説明

交差点におけるアンダーパス道路の施工方法及び構造

【課題】山留め壁間の土を掘削する際に、道路に埋設された埋設ケーブルや埋設管などを養生することなく保護でき、これにより、養生設備及び養生作業を削減できると共に、工期短縮が可能な交差点におけるアンダーパス道路の施工方法及び構造の提供を課題とする。
【解決手段】複数の道路10,49のうち一部の道路10がアンダーパス道路である交差点におけるアンダーパス道路の構造である。アンダーパス道路10の両側に、鋼管14が略隙間なく並べて埋設されることにより形成された山留め壁12,13と、アンダーパス道路10と交差する道路49をアンダーパス道路10の上側で通過させるため、交差点における山留め壁12,13の上に載置されると共に、埋設ケーブル20又は埋設管21が挿通可能な貫通孔19を有する覆工17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点におけるアンダーパス道路の施工方法及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図26に示すように、道路50には、その長手方向に沿って延びる埋設ケーブルや埋設管などの長尺な埋設物51が設けられていることが多い。
【0003】
従来、埋設物51が設けられた道路50と交差する道路60をアンダーパス道路にする場合は、まず図27に示すように、アンダーパス道路とすべき道路60の両側に、鋼矢板52などを並べて打設することにより山留め壁53,53を設ける。
【0004】
次に、交差点における山留め壁53,53の上に、他方の道路50を通過させるための覆工54を設ける。次に、これらの山留め壁53,53間の土55を埋設物51より少し深いところまで掘削し、覆工54の下側に設けられた吊り下げ部材56で埋設物51を吊り下げる。
【0005】
次に、図28に示すように、山留め壁53,53間の土55を更に掘削して、山留め壁53,53間の空間57にボックスカルバート58を構築する。このボックスカルバート58の内側が、上記の道路60から連続するアンダーパス道路59となる。上記の埋設物51は、ボックスカルバート58の上側に配置される。
【0006】
次に、図29に示すように、山留め壁53,53、覆工54及び吊り下げ部材56を撤去し、ボックスカルバート58の周囲に土55を埋め戻す。これにより、埋設物51がボックスカルバート58の上側に埋設された状態で保持される。
【0007】
なお、アンダーパス道路とすべき道路と交差する道路に、渋滞が発生しやすい場合には、アンダーパス道路の施工工事により更に渋滞が発生するおそれがあるため、工事を夜間に行うのが普通である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のアンダーパス道路の施工方法では、土留め壁53,53間の土55を掘削するときに、埋設物51が覆工54に吊り下げられて空間57内に露出された状態となり、そのままでは埋設物51に掘削機などが衝突して破損するおそれがあるため、埋設物51を養生する必要があり、そのための養生設備が必要になると共に、作業工数の増大及び工期の長期化を招くという問題があった。
【0009】
また、地震発生時に、ボックスカルバート58に周囲の土55から水平力が作用し、アンダーパス道路及びその上を通過する道路に振動が発生するという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、山留め壁間の土を掘削する際に道路の埋設物を養生する必要がなく、これにより、養生設備及び養生作業の削減、工期の短縮が可能であると共に、地震発生時にアンダーパス道路及びその上を通過する道路に発生する振動を抑制可能な交差点におけるアンダーパス道路の施工方法及び構造の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の道路をアンダーパス道路にする交差点におけるアンダーパス道路の施工方法であって、前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼を略隙間なく並べて埋設することにより山留め壁を設け、前記アンダーパス道路とすべき道路以外の前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に、前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有する覆工を載置し、前記埋設物のうち前記交差点を通過する部分を前記覆工の前記貫通孔内に移設した後、前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に埋設された前記山留め壁間の土を掘削して、前記アンダーパス道路を形成することを特徴とする。
【0012】
本発明では、山留め壁間の土を掘削する前に、アンダーパス道路とすべき道路以外の道路に設けられた埋設物のうち、交差点を通過する部分を、山留め壁の上に載置された覆工の貫通孔内に移設するので、山留め壁間の土を掘削する際には、埋設物が覆工によって保護される。従って、埋設物の養生が不要になる。
【0013】
また、本発明は、複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の前記道路をアンダーパス道路にする交差点におけるアンダーパス道路の施工方法であって、前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼を略隙間なく並べて埋設することにより山留め壁を設け、前記アンダーパス道路とすべき道路以外の前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に覆工を載置し、前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有する保護部材を前記覆工の下面に設け、前記埋設物のうち前記交差点を通過する部分を前記保護部材の前記貫通孔内に移設し、前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に埋設された前記山留め壁間の土を掘削して、前記アンダーパス道路を形成することを特徴とする。
【0014】
本発明では、山留め壁間の土を掘削する際に、埋設物が保護部材によって保護されるので、埋設物の養生が不要になる。
【0015】
また、本発明は、複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の前記道路がアンダーパス道路である交差点におけるアンダーパス道路の構造であって、前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼が略隙間なく並べて埋設されることにより形成された山留め壁と、前記アンダーパス道路とすべき道路以外の前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に載置されると共に、前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有する覆工と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明では、貫通孔を有する覆工を使用するだけで、埋設物を保護できるので、構成を簡略化できる。
【0017】
また、本発明は、複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の道路がアンダーパス道路である交差点におけるアンダーパス道路の構造であって、前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼が略隙間なく並べて埋設されることにより形成された山留め壁と、前記アンダーパス道路と交差する前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に載置された覆工と、前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有すると共に、前記覆工の下面に設けられた保護部材と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明では、覆工の下面に貫通孔を有する保護部材を設けるだけで、埋設物を保護できるので、構成を簡略化できる。
【0019】
ここで、前記覆工は、前記アンダーパス道路の道幅と略同一の長さを有する柱状のプレキャスト桁を並べて配置することにより構成し、前記貫通孔を前記プレキャスト桁の長手方向に沿って設けるのが好ましい。また、前記埋設物としては、埋設ケーブル又は埋設管を例示できる。
【0020】
更に、本発明は、複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち一部の道路がアンダーパス道路である交差点におけるアンダーパス道路の構造であって、前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼が略隙間なく並べて埋設されることにより形成された山留め壁と、前記アンダーパス道路と交差する前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に載置された覆工と、前記山留め壁のうち少なくとも前記覆工が載置されている部分の外側面に設けられた振動低減部材と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明では、地震発生時に山留め壁の周囲の土から山留め壁に作用する力が、振動低減部材によって低減される。
【0022】
なお、以上述べた各構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、土留め壁間の土を掘削する際に、埋設物を養生をする必要がないので、養生部材及び養生作業の削減、並びに工期の短縮が可能になる。
【0024】
また、地震発生時に山留め壁に作用する力が低減されるので、山留め壁、山留め壁間に設けられたアンダーパス道路、及び山留め壁の上に載置された覆工に発生する振動を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を添付した図1から図25に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態のアンダーパス道路10は、上り及び下りの2列に設けられている。これらのアンダーパス道路10,10には、それぞれコンクリート底版11,11が敷設されている。
【0027】
上記の2列のアンダーパス道路10,10の両側には、自立性の山留め壁12,12が設けられている。また、本例では、2列のアンダーパス道路10,10の間にも、山留め壁13が設けられている。
【0028】
この山留め壁13は、アンダーパス道路10,10の施工に際して用いられるものであり、アンダーパス道路10,10が完成した後もそのまま残されて隔壁として用いられる。
【0029】
各アンダーパス道路10,10のコンクリート底版11,11上には、両側の山留め壁12に接して所定の幅を有する歩道16が設けられている。
【0030】
上記の山留め壁12,13は、図2に示すように、鋼管14が略隙間なく並べて打設されることにより構成されている。また、両側の山留め壁12の内側面、及び中央の山留め壁13の両側面には、内装板15が貼り付けられている。
【0031】
交差点における両側の山留め壁12,12及び中央の山留め壁13の上には、アンダーパス道路10と交差する道路49をアンダーパス道路10の上側で通過させるため、覆工17が設けられている。アンダーパス道路10の交差点以外の部分は、覆工17がなく上部側が解放されている。
【0032】
上記の覆工17は、例えば幅1〜1.5m程度で、長さがアンダーパス道路10の道幅より少し長いプレキャスト桁(床版)18が、アンダーパス道路10と略直交する向きで隙間なく並べられて構成されている。
【0033】
覆工17を構成するプレキャスト桁18のうち、一個又は複数個、本例では2個のプレキャスト桁18に、図3に示すように、その長手方向に延びる貫通孔19が設けられている。
【0034】
これらの貫通孔19,19のうち、一方の貫通孔19内には、アンダーパス道路10と交差する道路49に設けられた埋設ケーブル20のうち、交差点を通過する部分20aが本線20bから迂回して挿入されている。
【0035】
また、他方の貫通孔19には、道路49に設けられた埋設管21のうち、交差点を通過する部分21aが、本線21bから迂回して挿入されている。
【0036】
次に、このアンダーパス道路10の施工方法について説明する。なお、ここでは、一方のアンダーパス道路10を構築する場合について説明するが、もう一方のアンダーパス道路10を構築する場合も同様である。
【0037】
アンダーパス道路10を構築する場合は、まず、図4に示すように、アンダーパス道路10にすべき道路30の両側に、複数の鋼管14を打設して自立性の山留め壁12,13を設ける。
【0038】
鋼管14は、図5に示すように、略隙間なく並べて打設する。鋼管14の打設には、全周旋回杭打機34などを使用する。なお、図5中の符号35は、フェンスである。
【0039】
次に、図6に示すように、山留め壁12,13間の交差点における土31を所定の深さまで掘削して、凹部32を設ける。次に、図7に示すように、凹部32内に複数のプレキャスト桁18を挿入して互いに隙間なく並べる。プレキャスト桁18の両端部は、山留め壁12,13上に載置する。
【0040】
本例では、アンダーパス道路10,10を2列設け、各アンダーパス道路10上に設ける覆工17,17のプレキャスト桁18,18を、中央の山留め壁13で支持するため、プレキャスト桁18における山留め壁13側の端部を、山留め壁13の上面における片半分側に載置する。
【0041】
次に、図8に示すように、各プレキャスト桁18を山留め壁12の鋼管14に設けられたボルト33で固定する。
【0042】
ここで、図9及び図10に示すように、アンダーパス道路10とすべき道路30と交差する道路49に沿って、長尺な埋設物、例えば埋設ケーブル20及び埋設管21などが設
けられている場合は、埋設ケーブル20及び埋設管21に近い位置に、貫通孔19を有するプレキャスト桁18を配置する。
【0043】
次に、図11及び図12に示すように、道路49の中央寄りに配置されている埋設管21のうち、交差点を通過する部分21aを本線21bから迂回させて、プレキャスト桁18の貫通孔19内に移設する。
【0044】
次に、図13及び図14に示すように、貫通孔19を有する二個目のプレキャスト桁18を配置する。次に、このプレキャスト桁18の貫通孔19内に、埋設ケーブル20のうち交差点を通過する部分20aを、本線20bから迂回させて移設する。
【0045】
このようにして、埋設ケーブル20及び埋設管21をプレキャスト桁18の貫通孔19内に移設した後、図15及び図16に示すように、残りのプレキャスト桁18を凹部32内に挿入し、山留め壁12,13の鋼管14上に載置する。
【0046】
ここで、プレキャスト桁18を凹部32内に配置する場合は、図17に示すように、夜間に交差点の必要箇所のみを交通規制して、当日の夜間作業で設置できる数のプレキャスト桁18(1〜2個)に相当する部分だけを掘削して、凹部32を設ける。
【0047】
凹部32を設けた後、直ちに凹部32内にプレキャスト桁18を設置し、凹部32を埋め戻して現道レベルに合わせた後、交通規制を解除する。これにより、交通に与える工事の影響を最小限に抑えることができる。
【0048】
このようにして、プレキャスト桁18を全て設置した後、アンダーパス道路にすべき道路30の交差点以外の部分に土留め壁12,13を設け、これらの土留め壁12,13間の土を、交差点から離れるに従って徐々に浅くなるように適宜な勾配を付けて掘削する。
【0049】
次に、土留め壁12,13間の地盤上にコンクリート底版11及び歩道16を設けると共に、土留め壁12,13の内側面に内装板15などを設ける(図1参照)。
【0050】
これにより、2列のアンダーパス道路10,10のうち、一方のアンダーパス道路10の施工が終了する。この後、もう一方のアンダーパス道路10を上記と同様の手順で設ける。
【0051】
このように、本発明によれば、アンダーパス道路10の両側の山留め壁12,13が、強度及び剛性の高い鋼管14で構成されているので、山留め壁12,13が自立性を有している。
【0052】
これらの山留め壁12,13の上に、プレキャスト桁18が隙間なく並べられてアンダーパス道路10の覆工17が設けられ、所定の位置に配置されたプレキャスト桁18に貫通孔19が設けられている。
【0053】
そして、アンダーパス道路10と交差する道路49に設けられた埋設ケーブル20及び埋設管21のうち、交差点を通過する部分20a,21aが、覆工17の貫通孔19内に移設されているので、山留め壁12,13間の土を掘削する際に、掘削機などが埋設ケーブル20及び埋設管21に衝突して、埋設ケーブル20及び埋設管21が破損するのを防止できる。
【0054】
従って、埋設ケーブル20及び埋設管21を特別な養生部材を用いて養生する必要がないので、養生部材及び養生作業の削減、並びに工期の短縮が可能になる。また、埋設ケー
ブル20及び埋設管21の移設は短時間で行うことができるので交通規制を短時間で解除でき、これにより、交通に与える影響を最小限に抑えて交通渋滞の発生を抑制できる。
【0055】
なお、上記の実施形態では、プレキャスト桁18を鋼管14に設けられたボルト33で固定したが(図8参照)、図18に示すように、鋼管14の上部側方に支持部材36を設け、この支持部材36上にプレキャスト桁18を載置すると共に、鋼管14とプレキャスト桁18を適宜な固定具37で固定することもできる。
【0056】
また、図19に示すように、鋼管14の上面に棒状突起38を設け、この棒状突起にプレキャスト桁18の孔39を嵌め込むことにより、プレキャスト桁18を固定することもできる。
【0057】
(第2の実施形態)
図20は、本発明に係る第2実施形態のアンダーパス道路の構造を示す。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0058】
本例では、覆工17の下面17aに、保護部材41が設けられている。図21に示すように、上記の保護部材41は、その長さがプレキャスト桁18より少し短い柱状に形成されている。
【0059】
また、保護部材41は、覆工17を構成するプレキャスト桁18のうち、埋設ケーブル20及び埋設管21に近い位置に配置されたプレキャスト桁18に設けられている。
【0060】
本例では、2個のプレキャスト桁18,18に、それぞれ保護部材41が設けられている。これらの保護部材41には、その長手方向に沿って延びる貫通孔42が設けられている。
【0061】
上記の貫通孔42,42内には、アンダーパス道路10と交差する道路49の長手方向に沿って設けられた埋設ケーブル20及び埋設管21のうち、交差点を通過する部分20a,21aが、本線20b,21bから迂回して挿入されている。
【0062】
なお、鋼管14及び内装板15には、保護部材41の貫通孔42に対応して、埋設ケーブル20及び埋設管21を通すための孔が設けられている。
【0063】
上記の保護部材41を設置する場合は、図23に示すように、予めプレキャスト桁18に保護部材41を取り付け、プレキャスト桁18と一体にして凹部32内の所定の位置に配置する。
【0064】
そして、山留め壁12,13間の土を掘削する前に、アンダーパス道路10にすべき道路30と交差する道路49に沿って設けられた埋設ケーブル20及び埋設管21のうち、交差点を通過する部分20a,21bを、保護部材41の貫通孔42内に移設する。
【0065】
このように、本発明では、山留め壁12,13間の土31を掘削する前に、アンダーパス道路10にすべき道路30と交差する道路49に沿って設けられた埋設ケーブル20及び埋設管21のうち、交差点を通過する部分20a,21aが、保護部材41の貫通孔42内に移設されるので、山留め壁12,13間の土を掘削する際に、掘削機などが埋設ケーブル20及び埋設管21に衝突して破損するのを防止できる。
【0066】
従って、埋設ケーブル20及び埋設管21の養生をする必要がないので、養生部材及び
養生作業を削減できると共に、工期を短縮できる。
【0067】
(第3の実施形態)
図24は、本発明に係る第3実施形態のアンダーパス道路の構造を示す。ここでは、二列のアンダーパス道路10,10上にそれぞれ設けられた覆工17,17を構成する複数のプレキャスト桁18のうち、所定の位置に配置されたプレキャスト桁18に、その長手方向に沿って貫通孔19が設けられている。
【0068】
貫通孔19は、アンダーパス道路10と交差している。また、両側の覆工17,17を構成するプレキャスト桁18,18の貫通孔19,19が連続して配置され、一個の直線状の貫通孔が形成されている。
【0069】
この連続して配置された貫通孔19,19内には、アンダーパス道路10と交差する道路49に沿って設けられた埋設ケーブル20及び埋設管21のうち、交差点を通過する部分20a,21aが、本線20b,21bから迂回して移設されている。
【0070】
また、覆工17の下面17aには、プレキャスト桁18と交差する扁平ブロック状の保護部材45が設けられている。この保護部材45に設けられた貫通孔内には、アンダーパス道路10に沿って設けられた埋設ケーブル20及び埋設管21のうち、交差点を通過する部分20a,21aが、それぞれ本線から迂回して移設されている。
【0071】
本実施例では、アンダーパス道路10及びこれと交差する道路49の両方に、それぞれ埋設ケーブル20及び埋設管21が設けられている場合でも、交差点における土留め壁12,13間の土を掘削する際に、両側の埋設ケーブル20及び埋設管21を養生する必要がないので、養生設備及び養生作業の削減、及び工期短縮が可能になる。
【0072】
(第4の実施形態)
図25は、本発明に係る第4実施形態のアンダーパス道路の構造を示す。本例では、二列のアンダーパス道路10,10における両側の山留め壁12,12の外側面に、振動低減材47が設けられている。本例では、山留め壁12の側面に全面に亘って振動低減材47が設けられている。振動低減材47としては、ゴムなど適宜な材料を使用できる。
【0073】
本実施形態では、地震発生時に山留め壁12,12の周囲の土31から山留め壁12,12に作用する力が、振動低減材47によって低減されるので、山留め壁12、この山留め壁12に接しているアンダーパス道路10及び覆工17に発生する振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る第1実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態のアンダーパス道路における交差点を示す平面図であり、図1のA矢視図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁に設けられた貫通孔及びその中に移設された埋設ケーブル及び埋設管を示す図であり、図2のG−G断面図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の施工方法を示す図であり、山留め壁を構成する鋼管の打設方法を示す図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の施工方法を示す図であり、山留め壁を示す図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の施工方法を示す図であり、プレキャスト桁を配置すべき凹部の形成方法を示す断面図である。
【図7】本発明に係る第1実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の施工方法を示す図であり、プレキャスト桁を凹部内に配置する方法を示す図である。
【図8】本発明に係る第1実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の施工方法を示す図であり、プレキャスト桁を山留め壁の鋼管に固定する方法を示す図である。
【図9】本発明に係る第1実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の施工方法を示す図であり、プレキャスト桁の設置方法を示す平面図である。
【図10】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁と埋設ケーブル及び埋設管との位置関係を示す図であり、図9のB−B断面図である。
【図11】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁の貫通孔内に埋設管を移設した状態を示す平面図である。
【図12】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁の貫通孔内に埋設管を移設した状態を示す図であり、図11のC−C断面図である。
【図13】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁の貫通孔内に埋設ケーブルを移設した状態を示す平面図である。
【図14】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁の貫通孔内に埋設ケーブルを移設した状態を示す図であり、図13のD−D断面図である。
【図15】本発明に係る第1実施形態の覆工を示す平面図である。
【図16】本発明に係る第1実施形態の覆工と埋設ケーブル及び埋設管との位置関係を示す図であり、図15のE−E断面図である。
【図17】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁の設置方法を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁と鋼管との別の固定方法を示す図である。
【図19】本発明に係る第1実施形態のプレキャスト桁と鋼管との別の固定方法を示す図である。
【図20】本発明に係る第2実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の構造を示す断面図である。
【図21】本発明に係る第2実施形態の覆工を示す平面図である。
【図22】本発明に係る第2実施形態の保護部材を示す図であり、図21のF−F断面図である。
【図23】本発明に係る第2実施形態のプレキャスト桁及び保護部材の設置方法を示す図である。
【図24】本発明に係る第3実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の構造を示す断面図である。
【図25】本発明に係る第4実施形態の交差点におけるアンダーパス道路の構造を示す断面図である。
【図26】一般的な道路に埋設された埋設物を示す図である。
【図27】従来例に係る交差点におけるアンダーパス道路の施工方法を示す図であり、埋設物の養生方法を示す断面図である。
【図28】従来例に係る交差点におけるアンダーパス道路の構造を示す図であり、ボックスカルバートの設置方法を示す断面図である。
【図29】従来例に係るアンダーパス道路を構成するボックスカルバートと埋設物との位置関係を示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 アンダーパス道路
11 コンクリート底版
12,13 山留め壁
14 鋼管
15 内装板
16 歩道
17 覆工
17a 覆工の下面
18 プレキャスト桁
19 貫通孔
20 埋設ケーブル
20a 埋設ケーブルの交差点を通過する部分
20b 埋設ケーブルの本線
21 埋設管
21a 埋設管の交差点を通過する部分
21b 埋設ケーブルの本線
30 アンダーパス道路にすべき道路
31 土
32 凹部
33 ボルト
34 全周旋回杭打機
35 フェンス
36 支持部材
37 固定具
38 棒状突起
39 孔
41 保護部材
42 貫通孔
45 保護部材
47 振動低減材
49 アンダーパス道路と交差する道路
50 道路
51 埋設物
52 鋼矢板
53 山留め壁
54 覆工
55 土
56 吊り下げ部材
57 空間
58 ボックスカルバート
59 アンダーパス道路
60 アンダーパス道路と交差する道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の道路をアンダーパス道路にする交差点におけるアンダーパス道路の施工方法であって、
前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼を略隙間なく並べて埋設することにより山留め壁を設け、
前記アンダーパス道路とすべき道路以外の前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に、前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有する覆工を載置し、
前記埋設物のうち前記交差点を通過する部分を前記覆工の前記貫通孔内に移設した後、
前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に埋設された前記山留め壁間の土を掘削して、前記アンダーパス道路を形成することを特徴とする交差点におけるアンダーパス道路の施工方法。
【請求項2】
複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の前記道路をアンダーパス道路にする交差点におけるアンダーパス道路の施工方法であって、
前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼を略隙間なく並べて埋設することにより山留め壁を設け、
前記アンダーパス道路とすべき道路以外の前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に覆工を載置し、
前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有する保護部材を前記覆工の下面に設け、
前記埋設物のうち前記交差点を通過する部分を前記保護部材の前記貫通孔内に移設し、
前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に埋設された前記山留め壁間の土を掘削して、前記アンダーパス道路を形成することを特徴とする交差点におけるアンダーパス道路の施工方法。
【請求項3】
複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の前記道路がアンダーパス道路である交差点におけるアンダーパス道路の構造であって、
前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼が略隙間なく並べて埋設されることにより形成された山留め壁と、
前記アンダーパス道路とすべき道路以外の前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に載置されると共に、前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有する覆工と、を備えたことを特徴とする交差点におけるアンダーパス道路の構造。
【請求項4】
複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち少なくとも一部の道路に沿って設けられた長尺な埋設物が通過する交差点において、前記複数の道路のうち一部の道路がアンダーパス道路である交差点におけるアンダーパス道路の構造であって、
前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼が略隙間なく並べて埋設されることにより形成された山留め壁と、
前記アンダーパス道路と交差する前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に載置された覆工と、
前記埋設物を挿通可能な貫通孔を有すると共に、前記覆工の下面に設けられた保護部材と、を備えたことを特徴とする交差点におけるアンダーパス道路の構造。
【請求項5】
複数の道路が交差すると共に、前記複数の道路のうち一部の道路がアンダーパス道路である交差点におけるアンダーパス道路の構造であって、
前記アンダーパス道路にすべき道路の両側に、鋼管又は形鋼が略隙間なく並べて埋設されることにより形成された山留め壁と、
前記アンダーパス道路と交差する前記道路を前記アンダーパス道路の上側で通過させるため、前記交差点における前記山留め壁の上に載置された覆工と、
前記山留め壁のうち少なくとも前記覆工が載置されている部分の外側面に設けられた振動低減部材と、を備えたことを特徴とする交差点におけるアンダーパス道路の構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2006−2399(P2006−2399A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178606(P2004−178606)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】