交通信号制御機
【課題】信号灯器の灯色の組み合わせが禁止されている状態を検出する検出機能が正常であるか否かを判定することができる交通信号制御機を提供する。
【解決手段】灯色出力回路40は、各信号灯器1の青灯を駆動するAC100Vが各信号灯器1へ出力されているか否かを示す信号である青出力状態を論理和回路20へ出力する。生成部11は、各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号を生成して論理和回路20へ出力する。論理和回路20は、模擬信号及び/又は青出力状態を取得して、青出力モニタを青青検出回路30へ出力する。判定部12は、生成部11で生成した模擬信号と、青青検出回路30が出力した青青異常信号とに基づいて、青青検出回路30の正常/異常を判定する。
【解決手段】灯色出力回路40は、各信号灯器1の青灯を駆動するAC100Vが各信号灯器1へ出力されているか否かを示す信号である青出力状態を論理和回路20へ出力する。生成部11は、各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号を生成して論理和回路20へ出力する。論理和回路20は、模擬信号及び/又は青出力状態を取得して、青出力モニタを青青検出回路30へ出力する。判定部12は、生成部11で生成した模擬信号と、青青検出回路30が出力した青青異常信号とに基づいて、青青検出回路30の正常/異常を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号制御機は、ステップ(階梯)毎に各信号灯器の灯色を定めた灯色情報、各灯色の表示時間などを含むステップ情報に基づいて、各信号灯器の灯色を切り替える(特許文献1参照)。そして、交通信号制御機は、自身の状態が正常であるか否かを監視している。交通信号制御機は、予め定められたステップ情報に基づいて、信号灯器の正常な3色灯色(赤、黄、青)での灯色制御ができないと判定した場合、例えば、交差する道路の信号灯器の灯色が同時に青になった場合には、閃光回路からの閃光信号に基づいて、信号灯器を閃光表示(例えば、黄点滅と赤点滅の組み合わせ、赤点滅など)することにより、車両又は歩行者に対して注意を促し、交通事故を未然に防止している。
【0003】
図12は従来の交通信号制御機200の構成例を示すブロック図である。図12に示すように、交通信号制御機200は、現示データ203に基づいて各信号灯器1の灯色を制御するため灯色信号を出力する制御部201、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有するインタフェース部202、制御部201が出力した灯色信号に基づいて、灯色出力状態(例えば、AC100V又は所定の電圧)を各信号灯器1へ出力する灯色出力回路205、灯色出力回路205が出力する電圧を検出して、各信号灯器1の灯色の青状態を取得し、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器1が同時に青になっている青青状態を検出して制御部201へ出力する青青検出回路204などを備えている。
【0004】
青青検出回路204で青青状態が検出された場合、不図示の閃光回路からの閃光信号を灯色出力回路205へ出力して、交通事故を誘発しかねない危険な青青状態を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−111395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の交通信号制御機200では、青青検出回路204が何らかの原因で故障した場合、青青検出回路204の異常を検出することができない。このため、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器1が、同時に青となる青青状態に現実になった場合に、青青状態を確実に検出することができない可能性があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、信号灯器の灯色の組み合わせが禁止されている状態を検出する検出機能が正常であるか否かを判定することができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る交通信号制御機は、複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機において、各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号を生成する生成部と、各信号灯器の灯色出力状態及び又は前記生成部で生成した模擬信号に応じて、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号を出力する禁止状態検出部と、前記生成部で生成した模擬信号及び/又は前記禁止状態検出部が出力した禁止状態信号に基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る交通信号制御機は、第1発明において、前記生成部で生成した模擬信号及び/又は各信号灯器の灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青である場合、該灯色出力状態及び/又は取得した模擬信号を前記禁止状態検出部へ出力する青色監視部を備え、前記禁止状態検出部は、前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青であることを示す場合、灯色の組み合わせが禁止された状態である旨の禁止状態信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る交通信号制御機は、第2発明において、前記生成部は、各信号灯器のいずれの灯色も青でない場合、該信号灯器のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る交通信号制御機は、第2発明又は第3発明において、前記生成部は、前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が青の場合、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る交通信号制御機は、第2発明又は第4発明において、前記生成部は、前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が切り替わった時点から所定時間経過後に、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る交通信号制御機は、第4発明又は第5発明において、前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態に基づいて、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青となる時間に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する要因判定部を備えることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る交通信号制御機は、第2発明乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記判定部は、前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態である青監視信号と、前記禁止状態検出部が出力する禁止状態信号とに基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る交通信号制御機は、第2発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記生成部で少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青になる模擬信号を生成した場合に、前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青でないことを示すとき、異常と診断する自己診断部を備えることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る交通信号制御機は、第1発明乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記禁止状態検出部の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする。
【0017】
第1発明にあっては、生成部は、各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号(模擬青信号とも称する)を生成して出力する。各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態とは、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器の灯色が同時に青になっている青青状態などをいう。禁止状態検出部は、各信号灯器の灯色出力状態(例えば、信号灯器を駆動するAC100Vなどの所定の電圧が信号灯器へ出力されているか否かを示す信号であり、青出力状態とも称する)及び/又は生成部で生成した模擬信号に応じて(すなわち、灯色出力状態のみ、模擬信号のみ、あるいは灯色出力状態と模擬信号との組み合わせに応じて)、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号(青青異常信号とも称する)を出力する。判定部は、生成部で生成した模擬信号と、禁止状態検出部が出力した禁止状態信号とに基づいて、禁止状態検出部の正常/異常を判定する。
【0018】
すなわち、禁止状態検出部が灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す禁止状態信号を出力するように、生成部が模擬信号を生成して出力した場合に、禁止状態検出部が正常であれば、禁止状態検出部は、灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す禁止状態信号を出力するはずである。したがって、生成部が生成して出力した模擬信号と禁止状態検出部が出力した禁止状態信号とを比較することにより、信号灯器の灯色の組み合わせが禁止されている状態を検出するための禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0019】
第2発明にあっては、青色監視部は、生成部で生成した模擬信号及び/又は各信号灯器の灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青である場合、該灯色出力状態及び/又は取得した模擬信号を禁止状態検出部へ出力する。青色監視部が禁止状態検出部へ出力する青の灯色出力状態及び模擬信号を青出力モニタとも称する。すなわち、青色監視部は、信号灯器の灯色を青に模擬する模擬信号、信号灯器の灯色が青である灯色出力状態を取得して、青出力モニタとして禁止状態検出部へ出力する。禁止状態検出部は、青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が禁止された組み合わせの青であることを示す場合、灯色の組み合わせが禁止された状態である旨の禁止状態信号(青青異常信号)を出力する。
【0020】
生成部で生成した模擬信号を信号灯器の灯色表示には反映されないように青色監視部へ出力するので、交通信号制御機で信号灯器の灯色を切り替える通常の運用中であっても、模擬信号を用いて、信号灯器の灯色が禁止された組み合わせの青となる青青状態を疑似的に作り出すことができ、交通信号制御機の通常の運用と同時並行に禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0021】
第3発明にあっては、生成部は、各信号灯器のいずれの灯色も青でない場合、信号灯器のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。各信号灯器のいずれの灯色も青でないので、青色監視部は、信号灯器の灯色が青である信号としては模擬信号だけを取得することになり、禁止状態検出部へ模擬信号だけを出力する。例えば、禁止状態検出部へ灯色が禁止された組み合わせの青となる模擬信号を出力した場合に、禁止状態検出部が禁止された組み合わせの青である状態の禁止状態信号を出力しないときは、禁止状態検出が異常であると判定することができる。模擬信号のみを用いることにより、灯色出力状態が伝送される信号線などの状態を除いて、禁止状態検出部だけの正常/異常を判定することができる。
【0022】
第4発明にあっては、生成部は、信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が青の場合、当該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。例えば、青色監視部が、信号灯器の灯色が青である灯色出力状態と、別の信号灯器の灯色を青に模擬する模擬信号とを禁止状態検出部へ出力した場合において、禁止状態検出部が禁止された組み合わせの青である状態の禁止状態信号を出力したときには、禁止状態検出部は正常であると判定することができ、また、禁止状態検出部が禁止状態信号を出力しないときには、禁止状態検出部の異常だけでなく、灯色出力状態を伝送する信号線の異常も同時に判定することができ、故障していると推定される箇所を漏れなく抽出することができる。
【0023】
第5発明にあっては、生成部は、信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が切り替わった時点から所定時間経過後に、当該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。所定時間は、例えば、2〜30ms程度とすることができる。交通信号制御機が信号灯器の灯色を制御すべく生成する灯色信号は、信号灯器を駆動するためAC100V等の所定の電圧に変換されるが、当該電圧の有無を判定して出力される灯色出力状態の切り替わりは、灯色信号の灯色の切り替わり時点に比べて遅延する。このため、信号灯器の灯色が切り替わった時点に模擬信号を生成した場合、灯色出力状態は、灯色信号が切り替わる前の灯色となっているため、意図しない灯色の組み合わせを用いることになる。模擬信号を生成して出力する時点を遅延させることにより、意図通りの灯色の組み合わせを用いて禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0024】
第6発明にあっては、要因判定部は、青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態に基づいて、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)となる時間に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する。
【0025】
例えば、灯色出力状態と模擬信号とにより同時青と判定した場合は、禁止状態信号(青青異常信号)の信号長は、模擬信号の長さで決定され、例えば、10ms程度である。一方、灯色出力状態同士で同時青と判定した場合は、模擬ではなく現実の故障による異常であるので、禁止状態信号(青青異常信号)の信号長は長くなる。そこで、禁止状態信号が短い場合には、模擬信号によるものと判定することができ、禁止状態信号が長い場合には、現実の故障によるものと判定することができる。これにより、同時青の要因が模擬信号によるものが現実の故障によるものかを任意の時点で判定することができるので、例えば、交通信号制御機の通常の運用中に、模擬信号による正常/異常判定を行うための占有時間などを設ける必要がなく、現実の青青異常検出を行いながら禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0026】
第7発明にあっては、判定部は、青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態である青監視信号と、禁止状態検出部が出力する禁止状態信号とに基づいて、禁止状態検出部の正常/異常を判定する。例えば、青監視信号が同時青(禁止された組み合わせの青)である場合に、禁止状態信号が同時青(禁止された組み合わせの青)でないときは、禁止状態検出部が異常であると判定する。また、青監視信号が同時青でない場合に、禁止状態信号が同時青であるときも、禁止状態検出部が異常であると判定する。これにより、禁止状態検出部の異常を正確に特定することができる。
【0027】
第8発明にあっては、自己診断部は、生成部で少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)になる模擬信号を生成した場合に、青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態(青出力モニタ)が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)でないことを示すとき、異常と診断する。例えば、生成部が一の信号灯器の灯色出力状態が青のタイミングで、別の信号灯器の灯色を青に模擬する模擬信号を生成して出力した場合、青色監視部は、同時青を示す青出力モニタを出力すべきであるが、青色監視部が出力する模擬信号又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青でない場合には、青色監視部の異常、あるいは青色監視部が取得した灯色出力状態の異常、すなわち、灯色出力状態を伝送する信号線又は灯色出力状態を出力する回路(例えば、灯色出力回路と称する)などの異常と診断することができる。
【0028】
第9発明にあっては、通知部は、禁止状態検出部の異常を示す異常情報を外部へ通知する。通知部は、例えば、通信回線を使用して外部の上位装置へ禁止状態検出部の異常を通知することができ、あるいは交通信号制御機に備えられた表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、禁止状態検出部の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、生成部が生成して出力した模擬信号と禁止状態検出部が出力した禁止状態信号とを比較することにより、信号灯器の灯色の組み合わせが禁止されている状態を検出するための禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態に係る交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る交通信号制御機により制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。
【図3】各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された同時青の状態を示す説明図である。
【図4】各信号灯器の灯色のステップと模擬信号出力との関係を示す説明図である。
【図5】青青検出回路30の正常異常を判定する一例を示す説明図である。
【図6】模擬信号を使用する場合の判定例を示す説明図である。
【図7】模擬信号を使用しない場合の判定例を示す説明図である。
【図8】青青異常信号がオンとなる要因の判定方法の一例を示す説明図である。
【図9】模擬信号の生成時点の一例を示す説明図である。
【図10】模擬信号を使用する場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】模擬信号を使用しない場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】従来の交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る交通信号制御機の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通信号制御機100の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機100は、制御部10、論理和回路20、青青検出回路30、灯色出力回路40、インタフェース部50、通知部60、現示データ70などを備える。また、制御部10は、生成部11、判定部12などを備える。
【0032】
制御部10は、現示データ70に基づいて、各信号灯器1の灯色を切り替えるための灯色信号を灯色出力回路40へ出力する。
【0033】
現示データ70は、例えば、ステップ毎の各灯色の状態(点灯又は消灯)を示す灯色情報、灯色の順序、各ステップの基準表示秒数(基準表示時間)、最短表示秒数(最短表示時間)、最長表示秒数(最長表示時間)、階梯種別(例えば、長階梯、中階梯、短階梯などの区分を示す)、保安秒数、動作設定などの各情報を含む。
【0034】
灯色出力回路40は、制御部10が出力した灯色信号を、信号灯器1を駆動するためのAC100V又は所定の電圧に変換し、信号灯器1のランプ又はLED(発光ダイオード)を点灯させる。また、灯色出力回路40は、各信号灯器1の青灯を駆動するAC100V等の所定の電圧が各信号灯器1へ出力されているか否かを示す信号である青出力状態(灯色出力状態)を論理和回路20へ出力する。すなわち、信号灯器1の青灯を駆動する駆動線(電源線)にAC100V等が出力されている場合、当該信号灯器1の青出力状態はオン(又はあり)となる。したがって、図2の場合、青出力状態は、主道路側で3つ、従道路側で3つの合計6つの情報量を有する。
【0035】
生成部11は、各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号(模擬青信号とも称する)を生成して論理和回路20へ出力する。模擬信号も青出力状態と同じ情報量を有する。各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態とは、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器1の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)になっている青青状態をいう。以下、各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態について説明する。本実施の形態で同時青とは、灯色が禁止された組み合わせの青であることを意味するものとする。
【0036】
図2は本実施の形態に係る交通信号制御機100により制御される信号灯器1が設置された交差点の一例を示す模式図である。図2に示すように、交差点は、主道路と従道路とが交差している。主道路に対する信号灯器1の灯色は、1G(青)、1A(右折の青矢)である。また、従道路に対する信号灯器1の灯色は、2G(青)、2A(右折の青矢)である。従道路を横断する横断歩道に対する歩行者用の信号灯器1は、1PG(歩青)であり、主道路を横断する横断歩道に対する歩行者用の信号灯器1は、2PG(歩青)である。なお、交差点に交差する道路の数、信号灯器1の灯色は、一例であって、図2の例に限定されない。また、本実施の形態で信号灯器1は、車両用の信号灯器、歩行者用の信号灯器も含む。また、灯色の青とは、直進の青、左折の青矢、右折の青矢、歩行者の青などを含む。
【0037】
図3は各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された同時青の状態を示す説明図である。図3において、符号Oは、灯色の組み合わせが許可された状態を示し、符号Nは禁止された状態を示す。また、図3の例は、図2で示す信号灯器1の灯色の組み合わせを示す。図3に示すように、主道路の灯色1G(青)は、主道路の灯色1PG(歩青)と同時に点灯することは許可される。しかし、主道路の灯色1G(青)は、主道路の灯色1A(青矢)、従道路の2G(青)、2PG(歩青)又は2A(青矢)のいずれとも同時に点灯することは禁止されている。
【0038】
同様に、主道路の灯色1PG(歩青)は、主道路の灯色1G(青)と同時に点灯することは許容されるが、主道路の灯色1A(青矢)、従道路の2G(青)、2PG(歩青)又は2A(青矢)のいずれとも同時に点灯することは禁止されている。
【0039】
同様に、主道路の灯色1A(青矢)は、主道路の灯色1G(青)、1PG(歩青)、従道路の2G(青)、2PG(歩青)又は2A(青矢)のいずれとも同時に点灯することは禁止されている。また、従道路の灯色2G(青)、2PG(歩青)、2A(青矢)についても同様である。
【0040】
また、主道路の灯色と従道路の灯色の組み合わせに関し、図3に示すようにC1〜C6の区分に分けてある。区分C1〜C6で示す灯色の組み合わせを、どのタイミングで判定するかは後述する。
【0041】
生成部11は、模擬信号(模擬青信号)と、灯色出力回路40が出力する青出力状態とで灯色の組み合わせが禁止された同時青を模擬するとともに、模擬信号のみで灯色の組み合わせが禁止された同時青を模擬する。なお、生成部11が模擬信号を生成して論理和回路20へ出力しない場合でも、灯色出力回路40が出力する青出力状態のみで灯色の組み合わせが禁止された同時青となる。この場合には、現実に交通信号制御機100に故障が発生しており、模擬ではなく実際の故障状態を示すものである。
【0042】
論理和回路20は、生成部11で生成した模擬信号及び/又は灯色出力回路40が出力した灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青(青出力状態)である場合、当該灯色出力状態(すなわち、青出力状態)及び/又は取得した模擬信号を青青検出回路30へ出力する青色監視部としての機能を有する。すなわち、図2の場合には、灯色出力回路40の1G、1PG、1A、2G、2PG、2Aの6本の信号線と、模擬信号の1G、1PG、1A、2G、2PG、2Aの6本の信号線とが論理和回路20に入力され、1G、1PG、1A、2G、2PG、2Aのそれぞれについて、灯色出力回路40の信号線の信号と模擬信号の信号線の信号とが論理和される。
【0043】
論理和回路20が青青検出回路30へ出力する青の灯色出力状態(青出力状態)及び模擬信号を青出力モニタ(青監視信号)とも称する。すなわち、論理和回路20は、信号灯器1の灯色が青である状態を模擬する模擬信号及び/又は信号灯器1の灯色が青である灯色出力状態(青出力状態)を取得して、青出力モニタとして青青検出回路30へ出力する。また、論理和回路20は、青出力モニタを制御部10へ出力する。
【0044】
なお、図1の例で、論理和回路20を省略することもできる。この場合には、生成部11で生成した模擬信号を青青検出回路30へ出力するとともに、灯色出力回路40が出力する青出力状態を青青検出回路30へ出力すればよい。また、模擬信号と青出力状態とを青出力モニタとして制御部10へ出力すればよい。
【0045】
青青検出回路30は、各信号灯器1の灯色出力状態又は生成部11で生成した模擬信号に応じて、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す青青異常信号(禁止状態信号)を出力する禁止状態検出部としての機能を有する。
【0046】
青青検出回路30は、各信号灯器1の灯色出力状態(例えば、信号灯器を駆動するAC100Vなどの所定の電圧が信号灯器へ出力されているか否かを示す信号であり、青出力状態とも称する)及び/又は生成部11で生成した模擬信号に応じて(すなわち、灯色出力状態のみ、模擬信号のみ、あるいは灯色出力状態と模擬信号との組み合わせに応じて)、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号(青青異常信号とも称する)を出力する。
【0047】
より具体的には、青青検出回路30は、論理和回路20が出力する青出力モニタを取得し、同時青の状態であるか否かを判定し、同時青の状態であれば、青青異常信号を制御部10へ出力する。
【0048】
判定部12は、生成部11で生成した模擬信号、灯色出力回路40が出力した灯色出力状態、青青検出回路30が出力した青青異常信号(禁止状態信号)、論理和回路20が出力する青出力モニタなどに基づいて、青青検出回路30などの正常/異常を判定する。例えば、青青検出回路30が、灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す青青異常信号(禁止状態信号)を出力するように、生成部11が模擬信号を生成し、論理和回路20を介して模擬信号のみを青青検出回路30へ出力した場合に、青青検出回路30が正常であれば、青青検出回路30は、灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す青青異常信号を出力し、青青検出回路30が青青異常信号を出力しない場合には、青青検出回路30は異常であると判定することができる。したがって、青青検出回路30の異常を正確に特定することができる。
【0049】
また、論理和回路20を具備することにより、生成部11で生成した模擬信号を信号灯器の灯色表示には反映されないように論理和回路20へ出力するので、交通信号制御機100で信号灯器の灯色を切り替える通常の運用中であっても、模擬信号を用いて、信号灯器1の灯色が同時に青となる青青状態を疑似的に作り出すことができ、交通信号制御機100の通常の運用と同時並行に青青検出回路30の正常/異常を判定することができる。
【0050】
次に、模擬信号(模擬青信号)による灯色の同時青の状態を模擬する方法について説明する。模擬信号(模擬青信号)による灯色の同時青の状態を模擬する方法には、2通りの方法(パターン)がある。第1の方法(第1のパターン)は、任意の信号灯器1の灯色が青であるタイミングに、別の信号灯器1の灯色が青である状態を模擬すべく模擬信号を生成する場合であり、実際の灯色信号と模擬信号により同時青を模擬する。
【0051】
第2の方法(第2パターン)は、各信号灯器1の灯色のいずれもが青でないタイミングで、同時青の状態を模擬する模擬信号を生成する場合であり、模擬信号のみで同時青を模擬する。以下、それぞれの場合について説明する。
【0052】
図4は各信号灯器1の灯色のステップと模擬信号出力との関係を示す説明図である。図4は、ステップ(階梯)毎の各信号灯器1の灯色(信号灯)の切り替わりの様子を示す。図中、横線は青を表し、丸印の中の矢印は青矢を表し、丸印の中のFはフラッシュ(点滅)を表し、二重線は赤を表し、折れ線は黄を示す。なお、灯色1G、1PG、2G、2PGは、本来は青であるが、便宜上黄(Y)及び赤(R)を含めて記載している。また、模擬信号出力において、P1は上述の第1のパターンを表し、P2は第2のパターンを表し、横線は模擬信号を出力しないことを表す。また、図3で示した灯色の組み合わせC1〜C6を、どのステップ(階梯)で判定するかを示す。また、ステップ1〜14において、灯色の表示時間はステップに応じて異なるが、図4では簡略化のため表示時間は考慮していない。
【0053】
図4に示すように、ステップ3では、図3で示す灯色の組み合わせC1を用いる。すなわち、ステップ3では、灯色1Gは青であり、灯色1PG、2G、2PGの信号灯器の灯色は赤、1A、2Aは消灯している。そこで、灯色1Gとともに同時青の状態を模擬するため、模擬信号を出力する。すなわち、ステップ3の期間において、生成部11は、順次灯色1PG、2G、2PG、1A、2Aが青であるかのような模擬信号を生成して出力する。例えば、ステップ3の時間が、2秒であり、模擬信号の信号長(パルス幅)が10msとすると、ステップ3の期間中に、灯色1PG、2G、2PG、1A、2Aそれぞれが青である状態を複数回繰り返して模擬することができる。
【0054】
ステップ5、10、12もステップ3と同様に第1のパターンを用いる。また、ステップ5、10、12では、灯色の組み合わせC3、C4、C6を用いる。すなわち、1つの灯色が青であるので、当該青の灯色とともに同時青の状態を模擬するため、模擬信号を出力する。
【0055】
また、ステップ4では、図3で示す灯色の組み合わせC2を用いる。灯色の組み合わせがC2の場合、1PG(歩青)だけが単独で青になることはないので、模擬信号のみにより同時青の状態を模擬するため、ステップ4のタイミングを用いる。ステップ6、7についても同様である。ステップ4では、灯色1Gの信号灯器の灯色は黄であり、灯色1PG、2G、2PGの信号灯器の灯色は赤、1A、2Aは消灯している。すなわち、各信号灯器の灯色のいずれもが青ではない。そこで、同時青の状態が禁止されている2つの灯色が同時に青になる状態を模擬するため、模擬信号を出力する。すなわち、ステップ4の期間において、生成部11は、図3に示すような、禁止されている灯色の組み合わせを模擬する模擬信号を生成して出力する。例えば、1Gと2Gとが青になるような模擬信号を生成して出力する。
【0056】
ステップ6、7もステップ4と同様に第2のパターンを用いる。すなわち、いずれの灯色も青でないので、模擬信号のみで同時青の状態を模擬する。
【0057】
また、灯色の組み合わせがC5の場合、2PG(歩青)だけが単独で青になることはないので、模擬信号のみにより同時青の状態を模擬するため、ステップ11のタイミングを用いる。ステップ13、14についても同様である。ステップ11、13、14もステップ4と同様に第2のパターンを用いる。すなわち、いずれの灯色も青でないので、模擬信号のみで同時青の状態を模擬する。
【0058】
前述の第2のパターンのように、各信号灯器1のいずれの灯色も青でない場合、生成部11は、信号灯器1のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。各信号灯器1のいずれの灯色も青でないので、論理和回路20は、信号灯器の灯色が青である信号としては模擬信号だけを取得することになり、青出力モニタは、模擬信号だけで構成される。
【0059】
図4の例では、第1パターンP1及び第2パターンPの両方を用いる場合について説明したが、第1パターンP1を用いずに第2のパターンP2のみを用いて正常/異常の判定を行ってもよい。
【0060】
判定部12は、論理和回路20が出力する青出力モニタ(青監視信号)と、青青検出回路30が出力する青青異常信号とに基づいて、青青検出回路30の正常/異常を判定する。
【0061】
図5は青青検出回路30の正常異常を判定する一例を示す説明図である。図5に示すように、青出力モニタが同時青である場合に、青青異常信号がオンのときには青青検出回路30は正常であると判定し、青青異常信号がオフのときには青青検出回路30は異常であると判定する。また、青出力モニタが同時青でない場合に、青青異常信号がオンのときには青青検出回路30は異常であると判定し、青青異常信号がオフのときには青青検出回路30は正常であると判定する。これにより、青青検出回路30の異常を正確に特定することができる。
【0062】
同時青を模擬すべく、論理和回路20を介して、模擬信号のみを青青検出回路30へ出力した場合に、青青検出回路30が青青異常信号(同時青である状態の禁止状態信号)を出力しないときは、青青検出回路30が異常であると判定することができる。一方、模擬信号と灯色出力状態の両方を青青検出回路30へ出力した場合に、青青検出回路30が青青異常信号(同時青である状態の禁止状態信号)を出力しないときは、青青検出回路30の他に灯色出力回路40の異常も検出することができる。
【0063】
すなわち、前述の第1のパターンのように、一の信号灯器1の灯色が青の場合、生成部11は、当該一の信号灯器1とは別の信号灯器1の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。例えば、論理和回路20が、信号灯器1の灯色が青である青出力状態(灯色出力状態)と、別の信号灯器1の灯色を青に模擬する模擬信号とを取得して青出力モニタとして青青検出回路30へ出力した場合において、青青検出回路30が青青異常信号(同時青である状態の禁止状態信号)を出力したときには、青青検出回路30は正常であると判定することができ、また、青青検出回路30が青青異常信号を出力しないときには、青青検出回路30の異常だけでなく、灯色出力状態が伝送される信号線(例えば、灯色出力回路40と論理和回路20との間の伝送線)の異常も同時に判定することができ、故障していると推定される箇所を漏れなく抽出することができる。
【0064】
次に、判定部12による判定例について説明する。判定部12による判定は、模擬信号を用いた場合の判定、すなわち模擬的に同時青の状態を作り出して故障診断する場合と、模擬信号を用いない場合の判定、すなわち実際の同時青の有無を判定する場合とがある。
【0065】
図6は模擬信号を使用する場合の判定例を示す説明図である。図6に示すように、判定の場合分けは、青出力モニタが同時青か否かと、青青異常信号がオンかオフかで場合分けされる。例えば、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオンの場合、青青検出回路30は正常であると判定することができ、信号灯器1の閃光表示はしない。
【0066】
また、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオフの場合、青青検出回路30は異常であると判定することができ、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0067】
また、青出力モニタが同時青でなく、青青異常信号がオン又はオフの場合、生成部11から同時青を模擬すべく模擬信号が論理和回路20へ出力されているにもかかわらず、青出力モニタが同時青でないのは、論理和回路20を含む前段の回路又は伝送線が故障していると考えられるので、交通信号制御機100の異常と判定し、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0068】
すなわち、判定部12は、生成部11で少なくとも2つの信号灯器1の灯色が同時に青になる模擬信号を生成した場合に、論理和回路20が出力する青出力モニタが、少なくとも2つの信号灯器1の灯色が同時に青でないことを示すとき、異常と診断する。例えば、生成部11が一の信号灯器1の青出力状態(灯色出力状態が青の)が出力されているタイミングで、別の信号灯器1の灯色を青に模擬する模擬信号を生成して出力した場合、論理和回路20は、同時青を示す青出力モニタを出力すべきであるが、論理和回路20が出力する青出力モニタが同時青でない場合には、論理和回路20の異常、あるいは論理和回路20が取得した青出力状態の異常、すなわち、青出力状態を伝送する信号線又は青出力状態を出力する灯色出力回路などの異常と診断することができる。
【0069】
図7は模擬信号を使用しない場合の判定例を示す説明図である。図7に示すように、判定の場合分けは、青出力モニタが同時青か否かと、青青異常信号がオンかオフかで場合分けされる。例えば、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオンの場合、青青検出回路30は正常であると判定することができ、さらに実際の灯色が同時青の状態(模擬ではなく現実の同時青の状態)になっているので、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0070】
また、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオフの場合、青青検出回路30は異常であると判定することができ、さらに実際の灯色が同時青の状態(模擬ではなく現実の同時青の状態)になっているので、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0071】
また、青出力モニタが同時青でなく、青青異常信号がオンの場合、青青検出回路30は異常であると判定することができ、信号灯器1の閃光表示を行う。この場合には、模擬信号を用いることなく、未然に青青検出回路30の故障を見つけることができる。
【0072】
また、青出力モニタが同時青でなく、青青異常信号がオフの場合、青青検出回路30は正常であると判定することができ、さらに実際の灯色が同時青の状態ではないので、信号灯器1を閃光表示しない。
【0073】
次に、青青異常信号がオンとなる要因について説明する。青青異常信号がオンとなる要因には、例えば2通りあり、一方は模擬信号により灯色の同時青を模擬した場合であり、他方は実際に故障が発生して同時青になった場合である。そこで、青青異常信号がオンになる要因を判定する方法について説明する。
【0074】
図8は青青異常信号がオンとなる要因の判定方法の一例を示す説明図である。図8に示すように、信号灯器1の青灯が点灯している場合に、灯色出力回路40は、青出力状態である青(1G)を論理和回路20へ出力する。なお、青出力状態である青(1G)は、灯色1Gが点灯している間出力される。生成部11は、灯色の同時青の状態を模擬すべく模擬信号2G、2PG、2A、1Aを適当な時間を空けて生成して論理和回路20へ出力する。各模擬信号の信号長は、例えば、10ms程度である。
【0075】
論理和回路20は、青(1G)と模擬信号2Gとが入力された場合に同時青を示す青出力モニタを青青検出回路30へ出力し、青青出力検出回路30は、青青異常信号をオンとする(青青異常信号を出力する)。青青異常信号の信号長T1は、青(1G)と模擬信号2Gの両方が入力されている時間長であり、模擬信号の信号長が10ms程度であれば、信号長T1も10ms程度である。同様に、青(1G)と模擬信号2PGの両方が入力されている時間では、青青異常信号(信号長T2)が出力される。なお、信号長T1、T2は同一値でも異なる値でもよく、模擬信号長に依存する。
【0076】
一方、灯色出力回路40が、青出力状態である青(1G)を論理和回路20へ出力しているときに、実際に何らかの原因で故障が発生して、上述の信号灯器1とは別の信号灯器1の青灯(例えば、2G)が誤って点灯したときには、灯色出力回路40は、模擬信号の有無にかかわらず、青出力状態である青(2G)を出力する。
【0077】
論理和回路20は、青(1G)と青(2G)とが入力された場合に同時青を示す青出力モニタを青青検出回路30へ出力し、青青出力検出回路30は、青青異常信号をオンとする(青青異常信号を出力する)。この場合、青青異常信号の信号長は、模擬ではなく現実の故障による異常であるので、模擬信号による場合の信号長T1、T2に比べて長くなり、例えば、200msを超える時間となる。
【0078】
青青検出回路30は、論理和回路20から青出力モニタを取得して青青異常信号を判定部12へ出力する。判定部12は、青青出力回路30から出力された青青異常信号がオンの時間(少なくとも2つの信号灯器の灯色が禁止された組み合わせの青となる時間)に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する。例えば、青青異常信号がオンの時間及び所定の閾値T3に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する。例えば、所定の閾値T3は、200ms程度とすることができる。
【0079】
例えば、青出力状態(灯色出力状態)と模擬信号とにより同時青と判定した場合は、青青異常信号の信号長は、模擬信号の長さで決定され、例えば、10ms程度である。一方、青出力状態同士で同時青と判定した場合は、模擬ではなく現実の故障による異常であるので、青青異常信号の信号長は長くなる。そこで、青青異常信号の信号長を予め定めた閾値と比較し、青青異常信号が閾値より短い場合には、模擬信号によるものと判定することができ、青青異常信号が閾値よりも長い場合には、現実の故障によるものと判定することができる。図8の例では、模擬信号による青青異常信号の信号長は、T1、T2であり、いずれも閾値T3より短い。一方、現実の故障による青青異常信号は、閾値T3よりも長くなる。これにより、同時青の要因が模擬信号によるものが現実の故障によるものかを任意の時点で判定することができるので、例えば、交通信号制御機100の通常の運用中に、模擬信号による正常/異常判定を行うための占有時間などを設ける必要がなく、現実の青青異常検出を行いながら青青検出回路30の正常/異常を判定することができる。
【0080】
次に、模擬信号の生成及び出力タイミングについて説明する。図9は模擬信号の生成時点の一例を示す説明図である。図9は、例えば、信号灯器1の灯色がステップ4、ステップ5、ステップ6と切り替わる様子を示す。図9に示すように、例えば、ステップ5において、交通信号制御機100が信号灯器1の灯色を制御すべく生成する灯色信号、青矢(1A)により青矢が点灯し、ステップ6に切り替わったときに消灯するとする。
【0081】
交通信号制御機100が信号灯器1の灯色を制御すべく生成する灯色信号は、信号灯器1を駆動するためAC100V等の所定の電圧に変換されるが、当該電圧の有無を判定して出力される青出力状態(灯色出力状態)の切り替わりは、灯色信号の灯色の切り替わり時点に比べて遅延時間ΔTだけ遅延する。遅延時間ΔTは、例えば、2〜30ms程度である。
【0082】
このため、図9に示すように、信号灯器の灯色が切り替わった時点t1に模擬信号2Gを生成した場合、青出力状態(灯色出力状態)は、灯色信号が切り替わる前の灯色(ステップ5の灯色)となっているため、意図しない灯色の組み合わせを用いることになり、誤って青青異常信号が出力される。
【0083】
生成部11が、信号灯器1の灯色が切り替わった時点から所定時間(遅延時間ΔT)経過後に、当該一の信号灯器1とは別の信号灯器1の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。所定時間は、例えば、2〜30ms程度とすることができる。模擬信号を生成して出力する時点を遅延させることにより、意図通りの灯色の組み合わせを用い、誤って青青異常信号が出力されることを防止して青青検出回路30の正常/異常を判定することができる。
【0084】
インタフェース部50は、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有する。
【0085】
通知部60は、LEDなどの表示部を備え、青青検出回路30などの異常を示す異常情報を外部へ通知する。通知部60は、例えば、インタフェース部50を介して、通信回線を使用して外部の上位装置300へ青青検出回路30の異常を通知することができる。また、通知部60は、表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、青青検出回路30の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【0086】
次に、本実施の形態の交通信号制御機100による正常/異常の判定方法について説明する。図10は模擬信号を使用する場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、灯色が同時青となる状態を模擬する模擬信号を出力し(S11)、論理和回路20が出力する青出力モニタが同時青を示すか否かを判定する(S12)。
【0087】
青出力モニタが同時青である場合(S12でYES)、制御部10は、青青検出回路30が出力する青青異常信号がオンであるか否かを判定し(S13)、青青異常信号がオンでない場合(S13でNO)、青青検出回路が異常であると判定し(S14)、信号灯器1を閃光表示させて(S15)、処理を終了する。
【0088】
青青異常信号がオンである場合(S13でYES)、制御部10は、青青検出回路30が正常であると判定し(S16)、処理を終了する。なお、青青検出回路30が正常であると判定された場合、制御部10は、所定の時間が経過した後に、ステップS11以降の処理を繰り返すこともできる。すなわち、1つのステップ(階梯)の間に複数回模擬信号を生成して出力し、青青検出回路30の正常/異常を繰り返し判定することができる。
【0089】
青出力モニタが同時青でない場合(S12でNO)、制御部10は、例えば、論理和回路20又は論理和回路20の前段の回路等に異常があると自己診断し(S17)、ステップS15の処理を行う。
【0090】
図11は模擬信号を使用しない場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、論理和回路20が出力する青出力モニタが同時青を示すか否かを判定し(S21)、青出力モニタが同時青である場合(S21でYES)、青青検出回路30が出力する青青異常信号がオンであるか否かを判定する(S22)。
【0091】
青青異常信号がオンである場合(S22でYES)、制御部10は、青青検出回路30が正常であると判定し(S23)、灯色が同時青状態であると判定し(S24)、すなわち、実際に交通信号制御機100に故障が発生して、本来禁止されている同時青の状態が生じているとして信号灯器1を閃光表示させ(S25)、処理を終了する。
【0092】
青青異常信号がオンでない場合(S22でNO)、制御部10は、青青検出回路が異常であると判定し(S26)、信号灯器1を閃光表示させて(S27)、処理を終了する。
【0093】
青出力モニタが同時青でない場合(S21でNO)、制御部10は、青青検出回路30が出力する青青異常信号がオンであるか否かを判定し(S28)、青青異常信号がオンである場合(S28でYES)、ステップS26の処理を行う。
【0094】
青青異常信号がオンでない場合(S28でNO)、制御部10は、青青検出回路が正常であると判定し(S29)、信号灯器1の灯色が同時青状態ではないと判定し(S30)、処理を終了する。
【0095】
上述の実施の形態において、青青検出回路等が異常と判定された場合、異常と判定した日時等を記録することもできる。また、青青検出回路等が正常であると判定した日時を記録してもよい。青青検出回路等の正常又は異常を記録することにより、青青検出回路などの故障の要因を特定する情報として活用することができる。
【0096】
上述の実施の形態では、主道路と従道路とが交差する交差点を例として説明したが、主道路と従道路が交差する交差点に限定されるものではなく、どのような形態の交差点でも、本実施の形態の交通信号制御機100を適用することができる。
【0097】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
10 制御部
11 生成部
12 判定部(判定部、要因判定部、自己診断部)
20 論理和回路(青色監視部)
30 青青検出回路(禁止状態検出部)
40 灯色出力回路
50 インタフェース部
60 通知部
70 現示データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号制御機は、ステップ(階梯)毎に各信号灯器の灯色を定めた灯色情報、各灯色の表示時間などを含むステップ情報に基づいて、各信号灯器の灯色を切り替える(特許文献1参照)。そして、交通信号制御機は、自身の状態が正常であるか否かを監視している。交通信号制御機は、予め定められたステップ情報に基づいて、信号灯器の正常な3色灯色(赤、黄、青)での灯色制御ができないと判定した場合、例えば、交差する道路の信号灯器の灯色が同時に青になった場合には、閃光回路からの閃光信号に基づいて、信号灯器を閃光表示(例えば、黄点滅と赤点滅の組み合わせ、赤点滅など)することにより、車両又は歩行者に対して注意を促し、交通事故を未然に防止している。
【0003】
図12は従来の交通信号制御機200の構成例を示すブロック図である。図12に示すように、交通信号制御機200は、現示データ203に基づいて各信号灯器1の灯色を制御するため灯色信号を出力する制御部201、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有するインタフェース部202、制御部201が出力した灯色信号に基づいて、灯色出力状態(例えば、AC100V又は所定の電圧)を各信号灯器1へ出力する灯色出力回路205、灯色出力回路205が出力する電圧を検出して、各信号灯器1の灯色の青状態を取得し、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器1が同時に青になっている青青状態を検出して制御部201へ出力する青青検出回路204などを備えている。
【0004】
青青検出回路204で青青状態が検出された場合、不図示の閃光回路からの閃光信号を灯色出力回路205へ出力して、交通事故を誘発しかねない危険な青青状態を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−111395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の交通信号制御機200では、青青検出回路204が何らかの原因で故障した場合、青青検出回路204の異常を検出することができない。このため、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器1が、同時に青となる青青状態に現実になった場合に、青青状態を確実に検出することができない可能性があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、信号灯器の灯色の組み合わせが禁止されている状態を検出する検出機能が正常であるか否かを判定することができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る交通信号制御機は、複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機において、各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号を生成する生成部と、各信号灯器の灯色出力状態及び又は前記生成部で生成した模擬信号に応じて、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号を出力する禁止状態検出部と、前記生成部で生成した模擬信号及び/又は前記禁止状態検出部が出力した禁止状態信号に基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る交通信号制御機は、第1発明において、前記生成部で生成した模擬信号及び/又は各信号灯器の灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青である場合、該灯色出力状態及び/又は取得した模擬信号を前記禁止状態検出部へ出力する青色監視部を備え、前記禁止状態検出部は、前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青であることを示す場合、灯色の組み合わせが禁止された状態である旨の禁止状態信号を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る交通信号制御機は、第2発明において、前記生成部は、各信号灯器のいずれの灯色も青でない場合、該信号灯器のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る交通信号制御機は、第2発明又は第3発明において、前記生成部は、前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が青の場合、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る交通信号制御機は、第2発明又は第4発明において、前記生成部は、前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が切り替わった時点から所定時間経過後に、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る交通信号制御機は、第4発明又は第5発明において、前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態に基づいて、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青となる時間に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する要因判定部を備えることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る交通信号制御機は、第2発明乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記判定部は、前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態である青監視信号と、前記禁止状態検出部が出力する禁止状態信号とに基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る交通信号制御機は、第2発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記生成部で少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青になる模擬信号を生成した場合に、前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青でないことを示すとき、異常と診断する自己診断部を備えることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る交通信号制御機は、第1発明乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記禁止状態検出部の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする。
【0017】
第1発明にあっては、生成部は、各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号(模擬青信号とも称する)を生成して出力する。各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態とは、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器の灯色が同時に青になっている青青状態などをいう。禁止状態検出部は、各信号灯器の灯色出力状態(例えば、信号灯器を駆動するAC100Vなどの所定の電圧が信号灯器へ出力されているか否かを示す信号であり、青出力状態とも称する)及び/又は生成部で生成した模擬信号に応じて(すなわち、灯色出力状態のみ、模擬信号のみ、あるいは灯色出力状態と模擬信号との組み合わせに応じて)、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号(青青異常信号とも称する)を出力する。判定部は、生成部で生成した模擬信号と、禁止状態検出部が出力した禁止状態信号とに基づいて、禁止状態検出部の正常/異常を判定する。
【0018】
すなわち、禁止状態検出部が灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す禁止状態信号を出力するように、生成部が模擬信号を生成して出力した場合に、禁止状態検出部が正常であれば、禁止状態検出部は、灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す禁止状態信号を出力するはずである。したがって、生成部が生成して出力した模擬信号と禁止状態検出部が出力した禁止状態信号とを比較することにより、信号灯器の灯色の組み合わせが禁止されている状態を検出するための禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0019】
第2発明にあっては、青色監視部は、生成部で生成した模擬信号及び/又は各信号灯器の灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青である場合、該灯色出力状態及び/又は取得した模擬信号を禁止状態検出部へ出力する。青色監視部が禁止状態検出部へ出力する青の灯色出力状態及び模擬信号を青出力モニタとも称する。すなわち、青色監視部は、信号灯器の灯色を青に模擬する模擬信号、信号灯器の灯色が青である灯色出力状態を取得して、青出力モニタとして禁止状態検出部へ出力する。禁止状態検出部は、青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が禁止された組み合わせの青であることを示す場合、灯色の組み合わせが禁止された状態である旨の禁止状態信号(青青異常信号)を出力する。
【0020】
生成部で生成した模擬信号を信号灯器の灯色表示には反映されないように青色監視部へ出力するので、交通信号制御機で信号灯器の灯色を切り替える通常の運用中であっても、模擬信号を用いて、信号灯器の灯色が禁止された組み合わせの青となる青青状態を疑似的に作り出すことができ、交通信号制御機の通常の運用と同時並行に禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0021】
第3発明にあっては、生成部は、各信号灯器のいずれの灯色も青でない場合、信号灯器のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。各信号灯器のいずれの灯色も青でないので、青色監視部は、信号灯器の灯色が青である信号としては模擬信号だけを取得することになり、禁止状態検出部へ模擬信号だけを出力する。例えば、禁止状態検出部へ灯色が禁止された組み合わせの青となる模擬信号を出力した場合に、禁止状態検出部が禁止された組み合わせの青である状態の禁止状態信号を出力しないときは、禁止状態検出が異常であると判定することができる。模擬信号のみを用いることにより、灯色出力状態が伝送される信号線などの状態を除いて、禁止状態検出部だけの正常/異常を判定することができる。
【0022】
第4発明にあっては、生成部は、信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が青の場合、当該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。例えば、青色監視部が、信号灯器の灯色が青である灯色出力状態と、別の信号灯器の灯色を青に模擬する模擬信号とを禁止状態検出部へ出力した場合において、禁止状態検出部が禁止された組み合わせの青である状態の禁止状態信号を出力したときには、禁止状態検出部は正常であると判定することができ、また、禁止状態検出部が禁止状態信号を出力しないときには、禁止状態検出部の異常だけでなく、灯色出力状態を伝送する信号線の異常も同時に判定することができ、故障していると推定される箇所を漏れなく抽出することができる。
【0023】
第5発明にあっては、生成部は、信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が切り替わった時点から所定時間経過後に、当該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。所定時間は、例えば、2〜30ms程度とすることができる。交通信号制御機が信号灯器の灯色を制御すべく生成する灯色信号は、信号灯器を駆動するためAC100V等の所定の電圧に変換されるが、当該電圧の有無を判定して出力される灯色出力状態の切り替わりは、灯色信号の灯色の切り替わり時点に比べて遅延する。このため、信号灯器の灯色が切り替わった時点に模擬信号を生成した場合、灯色出力状態は、灯色信号が切り替わる前の灯色となっているため、意図しない灯色の組み合わせを用いることになる。模擬信号を生成して出力する時点を遅延させることにより、意図通りの灯色の組み合わせを用いて禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0024】
第6発明にあっては、要因判定部は、青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態に基づいて、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)となる時間に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する。
【0025】
例えば、灯色出力状態と模擬信号とにより同時青と判定した場合は、禁止状態信号(青青異常信号)の信号長は、模擬信号の長さで決定され、例えば、10ms程度である。一方、灯色出力状態同士で同時青と判定した場合は、模擬ではなく現実の故障による異常であるので、禁止状態信号(青青異常信号)の信号長は長くなる。そこで、禁止状態信号が短い場合には、模擬信号によるものと判定することができ、禁止状態信号が長い場合には、現実の故障によるものと判定することができる。これにより、同時青の要因が模擬信号によるものが現実の故障によるものかを任意の時点で判定することができるので、例えば、交通信号制御機の通常の運用中に、模擬信号による正常/異常判定を行うための占有時間などを設ける必要がなく、現実の青青異常検出を行いながら禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【0026】
第7発明にあっては、判定部は、青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態である青監視信号と、禁止状態検出部が出力する禁止状態信号とに基づいて、禁止状態検出部の正常/異常を判定する。例えば、青監視信号が同時青(禁止された組み合わせの青)である場合に、禁止状態信号が同時青(禁止された組み合わせの青)でないときは、禁止状態検出部が異常であると判定する。また、青監視信号が同時青でない場合に、禁止状態信号が同時青であるときも、禁止状態検出部が異常であると判定する。これにより、禁止状態検出部の異常を正確に特定することができる。
【0027】
第8発明にあっては、自己診断部は、生成部で少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)になる模擬信号を生成した場合に、青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態(青出力モニタ)が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)でないことを示すとき、異常と診断する。例えば、生成部が一の信号灯器の灯色出力状態が青のタイミングで、別の信号灯器の灯色を青に模擬する模擬信号を生成して出力した場合、青色監視部は、同時青を示す青出力モニタを出力すべきであるが、青色監視部が出力する模擬信号又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青でない場合には、青色監視部の異常、あるいは青色監視部が取得した灯色出力状態の異常、すなわち、灯色出力状態を伝送する信号線又は灯色出力状態を出力する回路(例えば、灯色出力回路と称する)などの異常と診断することができる。
【0028】
第9発明にあっては、通知部は、禁止状態検出部の異常を示す異常情報を外部へ通知する。通知部は、例えば、通信回線を使用して外部の上位装置へ禁止状態検出部の異常を通知することができ、あるいは交通信号制御機に備えられた表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、禁止状態検出部の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、生成部が生成して出力した模擬信号と禁止状態検出部が出力した禁止状態信号とを比較することにより、信号灯器の灯色の組み合わせが禁止されている状態を検出するための禁止状態検出部の正常/異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態に係る交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る交通信号制御機により制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。
【図3】各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された同時青の状態を示す説明図である。
【図4】各信号灯器の灯色のステップと模擬信号出力との関係を示す説明図である。
【図5】青青検出回路30の正常異常を判定する一例を示す説明図である。
【図6】模擬信号を使用する場合の判定例を示す説明図である。
【図7】模擬信号を使用しない場合の判定例を示す説明図である。
【図8】青青異常信号がオンとなる要因の判定方法の一例を示す説明図である。
【図9】模擬信号の生成時点の一例を示す説明図である。
【図10】模擬信号を使用する場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】模擬信号を使用しない場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】従来の交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る交通信号制御機の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通信号制御機100の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機100は、制御部10、論理和回路20、青青検出回路30、灯色出力回路40、インタフェース部50、通知部60、現示データ70などを備える。また、制御部10は、生成部11、判定部12などを備える。
【0032】
制御部10は、現示データ70に基づいて、各信号灯器1の灯色を切り替えるための灯色信号を灯色出力回路40へ出力する。
【0033】
現示データ70は、例えば、ステップ毎の各灯色の状態(点灯又は消灯)を示す灯色情報、灯色の順序、各ステップの基準表示秒数(基準表示時間)、最短表示秒数(最短表示時間)、最長表示秒数(最長表示時間)、階梯種別(例えば、長階梯、中階梯、短階梯などの区分を示す)、保安秒数、動作設定などの各情報を含む。
【0034】
灯色出力回路40は、制御部10が出力した灯色信号を、信号灯器1を駆動するためのAC100V又は所定の電圧に変換し、信号灯器1のランプ又はLED(発光ダイオード)を点灯させる。また、灯色出力回路40は、各信号灯器1の青灯を駆動するAC100V等の所定の電圧が各信号灯器1へ出力されているか否かを示す信号である青出力状態(灯色出力状態)を論理和回路20へ出力する。すなわち、信号灯器1の青灯を駆動する駆動線(電源線)にAC100V等が出力されている場合、当該信号灯器1の青出力状態はオン(又はあり)となる。したがって、図2の場合、青出力状態は、主道路側で3つ、従道路側で3つの合計6つの情報量を有する。
【0035】
生成部11は、各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号(模擬青信号とも称する)を生成して論理和回路20へ出力する。模擬信号も青出力状態と同じ情報量を有する。各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態とは、例えば、交差する道路それぞれに対する信号灯器1の灯色が同時に青(禁止された組み合わせの青)になっている青青状態をいう。以下、各信号灯器1の灯色の組み合わせが禁止された状態について説明する。本実施の形態で同時青とは、灯色が禁止された組み合わせの青であることを意味するものとする。
【0036】
図2は本実施の形態に係る交通信号制御機100により制御される信号灯器1が設置された交差点の一例を示す模式図である。図2に示すように、交差点は、主道路と従道路とが交差している。主道路に対する信号灯器1の灯色は、1G(青)、1A(右折の青矢)である。また、従道路に対する信号灯器1の灯色は、2G(青)、2A(右折の青矢)である。従道路を横断する横断歩道に対する歩行者用の信号灯器1は、1PG(歩青)であり、主道路を横断する横断歩道に対する歩行者用の信号灯器1は、2PG(歩青)である。なお、交差点に交差する道路の数、信号灯器1の灯色は、一例であって、図2の例に限定されない。また、本実施の形態で信号灯器1は、車両用の信号灯器、歩行者用の信号灯器も含む。また、灯色の青とは、直進の青、左折の青矢、右折の青矢、歩行者の青などを含む。
【0037】
図3は各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された同時青の状態を示す説明図である。図3において、符号Oは、灯色の組み合わせが許可された状態を示し、符号Nは禁止された状態を示す。また、図3の例は、図2で示す信号灯器1の灯色の組み合わせを示す。図3に示すように、主道路の灯色1G(青)は、主道路の灯色1PG(歩青)と同時に点灯することは許可される。しかし、主道路の灯色1G(青)は、主道路の灯色1A(青矢)、従道路の2G(青)、2PG(歩青)又は2A(青矢)のいずれとも同時に点灯することは禁止されている。
【0038】
同様に、主道路の灯色1PG(歩青)は、主道路の灯色1G(青)と同時に点灯することは許容されるが、主道路の灯色1A(青矢)、従道路の2G(青)、2PG(歩青)又は2A(青矢)のいずれとも同時に点灯することは禁止されている。
【0039】
同様に、主道路の灯色1A(青矢)は、主道路の灯色1G(青)、1PG(歩青)、従道路の2G(青)、2PG(歩青)又は2A(青矢)のいずれとも同時に点灯することは禁止されている。また、従道路の灯色2G(青)、2PG(歩青)、2A(青矢)についても同様である。
【0040】
また、主道路の灯色と従道路の灯色の組み合わせに関し、図3に示すようにC1〜C6の区分に分けてある。区分C1〜C6で示す灯色の組み合わせを、どのタイミングで判定するかは後述する。
【0041】
生成部11は、模擬信号(模擬青信号)と、灯色出力回路40が出力する青出力状態とで灯色の組み合わせが禁止された同時青を模擬するとともに、模擬信号のみで灯色の組み合わせが禁止された同時青を模擬する。なお、生成部11が模擬信号を生成して論理和回路20へ出力しない場合でも、灯色出力回路40が出力する青出力状態のみで灯色の組み合わせが禁止された同時青となる。この場合には、現実に交通信号制御機100に故障が発生しており、模擬ではなく実際の故障状態を示すものである。
【0042】
論理和回路20は、生成部11で生成した模擬信号及び/又は灯色出力回路40が出力した灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青(青出力状態)である場合、当該灯色出力状態(すなわち、青出力状態)及び/又は取得した模擬信号を青青検出回路30へ出力する青色監視部としての機能を有する。すなわち、図2の場合には、灯色出力回路40の1G、1PG、1A、2G、2PG、2Aの6本の信号線と、模擬信号の1G、1PG、1A、2G、2PG、2Aの6本の信号線とが論理和回路20に入力され、1G、1PG、1A、2G、2PG、2Aのそれぞれについて、灯色出力回路40の信号線の信号と模擬信号の信号線の信号とが論理和される。
【0043】
論理和回路20が青青検出回路30へ出力する青の灯色出力状態(青出力状態)及び模擬信号を青出力モニタ(青監視信号)とも称する。すなわち、論理和回路20は、信号灯器1の灯色が青である状態を模擬する模擬信号及び/又は信号灯器1の灯色が青である灯色出力状態(青出力状態)を取得して、青出力モニタとして青青検出回路30へ出力する。また、論理和回路20は、青出力モニタを制御部10へ出力する。
【0044】
なお、図1の例で、論理和回路20を省略することもできる。この場合には、生成部11で生成した模擬信号を青青検出回路30へ出力するとともに、灯色出力回路40が出力する青出力状態を青青検出回路30へ出力すればよい。また、模擬信号と青出力状態とを青出力モニタとして制御部10へ出力すればよい。
【0045】
青青検出回路30は、各信号灯器1の灯色出力状態又は生成部11で生成した模擬信号に応じて、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す青青異常信号(禁止状態信号)を出力する禁止状態検出部としての機能を有する。
【0046】
青青検出回路30は、各信号灯器1の灯色出力状態(例えば、信号灯器を駆動するAC100Vなどの所定の電圧が信号灯器へ出力されているか否かを示す信号であり、青出力状態とも称する)及び/又は生成部11で生成した模擬信号に応じて(すなわち、灯色出力状態のみ、模擬信号のみ、あるいは灯色出力状態と模擬信号との組み合わせに応じて)、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号(青青異常信号とも称する)を出力する。
【0047】
より具体的には、青青検出回路30は、論理和回路20が出力する青出力モニタを取得し、同時青の状態であるか否かを判定し、同時青の状態であれば、青青異常信号を制御部10へ出力する。
【0048】
判定部12は、生成部11で生成した模擬信号、灯色出力回路40が出力した灯色出力状態、青青検出回路30が出力した青青異常信号(禁止状態信号)、論理和回路20が出力する青出力モニタなどに基づいて、青青検出回路30などの正常/異常を判定する。例えば、青青検出回路30が、灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す青青異常信号(禁止状態信号)を出力するように、生成部11が模擬信号を生成し、論理和回路20を介して模擬信号のみを青青検出回路30へ出力した場合に、青青検出回路30が正常であれば、青青検出回路30は、灯色の組み合わせが禁止された状態であることを示す青青異常信号を出力し、青青検出回路30が青青異常信号を出力しない場合には、青青検出回路30は異常であると判定することができる。したがって、青青検出回路30の異常を正確に特定することができる。
【0049】
また、論理和回路20を具備することにより、生成部11で生成した模擬信号を信号灯器の灯色表示には反映されないように論理和回路20へ出力するので、交通信号制御機100で信号灯器の灯色を切り替える通常の運用中であっても、模擬信号を用いて、信号灯器1の灯色が同時に青となる青青状態を疑似的に作り出すことができ、交通信号制御機100の通常の運用と同時並行に青青検出回路30の正常/異常を判定することができる。
【0050】
次に、模擬信号(模擬青信号)による灯色の同時青の状態を模擬する方法について説明する。模擬信号(模擬青信号)による灯色の同時青の状態を模擬する方法には、2通りの方法(パターン)がある。第1の方法(第1のパターン)は、任意の信号灯器1の灯色が青であるタイミングに、別の信号灯器1の灯色が青である状態を模擬すべく模擬信号を生成する場合であり、実際の灯色信号と模擬信号により同時青を模擬する。
【0051】
第2の方法(第2パターン)は、各信号灯器1の灯色のいずれもが青でないタイミングで、同時青の状態を模擬する模擬信号を生成する場合であり、模擬信号のみで同時青を模擬する。以下、それぞれの場合について説明する。
【0052】
図4は各信号灯器1の灯色のステップと模擬信号出力との関係を示す説明図である。図4は、ステップ(階梯)毎の各信号灯器1の灯色(信号灯)の切り替わりの様子を示す。図中、横線は青を表し、丸印の中の矢印は青矢を表し、丸印の中のFはフラッシュ(点滅)を表し、二重線は赤を表し、折れ線は黄を示す。なお、灯色1G、1PG、2G、2PGは、本来は青であるが、便宜上黄(Y)及び赤(R)を含めて記載している。また、模擬信号出力において、P1は上述の第1のパターンを表し、P2は第2のパターンを表し、横線は模擬信号を出力しないことを表す。また、図3で示した灯色の組み合わせC1〜C6を、どのステップ(階梯)で判定するかを示す。また、ステップ1〜14において、灯色の表示時間はステップに応じて異なるが、図4では簡略化のため表示時間は考慮していない。
【0053】
図4に示すように、ステップ3では、図3で示す灯色の組み合わせC1を用いる。すなわち、ステップ3では、灯色1Gは青であり、灯色1PG、2G、2PGの信号灯器の灯色は赤、1A、2Aは消灯している。そこで、灯色1Gとともに同時青の状態を模擬するため、模擬信号を出力する。すなわち、ステップ3の期間において、生成部11は、順次灯色1PG、2G、2PG、1A、2Aが青であるかのような模擬信号を生成して出力する。例えば、ステップ3の時間が、2秒であり、模擬信号の信号長(パルス幅)が10msとすると、ステップ3の期間中に、灯色1PG、2G、2PG、1A、2Aそれぞれが青である状態を複数回繰り返して模擬することができる。
【0054】
ステップ5、10、12もステップ3と同様に第1のパターンを用いる。また、ステップ5、10、12では、灯色の組み合わせC3、C4、C6を用いる。すなわち、1つの灯色が青であるので、当該青の灯色とともに同時青の状態を模擬するため、模擬信号を出力する。
【0055】
また、ステップ4では、図3で示す灯色の組み合わせC2を用いる。灯色の組み合わせがC2の場合、1PG(歩青)だけが単独で青になることはないので、模擬信号のみにより同時青の状態を模擬するため、ステップ4のタイミングを用いる。ステップ6、7についても同様である。ステップ4では、灯色1Gの信号灯器の灯色は黄であり、灯色1PG、2G、2PGの信号灯器の灯色は赤、1A、2Aは消灯している。すなわち、各信号灯器の灯色のいずれもが青ではない。そこで、同時青の状態が禁止されている2つの灯色が同時に青になる状態を模擬するため、模擬信号を出力する。すなわち、ステップ4の期間において、生成部11は、図3に示すような、禁止されている灯色の組み合わせを模擬する模擬信号を生成して出力する。例えば、1Gと2Gとが青になるような模擬信号を生成して出力する。
【0056】
ステップ6、7もステップ4と同様に第2のパターンを用いる。すなわち、いずれの灯色も青でないので、模擬信号のみで同時青の状態を模擬する。
【0057】
また、灯色の組み合わせがC5の場合、2PG(歩青)だけが単独で青になることはないので、模擬信号のみにより同時青の状態を模擬するため、ステップ11のタイミングを用いる。ステップ13、14についても同様である。ステップ11、13、14もステップ4と同様に第2のパターンを用いる。すなわち、いずれの灯色も青でないので、模擬信号のみで同時青の状態を模擬する。
【0058】
前述の第2のパターンのように、各信号灯器1のいずれの灯色も青でない場合、生成部11は、信号灯器1のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。各信号灯器1のいずれの灯色も青でないので、論理和回路20は、信号灯器の灯色が青である信号としては模擬信号だけを取得することになり、青出力モニタは、模擬信号だけで構成される。
【0059】
図4の例では、第1パターンP1及び第2パターンPの両方を用いる場合について説明したが、第1パターンP1を用いずに第2のパターンP2のみを用いて正常/異常の判定を行ってもよい。
【0060】
判定部12は、論理和回路20が出力する青出力モニタ(青監視信号)と、青青検出回路30が出力する青青異常信号とに基づいて、青青検出回路30の正常/異常を判定する。
【0061】
図5は青青検出回路30の正常異常を判定する一例を示す説明図である。図5に示すように、青出力モニタが同時青である場合に、青青異常信号がオンのときには青青検出回路30は正常であると判定し、青青異常信号がオフのときには青青検出回路30は異常であると判定する。また、青出力モニタが同時青でない場合に、青青異常信号がオンのときには青青検出回路30は異常であると判定し、青青異常信号がオフのときには青青検出回路30は正常であると判定する。これにより、青青検出回路30の異常を正確に特定することができる。
【0062】
同時青を模擬すべく、論理和回路20を介して、模擬信号のみを青青検出回路30へ出力した場合に、青青検出回路30が青青異常信号(同時青である状態の禁止状態信号)を出力しないときは、青青検出回路30が異常であると判定することができる。一方、模擬信号と灯色出力状態の両方を青青検出回路30へ出力した場合に、青青検出回路30が青青異常信号(同時青である状態の禁止状態信号)を出力しないときは、青青検出回路30の他に灯色出力回路40の異常も検出することができる。
【0063】
すなわち、前述の第1のパターンのように、一の信号灯器1の灯色が青の場合、生成部11は、当該一の信号灯器1とは別の信号灯器1の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。例えば、論理和回路20が、信号灯器1の灯色が青である青出力状態(灯色出力状態)と、別の信号灯器1の灯色を青に模擬する模擬信号とを取得して青出力モニタとして青青検出回路30へ出力した場合において、青青検出回路30が青青異常信号(同時青である状態の禁止状態信号)を出力したときには、青青検出回路30は正常であると判定することができ、また、青青検出回路30が青青異常信号を出力しないときには、青青検出回路30の異常だけでなく、灯色出力状態が伝送される信号線(例えば、灯色出力回路40と論理和回路20との間の伝送線)の異常も同時に判定することができ、故障していると推定される箇所を漏れなく抽出することができる。
【0064】
次に、判定部12による判定例について説明する。判定部12による判定は、模擬信号を用いた場合の判定、すなわち模擬的に同時青の状態を作り出して故障診断する場合と、模擬信号を用いない場合の判定、すなわち実際の同時青の有無を判定する場合とがある。
【0065】
図6は模擬信号を使用する場合の判定例を示す説明図である。図6に示すように、判定の場合分けは、青出力モニタが同時青か否かと、青青異常信号がオンかオフかで場合分けされる。例えば、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオンの場合、青青検出回路30は正常であると判定することができ、信号灯器1の閃光表示はしない。
【0066】
また、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオフの場合、青青検出回路30は異常であると判定することができ、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0067】
また、青出力モニタが同時青でなく、青青異常信号がオン又はオフの場合、生成部11から同時青を模擬すべく模擬信号が論理和回路20へ出力されているにもかかわらず、青出力モニタが同時青でないのは、論理和回路20を含む前段の回路又は伝送線が故障していると考えられるので、交通信号制御機100の異常と判定し、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0068】
すなわち、判定部12は、生成部11で少なくとも2つの信号灯器1の灯色が同時に青になる模擬信号を生成した場合に、論理和回路20が出力する青出力モニタが、少なくとも2つの信号灯器1の灯色が同時に青でないことを示すとき、異常と診断する。例えば、生成部11が一の信号灯器1の青出力状態(灯色出力状態が青の)が出力されているタイミングで、別の信号灯器1の灯色を青に模擬する模擬信号を生成して出力した場合、論理和回路20は、同時青を示す青出力モニタを出力すべきであるが、論理和回路20が出力する青出力モニタが同時青でない場合には、論理和回路20の異常、あるいは論理和回路20が取得した青出力状態の異常、すなわち、青出力状態を伝送する信号線又は青出力状態を出力する灯色出力回路などの異常と診断することができる。
【0069】
図7は模擬信号を使用しない場合の判定例を示す説明図である。図7に示すように、判定の場合分けは、青出力モニタが同時青か否かと、青青異常信号がオンかオフかで場合分けされる。例えば、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオンの場合、青青検出回路30は正常であると判定することができ、さらに実際の灯色が同時青の状態(模擬ではなく現実の同時青の状態)になっているので、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0070】
また、青出力モニタが同時青であり、青青異常信号がオフの場合、青青検出回路30は異常であると判定することができ、さらに実際の灯色が同時青の状態(模擬ではなく現実の同時青の状態)になっているので、信号灯器1の閃光表示を行う。
【0071】
また、青出力モニタが同時青でなく、青青異常信号がオンの場合、青青検出回路30は異常であると判定することができ、信号灯器1の閃光表示を行う。この場合には、模擬信号を用いることなく、未然に青青検出回路30の故障を見つけることができる。
【0072】
また、青出力モニタが同時青でなく、青青異常信号がオフの場合、青青検出回路30は正常であると判定することができ、さらに実際の灯色が同時青の状態ではないので、信号灯器1を閃光表示しない。
【0073】
次に、青青異常信号がオンとなる要因について説明する。青青異常信号がオンとなる要因には、例えば2通りあり、一方は模擬信号により灯色の同時青を模擬した場合であり、他方は実際に故障が発生して同時青になった場合である。そこで、青青異常信号がオンになる要因を判定する方法について説明する。
【0074】
図8は青青異常信号がオンとなる要因の判定方法の一例を示す説明図である。図8に示すように、信号灯器1の青灯が点灯している場合に、灯色出力回路40は、青出力状態である青(1G)を論理和回路20へ出力する。なお、青出力状態である青(1G)は、灯色1Gが点灯している間出力される。生成部11は、灯色の同時青の状態を模擬すべく模擬信号2G、2PG、2A、1Aを適当な時間を空けて生成して論理和回路20へ出力する。各模擬信号の信号長は、例えば、10ms程度である。
【0075】
論理和回路20は、青(1G)と模擬信号2Gとが入力された場合に同時青を示す青出力モニタを青青検出回路30へ出力し、青青出力検出回路30は、青青異常信号をオンとする(青青異常信号を出力する)。青青異常信号の信号長T1は、青(1G)と模擬信号2Gの両方が入力されている時間長であり、模擬信号の信号長が10ms程度であれば、信号長T1も10ms程度である。同様に、青(1G)と模擬信号2PGの両方が入力されている時間では、青青異常信号(信号長T2)が出力される。なお、信号長T1、T2は同一値でも異なる値でもよく、模擬信号長に依存する。
【0076】
一方、灯色出力回路40が、青出力状態である青(1G)を論理和回路20へ出力しているときに、実際に何らかの原因で故障が発生して、上述の信号灯器1とは別の信号灯器1の青灯(例えば、2G)が誤って点灯したときには、灯色出力回路40は、模擬信号の有無にかかわらず、青出力状態である青(2G)を出力する。
【0077】
論理和回路20は、青(1G)と青(2G)とが入力された場合に同時青を示す青出力モニタを青青検出回路30へ出力し、青青出力検出回路30は、青青異常信号をオンとする(青青異常信号を出力する)。この場合、青青異常信号の信号長は、模擬ではなく現実の故障による異常であるので、模擬信号による場合の信号長T1、T2に比べて長くなり、例えば、200msを超える時間となる。
【0078】
青青検出回路30は、論理和回路20から青出力モニタを取得して青青異常信号を判定部12へ出力する。判定部12は、青青出力回路30から出力された青青異常信号がオンの時間(少なくとも2つの信号灯器の灯色が禁止された組み合わせの青となる時間)に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する。例えば、青青異常信号がオンの時間及び所定の閾値T3に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する。例えば、所定の閾値T3は、200ms程度とすることができる。
【0079】
例えば、青出力状態(灯色出力状態)と模擬信号とにより同時青と判定した場合は、青青異常信号の信号長は、模擬信号の長さで決定され、例えば、10ms程度である。一方、青出力状態同士で同時青と判定した場合は、模擬ではなく現実の故障による異常であるので、青青異常信号の信号長は長くなる。そこで、青青異常信号の信号長を予め定めた閾値と比較し、青青異常信号が閾値より短い場合には、模擬信号によるものと判定することができ、青青異常信号が閾値よりも長い場合には、現実の故障によるものと判定することができる。図8の例では、模擬信号による青青異常信号の信号長は、T1、T2であり、いずれも閾値T3より短い。一方、現実の故障による青青異常信号は、閾値T3よりも長くなる。これにより、同時青の要因が模擬信号によるものが現実の故障によるものかを任意の時点で判定することができるので、例えば、交通信号制御機100の通常の運用中に、模擬信号による正常/異常判定を行うための占有時間などを設ける必要がなく、現実の青青異常検出を行いながら青青検出回路30の正常/異常を判定することができる。
【0080】
次に、模擬信号の生成及び出力タイミングについて説明する。図9は模擬信号の生成時点の一例を示す説明図である。図9は、例えば、信号灯器1の灯色がステップ4、ステップ5、ステップ6と切り替わる様子を示す。図9に示すように、例えば、ステップ5において、交通信号制御機100が信号灯器1の灯色を制御すべく生成する灯色信号、青矢(1A)により青矢が点灯し、ステップ6に切り替わったときに消灯するとする。
【0081】
交通信号制御機100が信号灯器1の灯色を制御すべく生成する灯色信号は、信号灯器1を駆動するためAC100V等の所定の電圧に変換されるが、当該電圧の有無を判定して出力される青出力状態(灯色出力状態)の切り替わりは、灯色信号の灯色の切り替わり時点に比べて遅延時間ΔTだけ遅延する。遅延時間ΔTは、例えば、2〜30ms程度である。
【0082】
このため、図9に示すように、信号灯器の灯色が切り替わった時点t1に模擬信号2Gを生成した場合、青出力状態(灯色出力状態)は、灯色信号が切り替わる前の灯色(ステップ5の灯色)となっているため、意図しない灯色の組み合わせを用いることになり、誤って青青異常信号が出力される。
【0083】
生成部11が、信号灯器1の灯色が切り替わった時点から所定時間(遅延時間ΔT)経過後に、当該一の信号灯器1とは別の信号灯器1の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成する。所定時間は、例えば、2〜30ms程度とすることができる。模擬信号を生成して出力する時点を遅延させることにより、意図通りの灯色の組み合わせを用い、誤って青青異常信号が出力されることを防止して青青検出回路30の正常/異常を判定することができる。
【0084】
インタフェース部50は、外部の管制センタにある上位装置300との間の通信機能を有する。
【0085】
通知部60は、LEDなどの表示部を備え、青青検出回路30などの異常を示す異常情報を外部へ通知する。通知部60は、例えば、インタフェース部50を介して、通信回線を使用して外部の上位装置300へ青青検出回路30の異常を通知することができる。また、通知部60は、表示灯などを点灯又は点滅させて異常を通知することができる。これにより、青青検出回路30の異常が発生した場合、速やかに異常を伝えることができる。
【0086】
次に、本実施の形態の交通信号制御機100による正常/異常の判定方法について説明する。図10は模擬信号を使用する場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、灯色が同時青となる状態を模擬する模擬信号を出力し(S11)、論理和回路20が出力する青出力モニタが同時青を示すか否かを判定する(S12)。
【0087】
青出力モニタが同時青である場合(S12でYES)、制御部10は、青青検出回路30が出力する青青異常信号がオンであるか否かを判定し(S13)、青青異常信号がオンでない場合(S13でNO)、青青検出回路が異常であると判定し(S14)、信号灯器1を閃光表示させて(S15)、処理を終了する。
【0088】
青青異常信号がオンである場合(S13でYES)、制御部10は、青青検出回路30が正常であると判定し(S16)、処理を終了する。なお、青青検出回路30が正常であると判定された場合、制御部10は、所定の時間が経過した後に、ステップS11以降の処理を繰り返すこともできる。すなわち、1つのステップ(階梯)の間に複数回模擬信号を生成して出力し、青青検出回路30の正常/異常を繰り返し判定することができる。
【0089】
青出力モニタが同時青でない場合(S12でNO)、制御部10は、例えば、論理和回路20又は論理和回路20の前段の回路等に異常があると自己診断し(S17)、ステップS15の処理を行う。
【0090】
図11は模擬信号を使用しない場合の正常/異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、論理和回路20が出力する青出力モニタが同時青を示すか否かを判定し(S21)、青出力モニタが同時青である場合(S21でYES)、青青検出回路30が出力する青青異常信号がオンであるか否かを判定する(S22)。
【0091】
青青異常信号がオンである場合(S22でYES)、制御部10は、青青検出回路30が正常であると判定し(S23)、灯色が同時青状態であると判定し(S24)、すなわち、実際に交通信号制御機100に故障が発生して、本来禁止されている同時青の状態が生じているとして信号灯器1を閃光表示させ(S25)、処理を終了する。
【0092】
青青異常信号がオンでない場合(S22でNO)、制御部10は、青青検出回路が異常であると判定し(S26)、信号灯器1を閃光表示させて(S27)、処理を終了する。
【0093】
青出力モニタが同時青でない場合(S21でNO)、制御部10は、青青検出回路30が出力する青青異常信号がオンであるか否かを判定し(S28)、青青異常信号がオンである場合(S28でYES)、ステップS26の処理を行う。
【0094】
青青異常信号がオンでない場合(S28でNO)、制御部10は、青青検出回路が正常であると判定し(S29)、信号灯器1の灯色が同時青状態ではないと判定し(S30)、処理を終了する。
【0095】
上述の実施の形態において、青青検出回路等が異常と判定された場合、異常と判定した日時等を記録することもできる。また、青青検出回路等が正常であると判定した日時を記録してもよい。青青検出回路等の正常又は異常を記録することにより、青青検出回路などの故障の要因を特定する情報として活用することができる。
【0096】
上述の実施の形態では、主道路と従道路とが交差する交差点を例として説明したが、主道路と従道路が交差する交差点に限定されるものではなく、どのような形態の交差点でも、本実施の形態の交通信号制御機100を適用することができる。
【0097】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
10 制御部
11 生成部
12 判定部(判定部、要因判定部、自己診断部)
20 論理和回路(青色監視部)
30 青青検出回路(禁止状態検出部)
40 灯色出力回路
50 インタフェース部
60 通知部
70 現示データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機において、
各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号を生成する生成部と、
各信号灯器の灯色出力状態及び又は前記生成部で生成した模擬信号に応じて、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号を出力する禁止状態検出部と、
前記生成部で生成した模擬信号及び/又は前記禁止状態検出部が出力した禁止状態信号に基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定する判定部と
を備えることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記生成部で生成した模擬信号及び/又は各信号灯器の灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青である場合、該灯色出力状態及び/又は取得した模擬信号を前記禁止状態検出部へ出力する青色監視部を備え、
前記禁止状態検出部は、
前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青であることを示す場合、灯色の組み合わせが禁止された状態である旨の禁止状態信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記生成部は、
各信号灯器のいずれの灯色も青でない場合、該信号灯器のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記生成部は、
前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が青の場合、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の交通信号制御機。
【請求項5】
前記生成部は、
前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が切り替わった時点から所定時間経過後に、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の交通信号制御機。
【請求項6】
前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態に基づいて、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青となる時間に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する要因判定部を備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の交通信号制御機。
【請求項7】
前記判定部は、
前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態である青監視信号と、前記禁止状態検出部が出力する禁止状態信号とに基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項8】
前記生成部で少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青になる模擬信号を生成した場合に、前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青でないことを示すとき、異常と診断する自己診断部を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項9】
前記禁止状態検出部の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項1】
複数の信号灯器の灯色を切り替える交通信号制御機において、
各信号灯器の灯色の組み合わせが禁止された状態を模擬するための模擬信号を生成する生成部と、
各信号灯器の灯色出力状態及び又は前記生成部で生成した模擬信号に応じて、灯色の組み合わせが禁止された状態であるか否かを示す禁止状態信号を出力する禁止状態検出部と、
前記生成部で生成した模擬信号及び/又は前記禁止状態検出部が出力した禁止状態信号に基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定する判定部と
を備えることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記生成部で生成した模擬信号及び/又は各信号灯器の灯色出力状態を取得し、取得した灯色出力状態が青である場合、該灯色出力状態及び/又は取得した模擬信号を前記禁止状態検出部へ出力する青色監視部を備え、
前記禁止状態検出部は、
前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青であることを示す場合、灯色の組み合わせが禁止された状態である旨の禁止状態信号を出力するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記生成部は、
各信号灯器のいずれの灯色も青でない場合、該信号灯器のうち少なくとも2つの信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記生成部は、
前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が青の場合、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の交通信号制御機。
【請求項5】
前記生成部は、
前記信号灯器のいずれか一の信号灯器の灯色が切り替わった時点から所定時間経過後に、該一の信号灯器とは別の信号灯器の灯色が青である状態を模擬する模擬信号を生成するように構成してあることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の交通信号制御機。
【請求項6】
前記青色監視部から取得した模擬信号及び/又は灯色出力状態に基づいて、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青となる時間に基づいて、灯色が同時に青となる要因が模擬信号によるものか否かを判定する要因判定部を備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の交通信号制御機。
【請求項7】
前記判定部は、
前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態である青監視信号と、前記禁止状態検出部が出力する禁止状態信号とに基づいて、該禁止状態検出部の正常/異常を判定するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項8】
前記生成部で少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青になる模擬信号を生成した場合に、前記青色監視部が出力する模擬信号及び/又は灯色出力状態が、少なくとも2つの信号灯器の灯色が同時に青でないことを示すとき、異常と診断する自己診断部を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項9】
前記禁止状態検出部の異常を示す異常情報を外部へ通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−33111(P2012−33111A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173955(P2010−173955)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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