交通信号制御機
【課題】閃光信号の異常を未然に判定することができる交通信号制御機を提供する。
【解決手段】閃光回路30は、各信号灯器1を閃光表示させるための閃光信号を制御部10及び切替回路20へ出力する。判定部11は、閃光回路30が出力する閃光信号及び記憶部12に記憶した閃光状態情報に基づいて、閃光信号の正常/異常を判定する。制御部10は、判定部11で閃光信号が異常であると判定した場合、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を切替回路20へ出力する。切替回路20は、制御部10が出力した切替信号に基づいて、制御部10が出力する灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光部が出力する閃光信号に切り替える。
【解決手段】閃光回路30は、各信号灯器1を閃光表示させるための閃光信号を制御部10及び切替回路20へ出力する。判定部11は、閃光回路30が出力する閃光信号及び記憶部12に記憶した閃光状態情報に基づいて、閃光信号の正常/異常を判定する。制御部10は、判定部11で閃光信号が異常であると判定した場合、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を切替回路20へ出力する。切替回路20は、制御部10が出力した切替信号に基づいて、制御部10が出力する灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光部が出力する閃光信号に切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号制御機は、ステップ(階梯)毎に各信号灯器の灯色を定めた灯色情報、各灯色の表示時間などを含む現示データに基づいて、各信号灯器の灯色を切り替える(特許文献1参照)。そして、交通信号制御機は、自身の状態が正常であるか否かを監視している。交通信号制御機は、予め定められた現示データに基づいて、信号灯器の正常な3色灯色(赤、黄、青)での灯色制御ができないと判定した場合には、閃光回路からの閃光信号に基づいて、信号灯器を閃光表示(例えば、黄色点滅と赤色点滅の組み合わせ、赤色点滅など)することにより、車両又は歩行者に対して注意を促し、交通事故を未然に防止している。
【0003】
図11は従来の交通信号制御機200の構成例を示すブロック図である。図11に示すように、交通信号制御機200は、現示データ203に基づいて各信号灯器1の灯色を制御するため灯色信号を出力する制御部201、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有するインタフェース部202、正常な灯色制御ができない場合に閃光表示を行うための閃光信号を出力する閃光回路205、制御部201が灯色信号を出力した場合には当該灯色信号を後述の灯色出力回路206へ出力し、閃光回路205が閃光信号を出力した場合には当該閃光信号を灯色出力回路206へ出力する選択回路204、灯色信号又は閃光信号に基づいて各信号灯器1を駆動する灯色出力回路206などを備えている。
【0004】
交通信号制御機200は、通常(正常時)の動作では、選択回路204を介して制御部201は灯色信号(例えば、赤、黄、青、青矢など)を灯色出力回路206へ出力し、閃光回路205の動作は停止している。交通信号制御機200の異常時、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器の灯色が青になる同時青表示状態には、制御部201からの灯色信号の出力を停止し、選択回路204を介して閃光回路205は閃光信号を灯色出力回路206へ出力することにより、各信号灯器1を閃光表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−111395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の交通信号制御機200では、通常動作時には、閃光回路205の動作を停止している。何らかの原因で交通信号制御機200に異常が生じ、閃光回路205の動作を開始させて各信号灯器1を閃光表示させようとした場合に、閃光回路205が故障していたときは、各信号灯器1を正しく閃光表示させることができず、滅灯(すべての信号灯器1が消灯した状態)、あるいは交差する道路の信号灯器1が同時青表示状態などに陥る可能性があった。また、交通信号制御機200は、通常は連続運転が行われているため、保守点検のための時間を確保することも非常に困難であった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、閃光信号の異常を未然に判定することができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る交通信号制御機は、信号灯器の灯色を切り替えるための灯色信号を出力して灯色を制御する制御部を備える交通信号制御機において、信号灯器を閃光表示させるための閃光信号を出力する閃光部と、所定の閃光表示を示す閃光状態情報を記憶する記憶部と、前記閃光部が出力する閃光信号及び前記記憶部に記憶した閃光状態情報に基づいて、前記閃光信号の正常/異常を判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る交通信号制御機は、第1発明において、前記制御部は、前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る交通信号制御機は、第1発明又は第2発明において、前記制御部が出力する灯色信号又は前記閃光部が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて前記信号灯器へ出力させるための切替部を備え、前記制御部は、前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を前記切替部へ出力し、前記切替部は、前記切替信号に基づいて前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれかに切り替えるように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る交通信号制御機は、第3発明において、前記制御部は、前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を前記切替部へ出力するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る交通信号制御機は、第3発明又は第4発明において、前記制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る交通信号制御機は、第3発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期の二値化信号を出力し、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として前記第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る交通信号制御機は、第6発明において、前記第2の周期は、前記第1の周期より短いことを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る交通信号制御機は、第6発明又は第7発明において、前記切替部は、前記第1又は第2の周期の二値化信号を取得しない場合、前記信号灯器を所定表示すべく所定表示信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る交通信号制御機は、第3発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を出力し、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベル又はローレベルのいずれかの信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第10発明に係る交通信号制御機は、第3発明乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器へ出力する灯色出力部を備え、前記判定部は、前記制御部が、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、前記灯色出力部が出力する灯色出力に基づいて、前記切替部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係る交通信号制御機は、第1発明乃至第10発明のいずれか1つにおいて、前記閃光信号の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする。
【0019】
第1発明にあっては、信号灯器を閃光表示させるための閃光信号を出力する閃光部と、所定の閃光表示を示す閃光状態情報を記憶する記憶部と、閃光部が出力する閃光信号及び記憶部に記憶した閃光状態情報に基づいて、閃光信号の正常/異常を判定する判定部とを備える。所定の閃光表示は、正常な閃光表示であり、交差する道路に対応する信号灯器それぞれの灯色を、例えば、黄色点滅と赤色点滅とを組み合わせて表示する場合、あるいは全ての信号灯器の灯色を赤色点滅させて表示する場合などがある。判定部は、閃光部が出力した閃光信号と記憶部に記憶した閃光状態情報を比較して、閃光部が出力した閃光信号が所定の閃光表示であるか否かに応じて、閃光信号の正常又は異常(例えば、閃光部の正常又は異常)を判定する。例えば、閃光部が出力した閃光信号が、各信号灯器に対して所定の灯色でない場合、あるいは灯色の周期又は表示時間が所定の周期又は表示時間でない場合、判定部は閃光信号が異常であると判定する。
【0020】
制御部が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、閃光部に閃光信号を出力させるとともに、当該閃光信号を閃光状態情報と比較することにより、交通信号制御機の通常運用中に閃光信号の正常/異常を判定して、例えば、閃光部の異常を未然に判定することができる。
【0021】
第2発明にあっては、制御部は、判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力する。この場合、制御部は、閃光表示を行うための灯色信号を出力する。これにより、閃光信号が異常であると判定された場合に、例えば、閃光部からの閃光信号に代えて、制御部が閃光信号としての灯色信号を出力するので、所定の閃光表示を行うことができなくなる事態を回避することができる。
【0022】
第3発明にあっては、制御部が出力する灯色信号又は閃光部が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて信号灯器へ出力させるための切替部を備える。制御部は、灯色信号又は閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を切替部へ出力する。切替部は、制御部が出力した切替信号に基づいて、制御部が出力した灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光部が出力した閃光信号に切り替える。切替回路を備えることにより、閃光部が出力する閃光信号が信号灯器へ出力されることを防止できるので、例えば、閃光部は常時閃光信号を出力することもでき、所要のタイミングで出力することもできる。すなわち、交通信号制御機の通常運用時に閃光部から閃光信号を出力することができ、閃光信号の正常/異常を交通信号制御機の通常運用時に判定することができる。
【0023】
第4発明にあっては、制御部は、判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を切替部へ出力する。これにより、閃光信号(例えば、閃光部)が異常である場合でも、制御部が出力する灯色信号により信号灯器を確実に閃光表示させることができる。
【0024】
第5発明にあっては、制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力する。これにより、切替部は、切替信号の波形の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0025】
第6発明にあっては、制御部は、制御部が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力し、閃光部が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力する。例えば、切替部が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1と異なる周期にすることにより、周期の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0026】
第7発明にあっては、制御部は、制御部が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力し、閃光部が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期より短い第2の周期(例えば、周期T2、T2<T1)の二値化信号を出力する。例えば、切替部が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1より短くすることにより、周期が短くなりサンプリングに要する時間を短くすることができ、短時間で閃光信号に切り替えることができる。
【0027】
第8発明にあっては、切替部は、第1の周期の二値化信号又は第2の周期の二値化信号を取得しない場合、すなわち切替信号を取得できない場合、信号灯器を所定表示すべく所定表示信号を出力する。所定表示は、閃光表示でもよく、あるいは滅灯でもよい。これにより、制御部又は制御部から切替部までの信号経路に異常が生じ切替信号を取得することができない事態が発生した場合でも、信号灯器の灯色が通常(正常)の表示状態ではないことを車両又は歩行者に対して促すことができ、交通事故を未然に防止することができる。
【0028】
第9発明にあっては、制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を出力し、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベル又はローレベルのいずれかの信号を出力する。これにより、制御部又は制御部から切替部までの信号経路に異常(例えば、短絡故障又は開放故障)が生じた場合でも、切替部は、閃光部が出力する閃光信号へ切り替えることができる。また、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を必要としないので、回路構成を簡略化することができる。
【0029】
第10発明にあっては、灯色出力部は、灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器へ出力する。灯色出力は、灯色信号又は閃光信号をAC100Vなどの所定の電圧に変換したものである。判定部は、制御部が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力部が出力する灯色出力に基づいて、切替部の正常/異常を判定する。例えば、制御部が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力部が出力する灯色出力が閃光表示でないときは、切替部が異常であると判定する。これにより、切替部の正常/異常を判定することができる。
【0030】
第11発明にあっては、閃光信号(例えば、閃光部)の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備える。通知部は、例えば、通信回線を使用して外部の上位装置へ閃光信号の異常を通知することができ、あるいは交通信号制御機に備えられた表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、閃光信号(例えば、閃光部)の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、制御部が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、閃光部に閃光信号を出力させるとともに、当該閃光信号を閃光状態情報と比較することにより、交通信号制御機の通常運用中に閃光信号の正常/異常を判定して、例えば、閃光部の異常を未然に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態に係る交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】正常な閃光表示の第1例を示す説明図である。
【図3】正常な閃光表示の第2例を示す説明図である。
【図4】閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の一例を示す説明図である。
【図5】閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の他の例を示す説明図である。
【図6】切替信号の第1例を示すタイムチャートである。
【図7】切替信号の第2例を示すタイムチャートである。
【図8】切替信号の第3例を示すタイムチャートである。
【図9】本実施の形態の交通信号制御機の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態の交通信号制御機の切替回路の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】従来の交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る交通信号制御機の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通信号制御機100の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機100は、制御部10、切替回路20、閃光回路30、灯色出力回路40、インタフェース部50、通知部60、現示データ70などを備える。また、制御部10は、判定部11、記憶部12などを備える。
【0034】
制御部10は、現示データ70に基づいて、各信号灯器1の灯色を切り替えるための灯色信号を切替回路20へ出力して、各信号灯器1の灯色を制御する。現示データ70は、例えば、ステップ毎の各灯色の状態(点灯又は消灯)を示す灯色情報、灯色の順序、各ステップの基準表示秒数(基準表示時間)、最短表示秒数(最短表示時間)、最長表示秒数(最長表示時間)、階梯種別(例えば、長階梯、中階梯、短階梯などの区分を示す)、保安秒数、動作設定などの各情報を含む。
【0035】
閃光回路30は、各信号灯器1を閃光表示させるための閃光信号を制御部10及び切替回路20へ出力する閃光部としての機能を有する。
【0036】
図2は正常な閃光表示の第1例を示す説明図である。図2の例は、黄点滅赤点滅の場合を示す。例えば主道路と従道路とが交差している場合、主道路に対する信号灯器1を黄点滅させるとともに、従道路に対する信号灯器1を赤点滅させる。すなわち、図2に示すように、主道路に対する信号灯器1が黄点灯し、従道路に対する信号灯器1が消灯している状態を状態1とする。また、主道路に対する信号灯器1が消灯し、従道路に対する信号灯器1が赤点灯している状態を状態2とすると、状態1、2を所定の周期Tで繰り返す(状態1、2が共にT/2)ことで閃光表示させることができる。すなわち、状態1と状態2の比率は、例えば、50%:50%である。周期Tは、例えば、1秒であり、許容誤差は、例えば、±0.2秒とすることができる。
【0037】
図3は正常な閃光表示の第2例を示す説明図である。図3の例は、赤点滅赤点滅の場合を示す。例えば主道路と従道路とが交差している場合、主道路に対する信号灯器1を赤点滅させるとともに、従道路に対する信号灯器1を赤点滅させる。すなわち、図3に示すように、主道路に対する信号灯器1が赤点灯し、従道路に対する信号灯器1が消灯している状態を状態3とする。また、主道路に対する信号灯器1が消灯し、従道路に対する信号灯器1が赤点灯している状態を状態4とすると、状態3、4を所定の周期Tで繰り返す(状態1、2が共にT/2)ことで閃光表示させることができる。すなわち、状態3と状態4の比率は、例えば、50%:50%である。周期Tは、例えば、1秒であり、許容誤差は、例えば、±0.2秒とすることができる。
【0038】
閃光回路30は、交通信号制御機100が通常動作を行っている場合、すなわち、制御部10が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、常時閃光信号を出力する。なお、所要のタイミングで、閃光信号の出力を休止する休止期間を設けて離散的に閃光信号を出力することもできる。なお、通常運用を行っているときは、後述するように、切替回路20は閃光回路30からの閃光信号に切り替えず、制御部10からの灯色信号に切り替えて灯色出力回路40へ出力するので、信号灯器1は閃光表示をしない。
【0039】
記憶部12は、所定の閃光表示(例えば、図2、図3で示す正常な閃光表示)を示す閃光状態情報を記憶する。閃光状態情報は、例えば、信号灯器1毎の灯色(例えば、黄色及び赤色の点灯(オン)及び消灯(オフ)など)の組み合わせを示すパターン情報である。
【0040】
判定部11は、閃光回路30が出力する閃光信号及び記憶部12に記憶した閃光状態情報に基づいて、閃光信号の正常/異常を判定する。
【0041】
例えば、閃光信号が図2又は図3で示す閃光表示と異なる場合には、異常と判定することができる。具体的には、閃光信号が、各信号灯器1が滅灯している状態(各信号灯器1に対して出力がない状態)、主道路及び従道路に対する信号灯器1がすべて黄点滅である状態、主道路に対する信号灯器1が赤点滅で従道路に対する信号灯器1が黄点滅である状態、信号灯器1が黄点滅ではなく黄点灯している状態、主道路及び従道路に対する信号灯器1がすべて赤点灯している状態などを示す場合である。なお、正常な閃光表示として、図2、図3と異なる閃光表示を定めた場合には、当該閃光表示は異常な場合から除外する。
【0042】
以下、閃光信号と記憶部12に記憶した閃光状態情報とが一致するか否かの判定方法について具体的に説明する。
【0043】
図4は閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の一例を示す説明図である。なお、図4は図2の例に対応し、黄点滅赤点滅の場合を示す。閃光信号は、灯色が切り替わるタイミング(例えば、t、t+T/2など)の灯色、状態番号などを含む。また、閃光状態情報は、状態1、2における主灯色(主道路側で点灯している灯色)、従灯色(従道路側で点灯している灯色)を含む。
【0044】
判定部11は、閃光信号に含まれる灯色がオンか否かの切り替わりタイミング時刻tにおける閃光信号に含まれる状態番号を確認する。状態番号が1である場合、判定部11は、閃光信号に含まれる主道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の主灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる主道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の主灯色が消灯となっているか否か)、同時に閃光信号に含まれる従道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の従灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる従道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の従灯色が消灯となっているか否か)を判定する。
【0045】
閃光信号に含まれる灯色がオンか否かの切り替わりタイミング時刻tにおける閃光信号に含まれる状態番号が状態2である場合、判定部11は、閃光信号に含まれる主道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の主灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる主道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の主灯色が消灯となっているか否か)、同時に閃光信号に含まれる従道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の従灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる従道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の従灯色が消灯となっているか否か)を判定する。
【0046】
次に、判定部11は、時刻t+T/2における閃光信号に含まれる状態番号を確認する。そして、確認した状態番号に応じて、上述の時刻tの場合と同様に判定する。時刻t、及び時刻t+T/2における判定で、灯色がすべて一致した場合、閃光信号が正常であると判定し、一致しない場合、閃光信号が異常であると判定する。
【0047】
また、灯色の周期、表示時間については、閃光信号を短い間隔でサンプリングし、サンプリング値に含まれる灯色のオンとオフの切り替わりタイミングから次の切り替わりタイミングまでの時間差と、記憶部12に記憶された閃光状態情報に含まれる表示時間(不図示)とが一致するかを判定し、灯色のオンからオフへの切り替わりタイミング(又はオフからオンへの切り替わりタイミング)から次のオンからオフへの切り替わりタイミング(又はオフからオンへの切り替わりタイミング)までの時間差と、記憶部12に記憶された閃光状態情報に含まれる周期(不図示)とが一致するか否かを判定する。
【0048】
図5は閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の他の例を示す説明図である。なお、図5は図3の例に対応し、赤点滅赤点滅の場合を示す。閃光信号は、灯色が切り替わるタイミング(例えば、t、t+T/2など)の灯色、状態番号などを含む。また、閃光状態情報は、状態3、4における主灯色(主道路側で点灯している灯色)、従灯色(従道路側で点灯している灯色)を含む。なお、判定方法は図4の例と同様である。
【0049】
制御部10が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、閃光回路30に閃光信号を出力させるとともに、判定部11で閃光信号と閃光状態情報とを比較することにより、交通信号制御機100の通常運用中に閃光信号の正常/異常を判定して、例えば、閃光回路30の異常を未然に判定することができる。
【0050】
制御部10は、判定部11で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力する。この場合、制御部10は、閃光表示を行うための灯色信号を出力する。すなわち、制御部10が出力する灯色信号は閃光信号として機能する。これにより、閃光信号が異常であると判定された場合に、例えば、閃光回路30からの閃光信号に代えて、制御部10が閃光信号としての灯色信号を出力するので、所定の(正常な)閃光表示ができなくなるという事態を回避することができる。
【0051】
切替回路20は、制御部10が出力する灯色信号(閃光表示としての灯色信号も含む)又は閃光回路30が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて灯色出力回路40へ出力させるための切替部としての機能を有する。なお、本実施の形態において、切替部は、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号が伝送される切替信号線を含むものとする。また、制御部10は、灯色信号又は閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を切替回路20へ出力する。
【0052】
切替回路20は、制御部10が出力した切替信号に基づいて、制御部10が出力する灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光部が出力する閃光信号に切り替える。切替回路20を備えることにより、閃光回路30が出力する閃光信号が灯色出力回路40及び信号灯器1へ出力されることを防止できるので、例えば、閃光回路30は常時閃光信号を出力することもでき、所要のタイミングで出力することもできる。すなわち、交通信号制御機100の通常運用時に閃光回路30から閃光信号を出力することができ、閃光信号の正常/異常を交通信号制御機100の通常運用時に判定することができる。
【0053】
また、従来の交通信号制御機200では、閃光信号を出力する際、制御部201からの灯色信号の出力を停止させる必要があったが、そもそも閃光信号を出力するのは制御部201が異常な場合であり、制御部201からの灯色信号の出力を確実に停止させられる保証がない。本実施の形態の交通信号制御機100では、制御部10からの灯色信号の出力の有無に関わらず確実に閃光信号の出力に切り替えられるという効果がある。
【0054】
制御部10は、判定部11で閃光信号が異常であると判定した場合、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を切替回路20へ出力する。これにより、閃光信号(例えば、閃光回路30など)が異常である場合でも、制御部10が出力する灯色信号により信号灯器1を確実に閃光表示させることができる。
【0055】
制御部10は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力する。異なる波形とは、例えば、同一周期でも時間経過に伴う波高値が異なる場合、例えば、一方が矩形状のパルス波形であり、他方が三角波である場合、あるいは双方の波形が同一でも周期が異なる場合などを含む。異なる波形とすることにより、切替回路20は、切替信号の波形の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0056】
また、制御部10は、制御部10が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力し、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力する。例えば、切替回路20が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に(あるいは、周期又は半周期の複数倍の間に)複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1と異なる周期にすることにより、周期の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0057】
図6は切替信号の第1例を示すタイムチャートである。図6において、上段の切替信号は、制御部10からの灯色信号(閃光信号としての灯色信号も含む)に切り替えることを指定するものであり、下段の切替信号は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えることを指定するものである。
【0058】
図6に示すように、制御部10は、制御部10が出力する灯色信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力する。また、制御部10は、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号として第1の周期より短い第2の周期(例えば、周期T2、T2<T1)の二値化信号を出力する。
【0059】
例えば、切替回路20が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1より短くすることにより、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号と判定するのに要する時間を短くすることができ、短時間で閃光信号に切り替えることができる。
【0060】
例えば、2×(T2)の間に(T2)/10の間隔で20回二値化信号をサンプリングして、オンとオフがそれぞれ連続して5回ずつ計測された場合には閃光信号に切り替え、オン又はオフが連続して5回よりも多く計測された場合には灯色信号に切り替えると判定する。また、立ち上がり時点を計測して、その時点からT2の間に(T2)/10の間隔で10回二値化信号をサンプリングして、オンが連続して5回、オフが連続して5回計測された場合には閃光信号に切り替え、オンが連続して5回よりも多く計測された場合には灯色信号に切り替えると判定してもよい。
【0061】
また、切替回路20は、第1の周期T1の二値化信号又は第2の周期T2の二値化信号を取得しない場合、すなわち切替信号を取得できない場合、信号灯器1を所定表示すべく所定表示信号を出力することもできる。所定表示は、閃光表示でもよく、あるいは滅灯でもよい。これにより、制御部10又は制御部10から切替回路20までの信号経路に異常が生じ切替信号を取得することができない事態が発生した場合でも、信号灯器1の灯色が通常(正常)の表示状態ではないことを車両又は歩行者に対して促すことができ、交通事故を未然に防止することができる。
【0062】
図7は切替信号の第2例を示すタイムチャートである。図7において、上段の切替信号は、制御部10からの灯色信号(閃光信号としての灯色信号も含む)に切り替えることを指定するものであり、下段の切替信号は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えることを指定するものである。
【0063】
図7に示すように、制御部10は、制御部10が出力する灯色信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号として二値化信号を出力する。また、制御部10は、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号としてハイレベルの信号を出力する。これにより、制御部10又は制御部10から切替回路20までの信号経路に異常(例えば、短絡故障又は開放故障)が生じた場合でも、切替回路20は、閃光回路30が出力する閃光信号へ切り替えることができる。また、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を必要としないので、回路構成を簡略化することができる。
【0064】
例えば、T1の間に(T1)/10の間隔で10回二値化信号をサンプリングして、オンとオフがそれぞれ連続して5回ずつ計測された場合には閃光信号に切り替え、それ以外の場合には灯色信号に切り替えると判定する。
【0065】
図8は切替信号の第3例を示すタイムチャートである。図7に示す例との違いは、制御部10は、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号としてローレベルの信号を出力する。これにより、図7の例と同様に、制御部10又は制御部10から切替回路20までの信号経路に異常(例えば、短絡故障又は開放故障)が生じた場合でも、切替回路20は、閃光回路30が出力する閃光信号へ切り替えることができる。また、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を必要としないので、回路構成を簡略化することができる。
【0066】
例えば、T1の間に(T1)/10の間隔で10回二値化信号をサンプリングして、オンとオフがそれぞれ連続して5回ずつ計測された場合には閃光信号に切り替え、それ以外の場合には灯色信号に切り替えると判定する。
【0067】
図6〜図8の例の他に、制御部10が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベルの信号を出力し、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてローレベルの信号を出力してもよい。あるいは逆に、制御部10が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号としてローレベルの信号を出力し、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベルの信号を出力してもよい。パルス状の二値化信号を切替信号としないことにより、回路構成が一層簡素化される。
【0068】
灯色出力回路40は、切替回路20から出力された灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器1及び制御部10へ出力する。灯色出力は、灯色信号又は閃光信号をAC100Vなどの所定の電圧に変換したものであり、信号灯器1のランプ又はLED(発光ダイオード)を点灯させる。
【0069】
判定部11は、制御部10が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力回路40が出力する灯色出力に基づいて、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号線などの正常/異常を判定する。例えば、制御部10が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力回路40が出力する灯色出力が閃光表示でないときは、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号線などが異常であると判定する。これにより、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号線などの正常/異常を判定することができる。
【0070】
インタフェース部50は、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有する。
【0071】
通知部60は、LEDなどの表示部を備え、閃光信号(例えば、閃光回路30など)の異常を示す異常情報を外部へ通知する。通知部60は、例えば、インタフェース部50を介して、通信回線を使用して外部の上位装置300へ閃光信号の異常を通知することができる。また、通知部60は、表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、閃光信号(例えば、閃光回路30)の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【0072】
次に、本実施の形態の交通信号制御機100の動作について説明する。図9は本実施の形態の交通信号制御機100の制御部10の処理手順を示すフローチャートである。制御部10は、閃光回路30から閃光信号を取得し(S11)、閃光信号が所定の閃光信号であるか否か、すなわち閃光信号が正常であるか否かを判定する(S12)。
【0073】
閃光信号が正常でない場合(S12でNO)、制御部10は、閃光回路30が異常であると判定する(S13)。なお、閃光信号が正常でない場合、閃光回路30が異常である場合の他に、閃光回路30と制御部10との間の信号線の異常なども考えられるので、閃光回路30の異常は、閃光回路30だけの異常に限定されるものではない。
【0074】
制御部10は、自身が出力する閃光信号としての灯色信号に切り替えるための切替信号を切替回路20へ出力し(S14)、閃光信号としての灯色信号を出力し(S15)、処理を終了する。
【0075】
閃光回路30から取得した閃光信号が正常である場合(S12でYES)、制御部10は、閃光回路30は正常であると判定する(S16)。
【0076】
制御部10は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えるか否かを判定する(S17)。ステップS17の処理は、例えば、制御部10自身が自己診断を行い、閃光表示を閃光回路30で処理した方がよいかどうかを判定するものである。
【0077】
閃光回路30からの閃光信号に切り替えると判定した場合(S17でYES)、制御部10は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えるための切替信号を出力し(S18)、処理を終了する。
【0078】
閃光回路30からの閃光信号に切り替えないと判定した場合(S17でNO)、制御部10は、自身が出力する閃光信号としての灯色信号に切り替えるための切替信号を切替回路20へ出力し(S19)、正常な3色灯色信号を出力し(S20)、処理を終了する。
【0079】
図10は本実施の形態の交通信号制御機100の切替回路20の処理手順を示すフローチャートである。切替回路20は、制御部10から切替信号を取得し(S31)、取得した切替信号が、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える切替信号であるか否かを判定する(S32)。
【0080】
閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える切替信号である場合(S32でYES)、切替回路20は、閃光回路30からの閃光信号を灯色出力回路40へ出力し(S33)、処理を終了する。
【0081】
閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える切替信号でない場合(S32でNO)、切替回路20は、制御部10が出力する灯色信号に切り替える切替信号であるか否かを判定し(S34)、灯色信号に切り替える切替信号である場合(S34でYES)、制御部10からの閃光信号としての灯色信号を灯色出力回路40へ出力し(S35)、処理を終了する。
【0082】
灯色信号に切り替える切替信号でない場合(S34でNO)、切替回路20は、切替回路自身から所定の表示信号を出力し(S36)、処理を終了する。所定の表示信号は、例えば、閃光表示でもよく、あるいは滅灯でもよい。
【0083】
上述の実施の形態において、閃光信号が異常と判定された場合、異常と判定した日時等を記録することもできる。また、閃光信号が正常であると判定した日時を記録してもよい。閃光信号の正常又は異常を記録することにより、閃光回路などの故障の要因を特定する情報として活用することができる。
【0084】
上述の実施の形態では、主道路と従道路とが交差する交差点を例として説明したが、主道路と従道路が交差する交差点に限定されるものではなく、どのような形態の交差点でも、本実施の形態の交通信号制御機100を適用することができる。
【0085】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
10 制御部
11 判定部
12 記憶部
20 切替回路(切替部)
30 閃光回路(閃光部)
40 灯色出力回路
50 インタフェース部
60 通知部
70 現示データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号制御機は、ステップ(階梯)毎に各信号灯器の灯色を定めた灯色情報、各灯色の表示時間などを含む現示データに基づいて、各信号灯器の灯色を切り替える(特許文献1参照)。そして、交通信号制御機は、自身の状態が正常であるか否かを監視している。交通信号制御機は、予め定められた現示データに基づいて、信号灯器の正常な3色灯色(赤、黄、青)での灯色制御ができないと判定した場合には、閃光回路からの閃光信号に基づいて、信号灯器を閃光表示(例えば、黄色点滅と赤色点滅の組み合わせ、赤色点滅など)することにより、車両又は歩行者に対して注意を促し、交通事故を未然に防止している。
【0003】
図11は従来の交通信号制御機200の構成例を示すブロック図である。図11に示すように、交通信号制御機200は、現示データ203に基づいて各信号灯器1の灯色を制御するため灯色信号を出力する制御部201、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有するインタフェース部202、正常な灯色制御ができない場合に閃光表示を行うための閃光信号を出力する閃光回路205、制御部201が灯色信号を出力した場合には当該灯色信号を後述の灯色出力回路206へ出力し、閃光回路205が閃光信号を出力した場合には当該閃光信号を灯色出力回路206へ出力する選択回路204、灯色信号又は閃光信号に基づいて各信号灯器1を駆動する灯色出力回路206などを備えている。
【0004】
交通信号制御機200は、通常(正常時)の動作では、選択回路204を介して制御部201は灯色信号(例えば、赤、黄、青、青矢など)を灯色出力回路206へ出力し、閃光回路205の動作は停止している。交通信号制御機200の異常時、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器の灯色が青になる同時青表示状態には、制御部201からの灯色信号の出力を停止し、選択回路204を介して閃光回路205は閃光信号を灯色出力回路206へ出力することにより、各信号灯器1を閃光表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−111395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の交通信号制御機200では、通常動作時には、閃光回路205の動作を停止している。何らかの原因で交通信号制御機200に異常が生じ、閃光回路205の動作を開始させて各信号灯器1を閃光表示させようとした場合に、閃光回路205が故障していたときは、各信号灯器1を正しく閃光表示させることができず、滅灯(すべての信号灯器1が消灯した状態)、あるいは交差する道路の信号灯器1が同時青表示状態などに陥る可能性があった。また、交通信号制御機200は、通常は連続運転が行われているため、保守点検のための時間を確保することも非常に困難であった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、閃光信号の異常を未然に判定することができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る交通信号制御機は、信号灯器の灯色を切り替えるための灯色信号を出力して灯色を制御する制御部を備える交通信号制御機において、信号灯器を閃光表示させるための閃光信号を出力する閃光部と、所定の閃光表示を示す閃光状態情報を記憶する記憶部と、前記閃光部が出力する閃光信号及び前記記憶部に記憶した閃光状態情報に基づいて、前記閃光信号の正常/異常を判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る交通信号制御機は、第1発明において、前記制御部は、前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る交通信号制御機は、第1発明又は第2発明において、前記制御部が出力する灯色信号又は前記閃光部が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて前記信号灯器へ出力させるための切替部を備え、前記制御部は、前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を前記切替部へ出力し、前記切替部は、前記切替信号に基づいて前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれかに切り替えるように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る交通信号制御機は、第3発明において、前記制御部は、前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を前記切替部へ出力するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る交通信号制御機は、第3発明又は第4発明において、前記制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る交通信号制御機は、第3発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期の二値化信号を出力し、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として前記第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る交通信号制御機は、第6発明において、前記第2の周期は、前記第1の周期より短いことを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る交通信号制御機は、第6発明又は第7発明において、前記切替部は、前記第1又は第2の周期の二値化信号を取得しない場合、前記信号灯器を所定表示すべく所定表示信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る交通信号制御機は、第3発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を出力し、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベル又はローレベルのいずれかの信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第10発明に係る交通信号制御機は、第3発明乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器へ出力する灯色出力部を備え、前記判定部は、前記制御部が、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、前記灯色出力部が出力する灯色出力に基づいて、前記切替部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係る交通信号制御機は、第1発明乃至第10発明のいずれか1つにおいて、前記閃光信号の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする。
【0019】
第1発明にあっては、信号灯器を閃光表示させるための閃光信号を出力する閃光部と、所定の閃光表示を示す閃光状態情報を記憶する記憶部と、閃光部が出力する閃光信号及び記憶部に記憶した閃光状態情報に基づいて、閃光信号の正常/異常を判定する判定部とを備える。所定の閃光表示は、正常な閃光表示であり、交差する道路に対応する信号灯器それぞれの灯色を、例えば、黄色点滅と赤色点滅とを組み合わせて表示する場合、あるいは全ての信号灯器の灯色を赤色点滅させて表示する場合などがある。判定部は、閃光部が出力した閃光信号と記憶部に記憶した閃光状態情報を比較して、閃光部が出力した閃光信号が所定の閃光表示であるか否かに応じて、閃光信号の正常又は異常(例えば、閃光部の正常又は異常)を判定する。例えば、閃光部が出力した閃光信号が、各信号灯器に対して所定の灯色でない場合、あるいは灯色の周期又は表示時間が所定の周期又は表示時間でない場合、判定部は閃光信号が異常であると判定する。
【0020】
制御部が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、閃光部に閃光信号を出力させるとともに、当該閃光信号を閃光状態情報と比較することにより、交通信号制御機の通常運用中に閃光信号の正常/異常を判定して、例えば、閃光部の異常を未然に判定することができる。
【0021】
第2発明にあっては、制御部は、判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力する。この場合、制御部は、閃光表示を行うための灯色信号を出力する。これにより、閃光信号が異常であると判定された場合に、例えば、閃光部からの閃光信号に代えて、制御部が閃光信号としての灯色信号を出力するので、所定の閃光表示を行うことができなくなる事態を回避することができる。
【0022】
第3発明にあっては、制御部が出力する灯色信号又は閃光部が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて信号灯器へ出力させるための切替部を備える。制御部は、灯色信号又は閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を切替部へ出力する。切替部は、制御部が出力した切替信号に基づいて、制御部が出力した灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光部が出力した閃光信号に切り替える。切替回路を備えることにより、閃光部が出力する閃光信号が信号灯器へ出力されることを防止できるので、例えば、閃光部は常時閃光信号を出力することもでき、所要のタイミングで出力することもできる。すなわち、交通信号制御機の通常運用時に閃光部から閃光信号を出力することができ、閃光信号の正常/異常を交通信号制御機の通常運用時に判定することができる。
【0023】
第4発明にあっては、制御部は、判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を切替部へ出力する。これにより、閃光信号(例えば、閃光部)が異常である場合でも、制御部が出力する灯色信号により信号灯器を確実に閃光表示させることができる。
【0024】
第5発明にあっては、制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力する。これにより、切替部は、切替信号の波形の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0025】
第6発明にあっては、制御部は、制御部が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力し、閃光部が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力する。例えば、切替部が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1と異なる周期にすることにより、周期の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0026】
第7発明にあっては、制御部は、制御部が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力し、閃光部が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期より短い第2の周期(例えば、周期T2、T2<T1)の二値化信号を出力する。例えば、切替部が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1より短くすることにより、周期が短くなりサンプリングに要する時間を短くすることができ、短時間で閃光信号に切り替えることができる。
【0027】
第8発明にあっては、切替部は、第1の周期の二値化信号又は第2の周期の二値化信号を取得しない場合、すなわち切替信号を取得できない場合、信号灯器を所定表示すべく所定表示信号を出力する。所定表示は、閃光表示でもよく、あるいは滅灯でもよい。これにより、制御部又は制御部から切替部までの信号経路に異常が生じ切替信号を取得することができない事態が発生した場合でも、信号灯器の灯色が通常(正常)の表示状態ではないことを車両又は歩行者に対して促すことができ、交通事故を未然に防止することができる。
【0028】
第9発明にあっては、制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を出力し、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベル又はローレベルのいずれかの信号を出力する。これにより、制御部又は制御部から切替部までの信号経路に異常(例えば、短絡故障又は開放故障)が生じた場合でも、切替部は、閃光部が出力する閃光信号へ切り替えることができる。また、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を必要としないので、回路構成を簡略化することができる。
【0029】
第10発明にあっては、灯色出力部は、灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器へ出力する。灯色出力は、灯色信号又は閃光信号をAC100Vなどの所定の電圧に変換したものである。判定部は、制御部が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力部が出力する灯色出力に基づいて、切替部の正常/異常を判定する。例えば、制御部が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力部が出力する灯色出力が閃光表示でないときは、切替部が異常であると判定する。これにより、切替部の正常/異常を判定することができる。
【0030】
第11発明にあっては、閃光信号(例えば、閃光部)の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備える。通知部は、例えば、通信回線を使用して外部の上位装置へ閃光信号の異常を通知することができ、あるいは交通信号制御機に備えられた表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、閃光信号(例えば、閃光部)の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、制御部が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、閃光部に閃光信号を出力させるとともに、当該閃光信号を閃光状態情報と比較することにより、交通信号制御機の通常運用中に閃光信号の正常/異常を判定して、例えば、閃光部の異常を未然に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態に係る交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】正常な閃光表示の第1例を示す説明図である。
【図3】正常な閃光表示の第2例を示す説明図である。
【図4】閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の一例を示す説明図である。
【図5】閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の他の例を示す説明図である。
【図6】切替信号の第1例を示すタイムチャートである。
【図7】切替信号の第2例を示すタイムチャートである。
【図8】切替信号の第3例を示すタイムチャートである。
【図9】本実施の形態の交通信号制御機の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態の交通信号制御機の切替回路の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】従来の交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る交通信号制御機の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通信号制御機100の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機100は、制御部10、切替回路20、閃光回路30、灯色出力回路40、インタフェース部50、通知部60、現示データ70などを備える。また、制御部10は、判定部11、記憶部12などを備える。
【0034】
制御部10は、現示データ70に基づいて、各信号灯器1の灯色を切り替えるための灯色信号を切替回路20へ出力して、各信号灯器1の灯色を制御する。現示データ70は、例えば、ステップ毎の各灯色の状態(点灯又は消灯)を示す灯色情報、灯色の順序、各ステップの基準表示秒数(基準表示時間)、最短表示秒数(最短表示時間)、最長表示秒数(最長表示時間)、階梯種別(例えば、長階梯、中階梯、短階梯などの区分を示す)、保安秒数、動作設定などの各情報を含む。
【0035】
閃光回路30は、各信号灯器1を閃光表示させるための閃光信号を制御部10及び切替回路20へ出力する閃光部としての機能を有する。
【0036】
図2は正常な閃光表示の第1例を示す説明図である。図2の例は、黄点滅赤点滅の場合を示す。例えば主道路と従道路とが交差している場合、主道路に対する信号灯器1を黄点滅させるとともに、従道路に対する信号灯器1を赤点滅させる。すなわち、図2に示すように、主道路に対する信号灯器1が黄点灯し、従道路に対する信号灯器1が消灯している状態を状態1とする。また、主道路に対する信号灯器1が消灯し、従道路に対する信号灯器1が赤点灯している状態を状態2とすると、状態1、2を所定の周期Tで繰り返す(状態1、2が共にT/2)ことで閃光表示させることができる。すなわち、状態1と状態2の比率は、例えば、50%:50%である。周期Tは、例えば、1秒であり、許容誤差は、例えば、±0.2秒とすることができる。
【0037】
図3は正常な閃光表示の第2例を示す説明図である。図3の例は、赤点滅赤点滅の場合を示す。例えば主道路と従道路とが交差している場合、主道路に対する信号灯器1を赤点滅させるとともに、従道路に対する信号灯器1を赤点滅させる。すなわち、図3に示すように、主道路に対する信号灯器1が赤点灯し、従道路に対する信号灯器1が消灯している状態を状態3とする。また、主道路に対する信号灯器1が消灯し、従道路に対する信号灯器1が赤点灯している状態を状態4とすると、状態3、4を所定の周期Tで繰り返す(状態1、2が共にT/2)ことで閃光表示させることができる。すなわち、状態3と状態4の比率は、例えば、50%:50%である。周期Tは、例えば、1秒であり、許容誤差は、例えば、±0.2秒とすることができる。
【0038】
閃光回路30は、交通信号制御機100が通常動作を行っている場合、すなわち、制御部10が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、常時閃光信号を出力する。なお、所要のタイミングで、閃光信号の出力を休止する休止期間を設けて離散的に閃光信号を出力することもできる。なお、通常運用を行っているときは、後述するように、切替回路20は閃光回路30からの閃光信号に切り替えず、制御部10からの灯色信号に切り替えて灯色出力回路40へ出力するので、信号灯器1は閃光表示をしない。
【0039】
記憶部12は、所定の閃光表示(例えば、図2、図3で示す正常な閃光表示)を示す閃光状態情報を記憶する。閃光状態情報は、例えば、信号灯器1毎の灯色(例えば、黄色及び赤色の点灯(オン)及び消灯(オフ)など)の組み合わせを示すパターン情報である。
【0040】
判定部11は、閃光回路30が出力する閃光信号及び記憶部12に記憶した閃光状態情報に基づいて、閃光信号の正常/異常を判定する。
【0041】
例えば、閃光信号が図2又は図3で示す閃光表示と異なる場合には、異常と判定することができる。具体的には、閃光信号が、各信号灯器1が滅灯している状態(各信号灯器1に対して出力がない状態)、主道路及び従道路に対する信号灯器1がすべて黄点滅である状態、主道路に対する信号灯器1が赤点滅で従道路に対する信号灯器1が黄点滅である状態、信号灯器1が黄点滅ではなく黄点灯している状態、主道路及び従道路に対する信号灯器1がすべて赤点灯している状態などを示す場合である。なお、正常な閃光表示として、図2、図3と異なる閃光表示を定めた場合には、当該閃光表示は異常な場合から除外する。
【0042】
以下、閃光信号と記憶部12に記憶した閃光状態情報とが一致するか否かの判定方法について具体的に説明する。
【0043】
図4は閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の一例を示す説明図である。なお、図4は図2の例に対応し、黄点滅赤点滅の場合を示す。閃光信号は、灯色が切り替わるタイミング(例えば、t、t+T/2など)の灯色、状態番号などを含む。また、閃光状態情報は、状態1、2における主灯色(主道路側で点灯している灯色)、従灯色(従道路側で点灯している灯色)を含む。
【0044】
判定部11は、閃光信号に含まれる灯色がオンか否かの切り替わりタイミング時刻tにおける閃光信号に含まれる状態番号を確認する。状態番号が1である場合、判定部11は、閃光信号に含まれる主道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の主灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる主道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の主灯色が消灯となっているか否か)、同時に閃光信号に含まれる従道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の従灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる従道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態1の従灯色が消灯となっているか否か)を判定する。
【0045】
閃光信号に含まれる灯色がオンか否かの切り替わりタイミング時刻tにおける閃光信号に含まれる状態番号が状態2である場合、判定部11は、閃光信号に含まれる主道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の主灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる主道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の主灯色が消灯となっているか否か)、同時に閃光信号に含まれる従道路側のオンとなっている灯色と記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の従灯色とが一致するか否か(閃光信号に含まれる従道路側の灯色がすべてオフであれば、記憶部12に記憶された閃光状態情報の状態2の従灯色が消灯となっているか否か)を判定する。
【0046】
次に、判定部11は、時刻t+T/2における閃光信号に含まれる状態番号を確認する。そして、確認した状態番号に応じて、上述の時刻tの場合と同様に判定する。時刻t、及び時刻t+T/2における判定で、灯色がすべて一致した場合、閃光信号が正常であると判定し、一致しない場合、閃光信号が異常であると判定する。
【0047】
また、灯色の周期、表示時間については、閃光信号を短い間隔でサンプリングし、サンプリング値に含まれる灯色のオンとオフの切り替わりタイミングから次の切り替わりタイミングまでの時間差と、記憶部12に記憶された閃光状態情報に含まれる表示時間(不図示)とが一致するかを判定し、灯色のオンからオフへの切り替わりタイミング(又はオフからオンへの切り替わりタイミング)から次のオンからオフへの切り替わりタイミング(又はオフからオンへの切り替わりタイミング)までの時間差と、記憶部12に記憶された閃光状態情報に含まれる周期(不図示)とが一致するか否かを判定する。
【0048】
図5は閃光状態情報に基づく閃光信号の正常/異常の判定の他の例を示す説明図である。なお、図5は図3の例に対応し、赤点滅赤点滅の場合を示す。閃光信号は、灯色が切り替わるタイミング(例えば、t、t+T/2など)の灯色、状態番号などを含む。また、閃光状態情報は、状態3、4における主灯色(主道路側で点灯している灯色)、従灯色(従道路側で点灯している灯色)を含む。なお、判定方法は図4の例と同様である。
【0049】
制御部10が灯色信号を出力して通常の灯色制御(通常運用)を行っている場合に、閃光回路30に閃光信号を出力させるとともに、判定部11で閃光信号と閃光状態情報とを比較することにより、交通信号制御機100の通常運用中に閃光信号の正常/異常を判定して、例えば、閃光回路30の異常を未然に判定することができる。
【0050】
制御部10は、判定部11で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力する。この場合、制御部10は、閃光表示を行うための灯色信号を出力する。すなわち、制御部10が出力する灯色信号は閃光信号として機能する。これにより、閃光信号が異常であると判定された場合に、例えば、閃光回路30からの閃光信号に代えて、制御部10が閃光信号としての灯色信号を出力するので、所定の(正常な)閃光表示ができなくなるという事態を回避することができる。
【0051】
切替回路20は、制御部10が出力する灯色信号(閃光表示としての灯色信号も含む)又は閃光回路30が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて灯色出力回路40へ出力させるための切替部としての機能を有する。なお、本実施の形態において、切替部は、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号が伝送される切替信号線を含むものとする。また、制御部10は、灯色信号又は閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を切替回路20へ出力する。
【0052】
切替回路20は、制御部10が出力した切替信号に基づいて、制御部10が出力する灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光部が出力する閃光信号に切り替える。切替回路20を備えることにより、閃光回路30が出力する閃光信号が灯色出力回路40及び信号灯器1へ出力されることを防止できるので、例えば、閃光回路30は常時閃光信号を出力することもでき、所要のタイミングで出力することもできる。すなわち、交通信号制御機100の通常運用時に閃光回路30から閃光信号を出力することができ、閃光信号の正常/異常を交通信号制御機100の通常運用時に判定することができる。
【0053】
また、従来の交通信号制御機200では、閃光信号を出力する際、制御部201からの灯色信号の出力を停止させる必要があったが、そもそも閃光信号を出力するのは制御部201が異常な場合であり、制御部201からの灯色信号の出力を確実に停止させられる保証がない。本実施の形態の交通信号制御機100では、制御部10からの灯色信号の出力の有無に関わらず確実に閃光信号の出力に切り替えられるという効果がある。
【0054】
制御部10は、判定部11で閃光信号が異常であると判定した場合、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を切替回路20へ出力する。これにより、閃光信号(例えば、閃光回路30など)が異常である場合でも、制御部10が出力する灯色信号により信号灯器1を確実に閃光表示させることができる。
【0055】
制御部10は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力する。異なる波形とは、例えば、同一周期でも時間経過に伴う波高値が異なる場合、例えば、一方が矩形状のパルス波形であり、他方が三角波である場合、あるいは双方の波形が同一でも周期が異なる場合などを含む。異なる波形とすることにより、切替回路20は、切替信号の波形の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0056】
また、制御部10は、制御部10が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力し、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力する。例えば、切替回路20が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に(あるいは、周期又は半周期の複数倍の間に)複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1と異なる周期にすることにより、周期の違いにより、灯色信号に切り替えるか、あるいは閃光信号に切り替えるかを確実に行うことができる。
【0057】
図6は切替信号の第1例を示すタイムチャートである。図6において、上段の切替信号は、制御部10からの灯色信号(閃光信号としての灯色信号も含む)に切り替えることを指定するものであり、下段の切替信号は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えることを指定するものである。
【0058】
図6に示すように、制御部10は、制御部10が出力する灯色信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号として第1の周期(例えば、周期T1)の二値化信号を出力する。また、制御部10は、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号として第1の周期より短い第2の周期(例えば、周期T2、T2<T1)の二値化信号を出力する。
【0059】
例えば、切替回路20が二値化信号の周期(あるいは半周期)の間に複数回二値化信号をサンプリングして、同じレベル(例えば、ハイレベル又はローレベル)が何回継続するかで切替信号を区別する場合、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T2を、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号の周期T1より短くすることにより、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号と判定するのに要する時間を短くすることができ、短時間で閃光信号に切り替えることができる。
【0060】
例えば、2×(T2)の間に(T2)/10の間隔で20回二値化信号をサンプリングして、オンとオフがそれぞれ連続して5回ずつ計測された場合には閃光信号に切り替え、オン又はオフが連続して5回よりも多く計測された場合には灯色信号に切り替えると判定する。また、立ち上がり時点を計測して、その時点からT2の間に(T2)/10の間隔で10回二値化信号をサンプリングして、オンが連続して5回、オフが連続して5回計測された場合には閃光信号に切り替え、オンが連続して5回よりも多く計測された場合には灯色信号に切り替えると判定してもよい。
【0061】
また、切替回路20は、第1の周期T1の二値化信号又は第2の周期T2の二値化信号を取得しない場合、すなわち切替信号を取得できない場合、信号灯器1を所定表示すべく所定表示信号を出力することもできる。所定表示は、閃光表示でもよく、あるいは滅灯でもよい。これにより、制御部10又は制御部10から切替回路20までの信号経路に異常が生じ切替信号を取得することができない事態が発生した場合でも、信号灯器1の灯色が通常(正常)の表示状態ではないことを車両又は歩行者に対して促すことができ、交通事故を未然に防止することができる。
【0062】
図7は切替信号の第2例を示すタイムチャートである。図7において、上段の切替信号は、制御部10からの灯色信号(閃光信号としての灯色信号も含む)に切り替えることを指定するものであり、下段の切替信号は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えることを指定するものである。
【0063】
図7に示すように、制御部10は、制御部10が出力する灯色信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号として二値化信号を出力する。また、制御部10は、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号としてハイレベルの信号を出力する。これにより、制御部10又は制御部10から切替回路20までの信号経路に異常(例えば、短絡故障又は開放故障)が生じた場合でも、切替回路20は、閃光回路30が出力する閃光信号へ切り替えることができる。また、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を必要としないので、回路構成を簡略化することができる。
【0064】
例えば、T1の間に(T1)/10の間隔で10回二値化信号をサンプリングして、オンとオフがそれぞれ連続して5回ずつ計測された場合には閃光信号に切り替え、それ以外の場合には灯色信号に切り替えると判定する。
【0065】
図8は切替信号の第3例を示すタイムチャートである。図7に示す例との違いは、制御部10は、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える場合、当該切り替えを指定する切替信号としてローレベルの信号を出力する。これにより、図7の例と同様に、制御部10又は制御部10から切替回路20までの信号経路に異常(例えば、短絡故障又は開放故障)が生じた場合でも、切替回路20は、閃光回路30が出力する閃光信号へ切り替えることができる。また、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を必要としないので、回路構成を簡略化することができる。
【0066】
例えば、T1の間に(T1)/10の間隔で10回二値化信号をサンプリングして、オンとオフがそれぞれ連続して5回ずつ計測された場合には閃光信号に切り替え、それ以外の場合には灯色信号に切り替えると判定する。
【0067】
図6〜図8の例の他に、制御部10が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベルの信号を出力し、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてローレベルの信号を出力してもよい。あるいは逆に、制御部10が出力する灯色信号に切り替えることを指定する切替信号としてローレベルの信号を出力し、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベルの信号を出力してもよい。パルス状の二値化信号を切替信号としないことにより、回路構成が一層簡素化される。
【0068】
灯色出力回路40は、切替回路20から出力された灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器1及び制御部10へ出力する。灯色出力は、灯色信号又は閃光信号をAC100Vなどの所定の電圧に変換したものであり、信号灯器1のランプ又はLED(発光ダイオード)を点灯させる。
【0069】
判定部11は、制御部10が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力回路40が出力する灯色出力に基づいて、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号線などの正常/異常を判定する。例えば、制御部10が、閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、灯色出力回路40が出力する灯色出力が閃光表示でないときは、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号線などが異常であると判定する。これにより、切替回路20、あるいは切替回路20周辺の切替信号線などの正常/異常を判定することができる。
【0070】
インタフェース部50は、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有する。
【0071】
通知部60は、LEDなどの表示部を備え、閃光信号(例えば、閃光回路30など)の異常を示す異常情報を外部へ通知する。通知部60は、例えば、インタフェース部50を介して、通信回線を使用して外部の上位装置300へ閃光信号の異常を通知することができる。また、通知部60は、表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、閃光信号(例えば、閃光回路30)の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【0072】
次に、本実施の形態の交通信号制御機100の動作について説明する。図9は本実施の形態の交通信号制御機100の制御部10の処理手順を示すフローチャートである。制御部10は、閃光回路30から閃光信号を取得し(S11)、閃光信号が所定の閃光信号であるか否か、すなわち閃光信号が正常であるか否かを判定する(S12)。
【0073】
閃光信号が正常でない場合(S12でNO)、制御部10は、閃光回路30が異常であると判定する(S13)。なお、閃光信号が正常でない場合、閃光回路30が異常である場合の他に、閃光回路30と制御部10との間の信号線の異常なども考えられるので、閃光回路30の異常は、閃光回路30だけの異常に限定されるものではない。
【0074】
制御部10は、自身が出力する閃光信号としての灯色信号に切り替えるための切替信号を切替回路20へ出力し(S14)、閃光信号としての灯色信号を出力し(S15)、処理を終了する。
【0075】
閃光回路30から取得した閃光信号が正常である場合(S12でYES)、制御部10は、閃光回路30は正常であると判定する(S16)。
【0076】
制御部10は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えるか否かを判定する(S17)。ステップS17の処理は、例えば、制御部10自身が自己診断を行い、閃光表示を閃光回路30で処理した方がよいかどうかを判定するものである。
【0077】
閃光回路30からの閃光信号に切り替えると判定した場合(S17でYES)、制御部10は、閃光回路30からの閃光信号に切り替えるための切替信号を出力し(S18)、処理を終了する。
【0078】
閃光回路30からの閃光信号に切り替えないと判定した場合(S17でNO)、制御部10は、自身が出力する閃光信号としての灯色信号に切り替えるための切替信号を切替回路20へ出力し(S19)、正常な3色灯色信号を出力し(S20)、処理を終了する。
【0079】
図10は本実施の形態の交通信号制御機100の切替回路20の処理手順を示すフローチャートである。切替回路20は、制御部10から切替信号を取得し(S31)、取得した切替信号が、閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える切替信号であるか否かを判定する(S32)。
【0080】
閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える切替信号である場合(S32でYES)、切替回路20は、閃光回路30からの閃光信号を灯色出力回路40へ出力し(S33)、処理を終了する。
【0081】
閃光回路30が出力する閃光信号に切り替える切替信号でない場合(S32でNO)、切替回路20は、制御部10が出力する灯色信号に切り替える切替信号であるか否かを判定し(S34)、灯色信号に切り替える切替信号である場合(S34でYES)、制御部10からの閃光信号としての灯色信号を灯色出力回路40へ出力し(S35)、処理を終了する。
【0082】
灯色信号に切り替える切替信号でない場合(S34でNO)、切替回路20は、切替回路自身から所定の表示信号を出力し(S36)、処理を終了する。所定の表示信号は、例えば、閃光表示でもよく、あるいは滅灯でもよい。
【0083】
上述の実施の形態において、閃光信号が異常と判定された場合、異常と判定した日時等を記録することもできる。また、閃光信号が正常であると判定した日時を記録してもよい。閃光信号の正常又は異常を記録することにより、閃光回路などの故障の要因を特定する情報として活用することができる。
【0084】
上述の実施の形態では、主道路と従道路とが交差する交差点を例として説明したが、主道路と従道路が交差する交差点に限定されるものではなく、どのような形態の交差点でも、本実施の形態の交通信号制御機100を適用することができる。
【0085】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
10 制御部
11 判定部
12 記憶部
20 切替回路(切替部)
30 閃光回路(閃光部)
40 灯色出力回路
50 インタフェース部
60 通知部
70 現示データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号灯器の灯色を切り替えるための灯色信号を出力して灯色を制御する制御部を備える交通信号制御機において、
信号灯器を閃光表示させるための閃光信号を出力する閃光部と、
所定の閃光表示を示す閃光状態情報を記憶する記憶部と、
前記閃光部が出力する閃光信号及び前記記憶部に記憶した閃光状態情報に基づいて、前記閃光信号の正常/異常を判定する判定部と
を備えることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記制御部が出力する灯色信号又は前記閃光部が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて前記信号灯器へ出力させるための切替部を備え、
前記制御部は、
前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を前記切替部へ出力し、
前記切替部は、
前記切替信号に基づいて前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれかに切り替えるように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を前記切替部へ出力するように構成してあることを特徴とする請求項3に記載の交通信号制御機。
【請求項5】
前記制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力するように構成してあることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の交通信号制御機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期の二値化信号を出力し、
前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として前記第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項7】
前記第2の周期は、前記第1の周期より短いことを特徴とする請求項6に記載の交通信号制御機。
【請求項8】
前記切替部は、
前記第1又は第2の周期の二値化信号を取得しない場合、前記信号灯器を所定表示すべく所定表示信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の交通信号制御機。
【請求項9】
前記制御部は、
前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を出力し、
前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベル又はローレベルのいずれかの信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項10】
前記灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器へ出力する灯色出力部を備え、
前記判定部は、
前記制御部が、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、前記灯色出力部が出力する灯色出力に基づいて、前記切替部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項11】
前記閃光信号の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項1】
信号灯器の灯色を切り替えるための灯色信号を出力して灯色を制御する制御部を備える交通信号制御機において、
信号灯器を閃光表示させるための閃光信号を出力する閃光部と、
所定の閃光表示を示す閃光状態情報を記憶する記憶部と、
前記閃光部が出力する閃光信号及び前記記憶部に記憶した閃光状態情報に基づいて、前記閃光信号の正常/異常を判定する判定部と
を備えることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、閃光表示させるための灯色信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記制御部が出力する灯色信号又は前記閃光部が出力する閃光信号のいずれかを切り替えて前記信号灯器へ出力させるための切替部を備え、
前記制御部は、
前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれに切り替えるかを指定する切替信号を前記切替部へ出力し、
前記切替部は、
前記切替信号に基づいて前記灯色信号又は前記閃光信号のいずれかに切り替えるように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記判定部で閃光信号が異常であると判定した場合、前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号を前記切替部へ出力するように構成してあることを特徴とする請求項3に記載の交通信号制御機。
【請求項5】
前記制御部は、灯色信号に切り替えることを指定する切替信号と、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号とで異なる波形を出力するように構成してあることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の交通信号制御機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として第1の周期の二値化信号を出力し、
前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号として前記第1の周期と異なる第2の周期の二値化信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項7】
前記第2の周期は、前記第1の周期より短いことを特徴とする請求項6に記載の交通信号制御機。
【請求項8】
前記切替部は、
前記第1又は第2の周期の二値化信号を取得しない場合、前記信号灯器を所定表示すべく所定表示信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の交通信号制御機。
【請求項9】
前記制御部は、
前記灯色信号に切り替えることを指定する切替信号として二値化信号を出力し、
前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号としてハイレベル又はローレベルのいずれかの信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項10】
前記灯色信号又は閃光信号に基づいて、灯色出力を各信号灯器へ出力する灯色出力部を備え、
前記判定部は、
前記制御部が、前記閃光信号に切り替えることを指定する切替信号を出力した場合、前記灯色出力部が出力する灯色出力に基づいて、前記切替部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項11】
前記閃光信号の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−33110(P2012−33110A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173954(P2010−173954)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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