説明

亜鉛結合部位を含むRafキナーゼインヒビター

本発明は、亜鉛結合を含むRafキナーゼインヒビター、および癌などのRaf関連疾患および障害の治療におけるその使用に関する。前記誘導体は、さらに、HDACインヒビターとして作用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年3月20日に出願された米国特許仮出願第60/895,910号の恩典を主張する。上述の出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
Rafは、癌タンパク質キナーゼ: A-Raf、B-RafおよびC-Raf (Raf-1としても知られる)を発現する多遺伝子ファミリーであり、mRNAの識別的スプライシングによって生じるアイソフォームバリアントが知られている(McCubrey,J A,et al.,Leukemia,1998,12(12),1903-1929;Ikawa,et al.,Mol. and Cell. Biol.,1988,8(6),2651-2654;Sithanandam,et al.,Oncogene,1990,5,1775-1780;Konishi,et at.,Biochem. and Biophys. Res. Comm.,1995,216(2),526-534)。3つのRafキナーゼはすべて、特にある種のヒト造血系細胞に機能的に存在し、その異常発現は、サイトカイン依存性の排除をもたらし得る。その調節機構は、C-RafおよびA-Rafが充分な活性のためにキナーゼドメインのN領域内でさらなるセリンおよびチロシンリン酸化を必要とし(Mason et al,EMBO J.,1999,18,2137-2148)、B-RafがA-RafまたはC-Rafいずれかよりもずっと高い基本キナーゼ活性を有するため異なる。3つのRaf癌タンパク質は、有糸分裂促進シグナルおよび抗アポトーシスシグナルの伝達に重要な役割を果たす。最近、B-Rafが種々のヒト癌で頻繁に変異すること(Wan,et al.,Cell,2004,116,855-867)、および野生型C-Rafは、しばしば、種々のヒト充実性腫瘍において過剰活性化されること(Wilhelm et. al.,Nature Reviews Drug Discovery 2006,5,835-844)が示された。研究により、皮膚の母斑におけるB-Raf変異は、メラノサイト新形成の開始に重要な工程であることが示された(Pollock et. al.,Nature Genetics 25: 1-2,2002)。また、研究では、B-Rafのキナーゼドメインにおける変異の活性化は、メラノーマの約66%、結腸癌の12%および肝臓癌の14%で起こることが開示された(Davies et. al.,Nature 2002,417:949-954;Yuen et. al.,Cancer Research,2002,62,6451-6455;Brose et. al,Cancer Research,2002,62,6997-7000)。他方において、C-Rafの過剰活性化は、腎細胞癌(50%)、肝細胞癌(100%)、卵巣癌およびアンドロゲン前立腺癌において一般的である(Wilhelm et. al.,Nature Reviews Drug Discovery 2006,5,835-844)。種々のヒト癌におけるB-Raf変異およびC-Raf過剰活性化の検出、腫瘍抗原としての野生型および変異Rafの特徴付け、およびRafインヒビターネクサバール(登録商標)(Sorafenib,BAY 43-9006)を評価する臨床試験の肯定的な結果は、科学界において広く関心をもたらした。
【0003】
抗癌療法のためのRaf/MEK/ERK経路の小分子インヒビターは開発中である(Thompson et al.,Current Opinion in Pharmacology,2005,5,1-7;米国特許出願公開第2003/0216446号)。Rafキナーゼのインヒビターは、腫瘍細胞成長の破壊における使用、したがって、癌、例えば、細網肉腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌および乳癌の治療における使用が示唆されている。Rafキナーゼインヒビターはまた、虚血事象によって生じる神経変性と関連する障害、例えば、心停止、脳卒中および多発脳梗塞性痴呆後、また、頭部外傷、手術および/または分娩時(神経外傷)に生じるものなどの脳虚血性事象後の脳虚血の治療および/または予防に有用であり得る。
【0004】
多数の病理学上経路および無数の分子構成要素を含む種々の疾患の複雑で多元的な性質の解明によって、多数標的療法が単一療法よりも有利であり得ることが示唆されている。癌、感染性疾患、心臓血管疾患および他の複合病因の領域における多くのかかる疾患のための2つ以上の薬剤を用いる最近の併用療法によって、この組み合わせアプローチが薬物耐性の克服、毒性の減少、およびある状況において個々の構成要素と比べて相乗的な治療効果に関する利点を提供し得ることが示されている。
【0005】
特定の癌がかかる組み合わせアプローチを用いて有効的に治療されている;しかし、細胞傷害性薬物のカクテルを用いる治療計画は用量を制限する毒性および薬物-薬物相互作用によってよく制限される。分子を標的とする薬物を用いた最近の進歩によって、癌のための組み合わせ治療への新しいアプローチが提供され、多数の標的薬物が同時に使用されるのを可能にするかまたはこれらの新しい療法と標準の化学療法剤または放射線と組み合わせて用量を制限する毒性に達することなく結果を改善する。しかし、かかる組み合わせを使用する能力は現在、適合する薬理学および薬力学特性を示す薬物に限定されている。また、併用療法の安全性および効能を示す管理必要条件は対応する単一の薬物試験よりもコストが高く時間がかかり得る。必要条件が認められると、組み合わせ戦略はまた、患者に対するコスト増大、および必要とされる複雑な用量図式による患者コンプライアンスの減少と相関され得る。
【0006】
タンパク質およびポリペプチドベース治療薬の分野において、2つの異なるタンパク質/ポリペプチドのアミノ酸配列のほとんどまたは全てを含み、かつ別々のタンパク質/ポリペプチドの個々の結合活性を保持するコンジュゲートまたは融合タンパク質の調製は一般的である。このアプローチは、本質的に独立した様式で構成要素を細胞の標的と結合させる、構成要素タンパク質ドメインおよび大きなサイズのコンジュゲートの独立したフォールディングによって可能になる。しかし、かかるアプローチは低分子治療薬の場合に一般的に適しており、わずかな構造改変でも得られる分子の標的結合および/または薬物動力学/薬力学特性における主要な変化をもたらし得る。
【0007】
ヒストンアセチル化は可逆修飾であり、脱アセチル化はHDCAと称される酵素ファミリーによって触媒される。HDACは、ヒトにおいてX遺伝子で表され、4つの個別のクラスに分けられる(J Mol Biol、2004、338:1、17-31)。哺乳動物において、クラスI HDAC(HDAC1〜3、およびHDAC8)が酵母RPD3 HDACと関連し、クラス2(HDAC4〜7、HDAC9およびHDAC10)が酵母HDA1、クラス4(HDAC11)、ならびにクラス3(酵母Sir2と関連するsirtuinを包含する個別のクラス)と関連する。
【0008】
Csordas、Biochem. J.、1990、286: 23-38は、ヒストンがN末端リジン残基のε-アミノ基の翻訳後アセチル化に供され、反応がヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT1)によって触媒されることを教示する。アセチル化はリジン側鎖の+電荷を中和し、クロマチン構造に影響を及ぼすと考えられる。実際に、転写因子のクロマチン鋳型への接近はヒストンの過剰アセチル化によって促進され、アセチル化中のヒストンH4の拡充がゲノムの転写サイレント領域で見られた(Taunton et al.、Science、1996、272:408-411)。腫瘍サプレッサー遺伝子の場合において、ヒストン修飾による転写サイレンシングは腫瘍形成形質転換および癌をもたらし得る。
【0009】
いくつかの種類のHDACインヒビターが現在、臨床研究者によって評価されている。FDAが最初に承認したHDACインヒビターは、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)治療用スベロイルアニリド(Suberoylanilide)ヒドロキサム酸(SAHA、ゾリンザ(Zolinza)(登録商標))である。他のHDACインヒビターとしてはヒドロキサム酸誘導体が挙げられ、PXD101およびLAQ824は現在、臨床開発中である。ベンズアミドクラスのHDACインヒビターにおいて、MS-275、MGCD0103およびCI-994が臨床試験に達している。Mourneら(要約 #4725、AACR 2005)は、ベンズアミドのチオフェニル修飾によってHDAC1に対するHDAC阻害活性が有意に高められることを示している。
【0010】
上記の種類の現在の治療計画は、多数薬剤の投与による薬剤耐性の問題を取り扱うように試みている。しかし、多数薬剤の混合毒性は、適切でない副作用および薬物-薬物相互作用のためにこのアプローチの有効性をしばしば制限する。さらに、異なる薬物動力学を有する化合物を単一投与形態に合わせることはしばしば困難であり、種々の間隔で複数の薬物を摂取する結果として生ずる必要条件は薬物組み合わせの効能を決定し得る患者コンプライアンスの問題をもたらす。また、併用療法の健康ケア費用は単一分子療法よりも高くあり得る。さらに、2つの薬剤の組み合わせの活性/安全性を示すための負担が1つの薬剤よりも大きくあり得るので、併用療法の管理認可を得ることがより困難であり得る(Dancey J & Chen H、Nat. Rev. Drug Dis.、2006、5:649)。交差反応性のためだけでなく、合理的設計によっても選択される多数治療標的を標的とする新規薬剤の開発によって、これらの制限を回避しつつ患者の結果を改善することが促進される。従って、大きな努力がなお選択的抗癌薬物の開発および公知抗癌薬物の新しく有効な組み合わせに向けられている。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明は、Rafキナーゼのインヒビターとして向上した予測されない性質を有する亜鉛結合部分を含有するRafキナーゼインヒビターに基づく誘導体、ならびに癌などのRaf関連疾患および障害の治療におけるその使用に関する。
【0012】
本発明の化合物は、さらに、亜鉛イオンに結合する能力によって、HDACまたはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)インヒビターとして作用し得る。
【0013】
驚いたことに、これらの化合物は、多くの治療標的で活性であり、疾患の治療に有効である。さらに、いくつかの場合では、さらに驚いたことに、該化合物は、個々にRaf活性およびHDAC活性を有する別々の分子の組合せの活性と比較した場合、向上した活性を有することがわかった。換言すると、ファーマコフォア(pharmacophore)を単一の分子に組み合わせると、個々のファーマコフォアと比べて相乗効果が提供され得る。より具体的には、亜鉛イオンに結合し、したがってHDACおよび/またはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性の阻害を可能にする分子の第1の部分、ならびに少なくとも、Rafを阻害する別々の異なる標的への結合を可能にし、したがって治療利益を提供する分子の第2の部分を同時に含む化合物を調製することが可能であることがわかった。好ましくは、本発明の化合物はRaf活性およびHDAC活性の両方を阻害する。
【0014】
したがって、本発明は、一般式IおよびII:


を有する化合物またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物を提供し、式中、Arは、アリール、置換アリール ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリーであり;
Cは、
(a)


(式中、WはOまたはSであり;Yは存在しないか、NまたはCHであり;ZはNまたはCHであり;R7およびR9は、独立して、水素、OR’、脂肪族または置換脂肪族であり、式中、R’は、水素、脂肪族、置換脂肪族またはアシルである;ただし、R7およびR9が両方とも存在する場合は、R7またはR9の一方がOR’でなければならず、Yが存在しない場合は、R9がOR’でなければならないものとする;およびR8は、水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である);
(b)


(式中、WはOまたはSであり;JはO、NHまたはNCH3であり;およびR10は、水素または低級アルキルである);
(c)


(式中、WはOまたはSであり;Y1およびZ1は独立して、N、CまたはCHである);ならびに
(d)


(式中、Z、YおよびWは、先に定義したとおりである)
から選択され;
R11およびR12は、独立して、水素または脂肪族から選択され;R1、R2およびR3は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式から選択され;
Bは、直接結合であるか、または直鎖もしくは分岐鎖の置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロ(herero)シクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールであり、ここで、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環式で中断され得るか、または終わり得;式中、R8は水素、脂肪族、置換脂肪族であり;一態様において、リンカーBは1〜24原子、好ましくは4〜24原子、好ましくは4〜18原子、より好ましくは4〜12原子、最も好ましくは約4〜10原子であり;
UはNまたはCであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式または置換複素環式であり;
Qは、O、S、SO、SO2、NH、置換もしくは非置換アルキルアミノ、または置換もしくは非置換C1〜C3アルキルであり;
Y1は、O、SまたはNHであり;
X1およびZ1は、独立して、NH、置換もしくは非置換アルキルアミノ、または置換もしくは非置換C1〜C3アルキルであり;
Cyは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
R21は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、置換複素環式、脂肪族、および置換脂肪族から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
第1の態様において、本発明の化合物は、上記の式(I)および(II)で表される化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物である。
【0016】
第2の態様において、本発明の化合物は、下記の式(III)および(IV) で表される化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物:


(式中、R24およびR25は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、および置換脂肪族から選択され;R24およびR25が互いに隣接している場合、これらは、結合している炭素と一緒になって、任意に1〜3個のヘテロ原子で置換された縮合飽和もしくは不飽和環を形成し得;R22〜R25は独立してR21であり;B、Y、W、Z、R7〜R9、Q、X1、Y1、Z1およびR21は先に定義したとおりである)
である。
【0017】
第3の態様において、本発明の化合物は、下記の式(V)および(VI)で表される化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物:


(式中、R24およびR25は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、置換複素環式、脂肪族、および置換脂肪族から選択され;R24およびR25が互いに隣接している場合、これらは、結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子で任意に置換された縮合飽和もしくは不飽和環を形成し得;B、Y、R7、R8、Q、X1およびR21〜R23は先に定義したとおりである)
である。
【0018】
第4の態様において、本発明の化合物は、下記の式(VI)および(VII)で表される化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物:


(式中、R24およびR25は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、および置換脂肪族から選択され;R24およびR25が互いに隣接している場合、これらは、結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子で任意に置換された縮合飽和もしくは不飽和環を形成し得;B1は存在しないか、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、またはC=Oであり;B2は存在しないか、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式もしくはC=Oであり;B3は存在しないか、またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールもしくは複素環式であり;B4は存在しないか、またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールもしくは複素環式であり;Q、R’、R22およびR23は先に定義したとおりである)
である。
【0019】
第5の態様において、本発明の化合物は、下記の式(IX)および(X)で表される化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物:


またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物であり、式中、R24およびR25は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、および置換脂肪族から選択され; R24およびR25が互いに隣接している場合、これらは、結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子で任意に置換された縮合飽和もしくは不飽和環を形成し得;B1は存在しないか、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、またはC=Oであり;B2は存在しないか、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式またはC=Oであり;B3は存在しないか、またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールもしくは複素環式であり;B4は存在しないか、またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールもしくは複素環式であり;;Q、R’、R1〜R3、R22およびR23は先に定義したとおりである。
【0020】
本発明による代表的な化合物は、以下の表Aから選択されるもの、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物である。
【0021】





【0022】
本発明は、細胞の異常な増殖、分化または生存を含む疾患または状態の予防方法または治療方法をさらに提供する。一態様において、本発明は、細胞の異常な増殖、分化、または生存を含む疾患の停止または減少のための医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用をさらに提供する。好ましい態様において、疾患は癌である。一態様において、本発明は、治療有効量の本発明の化合物を被験体に投与する工程を含む、治療の必要がある被験体における癌の治療方法に関する。
【0023】
用語「癌」は悪性新生物細胞の増殖によって生じる任意の癌のことをいい、例えば、腫瘍、新生物形成、癌、肉腫、白血病、リンパ腫などである。例えば、癌としては、限定されないが、中皮腫、白血病およびリンパ腫、例えば皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、非皮膚末梢T細胞性リンパ腫、ヒトT細胞性リンパ栄養ウイルス(HTLV)と関連するリンパ腫、例えば成体T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)、B細胞リンパ腫、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、成体T細胞性白血病リンパ腫、急性骨髄白血病(AML)、慢性骨髄白血病(CML)、または肝細胞癌が挙げられる。さらなる例としては、骨髄異形成症候群、子供固体腫瘍、例えば脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、骨腫瘍、および軟組織肉腫、成体の一般的な固体腫瘍、例えば頭部および頚部癌(例えば、口、咽頭、鼻咽頭および食道)、尿生殖器癌(例えば、前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣)、肺癌(例えば、小細胞および非小細胞)、乳癌、膵臓癌、メラノーマおよび他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、ゴーリン症候群と関連する腫瘍(例えば、髄芽細胞腫、髄膜腫など)、ならびに肝臓癌が挙げられる。主題の化合物によって治療され得る癌のさらなる例示的形態としては、限定されないが、骨格筋または平滑筋の癌、胃癌、小腸の癌、直腸癌、唾液腺の癌、子宮内膜癌、副腎癌、肛門癌、結腸癌、副甲状腺癌、および下垂体癌が挙げられる。
【0024】
本明細書に記載される化合物が予防、治療および研究に有用であり得るさらなる癌は、例えば、結腸癌、家族性腺腫性ポリポーシス癌および遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、またはメラノーマである。さらに、癌としては、限定されないが、口唇癌、咽頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺癌(髄質および乳頭甲状腺癌、腎臓癌、腎臓実質癌、頚部癌、子宮体癌、子宮内膜癌、柔毛膜癌、精巣癌、尿路癌、メラノーマ、脳腫瘍、例えば神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽細胞腫および末梢神経外胚葉腫瘍、胆嚢癌、気管支癌、多発性骨髄腫、基底細胞腫、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜メラノーマ、精上皮腫、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫、ならびに形質細胞腫が挙げられる。本発明の一局面において、本発明は、癌治療のための医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用を提供する。
【0025】
一態様において、本発明には、細胞のさらに異常な増殖、分化または生存を妨げる医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用が含まれる。例えば、本発明の化合物は、腫瘍のサイズが増大することまたは転移状態に達することを妨げることに有用であり得る。主題の化合物が投与され、癌の進行または発達を停止しまたは腫瘍アポトーシスを誘導しまたは腫瘍血管形成を阻害し得る。また、本発明には、癌の再発を妨げるための主題の化合物の使用が含まれる。
【0026】
本発明には、過形成、形成異常および前癌病変のような細胞増殖性障害の治療または予防がさらに包含される。形成異常は、病理学者が生検で認めることができる最初期形態の前癌病変である。主題の化合物は、前記過形成、形成異常または前癌病変が連続して拡大するまたは癌になることを妨げる目的で投与され得る。前癌病変の例は、皮膚、食道組織、乳房および頚部上皮内組織で生じ得る。
【0027】
「併用療法」には、他の生物学的活性成分(例えば、限定されないが、第二および異なる抗新生物薬剤)ならびに非薬物療法(例えば、限定されないが、手術または放射線治療)とさらに組み合わせた主題の化合物の投与が含まれる。例えば、本発明の化合物は、他の薬学的活性化合物、好ましくは本発明の化合物の効果を高めることができる化合物と組み合わせて使用され得る。本発明の化合物は、他の薬物療法と同時(単一調製物または別々の調製物として)または連続的に投与され得る。一般的に、併用療法には、1回の治療中または治療経過中に2つ以上の薬物の投与が構想される。
【0028】
本発明の一局面において、主題の化合物は様々な疾患状態に関与するプロテインキナーゼを調節する1つ以上の別々の薬剤と組み合わせて投与され得る。かかるキナーゼの例としては、限定されないが、セリン/トレオニン特異的キナーゼ、レセプターチロシン特異的キナーゼおよび非レセプターチロシン特異的キナーゼが挙げられる。セリン/トレオニンキナーゼとしては、有糸分裂活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、減数分裂特異的キナーゼ(MEK)、RAFおよびauroraキナーゼが挙げられる。レセプターキナーゼファミリーの例としては、上皮成長因子レセプター(EGFR)(例えば、HER2/neu、HER3、HER4、ErbB、ErbB2、ErbB3、ErbB4、Xmrk、DER、Let23);線維芽細胞成長因子(FGF)レセプター(例えば、FGF-R1、GFF-R2/BEK/CEK3、FGF-R3/CEK2、FGF-R4/TKF、KGF-R);肝細胞成長/散乱因子レセプター(HGFR)(例えば、MET、RON、SEA、SEX);インスリンレセプター(例えば、IGFI-R);Eph(例えば、CEK5、CEK8、EBK、ECK、EEK、EHK-1、EHK-2、ELK、EPH、ERK、HEK、MDK2、MDK5、SEK);Axl(例えば、Mer/Nyk、Rse);RET;ならびに血小板由来成長因子レセプター(PDGFR)(例えば、PDGFα-R、PDGβ-R、CSF1-R/FMS、SCF-R/C-KIT、VEGF-R/FLT、NEK/FLK1、FLT3/FLK2/STK-1)が挙げられる。非レセプターチロシンキナーゼファミリーとしては、限定されないが、BCR-ABL(例えば、p43abl、ARG);BTK(例えば、ITK/EMT、TEC);CSK、FAK、FPS、JAK、SRC、BMX、FER、CDKおよびSYKが挙げられる。
【0029】
本発明の別の局面において、主題の化合物は非キナーゼ生物学的標的またはプロセスを調節する1つ以上の別々の薬剤と組み合わせて投与され得る。かかる標的としては、ヒストン脱アセチラーゼ(HDAC)、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)、熱ショックタンパク質(例えば、HSP90)、およびプロテオソームが挙げられる。
【0030】
好ましい態様において、主題の化合物は、1つ以上の生物学的標的を阻害する抗新生物薬剤(例えば、低分子、モノクローナル抗体、アンチセンスRNA、および融合タンパク質)、例えばゾリンザ、タルセバ、イレッサ、タイカーブ、グレベック、スーテント、スプリセル、ネクサバール、ソラフェニブ(Sorafinib)、CNF2024、RG108、BMS387032、アフィニタック、アバスチン、ハーセプチン、アービタックス、AG24322、PD325901、ZD6474、PD184322、オバトダックス(Obatodax)、ABT737およびAEE788と組み合わされ得る。かかる組み合わせは、任意の薬剤単独で達成される効能よりも治療効能を高め得、耐性変異バリアントの出現を妨げ得るかまたは遅らせ得る。
【0031】
特定の好ましい態様において、本発明の化合物が化学療法剤と組み合わせて投与される。化学療法剤は癌の分野における広範囲の療法治療薬を包含する。これらの薬剤は、腫瘍の縮小、手術後に残る癌細胞の破壊、寛解の誘導、寛解の維持および/または癌に関する症状の軽減もしくはその治療の目的のために疾患の様々な段階で投与される。かかる薬剤の例としては、限定されないが、アルキル化剤、例えば、マスタードガス誘導体(メクロレタミン、シクロホスファミド(cylophosphamide)、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド)、エチレンイミン(チオテパ、ヘキサメチルメラニン)、アルキルスルホネート(ブスルファン)、ヒドラジンおよびトリアジン(アルトレタミン、プロカルバジン、ダカルバジンおよびテモゾロミド)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチンおよびストレプトゾシン)、イホスファミドおよび金属塩類(カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチン);植物アルカロイド類、例えば、ポドフィロトキシン(エトポシドおよびテニポシド(Tenisopide))、タキサン類(パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、ならびにカンプトセカンアナログ(イリノテカンおよびトポテカン);抗腫瘍抗生物質、例えばクロモマイシン(ダクチノマイシンおよびプリカマイシン)、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、バルルビシンおよびイダルビシン)、ならびに種々雑多な抗生物質、例えばマイトマイシン、アクチノマイシンおよびブレオマイシン;代謝拮抗物質、例えば、葉酸アンタゴニスト(メトトレキサート、ペメトレキシド、ラルチトレキシド、アミノプテリン)、ピリミジンアンタゴニスト(5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、カペシタビン、およびゲムシタビン)、プリンアンタゴニスト(6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン)ならびにアデノシンデアミナーゼインヒビター(クラドリビン、フルダラビン、メルカプトプリン、クロファラビン、チオグアニン、ネララビンおよびペントスタチン);トポイソメラーゼインヒビター、例えばトポイソメラーゼIインヒビター(イリノテカン(Ironotecan)、トポテカン)ならびにトポイソメラーゼIIインヒビター(アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド);モノクローナル抗体(アレムツズマブ、ゲムツズマブ オゾガミシン、リツキシマブ、トラツズマブ、イブリツモマブ チオキセタン、セツキシマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、ベバシズマブ);ならびに種々雑多な抗新生物形成薬剤、例えば、リボヌクレオチドレダクターゼインヒビター(ヒドロキシ尿素);副腎皮質ステロイドインヒビター(ミトタン);酵素(アスパラギナーゼおよびペガスパルガーゼ);抗微小管薬剤(エストラムスチン);ならびにレチノイド類(ベキサロテン、イソトレチノイン、トレチノイン(ATRA))が挙げられる。
【0032】
特定の好ましい態様において、本発明の化合物が化学保護剤と組み合わせて投与される。化学保護剤は、体を保護しまたは化学療法の副作用を最小化するように作用する。かかる薬剤の例としては、限定されないが、アミホスチン(amfostine)、メスナ、およびデキスラゾザンが挙げられる。
【0033】
本発明の一局面において、主題の化合物が放射線療法と組み合わせて投与される。放射線は、一般的に光子(X線もしくはガンマ線)または粒子放射線を使用する装置から内部的(癌部位近くへの放射性物質の移植)または外部的に送達される。併用療法が放射線治療をさらに含む場合、放射線治療は、療法剤と放射線治療の組み合わせの同時作用からの有益効果が達成される限り、任意の適切な時間で行われ得る。例えば、適切な場合で、有益効果は、放射線治療が療法剤の投与からおそらく数日間または数週間一次的に除去される場合に、なお達成される。
【0034】
本発明の化合物が免疫療法剤と組み合わせて使用され得ることが理解される。免疫療法の一形態は、腫瘍から離れた部位でのワクチン組成物の投与による宿主起源の能動的で全身性の腫瘍に特異的な免疫応答の発生である。単離された腫瘍抗原ワクチンおよび抗イディオタイプワクチンなどの、様々な種類のワクチンが提案されている。別のアプローチは、治療される被験体由来の腫瘍細胞またはかかる細胞の派生物の使用である(Schirrmacher et al. (1995) J. Cancer Res. Clin. Oncol. 121:487に概説される)。米国特許第5,484,596号において、Hanna Jr.らは、腫瘍を外科的に除去する工程、コラゲナーゼで細胞を分散させる工程、細胞に放射線を当てる工程、ならびに患者に少なくとも3回連続で約107細胞の投与量を注射する工程を含む、再発または転移を防ぐための切除可能な癌の治療方法を特許請求している。
【0035】
本発明の化合物が1つ以上の補助療法剤と共に有利に使用され得ることが理解される。補助療法に適切な薬剤の例としては、5HT1 アゴニスト、例えば、トリプタン(例えば、スマトリプタンまたはナラトリプタン);アデノシンA1アゴニスト;EPリガンド;NMDAモジュレーター、例えば、グリシンアンタゴニスト;ナトリウムチャンネル阻害剤(例えば、ラモトリジン);サブスタンスPアンタゴニスト(例えば、NK1 アンタゴニスト);カンナビノイド;アセトアミノフェンまたはフェナセチン;5-リポキシゲナーゼインヒビター;ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト;DMARD(例えば、メトトレキサート);ガバペンチンおよび関連化合物;三環状抗鬱剤(例えば、アミトリプチリン);神経安定化抗痙攣薬 ;モノアミン作動性取り込みインヒビター(例えば、ベンラファキシン);マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター;一酸化窒素シンターゼ(NOS)インヒビター、例えば、iNOSまたはnNOSインヒビター;腫瘍壊死因子αの放出または作用のインヒビター;抗体療法、例えばモノクローナル抗体療法;抗ウイルス薬、例えば、ヌクレオシドインヒビター(例えば、ラミブジン)または免疫系モジュレーター(例えば、インターフェロン);オピオイド鎮痛薬;局所麻酔薬;興奮剤、例えば、カフェイン;H2-アンタゴニスト(例えば、ラニチジン);プロトンポンプインヒビター(例えば、オメプラゾール);制酸薬(例えば、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム;抗膨満薬(例えば、シメチコン);うっ血除去薬(例えば、フェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはレボ-デスオキシエフェドリン);鎮咳薬(例えば、コデイン、ヒドロコドン、カルミフェン、カルベタペンタン、またはデキストラメトルファン);利尿薬;または鎮静性もしくは非鎮静性抗ヒスタミンが挙げられる。
【0036】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、本質的に全てのマトリックス成分を集合的に分解し得る亜鉛依存性中性エンドペプチダーゼのファミリーである。20を超えるMMP調節剤が医薬開発中であり、ほとんど半分が癌を指示する。トロント大学の研究者らは、HDACが3T3細胞中のMMP発現および活性を調節することを報告した。特に、トリコスタチンA(TSA)によるHDACの阻害は、腫瘍形成および転移を妨げることを示すが、それ自体で腫瘍形成および転移に関わるゼラチナーゼA(MMP2;IV型コラゲナーゼ)、マトリックスメタロプロテイナーゼのmRNAおよび酵素電気泳動活性を減少させる(Ailenberg M.、Silverman M.、Biochem Biophys Res Commun. 2002 、298:110-115)。HDACおよびMMPの関係を議論する別の最近の論文はYoung D.A.、et al.、Arthritis Research & Therapy、2005、7: 503に見ることができる。さらに、HDACとMMPインヒビターとの間での共通性はその亜鉛結合機能性である。従って、本発明の一局面において、本発明の化合物はMMPインヒビターとして使用され得、MMPの機能不全と関連するまたは相関する障害の治療に有用であり得る。MMPの過剰発現および活性化は、組織破壊を誘導することが公知であり、また、関節リウマチ、歯周病、癌およびアテローム動脈硬化症等の多くの特定の疾患と相関している。
【0037】
化合物はまた、ヒストン脱アセチラーゼ(HDAC)の機能不全と関わるまたは関連するまたは相関する障害の治療に使用され得る。HDAC活性と関わっているまたは少なくとも部分的にHDAC活性によって媒介されることが公知である多くの障害があり、HDAC活性は疾患発症の誘発に役割を果たすことが公知であるか、あるいはそれらの症状は公知であるかまたはHDACインヒビターで軽減されることが示されている。本発明の化合物を用いて治療が可能であると予測されるこの種類の障害としては、限定されないが、以下: 抗増殖性障害(例えば、癌);神経変性疾患、例えば、ハンチントン病、ポリグルタミン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、発作、線条体黒質変性、進行性核上麻痺、ねじれ失調症、痙性斜頚およびジスキネジー、家族性振せん、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、びまん性レヴィー小体病、進行性核上麻痺、ピック病、脳内出血、原発性側索硬化症、脊髄筋肉萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、過形成間質性多発性神経障害、色素性網膜炎、遺伝性眼萎縮症、遺伝性痙性対麻痺、進行性運動失調およびシャイ-ドレーガー症候群;代謝性疾患、例えば、2型糖尿病;眼の変性疾患、例えば、緑内障、老化性黄斑変性、ルーベオシス緑内障;炎症性疾患および/または免疫系障害、例えば、関節リウマチ(RA)、骨関節炎、若年性慢性関節炎、移植片対宿主病、乾癬、喘息、脊椎関節症、クローン病、炎症性大腸疾患 潰瘍性大腸炎、アルコール性肝炎、糖尿病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強直性脊椎炎、膜性糸球体症、椎間板起因痛、全身性エリテマトーデス;血管形成を含む疾患、例えば、癌、乾癬、関節リウマチ;精神障害、例えば、双極性疾患、統合失調症、躁病、鬱および痴呆;心臓血管疾患、例えば、心不全、再狭窄および動脈性硬化症;線維性疾患、例えば肝臓線維症、嚢胞性線維症および血管線維腫;感染性疾患、例えば、真菌感染、例えば、カンジダアルビカンス、細菌感染、ウイルス感染、例えば単純ヘルペス、原生動物感染、例えば、マラリア、リーシュマニア属感染、ブルーストリパノソーマ感染、トキソプラスマ症およびコクシジウム症(coccidlosis)ならびに造血障害、例えば、サラセミア、貧血および鎌状赤血球貧血が挙げられる。
【0038】
一態様において、本発明の化合物は、正常な発生およびホメオスタシスに重要な生理学的細胞死プロセスであるアポトーシスを誘導または阻害するために使用され得る。アポトーシス経路の変更は種々のヒト疾患の病因に寄与する。アポトーシスのモジュレーターとしての本発明の化合物は、癌(特に、限定されないが、濾胞性リンパ腫、p53変異を有する癌、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存性腫瘍、ならびに前癌病変、例えば家族性腺腫ポリポーシス)、ウイルス感染(例えば、限定されないが、ヘルペスウイルス、天然痘、エプステイン-バーウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルス)、自己免疫疾患(例えば、限定されないが、全身性狼瘡、エリテマトーデス、免疫媒介糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性大腸疾患、および自己免疫真性糖尿病)、神経変性障害(例えば、限定されないが、アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄筋肉萎縮症および脳変性)、AIDS、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞と関連する虚血損傷、卒中および再灌流損傷、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘導性またはアルコール誘導性肝臓疾患、血液学疾患(例えば、限定されないが、慢性貧血および再生不良性貧血)、筋肉骨格系の変性疾患(例えば、限定されないが、骨粗しょう鬆症および関節炎)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓病、および癌痛などの、アポトーシスにおける異常を有する種々のヒト疾患の治療に有用である。
【0039】
一局面において、本発明は、例えば、心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、血管、肺、膵臓、精巣、足、筋肉、神経組織、十二指腸、小腸、膵臓-島-細胞、異種移植物等の組織の機能の全てまたは一部を置換するための合成または有機移植物質、細胞、器官または組織の移植後の拒絶の予防または治療;移植片対宿主病、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ハシモト甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病ブドウ膜炎、若年発症または最近発症真性糖尿病、ブドウ膜炎、グレーブス病、乾癬、アトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、脈絡炎、自己抗体媒介疾患、再生不良性貧血、エヴァンズ症候群、自己免疫溶血性貧血などの治療または予防;および外傷または病原誘導性免疫機能不全のような異常な免疫応答および/または活性化を生じる感染性疾患、例えば、B型肝炎およびC型肝炎感染、HIV、スタフィロコッカスオレウス感染、ウイルス脳炎、敗血症、寄生性疾患によって生じ、損傷が炎症性応答(例えば、らい病)によって誘導される疾患のさらなる治療;ならびに循環性疾患、例えば、動脈性硬化症、アテローム性動脈硬化症、脈絡炎、結節性多発性動脈炎および心筋炎の予防または治療のような、免疫応答または免疫媒介応答および疾患の治療および/または予防のための本発明の化合物の使用を提供する。また、本発明は、外来遺伝子の自己細胞への導入およびコード産物の発現のような、遺伝子療法治療と関連する免疫応答を予防/抑制するために使用され得る。従って、一態様において、本発明は、治療有効量の本発明の化合物を被験体に投与する工程を含む、治療の必要がある被験体における免疫応答疾患もしくは障害または免疫媒介応答もしくは障害の治療方法に関する。
【0040】
一局面において、本発明は、種々の神経変性疾患の治療における本発明の化合物の使用を提供し、その非完全なリストとしては: I. 他の顕著な神経学的兆候がない進行性痴呆を特徴とする障害、例えば、アルツハイマー病;アルツハイマー型の老化性痴呆;およびピック病(葉萎縮症);II. 進行性痴呆と他の顕著な神経学的異常との混合型症候群、例えばA) 主に成体で現れる症候群(例えば、ハンチントン病、痴呆と運動失調および/またはパーキンソン病の発症との混合型多発性全身萎縮症、進行性核上麻痺(スティール-リチャードソン-オルゼウスキー)、びまん性レヴィー小体病、および皮質歯状核黒質(corticodentatonigral)変性症);ならびにB) 主に子供または若年性成体で現れる症候群(例えば、ハレルフォルデン-シュパッツ病および進行性家族性ミオクローヌス癲癇); III. 姿勢および運動の異常を徐々に発現する症候群、例えば、振せん麻痺(パーキンソン病)、線状体黒質変性、進行性核上麻痺、ねじれ失調症(ねじれ痙攣;変形性筋失調症)、痙性斜頚および他のジスキネジー、家族性振せん、およびジル・ド・ラ・トゥーレット症候群; IV. 進行性運動失調の症候群、例えば、小脳変性(例えば、小脳皮質変性およびオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA));および脊髄小脳変性(フリードライヒ失調症および関連障害);V. 中枢自律神経系機能不全の症候群(シャイ-ドレーガー症候群);VI. 感覚変化のない筋肉弱体および低下の症候群(運動ニューロン疾患、例えば筋萎縮性側索硬化症、脊髄筋肉萎縮症(例えば、幼児脊髄筋肉萎縮症(ヴェルドニッヒ-ホフマン)、若年性脊髄筋肉萎縮症(ヴォールファルト-クーゲルベルク-ヴェランデル)および他の形態の家族性脊髄筋肉萎縮症)、原発性側索硬化症、および遺伝性痙性対麻痺;VII.筋肉弱体および低下と感覚変化との混合型症候群(進行性神経筋肉萎縮症;慢性家族性多発性神経障害)、例えば、腓骨筋肉萎縮症(シャルコー-マリー-ツース)、過形成間質性多発性神経障害(ドゥジュリーヌ-ソッタ)、および種々雑多な形態の慢性進行性神経障害;VIII 進行性視力低下の症候群、例えば網膜色素変性(色素性網膜炎)、および遺伝性眼萎縮症(レーバー病)が挙げられる。さらに、本発明の化合物は、クロマチンリモデリングに関与し得る。
【0041】
本発明には、上記の本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物が包含される。また、本発明には、本発明の化合物の水和物を含む医薬組成物が包含される。用語「水和物」は、限定されないが、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含む。本発明には、任意の固体または液体物理形態の本発明の化合物を含む医薬組成物がさらに包含される。例えば、化合物は結晶形態、非晶質形態で存在し得、任意の粒子径を有する。粒子は微細化され得または凝集化され得、粒子顆粒、粉末、オイル、油状懸濁液または任意の他の形態の固体または液体物理形態である。
【0042】
本発明の化合物、およびその誘導体、断片、アナログ、ホモログ、薬学的に許容され得る塩または水和物は、薬学的に許容され得る担体または賦形剤と共に投与に適切な医薬組成物に含まれ得る。かかる組成物は典型的に、治療有効量の上記の任意の化合物、および薬学的に許容され得る担体を含む。好ましくは、癌治療の場合の有効量は、適切な新生物細胞の最終分化を選択的に誘導するのに有効な量であり、患者で毒性を生じる量未満である。
【0043】
本発明の化合物は、任意の適切な手段、例えば、限定されないが、非経口、静脈内、筋肉内、皮下、移植、経口、舌下、口腔、鼻腔、肺、経皮、局所、膣、結腸、および粘膜通過投与などによって投与され得る。局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入デバイスのような経皮投与の使用も含み得る。医薬調製物としては、活性成分として本発明の化合物を含む、固体、半固体または液体調製物(錠剤、ペレット、トローチ、カプセル、坐薬、クリーム、軟膏、エアゾール、粉末、液体、エマルション、懸濁液、シロップ、注射など)が挙げられ、選択された様式の投与に適切である。一態様において、医薬組成物は、経口投与され、従って経口投与に適切な形態、即ち固体または液体調調製物として製剤化される。適切な固体経口製剤としては、錠剤、カプセル、丸薬、顆粒、ペレット、サシェおよび発泡剤、粉末等が挙げられる。適切な液体経口製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、エマルション、オイル等が挙げられる。本発明の一態様において、組成物はカプセルに製剤化される。本態様によれば、本発明の組成物は、活性化合物の他に、不活性担体または希釈剤、硬質ゼラチンカプセルを含む。
【0044】
例えば、ガム、デンプン、糖、セルロース物質、アクリレート、またはその混合物のような、担体または希釈剤として一般的に使用される任意の不活性賦形剤が、本発明の製剤に使用され得る。好ましい希釈剤は、微結晶セルロースである。組成物は崩壊剤(例えば、ナトリウムクロスカルメロース)および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)をさらに含み得、結合剤、バッファ、プロテアーゼインヒビター、表面活性剤、可溶化剤、可塑剤、乳化剤、安定化剤、粘度向上剤、甘味剤、フィルム形成剤、または任意のその組み合わせから選択される1つ以上の添加剤をさらに含み得る。さらに、本発明の組成物は、調節放出または直接放出製剤の形態であり得る。
【0045】
液体製剤について、薬学的に許容され得る担体は、水性または非水性溶液、懸濁液、エマルションまたはオイルであり得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルである。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルションまたは懸濁液、例えば生理食塩水および緩衝化媒体が挙げられる。オイルの例は石油、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油、および魚肝油である。また、溶液または懸濁液は、以下の成分: 滅菌希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗細菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);バッファ、例えば、酢酸、クエン酸、またはリン酸、および浸透圧調整用薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロースを含み得る。pHは酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムで調節され得る。
【0046】
また、組成物は、結合剤(例えば、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、ナトリウムクロスカルメロース、クロスポビドン、グアールガム、デンプングリコール酸ナトリウム、プリモゲル)、種々のpHおよびイオン強度のバッファ(例えば、tris-HCI、酢酸、リン酸)、添加剤、例えば、表面への吸着を妨げるアルブミンまたはゼラチン、界面活性剤(例えば、Tween 20、Tween 80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼインヒビター、表面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度向上剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアールガム)、甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテーム、クエン酸)、風味剤(例えば、ペパーミント、メチルサリチル酸、またはオレンジフレーバー)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動補助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、ジエチルフタレート、トリエチルクエン酸)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング剤(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、コーティングおよびフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)および/または補助剤をさらに含み得る。
【0047】
一態様において、活性化合物は、埋没物(implant)およびマイクロカプセル化送達系などの徐放製剤のような、体からの迅速な排除に対して化合物を保護する担体を用いて調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような生体分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。かかる製剤の調製方法は、当業者に明白である。また、物質はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得られ得る。リポソーム懸濁液(例えば、ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的としたリポソーム)はまた、薬学的に許容され得る担体として使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に公知な方法に従って調製され得る。
【0048】
投与の容易性および投薬量の均一性のために、単位投薬形態での経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される単位投薬形態は、治療される被験体のための単位投薬量として適切な物理的に別々の単位のことをいう;各単位は必要な医薬担体と共に所望の療法効果を生み出すように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の単位投薬形態の特定は、活性化合物の独自の特性および達成される特定の療法効果ならびに個体の治療のためのかかる活性化合物を配合する当該技術分野で特有の制限によって必然的に決められ、かつ直接これらに依存する。
【0049】
医薬組成物は、投与のための説明書と共に、容器、パック、またはディスペンサーに含まれ得る。
【0050】
毎日の投与が数日〜数年の期間で連続して繰り返され得る。経口治療は、1週〜患者の生涯までの間継続し得る。好ましくは投与は連続して5日間行い得、その後さらなる投与が必要とされるかどうかを決定するために患者を評価し得る。投与は、連続的または断続的で、即ち、連続して数日の治療後の休止時間であり得る。本発明の化合物は治療の第一日に静脈投与され得、経口投与が第二日目およびその後の連続した全ての日数に投与される。
【0051】
例えば、混合、粒状化、または錠剤形成プロセスによる活性成分を含む医薬組成物の調製は当該技術分野で十分理解されている。活性療法成分は、薬学的に許容され得るおよび活性成分と適合する賦形剤とよく混合される。経口投与について、活性剤は、ビヒクル、安定化剤、または不活性希釈剤のような本目的で通例の添加剤と混合され、通例の方法によって上記の錠剤、被覆錠剤、硬質または軟質ゼラチンカプセル、水性溶液、アルコール性溶液または油状溶液などの投与に適切な形態に変換される。
【0052】
患者に投与される化合物の量は、患者で毒性を生じる量未満である。特定の態様において、患者に投与される化合物の量は、化合物の毒性レベルと等しいまたはこれを超える患者血漿中の化合物の濃度を生じる量未満である。好ましくは、患者血漿中の化合物の濃度は約10nMに維持される。一態様において、患者血漿中の化合物の濃度は約25nMに維持される。一態様において、患者血漿中の化合物の濃度は約50nMに維持される。一態様において、患者血漿中の化合物の濃度は約100nMに維持される。一態様において、患者血漿中の化合物の濃度は約500nMに維持される。一態様において、患者血漿中の化合物の濃度は約1000nMに維持される。一態様において、患者血漿中の化合物の濃度は約2500nMに維持される。一態様において、患者血漿中の化合物の濃度は約5000nMに維持される。本発明の実施で患者に投与される化合物の最適量は使用される特定の化合物および治療される癌の種類に依存する。
【0053】
定義
以下に、本発明を記載するために使用される種々の用語の定義を列挙する。これらの定義は、特定の場合に限定されていない限り、用語が本明細書および特許請求の範囲全体を通して個々に、またはより大きな群の一部のいずれかで使用される際に適用される。
【0054】
「脂肪族基」または「脂肪族」は、飽和(例えば、単結合)であり得るか、または1つ以上の不飽和単位、例えば、二重および/または三重結合を含み得る非芳香族部分である。脂肪族基は直鎖、分枝または環状であり得、炭素、水素または任意に1つ以上のヘテロ原子を含有し、置換もしくは非置換であり得る。脂肪族基は、好ましくは、約1〜約24個の原子、より好ましくは約4〜約24個の原子、より好ましくは約4〜12個の原子、より典型的に約4〜約8個の原子を含有する。
【0055】
用語「アシル」は、水素、アルキル、部分飽和または完全飽和シクロアルキル、部分飽和または完全飽和複素環、アリール、およびヘテロアリール置換カルボニル基をいう。例えば、アシルとしては、(C1〜C6)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t-ブチルアセチルなど)、(C3〜C6)シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルなど)、複素環式カルボニル(例えば、ピロリジニルカルボニル、ピロリド-2-オン-5-カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロフラニルカルボニルなど)、アロイル(例えば、ベンゾイル)およびヘテロアロイル(例えば、チオフェニル-2-カルボニル、チオフェニル-3-カルボニル、フラニル-2-カルボニル、フラニル-3-カルボニル、1H-ピロイル-2-カルボニル、1H-ピロイル-3-カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル-2-カルボニルなど)などの基が挙げられる。また、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、それぞれの定義に記載される基の任意の1つであり得る。「任意に置換された」と示されている場合、アシル基は、非置換または独立して「置換された」の定義で以下に列挙される置換基の群から選択される任意に1つ以上の置換基(典型的に、1〜3個の置換基)で置換され得るか、またはアシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、置換基のそれぞれ好ましいリストおよびより好ましいリストで上記のようにして置換され得る。
【0056】
用語「アルキル」は、1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する線状または分岐した基を包含する。より好ましいアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基が最も好ましい。かかる基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0057】
用語「アルケニル」は、2〜約20個の炭素原子または、好ましくは2〜約12個の炭素原子の少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する線状または分岐した基を包含する。より好ましいアルケニル基は、2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例としては、エテニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4-メチルブテニルが挙げられる。用語「アルケニル」、および「低級アルケニル」は、「シス」および「トランス」配置あるいは、[E」および「Z」配置を有する基を包含する。
【0058】
用語「アルキニル」は、2〜約20個の炭素原子または、好ましくは2〜約12個の炭素原子の少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する線状または分岐した基を包含する。より好ましいアルキニル基は、2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。アルキニル基の例としては、プロパルギル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチン、2-ブチニルおよび1-ペンチニルが挙げられる。
【0059】
用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。より好ましいシクロアルキル基は、3〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルキル」基である。かかる基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0060】
用語「シクロアルケニル」は、3〜12個の炭素原子を有する部分不飽和炭素環式基を包含する。2つの二重結合(共役していてもしていなくてもよい)を含有する部分不飽和炭素環式基であるシクロアルケニル基は、「シクロアルキルジエニル」と呼ばれ得る。より好ましいシクロアルケニル基は、4〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」基である。かかる基の例としては、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0061】
用語「アルコキシ」は、各々が1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル部分を有する線状または分岐したオキシ含有基を包含する。より好ましいアルコキシ基は、1〜約10個の炭素原子を有する、より好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。かかる基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert-ブトキシが挙げられる。
【0062】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基に結合された1つ以上のアルコキシ基を有する、すなわち、モノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成するアルキル基を包含する。
【0063】
用語「アリール」は、単独または組合せで、1、2または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、ここで、かかる環は、垂れ下がる様式で一緒に結合され得るか、または縮合され得る。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。
【0064】
用語「カルボニル」は、単独で使用されようと、「アルコキシカルボニル」など他の用語と使用されようと(C=O)を表す。
【0065】
用語「カルバノイル」は、単独で使用されようと、「アリールカルバノイルアルキル」など他の用語と使用されようとC(O)NHを表す。
【0066】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環」、「複素環式」または「ヘテロシクロ」は、飽和、部分不飽和および不飽和ヘテロ原子含有環形状の基を包含し、これらは、相応じて「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルケニル」および「ヘテロアリール」と呼ばれることもあり得、ヘテロ原子は、窒素、イオウおよび酸素から選択され得る。飽和ヘテロシクリル基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニルなど);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、モルホリニルなど);1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、チアゾリジニルなど)が挙げられる。部分不飽和ヘテロシクリル基の例としては、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチアゾールが挙げられる。ヘテロシクリル基としては、テトラゾリウムおよびピリジニウム基などの5価窒素が挙げられ得る。用語「複素環」はまた、ヘテロシクリル基がアリールまたはシクロアルキル基と縮合された基を包含する。かかる縮合二環式基の例としては、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどが挙げられる。
【0067】
用語「ヘテロアリール」は、不飽和ヘテロシクリル基を包含する。ヘテロアリール基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリルなど)テトラゾリル(例えば、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリルなど)など;1〜5個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニルなど)など;酸素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピラニル、フリルなど;イオウ原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チエニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリルなど)など;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリルなど);1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリルなど)など;1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなど)などが挙げられる。
【0068】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロ置換アルキル基を包含する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクロ基内に1〜6個の炭素原子を有する「低級ヘテロシクロアルキル」基である。
【0069】
用語「アルキルチオ」は、2価のイオウ原子に結合された1〜約10個の炭素原子の線状または分岐したアルキル基を含有する基を包含する。好ましいアルキルチオ基は、1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル基を有する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキルチオ」基であるアルキル基を有する。1〜約8個の炭素原子の低級アルキル基を有するアルキルチオ基が最も好ましい。かかる低級アルキルチオ基の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオである。
【0070】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、およびジフェニルエチルなどのアリール置換アルキル基を包含する。
【0071】
用語「アリールオキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合されたアリール基を包含する。
【0072】
用語「アラルコキシ」または「アリールアルコキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合されたアラルキル基を包含する。
【0073】
用語「アミノアルキル」は、アミノ基で置換されたアルキル基を包含する。好ましいアミノアルキル基は、約1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアミノアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アミノアルキル」である。1〜8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアミノアルキル基が最も好ましい。かかる基の例としては、アミノメチル、アミノエチルなどが挙げられる。
【0074】
用語「アルキルアミノ」は、1つまたは2つのアルキル基で置換されたアミノ基を表す。好ましいアルキルアミノ基は、約1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアルキルアミノ基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」である。1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアルキルアミノ基が最も好ましい。適当な低級アルキルアミノは、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどの一置換N-アルキルアミノまたは二置換N,N-アルキルアミノであり得る。
【0075】
用語「リンカー」は、化合物の2つの部分を連結する有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、直接結合または酸素もしくはイオウなどの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどの単位または置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール、ここで、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)によって中断もしくは終結され得る、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環式などの原子鎖を含み、式中、R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である。一態様において、リンカーBは、1〜24個の原子、好ましくは4〜24個の原子、好ましくは4〜18個の原子、より好ましくは4〜12個の原子、最も好ましくは約4〜10個の原子である。
【0076】
用語「置換された」は、与えられた構造内の1つ以上の水素基の、指定された置換基の基、例えば、限定されないが、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アシル、アラルコキシカルボニル、カルボン酸、スルホン酸、スルホニル、ホスホン酸、アリール、ヘテロアリール、複素環式、および脂肪族による置き換えをいう。置換基は、さらに置換され得ることが理解される。
【0077】
簡単にするため、全体を通して定義され言及される化学的部分は、当業者に明白な適切な構造状況下において、一価化学的部分(例えば、アルキル、アリールなど)または多価部分であり得る。例えば、「アルキル」部分は、一価の基(例えば、CH3-CH2-)に言及され得、または他の場合では、二価の連結部分が「アルキル」であり得、この場合、当業者は、アルキルが、用語「アルキレン」に等価である二価基(例えば、-CH2-CH2-)と理解する。同様に、2価の部分が必要とされ、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環式」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」、または「シクロアルキル」であると記載されている状況において、当業者は、用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環式」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」、または「シクロアルキル」が、対応する2価の部分をいうと理解する。
【0078】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で使用されるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0079】
本明細書で使用されるように、用語「異常型増殖」は、異常な細胞増殖をいう。
【0080】
句「補助療法」は、本発明の併用療法に関連する副作用を低減または回避する薬剤、例えば限定されないが、例えば、抗癌薬の毒性効果を低減する薬剤、例えば、骨吸収インヒビター、心臓保護剤;化学療法、放射線療法もしくは手術に関連する吐気および嘔吐の発生を予防もしくは低減する薬剤;または骨髄抑制性抗癌薬投与に関連する感染の発生を低減する薬剤での被験体の治療を包含する。
【0081】
用語「新脈管形成」は、本明細書で使用されるように、血管の形成をいう。具体的には、新脈管形成は、内皮細胞が病巣に集まって崩壊し、それ自体の基底膜内に浸潤し、間隙の間質を介して脈管形成刺激に向かって移動し、移動先端の近位で増殖し、血管に組織化され、新たに合成された基底膜に再付着する多段階プロセスである(Folkman et al., Adv. Cancer Res., Vol. 43,pp. 175-203 (1985)参照)。抗脈管形成剤は、このプロセスに干渉する。これらの工程のいくつかに干渉する薬剤の例としては、トロンボスポンジン-1、アンギオスタチン、エンドスタチン、インターフェロンαならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)インヒビターなどの新たに形成されている血管が従う経路を切り開いて作り出す酵素の作用をブロックする化合物;.アルファ.v.ベータ.3 インヒビターなどの血管細胞が親血管と腫瘍を橋かけするのに使用する分子に干渉する化合物;特異的COX-2インヒビターなどの新しい血管を形成する細胞の増殖を妨げる薬剤;ならびにこれらの標的のいくつかに同時に干渉するタンパク質系化合物が挙げられる。
【0082】
用語「アポトーシス」は、本明細書で使用されるように、年齢または細胞の健康状態および条件により指令された場合、正常に機能しているヒトおよび動物細胞の核によってシグナル伝達されるプログラムされた細胞死をいう。「アポトーシス誘導剤」は、プログラムされた細胞死のプロセスを誘発する。
【0083】
用語「癌」は、本明細書で使用される場合、制御されない細胞分裂、および浸潤による隣接組織内への直接増殖または転移による遠位部位への移植のいずれかによって他の組織に浸潤するこれらの細胞の能力を特徴とする疾患または障害の種類を表す。
【0084】
用語「化合物」は、本明細書において、本明細書に示す式を有する化合物の薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、多型、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物などを含むと定義される。
【0085】
用語「デバイス」は、特定の機能を果たすように設計された通常機械的または電気的である任意の器具をいう。
【0086】
本明細書で使用されるように、用語「形成異常」は、異常な細胞増殖をいい、典型的に、病理学者により生検において認識可能な前癌性病変の最も初期の形態をいう。
【0087】
用語「過形成」は、本明細書で使用されるように、過剰な細胞分裂または増殖をいう。
【0088】
句「免疫療法剤」は、接種によって、免疫ドナー、例えば、別の人または動物の免疫性を宿主に移すために使用される薬剤をいう。該用語は、別の個体または動物によって産生された実施(performed)抗体を含有する血清またはγグロブリン;非特異的全身刺激;アジュバント;能動特異的免疫療法;および養子免疫療法の使用を包含する。養子免疫療法は、感作リンパ球、転移因子、免疫RNA、または血清中抗体もしくはγグロブリンの宿主接種を含む治療または薬剤による疾患の治療をいう。
【0089】
新形成、腫瘍増殖または腫瘍細胞増殖に関連する用語「阻害」は、とりわけ、原発性または続発性腫瘍出現の遅延、原発性または続発性腫瘍の発達の遅延、原発性または続発性腫瘍の発生の減少、疾患の副次効果の重症度の遅延または減少、腫瘍増殖の停止および腫瘍の後退によって評価され得る。極端には、本明細書において、完全な阻害は、予防または化学的予防をいう。
【0090】
用語「転移」は、本明細書で使用されるように、元の腫瘍部位から血管およびリンパ管を介して癌細胞が移動し、他の組織において癌が発生することをいう。また、転移は、遠位部位での続発性癌増殖に対して使用される用語である。
【0091】
用語「新生物」は、本明細書で使用されるように、過剰な細胞分裂から生じる異常な組織塊をいう。新生物は、良性(癌性でない)、または悪性(癌性)であり得、腫瘍とも呼ばれ得る。用語「新形成」は、腫瘍形成をもたらす病理学的過程である。
【0092】
本明細書で使用されるように、用語「前癌性」は、悪性ではないが、治療しないままだと悪性となるであろう状態をいう。
【0093】
用語「増殖」は、有糸分裂している細胞をいう。
【0094】
句「Raf関連疾患または障害」は、不適切なRaf活性またはRafの過剰活性(または機能亢進)を特徴とする疾患または障害をいう。不適切な活性は、(i)通常Rafを発現しない細胞におけるRaf発現;(ii)不要な細胞増殖、分化および/または増殖をもたらすRaf発現の増大;または(iii)細胞増殖、分化および/または増殖の不要な低減をもたらすRaf発現の減少のいずれかをいう。Rafの過剰活性は、特定のRafをコードする遺伝子の増幅または細胞増殖、分化および/または増殖障害と相関し得るレベルのRaf活性の生成(すなわち、Rafのレベルが増大すると、細胞性障害の症状の1つ以上の重症度が増大する)のいずれかをいう。また、過剰活性は、リガンド結合の原因であるRaf断片の欠失などの変異の結果としてのリガンドの非依存性または連続的な活性化の結果であり得る。
【0095】
句「放射線療法剤」は、新形成の治療における電磁気または粒状放射線の使用をいう。
【0096】
用語「再発」は、本明細書で使用されるように、ある期間の寛解後の癌の戻りをいう。これは、最初の癌からの細胞の不完全な除去によるものであり得、局所(最初の癌の同じ部位)、限局(最初の癌の近傍、あるいはリンパ節または組織)、および/または転移の結果遠位で起こり得る。
【0097】
用語「治療」は、ヒトを含む哺乳動物が、哺乳動物の状態を直接または間接的に改善する目的で医療扶助に供される任意のプロセス、作用、適用、療法などをいう。
【0098】
用語「ワクチン」は、腫瘍関連抗原(Tea)を発現する細胞を攻撃することにより、患者の免疫系が腫瘍に対する免疫応答を示すように誘導する薬剤を含む。
【0099】
本明細書で使用されるように、主題の治療方法に関する用語「有効量の主題の化合物」は、所望の投与計画の一部として送達された場合、例えば、臨床的に許容され得る標準に対して細胞増殖速度および/または分化の状態および/または
細胞の生存の割合の変化をもたらす主題の化合物の量をいう。この量は、さらに、新形成障害の症状の1つ以上をある程度緩和し得る、例えば限定されないが、1)癌細胞の数を低減;2)腫瘍の大きさを縮小;3)末梢器官内への癌細胞浸潤を阻害(すなわち、ある程度の遅延、好ましくは停止);4)腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度の遅延、好ましくは停止);5)腫瘍増殖をある程度阻害;6)該障害に関連する症状の1つ以上のある程度を軽減もしくは低減;および/または7)抗癌剤の投与に関連する副作用を軽減もしくは低減し得る。
【0100】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得る塩」は、論理的に正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなく、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適し、妥当な利益/リスク比に相応する塩をいう。薬学的に許容され得る塩は当該技術分野で周知である。例えば、S. M. Berge,et al.は、J. Pharmaceutical Sciences,66:1-19 (1977)に薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。該塩は、本発明の化合物の最終の単離および精製中にインサイチュで、または遊離塩基官能基を適当な有機酸もしくは無機酸と反応させることにより別々に調製され得る。薬学的に許容され得る無毒性の酸付加塩の例としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸ラクトビオン酸またはマロン酸などの有機酸と形成されるか、あるいはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩が挙げられる。他の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンフルスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨウ化物塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容され得る塩としては、適宜、無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ナイトレート、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホネートおよびアリールスルホネートなどの対イオンを用いて形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0101】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得るエステル」は、インビボで加水分解するエステルをいい、ヒト体内で容易に分解して親化合物またはその塩が生じるものが挙げられる。適当なエステル基としては、例えば、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカンジオン酸に由来するものであって、各アルキルまたはアルケニル部分が有利には6個以下の炭素原子を有するものが挙げられる。具体的なエステルの例としては、限定されないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0102】
用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は、本明細書で使用されるように、論理的に正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等を伴い、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適し、妥当な利益/リスク比に相応し、その意図される使用に有効な本発明の化合物のプロドラッグ、ならびに可能な場合は本発明の化合物の両性イオン形態をいう。「プロドラッグ」は、本明細書で使用されるように、代謝的手段によって(例えば、加水分解によって)インビボで本発明の化合物に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの種々の形態は、例えば、Bundgaard(編),Design of Prodrugs,Elsevier (1985);Widder,et al. (編),Methods in Enzymology,第4巻,Academic Press (1985);Krogsgaard-Larsen,et al.(編)。"Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development,第5章,113-191 (1991);Bundgaard,et al., Journal of Drug Deliver Reviews,8:1-38(1992);Bundgaard,J. of Pharmaceutical Sciences,77:285 以下参照 (1988);HiguchiおよびStella (編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society (1975);ならびにBernard Testa & Joachim Mayer,“Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry And Enzymology,” John Wiley and Sons,Ltd. (2002)に記載のように、当該技術分野で公知である。
【0103】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容され得る担体」は、滅菌発熱物質無含有水などの医薬投与と適合する任意の全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含むことが意図される。適当な担体は、参照により本明細書に援用される当該技術分野の標準的な参考教科書であるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。かかる担体または希釈剤の好ましい例としては、限定されないが、水、生理食塩水、リンゲル(finger's)液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソームおよび固定油などの非水性ビヒクルもまた使用され得る。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合性でない場合を除き、該組成物におけるその使用が企図される。補助活性化合物もまた該組成物中に組み込まれ得る。
【0104】
本明細書で使用されるように、用語「前癌性」は、悪性ではないが、治療しないままだと悪性となるであろう状態をいう。
【0105】
用語「被験体」は、本明細書で使用されるように動物をいう。好ましくは、動物は哺乳動物である。より好ましくは哺乳動物はヒトである。また、被験体は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚類、鳥類などをいう。
【0106】
本発明の化合物は、選択的な生物学的性質を向上させるために適切な官能基を付加することにより修飾され得る。かかる修飾は当該技術分野で公知であり、与えられた生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)内への生物学的浸透を増大させる、経口アベイラビリティを増大させる、注射による投与を可能にするために可溶性を増大させる、代謝を改変する、および排出速度を改変するものが挙げられ得る。
【0107】
合成された化合物は、反応混合物から分離され得、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、または再結晶などの方法によってさらに精製され得る。当業者によって認識され得るように、本明細書の式の化合物のさらなる合成方法は、当業者に明白である。さらに、種々の合成工程は、所望の化合物を得るために、代替的なシーケンスまたは順序で行なわれ得る。本明細書に記載の化合物の合成に有用な合成化学変換ならびに保護基の方法論(保護および脱保護)は当該技術分野で公知であり、例えば、R. Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers (1989);T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版, John Wiley and Sons (1991);L. FieserおよびM. Fieser,Fieser and Fieser's Reagent for Organic Synthesis,John Wiley and Sons (1994);ならびにL. Paquette編,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons (1995)、ならびにその後続版などに記載のものが挙げられる。
【0108】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学に関してアミノ酸について(R)もしくは(S)または(D)もしくは(L)で定義され得る他の立体異性形態が生じる。本発明は、かかる可能なすべての異性体、ならびにそのラセミ形態および光学的に純粋な形態を含むことが意図される。光学異性体は、上記の手順によって、またはラセミ混合物を分離することによって、そのそれぞれの光学的に活性な前駆体から調製され得る。該分離は、分離剤の存在下で、クロマトグラフィーまたは反復結晶化または当業者に公知のこれらの技術のいくつかの組合せによって行なわれ得る。分離に関するさらなる詳細は、Jacques,et al., Enantiomers,Racemates,and Resolutions (John Wiley & Sons,1981)に見られ得る。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合、他の不飽和、または他の幾何不斉中心を含む場合、特に記載のない限り、該化合物は、EおよびZ幾何異性体ならびに/またはシス-およびトランス-異性体の両方を含むことが意図される。同様に、すべての互変異性形態もまた含まれることが意図される。本明細書に示された任意の炭素-炭素二重結合の立体配置は、便宜上のみのために選択され、本文中にそうと記載されていない限り、特定の立体配置を指定することを意図しない。したがって、本明細書において随意にトランスと示された炭素-炭素二重結合または炭素-ヘテロ原子二重結合は、シス、トランス、または両者の任意の比率の混合物であり得る。
【0109】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1種類以上の薬学的に許容され得る担体または賦形剤と一緒に製剤化された治療有効量の本発明の化合物を含む。
【0110】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得る担体または賦形剤」は、任意の型の無毒性で不活性な固形、半固形または液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料または製剤化補助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体としての機能を果たし得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;アルファ-(α)、ベータ-(β)およびガンマ-(γ)シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;トウモロコシデンプンおよびイモデンプンなどのデンプン;セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質無含有水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性の適合性潤滑剤であり、加えて、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料剤、保存剤ならびに抗酸化剤もまた、製剤者の判断に従って組成物中に存在し得る。
【0111】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレーにより、局所、直腸、鼻腔内、口内、膣または埋め込みレザバーにより、好ましくは経口投与または注射による投与によって投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の従来の無毒性の薬学的に許容され得る担体、補助剤またはビヒクルを含有し得る。いくつかの場合において、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を向上させるため、薬学的に許容され得る酸、塩基またはバッファーで製剤のpHが調整され得る。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、鞘内、病変内および頭蓋内注または注入技術を含む。
【0112】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加え、液体投薬形態は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物などの当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有し得る。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および香料剤などの補助剤を含み得る。
【0113】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適当な分散剤または展着剤および懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤化され得る。また、滅菌注射用調製物は、無毒性の非経口に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。許容され得るビヒクルおよび溶媒のうち、使用され得るものは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌、固定油は、溶媒または懸濁媒体として以前より使用されている。この目的のため、任意のブランド固定油、例えば、合成モノ-またはジグリセリドが使用され得る。また、オレイン酸などの脂肪酸が注射用剤の調製に使用される。
【0114】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用前に、滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散され得る滅菌剤を滅菌固形組成物の形態で組み込むことによって滅菌され得る。
【0115】
薬物の効果を延長するため、しばしば、皮下または筋肉内注射による薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の乏しい結晶性または非晶質物質の懸濁液の使用によって達成され得る。したがって、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、結晶サイズおよび結晶性形態に依存し得る。あるいは、非経口投与薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。注射用蓄積形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物の比および使用される特定のポリマーの性質に応じて薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。蓄積注射用製剤はまた、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を閉じ込めることにより調製される。
【0116】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、ココアバター、ポリエチレングリコールなどの適当な非刺激性賦形剤もしくは担体または常温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸もしくは膣腔で融解し、活性化合物を放出する坐剤用ワックスと本発明の化合物を混合することにより調製され得る坐剤である。
【0117】
経口投与用の固形投薬形態としては、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、および顆粒が挙げられる。かかる固形投薬形態において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤もしくは担体および/または:a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天-寒天、炭酸カルシウム、イモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにその混合物と混合される。カプセル、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は緩衝剤も含み得る。
【0118】
類似した型の固形組成物もまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用するソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。
【0119】
腸溶性コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよび殻を有する錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒の固形投薬形態が調製され得る。これらは、任意に、不透明化剤を含有し得、また、活性成分(1種類または複数種)のみを、または優先的に、腸管の特定部分に任意に遅延様式で放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0120】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の投薬形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤または貼付剤が挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で薬学的に許容され得る担体および必要に応じて任意の必要とされる保存剤またはバッファーと混合される。眼科用製剤、点耳剤、眼用軟膏、粉末および溶液もまた、本発明の範囲内にあることが企図される。
【0121】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物などの賦形剤を含有し得る。
【0122】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物の他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、クロロフルオロヒドロカーボンなどの通例のプロペラントを含み得る。
【0123】
経皮パッチは、化合物の体内への制御送達を提供するというさらなる利点を有する。かかる投与形態は、化合物を適切な媒体に溶解または懸濁することにより作製することができる。また、吸着強化剤を使用して、皮膚を通過する化合物の流入を高めることができる。速度制御膜を提供するかまたは化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることのいずれかにより速度を制御することができる。
【0124】
肺系送達のためには、本発明の治療組成物を、直接投与、例えば呼吸器系への吸入による固体または液体粒状形態で製剤化し、患者に投与する。本発明を実施するために調製された活性化合物の固体または液体粒状形態は吸入可能な大きさの粒子:つまり、吸入時に口および咽頭を通過、ならびに気管支および肺胞に侵入するほど充分に小さいサイズの粒子を含む。エーロゾル化治療剤、特にエーロゾル化抗生物質の送達は当該技術分野に公知である(例えば、その全てが本明細書中で参照により援用されるVanDevanterらの米国特許第5,767,068号、Smithらの米国特許第5,508,269号、およびMontgomeryによるWO 98/43,650参照)。抗生物質の肺系送達の記載は、参照により本明細書中に援用される米国特許第6,014,969号にも見られる。
【0125】
「治療有効量」の本発明の化合物は、任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で、治療された被検体に治療効果を付与する化合物の量を意味する。
【0126】
治療効果は客観的であり得る(つまり、いくつかの試験またはマーカーにより測定可能)か、または主観的であり得る(つまり、被検体が効果の兆候を示すかまたは効果を感じる)。上述の有効量の化合物は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、好ましくは約1〜約50mg/Kgの範囲であり得る。有効用量は、投与経路および他の薬剤の併用の可能性によって変化する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日当たりの全使用量は、適正な医学的判断の範囲内でかかりつけ医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者についての具体的な治療有効投与レベルは、治療される障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路および排泄速度;治療期間;使用される具体的な化合物と併用されるかまたは同時に使用される薬物ならびに医学分野に周知の要素などの種々の要素に依存する。
【0127】
ヒトまたは他の動物に1回または複数回に分けて投与される本発明の化合物の1日当たりの全用量は、例えば0.01〜50mg/体重kgまたはより一般的には0.1〜25mg/体重kgの量であり得る。単回用量組成物はかかる量、または1日当たりの用量をなすかかる量を複数に分けた量を含み得る。一般的に、本発明による治療計画は、かかる治療が必要な患者に、単回または反復投与で1日あたり約10mg〜約1000mgの本発明の化合物(1または複数)の投与を含む。
【0128】
本明細書に記載される式の化合物は、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉もしくは皮下注射により;または経口、口内、鼻腔、経粘膜、局所、眼用製剤、または吸入により、約0.1〜約500mg/体重kgの範囲の用量、あるいは1mg〜1000mg/投薬で、4〜120時間毎に、または特定の薬物の要件に従って投与することができる。本明細書における方法は、所望のまたは規定の効果を達成するための、有効量の化合物または化合物組成物の投与を企図する。典型的に、本発明の医薬組成物は、1日当たり約1〜約6回投与されるか、または代替的に連続点滴として投与される。かかる投与は慢性的または急性的治療として使用することができる。単回投与形態を形成するために医薬賦形剤または担体と組み合わされ得る活性成分の量は、治療されるホストおよび特定の投与形態に依存して変化する。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。あるいは、かかる調製物は約20%〜約80%の活性化合物を含み得る。
【0129】
上述のものよりも低いかまたは高い用量が必要とされることもあり得る。任意の特定の患者についての具体的な用量および治療計画は、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、疾患の重症度および経過、状態または症状、疾患に対する患者の素質、状態または症状、ならびに治療する医師の判断などの種々の要素に依存する。
【0130】
患者の状態の改善の際に、必要に応じて本発明の化合物、組成物または組合せの維持用量を投与してもよい。その後、症状が所望のレベルまで改善された場合には、改善された状態が維持されるレベルまで、症状に応じて投与の用量もしくは頻度、またはその両方を減らしてもよい。しかしながら、患者は、疾患症状の再発時には長期ベースで間欠的な治療を必要とし得る。
【0131】
合成方法
式IおよびIIの化合物、またはその薬学的に許容され得る塩は、化学的に関連のある化合物の調製に適用可能なことが公知である任意の方法によって調製され得る。特定の中間体を作製する適切な方法としては、例えば米国特許公開公報20020165394、20030207872および20030216446に記載されるものが挙げられる。必要な出発材料は、有機化学の標準的な手法により入手してもよい。かかる出発材料の調製は、添付の非限定的な実施例中に記載される。あるいは、必要な出発材料は、化学者の一般的な技術の範囲内にある例示的な手法と同様の手法により入手可能である。
【0132】
本発明の化合物および方法は、本発明の化合物が調製され得、単なる例示であり本発明の範囲を限定しない以下の代表的な合成スキームに関連して良好に理解されよう。
【0133】

【0134】

【0135】

【0136】

【実施例】
【0137】
実施例
本発明の化合物および方法は、例示のみを意図し、本発明の範囲を限定しない以下の実施例に関連して良好に理解されよう。開示される態様に対する種々の変更および改変は当業者に明らかであり、限定されることなく本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法を含むかかる変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲を逸脱することなくなされ得る。
【0138】
実施例1: (R)-4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(1-(ヒドロキシアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピコリンアミド(化合物1)の調製
工程1a. メチル4-クロロピコリネート(化合物102)
無水DMF(10mL)を40〜48℃でSOCl2(300mL)にゆっくり添加した。溶液を室温で10分間攪拌して、次いで化合物101(100.0g、813.0mmol)を30分かけて添加した。得られた溶液を72℃で16時間加熱して(激しいSO2の発生)、黄色固体を得た。得られた混合物を室温に冷却して、トルエン(500mL)で希釈して200mLに濃縮した。トルエン添加/濃縮過程を2回繰り返した。得られた溶液および固体を氷浴中で200mLのメタノールに添加して、55℃未満の内部温度を維持した。内容物を室温で45分間攪拌して、5℃に冷却してEt2O(200mL)で滴下処理した。得られた固体をろ過してEt2O(200mL)で洗浄し、35℃で乾燥させて黄白色固体を得た。固体を温水(500mL、約45℃)に溶解した後、NaHCO3を添加してpHを8〜9に調整した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を濃縮して所望の化合物102を灰白色固体として得た(118.2g、85%)。LCMS: 172 [M+1]+.
【0139】
工程1b. 4-クロロ-N-メチルピコリンアミド(化合物103)
化合物102(10.0g、58.6mmol)のメタノール溶液(4mL)に、5℃未満の温度でメタノール中のCH3NH2(7.3g、234.4mmol)を添加した。混合物を0〜5℃で2時間攪拌した。溶媒を40〜50℃で蒸発させて表題の化合物103を黄黒色固体として得た(9.8g、98%)。LCMS: 171 [M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6): δ 2.80 (d, 3 H), 7.68 (dd, J1 = 5.4 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.56 (d, 1 H), 8.82 (s, 1 H).
【0140】
工程1c. 4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(化合物105)
無水DMF(150mL)中の4-アミノフェノール(104)(9.6g、88.0mmol)の溶液をt-BuOK(10.29g、91.7mmol)で処理した。得られた赤茶色の混合物を室温で2時間攪拌して、次いでK2CO3(6.5g、47mmol)および化合物103(15.0g、87.9mmol)を添加した。反応物を72℃で一晩攪拌して、50〜60℃で溶媒を蒸発させて反応混合物が残った。混合物を冷却して飽和NaCl溶液を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離して飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させて減圧下で濃縮して化合物105を明褐色固体として得て(17.9g、84%)、さらに精製することなく次の工程に直接使用した。LCMS: 244 [M+ 1]+.
【0141】
工程1d. 4-(4-アミノフェノキシ)ピコリン酸(化合物106)
化合物105(32.4g、130.0mol)を2N KOH(200mL)の溶液に添加した。混合物を100℃で2時間攪拌した。混合物をEtOAcで洗浄した後、水相をpH5に調整した。減圧により水相中の水を除去して残渣が残った。この残渣にわずかな水を添加してろ過した。回収した固体をわずかな水で洗浄して乾燥させて106を得た(23.9g、80%): LCMS: 231 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 6.66 (dd, J= 8.7 Hz, 2 H), 6.88 (dd, J=8.7 Hz, 2 H), 7.12 (dd, J1 = 5.4 Hz, J2 = 2.7 Hz, 1 H), 7.37 (d, J= 2.4 Hz, 1 H), 8.52 (d, J= 5.4 Hz, 1 H).
【0142】
工程1e. メチル4-(4-アミノフェノキシ)ピコリネート(化合物107)
SOCl2(6mL)を、0℃未満でメタノール(50mL)中の化合物106(4.0g、8.8mmol)の溶液に滴下した。混合物を70℃で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させてEtOAcおよび水を添加した。NaCO3およびNaOHでPH値を8〜9に調整した。混合物をEtOAcで3回抽出した。有機相を回収して濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーで精製して表題の化合物107を得た(2.1g、68%): LCMS: 245 [M+1]+.
【0143】
工程1f. メチル4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリネート(化合物109)
CH2Cl2(12mL)中の4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート(108)(4.97g、20.0mmol)の溶液をCH2Cl2(12mL)中の化合物107(4.50g、20.0mmol)の懸濁物に0℃で滴下した。得られた混合物を室温で22時間攪拌した。得られた黄色固体をろ過により回収し、CH2Cl2(2x10mL)で洗浄して化合物109を灰白色固体として得た(7.90g、85%): LCMS: 466 [M+1]+.
【0144】
工程1g. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリン酸(化合物110)
LiOH.H2O(1.08g、25.60mmol)を8mLメタノール中の化合物109(3.0g、6.4mmol)の溶液に添加した。直後に水(4mL)を上記混合物に添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。上記混合物のPH値を5に調整してメタノールを蒸発させた。得られた固体をろ過して化合物110を灰色固体として得た(2.66g、92%): LCMS: 452 [M+1]+.
【0145】
工程1h. (R)-メチル2-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリンアミド)プロパノエート(化合物111-1)
Et3N(336.0mg、3.3mmol)を6mL DMF中の塩酸メチル3-アミノプロパノエート(130.0mg、0.93mmol)の溶液に添加した。次いで上記混合物に化合物110(300.0mg、0.67mmol)、HOBt(135.0mg、0.998mmol)およびEDCI(191.0mg、0.998mmol)を添加した。混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒DMFを50℃で蒸発させて、100mLの酢酸エチルおよび10mLの水を添加した。有機相を水で洗浄しNa2SO4で乾燥させ蒸発させた。表題の化合物111-1をカラムクロマトグラフィーで精製した(242.0mg、68%): LCMS: 537 [M+1]+.
【0146】
工程1i. (R)-4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(1-(ヒドロキシアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピコリンアミド(化合物1)
メタノール(24mL)中の攪拌した塩酸ヒドロキシルアミン(4.67g、67.0mmol)の溶液に、O℃でメタノール(14mL)中の水酸化カリウム(5.61g、100.0mmol)の溶液を添加した。添加後、混合物をO℃で30分間攪拌して低温で静置した。得られた沈殿を単離して溶液を調製し、遊離ヒドロキシルアミンを得た。
【0147】
化合物111-1(100.0mg、0.19mmol)を含むフラスコに、メタノール(4.0mL)中のヒドロキシルアミンの飽和溶液を添加した。混合物を室温で30分間攪拌した。次いで、酢酸を用いてpH7に調整した。混合物を濃縮して残渣を得てこれを水で洗浄して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィーで精製して生成物1を白色固体として得た(40mg、39%)。LCMS: 538 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.28 (d, J= 6.9 Hz, 3H), 4.36 (t, J= 5.8 Hz, 1H), 7.15 (m, 3H), 7.36 (s, 1H), 7.57-7.67 (m, 4H), 8.11 (s, 1H), 8.45 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 8.56 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 9.33 (s, 1H), 9.56 (s, 1H).
【0148】
実施例2. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(3-(ヒドロキシアミノ)-3-オキソプロピル)ピコリンアミド(化合物2)の調製
工程2a. メチル3-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリンアミド)プロパノエート(化合物111-2)
化合物111-1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物110(300.0mg、0.66mmol)から表題の化合物111-2(110mg、31%)を調製した: 537 [M+1]+.
【0149】
工程2b. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(3-(ヒドロキシアミノ)-3-オキソプロピル)ピコリンアミド(化合物2)
化合物1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物111-2(110.0mg、0.20mmol)から表題の化合物2を固体として調製した(50mg、47%): LCMS: 468 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 2.25 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.47 (m, 2H), 7.16 (m, 3H), 7.38 (d, J= 2.4, 1H), 7.60-7.70 (m, 4H), 8.15 (s, 1H), 8.50 (d, 1H), 8.78 (t, J= 6.3 Hz, 1H), 9.43 (s, 1H), 9.66 (s, 1H), 10.44 (s, 1H).
【0150】
実施例3. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(4-(ヒドロキシアミノ)-4-オキソブチル)ピコリンアミド(化合物3)の調製
工程3a. メチル4-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリンアミド)ブタノエート(化合物111-3)
化合物111-1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物110(300.0mg、0.66mmol)から表題の化合物111-3を調製した(95mg、26%): LCMS: 551 [M+1]+.
【0151】
工程3b. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(4-(ヒドロキシアミノ)-4-オキソブチル)ピコリンアミド(化合物3)
化合物1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物111-3(95mg、0.17mmol)から表題の化合物3を固体として調製した(45mg、48%): LCMS: 552 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.70-1.77 (m, 2H), 1.96 (t, J= 7.2 Hz, 2H), 3.22-3.29 (m, 2H), 7.15-7.19 (m, 3H), 7.37 (d, J= 2.7Hz, 1H), 7.58-7.69 (m, 4H), 8.13 (s, 1H), 8.51 (d, J= 6.0Hz, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.88 (t, J = 6.0Hz, 1H), 9.06 (s, 1H), 9.89 (s, 1H), 10.37 (s, 1H).
【0152】
実施例4: 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(6-(ヒドロキシアミノ)-6-オキソヘキシル)ピコリンアミド(化合物5)の調製
工程4a. メチル6-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリンアミド)ヘキサノエート(化合物111-5)
化合物111-1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物110(300.0mg、0.66mmol)から表題の化合物111-5を調製した(118mg、31%): LCMS: 579 [M+1]+.
【0153】
工程4b. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(6-(ヒドロキシアミノ)-6-オキソヘキシル)ピコリンアミド(化合物5)
化合物1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物111-5(80.0mg、0.14mmol)から表題の化合物5を固体として調製した(50mg、62%): LCMS: 580 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.18-1.26 (m, 2H), 1.43-1.52 (m, 4H), 1.91 (t, J= 7.2 Hz, 2H), 3.19-3.23 (m, 2H), 7.11-7.16 (m, 3H), 7.36 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 7.55-7.66 (m, 4H), 8.09 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 8.48 (d, J= 5.7 Hz, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.71 (t, J= 6.0 Hz, 1H), 8.10 (s, 1H), 9.23 (s, 1H), 10.26 (s, 1H).
【0154】
実施例5: 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル) ウレイド)フェノキシ)-N-(7-(ヒドロキシアミノ)-7-オキソヘプチル)ピコリンアミド(化合物6)の調製
工程5a. メチル7-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリンアミド)ヘプタノエート(化合物111-6)
化合物111-1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物110(300.0mg、0.66mmol)から表題の化合物111-6を調製した(130mg、33%): LCMS: 593 [M+1]+.
【0155】
工程5b. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(7-(ヒドロキシアミノ)-7-オキソヘプチル)ピコリンアミド(化合物6)
化合物1(実施例1)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物111-6(80.0mg、0.14mmol)から表題の化合物6を固体として調製した(62mg、75%): LCMS: 594 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.16-1.23 (m, 4H), 1.45-1.49 (m, 4H), 1.89-1.94 (m, 2H), 3.20-3.33 (m, 2H), 7.11-7.16 (m, 3H), 7.36 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 7.55-7.66 (m, 4H), 8.15 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.78 (t, J= 6.0 Hz, 1H), 9.54 (s, 1H), 9.79 (s, 1H), 10.32 (s, 1H).
【0156】
実施例6: 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(8-(ヒドロキシアミノ)-8-オキソオクチル)ピコリンアミド(化合物7)の調製
工程6a. メチル8-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリンアミド)オクタノエート(化合物111-7)
化合物111-1(実施例1)に記載されるものと同様の手順を使用して、化合物110(300.0mg、0.66mmol)から表題の化合物111-7を調製した(140mg、35%): LCMS: 607 [M+1]+.
【0157】
工程6b. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-(8-(ヒドロキシアミノ)-8-オキソオクチル)ピコリンアミド(化合物7)
化合物1(実施例1)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物111-7(80.0mg, 0.13mmol)から表題の化合物7を固体として調製した(50mg、63%): LCMS: 608 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.23-1.25 (m, 6H), 1.46-1.51 (m, 4H), 1.89-1.94 (m, 2H), 3.21-3.34 (m, 2H), 7.14-7.19 (m, 3H), 7.36 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 7.55-7.66 (m, 4H), 8.15 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.78 (t, J= 6.0 Hz, 1H), 9.54 (s, 1H), 9.79 (s, 1H), 10.32 (s, 1H).
【0158】
実施例7: 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-ヒドロキシピコリンアミド(化合物36)の調製
化合物1(実施例1)に記載されたものと同様の手順を使用して、化合物109(100.0mg、0.22mmol)から表題の化合物36を白色固体として調製した(30mg、29%): LCMS: 467[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.10-7.18 (m, 3H), 7.31 (d, J= 2.4, 2H), 7.57-7.67 (m, 4H), 8.10 (s, 1H), 8.45 (d, J = 3.3Hz, 1H), 8.99 (s, 1H), 9.09 (s, 1H), 9.21 (s, 1H), 11.42 (s, 1H).
【0159】
実施例8: 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(5-(ヒドロキシアミノ)-5-オキソペンタンアミド)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物9)の調製
工程8a. 1-(4-(2-アミノピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレア(化合物201)
化合物110(345mg、0.8mmol)、DMF(7mL)およびトリエチルアミン(0.2mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。次いで混合物を0℃に冷却してDPPA(280mg、1.0mmol)を添加した。混合物を一晩攪拌した。水(3.5mL)中のHOAc(3.5mL)を混合物に添加した。混合物を90℃で1時間加熱して、次いで氷冷NaOH溶液(140mLのH2O中5.25g)に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し水で洗浄した。有機相を回収して減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィー(移動相:酢酸エチル/メタノール=4:1)で精製して化合物201を黄白色固体として得た(123mg、37.5%)。LC-MS: 423 [M+1]+, 1H NMR (DMSO-d6): δ 2.70 (s, 1H), 2.86 (s, 1H), 5.78 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 5.88 (s, 1H), 6.10 (m, 1H), 7.02-7.06 (m, 1H), 7.48-7.61 (m, 4H), 7.76 (d, J= 5.6 Hz, 1H), 8.10 (d, J= 2.0 Hz, 1H), 9.40 (s, 1H), 9.76 (s, 1H).
【0160】
工程8b. メチル5-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イルアミノ)-5-オキソペンタノエート(化合物202-9)
化合物201(120mg、0.3mmol)、トリエチルアミン(61mg、0.6mmol)、Cu粉末(38mg、0.6mmol)、Zn粉末(39mg、0.6mmol)および塩化メチレン(2mL)の混合物を40℃に加熱した。上記混合物にメチル5-クロロ-5-オキソペンタノエート(47mg、0.3mmol)を添加した。TLCで反応をモニターした。反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィー(移動相:酢酸エチル/メタノール=4:1)で精製し、メチル化合物202-9を白色固体として得た(160mg、96.6%): LC-MS: 551 [M+1]+.
【0161】
工程8c. 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(5-(ヒドロキシアミノ)-5-オキソペンタンアミド)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物9)
化合物202-9(160mg、0.3mmol)を新しく調製したNH2OHメタノール溶液(1.8mmol)中に溶解した。混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物をHOAcで中和した。真空下で溶媒を除去して残渣を分取液体クロマトグラフィーで精製して化合物9を白色固体として得た(20mg、12.5%)。融点: 144〜145℃。 LC-MS: 552 [M+1]+, 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.72 (m, 2H), 1.93 (t, J= 7.0 Hz, 2H), 2.32 (t, J= 7.0 Hz, 2H), 6.6 (m, 1H), 7.10 (m, 2H), 7.52〜7.63 (m, 5H), 8.13 (m, 2H), 8.61 (s, 1H), 8.99 (s, 1H), 9.23 (s, 1H), 10.32 (s, 1H), 10.45 (s, 1H).
【0162】
実施例9: 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(6-(ヒドロキシアミノ)-6-オキソヘキサンアミド)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物10)の調製
工程9a. メチル6-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イルアミノ)-6-オキソヘキサノエート(化合物202-10)
化合物202-9(実施例8)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物201(77.0mg、0.18mmol)、トリエチルアミン(36mg、0.36mmol)、Cu粉末(12mg、0.18mmol)、Zn粉末(12mg、0.18mmol)および塩化メチレン(2mL)から表題の化合物202-10を白色固体として調製した(100mg、97%): LC-MS: 565 [M+1]+.
【0163】
工程9b. 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(6-(ヒドロキシアミノ)-6-オキソヘキサンアミド)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物10)
化合物9(実施例8)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物202-10(100mg、0.18mmol)および新しく調製したヒドロキシルアミンメタノール溶液(1.8mmol)から表題の化合物10を白色固体として調製した(13mg、13%): LC-MS: 566 [M+1]+, 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.45 (m, 4H), 1.96 (m, 2H), 2.31 (m, 2H), 6.63 (m, 1H), 7.10 (m, 2H), 7.53 (m, 2H), 7.63 (m, 3H),8.13 (m, 2H), 8.65 (s, 1H), 9.19 (s, 1H), 9.51 (s, 1H), 10.32 (s, 1H), 10.41 (s, 1H).
【0164】
実施例10: 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(8-(ヒドロキシアミノ)-8-オキソオクタンアミド)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物12)の調製
工程10a. メチル8-(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イルアミノ)-8-オキソオクタノエート(化合物202-12)
化合物202-9(実施例8)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物201(300mg、0.7mmol)、トリエチルアミン(141mg、1.4mmol)、Cu粉末(45mg、0.7mmol)、Zn粉末(45mg、0.7mmol)および塩化メチレン(10mL)から表題の化合物202-12を白色固体として調製した(166mg、39.4%): LC-MS: 593 [M+ 1]+.
【0165】
工程10b. 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(8-(ヒドロキシアミノ)-8-オキソオクタンアミド)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物12)
化合物9(実施例8)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物202-12(160mg、0.3mmol)および新しく調製したヒドロキシルアミンメタノール溶液(1.8mmol)から表題の化合物12を白色固体として調製した(25mg、15.6%):融点:171〜175℃。LC-MS: 594 [M+1]+, 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.21 (s, 4H), 1.47 (m, 4H), 1.90 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 2.30 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 6.62 (m, 1H), 7.10 (m, 2H), 7.52 (m, 2H), 7.64 (m, 3H),8.12 (m, 2H), 8.59 (s, 1H), 8.93 (s, 1H), 9.17 (s, 1H), 10.26 (s, 1H), 10.40 (s, 1H).
【0166】
実施例11: 3-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシプロパンアミド(化合物13)の調製
工程11a. 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物301)
AlLiH4(0.323g、8.5mmol)を窒素下で30mLのTHF中の化合物109(3.3g、7.1mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で4時間攪拌した。次いで水(0.3mL)、15% NaOH溶液(0.3mL)および水(0.9mL)を混合物に添加した。混合物をろ過して濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=9:1)で精製して化合物301を白色固体として得た(1.75g、47%): LCMS: 438 [M+1]+.
【0167】
工程11b. 1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(2-(クロロメチル)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)ウレア(化合物302)
トルエン(22mL)中のSOCl2(25mL、25mmol)の溶液を-10℃に冷却した。上記の冷却混合物に化合物301(1.0g、2.3mmol)を0.5時間かけて添加した。次いで温度をゆっくりと0℃に上げて、混合物を0℃で2時間攪拌した。冷却反応混合物をろ過して、固体をトルエンおよびエーテルで洗浄した。粗生成物を水に懸濁してNa2CO3で中和した。混合物を10分間攪拌してろ過した。固体を水で完全に洗浄して減圧下で乾燥させ、表題の化合物302を黄白色固体として得た(0.84g、80%): LCMS: 456 [M+1]+.
【0168】
工程11c. エチル3-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)プロパノエート(化合物303-13)
メタノール中の塩酸エチル3-アミノプロパノエート(270mg、1.76mmol)をKOH(66mg、1.76mmol)で中和した。混合物を室温で10分間攪拌してその後メタノールを蒸発させた。DMF(4mL)および302(200mg、0.44mmol)を添加した。混合物を室温で8時間攪拌した。減圧によりDMFを蒸発させて残渣を得、これを30mLの酢酸に添加した。混合物を水で洗浄して、無水Na2SO4で乾燥させ、ろ過および濃縮して303-13(143mg、60.5%)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS: 537 [M+1]+.
【0169】
工程11d. 3-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシプロパンアミド(化合物13)
メタノール中のヒドロキシルアミンの調製:塩酸塩(4.67g、67mmol)をメタノール(24mL)に溶解して溶液Aを作製した。水酸化カリウム(5.61g、100mmol)をメタノール(14mL)に溶解して溶液Bを作製した。溶液Aを0℃に冷却して、溶液Bを溶液Aに滴下した。混合物を30分間0℃で攪拌し、沈殿物をろ過してメタノール中のヒドロキシルアミンの溶液を得た。
【0170】
化合物303-13(143mg、0.27mmol)を含むフラスコに、上記の新しく調製したメタノール中のヒドロキシルアミンの溶液(4.0mL)を添加した。混合物を室温で30分間攪拌して酢酸を使用してpH7に調整した。混合物を濃縮して残渣を得、これを水で洗浄して分取HPLCで精製して表題の化合物13を白色固体として得た(64mg、45.2%): LCMS: 524 [M+1]+; 1U NMR (DMSO-d6): δ 2.12 (t, J= 6 Hz, 2 H), 2.71 (t, J= 6 Hz, 2 H), 3.72 (s, 2 H), 6.73 (d, J= 6 Hz, 1 H), 6.95 (s, 1 H), 7.10 (d, J= 9 Hz, 2 H), 7.55-7.68 (m, 4 H), 8.12 (s, 1 H), 8.34 (d, J= 6 Hz, 1 H), 9.10 (s, 1 H), 9.36 (s, 1H).
【0171】
実施例12: 6-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物16)の調製
工程12a. メチル6-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)ヘキサノエート(化合物303-16)
化合物303-13(実施例11)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物302(200mg、0.44mmol)および塩酸メチル6-アミノヘキサノエート(318mg、1.76mmol)から表題の化合物303-16を調製した(108mg、43%): LCMS: 565 [M+1]+.
【0172】
工程12b. 6-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物16)
化合物13(実施例11)について記載されたもと同様の手順を使用して、化合物303-16(108mg、0.19mmol)から表題の化合物16を白色固体として調製した(48mg、45%): LCMS: 566 [M+1]+. 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.20-1.27 (m, 2 H), 1.33-1.49 (m, 4 H), 2.43-3.48 (m, 2 H), 3.72 (s, 2 H), 6.74 (d, J= 6 Hz, 1 H), 6.94 (s, 1 H), 7.10 (d, J= 9 Hz, 2 H), 7.55-7.68 (m, 4 H), 8.12 (s, 1 H), 8.34 (d, J= 6 Hz, 1 H), 9.13 (s, 1 H), 9.37 (s, 1 H), 9.36 (s, 1H).
【0173】
実施例13: 7-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物17)の調製
工程13a. メチル7-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)ヘプタノエート(化合物303-17)
化合物303-13(実施例11)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物302(200mg、0.44mmol)および塩酸メチル7-アミノヘプタノエート(343mg、1.76mmol)から表題の化合物303-17を調製した(87mg、34%): LCMS: 579 [M+1]+.
【0174】
工程13b. 7-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物17)
化合物13(実施例11)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物303-17(87mg、0.15mmol)から表題の化合物17を白色固体として調製した(36mg、41%): LCMS: 580 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.22 (s, 4 H), 1.34-1.37 (m, 2 H), 1.49 (t, J= 9 Hz, 2 H), 1.94 (t, J= 7.2 Hz, 2 H), 2.43-2.48 (m, 2 H), 3.72 (s, 2 H), 6.75 (d, J= 6 Hz, 1 H), 6.94 (s, 1 H), 7.10 (d, J= 9 Hz, 3 H), 7.55-7.69 (m, 4 Hz), 8.12 (s, 1 H), 8.34 (d, J= 6 Hz, 1 H), 9.04 (s, 1 H), 9.27 (s, 1 H), 10.35 (s, 1H).
【0175】
実施例14: 8-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシオクタンアミド(化合物18)の調製
工程14a. メチル8-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)オクタノエート(化合物303-18)
化合物303-13(実施例11)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物302(200mg、0.44mmol)および塩酸メチル8-アミノオクタノエート(368mg、1.76mmol)から表題の化合物303-18を調製した(118mg、42.9%): LCMS: 593 [M+1]+.
【0176】
工程14b. 8-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-N-ヒドロキシオクタンアミド(化合物18)
化合物13(実施例11)について記載されたものと同様の手順を使用して、化合物303-18(118mg、0.20mmol)から表題の化合物18を白色固体として調製した(73mg、62%): LCMS: 594 [M+1]+. 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.24 (s, 6 H), 1.46-1.51 (m, 4 H), 1.92 (t, J= 9 Hz, 2 H), 3.21-3.34 (m, 2 H), 7.14-7.19 (m, 3 H), 7.37 (d, J= 3 Hz, 1 H), 7.60-7.70 (m, 4 Hz), 8.14 (s, 1 H), 8.50 (d, J= 6 Hz, 1 H), 8.66 (s, 1 H), 8.79 (t, J= 6 Hz, 1 H), 9.38 (s, 1 H), 9.61 (s, 1 H), 10.32 (s, 1H).
【0177】
実施例15: N1-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-N4-ヒドロキシスクシンアミド(化合物19)の調製
工程15a. 4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピコリンアミド(化合物401)
MeOH(10mL)中の化合物109(1.16g、2.5mmol)、NH3(0.25g、15.0mmol)の溶液を室温で6時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物を水で洗浄して化合物401を明黄色固体として得た(1.08g、96.2%): LCMS: 451 [M+1]+.
【0178】
工程15b. 1-(4-(2-(アミノメチル)ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレア(化合物402)
密封されたチューブ内の化合物401(1.0g、2.2mmol)、BH3(6mL、1mol/L)、THF(10mL)の混合物を、窒素雰囲気下、100℃(油浴)で6時間攪拌した。混合物を冷却して、MeOH(1.5mL)および濃HCl(1.5mL)で処理し、100℃で2時間攪拌した。反応混合物を冷却し、Na2CO3(4mol/L)でpH10に調整した。高真空下で溶媒を除去し、粗生成物402を褐色固体として得た(0.6g、67.8%): LCMS: 437 [M+1]+.
【0179】
工程15c. メチル4-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-4-オキソブタノエート(化合物403-19)
化合物402(100mg、0.23mmol)、4-メトキシ-4-オキソブタン酸(36mg、0.27mmol)、EDCI(58mg、0.30mmol)、HOBt(40mg、0.30mmol)、トリメチルアミン(81mg、0.80mmol)および無水DMF(2mL)の混合物を室温で16時間攪拌した。高真空下で溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH=10/1)で精製して目的化合物403-19(78mg、62%)を黄色固体として得た。LCMS: 551 [M+1]+.
【0180】
工程15d. N1(4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-N4-ヒドロキシスクシンアミド(化合物19)
化合物13(実施例11)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物403-19(78mg、0.14mmol)から表題の化合物19を明黄色固体として調製した(63mg、81%): LCMS: 552 [M+1] +; 1H NMR (DMSO-d6): δ 2.20 (t, J= 6 Hz, 2H), 2.38 (t, J= 6 Hz, 2H), 4.28 (d, J= 6 Hz, 2H), 6.70 (d, J= 3Hz, 1H), 6.84 (s, 1H), 7.09 (d, J= 9Hz, 2H), 7.55-7.68 (m, 4H), 8.12 (s, 1H), 8.34 (d, J= 6 Hz, 2H), 8.44 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 9.13 (s, 1H), 9.37 (s, 1H), 10.38 (s, 1H).
【0181】
実施例16: N1-((4-(4-(3-(4-クロロ-3(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-N5-ヒドロキシグルタルアミド(化合物20)の調製
工程16a. メチル4-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-4-オキソブタノエート(化合物403-20)
化合物403-19(実施例15)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物402(85mg、0.20mmol)および5-メトキシ-5-オキソペンタン酸(35mg、0.24mmol)から表題の化合物403-20を黄色固体として調製した(50mg, 44.3%): LCMS: 565 [M+ 1]+.
【0182】
工程16b. N1-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-ピリジン-2-イル)メチル)-N5-ヒドロキシグルタルアミド(化合物20)
化合物13(実施例11)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物403-20(45mg, 0.08mmol)から表題の化合物20を明黄色固体として調製した(40mg、88.5%): m.p. 161.8〜164.9℃, LCMS: 566 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6) δ 1.69 (m, 2H), 1.95 (t, J= 7.2 Hz, 2H), 2.12 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 4.27 (d, J= 5.1 Hz, 2H), 6.74 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 7.07 (d, J= 9.0 Hz, 2H), 7.62 (m, 4H), 8.17 (s, 1H), 8.34 (d, J= 7.2 Hz, 2H), 9.51 (s, 1H), 10.27 (s, 1H), 10.43 (s, 1H), 10.61 (s, 1H).
【0183】
実施例17: N1-((4-(4-(3-(4-クロロ-3(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-N6-ヒドロキシアジパミド(化合物21) の調製
工程17a. 6-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-6-オキソヘキサンペルオキソ酸(化合物403-21)
化合物403-19(実施例15)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物402(100mg、0.23mmol)および6-メトキシ-6-オキソヘキサン酸(43mg、0.27mmol)から表題の化合物403-21を黄色固体として調製した(84mg、63%): LCMS: 581 [M+ 1]+.
【0184】
工程17b. N1-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-N6-ヒドロキシアジパミド(化合物21)
化合物13(実施例11)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物403-21(80mg、0.14mmol)から表題の化合物21を明黄色固体として調製した(56mg、69%): LCMS: 582 [M+ 1] +; 1H NMR (DMSO-d6): δ 145 (s, 4H), 1.94 (t, J= 6 Hz, 2H), 2.11 (t, J= 6 Hz, 2H), 4.27 (d, J= 6 Hz, 2H), 6.74 (s, 2H), 7.10 (d, J= 9Hz, 2H), 7.56-7.69 (m, 4H), 8.12 (s, 1H), 8.34 (d, J = 6 Hz, 2H), 8.69 (s, 1H), 9.18 (s, 1H), 9.42 (s, 1H), 10.35 (s, 1H).
【0185】
実施例18: N1-((4-(4-(3-(4-クロロ-3(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-N8-ヒドロキシオクタンジアミド(化合物23)の調製
工程18a. メチル8-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチルアミノ)-8-オキソオクタノエート(化合物403-23)
化合物403-19(実施例15)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物402(100mg、0.23mmol)および8-メトキシ-8-オキソオクタン酸(51mg、0.27mmol)から表題の化合物403-23を黄色固体として調製した(93mg、67%): LCMS: 607 [M+ 1]+.
【0186】
工程l8b. N1-((4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)メチル)-N8-ヒドロキシオクタンジアミド(化合物23)
化合物13(実施例11)について記載されるものと同様の手順を使用して、化合物403-23(88mg、0.14mmol)から表題の化合物23を明黄色固体として調製した(52mg、61%): LCMS: 608 [M+ 1] +; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.20-1.23 (m, 4H), 1.14-1.45 (s, 4H), 1.93 (t, J= 6 Hz, 2H), 2.10 (t, J= 6 Hz, 2H), 4.26 (d, J= 6 Hz, 2H), 6.72-6.77 (m, 2H), 7.06 (d, J= 9Hz, 2H), 7.56-7.71 (m, 4H), 8.19 (s, 1H), 8.34 (d, J= 6 Hz, 2H), 8.69 (s, 1H), 10.44 (s, 1H), 10.76 (s, 1H).
【0187】
生物アッセイ:
前述のように、本発明に規定された誘導体は、抗増殖活性を有する。これらの特性を、例えば以下に記載の1つ以上の手順を用いて評価し得る:
【0188】
(a) 試験化合物がキナーゼを阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
Rafキナーゼアッセイキット(B-Raf、Upstate、カタログ番号17-359;C-Raf、Upstate、カタログ番号17-360)を改変したプロトコールに従って、Rafキナーゼアッセイを行った。手短に、アッセイバッファ、ATP、基質およびRafキナーゼを96ウェルアッセイプレート中で混合した。最終キナーゼアッセイ混合物は、20mM MOPS、pH7.2、25mMβ-リン酸グリセロール、5mM EGTA、1mMオルトバナジウム酸ナトリウム、1mM DTT、250μM ATPおよび37.5mM塩化マグネシウム、0.1μg/ウェルのRafキナーゼ、および1μg/ウェルのMEK-1基質タンパク質を含んだ。アッセイ試料を室温で30分間インキュベートした。25mMの終濃度になるようにEDTA、pH8を添加してキナーゼ反応を停止した。10μlの反応試料をニトロセルロースフィルターにスポットしてブロッキング溶液(Licor Bioscience, カタログ番号927-40000)中の1μg/mlの抗ホスホ-MEK-1抗体を添加してドットブロットを行った。続いて、ニトロセルロースフィルターを二次IRDye 800CWヤギ抗ウサギ抗体(Licor Bioscience, カタログ番号926-32211)とともにインキュベートし、その後Odyssey imager(Licor Bioscience)でシグナルを読んだ。
【0189】
化合物がVEGFR2キナーゼ活性を阻害する能力は、HTScanTM VEGFR2 キナーゼアッセイキット(Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)を使用してアッセイした。VEGFR2チロシンキナーゼは、アミノ末端がGST-HIS6-トロンビン切断部位と融合したヒトVEGFR2 cDNAキナーゼドメイン(Asp805-Val1356)(GenBank受託番号AF035121)断片を含む構築物からバキュロウイルス発現系を使用して産生した。グルタチオン-アガロースを使用して、1工程アフィニティークロマトグラフィーによりタンパク質を精製した。抗ホスホチロシンモノクローナル抗体P-Tyr-100を使用して、ビオチニル化基質ペプチド(VEGFR2、ビオチン-ガストリン前駆体(Tyr87))のリン酸化を検出した。60mM HEPES、5mM MgCl2 5mM MnCl2 200μM ATP、1.25mM DTT、3μM Na3VO4、1.5mMペプチドおよび50ng EGFレセプターキナーゼ中で酵素活性を試験した。結合した抗体は、DELFIA(登録商標)ユウロピウム標識抗マウスIgG(PerkinElmer, #AD0124)、DELFIA(登録商標)強化溶液(PerkinElmer, #1244-105)、およびDELFIA(登録商標)ストレプトアビジンコート96ウェルプレート(PerkinElmer, AAAND-0005)からなるDELFIAシステム(PerkinElmer, Wellesley, MA)を使用して検出した。WALLAC Victor 2プレートリーダーで蛍光を測定して、相対的蛍光単位(RFU)として報告した。GraphPad Prism(v4.0a)を使用してデータをプロットして、アルゴリズムに適合したシグモイド容量応答曲線を使用してIC50を計算した。
【0190】
試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して20mMの作業ストック濃度を得た。それぞれのアッセイは以下の通りに設定した:100μlの10mM ATPを1.25ml、6mMの基質ペプチドに添加した。混合物をdH2Oで2.5mlに希釈して、2X ATP/基質カクテルを作製した([ATP]=400mM、[基質]=3mM)。酵素をすぐに-80℃から氷に移した。酵素を氷上で融解させた。4℃で簡単に微小遠心分離を行い、液体をバイアルの底に落とした。すぐに氷に戻した。10μlのDTT(1.25mM)を2.5mlの4X HTScanTMチロシンキナーゼバッファ(240mM HEPES pH 7.5、20mM MgCl2、20mM MnCl、12mM NaVO3)に添加して、DTT/キナーゼバッファを作製した。1.25mlのDTT/キナーゼバッファを酵素チューブに移して、4X反応カクテルを作製した(4X反応カクテル中[酵素]=4ng/μL)。12.5μlの4X反応カクテルを12.5μl/ウェルの前もって希釈した目的の化合物(通常、約10μl)と5分間、室温でインキュベートした。25μlの2X ATP/基質カクテルを25μl/ウェルの前もってインキュベートした反応カクテル/化合物に添加した。反応プレートを室温で30分間インキュベートした。50μl/ウェルの停止バッファ(50mM EDTA、pH8)を添加して反応を停止した。25μlのそれぞれの反応および75μlのdH2O/ウェルを96ウェルストレプトアビジンコートプレートに移して室温で60分間インキュベートした。200μl/ウェルのPBS/T(PBS、0.05% Tween-20)で3回洗浄した。一次抗体ホスホ-チロシンmAb(P-Tyr-100)を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBS/T中に1:1000で希釈した。100μl/ウェルの一次抗体を添加した。室温で60分間インキュベートした。200μl/ウェルのPBS/Tで3回洗浄した。ユーロピウム標識抗マウスIgGを、1%BSAを含むPBS/Tで1:500に希釈した。100μl/ウェルの希釈抗体を添加した。室温で30分間インキュベートした。200μl/ウェルのPBS/Tで5回洗浄した。100μl/ウェルのDELFIA(登録商標)強化溶液を添加した。室温で5分間インキュベートした。適当な時間解像プレートリーダーで615nmの蛍光放出を検出した。
【0191】
(b) 試験化合物がHDAC酵素活性を阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
HDAC蛍光測定アッセイキット(AK-500, Biomol, PlymouthMeeting, PA)を使用してHDACインヒビターをスクリーニングした。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して20mMの作業ストック濃度を得た。WALLAC Victor 2プレートリーダーで蛍光を測定して相対的蛍光単位(RFU)として報告した。GraphPad Prism(v4.0a)を使用してデータをプロットして、アルゴリズムに適合したシグモイド用量応答曲線を使用してIC50を計算した。それぞれのアッセイは以下の通りに設定した:全てのキット成分を融解して使用するまで氷の上に維持した。HeLa核抽出物をアッセイバッファ(50mM Tris/Cl、pH8.0、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl2)に1:29で希釈した。トリコスタチンA(TSA、陽性対照)の希釈物を調製してアッセイバッファ中の化合物(5xの終濃度)を試験した。アッセイバッファ中のFluor de LysTM基質を100μMに希釈した(50倍=2x終濃度)。Fluor de LysTM発色液濃縮物を冷却したアッセイバッファ中に20倍に希釈した(例えば、50μl+950μlアッセイバッファ)。次に、0.2mMトリコスタチンAを1x発色液中に100倍に希釈した(例えば、1ml中10μl;1x発色液中のトリコスタチンAの終濃度=2μM;HDAC/基質反応液に添加後の終濃度=1μM)。アッセイバッファ、希釈トリコスタチンAまたは試験インヒビターをマイクロタイタープレートの適当なウェルに添加した。希釈HeLa抽出物または他のHDAC試料を陰性対照以外の全てのウェルに添加した。マイクロタイタープレート中の希釈Fluor de LysTM基質および試料をアッセイ温度(例えば25または37℃に平衡化した。それぞれのウェルに希釈した基質(25μl)を添加して完全に混合し、HDAC反応を開始した。HDAC反応を1時間進行させて、その後Fluor de LysTM発色液(50μl)を添加して反応を停止した。プレートを室温(25℃)で10〜15分間インキュベートした。350〜380nmの範囲の波長で励起可能で440〜460nmの範囲で放射された光を検出可能なマイクロタイタープレートリーディング蛍光測定装置中で試料を読んだ。
【0192】
以下の表Bには本発明の代表的な化合物およびそのHDAC、VEGFR2およびRAFアッセイ中の活性を列挙する。これらのアッセイにおいて以下の等級を使用した:IC50についてI≧10μM、10μM>II>1μM、1μM>III>0.1μM、およびIV≦0.1μM。
【0193】



【0194】
本明細書中で言及される特許および科学文献は当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書中に引用される全ての米国特許および公開または未公開米国特許出願は参照によって援用される。本明細書に引用される全ての公開外国特許および特許出願は参照によって本明細書に援用される。本明細書に援用される全ての他の公開参考文献、書類、原稿および科学文献は参照により本明細書に援用される。
【0195】
本発明はその好ましい態様に関して特に示され記載されているが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本明細書中になされ得ることが当業者に理解されよう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IまたはII:


(式中
Cは:
(a)


;式中、WはOまたはSであり;Yは非存在、NまたはCHであり;ZはNまたはCHであり;R7およびR9は独立して水素、OR'、脂肪族または置換脂肪族であり、ここで式中R'は水素、脂肪族、置換脂肪族またはアシルである;ただし、R7およびR9が両方存在する場合は、R7またはR9の一方はOR'でなくてはならず、Yが非存在である場合は、R9はOR'でなくてはならならいものとする;R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である;
(b)


;式中、WはOまたはSであり;JはO、NHまたはNCH3であり;R10は水素または低級アルキルである;
(c)


;式中、WはOまたはSであり;Y1およびZ1は独立してN、CまたはCHである;ならびに
(d)


;式中、Z、YおよびWは先に規定の通りであり;R11およびR12は独立して水素または脂肪族から選択され;R1、R2およびR3は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環から選択される、
から選択され;
Bはリンカーであり;
UはNまたはCであり;
Arはアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環または置換複素環であり;
QはO、S、SO、SO2、NH、置換もしくは非置換アルキルアミノ、または置換もしくは非置換C1〜C3アルキルであり;
Y1はO、SまたはNHであり;
X1およびZ1は独立してNH、置換もしくは非置換アルキルアミノ、または置換もしくは非置換C1〜C3アルキルであり;
Cyはアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
R2Iは独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、脂肪族および置換脂肪族から選択される)
で表される化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびそれらの溶媒和物。
【請求項2】
Bが、直接結合であるか、または直鎖もしくは分岐鎖の置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールであり、ここで、1つ以上のメチレンがO、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環で中断または終結され得、式中、R8が水素、脂肪族、置換脂肪族である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(III)または(IV):


(式中、R24およびR25は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、および置換脂肪族から選択され;R24およびR25が互いに隣接する場合、それらが結合する炭素とともに、任意に1〜3個のヘテロ原子で置換された縮合された飽和もしくは不飽和環を形成し得;R22〜R25は独立してR21であり;B、Y、W、Z、R7〜R9、Q、X1、Y1、Z1およびR21は請求項1で先に規定の通りである)で表される請求項1記載の化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびそれらの溶媒和物。
【請求項4】
式(V)または(VI):


(式中、R24およびR25は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、脂肪族、および置換脂肪族から選択され;R24およびR25が互いに隣接する場合、それらが結合する炭素とともに、任意に1〜3個のヘテロ原子で置換された縮合された飽和もしくは不飽和環を形成し得;B、Y、R7、R8、Q、X1およびR21〜R23は請求項1に記載の通りである)で表される請求項1記載の化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびそれらの溶媒和物。
【請求項5】
式(VII)または(VIII):




(式中、R24およびR25は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族から選択され;R24およびR25が互いに隣接する場合、それらが結合する炭素とともに、任意に1〜3個のヘテロ原子で置換された縮合された飽和もしくは不飽和環を形成し得;B1は非存在、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニルまたはC=Oであり;B2は非存在、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環またはC=Oであり;B3は非存在またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり;B4は非存在またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり;Q、R'、R22およびR23は請求項1に記載の通りである)で表される請求項1記載の化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびそれらの溶媒和物。
【請求項6】
式(IX)または(X):


(式中、R24およびR25は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルアミノ、置換もしくは非置換ジアルキルアミノ、置換もしくは非置換アルキルチオ、置換もしくは非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族から選択され;R24およびR25が互いに隣接する場合、それらが結合する炭素とともに、任意に1〜3個のヘテロ原子で置換された縮合された飽和もしくは不飽和環を形成し得;B1は非存在、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニルまたはC=Oであり;B2は非存在、NH、アルキルアミノ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環またはC=Oであり;B3は非存在またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり;B4は非存在またはC1〜C10アルキル、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり;Q、R'、R1〜R3、R22およびR23は請求項1に記載の通りである)で表される請求項1記載の化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびそれらの溶媒和物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびそれらの溶媒和物。
【請求項7】
表A








に示された化合物から選択される請求項1記載の化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびそれらの溶媒和物。
【請求項8】
活性成分として請求項1記載の化合物、および薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
被検体に治療有効量の請求項8記載の医薬組成物を投与する工程を含む、治療を必要とする被検体におけるRafキナーゼ関連疾患または障害の治療方法。
【請求項10】
前記Rafキナーゼ関連疾患または障害が細胞増殖性障害である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記細胞増殖性障害が、乳頭腫、神経膠芽腫、カポジ肉腫、メラノーマ、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、星状細胞腫、頭部癌、頚部癌、膀胱癌、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、腎細胞癌、胃癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、ホジキン病およびバーキット病からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
治療を必要とする被検体に請求項8記載の医薬組成物を投与する工程を含む、HDAC媒介性疾患の治療方法。
【請求項13】
治療を必要とする被検体に請求項8記載の医薬組成物を投与する工程を含む、Rafキナーゼ媒介性疾患とHDAC媒介性疾患の両方の治療方法。

【公表番号】特表2010−522163(P2010−522163A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554510(P2009−554510)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/077972
【国際公開番号】WO2008/115263
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(501188889)キュリス,インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】