説明

交通情報処理装置、交通情報処理方法及びプログラム

【課題】渋滞や道路規制などの対象となっている道路区間をテキスト形式の道路交通情報から特定し、その道路区間を地図画像上に表示して配信する。
【解決手段】地図表示の対象となる各道路の、道路位置情報、道路上の地点名称、及び他の道路との接続関係を記述した道路網情報を記憶する道路ネットワークDB133と、道路交通情報を記述したテキスト情報から、交通情報の対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出するための対象区間情報抽出手段123と、前記道路網情報を参照し、前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間の道路位置を示す道路区間位置情報を生成する区間位置情報生成手段124とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞や道路規制などの交通情報が表示された地図を作成して利用者に配信するための、交通情報処理装置、交通情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通情報の収集および提供を行う道路交通情報配信事業者から配信される渋滞情報や道路規制情報等は、車載ナビゲーション装置向けの情報としての用途のみならず、インターネットや携帯電話を用いたサービスにおいても、様々な態様で利用されている。
【0003】
地図画像を用いた道路交通情報提供サービスにおいては、道路交通情報配信事業者から配信される情報のうち、デジタル道路地図へ重畳表示できるVICS(Vehicle Information and Communication System)符号型の道路交通情報データを受信し、これを地図上に表示することにより、渋滞情報や道路規制情報の提供を行っている。
例えば、VICS情報を、その送信時刻と共に受信し、VICS情報に基づいて地図画像を生成すると共に、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差に応じて異なる表示態様により渋滞情報を表示する地図表示装置(特許文献1参照)や、時間毎に変化するVICS情報を地図画像に表示しつつ、ユーザが要求した目的地までの誘導経路を、VICS情報の変化に応じて動的に探索して地図上に表示する経路誘導方法(特許文献2参照)が知られている。また、受信したVICS情報に基づいて誘導経路を変更する際に、その変更の理由を、VICS情報に基づいて、地図画像上に表示するナビゲーション装置も知られている(特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、上記した従来の道路交通情報提供サービスでは、地図表示に必要な情報はVICS情報にのみ基づいているため、VICS情報以外の情報、例えば、携帯電話等によるユーザからの情報提供などのテキスト形式の交通情報(以下、「テキスト情報」と称する。)を反映した地図表示を行うことはできない。
ところで、道路交通情報配信事業者から配信される情報には、VICS情報のほかに、道路交通情報を簡易図(デフォルメ図)に表現できる簡易図型情報や、道路交通情報を文字で提供するテキスト情報等があり、特に、テキスト情報は、その配信サービス料金がVICS等の図形情報に比べて安価であるという利点を有している。
【0005】
したがって、携帯電話等によりユーザから提供されるテキスト情報や、道路交通情報配信事業者から配信されるテキスト情報に基づいて、渋滞や道路規制などの道路交通情報を反映した地図画像を作成して配信することができれば、種々の情報源からの情報に基づくきめ細かい情報を安価に提供することが可能となり、情報利用者にとって有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−14402号公報
【特許文献2】特開平6−186049号公報
【特許文献3】特開2008−139081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、交通情報処理装置において、渋滞や道路規制などの対象となっている道路区間をテキスト形式の道路交通情報から特定し、その道路区間を地図画像上に表示して配信することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、情報提供者から提供されるテキスト形式の交通情報を、ネットワークを介して収集し、前記交通情報の対象区間である道路部分を地図画像上に表示して利用者に配信する交通情報処理装置であって、地図表示の対象となる各道路の、道路位置情報、道路上の地点名称、及び他の道路との接続関係を記述した道路網情報を記憶する道路網情報記憶手段と、前記テキスト形式の交通情報から、前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出するための対象区間情報抽出手段と、前記道路網情報記憶手段が記憶している前記道路網情報を参照し、前記対象区間情報抽出手段が抽出した前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間の道路位置を示す道路区間位置情報を生成する区間位置情報生成手段と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された交通情報処理装置において、前記テキスト形式の交通情報に使用されている用語を予め定められた用語に変換するテキスト情報正規化手段を有することを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された交通情報処理装置において、前記対象区間情報抽出手段が抽出する前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報は、道路上に設けられたキロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報であることを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項1又は2に記載された交通情報処理装置において、前記対象区間情報抽出手段が抽出する前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報は、道路上に設けられたキロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報、並びに、前記対象区間の始点位置及び終点位置のそれぞれに対応した、道路上の地点名称で表された開始地点名称及び終了地点名称であることを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された交通情報処理装置において、前記区間位置情報生成手段は、前記対象区間情報抽出手段が抽出した開始地点名称及び終了地点名称に挟まれた区間の道路位置を示す第1の道路区間位置情報を生成し、かつ、第1の道路区間位置情報に基づき、前記キロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間を示す第2の道路区間位置情報を生成することを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、情報提供者から提供されるテキスト形式の交通情報を、ネットワークを介して収集し、前記交通情報の対象区間である道路部分を地図画像上に表示して利用者に配信する交通情報処理装置における交通情報処理方法であって、地図表示の対象となる各道路の、道路位置情報、道路上の地点名称、及び他の道路との接続関係を記述した道路網情報を記憶する工程と、前記テキスト形式の交通情報から、交通情報の対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出する工程と、前記道路網情報を参照し、前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間の道路位置を示す道路区間位置情報を生成する工程と、を有することを特徴とする。
請求項7に記載された発明は、プログラムであって、情報提供者から提供されるテキスト形式の交通情報を、ネットワークを介して収集し、前記交通情報の対象区間である道路部分を地図画像上に表示して利用者に配信する交通情報処理装置のコンピュータで、請求項6に記載された交通情報処理方法の各工程を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、交通情報処理装置において、渋滞や道路規制などの対象となっている道路区間(以下、「対象区間」と称する。)をテキスト形式の道路交通情報から特定し、その対象区間を地図画像上に表示して配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の交通情報処理装置の、一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に用いられる地図情報生成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における、対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出するまでの動作手順を示すフロー図である。
【図4】本実施形態における、始点及び終点位置情報の抽出後、道路区間位置情報の出力までの動作手順を示すフロー図である。
【図5】本実施形態における、テキスト情報に関する動作の具体例を説明するための図である。
【図6】本実施形態における、テキスト情報から生成された道路位置情報に基づく地図画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態に係る交通情報処理装置について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本交通情報処理装置の構成を示すブロック図である。
本交通情報処理装置1は、渋滞情報等の対象区間の道路位置情報を生成する地図情報生成装置2と、地図情報生成装置2が生成した道路位置情報に基づいて地図画像を生成する地図画像生成装置3と、地図画像生成装置3が生成した地図画像等を、インターネット等のネットワーク(以下単に、「ネットワーク」という。)を介して利用者に配信するための交通情報配信装置4と、交通情報処理装置1の全体の動作を制御する中央制御装置5を有している。そして、本交通情報処理装置1は、交通情報についての情報提供者である道路交通情報配信事業者7a、7b、7cと、ネットワーク6を介して接続されている。また、携帯電話8a、8b等の利用者も、無線基地局10を介して情報共有サイト9に交通情報を提供することで情報提供者となり、その情報共有サイト9はネットワーク6を介して本交通情報処理装置1と接続されている。
【0012】
上記の構成において、交通情報処理装置1は、道路交通情報配信事業者7a、7b、7cからのテキスト情報や、情報共有サイト9に提供された交通情報に関するテキスト情報を、ネットワーク6を介して受信し、本交通情報処理装置1の特徴である地図情報生成装置2により、これらのテキスト情報から、その対象区間を地図画像上に表示するための道路位置情報を生成する。
【0013】
図2は、地図情報生成装置2の構成を示すブロック図である。
地図情報生成装置2は、ネットワーク6や中央制御装置5との通信を行うための通信インタフェース11と、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータである処理部12と、記憶部13を有している。
【0014】
また、処理部12は、インターネットを介して交通情報に関するテキスト情報を受信するための交通情報受信手段121と、そのテキスト情報の用語を予め定められた用語に変換して正規化するためのテキスト情報正規化手段122と、正規化されたテキスト情報から、対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出する対象区間情報抽出手段123と、対象区間情報抽出手段123が抽出した対象区間の始点位置及び終点位置に挟まれる区間の道路位置を示す、道路区間位置情報を生成する区間位置情報生成手段124と、その道路位置情報を、中央制御装置5を介して地図画像生成装置3へ出力するための地図情報出力手段125とを有している。ここに、道路区間位置情報とは、その道路区間の道路上の各点の位置を示す、例えば緯度、経度などの情報をいう。
なお、テキスト情報の「正規化」とは、地点名称等の用語を予め定められた用語に変換することをいい、例えば、テキスト情報に使用されている道路名称の略称「中央道」を正式名称「中央自動車道」に、余分文字を含む開始地点名称「高井戸IC付近」を余分文字のない「高井戸IC」に置き換える等の変換をいう。
【0015】
上記の対象区間情報抽出手段123が抽出する対象区間の始点位置情報及び終点位置情報には、対象区間の始点位置及び終点位置のそれぞれに対応する地点名称で表された開始地点名称及び終了地点名称、並びに、道路上に設けられたキロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報が含まれている。ここに、「始点位置及び終点位置のぞれぞれに対応する地点名称」とは、その始点位置又は終点位置に地点名称が設けられている場合にはその地点名称を、地点名称が設けられていない場合には、その位置に最も近い地点名称、その位置を含む地域に付された地点名称、その位置より上り方向にある直近の地点名称、あるいは、その位置より下り方向にある直近の地点名称などをいう。
【0016】
また、「キロポスト」とは、高速道路、一般国道その他の主要な道路について、その道路上の位置を、その道路の起点からの距離として表示するために設けられた標識をいう。道路交通情報配信事業者7a、7b、7cが配信する道路交通情報では、このキロポストに基づいて、道路上の任意の位置が示される場合があり、例えば、「1.5kps」は、道路起点から1kmの位置にあるキロポストと2kmの位置にあるキロポストの間の、道路起点から1.5kmに相当する地点を意味する。
【0017】
上記の開始地点名称及び終了地点名称並びにキロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報に対応し、区間位置情報生成手段124は、開始地点名称及び終了地点名称に挟まれた区間の道路位置を示す第1の道路区間位置情報を生成する区間点列生成手段126と、第1の道路区間位置情報に基づき、キロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間となるようにした第2の道路区間位置情報を生成する点列調整手段127を有している。
なお、処理部12が有するこれらの各手段は、CPUを含む処理部12がプログラムを実行することにより得られる機能実現手段である。
【0018】
記憶部13は、インターネットを介して受信したテキスト情報を記録(又は記憶)する交通情報DB(データベース:database)131と、テキスト情報の正規化に使用する正規化辞書を記録した正規化辞書DB132と、地図に表示される各道路の、道路位置情報、道路上の地点名称、及び他の道路との接続関係を記述した道路網情報を記録した道路網情報記憶手段、例えば、道路ネットワークDB133とを有している。ここで、道路ネットワークDB133に記録された道路網情報に含まれる道路位置情報は、各道路上に仮想的に並べた等間隔の点の位置を示す経度及び緯度の羅列で与えられている。
【0019】
以上の構成において、まず、交通情報受信手段121は、通信インタフェース11を介して、道路交通情報配信事業者7a、7b、7cから定時配信されるテキスト情報や、情報共有サイト9にアップロードされている交通情報に関するテキスト情報を、ネットワーク6を介して定期的に受信して、交通情報DB131に、そのテキスト情報を記憶する。このテキスト情報に含まれる地名や道路名等の名称は、略称が使用されていたり、誤字を含んでいる場合がある。このため、テキスト情報正規化手段122は、交通情報DB131に記録されているテキスト情報を読み出し、道路名や地点名称等の用語を予め定められた用語に変換して、そのテキスト情報を正規化する。
【0020】
次に、対象区間情報抽出手段123は、正規化されたテキスト情報から、対象区間の開始地点名称及び終了地点名称、並びに、道路上に設けられたキロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報を抽出する。その後、区間点列生成手段126は、道路ネットワークDB133を参照し、開始地点名称及び終了地点名称から、これらの地点に挟まれた区間の道路位置情報を第1の道路区間位置情報として生成する。次に、点列調整手段127は、キロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報に対応する始点位置及び終点位置により、第1の道路区間位置情報の始点及び終点を修正して、第2の道路区間位置情報を生成する。そして、この第2の道路区間位置情報が、道路位置情報として、中央制御装置5を介して地図画像生成装置3に出力される。
【0021】
以上により、道路交通情報配信事業者7a、7b、7cや情報共有サイト9から得たテキスト情報に基づいて、渋滞や道路規制等の対象区間の正確な位置を、地図画像上に道路画像として表示するための道路位置情報が、自動的に得られる。
【0022】
次に、地図情報生成装置2が対象区間の始点及び終点位置情報を抽出するまでの動作手順を、図3のフロー図に従って説明する。
まず、交通情報受信手段121が、通信インタフェース11を介して、例えば速度規制情報、通行規制情報などの道路交通に関するテキスト情報を受信し(S101)、そのテキスト情報を交通情報DB131に記録する(S102)。次に、テキスト情報正規化手段122は、交通情報DB131からテキスト情報を読み出し(S103)、正規化辞書DB132を参照して、テキスト情報を予め定められた用語のみを用いたテキスト情報に正規化する(S104)。
【0023】
このようにテキスト情報を正規化する目的は、テキスト情報に含まれている地点名称等を、道路ネットワークDB133内に記録されている道路情報の検索に用いる文字列として使用できるようにすることにある。テキスト情報の正規化が終了すると、対象区間情報抽出手段123は、その正規化されたテキスト情報から、対象区間の開始地点名称及び終了地点名称を抽出し(S105)、さらに、キロポストに基づく対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出する(S106)。
【0024】
次に、本地図情報生成装置2が、始点及び終点位置情報の抽出後、道路区間位置情報を出力するまでの動作手順を、図4のフロー図に従って説明する。
まず、区間位置情報生成手段124の区間点列生成手段126は、道路ネットワークDB133を参照して、開始地点名称、終了地点名称、及びこれらの地点に挟まれたすべての地点名称を特定し(S201)、続いて、これらの地点名称が指す地点を結ぶ道路の道路位置情報を全てまとめて、第1の道路区間位置情報を生成する(S202)。
【0025】
次に、点列調整手段127は、キロポストに基づく対象区間の始点位置情報及び終点位置情報に対応する始点位置及び終点位置が、第1の道路区間位置情報に含まれているか否かを判定し(S203)、含まれている場合には(S203、Yes)、第1の道路区間位置情報から、キロポストに基づく対象区間の始点位置及び終点位置に挟まれていない区間の道路位置情報を削除して第2の道路区間位置情報を生成する(S204)。
【0026】
一方、キロポストに基づく対象区間の始点位置情報又は終点位置情報に対応する始点位置又は終点位置が、第1の道路区間位置情報に含まれていない場合には(S203、No)、キロポストに基づく対象区間の始点位置と終点位置に挟まれる区間のうち、第1の道路区間位置情報に含まれていない道路位置情報を、道路ネットワークDB133を参照して取得し、これらをつなぎ合わせて第2の道路区間位置情報を生成する(S205)。
最後に、地図情報出力手段125は、第2の道路区間位置情報を道路位置情報として、通信インタフェース11を介して出力して(S206)、処理を終了する。この道路位置情報は、交通情報処理装置1の中央制御装置5を介して、地図画像生成装置3に入力され、地図画像の生成に使用される。
【0027】
ここで、点列調整手段127が出力する第2の道路区間位置情報は、道路ネットワークDB133に記録されている道路位置情報と同様に、道路上に仮想的に並べた等間隔の点の位置を示す経度及び緯度の羅列で表現された、点列座標情報で与えられる。しかし、地図画像上への表示の便宜のため、これらの経度及び緯度を地図画像上の座標に変換した座標の羅列を点列座標情報として出力してもよい。
【0028】
次に、本実施形態で扱うテキスト情報の具体例を、図5及び図6を用いて説明する。
図5(1)は、道路交通情報配信事業者から受信されるテキスト情報の例である。このテキスト情報は、『「中央道」の「上り」方向道路の「高井戸IC付近」から「稲城JCT」にかけて、「路面凍結」による「80キロ規制」が行われており、その始点は「80.73」キロポスト、終点は「98.65」キロポストである』ことを示している。このテキスト情報では、道路名称が中央自動車道の略称「中央道」となっており、地点名称の一つが「高井戸IC付近」であり余分な文字「付近」が含まれているため、これを正規化して、道路ネットワークDB133の検索に使用できる文字列とする必要がある。
【0029】
そこで、テキスト情報正規化手段122は、このテキスト情報を正規化して、図5(2)に示すテキスト情報を作成する。道路の略称「中央道」は正式名称「中央自動車道」に、地点名称「高井戸IC付近」の余分文字「付近」は削除されている。正規化辞書DB132には、略称と正式名称との対応付けや、不要文字のリスト等が含まれており、テキスト情報正規化手段122は、これらの情報を参照してテキスト情報を正規化する。
【0030】
次に、区間点列生成手段126は、開始地点名称、終了地点名称、及びこれらに挟まれた全ての地点の地点名称を特定し、図5(3)のような地点名称のリストを作成し、その後、これらの地点を結ぶ道路の全ての道路位置情報をまとめて第1の道路区間位置情報とする。
最後に、点列調整手段127は、正規化されたテキスト情報から抽出された、キロポストに基づく始点位置情報「80.73kps」及び終点位置情報「98.65kps」から、第1の道路区間位置情報の始点及び終点の位置を修正して、第2の道路区間位置情報を得る。
この第2の道路区間位置情報が、道路位置情報として道路情報処理装置1の地図画像生成装置3に出力され、地図画像生成装置3は、この道路位置情報に基づいて、図6のように、「80キロ規制」の対象区間を、通常の道路部分とは異なる態様(図6の黒線部分)で表示して、地図画像を生成する。この地図画像は、交通情報配信装置4により、ネットワーク6を介して利用者に配信される。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、道路交通情報配信事業者から配信されるテキスト情報や情報共有サイトに書き込まれたテキスト情報を、ネットワークを介して受信し、渋滞情報や道路規制情報の対象となっている道路部分を地図上に道路画像として表示するための道路位置情報を自動的に生成して、この道路位置情報に基づいて作成される地図情報を利用者に配信することができる。
【符号の説明】
【0032】
1・・・交通情報処理装置、2・・・地図情報生成装置、3・・・地図画像生成装置、4・・・交通情報配信装置、5・・・中央制御装置、6・・・ネットワーク、7a、7b、7c・・・道路交通情報配信事業者、8a、8b・・・携帯電話、9・・・情報共有サイト、10・・・無線基地局、11・・・通信インタフェース、12・・・処理部、13・・・記憶部、121・・・交通情報受信手段、122・・・テキスト情報正規化手段、123・・・対象区間情報抽出手段、124・・・区間位置情報生成手段、125・・・地図情報出力手段、126・・・区間点列生成手段、127・・・点列調整手段、131・・・交通情報DB、132・・・正規化辞書DB、133・・・道路ネットワークDB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供者から提供されるテキスト形式の交通情報を、ネットワークを介して収集し、前記交通情報の対象区間である道路部分を地図画像上に表示して利用者に配信する交通情報処理装置であって、
地図表示の対象となる各道路の、道路位置情報、道路上の地点名称、及び他の道路との接続関係を記述した道路網情報を記憶する道路網情報記憶手段と、
前記テキスト形式の交通情報から、前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出するための対象区間情報抽出手段と、
前記道路網情報記憶手段が記憶している前記道路網情報を参照し、前記対象区間情報抽出手段が抽出した前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間の道路位置を示す道路区間位置情報を生成する区間位置情報生成手段と、
を有することを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された交通情報処理装置において、
前記テキスト形式の交通情報に使用されている用語を予め定められた用語に変換するテキスト情報正規化手段を有することを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された交通情報処理装置において、
前記対象区間情報抽出手段が抽出する前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報は、道路上に設けられたキロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報であることを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された交通情報処理装置において、
前記対象区間情報抽出手段が抽出する前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報は、道路上に設けられたキロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報、並びに、前記対象区間の始点位置及び終点位置のそれぞれに対応した、道路上の地点名称で表された開始地点名称及び終了地点名称であることを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載された交通情報処理装置において、
前記区間位置情報生成手段は、前記対象区間情報抽出手段が抽出した開始地点名称及び終了地点名称に挟まれた区間の道路位置を示す第1の道路区間位置情報を生成し、かつ、第1の道路区間位置情報に基づき、前記キロポストに基づく始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間を示す第2の道路区間位置情報を生成することを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項6】
情報提供者から提供されるテキスト形式の交通情報を、ネットワークを介して収集し、前記交通情報の対象区間である道路部分を地図画像上に表示して利用者に配信する交通情報処理装置における交通情報処理方法であって、
地図表示の対象となる各道路の、道路位置情報、道路上の地点名称、及び他の道路との接続関係を記述した道路網情報を記憶する工程と、
前記テキスト形式の交通情報から、交通情報の対象区間の始点位置情報及び終点位置情報を抽出する工程と、
前記道路網情報を参照し、前記対象区間の始点位置情報及び終点位置情報に対応する道路上の始点位置及び終点位置に挟まれる区間の道路位置を示す道路区間位置情報を生成する工程と、
を有することを特徴とする交通情報処理方法。
【請求項7】
情報提供者から提供されるテキスト形式の交通情報を、ネットワークを介して収集し、前記交通情報の対象区間である道路部分を地図画像上に表示して利用者に配信する交通情報処理装置のコンピュータで、請求項6に記載された交通情報処理方法の各工程を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215969(P2011−215969A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84615(P2010−84615)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】