説明

交換可能な管型形成刃先

【課題】この発明は、コアドリル、ホールソー、コンクリートなどの穿孔用に用いる刃先交換型ドリル、コアドリルクラウン、食材用カッターに用いる刃において、該刃先が磨耗し、変形しても、刃先のみを低コストで交換可能とする管型形成刃先を開発・提供することにある。
【解決手段】交換可能な管型形成刃先は、例えばドリル式コアサンプラーにおける交換可能な刃先として使用され、適宜な厚みを有する長方形のステンレス板Xを素材とし、該ステンレス板Xの長辺の一にレーザー加工により刃部1を形成した後、該レーザー加工により刃部1が形成されたステンレス板Xを管型に丸めて短円筒状の刃先部2を形成している。そして、この短円筒状の刃先部2を、ステンレス製の採取円筒3の外縁部に着脱可能手段4a(Y)により装着するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交換可能な管型形成刃先に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管型形成刃先を使用したものは、サイレージ、乾草などの家畜用飼料の品質評価のための試料を取るために、採取円筒をドリル駆動により円筒内に標本試料を採取可能にしたドリル式コアサンプラーがある。
【0003】
草食動物である牛は、牧草イネなどの繊維含量の多い飼料、いわゆる粗飼料を一定量以上給与しなければならない。
【0004】
しかし、粗飼料の成分、消化率は牧草の種類、刈り取り時期、貯蔵法などによって大きく変動することから、牛に与えるまえにサンプリングして分析する必要がある。このような背景から、正確なサンプリングを行うために、ドリル式コアサンプラーが開発されている。
【0005】
このドリル式コアサンプラーは、金属製円筒で先端部に刃があり、底面にドリルに装着するための軸を付帯したものであり、先端の刃は帯鋸刃を回転方向と逆向きに溶接したものや筒の先端に多数もしくは少数の刃を金属円筒と一体として直接波形の刃を反復形成したものがある。
【0006】
コアサンプラーの刃は、使用していくうちに磨耗して変形し、いくら磨いても切れ難くなる。また、使用中に不注意で落下させて刃を変形させることも多い。
【0007】
このような場合、刃を溶接したコアサンプラーでは、変換が困難であるし、また、金属製円筒と一体として刃を直接波形に反復形成したものでは、修理ができず、新品を購入する必要に迫られる。従って、低コストで刃を交換できるものが求められている。
【0008】
さらに、本発明は、飼料のサンプリング用のコアサンプラーだけでなく、下記に述べる,管型形成刃としての用途にも適応可能性がある。
1)壁等に穴をあけるためのコアドリルやホールソー
2)コンクリートなどの穿孔用に用いる刃先交換型ドリル
3)岩状物、コンクリート、及び組積み構造における脆いを加工するコアドリルクラウン
4)食材等をくり抜き加工するためのカッター
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、上記のコアドリル、ホールソー、コンクリートなどの穿孔用に用いる刃先交換型ドリル、コアドリルクラウン、食材用カッターに用いる刃において、該刃先が磨耗し、変形しても、刃先のみを低コストで交換可能とできる管型形成刃先を開発・提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による課題を解決するための手段としては、適宜な厚みを有する長方形のステンレス板を素材とし、該ステンレス板の長辺の一辺にレーザー加工により形成されたステンレス板を、丸めて短円筒状の刃先部に形成し、該短円筒状の刃先部を、ステンレス製の採取円筒の外縁部に着脱可能手段により装着したことを特徴とする交換可能な管型形成刃先としたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、採取円筒の外縁部に着脱可能手段により装着したことにより、簡単に刃の交換ができ、また、刃の先端に直接、刃を反復形成する方法よりも安価に刃を付けることが可能となる等のすぐれた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の好適な実施の形態については、適宜な厚みを有する長方形のステンレス板を素材とし、該ステンレス板の長辺の一辺にレーザー加工により刃部を形成した後、該レーザー加工により刃部が形成されたステンレス板を、短円筒状に丸めた刃先部を形成し、該短円筒状の刃先部を、ステンレス製の採取円筒の外縁部に着脱可能手段により装着したことを特徴とする交換可能な管型形成刃先から構成されるものである。
【実施例】
【0013】
次に、この発明の一実施例として、交換可能な管型形成刃先がドリル式フィードサンプラーにおける交換可能な管型形成刃先の例を図面に従って詳述すると、適宜な厚みを有する長方形のステンレス板(X)を素材とし、該ステンレス板の長辺の一辺にレーザー加工により刃部(1)を形成した後、該レーザー加工により刃部が形成されたステンレス板(X)を、短円筒状に丸めて短円筒状の刃先部(2)を形成し、該短円筒状の刃先部(2)を、ステンレス製の採取円筒(3)の外縁部に着脱可能手段(Y)により装着した交換可能な管型形成刃先から構成されるものである。
【0014】
そして、ステンレス板(X)は、その一例として、長辺が243mm、短辺が59mmの長方形であり、かつ、該ステンレス板(X)の厚みは、1.5mmである。そして、長辺の一辺にレーザー加工により形成する刃先は、14枚とし、刃の幅は5mmである。また、ステンレス板(X)には、複数個のリベット用孔(4a)が穿設されている。さらに、該ステンレス板(X)は、SUS420J2を使用し、短円筒状に丸めた後、焼入れを施したものである。
【0015】
また、ステンレス製の採取円筒(3)の素材は、SUS410を使用しており、該ステンレス製の採取円筒(3)の一端外縁部に、前記短円筒状の刃先部(1)が嵌挿可能となるよう設ける。さらに、該ステンレス製の採取円筒(3)の外縁部に装着する短円筒状の刃先部(2)とは、着脱可能手段(Y)により装着されるものであり、該着脱可能手段(Y)の一例としては、複数のリベット(4)にて固定するものである。しかし、着脱可能手段(Y)は、リベット(4)に限定されることはない。
【0016】
また、該ステンレス製の採取円筒(3)の他端には、外周面に段部を有する短円柱状の蓋体(5)と着脱可能に嵌着している。該蓋体(5)には、電気ドリル等の駆動源(図示せず)の回転軸(Z)を挿入する差し込み穴(6)を形成し、該蓋体(5)の外周面には、前記回転軸(Z)にステンレス製の採取円筒(3)を固定するネジ(7)を、均等角度(図面では、120度毎)の位置からそれぞれ回転軸(Z)に向けて設けている。さらに、採取円筒(3)の他端口縁部の、前記ネジ(7)が位置する均等角度(図面では、120度毎)の位置に、ネジ(7)の頭が挿入する,略L字状の係止溝(8)を形成し、蓋体(5)に設けた前記ネジ(7)の頭を、採取円筒(3)の該係止溝(8)に軸方向に向けて嵌入し、該係止溝の底部に達すると、次に、該軸と直交方向に捩じって固定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
この発明は、サイレージ、乾草などの品質評価を行う畜産業の分野で活用でき、この発明の技術を確立し、実施・販売することによりわが国の重要課題である自給飼料生産拡大が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施例を示す一部欠截側面図である。
【図2】この発明に使用する刃先部の製造過程の一実施例を示す説明図である。
【図3】この発明に使用するステンレス製の採取円筒の一実施例を示し、(a)は、一部欠截側面図であり、(b)は、正面図である。
【図4】この発明に使用するステンレス製の採取円筒の一実施例を示し、(a)は、側面図であり、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 刃部
2 短円筒状の刃先部
3 ステンレス製の採取円筒
4 リベット
4a リベット用孔
5 蓋体
6 差し込み穴
7 ネジ
8 略L字状の係止溝
X ステンレス板
Y 着脱可能手段
Z 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜な厚みを有する長方形のステンレス板を素材とし、該ステンレス板の長辺の一辺にレーザー加工により刃部を形成した後、該レーザー加工により形成されたステンレス板を、短円筒状に丸めて刃先部を形成し、該短円筒状の刃先部を、ステンレス製の採取円筒の外縁部に着脱可能手段により装着したことを特徴とする交換可能な管型形成刃先。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−95919(P2009−95919A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268581(P2007−268581)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(591079487)広島県 (101)
【出願人】(000152011)株式会社藤原製作所 (6)
【Fターム(参考)】