説明

交通信号灯器

【課題】着雪防止板を前傾させることで着雪を防止しつつ、着雪防止板と表示器表面との間に塵埃などが侵入せず、しかも、はっきりと見やすく、構造の簡単な交通信号灯器を提供する。
【解決手段】LEDユニット11を前傾させ、その前面に、難着雪性のポリカーボネートで形成された光拡散性(反射防止効果)を有する透明な着雪防止板12を密着するように重ねて前傾配置する。LEDユニット11の発光形状は水平方向遠方から見た場合に円形に見えるように縦長楕円形にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号灯器に係わり、特に、表面に雪が付着しないようにした交通信号灯器に関する。
【背景技術】
【0002】
降雪量の多い雪国に設置する交通信号灯器などにおいては、表面への着雪を防止する必要がある。そこで、表示器の前方に、透明な着雪防止板を前傾させて取り付け、正面から吹き付ける風が、着雪防止板の傾斜に沿って下方に流れるようにすることで、風のよどみ点をなくして、着雪を防止するようにした表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−109187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路の上方に設置される交通信号灯器においては、太陽光(特に西日)の反射による眩しさを防止することも重要であり、通常は、灯器にフードを設けて日差しを遮るようにしている。
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されているように、着雪防止板を前傾させると、フードと灯器と着雪防止板とによって囲まれた空間が形成されるので、ここへの塵埃や雪、小さな昆虫、水などの侵入を防止するためにパッキンで密閉するなどの対策を施さねばならず、構造が複雑になって装置価格が高騰してしまうという問題があった。
【0006】
フードに代えて、光を拡散させる反射防止処理(ノングレア処理)を着雪防止板に施すことも考えられるが、この場合においても、前傾した着雪防止板と略鉛直な灯器表面との間に空間が生じるので、この空間の周囲を覆って密閉する対策を要してしまう。
【0007】
また、略鉛直な灯器表面と前傾した着雪防止板との間隔は上方に行くほど広がるので、離れた部分では灯器から出た光が反射防止処理の施された着雪防止板で拡散されやすくなり、灯器の輪郭がぼやけて見難くなるという問題が生じる。この現象は、たとえば、磨りガラスの向こうにライトを配置したとき、磨りガラスとライトとの距離が短いとライトの輪郭がはっきりと見えるが、ライトを磨りガラスから遠ざけるほど輪郭がぼやけることと同様である。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、着雪防止板を前傾させることで着雪を防止しつつ、着雪防止板と表示器表面との間に塵埃などが侵入せず、しかも、はっきりと見やすく、構造の簡単な交通信号灯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は以下に示す各発明により達成される。
【0010】
[1]LEDユニットで構成された灯器(11)を前傾させ、
光透過性を備えた着雪防止板(12)を前記灯器(11)の前面にほぼ密着させて配置すると共に、
前記着雪防止板(12)は、低熱伝導率であって前記灯器(11)と反対側の表面に付着した雪が前記灯器(11)からの熱で融けない断熱性が確保される厚みを有する
ことを特徴とする交通信号灯器。
【0011】
上記発明によれば、正面から吹き付ける風が、着雪防止板(12)の傾斜に沿って下方に流れることにより着雪が防止される。また、灯器(11)も前傾しているので、着雪防止板(12)と灯器(11)の前面との間隔を少なくでき、塵埃などの侵入防止対策が容易になる。
【0012】
上記発明によれば、着雪防止板(12)と灯器(11)の前面との隙間がなくなり、塵埃などの侵入防止対策がさらに容易になる。
【0013】
[2]前記着雪防止板(12)は光拡散性をさらに有する
ことを特徴とする[1]に記載の交通信号灯器。
【0014】
上記発明によれば、着雪防止板(12)に西日など太陽光が当たった場合には着雪防止板(12)の光拡散性によって反射光が散乱して眩しさが緩和される。なお、灯器(11)を前傾あるいは灯器(11)の前面に着雪防止板(12)を重ねて配置することで灯器(11)と着雪防止板(12)との間隔が少なくなるので、着雪防止板(12)の光拡散性によって灯器(11)の輪郭がぼやけ難い。
【0015】
[3]前傾させることで生じる水平方向から見た形状の変形分が補正されるように前記灯器(11)の発光形状を縦長にした
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の交通信号灯器。
【0016】
上記発明によれば、前傾した灯器(11)を水平方向から見た場合に灯器(11)の形状が縦に短く潰れて観察される現象が、灯器(11)の発光形状を縦長にすることによって相殺される。
【0017】
[4]前記LEDユニット(11)は、前傾した基板にLED素子(22a)を取り付けたものであって、その光軸方向を前記LED素子(22a)の足を曲げて調整した
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の交通信号灯器。
【0018】
上記発明によれば、LEDユニット(11)の基板は前傾して配置されるが、LED素子(22a)の足(リード)を曲げることで光軸が水平に調整される。LED素子(22a)は、複数の足が横並びとなるように基板に取り付けるとよい。
【0019】
[5]前記LEDユニット(11)は、前傾した基板に光の射出方向を変えるレンズ付きLED素子(22)を取り付けたものである
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の交通信号灯器。
【0020】
上記発明によれば、LEDユニット(11)の基板は前傾して配置されるが、LED素子(22)の持つレンズにより光軸が水平方向に補正される。
【0021】
[6]前記LEDユニット(11)は、前傾した基盤にLED素子(22b)を配設したものであり、
前記各LED素子(22b)の前方に、該LED素子(22b)の光軸の前傾を補正するレンズ(25)を配置した
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の交通信号灯器。
【0022】
上記発明によれば、前傾した基板に足を曲げずに各LED素子(22b)を配設し、各LED素子(22b)の光軸の前傾は、各LED素子(22b)の前方に配置したレンズ(25)で補正する。レンズ(25)は、LED素子(22b)毎に対応して設けられる。
【0023】
[7]前記レンズ(25)は、前記着雪防止板(12)の裏面に取り付けられている
ことを特徴とする[6]に記載の交通信号灯器。
【0024】
上記発明では、着雪防止板(12)の裏面にレンズ(25)を取り付けるので、適切な位置へのレンズの配設保持が容易になる。
【0025】
[8]前記レンズ(25)は、前記着雪防止板(12)の裏面に該着雪防止板(12)と一体に形成されている
ことを特徴とする[6]に記載の交通信号灯器。
【0026】
上記発明によれば、レンズ(25)は着雪防止板(12)の裏面側に着雪防止板(12)と一体に形成されるので、適切な位置へのレンズ(25)の配設保持およびレンズ(25)の製作が容易になる。
【0027】
[9]着雪防止板(12)をポリカーボネートで形成した
ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の交通信号灯器。
【0028】
上記発明によれば、着雪防止板(12)は、透明性、凍着抵抗力、断熱性、光拡散性(表面粗さ)などに優れたポリカーボネートで形成される。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係わる交通信号灯器によれば、着雪防止板を前傾させることで着雪が防止される。また、灯器と着雪防止板の両方が前傾しているので、着雪防止板と灯器の前面との距離を少なくでき、塵埃などの侵入防止対策が容易になる。特に、灯器の前面に着雪防止板を重ねて配置したものでは、これらがほぼ密着するので、塵埃などの侵入防止対策を不要もしくはより簡単なものにでき、構造が簡略化される。灯器は前傾しているので直接日光が入り込みにくく、庇がなくても良好な視認性を確保することができる。
【0030】
着雪防止板が光拡散性を有するものでは、太陽光の反射による眩しさが防止される。また、灯器の前面に着雪防止板を重ねて配置するなどによって灯器と着雪防止板との距離が短いので、光拡散性を備えた着雪防止板を通した場合にも灯器の輪郭がぼやけ難くはっきりと見えるようになる。
【0031】
発光形状を縦長にしたものでは、水平方向から見た場合の発光形状を予定の形状、たとえば、円形にすることができる。また、灯器は前傾しているので、交差点に進入する車両または信号待ちの車両に対して、より大きな発光面を表示できる。
【0032】
灯器をLEDユニットで構成したものでは、発熱量が少なくなり、外気温度と着雪防止板との温度差が減り、着雪し難くなる。さらに、発熱量が少ないので、LEDユニットと着雪防止板とをほぼ密着して配置しても前記温度差を少なく維持でき、別途の放熱機構も不要となり、交通信号灯器の薄型化・小型化に貢献する。
【0033】
また、LED素子を曲げたり、斜めにLED素子を実装したり、レンズ付きLED素子を使用したり、着雪防止板にレンズ機能をもたせたりすることで、灯器としてのLEDユニット自体が前傾していても、光軸を水平にすることができ、水平方向遠方からの良好な視認性が確保される。
【0034】
ポリカーボネートで着雪防止板を形成したものでは、より高い着雪防止効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係わる交通信号灯器を水平方向から見た正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる交通信号灯器を示す側面図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】LEDユニットを図2における矢印B方向から見た状態を示す説明図である。
【図5】LEDユニットの一部を示す側面図である。
【図6】着雪に関連する材料特性についてポリカーボネートと他の材料とを比較して表した説明図である。
【図7】LED素子の足を曲げて光軸が水平となるようにした灯器の一部を示す側面図である。
【図8】LED素子の前方に光軸の前傾を補正するレンズを設けるようにした灯器の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
本発明に係わる交通信号灯器10は、交差点脇に立設された支柱部3の上部に取り付けられ、道路を通行する車両に向けて、「赤」、「黄」、「青」などの信号現示を行なうものである。交通信号灯器10は、灯器の前面が前傾するように設置され、図1は前傾して設置された交通信号灯器10を水平方向から見た場合の正面を、図2はその状態の側面を、図3は図1のA−A矢視断面を表わしている。
【0038】
交通信号灯器10は、鉛直面Vに対して斜め下向きに前傾して配置された灯器としてのLED(Light Emitting Diode)ユニット11と、このLEDユニット11の前面に重ねてほぼ密着して配置された着雪防止板12と、LEDユニット11を収容する筐体13とから構成される。より詳細には、LEDユニット11は、筐体13の前面に設けた開口に筐体13の内側から嵌め込まれ、その前面(表示面)が筐体13の前面とほぼ同一平面状となるように筐体13に取り付けられている。
【0039】
着雪防止板12は、筐体13の前面全体を覆うように横長矩形をなしており、筐体13の前面全体(LEDユニット11の表示面を含む)に密着するように重ねた状態で筐体13の各部に金具14などで固定されている。なお、ここでは、鉛直面Vと着雪防止板12およびLEDユニット11とのなす角θが30度になるように設定してある。
【0040】
着雪防止板12は、透明なポリカーボネートで形成されている。また表面には、反射防止処理(ノングレア処理)が施してあり、光拡散性を備えている。
【0041】
LEDユニット11は、基板21と多数のLED素子22とから構成される。図4は、LEDユニット11を図2における矢印B方向から見た状態を示している。多数のLED素子22はLEDユニット11全体の発光形状が縦長の楕円状となるように配置されている。この発光形状は30度前傾させたLEDユニット11を水平方向から見たときに、ちょうど円形に見えるように設定されている。
【0042】
図5は、LEDユニット11の一部を側方から見た様子を示している。基板21は、鉛直面Vに対して30度傾斜して設置されて、この基板21に対してほぼ垂直に取り付けられた各LED素子22も鉛直面Vに対して30度前傾している。LED素子22は、光の射出方向を変えるレンズ付きのものであり、このレンズで屈折することで、射出された光の光軸Lが水平となるように設定されている。
【0043】
図6は、着雪に関連する材料特性についてポリカーボネートと他の材料とを比較して示したものである。表面粗さ、接触角、凍着抵抗力の各項目すべてにおいて、ガラスやアクリル樹脂に比べてポリカーボネートが優れている。
【0044】
表面粗さと着雪との関係は以下のように説明される。風で着雪防止板の表面に吹き付けられた雪は、衝突の衝撃で融解した後、凝固する。このとき、表面粗さが大きいほど、融解した水と着雪防止板12の表面との間に空気層が存在し、かつ接触面積も少なくなるので、融解したものが着雪防止板の表面に固着し難くなる。すなわち、表面粗さが大きいほど、難着雪性を示す。なお、測定してみると、ポリカーボネートの表面粗さRaは約3.0μm、ガラスは約0.6μm、アクリル樹脂は約1.2μmであった。
【0045】
接触角は、撥水性の指標であり、接触角が大きいほど、融解した水を撥水して着雪し難くなる。ポリカーボネートの接触角は約80度、ガラスは約50度、アクリル樹脂は約70度であった。
【0046】
凍着抵抗力は、付着した雪を剥がすために必要な力の大きさを表わし、値が小さいほど、付着した雪が取れ易いことを示す。実験では、ポリカーボネートの凍着抵抗力は約0.4kN/m、ガラスは約3.0kN/m、アクリル樹脂は約0.7kN/mであった。
【0047】
このように、ポリカーボネートは難着雪性に優れるほか、透明度が高く、熱伝導率が低いなどの特徴を備えている。これらの特性は、交通信号灯器10の着雪防止板12として好適なものである。
【0048】
次に、作用を説明する。
【0049】
図3に示すように、風に乗って雪が水平方向Hから着雪防止板12の正面に吹き付けると、着雪防止板12が約30度に前傾しているので、風は矢印Cで示すように着雪防止板12の傾斜に沿って斜め下方に流れる。このため、風のよどみ点が発生せず、雪は風に乗って斜め下方に運ばれ、着雪防止板12への着雪が防止される。
【0050】
また、一部の雪が着雪防止板12の表面に到達したとしても、着雪防止板12が、前述した難着雪性に優れたポリカーボネートで形成されているので、ほとんど着雪することはない。なお、交通信号灯器10においては、現示色が切り替わるので特定のLEDユニット11が常時点灯することはない。また、ポリカーボネートは高断熱性を備えている。さらにLEDユニットは他の種類の光源(たとえば、電球)に比べて発熱量が少ない。このため、LEDユニット11の前面にほぼ密着させて着雪防止板12を配置しても、着雪防止板12の表面と外気温との温度差はほとんどなく、点灯による熱によって着雪防止板12の表面で雪が溶けることは少ない。これにより、雪の融着および再凍結が防止される。すなわち、雪が着雪防止板12の表面に融着したり再凍結したりすると、それが核となって雪の付着が誘発・助長されるが、着雪防止板12と外気温との温度差が少ないので、雪の融着および再凍結が防止され、雪の付着が少なく抑えられる。
【0051】
また、発熱量の少ないLEDユニット11を用いたことで、上記の難着雪性を維持しながらLEDユニット11と着雪防止板12とを密着配置でき、別途の放熱機構も不要なので、交通信号灯器11を薄型化・小型化することができる。
【0052】
また、着雪防止板12は、表面粗さが3μmほどあり、光拡散性、すなわち、反射防止効果を備えている。このため、着雪防止板12の表面で光が拡散され、太陽光(特に、西日)の反射で車両の運転者などに眩しさを与えることはない。
【0053】
さらに、LEDユニット11の表面にほぼ密着するように着雪防止板12を筐体13の前面に重ねて配置したので、着雪防止板12とLEDユニット11の表面との間に塵埃などが侵入することもない。より確実に塵埃などの侵入を阻止する場合でも、たとえば、筐体13の前面と着雪防止板12との間にパッキンを介挿するだけで済む。また、着雪防止板12をLEDユニット11の表面に重ねて配置したので、これらの距離も近づき、着雪防止板12が光拡散性を備えていても、LEDユニット11の輪郭がぼやけることなく、はっきりと観察される。
【0054】
さらに、LEDユニット11が縦長の発光形状をなしているので、30度前傾した交通信号灯器10を遠方の車両の運転者などがほぼ水平方向からLEDユニット11を見た場合に、予定の形状(円形)で観察される。
【0055】
また、着雪・滑雪防止効果のほかに、交通信号灯器10を前傾させているので、フードを廃止しても、西日による反射光やグレア(視界の一部が明るくなって見辛くなること)を防止することができる。すなわち、交通信号灯器10の正面より西日を受ける場合は、灯器10の前面が下方に前傾しているので、太陽高度が比較的低くエネルギーの大きな光は下方に反射され、略正面から灯器10を眺める運転者に向けての反射はほとんどない。このため、灯器10の上部に庇を設けて太陽光を遮る必要はない。
【0056】
また、灯器10の側方より西日を受ける場合でも、斜め下方に西日を反射するので、正面の運転者に対してグレアを生じない。また、灯器10の着雪防止板12にノングレア処理を施したものを使用すれば、横からの視認性が良くなる。
【0057】
なお、レンズ付きのLED素子22を使用することで光軸を水平にしたが、図7に示すように、レンズのないLED素子22aを、その足(リード)を曲げて基板21に取り付けることで、各LED素子22aの光軸が水平方向Hを向くように設定してもよい。
【0058】
また、図8に示すように、前傾した基板21に足を曲げずに各LED素子22bを該基板21に対してほぼ垂直に立設して配列し、基板21の前傾による各LED素子22bの光軸の前傾を各LED素子22bの前方に配置したレンズ25で補正するようにしてもよい。レンズ25はLED素子22bと1対1に設けられる。
【0059】
図8(a)の例では、各レンズ25は、着雪防止板12の裏面に該着雪防止板12と一体に形成されている。なお、図8(b)に示すように、レンズ25を着雪防止板12と別体に構成し、着雪防止板12の裏面に取り付けてもかまわない。この場合、レンズ25となる凹凸を片面に多数形成したレンズ集合板26を作成し、該レンズ集合板26の非レンズ面を着雪防止板12の裏面に接着などして取り付けるようにするとよい。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0061】
たとえば、実施の形態では着雪防止板12およびLEDユニット11の前傾角度を30度としたが、7度から30度の範囲でも、着雪防止効果を得ることができる。なお、30度を超えて傾斜させてもかまわない。
【0062】
また実施の形態では、道路の上方に設置される車両用交通信号灯器を例に説明したが、その他の灯器、たとえば、歩行者用交通信号灯器などに応用してもよい。この場合、歩行者の絵柄などは着雪防止板12(特に、LEDユニット11側となる裏面)に描くとよい。
【0063】
なお、着雪防止板12の表面温度と外気温との差を少なくするために、着雪防止板12の厚みを増やしてより高い断熱性を確保してもよい。
【0064】
また、交通信号灯器10にフードを設けてもよい。この場合、着雪防止板12は光拡散性のないものでもかまわない。なお、着雪防止板12をLEDユニット11の表面に重ねて配置してあるので、フードの取り付けによって新たに密閉すべき空間が生じるようなことはなく、フードは単に取り付ければよく、構造の複雑化を招かない。
【符号の説明】
【0065】
L…光軸
V…鉛直面
3…支柱部
10…交通信号灯器
11…LEDユニット
12…着雪防止板
13…筐体
14…金具
21…基板
22…レンズ付きLED素子
22a、22b…LED素子
25…レンズ
26…レンズ集合板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDユニットで構成された灯器を前傾させ、
光透過性を備えた着雪防止板を前記灯器の前面にほぼ密着させて配置すると共に、
前記着雪防止板は、低熱伝導率であって前記灯器と反対側の表面に付着した雪が前記灯器からの熱で融けない断熱性が確保される厚みを有する
ことを特徴とする交通信号灯器。
【請求項2】
前記着雪防止板は光拡散性をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の交通信号灯器。
【請求項3】
前傾させることで生じる水平方向から見た形状の変形分が補正されるように前記灯器の発光形状を縦長にした
ことを特徴とする請求項1または2に記載の交通信号灯器。
【請求項4】
前記LEDユニットは、前傾した基板にLED素子を取り付けたものであって、その光軸方向を前記LED素子の足を曲げて調整した
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の交通信号灯器。
【請求項5】
前記LEDユニットは、前傾した基板に光の射出方向を変えるレンズ付きLED素子を取り付けたものである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の交通信号灯器。
【請求項6】
前記LEDユニットは、前傾した基盤にLED素子を配設したものであり、
前記各LED素子の前方に、該LED素子の光軸の前傾を補正するレンズを配置した
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の交通信号灯器。
【請求項7】
前記レンズは、前記着雪防止板の裏面に取り付けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の交通信号灯器。
【請求項8】
前記レンズは、前記着雪防止板の裏面に該着雪防止板と一体に形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の交通信号灯器。
【請求項9】
着雪防止板をポリカーボネートで形成した
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の交通信号灯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248220(P2012−248220A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193990(P2012−193990)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2006−43894(P2006−43894)の分割
【原出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(390010054)コイト電工株式会社 (136)
【Fターム(参考)】