説明

交差点警告装置

【課題】自車両が交差点から起動距離内に入ったときに警告を行うためのアプリケーションを実行する交差点警告装置において、車両の混雑度に応じて起動距離を適切に制御する。
【解決手段】他車両から受信した電波に基づいて、自車両4の周囲の車両の混雑度の指標を取得し、取得した混雑度の指標に基づいて、自車両の周囲の車両7、31、32の混雑度が高いほど、起動距離を長くし、混雑度が低いほど、起動距離を短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点警告装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点における車両同士の衝突の防止を支援するため、車車間通信によって相手車両の位置の情報を取得し、取得した位置の情報に基づいて、衝突の危険がある場合に警告を行う装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような交差点警告装置には、自車両が交差点から所定の起動距離内に入ったときに、警告を行うためのアプリケーションを実行するものがある。従来、この起動距離は固定範囲であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−9486号公報
【特許文献2】特開2005−227978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発明者の検討によれば、この起動距離が固定であると、以下に示すような問題が発生する。すなわち、図12に示すように、車両61が道路51を交差点53に向かって走行しており、多数の車両62〜64が別方向から交差点53に向かって走行していると、車両61は、それら車両62〜64と衝突する可能性が比較的高くなる。したがって、警告を行うためのアプリケーションの実行タイミングを早くしたいが、起点ノード59からの起動距離55が固定であると、警告が遅れてしまう可能性がある。
【0005】
一方、図13に示すように、車両61とは異なる方向から進入する車両が少ない場合には、車両65と衝突する可能性が低い。したがって、警告を行うためのアプリケーションの実行タイミングは遅くてもよいが、起点ノード59からの起動距離55が固定であると、不必要な警告を行ってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、自車両が交差点から起動距離内に入ったときに警告を行うためのアプリケーションを実行する交差点警告装置において、車両の混雑度に応じて起動距離を適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、第1の車両(4)に搭載される交差点警告装置であって、他の複数の車両のそれぞれから送信された電波を受信し、受信した電波中から他の複数の車両のそれぞれの位置の情報を含むパケットを取得する受信手段(11)と、交差点の位置から第1の車両(4)までの距離が起動距離以内となったか否かを判定する判定手段(135)と、交差点の位置から第1の車両(4)までの距離が起動距離以内となったと、判定手段(135)が判定したときに、警告アプリケーションの実行を開始させる開始制御手段(137)と、警告アプリケーションの実行において、受信手段(11)が取得したパケット中の他の複数の車両の位置の情報に基づいて、交差点における衝突の危険性を前記第1の車両(4)のドライバに警告するか否かを判定し、警告すると判定したことに基づいてドライバに警告を行う警告手段(140〜160)と、受信手段(11)が他の複数の車両から受信した電波に基づいて、第1の車両(4)の周囲の車両の混雑度の指標を取得する混雑度指標取得手段(120、220、230)と、混雑度指標取得手段(120、220、230)が取得した混雑度の指標に基づいて、第1の車両(4)の周囲の車両の混雑度が高いほど、起動距離を長くする範囲決定手段(130、230、330)と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このように、第1の車両(4)が交差点から起動距離内に入ったときに警告アプリケーションを実行する交差点警告装置において、第1の車両(4)の周囲の車両の混雑度の指標を取得し、取得した混雑度の指標に基づいて、第1の車両(4)の周囲の車両の混雑度が高いほど、起動距離を長くすることで、車両の混雑度に応じて起動距離を適切に制御することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のように、他の複数の車両のそれぞれから送信されて前記受信手段(11)が受信する電波中のパケットは、それぞれ当該車両の位置の情報と共に当該車両の車両IDを含み、混雑度指標取得手段(120、220、230)は、第1の所定期間内に他の複数の車両から受信した車両IDの実数を、混雑度の指標として取得するようになっていてもよい。
【0010】
また、請求項3に記載のように、混雑度指標取得手段(120、220、230)は、第2の所定期間内に他の複数の車両から受信した電波中のパケットの平均受信電力を、混雑度の指標として取得するようになっていてもよい。
【0011】
また、請求項4に記載のように、混雑度指標取得手段(120、220、230)は、第3の所定期間内に他の複数の車両から受信した電波中のパケットのパケット誤り率を、混雑度の指標として取得するようになっていてもよい。
【0012】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る出会い頭衝突防止支援の概要を示す模式図である。
【図2】車両に搭載される出会い交差点警告装置10の構成を示す図である。
【図3】制御装置13の構成を示す図である。
【図4】マイクロコンピュータ13cの処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】出会い頭衝突警告アプリケーションのフローチャートである。
【図6】自車両4の周囲が通常より混雑している場合の起動距離46を示す図である。
【図7】自車両4の周囲が通常より疎らである場合の起動距離47を示す図である。
【図8】第2実施形態における制御装置13の構成を示す図である。
【図9】第2実施形態におけるマイクロコンピュータ13cの処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態における制御装置13の構成を示す図である。
【図11】第3実施形態におけるマイクロコンピュータ13cの処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】車両61の周囲が混雑している場合を示す図である。
【図13】車両61の周囲が疎らな場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に例示するように、本実施形態は、道路1、2が交差する交差点3において、車両4〜8による出会い頭衝突の防止を支援することを目的とする。
【0015】
例えば、道路1から交差点3に進入しようとしている車両4は、道路2から交差点3に進入しようとしている車両7と出会い頭衝突を起こす恐れがあるので、ドライバに警告を行うことが好ましい。このような場合に、車両4および車両7に備えられた交差点警告装置が、それぞれ当該車両4、7のドライバに対して警告を行うことで、車両4、7による出会い頭衝突の防止を支援する。
【0016】
このような出会い頭衝突の防止を支援するために、複数の車両(例えば図1では車両4〜8)のそれぞれに、図2に示すような出会い頭衝突防止支援装置10が搭載されている。これら出会い頭衝突防止支援装置10は、車車間無線通信によって、自車両の位置の情報および自車両の走行方向の情報を1つのパケットにまとめ、そのパケットを電波に含めて送信すると共に、他の複数の車両のそれぞれから送信された電波を受信し、受信した電波からパケットを取得し、取得したパケットに含まれる当該車両の位置の情報および当該車両の走行方向の情報を取得し、取得した情報に基づいて、ドライバに対して出会い頭衝突の警告を行うべきか否かを決定する。
【0017】
例えば、車両4の交差点警告装置10は、あらかじめ交差点3の位置に設定された基点ノード9に対し、自車両4が基準距離45以内まで近づくと、自車両4を中心とする所定の情報提供範囲40内にある車両5〜7のそれぞれについて、自車両4と交差する方向に走行しているか否かを判定し、交差する方向に走行している車両があれば、自車両4のドライバに対して出会い頭衝突の警告を行う。本実施形態の特徴は、基準距離45の大きさが変化することである。以下、この基準距離45を、起動距離という。
【0018】
ここで、この交差点警告装置10の構成について説明する。図2に示すように、交差点警告装置10は、無線機11、ナビゲーション装置12、制御装置13を有している。
【0019】
無線機11(受信手段の一例に相当する)は、車車間無線通信を実現するための装置であり、アンテナが受信した無線電波(データパケットを含む)に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定の無線通信プロトコル(例えばDSRC、携帯電話用データ通信)に従った処理を施し、その結果取得したデータパケット(以下、受信パケットという)を制御装置13に出力する。また無線機11は、制御装置13から受けた送信用のデータパケット(以下、送信パケットという)に対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定の無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果の信号を上記のアンテナに出力する。これによって、送信パケットを含む無線電波が送信される。このような作動を行う無線機11を利用することで、制御装置13は、他車両の出会い頭衝突防止支援装置10の無線通信(すなわち車車間通信)を実現することができる。
【0020】
ナビゲーション装置12は、現在位置から目的地までの最適な経路を算出し、算出した経路に沿って車両が移動するよう案内する装置である。この案内は、車両内に搭載されたスピーカおよび画像表示装置を用いて、音声および画像で行うようになっている。またナビゲーション装置12は、GPS受信機、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等のセンサ群を備え、これらセンサ群からの信号に基づいて、自車両の現在位置、走行方向、走行速度等を特定するようになっている。
【0021】
またナビゲーション装置12は、制御装置13からの指令に応じて、上記スピーカに出力する音声の内容および画像表示装置に表示する画像の内容を制御するようになっている。またナビゲーション装置12は、制御装置13からの要求に応じて、現在の自車両の位置、走行方向、走行速度等の情報を制御装置13に出力するようになっている。
【0022】
制御装置13は、パケット受信保存バッファ13a、パケット送信保存バッファ13b、およびマイクロコンピュータ13cを有している。パケット受信保存バッファ13aは、無線機11から制御装置13に出力された受信パケットを取得して蓄積する記憶装置である。なお、受信パケットの蓄積の際、その受信パケットを蓄積した時刻の情報を当該受信パケットに関連付けて記録する。受信パケットを蓄積した時刻は、実質的に無線機11が電波を受信して受信パケットを取得した時刻と同じである。したがって、このようにすることで、蓄積されている受信パケットをいつ受信したかがわかるようになる。
【0023】
パケット送信保存バッファ13bは、マイクロコンピュータ13cから出力された送信パケットを一時的に格納し、所定のタイミング(例えば100ミリ秒に1回)でその送信パケットを無線機11に出力する記憶装置である。
【0024】
マイクロコンピュータ13cは、図示しないCPU、RAM、ROMを備え、CPUがROMに保存されているプログラムを実行することで、各種処理を実現する。具体的には、マイクロコンピュータ13cが実現する機能としては、自車情報送信機能21、車両数計算機能22、起動距離決定機能23、情報提供判断機能24等がある。
【0025】
自車情報送信機能21は、自車両の情報を定期的に(例えば100ミリ秒毎に)無線送信する機能である。この自車情報送信機能21を実現するために、マイクロコンピュータ13cは、定期的に、ナビゲーション装置12に対して自車両の現在の位置および走行方向の情報を要求して取得し、また、ROMにあらかじめ記録されている自車両の車両IDの情報を読み出す。そして、これら自車両の車両ID、位置、および走行方向の情報を、1つの送信パケットに含め、パケット送信保存バッファ13bに出力する。これによって、パケット送信保存バッファ13bは、送信パケットを所定のタイミングで定期的に無線機11に出力するようになる。その結果、無線機11は、車両ID、自車位置、および自車両の走行方向の情報を含む送信パケットを、所定のタイミングで定期的に周囲の車両に無線送信する。以下、このような、車両の走行情報(具体的には、車両ID、自車位置、および自車両の走行方向)の情報を含む送信パケットを、車両情報パケットという。
【0026】
車両数計算機能22は、他車両から送信され、自車両の無線機11が受信して制御装置13のパケット受信保存バッファ13aに蓄積された他車両発の車両情報パケット(すなわち受信パケット)中の車両IDに基づいて、自車両の周囲の車両の数を算出する機能である。
【0027】
この車両数計算機能22を実現するために、マイクロコンピュータ13cは、パケット受信保存バッファ13aから、現在から遡る所定期間(第1の所定期間に相当する)内において受信した受信パケットを読み出す。この所定期間は、交差点警告装置10における車両情報パケットの送信周期よりも長い期間とする。
【0028】
そしてマイクロコンピュータ13cは、読み出した受信パケット中の車両IDの数をカウントする。この際、同じ値の車両IDが複数個あったとしても、それらは1個であるとカウントする。
【0029】
このようにカウントされた車両IDの数は、現在から遡る所定期間内において、自車両の通信可能範囲(例えば、自車両を中心とする半径300メートル〜400メートル程度の円の内部)から車両情報パケットを送信した車両の数(延べではない実数)である。したがって、このようにカウントされた車両数は、自車両の通信可能範囲内の他車両の数であるので、自車両の周囲における車両の混雑度の指標となる。
【0030】
起動距離決定機能23は、車両数計算機能22によって算出した車両数に基づいて、起動距離を決定する機能である。
【0031】
この起動距離決定機能23を実現するために、マイクロコンピュータ13cは、ROMに記録されている数−距離テーブルを参照して、情報提供範囲を決定する。数−距離テーブルは、車両数と起動距離との対応関係を規定するテーブルである。具体的には、数−距離テーブルにおいては、車両数は、通常範囲、通常範囲よりも少ない疎範囲、通常範囲よりも多い混雑範囲の3つに分類されており、これら3つの車両数の範囲のそれぞれに、1つの起動距離が対応付けられている。より具体的には、疎範囲に割り当てられる起動距離(例えば150メートル)は、通常範囲に割り当てられる起動距離(例えば200メートル)よりも短く、混雑範囲に割り当てられる起動距離(例えば250メートル)は、通常範囲に割り当てられる起動距離よりも長い。
【0032】
情報提供判断機能24は、起動距離決定機能23によって決められた起動距離に基づいて、自車両と基点ノード9との距離が当該起動距離以内になったときに、出会い頭衝突に対する警告(すなわち、情報提供)を行うか否かを決定し、警告を行うと決定した場合は、警告を実行する機能である。この機能の具体的な内容については後述する。
【0033】
以下、車両数計算機能22、起動距離決定機能23、および情報提供判断機能24に対応する機能の作動手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、自車情報送信機能21の機能は、図4のフローチャートの処理と並列的に実行されるようになっている。図4のステップ110、120の処理によって車両数計算機能22が実現し、ステップ130の処理によって起動距離決定機能23が実現し、ステップ135、137の処理によって情報提供判断機能24が実現する。
【0034】
マイクロコンピュータ13cは、交差点警告装置10の作動中(すなわち自車両のエンジンがオンとなっている間)、図4に示す処理を繰り返し実行するようになっている。
【0035】
そしてマイクロコンピュータ13cは、この図4の処理の実行の各回において、まずステップ110で、現在から遡る所定期間内に受信した受信パケットを、パケット受信保存バッファ13aから読み出して取得する。続いてステップ120では、既に説明した通り、ステップ110で読み出した受信パケット中の車両IDの数(延べ数ではなく実数(すなわち異なり数))をカウントする。この車両IDの数は、既に説明した通り、自車両の通信可能範囲内における他車両の実数である。
【0036】
続いてステップ130では、上述の数−距離テーブルを参照し、ステップ120でカウントした車両の実数に対応する起動距離を決定する。続いてステップ135では、自車両から起点ノードまでの直線距離が、ステップ130で決定した起動距離以下であるか否かを判定する。すなわち、自車両が起点ノードから起動距離内に入ったか否かを判定する。基点ノードは、出会い頭衝突の発生の恐れが高いとみなされた交差点の位置である。基点ノードの位置は、あらかじめマイクロコンピュータ13cのROMに記録されている。そして、自車両の現在の位置は、ナビゲーション装置12に要求して取得する。
【0037】
自車両が起点ノードから起動距離内に入らないうちは、ステップ135に続いてステップ110を実行するので、ステップ10〜135の処理が繰り返される。したがって、受信パケット中の車両IDの実数の変動に応じて、起動距離が逐次変化する。
【0038】
自車両が起点ノードから起動距離内に入ると、ステップ135に続いてステップ137で、出会い頭警告アプリケーション(警告アプリケーションの一例に相当する)を実行する。したがって、ステップ135の判定処理は、出会い頭警告アプリケーションを開始させるための制御処理である。
【0039】
出会い頭警告アプリケーションは、マイクロコンピュータ13cのROM等に記録されたプログラムであり、自車両が交差点で出会い頭衝突を起こす可能性が高いときに、自車両のドライバに音声、画像で警告を与えるためのアプリケーションである。
【0040】
図5に、この出会い頭警告アプリケーションのフローチャートを示す。この図に示すように、マイクロコンピュータ13cは、出会い頭警告アプリケーションの実行の際、まずステップ140で、読み出した受信パケットのうち、今回のステップ140で新たに読み出した新しい受信パケットのそれぞれから、位置の情報を読み出し、それぞれの位置が、自車両を中心とする情報提供範囲内に入っているか否かを判定する。なお、自車両の位置は、ナビゲーション装置12に要求して取得する。そして、それらのうち1つでも情報提供範囲内に入っていると判定した場合は、続いてステップ150を実行し、それらのうち1つも情報提供範囲内にはいっていないと判定した場合は、ステップ150、160をバイパスして図4の1回分の処理を終了する。
【0041】
このようにステップ150、160をバイパスするのは、当該受信パケットの送信元の他車両と自車両との間の距離が十分離れているので、出会い頭衝突を警告するには尚早であるという観点に基づくものである。
【0042】
なお、「今回のステップ140で新たに読み出した新しい受信パケット」とは、出会い頭警告アプリケーションの実行開始後、2回目以降のステップ140の実行機会においては、前回のステップ140でも読み出した受信パケット以外のパケットとなり、出会い頭警告アプリケーションの実行開始後、初めてのステップ140の実行機会においては、読み出したすべての受信パケットとなる。
【0043】
ステップ150では、出会い頭衝突の警告(すなわち情報提供)をするか否かを判定する。具体的には、ステップ140で情報提供範囲内にあると判定した位置にある他車両のそれぞれについて、自車両の走行方向と当該他車両の走行方向とが交差している場合は警告するか否か判定し、1つでも交差している場合は警告すると判定し、1つも交差していない場合は警告しないと判定する。
【0044】
なお、自車両の走行方向は、ナビゲーション装置12に要求することで取得する。また、当該他車両の走行方向は、当該最新の受信パケット中の走行方向に基づいて決定する。
【0045】
また、自車両の走行方向と当該他車両の走行方向とが交差しているか否かについては、例えば、自車両の走行方向と他車両の走行方向が成す角θ(ただし0°≦θ≦180°)が、第1所定角度(例えば45°)以上第2所定角度(例えば135°)以下である場合に、自車両の走行方向と他車両の走行方向とが交差していると判定し、それ以外の場合に、自車両の走行方向と他車両の走行方向とが交差していないと判定してもよい。
【0046】
警告すると判定した場合は続いてステップ160で、ナビゲーション装置12に対して音声および画像で警告を行うよう指令する。ナビゲーション装置12は、この指令に応じて、出会い頭衝突の恐れがある旨を警告する音声(例えば、「出会い頭衝突に注意してください」という音声)をスピーカに出力させ、また、出会い頭衝突の恐れがある旨を警告する画像を画像表示装置に表示させる。この警告は、所定の時間(例えば10秒)継続してもよいし、自車両が交差点(より詳しくは基点ノード)の位置を通り過ぎるまで継続するようになっていてもよい。ステップ160の後は、出会い頭警告アプリケーションの実行を終了し、再度図4の処理のステップ110を実行する。
【0047】
図4の1回分の処理を終了する。また、警告しないと判定した場合は、ステップ160の警告処理をバイパスして、ステップ155を実行する。
【0048】
ステップ155では、自車両が交差点(より詳しくは基点ノード)の位置を通り過ぎたか否かを判定し、通り過ぎていない場合は続いてステップ140を実行し、通り過ぎた場合、出会い頭警告アプリケーションの実行を終了し、再度図4の処理のステップ110を実行する。
【0049】
このようにマイクロコンピュータ13cは、出会い頭警告アプリケーションの実行において、最新の受信パケットの送信元の他車両が情報提供範囲内であれば(ステップ140参照)、当該他車両の走行方向と自車両の走行方向とが交差しているか否かを判定し(ステップ150参照)、交差していれば出会い頭衝突の警告を行い、交差していなければ出会い頭衝突の警告を行わないという作動を、自車両が起点ノードを通り過ぎるまで繰り返す。
【0050】
したがって、交差点警告装置10は、自車両の走行方向と交差する方向に走行する他車両が情報提供範囲内に入ってこない間は、出会い頭衝突の警告を行わず、自車両の走行方向と交差する方向に走行する他車両が1台でも情報提供範囲内に入ってくれば、出会い頭衝突の警告を行う。
【0051】
以上説明した通り、交差点警告装置10は、自車両が起点ノードの手前の起動距離以内に入ると(ステップ135参照)、出会い頭警告アプリケーションを実行し(ステップ137参照)、その実行においては、自車両と他車両の位置の情報、および自車両と他車両の走行方向の情報に基づいて、出会い頭衝突に対する警告を行うか否かを決定する(ステップ140、150参照)。そして、警告を行った後(ステップ160参照)、および、警告を行わないうちに自車両が当該起点ノードを通り過ぎた場合(ステップ155参照)に、出会い頭警告アプリケーションの実行を終了する。
【0052】
例えば、図1に示すような場面において、車両4(第1の車両の一例に相当する)に搭載された交差点警告装置10は、自車両4が起点ノード9から起動距離45以内の範囲に入ると、出会い頭警告アプリケーションを実行する。そしてその実行中に、自車両4の情報提供範囲40内に他車両7(第2の車両の一例に相当する)が進入したとき、当該他車両7から送信された車両情報パケットに基づいて、当該他車両7が情報提供範囲40内に入ったと判定し(ステップ140参照)、さらに、他車両7の走行方向が自車両の走行方向と交差すると判定し(ステップ150参照)、続いて警告を行い(ステップ160参照)、その後出会い頭警告アプリケーションを終了する。
【0053】
また、交差点警告装置10は、現在から遡った所定期間内に受信した車両情報パケットの送信元の他車両の実数(すなわち、所定期間内に他の複数の車両から受信した車両IDの実数)が、通常の範囲を超えている場合、すなわち、自車両の周囲で他車両が通常よりも混雑している場合、起動距離を通常よりも増大させる。また、交差点警告装置10は、現在から遡った所定期間内に受信した車両情報パケットの送信元の他車両の実数が、通常の範囲を下回っている場合、すなわち、自車両の周囲で他車両が通常よりも疎らである場合、起動距離を通常よりも小さくする。
【0054】
このように、自車両の周囲における他車両の混雑度が高いほど起動距離を長くすることの効果について説明する。自車両の周囲において他車両数が多いということは、図6に示すように、自車両4がいる道路1と交差する道路2において、交差点3の手前に多数の車両7、31、32が存在している可能性が高い。そのような場合には、自車両4がそれら車両7、31、32と出会い頭衝突を起こしてしまう可能性が比較的高くなる。したがって、ドライバに対してより早く警告をすることが望ましい。
【0055】
このとき、本実施形態のように、通常の起動距離45よりも長い起動距離46を採用すれば、出会い頭警告アプリケーションの起動がそれだけ早くなり、その分自車両4のドライバへの警告も早くなる。
【0056】
また逆に、自車両の周囲において車両数が少ないということは、図7に示すように、自車両4がいる道路1と交差する道路2において、交差点3の手前の車両の数が少なくなっている可能性が高い。そのような場合には、自車両4が交差する道路2における他車両と出会い頭衝突を起こしてしまう可能性が低くなる。したがって、ドライバに対して警告をするタイミングは比較的遅くてもよい。
【0057】
このとき、本実施形態のように、通常の起動距離45よりも短い起動距離45を採用すれば、出会い頭警告アプリケーションの起動がそれだけ遅くなる。したがって、出会い頭衝突の警告を不必要に早く行ってしまう可能性が低下する。また、出会い頭警告アプリケーションを不必要に早く実行することがなくなるので、交差点警告装置10における処理負荷が軽減される。また、本実施形態のマイクロコンピュータ13cは、出会い頭警告アプリケーションを実行しているときに、他のアプリケーションを実行できないようになっているので、出会い頭警告アプリケーションを不必要に早く実行することがなくなることで、他のアプリケーションを実行することができる期間が増える。
【0058】
このように、自車両(例えば車両4)が交差点から起動距離内に入ったときに警告アプリケーションを実行する交差点警告装置において、自車両の周囲の車両の混雑度の指標を取得し、取得した混雑度の指標に基づいて、自車両の周囲の車両の混雑度が高いほど、起動距離を長くし、自車両の周囲の車両の混雑度が低いほど、起動距離を短くすることで、車両の混雑度に応じて起動距離を適切に制御することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1実施形態においては、自車両の周囲の混雑度の指標として、通信可能範囲内の車両数を用いたのに対し、本実施形態では、他車両から受信する車両情報パケット(すなわち受信パケット)の受信電力を用いる点である。この受信電力は、無線機11による車両情報パケットの受信時の電波環境の一例に相当する。
【0060】
このために、無線機11は、電波の受信信号強度を出力するRSSI回路(図示せず)を有し、図8に示すように、制御装置13はこのRSSI回路の出力を取得するようになっている。
【0061】
より詳しくは、パケット受信保存バッファ13aは、受信パケットに関連付けられて、その受信パケットを受信したときのRSSI回路の出力を記録するようになっている。そしてマイクロコンピュータ13cは、車両数計算機能22に代えて、受信電力計算機能25を実現するようになっている。
【0062】
受信電力計算機能25は、受信パケットを受信したときの無線機11の平均受信電力を計算する機能である。この受信電力計算機能25を実現するために、マイクロコンピュータ13cは、パケット受信保存バッファ13aから、現在から遡る所定期間(第2の所定期間に相当する)内において受信した受信パケットに関連付けられたRSSI出力を読み出す。これら読み出したRSSI出力の値は、それぞれ対応する受信パケットの受信時における受信信号強度である。この所定期間は、交差点警告装置10における車両情報パケットの送信周期よりも長い期間とする。そしてパケット受信保存バッファ13aは、読み出した受信信号強度のそれぞれから受信電力(dBm)を算出し、これら受信電力の平均値を算出する。
【0063】
すなわち、現在から遡る所定期間内においてN個の車両送信パケットを受信している場合は、各車両送信パケットの受信時の受信電力をPi(i=1、2、…、N)とすると、平均受信電力は、ΣPi/Nとなる。ただし、Σは、iについて1〜Nまでの総和を意味する。
【0064】
このように算出された平均受信電力は、自車両の通信可能範囲内にいる他車両が、自車両に近い位置に偏っているほど大きくなる値である。したがって、このように算出された平均受信電力は、自車両の周囲における車両の混雑度の指標となる。
【0065】
また、本実施形態の起動距離決定機能23は、受信電力計算機能25によって算出した平均受信電力に基づいて、起動距離を決定する。
【0066】
この起動距離決定機能23を実現するために、マイクロコンピュータ13cは、ROMに記録されている電力−距離テーブルを参照して、起動距離を決定する。電力−距離テーブルは、平均受信電力と距離との対応関係を規定するテーブルである。具体的には、電力−距離テーブルにおいては、電力は、通常範囲、通常範囲よりも小さい小電力範囲、通常範囲よりも大きい大電力範囲の3つに分類されており、これら3つの電力の範囲のそれぞれに、1つの起動距離が対応付けられている。より具体的には、小電力範囲に割り当てられる起動距離(例えば150メートル)は、通常範囲に割り当てられる起動距離(例えば200メートル)よりも短く、大電力範囲に割り当てられる起動距離(例えば250メートル)は、通常範囲に割り当てられる起動距離よりも長い。
【0067】
以下、受信電力計算機能25、起動距離決定機能23に対応する機能の作動手順について、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、自車情報送信機能21の機能は、図9のフローチャートの処理と並列的に実行されるようになっている。図8のステップ210、220の処理によって受信電力計算機能25が実現し、ステップ230の処理によって起動距離決定機能23が実現し、ステップ135、137の処理によって情報提供判断機能24が実現する。なお、ステップ135、137の処理内容は、それぞれ図4のステップ135、137の処理内容と同じであるので、その説明は省略する。
【0068】
マイクロコンピュータ13cは、交差点警告装置10の作動中(すなわち自車両のエンジンがオンとなっている間)、図9に示す処理を繰り返し実行するようになっている。そしてマイクロコンピュータ13cは、この図9の処理の実行の各回において、まずステップ210で、現在から遡る所定期間内に受信した受信パケットおよびそれらに関連付けられた受信信号強度を、パケット受信保存バッファ13aから読み出して取得する。続いてステップ220では、既に説明した通り、ステップ210で読み出した受信信号強度から受信電力を算出し、更にそれらの平均値を算出する。
【0069】
続いてステップ230では、上述の電力−距離テーブルを参照し、ステップ220で算出した平均受信電力に対応する起動距離を決定し、続いてステップ135を実行する。
【0070】
このように、本実施形態の交差点警告装置10は、自車両の周囲における他車両の混雑度の指標として、車両情報パケットの受信時における受信電力の平均値を用い、この平均受信電力に応じて起動距離を変化させる。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。しかも、無線機11は多くの場合RSSI回路を有しているので、そのようなRSSI回路の出力を利用することで、簡易に混雑度の指標を算出することができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1実施形態においては、自車両の周囲の混雑度の指標として、通信可能範囲内の車両数を用いたのに対し、本実施形態では、他車両から受信する車両情報パケット(すなわち受信パケット)のパケット誤り率(PER:Packet Error Ratio)を用いる点である。このパケット誤り率は、無線機11による車両情報パケットの受信時の電波環境の一例に相当する。
【0072】
このために、無線機11は、図10に示すように、パケット誤り率を出力するようになっている。パケット誤り率とは、現在から遡る所定期間(第3の所定期間に相当する)内に受信したすべての車両情報パケットのうち、伝送誤りのある車両情報パケットの割合をいう。パケット誤り率を出力する無線機11は周知である。例えば、無線機11は、受信した車両情報パケットに対して巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)等の誤り検出を行うことで、各車両情報パケットに伝送誤りがあるか否かを判定する。
【0073】
また、マイクロコンピュータ13cは、車両数計算機能22に代えて、PER取得機能26を実現するようになっている。PER取得機能26は、上述のように無線機11から出力されたパケット誤り率を取得する機能である。
【0074】
このようなPER取得機能26を実現することでマイクロコンピュータ13cが取得したパケット誤り率は、自車両の周囲において他車両が混雑している程増大する。これは、自車両の周囲において他車両が混雑している程、無線送信の障害物が増えるからである。したがって、パケット誤り率は、自車両の周囲における車両の混雑度の指標となる。
【0075】
また、本実施形態の起動距離決定機能23は、PER取得機能26によって取得したパケット誤り率に基づいて、起動距離を決定する。
【0076】
この起動距離決定機能23を実現するために、マイクロコンピュータ13cは、ROMに記録されているPER−距離テーブルを参照して、起動距離を決定する。PER−距離テーブルは、パケット誤り率と起動距離との対応関係を規定するテーブルである。具体的には、PER−距離テーブルにおいては、パケット誤り率は、通常範囲、通常範囲よりも小さい低誤り範囲、通常範囲よりも大きい高誤り範囲の3つに分類されており、これら3つのパケット誤り率の範囲のそれぞれに、1つの起動距離が対応付けられている。より具体的には、低誤り範囲に割り当てられる起動距離(例えば150メートル)は、通常範囲に割り当てられる起動距離(例えば200メートル)よりも短く、高誤り範囲に割り当てられる起動距離(例えば250メートル)は、通常範囲に割り当てられる起動距離よりも長い。
【0077】
以下、PER取得機能26、起動距離決定機能23に対応する機能の作動手順について、図11のフローチャートを用いて説明する。なお、自車情報送信機能21の機能は、図11のフローチャートの処理と並列的に実行されるようになっている。図11のステップ310、320の処理によってPER取得機能26が実現し、ステップ330の処理によって起動距離決定機能23が実現し、ステップ135、137の処理によって情報提供判断機能24が実現する。なお、ステップ135、137の処理内容は、それぞれ図4のステップ135、137の処理内容と同じであるので、その説明は省略する。
【0078】
マイクロコンピュータ13cは、交差点警告装置10の作動中(すなわち自車両のエンジンがオンとなっている間)、図11に示す処理を繰り返し実行するようになっている。そしてマイクロコンピュータ13cは、この図11の処理の実行の各回において、まずステップ310で、現在から遡る所定期間内に受信した受信パケットを取得する。続いてステップ320では、既に説明した通り、無線機11から出力されたパケット誤り率を取得する。
【0079】
続いてステップ330では、上述のPER−距離テーブルを参照し、ステップ320で算出したパケット誤り率に対応する起動距離の大きさを決定し、続いてステップ135を実行する。
【0080】
このように、本実施形態の交差点警告装置10は、自車両の周囲における他車両の混雑度の指標として、受信パケットのパケット誤り率を用い、このパケット誤り率を取得に応じて起動距離を変化させる。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。しかも、無線機11は多くの場合パケット誤り率を出力するようになっているので、そのような出力を利用することで、簡易に混雑度の指標を算出することができる。
【0081】
なお、上記の各実施形態において、マイクロコンピュータ13cが、ステップ120、220、230のいずれかを実行することで混雑度指標取得手段の一例として機能し、ステップ130、230、330のいずれかを実行することで範囲決定手段の一例として機能し、ステップ135を実行することで判定手段の一例として機能し、ステップ137を実行することで開始制御手段の一例として機能し、ステップ140〜160を実行することで警告手段の一例として機能する。
【0082】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0083】
例えば、上記実施形態では、マイクロコンピュータ13cは、無線機11がが他の複数の車両から受信した電波に基づいて、自車両の周囲の車両の混雑度の指標を取得するようになっている。具体的には、第1実施形態では、第1の所定期間内に他の複数の車両から受信した車両IDの実数を混雑度の指標とし、第2実施形態では、第2の所定期間内に前記他の複数の車両から受信した電波中のパケットの平均受信電力を、混雑度の指標とし、第3実施形態では、第3の所定期間内に他の複数の車両から受信した電波中のパケットのパケット誤り率を、混雑度の指標とするようになっている。しかし、マイクロコンピュータ13cは、他の複数の車両から受信した電波に基づいて、これら第1〜第3実施形態で示した情報以外の情報を取得し、それを混雑度の指標とするようになっていてもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、交差点警告装置10は、自車両が起点ノードまで起動距離内に入ったタイミングで、出会い頭衝突警告アプリケーションを実行するようになっている。しかし、自車両が起点ノードまで起動距離内に入ったタイミングで起動するアプリケーションは、必ずしも出会い頭衝突警告アプリケーションでなくてもよく、例えば、右直衝突警告アプリケーションであってもよい。
【0085】
右直衝突とは、自車両が交差点を右折しようとするときに、対向車線を直進する車両に衝突することをいう。右直衝突警告アプリケーションは、マイクロコンピュータ13cのROM等に記録されたプログラムであり、自車両が交差点で右直衝突を起こす可能性が高いときに、自車両のドライバに音声、画像で警告を与えるための右直衝突警告アプリケーション(警告アプリケーションの一例に相当する)である。
【0086】
右直衝突警告アプリケーションの具体的な処理内容は、図5のフローチャートにおいて、ステップ150の判定を変更したものとなる。すなわち、ステップ150では、右直衝突の警告(すなわち情報提供)をするか否かを判定する。より詳しくは、ステップ150では、自車両の走行方向と当該他車両の走行方向とが逆になっている場合は警告すると判定し、逆になっていないと場合は警告しないと判定する。
【0087】
なお、自車両の走行方向と当該他車両の走行方向とが逆になっているか否かについては、例えば、自車両の走行方向と他車両の走行方向が成す角θ(ただし0°≦θ≦180°)が、150°以上である場合に、自車両の走行方向と他車両の走行方向とが逆である判定し、それ以外の場合に、自車両の走行方向と他車両の走行方向とが逆になっていないと判定してもよい。
【0088】
このように、自車両が起点ノードまで起動距離内に入ったタイミングで起動するアプリケーションは、交差点における衝突の危険性を自車両のドライバに警告するための警告アプリケーションであれば、どのようなものであってもよい。
【0089】
例えば、第1実施形態においては、所定期間内に受信した車両情報パケットの送信元の車両の実数という指標に基づいて起動距離を変化させ、第2実施形態においては、所定期間内の車両情報パケットの平均受信電力という指標に基づいて起動距離を変化させ、第3実施形態においては、受信した車両情報パケットのパケット誤り率という指標に基づいて起動距離を変化させている。しかし、これら3つの指標のうち2つ以上に基づいて起動距離を変化させるようになっていてもよい。例えば、平均受信電力が通常範囲よりも大きく、かつ、パケット誤り率が通常よりも大きい場合にのみ、起動距離を通常よりも長くするようになっていてもよい。
【0090】
また、上記実施形態においては、起動距離は、自車両の周囲の混雑度の指標(より具体的には、自車両の周囲が混雑するほど増大する量)に応じて変化するようになっているが、当該指標に加えて他の要因に応じて変化するようになっていてもよい。例えば、マイクロコンピュータ13cは、自車両の走行速度に応じて起動距離の大きさを変化させるようになっていてもよい。
【0091】
また、無線機11と制御装置13とは、車内LAN(例えばEthernet(登録商標)規格に準じたLAN)を介して接続されていてもよい。その場合、送信パケット、受信パケット、受信電波強度を示す信号、パケットエラーレートを示す信号は、この車内LANを介して無線機11と制御装置13との間で授受される。
【0092】
また、上記の実施形態において、マイクロコンピュータ13cがプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1、2、51、52 道路
3、53 交差点
4〜8、31〜33、61〜64 車両
9、59 起点ノード
10 交差点警告装置
11 無線機
12 ナビゲーション装置
13 制御装置
13a パケット受信保存バッファ
13b パケット送信保存バッファ
13c マイクロコンピュータ
21 自車情報送信機能
22 車両数計算機能
23 起動距離決定機能
24 情報提供判断機能
25 受信電力計算機能
26 PER取得機能
40 情報提供範囲
45〜47、55 起動距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車両(4)に搭載される交差点警告装置であって、
他の複数の車両のそれぞれから送信された電波を受信し、受信した電波中から前記他の複数の車両のそれぞれの位置の情報を含むパケットを取得する受信手段(11)と、
交差点の位置から前記第1の車両(4)までの距離が起動距離以内となったか否かを判定する判定手段(135)と、
前記交差点の位置から前記第1の車両(4)までの距離が起動距離以内となったと、前記判定手段(135)が判定したときに、警告アプリケーションの実行を開始させる開始制御手段(137)と、
前記警告アプリケーションの実行において、前記受信手段(11)が取得した前記パケット中の前記他の複数の車両の位置の情報に基づいて、前記交差点における衝突の危険性を前記第1の車両(4)のドライバに警告するか否かを判定し、警告すると判定したことに基づいてドライバに警告を行う警告手段(140〜160)と、
前記受信手段(11)が他の複数の車両から受信した電波に基づいて、前記第1の車両(4)の周囲の車両の混雑度の指標を取得する混雑度指標取得手段(120、220、230)と、
前記混雑度指標取得手段(120、220、230)が取得した前記混雑度の指標に基づいて、前記第1の車両(4)の周囲の車両の混雑度が高いほど、前記起動距離を長くする範囲決定手段(130、230、330)と、を備えた交差点警告装置。
【請求項2】
前記他の複数の車両のそれぞれから送信されて前記受信手段(11)が受信する電波中の前記パケットは、それぞれ当該車両の位置の情報と共に当該車両の車両IDを含み、
前記混雑度指標取得手段(120、220、230)は、第1の所定期間内に他の複数の車両から受信した車両IDの実数を、前記混雑度の指標として取得することを特徴とする請求項1に記載の出会い頭衝突防止支援装置。
【請求項3】
前記混雑度指標取得手段(120、220、230)は、第2の所定期間内に前記他の複数の車両から受信した電波中の前記パケットの平均受信電力を、前記混雑度の指標として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の出会い頭衝突防止支援装置。
【請求項4】
前記混雑度指標取得手段(120、220、230)は、第3の所定期間内に前記他の複数の車両から受信した電波中の前記パケットのパケット誤り率を、前記混雑度の指標として取得することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の出会い頭衝突防止支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−282283(P2010−282283A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133212(P2009−133212)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】