説明

亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法

【課題】めっき層の付着量を少なくした場合であっても、優れた耐食性及び外観均一性を有する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法を提供することにある。
【解決手段】亜鉛含有めっき浴中で、素材鋼板を陰極として電解することで、前記素材鋼板の表面に亜鉛系複合電気めっき層を形成する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法であって、前記めっき浴は、0.2mol/L以上のZnイオンと、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択される少なくとも一種の金属イオンと、0.0005〜0.1mol/Lの硝酸イオンとを含有し、前記素材鋼板に対する前記めっき浴中のめっき液の相対流速が0.6m/s以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、家電・自動車・建材などに用いられる亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法であり、特に、少ない亜鉛の使用量でも優れた耐食性及び外観均一性を有する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
亜鉛系めっき鋼板は、良好な耐食性を有する点や、コストの点などから、現在、多くの用途に用いられているが、かかるめっき鋼板に用いられる亜鉛は、枯渇性資源の1つであり、今後の価格高騰も考えられることから、亜鉛めっき付着量の減量化や、亜鉛めっきに替わる表面処理皮膜の開発が要求されている。
【0003】
素材鋼板上に亜鉛系めっき層を形成する技術としては、溶融めっき又は電気めっきが一般的である。ただし、溶融めっきによって亜鉛系めっき層の形成を行った場合、亜鉛系めっき付着量の減量化を図るためには、溶融亜鉛を鋼板上に付着させた後にワイピングによってめっき付着量を減らす必要があることから、低ラインスピードでの操業を余儀なくされ、十分な生産性が得られないという問題がある。加えて、溶融めっきでは、めっき付着量を減らした場合、均一な亜鉛系めっき層を得ることが非常に困難であるという問題がある。そのため、亜鉛系めっき付着量の減量化を目的とした場合には、電気量によってめっき付着量を制御でき、さらに、低付着量であっても比較的均一なめっき層を得ることができる電気めっきが有効であると考えられる。
【0004】
また、電気めっきにより亜鉛系めっき付着量の減量化を図る方法の1つとして、めっき層の耐食性を向上させる技術が挙げられる。めっき層の耐食性が向上すれば、めっき層を薄くすることができ、亜鉛の使用量の低減が可能となるからである。ここで、亜鉛系めっき層の耐食性を向上させる技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、Ni、Co、Fe、Mn、Cr等を用いた亜鉛めっき層の合金化や、特許文献2に開示されているように、SiO2、TiO2等の分散粒子を含有させた亜鉛系めっき層を形成することが挙げられる。
【0005】
また、亜鉛系めっき付着量の減量化を図る別の方法としては、例えば特許文献3に開示されているように、Al及びCrから選択された少なくとも1種の金属の化合物、及びMo、W、Be、Ca、Mg、Sr、Ba、Ti、Zr、La、Yから選択された少なくとも1種の化合物を含む亜鉛系複合めっき層を形成することで、鋼板の耐食性を向上させる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭55−110791号公報
【特許文献2】特開平3−260092号公報
【特許文献3】特開平1−272796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術では、初期段階では比較的高い耐食性が得られる場合が多い。しかしながら、合金化できる元素は、通常、亜鉛よりもイオン化傾向が低い元素(いわゆる貴な元素)であり、亜鉛部分が優先的に腐食されるため、一旦腐食が始まると、亜鉛及び素材鋼板の腐食が促進し、早期に鋼板の穴あき腐食が発生するという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された技術では、前記酸化物等の粒子を長期間安定的に分散させておくことが困難であるため、経時的にめっき浴組成が変化する結果、長期間安定して同一組成の亜鉛系めっき層を得ることができないという問題があった。
【0009】
特許文献3では、所定の亜鉛系複合めっき層を形成するための方法として、(1)複合金属イオンとNO3、NO2、BrO3などの酸化剤を共存させためっき浴で電解を行い、Znと複合金属化合物とを共存させる方法、及び、(2)金属化合物をめっき浴中に分散懸濁させた浴中でめっきする方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、上記(1)のめっき方法では、前記めっき浴の攪拌によって生じた噴流に起因して、前記めっき層にムラが発生するという問題があった。さらに、上記(2)のめっき方法では、特許文献2の場合と同様に、経時的に浴組成が変化し、それに伴い陰極電解で得られるめっき組成が変化する結果、長期間安定して同一組成のめっき層を得ることができないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、めっき条件の適正化を図ることで、めっき層の付着量を少なくした場合であっても、優れた耐食性及び外観均一性を有する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、亜鉛含有めっき浴中で、素材鋼板を陰極として電解することで、前記素材鋼板の表面に亜鉛系複合電気めっき層を形成する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法について、上記の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、前記めっき浴に、0.2mol/L以上のZnイオンと、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択される少なくとも一種の金属イオンと、0.0005〜0.1mol/Lの硝酸イオンとを含有させ、前記素材鋼板に対する前記めっき浴中のめっき液の相対流速を0.6m/s以上とすることで、めっき層の付着量を少なくした場合であっても、優れた耐食性及び外観均一性を有する亜鉛系複合電気めっき鋼板を製造できることを見出した。
【0013】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)亜鉛含有めっき浴中で、素材鋼板を陰極として電解することで、前記素材鋼板の表面に亜鉛系複合電気めっき層を形成する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法であって、前記めっき浴は、0.2mol/L以上のZnイオンと、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択される少なくとも一種の金属イオンと、0.0005〜0.1mol/Lの硝酸イオンとを含有し、前記素材鋼板に対する前記めっき浴中のめっき液の相対流速が0.6m/s以上であることを特徴とする亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。
【0014】
(2)前記めっき浴のpHが、1.5〜2.3の範囲である上記(1)記載の亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。
【0015】
(3)前記金属イオンの含有量は、合計で0.05mol/L以上である上記(1)又は(2)記載の亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。
【0016】
(4)前記電解は、その電流密度が30A/dm2以上である上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、めっき層の付着量を少なくした場合であっても、優れた耐食性及び外観均一性を有する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】各実施例及び比較例のサンプルについての耐食性を評価するための腐食促進試験の条件を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成と限定理由を説明する。
本発明に従う亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法は、亜鉛含有めっき浴中で、素材鋼板を陰極として電解することで、前記素材鋼板の表面に亜鉛系複合電気めっき層を形成する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法である。ここで、めっき方法を電気めっきにしたのは、めっき層の付着量を少なくするという目的に合致するためである。電気めっきに用いられる浴種については特に限定はせず、例えば、硫酸浴、塩化物浴、及びこれらの混合浴等を用いることができる。
【0020】
そして、本発明は、前記めっき浴が、0.2mol/L以上のZnイオンと、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択される少なくとも一種の金属イオンと、0.0005〜0.1mol/Lの硝酸イオンとを含有し、前記素材鋼板に対する前記めっき浴中のめっき液の相対流速が0.6m/s以上であることを特徴とする。
【0021】
めっき層の耐食性確保を目的として、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVの金属イオンをめっき浴中に含有せた場合、いずれも、Znに比べて電気化学的に卑な金属であり、水溶液中から金属としてZnと共析させるのは困難な元素である。ただし、Znを含まない酸性液中で陰極電解すれば、電解に伴う水素イオンの消費反応
2H+2e→H2
により陰極(素材鋼板)表面でpHが上昇し、水酸化物として析出させることができると考えられる。
しかしながら、亜鉛含有めっき浴中では、Znの水素過電圧が大きく、上述の反応(2H+2e→H2)が大幅に抑制されるため、Znが金属として析出する亜鉛系複合めっきの場合、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVの金属イオンは水酸化物として析出されにくい。
【0022】
そのため、本発明では、前記めっき浴中に、硝酸イオンを含有させることで、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択された少なくとも一種の金属を、主に水酸化物として亜鉛と共析させ、複合化させることが可能となる。これは、前記めっき浴中の陰極表面において、
NO3+9H+8e→NH3+3H2O
等の反応が起こり、陰極表面近傍のpH(素材鋼板)を効果的に上昇させることができるためである。
【0023】
しかし、ただ硝酸イオンをめっき浴中に含有させるだけでは、形成された亜鉛系複合電気めっき層が不均一になりやすいという問題や、耐食性が悪化するという問題があった。
そのため、本願発明では、前記めっき浴中のZnイオン濃度及び硝酸イオン濃度の適正化を図り、さらに、前記素材鋼板(陰極)に対するめっき液の相対流速を制御することによって、陰極表面近傍のpH上昇を均一にできるため、耐食性及び外観均一性に優れた亜鉛系複合電気めっき層を形成することが可能となった。
【0024】
また、本願発明に係る製造方法に用いられるめっき浴は、Znイオンを0.2mol/L以上含有する必要がある。0.2mol/L未満では、電解時にZnイオンの供給が不十分となり、いわゆる「めっき焼け」の状態となるため、めっき外観が不均一となるからである。
【0025】
めっき浴としては、硫酸浴が望ましい。硫酸イオンは安定しており、陰極及び陽極のいずれにおいても電気化学反応が起こらず、有害なガス等の副生成物を生じないためである。
【0026】
さらに、前記めっき浴は、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有する必要がある。これらのイオンを含有することで、Zn主体のめっき層中に、前記金属イオンの化合物(主に水酸化物)が複合化されるため、純粋な亜鉛めっきよりも高い耐食性を得ることができるからである。
【0027】
さらにまた、前記金属イオンの含有量は、合計で0.05mol/L以上であることが好ましい。0.05mol/L以上とすると、前記金属イオンの含有量が十分となり、金属化合物の複合化量が減少することがなく耐食性が向上するためである。
【0028】
なお、前記金属イオン(Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択される少なくとも一種の金属イオン)のイオン源としては、酸性域で溶解するものであれば特に限定はしない。例えば、Al、Sc、Y、La、Ce及びNdのイオン源としては、これら金属の硫酸塩や、硝酸塩等があげられる。また、Zrのイオン源としては、Zrの硫酸塩や硝酸塩等の塩、又は、酸化硫酸ジルコニウム等があげられる。また、Vのイオン源としては,硫酸酸化バナジウム等があげられる。
【0029】
また、前記めっき浴は、0.0005〜0.1mol/Lの硝酸イオンを含有する必要がある。前記硝酸イオンを含有することで、前記金属を主に水酸化物として亜鉛に共析・複合化させることが可能となる。ここで、前記硝酸イオンの濃度を0.0005〜0.1mol/Lの範囲としたのは、濃度が0.0005mol/L未満の場合、陰極(素材鋼板)表面近傍のpHを十分に上昇させることができず、めっき層中への前記金属イオンの複合化が進まないため、十分な耐食性を得ることができなくなるからであり、一方、濃度が0.1mol/Lを超えると、前記陰極表面近傍のpHが高くなりすぎるため、前記金属イオンの複合化が過度に進行し、前記めっき層の外観均一性が低下するからである。
【0030】
なお、前記硝酸イオンのイオン源としては、硝酸又は各種硝酸塩を用いることができる。好ましい硝酸塩の種類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又は亜鉛塩等が挙げられる。
【0031】
また、前記めっき浴中のめっき液の相対流速は0.6m/s以上である。前記めっき層を均一に形成することができるからであり、相対流速が0.6m/s未満の場合には、前記陰極表面近傍のpH上昇が不均一になりやすく、陰極(素材鋼板)表面における前記めっき液の流速分布に対応したムラが発生するため、前記めっき層を均一に形成することができない。
【0032】
さらに、前記めっき浴のpHが、1.5〜2.3の範囲であることが好ましい。pHを1.5以上とすると、陰極(素材鋼板)表面近傍のpHを十分に上昇させることができ、めっき層中への前記金属イオンの複合化が進み、耐食性を十分に確保できるからであり、一方、pHを2.3以下とすると、陰極表面近傍で局部的なpHの上昇が起こらないため、前記めっき層の外観均一性を確保できるからである。
【0033】
また、前記めっき浴の温度は、特に限定はしないが、夏場を考慮した温度制御の容易化の観点からは、40℃以上とすることが好ましい。さらに、前記めっき浴の温度が65℃を超えると蒸発量が増加するため、温度は40〜65℃の範囲とすることがより好適である。
【0034】
さらに、前記亜鉛系複合電気めっきにおける電解は、その電流密度が30A/dm2以上であることが好ましい。電流密度を30A/dm2以上とすると、めっき速度が速く、生産性が低下しないからである。なお、電流密度の上限は特に限定しない。Znイオン濃度及び相対流速を高くすることにより、例えば200A/dm2以上の高電流密度でもめっき可能だからである。
【0035】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0036】
本発明の実施例について説明する。
(サンプル1〜60)
素材鋼板である冷延鋼板の片面に対して、脱脂処理、酸洗処理を行った後、所定の亜鉛含有めっき浴中で、素材鋼板を陰極として電解することで、前記素材鋼板の表面に亜鉛系複合電気めっき層を形成し、サンプルとなる亜鉛系複合電気めっき鋼板を製造した。
なお、めっき浴の条件(亜鉛イオン濃度、亜鉛イオン源、金属イオンの種類(Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr、V)、金属イオン濃度、金属イオン源、硝酸イオン濃度、硝酸イオン源、めっき浴のpH及びめっき浴温度)、並びに、めっき条件(素材鋼板に対するのめっき液の相対流速及び電流密度)の詳細については、表1に示す。
【0037】
(サンプル61〜64)
めっき浴の条件として、めっき浴中に、所定の金属イオン(Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr、V)を含有しないこと以外は、サンプル1〜60と同様の条件によって、サンプルとなる亜鉛電気めっき鋼板を製造した。
なお、めっき浴の条件(亜鉛イオン濃度、亜鉛イオン源、硝酸イオン濃度、硝酸イオン源、めっき浴のpH及びめっき浴温度)、並びに、めっき条件(素材鋼板に対するのめっき液の相対流速及び電流密度)の詳細については、表1に示す。
【0038】
以上のようにして得られた各亜鉛系複合電気めっき鋼板又は亜鉛電気めっき鋼板のサンプル1〜64について評価を行った。評価方法を以下に示す。
【0039】
(評価方法)
(1)耐食性
各サンプル(サイズ:55mm×70mm)について、裏面と端面をシールした状態で、図1に示す腐食促進試験を行った。7日経過ごとに目視観察し、素材鋼板である冷延鋼板に発生した腐食(赤錆)の面積率が、評価面積(45mm×60mm)の5%以上となるまでに要する日数(日)計測することで、耐食性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、計測した日数は、長くなるほど耐食性が高く優れた結果である。
また、後述する(2)外観均一性の評価が「×」であるサンプル13〜16、31、32、47及び48については、耐食性の評価を行わなかった。
【0040】
(2)外観均一性
各サンプルについて、形成しためっき層のムラの有無及びムラの程度を中心に目視観察を行うことによって、外観均一性の評価を行った。評価は、以下の基準に従って行い、結果を表1に示す。
◎:外観ムラが観察されない
○:軽微な外観ムラ(製品として十分に用いることができる程度)が観察される
×:ひどい外観ムラ(製品として用いることができない程度)が観察される
【0041】
(3)めっき層の付着量
各サンプルについて、蛍光X線分析により、付着量が既知の標準板測定により、得られた検量線を用いて、亜鉛系複合電気めっき層又は亜鉛電気めっき層の片面当たりのZn付着量(g/m2)を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、本発明では、めっきの付着量低減を目的としているが、付着量が8g/m2以下程度であれば、有効に付着量を低減できているといえる。
【0042】
【表1】

【0043】
表1の結果から、本発明の範囲である実施例の各サンプル(5〜12、17〜30、35〜46、50〜60)の赤錆発生日数は、いずれも42日以上であり、28日以下である比較例のサンプル(1〜4、33、34、49及び61〜64)に比べて、いずれも高い耐食性を有していることがわかる。さらに、実施例の各サンプルは、比較例のサンプル(13〜16、31、32、47及び48)に比べて、いずれも外観均一性が優れていることがわかる。よって、本発明に係る実施例のサンプルは、いずれも、高い耐食性及び外観均一性を有することがわかる。
さらに、実施例及び比較例の各サンプルは、いずれも、めっき層の付着量が8g/m2以下であり、有効にめっき層の付着量を低減できていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、めっき層の付着量を少なくした場合であっても、優れた耐食性及び外観均一性を有し、将来の亜鉛めっき付着量の減量化の要求に対応した亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法の提供が可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛含有めっき浴中で、素材鋼板を陰極として電解することで、前記素材鋼板の表面に亜鉛系複合電気めっき層を形成する亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法であって、
前記めっき浴は、0.2mol/L以上のZnイオンと、Al、Sc、Y、La、Ce、Nd、Zr及びVから選択される少なくとも一種の金属イオンと、0.0005〜0.1mol/Lの硝酸イオンとを含有し、前記素材鋼板に対する前記めっき浴中のめっき液の相対流速が0.6m/s以上であることを特徴とする亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。
【請求項2】
前記めっき浴のpHが、1.5〜2.3の範囲である請求項1に記載の亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。
【請求項3】
前記金属イオンの含有量は、合計で0.05mol/L以上である請求項1又は2に記載の亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。
【請求項4】
前記電解は、その電流密度が30A/dm2以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛系複合電気めっき鋼板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−111633(P2011−111633A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266606(P2009−266606)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】