説明

亜鉛ピリチオン、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物又は結合性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と酸化亜鉛との組成物にさらに珪素酸化物を担持させた組成物、その製造方法及びその用途。

【課題】亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との組成物、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と副生酸化亜鉛との組成物、又は亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と副生酸化亜鉛との組成物は、亜鉛ピリチオンと酸化亜鉛との大きな真比重差のため、両成分が分離しやすいという難点があった。また船底塗料防汚剤としては、塗膜からの速すぎる溶出が問題であった。
【解決手段】上記組成物に微粒非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガラス等の珪素酸化物を担持させることにより、これらの課題が解決可能であることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛ピリチオン、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物又は結合性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と酸化亜鉛との組成物にさらに珪素酸化物を担持させた組成物、その製造方法及びその用途に関する。さらに詳しくは、亜鉛ピリチオン、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物又は結合性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と酸化亜鉛との組成物にさらに微粒非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガラス等の珪素酸化物を担持させた組成物、その製造方法及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛ピリチオンに酸化亜鉛を加え、鉄イオン、光等による亜鉛ピリチオンの着色を防止することを目的としたシャンプー組成物は公知である(特許文献1)。そしてこの組成物を防腐防黴剤として用いる技術も公知である(特許文献2)。さらに亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との組成物も公知である(特許文献3)。亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物と副生酸化亜鉛との組成物も公知である(特許文献4)。本発明でいう結合性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体は、本発明者の特許出願(特許文献5)明細書に記載されている如く、亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物と超微粒酸化亜鉛との結合性複合体であり、製造物は複合体製造時に副生する酸化亜鉛及び亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物とともに混入する上記副生酸化亜鉛を含んでいる。
【特許文献1】特開昭52−92881号公報
【特許文献2】米国特許5939203号公報
【特許文献3】特開2006−335757号公報
【特許文献4】特許第4185526号公報
【特許文献5】特願2009−542280号(未公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との組成物、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と副生酸化亜鉛との組成物、又は亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と副生酸化亜鉛からなる水懸濁液は、亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との組成物においては、亜鉛ピリチオンと混合物の形で存在する多量の超酸化亜鉛有効成分、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物においては、製造時副生する相当量の粒子の大きな酸化亜鉛、また亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体複合体においては、製造時副生する少量の比較的粒子の大きな酸化亜鉛及び亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物とともに混入する上記粒子の大きな副生酸化亜鉛、さらに少量の未結合超微粒酸化亜鉛を含んでいるが、これらの遊離酸化亜鉛の真比重は、亜鉛ピリチオン、亜鉛ピリチオン複合化合物、亜鉛ピリチオン複合体の2.2〜2.5倍であるため、有効成分含量が少なく、流動性の高い製剤のときにはそれぞれが分離しやすいという難点があった。また有効成分量が多く、流動性の低い水懸濁液製剤のときには、相分離は避けられても、使用上取り扱い難く、見掛け単価が高くなることもあって、市場で受け入れられ難いという問題があった。
【0004】
また水中防汚剤としての亜鉛ピリチオンは、銅ピリチオンと比較して船底防汚塗膜からの溶出が約10倍速く、防汚寿命が短いという問題があった。亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物及び複合体についても、亜鉛ピリチオンの溶出をブロックする効果はあるが、酸化亜鉛自体亜鉛ピリチオンとほぼ同じ水に対する溶解度を有するので、十分な効果が得られないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、これらの課題について検討した結果、亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との組成物、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と粒子の大きな副生酸化亜鉛との組成物、又はこれらのいずれか又は両方と平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛をアルカリ処理して得た亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と副生酸化亜鉛、未結合の遊離超微粒酸化亜鉛との組成物に微粒非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガラス等の珪素酸化物を担持させることにより、解決できることを見出した。
即ち、本発明は、
(1)一般式(I)
xZnO・ZnPy (I)
(式中xは0≦x≦1を満足する0又は正数、Pyは2−ピリジルチオーN−オキ サイド基を表す。)
で示される亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物、又は このもののいずれかあるいは両方に平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸 化亜鉛を含む水懸濁液又は水性ペーストをpH8〜12で処理して得られる結合性 亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と酸化亜鉛の組成物に、さらに珪素酸化物を担持 させた組成物、
(2)(1)記載の珪素酸化物が微粉非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガ ラスの1種又は2種以上である(1)の組成物、
(3)一般式(I)
xZnO・ZnPy (I)
(式中xは0≦x≦1を満足する0又は正数、Pyは2−ピリジルチオーN−オキ サイド基を表す。)
で示される亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物、又は このもののいずれかあるいは両方に平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸 化亜鉛を含む水懸濁液又は水性ペーストをpH8〜12で処理して得られる結合性 亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と酸化案の組成物に、さらに珪素酸化物を担持さ せた組成物を製造するにあたり、これらの各成分をpH6〜8の水懸濁液となし、 攪拌後ろ過乾燥して固体を得る組成物製造方法、
(4)(3)記載の珪素酸化物が微粉非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガ ラスの1種又は2種以上である(3)の組成物製造方法、
(5)(1)〜(4)記載の組成物を含んでなる生理・抗生物活性組成物、
(6)ふけ防止・育毛剤である(5)記載の生理・抗生物活性組成物、
(7)シャンプー又はヘアコンディショナーである(6)記載の生理・抗生物活性組成物 、
(8)水中防汚剤である(5)記載の生理・抗生物活性組成物、
(9)船底防汚塗料、魚網防汚剤である(7)記載の生理・抗生物活性組成物、
(10)防腐防黴剤である(5)記載の生理・抗生物活性組成物、
である。
【0006】
本発明の組成物は、亜鉛ピリチオン、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物、結合性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体、超微粒酸化亜鉛、又は粒子の比較的大きい副生酸化亜鉛のいずれかの合計成分からなる組成物に対して、0.5〜200重量%、好ましくは1〜100重量%の珪素酸化物を担持させたもので、所望の製剤形態、シャンプー、ヘアコンディショナー、船底防汚塗料、魚網防汚剤、防腐防黴剤等末端製剤への配合条件に応じてその重量比率を変えることができる。0.5重量%以下のときは、珪素酸化物による担持効果は得られず、また200重量%以上のときは、望ましい生理・抗生物活性効果が得られない。
【0007】
本発明の組成物の原料である亜鉛ピリチオンは、例えばコーロン生命科学株式会社の「CleanBio ZP」、アーチ・ケミカルズ社の「Zinc Omadine」等の市販粉末品を使用できる。超微粒酸化亜鉛は、例えばテイカ株式会社の「MZ−300」、ハクスイテック株式会社の「ZINCOX SUPER」を使用できる。亜鉛ピリチオン・非晶質酸化亜鉛複合化合物は、日本特許第4185526号記載の方法によって製造できる。結晶性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体は、特願2009−542280号記載の方法によって製造できる。微粒非晶質シリカは、例えばデグサ社の「Aerosil 200」、東ソーシリカ工業株式会社の「ニップシールER」等の市販品を使用できる。ゼオライトは、例えば日本ゼオライト株式会社の天然ゼオライトを使用できる。粘土類は、モンモリロナイト、タルクが使用できるが、モンモリロナイトは例えばクニミネ工業株式会社の酸性白土、ベントナイト、タルクは例えば日本タルク工業株式会社の製品を使用できる。珪酸塩は珪酸カルシウムが好ましい。
【0008】
本発明の組成物は、亜鉛ピリチオンと平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛からなる組成物、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物と粒子の大きな副生酸化亜鉛との組成物、又は亜鉛ピリチオン、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物のいずれか又は両方と平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛からなる結合性複合体と少量の超微粒子から大きな粒子まで広範囲の粒子径の酸化亜鉛を含む組成物に対して、0.5〜200重量%、好ましくは1〜100重量%の上記珪素酸化物を含む水懸濁液又は水性ペーストをpH6〜9、好ましくはpH6〜8、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で10分〜2時間、好ましくは20分〜1時間攪拌処理して得られる組成物をそのまま水懸濁液製剤、もしくは水性ペースト製剤とするか、乾燥して粉砕し、粉末とすることによって得られる。
【0009】
上記製造法によって得られた本発明の組成物は、亜鉛ピリチオンと平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛からなる組成物、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物と粒子の大きな副生酸化亜鉛との組成物、又は亜鉛ピリチオン、亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物のいずれか又は両方と平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛からなる結合性複合体と少量の超微粒子から大きな粒子までの広範囲の粒子径の酸化亜鉛を含む組成物が、上記珪素酸化物によって担持されており、その水懸濁液製剤は成分間の分離がなく、また水性ペースト製剤であっても取り扱いやすく、価格の安い珪素酸化物を使用するため、見かけ単価の安い製剤とすることができる。また上記製造法によって得られた粉末製品は、組成物各成分が均一な品質のものが得られる他、船底塗料用防汚剤として用いられるときは、亜鉛ピリチオン成分の速すぎる塗膜からの溶出を抑制することができる。
【0010】
本発明の組成物は、シャンプー、ヘアコンディショナー用ふけ防止剤・育毛剤として使用できる。その有効成分の効果は、特表2006−515330号公報、特許第4185526号公報及び特願2009−542280号公報に記載されている。他の有効成分、例えばピロクトオラミン、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、クロトリマゾール、クリムバゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、チオコナゾール等のトリアゾール系抗真菌剤、ミノキシジル、グリチルリチン酸ジカリウム、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、塩酸ピリドキシン、α−トコフェノール、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、ビオチン、ペンタデカン酸グリセリル、塩化カプロニウム、メントール、ヒノキチオール、イチョウエキス、ハッカ油、カンタリス等のふけ防止成分、育毛成分と組み合わせて使用してもよい。
【0011】
本発明の組成物は、船底防汚塗料用、魚網防汚剤用水中防汚剤として使用できる。その有効成分の効果は、特開2006−335757号公報、特許第4185526号公報及び特願2009−542280号公報に記載されている。他の有効成分、例えば亜酸化銅、チオシアン酸第一銅、トリフェニルボラン・ピリジン塩、エチレンビスジチオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、チウラムジスルフィッド、テトラクロロイソフタロニトリル、4,5−ジクロロ−2−オクチルイソチアゾリン−3−オン、ジウロン、ジクロフルアニド、イルガロール1051と組み合わせて使用してもよい。
【0012】
本発明の組成物は、防腐防黴剤として使用できる。その有効成分の効果は、特開2006−335757号公報、特許第4185526号公報及び特願2009−542280号公報に記載されている。他の有効成分、例えば1,2−ベンズイソチアゾロン、N−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オン、2−メチルイソチアゾリン−3−オン、カルベンダジム、チアベンダゾール、2−オクチルイソチアゾリン−3−オン、テトラクロロイソフタロニトリル、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘキサハイドロ−s−トリアジン、2−クロルアセタミド、1−(ジヨードメチルスルホニル)−4−メチルベンゼン、3−ヨード−2−プロパルギルブチルカーバメート、2−ブロム−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロム−3−ニトリロプロピオンアミド、2,3,5,6−テトラクロル−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、金属ゼオライト、銀担持リン酸ジルコニウム系セラミックス、銀担持多孔性チタニア、第4級アンモニウム塩、シリカゲル担持錯体化銀と組み合わせて使用してもよい。
【発明の効果】
【0013】
亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との組成物、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と粒子の大きな副生酸化亜鉛との組成物、又はこれらのいずれか又は両方と平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛をアルカリ処理して得た亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と若干量の比較的粒子の大きい副生酸化亜鉛との組成物に微粒非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガラス等の珪素酸化物を担持させることにより得られた組成物は、水懸濁液製剤又は粉末製品において各成分が分離することなく、均一な品質になる他、船底塗料用防汚剤として用いられるときは、亜鉛ピリチオン成分の速すぎる塗膜からの溶出を抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0015】
【実施例1】
【0016】
亜鉛ピリチオン粉末品(KOLON生命科学株式会社「CleanBio ZP」)20g、超微粒酸化亜鉛(テイカ株式会社「MZ−300」、平均粒子径:0.03μm)2g、微粒非晶質シリカ(デグサ社「Aerosil 200」18gを水60gに加えて、1%NaOH水溶液を用いてpHを8に調製した後、30分攪拌し、固形分40%の水懸濁液を得た。このものの流動性はよく、また20℃で24時間放置後も3成分の分離を起こさなかった。
【実施例2】
【0017】
上記実施例1で1%NaOH水溶液を加えなかった以外同様に操作して、乾燥し、約40gの粉末を得た。
【実施例3】
【0018】
微粒非晶質シリカ18gの代わりに、微粒タルク(日本タルク工業株式会社「SG−2000」,平均粒子径:1μm)38gを用い、実施例1及び実施例2と同様の操作を行って、約60gの粉末を得た。
【実施例4】
【0019】
特願2009−542280明細書実施例1の方法に従って、亜鉛ピリチオン粉末品(KOLON生命科学株式会社「CleanBio ZP」)28g、超微粒酸化亜鉛(テイカ株式会社「MZ−300」7g(モル比1:1)を用いて、特願2009−542280明細書実施例1の方法に従い、亜鉛ピリチオン・微粒酸化亜鉛複合体34.3gを得た(収率:98%)。またこのものの粒度分布を測定した結果、副生酸化亜鉛由来とみなし得る粒子(粒子径:0.26〜0.88μm)は、全体の1.5%であった。この20gと微粒非晶質シリカ(デグサ社「Aerosil 200」20gを水60mlに加えて、1%NaOH水溶液を用い、pHを8に調製した。20℃で30分攪拌し、固形分40%の水懸濁液を得た。このものの流動性はよく、また20℃で24時間放置後も3成分の分離を起こさなかった。
【実施例5】
【0020】
下記各試料に人工海水(pH7.8)を加え、全体量を500mlとし、20℃で24時間振とうした。これらをろ過後、ろ液について原子吸光分析を行い、亜鉛の定量を行った。
試料1.亜鉛ピリチオン 100mg
試料2.亜鉛ピリチオン 100mg+微粒非晶質シリカ20mg
試料3.実施例2の組成物 200mg
試料4.実施例3の組成物 300mg
試料5.超微粒酸化亜鉛 10mg
【0021】

上表の結果から、亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛の組成物に微粒非晶質シリカ又は微粒タルクを担持させた組成物は、人工海水への溶解度を低下させる。
【実施例6】
【0022】
シャンプー処方例
下記組成の各成分を均一に混合して液体シャンプーを調製した。
ラウリル硫酸ナトリウム 16.0重量%
実施例4の40%水懸濁液組成物 3.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.3重量%
クエン酸 微量
精製水 残部
合計 100.0重量%
得られた液体シャンプーの組成は均一であった。
【実施例7】
【0023】
船底塗料処方例
下記組成の各成分を均一に混合して、船底塗料を調製した。
メチルメタクリレートとトリイソプロピルシリルアクリレートとの2:3共重合体
(50%キシレン溶液) 40重量%
実施例2の粉末組成物 12重量%
トリフェニルボラン・ピリジン塩 10重量%
亜鉛華 5重量%
チタン白 5重量%
弁柄 5重量%
脂肪酸アマイドワックス(20%) 2重量%
キシレン 21重量%
合計 100重量%
【実施例8】
【0024】
防腐防黴剤末端製剤
下記組成の各成分を均一に混合して、防腐防黴剤末端製剤を調製した。
実施例1の40%水懸濁液組成物 50.0重量%
カルベンダジム 15.0重量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 0.1重量%
水 残部
合計 100.0重量%
得られた製剤は、流動性がよく、また相分離が認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との組成物、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と副生酸化亜鉛との組成物、又はこれらのいずれか又は両方と平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛をアルカリ処理して得た亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と副生酸化亜鉛との組成物に微粒非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガラス等の珪素酸化物を担持させることにより得られた組成物は、水懸濁液製剤において各成分が分離することなく、均一な品質のものが得られるので、シャンプー用ふけ防止剤、育毛剤として利用でき、また船底の防汚塗膜からの有効成分の速すぎる溶出を抑制するので、船底塗料用防汚剤として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
xZnO・ZnPy (I)
(式中xは0≦x≦1を満足する0又は正数、Pyは2−ピリジルチオーN−オキサイド基を表す。)
で示される亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物、又はこのもののいずれかあるいは両方に平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛を含む水懸濁液又は水性ペーストをpH8〜12で処理して得られる結合性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と酸化亜鉛の組成物に、さらに珪素酸化物を担持させた組成物。
【請求項2】
請求項1記載の珪素酸化物が微粉非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガラスの1種又は2種以上である請求項1の組成物。
【請求項3】
一般式(I)
xZnO・ZnPy (I)
(式中xは0≦x≦1を満足する0又は正数、Pyは2−ピリジルチオーN−オキサイド基を表す。)
で示される亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン・非晶性酸化亜鉛複合化合物、又はこのもののいずれかあるいは両方に平均粒子径0.01〜0.15μmの超微粒酸化亜鉛を含む水懸濁液又は水性ペーストをpH8〜12で処理して得られる結合性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体と酸化亜鉛の組成物に、さらに珪素酸化物を担持させた組成物を製造するにあたり、これらの各成分をpH6〜8の水懸濁液となし、攪拌後ろ過乾燥して固体を得る組成物製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の珪素酸化物が微粉非晶質シリカ、ゼオライト、粘土類、珪酸塩、水ガラスの1種又は2種以上
である請求項3の組成物製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4記載の組成物を含んでなる生理・抗生物活性組成物。
【請求項6】
ふけ防止・育毛剤である請求項5記載の生理・抗生物活性組成物。
【請求項7】
シャンプー又はヘアコンディショナーである請求項6記載の生理・抗生物活性組成物。
【請求項8】
水中防汚剤である請求項5記載の生理・抗生物活性組成物。
【請求項9】
船底防汚塗料、魚網防汚剤である請求項7記載の生理・抗生物活性組成物。
【請求項10】
防腐防黴剤である請求項5記載の生理・抗生物活性組成物。

【公開番号】特開2011−111454(P2011−111454A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284518(P2009−284518)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(502220115)有限会社 ワイエイチエス (7)
【Fターム(参考)】