交流駆動静電チャック
【課題】載置面側に設けられた突起部の一部が局所的に損傷することを抑制することができる交流駆動静電チャックを提供することを目的とする。
【解決手段】被吸着物を載置する側の主面に形成された突起部と、前記突起部の周辺に形成された底面部と、を有する誘電体基板と、前記誘電体基板に設けられた電極と、を備え、前記電極は、互いに離間して配設された複数の電極要素を含み、互いに異なる位相の交流電圧が前記複数の電極要素のそれぞれに印加可能とされ、前記突起部は、前記複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で前記主面上に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックが提供される。
【解決手段】被吸着物を載置する側の主面に形成された突起部と、前記突起部の周辺に形成された底面部と、を有する誘電体基板と、前記誘電体基板に設けられた電極と、を備え、前記電極は、互いに離間して配設された複数の電極要素を含み、互いに異なる位相の交流電圧が前記複数の電極要素のそれぞれに印加可能とされ、前記突起部は、前記複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で前記主面上に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、交流駆動静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、イオン注入、アッシング、露光、検査などを行う基板処理装置において、被吸着物(半導体ウェーハやガラス基板など)を吸着保持する手段として静電チャックが用いられている。
ここで、静電チャックの載置面と被吸着物とが擦れ合うとパーティクルが発生するおそれがある。また、静電チャックの載置面と被吸着物との接触面積が大きくなると被吸着物の吸着脱離応答性が悪くなるおそれがある。
そのため、静電チャックの載置面側に突起部を設けることで接触面積を小さくし、パーティクル汚染の抑制と被吸着物の吸着脱離応答性の向上とを図る技術が知られている。
【0003】
一方、多相交流電圧を印加することにより、被吸着基板の離脱の際に除電の処理を必要とせず、被吸着基板の振動の無い静電チャック装置がある(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載された静電チャック装置では、多相電極と被吸着基板との間に交流電圧を印加するため、多相電極のうちのいずれかと被吸着基板との間の電圧がゼロとなる瞬間が存在する。これにともない、印加される電圧がゼロとなる電極の上に位置する被吸着基板の部分においては、吸着力が局所的にゼロとなる。そのため、被吸着基板が局所的に振動したり、被吸着基板と静電チャック装置の載置面とが局所的に擦れ合うおそれがあることが、本発明者の独自の検討の結果、判明した。
【0004】
これによれば、静電チャックの載置面側に突起部が設けられた場合には、突起部と被吸着基板とが局所的に擦れ合い、突起部の一部が局所的に損傷するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−332412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、載置面側に設けられた突起部の一部が局所的に損傷することを抑制することができる交流駆動静電チャックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、被吸着物を載置する側の主面に形成された突起部と、前記突起部の周辺に形成された底面部と、を有する誘電体基板と、前記誘電体基板に設けられた電極と、を備え、前記電極は、互いに離間して配設された複数の電極要素を含み、互いに異なる位相の交流電圧が前記複数の電極要素のそれぞれに印加可能とされ、前記突起部は、前記複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で前記主面上に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0008】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部が複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で誘電体基板の主面上に配置されたことで、被吸着物の変位を略均一化しつつ、その振動を制御することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0010】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0011】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上ではない位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0012】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0013】
また、第4の発明は、第2の発明において、前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0014】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0015】
また、第5の発明は、第3の発明において、前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0016】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0017】
また、第6の発明は、第4の発明において、複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0018】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0019】
また、第7の発明は、第5の発明において、複数の前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0020】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0021】
また、第8の発明は、第2の発明において、前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0022】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0023】
また、第9の発明は、第2の発明において、前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0024】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0025】
また、第10の発明は、第3の発明において、前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0026】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0027】
また、第11の発明は、第1の発明において、前記主面の中央部に配置された隣り合う突起部同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う突起部同士の間隔よりも狭いことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0028】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部は、誘電体基板の主面の外周部よりも誘電体基板の主面の中央部において密集している。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0029】
また、第12の発明は、第1の発明において、前記主面の中央部に配置された隣り合う電極同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う電極同士の間隔よりも狭いことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0030】
この交流駆動静電チャックによれば、電極は、誘電体基板の主面の外周部よりも誘電体基板の主面の中央部において密集している。そのため、突起部は、誘電体基板の主面の外周部よりも誘電体基板の主面の中央部において密集する。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0031】
また、第13の発明は、第1の発明において、前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の全体の面積に対する中央部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率は、前記主面の全体の面積に対する外周部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率よりも高いことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0032】
この交流駆動静電チャックによれば、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部の被吸着物との接触面積は、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の被吸着物との接触面積よりも広い。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0033】
また、第14の発明は、第1の発明において、前記主面の外周部に配置された前記突起部の径は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の径と同一または前記主面の中央部に配置された前記突起部の径よりも大きいことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0034】
例えば、この交流駆動静電チャックがイオン注入を行う基板処理装置において使用される場合には、ビームが照射されるため、半導体ウェーハなどの被吸着物が熱膨張するおそれがある。被吸着物が熱膨張すると、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部は、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部よりも削れやすい。この交流駆動静電チャックによれば、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の径は、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部の径と同一または誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部の径よりも大きい。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0035】
また、第15の発明は、第9または第10の発明において、前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の外周部に配置された前記突起部は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0036】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷しやすい特異点を低減することができる。
【0037】
また、第16の発明は、第9または第10の発明において、前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部は、前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目以外に配置された突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0038】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷しやすい特異点を低減することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の態様によれば、載置面側に設けられた突起部の一部が局所的に損傷することを抑制することができる交流駆動静電チャックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態にかかる交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。
【図2】本実施形態にかかる交流駆動静電チャックの変形例を例示するための断面模式図である。
【図3】本実施形態の電極のパターンを例示する平面模式図である。
【図4】本実施形態の電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。
【図5】比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極のパターンを例示する平面模式図である。
【図6】比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。
【図7】突起部の局所的な損傷を説明するための平面模式図である。
【図8】突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図9】直流駆動静電チャックの突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図10】本実施形態にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。
【図11】図10に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
【図12】比較例にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。
【図13】図12に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
【図14】本実施形態の電極と突起部との他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図15】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図16】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図17】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図18】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図19】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図20】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図21】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図22】本実施形態の突起部を選択的に配置した断面模式図である。
【図23】突起部の径を説明するための断面模式図である。
【図24】本実施形態の電極のパターンの変形例を例示する平面模式図である。
【図25】本実施形態の電極のパターンの他の変形例を例示する平面模式図である。
【図26】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図27】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図28】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図29】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図30】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図31】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図32】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図33】電極幅と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図34】電極間隔と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図35】突起ピッチと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図36】接触面積比と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図37】突起径と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図38】突起部の頂面の表面粗さと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。
なお、図1(a)は、交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。図1(b)は、図1(a)に表したA部の拡大模式図である。図1(c)は、接触式粗さ計を用いて図1(b)に表したB部を測定したグラフ図である。
【0042】
図1(a)および図1(b)に表したように、交流駆動静電チャック1は、基台2と、誘電体基板3と、電極4と、を備える。
【0043】
基台2の一方の主面(電極4の側の表面)には、無機材料からなる絶縁体層5が形成されている。また、誘電体基板3は、被吸着物を載置する側の主面(載置面側)に形成された突起部3aと、突起部3aの周辺に形成された底面部3bと、を有している。この突起部3aの頂面が、半導体ウェーハ等の被吸着物を載置する際に載置面となる。
また、電極4が設けられた誘電体基板3の主面と、絶縁体層5が設けられた基台2の主面と、が絶縁性接着剤で接着されている。この絶縁性接着剤が硬化したものが、接合層6となる。なお、図1(a)に表した交流駆動静電チャック1は、誘電体基板3と絶縁体層5とを接合した構造を有するが、図2で後述するように電極を誘電体基板に内蔵した構造を有していてもよい。
【0044】
ここで、本願明細書における「頂面」について説明する。
図1(c)に表したように、本願明細書における「頂面」とは、突起部3aの中心軸から振り分けにL2の長さの範囲内に有る部分をいう。ここで、L2は、突起部3aの底部の長さL1の80%の長さである。
突起部3aの頂面3a1は、例えば曲面を有している。頂面3a1の外側は、曲面であってもよいし、直線状の面であってもよい。
【0045】
電極4と、電源10aおよび電源10bと、は、電線9でそれぞれ接続されている。なお、電線9は、基台2を貫通するようにして設けられているが、電線9と基台2とは絶縁されている。図1に例示をした交流駆動静電チャック1は、正極、負極の電極を互いに隣接させるようにして誘電体基板3に形成させたいわゆる双極型静電チャックである。ただし、これだけに限定されるわけではなく、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1は、三極型、その他多極型であってもよい。また、電極の数、形状、配置も適宜変更することができる。これについては、後に詳述する。
【0046】
また、交流駆動静電チャック1を貫通するように貫通孔11が設けられている。貫通孔11の一端は、底面部3bに開口している。貫通孔11の他端は、図示しない圧力制御手段や流量制御手段を介して、図示しないガス供給手段と接続されている。図示しない冷却用気体のガス供給手段は、ヘリウムガスまたはアルゴンガスなどを供給する。そして、底面部3bを形成することで設けられた空間3cは、供給されたガスの通路となる。空間3c同士は、それぞれ連通し、供給されたガスが全体にいきわたるようになっている。
【0047】
また、半導体ウェーハ等の被吸着物を載置した際に被吸着物の外周部を支持する位置において、図示しないリング状の突起部が配設されていてもよい。これにより、前述したガスが漏出することを抑制することができる。また、前述したガス供給用の貫通孔11以外の貫通孔が設けられている場合には、その貫通孔の周囲に図示しないリング状の突起部が配設されていてもよい。これにより、前述したガスが漏出することを抑制することができる。
さらに、貫通孔11と連通する放射状や同心円状の図示しないガス分配溝(凹状の溝)を底面部3bに設けることができる。この様なガス分配溝を設けるようにすれば、ガス分配速度を早めることができる。
【0048】
基台2は、例えば、アルミニウム合金や銅などのような熱伝導率の高い金属により形成されている。そして、基台2の内部には、冷却液または加熱液の流れる流路8が設けられている。なお、流路8は必ずしも設けられていなくともよいが、被吸着物の温度制御の観点からは設けられていた方が好ましい。
【0049】
また、基台2の一方の主面に設けられた絶縁体層5は、例えば、アルミナ(Al2O3)やイットリア(Y2O3)等の多結晶体により形成されている。また、絶縁体層5の熱伝導率は、接合層6の熱伝導率よりも高いことが好ましい。この場合、絶縁体層5の熱伝導率は、2W/mK以上であることがより好ましい。そのようにすれば、接合層単独の場合よりも熱伝達性が良好となり、被吸着物の温度制御性と面内温度の均一性をより向上させることができる。
【0050】
接合層6の熱伝導率は、より高いことが好ましい。例えば、接合層6の熱伝導率は、1W/mK以上であることが好ましく、1.6W/mK以上であればより好ましい。このような熱伝導率は、例えば、シリコーンやエポキシ樹脂等にアルミナや窒化アルミニウムをフィラーとして添加することで得られる。また、添加の割合で熱伝導率を調整することもできる。
【0051】
接合層6の厚みは、熱伝達性を考慮すればできるだけ薄い方が好ましい。一方、基台2の熱膨張率と誘電体基板3の熱膨張率との差に起因する熱せん断応力により、接合層6が剥離することなどを考慮すれば、接合層6の厚みは、できるだけ厚い方が好ましい。そのため、接合層6の厚みは、これらを考慮して0.1mm以上、0.3mm以下であることが好ましい。
【0052】
誘電体基板3には、静電チャックに求められる様々な要求により種々の材料を用いることができる。この場合、熱伝導率、電気絶縁の信頼性を考慮すると、誘電体基板3は、多結晶セラミックス焼結体により形成されることが好ましい。多結晶セラミックス焼結体としては、例えば、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム、炭化珪素などからなる多結晶セラミックス焼結体などを例示することができる。
誘電体基板3の材料の体積抵抗率は、例えば、静電チャックの使用温度領域(例えば、室温(25℃程度))で108Ωcm以上である。
なお、本願明細書における体積抵抗率は、JIS規格(JIS C 2141:1992電気絶縁用セラミックス材料試験方法)に示される方法を用いて測定した値である。この場合の測定については、静電チャックの使用温度領域で行うことができる。
【0053】
電極4の材料としては、酸化チタン、チタンの単体あるいはチタンと酸化チタンの混合体、窒化チタン、炭化チタン、タングステン、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、金−白金合金などを例示することができる。
【0054】
図2は、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックの変形例を例示するための断面模式図である。
なお、図2(a)は、交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。図2(b)は、図2(a)に表したF部の拡大模式図である。
【0055】
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1aにおいては、誘電体基板30の内部に電極4が埋め込まれている。つまり、誘電体基板30の内部に電極4が内蔵されている。
このような交流駆動静電チャック1aは、例えば、グリーンシート印刷積層法などを用いて製造される。
【0056】
例えば、まず、多結晶セラミックス成形体(例えば、多結晶アルミナ成形体)からなるグリーンシートに、タングステンペーストをスクリーン印刷することにより、電極4を形成する。その後、電極4を埋設するように、複数のグリーンシートを加圧積層し、焼成前の積層体を形成する。この積層体を所望の形状に切削加工し、所望の雰囲気中において焼成することにより、電極4が内部に埋設された誘電体基板30を製造することができる。
【0057】
図3は、本実施形態の電極のパターンを例示する平面模式図である。
また、図4は、本実施形態の電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。 また、図5は、比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極のパターンを例示する平面模式図である。
また、図6は、比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図4(a)および図6(a)は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの交流駆動静電チャックを表す平面模式図である。図4(b)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図である。図6(b)は、図6(a)に表したD部の拡大模式図である。
【0058】
図3および図4(a)に表したように、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1は、複数の電極4を有する。言い換えれば、電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素のそれぞれは、互いに離間して配設されている。そのため、図4(b)に表したように、互いに隣り合う電極4同士の間には、電極4が配置されていない部分(間隙)14が存在する。そして、図3および図4(a)に表した交流駆動静電チャック1では、複数の電極要素は、略渦巻き状に配置されている。複数の電極要素のそれぞれには、互いに異なる位相の交流電圧を印加することができる。
【0059】
図3および図4(a)に表した交流駆動静電チャック1では、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。つまり、6極の電極4は、三対をなしている。そのため、図3および図4(a)に表したパターンを有する電極4には、三相交流電圧が印加される。例えば、任意の瞬間をみたときに、第1の対をなす電極4(第1相電極)には、正の極性の電圧が印加される。第2の対をなす電極4(第2相電極)には、負の極性の電圧が印加される。第3の対をなす電極4(第3相電極)には、電圧が印加されない。すなわち、第3の対をなす電極4に印加される電圧は、ゼロとなる。このような三相交流電圧の印加パターンが、時間の経過に伴って切り替わる。
【0060】
これに対して、図5および図6(a)に表したように、比較例にかかる交流駆動静電チャック1bでは、電極4が延在する方向に対して垂直方向にみたときの電極4の幅(以下、説明の便宜上「電極幅」という)は、図3および図4(a)に表した交流駆動静電チャック1の電極4の電極幅よりも広い。
比較例にかかる交流駆動静電チャック1bでは、図3および図4に関して前述した交流駆動静電チャック1と同様に、電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素のそれぞれは、互いに離間して配設されている。そのため、図6(b)に表したように、互いに隣り合う電極4同士の間には、間隙14が存在する。複数の電極要素のそれぞれには、互いに異なる位相の交流電圧を印加することができる。
【0061】
図6(a)および図6(b)に表したように、比較例にかかる交流駆動静電チャック1bでは、突起部3aは、誘電体基板3上の略全体にわたって略等間隔で略均一に配置されている。言い換えれば、突起部3aは、複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに応じることなく略等間隔で配置されている。つまり、突起部3aは、複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンとは無関係に略等間隔で配置されている。本発明者の検討の結果、このような場合には、突起部3aと被吸着物とが局所的に擦れ合い、突起部3aの一部が局所的に損傷するおそれがあることが分かった。これについて、図面を参照しつつさらに説明する。
【0062】
図7は、突起部の局所的な損傷を説明するための平面模式図である。
また、図8は、突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
また、図9は、直流駆動静電チャックの突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
なお、図7(a)は、第2相電極4bに印加される電圧がゼロの場合を例示する平面模式図である。図7(b)は、第3相電極4cに印加される電圧がゼロの場合を例示する平面模式図である。図7(a)および図7(b)では、基台2および絶縁体層5を省略している。また、図8(a)は、図7(a)に表したE部の拡大模式図である。図8(b)は、図7(b)に表したG部の拡大模式図である。
【0063】
まず、図9を参照しつつ、直流駆動静電チャックにおける被吸着物の作用について説明する。
直流駆動静電チャックにおいては、電極に直流電圧が印加されると、被吸着物20は、直流駆動静電チャックに吸着され保持される。このとき、被吸着物20は、突起部3aと接触する。続いて、電極に印加する直流電圧をゼロとすると、被吸着物20に作用していた吸着力が解除され、被吸着物20を直流駆動静電チャックから離脱させることができる。続いて、他の被吸着物20に対しても同様の動作が行われる。そのため、図9に表した矢印のように、被吸着物20と突起部3aとの当接あるいは衝突が繰り返され、被吸着物20と突起部3aとが振動することはほとんどない。そのため、突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合い、突起部3aの一部が局所的に損傷するおそれは少ない。
【0064】
これに対して、例えば吸着脱離応答性の向上などを図るために、交流駆動静電チャックが用いられる場合がある。図7(a)に表したように、例えば第1相電極4aおよび第3相電極4cに電圧が印加され、第2相電極4bには電圧が印加されていない任意の瞬間では、第1相電極4aおよび第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分は、吸着力により交流駆動静電チャック1に吸着され保持される。このとき、第1相電極4aおよび第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分は、突起部3aと接触する。
【0065】
一方で、図7(a)に表した任意の瞬間では、第2相電極4bには電圧が印加されていないため、第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分には、吸着力は作用しない。そのため、第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分は、供給ガスの影響で突起部3aの頂面(接触面)から浮き上がり、突起部3aから離れる方向へ変位する。このとき、図8(a)に表したように、突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合うことで、突起部3aが損傷を受けるおそれがある。
【0066】
続いて、三相交流電圧の印加パターンが時間の経過に伴って切り替わる。そして、図7(b)に表したように、例えば第1相電極4aおよび第2相電極4bに電圧が印加され、第3相電極4cには電圧が印加されていない任意の瞬間では、第1相電極4aおよび第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分は、吸着力により交流駆動静電チャック1に吸着され保持される。このとき、第1相電極4aおよび第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分は、突起部3aと接触する。
【0067】
一方で、図7(b)に表した任意の瞬間では、第3相電極4cには電圧が印加されていないため、第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分には、吸着力は作用しない。そのため、第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分は、突起部3aの頂面から浮き上がり、突起部3aから離れる方向へ変位する。このとき、図8(b)に表したように、図8(a)に関して前述した突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合う箇所とは異なる箇所において、突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合う。これにより、図8(a)に関して前述した突起部3aが損傷を受ける箇所とは異なる箇所において、突起部3aが損傷を受けるおそれがある。
【0068】
続いて、三相交流電圧の印加パターンが時間の経過に伴って順次切り替わり、図8(a)に関して前述した状態と、図8(b)に関して前述した状態と、が繰り返されると、突起部3aの一部が局所的に損傷するおそれがある。そうすると、図8(c)に表したように、局所的に損傷した突起部3aの一部が破損し、パーティクルが発生するおそれがある。つまり、被吸着物20と突起部3aとの衝突だけではなく、被吸着物20と突起部3aとの擦れ合いが繰り返し生ずると、突起部3aの一部が局所的に損傷し破損するおそれがある。
【0069】
本発明者の検討の結果、このような局所的な損傷は、互いに隣り合う電極4同士の境界部の近傍あるいは間隙14の近傍において比較的に発生しやすいことが分かった。また、電極4の電極幅がより広いと、前述した局所的な損傷が比較的に発生しやすいことが分かった。
【0070】
そこで、図4(a)および図4(b)に戻って説明すると、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1では、突起部3aは、複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに応じて所定の間隔で配置されている。「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに応じて」とは、例えば、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンを反映して」、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに沿って」、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに倣って」、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンと整合して」、および「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに基づいて」の少なくともいずれかを含むものとする。これらについては、後に具体例を挙げて説明する。
【0071】
これによれば、突起部3aから離れる方向への被吸着物20の変位を略均一化しつつ、その振動を制御することができる。また、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0072】
図4(b)に表したように、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。また、図4(b)に表したように、複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有する。突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、複数の電極要素のそれぞれの部分の延在する方向に延びる中心線4d(以下、説明の便宜上「電極の中心線」という)上に存在する。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。また、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0073】
また、図4(a)に表したように、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに、誘電体基板3の主面の中央部に配置された隣り合う電極4同士の間隔は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された隣り合う電極4同士の間隔よりも狭い。言い換えれば、誘電体基板3の主面の中央部に配置された電極4の電極幅は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された電極4の電極幅よりも狭い。つまり、電極4は、誘電体基板3の主面の外周部よりも誘電体基板3の主面の中央部において密集している。
【0074】
そのため、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに、誘電体基板3の主面の中央部に配置された隣り合う突起部3a同士の間隔は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された隣り合う突起部3a同士の間隔よりも狭い。つまり、突起部3aは、誘電体基板3の主面の外周部よりも誘電体基板3の主面の中央部において密集している。そのため、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに、誘電体基板3の主面全体の面積に対する中央部に配置された突起部3aの頂面の面積の比率は、誘電体基板3の主面全体の面積に対する外周部に配置された突起部3aの頂面の面積の比率よりも高い。これによれば、同一面積で比較した場合において、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aの被吸着物20との接触面積(頂面の面積)は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aの被吸着物20との接触面積(頂面の面積)よりも広い。なお、誘電体基板3の外周部および図示しない貫通孔の周囲の少なくともいずれかにリング状の突起部が配設された場合には、突起部3aの頂面の面積は、リング状の突起部の頂面の面積を含むものとする。
【0075】
図10は、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。 また、図11は、図10に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
また、図12は、比較例にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。
また、図13は、図12に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
【0076】
まず、図12および図13を参照しつつ、比較例にかかる交流駆動静電チャックにおける変位量の測定結果およびシミュレーション(CAE)結果の一例について説明する。図12に表したグラフ図の横軸は、測定位置および読み取ったデータ位置を表す。図12に表したグラフ図の縦軸は、被吸着物20の変位量を表す。
【0077】
本測定および本シミュレーションでは、空間3c(図1および図2参照)に供給するガスの圧力を20トル(Torr)に設定した。測定位置および読み取ったデータ位置は、図13に表した如くである。
【0078】
図12に表したグラフ図のように、位置a〜位置kのうちで位置aおよび位置bにおける被吸着物20の変位量が他の位置の変位量よりも大きい。試料(1)および試料(2)の交流駆動静電チャック1では、位置aおよび位置bにおける被吸着物20の変位量は、約6マイクロメートル(μm)〜7μm程度である。また、シミュレーションの交流駆動静電チャック1では、位置aおよび位置bにおける被吸着物20の変位量は、約4μm〜5μm程度である。
【0079】
一方、位置a〜位置kのうちで位置jおよび位置kにおける被吸着物20の変位量は、他の位置の変位量よりも小さい。図13に表したように、位置jおよび位置kは、電極4の電極幅が他の位置と比較すると狭い位置である。これにより、電極4の電極幅をより狭くすると、被吸着物20の変位量をより小さくできることが分かる。
【0080】
これに対して、図10および図11を参照しつつ、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックにおける変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例について説明する。図10に表したグラフ図の横軸は、測定位置および読み取ったデータ位置を表す。図10に表したグラフ図の縦軸は、被吸着物20の変位量を表す。
【0081】
本測定および本シミュレーションでは、1×10−3パスカル(Pa)に減圧したチャンバー内において、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1の上に12インチサイズの半導体ウェーハを載置した。空間3c(図1および図2参照)に供給するガスの圧力は、20Torrである。電極4に印加した交流電圧は、1000ボルト(V)である。このような条件下で、レーザ変位計を用いて、図11に表した測定位置における変位量を測定した。また、シミュレーションにおいては、図11に表した位置のデータを読み取った。
【0082】
図10に表したグラフ図のように、位置1〜16の全てにおける被吸着物20の変位量は、実測およびシミュレーションともに約0.2μm以下となった。つまり、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックでは、被吸着物20の変位量を抑制できることが分かった。
【0083】
図14は、本実施形態の電極と突起部との他の配置関係を例示する平面模式図である。 なお、図14は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。
【0084】
図14に表した配置関係では、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上でない位置に存在する。すなわち、突起部3aは、電極4を誘電体基板3の主面に投影したときの間隙14の上に存在する。また、図14に表したように、間隙14は、延在する部分を有する。突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の部分の延在する方向に延びる中心線14d(以下、説明の便宜上「間隙の中心線」という)上に存在する。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。また、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0085】
図15は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図15は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。
【0086】
図15に表した配置関係では、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4d上ではない位置に存在する。
【0087】
さらに、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4dと、電極4の端部4eと、の中間の位置に存在する。但し、突起部3aの位置は、これだけに限定されるわけではない。突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上であって電極4の中心線4d上ではない位置、且つ電極4の中心線4dから所定距離だけ離れた位置に存在すればよい。言い換えれば、突起部3aの配置周期が電極4のパターンの配置周期の整数倍の位置に存在すればよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0088】
図16は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図16は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。
【0089】
図16に表した配置関係では、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上でない位置に存在する。突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14d上ではない位置に存在する。
【0090】
さらに、突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dと、間隙14の端部14eと、の中間の位置に存在する。但し、突起部3aの位置は、これだけに限定されるわけではない。突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上であって間隙14の中心線14d上ではない位置、且つ間隙14の中心線14dから所定距離だけ離れた位置に存在すればよい。言い換えれば、突起部3aの配置周期が間隙14のパターンの配置周期の整数倍の位置に存在すればよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0091】
図17は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図17(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図17(b)は、図17(a)に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
【0092】
図17(a)および図17(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4d上ではない位置に存在する。
【0093】
さらに、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aの位置は、図17(a)および図17(b)に表した位置(例えば電極4の端部4eの位置)に限定されるわけではない。例えば、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4dに対して対称に位置に存在すれば、電極4の端部4eの位置ではなく、電極4の中心線4dと電極4の端部4eとの中間の位置に存在してもよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0094】
図18は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図18(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図18(b)は、図18(a)に表した切断面B−Bにおける断面模式図である。
【0095】
図18(a)および図18(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。
【0096】
さらに、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aの位置は、図18(a)および図18(b)に表した位置(例えば電極4の中心線4dの位置)に限定されるわけではない。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0097】
図19は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図19(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図19(b)は、図19(a)に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
【0098】
図19(a)および図19(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上でない位置に存在する。
【0099】
さらに、複数の突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aの位置は、間隙14の中心線14dと、間隙14の端部14e(図16参照)と、の中間の位置に限定されるわけではない。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0100】
なお、図18に関して前述した配置関係を有する突起部3aと、図19に関して前述した配置関係を有する突起部3aと、は、混在していてもよい。すなわち、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上および間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dに対して対称の位置に存在していてもよい。
【0101】
図20は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図20(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図20(b)は、図20(a)に表した切断面D−Dにおける断面模式図である。
【0102】
図20(a)および図20(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。
【0103】
さらに、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、複数の電極4(図20では5つの電極4)のうちの1つの電極4の中心線4dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に必ずしも存在していなくともよい。すなわち、複数の突起部3aは、複数の電極4のうちの1つの電極4の中心線4dに対して対称の位置に存在すれば、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影したときの間隙14の上に存在していてもよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0104】
図21は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
また、図22は、本実施形態の突起部を選択的に配置した断面模式図である。
なお、図21は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図22(a)は、突起部が電極4の中心線4d上に存在する場合を例示する断面模式図である。図22(b)は、最外周から2周目に配置された突起部が電極4の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置された場合を例示する断面模式図である。
【0105】
本発明者の検討の結果、相対的に大きい損傷を受けている突起部3aは、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部3aに比較的に多く含まれることが分かった。
また、図7および図8に関して前述したように、三相交流電圧の印加パターンが時間の経過に伴って切り替わることで、被吸着物20は、局所的に突起部3aから浮き上がったり突起部3aと当接したりするなどの振動をする。本発明者の検討の結果、被吸着物20の変位量は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの外周部においてより大きいことが分かった。
【0106】
これについて、図22(a)および図22(b)を参照しつつ説明する。図22(a)に表した交流駆動静電チャックでは、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4d上に存在する。このとき、図22(a)に表した第1相電極4aは、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周に配置された電極4であるとする。これに対して、図22(b)に表した交流駆動静電チャックでは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、最外周から2周目以外に配置された突起部3aは、電極4の中心線4d上に存在する。一方、最外周から2周目に配置された突起部3aは、電極4の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されている。このとき、図22(b)に表した第1相電極4aは、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周に配置された電極4であるとする。
【0107】
ここで、最外周の電極4(図22(a)および図22(b)では第1相電極4a)に電圧が印加されていない場合には、図22(a)および図22(b)に表した破線のように、被吸着物20は、最外周から2周目の電極4(図22(a)および図22(b)では第2相電極4b)上の突起部3aを起点としてそれぞれ変形する。このとき、図22(b)に表した交流駆動静電チャックでは、最外周から2周目に配置された突起部3aが電極4(第2相電極4b)の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されているため、図22(b)に表した被吸着物20の変位量h2は、図22(a)に表した被吸着物20の変位量h1よりも小さい。そのため、被吸着物20の外周部の変位量を低減するためには、最外周から2周目に配置された突起部3aは、外周方向寄りに配置されることがより好ましい。
【0108】
そこで、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1では、誘電体基板3の主面の外周部の近傍の突起部3aは、他の突起部3aの配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動させた位置に配置されている。例えば、図21に表したように、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目以外に配置された突起部3aは、電極4の中心線4d上に存在する。一方、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部3a2は、電極4の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されている。これによれば、本発明者の検討の結果、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部3a2の上に位置する被吸着物20の部分の変位を抑制できることが分かった。そのため、突起部3a、3a2の一部が局所的に損傷しやすい特異点を低減することができる。
【0109】
図23は、突起部の径を説明するための断面模式図である。
なお、図23(a)は、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部を表す断面模式図である。図23(b)は、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部を表す断面模式図である。
【0110】
例えば、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックがイオン注入を行う基板処理装置において使用される場合には、ビームが照射されるため、半導体ウェーハなどの被吸着物20が熱膨張するおそれがある。本発明者の検討の結果、被吸着物20が熱膨張すると、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aは、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aよりも削れやすいことが分かった。
【0111】
そこで、図23(a)および図23(b)に表したように、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1では、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aの径L4は、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aの径L3よりも大きい。あるいは、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aの径L4は、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aの径L3と略同一である。つまり、突起部3aの径は、誘電体基板3の主面の全体にわたって略同一である。
【0112】
なお、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの突起部3aの形状が円でない場合には、突起部3aの径とは、円相当直径をいうものとする。本願明細書において、「円相当直径」とは、対象とする平面形状の面積と同じ面積を有する円を想定し、その円の直径をいうものとする。例えば、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの突起部3aの形状が多角形である場合には、円相当直径は、その多角形の面積と同じ面積を有する円の直径を意味する。
【0113】
これによれば、被吸着物20が熱膨張した場合でも、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aが削れたり損傷を受けたりすることを抑制することができる。
【0114】
次に、本実施形態の電極のパターンの変形例について、図面を参照しつつ説明する。
図24は、本実施形態の電極のパターンの変形例を例示する平面模式図である。
なお、図24は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの交流駆動静電チャックを表す平面模式図である。これは、図25〜図32に関して後述する変形例についても、同様である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1cの電極4は、扇形を呈する。そして、扇形を呈する電極4が周方向に略均一に配置されている。
【0115】
図25は、本実施形態の電極のパターンの他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1dの電極4は、三角形を呈する。但し、誘電体基板3の主面の外周部に配置された電極4は、三角形ではなく、三角形のうちの一辺が誘電体基板3の外周の形状に倣った形状を呈する。そして、電極4が誘電体基板3の主面の全体にわたって略均一に配置されている。
【0116】
図26は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1eの電極4は、四角形を呈する。但し、誘電体基板3の主面の外周部に配置された電極4は、四角形ではなく、四角形あるいは三角形のうちの一辺が誘電体基板3の外周の形状に倣った形状を呈する。そして、電極4が誘電体基板3の主面の全体にわたって略均一に配置されている。
【0117】
図27は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1fの電極4は、扇形の一部の形状を呈する。そして、二点鎖線で表した扇形4fの内部における複数の電極4が1つの群を形成している。複数の電極4により群を形成された扇形4fは、周方向に略均一に配置されている。
【0118】
図28は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1gの電極4は、六角形を呈する。そして、電極4は、誘電体基板3の主面の全体にわたって例えばハニカム形状のように配置されている。
【0119】
図29は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1hの電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素は、略渦巻き状に配置されている。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1hでは、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。つまり、6極の電極4は、三対をなしている。そのため、本変形例にかかる交流駆動静電チャック1hの電極4には、三相交流電圧が印加される。
【0120】
図30は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iの電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素は、略同心円状に配置されている。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iでは、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。つまり、6極の電極4は、三対をなしている。そのため、本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iの電極4には、三相交流電圧が印加される。
【0121】
図31は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1jの電極4は、櫛歯状を呈する。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1jでは、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。そして、対をなす電極4は、一方の電極4の互いに隣り合う櫛歯同士の間に、他方の電極4の櫛歯が入り込むように配置されている。6極の電極4は、三対をなしている。そのため、本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iの電極4には、三相交流電圧が印加される。
【0122】
図32は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1kの電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素は、同心円状に配置されている。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1kでは、5極の電極4が設けられている。
【0123】
以上、図24〜図32を参照しつつ、本実施形態の電極4のパターンの変形例を例示した。これらの電極4のパターンにおいても、電極4と突起部3aとの配置関係が図4および図14〜図21に関して前述した配置関係を有することにより、図4および図14〜図21に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0124】
次に、本実施形態の電極4および突起部3aに関する主な数値について、図面を参照しつつ説明する。
図33は、電極幅と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図33に表した横軸は、電極4の電極幅を表す。図33に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。本願明細書において、「耐衝撃指数」は、「引張強度(引張り強さ)/衝撃応力(衝撃値)」で定義される。
【0125】
図7および図8に関して前述したように、被吸着物20は、交流電圧の印加パターンにより局所的に変位あるいは振動する。これにより、突起部3aは、損傷を受けるおそれがある。突起部3aが損傷を受ける度合は、例えば誘電体基板3の材料などに依存する。図1に関して前述したように、誘電体基板3は、例えば多結晶セラミックス焼結体により形成される。多結晶セラミックス焼結体としては、例えば、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム、炭化珪素などからなる多結晶セラミックス焼結体などを例示することができる。
【0126】
但し、誘電体基板3の材料は、これだけに限定されず、例えばシリコンラバーなどの高分子化合物や、例えばポリイミド(PI)などの樹脂などであってもよい。そこで、本発明者は、誘電体基板3の材料特有の数値で一元化して表現するために、前述した耐衝撃指数を定義した。誘電体基板3への衝撃は、より小さい方が好ましい。そのため、耐衝撃指数は、より低い方が好ましい。
【0127】
図33に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、電極4の電極幅は、約30mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、電極4の電極幅は、約20mm程度以下であることが好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、電極4の電極幅は、約10mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0128】
図34は、電極間隔と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図34に表した横軸は、隣り合う電極4同士の間隔を表す。隣り合う電極4同士の間隔とは、すなわち間隙14が延在する方向に対して垂直方向にみたときの間隙14の幅である。図34に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0129】
図34に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う電極4同士の間隔は、約10mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う電極4同士の間隔は、約6mm程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う電極4同士の間隔は、約2mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0130】
図35は、突起ピッチと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図35に表した横軸は、隣り合う突起部3a同士の中心間の間隔(ドットピッチ)を表す。図35に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0131】
図35に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う突起部3a同士の中心間の間隔は、約30mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う突起部3a同士の中心間の間隔は、約20mm程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、約10mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0132】
図36は、接触面積比と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図36に表した横軸は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに誘電体基板3の主面全体の面積に対する突起部3aの頂面の面積の比率(接触面積比)を表す。なお、誘電体基板3の外周部および図示しない貫通孔の周囲の少なくともいずれかにリング状の突起部が配設された場合には、突起部3aの頂面の面積は、リング状の突起部の頂面の面積を含むものとする。図36に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0133】
図36に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、接触面積比は、約70パーセント(%)程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、接触面積比は、約50%程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、接触面積比は、約10%程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0134】
図37は、突起径と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図37に表した横軸は、突起部3aの径を表す。図37に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0135】
誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの突起部3aの形状が円でない場合には、突起部3aの径とは、円相当直径をいうものとする。「円相当直径」とは、図23に関して前述した如くである。
【0136】
図37に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの径は、約φ20mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの径は、約φ10mm程度以下であることがより好ましい。さらに、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの径は、約φ2mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0137】
図38は、突起部の頂面の表面粗さと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図38に表した横軸は、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaを表す。なお、誘電体基板3の外周部および図示しない貫通孔の周囲の少なくともいずれかにリング状の突起部が配設された場合には、突起部3aの頂面は、リング状の突起部の頂面を含むものとする。図38に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0138】
図38に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaは、約1μm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaは、約0.7μm程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaは、約0.3μm程度以下であることがより好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0139】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、交流駆動静電チャック1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや突起部3aや電極4の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、電極4に印加される交流電圧の波形としては、例えば正弦波や矩形波などが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。電極4に印加される交流電圧の実効値や振幅や位相についても、特に限定されるわけではない。電極4に印加される交流電圧の周波数としては、例えば約0.1ヘルツ(Hz)〜500Hz程度が挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0140】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、1j、1k 交流駆動静電チャック、 2 基台、 3 誘電体基板、 3a 突起部、 3a1 頂面、 3a2 突起部、 3b 底面部、 3c 空間、 4 電極、 4a 第1相電極、 4b 第2相電極、 4c 第3相電極、 4d 中心線、 4e 端部、 4f 扇形、 5 絶縁体層、 6 接合層、 8 流路、 9 電線、 10a、10b 電源、 11 貫通孔、 14 間隙、 14d 中心線、 14e 端部、 20 被吸着物、 30 誘電体基板
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、交流駆動静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、イオン注入、アッシング、露光、検査などを行う基板処理装置において、被吸着物(半導体ウェーハやガラス基板など)を吸着保持する手段として静電チャックが用いられている。
ここで、静電チャックの載置面と被吸着物とが擦れ合うとパーティクルが発生するおそれがある。また、静電チャックの載置面と被吸着物との接触面積が大きくなると被吸着物の吸着脱離応答性が悪くなるおそれがある。
そのため、静電チャックの載置面側に突起部を設けることで接触面積を小さくし、パーティクル汚染の抑制と被吸着物の吸着脱離応答性の向上とを図る技術が知られている。
【0003】
一方、多相交流電圧を印加することにより、被吸着基板の離脱の際に除電の処理を必要とせず、被吸着基板の振動の無い静電チャック装置がある(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載された静電チャック装置では、多相電極と被吸着基板との間に交流電圧を印加するため、多相電極のうちのいずれかと被吸着基板との間の電圧がゼロとなる瞬間が存在する。これにともない、印加される電圧がゼロとなる電極の上に位置する被吸着基板の部分においては、吸着力が局所的にゼロとなる。そのため、被吸着基板が局所的に振動したり、被吸着基板と静電チャック装置の載置面とが局所的に擦れ合うおそれがあることが、本発明者の独自の検討の結果、判明した。
【0004】
これによれば、静電チャックの載置面側に突起部が設けられた場合には、突起部と被吸着基板とが局所的に擦れ合い、突起部の一部が局所的に損傷するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−332412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、載置面側に設けられた突起部の一部が局所的に損傷することを抑制することができる交流駆動静電チャックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、被吸着物を載置する側の主面に形成された突起部と、前記突起部の周辺に形成された底面部と、を有する誘電体基板と、前記誘電体基板に設けられた電極と、を備え、前記電極は、互いに離間して配設された複数の電極要素を含み、互いに異なる位相の交流電圧が前記複数の電極要素のそれぞれに印加可能とされ、前記突起部は、前記複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で前記主面上に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0008】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部が複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で誘電体基板の主面上に配置されたことで、被吸着物の変位を略均一化しつつ、その振動を制御することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0010】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0011】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上ではない位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0012】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0013】
また、第4の発明は、第2の発明において、前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0014】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0015】
また、第5の発明は、第3の発明において、前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0016】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0017】
また、第6の発明は、第4の発明において、複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0018】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0019】
また、第7の発明は、第5の発明において、複数の前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0020】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0021】
また、第8の発明は、第2の発明において、前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0022】
この交流駆動静電チャックによれば、被吸着物の振動をさらに抑制することができる。また、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0023】
また、第9の発明は、第2の発明において、前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0024】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0025】
また、第10の発明は、第3の発明において、前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0026】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0027】
また、第11の発明は、第1の発明において、前記主面の中央部に配置された隣り合う突起部同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う突起部同士の間隔よりも狭いことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0028】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部は、誘電体基板の主面の外周部よりも誘電体基板の主面の中央部において密集している。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0029】
また、第12の発明は、第1の発明において、前記主面の中央部に配置された隣り合う電極同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う電極同士の間隔よりも狭いことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0030】
この交流駆動静電チャックによれば、電極は、誘電体基板の主面の外周部よりも誘電体基板の主面の中央部において密集している。そのため、突起部は、誘電体基板の主面の外周部よりも誘電体基板の主面の中央部において密集する。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0031】
また、第13の発明は、第1の発明において、前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の全体の面積に対する中央部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率は、前記主面の全体の面積に対する外周部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率よりも高いことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0032】
この交流駆動静電チャックによれば、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部の被吸着物との接触面積は、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の被吸着物との接触面積よりも広い。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0033】
また、第14の発明は、第1の発明において、前記主面の外周部に配置された前記突起部の径は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の径と同一または前記主面の中央部に配置された前記突起部の径よりも大きいことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0034】
例えば、この交流駆動静電チャックがイオン注入を行う基板処理装置において使用される場合には、ビームが照射されるため、半導体ウェーハなどの被吸着物が熱膨張するおそれがある。被吸着物が熱膨張すると、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部は、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部よりも削れやすい。この交流駆動静電チャックによれば、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の径は、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部の径と同一または誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部の径よりも大きい。そのため、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部の一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0035】
また、第15の発明は、第9または第10の発明において、前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の外周部に配置された前記突起部は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0036】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷しやすい特異点を低減することができる。
【0037】
また、第16の発明は、第9または第10の発明において、前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部は、前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目以外に配置された突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャックである。
【0038】
この交流駆動静電チャックによれば、突起部の一部が局所的に損傷しやすい特異点を低減することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の態様によれば、載置面側に設けられた突起部の一部が局所的に損傷することを抑制することができる交流駆動静電チャックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態にかかる交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。
【図2】本実施形態にかかる交流駆動静電チャックの変形例を例示するための断面模式図である。
【図3】本実施形態の電極のパターンを例示する平面模式図である。
【図4】本実施形態の電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。
【図5】比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極のパターンを例示する平面模式図である。
【図6】比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。
【図7】突起部の局所的な損傷を説明するための平面模式図である。
【図8】突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図9】直流駆動静電チャックの突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図10】本実施形態にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。
【図11】図10に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
【図12】比較例にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。
【図13】図12に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
【図14】本実施形態の電極と突起部との他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図15】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図16】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図17】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図18】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図19】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図20】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図21】本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
【図22】本実施形態の突起部を選択的に配置した断面模式図である。
【図23】突起部の径を説明するための断面模式図である。
【図24】本実施形態の電極のパターンの変形例を例示する平面模式図である。
【図25】本実施形態の電極のパターンの他の変形例を例示する平面模式図である。
【図26】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図27】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図28】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図29】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図30】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図31】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図32】本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
【図33】電極幅と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図34】電極間隔と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図35】突起ピッチと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図36】接触面積比と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図37】突起径と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【図38】突起部の頂面の表面粗さと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。
なお、図1(a)は、交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。図1(b)は、図1(a)に表したA部の拡大模式図である。図1(c)は、接触式粗さ計を用いて図1(b)に表したB部を測定したグラフ図である。
【0042】
図1(a)および図1(b)に表したように、交流駆動静電チャック1は、基台2と、誘電体基板3と、電極4と、を備える。
【0043】
基台2の一方の主面(電極4の側の表面)には、無機材料からなる絶縁体層5が形成されている。また、誘電体基板3は、被吸着物を載置する側の主面(載置面側)に形成された突起部3aと、突起部3aの周辺に形成された底面部3bと、を有している。この突起部3aの頂面が、半導体ウェーハ等の被吸着物を載置する際に載置面となる。
また、電極4が設けられた誘電体基板3の主面と、絶縁体層5が設けられた基台2の主面と、が絶縁性接着剤で接着されている。この絶縁性接着剤が硬化したものが、接合層6となる。なお、図1(a)に表した交流駆動静電チャック1は、誘電体基板3と絶縁体層5とを接合した構造を有するが、図2で後述するように電極を誘電体基板に内蔵した構造を有していてもよい。
【0044】
ここで、本願明細書における「頂面」について説明する。
図1(c)に表したように、本願明細書における「頂面」とは、突起部3aの中心軸から振り分けにL2の長さの範囲内に有る部分をいう。ここで、L2は、突起部3aの底部の長さL1の80%の長さである。
突起部3aの頂面3a1は、例えば曲面を有している。頂面3a1の外側は、曲面であってもよいし、直線状の面であってもよい。
【0045】
電極4と、電源10aおよび電源10bと、は、電線9でそれぞれ接続されている。なお、電線9は、基台2を貫通するようにして設けられているが、電線9と基台2とは絶縁されている。図1に例示をした交流駆動静電チャック1は、正極、負極の電極を互いに隣接させるようにして誘電体基板3に形成させたいわゆる双極型静電チャックである。ただし、これだけに限定されるわけではなく、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1は、三極型、その他多極型であってもよい。また、電極の数、形状、配置も適宜変更することができる。これについては、後に詳述する。
【0046】
また、交流駆動静電チャック1を貫通するように貫通孔11が設けられている。貫通孔11の一端は、底面部3bに開口している。貫通孔11の他端は、図示しない圧力制御手段や流量制御手段を介して、図示しないガス供給手段と接続されている。図示しない冷却用気体のガス供給手段は、ヘリウムガスまたはアルゴンガスなどを供給する。そして、底面部3bを形成することで設けられた空間3cは、供給されたガスの通路となる。空間3c同士は、それぞれ連通し、供給されたガスが全体にいきわたるようになっている。
【0047】
また、半導体ウェーハ等の被吸着物を載置した際に被吸着物の外周部を支持する位置において、図示しないリング状の突起部が配設されていてもよい。これにより、前述したガスが漏出することを抑制することができる。また、前述したガス供給用の貫通孔11以外の貫通孔が設けられている場合には、その貫通孔の周囲に図示しないリング状の突起部が配設されていてもよい。これにより、前述したガスが漏出することを抑制することができる。
さらに、貫通孔11と連通する放射状や同心円状の図示しないガス分配溝(凹状の溝)を底面部3bに設けることができる。この様なガス分配溝を設けるようにすれば、ガス分配速度を早めることができる。
【0048】
基台2は、例えば、アルミニウム合金や銅などのような熱伝導率の高い金属により形成されている。そして、基台2の内部には、冷却液または加熱液の流れる流路8が設けられている。なお、流路8は必ずしも設けられていなくともよいが、被吸着物の温度制御の観点からは設けられていた方が好ましい。
【0049】
また、基台2の一方の主面に設けられた絶縁体層5は、例えば、アルミナ(Al2O3)やイットリア(Y2O3)等の多結晶体により形成されている。また、絶縁体層5の熱伝導率は、接合層6の熱伝導率よりも高いことが好ましい。この場合、絶縁体層5の熱伝導率は、2W/mK以上であることがより好ましい。そのようにすれば、接合層単独の場合よりも熱伝達性が良好となり、被吸着物の温度制御性と面内温度の均一性をより向上させることができる。
【0050】
接合層6の熱伝導率は、より高いことが好ましい。例えば、接合層6の熱伝導率は、1W/mK以上であることが好ましく、1.6W/mK以上であればより好ましい。このような熱伝導率は、例えば、シリコーンやエポキシ樹脂等にアルミナや窒化アルミニウムをフィラーとして添加することで得られる。また、添加の割合で熱伝導率を調整することもできる。
【0051】
接合層6の厚みは、熱伝達性を考慮すればできるだけ薄い方が好ましい。一方、基台2の熱膨張率と誘電体基板3の熱膨張率との差に起因する熱せん断応力により、接合層6が剥離することなどを考慮すれば、接合層6の厚みは、できるだけ厚い方が好ましい。そのため、接合層6の厚みは、これらを考慮して0.1mm以上、0.3mm以下であることが好ましい。
【0052】
誘電体基板3には、静電チャックに求められる様々な要求により種々の材料を用いることができる。この場合、熱伝導率、電気絶縁の信頼性を考慮すると、誘電体基板3は、多結晶セラミックス焼結体により形成されることが好ましい。多結晶セラミックス焼結体としては、例えば、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム、炭化珪素などからなる多結晶セラミックス焼結体などを例示することができる。
誘電体基板3の材料の体積抵抗率は、例えば、静電チャックの使用温度領域(例えば、室温(25℃程度))で108Ωcm以上である。
なお、本願明細書における体積抵抗率は、JIS規格(JIS C 2141:1992電気絶縁用セラミックス材料試験方法)に示される方法を用いて測定した値である。この場合の測定については、静電チャックの使用温度領域で行うことができる。
【0053】
電極4の材料としては、酸化チタン、チタンの単体あるいはチタンと酸化チタンの混合体、窒化チタン、炭化チタン、タングステン、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、金−白金合金などを例示することができる。
【0054】
図2は、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックの変形例を例示するための断面模式図である。
なお、図2(a)は、交流駆動静電チャックを例示するための断面模式図である。図2(b)は、図2(a)に表したF部の拡大模式図である。
【0055】
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1aにおいては、誘電体基板30の内部に電極4が埋め込まれている。つまり、誘電体基板30の内部に電極4が内蔵されている。
このような交流駆動静電チャック1aは、例えば、グリーンシート印刷積層法などを用いて製造される。
【0056】
例えば、まず、多結晶セラミックス成形体(例えば、多結晶アルミナ成形体)からなるグリーンシートに、タングステンペーストをスクリーン印刷することにより、電極4を形成する。その後、電極4を埋設するように、複数のグリーンシートを加圧積層し、焼成前の積層体を形成する。この積層体を所望の形状に切削加工し、所望の雰囲気中において焼成することにより、電極4が内部に埋設された誘電体基板30を製造することができる。
【0057】
図3は、本実施形態の電極のパターンを例示する平面模式図である。
また、図4は、本実施形態の電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。 また、図5は、比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極のパターンを例示する平面模式図である。
また、図6は、比較例にかかる交流駆動静電チャックの電極と突起部との配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図4(a)および図6(a)は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの交流駆動静電チャックを表す平面模式図である。図4(b)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図である。図6(b)は、図6(a)に表したD部の拡大模式図である。
【0058】
図3および図4(a)に表したように、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1は、複数の電極4を有する。言い換えれば、電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素のそれぞれは、互いに離間して配設されている。そのため、図4(b)に表したように、互いに隣り合う電極4同士の間には、電極4が配置されていない部分(間隙)14が存在する。そして、図3および図4(a)に表した交流駆動静電チャック1では、複数の電極要素は、略渦巻き状に配置されている。複数の電極要素のそれぞれには、互いに異なる位相の交流電圧を印加することができる。
【0059】
図3および図4(a)に表した交流駆動静電チャック1では、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。つまり、6極の電極4は、三対をなしている。そのため、図3および図4(a)に表したパターンを有する電極4には、三相交流電圧が印加される。例えば、任意の瞬間をみたときに、第1の対をなす電極4(第1相電極)には、正の極性の電圧が印加される。第2の対をなす電極4(第2相電極)には、負の極性の電圧が印加される。第3の対をなす電極4(第3相電極)には、電圧が印加されない。すなわち、第3の対をなす電極4に印加される電圧は、ゼロとなる。このような三相交流電圧の印加パターンが、時間の経過に伴って切り替わる。
【0060】
これに対して、図5および図6(a)に表したように、比較例にかかる交流駆動静電チャック1bでは、電極4が延在する方向に対して垂直方向にみたときの電極4の幅(以下、説明の便宜上「電極幅」という)は、図3および図4(a)に表した交流駆動静電チャック1の電極4の電極幅よりも広い。
比較例にかかる交流駆動静電チャック1bでは、図3および図4に関して前述した交流駆動静電チャック1と同様に、電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素のそれぞれは、互いに離間して配設されている。そのため、図6(b)に表したように、互いに隣り合う電極4同士の間には、間隙14が存在する。複数の電極要素のそれぞれには、互いに異なる位相の交流電圧を印加することができる。
【0061】
図6(a)および図6(b)に表したように、比較例にかかる交流駆動静電チャック1bでは、突起部3aは、誘電体基板3上の略全体にわたって略等間隔で略均一に配置されている。言い換えれば、突起部3aは、複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに応じることなく略等間隔で配置されている。つまり、突起部3aは、複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンとは無関係に略等間隔で配置されている。本発明者の検討の結果、このような場合には、突起部3aと被吸着物とが局所的に擦れ合い、突起部3aの一部が局所的に損傷するおそれがあることが分かった。これについて、図面を参照しつつさらに説明する。
【0062】
図7は、突起部の局所的な損傷を説明するための平面模式図である。
また、図8は、突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
また、図9は、直流駆動静電チャックの突起部を拡大して眺めた拡大模式図である。
なお、図7(a)は、第2相電極4bに印加される電圧がゼロの場合を例示する平面模式図である。図7(b)は、第3相電極4cに印加される電圧がゼロの場合を例示する平面模式図である。図7(a)および図7(b)では、基台2および絶縁体層5を省略している。また、図8(a)は、図7(a)に表したE部の拡大模式図である。図8(b)は、図7(b)に表したG部の拡大模式図である。
【0063】
まず、図9を参照しつつ、直流駆動静電チャックにおける被吸着物の作用について説明する。
直流駆動静電チャックにおいては、電極に直流電圧が印加されると、被吸着物20は、直流駆動静電チャックに吸着され保持される。このとき、被吸着物20は、突起部3aと接触する。続いて、電極に印加する直流電圧をゼロとすると、被吸着物20に作用していた吸着力が解除され、被吸着物20を直流駆動静電チャックから離脱させることができる。続いて、他の被吸着物20に対しても同様の動作が行われる。そのため、図9に表した矢印のように、被吸着物20と突起部3aとの当接あるいは衝突が繰り返され、被吸着物20と突起部3aとが振動することはほとんどない。そのため、突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合い、突起部3aの一部が局所的に損傷するおそれは少ない。
【0064】
これに対して、例えば吸着脱離応答性の向上などを図るために、交流駆動静電チャックが用いられる場合がある。図7(a)に表したように、例えば第1相電極4aおよび第3相電極4cに電圧が印加され、第2相電極4bには電圧が印加されていない任意の瞬間では、第1相電極4aおよび第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分は、吸着力により交流駆動静電チャック1に吸着され保持される。このとき、第1相電極4aおよび第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分は、突起部3aと接触する。
【0065】
一方で、図7(a)に表した任意の瞬間では、第2相電極4bには電圧が印加されていないため、第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分には、吸着力は作用しない。そのため、第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分は、供給ガスの影響で突起部3aの頂面(接触面)から浮き上がり、突起部3aから離れる方向へ変位する。このとき、図8(a)に表したように、突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合うことで、突起部3aが損傷を受けるおそれがある。
【0066】
続いて、三相交流電圧の印加パターンが時間の経過に伴って切り替わる。そして、図7(b)に表したように、例えば第1相電極4aおよび第2相電極4bに電圧が印加され、第3相電極4cには電圧が印加されていない任意の瞬間では、第1相電極4aおよび第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分は、吸着力により交流駆動静電チャック1に吸着され保持される。このとき、第1相電極4aおよび第2相電極4bの上に位置する被吸着物20の部分は、突起部3aと接触する。
【0067】
一方で、図7(b)に表した任意の瞬間では、第3相電極4cには電圧が印加されていないため、第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分には、吸着力は作用しない。そのため、第3相電極4cの上に位置する被吸着物20の部分は、突起部3aの頂面から浮き上がり、突起部3aから離れる方向へ変位する。このとき、図8(b)に表したように、図8(a)に関して前述した突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合う箇所とは異なる箇所において、突起部3aと被吸着物20とが局所的に擦れ合う。これにより、図8(a)に関して前述した突起部3aが損傷を受ける箇所とは異なる箇所において、突起部3aが損傷を受けるおそれがある。
【0068】
続いて、三相交流電圧の印加パターンが時間の経過に伴って順次切り替わり、図8(a)に関して前述した状態と、図8(b)に関して前述した状態と、が繰り返されると、突起部3aの一部が局所的に損傷するおそれがある。そうすると、図8(c)に表したように、局所的に損傷した突起部3aの一部が破損し、パーティクルが発生するおそれがある。つまり、被吸着物20と突起部3aとの衝突だけではなく、被吸着物20と突起部3aとの擦れ合いが繰り返し生ずると、突起部3aの一部が局所的に損傷し破損するおそれがある。
【0069】
本発明者の検討の結果、このような局所的な損傷は、互いに隣り合う電極4同士の境界部の近傍あるいは間隙14の近傍において比較的に発生しやすいことが分かった。また、電極4の電極幅がより広いと、前述した局所的な損傷が比較的に発生しやすいことが分かった。
【0070】
そこで、図4(a)および図4(b)に戻って説明すると、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1では、突起部3aは、複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに応じて所定の間隔で配置されている。「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに応じて」とは、例えば、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンを反映して」、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに沿って」、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに倣って」、「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンと整合して」、および「複数の電極要素の形状あるいは複数の電極要素のパターンに基づいて」の少なくともいずれかを含むものとする。これらについては、後に具体例を挙げて説明する。
【0071】
これによれば、突起部3aから離れる方向への被吸着物20の変位を略均一化しつつ、その振動を制御することができる。また、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0072】
図4(b)に表したように、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。また、図4(b)に表したように、複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有する。突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、複数の電極要素のそれぞれの部分の延在する方向に延びる中心線4d(以下、説明の便宜上「電極の中心線」という)上に存在する。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。また、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0073】
また、図4(a)に表したように、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに、誘電体基板3の主面の中央部に配置された隣り合う電極4同士の間隔は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された隣り合う電極4同士の間隔よりも狭い。言い換えれば、誘電体基板3の主面の中央部に配置された電極4の電極幅は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された電極4の電極幅よりも狭い。つまり、電極4は、誘電体基板3の主面の外周部よりも誘電体基板3の主面の中央部において密集している。
【0074】
そのため、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに、誘電体基板3の主面の中央部に配置された隣り合う突起部3a同士の間隔は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された隣り合う突起部3a同士の間隔よりも狭い。つまり、突起部3aは、誘電体基板3の主面の外周部よりも誘電体基板3の主面の中央部において密集している。そのため、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに、誘電体基板3の主面全体の面積に対する中央部に配置された突起部3aの頂面の面積の比率は、誘電体基板3の主面全体の面積に対する外周部に配置された突起部3aの頂面の面積の比率よりも高い。これによれば、同一面積で比較した場合において、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aの被吸着物20との接触面積(頂面の面積)は、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aの被吸着物20との接触面積(頂面の面積)よりも広い。なお、誘電体基板3の外周部および図示しない貫通孔の周囲の少なくともいずれかにリング状の突起部が配設された場合には、突起部3aの頂面の面積は、リング状の突起部の頂面の面積を含むものとする。
【0075】
図10は、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。 また、図11は、図10に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
また、図12は、比較例にかかる交流駆動静電チャックを用いて本発明者が実施した被吸着物の変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例を例示するグラフ図である。
また、図13は、図12に表した測定結果およびシミュレーション結果における測定位置およびデータ位置を表す平面模式図である。
【0076】
まず、図12および図13を参照しつつ、比較例にかかる交流駆動静電チャックにおける変位量の測定結果およびシミュレーション(CAE)結果の一例について説明する。図12に表したグラフ図の横軸は、測定位置および読み取ったデータ位置を表す。図12に表したグラフ図の縦軸は、被吸着物20の変位量を表す。
【0077】
本測定および本シミュレーションでは、空間3c(図1および図2参照)に供給するガスの圧力を20トル(Torr)に設定した。測定位置および読み取ったデータ位置は、図13に表した如くである。
【0078】
図12に表したグラフ図のように、位置a〜位置kのうちで位置aおよび位置bにおける被吸着物20の変位量が他の位置の変位量よりも大きい。試料(1)および試料(2)の交流駆動静電チャック1では、位置aおよび位置bにおける被吸着物20の変位量は、約6マイクロメートル(μm)〜7μm程度である。また、シミュレーションの交流駆動静電チャック1では、位置aおよび位置bにおける被吸着物20の変位量は、約4μm〜5μm程度である。
【0079】
一方、位置a〜位置kのうちで位置jおよび位置kにおける被吸着物20の変位量は、他の位置の変位量よりも小さい。図13に表したように、位置jおよび位置kは、電極4の電極幅が他の位置と比較すると狭い位置である。これにより、電極4の電極幅をより狭くすると、被吸着物20の変位量をより小さくできることが分かる。
【0080】
これに対して、図10および図11を参照しつつ、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックにおける変位量の測定結果およびシミュレーション結果の一例について説明する。図10に表したグラフ図の横軸は、測定位置および読み取ったデータ位置を表す。図10に表したグラフ図の縦軸は、被吸着物20の変位量を表す。
【0081】
本測定および本シミュレーションでは、1×10−3パスカル(Pa)に減圧したチャンバー内において、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1の上に12インチサイズの半導体ウェーハを載置した。空間3c(図1および図2参照)に供給するガスの圧力は、20Torrである。電極4に印加した交流電圧は、1000ボルト(V)である。このような条件下で、レーザ変位計を用いて、図11に表した測定位置における変位量を測定した。また、シミュレーションにおいては、図11に表した位置のデータを読み取った。
【0082】
図10に表したグラフ図のように、位置1〜16の全てにおける被吸着物20の変位量は、実測およびシミュレーションともに約0.2μm以下となった。つまり、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックでは、被吸着物20の変位量を抑制できることが分かった。
【0083】
図14は、本実施形態の電極と突起部との他の配置関係を例示する平面模式図である。 なお、図14は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。
【0084】
図14に表した配置関係では、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上でない位置に存在する。すなわち、突起部3aは、電極4を誘電体基板3の主面に投影したときの間隙14の上に存在する。また、図14に表したように、間隙14は、延在する部分を有する。突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の部分の延在する方向に延びる中心線14d(以下、説明の便宜上「間隙の中心線」という)上に存在する。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。また、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0085】
図15は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図15は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。
【0086】
図15に表した配置関係では、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4d上ではない位置に存在する。
【0087】
さらに、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4dと、電極4の端部4eと、の中間の位置に存在する。但し、突起部3aの位置は、これだけに限定されるわけではない。突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上であって電極4の中心線4d上ではない位置、且つ電極4の中心線4dから所定距離だけ離れた位置に存在すればよい。言い換えれば、突起部3aの配置周期が電極4のパターンの配置周期の整数倍の位置に存在すればよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0088】
図16は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図16は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。
【0089】
図16に表した配置関係では、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上でない位置に存在する。突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14d上ではない位置に存在する。
【0090】
さらに、突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dと、間隙14の端部14eと、の中間の位置に存在する。但し、突起部3aの位置は、これだけに限定されるわけではない。突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上であって間隙14の中心線14d上ではない位置、且つ間隙14の中心線14dから所定距離だけ離れた位置に存在すればよい。言い換えれば、突起部3aの配置周期が間隙14のパターンの配置周期の整数倍の位置に存在すればよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0091】
図17は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図17(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図17(b)は、図17(a)に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
【0092】
図17(a)および図17(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4d上ではない位置に存在する。
【0093】
さらに、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aの位置は、図17(a)および図17(b)に表した位置(例えば電極4の端部4eの位置)に限定されるわけではない。例えば、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4dに対して対称に位置に存在すれば、電極4の端部4eの位置ではなく、電極4の中心線4dと電極4の端部4eとの中間の位置に存在してもよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0094】
図18は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図18(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図18(b)は、図18(a)に表した切断面B−Bにおける断面模式図である。
【0095】
図18(a)および図18(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。
【0096】
さらに、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aの位置は、図18(a)および図18(b)に表した位置(例えば電極4の中心線4dの位置)に限定されるわけではない。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0097】
図19は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図19(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図19(b)は、図19(a)に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
【0098】
図19(a)および図19(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上でない位置に存在する。
【0099】
さらに、複数の突起部3aは、間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aの位置は、間隙14の中心線14dと、間隙14の端部14e(図16参照)と、の中間の位置に限定されるわけではない。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0100】
なお、図18に関して前述した配置関係を有する突起部3aと、図19に関して前述した配置関係を有する突起部3aと、は、混在していてもよい。すなわち、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上および間隙14を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、間隙14の中心線14dに対して対称の位置に存在していてもよい。
【0101】
図20は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
なお、図20(a)は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図20(b)は、図20(a)に表した切断面D−Dにおける断面模式図である。
【0102】
図20(a)および図20(b)に表した配置関係では、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に存在する。
【0103】
さらに、複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、複数の電極4(図20では5つの電極4)のうちの1つの電極4の中心線4dに対して対称の位置に存在する。複数の突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上に必ずしも存在していなくともよい。すなわち、複数の突起部3aは、複数の電極4のうちの1つの電極4の中心線4dに対して対称の位置に存在すれば、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影したときの間隙14の上に存在していてもよい。これにより、被吸着物20の変位量をさらに抑制することができる。
【0104】
図21は、本実施形態の電極と突起部とのさらに他の配置関係を例示する平面模式図である。
また、図22は、本実施形態の突起部を選択的に配置した断面模式図である。
なお、図21は、図4(a)に表したC部の拡大模式図に相当する。図22(a)は、突起部が電極4の中心線4d上に存在する場合を例示する断面模式図である。図22(b)は、最外周から2周目に配置された突起部が電極4の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置された場合を例示する断面模式図である。
【0105】
本発明者の検討の結果、相対的に大きい損傷を受けている突起部3aは、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部3aに比較的に多く含まれることが分かった。
また、図7および図8に関して前述したように、三相交流電圧の印加パターンが時間の経過に伴って切り替わることで、被吸着物20は、局所的に突起部3aから浮き上がったり突起部3aと当接したりするなどの振動をする。本発明者の検討の結果、被吸着物20の変位量は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの外周部においてより大きいことが分かった。
【0106】
これについて、図22(a)および図22(b)を参照しつつ説明する。図22(a)に表した交流駆動静電チャックでは、突起部3aは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、電極4の中心線4d上に存在する。このとき、図22(a)に表した第1相電極4aは、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周に配置された電極4であるとする。これに対して、図22(b)に表した交流駆動静電チャックでは、複数の電極要素を誘電体基板3の主面に投影した投影面の上において、最外周から2周目以外に配置された突起部3aは、電極4の中心線4d上に存在する。一方、最外周から2周目に配置された突起部3aは、電極4の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されている。このとき、図22(b)に表した第1相電極4aは、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周に配置された電極4であるとする。
【0107】
ここで、最外周の電極4(図22(a)および図22(b)では第1相電極4a)に電圧が印加されていない場合には、図22(a)および図22(b)に表した破線のように、被吸着物20は、最外周から2周目の電極4(図22(a)および図22(b)では第2相電極4b)上の突起部3aを起点としてそれぞれ変形する。このとき、図22(b)に表した交流駆動静電チャックでは、最外周から2周目に配置された突起部3aが電極4(第2相電極4b)の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されているため、図22(b)に表した被吸着物20の変位量h2は、図22(a)に表した被吸着物20の変位量h1よりも小さい。そのため、被吸着物20の外周部の変位量を低減するためには、最外周から2周目に配置された突起部3aは、外周方向寄りに配置されることがより好ましい。
【0108】
そこで、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1では、誘電体基板3の主面の外周部の近傍の突起部3aは、他の突起部3aの配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動させた位置に配置されている。例えば、図21に表したように、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目以外に配置された突起部3aは、電極4の中心線4d上に存在する。一方、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部3a2は、電極4の中心線4dよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されている。これによれば、本発明者の検討の結果、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部3a2の上に位置する被吸着物20の部分の変位を抑制できることが分かった。そのため、突起部3a、3a2の一部が局所的に損傷しやすい特異点を低減することができる。
【0109】
図23は、突起部の径を説明するための断面模式図である。
なお、図23(a)は、誘電体基板の主面の中央部に配置された突起部を表す断面模式図である。図23(b)は、誘電体基板の主面の外周部に配置された突起部を表す断面模式図である。
【0110】
例えば、本実施形態にかかる交流駆動静電チャックがイオン注入を行う基板処理装置において使用される場合には、ビームが照射されるため、半導体ウェーハなどの被吸着物20が熱膨張するおそれがある。本発明者の検討の結果、被吸着物20が熱膨張すると、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aは、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aよりも削れやすいことが分かった。
【0111】
そこで、図23(a)および図23(b)に表したように、本実施形態にかかる交流駆動静電チャック1では、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aの径L4は、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aの径L3よりも大きい。あるいは、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aの径L4は、誘電体基板3の主面の中央部に配置された突起部3aの径L3と略同一である。つまり、突起部3aの径は、誘電体基板3の主面の全体にわたって略同一である。
【0112】
なお、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの突起部3aの形状が円でない場合には、突起部3aの径とは、円相当直径をいうものとする。本願明細書において、「円相当直径」とは、対象とする平面形状の面積と同じ面積を有する円を想定し、その円の直径をいうものとする。例えば、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの突起部3aの形状が多角形である場合には、円相当直径は、その多角形の面積と同じ面積を有する円の直径を意味する。
【0113】
これによれば、被吸着物20が熱膨張した場合でも、誘電体基板3の主面の外周部に配置された突起部3aが削れたり損傷を受けたりすることを抑制することができる。
【0114】
次に、本実施形態の電極のパターンの変形例について、図面を参照しつつ説明する。
図24は、本実施形態の電極のパターンの変形例を例示する平面模式図である。
なお、図24は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの交流駆動静電チャックを表す平面模式図である。これは、図25〜図32に関して後述する変形例についても、同様である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1cの電極4は、扇形を呈する。そして、扇形を呈する電極4が周方向に略均一に配置されている。
【0115】
図25は、本実施形態の電極のパターンの他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1dの電極4は、三角形を呈する。但し、誘電体基板3の主面の外周部に配置された電極4は、三角形ではなく、三角形のうちの一辺が誘電体基板3の外周の形状に倣った形状を呈する。そして、電極4が誘電体基板3の主面の全体にわたって略均一に配置されている。
【0116】
図26は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1eの電極4は、四角形を呈する。但し、誘電体基板3の主面の外周部に配置された電極4は、四角形ではなく、四角形あるいは三角形のうちの一辺が誘電体基板3の外周の形状に倣った形状を呈する。そして、電極4が誘電体基板3の主面の全体にわたって略均一に配置されている。
【0117】
図27は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1fの電極4は、扇形の一部の形状を呈する。そして、二点鎖線で表した扇形4fの内部における複数の電極4が1つの群を形成している。複数の電極4により群を形成された扇形4fは、周方向に略均一に配置されている。
【0118】
図28は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1gの電極4は、六角形を呈する。そして、電極4は、誘電体基板3の主面の全体にわたって例えばハニカム形状のように配置されている。
【0119】
図29は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1hの電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素は、略渦巻き状に配置されている。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1hでは、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。つまり、6極の電極4は、三対をなしている。そのため、本変形例にかかる交流駆動静電チャック1hの電極4には、三相交流電圧が印加される。
【0120】
図30は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iの電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素は、略同心円状に配置されている。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iでは、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。つまり、6極の電極4は、三対をなしている。そのため、本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iの電極4には、三相交流電圧が印加される。
【0121】
図31は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1jの電極4は、櫛歯状を呈する。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1jでは、6極の電極4が設けられている。そして、6極のうちの2極ずつの電極4が対をなしている。そして、対をなす電極4は、一方の電極4の互いに隣り合う櫛歯同士の間に、他方の電極4の櫛歯が入り込むように配置されている。6極の電極4は、三対をなしている。そのため、本変形例にかかる交流駆動静電チャック1iの電極4には、三相交流電圧が印加される。
【0122】
図32は、本実施形態の電極のパターンのさらに他の変形例を例示する平面模式図である。
本変形例にかかる交流駆動静電チャック1kの電極4は、複数の電極要素を含む。複数の電極要素は、同心円状に配置されている。本変形例にかかる交流駆動静電チャック1kでは、5極の電極4が設けられている。
【0123】
以上、図24〜図32を参照しつつ、本実施形態の電極4のパターンの変形例を例示した。これらの電極4のパターンにおいても、電極4と突起部3aとの配置関係が図4および図14〜図21に関して前述した配置関係を有することにより、図4および図14〜図21に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0124】
次に、本実施形態の電極4および突起部3aに関する主な数値について、図面を参照しつつ説明する。
図33は、電極幅と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図33に表した横軸は、電極4の電極幅を表す。図33に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。本願明細書において、「耐衝撃指数」は、「引張強度(引張り強さ)/衝撃応力(衝撃値)」で定義される。
【0125】
図7および図8に関して前述したように、被吸着物20は、交流電圧の印加パターンにより局所的に変位あるいは振動する。これにより、突起部3aは、損傷を受けるおそれがある。突起部3aが損傷を受ける度合は、例えば誘電体基板3の材料などに依存する。図1に関して前述したように、誘電体基板3は、例えば多結晶セラミックス焼結体により形成される。多結晶セラミックス焼結体としては、例えば、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム、炭化珪素などからなる多結晶セラミックス焼結体などを例示することができる。
【0126】
但し、誘電体基板3の材料は、これだけに限定されず、例えばシリコンラバーなどの高分子化合物や、例えばポリイミド(PI)などの樹脂などであってもよい。そこで、本発明者は、誘電体基板3の材料特有の数値で一元化して表現するために、前述した耐衝撃指数を定義した。誘電体基板3への衝撃は、より小さい方が好ましい。そのため、耐衝撃指数は、より低い方が好ましい。
【0127】
図33に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、電極4の電極幅は、約30mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、電極4の電極幅は、約20mm程度以下であることが好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、電極4の電極幅は、約10mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0128】
図34は、電極間隔と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図34に表した横軸は、隣り合う電極4同士の間隔を表す。隣り合う電極4同士の間隔とは、すなわち間隙14が延在する方向に対して垂直方向にみたときの間隙14の幅である。図34に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0129】
図34に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う電極4同士の間隔は、約10mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う電極4同士の間隔は、約6mm程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う電極4同士の間隔は、約2mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0130】
図35は、突起ピッチと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図35に表した横軸は、隣り合う突起部3a同士の中心間の間隔(ドットピッチ)を表す。図35に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0131】
図35に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う突起部3a同士の中心間の間隔は、約30mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、隣り合う突起部3a同士の中心間の間隔は、約20mm程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、約10mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0132】
図36は、接触面積比と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図36に表した横軸は、誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときに誘電体基板3の主面全体の面積に対する突起部3aの頂面の面積の比率(接触面積比)を表す。なお、誘電体基板3の外周部および図示しない貫通孔の周囲の少なくともいずれかにリング状の突起部が配設された場合には、突起部3aの頂面の面積は、リング状の突起部の頂面の面積を含むものとする。図36に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0133】
図36に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、接触面積比は、約70パーセント(%)程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、接触面積比は、約50%程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、接触面積比は、約10%程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0134】
図37は、突起径と耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図37に表した横軸は、突起部3aの径を表す。図37に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0135】
誘電体基板3の主面に対して垂直にみたときの突起部3aの形状が円でない場合には、突起部3aの径とは、円相当直径をいうものとする。「円相当直径」とは、図23に関して前述した如くである。
【0136】
図37に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの径は、約φ20mm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの径は、約φ10mm程度以下であることがより好ましい。さらに、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの径は、約φ2mm程度以下であることがさらに好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0137】
図38は、突起部の頂面の表面粗さと耐衝撃指数との関係の一例を例示するグラフ図である。
図38に表した横軸は、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaを表す。なお、誘電体基板3の外周部および図示しない貫通孔の周囲の少なくともいずれかにリング状の突起部が配設された場合には、突起部3aの頂面は、リング状の突起部の頂面を含むものとする。図38に表した縦軸は、誘電体基板3の耐衝撃指数を表す。耐衝撃指数は、図33に関して前述した如くである。
【0138】
図38に表したように、高分子化合物の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaは、約1μm程度以下であることが好ましい。また、樹脂の耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaは、約0.7μm程度以下であることがより好ましい。また、アルミナの耐衝撃指数を考慮すると、突起部3aの頂面の算術平均粗さRaは、約0.3μm程度以下であることがより好ましい。これらによれば、突起部3aの一部が局所的に損傷することを防止することができる。
【0139】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、交流駆動静電チャック1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや突起部3aや電極4の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、電極4に印加される交流電圧の波形としては、例えば正弦波や矩形波などが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。電極4に印加される交流電圧の実効値や振幅や位相についても、特に限定されるわけではない。電極4に印加される交流電圧の周波数としては、例えば約0.1ヘルツ(Hz)〜500Hz程度が挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0140】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、1j、1k 交流駆動静電チャック、 2 基台、 3 誘電体基板、 3a 突起部、 3a1 頂面、 3a2 突起部、 3b 底面部、 3c 空間、 4 電極、 4a 第1相電極、 4b 第2相電極、 4c 第3相電極、 4d 中心線、 4e 端部、 4f 扇形、 5 絶縁体層、 6 接合層、 8 流路、 9 電線、 10a、10b 電源、 11 貫通孔、 14 間隙、 14d 中心線、 14e 端部、 20 被吸着物、 30 誘電体基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吸着物を載置する側の主面に形成された突起部と、前記突起部の周辺に形成された底面部と、を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板に設けられた電極と、
を備え、
前記電極は、互いに離間して配設された複数の電極要素を含み、
互いに異なる位相の交流電圧が前記複数の電極要素のそれぞれに印加可能とされ、
前記突起部は、前記複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で前記主面上に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャック。
【請求項2】
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上に存在することを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項3】
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上ではない位置に存在することを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項4】
前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする請求項2記載の交流駆動静電チャック。
【請求項5】
前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする請求項3記載の交流駆動静電チャック。
【請求項6】
複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする請求項4記載の交流駆動静電チャック。
【請求項7】
複数の前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする請求項5記載の交流駆動静電チャック。
【請求項8】
前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、
複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする請求項2記載の交流駆動静電チャック。
【請求項9】
前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする請求項2記載の交流駆動静電チャック。
【請求項10】
前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする請求項3記載の交流駆動静電チャック。
【請求項11】
前記主面の中央部に配置された隣り合う突起部同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う突起部同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項12】
前記主面の中央部に配置された隣り合う電極同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う電極同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項13】
前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の全体の面積に対する中央部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率は、前記主面の全体の面積に対する外周部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率よりも高いことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項14】
前記主面の外周部に配置された前記突起部の径は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の径と同一または前記主面の中央部に配置された前記突起部の径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項15】
前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の外周部に配置された前記突起部は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする請求項9または10に記載の交流駆動静電チャック。
【請求項16】
前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部は、前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目以外に配置された突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする請求項9または10に記載の交流駆動静電チャック。
【請求項1】
被吸着物を載置する側の主面に形成された突起部と、前記突起部の周辺に形成された底面部と、を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板に設けられた電極と、
を備え、
前記電極は、互いに離間して配設された複数の電極要素を含み、
互いに異なる位相の交流電圧が前記複数の電極要素のそれぞれに印加可能とされ、
前記突起部は、前記複数の電極要素の形状に応じて所定の間隔で前記主面上に配置されたことを特徴とする交流駆動静電チャック。
【請求項2】
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上に存在することを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項3】
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上ではない位置に存在することを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項4】
前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする請求項2記載の交流駆動静電チャック。
【請求項5】
前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上ではない位置に存在することを特徴とする請求項3記載の交流駆動静電チャック。
【請求項6】
複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする請求項4記載の交流駆動静電チャック。
【請求項7】
複数の前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする請求項5記載の交流駆動静電チャック。
【請求項8】
前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、
複数の前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線に対して対称の位置に存在することを特徴とする請求項2記載の交流駆動静電チャック。
【請求項9】
前記複数の電極要素のそれぞれは、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記複数の電極要素を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする請求項2記載の交流駆動静電チャック。
【請求項10】
前記複数の電極要素のうちの隣接する電極要素のあいだに設けられた間隙は、延在する部分を有し、
前記突起部は、前記間隙を前記主面に投影した投影面の上において、前記部分の前記延在する方向に延びる中心線の上に存在することを特徴とする請求項3記載の交流駆動静電チャック。
【請求項11】
前記主面の中央部に配置された隣り合う突起部同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う突起部同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項12】
前記主面の中央部に配置された隣り合う電極同士の間隔は、前記主面の外周部に配置された隣り合う電極同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項13】
前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の全体の面積に対する中央部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率は、前記主面の全体の面積に対する外周部に配置された前記突起部の頂面の面積の比率よりも高いことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項14】
前記主面の外周部に配置された前記突起部の径は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の径と同一または前記主面の中央部に配置された前記突起部の径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の交流駆動静電チャック。
【請求項15】
前記主面に対して垂直にみたときに、前記主面の外周部に配置された前記突起部は、前記主面の中央部に配置された前記突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする請求項9または10に記載の交流駆動静電チャック。
【請求項16】
前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目に配置された突起部は、前記主面に対して垂直にみたときに最外周から2周目以外に配置された突起部の配置パターンよりも外周方向へ選択的に移動した位置に配置されたことを特徴とする請求項9または10に記載の交流駆動静電チャック。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図1】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図1】
【公開番号】特開2013−84935(P2013−84935A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207606(P2012−207606)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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