交差反応性の増強のための複合カプシドアミノ酸配列を含むウイルス様粒子
本発明は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。特に、本発明は、少なくとも1つの複合ポリペプチドを含むウイルス様粒子を提供する。このようなウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株の抗原性エピトープを有し、該非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株に対する抗血清交差反応性を増大させる。複合ウイルス様粒子の製造方法および複合ウイルス様粒子を含むワクチン製剤もまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 関連出願への相互参照
この出願は、2008年8月8日に出願された米国仮出願第61/087,504号および2009年6月19日に出願された米国仮出願第61/218,603号に基づく利益を主張するものであり、両仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本発明は、ワクチン、とりわけ、非エンベロープウイルスの2つ以上のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有するウイルス様粒子を含むワクチンの分野にある。さらに、本発明は、ワクチン組成物を調製する方法、および本発明のワクチン組成物を用いて防御性免疫応答を誘発する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 季節性のまたは年ごとのパターンを有するウイルスに対するワクチンを調製するために普及しているアプローチは、市販のインフルエンザワクチンによってモデル化されており、これらのワクチンは、ウイルスが進化して異なる抗原プロフィールを示すようになると、新たなワクチンの予想、公表、およびその後の合成を要する。このアプローチでは、翌年のウイルス株を予想して新たな抗原が合成されるため、著しい時系列的な遅延および費用が生じる。さらに、2008年のインフルエンザワクチンの失敗により証明されるように、予測株を誤ると、患者が防御下にあるほど、著しい疾患関連費用が生じ得る。したがって、疾患を引き起こすウイルスの複数の循環株に対して防御するためのワクチンを設計および調製するための改良された方法が望ましい。
【0004】
[004] ノロウイルスは、非細菌性胃腸炎の流行的発生の単一の最も重要な原因として出現している、培養不可能なヒトカリシウイルスである(Glass et al.(2000)J Infect Dis, Vol. 181(Sup 2): S254-S261; Hardy et al.(1999)Clin Lab Med, Vol. 19(3): 675-90)。これらのウイルスは、5つの異なる遺伝子群にグループ化されており、そのうち遺伝子群IおよびIIは、25を超える遺伝子型にさらに分けられ、このウイルスに起因するヒトにおける病気の大部分についての作用物質である。ノロウイルスに対するワクチンを開発するために、培養物および急性胃腸炎の適切な動物モデルにおけるウイルスの繁殖の欠如を含む、多大なる挑戦がなされている。したがって、ウイルスの弱毒化またはインビトロでの中和アッセイを含む標準的なウイルス学的技術は今日のところ不可能である。
【0005】
[005] ノロウイルスは、3つのオープンリーディングフレームを含有する、7.5Kbの一本鎖プラスセンスRNAゲノムを含有する。主要ウイルスカプシドタンパク質(VP1)はORF2によってコードされており、このタンパク質が発現すると、ウイルスの構造を模倣するが複製能を有しないウイルス様粒子(VLP)が、自然発生的に組み立てられる。この構造は、VP1の180個のモノマーサブユニットからなり、急性胃腸炎を予防するためのワクチン候補である。VP1モノマーは、内部のウイルス核を形成するshell(S)ドメイン、および柔軟なヒンジによって連結されている、突出したprotruding(P)ドメインという、2つのドメインを有する。Pドメインは、P1およびP2という2つのサブドメインにさらに分けられ、P2は、最も表面にある露出した領域であり、重要な細胞認識部位および抗原部位を含有すると考えられている。相同性分析は、VP1の超可変アミノ酸領域の大部分がP2ドメイン内に位置することを示す(Allen et al.(2008)PLoS One, Vol. 1: 1-9)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[006] 近年の疫学的研究により、ノロウイルスの進化は、インフルエンザウイルスで観察されるのと同様に、停止期間とその後の新たな流行株の出現とを伴う点で画期的であるという仮定が導かれている。最近の発生は、およそ2年間の持続間隔でのGII.4遺伝子型の変異ウイルスの出現に関連すると考えられる。当技術分野において、それぞれの現代の発生株に対するワクチンの構築の必要性をなくす、複数のノロウイルスまたは他の非エンベロープウイルス株に対して交差防御的である抗原性エピトープを提供するワクチン候補が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[007] 本発明は、多くの循環ウイルス株のエピトープを結合する、複合カプシド配列を含むポリペプチドを、複数のウイルス株に対するさらに強固な免疫学的応答を生じさせるために用いることができるという発見に一部基づいている。このようなポリペプチドは、ウイルスのいくつかの循環株に対して防御的であり、したがって、株ごとおよび年ごとの防御を向上させるワクチン製剤を調製するために用いることができる。
【0008】
[008] 本発明は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを提供し、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、少なくとも1つのポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。一実施形態において、少なくとも1つの複合ポリペプチドを含むウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する。別の実施形態において、複合ポリペプチドまたは複合ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株に対する抗血清交差反応性を、前記1つまたは複数の循環株から得られるタンパク質のみを含有するウイルス様粒子での免疫によって得られる抗血清交差反応性と比較して増大させる。
【0009】
[009] ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むことができ、非エンベロープウイルスは、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される。一実施形態において、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。別の実施形態において、カリシウイルスはノロウイルスまたはサポウイルスである。ノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。
【0010】
[010] コンセンサス配列は、同一の遺伝子群および遺伝子型に分類される2つ以上のノロウイルス株に由来し得る。一実施形態において、コンセンサス配列は、遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株、例えばHouston株、Minerva株、およびLaurens株に由来する。別の実施形態において、コンセンサス配列は、1つの遺伝子群内の少なくとも2つの異なる遺伝子型のノロウイルス株に由来する。さらに別の実施形態において、コンセンサス配列は、少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株に由来する。
【0011】
[011] 本発明はまた、2つ以上の循環カリシウイルス株に由来する少なくとも1つの複合ポリペプチドと、ノロウイルスなどの、第2の非エンベロープウイルスから得られるカプシドタンパク質とを含むウイルス様粒子を包含する。カプシドタンパク質は、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスから得られるVP1および/またはVP2タンパク質であり得る。別の実施形態において、ウイルス様粒子は、カリシウイルスの2つ以上の循環株に由来する少なくとも1つの複合ポリペプチドと、第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株に由来する第2の複合ポリペプチドとを含む。好ましくは、ウイルス様粒子は、第1のカリシウイルスの2つ以上の循環株および第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する。
【0012】
[012] 本発明はまた、複合アミノ酸配列を有する、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントを提供し、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、ポリペプチドは、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。非エンベロープウイルスは、サポウイルスまたはノロウイルスなどのカリシウイルスであり得る。あるいは、非エンベロープウイルスはパピローマウイルスであり得る。
【0013】
[013] 本発明は、本発明の1つまたは複数の複合ポリペプチドまたは複合ウイルス様粒子を含むワクチン製剤を企図とする。複合ウイルス様粒子のそれぞれは、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含む。非エンベロープウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ワクチン製剤はアジュバントをさらに含む。他の実施形態において、ワクチン製剤は送達物質をさらに含む。さらに他の実施形態において、ワクチン製剤は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。ワクチン製剤は、液体製剤または乾燥粉末製剤であり得る。
【0014】
[014] 本発明はまた、本明細書において開示されるワクチン製剤を対象に投与することを含む、対象におけるウイルス感染に対する防御性免疫を誘発する方法を提供する。1つの実施形態において、ウイルス感染はノロウイルス感染である。別の実施形態において、ワクチン製剤は、ノロウイルス感染の1つまたは複数の症状からの防御をもたらす。
【0015】
[015] 本発明はまた、複合ウイルス様粒子を作製する方法を対象とする。一実施形態において、本方法は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質のアミノ酸配列をアラインすること、前記アラインされたアミノ酸配列からコンセンサス配列を決定すること、前記コンセンサス配列に基づいて、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する複合配列を調製すること、および宿主細胞において前記複合配列を発現させ、それによりウイルス様粒子を産生することを含む。非エンベロープウイルスは、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】[016]遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号2)を示す図である。コンセンサス配列は、Houston株、Minerva株、およびLaurens株のアラインメントから決定した。
【図2】[017]遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルスから得られる複合VP1タンパク質をコードするヌクレオチド配列(配列番号3)を示す図である。
【図3】[018]ショ糖勾配精製された複合VLPのSDS−PAGE/クマシー分析を示す図である。
【図4】[019]ショ糖勾配によって精製された、複合物発現細胞の培養上清の、220nm(上部)および280nm(下部)で読み取った、HPLC SECクロマトグラムを示す図である。
【図5】[020]カラムクロマトグラフィーによって精製された複合配列VLPのSDS−PAGE/銀染色分析を示す図である。
【図6】[021]複合VLPの、280nmで読み取ったHPLC SECクロマトグラムを示す図である。
【図7】[022]複合VLP(CVLP)での免疫が抗原特異的IgGを引き起こすことを示す図である。0日目および7日目に、7頭のマウスからなる群を、様々な濃度のCVLP(X軸上に示される)で免疫(腹腔内)した。14日目に血清を回収し、CVLP特異的IgGをELISAによって測定した。水平な線は、それぞれの処理群の幾何平均を示す。
【図8】[023]複合VLP/Norwalk VLP(CVLP/NVLP)の組合せでの免疫がNVLP特異的IgGを引き起こすことを示す図である。0日目および14日目に、7頭のマウスからなる群を、様々な濃度のNVLPのみ(紫のバー)または等量のCVLPと組み合わせたNVLP(黒のバー)で免疫(腹腔内)した。21日目に血清を回収し、NVLP特異的IgGをELISAによって測定した。データは、平均+平均の標準誤差(SEM)として報告される。
【図9】[024]複合VLP/Norwalk VLP(CVLP/NVLP)の組合せでの免疫がCVLP特異的IgGを引き起こすことを示す図である。0日目および14日目に、7頭のマウスからなる群を、様々な濃度のVLPのみ(緑のバー)または等量のNVLPと組み合わせたVLP(黒のバー)のいずれかで免疫(腹腔内)した。21日目に血清を回収し、CVLP特異的IgGをELISAによって測定した。データは、平均+平均の標準誤差(SEM)として報告される。
【図10】[025]CVLP特異的IgGが他のノロウイルス単離体と交差反応することを示す図である。複合VLPまたはGII.4 2002VLPのいずれかでの単回免疫の21日後に測定された抗体力価は、複合VLPが、GII.4 2002VLPと比較して約10倍高い力価を引き起こすことを示す。全てのGII.4 VLPで免疫された動物についての抗体力価は、GI.1 VLPに対して弱い交差反応性を示す。データは、幾何平均+平均の標準誤差(SEM)として表される。
【図11】[026]0日目および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。28日目に血清を回収し、VLP特異的IgGを評価した。得られたデータをlog変換し、線形回帰分析によって評価した。IgGの力価は、希釈の逆数として表され、幾何学的な平均力価として示される。
【図12】[027]0日目および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。75日目に脾臓を回収し、断片化されていない細胞を、培養物内で5日間にわたりNVLPまたはCVLPで刺激し、チミジンの組込み量を測定した。平均およびSDが、X軸上に示される処理群におけるそれぞれのウサギについて示される。データは平均+SDとして表される。
【図13】[028]0日目および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。75日目に脾臓および腸間膜リンパ節(LN)を回収し、VLP特異的な記憶B細胞の存在についてELISPOTによって分析した。個別の応答が、NVLPおよびCVLPについて示される。データは、100万個の細胞存在量当たりのVLP特異的IgG分泌細胞の数として表される。
【図14】[029]0日目、14日目、および21日目に、説明文において示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。21日目および35日目に血清を回収し、NVLP特異的なIgGおよびIgAをELISAによって測定した。結果は、群の幾何平均+SEMとして表される。
【図15】[030]0日目、14日目、および21日目に、説明文において示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。21日目および35日目に血清を回収し、CVLP特異的なIgGおよびIgAをELISAによって測定した。結果は、群の幾何平均+SEMとして表される。
【図16】[031]0日目、14日目、および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。35日目に脾臓を回収し、断片化されていない細胞をインビトロで5日間にわたり刺激した。脾臓細胞を、グラフの説明文において示される2つの遺伝子群の様々なVLPで刺激した。結果は、群の幾何平均+SDとして表される。
【図17】[032]0日目および7日目に、X軸上に示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてマウスを腹腔内で免疫した。14日目に血清を回収し、VLP特異的IgGの存在をELISAによって分析した。個別の応答が示され、力価は希釈の逆数として表される。水平なバーは、群の幾何平均を表す。
【図18】[033]0日目および7日目に、X軸上に示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてマウスを腹腔内で免疫した。14日目に血清を回収し、ヒト赤血球(O型プラス)の凝集を阻害し得る抗体の存在を分析した。個別の応答が示され、力価は希釈の逆数として表される。水平なバーは、群の幾何平均を表す。
【図19】[034]0日目および21日目に、VLPワクチン製剤(Norwalk VLP+複合GII. 4 VLP)50μgを用いて鼻腔内で免疫されたウサギにおける、血清の抗VLP IgGを示す図である。個別の応答が示され、35日目に回収された血清からのμg/mLで表される。バーは、群の幾何平均を示す。
【図20】[035]遺伝子群IIのノロウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号7)を示す図である。コンセンサス配列は、GII.1(受託番号:AAL13001)株、GII.2 Snow Mountain(受託番号:AAB61685)株、およびGII.3(受託番号:AAL12998)株のアラインメントから決定された。「x」は、3株全ての間でアミノ酸が異なった位置を示す。
【図21】[036]遺伝子群Iのノロウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号12)を示す図である。コンセンサス配列は、Norwalkウイルス(受託番号:M87661)株、Southampton(受託番号:Q04542)株、およびChibaウイルス(受託番号:BAB18267)株のアラインメントから決定された。「x」は、3株全ての間でアミノ酸が異なった位置を示す。
【図22】[037]ヒトパピローマウイルスから得られるL1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号17)を示す図である。コンセンサス配列は、HPV−11ウイルス株、HPV−16ウイルス株、およびHPV−18ウイルス株のアラインメントから決定された。「x」は、3株全ての間でアミノ酸が異なった位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[038] 本発明は、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドを含むワクチン製剤を提供し、複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの循環株のカプシド配列に由来する。このようなポリペプチド配列から産生されるウイルス様粒子は、いくつかのウイルス株に対する抗原性エピトープを提供し、複数の株からのウイルス感染に対して防御的である免疫応答を誘発するために使用することができる。したがって、本発明は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むウイルス様粒子を提供する。本明細書において用いられる「複合アミノ酸配列」または「複合配列」は、少なくとも2つのウイルスタンパク質配列のコンセンサス配列に由来する配列である。一実施形態において、ウイルスタンパク質配列はカプシド配列である。複合アミノ酸配列は、コンセンサス配列内の可変的な位置で2つ以上のアミノ酸の1つを選択することにより、コンセンサス配列に由来し得る。
【0018】
[039] 本明細書において用いられる場合、「コンセンサス配列」は、1つまたは複数の可変的なアミノ酸を含有する配列であり、2つ以上のウイルスのウイルスタンパク質配列をアラインおよび比較することによって決定される。コンセンサス配列はまた、2つ以上のウイルスのヌクレオチド配列をアラインおよび比較することによって決定され得る。コンセンサス配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、6つ以上の、7つ以上の、8つ以上の、または9つ以上の循環株のタンパク質配列またはヌクレオチド配列から決定され得る。
【0019】
[040] 複合アミノ酸配列を有するポリペプチドは、コンセンサス配列を決定するために用いられる2つ以上の循環株のタンパク質配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なる、少なくとも2つの異なる、少なくとも3つの異なる、少なくとも4つの異なる、少なくとも5つの異なる、少なくとも6つの異なる、少なくとも7つの異なる、少なくとも8つの異なる、少なくとも9つの異なる、少なくとも10個の異なる、少なくとも15個の異なる、少なくとも20個の異なる、少なくとも25個の異なる、少なくとも30個の異なる、少なくとも35個の異なる、少なくとも40個の異なる、少なくとも45個の異なる、または少なくとも50個の異なるアミノ酸を含有し得る。いくつかの実施形態において、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し得る。
【0020】
[041] 本発明の1つの実施形態において、ウイルス様粒子(VLP)は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含み、前記複合アミノ酸配列は、エンベロープを有さない2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、少なくとも1つのポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。好ましくは、ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、6つ以上の、7つ以上の、8つ以上の、または9つ以上の循環株の抗原特性を有する。いくつかの実施形態において、ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの1つもしくは複数の、2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、6つ以上の、7つ以上の、8つ以上の、または9つ以上の循環株に対する抗血清交差反応性を、1つまたは複数の循環株から得られるタンパク質のみを含有するウイルス様粒子での免疫によって得られる抗血清交差反応性と比較して増大させる。1つの実施形態において、ウイルス様粒子は、抗血清交差反応性を少なくとも2倍増大させる。
【0021】
[042] 別の実施形態において、ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含み、非エンベロープウイルスは、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される。本発明はまた、出願時には特徴付けも発見もされていない、非エンベロープウイルスの株も含む。いくつかの実施形態において、とりわけ、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。カリシウイルスは、ヒトにおける感染の原因となるノロウイルスおよびサポウイルス、ならびに動物の感染に関連するラゴウイルスおよびベシウイルスという4つの属に分けられる。好ましい実施形態において、カリシウイルスはサポウイルスまたはノロウイルスである。
【0022】
[043] ノロウイルス属は、2つの主要な遺伝子群(GIおよびGII)にまず分けられる。2つの他の遺伝子群(GIIIおよびGIV)が提案され、一般に認められている。GIIIの代表はウシのJena株である。GIVは現時点では、Alphatronという1つのウイルスを含有する。GI群およびGII群はさらに、遺伝的分類に基づいて集団または遺伝子型に分離される(Ando et al.(2000)J. Infectious Diseases, Vol. 181(Supp2):S336-S348; Lindell et al.(2005)J. Clin. Microbiol., Vol. 43(3): 1086-1092)。本明細書において用いられる場合、遺伝集団という用語は、遺伝子型という用語とほぼ同じ意味で用いられる。遺伝子群Iにおいては、GI.1(Norwalk)、GI.2(Southhampton)、GI.3(Desert Shield)、GI.4(Cruise Shipウイルス/Chiba)、GI.5(318/Musgrove)、およびGI.6(Hesse)という6つのGI集団(プロトタイプウイルス株の名称を伴う)が存在する。遺伝子群IIにおいては、GII.1(Hawaii)、GII.2(Snow Mountain/Melksham)、GII.3(Toronto)、GII.4(Bristol/Lordsdale)、GII.5(290/Hillingdon)、GII.6(269/Seacroft)、GII.7(273/Leeds)、GII.8(539/Amsterdam)、およびGII.9(378)という9つのGII集団(プロトタイプウイルス株の名称を伴う)が存在する。循環ノロウイルス株は、これらの遺伝集団に属するプロトタイプ株に対する比較を介して分類される。最も普及している循環株は遺伝子群IIに属する。
【0023】
[044] 多くのノロウイルス単離体についての核酸配列およびタンパク質配列が知られている。ノロウイルス単離体から得られるORF1、ORF2、ORF3、およびそれらがコードするポリペプチドの配列を含む、さらなる代表的な非限定的な配列は、国立生物工学情報センター(NCBI)のデータベースにおいて列挙されている。本発明の1つの実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。複合アミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列は、既知のノロウイルス株のいずれかから決定され得る。例えば、GenBank登録:ノロウイルス遺伝子群1の株Hu/NoV/West Chester/2001/USA、GenBank受託番号AY502016;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Braddock Heights/1999/USA、GenBank受託番号AY502015;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Fayette/1999/USA、GenBank受託番号AY502014;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Fairfield/1999/USA、GenBank受託番号AY502013;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Sandusky/1999/USA、GenBank受託番号AY502012;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Canton/1999/USA、GenBank受託番号AY502011;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Tiffin/1999/USA、GenBank受託番号AY502010;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−E1/2002/USA、GenBank受託番号AY50200;ノロウイルス遺伝子群1の株Hu/NoV/Wisconsin/2001/USA、GenBank受託番号AY502008;ノロウイルス遺伝子群1の株Hu/NoV/CS−841/2001/USA、GenBank受託番号AY502007;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Hiram/2000/USA、GenBank受託番号AY502006;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Tontogany/1999/USA、GenBank受託番号AY502005;Norwalkウイルス、完全ゲノム、GenBank受託番号NC.sub.−−001959;ノロウイルスHu/GI/Otofuke/1979/JPゲノムRNA、完全ゲノム、GenBank受託番号AB187514;ノロウイルスHu/Hokkaido/133/2003/JP、GenBank受託番号AB212306、ノロウイルスSydney2212、GenBank受託番号AY588132;Norwalkウイルス株SN2000JA、GenBank受託番号AB190457;Lordsdaleウイルスの完全ゲノム、GenBank受託番号X86557;Norwalk様ウイルス、ゲノムRNA、Gifu’96、GenBank受託番号AB045603;Norwalkウイルス株Vietnam 026、完全ゲノム、GenBank受託番号AF504671;ノロウイルスHu/GII.4/2004/N/L、GenBank受託番号AY883096;ノロウイルスHu/GII/Hokushin/03/JP、GenBank受託番号AB195227;ノロウイルスHu/GII/Kamo/03/JP、GenBank受託番号AB195228;ノロウイルスHu/GII/Sinsiro/97/JP、GenBank受託番号AB195226;ノロウイルスHu/GII/Ina/02/JP、GenBank受託番号AB195225;ノロウイルスHu/NLV/GII/Neustrelitz260/2000/DE、GenBank受託番号AY772730;ノロウイルスHu/NLV/Dresden174/pUS−NorII/1997/GE、GenBank受託番号AY741811;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B2S16/2002/UK、GenBank受託番号AY587989;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B4S7/2002/UK、GenBank受託番号AY587987;ノロウイルスHu/NLV/Witney/B7S2/2003/UK、GenBank受託番号AY588030;ノロウイルスHu/NLV/Banbury/B9S23/2003/UK、GenBank受託番号AY588029;ノロウイルスHu/NLV/ChippingNorton/2003/UK、GenBank受託番号AY588028;ノロウイルスHu/NLV/Didcot/B9S2/2003/UK、GenBank受託番号AY588027;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B8S5/2002/UK、GenBank受託番号AY588026;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S4/2003/UK、GenBank受託番号AY588025;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S5/2003/UK、GenBank受託番号AY588024;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B5S23/2003/UK、GenBank受託番号AY588023;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S2/2003/UK、GenBank受託番号AY588022;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S6/2003/UK、GenBank受託番号AY588021;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Thirsk10/00/UK、GenBank受託番号AY126468;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Penrith55/00/UK、GenBank受託番号AY126476;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Aberystwyth24/00/UK、GenBank受託番号AY126475;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Dumfries/94/UK、GenBank受託番号AY126474;ノロウイルスNLV/IF2036/2003/Iraq、GenBank受託番号AY675555;ノロウイルスNLV/IF1998/2003/Iraq、GenBank受託番号AY675554;ノロウイルスNLV/BUDS/2002/USA、GenBank受託番号AY660568;ノロウイルスNLV/Paris Island/2003/USA、GenBank受託番号AY652979;Snow Mountainウイルス、完全ゲノム、GenBank受託番号AY134748;Norwalk様ウイルスNLV/Fort Lauderdale/560/1998/US、GenBank受託番号AF414426;Hu/Norovirus/hiroshima/1999/JP(9912-02F)、GenBank受託番号AB044366;Norwalk様ウイルス株11MSU−MW、GenBank受託番号AY274820;Norwalk様ウイルス株B−1SVD、GenBank受託番号AY274819;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Farmington Hills/2002/USA、GenBank受託番号AY502023;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−G4/2002/USA、GenBank受託番号AY502022;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−G2/2002/USA、GenBank受託番号AY502021;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS―G12002/USA、GenBank受託番号AY502020;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Anchorage/2002/USA、GenBank受託番号AY502019;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−D1/2002/CAN、GenBank受託番号AY502018;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Germanton/2002/USA、GenBank受託番号AY502017;ヒトカリシウイルスNLV/GII/Langen1061/2002/DE、完全ゲノム、GenBank受託番号AY485642;マウスノロウイルス1ポリタンパク質、GenBank受託番号AY228235;Norwalkウイルス、GenBank受託番号AB067536;ヒトカリシウイルスNLV/Mex7076/1999、GenBank受託番号AF542090;ヒトカリシウイルスNLV/Oberhausen 455/01/DE、GenBank受託番号AF539440;ヒトカリシウイルスNLV/Herzberg 385/01/DE、GenBank受託番号AF539439;ヒトカリシウイルスNLV/Boxer/2001/US、GenBank受託番号AF538679;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、GenBank受託番号AB081723;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、単離体:Saitama U201、GenBank受託番号AB039782;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、単離体:Saitama U18、GenBank受託番号AB039781;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、単離体:Saitama U25、GenBank受託番号AB039780;Norwalkウイルス株:U25GII、GenBank受託番号AB067543;Norwalkウイルス株:U201 GII、GenBank受託番号AB067542;Norwalk様ウイルス株416/97003156/1996/LA、GenBank受託番号AF080559;Norwalk様ウイルス株408/97003012/1996/FL、GenBank受託番号AF080558;Norwalk様ウイルスNLV/Burwash Landing/331/1995/US、GenBank受託番号AF414425;Norwalk様ウイルスNLV/Miami Beach/326/1995/US、GenBank受託番号AF414424;Norwalk様ウイルスNLV/White River/290/1994/US、GenBank受託番号AF414423;Norwalk様ウイルスNLV/New Orleans/306/1994/US、GenBank受託番号AF414422;Norwalk様ウイルスNLV/Port Canaveral/301/1994/US、GenBank受託番号AF414421;Norwalk様ウイルスNLV/Honolulu/314/1994/US、GenBank受託番号AF414420;Norwalk様ウイルスNLV/Richmond/283/1994/US、GenBank受託番号AF414419;Norwalk様ウイルスNLV/Westover/302/1994/US、GenBank受託番号AF414418;Norwalk様ウイルスNLV/UK3−17/12700/1992/GB、GenBank受託番号AF414417;Norwalk様ウイルスNLV/Miami/81/1986/US、GenBank受託番号AF414416;Snow Mountain株、GenBank受託番号U70059;Desert ShieldウイルスDSV395、GenBank受託番号U04469;Norwalkウイルス、完全ゲノム、GenBank受託番号AF093797;Hawaiiカリシウイルス、GenBank受託番号U07611;Southamptonウイルス、GenBank受託番号L07418;Norwalkウイルス(SRSV-KY-89/89/J)、GenBank受託番号L23828;Norwalkウイルス(SRSV-SMA/76/US)、GenBank受託番号L23831;Camberwellウイルス、GenBank受託番号U46500;ヒトカリシウイルス株Melksham、GenBank受託番号X81879;ヒトカリシウイルス株MX、GenBank受託番号U22498;ミニレオウイルスTV24、GenBank受託番号U02030;およびNorwalk様ウイルス
NLV/Gwynedd/273/1994/US、GenBank受託番号AF414409を参照されたく、これらの全ての配列(本出願の出願日までに加えられたものとして)は、参照することにより本明細書に組み込まれる。さらなるノロウイルス配列が、WO2005/030806、WO2000/79280、JP2002020399、US2003129588、米国特許第6,572,862号、WO1994/05700、およびWO05/032457という特許刊行物において開示されており、これら刊行物の全ては、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。また、ノロウイルスの配列の比較ならびに遺伝的多様性および系統発生的な分析の議論については、Green et al.(2000)J.Infect.Dis.,Vol.181(Suppl.2):S322−330;Wang et al.(1994)J.Virol.,Vol.68:5982−5990;Chen et al.(2004)J.Virol.,Vol.78:6469−6479;Chakravarty et al.(2005)J.Virol.,Vol.79:554−568;Hansman et al.(2006)J.Gen.Virol.,Vol.87:909−919;Bull et al.(2006)J.Clin.Micro.,Vol.44(2):327−333;Siebenga et al.(2007)J.Virol.,Vol.81(18):9932−9941;およびFankhauser et al.(1998)J.Infect.Dis.,Vol.178:1571−1578も参照されたい。
【0024】
[045] 多くのサポウイルス単離体についての核酸配列およびタンパク質配列もまた知られている。サポウイルス単離体から得られるORF1およびORF2ならびにそれらがコードするポリペプチドの配列を含む、代表的なサポウイルス配列は、国立生物工学情報センター(NCBI)のデータベースにおいて列挙されている。例えば、GenBank登録:サポウイルスMc10、GenBank受託番号NC.sub.−−010624;サッポロウイルス、GenBank受託番号U65427;サポウイルスMc10、GenBank受託番号AY237420;サポウイルスSaKaeo−15/Thailand、GenBank受託番号AY646855;サッポロウイルス、GenBank受託番号NC.sub.−−006269;サポウイルスC12、GenBank受託番号NC.sub.−−006554;サポウイルスC12、GenBank受託番号AY603425;サポウイルスHu/Dresden/pJG−Sap01/DE、GenBank受託番号AY694184;ヒトカリシウイルスSLV/cruise ship/2000/USA、GenBank受託番号AY289804;ヒトカリシウイルスSLV/Arg39、GenBank受託番号AY289803;ブタ腸管カリシウイルス株LL14、GenBank受託番号AY425671;ブタ腸管カリシウイルス、GenBank受託番号NC.sub.−−000940;ヒトカリシウイルス株Mc37、GenBank受託番号AY237415;ミンク腸管カリシウイルス株Canada 151A、GenBank受託番号AY144337;ヒトカリシウイルスSLV/Hou7−1181、GenBank受託番号AF435814;ヒトカリシウイルスSLV/Mex14917/2000、GenBank受託番号AF435813;ヒトカリシウイルスSLV/Mex340/1990、GenBank受託番号AF435812;ブタ腸管カリシウイルス、GenBank受託番号AF182760;サッポロウイルス−London/29845、GenBank受託番号U95645;サッポロウイルス−Manchester、GenBank受託番号X86560;サッポロウイルス−Houston/86、GenBank受託番号U95643;サッポロウイルス−Houston/90、GenBank受託番号U95644;およびヒトカリシウイルス株HuCV/Potsdam/2000/DEU、GenBank受託番号AF294739を参照されたく、これらの全ての配列(本出願の出願日までに加えられたものとして)は、参照することにより本明細書に組み込まれる。また、サポウイルスの配列の比較ならびに遺伝的多様性および系統発生的な分析の議論については、Schuffenecker et al.(2001)Arch Virol.,Vol.146(11):2115−2132;Zintz et al.(2005)Infect.Genet.Evol.,Vol.5:281−290;Farkas et al.(2004)Arch.Virol.,Vol.149:1309−1323も参照されたい。
【0025】
[046] 複合アミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列は、少なくとも2つのノロウイルス遺伝子群I株または遺伝子群II株のカプシド配列に由来し得る。1つの実施形態において、VLPは、2つ以上の遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株から得られるカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する複合配列を有するポリペプチドを含む。遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株の非限定的な例には、Houston株、Minerva株、Laurens株、Bristol株、Lordsdale株、Farmington Hills株、Hunter株、Carlow株、ならびにUS95/96−US株、2006a株、および2006b株が含まれる。
【0026】
[047] 本発明の別の実施形態において、ウイルス様粒子は少なくとも1つの複合ポリペプチドからなるものであり、複合ポリペプチドの配列は、Houston、Minerva、およびLaurensのVP1配列に由来する。別の実施形態において、複合配列は配列番号1である。さらに別の実施形態において、Houston、Minerva、およびLaurensに基づく複合配列は、配列番号2によって定義されるコンセンサス配列に由来し得る。
【0027】
[048] いくつかの実施形態において、コンセンサス配列は、少なくとも2つの異なる遺伝子型または少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株から決定され得る。本発明の1つの実施形態において、ウイルス様粒子は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドからなるものであり、複合アミノ酸配列は、1つの遺伝子群内の少なくとも2つの異なる遺伝子型のノロウイルス株のカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する。例えば、コンセンサス配列は、遺伝子群II、遺伝子型2、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株のカプシド配列に由来し得る。別の実施形態において、コンセンサス配列は、1つの遺伝子群遺伝子群内の3つ以上の遺伝子型のカプシド配列に由来し得る。
【0028】
[049] 他の実施形態において、コンセンサス配列は、少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株から決定され得る。1つのこのような実施形態は、とりわけ、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドを含むVLPであり、前記複合アミノ酸配列は、遺伝子群I、遺伝子型1、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株のカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する。
【0029】
[050] 本発明はまた、ノロウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質および第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する複合ポリペプチドを含むウイルス様粒子(VLP)を提供する。第2のノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質は、ORF2によってコードされている主要カプシドタンパク質であるVP1、またはORF3によってコードされている少量のカプシドタンパク質であるVP2、またはVP1およびVP2の組合せであり得る。1つの実施形態において、第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質は、遺伝子群Iのノロウイルスから得られるVP1タンパク質である。
【0030】
[051] 別の実施形態において、本発明は、カリシウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合ポリペプチドと、第2の複合アミノ酸配列を有する第2のポリペプチドとを含むVLPを提供するものであり、前記第2の複合アミノ酸配列は、第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する。好ましくは、ウイルス様粒子は、第1のカリシウイルスの2つ以上の循環株および第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する。
【0031】
[052] 第2のポリペプチドは、第2のカリシウイルスの前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なる、少なくとも3つの異なる、少なくとも5つの異なる、少なくとも10個の異なる、少なくとも15個の異なる、少なくとも20個の異なる、少なくとも25個の異なる、少なくとも30個の異なる、少なくとも35個の異なる、少なくとも40個の異なる、少なくとも45個の異なる、または少なくとも50個の異なるアミノ酸を含有する。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成する。別の実施形態において、第2のカリシウイルスはノロウイルスである。別の実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iのノロウイルスである。遺伝子群Iのノロウイルスは、本明細書において開示される遺伝子群Iの株のいずれかであり得る。1つの実施形態において、遺伝子群Iのノロウイルスは、Norwalkウイルス、Southamptonウイルス、Hesseウイルス、およびChibaウイルスからなる群から選択される。
【0032】
[053] 本発明はまた、本明細書において定義される複合アミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドまたはそのフラグメント、およびそれをコードする核酸またはベクターを包含する。1つの実施形態において、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントは複合アミノ酸配列を有するものであり、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、ポリペプチドは、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、複合配列は、非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、複合配列は、非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、5〜50個の異なるアミノ酸を含有する。さらに別の実施形態において、コンセンサス配列は配列番号2である。
【0033】
[054] 複合ポリペプチドは、本明細書において開示されるエンベロープを有さないあらゆるウイルスの2つ以上の循環株に由来する配列を有し得る。1つの実施形態において、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。別の実施形態において、カリシウイルスはノロウイルスまたはサポウイルスである。別の実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iもしくは遺伝子群IIのノロウイルスまたはその組合せである。さらに別の実施形態において、単離されたポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0034】
[055] 1つの実施形態において、本発明は、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする単離された核酸を提供するものであり、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、ポリペプチドは、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、核酸は、配列番号3の配列を有する。別の実施形態において、本発明は、複合ポリペプチドをコードする単離された核酸を含むベクターを提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、複合ポリペプチドをコードするベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0035】
[056] 本発明の抗原性分子(例えば、VLP、ポリペプチド、およびそのフラグメント)は、それらが天然に生じる生物からの単離および精製によって調製され得るか、またはそれらは、組換え技術によって調製され得る。所望の粒子形成ポリペプチドについてのコード配列が単離または合成されると、それらは、発現のために、あらゆる適切なベクターまたはレプリコン内にクローニングされ得る。多くのクローニングベクターが当業者に知られており、適切なクローニングベクターの選択は、当業者の技術の範囲内である。次に、ベクターは、適切な宿主細胞を形質転換するために用いられる。適切な組換え発現系には、限定はしないが、細菌(例えば、E.coli、Bacillus subtilis、およびStreptococcus)、バキュロウイルス/昆虫、ワクシニア、セムリキ森林熱ウイルス(SFV)、アルファウイルス(シンドビス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)など)、哺乳動物(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK-293細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎(BHK)細胞、マウス骨髄腫(SB20)細胞、サル腎細胞(COS))、酵母(例えば、S. cerevisiae、S. pombe、Pichia pastori、および他のPichia発現系)、植物、およびアフリカツメガエルの発現系、ならびに当技術分野において知られている他の発現系が含まれる。特に好ましい発現系は、哺乳動物細胞系、細菌、昆虫細胞、および酵母の発現系である。
【0036】
[057] 前述した抗原のそれぞれ(例えば、VLP、ポリペプチド、またはそのフラグメント)は、好ましくは、十分に純粋な状態で用いられる。選択される発現系および宿主に応じて、VLPは、粒子形成ポリペプチドが発現しVLPが形成され得る条件下で、発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を増殖させることによって産生される。適切な増殖条件の選択は、当技術分野の技術の範囲内である。
【0037】
[058] 好ましくは、VLP抗原は、Sf9、High Five、TniPro、ネッタイシマカ、オートグラファ・カリフォルニカ、カイコガ、キイロショウジョウバエ、ヨトウガ、およびイラクサギンウワバなどの昆虫細胞から調製される。昆虫細胞培養物においてVLPを産生するための手順は、当技術分野において周知である(例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,942,865号を参照されたい)。簡潔に述べると、複合カプシド配列を有する組換えバキュロウイルスを、合成cDNAから構築する。次に、組換えバキュロウイルスを用いて昆虫細胞培養物(例えば、Sf9、High Five、およびTniProの細胞)を感染させ、複合VLPは、細胞培養物から単離することができる。「複合VLP」は、非エンベロープ2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むVLPである。
【0038】
[059] VLPが細胞内で形成されると、次に、細胞を、細胞を溶解させるがVLPはほぼ無傷のまま維持する化学的、物理的、または機械的手段を用いて破壊する。このような方法は当業者に知られており、例えば、Protein Purification Applications:A Practical Approach(E. L. V. Harris and S. Angal, Eds., 1990)において記載されている。
【0039】
[060] 次に、粒子を、例えば、ショ糖勾配、PEG−沈殿、ペレット化などの密度勾配遠心分離によるといった、粒子の完全性を保つ方法を用いて(例えば、Kirnbauer et al. J. Virol. (1993)67:6929-6936を参照されたい)、または、例えばイオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを含む標準的な精製技術を用いて単離する(または十分に精製する)。
【0040】
[061] 本発明に適用可能な、クローニング、突然変異などの分子生物学的技術を記載している全体的なテキストには、Berger and Kimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology volume 152 Academic Press,Inc.,San Diego、Calif.(Berger);Sambrook et al.,Molecular Cloning−−A Laboratory Manual(3rd Ed.),Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,2000(「Sambrook」)、およびCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,eds.,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.、ならびにJohn Wiley & Sons,Inc.、(「Ausubel」)が含まれる。これらのテキストは、突然変異生成と、ベクター、プロモーターの使用と、例えば、カリシウイルスなどの非エンベロープウイルスのカプシドタンパク質のクローニングおよび発現に関連する、多くの他の関連するトピックとを記載している。
【0041】
[062] いくつかの実施形態において、本発明の抗原性分子(例えば、VLP、ポリペプチド、およびそのフラグメント)は、複合ポリペプチドをコードする単離された核酸を含むベクターを投与することによって、インビボで産生される。適切なベクターには、限定はしないが、水庖性口内炎ウイルス(VSV)ベクター、ウマ脳炎ウイルス(EEV)ベクター、ポックスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクター、ならびにpFastBac1、pWINEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLなどの発現プラスミドが含まれる。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らかとなろう。
【0042】
[063] 本発明はまた、本明細書において記載されているVLP、ポリペプチド、または核酸を含むワクチン製剤を包含する。1つの実施形態において、ワクチン製剤は、複合VLPおよび第2のウイルス様粒子を含み、前記第2のウイルス様粒子は、ノロウイルスから得られるカプシドタンパク質を含む。第2のVLPは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスから得られる天然のカプシドタンパク質を含み得る。第2のVLPは、VP1および/もしくはVP2タンパク質または特定のVP1もしくはVP2誘導体などの、完全長のノロウイルスカプシドタンパク質を含み得る。あるいは、第2のVLPは、切断されたVP1タンパク質などの、切断されたカプシドタンパク質を含む。切断は、N末端またはC末端の切断であり得る。切断されたカプシドタンパク質は、適切に機能的なカプシドタンパク質誘導体である。機能的なカプシドタンパク質誘導体は、完全長カプシドタンパク質からなるVLPが免疫応答を高めるのと同様に免疫応答を高め得る。VLPの混合物を含むワクチン製剤は、WO2008/042789において記載されており、これは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。単に例として、ワクチン製剤は、ノロウイルスの遺伝子群Iの1つまたは複数の株から得られるVLPと、ノロウイルスの遺伝子群IIの1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含むVLPとを含有し得る。好ましくは、ノロウイルスVLPの混合物は、Norwalkおよび遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルスの株からなる。別の実施形態において、ワクチン製剤は、複合VLPおよびNorwalkのVLPを含み、複合VLPは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。さらに別の実施形態において、ワクチン製剤は、第1の複合VLPおよび第2の複合VLPを含み、前記第1および第2の複合VLPは、異なるコンセンサス配列に由来する少なくとも1つのポリペプチドを含む。例えば、第1の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群Iの1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含み、第2の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群IIの1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含む。1つの実施形態において、第1の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群I、遺伝子型1(GI.1)の1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含み、第2の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群II、遺伝子型4(GII.4)の1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含む。
【0043】
[064] いくつかの実施形態において、ワクチン製剤は、アジュバントをさらに含む。ほとんどのアジュバントは、水酸化アルミニウムまたは鉱油などの、迅速な異化から抗原を保護するために設計された物質、および百日咳菌または結核菌に由来するタンパク質などの、免疫応答の刺激物質を含有する。適切なアジュバントは、例えば不完全フロイントアジュバントおよび完全フロイントアジュバント(Pifco Laboratories, Detroit, Mich.);Merckアジュバント65(Merck and Company, Inc., Rahway, N.J.);水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩およびカルシウム、鉄、または亜鉛の塩を含む無機塩;アシル化チロシンアシル化糖の不溶性懸濁液;陽イオン的または陰イオン的に誘導体化された多糖;ポリホスファゼン;生分解性ミクロスフェア;ならびにQuil Aとして市販されている。
【0044】
[065] 適切なアジュバントにはまた、限定はしないが、トール様受容体(TLR)アゴニスト、モノホスホリル脂質A(MPL)、合成脂質A、脂質Aの模倣体または類似体、アルミニウム塩、サイトカイン、サポニン、ムラミルジペプチド(MDP)誘導体、CpGオリゴ、グラム陰性菌のリポ多糖(LPS)、ポリホスファゼン、エマルジョン、ビロソーム、コクリエート、ポリ(ラクチドコグリコリド)(PLG)微小粒子、ポロキサマー粒子、微小粒子、リポソーム、水中油型エマルジョン、MF59、およびスクアレンが含まれる。いくつかの実施形態において、アジュバントは、細菌由来の外毒素である。他の実施形態において、3DMPLまたはQS21などの、Th1型の応答を刺激するアジュバントを用いることができる。特定の実施形態において、アジュバントは、MPLと水酸化アルミニウムとの組合せである。
【0045】
[066] いくつかの実施形態において、アジュバントは、モノホスホリル脂質A(MPL)である。MPLは、サルモネラから得られる脂質Aの非毒性誘導体であり、ワクチンアジュバントとして開発されている強力なTLR−4アゴニストである(Evans et al.(2003)Expert Rev Vaccines, Vol. 2: 219-229)。臨床前のマウス研究において、鼻腔内MPLは、分泌応答および全身性の液性応答を増強させることが示されている(Baldridge et al.(2000)Vaccine, Vol. 18: 2416-2425; Yang et al.(2002)Infect Immun., Vol. 70: 3557-3565)。これはまた、12万人を超える患者の臨床研究において、ワクチンアジュバントとして安全かつ効果的であることが証明されている(Baldrick et al.(2002)Regul Toxicol Pharmacol, Vol. 35: 398-413)。MPLは、TLR−4受容体を介して先天性免疫の誘発を刺激し、したがって、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌の両方、ウイルス、ならびに寄生生物を含む広範な感染性病原体に対する非特異的な免疫応答を引き起こし得る(Persing et al.(2002)Trends Microbiol, Vol. 10: S32-37)。鼻腔内製剤にMPLを含ませると、先天性応答が迅速に誘発され、ウイルスチャレンジからの非特異的な免疫応答が引き起こされ、一方でワクチンの抗原性組成物により生じる特異的応答が増強される。いくつかの実施形態において、MPLは、1つまたは複数のさらなるアジュバントと組み合わせることができる。例えば、ワクチン製剤の筋肉内投与のための適切なアジュバントを作製するために、MPLを水酸化アルミニウムと組み合わせることができる。
【0046】
[067] 他の実施形態において、アジュバントは、スクアレンなどの天然に生じる油である。スクアレンは、植物によって産生されるトリテルペノイドの炭化水素油(C30H50)であり、多くの食品内に存在する。スクアレンはまた、人間によって豊富に産生され、スクアレンは人間にとって、コレステロールおよびステロイドホルモンの前駆体として働く。スクアレンは肝臓および皮膚において合成され、超低密度リポタンパク質(VLDL)および低密度リポタンパク質(LDL)によって血液内に運ばれ、皮脂分泌腺によって大量に分泌される。
【0047】
[068] スクアレンは人体における天然の成分であり、生分解性であるため、ワクチンアジュバントの成分として用いられている。これらのスクアレンアジュバントの1つは、Chironによって開発された、水中油型エマルジョンであるMF59である。MF59は、様々な前臨床研究および臨床研究において、多種多様のワクチン抗原に対する免疫応答を顕著に増強させることが示されている。MF59は、1997年から欧州の様々な国において認可されている、インフルエンザサブユニットワクチンの一部である。2000万投薬を超えるこのワクチンが投与されており、このワクチンは、優れた安全性プロフィールを有することが示されている。MF59アジュバントを有するワクチンの安全性はまた、1〜3日齢の新生児を含む様々な年齢群における、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、尿路疾患性大腸菌などから得られる組換え抗原を用いる様々な治験用臨床研究によっても示されている
【0048】
[069] 「効果的なアジュバント量」または「効果的な量のアジュバント」という用語は、当業者によって十分に理解されるものであり、投与された抗原に対する免疫応答を刺激し得る1つまたは複数のアジュバントの量、すなわち、鼻の洗浄液におけるIgAレベル、血清のIgGもしくはIgMレベル、またはB細胞およびT細胞の増殖という観点から測定される、投与された抗原性組成物の免疫応答を増大させる量を含む。免疫グロブリンレベルの適切に効果的な増大には、いずれのアジュバントも有さない同一の抗原性組成物と比較して5%を超える増大、好ましくは25%を超える増大、特に50%を超える増大が含まれる。
【0049】
[070] 本発明の別の実施形態において、ワクチン製剤は送達物質をさらに含むことができ、この送達物質は、送達物質の物理的特性である、宿主のムコ多糖の部分的な脱水の単一のまたは組み合わされた効果による流体粘度の増大に基づいて(ただしそれに制限されるわけではない)、または堆積効果をもたらす、露出部位での送達物質と宿主組織との間のイオン性相互作用を介して、抗原の取込みを増強させるために機能する。あるいは、送達物質は、送達部位での抗原保持時間を増大させ得る(例えば、抗原の排出を遅らせる)。このような送達物質は、生体接着性物質であり得る。いくつかの実施形態において、生体接着性物質は、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸コンドロイチン、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸)、炭水化物ポリマー(例えば、ペクチン、アルギン酸塩、グリコーゲン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、スタキオース、イヌリン、デキストリン、デキストラン)、ポリ(アクリル酸)の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖(ムチン、他のムコ多糖、および、アロエ植物から抽出される天然酸性多糖であるGelSite(登録商標)を含む)、ポリイオン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、タンパク質(例えば、レクチン、線毛タンパク質)、ならびにデオキシリボ核酸からなる群から選択される粘膜接着性物質であり得る。1つの実施形態において、ワクチン製剤は、キトサン、キトサン塩、キトサン塩基などの多糖、または天然の多糖(例えばGelSite(登録商標))を含む。
【0050】
[071] 甲殻類の殻におけるキチンに由来する、正に帯電した線形多糖であるキトサンは、上皮細胞およびそれが覆う筋肉層に対する生体接着性物質である。キトサンと共に抗原を製剤すると、鼻粘膜とのそれらの接触時間が向上し、したがって、堆積効果による取込みが増大する(Illum et al.(2001)Adv Drug Deliv Rev, Vol. 51: 81-96; Illum et al.(2003)J Control Release, Vol. 87: 187-198; Davis et al.(1999)Pharm Sci Technol Today, Vol. 2: 450-456; Bacon et al.(2000)Infect Immun., Vol. 68: 5764-5770; van der Lubben et al.(2001)Adv Drug Deliv Rev, Vol. 52: 139-144; van der Lubben et al.(2001)Eur J Pharm Sci, Vol. 14: 201-207; Lim et al.(2001)AAPS Pharm Sci Tech, Vol. 2: 20)。キトサンは、動物モデルおよびヒトの両方において、インフルエンザ、百日咳、およびジフテリアを含むいくつかのワクチンについて、経鼻送達系として試験されている(Illum et al.(2001)Adv Drug Deliv Rev, Vol. 51: 81-96; Illum et al.(2003)J Control Release, Vol. 87: 187-198; Bacon et al.(2000)Infect Immun., Vol. 68: 5764-5770; Jabbal-Gill et al.(1998)Vaccine, Vol. 16: 2039-2046; Mills et al.(2003)A Infect Immun, Vol. 71: 726-732; McNeela et al.(2004)Vaccine, Vol. 22: 909-914)。これらの検査において、キトサンは、非経口ワクチン接種に等しいレベルまで全身性の免疫応答を増強させることが示された。さらに、顕著な抗原特異的IgAレベルもまた、粘膜からの分泌物において測定された。したがって、キトサンは、経鼻ワクチンの有効性を大きく増強させ得る。さらに、その物理的特徴のため、キトサンは、粉末として製剤された鼻腔内ワクチンに特に良く適している(van der Lubben et al.(2001)Eur J Pharm Sci, Vol. 14: 201-207; Mikszta et al.(2005)J Infect Dis, Vol. 191: 278-288; Huang et al.(2004)Vaccine, Vol. 23: 794-801)。
【0051】
[072] 本発明の別の実施形態において、ワクチン製剤は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。あらゆる適切な希釈剤または賦形剤を含む、薬学的に許容可能な担体には、ワクチン製剤を投与された対象に対して有害な免疫応答の生成をそれ自体では誘発しない、あらゆる薬学的作用物質が含まれ、それは不必要な毒性を伴わずに投与され得る。本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容可能」という用語は、哺乳動物、より特定すればヒトにおける使用について、連邦政府の管理機関もしくは州政府によって承認されているか、または米国薬局方、欧州薬局方、もしくは他の一般的に認識されている薬局方において列挙されていることを意味する。薬学的に許容可能な担体には、限定はしないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、滅菌等張水性緩衝液、およびその組合せが含まれる。薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および他の賦形剤の詳細な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co. N.J.最新版)において示されている。製剤は、投与様式に適しているべきである。好ましい実施形態において、製剤は、ヒトへの投与に適しており、好ましくは、製剤は、無菌で、非微粒子状および/または非発熱性である。ワクチン製剤はまた、必要であれば、微量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。
【0052】
[073] 本発明のいくつかの実施形態において、とりわけ、ワクチン製剤は、キトサン、キトサン塩、またはキトサン塩基を含む。キトサンの分子量は、10kDa〜800kDaであり得、好ましくは100kDa〜700kDaであり得、より好ましくは200kDa〜600kDaであり得る。組成物におけるキトサンの濃度は、典型的には最大約80%(w/w)であり、例えば、5%、10%、30%、50%、70%、または80%である。キトサンは、好ましくは少なくとも75%脱アセチル化されているものであり、例えば、80〜90%、より好ましくは82〜88%脱アセチル化されているものであり、特定の例は、83%、84%、85%、86%、および87%の脱アセチル化である。
【0053】
[074] 本発明の組成物は、ワクチンまたは抗原性製剤としての投与のために製剤され得る。本明細書において用いられる場合、「ワクチン」という用語は、上記の本発明のVLPまたは他の抗原を含有する製剤を言い、この製剤は、脊椎動物に投与され得る形態であり、感染を予防および/もしくは改善するため、ならびに/または感染の少なくとも1つの症状を低減させるため、ならびに/またはVLPもしくは抗原の別の投薬の効力を増強させるために免疫を誘発するのに十分な防御性免疫応答を誘発する。本明細書において用いられる場合、「抗原性製剤」または「抗原性組成物」という用語は、脊椎動物、例えば哺乳動物に投与されると免疫応答を誘発する調製物を言う。本明細書において用いられる場合、「免疫応答」という用語は、液性免疫応答および細胞介在性免疫応答の両方を言う。液性免疫応答は、例えば感染物質を中和する、感染物質が細胞に侵入することを遮断する、前記感染物質の複製を遮断する、および/または感染および破壊から宿主細胞を防御する、Bリンパ球による抗体の産生の刺激を伴う。細胞介在性免疫応答は、感染を防御もしくは改善するかまたはその少なくとも1つの症状を低減させる、脊椎動物(例えばヒト)によって示される感染物質に対する、Tリンパ球および/またはマクロファージなどの他の細胞により介在される免疫応答を言う。特に、「防御性免疫」または「防御性免疫応答」は、感染を防御もしくは改善するかまたはその少なくとも1つの症状を低減させる、脊椎動物(例えばヒト)によって示される感染物質に対する免疫、または感染物質に対する免疫応答を引き起こすことを言う。具体的には、ワクチンの投与から得られる防御性免疫応答の誘発は、胃腸炎の1つもしくは複数の症状の存在の除去もしくは低減、またはこのような症状の期間もしくは重症度の低減により明白である。ノロウイルスにより生じる胃腸炎の臨床的症状には、吐き気、下痢、軟便、嘔吐、発熱、および全身の倦怠感が含まれる。疾患の症状を低減させるかまたは除去する防御性免疫応答は、集団におけるノロウイルスの発生の拡大を低減または停止させることができる。ワクチン調製物は、Vaccine Design(「The subunit and adjuvant approach」(Powell M. F. & Newman M. J.編)(1995)Plenum Press New York)において全体が記載されている。本発明の組成物は、例えば、粘膜経路または非経口経路(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、皮内、真皮下、または経皮)の投与によって対象に投与するために製剤され得る。このような粘膜投与は、限定はしないが、胃腸、鼻腔内、経口、または膣における送達を介したものであり得る。1つの実施形態において、ワクチン製剤は、経鼻スプレー、点鼻薬、または乾燥粉末の形態である。別の実施形態において、ワクチン製剤は、筋肉内投与に適した形態である。
【0054】
[075] 本発明のワクチン製剤は、液体製剤または乾燥粉末製剤であり得る。組成物が呼吸器(例えば鼻)の粘膜への送達を意図したものである場合、典型的には、組成物は、エアロゾルまたは点鼻薬としての投与のために水性溶液として製剤されるか、あるいは、例えば鼻道内で迅速に堆積するように乾燥粉末として製剤される。点鼻薬として投与するための組成物は、このような組成物内に通常含まれるタイプの1つまたは複数の賦形剤、例えば保存料、粘度調節剤、等張化剤、緩衝剤などを含有し得る。粘度調節剤は、微結晶セルロース、キトサン、デンプン、多糖などであり得る。乾燥粉末として投与するための組成物はまた、このような組成物内に通常含まれる1つまたは複数の賦形剤、例えば粘膜接着性物質、充填剤、ならびに適切な粉末流およびサイズの特徴をもたらすための作用物質を含有し得る。充填剤ならびに粉末流およびサイズのための作用物質には、マンニトール、ショ糖、トレハロースおよびキシリトールが含まれ得る。
【0055】
[076] 1つの実施形態において、ワクチン製剤は、免疫原としての1つまたは複数の複合VLP、MPL(登録商標)などのアジュバント、スクアレンもしくはMF59(登録商標)、粘膜表面への接着を促進するためのキトサンもしくはGelSite(登録商標)などのバイオポリマー、ならびにマンニトールおよびショ糖などの充填剤を含有する。
【0056】
[077] 例えば、ワクチンは、GII.4複合VPLなどの、本明細書において論じられる1つまたは複数の複合VPL、MPL(登録商標)アジュバント、キトサン粘膜接着性物質、ならびに充填剤としての、かつ適切な流れ特徴をもたらすための、マンニトールおよびショ糖を含有する、乾燥粉末10mgとして製剤され得る。製剤は、キトサン約7.0mg(25〜90%w/wの範囲)、マンニトール約1.5mg(0〜50%w/wの範囲)、ショ糖約1.5mg(0〜50%w/wの範囲)、MPL(登録商標)25μg(0.1〜5%w/wの範囲)、および複合VLP抗原約100μg(0.05〜5%w/wの範囲)を含み得る。
【0057】
[078] 複合VLP/抗原は、約0.01%(w/w)〜約80%(w/w)の濃度で存在し得る。1つの実施形態において、VLPは、両鼻孔内への投与では、乾燥粉末製剤10mg当たり約5μg、約15μg、約25μg、約50μg、約100μg、約200μg、約500μg、および約1mg(0.05、0.15、0.25、0.5、1.0、2.0、5.0、および10.0%w/w)の投与量で(鼻孔当たり10mg)、または1つの鼻孔内への投与では、乾燥粉末製剤20mg当たり約10μg、約30μg、約50μg、約100μg、約200μg、約400μg、約1mg、および約2mg(0.1、0.3、0.5、1.0、2.0、4.0、10.0、および20.0%w/w)の投与量で製剤され得る。製剤は、それぞれの投与の間に、1つまたは両方の鼻孔内に投与され得る。免疫応答を向上させるために、初回投与の1〜12週間後にブースター投与をしてもよい。ワクチンおよび抗原性製剤におけるそれぞれのVLP/抗原の含有量は、1μg〜100mgの範囲であり得、好ましくは1〜1000μgの範囲であり得、より好ましくは5〜500μgであり得、最も典型的には10〜200μgの範囲であり得る。それぞれの投薬で投与される全VLP/抗原は、約10μg、約30μg、約200μg、約250μg、約400μg、約500μg、または約1000μgのいずれかであり得る。全ワクチン用量を1つの鼻孔内に投与することができるか、または両鼻孔に投与するために半分に分けることができる。乾燥粉末の特徴は、粒子の10%未満において直径が10μm未満となるようなものである。平均粒子サイズは、直径が10〜500μmにわたる。
【0058】
[079] 本発明の別の実施形態において、乾燥粉末製剤は、1つまたは複数の用量の製剤を投与するための1つまたは複数のデバイスと組み合わせることができる。このようなデバイスは、使い捨ての経鼻投与デバイスであり得る。別の実施形態において、1つまたは複数の用量は単位用量である。
【0059】
[080] いくつかの実施形態において、抗原性製剤およびワクチン製剤は、対象に後続の投与を行うための液体製剤である。鼻腔内投与を意図した液体製剤は、複合VLP/抗原(1つまたは複数)、アジュバント、およびキトサンなどの送達物質を含む。非経口(例えば皮下、皮内、または筋肉内(i.m.))投与のための液体製剤は、複合VLP/抗原(1つまたは複数)、アジュバント、および緩衝液を含み、送達物質(例えばキトサン)を有さない。
【0060】
[081] 好ましくは、これまでに記載した抗原性製剤およびワクチン製剤は、凍結乾燥され、それらを使用する直前まで無水状態で保存され、それらを使用する直前の時点で、それらは希釈剤で戻される。あるいは、組成物の異なる成分をキット内で個別に保存することができる(いずれかのまたは全ての成分は凍結乾燥される)。成分は、乾燥製剤では凍結乾燥された形態のまま維持され得るか、または液体製剤では戻され、使用の前に混合されるか、または患者に個別に投与される。乾燥粉末の投与では、ワクチン製剤または抗原性製剤は、鼻腔内送達デバイス内に事前にロードされ、使用するまで保存され得る。好ましくは、このような鼻腔内送達デバイスは、その内容物の安定性を保護し、確保する。
【0061】
[082] 本発明はまた、本明細書において記載される免疫原性の核酸、ポリペプチド、および/またはVLPの1つまたは複数を含む組成物を包含する。複合ポリペプチドおよびカプシドポリペプチドまたはそのフラグメントを含む、異なるポリペプチドを、単一の製剤内に共に混合することができる。このような組合せにおいて、免疫原性組成物の抗原は、2つ以上のポリペプチドまたは複数のエピトープポリペプチド内に存在し得る。
【0062】
[083] 免疫原性組成物は、複合ポリペプチドと、複合ポリペプチドをコードする核酸との混合物を含むこともでき、これは次に、同一のまたは異なる媒体を用いて送達され得る。抗原は、独立して、または例えば予防的(すなわち、感染を予防するため)もしくは治療的(感染を治療するため)免疫原性組成物内に組み合わせて投与され得る。免疫原性組成物は、所望の効果を達成するために、2回以上(例えば、「プライム」投与の後に1回または複数回の「ブースト」を行う)投与することができる。同一の組成物を、1回または複数回のプライム投与工程、および1回または複数回のブースト投与工程において投与することができる。あるいは、異なる組成物をプライム投与およびブースト投与に用いることができる。
【0063】
[084] 本発明はまた、本明細書において記載されるワクチン製剤のいずれかを投与することを含む、対象におけるウイルス感染に対する防御性免疫を誘発する方法を対象とする。1つの実施形態において、ウイルス感染はノロウイルス感染である。別の実施形態において、ワクチン製剤は、ノロウイルス感染の1つまたは複数の症状からの防御をもたらす。
【0064】
[085] 本発明はまた、複合ポリペプチドを含むVLPを作製するための方法を提供する。1つの実施形態において、本方法は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質のアミノ酸配列をアラインすること、前記アラインされたアミノ酸配列からコンセンサス配列を決定すること、前記コンセンサス配列に基づいて、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する複合配列を調製すること、および宿主細胞において前記複合配列を発現させ、それによりウイルス様粒子を産生することを含む。別の実施形態において、複合配列は、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、複合配列は、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも5つの異なるアミノ酸を含有する。さらに別の実施形態において、複合配列は、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも9つの異なるアミノ酸を含有する。いくつかの実施形態において、コンセンサス配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質のヌクレオチド配列をアラインすること、および前記コンセンサス配列に基づいて複合ヌクレオチド配列を調製することから決定され得る。本方法において用いるために適切な、非エンベロープウイルスの非限定的な例には、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスが含まれる。いくつかの実施形態において、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。カリシウイルスは、ノロウイルスまたはサポウイルスであり得る。別の実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである。
【0065】
[086] ここで、本発明は、以下の実施例において記載される具体的な実施形態を参照することによって、より詳細に説明される。実施例は、本発明を説明することのみを意図したものであり、いかなる様式でも本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
【実施例】
【0066】
(実施例1)ノロウイルスGII.4のコンセンサス遺伝子の設計
[087] 遺伝子群II、遺伝子型4(GII.4)のノロウイルスの主要カプシドタンパク質(VP1)についてのコンセンサスアミノ酸配列を、2つの近年循環しているGII.4株であるMinerva、AKA2006−a、およびLaurens、AKA2006−bと、2002年に得られたGII.4のHouston株との相同性比較によって決定した。3つの異なるノロウイルスGII.4単離体のアラインメントを以下に示す。3つのGII.4株の相同性比較から決定されたコンセンサス配列(配列番号2)を図1に示す。
【0067】
[088] 3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、Minerva配列から得られるアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導した。選択されたアミノ酸は、提示された炭水化物結合ドメインに近接しているがそのドメインを含むわけではない抗原性領域内に存在した。複合GII.4配列を、複合GII.4ノロウイルスVP1タンパク質(配列番号1)をコードする合成遺伝子を産生するために用いた。GII.4複合VP1アミノ酸配列(GII.4Comp)を、配列番号1として、Houstonウイルス、Minervaウイルス、およびLaurensウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列(それぞれ配列番号4、5、および6)と共に、以下のアラインメントにおいて示す。GII.4複合VP1(配列番号3)をコードするDNA配列を図2に示す。
【化1】
【化2】
【0068】
(実施例2)複合VLPの精製
[089] 実施例1において記載されるカプシドドメインについてのノロウイルスGII.4複合配列の合成遺伝子構築物を、組換えバキュロウイルス内にクローニングした。昆虫細胞の感染は、大量のVLP産生を示した。複合VLP VP1遺伝子についてのP2pFastBac組換えバキュロウイルスストックのアリコート40mLをショ糖勾配で処理し、複合VLPの発現および組み立てを検証した。調整済媒質をまず30%ショ糖のクッション上に層状にし、次に、140K×gで遠心分離してVLPをペレット化した。ペレットを再懸濁させ、ショ糖勾配上に層状にし、次に140K×gで遠心分離した。遠心分離の後に、勾配内に可視的な白い層が観察された。勾配から得られる画分500μLを回収し、次にSDS−PAGE/クマシーゲルによって分析した(図3)。複合VLPについての約56kDaの予想されるバンドパターンが、ショ糖勾配画分内で観察された。
【0069】
[090] 流速0.5mL/分の、Tris20mM、NaCl150mM、pH7のランニング緩衝液を有する高圧液体クロマトグラフィー系を用いて、複合発現細胞培養上清のアリコート50μLをSuperose−6サイズ排除カラムにロードした。無傷VLPのピークが、280nmおよび220nmで、約15.3分で観察され、このことは、複合VLPの完全性を裏付けるものである(図4)。
【0070】
[091] 複合VLPをまた、カラムクロマトグラフィーを用いて、調整済媒質から精製した。調整済媒質を、陽イオン交換クロマトグラフィーによって処理した。陽イオン交換溶出画分を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によってさらに精製した。HIC溶出画分を濃縮し、接線流濾過によって緩衝液交換を行った。最終生成物を滅菌濾過し、4℃で保存した。精製複合VLP500ng(CM3ロット)を、銀染色SDS−PAGEによって分析した(図5)。
【0071】
[092] 流速1.0mL/分の、Tris20mM、NaCl150mM、pH7のランニング緩衝液を有する高圧液体クロマトグラフィー系を用いて、精製CM3複合VLPのアリコート50μLをSuperose−6サイズ排除カラムにロードした。無傷VLPのピークが、280nmで、約7.5分で観察され、このことは、複合VLPの完全性を裏付けるものである(図6)。
【0072】
(実施例3)複合物の免疫原性
[093] およそ8〜10週齢のメスのC57BL/6マウスを、50μgで始まり0.19μgまで2倍ずつ低下する低下濃度の複合VLP(CVLP)を用いて、腹腔内で免疫した。CVLPは、実施例1において記載される配列番号1の配列を有するポリペプチドを含有するものであった。PBSのみで免疫した動物の群を陰性対照として含めた。血清試料を回収し、CVLP特異的IgGの存在についてELISAによって分析した(図7)。この実験から得られる結果は、用量曲線の線形範囲がおよそ6μg〜0.2μgであることを示す。6.25μgを超える用量のCVLPは、用量依存的な様式においては免疫応答を増強させないと考えられる。EC50値(50%の応答をもたらす効果的用量として定義される)は、Softmax Proソフトウェア(Molecular Devices Corporation, Sunnyvale, CA)を用いて、およそ1.0μg/mLであると計算された。
【0073】
(実施例4)複合VLPの多重抗原結果
[094] メスのC57BL/6マウス(8〜10週齢)を、様々な用量の、NorwalkVLPのみ(NVLP)、複合VLP(CVLP)のみ、または組み合わせたもののいずれかを用いて、腹腔内で免疫した。PBSのみで免疫した動物の群を陰性対照として含めた。血清試料を回収し、抗原特異的IgGの存在についてELISAによって分析した(図8および図9)。結果は、CVLPおよびNVLPの組合せでの免疫が免疫応答を増強させ、その結果、低用量の抗原で高いIgGレベルが達成されることを示す。例えば、NVLPおよびCVLPのそれぞれ1μgでの免疫は、いずれかのVLPのみを投与した場合よりも強固な免疫応答を引き起こす。CVLPで免疫した動物から得られる抗体は、NVLPと交差反応をせず、逆もまた同様であった(データは示さない)。
【0074】
(実施例5)複合VLPは交差反応性抗体を引き起こす
[095] およそ10〜12週齢のメスのC57/BL6マウスを、Houston VLPまたはアジュバントとしてのMPL(20μg)と製剤した複合VLPのいずれか30μgを用いて、腹腔内で免疫した。複合VLPは、実施例1において記載される配列番号1の配列を有するポリペプチドを含有するものであった。免疫の後21日目にマウスを採血し、血清を抗原特異的ELISAにおいてアッセイし、複合VLP、Houston VLP、Laurens VLP、およびNorwalk VLPについて抗体力価を決定した。データを図10に示す。複合VLPでの免疫は、より多くの血清型にわたる、より広い応答を誘発し、これは、Laurens株に対する優れた応答を有する一方でHouston株に対する応答を維持することにより証明される。Houston VLPでの免疫もまた、複合VLPおよびLaurens VLPに対する交差反応性抗体を誘発するが、応答の程度は、複合VLPで免疫した場合に観察されるものほどには優れていなかった。GI.1ノロウイルスであるNorwalk VLPに対する検出可能な応答はなかった。
【0075】
(実施例6)ウサギにおける二価ワクチンの効力
[096] 実施例2において記載されるノロウイルスGII.4複合VLP(CVLP)およびNorwalk VLP(NVLP、GI.1)を含む二価ノロウイルスワクチンの効力を評価するために研究を行った。0日目および21日目に、ウサギを、この二価ワクチンを用いて筋肉内で免疫した。VLPの用量は、それぞれのタイプのVLP20μg〜0.002μgの範囲であり、それぞれのワクチン製剤はMPL25μgおよびAlOH250μgを含有するものであった。28日目に血清をそれぞれのウサギから回収し、VLP特異的IgGを評価した。75日目に脾臓および腸間膜リンパ節を回収し、抗原特異的細胞性免疫の存在について評価した。
【0076】
[097] 血清IgG力価を、捕捉物としてのNVLPまたはCVLPのいずれかで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。力価は希釈の逆数として表す(図11)。抗原特異的T細胞の応答性を、NVLPまたはCVLPのいずれか5μgを用いた5日間のインビトロでの刺激後のトリチウム化チミジンの取込みによって評価した(図12)。記憶B細胞を、VLP特異的ELISPOTによって評価し、結果は細胞100万個当たりの抗体分泌細胞として表す(図13)。
【0077】
[098] この研究の結果は、アジュバントMPLおよびAlOHと製剤されたIM二価ノロウイルスワクチンが、高いVLP特異的IgG応答、NVLPおよびCVLPの両方での刺激に応答し得る応答性T細胞および記憶B細胞を引き起こすことを示す。
【0078】
(実施例7)ウサギにおける高用量二価ワクチンの接種
[099] この実施例は、二価ワクチンにおける高用量の複合VLPおよびNorwalk VLPが何らかの有害事象をもたらすかどうかを決定するために設計された実験を概説するものである。0日目、14日目、および21日目に、ウサギを、二価ワクチン(実施例6を参照されたい)を用いて筋肉内で免疫した。VLPの用量は、それぞれのVLP(Norwalkおよび複合)150μg〜5μgの範囲であり、それぞれの製剤はMPL50μgおよびAlOH500μgを含有するものであった。免疫したウサギの全身の健康状態、被毛の状態、および注入部位を、最初の72時間にわたり12時間ごとにモニタリングし、その後は毎日モニタリングした。21日目および35日目に血清をそれぞれのウサギから回収し、Norwalk VLP(NVLP)特異的な(図14)、および複合VLP(CVLP)特異的な(図15)IgGおよびIgAを評価した。35日目に脾臓も採取し、抗原特異的細胞性免疫の存在について評価した(図16)。
【0079】
[0100] 血清IgG力価を、捕捉物としてのNVLPまたはCVLPのいずれかで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。力価は希釈の逆数として表す。抗原特異的T細胞の応答性を、示された抗原(例えば、複合VLP、GII.4(2002)VLP、GII.4(2006 VLP、およびNorwalk VLP)を用いた5日間のインビトロでの刺激後のトリチウム化チミジンの取込みによって評価した。
【0080】
[0101] この研究から得られる結果は、ノロウイルス二価ワクチンが試験用量で安全であることを示し、これは、全てのウサギが研究期間を通して健康であると考えられること、および注入部位の反応が観察されなかったことから証明される。ワクチン接種したウサギから測定された免疫応答は、二価ノロウイルスワクチンがVLP特異的抗体およびVLP応答性T細胞の両方を引き起こすために効果的であることを裏付けるものである。
【0081】
(実施例8)ノロウイルスワクチンの効力についてのマウス効能アッセイ
[0102] この実施例は、二価ノロウイルスワクチンの効能を評価するためのマウス効能アッセイの開発を概説するものである。0日目および7日目に、マウスを、0.002μg〜30μgにわたる等濃度のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いて腹腔内で免疫した。14日目に血清をそれぞれのマウスから回収し、VLP特異的IgGを評価した(図17)。抗体の中和活性もまた、O型プラスのヒト赤血球を用いて、血球凝集阻害アッセイ(HAI)によって測定した(図18)。GII.4遺伝子型は赤血球を凝集させないため、Norwalk特異的HAIの力価のみが評価され得た。
【0082】
[0103] 血清IgG力価を、捕捉物としてのNVLPまたはCVLPのいずれかで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。力価は希釈の逆数として表す。HAI力価を、標準的な血球凝集アッセイを用いることによって測定した。
【0083】
[0104] この研究から得られる結果は、二価ノロウイルスワクチンでのワクチン接種が、ヒト赤血球の凝集を阻害し得るような強力なおよび機能的なIgG力価を引き起こすことを示す。これらの結果は、ワクチン接種に応じて引き起こされる抗体が、感染の間の実際のウイルスの中和をもたらし得る機能性を有することを示すため、特に重要なものである。
【0084】
(実施例9)ノロウイルス二価ワクチンのキトサン製剤
[0105] 二価ノロウイルスVLPワクチンを用いて、このワクチン製剤におけるキトサンの役割を評価するために、ウサギにおいて研究を行った。製剤は、等量のNorwalk VP1 VLPおよび複合GII.4 VLPを含有するものであった(実施例2を参照されたい)。0日目および21日目に、ウサギを、乾燥粉末製剤を用いて鼻腔内で免疫した。VLPの用量は、それぞれのタイプのVLP150μg〜5μgの範囲であり、それぞれの製剤はMPL50μgを含有するものであった。キトサン濃度は、免疫原性におけるその役割を決定するために、それぞれの用量範囲で異なるものであった(7mg、0.7mg、および0mg)。血清をそれぞれのウサギから回収し、VLP特異的IgGを評価した(図19)。
【0085】
[0106] 血清IgG力価を、捕捉物としてのVLPで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。独占的な社内のウサギ抗VLP血清の連続希釈物を用いて、標準曲線を作成した。力価は、抗VLP/mLの単位で表す(1単位は1μgにほぼ等しい)。
【0086】
[0107] これらの実験から得られる結果は、最大の免疫原性を達成するためには最高用量(7mg)のキトサンが必要であることを示す。50μgの用量についてのIgGデータを図19に示し、結果はU/mlとして表す。IgA抗体の応答を以下の表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
(実施例10)ノロウイルスGIIコンセンサス遺伝子の設計
[0108] 本発明の方法はまた、異なるGII遺伝子型、すなわちGII.1、GII.2、GII.3から得られるノロウイルスGII単離体の間でカプシドコンセンサス配列を得るために用いられ得る。3つの異なるノロウイルスGII単離体から得られるVP1配列から、以下のアラインメントを得た。3つのGII株の相同性比較から決定されたコンセンサス配列(配列番号7)を図20に示す。
【0089】
[0109] 2つ以上の株が異なる、コンセンサス配列の可変的な位置について、複数の株のうちの1つの株の配列からアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導する。好ましくは、アミノ酸を選択する元となる配列は、近年循環している株であるか、または、より一般に疾患に関連しているか、もしくは評価される株の間でより一般に生じる株である。この実施例において、複合VP1 GII配列を得るために、3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、Snow Mountainの配列からアミノ酸を選択した。複合GII配列は、GIIノロウイルス単離体の間での交差免疫の誘発のために、複合GII VP1タンパク質をコードする合成遺伝子を産生するために用いられる。
【0090】
[0110] 複合GII VP1アミノ酸配列(複合)を、配列番号11として、GII.1ウイルス(受託番号:AAL13001)、GII.2 Snow Mountainウイルス(受託番号:AAB61685)、およびGII.3ウイルス(受託番号:AAL12998)(それぞれ配列番号8、9、および10)から得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列と共に、以下のアラインメントにおいて示す。
【化3】
【化4】
【0091】
(実施例11)ノロウイルスGIコンセンサス遺伝子の設計
[0111] 本発明の方法はまた、ノロウイルスGI単離体の間でカプシドコンセンサス配列を得るために用いられ得る。3つの異なるノロウイルスG1単離体から得られるVP1配列から、以下のアラインメントを得た。3つのGI株の相同性比較から決定されたコンセンサスG1配列(配列番号12)を図21に示す。
【0092】
[0112] 2つ以上の株が異なる、コンセンサス配列の可変的な位置について、複数の株のうちの1つの株の配列からアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導する。好ましくは、アミノ酸を選択する元となる配列は、近年循環している株であるか、または、より一般に疾患に関連しているか、もしくは評価される株の間でより一般に生じる株である。この実施例において、複合VP1 GI配列を得るために、3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、Southamptonの配列からアミノ酸を選択した。複合GI配列は、GIノロウイルス単離体の間での交差免疫の誘発のために、複合GI VP1タンパク質をコードする合成遺伝子を産生するために用いられる。
【0093】
[0113] 複合GI VP1アミノ酸配列(複合)を、配列番号16として、Norwalkウイルス(受託番号:M87661)、Southamptonウイルス(受託番号:Q04542)、およびChibaウイルス(受託番号:BAB18267)(それぞれ配列番号13、14、および15)から得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列と共に、以下のアラインメントにおいて示す。
【化5】
【0094】
(実施例12)L1についてのヒトパピローマウイルスコンセンサス遺伝子の設計
[0114] 本発明の方法はまた、他の非エンベロープウイルスの間でコンセンサス配列を得るために用いられ得る。HPV−11、HPV−16、およびHPV−18という3つのヒトパピローマウイルス(HPV)から、以下のアラインメントを得た。3つのHPV株の相同性比較から決定されたコンセンサスL1カプシドタンパク質配列(配列番号17)を図22に示す。
【0095】
[0115] 2つ以上の株が異なる、コンセンサス配列の可変的な位置について、複数の株のうちの1つの株の配列からアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導する。好ましくは、アミノ酸を選択する元となる配列は、近年循環している株であるか、または、より一般に疾患に関連しているか、もしくは評価される株の間でより一般に生じる株である。この実施例において、複合L1 HPV配列を得るために、3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、HPV−18の配列からアミノ酸を選択した。複合HPV配列は、様々なHPV株の間での交差免疫の誘発のために、複合L1ポリペプチドをコードする合成遺伝子を産生するために用いられる。
【0096】
[0116] 複合HPV L1アミノ酸配列(複合)を、配列番号21として、HPV−11ウイルス、HPV−16ウイルス、およびHPV−18ウイルス(それぞれ配列番号18、19、および20)から得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列と共に、以下のアラインメントにおいて示す。
【化6】
【化7】
【0097】
(実施例13)ヒトにおける複合VLPワクチン製剤の用量増加の安全性の研究
[0117] ノロウイルスワクチンの安全性および免疫原性の、二重盲検の、制御された、用量増加第I相研究を行う。ワクチンは、鼻腔内投与のために設計された乾燥粉末マトリクス内の複合ノロウイルス様粒子(VLP)からなる。複合VLPは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有する。被ワクチン接種者には、1型H抗原分泌者である健康な成人のボランティアが含まれる。1型H抗原分泌者の登録についての根拠は、1型H抗原分泌者がノロウイルス感染に感染しやすい一方で、非分泌者は耐性があることである。対照として、それぞれの投与量レベルの2人のさらなるボランティアに、マトリクスのみを与える。乾燥粉末マトリクスはMPL(登録商標)アジュバント25μg、キトサン7mg、マンニトール1.5mg、およびショ糖1.5mgを含む。ボランティアは0日目および21日目に投薬され、それぞれの投薬の後に、症状について7日間日記を書き続けることが求められる。血清学のために血液を、また粘膜抗体の評価のために抗体分泌細胞(ASC)、便試料、および唾液試料を回収する。
【0098】
[0118] ワクチンの成分を表2に列挙する。ワクチンは、鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。複合VLPワクチンの単回投与を、単回投薬Bespak(Milton Keynes, UK)UniDose DP乾燥粉末鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。それぞれのデバイスは乾燥粉末ワクチン製剤10mgを送達する。ワクチンのそれぞれの投薬は、1つがそれぞれの鼻孔内にある2つの送達デバイスから構成される。全ワクチン用量は、乾燥粉末20mgである。アジュバント/賦形剤の製剤は、複合VLP抗原が製剤内に含まれていないことを除いて、複合VLPワクチンと同一である。アジュバント/賦形剤の製剤(乾燥粉末マトリクスとも呼ばれる)を表3にまとめる。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
[0119] 具体的には、ワクチンの用量増加は以下のように行った。良好な健康状態についての適切なスクリーニングの後、3人のボランティアからなる群を、鼻腔内経路によって複合VLPワクチン5μgに乾燥粉末マトリクスを加えたもの(n=2)または乾燥粉末マトリクスのみ(n=1)のいずれかを与えるようにランダム化する。これらの3人のボランティアを21日間にわたり安全性について追跡し、Independent Safety Monitor(ISM)がそれらの安全性データを再検討する。ISMの認定の後、21日目に、これらの個体にワクチンまたはマトリクスの第2投薬を行い、4人のさらなるボランティアを、鼻腔内経路によってVLPタンパク質5μgに乾燥粉末マトリクスを加えたもの(n=3)またはマトリクスのみ(n=1)のいずれかを与えるためにランダム化する。ISMがこの第2の群から得られる安全性データを再検討し、ISMの認定の後、初回投薬の21日後に第2の鼻腔内投薬を行う。ボランティアは、それぞれの投薬の後に、症状について7日間日記を書き続ける。次に高い用量までの増加が許容可能であるとISMが決定した後、7人のボランティアからなる別の群を、0日目および21日目に鼻腔内経路によってVLPタンパク質15μgを含有する複合VLPワクチン(n=5)または乾燥粉末マトリクスのみ(n=2)のいずれかを与えるためにランダム化する。同様に、7日間の症状の日記が記録され、ISMにより再検討され、その後、21日目に第2の投薬が行われる。最後に、最初の2回の投与量コホートから得られる安全性データの再検討の後、ISMは用量増加が許容可能であるかどうかを決定し、7人のボランティアからなる最終群を、0日目および21日目に鼻腔内経路によってVLPタンパク質50μgを含有する複合VLPワクチン(n=5)または乾燥粉末マトリクスのみ(n=2)のいずれかを与えるためにランダム化する。同様に、ISMが7日間の症状の日記および他の安全性データを再検討し、その後、21日目に第2の投薬が行われる。
【0102】
[0120] ボランティアは、複合VLPワクチンまたは乾燥粉末マトリクスのみを与えられた後に、7日間にわたり、症状(鼻分泌物、鼻の痛み/不快、鼻詰まり、鼻水、鼻のかゆみ、鼻血、頭痛などの局所的症状、ならびに毎日の口腔体温、筋肉痛、吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢、および食欲不振などの全身症状を含む)について毎日日記を書き続ける。それぞれの追跡訪問(7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目、および180±14日目)で暫定的な病歴を得、ボランティアは、暫定的な病気、薬剤、および医師の訪問について質問される。ボランティアは、追跡訪問の際には問われない事象を含む全ての重大なまたは重症な有害事象を報告するように求められる。ボランティアは、7日目および28日目(それぞれの免疫の7日後)にCBCおよび血清クレアチニン、グルコース、AST、ならびにALTを評価され、異常である場合、試験が正常となるかまたは安定するまで、異常についての実験的試験が続いて行われる。
【0103】
[0121] 免疫の前、ならびに7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目、および180±14日目に、血液を回収して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって複合VLPワクチンに対する血清抗体を測定する。それぞれの用量のワクチンまたは乾燥粉末マトリクスのみを投与する前、および投与した後7日目に、末梢血リンパ球を回収し、ELISPOTアッセイによって抗体分泌細胞を検出する。ワクチン接種の前、ならびにワクチン接種後21±2日目、56±2日目、および180±14日目に、全血を得て、複合VLP抗原に応じたサイトカインの産生およびリンパ球増殖を含む、細胞介在性免疫のさらなる研究のために、細胞を分離し、凍結する。免疫の前、ならびに7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目、および180±14日目に、抗複合VLP sIgAのスクリーニングのために全便試料を回収する。免疫の前、ならびに7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目に、市販のデバイス(Salivette, Sarstedt, Newton, NC)を用いて唾液を回収し、56日目に粘膜抗体について陽性であれば、180±14日目の試料を回収し、抗複合VLP sIgAについてスクリーニングする。最後に、0日目、21日目、56日目、および180日目に、最高用量の複合VLP(50μg、上記の第3のコホート)を与えたボランティアから得られる血液を、記憶B細胞についてスクリーニングする。
【0104】
[0122] 以下の方法を用いて、免疫された個体または乾燥粉末マトリクスのみを与えられた個体から回収される血液、便、および唾液の試料を分析する。
【0105】
A.ELISAによる血清抗体の測定
[0123] コード化された標本をスクリーニングするための標的抗原として精製組換え複合VLPを用いて、ELISAによって複合VLPに対する抗体を測定するために、ワクチン接種の前およびワクチン接種後の複数の時点で、血液20mLを回収する。簡潔に述べると、pH9.6の被覆用炭酸塩緩衝液における複合VLPを用いて、マイクロタイタープレートを被覆する。被覆されたプレートを洗浄し、ブロックし、試験血清の2倍連続希釈物と共にインキュベートし、その後、洗浄し、ヒトIgG、IgM、およびIgAに特異的な酵素結合二次抗体試薬と共にインキュベートする。適切な基質溶液を添加し、発色させ、プレートを読み取り、IgG、IgM、およびIgAの終点力価を、それぞれの抗体クラスについて、参照標準曲線と比較して決定する。正の応答は、ワクチン接種後に力価が4倍上昇することとして定義される。
【0106】
B.抗体分泌細胞アッセイ
[0124] 複合VLPに対する抗体を分泌する細胞を検出するためのASCアッセイのために、末梢血単核球(PMBC)を、ヘパリン化した血液30mLから回収する。これらのアッセイを、複合VLPワクチンまたは乾燥粉末マトリクスのみを投与した後0日目、7±1日目、21±2日目、および28±2日目に行う。正の応答は、PBMC106個当たりのワクチン接種後のASC数が、全ての対象および少なくとも8個のASCスポットについてのワクチン接種前の数の平均(log尺度)よりも少なくとも3標準偏差(SD)大きいこととして定義され、これは、類似のアッセイにおいて決定される、媒質で刺激した陰性対照ウェル(2スポット)の平均+3SDに対応する。
【0107】
C.複合VLP特異的記憶B細胞の測定
[0125] ワクチン接種後0日目、21日目、56日目、および180目に、ヘパリン化した血液をコホート3から回収して(0日目および21日目は30mL、56日目および180日目は50mL)、インビトロでの抗原刺激の後に、ELISpotアッセイを用いて記憶B細胞を測定する。類似のアッセイが、ウサギにおいてNorwalk VLP製剤によって引き起こされる記憶B細胞の頻度を測定するために、成功裏に使用された(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれるWO2008/042789を参照されたい)。末梢血単核球(5×106個細胞/mL、24ウェルプレートにおいて1mL/ウェル)を4日間にわたり複合VLP抗原(2〜10μg/mL)と共にインキュベートし、抗原特異的記憶B細胞のクローン性増殖および抗体分泌細胞への分化を可能にする。対照には、抗原の不存在下で同一の条件下でインキュベートされた細胞および/または関連しない抗原と共にインキュベートされた細胞が含まれる。刺激の後、細胞を洗浄し、計数し、複合VLPで被覆されたELISpotプレートに移す。全Ig分泌Bリンパ球当たりのVLP特異的記憶B細胞の頻度を決定するために、増殖したB細胞をまた、抗ヒトIgG抗体および抗ヒトIgA抗体で被覆されたウェルに添加する。結合した抗体を、HRP標識抗ヒトIgGまたは抗ヒトIgAで明らかにし、その後、True Blue基質によって明らかにする。IgAおよびIgGのサブクラス(IgA1、IgA2、およびIgG1-4)への結合をまた、特徴的なエフェクターメカニズムおよび免疫プライミングの位置に関連し得る抗原特異的サブクラス応答を決定するために用いることができる。スポットはELISpotリーダーを用いて計数する。それぞれのボランティアについての増殖した細胞集団をフローサイトメトリーによって調べ、それらの記憶B細胞の表現型、すなわちCD19+、CD27+、IgG+、IgM+、CD38+、IgD−を確認する。
【0108】
D.細胞性免疫応答
[0126] ヘパリン化した血液(コホート1および2では50mL、コホート3では25mL)を、コード化された標本として回収し、今後行い得る複合VLP抗原に対する細胞介在性免疫(CMI)応答の評価のために、PBMCを単離し、液体窒素内で凍結保存する。行われ得るアッセイは、複合VLP抗原に対するPBMC増殖性およびサイトカイン応答を含み、確立された技術に従ってインターフェロン(IFN)−γおよびインターロイキン(IL)−4のレベルを測定することによって決定され得る。
【0109】
E.抗複合VLP sIgAのための便および唾液の回収
[0127] 抗複合VLP IgAを便試料および唾液試料において測定する。唾液標本をプロテアーゼ阻害剤(すなわち、AEBSF、ロイペプチン、ベスタチン、およびアプロチニン)(Sigma, St. Louis, MO)で処理し、−70℃で保存し、これまでに記載されているアッセイ(Mills et al.(2003)Infect. Immun. 71: 726-732)の変型を用いてアッセイする。ワクチン接種後の複数の日に便を回収し、分析するまで標本を−70℃で保存する。標本を解凍し、プロテアーゼ阻害剤緩衝液を添加して10%w/v便懸濁液を調製する。以下に記載するように、便浮遊物を、ELISAによって、複合VLP特異的粘膜IgAについてアッセイする。
【0110】
[0128] ワクチン接種前およびワクチン接種後の複数の時点で、全唾液およそ2〜3mLを回収する。唾液は市販のデバイス(Salivette, Sarstedt, Newton, NC)によって回収し、ここで、Salivetteスワブは噛まれるか、または唾液で飽和するまで30〜45秒間にわたり舌の下に置かれる。唾液は遠心分離によってスワブから回収される。
【0111】
F.便および唾液における抗複合VLPの測定
[0129] 抗ヒトIgA抗体試薬または標的複合VLP抗原被覆のいずれかで被覆されたプレートを用いてELISAを実施し、それぞれの標本について、全IgAを決定し、かつ特異的抗VLP IgA応答を滴定する。全IgAまたは特異的IgAを、上述のように、HRP標識抗ヒトIgAで明らかにする。内部全IgAの標準曲線が、IgA含有量の定量に含まれる。応答は、特異的抗体が4倍上昇することとして定義される。
【0112】
(実施例14)ヒトにおける2つの投与量の鼻腔内複合VLPワクチンの安全性および免疫原性の研究
[0130] 健康な成人におけるランダム化された二重盲検の研究を行い、2つの投与量レベルの複合ノロウイルス様粒子(VLP)ワクチンの安全性および免疫原性を、アジュバント/賦形剤およびプラセボ対照(空のデバイス)と比較する。ワクチンは、実施例13において記載される、鼻腔内投与のために設計された、乾燥粉末マトリクス内の複合ノロウイルス様粒子(VLP)からなる。被ワクチン接種者には、1型H抗原分泌者である健康な成人のボランティアが含まれる。ヒトボランティアを4つの群の1つにランダムに振り分け、それぞれの群に、複合VLPワクチン50μg用量、複合VLPワクチン100μg用量、アジュバント/賦形剤、またはプラセボという処理の1つを行う。ボランティアは0日目および21日目に投薬され、それぞれの投薬の後に、症状について7日間日記を書き続けることが求められる。血清学のために血液を、また粘膜抗体の評価のために抗体分泌細胞(ASC)、便試料、および唾液試料を回収する。
【0113】
[0131] ワクチンの成分を実施例13の表2に列挙する。ワクチンは、鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。複合VLPワクチンの単回投与を、単回投薬Bespak(Milton Keynes, UK)UniDose DP乾燥粉末鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。それぞれのデバイスは乾燥粉末ワクチン製剤10mgを送達する。ワクチンのそれぞれの投薬は、1つがそれぞれの鼻孔内にある2つの送達デバイスからなる。全ワクチン用量は、乾燥粉末20mgである。したがって、ワクチン用量50μgは、それぞれが乾燥粉末製剤10mgを送達する2つのデバイスからなり、それぞれの乾燥粉末製剤10mgは、複合VLP25μg、MPL(登録商標)アジュバント25μg、キトサン7mg、マンニトール1.5mg、およびショ糖1.5mgからなる。同様に、ワクチン用量100μgは、それぞれが乾燥粉末製剤10mgを送達する2つのデバイスからなり、それぞれの乾燥粉末製剤10mgは、複合VLP50μg、MPL(登録商標)アジュバント25μg、キトサン7mg、マンニトール1.5mg、およびショ糖1.5mgからなる。アジュバント/賦形剤の製剤は、複合VLP抗原が製剤内に含まれていないことを除いて、複合VLPワクチンと同一である。アジュバント/賦形剤の製剤(乾燥粉末マトリクスとも呼ばれる)を実施例13の表3にまとめる。プラセボ群には2つの空のデバイスを与える。
【0114】
[0132] ボランティアは、複合VLPワクチンの2つの用量のいずれか、乾燥粉末マトリクスのみ、またはプラセボを与えられた後に、7日間にわたり、症状(鼻分泌物、鼻の痛み/不快、鼻詰まり、鼻水、鼻のかゆみ、鼻血、頭痛などの局所的症状、ならびに毎日の口腔体温、筋肉痛、吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢、および食欲不振などの全身症状を含む)について毎日日記を書き続ける。それぞれの追跡訪問(7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目、および180+14日目)で暫定的な病歴を得、ボランティアは、暫定的な病気、薬剤、および医師の訪問について質問される。ボランティアは、追跡訪問の際には問われない事象を含む全ての重大なまたは重症な有害事象を報告するように求められる。ボランティアは、7日目および28日目(それぞれの免疫の7日後)にCBCおよび血清クレアチニン、グルコース、AST、ならびにALTを評価され、異常である場合、試験が正常となるかまたは安定するまで、異常についての実験的試験が続いて行われる。
【0115】
[0133] 免疫の前、ならびに7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目、および180+14日目に、血液を回収して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって複合VLPワクチンに対する血清抗体を測定する。それぞれの用量のワクチン、乾燥粉末マトリクスのみ、またはプラセボを投与する前、および投与した後7日目に、末梢血リンパ球を回収し、ELISPOTアッセイによって抗体分泌細胞を検出する。ワクチン接種の前、ならびにワクチン接種後21+2日目、56+2日目、および180+14日目に、全血を得て、複合VLP抗原に応じたサイトカインの産生およびリンパ球増殖を含む、細胞介在性免疫のさらなる研究のために、細胞を分離し、凍結する。免疫の前、ならびに7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目、および180+14日目に、抗複合VLP sIgAのスクリーニングのために全便試料を回収する。免疫の前、ならびに7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目に、市販のデバイス(Salivette, Sarstedt, Newton, NC)を用いて唾液を回収し、56日目に粘膜抗体について陽性であれば、180±4日目の試料を回収し、抗複合VLP sIgAについてスクリーニングする。血液はまた、0日目、21日目、56日目、および180日目に、記憶B細胞についてスクリーニングする。
【0116】
[0134] 免疫された個体または乾燥粉末マトリクスのみもしくはプラセボを与えられた個体から回収される血液、便、および唾液の試料を分析するために用いられる方法は、実施例13において詳細に記載される。
【0117】
(実施例15)複合ノロウイルスVLPワクチンでのワクチン接種の後の感染性ノロウイルスでの実験的ヒトチャレンジ研究
[0135] 複合ノロウイルスVLPワクチンで免疫された80人のヒトボランティアにおいて、多部位の、ランダム化された、二重盲検の、プラセボ制御された、第1〜2相のチャレンジ研究を行う。適格対象には、18〜50歳の、健康な、1型Hオリゴ糖を発現し(正の唾液分泌状態によって測定される)、かつ血液型がB型でもAB型でもない対象が含まれる。1型H分泌者ではないかまたはB型もしくはAB型の血液を有する対象は、Norwalkウイルスでの感染に対してより耐性があることが報告されており、研究から排除される。少なくとも80%のボランティアが、これらの2つの基準に基づいて適格であると予想される。
【0118】
[0136] スクリーニングの後、全ての許容可能な基準を満たす適格なボランティアを、それぞれがおよそ40人のボランティアを有する、2つの等しいサイズのコホートの1つにランダム化する(1:1)。コホート1は複合VLPで免疫し、コホート2にはプラセボを与える。ボランティアは、それぞれの鼻孔において複合VLPワクチン10mg(全乾燥粉末20mg)で免疫するか、またはプラセボを与える。複合VLPワクチン10mgのそれぞれは、複合VLP50μg、キトサン7mg、MPL(登録商標)25μg、ショ糖1.5mg、およびマンニトールおよそ1.5mgを含有する。したがって、コホート1におけるそれぞれのボランティアには、それぞれの免疫で、複合VLP抗原100μgの全用量を与える。ボランティアには、研究0日目および21日目に、ワクチンまたはプラセボを与える。
【0119】
[0137] プラセボと比較した、複合ウイルスVLPワクチンの安全性を評価する。ボランティアは、ワクチンまたはプラセボでのそれぞれの免疫の後に、7日間にわたり日記を書き続け、有害事象の重症度および期間を文書記録する。重症な有害事象(SAE)およびあらゆる顕著な新たな病状の発生を、ワクチンまたはプラセボの最後の投薬後6ヶ月にわたり、および感染性ウイルスでのチャレンジ後4ヶ月にわたり追跡する。
【0120】
[0138] 全てのボランティアを、ワクチンまたはプラセボの第2投薬の後21〜42日後(研究42日目〜56日目)に感染性ノロウイルスでチャレンジする。それぞれのボランティアには、50%ヒト感染用量(HID50)以上を、すなわちプラセボ群において少なくとも50%のボランティアに疾患を生じさせると予想される感染性ウイルスの量を与える。HID50は、チャレンジウイルス株約48〜約480ウイルス当量である。チャレンジノロウイルスは、滅菌水と混合し、経口的に投与する。胃酸およびペプシンによるウイルスの分解を防ぐために、水中の重炭酸ナトリウム500mgを摂取してから接種を行う。重炭酸ナトリウム溶液(水中の重炭酸ナトリウム500mg)の第2の摂取を、感染性ウイルスの経口接種の5分後に行う。ボランティアは、急性胃腸炎の症状/兆候(嘔吐、下痢、軟便、腹痛、吐き気、および発熱)が消えた後、少なくとも4日間および少なくとも18時間にわたり、チャレンジ施設内に残る。
【0121】
[0139] ウイルスチャレンジによって誘発される急性胃腸炎の症状/兆候の予防または低減における複合VLPワクチンの効力を決定するために、いくつかの判断基準をモニタリングする。全てのボランティアは急性胃腸炎の自らの臨床症状を記録し、これらの症状は、研究所においてリサーチスタッフによって文書記録される。ワクチンを与えたコホート1から得られる疾患の症状/兆候を、コホート2のプラセボレシピエントと比較する。
【0122】
[0140] ワクチンまたはプラセボでの免疫の前、およびチャレンジ後に、血清および便の試料を全てのボランティアから通常通りに回収する。血清試料を、チャレンジVLPに対するIgAおよびIgGの力価について、ELISAによって分析する。便試料において、チャレンジウイルス抗原およびチャレンジウイルスRNAを、それぞれELISAおよびPCRによって試験し、これは、ウイルスの存在、腸から排泄されたウイルスの量、およびウイルス排泄の期間を示すものである。チャレンジ後に病気になる対象は、症状/兆候がなくなるまで、血清化学、BUN、クレアチニン、および肝機能の試験を含むさらなる実験的研究に供される。
【0123】
[0141] ワクチン群(コホート1)およびプラセボ群(コホート2)から得られる結果を比較して、ノロウイルス疾患の全体に対するワクチンの防御的効力(最初の終点)、かつ/あるいは、症状/兆候(重症度および病気の日数)の改善ならびに/またはウイルス排泄の存在、量、および/もしくは期間の低減におけるその効力(第2の終点)を評価する。
【0124】
[0142] 本発明は、記載される具体的な実施形態によってその範囲を限定されるものではなく、前記実施形態は、本発明の個別の態様を単に説明するものとして意図されており、機能的に等しい方法および構成要素が本発明の範囲内である。実際、本明細書において示され記載されるものに加え、本発明の様々な変型が、通常の実験以上のものを用いることなく、前述の記載および添付の図面から当業者に明らかとなろう。このような変型および同等物は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。
【0125】
[0143] この明細書において述べる全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書において、参照することにより明細書内に組み込まれ、その組込みは、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願が、参照することにより本明細書に組み込まれることが具体的にかつ個別に指示される場合と同程度のものである。
【0126】
[0144] 本明細書における参考文献の引用または議論は、これらの参考文献が本発明の先行技術であることを認めることであると解釈されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
[001] 関連出願への相互参照
この出願は、2008年8月8日に出願された米国仮出願第61/087,504号および2009年6月19日に出願された米国仮出願第61/218,603号に基づく利益を主張するものであり、両仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本発明は、ワクチン、とりわけ、非エンベロープウイルスの2つ以上のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有するウイルス様粒子を含むワクチンの分野にある。さらに、本発明は、ワクチン組成物を調製する方法、および本発明のワクチン組成物を用いて防御性免疫応答を誘発する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 季節性のまたは年ごとのパターンを有するウイルスに対するワクチンを調製するために普及しているアプローチは、市販のインフルエンザワクチンによってモデル化されており、これらのワクチンは、ウイルスが進化して異なる抗原プロフィールを示すようになると、新たなワクチンの予想、公表、およびその後の合成を要する。このアプローチでは、翌年のウイルス株を予想して新たな抗原が合成されるため、著しい時系列的な遅延および費用が生じる。さらに、2008年のインフルエンザワクチンの失敗により証明されるように、予測株を誤ると、患者が防御下にあるほど、著しい疾患関連費用が生じ得る。したがって、疾患を引き起こすウイルスの複数の循環株に対して防御するためのワクチンを設計および調製するための改良された方法が望ましい。
【0004】
[004] ノロウイルスは、非細菌性胃腸炎の流行的発生の単一の最も重要な原因として出現している、培養不可能なヒトカリシウイルスである(Glass et al.(2000)J Infect Dis, Vol. 181(Sup 2): S254-S261; Hardy et al.(1999)Clin Lab Med, Vol. 19(3): 675-90)。これらのウイルスは、5つの異なる遺伝子群にグループ化されており、そのうち遺伝子群IおよびIIは、25を超える遺伝子型にさらに分けられ、このウイルスに起因するヒトにおける病気の大部分についての作用物質である。ノロウイルスに対するワクチンを開発するために、培養物および急性胃腸炎の適切な動物モデルにおけるウイルスの繁殖の欠如を含む、多大なる挑戦がなされている。したがって、ウイルスの弱毒化またはインビトロでの中和アッセイを含む標準的なウイルス学的技術は今日のところ不可能である。
【0005】
[005] ノロウイルスは、3つのオープンリーディングフレームを含有する、7.5Kbの一本鎖プラスセンスRNAゲノムを含有する。主要ウイルスカプシドタンパク質(VP1)はORF2によってコードされており、このタンパク質が発現すると、ウイルスの構造を模倣するが複製能を有しないウイルス様粒子(VLP)が、自然発生的に組み立てられる。この構造は、VP1の180個のモノマーサブユニットからなり、急性胃腸炎を予防するためのワクチン候補である。VP1モノマーは、内部のウイルス核を形成するshell(S)ドメイン、および柔軟なヒンジによって連結されている、突出したprotruding(P)ドメインという、2つのドメインを有する。Pドメインは、P1およびP2という2つのサブドメインにさらに分けられ、P2は、最も表面にある露出した領域であり、重要な細胞認識部位および抗原部位を含有すると考えられている。相同性分析は、VP1の超可変アミノ酸領域の大部分がP2ドメイン内に位置することを示す(Allen et al.(2008)PLoS One, Vol. 1: 1-9)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[006] 近年の疫学的研究により、ノロウイルスの進化は、インフルエンザウイルスで観察されるのと同様に、停止期間とその後の新たな流行株の出現とを伴う点で画期的であるという仮定が導かれている。最近の発生は、およそ2年間の持続間隔でのGII.4遺伝子型の変異ウイルスの出現に関連すると考えられる。当技術分野において、それぞれの現代の発生株に対するワクチンの構築の必要性をなくす、複数のノロウイルスまたは他の非エンベロープウイルス株に対して交差防御的である抗原性エピトープを提供するワクチン候補が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[007] 本発明は、多くの循環ウイルス株のエピトープを結合する、複合カプシド配列を含むポリペプチドを、複数のウイルス株に対するさらに強固な免疫学的応答を生じさせるために用いることができるという発見に一部基づいている。このようなポリペプチドは、ウイルスのいくつかの循環株に対して防御的であり、したがって、株ごとおよび年ごとの防御を向上させるワクチン製剤を調製するために用いることができる。
【0008】
[008] 本発明は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを提供し、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、少なくとも1つのポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。一実施形態において、少なくとも1つの複合ポリペプチドを含むウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する。別の実施形態において、複合ポリペプチドまたは複合ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株に対する抗血清交差反応性を、前記1つまたは複数の循環株から得られるタンパク質のみを含有するウイルス様粒子での免疫によって得られる抗血清交差反応性と比較して増大させる。
【0009】
[009] ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むことができ、非エンベロープウイルスは、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される。一実施形態において、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。別の実施形態において、カリシウイルスはノロウイルスまたはサポウイルスである。ノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。
【0010】
[010] コンセンサス配列は、同一の遺伝子群および遺伝子型に分類される2つ以上のノロウイルス株に由来し得る。一実施形態において、コンセンサス配列は、遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株、例えばHouston株、Minerva株、およびLaurens株に由来する。別の実施形態において、コンセンサス配列は、1つの遺伝子群内の少なくとも2つの異なる遺伝子型のノロウイルス株に由来する。さらに別の実施形態において、コンセンサス配列は、少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株に由来する。
【0011】
[011] 本発明はまた、2つ以上の循環カリシウイルス株に由来する少なくとも1つの複合ポリペプチドと、ノロウイルスなどの、第2の非エンベロープウイルスから得られるカプシドタンパク質とを含むウイルス様粒子を包含する。カプシドタンパク質は、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスから得られるVP1および/またはVP2タンパク質であり得る。別の実施形態において、ウイルス様粒子は、カリシウイルスの2つ以上の循環株に由来する少なくとも1つの複合ポリペプチドと、第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株に由来する第2の複合ポリペプチドとを含む。好ましくは、ウイルス様粒子は、第1のカリシウイルスの2つ以上の循環株および第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する。
【0012】
[012] 本発明はまた、複合アミノ酸配列を有する、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントを提供し、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、ポリペプチドは、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。非エンベロープウイルスは、サポウイルスまたはノロウイルスなどのカリシウイルスであり得る。あるいは、非エンベロープウイルスはパピローマウイルスであり得る。
【0013】
[013] 本発明は、本発明の1つまたは複数の複合ポリペプチドまたは複合ウイルス様粒子を含むワクチン製剤を企図とする。複合ウイルス様粒子のそれぞれは、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含む。非エンベロープウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ワクチン製剤はアジュバントをさらに含む。他の実施形態において、ワクチン製剤は送達物質をさらに含む。さらに他の実施形態において、ワクチン製剤は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。ワクチン製剤は、液体製剤または乾燥粉末製剤であり得る。
【0014】
[014] 本発明はまた、本明細書において開示されるワクチン製剤を対象に投与することを含む、対象におけるウイルス感染に対する防御性免疫を誘発する方法を提供する。1つの実施形態において、ウイルス感染はノロウイルス感染である。別の実施形態において、ワクチン製剤は、ノロウイルス感染の1つまたは複数の症状からの防御をもたらす。
【0015】
[015] 本発明はまた、複合ウイルス様粒子を作製する方法を対象とする。一実施形態において、本方法は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質のアミノ酸配列をアラインすること、前記アラインされたアミノ酸配列からコンセンサス配列を決定すること、前記コンセンサス配列に基づいて、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する複合配列を調製すること、および宿主細胞において前記複合配列を発現させ、それによりウイルス様粒子を産生することを含む。非エンベロープウイルスは、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】[016]遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号2)を示す図である。コンセンサス配列は、Houston株、Minerva株、およびLaurens株のアラインメントから決定した。
【図2】[017]遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルスから得られる複合VP1タンパク質をコードするヌクレオチド配列(配列番号3)を示す図である。
【図3】[018]ショ糖勾配精製された複合VLPのSDS−PAGE/クマシー分析を示す図である。
【図4】[019]ショ糖勾配によって精製された、複合物発現細胞の培養上清の、220nm(上部)および280nm(下部)で読み取った、HPLC SECクロマトグラムを示す図である。
【図5】[020]カラムクロマトグラフィーによって精製された複合配列VLPのSDS−PAGE/銀染色分析を示す図である。
【図6】[021]複合VLPの、280nmで読み取ったHPLC SECクロマトグラムを示す図である。
【図7】[022]複合VLP(CVLP)での免疫が抗原特異的IgGを引き起こすことを示す図である。0日目および7日目に、7頭のマウスからなる群を、様々な濃度のCVLP(X軸上に示される)で免疫(腹腔内)した。14日目に血清を回収し、CVLP特異的IgGをELISAによって測定した。水平な線は、それぞれの処理群の幾何平均を示す。
【図8】[023]複合VLP/Norwalk VLP(CVLP/NVLP)の組合せでの免疫がNVLP特異的IgGを引き起こすことを示す図である。0日目および14日目に、7頭のマウスからなる群を、様々な濃度のNVLPのみ(紫のバー)または等量のCVLPと組み合わせたNVLP(黒のバー)で免疫(腹腔内)した。21日目に血清を回収し、NVLP特異的IgGをELISAによって測定した。データは、平均+平均の標準誤差(SEM)として報告される。
【図9】[024]複合VLP/Norwalk VLP(CVLP/NVLP)の組合せでの免疫がCVLP特異的IgGを引き起こすことを示す図である。0日目および14日目に、7頭のマウスからなる群を、様々な濃度のVLPのみ(緑のバー)または等量のNVLPと組み合わせたVLP(黒のバー)のいずれかで免疫(腹腔内)した。21日目に血清を回収し、CVLP特異的IgGをELISAによって測定した。データは、平均+平均の標準誤差(SEM)として報告される。
【図10】[025]CVLP特異的IgGが他のノロウイルス単離体と交差反応することを示す図である。複合VLPまたはGII.4 2002VLPのいずれかでの単回免疫の21日後に測定された抗体力価は、複合VLPが、GII.4 2002VLPと比較して約10倍高い力価を引き起こすことを示す。全てのGII.4 VLPで免疫された動物についての抗体力価は、GI.1 VLPに対して弱い交差反応性を示す。データは、幾何平均+平均の標準誤差(SEM)として表される。
【図11】[026]0日目および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。28日目に血清を回収し、VLP特異的IgGを評価した。得られたデータをlog変換し、線形回帰分析によって評価した。IgGの力価は、希釈の逆数として表され、幾何学的な平均力価として示される。
【図12】[027]0日目および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。75日目に脾臓を回収し、断片化されていない細胞を、培養物内で5日間にわたりNVLPまたはCVLPで刺激し、チミジンの組込み量を測定した。平均およびSDが、X軸上に示される処理群におけるそれぞれのウサギについて示される。データは平均+SDとして表される。
【図13】[028]0日目および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。75日目に脾臓および腸間膜リンパ節(LN)を回収し、VLP特異的な記憶B細胞の存在についてELISPOTによって分析した。個別の応答が、NVLPおよびCVLPについて示される。データは、100万個の細胞存在量当たりのVLP特異的IgG分泌細胞の数として表される。
【図14】[029]0日目、14日目、および21日目に、説明文において示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。21日目および35日目に血清を回収し、NVLP特異的なIgGおよびIgAをELISAによって測定した。結果は、群の幾何平均+SEMとして表される。
【図15】[030]0日目、14日目、および21日目に、説明文において示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。21日目および35日目に血清を回収し、CVLP特異的なIgGおよびIgAをELISAによって測定した。結果は、群の幾何平均+SEMとして表される。
【図16】[031]0日目、14日目、および21日目に、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてウサギを筋肉内で免疫した。35日目に脾臓を回収し、断片化されていない細胞をインビトロで5日間にわたり刺激した。脾臓細胞を、グラフの説明文において示される2つの遺伝子群の様々なVLPで刺激した。結果は、群の幾何平均+SDとして表される。
【図17】[032]0日目および7日目に、X軸上に示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてマウスを腹腔内で免疫した。14日目に血清を回収し、VLP特異的IgGの存在をELISAによって分析した。個別の応答が示され、力価は希釈の逆数として表される。水平なバーは、群の幾何平均を表す。
【図18】[033]0日目および7日目に、X軸上に示されているように、等量のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いてマウスを腹腔内で免疫した。14日目に血清を回収し、ヒト赤血球(O型プラス)の凝集を阻害し得る抗体の存在を分析した。個別の応答が示され、力価は希釈の逆数として表される。水平なバーは、群の幾何平均を表す。
【図19】[034]0日目および21日目に、VLPワクチン製剤(Norwalk VLP+複合GII. 4 VLP)50μgを用いて鼻腔内で免疫されたウサギにおける、血清の抗VLP IgGを示す図である。個別の応答が示され、35日目に回収された血清からのμg/mLで表される。バーは、群の幾何平均を示す。
【図20】[035]遺伝子群IIのノロウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号7)を示す図である。コンセンサス配列は、GII.1(受託番号:AAL13001)株、GII.2 Snow Mountain(受託番号:AAB61685)株、およびGII.3(受託番号:AAL12998)株のアラインメントから決定された。「x」は、3株全ての間でアミノ酸が異なった位置を示す。
【図21】[036]遺伝子群Iのノロウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号12)を示す図である。コンセンサス配列は、Norwalkウイルス(受託番号:M87661)株、Southampton(受託番号:Q04542)株、およびChibaウイルス(受託番号:BAB18267)株のアラインメントから決定された。「x」は、3株全ての間でアミノ酸が異なった位置を示す。
【図22】[037]ヒトパピローマウイルスから得られるL1タンパク質のアミノ酸コンセンサス配列(配列番号17)を示す図である。コンセンサス配列は、HPV−11ウイルス株、HPV−16ウイルス株、およびHPV−18ウイルス株のアラインメントから決定された。「x」は、3株全ての間でアミノ酸が異なった位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[038] 本発明は、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドを含むワクチン製剤を提供し、複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの循環株のカプシド配列に由来する。このようなポリペプチド配列から産生されるウイルス様粒子は、いくつかのウイルス株に対する抗原性エピトープを提供し、複数の株からのウイルス感染に対して防御的である免疫応答を誘発するために使用することができる。したがって、本発明は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むウイルス様粒子を提供する。本明細書において用いられる「複合アミノ酸配列」または「複合配列」は、少なくとも2つのウイルスタンパク質配列のコンセンサス配列に由来する配列である。一実施形態において、ウイルスタンパク質配列はカプシド配列である。複合アミノ酸配列は、コンセンサス配列内の可変的な位置で2つ以上のアミノ酸の1つを選択することにより、コンセンサス配列に由来し得る。
【0018】
[039] 本明細書において用いられる場合、「コンセンサス配列」は、1つまたは複数の可変的なアミノ酸を含有する配列であり、2つ以上のウイルスのウイルスタンパク質配列をアラインおよび比較することによって決定される。コンセンサス配列はまた、2つ以上のウイルスのヌクレオチド配列をアラインおよび比較することによって決定され得る。コンセンサス配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、6つ以上の、7つ以上の、8つ以上の、または9つ以上の循環株のタンパク質配列またはヌクレオチド配列から決定され得る。
【0019】
[040] 複合アミノ酸配列を有するポリペプチドは、コンセンサス配列を決定するために用いられる2つ以上の循環株のタンパク質配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なる、少なくとも2つの異なる、少なくとも3つの異なる、少なくとも4つの異なる、少なくとも5つの異なる、少なくとも6つの異なる、少なくとも7つの異なる、少なくとも8つの異なる、少なくとも9つの異なる、少なくとも10個の異なる、少なくとも15個の異なる、少なくとも20個の異なる、少なくとも25個の異なる、少なくとも30個の異なる、少なくとも35個の異なる、少なくとも40個の異なる、少なくとも45個の異なる、または少なくとも50個の異なるアミノ酸を含有し得る。いくつかの実施形態において、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し得る。
【0020】
[041] 本発明の1つの実施形態において、ウイルス様粒子(VLP)は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含み、前記複合アミノ酸配列は、エンベロープを有さない2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、少なくとも1つのポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。好ましくは、ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、6つ以上の、7つ以上の、8つ以上の、または9つ以上の循環株の抗原特性を有する。いくつかの実施形態において、ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの1つもしくは複数の、2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、6つ以上の、7つ以上の、8つ以上の、または9つ以上の循環株に対する抗血清交差反応性を、1つまたは複数の循環株から得られるタンパク質のみを含有するウイルス様粒子での免疫によって得られる抗血清交差反応性と比較して増大させる。1つの実施形態において、ウイルス様粒子は、抗血清交差反応性を少なくとも2倍増大させる。
【0021】
[042] 別の実施形態において、ウイルス様粒子は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含み、非エンベロープウイルスは、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される。本発明はまた、出願時には特徴付けも発見もされていない、非エンベロープウイルスの株も含む。いくつかの実施形態において、とりわけ、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。カリシウイルスは、ヒトにおける感染の原因となるノロウイルスおよびサポウイルス、ならびに動物の感染に関連するラゴウイルスおよびベシウイルスという4つの属に分けられる。好ましい実施形態において、カリシウイルスはサポウイルスまたはノロウイルスである。
【0022】
[043] ノロウイルス属は、2つの主要な遺伝子群(GIおよびGII)にまず分けられる。2つの他の遺伝子群(GIIIおよびGIV)が提案され、一般に認められている。GIIIの代表はウシのJena株である。GIVは現時点では、Alphatronという1つのウイルスを含有する。GI群およびGII群はさらに、遺伝的分類に基づいて集団または遺伝子型に分離される(Ando et al.(2000)J. Infectious Diseases, Vol. 181(Supp2):S336-S348; Lindell et al.(2005)J. Clin. Microbiol., Vol. 43(3): 1086-1092)。本明細書において用いられる場合、遺伝集団という用語は、遺伝子型という用語とほぼ同じ意味で用いられる。遺伝子群Iにおいては、GI.1(Norwalk)、GI.2(Southhampton)、GI.3(Desert Shield)、GI.4(Cruise Shipウイルス/Chiba)、GI.5(318/Musgrove)、およびGI.6(Hesse)という6つのGI集団(プロトタイプウイルス株の名称を伴う)が存在する。遺伝子群IIにおいては、GII.1(Hawaii)、GII.2(Snow Mountain/Melksham)、GII.3(Toronto)、GII.4(Bristol/Lordsdale)、GII.5(290/Hillingdon)、GII.6(269/Seacroft)、GII.7(273/Leeds)、GII.8(539/Amsterdam)、およびGII.9(378)という9つのGII集団(プロトタイプウイルス株の名称を伴う)が存在する。循環ノロウイルス株は、これらの遺伝集団に属するプロトタイプ株に対する比較を介して分類される。最も普及している循環株は遺伝子群IIに属する。
【0023】
[044] 多くのノロウイルス単離体についての核酸配列およびタンパク質配列が知られている。ノロウイルス単離体から得られるORF1、ORF2、ORF3、およびそれらがコードするポリペプチドの配列を含む、さらなる代表的な非限定的な配列は、国立生物工学情報センター(NCBI)のデータベースにおいて列挙されている。本発明の1つの実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。複合アミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列は、既知のノロウイルス株のいずれかから決定され得る。例えば、GenBank登録:ノロウイルス遺伝子群1の株Hu/NoV/West Chester/2001/USA、GenBank受託番号AY502016;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Braddock Heights/1999/USA、GenBank受託番号AY502015;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Fayette/1999/USA、GenBank受託番号AY502014;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Fairfield/1999/USA、GenBank受託番号AY502013;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Sandusky/1999/USA、GenBank受託番号AY502012;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Canton/1999/USA、GenBank受託番号AY502011;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Tiffin/1999/USA、GenBank受託番号AY502010;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−E1/2002/USA、GenBank受託番号AY50200;ノロウイルス遺伝子群1の株Hu/NoV/Wisconsin/2001/USA、GenBank受託番号AY502008;ノロウイルス遺伝子群1の株Hu/NoV/CS−841/2001/USA、GenBank受託番号AY502007;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Hiram/2000/USA、GenBank受託番号AY502006;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Tontogany/1999/USA、GenBank受託番号AY502005;Norwalkウイルス、完全ゲノム、GenBank受託番号NC.sub.−−001959;ノロウイルスHu/GI/Otofuke/1979/JPゲノムRNA、完全ゲノム、GenBank受託番号AB187514;ノロウイルスHu/Hokkaido/133/2003/JP、GenBank受託番号AB212306、ノロウイルスSydney2212、GenBank受託番号AY588132;Norwalkウイルス株SN2000JA、GenBank受託番号AB190457;Lordsdaleウイルスの完全ゲノム、GenBank受託番号X86557;Norwalk様ウイルス、ゲノムRNA、Gifu’96、GenBank受託番号AB045603;Norwalkウイルス株Vietnam 026、完全ゲノム、GenBank受託番号AF504671;ノロウイルスHu/GII.4/2004/N/L、GenBank受託番号AY883096;ノロウイルスHu/GII/Hokushin/03/JP、GenBank受託番号AB195227;ノロウイルスHu/GII/Kamo/03/JP、GenBank受託番号AB195228;ノロウイルスHu/GII/Sinsiro/97/JP、GenBank受託番号AB195226;ノロウイルスHu/GII/Ina/02/JP、GenBank受託番号AB195225;ノロウイルスHu/NLV/GII/Neustrelitz260/2000/DE、GenBank受託番号AY772730;ノロウイルスHu/NLV/Dresden174/pUS−NorII/1997/GE、GenBank受託番号AY741811;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B2S16/2002/UK、GenBank受託番号AY587989;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B4S7/2002/UK、GenBank受託番号AY587987;ノロウイルスHu/NLV/Witney/B7S2/2003/UK、GenBank受託番号AY588030;ノロウイルスHu/NLV/Banbury/B9S23/2003/UK、GenBank受託番号AY588029;ノロウイルスHu/NLV/ChippingNorton/2003/UK、GenBank受託番号AY588028;ノロウイルスHu/NLV/Didcot/B9S2/2003/UK、GenBank受託番号AY588027;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B8S5/2002/UK、GenBank受託番号AY588026;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S4/2003/UK、GenBank受託番号AY588025;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S5/2003/UK、GenBank受託番号AY588024;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B5S23/2003/UK、GenBank受託番号AY588023;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S2/2003/UK、GenBank受託番号AY588022;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S6/2003/UK、GenBank受託番号AY588021;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Thirsk10/00/UK、GenBank受託番号AY126468;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Penrith55/00/UK、GenBank受託番号AY126476;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Aberystwyth24/00/UK、GenBank受託番号AY126475;Norwalk様ウイルス単離体Bo/Dumfries/94/UK、GenBank受託番号AY126474;ノロウイルスNLV/IF2036/2003/Iraq、GenBank受託番号AY675555;ノロウイルスNLV/IF1998/2003/Iraq、GenBank受託番号AY675554;ノロウイルスNLV/BUDS/2002/USA、GenBank受託番号AY660568;ノロウイルスNLV/Paris Island/2003/USA、GenBank受託番号AY652979;Snow Mountainウイルス、完全ゲノム、GenBank受託番号AY134748;Norwalk様ウイルスNLV/Fort Lauderdale/560/1998/US、GenBank受託番号AF414426;Hu/Norovirus/hiroshima/1999/JP(9912-02F)、GenBank受託番号AB044366;Norwalk様ウイルス株11MSU−MW、GenBank受託番号AY274820;Norwalk様ウイルス株B−1SVD、GenBank受託番号AY274819;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Farmington Hills/2002/USA、GenBank受託番号AY502023;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−G4/2002/USA、GenBank受託番号AY502022;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−G2/2002/USA、GenBank受託番号AY502021;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS―G12002/USA、GenBank受託番号AY502020;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Anchorage/2002/USA、GenBank受託番号AY502019;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/CS−D1/2002/CAN、GenBank受託番号AY502018;ノロウイルス遺伝子群2の株Hu/NoV/Germanton/2002/USA、GenBank受託番号AY502017;ヒトカリシウイルスNLV/GII/Langen1061/2002/DE、完全ゲノム、GenBank受託番号AY485642;マウスノロウイルス1ポリタンパク質、GenBank受託番号AY228235;Norwalkウイルス、GenBank受託番号AB067536;ヒトカリシウイルスNLV/Mex7076/1999、GenBank受託番号AF542090;ヒトカリシウイルスNLV/Oberhausen 455/01/DE、GenBank受託番号AF539440;ヒトカリシウイルスNLV/Herzberg 385/01/DE、GenBank受託番号AF539439;ヒトカリシウイルスNLV/Boxer/2001/US、GenBank受託番号AF538679;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、GenBank受託番号AB081723;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、単離体:Saitama U201、GenBank受託番号AB039782;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、単離体:Saitama U18、GenBank受託番号AB039781;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、完全ゲノム、単離体:Saitama U25、GenBank受託番号AB039780;Norwalkウイルス株:U25GII、GenBank受託番号AB067543;Norwalkウイルス株:U201 GII、GenBank受託番号AB067542;Norwalk様ウイルス株416/97003156/1996/LA、GenBank受託番号AF080559;Norwalk様ウイルス株408/97003012/1996/FL、GenBank受託番号AF080558;Norwalk様ウイルスNLV/Burwash Landing/331/1995/US、GenBank受託番号AF414425;Norwalk様ウイルスNLV/Miami Beach/326/1995/US、GenBank受託番号AF414424;Norwalk様ウイルスNLV/White River/290/1994/US、GenBank受託番号AF414423;Norwalk様ウイルスNLV/New Orleans/306/1994/US、GenBank受託番号AF414422;Norwalk様ウイルスNLV/Port Canaveral/301/1994/US、GenBank受託番号AF414421;Norwalk様ウイルスNLV/Honolulu/314/1994/US、GenBank受託番号AF414420;Norwalk様ウイルスNLV/Richmond/283/1994/US、GenBank受託番号AF414419;Norwalk様ウイルスNLV/Westover/302/1994/US、GenBank受託番号AF414418;Norwalk様ウイルスNLV/UK3−17/12700/1992/GB、GenBank受託番号AF414417;Norwalk様ウイルスNLV/Miami/81/1986/US、GenBank受託番号AF414416;Snow Mountain株、GenBank受託番号U70059;Desert ShieldウイルスDSV395、GenBank受託番号U04469;Norwalkウイルス、完全ゲノム、GenBank受託番号AF093797;Hawaiiカリシウイルス、GenBank受託番号U07611;Southamptonウイルス、GenBank受託番号L07418;Norwalkウイルス(SRSV-KY-89/89/J)、GenBank受託番号L23828;Norwalkウイルス(SRSV-SMA/76/US)、GenBank受託番号L23831;Camberwellウイルス、GenBank受託番号U46500;ヒトカリシウイルス株Melksham、GenBank受託番号X81879;ヒトカリシウイルス株MX、GenBank受託番号U22498;ミニレオウイルスTV24、GenBank受託番号U02030;およびNorwalk様ウイルス
NLV/Gwynedd/273/1994/US、GenBank受託番号AF414409を参照されたく、これらの全ての配列(本出願の出願日までに加えられたものとして)は、参照することにより本明細書に組み込まれる。さらなるノロウイルス配列が、WO2005/030806、WO2000/79280、JP2002020399、US2003129588、米国特許第6,572,862号、WO1994/05700、およびWO05/032457という特許刊行物において開示されており、これら刊行物の全ては、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。また、ノロウイルスの配列の比較ならびに遺伝的多様性および系統発生的な分析の議論については、Green et al.(2000)J.Infect.Dis.,Vol.181(Suppl.2):S322−330;Wang et al.(1994)J.Virol.,Vol.68:5982−5990;Chen et al.(2004)J.Virol.,Vol.78:6469−6479;Chakravarty et al.(2005)J.Virol.,Vol.79:554−568;Hansman et al.(2006)J.Gen.Virol.,Vol.87:909−919;Bull et al.(2006)J.Clin.Micro.,Vol.44(2):327−333;Siebenga et al.(2007)J.Virol.,Vol.81(18):9932−9941;およびFankhauser et al.(1998)J.Infect.Dis.,Vol.178:1571−1578も参照されたい。
【0024】
[045] 多くのサポウイルス単離体についての核酸配列およびタンパク質配列もまた知られている。サポウイルス単離体から得られるORF1およびORF2ならびにそれらがコードするポリペプチドの配列を含む、代表的なサポウイルス配列は、国立生物工学情報センター(NCBI)のデータベースにおいて列挙されている。例えば、GenBank登録:サポウイルスMc10、GenBank受託番号NC.sub.−−010624;サッポロウイルス、GenBank受託番号U65427;サポウイルスMc10、GenBank受託番号AY237420;サポウイルスSaKaeo−15/Thailand、GenBank受託番号AY646855;サッポロウイルス、GenBank受託番号NC.sub.−−006269;サポウイルスC12、GenBank受託番号NC.sub.−−006554;サポウイルスC12、GenBank受託番号AY603425;サポウイルスHu/Dresden/pJG−Sap01/DE、GenBank受託番号AY694184;ヒトカリシウイルスSLV/cruise ship/2000/USA、GenBank受託番号AY289804;ヒトカリシウイルスSLV/Arg39、GenBank受託番号AY289803;ブタ腸管カリシウイルス株LL14、GenBank受託番号AY425671;ブタ腸管カリシウイルス、GenBank受託番号NC.sub.−−000940;ヒトカリシウイルス株Mc37、GenBank受託番号AY237415;ミンク腸管カリシウイルス株Canada 151A、GenBank受託番号AY144337;ヒトカリシウイルスSLV/Hou7−1181、GenBank受託番号AF435814;ヒトカリシウイルスSLV/Mex14917/2000、GenBank受託番号AF435813;ヒトカリシウイルスSLV/Mex340/1990、GenBank受託番号AF435812;ブタ腸管カリシウイルス、GenBank受託番号AF182760;サッポロウイルス−London/29845、GenBank受託番号U95645;サッポロウイルス−Manchester、GenBank受託番号X86560;サッポロウイルス−Houston/86、GenBank受託番号U95643;サッポロウイルス−Houston/90、GenBank受託番号U95644;およびヒトカリシウイルス株HuCV/Potsdam/2000/DEU、GenBank受託番号AF294739を参照されたく、これらの全ての配列(本出願の出願日までに加えられたものとして)は、参照することにより本明細書に組み込まれる。また、サポウイルスの配列の比較ならびに遺伝的多様性および系統発生的な分析の議論については、Schuffenecker et al.(2001)Arch Virol.,Vol.146(11):2115−2132;Zintz et al.(2005)Infect.Genet.Evol.,Vol.5:281−290;Farkas et al.(2004)Arch.Virol.,Vol.149:1309−1323も参照されたい。
【0025】
[046] 複合アミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列は、少なくとも2つのノロウイルス遺伝子群I株または遺伝子群II株のカプシド配列に由来し得る。1つの実施形態において、VLPは、2つ以上の遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株から得られるカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する複合配列を有するポリペプチドを含む。遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株の非限定的な例には、Houston株、Minerva株、Laurens株、Bristol株、Lordsdale株、Farmington Hills株、Hunter株、Carlow株、ならびにUS95/96−US株、2006a株、および2006b株が含まれる。
【0026】
[047] 本発明の別の実施形態において、ウイルス様粒子は少なくとも1つの複合ポリペプチドからなるものであり、複合ポリペプチドの配列は、Houston、Minerva、およびLaurensのVP1配列に由来する。別の実施形態において、複合配列は配列番号1である。さらに別の実施形態において、Houston、Minerva、およびLaurensに基づく複合配列は、配列番号2によって定義されるコンセンサス配列に由来し得る。
【0027】
[048] いくつかの実施形態において、コンセンサス配列は、少なくとも2つの異なる遺伝子型または少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株から決定され得る。本発明の1つの実施形態において、ウイルス様粒子は、複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドからなるものであり、複合アミノ酸配列は、1つの遺伝子群内の少なくとも2つの異なる遺伝子型のノロウイルス株のカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する。例えば、コンセンサス配列は、遺伝子群II、遺伝子型2、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株のカプシド配列に由来し得る。別の実施形態において、コンセンサス配列は、1つの遺伝子群遺伝子群内の3つ以上の遺伝子型のカプシド配列に由来し得る。
【0028】
[049] 他の実施形態において、コンセンサス配列は、少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株から決定され得る。1つのこのような実施形態は、とりわけ、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドを含むVLPであり、前記複合アミノ酸配列は、遺伝子群I、遺伝子型1、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株のカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する。
【0029】
[050] 本発明はまた、ノロウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質および第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質のコンセンサス配列に由来する複合ポリペプチドを含むウイルス様粒子(VLP)を提供する。第2のノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスであり得る。第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質は、ORF2によってコードされている主要カプシドタンパク質であるVP1、またはORF3によってコードされている少量のカプシドタンパク質であるVP2、またはVP1およびVP2の組合せであり得る。1つの実施形態において、第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質は、遺伝子群Iのノロウイルスから得られるVP1タンパク質である。
【0030】
[051] 別の実施形態において、本発明は、カリシウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合ポリペプチドと、第2の複合アミノ酸配列を有する第2のポリペプチドとを含むVLPを提供するものであり、前記第2の複合アミノ酸配列は、第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する。好ましくは、ウイルス様粒子は、第1のカリシウイルスの2つ以上の循環株および第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する。
【0031】
[052] 第2のポリペプチドは、第2のカリシウイルスの前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なる、少なくとも3つの異なる、少なくとも5つの異なる、少なくとも10個の異なる、少なくとも15個の異なる、少なくとも20個の異なる、少なくとも25個の異なる、少なくとも30個の異なる、少なくとも35個の異なる、少なくとも40個の異なる、少なくとも45個の異なる、または少なくとも50個の異なるアミノ酸を含有する。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成する。別の実施形態において、第2のカリシウイルスはノロウイルスである。別の実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iのノロウイルスである。遺伝子群Iのノロウイルスは、本明細書において開示される遺伝子群Iの株のいずれかであり得る。1つの実施形態において、遺伝子群Iのノロウイルスは、Norwalkウイルス、Southamptonウイルス、Hesseウイルス、およびChibaウイルスからなる群から選択される。
【0032】
[053] 本発明はまた、本明細書において定義される複合アミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドまたはそのフラグメント、およびそれをコードする核酸またはベクターを包含する。1つの実施形態において、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントは複合アミノ酸配列を有するものであり、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、ポリペプチドは、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、複合配列は、非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、複合配列は、非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、5〜50個の異なるアミノ酸を含有する。さらに別の実施形態において、コンセンサス配列は配列番号2である。
【0033】
[054] 複合ポリペプチドは、本明細書において開示されるエンベロープを有さないあらゆるウイルスの2つ以上の循環株に由来する配列を有し得る。1つの実施形態において、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。別の実施形態において、カリシウイルスはノロウイルスまたはサポウイルスである。別の実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iもしくは遺伝子群IIのノロウイルスまたはその組合せである。さらに別の実施形態において、単離されたポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0034】
[055] 1つの実施形態において、本発明は、複合アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする単離された核酸を提供するものであり、前記複合アミノ酸配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、ポリペプチドは、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、核酸は、配列番号3の配列を有する。別の実施形態において、本発明は、複合ポリペプチドをコードする単離された核酸を含むベクターを提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、複合ポリペプチドをコードするベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0035】
[056] 本発明の抗原性分子(例えば、VLP、ポリペプチド、およびそのフラグメント)は、それらが天然に生じる生物からの単離および精製によって調製され得るか、またはそれらは、組換え技術によって調製され得る。所望の粒子形成ポリペプチドについてのコード配列が単離または合成されると、それらは、発現のために、あらゆる適切なベクターまたはレプリコン内にクローニングされ得る。多くのクローニングベクターが当業者に知られており、適切なクローニングベクターの選択は、当業者の技術の範囲内である。次に、ベクターは、適切な宿主細胞を形質転換するために用いられる。適切な組換え発現系には、限定はしないが、細菌(例えば、E.coli、Bacillus subtilis、およびStreptococcus)、バキュロウイルス/昆虫、ワクシニア、セムリキ森林熱ウイルス(SFV)、アルファウイルス(シンドビス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)など)、哺乳動物(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK-293細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎(BHK)細胞、マウス骨髄腫(SB20)細胞、サル腎細胞(COS))、酵母(例えば、S. cerevisiae、S. pombe、Pichia pastori、および他のPichia発現系)、植物、およびアフリカツメガエルの発現系、ならびに当技術分野において知られている他の発現系が含まれる。特に好ましい発現系は、哺乳動物細胞系、細菌、昆虫細胞、および酵母の発現系である。
【0036】
[057] 前述した抗原のそれぞれ(例えば、VLP、ポリペプチド、またはそのフラグメント)は、好ましくは、十分に純粋な状態で用いられる。選択される発現系および宿主に応じて、VLPは、粒子形成ポリペプチドが発現しVLPが形成され得る条件下で、発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を増殖させることによって産生される。適切な増殖条件の選択は、当技術分野の技術の範囲内である。
【0037】
[058] 好ましくは、VLP抗原は、Sf9、High Five、TniPro、ネッタイシマカ、オートグラファ・カリフォルニカ、カイコガ、キイロショウジョウバエ、ヨトウガ、およびイラクサギンウワバなどの昆虫細胞から調製される。昆虫細胞培養物においてVLPを産生するための手順は、当技術分野において周知である(例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,942,865号を参照されたい)。簡潔に述べると、複合カプシド配列を有する組換えバキュロウイルスを、合成cDNAから構築する。次に、組換えバキュロウイルスを用いて昆虫細胞培養物(例えば、Sf9、High Five、およびTniProの細胞)を感染させ、複合VLPは、細胞培養物から単離することができる。「複合VLP」は、非エンベロープ2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来する複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むVLPである。
【0038】
[059] VLPが細胞内で形成されると、次に、細胞を、細胞を溶解させるがVLPはほぼ無傷のまま維持する化学的、物理的、または機械的手段を用いて破壊する。このような方法は当業者に知られており、例えば、Protein Purification Applications:A Practical Approach(E. L. V. Harris and S. Angal, Eds., 1990)において記載されている。
【0039】
[060] 次に、粒子を、例えば、ショ糖勾配、PEG−沈殿、ペレット化などの密度勾配遠心分離によるといった、粒子の完全性を保つ方法を用いて(例えば、Kirnbauer et al. J. Virol. (1993)67:6929-6936を参照されたい)、または、例えばイオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを含む標準的な精製技術を用いて単離する(または十分に精製する)。
【0040】
[061] 本発明に適用可能な、クローニング、突然変異などの分子生物学的技術を記載している全体的なテキストには、Berger and Kimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology volume 152 Academic Press,Inc.,San Diego、Calif.(Berger);Sambrook et al.,Molecular Cloning−−A Laboratory Manual(3rd Ed.),Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,2000(「Sambrook」)、およびCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,eds.,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.、ならびにJohn Wiley & Sons,Inc.、(「Ausubel」)が含まれる。これらのテキストは、突然変異生成と、ベクター、プロモーターの使用と、例えば、カリシウイルスなどの非エンベロープウイルスのカプシドタンパク質のクローニングおよび発現に関連する、多くの他の関連するトピックとを記載している。
【0041】
[062] いくつかの実施形態において、本発明の抗原性分子(例えば、VLP、ポリペプチド、およびそのフラグメント)は、複合ポリペプチドをコードする単離された核酸を含むベクターを投与することによって、インビボで産生される。適切なベクターには、限定はしないが、水庖性口内炎ウイルス(VSV)ベクター、ウマ脳炎ウイルス(EEV)ベクター、ポックスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクター、ならびにpFastBac1、pWINEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLなどの発現プラスミドが含まれる。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らかとなろう。
【0042】
[063] 本発明はまた、本明細書において記載されているVLP、ポリペプチド、または核酸を含むワクチン製剤を包含する。1つの実施形態において、ワクチン製剤は、複合VLPおよび第2のウイルス様粒子を含み、前記第2のウイルス様粒子は、ノロウイルスから得られるカプシドタンパク質を含む。第2のVLPは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスから得られる天然のカプシドタンパク質を含み得る。第2のVLPは、VP1および/もしくはVP2タンパク質または特定のVP1もしくはVP2誘導体などの、完全長のノロウイルスカプシドタンパク質を含み得る。あるいは、第2のVLPは、切断されたVP1タンパク質などの、切断されたカプシドタンパク質を含む。切断は、N末端またはC末端の切断であり得る。切断されたカプシドタンパク質は、適切に機能的なカプシドタンパク質誘導体である。機能的なカプシドタンパク質誘導体は、完全長カプシドタンパク質からなるVLPが免疫応答を高めるのと同様に免疫応答を高め得る。VLPの混合物を含むワクチン製剤は、WO2008/042789において記載されており、これは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。単に例として、ワクチン製剤は、ノロウイルスの遺伝子群Iの1つまたは複数の株から得られるVLPと、ノロウイルスの遺伝子群IIの1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含むVLPとを含有し得る。好ましくは、ノロウイルスVLPの混合物は、Norwalkおよび遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルスの株からなる。別の実施形態において、ワクチン製剤は、複合VLPおよびNorwalkのVLPを含み、複合VLPは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。さらに別の実施形態において、ワクチン製剤は、第1の複合VLPおよび第2の複合VLPを含み、前記第1および第2の複合VLPは、異なるコンセンサス配列に由来する少なくとも1つのポリペプチドを含む。例えば、第1の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群Iの1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含み、第2の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群IIの1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含む。1つの実施形態において、第1の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群I、遺伝子型1(GI.1)の1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含み、第2の複合VLPは、ノロウイルスの遺伝子群II、遺伝子型4(GII.4)の1つまたは複数の株から得られる複合タンパク質を含む。
【0043】
[064] いくつかの実施形態において、ワクチン製剤は、アジュバントをさらに含む。ほとんどのアジュバントは、水酸化アルミニウムまたは鉱油などの、迅速な異化から抗原を保護するために設計された物質、および百日咳菌または結核菌に由来するタンパク質などの、免疫応答の刺激物質を含有する。適切なアジュバントは、例えば不完全フロイントアジュバントおよび完全フロイントアジュバント(Pifco Laboratories, Detroit, Mich.);Merckアジュバント65(Merck and Company, Inc., Rahway, N.J.);水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩およびカルシウム、鉄、または亜鉛の塩を含む無機塩;アシル化チロシンアシル化糖の不溶性懸濁液;陽イオン的または陰イオン的に誘導体化された多糖;ポリホスファゼン;生分解性ミクロスフェア;ならびにQuil Aとして市販されている。
【0044】
[065] 適切なアジュバントにはまた、限定はしないが、トール様受容体(TLR)アゴニスト、モノホスホリル脂質A(MPL)、合成脂質A、脂質Aの模倣体または類似体、アルミニウム塩、サイトカイン、サポニン、ムラミルジペプチド(MDP)誘導体、CpGオリゴ、グラム陰性菌のリポ多糖(LPS)、ポリホスファゼン、エマルジョン、ビロソーム、コクリエート、ポリ(ラクチドコグリコリド)(PLG)微小粒子、ポロキサマー粒子、微小粒子、リポソーム、水中油型エマルジョン、MF59、およびスクアレンが含まれる。いくつかの実施形態において、アジュバントは、細菌由来の外毒素である。他の実施形態において、3DMPLまたはQS21などの、Th1型の応答を刺激するアジュバントを用いることができる。特定の実施形態において、アジュバントは、MPLと水酸化アルミニウムとの組合せである。
【0045】
[066] いくつかの実施形態において、アジュバントは、モノホスホリル脂質A(MPL)である。MPLは、サルモネラから得られる脂質Aの非毒性誘導体であり、ワクチンアジュバントとして開発されている強力なTLR−4アゴニストである(Evans et al.(2003)Expert Rev Vaccines, Vol. 2: 219-229)。臨床前のマウス研究において、鼻腔内MPLは、分泌応答および全身性の液性応答を増強させることが示されている(Baldridge et al.(2000)Vaccine, Vol. 18: 2416-2425; Yang et al.(2002)Infect Immun., Vol. 70: 3557-3565)。これはまた、12万人を超える患者の臨床研究において、ワクチンアジュバントとして安全かつ効果的であることが証明されている(Baldrick et al.(2002)Regul Toxicol Pharmacol, Vol. 35: 398-413)。MPLは、TLR−4受容体を介して先天性免疫の誘発を刺激し、したがって、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌の両方、ウイルス、ならびに寄生生物を含む広範な感染性病原体に対する非特異的な免疫応答を引き起こし得る(Persing et al.(2002)Trends Microbiol, Vol. 10: S32-37)。鼻腔内製剤にMPLを含ませると、先天性応答が迅速に誘発され、ウイルスチャレンジからの非特異的な免疫応答が引き起こされ、一方でワクチンの抗原性組成物により生じる特異的応答が増強される。いくつかの実施形態において、MPLは、1つまたは複数のさらなるアジュバントと組み合わせることができる。例えば、ワクチン製剤の筋肉内投与のための適切なアジュバントを作製するために、MPLを水酸化アルミニウムと組み合わせることができる。
【0046】
[067] 他の実施形態において、アジュバントは、スクアレンなどの天然に生じる油である。スクアレンは、植物によって産生されるトリテルペノイドの炭化水素油(C30H50)であり、多くの食品内に存在する。スクアレンはまた、人間によって豊富に産生され、スクアレンは人間にとって、コレステロールおよびステロイドホルモンの前駆体として働く。スクアレンは肝臓および皮膚において合成され、超低密度リポタンパク質(VLDL)および低密度リポタンパク質(LDL)によって血液内に運ばれ、皮脂分泌腺によって大量に分泌される。
【0047】
[068] スクアレンは人体における天然の成分であり、生分解性であるため、ワクチンアジュバントの成分として用いられている。これらのスクアレンアジュバントの1つは、Chironによって開発された、水中油型エマルジョンであるMF59である。MF59は、様々な前臨床研究および臨床研究において、多種多様のワクチン抗原に対する免疫応答を顕著に増強させることが示されている。MF59は、1997年から欧州の様々な国において認可されている、インフルエンザサブユニットワクチンの一部である。2000万投薬を超えるこのワクチンが投与されており、このワクチンは、優れた安全性プロフィールを有することが示されている。MF59アジュバントを有するワクチンの安全性はまた、1〜3日齢の新生児を含む様々な年齢群における、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、尿路疾患性大腸菌などから得られる組換え抗原を用いる様々な治験用臨床研究によっても示されている
【0048】
[069] 「効果的なアジュバント量」または「効果的な量のアジュバント」という用語は、当業者によって十分に理解されるものであり、投与された抗原に対する免疫応答を刺激し得る1つまたは複数のアジュバントの量、すなわち、鼻の洗浄液におけるIgAレベル、血清のIgGもしくはIgMレベル、またはB細胞およびT細胞の増殖という観点から測定される、投与された抗原性組成物の免疫応答を増大させる量を含む。免疫グロブリンレベルの適切に効果的な増大には、いずれのアジュバントも有さない同一の抗原性組成物と比較して5%を超える増大、好ましくは25%を超える増大、特に50%を超える増大が含まれる。
【0049】
[070] 本発明の別の実施形態において、ワクチン製剤は送達物質をさらに含むことができ、この送達物質は、送達物質の物理的特性である、宿主のムコ多糖の部分的な脱水の単一のまたは組み合わされた効果による流体粘度の増大に基づいて(ただしそれに制限されるわけではない)、または堆積効果をもたらす、露出部位での送達物質と宿主組織との間のイオン性相互作用を介して、抗原の取込みを増強させるために機能する。あるいは、送達物質は、送達部位での抗原保持時間を増大させ得る(例えば、抗原の排出を遅らせる)。このような送達物質は、生体接着性物質であり得る。いくつかの実施形態において、生体接着性物質は、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸コンドロイチン、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸)、炭水化物ポリマー(例えば、ペクチン、アルギン酸塩、グリコーゲン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、スタキオース、イヌリン、デキストリン、デキストラン)、ポリ(アクリル酸)の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖(ムチン、他のムコ多糖、および、アロエ植物から抽出される天然酸性多糖であるGelSite(登録商標)を含む)、ポリイオン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、タンパク質(例えば、レクチン、線毛タンパク質)、ならびにデオキシリボ核酸からなる群から選択される粘膜接着性物質であり得る。1つの実施形態において、ワクチン製剤は、キトサン、キトサン塩、キトサン塩基などの多糖、または天然の多糖(例えばGelSite(登録商標))を含む。
【0050】
[071] 甲殻類の殻におけるキチンに由来する、正に帯電した線形多糖であるキトサンは、上皮細胞およびそれが覆う筋肉層に対する生体接着性物質である。キトサンと共に抗原を製剤すると、鼻粘膜とのそれらの接触時間が向上し、したがって、堆積効果による取込みが増大する(Illum et al.(2001)Adv Drug Deliv Rev, Vol. 51: 81-96; Illum et al.(2003)J Control Release, Vol. 87: 187-198; Davis et al.(1999)Pharm Sci Technol Today, Vol. 2: 450-456; Bacon et al.(2000)Infect Immun., Vol. 68: 5764-5770; van der Lubben et al.(2001)Adv Drug Deliv Rev, Vol. 52: 139-144; van der Lubben et al.(2001)Eur J Pharm Sci, Vol. 14: 201-207; Lim et al.(2001)AAPS Pharm Sci Tech, Vol. 2: 20)。キトサンは、動物モデルおよびヒトの両方において、インフルエンザ、百日咳、およびジフテリアを含むいくつかのワクチンについて、経鼻送達系として試験されている(Illum et al.(2001)Adv Drug Deliv Rev, Vol. 51: 81-96; Illum et al.(2003)J Control Release, Vol. 87: 187-198; Bacon et al.(2000)Infect Immun., Vol. 68: 5764-5770; Jabbal-Gill et al.(1998)Vaccine, Vol. 16: 2039-2046; Mills et al.(2003)A Infect Immun, Vol. 71: 726-732; McNeela et al.(2004)Vaccine, Vol. 22: 909-914)。これらの検査において、キトサンは、非経口ワクチン接種に等しいレベルまで全身性の免疫応答を増強させることが示された。さらに、顕著な抗原特異的IgAレベルもまた、粘膜からの分泌物において測定された。したがって、キトサンは、経鼻ワクチンの有効性を大きく増強させ得る。さらに、その物理的特徴のため、キトサンは、粉末として製剤された鼻腔内ワクチンに特に良く適している(van der Lubben et al.(2001)Eur J Pharm Sci, Vol. 14: 201-207; Mikszta et al.(2005)J Infect Dis, Vol. 191: 278-288; Huang et al.(2004)Vaccine, Vol. 23: 794-801)。
【0051】
[072] 本発明の別の実施形態において、ワクチン製剤は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。あらゆる適切な希釈剤または賦形剤を含む、薬学的に許容可能な担体には、ワクチン製剤を投与された対象に対して有害な免疫応答の生成をそれ自体では誘発しない、あらゆる薬学的作用物質が含まれ、それは不必要な毒性を伴わずに投与され得る。本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容可能」という用語は、哺乳動物、より特定すればヒトにおける使用について、連邦政府の管理機関もしくは州政府によって承認されているか、または米国薬局方、欧州薬局方、もしくは他の一般的に認識されている薬局方において列挙されていることを意味する。薬学的に許容可能な担体には、限定はしないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、滅菌等張水性緩衝液、およびその組合せが含まれる。薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および他の賦形剤の詳細な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co. N.J.最新版)において示されている。製剤は、投与様式に適しているべきである。好ましい実施形態において、製剤は、ヒトへの投与に適しており、好ましくは、製剤は、無菌で、非微粒子状および/または非発熱性である。ワクチン製剤はまた、必要であれば、微量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。
【0052】
[073] 本発明のいくつかの実施形態において、とりわけ、ワクチン製剤は、キトサン、キトサン塩、またはキトサン塩基を含む。キトサンの分子量は、10kDa〜800kDaであり得、好ましくは100kDa〜700kDaであり得、より好ましくは200kDa〜600kDaであり得る。組成物におけるキトサンの濃度は、典型的には最大約80%(w/w)であり、例えば、5%、10%、30%、50%、70%、または80%である。キトサンは、好ましくは少なくとも75%脱アセチル化されているものであり、例えば、80〜90%、より好ましくは82〜88%脱アセチル化されているものであり、特定の例は、83%、84%、85%、86%、および87%の脱アセチル化である。
【0053】
[074] 本発明の組成物は、ワクチンまたは抗原性製剤としての投与のために製剤され得る。本明細書において用いられる場合、「ワクチン」という用語は、上記の本発明のVLPまたは他の抗原を含有する製剤を言い、この製剤は、脊椎動物に投与され得る形態であり、感染を予防および/もしくは改善するため、ならびに/または感染の少なくとも1つの症状を低減させるため、ならびに/またはVLPもしくは抗原の別の投薬の効力を増強させるために免疫を誘発するのに十分な防御性免疫応答を誘発する。本明細書において用いられる場合、「抗原性製剤」または「抗原性組成物」という用語は、脊椎動物、例えば哺乳動物に投与されると免疫応答を誘発する調製物を言う。本明細書において用いられる場合、「免疫応答」という用語は、液性免疫応答および細胞介在性免疫応答の両方を言う。液性免疫応答は、例えば感染物質を中和する、感染物質が細胞に侵入することを遮断する、前記感染物質の複製を遮断する、および/または感染および破壊から宿主細胞を防御する、Bリンパ球による抗体の産生の刺激を伴う。細胞介在性免疫応答は、感染を防御もしくは改善するかまたはその少なくとも1つの症状を低減させる、脊椎動物(例えばヒト)によって示される感染物質に対する、Tリンパ球および/またはマクロファージなどの他の細胞により介在される免疫応答を言う。特に、「防御性免疫」または「防御性免疫応答」は、感染を防御もしくは改善するかまたはその少なくとも1つの症状を低減させる、脊椎動物(例えばヒト)によって示される感染物質に対する免疫、または感染物質に対する免疫応答を引き起こすことを言う。具体的には、ワクチンの投与から得られる防御性免疫応答の誘発は、胃腸炎の1つもしくは複数の症状の存在の除去もしくは低減、またはこのような症状の期間もしくは重症度の低減により明白である。ノロウイルスにより生じる胃腸炎の臨床的症状には、吐き気、下痢、軟便、嘔吐、発熱、および全身の倦怠感が含まれる。疾患の症状を低減させるかまたは除去する防御性免疫応答は、集団におけるノロウイルスの発生の拡大を低減または停止させることができる。ワクチン調製物は、Vaccine Design(「The subunit and adjuvant approach」(Powell M. F. & Newman M. J.編)(1995)Plenum Press New York)において全体が記載されている。本発明の組成物は、例えば、粘膜経路または非経口経路(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、皮内、真皮下、または経皮)の投与によって対象に投与するために製剤され得る。このような粘膜投与は、限定はしないが、胃腸、鼻腔内、経口、または膣における送達を介したものであり得る。1つの実施形態において、ワクチン製剤は、経鼻スプレー、点鼻薬、または乾燥粉末の形態である。別の実施形態において、ワクチン製剤は、筋肉内投与に適した形態である。
【0054】
[075] 本発明のワクチン製剤は、液体製剤または乾燥粉末製剤であり得る。組成物が呼吸器(例えば鼻)の粘膜への送達を意図したものである場合、典型的には、組成物は、エアロゾルまたは点鼻薬としての投与のために水性溶液として製剤されるか、あるいは、例えば鼻道内で迅速に堆積するように乾燥粉末として製剤される。点鼻薬として投与するための組成物は、このような組成物内に通常含まれるタイプの1つまたは複数の賦形剤、例えば保存料、粘度調節剤、等張化剤、緩衝剤などを含有し得る。粘度調節剤は、微結晶セルロース、キトサン、デンプン、多糖などであり得る。乾燥粉末として投与するための組成物はまた、このような組成物内に通常含まれる1つまたは複数の賦形剤、例えば粘膜接着性物質、充填剤、ならびに適切な粉末流およびサイズの特徴をもたらすための作用物質を含有し得る。充填剤ならびに粉末流およびサイズのための作用物質には、マンニトール、ショ糖、トレハロースおよびキシリトールが含まれ得る。
【0055】
[076] 1つの実施形態において、ワクチン製剤は、免疫原としての1つまたは複数の複合VLP、MPL(登録商標)などのアジュバント、スクアレンもしくはMF59(登録商標)、粘膜表面への接着を促進するためのキトサンもしくはGelSite(登録商標)などのバイオポリマー、ならびにマンニトールおよびショ糖などの充填剤を含有する。
【0056】
[077] 例えば、ワクチンは、GII.4複合VPLなどの、本明細書において論じられる1つまたは複数の複合VPL、MPL(登録商標)アジュバント、キトサン粘膜接着性物質、ならびに充填剤としての、かつ適切な流れ特徴をもたらすための、マンニトールおよびショ糖を含有する、乾燥粉末10mgとして製剤され得る。製剤は、キトサン約7.0mg(25〜90%w/wの範囲)、マンニトール約1.5mg(0〜50%w/wの範囲)、ショ糖約1.5mg(0〜50%w/wの範囲)、MPL(登録商標)25μg(0.1〜5%w/wの範囲)、および複合VLP抗原約100μg(0.05〜5%w/wの範囲)を含み得る。
【0057】
[078] 複合VLP/抗原は、約0.01%(w/w)〜約80%(w/w)の濃度で存在し得る。1つの実施形態において、VLPは、両鼻孔内への投与では、乾燥粉末製剤10mg当たり約5μg、約15μg、約25μg、約50μg、約100μg、約200μg、約500μg、および約1mg(0.05、0.15、0.25、0.5、1.0、2.0、5.0、および10.0%w/w)の投与量で(鼻孔当たり10mg)、または1つの鼻孔内への投与では、乾燥粉末製剤20mg当たり約10μg、約30μg、約50μg、約100μg、約200μg、約400μg、約1mg、および約2mg(0.1、0.3、0.5、1.0、2.0、4.0、10.0、および20.0%w/w)の投与量で製剤され得る。製剤は、それぞれの投与の間に、1つまたは両方の鼻孔内に投与され得る。免疫応答を向上させるために、初回投与の1〜12週間後にブースター投与をしてもよい。ワクチンおよび抗原性製剤におけるそれぞれのVLP/抗原の含有量は、1μg〜100mgの範囲であり得、好ましくは1〜1000μgの範囲であり得、より好ましくは5〜500μgであり得、最も典型的には10〜200μgの範囲であり得る。それぞれの投薬で投与される全VLP/抗原は、約10μg、約30μg、約200μg、約250μg、約400μg、約500μg、または約1000μgのいずれかであり得る。全ワクチン用量を1つの鼻孔内に投与することができるか、または両鼻孔に投与するために半分に分けることができる。乾燥粉末の特徴は、粒子の10%未満において直径が10μm未満となるようなものである。平均粒子サイズは、直径が10〜500μmにわたる。
【0058】
[079] 本発明の別の実施形態において、乾燥粉末製剤は、1つまたは複数の用量の製剤を投与するための1つまたは複数のデバイスと組み合わせることができる。このようなデバイスは、使い捨ての経鼻投与デバイスであり得る。別の実施形態において、1つまたは複数の用量は単位用量である。
【0059】
[080] いくつかの実施形態において、抗原性製剤およびワクチン製剤は、対象に後続の投与を行うための液体製剤である。鼻腔内投与を意図した液体製剤は、複合VLP/抗原(1つまたは複数)、アジュバント、およびキトサンなどの送達物質を含む。非経口(例えば皮下、皮内、または筋肉内(i.m.))投与のための液体製剤は、複合VLP/抗原(1つまたは複数)、アジュバント、および緩衝液を含み、送達物質(例えばキトサン)を有さない。
【0060】
[081] 好ましくは、これまでに記載した抗原性製剤およびワクチン製剤は、凍結乾燥され、それらを使用する直前まで無水状態で保存され、それらを使用する直前の時点で、それらは希釈剤で戻される。あるいは、組成物の異なる成分をキット内で個別に保存することができる(いずれかのまたは全ての成分は凍結乾燥される)。成分は、乾燥製剤では凍結乾燥された形態のまま維持され得るか、または液体製剤では戻され、使用の前に混合されるか、または患者に個別に投与される。乾燥粉末の投与では、ワクチン製剤または抗原性製剤は、鼻腔内送達デバイス内に事前にロードされ、使用するまで保存され得る。好ましくは、このような鼻腔内送達デバイスは、その内容物の安定性を保護し、確保する。
【0061】
[082] 本発明はまた、本明細書において記載される免疫原性の核酸、ポリペプチド、および/またはVLPの1つまたは複数を含む組成物を包含する。複合ポリペプチドおよびカプシドポリペプチドまたはそのフラグメントを含む、異なるポリペプチドを、単一の製剤内に共に混合することができる。このような組合せにおいて、免疫原性組成物の抗原は、2つ以上のポリペプチドまたは複数のエピトープポリペプチド内に存在し得る。
【0062】
[083] 免疫原性組成物は、複合ポリペプチドと、複合ポリペプチドをコードする核酸との混合物を含むこともでき、これは次に、同一のまたは異なる媒体を用いて送達され得る。抗原は、独立して、または例えば予防的(すなわち、感染を予防するため)もしくは治療的(感染を治療するため)免疫原性組成物内に組み合わせて投与され得る。免疫原性組成物は、所望の効果を達成するために、2回以上(例えば、「プライム」投与の後に1回または複数回の「ブースト」を行う)投与することができる。同一の組成物を、1回または複数回のプライム投与工程、および1回または複数回のブースト投与工程において投与することができる。あるいは、異なる組成物をプライム投与およびブースト投与に用いることができる。
【0063】
[084] 本発明はまた、本明細書において記載されるワクチン製剤のいずれかを投与することを含む、対象におけるウイルス感染に対する防御性免疫を誘発する方法を対象とする。1つの実施形態において、ウイルス感染はノロウイルス感染である。別の実施形態において、ワクチン製剤は、ノロウイルス感染の1つまたは複数の症状からの防御をもたらす。
【0064】
[085] 本発明はまた、複合ポリペプチドを含むVLPを作製するための方法を提供する。1つの実施形態において、本方法は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質のアミノ酸配列をアラインすること、前記アラインされたアミノ酸配列からコンセンサス配列を決定すること、前記コンセンサス配列に基づいて、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する複合配列を調製すること、および宿主細胞において前記複合配列を発現させ、それによりウイルス様粒子を産生することを含む。別の実施形態において、複合配列は、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する。別の実施形態において、複合配列は、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも5つの異なるアミノ酸を含有する。さらに別の実施形態において、複合配列は、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも9つの異なるアミノ酸を含有する。いくつかの実施形態において、コンセンサス配列は、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株から得られるカプシドタンパク質のヌクレオチド配列をアラインすること、および前記コンセンサス配列に基づいて複合ヌクレオチド配列を調製することから決定され得る。本方法において用いるために適切な、非エンベロープウイルスの非限定的な例には、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスが含まれる。いくつかの実施形態において、非エンベロープウイルスはカリシウイルスである。カリシウイルスは、ノロウイルスまたはサポウイルスであり得る。別の実施形態において、ノロウイルスは、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである。
【0065】
[086] ここで、本発明は、以下の実施例において記載される具体的な実施形態を参照することによって、より詳細に説明される。実施例は、本発明を説明することのみを意図したものであり、いかなる様式でも本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
【実施例】
【0066】
(実施例1)ノロウイルスGII.4のコンセンサス遺伝子の設計
[087] 遺伝子群II、遺伝子型4(GII.4)のノロウイルスの主要カプシドタンパク質(VP1)についてのコンセンサスアミノ酸配列を、2つの近年循環しているGII.4株であるMinerva、AKA2006−a、およびLaurens、AKA2006−bと、2002年に得られたGII.4のHouston株との相同性比較によって決定した。3つの異なるノロウイルスGII.4単離体のアラインメントを以下に示す。3つのGII.4株の相同性比較から決定されたコンセンサス配列(配列番号2)を図1に示す。
【0067】
[088] 3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、Minerva配列から得られるアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導した。選択されたアミノ酸は、提示された炭水化物結合ドメインに近接しているがそのドメインを含むわけではない抗原性領域内に存在した。複合GII.4配列を、複合GII.4ノロウイルスVP1タンパク質(配列番号1)をコードする合成遺伝子を産生するために用いた。GII.4複合VP1アミノ酸配列(GII.4Comp)を、配列番号1として、Houstonウイルス、Minervaウイルス、およびLaurensウイルスから得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列(それぞれ配列番号4、5、および6)と共に、以下のアラインメントにおいて示す。GII.4複合VP1(配列番号3)をコードするDNA配列を図2に示す。
【化1】
【化2】
【0068】
(実施例2)複合VLPの精製
[089] 実施例1において記載されるカプシドドメインについてのノロウイルスGII.4複合配列の合成遺伝子構築物を、組換えバキュロウイルス内にクローニングした。昆虫細胞の感染は、大量のVLP産生を示した。複合VLP VP1遺伝子についてのP2pFastBac組換えバキュロウイルスストックのアリコート40mLをショ糖勾配で処理し、複合VLPの発現および組み立てを検証した。調整済媒質をまず30%ショ糖のクッション上に層状にし、次に、140K×gで遠心分離してVLPをペレット化した。ペレットを再懸濁させ、ショ糖勾配上に層状にし、次に140K×gで遠心分離した。遠心分離の後に、勾配内に可視的な白い層が観察された。勾配から得られる画分500μLを回収し、次にSDS−PAGE/クマシーゲルによって分析した(図3)。複合VLPについての約56kDaの予想されるバンドパターンが、ショ糖勾配画分内で観察された。
【0069】
[090] 流速0.5mL/分の、Tris20mM、NaCl150mM、pH7のランニング緩衝液を有する高圧液体クロマトグラフィー系を用いて、複合発現細胞培養上清のアリコート50μLをSuperose−6サイズ排除カラムにロードした。無傷VLPのピークが、280nmおよび220nmで、約15.3分で観察され、このことは、複合VLPの完全性を裏付けるものである(図4)。
【0070】
[091] 複合VLPをまた、カラムクロマトグラフィーを用いて、調整済媒質から精製した。調整済媒質を、陽イオン交換クロマトグラフィーによって処理した。陽イオン交換溶出画分を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によってさらに精製した。HIC溶出画分を濃縮し、接線流濾過によって緩衝液交換を行った。最終生成物を滅菌濾過し、4℃で保存した。精製複合VLP500ng(CM3ロット)を、銀染色SDS−PAGEによって分析した(図5)。
【0071】
[092] 流速1.0mL/分の、Tris20mM、NaCl150mM、pH7のランニング緩衝液を有する高圧液体クロマトグラフィー系を用いて、精製CM3複合VLPのアリコート50μLをSuperose−6サイズ排除カラムにロードした。無傷VLPのピークが、280nmで、約7.5分で観察され、このことは、複合VLPの完全性を裏付けるものである(図6)。
【0072】
(実施例3)複合物の免疫原性
[093] およそ8〜10週齢のメスのC57BL/6マウスを、50μgで始まり0.19μgまで2倍ずつ低下する低下濃度の複合VLP(CVLP)を用いて、腹腔内で免疫した。CVLPは、実施例1において記載される配列番号1の配列を有するポリペプチドを含有するものであった。PBSのみで免疫した動物の群を陰性対照として含めた。血清試料を回収し、CVLP特異的IgGの存在についてELISAによって分析した(図7)。この実験から得られる結果は、用量曲線の線形範囲がおよそ6μg〜0.2μgであることを示す。6.25μgを超える用量のCVLPは、用量依存的な様式においては免疫応答を増強させないと考えられる。EC50値(50%の応答をもたらす効果的用量として定義される)は、Softmax Proソフトウェア(Molecular Devices Corporation, Sunnyvale, CA)を用いて、およそ1.0μg/mLであると計算された。
【0073】
(実施例4)複合VLPの多重抗原結果
[094] メスのC57BL/6マウス(8〜10週齢)を、様々な用量の、NorwalkVLPのみ(NVLP)、複合VLP(CVLP)のみ、または組み合わせたもののいずれかを用いて、腹腔内で免疫した。PBSのみで免疫した動物の群を陰性対照として含めた。血清試料を回収し、抗原特異的IgGの存在についてELISAによって分析した(図8および図9)。結果は、CVLPおよびNVLPの組合せでの免疫が免疫応答を増強させ、その結果、低用量の抗原で高いIgGレベルが達成されることを示す。例えば、NVLPおよびCVLPのそれぞれ1μgでの免疫は、いずれかのVLPのみを投与した場合よりも強固な免疫応答を引き起こす。CVLPで免疫した動物から得られる抗体は、NVLPと交差反応をせず、逆もまた同様であった(データは示さない)。
【0074】
(実施例5)複合VLPは交差反応性抗体を引き起こす
[095] およそ10〜12週齢のメスのC57/BL6マウスを、Houston VLPまたはアジュバントとしてのMPL(20μg)と製剤した複合VLPのいずれか30μgを用いて、腹腔内で免疫した。複合VLPは、実施例1において記載される配列番号1の配列を有するポリペプチドを含有するものであった。免疫の後21日目にマウスを採血し、血清を抗原特異的ELISAにおいてアッセイし、複合VLP、Houston VLP、Laurens VLP、およびNorwalk VLPについて抗体力価を決定した。データを図10に示す。複合VLPでの免疫は、より多くの血清型にわたる、より広い応答を誘発し、これは、Laurens株に対する優れた応答を有する一方でHouston株に対する応答を維持することにより証明される。Houston VLPでの免疫もまた、複合VLPおよびLaurens VLPに対する交差反応性抗体を誘発するが、応答の程度は、複合VLPで免疫した場合に観察されるものほどには優れていなかった。GI.1ノロウイルスであるNorwalk VLPに対する検出可能な応答はなかった。
【0075】
(実施例6)ウサギにおける二価ワクチンの効力
[096] 実施例2において記載されるノロウイルスGII.4複合VLP(CVLP)およびNorwalk VLP(NVLP、GI.1)を含む二価ノロウイルスワクチンの効力を評価するために研究を行った。0日目および21日目に、ウサギを、この二価ワクチンを用いて筋肉内で免疫した。VLPの用量は、それぞれのタイプのVLP20μg〜0.002μgの範囲であり、それぞれのワクチン製剤はMPL25μgおよびAlOH250μgを含有するものであった。28日目に血清をそれぞれのウサギから回収し、VLP特異的IgGを評価した。75日目に脾臓および腸間膜リンパ節を回収し、抗原特異的細胞性免疫の存在について評価した。
【0076】
[097] 血清IgG力価を、捕捉物としてのNVLPまたはCVLPのいずれかで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。力価は希釈の逆数として表す(図11)。抗原特異的T細胞の応答性を、NVLPまたはCVLPのいずれか5μgを用いた5日間のインビトロでの刺激後のトリチウム化チミジンの取込みによって評価した(図12)。記憶B細胞を、VLP特異的ELISPOTによって評価し、結果は細胞100万個当たりの抗体分泌細胞として表す(図13)。
【0077】
[098] この研究の結果は、アジュバントMPLおよびAlOHと製剤されたIM二価ノロウイルスワクチンが、高いVLP特異的IgG応答、NVLPおよびCVLPの両方での刺激に応答し得る応答性T細胞および記憶B細胞を引き起こすことを示す。
【0078】
(実施例7)ウサギにおける高用量二価ワクチンの接種
[099] この実施例は、二価ワクチンにおける高用量の複合VLPおよびNorwalk VLPが何らかの有害事象をもたらすかどうかを決定するために設計された実験を概説するものである。0日目、14日目、および21日目に、ウサギを、二価ワクチン(実施例6を参照されたい)を用いて筋肉内で免疫した。VLPの用量は、それぞれのVLP(Norwalkおよび複合)150μg〜5μgの範囲であり、それぞれの製剤はMPL50μgおよびAlOH500μgを含有するものであった。免疫したウサギの全身の健康状態、被毛の状態、および注入部位を、最初の72時間にわたり12時間ごとにモニタリングし、その後は毎日モニタリングした。21日目および35日目に血清をそれぞれのウサギから回収し、Norwalk VLP(NVLP)特異的な(図14)、および複合VLP(CVLP)特異的な(図15)IgGおよびIgAを評価した。35日目に脾臓も採取し、抗原特異的細胞性免疫の存在について評価した(図16)。
【0079】
[0100] 血清IgG力価を、捕捉物としてのNVLPまたはCVLPのいずれかで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。力価は希釈の逆数として表す。抗原特異的T細胞の応答性を、示された抗原(例えば、複合VLP、GII.4(2002)VLP、GII.4(2006 VLP、およびNorwalk VLP)を用いた5日間のインビトロでの刺激後のトリチウム化チミジンの取込みによって評価した。
【0080】
[0101] この研究から得られる結果は、ノロウイルス二価ワクチンが試験用量で安全であることを示し、これは、全てのウサギが研究期間を通して健康であると考えられること、および注入部位の反応が観察されなかったことから証明される。ワクチン接種したウサギから測定された免疫応答は、二価ノロウイルスワクチンがVLP特異的抗体およびVLP応答性T細胞の両方を引き起こすために効果的であることを裏付けるものである。
【0081】
(実施例8)ノロウイルスワクチンの効力についてのマウス効能アッセイ
[0102] この実施例は、二価ノロウイルスワクチンの効能を評価するためのマウス効能アッセイの開発を概説するものである。0日目および7日目に、マウスを、0.002μg〜30μgにわたる等濃度のNorwalk VLP(NVLP)および複合VLP(CVLP)を用いて腹腔内で免疫した。14日目に血清をそれぞれのマウスから回収し、VLP特異的IgGを評価した(図17)。抗体の中和活性もまた、O型プラスのヒト赤血球を用いて、血球凝集阻害アッセイ(HAI)によって測定した(図18)。GII.4遺伝子型は赤血球を凝集させないため、Norwalk特異的HAIの力価のみが評価され得た。
【0082】
[0103] 血清IgG力価を、捕捉物としてのNVLPまたはCVLPのいずれかで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。力価は希釈の逆数として表す。HAI力価を、標準的な血球凝集アッセイを用いることによって測定した。
【0083】
[0104] この研究から得られる結果は、二価ノロウイルスワクチンでのワクチン接種が、ヒト赤血球の凝集を阻害し得るような強力なおよび機能的なIgG力価を引き起こすことを示す。これらの結果は、ワクチン接種に応じて引き起こされる抗体が、感染の間の実際のウイルスの中和をもたらし得る機能性を有することを示すため、特に重要なものである。
【0084】
(実施例9)ノロウイルス二価ワクチンのキトサン製剤
[0105] 二価ノロウイルスVLPワクチンを用いて、このワクチン製剤におけるキトサンの役割を評価するために、ウサギにおいて研究を行った。製剤は、等量のNorwalk VP1 VLPおよび複合GII.4 VLPを含有するものであった(実施例2を参照されたい)。0日目および21日目に、ウサギを、乾燥粉末製剤を用いて鼻腔内で免疫した。VLPの用量は、それぞれのタイプのVLP150μg〜5μgの範囲であり、それぞれの製剤はMPL50μgを含有するものであった。キトサン濃度は、免疫原性におけるその役割を決定するために、それぞれの用量範囲で異なるものであった(7mg、0.7mg、および0mg)。血清をそれぞれのウサギから回収し、VLP特異的IgGを評価した(図19)。
【0085】
[0106] 血清IgG力価を、捕捉物としてのVLPで被覆したマイクロタイタープレートを用いてELISAによって測定した。独占的な社内のウサギ抗VLP血清の連続希釈物を用いて、標準曲線を作成した。力価は、抗VLP/mLの単位で表す(1単位は1μgにほぼ等しい)。
【0086】
[0107] これらの実験から得られる結果は、最大の免疫原性を達成するためには最高用量(7mg)のキトサンが必要であることを示す。50μgの用量についてのIgGデータを図19に示し、結果はU/mlとして表す。IgA抗体の応答を以下の表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
(実施例10)ノロウイルスGIIコンセンサス遺伝子の設計
[0108] 本発明の方法はまた、異なるGII遺伝子型、すなわちGII.1、GII.2、GII.3から得られるノロウイルスGII単離体の間でカプシドコンセンサス配列を得るために用いられ得る。3つの異なるノロウイルスGII単離体から得られるVP1配列から、以下のアラインメントを得た。3つのGII株の相同性比較から決定されたコンセンサス配列(配列番号7)を図20に示す。
【0089】
[0109] 2つ以上の株が異なる、コンセンサス配列の可変的な位置について、複数の株のうちの1つの株の配列からアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導する。好ましくは、アミノ酸を選択する元となる配列は、近年循環している株であるか、または、より一般に疾患に関連しているか、もしくは評価される株の間でより一般に生じる株である。この実施例において、複合VP1 GII配列を得るために、3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、Snow Mountainの配列からアミノ酸を選択した。複合GII配列は、GIIノロウイルス単離体の間での交差免疫の誘発のために、複合GII VP1タンパク質をコードする合成遺伝子を産生するために用いられる。
【0090】
[0110] 複合GII VP1アミノ酸配列(複合)を、配列番号11として、GII.1ウイルス(受託番号:AAL13001)、GII.2 Snow Mountainウイルス(受託番号:AAB61685)、およびGII.3ウイルス(受託番号:AAL12998)(それぞれ配列番号8、9、および10)から得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列と共に、以下のアラインメントにおいて示す。
【化3】
【化4】
【0091】
(実施例11)ノロウイルスGIコンセンサス遺伝子の設計
[0111] 本発明の方法はまた、ノロウイルスGI単離体の間でカプシドコンセンサス配列を得るために用いられ得る。3つの異なるノロウイルスG1単離体から得られるVP1配列から、以下のアラインメントを得た。3つのGI株の相同性比較から決定されたコンセンサスG1配列(配列番号12)を図21に示す。
【0092】
[0112] 2つ以上の株が異なる、コンセンサス配列の可変的な位置について、複数の株のうちの1つの株の配列からアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導する。好ましくは、アミノ酸を選択する元となる配列は、近年循環している株であるか、または、より一般に疾患に関連しているか、もしくは評価される株の間でより一般に生じる株である。この実施例において、複合VP1 GI配列を得るために、3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、Southamptonの配列からアミノ酸を選択した。複合GI配列は、GIノロウイルス単離体の間での交差免疫の誘発のために、複合GI VP1タンパク質をコードする合成遺伝子を産生するために用いられる。
【0093】
[0113] 複合GI VP1アミノ酸配列(複合)を、配列番号16として、Norwalkウイルス(受託番号:M87661)、Southamptonウイルス(受託番号:Q04542)、およびChibaウイルス(受託番号:BAB18267)(それぞれ配列番号13、14、および15)から得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列と共に、以下のアラインメントにおいて示す。
【化5】
【0094】
(実施例12)L1についてのヒトパピローマウイルスコンセンサス遺伝子の設計
[0114] 本発明の方法はまた、他の非エンベロープウイルスの間でコンセンサス配列を得るために用いられ得る。HPV−11、HPV−16、およびHPV−18という3つのヒトパピローマウイルス(HPV)から、以下のアラインメントを得た。3つのHPV株の相同性比較から決定されたコンセンサスL1カプシドタンパク質配列(配列番号17)を図22に示す。
【0095】
[0115] 2つ以上の株が異なる、コンセンサス配列の可変的な位置について、複数の株のうちの1つの株の配列からアミノ酸を選択することによって、複合配列をコンセンサス配列から誘導する。好ましくは、アミノ酸を選択する元となる配列は、近年循環している株であるか、または、より一般に疾患に関連しているか、もしくは評価される株の間でより一般に生じる株である。この実施例において、複合L1 HPV配列を得るために、3株全てが異なる、コンセンサス配列の可変的な位置で、HPV−18の配列からアミノ酸を選択した。複合HPV配列は、様々なHPV株の間での交差免疫の誘発のために、複合L1ポリペプチドをコードする合成遺伝子を産生するために用いられる。
【0096】
[0116] 複合HPV L1アミノ酸配列(複合)を、配列番号21として、HPV−11ウイルス、HPV−16ウイルス、およびHPV−18ウイルス(それぞれ配列番号18、19、および20)から得られるVP1タンパク質のアミノ酸配列と共に、以下のアラインメントにおいて示す。
【化6】
【化7】
【0097】
(実施例13)ヒトにおける複合VLPワクチン製剤の用量増加の安全性の研究
[0117] ノロウイルスワクチンの安全性および免疫原性の、二重盲検の、制御された、用量増加第I相研究を行う。ワクチンは、鼻腔内投与のために設計された乾燥粉末マトリクス内の複合ノロウイルス様粒子(VLP)からなる。複合VLPは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有する。被ワクチン接種者には、1型H抗原分泌者である健康な成人のボランティアが含まれる。1型H抗原分泌者の登録についての根拠は、1型H抗原分泌者がノロウイルス感染に感染しやすい一方で、非分泌者は耐性があることである。対照として、それぞれの投与量レベルの2人のさらなるボランティアに、マトリクスのみを与える。乾燥粉末マトリクスはMPL(登録商標)アジュバント25μg、キトサン7mg、マンニトール1.5mg、およびショ糖1.5mgを含む。ボランティアは0日目および21日目に投薬され、それぞれの投薬の後に、症状について7日間日記を書き続けることが求められる。血清学のために血液を、また粘膜抗体の評価のために抗体分泌細胞(ASC)、便試料、および唾液試料を回収する。
【0098】
[0118] ワクチンの成分を表2に列挙する。ワクチンは、鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。複合VLPワクチンの単回投与を、単回投薬Bespak(Milton Keynes, UK)UniDose DP乾燥粉末鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。それぞれのデバイスは乾燥粉末ワクチン製剤10mgを送達する。ワクチンのそれぞれの投薬は、1つがそれぞれの鼻孔内にある2つの送達デバイスから構成される。全ワクチン用量は、乾燥粉末20mgである。アジュバント/賦形剤の製剤は、複合VLP抗原が製剤内に含まれていないことを除いて、複合VLPワクチンと同一である。アジュバント/賦形剤の製剤(乾燥粉末マトリクスとも呼ばれる)を表3にまとめる。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
[0119] 具体的には、ワクチンの用量増加は以下のように行った。良好な健康状態についての適切なスクリーニングの後、3人のボランティアからなる群を、鼻腔内経路によって複合VLPワクチン5μgに乾燥粉末マトリクスを加えたもの(n=2)または乾燥粉末マトリクスのみ(n=1)のいずれかを与えるようにランダム化する。これらの3人のボランティアを21日間にわたり安全性について追跡し、Independent Safety Monitor(ISM)がそれらの安全性データを再検討する。ISMの認定の後、21日目に、これらの個体にワクチンまたはマトリクスの第2投薬を行い、4人のさらなるボランティアを、鼻腔内経路によってVLPタンパク質5μgに乾燥粉末マトリクスを加えたもの(n=3)またはマトリクスのみ(n=1)のいずれかを与えるためにランダム化する。ISMがこの第2の群から得られる安全性データを再検討し、ISMの認定の後、初回投薬の21日後に第2の鼻腔内投薬を行う。ボランティアは、それぞれの投薬の後に、症状について7日間日記を書き続ける。次に高い用量までの増加が許容可能であるとISMが決定した後、7人のボランティアからなる別の群を、0日目および21日目に鼻腔内経路によってVLPタンパク質15μgを含有する複合VLPワクチン(n=5)または乾燥粉末マトリクスのみ(n=2)のいずれかを与えるためにランダム化する。同様に、7日間の症状の日記が記録され、ISMにより再検討され、その後、21日目に第2の投薬が行われる。最後に、最初の2回の投与量コホートから得られる安全性データの再検討の後、ISMは用量増加が許容可能であるかどうかを決定し、7人のボランティアからなる最終群を、0日目および21日目に鼻腔内経路によってVLPタンパク質50μgを含有する複合VLPワクチン(n=5)または乾燥粉末マトリクスのみ(n=2)のいずれかを与えるためにランダム化する。同様に、ISMが7日間の症状の日記および他の安全性データを再検討し、その後、21日目に第2の投薬が行われる。
【0102】
[0120] ボランティアは、複合VLPワクチンまたは乾燥粉末マトリクスのみを与えられた後に、7日間にわたり、症状(鼻分泌物、鼻の痛み/不快、鼻詰まり、鼻水、鼻のかゆみ、鼻血、頭痛などの局所的症状、ならびに毎日の口腔体温、筋肉痛、吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢、および食欲不振などの全身症状を含む)について毎日日記を書き続ける。それぞれの追跡訪問(7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目、および180±14日目)で暫定的な病歴を得、ボランティアは、暫定的な病気、薬剤、および医師の訪問について質問される。ボランティアは、追跡訪問の際には問われない事象を含む全ての重大なまたは重症な有害事象を報告するように求められる。ボランティアは、7日目および28日目(それぞれの免疫の7日後)にCBCおよび血清クレアチニン、グルコース、AST、ならびにALTを評価され、異常である場合、試験が正常となるかまたは安定するまで、異常についての実験的試験が続いて行われる。
【0103】
[0121] 免疫の前、ならびに7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目、および180±14日目に、血液を回収して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって複合VLPワクチンに対する血清抗体を測定する。それぞれの用量のワクチンまたは乾燥粉末マトリクスのみを投与する前、および投与した後7日目に、末梢血リンパ球を回収し、ELISPOTアッセイによって抗体分泌細胞を検出する。ワクチン接種の前、ならびにワクチン接種後21±2日目、56±2日目、および180±14日目に、全血を得て、複合VLP抗原に応じたサイトカインの産生およびリンパ球増殖を含む、細胞介在性免疫のさらなる研究のために、細胞を分離し、凍結する。免疫の前、ならびに7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目、および180±14日目に、抗複合VLP sIgAのスクリーニングのために全便試料を回収する。免疫の前、ならびに7±1日目、21±2日目、28±2日目、56±2日目に、市販のデバイス(Salivette, Sarstedt, Newton, NC)を用いて唾液を回収し、56日目に粘膜抗体について陽性であれば、180±14日目の試料を回収し、抗複合VLP sIgAについてスクリーニングする。最後に、0日目、21日目、56日目、および180日目に、最高用量の複合VLP(50μg、上記の第3のコホート)を与えたボランティアから得られる血液を、記憶B細胞についてスクリーニングする。
【0104】
[0122] 以下の方法を用いて、免疫された個体または乾燥粉末マトリクスのみを与えられた個体から回収される血液、便、および唾液の試料を分析する。
【0105】
A.ELISAによる血清抗体の測定
[0123] コード化された標本をスクリーニングするための標的抗原として精製組換え複合VLPを用いて、ELISAによって複合VLPに対する抗体を測定するために、ワクチン接種の前およびワクチン接種後の複数の時点で、血液20mLを回収する。簡潔に述べると、pH9.6の被覆用炭酸塩緩衝液における複合VLPを用いて、マイクロタイタープレートを被覆する。被覆されたプレートを洗浄し、ブロックし、試験血清の2倍連続希釈物と共にインキュベートし、その後、洗浄し、ヒトIgG、IgM、およびIgAに特異的な酵素結合二次抗体試薬と共にインキュベートする。適切な基質溶液を添加し、発色させ、プレートを読み取り、IgG、IgM、およびIgAの終点力価を、それぞれの抗体クラスについて、参照標準曲線と比較して決定する。正の応答は、ワクチン接種後に力価が4倍上昇することとして定義される。
【0106】
B.抗体分泌細胞アッセイ
[0124] 複合VLPに対する抗体を分泌する細胞を検出するためのASCアッセイのために、末梢血単核球(PMBC)を、ヘパリン化した血液30mLから回収する。これらのアッセイを、複合VLPワクチンまたは乾燥粉末マトリクスのみを投与した後0日目、7±1日目、21±2日目、および28±2日目に行う。正の応答は、PBMC106個当たりのワクチン接種後のASC数が、全ての対象および少なくとも8個のASCスポットについてのワクチン接種前の数の平均(log尺度)よりも少なくとも3標準偏差(SD)大きいこととして定義され、これは、類似のアッセイにおいて決定される、媒質で刺激した陰性対照ウェル(2スポット)の平均+3SDに対応する。
【0107】
C.複合VLP特異的記憶B細胞の測定
[0125] ワクチン接種後0日目、21日目、56日目、および180目に、ヘパリン化した血液をコホート3から回収して(0日目および21日目は30mL、56日目および180日目は50mL)、インビトロでの抗原刺激の後に、ELISpotアッセイを用いて記憶B細胞を測定する。類似のアッセイが、ウサギにおいてNorwalk VLP製剤によって引き起こされる記憶B細胞の頻度を測定するために、成功裏に使用された(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれるWO2008/042789を参照されたい)。末梢血単核球(5×106個細胞/mL、24ウェルプレートにおいて1mL/ウェル)を4日間にわたり複合VLP抗原(2〜10μg/mL)と共にインキュベートし、抗原特異的記憶B細胞のクローン性増殖および抗体分泌細胞への分化を可能にする。対照には、抗原の不存在下で同一の条件下でインキュベートされた細胞および/または関連しない抗原と共にインキュベートされた細胞が含まれる。刺激の後、細胞を洗浄し、計数し、複合VLPで被覆されたELISpotプレートに移す。全Ig分泌Bリンパ球当たりのVLP特異的記憶B細胞の頻度を決定するために、増殖したB細胞をまた、抗ヒトIgG抗体および抗ヒトIgA抗体で被覆されたウェルに添加する。結合した抗体を、HRP標識抗ヒトIgGまたは抗ヒトIgAで明らかにし、その後、True Blue基質によって明らかにする。IgAおよびIgGのサブクラス(IgA1、IgA2、およびIgG1-4)への結合をまた、特徴的なエフェクターメカニズムおよび免疫プライミングの位置に関連し得る抗原特異的サブクラス応答を決定するために用いることができる。スポットはELISpotリーダーを用いて計数する。それぞれのボランティアについての増殖した細胞集団をフローサイトメトリーによって調べ、それらの記憶B細胞の表現型、すなわちCD19+、CD27+、IgG+、IgM+、CD38+、IgD−を確認する。
【0108】
D.細胞性免疫応答
[0126] ヘパリン化した血液(コホート1および2では50mL、コホート3では25mL)を、コード化された標本として回収し、今後行い得る複合VLP抗原に対する細胞介在性免疫(CMI)応答の評価のために、PBMCを単離し、液体窒素内で凍結保存する。行われ得るアッセイは、複合VLP抗原に対するPBMC増殖性およびサイトカイン応答を含み、確立された技術に従ってインターフェロン(IFN)−γおよびインターロイキン(IL)−4のレベルを測定することによって決定され得る。
【0109】
E.抗複合VLP sIgAのための便および唾液の回収
[0127] 抗複合VLP IgAを便試料および唾液試料において測定する。唾液標本をプロテアーゼ阻害剤(すなわち、AEBSF、ロイペプチン、ベスタチン、およびアプロチニン)(Sigma, St. Louis, MO)で処理し、−70℃で保存し、これまでに記載されているアッセイ(Mills et al.(2003)Infect. Immun. 71: 726-732)の変型を用いてアッセイする。ワクチン接種後の複数の日に便を回収し、分析するまで標本を−70℃で保存する。標本を解凍し、プロテアーゼ阻害剤緩衝液を添加して10%w/v便懸濁液を調製する。以下に記載するように、便浮遊物を、ELISAによって、複合VLP特異的粘膜IgAについてアッセイする。
【0110】
[0128] ワクチン接種前およびワクチン接種後の複数の時点で、全唾液およそ2〜3mLを回収する。唾液は市販のデバイス(Salivette, Sarstedt, Newton, NC)によって回収し、ここで、Salivetteスワブは噛まれるか、または唾液で飽和するまで30〜45秒間にわたり舌の下に置かれる。唾液は遠心分離によってスワブから回収される。
【0111】
F.便および唾液における抗複合VLPの測定
[0129] 抗ヒトIgA抗体試薬または標的複合VLP抗原被覆のいずれかで被覆されたプレートを用いてELISAを実施し、それぞれの標本について、全IgAを決定し、かつ特異的抗VLP IgA応答を滴定する。全IgAまたは特異的IgAを、上述のように、HRP標識抗ヒトIgAで明らかにする。内部全IgAの標準曲線が、IgA含有量の定量に含まれる。応答は、特異的抗体が4倍上昇することとして定義される。
【0112】
(実施例14)ヒトにおける2つの投与量の鼻腔内複合VLPワクチンの安全性および免疫原性の研究
[0130] 健康な成人におけるランダム化された二重盲検の研究を行い、2つの投与量レベルの複合ノロウイルス様粒子(VLP)ワクチンの安全性および免疫原性を、アジュバント/賦形剤およびプラセボ対照(空のデバイス)と比較する。ワクチンは、実施例13において記載される、鼻腔内投与のために設計された、乾燥粉末マトリクス内の複合ノロウイルス様粒子(VLP)からなる。被ワクチン接種者には、1型H抗原分泌者である健康な成人のボランティアが含まれる。ヒトボランティアを4つの群の1つにランダムに振り分け、それぞれの群に、複合VLPワクチン50μg用量、複合VLPワクチン100μg用量、アジュバント/賦形剤、またはプラセボという処理の1つを行う。ボランティアは0日目および21日目に投薬され、それぞれの投薬の後に、症状について7日間日記を書き続けることが求められる。血清学のために血液を、また粘膜抗体の評価のために抗体分泌細胞(ASC)、便試料、および唾液試料を回収する。
【0113】
[0131] ワクチンの成分を実施例13の表2に列挙する。ワクチンは、鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。複合VLPワクチンの単回投与を、単回投薬Bespak(Milton Keynes, UK)UniDose DP乾燥粉末鼻腔内送達デバイス内にパッケージする。それぞれのデバイスは乾燥粉末ワクチン製剤10mgを送達する。ワクチンのそれぞれの投薬は、1つがそれぞれの鼻孔内にある2つの送達デバイスからなる。全ワクチン用量は、乾燥粉末20mgである。したがって、ワクチン用量50μgは、それぞれが乾燥粉末製剤10mgを送達する2つのデバイスからなり、それぞれの乾燥粉末製剤10mgは、複合VLP25μg、MPL(登録商標)アジュバント25μg、キトサン7mg、マンニトール1.5mg、およびショ糖1.5mgからなる。同様に、ワクチン用量100μgは、それぞれが乾燥粉末製剤10mgを送達する2つのデバイスからなり、それぞれの乾燥粉末製剤10mgは、複合VLP50μg、MPL(登録商標)アジュバント25μg、キトサン7mg、マンニトール1.5mg、およびショ糖1.5mgからなる。アジュバント/賦形剤の製剤は、複合VLP抗原が製剤内に含まれていないことを除いて、複合VLPワクチンと同一である。アジュバント/賦形剤の製剤(乾燥粉末マトリクスとも呼ばれる)を実施例13の表3にまとめる。プラセボ群には2つの空のデバイスを与える。
【0114】
[0132] ボランティアは、複合VLPワクチンの2つの用量のいずれか、乾燥粉末マトリクスのみ、またはプラセボを与えられた後に、7日間にわたり、症状(鼻分泌物、鼻の痛み/不快、鼻詰まり、鼻水、鼻のかゆみ、鼻血、頭痛などの局所的症状、ならびに毎日の口腔体温、筋肉痛、吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢、および食欲不振などの全身症状を含む)について毎日日記を書き続ける。それぞれの追跡訪問(7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目、および180+14日目)で暫定的な病歴を得、ボランティアは、暫定的な病気、薬剤、および医師の訪問について質問される。ボランティアは、追跡訪問の際には問われない事象を含む全ての重大なまたは重症な有害事象を報告するように求められる。ボランティアは、7日目および28日目(それぞれの免疫の7日後)にCBCおよび血清クレアチニン、グルコース、AST、ならびにALTを評価され、異常である場合、試験が正常となるかまたは安定するまで、異常についての実験的試験が続いて行われる。
【0115】
[0133] 免疫の前、ならびに7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目、および180+14日目に、血液を回収して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって複合VLPワクチンに対する血清抗体を測定する。それぞれの用量のワクチン、乾燥粉末マトリクスのみ、またはプラセボを投与する前、および投与した後7日目に、末梢血リンパ球を回収し、ELISPOTアッセイによって抗体分泌細胞を検出する。ワクチン接種の前、ならびにワクチン接種後21+2日目、56+2日目、および180+14日目に、全血を得て、複合VLP抗原に応じたサイトカインの産生およびリンパ球増殖を含む、細胞介在性免疫のさらなる研究のために、細胞を分離し、凍結する。免疫の前、ならびに7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目、および180+14日目に、抗複合VLP sIgAのスクリーニングのために全便試料を回収する。免疫の前、ならびに7+1日目、21+2日目、28+2日目、56+2日目に、市販のデバイス(Salivette, Sarstedt, Newton, NC)を用いて唾液を回収し、56日目に粘膜抗体について陽性であれば、180±4日目の試料を回収し、抗複合VLP sIgAについてスクリーニングする。血液はまた、0日目、21日目、56日目、および180日目に、記憶B細胞についてスクリーニングする。
【0116】
[0134] 免疫された個体または乾燥粉末マトリクスのみもしくはプラセボを与えられた個体から回収される血液、便、および唾液の試料を分析するために用いられる方法は、実施例13において詳細に記載される。
【0117】
(実施例15)複合ノロウイルスVLPワクチンでのワクチン接種の後の感染性ノロウイルスでの実験的ヒトチャレンジ研究
[0135] 複合ノロウイルスVLPワクチンで免疫された80人のヒトボランティアにおいて、多部位の、ランダム化された、二重盲検の、プラセボ制御された、第1〜2相のチャレンジ研究を行う。適格対象には、18〜50歳の、健康な、1型Hオリゴ糖を発現し(正の唾液分泌状態によって測定される)、かつ血液型がB型でもAB型でもない対象が含まれる。1型H分泌者ではないかまたはB型もしくはAB型の血液を有する対象は、Norwalkウイルスでの感染に対してより耐性があることが報告されており、研究から排除される。少なくとも80%のボランティアが、これらの2つの基準に基づいて適格であると予想される。
【0118】
[0136] スクリーニングの後、全ての許容可能な基準を満たす適格なボランティアを、それぞれがおよそ40人のボランティアを有する、2つの等しいサイズのコホートの1つにランダム化する(1:1)。コホート1は複合VLPで免疫し、コホート2にはプラセボを与える。ボランティアは、それぞれの鼻孔において複合VLPワクチン10mg(全乾燥粉末20mg)で免疫するか、またはプラセボを与える。複合VLPワクチン10mgのそれぞれは、複合VLP50μg、キトサン7mg、MPL(登録商標)25μg、ショ糖1.5mg、およびマンニトールおよそ1.5mgを含有する。したがって、コホート1におけるそれぞれのボランティアには、それぞれの免疫で、複合VLP抗原100μgの全用量を与える。ボランティアには、研究0日目および21日目に、ワクチンまたはプラセボを与える。
【0119】
[0137] プラセボと比較した、複合ウイルスVLPワクチンの安全性を評価する。ボランティアは、ワクチンまたはプラセボでのそれぞれの免疫の後に、7日間にわたり日記を書き続け、有害事象の重症度および期間を文書記録する。重症な有害事象(SAE)およびあらゆる顕著な新たな病状の発生を、ワクチンまたはプラセボの最後の投薬後6ヶ月にわたり、および感染性ウイルスでのチャレンジ後4ヶ月にわたり追跡する。
【0120】
[0138] 全てのボランティアを、ワクチンまたはプラセボの第2投薬の後21〜42日後(研究42日目〜56日目)に感染性ノロウイルスでチャレンジする。それぞれのボランティアには、50%ヒト感染用量(HID50)以上を、すなわちプラセボ群において少なくとも50%のボランティアに疾患を生じさせると予想される感染性ウイルスの量を与える。HID50は、チャレンジウイルス株約48〜約480ウイルス当量である。チャレンジノロウイルスは、滅菌水と混合し、経口的に投与する。胃酸およびペプシンによるウイルスの分解を防ぐために、水中の重炭酸ナトリウム500mgを摂取してから接種を行う。重炭酸ナトリウム溶液(水中の重炭酸ナトリウム500mg)の第2の摂取を、感染性ウイルスの経口接種の5分後に行う。ボランティアは、急性胃腸炎の症状/兆候(嘔吐、下痢、軟便、腹痛、吐き気、および発熱)が消えた後、少なくとも4日間および少なくとも18時間にわたり、チャレンジ施設内に残る。
【0121】
[0139] ウイルスチャレンジによって誘発される急性胃腸炎の症状/兆候の予防または低減における複合VLPワクチンの効力を決定するために、いくつかの判断基準をモニタリングする。全てのボランティアは急性胃腸炎の自らの臨床症状を記録し、これらの症状は、研究所においてリサーチスタッフによって文書記録される。ワクチンを与えたコホート1から得られる疾患の症状/兆候を、コホート2のプラセボレシピエントと比較する。
【0122】
[0140] ワクチンまたはプラセボでの免疫の前、およびチャレンジ後に、血清および便の試料を全てのボランティアから通常通りに回収する。血清試料を、チャレンジVLPに対するIgAおよびIgGの力価について、ELISAによって分析する。便試料において、チャレンジウイルス抗原およびチャレンジウイルスRNAを、それぞれELISAおよびPCRによって試験し、これは、ウイルスの存在、腸から排泄されたウイルスの量、およびウイルス排泄の期間を示すものである。チャレンジ後に病気になる対象は、症状/兆候がなくなるまで、血清化学、BUN、クレアチニン、および肝機能の試験を含むさらなる実験的研究に供される。
【0123】
[0141] ワクチン群(コホート1)およびプラセボ群(コホート2)から得られる結果を比較して、ノロウイルス疾患の全体に対するワクチンの防御的効力(最初の終点)、かつ/あるいは、症状/兆候(重症度および病気の日数)の改善ならびに/またはウイルス排泄の存在、量、および/もしくは期間の低減におけるその効力(第2の終点)を評価する。
【0124】
[0142] 本発明は、記載される具体的な実施形態によってその範囲を限定されるものではなく、前記実施形態は、本発明の個別の態様を単に説明するものとして意図されており、機能的に等しい方法および構成要素が本発明の範囲内である。実際、本明細書において示され記載されるものに加え、本発明の様々な変型が、通常の実験以上のものを用いることなく、前述の記載および添付の図面から当業者に明らかとなろう。このような変型および同等物は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。
【0125】
[0143] この明細書において述べる全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書において、参照することにより明細書内に組み込まれ、その組込みは、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願が、参照することにより本明細書に組み込まれることが具体的にかつ個別に指示される場合と同程度のものである。
【0126】
[0144] 本明細書における参考文献の引用または議論は、これらの参考文献が本発明の先行技術であることを認めることであると解釈されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むウイルス様粒子であって、前記複合アミノ酸配列が、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、前記少なくとも1つのポリペプチドが、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する、ウイルス様粒子。
【請求項2】
前記非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項3】
前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株に対する抗血清交差反応性を、前記1つまたは複数の循環株由来のタンパク質のみを含有するウイルス様粒子で免疫して得られる抗血清交差反応性と比較して、少なくとも2倍増大させる、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項4】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項5】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも5つの異なるアミノ酸を含有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項6】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも9つの異なるアミノ酸を含有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項7】
前記コンセンサス配列が配列番号2で表される、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項8】
前記非エンベロープウイルスが、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項9】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項8に記載のウイルス様粒子。
【請求項10】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項9に記載のウイルス様粒子。
【請求項11】
前記ノロウイルスが遺伝子群Iのノロウイルスである、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項12】
前記ノロウイルスが遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項13】
前記コンセンサス配列が、遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株に由来する、請求項12に記載のウイルス様粒子。
【請求項14】
前記遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株が、Houston株、Minerva株、およびLaurens株から選択される、請求項13に記載のウイルス様粒子。
【請求項15】
複合配列が配列番号1で表される、請求項14に記載のウイルス様粒子。
【請求項16】
前記コンセンサス配列が、1つの遺伝子群内の少なくとも2つの異なる遺伝子型のノロウイルス株に由来する、請求項10に記載のウイルス粒子。
【請求項17】
前記コンセンサス配列が、遺伝子群II、遺伝子型2、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株に由来する、請求項16に記載のウイルス様粒子。
【請求項18】
前記コンセンサス配列が、少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株に由来する、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項19】
前記コンセンサス配列が、遺伝子群I、遺伝子型1、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株に由来する、請求項18に記載のウイルス様粒子。
【請求項20】
第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質をさらに含む、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項21】
前記第2のノロウイルスが、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項20に記載のウイルス様粒子。
【請求項22】
前記第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質が、遺伝子群Iのノロウイルスから得られるVP1タンパク質である、請求項21に記載のウイルス様粒子。
【請求項23】
第2の複合アミノ酸配列を有する第2のポリペプチドをさらに含み、前記第2の複合アミノ酸配列が、第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、第2のカリシウイルスの前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する、請求項9に記載のウイルス様粒子。
【請求項24】
前記複合配列が、前記第2のカリシウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、5〜50個の異なるアミノ酸を含有する、請求項23に記載のウイルス様粒子。
【請求項25】
前記第2のカリシウイルスがノロウイルスである、請求項23に記載のウイルス様粒子。
【請求項26】
前記ノロウイルスが遺伝子群Iのノロウイルスである、請求項25に記載のウイルス様粒子。
【請求項27】
前記遺伝子群Iのノロウイルスが、Norwalkウイルス、Southamptonウイルス、Hesseウイルス、およびChibaウイルスからなる群から選択される、請求項26に記載のウイルス様粒子。
【請求項28】
第1のカリシウイルスの2つ以上の循環株および第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する、請求項23に記載のウイルス様粒子。
【請求項29】
複合アミノ酸配列を有する、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントであって、前記複合アミノ酸配列が、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、前記ポリペプチドが、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメント。
【請求項30】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項31】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、5〜50個の異なるアミノ酸を含有する、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項32】
前記コンセンサス配列が配列番号2で表される、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項33】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項34】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項33に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項35】
前記ノロウイルスが、遺伝子群Iもしくは遺伝子群IIのノロウイルスであるか、またはそれらの組合せである、請求項34に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項36】
配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する、請求項35に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項37】
請求項29に記載のポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項38】
配列番号3で表される配列を有する、請求項37に記載の単離された核酸。
【請求項39】
請求項37に記載の単離された核酸を含むベクター。
【請求項40】
請求項39に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項41】
請求項1、請求項20、または請求項23に記載のウイルス様粒子を含むワクチン製剤。
【請求項42】
請求項1に記載のウイルス様粒子および第2のウイルス様粒子を含むワクチン製剤であって、前記第2のウイルス様粒子が、ノロウイルス由来のカプシドタンパク質を含む、ワクチン製剤。
【請求項43】
前記ノロウイルスが、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項42に記載のワクチン製剤。
【請求項44】
アジュバントをさらに含む、請求項41に記載のワクチン製剤。
【請求項45】
前記アジュバントが、トール様受容体(TLR)アゴニスト、モノホスホリル脂質A(MPL)、合成脂質A、脂質Aの模倣体または類似体、アルミニウム塩、サイトカイン、サポニン、ムラミルジペプチド(MDP)誘導体、CpGオリゴ、グラム陰性菌のリポ多糖(LPS)、ポリホスファゼン、エマルジョン、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ポリ(ラクチドコグリコリド)(PLG)微小粒子、ポロキサマー粒子、微小粒子、リポソーム、水中油型エマルジョン、MF59、およびスクアレンからなる群から選択される、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項46】
送達物質をさらに含む、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項47】
前記送達物質が粘膜接着性物質である、請求項46に記載のワクチン製剤。
【請求項48】
前記粘膜接着性物質が、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸コンドロイチン、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸)、炭水化物ポリマー(例えば、ペクチン、アルギン酸塩、グリコーゲン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、スタキオース、イヌリン、デキストリン、デキストラン)、ポリ(アクリル酸)の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖(ムチン、他のムコ多糖、および、アロエ植物から抽出される天然酸性多糖であるGelSite(登録商標)を含む)、ポリイオン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、タンパク質(例えば、レクチン、線毛タンパク質)、ならびにデオキシリボ核酸からなる群から選択される、請求項47に記載のワクチン製剤。
【請求項49】
前記粘膜接着性物質が多糖である、請求項48に記載のワクチン製剤。
【請求項50】
前記多糖が、キトサン、キトサン塩、またはキトサン塩基である、請求項49に記載のワクチン製剤。
【請求項51】
液体製剤である、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項52】
乾燥粉末製剤である、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項53】
1つまたは複数の用量の前記製剤を投与するための1つまたは複数のデバイスと組み合わせた、請求項52に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項54】
前記1つまたは複数の用量が単位用量である、請求項53に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項55】
デバイスが、使い捨ての経鼻投与デバイスである、請求項53に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項56】
粘膜経路、筋肉内経路、静脈内経路、皮下経路、皮内経路、真皮下経路、および経皮経路からなる群から選択される投与経路によって対象に投与される、請求項41に記載のワクチン製剤。
【請求項57】
前記粘膜投与が、鼻腔内、経口、または経膣である、請求項56に記載のワクチン製剤。
【請求項58】
経鼻スプレー、点鼻薬、または乾燥粉末の形態である、請求項57に記載のワクチン製剤。
【請求項59】
請求項39に記載のベクターを含むワクチン製剤。
【請求項60】
請求項41に記載のワクチン製剤を対象に投与することを含む、対象におけるウイルス感染に対する防御性免疫を誘発する方法。
【請求項61】
前記ウイルス感染がノロウイルス感染である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ワクチン製剤が、ノロウイルス感染の1つまたは複数の症状からの防御をもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
ウイルス様粒子を製造する方法であって、
請求項29に記載のポリペプチドを宿主細胞において発現させる工程と、
ウイルス様粒子が形成される条件下で細胞を増殖させる工程と、
ウイルス様粒子を単離する工程と、を含む方法。
【請求項64】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ノロウイルスが遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記コンセンサス配列が配列番号2で表される、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
ウイルス様粒子を製造する方法であって、
非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株由来のカプシドタンパク質のアミノ酸配列をアラインする工程と、
前記アラインされたアミノ酸配列からコンセンサス配列を決定する工程と、
前記コンセンサス配列に基づいて、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する複合配列を調製する工程と、
前記宿主細胞において前記複合配列を発現させ、それによりウイルス様粒子を産生する工程と、を含む方法。
【請求項70】
前記非エンベロープウイルスが、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
ノロウイルスが遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項72に記載の方法。
【請求項1】
複合アミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含むウイルス様粒子であって、前記複合アミノ酸配列が、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、前記少なくとも1つのポリペプチドが、宿主細胞において発現されるとウイルス様粒子を形成し、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する、ウイルス様粒子。
【請求項2】
前記非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項3】
前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株に対する抗血清交差反応性を、前記1つまたは複数の循環株由来のタンパク質のみを含有するウイルス様粒子で免疫して得られる抗血清交差反応性と比較して、少なくとも2倍増大させる、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項4】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項5】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも5つの異なるアミノ酸を含有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項6】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも9つの異なるアミノ酸を含有する、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項7】
前記コンセンサス配列が配列番号2で表される、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項8】
前記非エンベロープウイルスが、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される、請求項1に記載のウイルス様粒子。
【請求項9】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項8に記載のウイルス様粒子。
【請求項10】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項9に記載のウイルス様粒子。
【請求項11】
前記ノロウイルスが遺伝子群Iのノロウイルスである、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項12】
前記ノロウイルスが遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項13】
前記コンセンサス配列が、遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株に由来する、請求項12に記載のウイルス様粒子。
【請求項14】
前記遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株が、Houston株、Minerva株、およびLaurens株から選択される、請求項13に記載のウイルス様粒子。
【請求項15】
複合配列が配列番号1で表される、請求項14に記載のウイルス様粒子。
【請求項16】
前記コンセンサス配列が、1つの遺伝子群内の少なくとも2つの異なる遺伝子型のノロウイルス株に由来する、請求項10に記載のウイルス粒子。
【請求項17】
前記コンセンサス配列が、遺伝子群II、遺伝子型2、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株に由来する、請求項16に記載のウイルス様粒子。
【請求項18】
前記コンセンサス配列が、少なくとも2つの異なる遺伝子群のノロウイルス株に由来する、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項19】
前記コンセンサス配列が、遺伝子群I、遺伝子型1、および遺伝子群II、遺伝子型4のノロウイルス株に由来する、請求項18に記載のウイルス様粒子。
【請求項20】
第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質をさらに含む、請求項10に記載のウイルス様粒子。
【請求項21】
前記第2のノロウイルスが、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項20に記載のウイルス様粒子。
【請求項22】
前記第2のノロウイルスから得られるカプシドタンパク質が、遺伝子群Iのノロウイルスから得られるVP1タンパク質である、請求項21に記載のウイルス様粒子。
【請求項23】
第2の複合アミノ酸配列を有する第2のポリペプチドをさらに含み、前記第2の複合アミノ酸配列が、第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、第2のカリシウイルスの前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する、請求項9に記載のウイルス様粒子。
【請求項24】
前記複合配列が、前記第2のカリシウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、5〜50個の異なるアミノ酸を含有する、請求項23に記載のウイルス様粒子。
【請求項25】
前記第2のカリシウイルスがノロウイルスである、請求項23に記載のウイルス様粒子。
【請求項26】
前記ノロウイルスが遺伝子群Iのノロウイルスである、請求項25に記載のウイルス様粒子。
【請求項27】
前記遺伝子群Iのノロウイルスが、Norwalkウイルス、Southamptonウイルス、Hesseウイルス、およびChibaウイルスからなる群から選択される、請求項26に記載のウイルス様粒子。
【請求項28】
第1のカリシウイルスの2つ以上の循環株および第2のカリシウイルスの2つ以上の循環株の抗原特性を有する、請求項23に記載のウイルス様粒子。
【請求項29】
複合アミノ酸配列を有する、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントであって、前記複合アミノ酸配列が、非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株のカプシドタンパク質に相当するコンセンサス配列に由来し、前記ポリペプチドが、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する、単離されたポリペプチドまたはそのフラグメント。
【請求項30】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、少なくとも3つの異なるアミノ酸を含有する、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項31】
前記複合配列が、前記非エンベロープウイルスの1つまたは複数の循環株のカプシド配列と比較して、5〜50個の異なるアミノ酸を含有する、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項32】
前記コンセンサス配列が配列番号2で表される、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項33】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項29に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項34】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項33に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項35】
前記ノロウイルスが、遺伝子群Iもしくは遺伝子群IIのノロウイルスであるか、またはそれらの組合せである、請求項34に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項36】
配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する、請求項35に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項37】
請求項29に記載のポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項38】
配列番号3で表される配列を有する、請求項37に記載の単離された核酸。
【請求項39】
請求項37に記載の単離された核酸を含むベクター。
【請求項40】
請求項39に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項41】
請求項1、請求項20、または請求項23に記載のウイルス様粒子を含むワクチン製剤。
【請求項42】
請求項1に記載のウイルス様粒子および第2のウイルス様粒子を含むワクチン製剤であって、前記第2のウイルス様粒子が、ノロウイルス由来のカプシドタンパク質を含む、ワクチン製剤。
【請求項43】
前記ノロウイルスが、遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項42に記載のワクチン製剤。
【請求項44】
アジュバントをさらに含む、請求項41に記載のワクチン製剤。
【請求項45】
前記アジュバントが、トール様受容体(TLR)アゴニスト、モノホスホリル脂質A(MPL)、合成脂質A、脂質Aの模倣体または類似体、アルミニウム塩、サイトカイン、サポニン、ムラミルジペプチド(MDP)誘導体、CpGオリゴ、グラム陰性菌のリポ多糖(LPS)、ポリホスファゼン、エマルジョン、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ポリ(ラクチドコグリコリド)(PLG)微小粒子、ポロキサマー粒子、微小粒子、リポソーム、水中油型エマルジョン、MF59、およびスクアレンからなる群から選択される、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項46】
送達物質をさらに含む、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項47】
前記送達物質が粘膜接着性物質である、請求項46に記載のワクチン製剤。
【請求項48】
前記粘膜接着性物質が、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸コンドロイチン、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸)、炭水化物ポリマー(例えば、ペクチン、アルギン酸塩、グリコーゲン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、スタキオース、イヌリン、デキストリン、デキストラン)、ポリ(アクリル酸)の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖(ムチン、他のムコ多糖、および、アロエ植物から抽出される天然酸性多糖であるGelSite(登録商標)を含む)、ポリイオン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、タンパク質(例えば、レクチン、線毛タンパク質)、ならびにデオキシリボ核酸からなる群から選択される、請求項47に記載のワクチン製剤。
【請求項49】
前記粘膜接着性物質が多糖である、請求項48に記載のワクチン製剤。
【請求項50】
前記多糖が、キトサン、キトサン塩、またはキトサン塩基である、請求項49に記載のワクチン製剤。
【請求項51】
液体製剤である、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項52】
乾燥粉末製剤である、請求項44に記載のワクチン製剤。
【請求項53】
1つまたは複数の用量の前記製剤を投与するための1つまたは複数のデバイスと組み合わせた、請求項52に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項54】
前記1つまたは複数の用量が単位用量である、請求項53に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項55】
デバイスが、使い捨ての経鼻投与デバイスである、請求項53に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項56】
粘膜経路、筋肉内経路、静脈内経路、皮下経路、皮内経路、真皮下経路、および経皮経路からなる群から選択される投与経路によって対象に投与される、請求項41に記載のワクチン製剤。
【請求項57】
前記粘膜投与が、鼻腔内、経口、または経膣である、請求項56に記載のワクチン製剤。
【請求項58】
経鼻スプレー、点鼻薬、または乾燥粉末の形態である、請求項57に記載のワクチン製剤。
【請求項59】
請求項39に記載のベクターを含むワクチン製剤。
【請求項60】
請求項41に記載のワクチン製剤を対象に投与することを含む、対象におけるウイルス感染に対する防御性免疫を誘発する方法。
【請求項61】
前記ウイルス感染がノロウイルス感染である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ワクチン製剤が、ノロウイルス感染の1つまたは複数の症状からの防御をもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
ウイルス様粒子を製造する方法であって、
請求項29に記載のポリペプチドを宿主細胞において発現させる工程と、
ウイルス様粒子が形成される条件下で細胞を増殖させる工程と、
ウイルス様粒子を単離する工程と、を含む方法。
【請求項64】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ノロウイルスが遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記コンセンサス配列が配列番号2で表される、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
ウイルス様粒子を製造する方法であって、
非エンベロープウイルスの2つ以上の循環株由来のカプシドタンパク質のアミノ酸配列をアラインする工程と、
前記アラインされたアミノ酸配列からコンセンサス配列を決定する工程と、
前記コンセンサス配列に基づいて、前記2つ以上の循環株のカプシド配列のそれぞれと比較して、少なくとも1つの異なるアミノ酸を含有する複合配列を調製する工程と、
前記宿主細胞において前記複合配列を発現させ、それによりウイルス様粒子を産生する工程と、を含む方法。
【請求項70】
前記非エンベロープウイルスが、カリシウイルス、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、およびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記非エンベロープウイルスがカリシウイルスである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記カリシウイルスがノロウイルスまたはサポウイルスである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
ノロウイルスが遺伝子群Iまたは遺伝子群IIのノロウイルスである、請求項72に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2011−530295(P2011−530295A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522301(P2011−522301)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/053249
【国際公開番号】WO2010/017542
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(507028479)リゴサイト ファーマスーティカルズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/053249
【国際公開番号】WO2010/017542
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(507028479)リゴサイト ファーマスーティカルズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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