説明

亜鉛含有パスタ

【課題】本発明は、広い年齢層に好まれ、容易にそして継続的に亜鉛摂取を可能とし、さらに他の栄養成分も豊富に含有する、身体的、精神的健康維持・改善に最適な食品を提供する。
【解決手段】亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を小麦全粒紛に配合したパスタにより本発明の課題を解決できることを見出した。好ましくは、柑橘類が八朔である。本発明のパスタは、神経不安症、筋力低下、夜尿症、便秘、イライラ、疲労、肥満、癌等に効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛含有パスタおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣病の予防、肥満の改善、ストレス解消、精神の安定など健康を維持する食品の需要が増加している。また、スナック菓子、ジュースなどの大量摂取による、味覚障害や、我慢できずに攻撃的になる、いわゆるキレル大人や子供が増えていると言われている。これらの症状には亜鉛不足が原因の一つと言われているが、亜鉛は食事から必要量を摂取するのが難しいミネラルと言われている。
【0003】
パスタは人気のある食材であり、大人も子供も好んで食する食材である。パスタ、特に全粒粉のパスタは他の穀物類や、麺類と比較して、グリセミックインデックス値(GI値)が低いことが知られている。グリセミックインデックス値(GI値)とは、炭水化物が消化されて糖に変化する速さを相対的に表す数値であり、1981年にデヴィッドJ.ジェンキンズ博士らが、食品による血糖値の上がり方の違いを発見し提唱した(非特許文献1)。具体的には、食品の炭水化物50グラムを摂取した後の血糖上昇曲線下面積の、同量の炭水化物量の基準食またはブドウ糖(グルコース)を摂取した後の平均血糖上昇曲線下面積に対する割合として表される。
【0004】
グリセミックインデックス値(GI値)が低いものほど吸収が遅く血糖上昇が小さいため、インスリン分泌は抑制され、過剰な糖質が体脂肪として蓄えられることなく、体内脂肪を減らし、体重の制御が可能である。また、消化時間が長いため、空腹になりにくく過剰摂取を抑制できる。
【0005】
亜鉛は動脈硬化、味覚障害、男性機能低下、更年期障害、生理不順、不妊、糖尿病、視力低下、免疫力低下、メタボリックシンドローム、精神不安症、不眠症、子供のキレル症候群等に効果があり、一日分の亜鉛摂取必要量は、大人男性9〜12mg、女性7〜10mg、子供男子4〜6mg、子供女子3〜5mgである。
【0006】
亜鉛を含有する食品として、牡蠣、牛肉、豚肉、鶏肉、ゴマ、かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種などが知られている。また、亜鉛含有酵母、亜鉛含有パパイヤをマウスに摂取させることにより、血糖値の増加が抑制されることが特許文献1に記載されている。風味のよいひまわり粉粒含有麺類については特許文献2に記載がある。黒胡麻うどんについては特許文献3に記載がある。白ワインで匂いを消去した牡蠣含有パスタ(牡蠣ペーストとデュラム・セモリナ粉含有)については特許文献4に記載がある。
【0007】
柑橘類のアルベドは、果皮の内側の白く柔らかい綿状または繊維質の部分であり、ペクチンなどの水溶性食物繊維、ナリンギンやヘスペリジンなどを代表とするフラボノイドが多く含まれている。柑橘類のアルベドを有効成分とする血糖値降下剤又は便通改善剤については特許文献5に記載がある。
【0008】
しかし、広い年齢層に好まれ、容易にそして継続的に亜鉛摂取を可能とする食品は未だ提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−201675号公報
【特許文献2】特開2000−60502号公報
【特許文献3】特開2008−5821号公報
【特許文献4】特開2003−339332号公報
【特許文献5】特開2005−272456号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Jenkins DJ et al. "Glycemic index of foods: a physiological basis for carbohydrate exchange" Am J Clin Nutr 34(3), 1981 Mar, pp362-6.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、広い年齢層に好まれ、容易にそして継続的に亜鉛摂取を可能とし、さらに他の栄養成分も豊富に含有する、身体的、精神的健康維持・改善に最適な食品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を小麦全粒紛に配合したパスタにより本発明の課題を解決できることを見出し本発明を完成した。本発明は以下からなる;
1.小麦全粒紛に亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を配合して調製された亜鉛含有パスタ。
2.柑橘類が八朔である前項1に記載のパスタ。
3.亜鉛高含有食品が、小麦胚芽、かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種から選択される少なくとも1つを含む食品である前項1又は2に記載のパスタ。
4.小麦全粒紛100重量部に対して亜鉛高含有食品が10〜60重量部配合されている前項1〜3のいずれか1に記載のパスタ。
5.ブドウ糖を基準食としたグリセミックインデックス値(GI値)が55以下である前項1〜4のいずれか1に記載のパスタ。
6.小麦全粒紛がデュラム小麦全粒紛である前項1〜5のいずれか1に記載のパスタ。
7.味覚障害、動脈硬化、男性機能低下、更年期障害、不妊、生理不順、糖尿病、視力低下、肥満、免疫低下、神経不安症、不眠症、筋力低下、アレルギー、アトピー性皮膚炎、癌、肝臓機能低下、夜尿症、便秘、イライラ、疲労、尿失禁および子供のキレル症候群から選ばれる症状の少なくとも1に有効である前項1〜6のいずれか1に記載のパスタ。
8.疲労が溜まりにくい、朝起きやすい、イライラが気にならない、子供の疳の虫が良くなる、乳幼児の筋力回復、体重増加抑制および月経回復から選ばれる少なくとも1の臨床効果を有する前項1〜6のいずれか1に記載のパスタ。
9.粉末状の亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を、小麦全粒粉と練り合わせることを特徴とするパスタの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の亜鉛含有パスタは、大人も子供も幅広い年齢層が食事やおやつに気軽に食すことができ、容易に亜鉛摂取を可能とする。また、本発明の亜鉛含有パスタは、GI値の低いパスタであることより、空腹感が満たされ満足感が得られるが体重増加を抑制できるため継続的な摂取が容易である。また、糖尿病患者または糖尿病予備軍と言われる血糖値が高い人も安心して食し、亜鉛等の補給ができる。さらに、柑橘類、小麦全粒紛等に含まれる豊富な栄養成分も継続摂取可能とし、身体的、精神的健康維持・改善に最適な食品が提供される。
【0014】
特に、本発明の亜鉛含有パスタは、味覚障害、動脈硬化、男性機能低下、更年期障害、不妊、生理不順、糖尿病、視力低下、肥満、免疫低下、神経不安症、不眠症、筋力低下、アレルギー、アトピー性皮膚炎、癌、肝臓機能低下、夜尿症、便秘、イライラ、疲労、尿失禁および子供のキレル症候群等の症状に有効である。癌では、消化器系癌、特に肝臓癌に有効である。また、本発明のパスタは、疲労が溜まりにくい、朝起きやすい、イライラが気にならない、子供の疳の虫が良くなる、乳幼児の筋力回復、体重増加抑制および月経回復等の臨床効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、小麦全粒紛に亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を配合して調製された亜鉛含有パスタに関する。
【0016】
本発明で用いられる亜鉛高含有食品は、食品100gあたり亜鉛を2mg以上、好ましくは3mg以上、より好ましくは4mg以上含んでいる食品である。食品は特に限定されない。例えば、胚芽、レバー、牡蠣、牛肉、豚肉、鶏肉、鰯など魚類、かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種、ごま等が挙げられる。アレルギーを起こすおそれのないもの、小麦粉と混ぜて食するときに、臭い等がなく、食べやすいものが好ましい。植物性の食品が好ましく、例えば、小麦胚芽、かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種等が挙げられる。それぞれ100gあたりの亜鉛含有量は、17mg、5.5mg、6.9mg、5.0mg程度である。
【0017】
本発明で用いられる好ましい亜鉛高含有食品である小麦胚芽は、小麦1粒のうち約2%を形成しているにすぎないが、小麦胚芽にはビタミンB1、B2、B6、E、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、脂質、食物繊維、たんぱく質のほか、ミネラル類が含まれており、豊富な栄養素を含んでいる。小麦胚芽は抗酸化作用で成人病予防、整腸作用などが認められている。小麦胚芽は、小麦胚芽100gあたり約17mgの亜鉛を含有する。
【0018】
本発明で用いられる好ましい亜鉛高含有食品であるかぼちゃの種は、糖尿病、脱け毛、前立腺肥大や膀胱機能障害、コレステロール減少等の効能を有し、カロチン、ビタミンB1、B2、C、E等や、亜鉛などを豊富に含有しており、健康食品として広く利用されている。100gあたり約5.5mgの亜鉛を含有する。かぼちゃの種は、好適には、天日干しにて、からからに乾燥したもの、あるいは、フライパンやオーブン等で炒ったものが用いられる。
【0019】
本発明で用いられる好ましい亜鉛高含有食品である松の実は、脂肪、ミネラル、ビタミンB1、B2、B6、E、食物繊維が豊富であり、脂肪は、不飽和脂肪酸なので、抗コレステロール作用があり、動脈硬化を予防する働きがある。ビタミンは、美肌つくりに有効な成分であり、ビタミンB6は、タンパク質を代謝するのに欠かせないもので、免疫機構を正常に維持するのに大切な栄養素であり、ビタミンEは、抗酸化作用で老化を防ぎ、消化が大変よく、便秘解消にも効果がある。100gあたり約6.9mgの亜鉛を含有する。松の実は、食べられる松の実(種子)であれば特に限定されず、ヨーロッパの「ナッツ・パイン」「ストーン・パイン」中国の「華山松」朝鮮半島と日本の「朝鮮五葉」メキシコの「インディアンナッツ」アメリカの「アロカビアン」などが食用としてしられる。松の実は、生ではなく、フライパンやオーブン等で炒って用いられる。
【0020】
発明で用いられる好ましい亜鉛高含有食品であるひまわりの種には良質のたんぱく質、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄分、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、リノール酸、亜鉛、葉酸、トナリン、アルギニンなど様々な栄養が含まれていて、疲労回復、高血圧、貧血を防ぎ、脂肪を燃焼させる上、若返りの効果がある。100gあたり約5mgの亜鉛を含有する。ひまわりの種は、好適には、天日干しにて、からからに乾燥したもの、あるいは、フライパンやオーブン等で炒ったものが用いられる。
【0021】
本発明の好ましい実施態様は、亜鉛高含有食品として、小麦胚芽、かぼちゃの種、松の実およびひまわりの種から選択された1以上を使用する。好ましくは、2以上の混合物、より好ましくは3以上の混合物、さらに好ましくは4以上の混合物である。小麦胚芽、かぼちゃの種、松の実およびひまわりの種の粉末の好ましい配合割合(重量比)は2:1:1:1である。5種以上を混合することも可能である。
【0022】
本発明で使用される亜鉛高含有食品は、粉末で使用するのが好適である。粉末でない亜鉛高含有食品は、乾燥物又は炒り物を、製粉機、臼、ミキサー等を使って粉砕し、粉末化される。製粉機等を使えば、粉末化度(粒子径)を数値的に設定して調製可能である。各粉末の混合は、あらかじめ各素材を粉末化してから混合してもよいが、無論乾燥した各素材をあらかじめ混合し、これを上記のように粉砕・粉末化してもよい。
【0023】
小麦粉と亜鉛高含有食品の配合比は、小麦粉100重量部に対して、亜鉛高含有食品を10〜60重量部、好ましくは、20〜50重量部、より好ましくは25〜45重量部配合する。好ましくは、小麦全粒紛100重両部に対して、亜鉛高含有食品を10〜60重量部、好ましくは、20〜50重量部、より好ましくは25〜45重量部配合する。亜鉛高含有食品の配合比が10重量部より低いと本発明の効果が得られず、60重量部より高いとパスタの食感に影響し、食べにくくなる。
【0024】
本発明の好ましい態様は、上記のように亜鉛高含有食品を配合することにより、可食状態のパスタ100gに亜鉛を1.5〜6mg含有する。亜鉛含量が1.5mgより少ないと本発明の効果は小さい。亜鉛含量が6mgまでであることにより、子供でも安心して本発明のパスタを食べることができる。亜鉛の1日摂取量は30〜35mgまでといわれており、6mgより多いと他の食品からの亜鉛摂取と合わせて、子供の一日の摂取量の上限を超えて、めまいや吐き気、胃に障害が起こるなどの中毒症状があらわれるおそれがある。より好ましくは、可食状態のパスタ100gに亜鉛を1.8〜5mg、さらに好ましくは、2〜4mg含む。一日分の亜鉛摂取必要量は、大人男性9〜12mg、女性7〜10mg、子供男子4〜6mg、子供女子3〜5mgであることより、本発明のパスタ100g(可食状態)を食することにより一日分の摂取必要量のおよそ1/6〜全部を摂取することができる。
可食状態のパスタの重量とは、乾燥パスタ若しくは生パスタを茹でた後の重量、または、インスタントパスタであるときには、湯せん後、熱湯に通した後など、食べる前のパスタの重量である。
【0025】
本発明で使用される小麦全粒紛は、胚芽やふすま(表皮)をつけたまま挽いて製した小麦粉であり、茶褐色を帯びていて、胚乳だけをひいた小麦粉よりもビタミン・ミネラル・繊維質を多く含むものである。
小麦全粒紛を用いた本発明のパスタは、ブドウ糖を基準食としたグリセミックインデックス値(GI値)が55以下であることが好ましく、さらに50以下であるのが好ましく、45以下であることがよりいっそう好ましい。これは、パスタ摂取による血中への糖の吸収ができるかぎり調節されたものであることが好ましいことによる。
【0026】
また、本発明のパスタ調製用小麦粉は、全粒粉が60重量%〜100%であり、通常のいわゆる胚芽が除去された小麦粉を残量配合してもよい。パスタの所望の硬さに応じて配合可能である。薬膳的に全粒粉が最善であるので、好適には全粒粉が100%である。また、本発明で用いられる小麦粉の種類は限定されないが、デュラム小麦全粒紛、特にデュラム・セモリナ粉であることが好ましい。
【0027】
本発明では、所望により、強力粉(グルテン含有率10.5〜13%)を含有してもよい。所望により、中力粉、薄力粉を含有することも許される。
【0028】
本発明のパスタは柑橘類のアルベド及び/又は果実を配合して調製されるものである。本発明に用いられる柑橘類は、その種類には特に限定はない。例えば、温州ミカン、ポンカン、シークワーサー、スダチなどのミカン類、ネーブル、バレンシアなどのオレンジ類、夏ミカン、八朔、イヨカン、ダイダイなどの雑柑類、その他ブンタン、グレープフルーツ、レモン、ユズ類、キンカン類等がある。アルベドが豊富に含まれている八朔、グレープフルーツ、温州みかん、ダイダイなどの柑橘類が好適であり、本発明では特にナリンギンなどのフラボノイドを多く含有するアルベドが豊富に含まれている八朔を用いることが好ましい。
【0029】
柑橘類のアルベド及び/又は果実を配合するとは、果実、アルベドから選ばれる一つ、またはその組み合わせを配合することである。柑橘類の果皮などその他の部分を配合してもよい。
【0030】
本発明の好適な態様は、柑橘類の果実を配合する。柑橘類の果実は10個前後の小袋が放射状に並んだ形状をしており、小袋はじょうのう、小袋の薄皮はじょうのう膜、小袋の中身(いわゆる果肉)は砂じょうと呼ばれている。本発明で果実はこれらを含有しているものである。本発明のパスタに配合する場合には、果実を粉砕及び/又は搾汁して果汁にして用いるのが好ましい。果実はアルベドと同一の柑橘類から得てもよいが、異なる柑橘類から得てもよい。果実にはビタミンCや葉酸が多く含まれており、ビタミンCを葉酸と共に配合することにより、亜鉛の吸収を促進し、亜鉛の効果を相乗的に高めることができる。果実としては、特に八朔の果実が好ましい。
【0031】
本発明の好ましい態様は、本発明のパスタ調製用小麦粉(好ましくは小麦全粒紛)100重量部に柑橘類の果実を10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部配合する。果実が10重量部より少ないと本発明のパスタの効果が低く、50重量部より多いとパスタの成形が困難になる。
【0032】
本発明の好適な態様は、柑橘類のアルベドを配合する。柑橘類のアルベドは、果皮の内側の白く柔らかい綿状または繊維質の部分であり、ペクチンなどの水溶性食物繊維、ナリンギンやヘスペリジンなどを代表とするフラボノイドが多く含まれている。ナリンギンやヘスペリジンなどのフラボノイドの働きについては、これまで多くの研究が行われており、抗酸化、抗アレルギー、コレステロールの抑制、高血圧の予防、食欲抑制、毛細血管の保護や強化、ビタミンCの安定化などの作用が知られている。
本発明のパスタにアルベドを配合することにより、アルベドが含有する栄養素による効果と亜鉛吸収促進の効果が得られる。
柑橘類のアルベドであれば特に制限はないが、アルベドには苦味があるため、パスタに配合したときに苦味が少ないアルベドが好ましい。八朔のアルベドはパスタに練り込むと苦味がなく食べやすくいため好適である。
【0033】
アルベドは、ミキサーなどで破砕、粉砕してアルベドそれ自体を使用できる。アルベドが含有している栄養成分を破壊しない程度に加工して使用してもよい。例えば、アルベドを乾燥後粉状にしたもの、水蒸気蒸留、または溶媒抽出して得られるもの、煎じたもの等が挙げられる。
【0034】
本発明の好ましい態様は、本発明のパスタ調製用小麦粉(好ましくは小麦全粒紛)100重量部に対してアルベドを5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは15〜25重量部配合する。アルベドが5重量部より少ないと本発明のパスタを食べても本発明の効果は少なく、40重量部より多いとパスタの食感に影響し、食べにくくなり、パスタの成形も困難になる。
【0035】
本発明の好ましい態様は、アルベドと果実を共に配合する。共に配合することにより、各部分に含有される成分を食することができるとともに、より一層の亜鉛吸収効果がある。アルベドと果実を共に用いるときは、例えば、外皮を除去した全果を破砕して用いるか、果実絞り器などで、果肉とともにアルベド部分まで削りとることができる。また外皮もさらに配合するときには、全果をそのまま破砕、粉砕して用いることができる。
【0036】
本発明のパスタは、小麦全粒粉、亜鉛高含有食品及び、柑橘類アルベド及び/又は果実を含有するものであり、その他の食品、成分を配合、含有したパスタも当然、本発明のパスタである。
【0037】
本発明の好ましい態様は、小麦粉100重量部に対して、亜鉛高含有食品を10〜60重量部、好ましくは、20〜50重量部より好ましくは25〜45重量部配合し、柑橘類果実を10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部配合し、及び/又は柑橘類アルベドを5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは15〜25重量部配合して調製されたパスタである。
【0038】
本発明は、また、粉末状の亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を、小麦全粒粉と練り合わせることを特徴とするパスタの製造方法に関する。
本発明の亜鉛含有パスタは、粉末状の亜鉛高含有食品、および柑橘類のアルベド及び/又は果実を、小麦全粒粉と練り合わせた後、成形し所望のパスタ形状として製造される。
好ましくは、亜鉛高含有食品を粉砕して得た粉末に柑橘類果汁を混合し、さらに柑橘類アルベドを加え混合する。それを、小麦全粒粉と練り合わせた後、熟成させ、成形し所望のパスタ形状として製造される。小麦全粒粉には小麦胚芽など、さらに亜鉛高含有食品が予め混合されていてもよい。
その後、乾燥パスタ、生パスタ、冷凍パスタ、インスタントパスタなど所望の販売形態に合わせて加工することができる。
【0039】
本発明のパスタは、スパゲッティ、リングイネなどのロングパスタ、マカロニ、ペンネなどのショートパスタ、その他、板状、団子状、筒状のパスタなど種類は限定されない。また、生パスタ、乾燥パスタ、冷凍パスタ、インスタントパスタ等の種類も限定されることなくすべての態様を含むものである。
【0040】
本発明の亜鉛含有パスタは、味覚障害、動脈硬化、男性機能低下、更年期障害、不妊、生理不順、糖尿病、視力低下、肥満、免疫低下、神経不安症、不眠症、筋力低下、アレルギー、アトピー性皮膚炎、癌、肝臓機能低下、夜尿症、便秘、イライラ、疲労、尿失禁および子供のキレル症候群から選ばれる症状の少なくとも1に有効である。癌では、消化器系癌、特に肝臓癌に有効である。また、本発明は、疲労が溜まりにくい、朝起きやすい、イライラが気にならない、子供の疳の虫が良くなる、乳幼児の筋力回復、体重増加抑制および月経回復から選ばれる少なくとも1の臨床効果を有する。
【0041】
本発明のパスタは食べやすく、GI値が低く体重増加を抑制し、幅広い年齢層が毎日摂取することができるものであることより、上記症状改善効果、および臨床効果を有する。上記のような臨床効果を得るためには、1日平均20〜400g(可食状態)の本発明の亜鉛含有パスタを摂取し、亜鉛を1日あたり2mg〜20mg摂取することが好適である。
【0042】
以下に本発明のパスタを実施例によって説明するが、これは好適例を例示するものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0043】
かぼちゃの種、松の実およびひまわりの種(よもぎ健康市場より購入)各10gを混合し、ミキサーで粉砕し粉末を得た。
八朔を搾汁し、果汁40gを得た。また、八朔のアルベド部分を取り出しミキサーで粉砕し30gのアルベド粉砕物を得た。かぼちゃの種、松の実およびひまわりの種の混合粉末に八朔果汁を加え混合した後、アルベド粉砕物を加え混合した。
粉末状の小麦胚芽(よもぎ健康市場より購入)20g、デュラム・セモリナ粉140gおよび塩4gの混合物に、上記亜鉛含有食品とアルベドの混合物およびオリーブ油10gを加え練り合わせた。練りあがった後2時間熟成させ、その後成形してパスタ(スパゲッティ)を製造した。
茹でて食したところ、苦味はなく、胚芽や果汁の甘さにより美味であり、かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種の風味が効いた食べやすいパスタであった。
【実施例2】
【0044】
八朔をレモンに替え、レモンのアルベドの量を10gにした以外は実施例1と同様にしてパスタ(スパゲッティ)を製造した。食したところ、胚芽や果汁の甘さにより美味であったが、苦味が少しあった。かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種の風味が効いたパスタであった。
【実施例3】
【0045】
実施例1で得られたパスタを茹でて食したところ、以下の臨床例に示す効果があった。
なお、臨床例で示すパスタの重量はすべて茹でた後の重量である。
【0046】
(臨床例1)
43歳の男性が、パスタ100gを毎日2週間食べたところ、朝起きやすくなり、疲労がたまりにくくなっていた。
【0047】
(臨床例2)
2歳の男子が、パスタ80gを毎日2週間食べたところ、疳の虫が良くなった。
【0048】
(臨床例3)
立つことができなかった1歳半の子供が、パスタ60gを毎日食べたところ、食べ始めてから6ヶ月後に立つことができ、9ヶ月後に歩くことができるようになった。
【0049】
(臨床例4)
生理が止まっていた26歳の女性が、パスタ100gを毎日3週間食べたところ、生理が始まった。
【0050】
(臨床例5)
30歳〜50歳の男性2人、女性1人が、パスタ100gを毎日夕食として食べたところ、1週間で体重が平均2kg減少した。
【0051】
(臨床例6)
40歳代の女性2人が、パスタ100gを毎日夕食として食べたところ、3ヶ月で体重が平均10kg減少した。
【0052】
(臨床例7) 4歳の男子 夜尿症
パスタ50gを抵抗なく毎日食べた。夜尿症で毎日おねしょしていたが、1週間食べたところ、3日に1度はおねしょをしなくなった。
【0053】
(臨床例8) 59歳女性 疲れと便秘
パスタ100gを1週間食べたところ、体の疲れが楽になり、便秘が解消された。
【0054】
(臨床例9) 30歳男性 イライラ
パスタ100gを、1週間毎日食べたところ、イライラする回数が減少した。
【0055】
(臨床例10) 82歳男性 疲労
年々疲れやすく殆ど寝たきりの状態であった。パスタ80gを、2週間毎日食べたところ、疲れやすいのは変わらないが、何かをしたい気持ちになった。
【0056】
(臨床例11) 11歳女性 尿失禁
授業中にトイレに行きたいのを我慢すると、失禁する状態であったが、パスタ100gを、2週間毎日食べたところ、失禁の状態がかなり改善した。
【0057】
(臨床例12) 69歳女性 肝臓癌
肝臓の三分の一が癌に侵されて、下腹部の痛みから5分も立ってる事が困難であり、疲れ方がひどく横になっても疲労感が治らない状態であった。トイレの回数は一日17〜18回で全て下痢状態であった。
パスタを細かくして一回20g、1日3回食べたところ、1週間程度で下痢をしなくなった。また、1週間後から20分程度立っている事が出来るようになり、リンパの転移も改善の兆しが有り、食欲も出てきている。
【実施例4】
【0058】
実施例2で得られたパスタを茹でて食したところ、以下の臨床例に示す効果があった。なお、臨床例で示すパスタの重量はすべて茹でた後の重量である。
【0059】
(臨床例13) 4歳の男子 夜尿
パスタはすっぱくないが、苦いと言って食べなかった。
【0060】
(臨床例14) 59歳女性 疲れと便秘
パスタ100gを1週間食べたところ、便秘は解消されなかった。体の疲れは楽になった。
【0061】
(臨床例15) 30歳男性 イライラ
パスタ100gを毎日、1週間食べたところ、3日目から少し楽になった気がしたが、少しの原因でまたイライラが出た。
【0062】
(臨床例16) 11歳 女性
授業中にトイレに行きたいのを我慢すると、失禁する状態であったが、パスタ100gを毎日2週間食べたところ、失禁の状態が少し改善した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦全粒紛に亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を配合して調製された亜鉛含有パスタ。
【請求項2】
柑橘類が八朔である請求項1に記載のパスタ。
【請求項3】
亜鉛高含有食品が、小麦胚芽、かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種から選択される少なくとも1つを含む食品である請求項1又は2に記載のパスタ。
【請求項4】
小麦全粒紛100重量部に対して亜鉛高含有食品が10〜60重量部配合されている請求項1〜3のいずれか一に記載のパスタ。
【請求項5】
ブドウ糖を基準食としたグリセミックインデックス値(GI値)が55以下である請求項1〜4のいずれか一に記載のパスタ。
【請求項6】
小麦全粒紛がデュラム小麦全粒紛である請求項1〜5のいずれか一に記載のパスタ。
【請求項7】
味覚障害、動脈硬化、男性機能低下、更年期障害、不妊、生理不順、糖尿病、視力低下、肥満、免疫低下、神経不安症、不眠症、筋力低下、アレルギー、アトピー性皮膚炎、癌、肝臓機能低下、夜尿症、便秘、イライラ、疲労、尿失禁および子供のキレル症候群から選ばれる症状の少なくとも一に有効である請求項1〜6のいずれか一に記載のパスタ。
【請求項8】
疲労が溜まりにくい、朝起きやすい、イライラが気にならない、子供の疳の虫が良くなる、乳幼児の筋力回復、体重増加抑制および月経回復から選ばれる少なくとも一の臨床効果を有する請求項1〜6のいずれか一に記載のパスタ。
【請求項9】
粉末状の亜鉛高含有食品と柑橘類のアルベド及び/又は果実を、小麦全粒粉と練り合わせることを特徴とするパスタの製造方法。

【公開番号】特開2011−62164(P2011−62164A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217499(P2009−217499)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(508234785)
【Fターム(参考)】