外部電気回路と接続し、電源の陽極を酸素発生電極を兼ねて使用される水素発生電極の外部電気回路と接続する。
【0006】
通常、亜鉛電極が良好な可逆性及び高電流で放電する大きな能力を有するために、本発明で使用される電解質は強アルカリ性電解質水溶液である。したがって、強アルカリ性電解質を例として、亜鉛と水の酸化還元により水素を生成及び吸蔵する系において起こる電気化学の反応原理を説明する。
【0007】
1.水素を発生させるとき、起こる反応は以下のとおりである。
亜鉛電極:
Zn+2OH−2e→Zn(OH) (E=−1.249V)
又は Zn+2OH−2e→ZnO+HO (E=−1.260V)
ガス発生電極:
2HO+2e→2OH+H (E=−0.828V)
全体的な反応は:
Zn+2HO→Zn(OH)+H↑ (△E=0.421V)
又は Zn+2HO→ZnO+H (△E=0.432V)
基本的に、水が還元されて、亜鉛が酸化されてZn(OH)又はZnOを発生させて、水素及び電気エネルギーを生成する過程である。定電圧の電流が、電気回路中に得ることができ、理論的な電位は、0.42〜0.43Vである。外部電気回路の電流を制御することにより、水素の生成量を制御することができる。
2.水素を吸蔵させるとき、起こる反応は以下のとおりである。
亜鉛電極:
Zn(OH)+2e→Zn+2OH (E=−1.249V)
又は ZnO+HO+2e→Zn+2OH (E=−1.260V)
ガス発生電極:
2OH−2e→HO+1/2O (E=0.401V)
全体的な反応は:
Zn(OH)→Zn+HO↑+1/2O (△E=1.650V)
又は ZnO→Zn+1/2O↑ (△E=1.651V)
【0008】
基本的に、Zn(OH)又はZnOが電気分解されてZnに還元されて、酸素を生成する過程である。大きな過電圧のために、実際の分解用電圧は理論的な電位の1.65〜1.66V以上であり、約最高2Vまで高めることができる。
【0009】
その他の電解質を使用する条件、あるいは強アルカリ性電解質の使用の初期段階では、亜鉛が放電するとき、Zn(OH)又はZnOとは異なる亜鉛酸化生成物が生成されることができる。しかし、水素の生成及び吸蔵の充電及び放電の過程及び原理は、上記の例と同じである。
【0010】
本発明における、水素を生成及び吸蔵するための方法で使用される亜鉛電極は、多くの物理的及び化学的方法、例えばプレス、塗装、粉末冶金、ボックス(パイプ)、発泡、電着物技術を使用する、亜鉛活性物質、粘着剤、添加剤及び電流収集装置(current-collecting device)から作製する。亜鉛活性物質は、亜鉛合金の粉、亜鉛の酸化物、亜鉛の水酸化物、亜鉛酸などの亜鉛化合物又はその組み合わせ成分で構成することができ;粘着剤はカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)乳液、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン又はその混合物よりなる群から選択され;添加剤は、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カドミウム、アルミナ、ビスマス化合物、鉛化合物、水酸化カルシウム、黒鉛粉、アセチレンブラック、炭素粉、導電性カーボンブラック、活性炭粉、ショートカット繊維(short−cut fiber)、炭素繊維又はその混合物よりなる群から選択され;電流収集装置は、電着、複合めっきなどの物理的又は化学的方法によりをして、金属の表面が処理された、発泡金属、メタルラス、金属テープ(金属は純金属又は合金であることができる)から作製することができ;例えば、発泡黄銅、鉛メッキ又は錫メッキの穿孔黄銅テープ、黄銅であってもよい。上記の亜鉛電極は、粉末状及び多孔性片状の構造であることができ、好ましくは多孔性粉末状構造である。
【0011】
本発明における水素を生成及び吸蔵するための方法において使用される電解質は、電池隔膜浸出処理をした水溶液電解質を使用する。水溶液のpHは4を超え;水溶液の濃度は0.05Mol/L〜15Mol/Lの範囲内である。水溶液は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属又はその混合物の水酸化物の水溶液、好ましくは、KOH、NaOH水溶液又はその混合物、あるいはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、フッ化塩などの水溶液もしくはその混合物、又はその水酸化物の水溶液との混合物からなる群から選択することができ;隔膜は、水和セルロース膜、ポリエチレングラフト膜、セロファン紙、ナイロン布、水和セルロース紙、綿紙、チタン酸カリウム紙、ポリエチレンフェルト、酸化ジルコニウムの繊維紙、ビニロン不織布製品からなる群より選択されるいずれか一種、又はその混合物から形成される複合膜から作製される。
【0012】
本発明に使用されている水素発生電極は水素を析出させた後の電位の低い活性水素発生電極を使用し、その製造方法は多種である。活性水素発生電極は、物理的及び化学的方法、例えばメッキ、複合メッキ、熱分解、イオンメッキ、イオン注入、イオンスパッタリング、化学メッキ、発泡金属技術によって、さらに上記の技術を二種又は三種を総合的に使用することによって、純金属、金属の酸化物、合金又は金属及び合金と酸化物で生成した複合材料から製造される。その組成は、水素発生に対して、低い過電圧である純金属、例えばNi、Co、Fe、Mo、W、Pt、Pd、Ru、酸化物、例えばRuO、TiO、ZrO、合金、例えばNi−Mo、Ni−B、Ni−P、Ni−NiS、Ni−Pt、Ni−Ru、Co−Mo、Ni−Wo、Ni−Sn、Mo−W、Co−W、Ni−水素吸蔵合金、Ni−P−Co−Mo−W、Ni−Co−Mo、Ni−Co−Mo−W、Ni−P−Mo−Co、Ni−P−W、Ni−P−Co−Mo−W、Ni−B−Co、Ni−B−Mo、Hi−B−Co−No、Ni−B−Co−Mo−W、Ni−B−W、Ni−Co水素吸蔵合金からなる群より選択することができる。金属又は合金と酸化物との複合材料、RuO、ZrO、炭素微粒子と以上の各種の純金属と合金製複合材料、例えばNi−RuO、Ni−Mo−RuO、Ni−NiS、Ni−Mo−W−RuOなどを使用してもよい。酸素発生電極は、Niメッキ又はチオモリブデンのNiメッキによる金属鋼、鉄、ニッケル材質の網、テープ、板材、シート、発泡金属であるか、あるいは酸素発生過程の特別な触媒力を有するチタンプラチナ類酸化物、イリジウム系コーティングチタン電極、二酸化マンガンコーティングチタン電極、ペロブスカイト構造の酸化物電極である。
【0013】
本発明に使用されている酸素発生電極を兼ねる水素発生電極は、金属鋼、鉄、ニッケル材質の網、テープ、板材、シート、発泡金属で製造され、Niメッキ又はチオモリブデンのNiメッキなどの物理化学的方法で処理される。
【0014】
上記の水素発生電極、酸素発生電極、酸素発生電極を兼ねる水素発生電極は、片状、網状、多孔状などのどちらの構造をとることができ、燃料電池電極のガス拡散電極と類似する構造でもあってもよい。
【0015】
本発明により以下の二種類の装置を取り付ける。
1.装置は貯水槽、液チェックバルブ、注液口、水素吸蔵チャンバ、水素排出口、酸素排出口、亜鉛電極、間仕切板、水素発生電極、酸素発生電極、緩衡槽などから構成される。貯水槽は水素吸蔵チャンバの上にある。複数の電極チャンバにより構成される電解槽システムは、水素吸蔵チャンバの下に設置されている。水素ガスの要求される生成量と水素ガスの放出速度によりチャンバの数を決定する。水素発生電極、亜鉛電極及び酸素発生電極を、各電極チャンバ内部に均一に配置する。各電極を分離する各電極チャンバは、隔膜で満たされている。各電極を外部回路と接続する。貯水槽の上には、電解質水溶液又は水分を補充するための注液口がある。水素吸蔵チャンバの上に水素排出口が設けられており、電解槽システムの下部に電解槽システムの電解液の液面の高さを同一に保持するために用いられる緩衡槽が装備されている。水素を放出させるとき、液チェックバルブを最初に開け、貯水槽の電解液を、貯水槽の底部にある管を通じて電解槽システム内の各電極チャンバ及び緩衡槽内部へ流れさせて、次いで、亜鉛電極と水素発生電極の外部回路を作動させて、閉回路を形成させる。水素発生電極上で大量の水素ガスが生成し始める。水素ガスは、水素吸蔵チャンバ内で集められ、水素排出口から流れ出される。水素ガスが排出される間、水素を生成及び吸蔵するための電気化学的系の陽極及び陰極から電気エネルギーは送り出される。亜鉛電極と水素発生電極の外部回路のスイッチを切ると、系は水素の放出をすぐに止める。水素を吸蔵させるとき、最初に補充用の十分な水を、注液口を通じて電解槽システムへ供給し、次いで、電源の陽極を酸素発生電極の外部回路と接続し、陰極を亜鉛電極の外部回路と接続し、直流電流を流すと、亜鉛電極は亜鉛に還元され始め、酸素発生電極は大量に酸素を生成しはじめる。酸素は酸素排出口から排出される。
2.装置は、貯水槽、液チェックバルブ、注液口、水素吸蔵チャンバ、水素排出口、酸素排出口、亜鉛電極、間仕切板、酸素発生電極を兼ねる水素発生電極、及び緩衡槽から構成されることができる。貯水槽は水素吸蔵チャンバの上にある。複数の電極チャンバが供給された電解層系は、水素吸蔵チャンバの下に設置されている。水素ガスの要求される生成量と水素ガスの放出速度によりチャンバの数を決定する。水素発生電極、亜鉛電極及び酸素発生電極を、各電極チャンバ内部に均一に配置する。各電極を分離する各電極チャンバは、隔膜で満たされている。各電極を外部回路と接続する。貯水槽の上には、電解質水溶液又は水分を補充するための注液口がある。水素吸蔵チャンバの上に水素排出口が設けられており、電解槽システムの下部に電解槽システムの電解液の液面の高さを同一に保持するために用いられる緩衡槽が装備されている。水素を放出するとき、液チェックバルブを最初に開け、貯水槽の電解液を、貯水槽の底部にある管を通じて電解槽システム内の各電極チャンバ及び緩衡槽内部へ流れさせて、次いで、亜鉛電極と酸素発生電極を兼ねる水素発生電極の外部回路を作動させて、閉回路を形成させる。酸素発生電極を兼ねる水素発生電極上で大量の水素ガスが生成し始める。水素ガスは、水素吸蔵チャンバ内で集められ、水素排出口から流れ出される。水素ガスが排出する間、水素を生成及び吸蔵するための電気化学的系の陽極及び陰極から電気エネルギーは送り出される。亜鉛電極と水素発生電極の外部回路のスイッチを切ると、系は水素の放出をすぐに止める。水素を吸蔵させるとき、最初に補充用の十分な水を、注液口を通じて電解槽システムへ供給し、次いで、電源の陽極を酸素発生電極の外部回路と接続し、陰極を亜鉛電極の外部回路と接続し、直流電流を流し、亜鉛電極は亜鉛に還元され始め、酸素発生電極を兼ねる水素発生電極は大量に酸素を生成しはじめる。酸素は酸素排出口から排出される。
【0016】
電気化学技術ならびに電解質の中で亜鉛電極とガス発生電極との組合せで形成された水素を生成及び吸蔵するための系を利用し、高効率であり、高い信頼性であり、低コストであり、繰り返し使用できることが示される、本発明の新しい概念は、従来の各種類の水素源と比べ、明らかに違う。
差は、以下のとおりに示される。
1.安全、便利な特徴、及び優れた制御性、ならびにサイズを自由に調節できる特性を有する。
電池反応に属する水素の生成及び吸蔵の方法は、通常の温度及び通常の圧力の条件下ですることができる。開始と停止の工程の迅速及び便利な方法で、電流の量をコントロールすることのみで、水素の生産量をコントロールできる。本発明の系はモジュール方式に設計することができる。したがって、分解、組み立て、組合せが容易である。水素源は、大規模な移動可能又は固定化したモデルから小規模及び小型化することができる。
2.蓄積エネルギーの密度が高く、水素ガスの純度がよく、応用範囲が広い
亜鉛自身の蓄積エネルギーの密度が高いことが示される。強塩基電解質の条件において生成した水素の純度が高く、低温状態で動かすことができ、その応用範囲は広い。
3.低コスト、原料の資源が豊かで、汚染のない、環境保護に有利である特徴を有する。
亜鉛と水の電気化学的反応で発生する電気化学反応であり、系に蓄積するものは水と亜鉛であり、水素吸蔵合金のコストと比較して非常に低い。さらに、亜鉛源が豊かである。水銀を含有しない原料を使用するために、安全であり、信頼性が高く、環境汚染をもたらさないことができる。
4.便利及び充電可能及び再使用可能な特徴を有する。
この系は、充電の方法で水素エネルギーを蓄積することができるため、したがって、水素スタンド又はエアボトルなどの利便性のない水素源の必要がない。言い換えれば、水素は、電気と水を有することのみで蓄積することができる。しかも複数回繰り返して使用することもできる。
5.水素ガス及び電気エネルギーを同時に生成する。
水素を放出するとき、外部電力の供給なしに、電気エネルギーを生成することができる。
上述した利点があるため、本発明が移動式又は携帯式の水素源の点において、大きな応用価値を有する。特に、本発明は水素燃料電池に水素を供給するのに適する。水素を供給する間、副産物として電気を発生させ、これは燃料電池と一緒になって電気を発生させる。
本発明は以下の技術分野:便利で移動可能な水素源設備を備えた環境、例えば実験室の設備及び溶接設備;電気及び水素を一緒に使用する、又は単独で電気若しくは水素を使用する環境、熱源を使用する野外照明などにも適している。本発明は、エネルギーの蓄積の態様において使用することもできる。例えば、過剰電力が、最低の電力が使用される期間中に蓄積され及び太陽エネルギーにより発生する電力が蓄積される。エネルギー蓄積方法は、水素と電気エネルギーの蓄積の結合である。
【0017】
3.具体的な実施方法
実施例1:
導電性カーボンブラック1.5グラム、酸化亜鉛6.0グラム、無水銀の亜鉛粉1.5グラム、ポリビニルアルコール水溶液3.3ミリリットル(濃度3%)、カルボキシメチルセルロースのナトリウム水溶液25ミリリットル(濃度2%)、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)乳液4ミリリットル(10質量%濃度)をとり、均一に撹拌し、加熱して塊にし、シート状に圧延し、亜鉛電極として用いられる60目黄銅網上にシートを加圧成型する。上海世龍公司(Shanghai Shilong Company)PPAT−AS−SL8膜は隔膜であり、発泡ニッケルは酸素発生電極であり、Pt/C(Ptは導電性カーボンブラックに付着している)触媒剤を塗布された発泡ニッケルは、水素発生電極であり、5Mol/L KOH水溶液は電解質である。大部分の電極が電解質に埋没される。
この単独の電池電極の有効面積は、5平方センチメートルである。
定電流充電:亜鉛電極を陰極と接続し、発泡ニッケルシートを陽極と接続する。電流は50mAで3時間充電する。充電後、15分間放置する。充電しているとき、陽極にガスが生成される。静置しているとき、両電極にガスは生成されない。
放電及び水素生成:亜鉛電極は陰極であり、Pt/C触媒剤を塗布された発泡ニッケルは陽極である。電池が放電するとき、マルチメータを用いて放電電流と電圧を測定する。電気回路を供給した後、電流は0.5Aで泡が盛んに出る。ガスの生成速度は、3.3ml/分である。電流が少なくなると、ガスの生成速度も減っていく。プロセス中に回路が供給されない場合、ガスの生成が止まる。また、回路の電源を再び入れれば、ガスの生成が再び始まる。このように、充電及び放電を三回繰り返し、電流及び電圧は少ししか変化しないが、現象は同じである。
【0018】
実例2:
無水銀亜鉛粉2.5グラム、酸化亜鉛7.5グラム、ポリビニルアルコール水溶液3.3ml(濃度3%)をとり、混合してスラリー状として、発泡ニッケルに塗布し、それを焼いて乾燥させた後、亜鉛電極として用いられるシートに加圧成型する。PPAT−AS−SL8型膜は隔膜であり、発泡ニッケルは酸素発生電極であり、0.5Mol/L NaOH水溶液は電解質である。大部分の電極が電解質に埋没される。この単独の電池の電極の有効面積は10平方センチメートルである。
定電流充電:亜鉛電極を陰極と接続し、発泡ニッケルを陽極と接続し、電流は60mAで5時間充電する。充電後、15分間放置する。充電しているとき、陽極からガスが生成されるが、静置するとき、両電極にガスは生成されない。
放電及び水素生成:亜鉛電極は陰極であり、発泡ニッケルは陽極である。電池が放電するとき、マルチメータを用いて放電電流と電圧を測定する。回路を作動させると、電流は70mA、電圧は46mVであり、すぐに泡が盛んに出る。2時間後、電圧は依然として65mVであり、一方、放電電流は36mAである。
生成されたガスを集められ、放電を始めて0.5ml/分までに達する。このように、電流を調整して充電及び放電を三回繰り返し、電流及び電圧は少ししか変化しないが、現象は同じである。
【0019】
実施例3:
導電性カーボンブラック0.5g、酸化亜鉛7.0g、無水銀の亜鉛粉1.5g、ポリビニルアルコール水溶液3.3ml(濃度3%)、カルボキシメチルセルロースのナトリウム水溶液25ml(濃度3%)、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)乳液4ml(10質量%濃度)をとり、均一に混合し、加熱して塊にし、シート状に圧延し、亜鉛電極として用いられる60目黄銅網上にシートを加圧成型する。PPAT−AS−SL8膜は隔膜であり、発泡ニッケルは酸素発生電極を兼ねる水素発生電極であり、5Mol/LKOH水溶液は電解質である。大部分の電極が電解質に埋没される。
この単独の電池の電極の有効面積は12平方センチメートルである。
定電流充電:亜鉛電極を陰極と接続し、発泡ニッケルを陽極と接続し、100mAで5時間充電する。充電後、15分間放置する。充電しているとき、陽極にガスが生成される。静置しているとき、両電極にガスは生成されない。
放電及び水素生成:亜鉛電極は陰極であり、発泡ニッケルは陽極である。電池が放電するとき、マルチメータを用いて放電電流と電圧を測定する。電流は、0.5Aで始まり、1時間後に0.1Aであり、そして3.5時間後、62mAで、充電が始まると同時に、泡が盛んに出るようになる。ガスの生成速度は3.3ml/分に達する。電流が少なくなると、ガスの生成速度も減っていく。回路の電源を止めると、ガスの放出も止まる。回路の電源を再び入れれば、ガスの生成が再び始まる。
この実施例において、上記に参照される方法により、充電及び放電を三回繰り返し、電流及び電圧の少しの変化があるが、現象に変化はない。
【0020】
本発明で公開及び掲示したすべての組合せと方法に関して、本文での開示された内容を参照できる。発明の内容は実施例として部分的に記載したが、この分野の専門家にとって明らかである内容・精神・範囲を明らかに超えない条件で、当業者は本発明に対する改修・改正・増減することができる。しかし、これらの変更は、本発明の内容、精神及び範囲に含まれる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を生成及び吸蔵する電気化学的方法であって、ガス発生電極、電解質と亜鉛電極からなる密封系であり、ガス発生電極及び亜鉛電極はそれぞれ外部回路と接続されており、水素を発生させるとき、ガス発生電極及び亜鉛電極の外部回路の電源を入れ、水の還元反応がガス発生電極上で起こり、水素が生成し、亜鉛が亜鉛電極上で酸化され、亜鉛の酸化生成物を生成し;水素を吸蔵させるとき、補充用の水を密封系に供給し、電源の陰極を亜鉛電極の外部回路と接続し、そして電源の陽極をガス発生電極の外部回路と接続し、直流電流を流すことにより、亜鉛の酸化生成物が亜鉛電極上で亜鉛に還元され、亜鉛電極に戻り、水の酸化がガス発生電極上で起こり、酸素を生成し、排出することを特徴とする、電気化学的方法。
【請求項2】
ガス発生電極が、水素発生電極と酸素発生電極とからなるか又は酸素発生電極を兼ねる水素発生電極からなる、請求項1記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。
【請求項3】
亜鉛電極が、物理的方法、例えばプレス、塗装、粉末冶金、ボックス(パイプ)、発泡、電着物技術を使用して、亜鉛活性物質、粘着剤、添加剤、電流収集装置から作製され、そして、亜鉛合金の粉、亜鉛の酸化物、亜鉛の水酸化物、亜鉛酸などの亜鉛化合物又はその組み合わせ成分からなる群より選択される亜鉛活性物質により構成され;粘着剤が、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオルエチレン乳液、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸又はポリビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択され;添加剤が、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カドミウム、アルミナ、インジウムの化合物、ビスマス化合物、鉛化合物、水酸化カルシウム、黒鉛粉、アセチレンブラック、炭素粉、導電性カーボンブラック、活性炭粉、ショートカット繊維、炭素繊維又はその混合物からなる群より選択され;電流収集装置は、金属の表面をメッキ又は複合電気メッキをなどの物理化学的方法により金属の表面が処理された、発泡金属、メタルラス、金属テープ(金属は純金属又は合金であることができる)、好ましくは発泡黄銅、鉛メッキ又は錫メッキの穿孔黄銅テープ、黄銅網からなる群より選択される、請求項1記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。
【請求項4】
亜鉛電極が、片状又は多孔性構造、好ましくは多孔性粉末構造である、請求項1又は3記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。
【請求項5】
電解質が、水溶液電解質であり、電池隔膜へ浸出させ、水溶液のpHは4を超え、水溶液の濃度は0.05Mol/L〜15Mol/Lであり;水酸化物の水溶液は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はその混合物から選択され、最適化された選択は、KOH、NaOH水溶液又はその混合物であり、或いはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、フッ化塩などの水溶液又はその混合物、又はその酸化物水溶液との混合物からなる群より選択され;隔膜が、水和セルロース膜、ポリエチレングラフト膜、セロファン紙、ナイロン布、水和セルロース紙、綿紙、チタン酸カリウム紙、ポリエチレンフェルト、酸化ジルコニウムの繊維紙、不織布の材料のうちの一種、又は多種の材料でできた複合膜からなる群より選択される、請求項1記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。
【請求項6】
水素発生電極が、メッキ、複合メッキ、熱分解、イオンメッキ、イオン注入、イオンスパッタリング、化学メッキ、発泡金属技術などの、多様な物理化学方法を用いることにより、純金属、金属酸化物、合金又は金属及び合金と酸化物により作製される複合材料で作製され、あるいは上記のこれら技術の二種又は三種をあわせることにより作製され;水素発生電極が、好ましくは、純金属、例えばCo、Fe、Mo、W、Pt、Pd、Ru;酸化物、例えばRuO、TiO、ZrO;合金、例えばNi−Mo、Ni−B、Ni−P、Ni−NiS、Ni−Pt、Ni−Ru、Co−Mo、Ni−Wo、Ni−Sn、Mo−W、Co−W、Ni−水素吸蔵合金、及びNi−P−Co−Mo−W、Ni−Co−Mo、Ni−Co−Mo−W、Ni−P−Mo−Co、Ni−P−W、Ni−P−Co−Mo−W、Ni−B−Mo、Ni−B−Co−No、Ni−B−Co−Mo−W、Ni−B−W、Ni−Co−水素吸蔵合金;金属又は合金と酸化物との複合材料、例えばNi−RuO、Ni−Mo−RuO、Ni−NiS、Ni−Mo−W−RuOからなる群より選択される、請求項1又は2記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。
【請求項7】
酸素発生電極が、金属鋼、鉄、ニッケル材質の網、テープ、板材、片材、発泡金属で、Niメッキ又はチオモリブデンのNiメッキする方法により作製されるか、或いは電極が、チタンプラチナカルゴゲニド電極、イリジウム系チタンコーティング電極、二酸化マンガンコーティングチタン電極、カルシウムチタンペロブスカイト型酸化物電極からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項1又は2記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。
【請求項8】
酸素発生電極を兼ねる水素発生電極が、Niメッキ又はチオモリブデンのNiメッキする方法を使用して、金属鋼、鉄、ニッケル材質の網、テープ、板材、片材、発泡金属から作製される、請求項1又は2記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。
【請求項9】
水素発生電極、酸素発生電極、酸素発生電極を兼ねる水素発生電極が、片状、網状、多孔質、ガス拡散電極などの構造である、請求項1又は2記載の水素を生成及び吸蔵するための電気化学的方法。

【公表番号】特表2008−539328(P2008−539328A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508052(P2008−508052)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000090
【国際公開番号】WO2006/114034
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507354035)
【出願人】(507354046)
【Fターム(参考)】