説明

交通信号システム

【課題】 信号制御装置と信号灯器とを接続する配線数を著しく低減させることができ、配線ミスによる交通の危険性を回避することのできる交通信号システムを提供する。
【解決手段】 交差点に設置される複数の信号灯器1と、これら各信号灯器1に設置され各信号灯器1の点灯制御を行う管理装置3と、これら各管理装置3に点灯指令を発信して各信号灯器1の点灯制御を行う信号制御装置4と、信号制御装置4と各管理装置3とを直列に接続する伝送ケーブル5とを備え、信号制御装置4は、伝送ケーブル5を介して各管理装置3を指定する宛先ノード情報6と、各管理装置3に対する各点灯指令情報7とを重畳的に発信するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通信号システムに係り、特に、信号制御装置と複数の信号灯器との配線数を低減させて、接続ミスによる異常な信号現示を防止することを可能とした交通信号システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路の交差点に設置された信号灯器の点灯制御を行う交通信号システムが用いられている。
そして、このような交通信号システムは、信号制御装置を備えており、この信号制御装置から、各信号灯器に対して各色の点灯信号線を個別に接続することにより、点灯制御を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−273096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の交通信号システムにおいては、各信号灯器に対して各色の点灯信号線を個別に接続させて制御信号を送るシステムであるため、例えば、交差点でみた場合、1方向の車両に対する信号灯器について赤色、黄色、青色の各色の信号線とコモン線とが必要となり、最低でも8本の信号線が必要となってしまう。
【0004】
しかも、これに歩行者用信号機が加わった場合、さらに信号線の数が増加することとなる。
【0005】
その結果、各信号灯器についての配線作業が極めて面倒となり、しかも、配線を誤った場合、危険な信号現示を表示することとなり、交通の安全性が損なわれてしまうという問題を有している。
【0006】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、信号制御装置と信号灯器とを接続する配線数を著しく低減させることができ、配線ミスによる交通の危険性を回避することのできる交通信号システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、交差点に設置される複数の信号灯器と、これら各信号灯器に設置され前記各信号灯器の点灯制御を行う管理装置と、これら各管理装置に点灯指令を発信して各信号灯器の点灯制御を行う信号制御装置と、前記信号制御装置と前記各管理装置とを直列に接続する伝送ケーブルと、を備え、
前記信号制御装置は、前記伝送ケーブルを介して前記各管理装置を指定する宛先ノード情報と、前記各管理装置に対する各点灯指令情報とを重畳的に発信するものであることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記管理装置は、前記信号制御装置から送られる信号を受けたときに、前記信号制御装置に対して、前記管理装置を指定する発信ノード情報と、前記管理装置による点灯確認情報とを重畳的に返信するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、信号制御装置と各管理装置とを伝送ケーブルにより直列に接続し、この伝送ケーブルを介して信号制御装置から各管理装置に宛先ノード情報と、点灯指令情報とを重畳的に発信することにより、各管理装置による点灯制御を行うようにしているので、配線数を著しく低減させることができ、その結果、配線ミスを確実に防止することができ、配線ミスによる交通の危険性を回避することが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、管理装置により、信号制御装置から送られる信号を受けたときに、信号制御装置に対して、管理装置を指定する発信ノード情報と、管理装置による点灯確認情報とを重畳的に返信するようにしているので、各管理装置から送られる返信情報に基づいて各信号灯器の点灯状態を常に把握することができ、点灯異常が発生直ちに認識して、交通の安全を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明に係る交通信号システムの実施形態を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、本発明に係る交通信号システムは、道路の交差点に設置された複数の信号灯器1,1…を備えている。これら各信号灯器1には、各信号灯器1の赤色、青色、黄色の各ランプ2の点灯または点滅を制御するための管理装置3,3…がそれぞれ搭載されており、また、この管理装置3には、信号灯器1を特定するためのアドレスがあらかじめ設定されている。
【0014】
また、交通信号システムは、各信号灯器1の管理装置3に制御信号を送る信号制御装置4を備えており、信号制御装置4には、各信号灯器1の管理装置3が、例えば、2芯の伝送ケーブル5を介して直列に接続されている。
【0015】
信号制御装置4は、図2に示すように、所定の信号制御信号に応じて、各信号灯器1の管理装置3に、いずれの管理装置3の信号灯器1を点灯させるかを特定するアドレスを指定するための宛先ノード情報6、信号灯器1の各ランプ2の点灯指令情報7、および、例えば、現在指令中の点灯信号の経過時間や残り時間などの付加情報8を重畳的に発信するように構成されている。この信号制御装置4から発信される点灯指令情報7は、例えば、赤色点滅は「000」、赤色点灯は「001」、黄色点滅は「111」、黄色点灯は「010」、青色点滅は「110」、青色点灯は「100」というように2進数のデータとして送信されるように構成されている。
【0016】
また、管理装置3は、信号制御装置4から出力される信号を受信し、宛先ノード情報6により自己の管理装置3が指定されている場合は、宛先ノード情報6に連続して送られる点灯指令情報7に基づいて信号灯器1の赤色、青色、黄色の各ランプ2の点灯または点滅を制御するように構成されている。このとき、指令を受けた管理装置3は、信号制御装置4を指定するための宛先ノード情報9、自己の管理装置3のアドレスを示す発信ノード情報10、現在点灯している信号の点灯確認情報11、および、例えば、交差点に設置される車両センサや歩行者センサの情報などの付加情報12を重畳的に返信するように構成されている。
【0017】
一方、信号制御装置4から発信された宛先ノード情報6により自己の管理装置3が指定されていない場合は、信号制御装置4から送られる情報を次の信号灯器1の管理装置3にそのまま送信するように構成されている。
【0018】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0019】
本実施形態においては、所定の信号制御信号に応じて、伝送ケーブル5を介して各信号灯器1の管理装置3に、宛先ノード情報6、点灯指令情報7および付加情報8を重畳的に発信する。
【0020】
管理装置3が信号制御装置4から出力される信号を受信すると、宛先ノード情報6により自己の管理装置3が指定されている場合は、宛先ノード情報6に連続して送られる点灯指令情報7に基づいて信号灯器1の赤色、青色、黄色の各ランプ2の点灯または点滅を制御する。
そして、指令を受けた管理装置3は、宛先ノード情報9、発信ノード情報10、点灯確認情報11および付加情報12を重畳的に返信する。
【0021】
また、信号制御装置4から発信された宛先ノード情報6により自己の管理装置3が指定されていない場合は、信号制御装置4から送られる情報を次の信号灯器1の管理装置3にそのまま送信する。次の信号灯器1においても、同様に、自己の管理装置3が指定されている場合は、点灯指令情報7に基づいて信号灯器1の赤色、青色、黄色の各ランプ2の点灯または点滅を制御するとともに、宛先ノード情報9、発信ノード情報10、点灯確認情報11および付加情報12を重畳的に返信する。
【0022】
このように制御することにより、1本の伝送ケーブル5を用いて、複数の信号灯器1の点灯制御を行うことが可能となり、しかも、各信号灯器1から送られる返信情報に基づいて各信号灯器1の点灯状態を常に把握することが可能となる。
そのため、交差する道路の両方向の信号灯器1がともに青色を点灯してしまういわゆるG−G異常の発生を直ちに認識することができ、G−G異常が発生した場合には、信号制御装置4により赤色の点灯指令情報7を発信することで、信号灯器1のG−G異常に迅速に対応することが可能となる。
【0023】
したがって、本実施形態においては、信号制御装置4と各管理装置3とを1本の伝送ケーブル5により直列に接続し、この伝送ケーブル5を介して信号制御装置4から各管理装置3に宛先ノード情報6と、点灯指令情報7とを重畳的に発信することにより、各管理装置3による点灯制御を行うようにしているので、配線数を著しく低減させることができ、その結果、配線ミスを確実に防止することができ、配線ミスによる交通の危険性を回避することが可能となる。
【0024】
しかも、各管理装置3により信号制御装置4に対して宛先ノード情報9、発信ノード情報10、点灯確認情報11を重畳的に返信するようにしているので、各管理装置3から送られる返信情報に基づいて各信号灯器1の点灯状態を常に把握することができ、点灯異常が発生直ちに認識して、交通の安全を確保することができる。
【0025】
なお、前記実施形態においては、信号制御装置4から各管理装置3に対して直接複数の情報を重畳的に発信するようにしたが、一般の信号制御装置4のように重畳的な信号の発信を行う機能を有していない信号制御装置4においては、一般の制御信号から宛先ノード情報6や各信号灯器1に対する点灯指令信号を生成して各管理装置3に出力する信号変換装置を設けるようにしてもよい。このように構成することで、一般の信号制御装置4を用いて本発明の機能を持たせることが可能となる。
【0026】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る交通信号システムの実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る交通信号システムにおける伝送信号の概略を示す概略図である。
【符号の説明】
【0028】
1 信号灯器
2 ランプ
3 管理装置
4 信号制御装置
5 伝送ケーブル
6,9 宛先ノード情報
7 点灯指令情報
8,12 付加情報
10 発信ノード情報
11 点灯確認情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に設置される複数の信号灯器と、
これら各信号灯器に設置され前記各信号灯器の点灯制御を行う管理装置と、
これら各管理装置に点灯指令を発信して各信号灯器の点灯制御を行う信号制御装置と、
前記信号制御装置と前記各管理装置とを直列に接続する伝送ケーブルと、を備え、
前記信号制御装置は、前記伝送ケーブルを介して前記各管理装置を指定する宛先ノード情報と、前記各管理装置に対する各点灯指令情報とを重畳的に発信するものであることを特徴とする交通信号システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記信号制御装置から送られる信号を受けたときに、前記信号制御装置に対して、前記管理装置を指定する発信ノード情報と、前記管理装置による点灯確認情報とを重畳的に返信するものであることを特徴とする請求項1に記載の交通信号システム。

【図1】
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【図2】
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