説明

亜鉛表面のアルカリ不動態化のための組成物

本発明は、少なくとも部分的に亜鉛又は亜鉛合金の表面を有する金属部材のアルカリ不動態化のための、鉄(III)イオン、リン酸イオン、及び1つ以上の錯化剤を含有する水性アルカリ性組成物(A)に関し、ここで、遊離アルカリ度が1から6ポイントの範囲でありpHは10.5以上である。本発明による水性組成物(A)は、加えて、非イオン性界面活性剤を含有していてよく、それによって、そのような組成物は、金属部材の洗浄及びアルカリ不動態化の両方が一工程で行われる方法に用いられるのに適する。本発明はさらに、少なくとも部分的に亜鉛又は亜鉛合金の表面を有する金属部材の、これらを組成物(A)と接触させることによるアルカリ不動態化のための方法にも関する。本発明は、特に、自動車の車体生産における表面処理のための方法を包含し、ここで、組成物(A)を用いたアルカリ不動態化工程の後に、組成物(B)を用いた酸不動態化工程が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に亜鉛又は亜鉛合金の表面を有する金属部材のアルカリ不動態化のための、鉄(III)イオン、リン酸イオン、及び1つ以上の錯化剤を含有し、遊離アルカリ度が1から6ポイントの範囲であり、10.5以上のpHを有する水性アルカリ性組成物(A)に関する。本発明による水性組成物(A)は、加えて、非イオン性界面活性剤を含有していてよく、それによって、その組成物は、金属部材の洗浄及びアルカリ不動態化の両方が一工程で行われる方法に用いられるのに適している。本発明はさらに、少なくとも部分的に亜鉛又は亜鉛合金の表面を有する金属部材を組成物(A)と接触させることによって、アルカリ不動態化、及び必要により洗浄を行うための方法にも関する。本発明は、特に、自動車の車体生産における表面処理のための方法を包含し、その方法では、組成物(A)を用いたアルカリ不動態化工程の後に、組成物(B)を用いた酸不動態化工程が行われる。この方法は、アルカリ不動態化工程を行わない不動態化法と比較して、特に金属部材の亜鉛表面において、耐腐食性、及びその後に適用される有機塗装系の密着性を向上することができる。
【背景技術】
【0002】
フルオロ錯体の酸水性溶液に代表される腐食防止剤は、以前から知られており、不動態化のための前処理として現行技術で長い間用いられてきたクロメート処理の代替法である。このような腐食防止剤は、処理後の金属表面上に薄い化成処理層を形成するだけであり、リン酸塩処理法の代替としても現在議論されつつある。このような腐食防止剤は、特に自動車部品業界において、材料の高いターンオーバー率を伴う多段階リン酸塩処理法を、材料のターンオーバー率が低くプロセス工学的にもそれほど複雑ではない方法へ置き換えるために用いられつつある。このようなフルオロ錯体の溶液は、一般に、腐食防止効果及び塗装密着性をより向上させる腐食防止活性物質をさらに含有する。
【0003】
例えば、特許文献1には、特にチタン及び/又はジルコニウムのフルオロ錯体を含有する水性組成物が記載されており、これには、硝酸イオン、銅イオン、銀イオン、バナジウム若しくはバナジン酸イオン、ビスマスイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、スズイオン、2.5から5.5のpH範囲にするための緩衝系、ドナー原子を含有する少なくとも2つの官能基を有する芳香族カルボン酸若しくはそのようなカルボン酸の誘導体、平均粒子サイズが1μm未満であるケイ酸粒子、から選択されるさらなる成分が追加で含まれている。
【0004】
金属表面の腐食防止のための前処理をさらに進歩させ、腐食防止及び塗装密着性という点において三価カチオンリン酸亜鉛処理の性能的特徴を導入することが求められている。この場合、前処理の成功に非常に重要であるのは、もはや単に個々の方法工程の数ではなく、特に基材として鋼、亜鉛めっき鋼、及びアルミニウムから成る構成部材の前処理という点では、むしろコーティングの性能である。
【0005】
特に、自動車業界では、現行技術で公知である酸クロムフリーの不動態化溶液の結果として、塗装層の浸透腐食(corrosive infiltration)からの保護という点で、亜鉛表面は鋼表面と比較して大きく劣っているという問題が多くの場合に存在する。したがって、種々の金属から組み立てられた車体の亜鉛表面上の不動態化層を改良することは、リン酸塩処理の代替となる前処理法の成功のためには必須条件である。
【0006】
公開特許出願である特許文献2は、金属表面、特に鋼及び亜鉛めっき鋼表面のジルコニウム系化成処理の前に行われる無電解金属被覆前処理を開示している。化成処理の前に、ニッケル、銅、銀、及び/又は金から選択される陽性金属の水溶性塩を含有する酸水性組成物による前処理が行われる。この種の金属被覆用の組成物は、消泡剤及び湿潤剤を追加で含有する場合がある。溶解性の低い銅塩を用いる場合、特許文献2では、錯化剤を用いて金属被覆用組成物中の銅イオンの濃度を高めることが提案されている。特許文献2で提案される、化成処理の前のフッ化金属錯体に基づく酸組成物による金属被覆処理では、リン酸亜鉛処理で達成することができる塗装密着性及び耐腐食性という点での効果が発現されない。
【0007】
本発明に最も近い先行技術は、ドイツ特許出願である特許文献3であると考えられ、これには、圧延設備(strip facilities)における亜鉛めっき及び合金亜鉛めっき鋼表面のアルカリ不動態化のための前処理方法が含まれている。ここで、表面処理された鋼帯は、マグネシウムイオン、鉄(III)イオン、及び錯化剤を含有するアルカリ性処理剤と接触し、9.5超のpHで腐食防止層が形成されることによって、亜鉛表面は不動態化される。特許文献3の教示事項によると、この方法で不動態化された表面は、既に、ニッケル含有法及びコバルト含有法と同等の塗装密着性を示すとされている。腐食防止の向上のためのこの前処理に続いて、塗装系の適用前に、所望に応じて、クロムフリー不動態化後処理(chromium-free post-passivation)等のさらなる処理工程を行ってもよい。しかしながら、この前処理系では、切断端面部での腐食によって生じる塗装剥離を十分に抑制することができないことは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第07/065645号
【特許文献2】国際公開第2009045845号
【特許文献3】ドイツ特許第19733972号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この現行技術に起因して、前処理されて有機塗料系でコーティングされる亜鉛及び/又はその合金から成る表面の耐腐食性をさらに向上させる、アルカリ不動態化処理を確立するという課題が生じる。その目的は、特に、亜鉛表面上の塗装系の浸透腐食及び剥離をより強く抑制することである。同時に、そのアルカリ不動態化は、少なくとも部分的に亜鉛及び/又はその合金の表面から成る金属部材の洗浄、不動態化、及び有機塗料系でのコーティングを行うための前処理プロセスであることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、
a)少なくとも50ppmの鉄(III)イオン、
b)少なくとも100ppmのリン酸イオン、
c)少なくとも100ppmの錯化剤であって、−COOX、−OPOX、及び/又は−POXから選択される少なくとも1つの官能基を有し、ここでXは、水素原子、又はアルカリ金属原子及び/若しくはアルカリ土類金属原子のいずれかを表す、有機化合物c1)、並びに/又は、POとして算出される縮合リン酸塩c2)、から選択される錯化剤、
を含有する水性アルカリ性組成物(A)によって達成され、この組成物は、遊離アルカリ度が少なくとも1ポイントであるが6ポイント未満であり、pHは10.5以上である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「アルカリ性」とは、組成物(A)が10.5から14の範囲のpHを有し、好ましくは11.0から13.5の範囲であることを意味するものと理解される。10.5よりも低いpHでは、組成物(A)と接触された際に、亜鉛表面上に少なくとも20mg/mの鉄の表面被覆(付着量)が構成されない。したがって、本発明によって定められるような亜鉛表面のアルカリ不動態化は、そのような低いpH値では発生しない。
【0012】
組成物(A)の効果にとって極めて重要なパラメータは、遊離アルカリ度である。遊離アルカリ度は、2mLの浴溶液(bath solution)を好ましくは50mLに希釈し、例えば塩酸又は硫酸等の0.1Nの酸でpH8.5まで滴定することによって測定される。消費された酸溶液の量(mL単位)が、遊離アルカリ度ポイントの数を示す。
【0013】
成分c1)における「縮合リン酸塩」とは、本発明の目的のために、室温にて水溶性である、メタリン酸塩(Me[P3n])、二リン酸塩、三リン酸塩、及びポリリン酸塩(Men+2[P3n+1]又はMe[H3n+1])、イソメタリン酸塩、並びに架橋ポリリン酸塩の総称であり、Meは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属原子である。遊離アルカリ度が示された通りに調節される限りにおいて、水溶性塩の代わりに、対応するリン酸の縮合酸を用いて本発明による組成物(A)を構成することも当然可能である。本発明による組成物(A)に関する成分c2)における「縮合リン酸塩」の割合は、質量を基準で、常に対応するPOの量として算出される。同様に、縮合リン酸塩の量を包含するそのモル比を決定する場合、縮合リン酸塩のその量は、常にPOに相当する量として示される。
【0014】
水性アルカリ性組成物(A)は、特に遊離アルカリ度が5ポイント未満である場合に、良好な密着性の基準となる適切な不動態化を亜鉛表面にもたらすことが見出された。これは、特に遊離アルカリ度が4ポイント未満である場合に適切な不動態化をもたらす、スプレー法での組成物(A)の適用においても特に言えることである。驚くべきことに、亜鉛表面の鉄による表面被覆(付着量)が高いことは(約150mg/m超)、有機塗装コーティングとの密着性という点でむしろ不利に働くことが見出された。したがって、本発明による組成物(A)は、過度に高い遊離アルカリ度を有していてはならない。しかし、鉄元素に基づいて少なくとも20mg/mの十分な表面被覆(付着量)を亜鉛表面上に形成することができるように、遊離アルカリ度は、好ましくは、少なくとも2ポイントである。遊離アルカリ度が6ポイントを超える組成物(A)は、亜鉛表面上に鉄の高い表面被覆(付着量)をもたらす結果となるが、続いて適用される塗装層との密着性は、鉄元素に基づく高い表面被覆(付着量)によって大きく低下される。したがって、耐腐食性も、効果が下がるか又は不十分となる。
【0015】
組成物中の鉄(III)イオンの割合は、好ましくは、2000ppm以下である。鉄(III)イオンの割合がこれよりも高い場合、鉄(III)イオンのアルカリ性溶媒中での溶解性を、対応する高い割合の錯化剤によって維持する必要があるが、それによって亜鉛表面の不動態化という点でより有利である特性は得られないことから、工程管理という点で有利ではない。しかし、効果的な不動態化無機層が亜鉛表面上に得られ、その形成が、工程の典型的な処理時間である2分間未満で完了するためには、鉄(III)イオンの割合が少なくとも100ppm、特に好ましくは少なくとも200ppmである組成物(A)が好ましい。
【0016】
本発明によるアルカリ性組成物(A)の成分c)における錯化剤は、好ましくは、全成分c)の鉄(III)イオンに対するモル比が、1:1以上、特に好ましくは、少なくとも2:1、さらに好ましくは、少なくとも5であるような量で含有される。化学量論的に過剰量の錯化剤を用いることは、明らかに、それによって鉄(III)イオンのその割合を恒常的に溶解状態で維持可能であることから、工程管理という点で有利である。それによって、不溶性の水酸化鉄の析出は完全に抑制されるので、組成物(A)は、恒常的に安定に維持されるとともに、鉄(III)イオンが枯渇することがない。その一方で、同時に、亜鉛表面上での鉄イオンを含有する無機層の十分な成膜は行われる。したがって、過剰な錯化剤は、亜鉛のすぐ表面上にある反応領域では不溶性鉄塩の析出及び堆積を抑制せず、そこでは、組成物(A)による浸食作用(pickling attack)によってアルカリ度が上昇している。但し、費用対効果の理由から、及び錯化剤の利用における資源節約の観点から、組成物中の成分c)の鉄(III)イオンに対するモル比は、10の値を超えないことが好ましい。
【0017】
本発明による組成物(A)に含有されるリン酸イオンは、鉄イオンと並んで、亜鉛表面上で組成物(A)がそれと接触された後に形成される不動態化層の不可欠な成分である。さらなる不動態化に有利であるとともに、続いて適用される塗装層との良好な密着性を付与する亜鉛表面上の不動態化層を形成するためには、本発明による組成物は、好ましくは少なくとも200ppm、特に好ましくは少なくとも500ppmのリン酸イオンを含有することが好ましい。亜鉛表面が本発明による組成物(A)と接触された場合に形成される不動態化層の特性には、4g/kg超のリン酸イオンの割合では、それ以上好適な効果はないので、費用対効果の理由から、組成物(A)中のリン酸イオンの割合は、好ましくは、10g/kgよりも低くするべきである。
【0018】
鉄(III)イオンのリン酸イオンに対する比は、組成物(A)中の両成分の最小量が維持される限りにおいて、広い範囲にわたって変化してもよい。本発明による組成物中の鉄(III)イオンのリン酸イオンに対する質量比は、好ましくは、1:20から1:2の範囲であり、特に好ましくは、1:10から1:3の範囲である。そのような成分a)対b)の質量比を示す本発明による組成物(A)は、それが亜鉛表面と接触された後、リン酸イオンを含有し、鉄元素に基づいて20mg/mから150mg/mの表面被覆(付着量)を有する均質な灰黒色の不動態化層を形成する。
【0019】
縮合リン酸塩は、錯体を形成することにより、アルカリ性溶媒中で鉄(III)イオンを溶解状態に維持することができる。縮合リン酸塩の性質に関して特に制限は存在しないが、本発明による組成物(A)に対するその使いやすさという点で、縮合リン酸塩は、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、及び/又はポリリン酸塩から選ばれ、容易に水に溶けやすく、かつ非常に簡単に入手し易いことから、特に好ましくはピロリン酸塩から選ばれる。
【0020】
組成物(A)中に錯化剤として縮合リン酸塩と共に、又はその代わりに含有される好ましい有機化合物c1)は、その酸の状態(X=水素原子)における酸価が少なくとも250である化合物である。酸価がこれより少ないと、有機化合物に界面活性特性が付与されるので、酸価が250未満である有機化合物c1)は、乳化性の強いアニオン性界面活性剤として作用し得る。この乳化効果は、金属部材を介して洗浄工程から混入したオイル及び絞り成形用グリースの形態の不純物をアルカリ不動態化工程から除去することが、カチオン性界面活性剤の添加を例とする手間のかかる分離プロセスによってのみ可能である程、十分に強い場合があり、それによって、さらなるプロセスパラメータの制御が必要となる。したがって、浮遊オイル及びグリースの従来型の除去が可能となるように、アルカリ不動態化工程を、すなわち組成物(A)を、単に僅かに乳化性であるように調節することがより有利である。さらに、アニオン性界面活性剤は、激しく発泡する傾向があり、それは、例えば、組成物(A)をスプレーで適用する状況において、特に不利である。したがって、酸価が少なくとも250である有機錯化剤c1)を、本発明による組成物で用いることが好ましい。酸価は、DIN EN ISO2114基準に従って、(水100g中で)有機化合物c1)1gを中和するのに消費される水酸化カリウムの量(ミリグラム単位)を示す。
【0021】
本発明による組成物(A)中の好ましい有機錯化剤c1)は、α−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、及び/若しくはγ−ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、[(2−ヒドロキシエチル)(ホスホノメチル)アミノ]メチルホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)、並びに/又はアミノ−トリス−(メチレンホスホン酸)、並びに、これらの塩から選択される。
【0022】
したがって、本発明は、縮合リン酸塩c2)のみを含有する組成物(A)、有機錯化剤c1)のみを含有する組成物(A)、又はこれら両方の混合物を含有する組成物(A)を明確に包含する。しかし、組成物(A)中の有機錯化剤c1)の割合は、縮合リン酸塩から選択される錯化剤c2)が含有される程度まで低下させてよい。したがって、組成物(A)の特定の実施形態では、縮合リン酸塩から選択される錯化剤c2)、及び有機錯化剤c1)が含有される。全成分c)の鉄(III)イオンに対するモル比は1:1より大きいが、成分c1)の鉄(III)イオンに対するモル比は1:1未満であり、特に好ましくは3:4未満であるが、好ましくは少なくとも1:5である。2つの錯化剤c1)及びc2)の混合物が有利である。その理由は、縮合リン酸塩が、高温でアルカリ性溶媒中の組成物(A)のリン酸イオンと平衡状態にあり、それによって層形成によって消費されたリン酸イオンが、縮合リン酸イオンからゆっくり補充されるからである。しかし、逆に、縮合リン酸塩が単独で存在する場合、それは、亜鉛表面上に鉄及びリン酸塩を含有するアルカリ不動態化層を形成するのに十分ではないので、その割合のリン酸イオンが組成物(A)中に存在することは必須である。但し、縮合リン酸塩の存在下で、特に溶解性の低いリン酸塩の析出、例えばリン酸鉄の析出は、有機錯化剤c2)との相互作用により、高pH値(10超)においてさえも抑制される。したがって、本発明において、組成物(A)が錯化剤の混合物を含有することが好ましいが、成分c1)の鉄(III)イオンに対するモル比が少なくとも1:5となるように注意することが好ましい。
【0023】
処理される金属表面を洗浄する能力を高める目的で、本発明による組成物は、さらに非イオン性界面活性剤を含有していてよい。非イオン性界面活性剤を含有する組成物(A)によって金属表面が追加で洗浄されて活性化されることで、表面活性物質として非イオン性界面活性剤を含有しない本発明による組成物(A)と比較して、亜鉛表面上の不動態化層がより均質に形成されるという利点が得られる。金属部材の亜鉛表面上の不動態化が均質に行われることは、その金属部材上にその後に適用される有機塗装系の同様の均質な密着性にとって基本的な必須条件である。非イオン性界面活性剤は、エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたC10からC18の脂肪アルコールの1つ以上から選択されることが好ましい。そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化されたC10からC18の脂肪アルコールは、好ましくは、合計で少なくとも2個であるが12個は超えないアルコキシ基、特に好ましくはエトキシ基及び/又はプロポキシ基、を有し、その一部は、アルキル残基で末端封止される形で存在していてよく、特に好ましくはメチル残基、エチル残基、プロピル残基、ブチル残基で末端封止される形で存在していてよい。金属表面の十分な洗浄及び活性化のために、本発明による組成物(A)中の非イオン性界面活性剤の濃度は、少なくとも10ppmが好ましく、特に好ましくは少なくとも100ppmであり、費用対効果の理由から、含有される非イオン性界面活性剤は、10g/kgを超えないことが好ましい。本発明による組成物(A)における高乳化性アニオン性界面活性剤の使用は、これまでに既に説明した理由から避けるべきである。したがって、組成物(A)中のその濃度は、500ppmを超えないことが好ましく、100ppmを超えないことが特に好ましい。
【0024】
本発明のさらなる利点は、亜鉛表面の不動態化のための従来のアルカリ性組成物に用いられている重金属イオンの添加を完全に省略することができるということである。したがって、本発明による組成物(A)は、好ましくは、ニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン、クロム、及び/又はセリウムから選択される重金属を含有しない。しかし、前処理工程の作用という点において、不動態化工程で用いられる本発明による組成物(A)中にこれらの重金属が少量存在することを完全に回避することはできない。例えば、ニッケル及びマンガンは、通常、鋼の合金成分であり、これらは、組成物(A)による処理の状況下で、自然酸化層の部分的な溶解により、不動態化工程へ入り込んでくる可能性がある。
【0025】
したがって、好ましくは、本発明による組成物(A)のニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン、クロム、及び/又はセリウムの金属のイオン性化合物の含有量は、合計で10ppm未満であり、特に、ニッケル及び/又はコバルトの金属のイオン性化合物の含有量は1ppm未満である。
【0026】
本発明による方法のアルカリ不動態化の過程で、金属部材の亜鉛表面をピックリングすることにより、亜鉛イオンの水性組成物(A)中への溶出が引き起こされる。処理される金属部材が亜鉛表面と共にアルミニウムから成る表面も含む場合、同じことがアルミニウムイオンにも引き起こされる。しかし、亜鉛及びアルミニウムの元素の金属カチオンは、組成物(A)の効果に対して有害な影響を及ぼすことはないので、それらは許容される。
【0027】
本発明による組成物(A)の特定の実施形態は、
a)0.05g/kgから2g/kgの鉄(III)イオン、
b)0.1g/kgから4g/kgのリン酸イオン、
c)少なくとも0.1g/kgの錯化剤であって、−COOX、−OPOX、及び/又は−POXから選択される少なくとも1つの官能基を有し、ここでXは、水素原子、又はアルカリ金属原子及び/若しくはアルカリ土類金属原子のいずれかを表す、有機化合物c1)、並びに/又は、POとして算出される縮合リン酸塩c2)、から選択される錯化剤、
d)合計で0.01g/kgから10g/kgの非イオン性界面活性剤、
e)合計で、10ppm未満のニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン、クロム、及び/又はセリウムの金属のイオン性化合物、特に、1ppm未満のニッケル及び/又はコバルトの金属のイオン性化合物、
を含有し、POとして算出される縮合リン酸塩c2)の含有量は10g/L以下であり、成分c1)及びc2)の合計の鉄(III)イオンに対するモル比は、1:1よりも大きく、遊離アルカリ度は、6ポイント未満であり、pHは10.5以上である。
【0028】
本発明は、以下の組成:
a)0.05g/kgから2g/kgの鉄(III)イオン、
b)0.1g/kgから4g/kgのリン酸イオン、
c)少なくとも0.1g/kgの錯化剤であって、−COOX、−OPOX、及び/又は−POXから選択される少なくとも1つの官能基を有し、ここでXは、水素原子、又はアルカリ金属原子及び/若しくはアルカリ土類金属原子のいずれかを表す、有機化合物c1)、並びに/又は、POとして算出される縮合リン酸塩c2)、から選択される錯化剤、
d)合計で0.01g/kgから10g/kgの非イオン性界面活性剤、
e)合計で、10ppm未満のニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン、クロム、及び/又はセリウムの金属のイオン性化合物、特に、1ppm未満のニッケル及び/又はコバルトの金属のイオン性化合物、
f)合計で0.1g/kg未満の有機高分子成分、
g)成分a)、b)、及びe)と当量である対イオン、
h)残量として、ドイツ硬度30°以下の硬度を有する水、
を有し、POとして算出される縮合リン酸塩c2)の含有量は10g/L以下であり、成分c1)及びc2)の合計の鉄(III)イオンに対するモル比は、1:1よりも大きく、遊離アルカリ度は、6ポイント未満であり、pHは10.5以上である組成物(A)を特に包含する。
【0029】
本発明は、同様に、少なくとも部分的に亜鉛表面を有する金属部材のアルカリ不動態化のための方法を包含し、その金属部材は、本発明によるアルカリ性水性組成物(A)と接触される。
【0030】
この方法の好ましい実施形態では、金属部材のアルカリ性水性組成物(A)との接触は、少なくとも30秒間であるが、4分間以下、少なくとも30℃、特に好ましくは少なくとも40℃であるが、70℃以下、特に好ましくは60℃以下の温度で行われる。既に考察したように、本発明による組成物(A)は、亜鉛表面の不動態化をもたらす。不動態化層の形成は、この状況では、自己制御的な形で発生する。すなわち、組成物(A)の特定の配合に応じて、特定の最大表面被覆(付着量)が得られる。本発明による方法における好ましい処理時間又は接触時間は、鉄の表面被覆(付着量)が少なくとも20mg/mとなるように選択されるべきである。この種の最小表面被覆(付着量)が得られるための処理時間及び接触時間は、適用方法に応じて様々であり、特に、処理される金属表面上で作用する水性流体の流量に依存する。例えば、不動態化系の形成は、組成物の適用が浸漬ではなくスプレーで行われる方法において、より素早く発生する。適用方法に関わらず、200mg/mを大きく超える鉄による表面被覆(付着量)は、不動態化層の形成が自己制御的であることから、本発明による組成物(A)で得られることはない。
【0031】
本発明による組成物(A)を、少なくとも部分的に亜鉛表面を有する金属部材と、接触させて、亜鉛表面上の不動態化層を十分に形成させ、かつ最適な密着性向上特性を得るためには、少なくとも20mg/mであるが150mg/mを超えない鉄による表面被覆(付着量)が、アルカリ不動態化の直後にその後の水洗工程の有無にかかわらず、存在しているべきである。
【0032】
本発明による方法は、自動車の車体の前処理において特に技術的な重要性を有している。その理由は、車体のアルカリ洗浄の後すぐに、すなわち水洗工程を挿むことなく、アルカリ不動態化を行うことができるからである。本発明による組成物(A)が、非イオン性界面活性剤を追加して含有する場合は、車体のアルカリ洗浄及び亜鉛表面のアルカリ不動態化を一工程で行うことができる。したがって、水洗工程によってアルカリ洗浄工程とアルカリ不動態化工程とを分離することは、洗浄とアルカリ不動態化とを2つの方法工程にて異なる浴中で行うのと同様に、不必要である。
【0033】
それに対応して、本発明による方法は、少なくとも部分的に亜鉛表面を有する金属部材が、まず洗浄脱脂浴中にてアルカリ洗浄剤と接触され、そのアルカリ洗浄剤は好ましくは9から14の範囲のpHを有し、その後に水洗工程を行うことなく、アルカリ性水性組成物(A)と続いて接触されるということに、特に少なくとも注目すべきである。
【0034】
本発明による方法では、既に考察したように、鉄及びリン酸塩を含有する無機不動態化層が亜鉛表面上に形成される。一方、この種の無機層の成膜は、他の金属部材の表面上、例えば、鉄、鋼、及び/又はアルミニウムの表面では検出することができない。不動態化層が亜鉛表面上に特異的に成膜されることは、驚くべきことに、金属部材全体の酸不動態化が追加で行われた場合に、その表面の腐食防止特性の明確な向上という結果をもたらす。この種の酸不動態化は、自動車業界では通常の作業であり、標準的な方法では、前処理された車体の浸漬コーティングで開始される有機塗装コーティング形成前の前処理のためのものである。したがって、本発明による方法は、アルカリ不動態化に続くさらなる方法工程として、水洗工程を挿んで酸不動態化が行われる場合に特に有利である。この酸不動態化は、ジルコニウム、チタン、及び/又はハフニウムの元素の水溶性無機化合物を前記の元素に基づいて合計で少なくとも5ppmであるが、合計で1500ppmを超えずに含有し、好ましくは並びにフッ化物イオンを放出する水溶性無機化合物も含有する酸性水性組成物(B)と金属部材とを接触させることによって行われる。
【0035】
本発明による既述の好ましい方法における酸不動態化のための酸性組成物(B)は、好ましくは、クロムフリーである。すなわち、それが含有するクロムは、10ppm未満、好ましくは1ppm未満であり、特にクロム(VI)をまったく含有しない。本発明による方法においてさらに好ましいのは、ジルコニウム、チタン、及び/又はハフニウムの元素の水溶性化合物として、ジルコニウム及び/又はチタンの元素の水溶性化合物のみを、特に好ましくはジルコニウム元素の水溶性成分を含有する酸性水性組成物(B)である。ジルコニウム及び/又はチタンの元素の好ましい水溶性化合物は、水溶液中でチタン及び/又はジルコニウムの元素のフルオロ錯体のアニオンへ解離する化合物である。そのような好ましい化合物は、例えば、HZrF、KZrF、NaZrF、及び(NHZrF、並びに類似のチタン化合物である。チタン及び/又はジルコニウムの元素のフッ素フリーである化合物もまた、本発明による水溶性化合物として用いることができ、例えば、(NHZr(OH)(CO又はTiO(SO)である。本発明による方法において、酸性水性組成物(B)は、好ましくは、銅イオンへ解離する水溶性無機化合物として、特に、少なくとも1ppmであるが、50ppmは超えない銅イオンを含有する。
【実施例】
【0036】
亜鉛めっき鋼板(HDG:Gardobond(登録商標)EA;ZE:Gardobond(登録商標)MBZE5;ケメタール社(Chemetall Co.))の前処理のためのスプレー装置における個々の方法工程
【0037】
A.アルカリ洗浄(pH11):
PO、K、グルコン酸ナトリウム、ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のナトリウム塩、KOHを含有する、3質量% Ridoline(登録商標)1574A(ヘンケル社(Henkel Co.));0.4質量% Ridosol(登録商標)1270(ヘンケル社)
60℃及び1バールのスプレー圧での処理時間:120秒
【0038】
B.脱イオン水(<1μScm−1)による水洗
【0039】
C.アルカリ不動態化:
組成物(A)の構成
1.09質量% KOH
0.19質量% HPO
0.22質量% K
0.06質量% グルコン酸ナトリウム
0.04質量% ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のナトリウム塩
0.23質量% Fe(NO・9H
残量 脱イオン水(<1μScm−1
pH:13
遊離アルカリ度:2ポイント
55℃及び1バールのスプレー圧での処理時間:60秒
【0040】
D.酸不動態化:
組成物(B)の構成
0.35g/L HZrF
0.12g/L フッ化水素アンモニウム
39ppm Cu(NO・3H
残量 脱イオン水(<1μScm−1
pH:4
30℃及び1バールのスプレー圧での処理時間:120秒
【0041】
E.塗装:
Cathoguard(登録商標)500(BASF社);層厚:20μmから22μm
【0042】
組成物(A)との接触による亜鉛表面上の不動態化層の形成に対するpHの影響を表1に表す。表1には、11よりも高いpHでのみ、鉄による十分な表面被覆(付着量)が得られていることが明らかに示されている。
【0043】
【表1】

【0044】
表2は、亜鉛めっき鋼帯のカソード浸漬コーティング下の浸透腐食に対する、本発明による方法(方法手順A−C−B−D−B−E)によるアルカリ不動態化の影響、及び耐チッピング性試験の結果を示す。本発明による方法で得られた腐食値及び塗装密着性値は、酸不動態化及びそれに続く浸漬コーティングの前の前処理としてアルカリ洗浄のみを行う方法(方法手順A−B−D−B−E)と比較して、明らかに向上されている。
【0045】
【表2】

【0046】
アルカリ不動態化が高遊離アルカリ度(A−C−B−D−B−Eの方法手順)で行われる場合、亜鉛表面上の鉄による表面被覆(付着量)は増加するが、耐チッピング性試験による塗装密着性は特に劣化する。塗装密着特性という点での劣化は、6ポイントの遊離アルカリ度にて既に著しい。リン酸塩及びピロリン酸塩を含有しない組成物がアルカリ不動態化工程で用いられるという点のみが本発明による方法と異なっている方法手順A−C−B−D−B−Eは、本発明による方法と比較して、(十分な鉄による表面被覆(付着量)にも関わらず)劣った腐食防止のレベルを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも50ppmの鉄(III)イオン、
b)少なくとも100ppmのリン酸イオン、
c)少なくとも100ppmの錯化剤であって、−COOX、−OPOX、及び/又は−POXから選択される少なくとも1つの官能基を有し、ここでXは、水素原子、又はアルカリ金属原子及び/若しくはアルカリ土類金属原子のいずれかを表す有機化合物c1)、並びに/又は、POとして算出される縮合リン酸塩c2)、から選択される錯化剤、
を含有する水性アルカリ性組成物(A)であって、前記組成物は、少なくとも1ポイントであるが6ポイント未満である遊離アルカリ度、及び10.5以上のpHを有する、水性アルカリ性組成物(A)。
【請求項2】
5ポイント未満であるが、好ましくは少なくとも2ポイントである遊離アルカリ度を有する、請求項1に記載の組成物(A)。
【請求項3】
少なくとも100ppmであるが2000ppmを超えない鉄(III)イオンが含有される、請求項1から2のいずれか一項又は両項に記載の組成物(A)。
【請求項4】
鉄(III)イオンのリン酸イオンに対する質量比が、1:20から1:2の範囲内である、請求項1から3のいずれか一項以上に記載の組成物(A)。
【請求項5】
全ての成分c)の鉄(III)イオンに対するモル比が、1:1より大きく、好ましくは少なくとも2:1であり、特に好ましくは少なくとも5である、請求項1から4のいずれか一項以上に記載の組成物(A)。
【請求項6】
好ましくはピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、及び/又はポリリン酸塩から選択される縮合リン酸塩c2)が、成分c)として含有されている、請求項1から5のいずれか一項以上に記載の組成物(A)。
【請求項7】
プロトン化された状態で好ましくは少なくとも250の酸価を有する有機化合物c1)が、成分c2)と共に含有されている、請求項6に記載の組成物(A)。
【請求項8】
前記有機化合物c1)が、α−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、及び/若しくはγ−ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、[(2‐ヒドロキシエチル)(ホスホノメチル)アミノ]メチルホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)、並びに/又はアミノ−トリス−(メチレンホスホン酸)、並びに、これらの塩から選択され、成分c1)の鉄(III)イオンに対するモル比が、1:1未満であり、好ましくは3:4未満であるが、好ましくは少なくとも1:5に等しい、請求項5、6、及び7に記載の組成物(A)。
【請求項9】
合計で少なくとも2個であるが12個は超えないアルコキシ基を有し、その一部は、アルキル残基で末端封止される形で存在していてよい、エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたC10からC18の脂肪アルコールの1つ以上から好ましくは選択される非イオン性界面活性剤をさらに含有する、請求項1から8のいずれか一項以上に記載の組成物(A)。
【請求項10】
ニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン、クロム、及び/又はセリウムの金属のイオン性化合物が、合計で10ppm未満、特に、ニッケル及び/又はコバルトの金属のイオン性化合物が、1ppm未満含有される、請求項1から9のいずれか一項以上に記載の組成物(A)。
【請求項11】
a)0.05g/kgから2g/kgの鉄(III)イオン、
b)0.1g/kgから4g/kgのリン酸イオン、
c)少なくとも0.1g/kgの錯化剤であって、−COOX、−OPOX、及び/又は−POXから選択される少なくとも1つの官能基を有し、ここでXは、水素原子、又はアルカリ金属原子及び/若しくはアルカリ土類金属原子のいずれかを表す、有機化合物c1)、並びに/又は、POとして算出される縮合リン酸塩c2)、から選択される錯化剤、
d)合計で0.01g/kgから10g/kgの非イオン性界面活性剤、
e)合計で、10ppm未満のニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン、クロム、及び/又はセリウムの金属のイオン性化合物、特に、1ppm未満のニッケル及び/又はコバルトの金属のイオン性化合物、
を含有し、POとして算出される縮合リン酸塩c2)の含有量は10g/L以下であり、成分c1)及びc2)の合計の鉄(III)イオンに対するモル比は、1:1よりも大きい、請求項1から10のいずれか一項以上に記載の組成物(A)。
【請求項12】
少なくとも部分的に亜鉛若しくは亜鉛合金の表面を有する請求項1から11に記載の金属部材のアルカリ不動態化のための方法であって、ここで、前記金属部材は、請求項1から10のいずれか一項以上に記載のアルカリ性水性組成物(A)と接触される、方法。
【請求項13】
前記金属部材の亜鉛若しくは亜鉛合金の前記表面が、アルカリ不動態化の直後にその後の水洗工程の有無にかかわらず、少なくとも20mg/mと等しいが、150mg/mは超えない鉄による表面被覆を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属部材が、まず洗浄脱脂浴中にてアルカリ洗浄剤と接触され、前記アルカリ洗浄剤は9から14の範囲のpHを有し、その後に水洗工程を行うことなく、前記金属部材が、前記アルカリ性水性組成物(A)と続いて接触される、請求項12及び13のいずれか一項又は両項に記載の方法。
【請求項15】
前記アルカリ不動態化の後に、さらなる方法工程として、水洗工程を挿んで酸不動態化が行われ、前記酸不動態化は、ジルコニウム、チタン、及び/又はハフニウムの元素の水溶性無機化合物を前記元素に基づいて合計で少なくとも5ppmであるが、合計で1500ppmを超えずに含有し、並びにフッ化物イオンを放出する水溶性無機化合物を好ましくは含有する酸性水性組成物(B)と前記金属部材とを接触させることによって実施される、請求項12から14のいずれか一項以上に記載の方法。

【公表番号】特表2013−518988(P2013−518988A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551566(P2012−551566)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050526
【国際公開番号】WO2011/098322
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000229597)日本パーカライジング株式会社 (198)
【Fターム(参考)】