説明

交通情報処理装置、交通情報処理システム、プログラム、及び交通情報処理方法

【課題】交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能な、交通情報処理装置を得る。
【解決手段】交通情報処理装置2は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両3Aの搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報S14を、当該車両3Aに搭載された車載装置4Aに対して送信する、質問情報処理手段21と、質問情報S14に対する搭乗者からの回答情報S21を車載装置4Aから受信し、当該回答情報S21に基づいて交通事象の発生の有無を判定する、回答情報処理手段22と、交通事象が発生していると回答情報処理手段22が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する、情報提供手段23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報処理装置、交通情報処理システム、プログラム、及び交通情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路上に設置された車両感知器から得られる車両感知情報や、所定の車載装置を搭載した車両から得られるプローブ情報等に基づいて、道路交通において発生が推定される交通事故や交通渋滞等の交通事象を検知し、当該交通事象に関する情報をドライバに提供する交通情報処理システムが実用化されている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、道路状況のデータを車両感知器やITVカメラ等から収集し、収集した過去一週間分のデータを蓄積し、収集したデータを所定のルールに当て嵌めることによって突発事象の検出を行う、突発事象自動検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−290292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、車両感知器が設置されていないリンクの旅行時間をプローブ情報に基づいて推定する場合において、プローブ情報のサンプル数が少ないために取得された平均速度の確実性が低い場合には、交通事象の推定の確実性も低くなる。そのため、実際には交通渋滞が生じていないにも拘わらず、「交通渋滞発生」との誤った情報を提供してしまう可能性がある。
【0006】
また、そのような誤った情報の提供を回避するために、推定の確実性が低い場合には情報を提供しないという運用をとることもできるが、この場合には、プローブ情報のサンプル数が少ない時間帯等には情報提供を行うことができない。またこの場合には、必要数のプローブ情報が収集されて推定の確実性が高まるまでは情報提供を行えないため、情報提供のタイミングが遅れてしまう。例えば、必要数のプローブ情報が収集されて交通渋滞の発生が確実に検知された後でなければ、「交通渋滞発生」との情報を提供することができない。渋滞が発生した初期の段階や、まだ渋滞は発生していないが渋滞の原因となる交通事故等の事象が発生した段階において、早期にドライバに情報を提供できれば、渋滞に巻き込まれる前に迂回ルートを選択することができるため、ドライバにとって非常に有益である。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能な、交通情報処理装置、交通情報処理システム、プログラム、及び交通情報処理方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る交通情報処理装置は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する、質問情報処理手段と、前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定する、回答情報処理手段と、前記交通事象が発生していると前記回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する、情報提供手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
第1の態様に係る交通情報処理装置によれば、質問情報処理手段は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する。また、回答情報処理手段は、質問情報に対する搭乗者からの回答情報を車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて交通事象の発生の有無を判定する。そして、情報提供手段は、交通事象が発生していると回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する。このように、何等かの交通事象の発生が推定される場合に、その発生地点の近傍に位置している車両の搭乗者に交通事象の発生の有無を問い合わせることにより、確実性の高い回答情報をその搭乗者から取得することができる。その結果、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る交通情報処理装置は、第1の態様に係る交通情報処理装置において特に、前記質問情報処理手段は、前記交通事象に関する情報を提供しようとするユーザの情報提供の意思を示す提供意思情報を、当該ユーザが搭乗している車両に搭載された車載装置から取得する取得手段と、前記質問情報を、前記取得手段が前記提供意思情報を取得した前記車載装置に対して送信する送信手段と、を有することを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係る交通情報処理装置によれば、取得手段は、交通事象に関する情報を提供しようとするユーザの情報提供の意思を示す提供意思情報を、当該ユーザが搭乗している車両に搭載された車載装置から取得する。そして、送信手段は、質問情報を、取得手段が提供意思情報を取得した車載装置に対して送信する。このように、交通事象に関する情報を自主的に提供しようとするユーザに対して質問情報を送信することにより、そのユーザから信頼性の高い回答情報を取得することができる。その結果、回答情報処理手段によって交通事象の発生の有無を正確に判定することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る交通情報処理装置は、第2の態様に係る交通情報処理装置において特に、前記質問情報処理手段はさらに、前記提供意思情報を送信してきた前記車両の周辺に位置している他の車両を特定する特定手段を有し、前記送信手段はさらに、前記他の車両に搭載された車載装置に対して前記質問情報を送信することを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係る交通情報処理装置によれば、特定手段は、提供意思情報を送信してきた車両の周辺に位置している他の車両を特定する。そして、送信手段は、提供意思情報を送信してきた車両のみならず、特定手段が特定した他の車両に対しても質問情報を送信する。このように、他の車両に対しても質問情報を送信することにより、信頼性の高い回答情報を複数のユーザから取得することができる。その結果、回答情報処理手段によって交通事象の発生の有無をより正確に判定することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る交通情報処理装置は、第1の態様に係る交通情報処理装置において特に、前記質問情報処理手段は、交通情報を取得する取得手段と、前記交通情報に基づいて、前記交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両を特定する特定手段と、前記質問情報を、前記特定手段が特定した前記車両に搭載された車載装置に対して送信する送信手段と、を有することを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係る交通情報処理装置によれば、取得手段は、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報を取得する。また、特定手段は、取得手段が取得した交通情報に基づいて、交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両を特定する。そして、送信手段は、質問情報を、特定手段が特定した車両に搭載された車載装置に対して送信する。従って、交通事象に関する情報を自主的に提供しようとするユーザがいない場合であっても、取得手段が取得した交通情報に基づいて、何等かの交通事象の発生を推定することができる。そして、その発生地点の近傍に位置している車両を特定手段によって特定して、当該車両に質問情報を送信することにより、その車両の搭乗者から信頼性の高い回答情報を取得することができる。その結果、回答情報処理手段によって交通事象の発生の有無を正確に判定することが可能となる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る交通情報処理装置は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係る交通情報処理装置において特に、前記交通事象に関する前記搭乗者への質問は、前記車載装置からの音声出力によって行われ、当該質問に対する前記搭乗者からの回答は、前記車載装置への音声入力によって行われることを特徴とするものである。
【0017】
第5の態様に係る交通情報処理装置によれば、交通事象に関する搭乗者への質問は、車載装置からの音声出力によって行われ、当該質問に対する搭乗者からの回答は、車載装置への音声入力によって行われる。このように、搭乗者への質問及び搭乗者からの回答を音声によって行うことにより、当該質問及び回答が運転の妨げになることを回避することができる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る交通情報処理装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る交通情報処理装置において特に、前記回答情報処理手段は、前記回答情報に基づいて前記交通事象に関連する関連情報を取得し、前記情報提供手段は、前記交通事象情報とともに前記関連情報を提供することを特徴とするものである。
【0019】
第6の態様に係る交通情報処理装置によれば、回答情報処理手段は、回答情報に基づいて交通事象に関連する関連情報を取得する。そして、情報提供手段は、交通事象情報とともに関連情報を提供する。従って、例えば交通渋滞が発生した場合には、「交通渋滞発生」との交通事象情報のみならず、その原因を示す「○○交差点で交通事故が発生した」等の関連情報を提供することができるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る交通情報処理装置は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る交通情報処理装置において特に、前記回答情報処理手段は、前記回答情報を音声情報として取得し、前記情報提供手段は、前記交通事象情報とともに前記音声情報を提供することを特徴とするものである。
【0021】
第7の態様に係る交通情報処理装置によれば、回答情報処理手段は、回答情報を音声情報として取得する。そして、情報提供手段は、交通事象情報とともに当該音声情報を提供する。従って、他の車両の搭乗者は、情報提供者から交通情報処理装置に送信された生の音声(プライバシー保護のためボイスチェンジャによって加工された音声を含む)を聴くことができるため、発生した交通事象の状況や原因を的確に把握することが可能となる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る交通情報処理装置は、第1〜第7のいずれか一つの態様に係る交通情報処理装置において特に、前記回答情報の有益度を車載装置毎に管理する管理手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0023】
第8の態様に係る交通情報処理装置によれば、管理手段は、回答情報の有益度を車載装置毎に管理する。従って、ユーザが有益な回答情報を提供する度にそのユーザに貢献ポイントを付与し、貢献ポイントの付与状況に応じてシステム利用料金を割り引く等のサービスを実施することができる。その結果、情報提供に関するインセンティブをユーザに与えることが可能となる。また、有益度の低い回答情報や誤った回答情報を頻繁に送信してくるユーザや、質問情報を送信しても回答情報を送信してこないユーザを、非協力ユーザとして管理することができる。従って、このような非協力ユーザに関しては、質問情報の送信候補から除外する等の措置をとることが可能となる。さらに、回答情報処理手段が回答情報に基づいて交通事象の発生の有無を判定する際に、有益度の累積状況を参照することができる。これにより、有益度の累積値が一定値以上のユーザからの回答情報は信頼性が高いとみなして、判定の際にその回答情報を重要視することができる。また、交通事象の発生が推定される地点の近傍に、有益度の累積値が一定値以上のユーザが搭乗する車両が位置している場合には、そのユーザに対して質問情報を送信することにより、信頼性の高い回答情報をそのユーザから取得することができる。その結果、情報提供手段が提供する情報の正確性を高めることが可能となる。
【0024】
本発明の第9の態様に係る交通情報処理システムは、交通情報処理装置と、車両に搭載された車載装置と、を備え、前記交通情報処理装置は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する、質問情報処理手段と、前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定する、回答情報処理手段と、前記交通事象が発生していると前記回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する、情報提供手段と、を有することを特徴とするものである。
【0025】
第9の態様に係る交通情報処理システムによれば、質問情報処理手段は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する。また、回答情報処理手段は、質問情報に対する搭乗者からの回答情報を車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて交通事象の発生の有無を判定する。そして、情報提供手段は、交通事象が発生していると回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する。このように、何等かの交通事象の発生が推定される場合に、その発生地点の近傍に位置している車両の搭乗者に交通事象の発生の有無を問い合わせることにより、確実性の高い回答情報をその搭乗者から取得することができる。その結果、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能となる。
【0026】
本発明の第10の態様に係る交通情報処理システムは、第9の態様に係る交通情報処理システムにおいて特に、前記車載装置は、車両の運転状況に関する運転状況情報を取得する取得手段と、前記交通事象に関する前記搭乗者への質問を当該搭乗者に向けて出力するタイミングを、前記運転状況情報に基づいて制御する制御手段と、を有することを特徴とするものである。
【0027】
第10の態様に係る交通情報処理システムによれば、制御手段は、交通事象に関する搭乗者への質問を当該搭乗者に向けて出力するタイミングを、運転状況情報に基づいて制御する。従って、車両が右折又は左折を実行中である、車両が一定速度以上で走行中である、車両が交差点内を走行中である、及び、車両と前後の車両との車間距離が一定値以内である等の、ドライバの注意力が散漫になると危険な状況においては、交通事象に関する質問を搭乗者に向けて出力しないことにより、運転の安全を確保することが可能となる。
【0028】
本発明の第11の態様に係るプログラムは、交通情報処理装置に搭載されるコンピュータを、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する、質問情報処理手段と、前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定する、回答情報処理手段と、前記交通事象が発生していると前記回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する、情報提供手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0029】
第11の態様に係るプログラムによれば、質問情報処理手段は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する。また、回答情報処理手段は、質問情報に対する搭乗者からの回答情報を車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて交通事象の発生の有無を判定する。そして、情報提供手段は、交通事象が発生していると回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する。このように、何等かの交通事象の発生が推定される場合に、その発生地点の近傍に位置している車両の搭乗者に交通事象の発生の有無を問い合わせることにより、確実性の高い回答情報をその搭乗者から取得することができる。その結果、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能となる。
【0030】
本発明の第12の態様に係る交通情報処理方法は、(A)何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信するステップと、(B)前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定するステップと、(C)前記ステップ(B)において前記交通事象が発生していると判定された場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0031】
第12の態様に係る交通情報処理方法によれば、ステップ(A)では、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する。また、ステップ(B)では、質問情報に対する搭乗者からの回答情報を車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて交通事象の発生の有無を判定する。そして、ステップ(C)では、交通事象が発生していると回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する。このように、何等かの交通事象の発生が推定される場合に、その発生地点の近傍に位置している車両の搭乗者に交通事象の発生の有無を問い合わせることにより、確実性の高い回答情報をその搭乗者から取得することができる。その結果、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】交通情報処理システムの全体構成を簡略化して示す図である。
【図2】交通情報処理装置の構成を簡略化して示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る交通情報処理装置に関して、プログラムを実行することによって処理部に実現される機能を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る交通情報処理装置に関して、質問情報処理手段の機能を具体的に示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る交通情報処理装置に関して、回答情報処理手段の機能を具体的に示す図である。
【図6】車載装置の機能を具体的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る交通情報処理装置に関して、質問情報処理手段の機能を具体的に示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る交通情報処理装置に関して、プログラムを実行することによって処理部に実現される機能を示す図である。
【図9】情報処理手段の機能を具体的に示す図である。
【図10】車載装置の機能を具体的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0035】
図1は、交通情報処理システム1の全体構成を簡略化して示す図である。交通情報処理システム1は、交通管制センタ等に設置された交通情報処理装置2と、車両3A,3Bにそれぞれ搭載された車載装置4A,4Bとを備えて構成されている。交通情報処理装置2と車載装置4A,4Bとは、無線通信によって相互に通信可能である。車載装置4A,4Bは、車両3A,3B内に装備された専用装置であってもよいし、車載装置としての機能を実現する専用アプリケーションがインストールされた携帯端末装置(例えばスマートフォン)等であってもよい。
【0036】
図2は、交通情報処理装置2の構成を簡略化して示す図である。交通情報処理装置2は、CPU等の処理部11と、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶部12とを備えて構成されている。記憶部12には、処理部11を動作させるためのプログラム13が格納されている。
【0037】
<第1の実施の形態>
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る交通情報処理装置2に関して、プログラム13を実行することによって処理部11に実現される機能を示す図である。プログラム13を実行することにより、処理部11は、質問情報処理手段21、回答情報処理手段22、情報提供手段23、及び管理手段24として機能する。換言すれば、プログラム13は、交通情報処理装置2に搭載されるコンピュータとしての処理部11を、質問情報処理手段21、回答情報処理手段22、情報提供手段23、及び管理手段24として機能させるためのプログラムである。
【0038】
詳細は後述するが、質問情報処理手段21は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報S14を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する。また、回答情報処理手段22は、質問情報S14に対する搭乗者からの回答情報S21を車載装置から受信し、当該回答情報S21に基づいて交通事象の発生の有無を判定する。また、情報提供手段23は、交通事象が発生していると回答情報処理手段22が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する。また、管理手段24は、回答情報の有益度を車載装置毎に管理する。
【0039】
図4,5はそれぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る交通情報処理装置2に関して、質問情報処理手段21及び回答情報処理手段22の各機能を具体的に示す図である。また、図6は、車載装置4Aの機能を具体的に示す図である。
【0040】
図4を参照して、質問情報処理手段21は、取得手段31、推定手段32、特定手段33、送信手段34、及び記憶手段35を有している。図5を参照して、回答情報処理手段22は、受信手段41、記憶手段42、及び判定手段43を有している。図6を参照して、車載装置4Aは、取得部51、タイミング制御部52、受信部53、送信部54、制御部55、スピーカ56、マイク57、及び入力部58を有している。なお、図6には車載装置4Aの構成を示したが、車載装置4Bの構成もこれと同様である。
【0041】
以下、図1〜6を参照しつつ、本実施の形態に係る交通情報処理システム1の動作について具体的に説明する。
【0042】
図6を参照して、車両3Aの搭乗者(ドライバ又は同乗者)が、何等かの交通事象を引き起こし得るイベントを確認した場合、当該搭乗者は、情報提供の意思を示す提供意思情報S11を入力部58から入力する。例えば、交通量が増えた、交通事故が発生した、デモ隊の行進が始まった、局地的豪雨が発生している等の、交通渋滞を引き起こし得るイベントを目撃した場合に、提供意思情報S11を入力部58から入力する。提供意思情報S11の入力は、例えば、車両3A内に備えられたステアリングスイッチ等のボタンの押下、又は、カーナビのタッチパネル等のパネルの操作によって行うことができる。
【0043】
ここで、取得部51は、車両3Aに搭載されている車輪速センサ、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロセンサ、及び車間距離センサ等の検出信号に基づいて、車両3Aの運転状況に関する運転状況情報S31を取得している。運転状況情報S31は、取得部51から制御部55に入力される。制御部55は、運転状況情報S31に基づき、車両3Aが右折又は左折を実行中である、車両3Aが一定速度以上で走行中である、車両3Aが交差点内を走行中である、及び、車両3Aと前後の車両との車間距離が一定値以内である等の、車両3Aのドライバの注意力が散漫になると危険な状況においては、入力部58からの提供意思情報S11の入力を受け付けないように制御してもよい。この場合は、受付拒否の音声メッセージ又はブザー音がスピーカ56から出力され、又は、受付拒否の文字メッセージ又は画像がカーナビの画面に表示される。これにより、車両3Aの運転の安全を確保することが可能となる。
【0044】
制御部55が提供意思情報S11の入力を受け付けた場合は、提供意思情報S11は、送信部54から交通情報処理装置2に向けて無線送信される。
【0045】
図4を参照して、取得手段31は、提供意思情報S11を車載装置4Aから受信し、受信した提供意思情報S11を推定手段32に入力する。
【0046】
推定手段32は、車載装置4Aから送信された提供意思情報S11が入力されることにより、車両3Aの現在地の近傍で何等かの交通事象を引き起こし得るイベントが発生していると推定する。そして、車載装置4Aの識別情報と車両3Aの現在地情報とを含む推定結果情報S12を、特定手段33に入力する。また、推定手段32は、複数の車両から送られてくるプローブ情報や、道路上に設置された車両感知器から送られてくる車両感知情報を収集し、収集したこれらの情報に基づいて交通状況を分析することにより、ある地点又は地域で渋滞等の交通事象が発生しているか否かを常時監視している。
【0047】
特定手段33は、推定結果情報S12に基づいて、後述の質問情報S14を送信すべき車載装置を特定する。この例では、特定手段33は、質問情報S14を送信すべき車載装置として、提供意思情報S11を送信してきた車載装置4Aを特定する。特定手段33は、特定結果情報S13を送信手段34に入力する。
【0048】
ここで、特定手段33は、質問情報S14を送信すべき車載装置として、車載装置4Aのみならず、車両3Aの周辺に位置している他の車両に搭載された車載装置(例えば車両3Bに搭載された車載装置4B)を特定してもよい。
【0049】
交通事象の発生の有無をユーザに問い合わせるための質問情報S14は、予め作成されて、記憶手段35に格納されている。例えば、「あなたの周囲で渋滞が起きていますか?」や、「渋滞の原因になっていそうなことはありますか?」等の質問に関する音声情報が、質問情報S14として準備されている。送信手段34は、記憶手段35から読み出した質問情報S14を、特定結果情報S13によって送信対象として特定された車載装置4Aに向けて送信する。なお、特定手段33によって質問情報S14の送信対象が複数特定されている場合には、複数の車載装置の各々に対して質問情報S14が送信される。
【0050】
ここで、交通情報処理装置2が車載装置4Aから提供意思情報S11を受信した場合であっても、車両3Aの現在地と、プローブ情報及び車両感知情報等に基づいて推定手段32が何等かの交通事象の発生を推定している地点又は地域とが重複していない場合には、送信手段34から質問情報S14を送信しないようにしてもよい。これにより、ユーザの誤操作やいたずら目的での提供意思情報S11の送信に対して、交通情報処理装置2が応答しないことにより、交通情報処理装置2の処理負荷を軽減することができる。一方、車両3Aの現在地と、プローブ情報及び車両感知情報等に基づいて推定手段32が何等かの交通事象の発生を推定している地点又は地域とが重複していない場合であっても、送信手段34から質問情報S14を送信してもよい。これにより、プローブ情報等によっては未だ検知できていない交通事象の発生を、いち早く検知できる可能性がある。
【0051】
図6を参照して、受信部53は、質問情報S14を交通情報処理装置2から受信し、受信した質問情報S14を制御部55に入力する。制御部55は、質問情報S14を、車両3Aの車内の任意の箇所に設けられたスピーカ56(カーナビのスピーカとの兼用も可)から音声出力する。なお、音声出力に代えて、カーナビの画面やヘッドアップディスプレイ等への文字メッセージ又は画像の表示によって、交通事象の発生の有無を質問してもよい。
【0052】
ここで、上記の通り取得部51は、車両3Aに搭載されている車輪速センサ、GPS受信機、ジャイロセンサ、及び車間距離センサ等の検出信号に基づいて、車両3Aの運転状況に関する運転状況情報S31を取得している。運転状況情報S31は、取得部51からタイミング制御部52に入力される。タイミング制御部52は、運転状況情報S31に基づき、車両3Aが右折又は左折を実行中である、車両3Aが一定速度以上で走行中である、車両3Aが交差点内を走行中である、及び、車両3Aと前後の車両との車間距離が一定値以内である等の、車両3Aのドライバの注意力が散漫になると危険な状況においては、スピーカ56からの質問の音声出力を行わず、その危険な状況が解消した後に質問の音声出力を行う。これにより、車両3Aの運転の安全を確保することが可能となる。なお、一定時間(例えば数分間)が経過してもその危険な状況が解消されない場合には、車載装置4Aから交通情報処理装置2に対して「回答不能状態である」旨を示す情報を送信し、車両3Aの搭乗者への質問を行わないようにしてもよい。
【0053】
スピーカ56から音声出力された質問に対して車両3Aの搭乗者が口頭で回答すると、その回答は、車両3Aの車内の任意の箇所(例えばステアリング又はその近傍)に設けられたマイク57(カーナビのマイクとの兼用も可)によって集音され、音声情報である回答情報S21として制御部55に入力される。制御部55は、回答情報S21を、送信部54から交通情報処理装置2に向けて送信する。なお、回答情報S21を音声情報として送信するのではなく、制御部55によって簡易な音声認識処理を行うことにより、文字列のデータに変換して送信してもよい。
【0054】
なお、交通情報処理装置2から受信した質問情報S14に対して車載装置4Aが搭乗者の代わりに回答するエージェント機能を、車載装置4Aに実装してもよい。上記の通り取得部51は、車両3Aに搭載されている各種センサの検出信号に基づいて、運転状況情報S31を取得している。制御部55は、受信部53から入力された質問情報S14を解析し、質問内容が運転状況情報S31に基づいて回答できる内容である場合には、質問情報S14をスピーカ56から音声出力することなく、自ら回答情報S21を作成する。そして、作成した回答情報S21を送信部54から交通情報処理装置2に向けて送信する。
【0055】
例えば、渋滞発生の有無を問い合わせる内容の質問情報S14が入力された場合には、制御部55は、直近の所定期間(例えば数十分間)に関する運転状況情報S31を参照する。そして、その所定期間内における車両3Aの運転状況が、発進、低速走行、及び停止を繰り返す状況等である場合には、制御部55は、渋滞が発生していると判定して、渋滞の発生を肯定する内容の回答情報S21を作成する。その際、運転状況情報S31に基づいて渋滞発生地点及び渋滞発生時刻等を推定して、これらの情報を回答情報S21に含めてもよい。また、上記所定期間内における車両3Aの平均速度が一定値以上である場合等には、制御部55は、渋滞が発生していないと判定して、渋滞の発生を否定する内容の回答情報S21を作成する。また、渋滞の発生の有無を自ら判定できない場合には、制御部55は、質問情報S14をスピーカ56から音声出力することにより、回答を搭乗者に委ねる。このようなエージェント機能を車載装置4Aに実装することにより、搭乗者への質問回数を減らすことができるため、質問への回答に伴う搭乗者の負担を軽減することが可能となる。
【0056】
図5を参照して、受信手段41は、回答情報S21を車載装置4Aから受信し、受信した回答情報S21を記憶手段42に格納するとともに、判定手段43に入力する。
【0057】
判定手段43は、プローブ情報及び車両感知情報等に基づいて推定手段32が推定した交通事象が実際に発生しているか否かを、回答情報S21を解析することによって判定する。回答情報S21の解析は、音声認識処理によって回答情報S21を文字列のデータに変換し、その文字列を対象とした自然文のパターンマッチング処理によって実行することができる。例えば、「渋滞しています」や「混んでいます」等の、回答に用いられると想定される複数の自然文をデータベースに登録しておき、回答情報S21から得られる文字列に含まれる文章が、そのデータベースに登録された自然文に一致するかどうかを判定する。そして、回答情報S21から得られる文字列の中に、「渋滞しています」や「混んでいます」等の自然文が含まれている場合には、推定手段32が推定した「交通渋滞発生」という交通事象が実際に発生していると判定する。一方、「渋滞していません」や「スムーズに流れています」等の自然文が含まれている場合には、推定手段32が推定した「交通渋滞発生」という交通事象は発生していないと判定する。判定手段43は、推定手段32が推定した交通事象の発生の有無を示す判定結果情報S22を出力する。
【0058】
ここで、特定手段33によって特定された複数の車載装置に対して質問情報S14が送信された場合において、交通情報処理装置2が複数の車載装置から回答情報S21を受信した場合には、判定手段43は、推定手段32が推定した交通事象が実際に発生しているか否かを多数決等によって判定する。
【0059】
また、判定手段43は、交通事象が実際に発生していると判定した場合において、その交通事象の発生原因等を示す関連情報を音声認識処理等によって回答情報S21から抽出できる場合には、その関連情報を回答情報S21から取得する。例えば、「交通渋滞発生」との交通事象が発生している場合に、「○○交差点で乗用車5台の玉突き事故が発生した」や、「デモ隊が西に向かって○○交差点を通過している」等の、その渋滞原因を示す関連情報を回答情報S21から取得する。
【0060】
図3を参照して、情報提供手段23は、判定結果情報S22に基づき、推定手段32が推定した交通事象が実際に発生している場合には、その交通事象に関する交通事象情報をユーザに提供する。例えば、道路上に設置されている道路交通情報表示盤に当該交通事象情報を表示するとともに、路車間通信によって車両のカーナビ画面に当該交通事象情報を提供する。その際、不特定多数の車両に対して当該交通事象情報を提供してもよく、又は、交通事象の発生地点に所定時間以内に到着する可能性がある車両に限定して当該交通事象情報を提供してもよい。
【0061】
また、情報提供手段23は、記憶手段42に記憶されている音声情報としての回答情報S21(つまり、回答情報S21を送信してきた情報提供者の生の音声)を、ユーザに提供してもよい。これによりユーザは、「○○交差点で玉突き事故が発生し、車両が横転しています。当分の間渋滞は解消しそうにないので、○○交差点は迂回したほうがよさそうです。」といった情報提供者の生の音声を聴くことができる。この場合、プライバシー保護の観点から、ボイスチェンジャ等によって音声周波数をシフトする等の加工を施し、加工後の音声情報を提供することが望ましい。
【0062】
さらに、判定手段43によって上記の関連情報が取得された場合には、情報提供手段23は、交通事象情報とともにその関連情報をユーザに提供してもよい。例えば交通渋滞が発生した場合には、「交通渋滞発生」との交通事象情報のみならず、「○○交差点で乗用車5台の玉突き事故が発生」や、「デモ隊が西に向かって○○交差点を通過中」等の、その渋滞原因を示す関連情報を提供する。この例において、○○交差点に向かって走行中のユーザは、渋滞原因が玉突き事故である場合には渋滞は暫く解消しそうにないと判断して迂回ルートを選択することができ、一方、渋滞原因がデモ隊の通過である場合には渋滞はすぐに解消されると判断してそのまま○○交差点に向かうルートを選択することができる。このように、交通事象情報とともにその関連情報をユーザに提供することにより、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0063】
図3を参照して、管理手段24は、車載装置から提供された回答情報S21が真実であったか否か、及び有益であったか否か等に応じて、回答情報S21の有益度を車載装置毎にデータベースで管理する。例えば、真実かつ有益な回答情報S21が車載装置4Aから提供される度に、車載装置4Aに関する有益度が「2」だけ加算され、真実かつ無益な回答情報S21が車載装置4Aから提供される度に、車載装置4Aに関する有益度が「1」だけ加算され、不実の回答情報S21が車載装置4Aから提供される度に、車載装置4Aに関する有益度が「1」だけ減算される。
【0064】
回答情報S21の有益度を車載装置毎に管理することにより、ユーザが有益な回答情報S21を提供する度にそのユーザに貢献ポイントを付与し、貢献ポイントの付与状況に応じてシステム利用料金を割り引く等のサービスを実施することができる。その結果、情報提供に関するインセンティブをユーザに与えることが可能となる。
【0065】
また、有益度の低い回答情報S21や誤った回答情報S21を頻繁に送信してくるユーザや、質問情報S14を送信しても回答情報S21を送信してこないユーザを、非協力ユーザとして管理することができる。従って、このような非協力ユーザに関しては、質問情報S14の送信候補から除外する等の措置をとることが可能となる。
【0066】
さらに、判定手段43が回答情報S21に基づいて交通事象の発生の有無を判定する際に、有益度の累積状況を参照することができる。これにより、有益度の累積値が一定値以上のユーザからの回答情報S21は信頼性が高いとみなして、判定の際にその回答情報S21を重要視することができる。また、交通事象の発生が推定される地点の近傍に、有益度の累積値が一定値以上のユーザが搭乗する車両が位置している場合には、そのユーザに対して質問情報S14を送信することにより、信頼性の高い回答情報S21をそのユーザから取得することができる。その結果、情報提供手段23が提供する情報の正確性を高めることが可能となる。
【0067】
このように本実施の形態に係る交通情報処理装置2(及び交通情報処理システム1、プログラム13、交通情報処理方法)によれば、質問情報処理手段21は、何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両3Aの搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報S14を、当該車両3Aに搭載された車載装置4Aに対して送信する。また、回答情報処理手段22は、質問情報S14に対する搭乗者からの回答情報S21を車載装置4Aから受信し、当該回答情報S21に基づいて交通事象の発生の有無を判定する。そして、情報提供手段23は、交通事象が発生していると回答情報処理手段22が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報をユーザに提供する。このように、何等かの交通事象の発生が推定される場合に、その発生地点の近傍に位置している車両3Aの搭乗者に交通事象の発生の有無を問い合わせることにより、確実性の高い回答情報S21をその搭乗者から取得することができる。その結果、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能となる。
【0068】
また、交通事故やデモ隊の行進等のように、車両感知情報やプローブ情報等によっては直接的に認識できないイベントが発生した場合、これまでは、スタッフが現場に出向いてイベントの内容を確認したり、イベントの内容について警察から情報の提供を受ける等して、当該イベントに関する情報を収集し、その情報をシステムにデータ入力するまでは、当該イベントに関する詳細情報をユーザへ提供することができなかった。従って、イベントが実際に発生してから、当該イベントに関する詳細情報がユーザに提供されるまでの間に、非常に大きなタイムラグが生じていた。これに対し、本実施の形態に係る交通情報処理装置2は、イベントを目撃した搭乗者からそのイベントに関する情報を取得し、当該情報をユーザに提供する。従って、イベントが発生してからユーザに情報が提供されるまでのタイムラグが、スタッフが現場に出向く場合等と比較して非常に小さい。その結果、情報提供の遅れに起因してユーザが交通規制や交通渋滞等に巻き込まれることとなる確率が大幅に低減されるため、ユーザにとって非常に有用である。
【0069】
また、取得手段31は、交通事象に関する情報を提供しようとするユーザの情報提供の意思を示す提供意思情報S11を、当該ユーザが搭乗している車両3Aに搭載された車載装置4Aから取得する。そして、送信手段34は、質問情報S14を、取得手段31が提供意思情報S11を取得した車載装置4Aに対して送信する。このように、交通事象に関する情報を自主的に提供しようとするユーザに対して質問情報S14を送信することにより、そのユーザから信頼性の高い回答情報S21を取得することができる。その結果、回答情報処理手段22によって交通事象の発生の有無を正確に判定することが可能となる。
【0070】
また、特定手段33は、提供意思情報S11を送信してきた車両3Aの周辺に位置している他の車両3Bを特定する。そして、送信手段34は、提供意思情報S11を送信してきた車両3Aのみならず、特定手段33が特定した他の車両3Bに対しても質問情報S14を送信する。このように、他の車両3Bに対しても質問情報S14を送信することにより、信頼性の高い回答情報S21を複数のユーザから取得することができる。その結果、回答情報処理手段22によって交通事象の発生の有無をより正確に判定することが可能となる。
【0071】
また、交通事象に関する搭乗者への質問は、車載装置4Aからの音声出力によって行われ、当該質問に対する搭乗者からの回答は、車載装置4Aへの音声入力によって行われる。このように、搭乗者への質問及び搭乗者からの回答を音声によって行うことにより、当該質問及び回答が運転の妨げになることを回避することができる。
【0072】
<第2の実施の形態>
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る交通情報処理装置2に関して、質問情報処理手段21の機能を具体的に示す図である。交通情報処理装置2のその他の構成、及び車載装置4Aの構成は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0073】
取得手段31は、複数の車両から逐次送られてくるプローブ情報や、道路上に設置された車両感知器から逐次送られてくる車両感知情報を、交通情報S41として取得し、取得した交通情報S41を推定手段32に入力する。
【0074】
推定手段32は、交通情報S41に基づいて交通状況を分析することにより、ある地点又は地域で渋滞等の交通事象が発生しているか否かを常時監視する。そして、ある道路区間において渋滞の発生が推定された場合には、その渋滞の始点であるおおよその地点(ボトルネック交差点)を割り出し、その渋滞始点の位置情報を含む推定結果情報S12を、特定手段33に入力する。
【0075】
ここで、渋滞の発生を早期に検知すべく、推定手段32は、渋滞が始まる兆候が現れた段階で、渋滞の発生を推定する。例えば、道路毎に予め規定している平均走行速度に対して実際の平均走行速度が10%低下した場合や、道路毎に予め規定している車両停止時間に対して実際の車両停止時間が10%増加した場合等に、渋滞の発生を推定する。
【0076】
特定手段33は、推定結果情報S12に基づいて、質問情報S14を送信すべき一又は複数の車載装置を特定する。この例では、特定手段33は、質問情報S14を送信すべき車載装置として、渋滞始点の近傍を走行している車両3Aに搭載された車載装置4Aを特定する。特定手段33は、特定結果情報S13を送信手段34に入力する。
【0077】
以降の動作は、上記第1の実施の形態と同様である。概略のみ説明すると、送信手段34は、記憶手段35から読み出した質問情報S14を、特定結果情報S13によって送信対象として特定された車載装置4Aに向けて送信する。図6を参照して、受信部53は、質問情報S14を交通情報処理装置2から受信し、受信した質問情報S14を制御部55に入力する。制御部55は、質問情報S14をスピーカ56から音声出力する。質問に対して車両3Aの搭乗者が口頭で回答すると、その回答は、マイク57によって集音され、音声情報である回答情報S21として制御部55に入力される。制御部55は、回答情報S21を、送信部54から交通情報処理装置2に向けて送信する。図5を参照して、受信手段41は、回答情報S21を車載装置4Aから受信し、受信した回答情報S21を判定手段43に入力する。判定手段43は、推定手段32が推定した交通事象が実際に発生しているか否かを、回答情報S21を解析することによって判定し、その判定結果情報S22を出力する。図3を参照して、情報提供手段23は、判定結果情報S22に基づき、推定手段32が推定した交通事象が実際に発生している場合には、その交通事象に関する交通事象情報をユーザに提供する。
【0078】
このように本実施の形態に係る交通情報処理装置2(及び交通情報処理システム1、プログラム13、交通情報処理方法)によれば、取得手段31は、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報S41を取得する。また、特定手段33は、取得手段31が取得した交通情報S41に基づいて、交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両3Aを特定する。そして、送信手段34は、質問情報S14を、特定手段33が特定した車両3Aに搭載された車載装置4Aに対して送信する。従って、交通事象に関する情報を自主的に提供しようとするユーザがいない場合であっても、取得手段31が取得した交通情報S41に基づいて、何等かの交通事象の発生を推定することができる。そして、その発生地点の近傍に位置している車両3Aを特定手段33によって特定して、当該車両3Aに質問情報S14を送信することにより、その車両3Aの搭乗者から信頼性の高い回答情報S21を取得することができる。その結果、回答情報処理手段22によって交通事象の発生の有無を正確に判定することが可能となる。
【0079】
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る交通情報処理装置2に関して、プログラム13を実行することによって処理部11(図2参照)に実現される機能を示す図である。プログラム13を実行することにより、処理部11は、情報処理手段60、情報提供手段23、及び管理手段24として機能する。換言すれば、プログラム13は、交通情報処理装置2に搭載されるコンピュータとしての処理部11を、情報処理手段60、情報提供手段23、及び管理手段24として機能させるためのプログラムである。本実施の形態に係る処理部11は、上記第1の実施の形態に係る処理部11(図3参照)における質問情報処理手段21及び回答情報処理手段22に代えて、情報処理手段60を備えた構成となっている。
【0080】
図9は、情報処理手段60の機能を具体的に示す図である。情報処理手段60は、受信手段71、記憶手段72、及び推定手段73を有している。
【0081】
図10は、車載装置4Aの機能を具体的に示す図である。車載装置4Aは、受信部53、送信部54、制御部55、スピーカ56、マイク57、及び入力部58を有している。
【0082】
図10を参照して、車両3Aの搭乗者が、何等かの交通事象を引き起こし得るイベントを確認した場合、当該搭乗者は、情報提供の意思を示す提供意思情報S11を入力部58から入力する。提供意思情報S11の入力は、例えば、車両3A内に備えられたステアリングスイッチ等のボタンの押下、又は、カーナビのタッチパネル等のパネルの操作によって行うことができる。提供意思情報S11は、車載装置4Aの識別情報を含めて、送信部54から交通情報処理装置2に向けて無線送信される。また、提供意思情報S11を受け付けた制御部55は、「何が起きているか説明して下さい」等の、情報の入力を求める所定のメッセージを、スピーカ56から音声出力する。
【0083】
なお、音声出力に代えて、カーナビの画面やヘッドアップディスプレイ等への文字メッセージ又は画像の表示によって、上記メッセージを出してもよい。また、上記第1の実施の形態と同様に、車両3Aのドライバの注意力が散漫になると危険な状況においては、提供意思情報S11の受付及びスピーカ56からのメッセージの音声出力を行わず、その危険な状況が解消した後に提供意思情報S11の受付及びメッセージの音声出力を行ってもよい。
【0084】
次に搭乗者は、自らが目撃したイベントの状況を口頭で説明する。搭乗者による説明の内容は、マイク57によって集音され、音声情報である提供内容情報S50として制御部55に入力される。制御部55は、提供内容情報S50を、送信部54から交通情報処理装置2に向けて送信する。なお、提供内容情報S50を音声情報として送信するのではなく、制御部55によって簡易な音声認識処理を行うことにより、文字列のデータに変換して送信してもよい。
【0085】
なお、スピーカ56からの上記メッセージの音声出力は省略してもよい。この場合、車両3Aの搭乗者は、提供意思情報S11を入力した後、自らが目撃したイベントの状況説明を直ちに開始することができる。
【0086】
図9を参照して、受信手段71は、提供意思情報S11及び提供内容情報S50を車載装置4Aから受信し、受信した提供意思情報S11及び提供内容情報S50を、記憶手段72に格納するとともに、推定手段73に入力する。
【0087】
推定手段73は、提供意思情報S11に含まれる車載装置4Aの識別情報に基づいて、車両3Aの現在地を特定する。また、推定手段73は、提供内容情報S50を解析することにより、車両3Aの近傍で発生している交通事象又はイベントを推定する。提供内容情報S50の解析は、音声認識処理によって提供内容情報S50を文字列のデータに変換し、その文字列を対象とした自然文のパターンマッチング処理によって実行することができる。例えば、「渋滞しています」や「混んでいます」等の、回答に用いられると想定される複数の自然文をデータベースに登録しておき、提供内容情報S50から得られる文字列に含まれる文章が、そのデータベースに登録された自然文に一致するかどうかを判定する。そして、提供内容情報S50から得られる文字列の中に、「渋滞しています」や「混んでいます」等の自然文が含まれている場合には、「交通渋滞発生」という交通事象が発生していると推定する。ここで、同一の地点又は地域に位置している複数の車載装置から、同一内容の交通事象又はイベントを示す提供内容情報S50が寄せられた場合には、推定手段73は、その交通事象が実際に発生している可能性は高いと判断する。
【0088】
また、推定手段73は、複数の車両から送られてくるプローブ情報や、道路上に設置された車両感知器から送られてくる車両感知情報を収集し、収集したこれらの情報に基づいて交通状況を分析することにより、ある地点又は地域で交通事象が発生しているか否かを常時監視している。推定手段73は、車両3Aの現在地と、プローブ情報及び車両感知情報等に基づいて何等かの交通事象の発生を推定している地点又は地域とが重複している場合には、提供内容情報S50が示す交通事象が実際に発生している可能性は高いと判断する。
【0089】
また、推定手段73は、交通事象の発生原因等を示す関連情報を音声認識処理等によって提供内容情報S50から抽出できる場合には、その関連情報を提供内容情報S50から取得する。例えば、「交通渋滞発生」との交通事象の発生を推定している場合に、「○○交差点で乗用車5台の玉突き事故が発生した」や、「デモ隊が西に向かって○○交差点を通過している」等の、その渋滞原因を示す関連情報を提供内容情報S50から取得する。ここで、同一の地点又は地域に位置している複数の車載装置から寄せられた複数の提供内容情報S50から、同一内容の関連情報が取得された場合には、推定手段73は、その関連情報が示すイベントが実際に発生している可能性は高い(つまりその関連情報の信憑性は高い)と判断する。
【0090】
推定手段73は、提供内容情報S50に基づいて推定した交通事象が実際に発生している可能性が高いと判断した場合には、その推定結果を示す推定結果情報S51を出力する。
【0091】
図8を参照して、情報提供手段23は、推定結果情報S51に基づいて、交通事象に関する交通事象情報をユーザに提供する。
【0092】
また、情報提供手段23は、記憶手段72に記憶されている音声情報としての提供内容情報S50(つまり、提供内容情報S50を送信してきた情報提供者の生の音声)を、ユーザに提供してもよい。この場合、プライバシー保護の観点から、ボイスチェンジャ等によって音声周波数をシフトする等の加工を施し、加工後の音声情報を提供することが望ましい。
【0093】
さらに、推定手段73が取得した上記の関連情報の信憑性が高い場合には、情報提供手段23は、交通事象情報とともにその関連情報をユーザに提供してもよい。例えば交通渋滞が発生した場合には、「交通渋滞発生」との交通事象情報のみならず、「○○交差点で乗用車5台の玉突き事故が発生」や、「デモ隊が西に向かって○○交差点を通過中」等の、その渋滞原因を示す関連情報を提供する。
【0094】
このように本実施の形態に係る交通情報処理装置2(及び交通情報処理システム1、プログラム13、交通情報処理方法)によれば、情報処理手段60は、搭乗者からの提供内容情報S50を車載装置4Aから受信し、当該提供内容情報S50に基づいて交通事象の発生を推定する。そして、情報提供手段23は、情報処理手段60が推定した交通事象が実際に発生している可能性が高い場合に、当該交通事象に関する交通事象情報をユーザに提供する。このように、何等かの交通事象が発生した場合に、その発生地点の近傍に位置している車両3Aの搭乗者から、確実性の高い提供内容情報S50を取得することができる。その結果、車両感知情報やプローブ情報等の交通情報のサンプル数が少ないために推定の確実性が低い状況であっても、発生した交通事象に関する情報を早期に提供することが可能となる。
【0095】
また、搭乗者は、車載装置4Aからの定型的な質問に回答するという形式ではなく、不定型の自由な表現によって、自らが目撃したイベントの状況を説明することができる。従って、車載装置4Aからの質問内容と搭乗者が説明したい内容との間にずれが生じるという事態を回避できるため、搭乗者は自らが説明したい内容を正確に伝えることができ、その結果、交通情報処理装置2は、正確な提供内容情報S50に基づいて交通事象の発生を推定することが可能となる。また、提供意思情報S11を入力してから質問情報S14が音声出力されるまでの間の待機時間がないため、その待機時間を焦れったいと感じる搭乗者の不満を解消することが可能となる。一方、上記第1又は第2の実施の形態のように、定型的な質問情報S14に対して搭乗者からの回答情報S21を取得する形式によると、質問情報S14に対する回答内容のパターンを概ね予想できるため、判定手段43による回答情報S21の解析を簡易に行うことが可能となる。
【0096】
なお、本実施の形態と上記第1又は第2の実施の形態とを組み合わせて適用することもできる。
【0097】
車載装置4Aは、質問情報S14をスピーカ56から音声出力するよりも前に、マイク57から提供内容情報S50が入力された場合には、スピーカ56からの質問情報S14の音声出力を中止し、提供内容情報S50を送信部54から交通情報処理装置2に向けて送信する。
【0098】
また、交通情報処理装置2は、質問情報S14を車載装置4Aに向けて送信するよりも前に、車載装置4Aから提供内容情報S50を受信した場合には、車載装置4Aへの質問情報S14の送信を中止する。
【0099】
また、交通情報処理装置2は、車載装置4Aから提供内容情報S50を受信した場合には、車両3Aの周囲に位置している他の車両を特定し、当該他の車両に対して、交通事象の発生の有無を問い合わせるための質問情報S14を送信する。これにより、交通情報処理装置2は、当該他の車両から回答情報S21を取得することができ、交通事象の発生の有無をより正確に判定することが可能となる。
【0100】
また、交通情報処理装置2は、車載装置4Aから提供内容情報S50を受信した場合には、当該車載装置4Aに対して、発生している交通事象又はイベントに関する詳細情報(交通事故の状況の詳細や、交通事故が交通状況に及ぼす影響等)を問い合わせるための質問情報S14を送信する。これにより、交通情報処理装置2は、発生している交通事象又はイベントに関する詳細情報を、回答情報S21として取得することができる。
【0101】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 交通情報処理システム
2 交通情報処理装置
3A,3B 車両
4A,4B 車載装置
13 プログラム
21 質問情報処理手段
22 回答情報処理手段
23 情報提供手段
24 管理手段
31 取得手段
32 推定手段
33 特定手段
34 送信手段
35,42 記憶手段
41 受信手段
43 判定手段
52 タイミング制御部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する、質問情報処理手段と、
前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定する、回答情報処理手段と、
前記交通事象が発生していると前記回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する、情報提供手段と、
を備える、交通情報処理装置。
【請求項2】
前記質問情報処理手段は、
前記交通事象に関する情報を提供しようとするユーザの情報提供の意思を示す提供意思情報を、当該ユーザが搭乗している車両に搭載された車載装置から取得する取得手段と、
前記質問情報を、前記取得手段が前記提供意思情報を取得した前記車載装置に対して送信する送信手段と、
を有する、請求項1に記載の交通情報処理装置。
【請求項3】
前記質問情報処理手段はさらに、前記提供意思情報を送信してきた前記車両の周辺に位置している他の車両を特定する特定手段を有し、
前記送信手段はさらに、前記他の車両に搭載された車載装置に対して前記質問情報を送信する、請求項2に記載の交通情報処理装置。
【請求項4】
前記質問情報処理手段は、
交通情報を取得する取得手段と、
前記交通情報に基づいて、前記交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両を特定する特定手段と、
前記質問情報を、前記特定手段が特定した前記車両に搭載された車載装置に対して送信する送信手段と、
を有する、請求項1に記載の交通情報処理装置。
【請求項5】
前記交通事象に関する前記搭乗者への質問は、前記車載装置からの音声出力によって行われ、
当該質問に対する前記搭乗者からの回答は、前記車載装置への音声入力によって行われる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の交通情報処理装置。
【請求項6】
前記回答情報処理手段は、前記回答情報に基づいて前記交通事象に関連する関連情報を取得し、
前記情報提供手段は、前記交通事象情報とともに前記関連情報を提供する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の交通情報処理装置。
【請求項7】
前記回答情報処理手段は、前記回答情報を音声情報として取得し、
前記情報提供手段は、前記交通事象情報とともに前記音声情報を提供する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の交通情報処理装置。
【請求項8】
前記回答情報の有益度を車載装置毎に管理する管理手段をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一つに記載の交通情報処理装置。
【請求項9】
交通情報処理装置と、
車両に搭載された車載装置と、
を備え、
前記交通情報処理装置は、
何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する、質問情報処理手段と、
前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定する、回答情報処理手段と、
前記交通事象が発生していると前記回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する、情報提供手段と、
を有する、交通情報処理システム。
【請求項10】
前記車載装置は、
車両の運転状況に関する運転状況情報を取得する取得手段と、
前記交通事象に関する前記搭乗者への質問を当該搭乗者に向けて出力するタイミングを、前記運転状況情報に基づいて制御する制御手段と、
を有する、請求項9に記載の交通情報処理システム。
【請求項11】
交通情報処理装置に搭載されるコンピュータを、
何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信する、質問情報処理手段と、
前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定する、回答情報処理手段と、
前記交通事象が発生していると前記回答情報処理手段が判定した場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供する、情報提供手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
(A)何等かの交通事象が発生していると推定される地点の近傍に位置している車両の搭乗者に、当該交通事象の発生の有無を問い合わせるための所定の質問情報を、当該車両に搭載された車載装置に対して送信するステップと、
(B)前記質問情報に対する前記搭乗者からの回答情報を前記車載装置から受信し、当該回答情報に基づいて前記交通事象の発生の有無を判定するステップと、
(C)前記ステップ(B)において前記交通事象が発生していると判定された場合に、当該交通事象に関する交通事象情報を提供するステップと、
を備える、交通情報処理方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−14472(P2012−14472A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150635(P2010−150635)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】