説明

交通情報収集・配信方法、交通情報収集・配信システム、センタ装置および車載端末装置

【課題】多数のプローブデータから類似する特徴データを抽出し、その特徴データが対応する道路区間に交通情報をリアルタイムで付加し、配信する。
【解決手段】センタ装置10は、現況プローブデータ記憶部21に記憶されたある道路区間のプローブデータについて、特徴空間射影処理部14により特徴空間射影処理を行い、その特徴データを抽出し、変化点検出部15、イベント区間分割部16およびイベント割付部17により、その特徴データに対応する道路区間を定めてイベント情報を割り付け、イベント情報配信部18により配信する。車載端末装置30は、プローブデータ分割部34と直交成分分解部35により、センタ装置10から取得した主成分得点ベクトルを用いてプローブデータの分割と直交成分分解を行い、アップリンクするプローブデータの削減を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたセンサによって取得されるプローブデータに基づき、道路交通情報を収集・配信する交通情報収集・配信方法、交通情報収集・配信システム、センタ装置および車載端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の交通情報を取得するために、しばしば、プローブカーが用いられている。プローブカーとは、各種センサや通信装置などを含んだ車載装置を搭載し、その各種センサによって車両位置、走行速度、走行距離などのデータ(以下、プローブデータという)を収集し、その収集したプローブデータを所定の交通情報センタに送信する車両である。プローブカーとしては、例えば、タクシー会社などの協力のもとに、タクシーなどが利用されることが多い。
【0003】
一方、交通情報センタは、プローブカーから送信されてくるプローブデータを処理し、交差点間の旅行時間、渋滞箇所、渋滞長などの交通情報を収集する。しかしながら、現実は、プローブカーの数が足りないので、収集される交通情報の精度が問題となっている。そこで、プローブカーの数を増やすために、例えば、通信機能を有するナビゲーション装置を備えた車両にプローブカーとしての役割を担わせる構想がある。現状の多くの車両は、交通情報を収集するために必要なセンサをすでに備えており、また、通信機能を有するナビゲーション装置は、今後、さらに増加することが予想されている。
【0004】
こうして、多数の車両がプローブカーとなり、その多数のプローブカーから交通情報センタにプローブデータが送信されるようになると、従来とは異なる問題が生じる。まず、第1の問題は、プローブデータが多数のプローブカーから送信されるため、交通情報センタの通信回線の通信負荷やコンピュータの処理負荷が膨大なものになることである。また、第2の問題は、道路における同一のイベント(例えば、ある地点での渋滞)について複数のプローブカーから送信される異なるプローブデータを、どのような方法で同一視したり、分類したりすればよいかという問題である。
【0005】
特許文献1には、プローブカーの車載装置がSS/STと呼ばれるイベント検出を行うことにより、交通情報センタへ送信するデータを低減するプローブカーの例が開示されている。SS(Short Stop)とは車両が所定速度未満の停止状態、ST(Short Trip)とは所定速度以上の走行状態をいい、車載装置はSSおよびSTのそれぞれのイベント終了時に、イベントの状態とともに車両位置、車両速度などのプローブデータをアップリンク(車載装置から交通情報センタへのデータ転送)する。すなわち、SS/STは、イベントドリブン型のアップリンク方法であり、この方法には、アップリンクするデータを圧縮する効果が認められる。
【特許文献1】特開2003−296891号公報
【0006】
また、前記第2の問題に対しては、同様の問題を解決する一般的な方法として、例えば、適応共鳴理論(ART:Adaptive Resonance Theory)を適用することができる。すなわち、プローブデータを処理するコンピュータは、あらかじめ設定された教示データを用いて学習を行い、その類似データによってクラスタを構成する。そして、リアルタイムに入力されるプローブデータに対して、そのクラスタとのマッチングを行い、イベントの検出および分類を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1によるSS/STによるイベント検出は、イベント検出の条件(車両の走行状況や周囲の状況など)、車両の種類や個体差、センサの種類や個体差などに相違があると、そのプローブデータに大きな差が生じる場合があり、交通情報センタ側でのイベントの統合に困難をきたす場合がある。また、SS/STによって情報を圧縮しても、すべてのイベント発生時にプローブデータをアップリンクするので、プローブカーの増加、センサの種類の増加、時間分解能の向上が進行する限り、アップリンクする情報量を削減することはできない。
【0008】
また、適応共鳴理論の適用においては、車両によって得られるプローブデータの場合、その対象となるデータの特性および次数が、車両の台数、車両の個体差、道路の走行特性などに応じて多様かつ短時間に変化する。従って、判定対象のセンサが限定される用途とは異なり、教示データの設定やクラスタの形成を簡単に行うことができない。少なくとも、リアルタイムで入力されるプローブデータについて、そのイベントをリアルタイムで検出し、分類することは困難である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、プローブカーからアップリンクされるプローブデータを削減することができ、かつ、ある道路区間についての多数のプローブデータから類似する特徴データを抽出し、その抽出した特徴データが対応する道路区間に対し、交通状況に係るイベント情報を付加し、配信する処理を、リアルタイムで行うことが可能な交通情報収集・配信方法、交通情報収集・配信システム、センタ装置および車載端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両に搭載され、その車両が備えるセンサからプローブデータを取得する車載端末装置と、前記車載端末装置から送信された情報を受信して一時記憶する一時記憶手段を備え、その一時記憶された情報に基づき、道路の交通状況に係るイベント情報を取得するセンタ装置と、を通信可能に接続して構成した交通情報収集・配信システムであり、また、その交通情報収集・配信システムに用いられる交通情報収集・配信方法、センタ装置、および、車載端末装置である。そして、本発明においては、前記車載端末装置および前記センタ装置が以下のように動作することを特徴とする。
【0011】
(1)前記車載端末装置は、前記プローブデータから所定のイベントを検出したときには、そのイベントが検出された道路区間に係る前記プローブデータと、そのイベントを識別するイベント識別情報と、をセンタ装置に送信する。
(2)前記センタ装置は、(2−1)前記車載端末装置から送信された前記プローブデータと前記イベント識別情報とを受信し、その受信した前記プローブデータと前記イベント識別情報とを前記一時記憶手段に一時記憶し、(2−2)前記一時記憶手段に記憶されているプローブデータのうち、その対応する道路区間の一部を互いに共有するような複数のプローブデータについて、主成分分析による特徴空間射影処理を行い、(2−3)前記特徴空間射影処理によって得られた特徴空間ベクトルによりその特徴空間ベクトルの方向の変化点を検出し、(2−4)前記検出した変化点により前記複数のプローブデータに係る道路区間を分割し、(2−5)前記分割したそれぞれの道路区間に、その道路区間を含む前記複数のプローブデータそれぞれに対応するイベント識別情報の1つを割り付け、(2−6)前記割り付けたイベント識別情報とその道路区間の所在位置を示す区間情報とを前記車載端末装置に配信する。
(3)前記車載端末装置は、前記イベント識別情報と前記区間情報とを受信し、当該車両の現在位置が前記区間情報によって示された道路区間に含まれたときには、前記イベント識別情報によって示されるイベント情報を表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プローブカーからアップリンクされるプローブデータの量が削減されるとともに、ある道路区間についての多数のプローブデータから類似する特徴データを抽出し、その抽出した特徴データが対応する道路区間に対し交通状況に係るイベントの情報を、リアルタイムで付加し、配信することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る交通情報収集・配信システムの機能ブロックの構成の例を示した図である。図1に示すように交通情報収集・配信システム1は、センタ装置10と車両に搭載された車載端末装置30とによって構成される。ここで、センタ装置10と車載端末装置30とは、携帯電話回線やインターネットなど図示しない通信ネットワークを介して、互いに通信可能に接続されている。また、車載端末装置30は、車両に搭載されている各種のセンサ50、表示装置60などに接続されている。
【0015】
ここで、センタ装置10は、プローブデータ受信部11、プローブデータ更新部12、主成分得点ベクトル送信部13、特徴空間射影処理部14、変化点検出部15、イベント区間分割部16、イベント割付部17、イベントデータ配信部18、現況プローブデータ記憶部21、主成分得点ベクトル記憶部22、イベントデータ記憶部23などの機能ブロックを含んで構成される。
【0016】
また、車載端末装置30は、プローブデータ取得部31、イベント検出部32、プローブデータ送信部33、プローブデータ分割部34、直交成分分解部35、アップリンク判定部36、主成分得点ベクトル受信部37、イベントデータ受信部38、イベントデータ表示部39、プローブデータ記憶部41などの機能ブロックを含んで構成される。
【0017】
センサ50としては、車両に一般的に搭載されている種々のセンサを利用することができる。例えば、車速センサ、距離センサ、加速度センサ、ブレーキセンサ、アクセルセンサ、操舵角センサ、GPS(Global Positioning System)受信機などの位置センサ、ABS(Antilock Braking System)などに含まれるスリップセンサ、レーダなどの障害物センサなどのいずれであっても構わない。
【0018】
車載端末装置30において、プローブデータ取得部31は、各種のセンサ50から入力されるプローブデータを取得し、取得したプローブデータをプローブデータ記憶部41に格納する。また、イベント検出部32は、プローブデータ取得部31によって取得されたプローブデータからイベントを検出し、検出したイベントの種類を表すイベントラベル、例えば、「渋滞」などの情報をプローブデータに付加する。そして、プローブデータ送信部33は、そのイベントラベルが付加されたプローブデータを、プローブデータ分割部34またはアップリンク判定部36からの指示情報に基づき、センタ装置10へ送信(アップリンク)する。
【0019】
なお、本実施形態においては、イベント検出部32によるイベントの検出は、単一または複数のセンサ50からのプローブデータを監視することにより検出できるものとする。例えば、車速が所定の速度以下になったときを「渋滞」のイベントとして検出し、そのとき得られるプローブデータに対して、「渋滞」のイベントラベルを付加する。このとき、プローブデータに対して、複数のイベントラベルが付加されても構わない。そして、そのイベントラベルが付加されるプローブデータの部分をイベント区間という。
【0020】
また、車載端末装置30において、主成分得点ベクトル受信部37は、センタ装置10から送信される主成分得点ベクトル(詳細は後記)を受信し、プローブデータ分割部34は、プローブデータ記憶部41に記憶されているプローブデータを、その受信した主成分得点ベクトルの区間内に含まれる部分とその区間外に含まれる部分とに分割する。そして、その区間外に含まれる部分のプローブデータをアップリンクするようにプローブデータ送信部33に指示する。また、直交成分分解部35は、主成分得点ベクトルの区間内に含まれる部分のプローブデータを直交成分分解することによって、主成分得点ベクトルとは異なる成分(直交成分)のデータを抽出する。そして、アップリンク判定部36は、その直交成分のデータが存在するか否かを判定し、異なる成分のデータが存在した場合には、プローブデータのうちその直交成分のデータをセンタ装置10へアップリンクするようにプローブデータ送信部33に指示する。
【0021】
また、車載端末装置30において、イベントデータ受信部38は、センタ装置10から配信されるイベントデータを受信する。そのイベントデータには、そのイベントデータがどの道路区間に対応するかを示す区間情報が付されているので、イベントデータ表示部39は、その受信したイベントデータに当該車両が走行中の道路区間のものがあったときには、そのイベントデータを表示装置60に表示する。なお、表示装置60は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成され、ナビゲーション装置の表示装置を共用しても構わない。
【0022】
次には、センタ装置10において、プローブデータ受信部11は、車載端末装置30から送信されるプローブデータを受信して、その受信したプローブデータを現況プローブデータ記憶部21に格納する。また、プローブデータ更新部12は、現況プローブデータ記憶部21に格納されているプローブデータについて、そのプローブデータに付された日時情報(タイムスタンプ)が現況タイムウィンドウから外れるものを除去する。ここで、現況タイムウィンドウとは、現在時刻の所定時間の前(例えば、5分前)の時刻から現在時刻までの間をいう。すなわち、プローブデータ更新部12は、現況プローブデータ記憶部21に格納されているプローブデータのうち古いデータを除去する。
【0023】
特徴空間射影処理部14は、現況プローブデータ記憶部21に格納されているプローブデータについて主成分分析処理を行い、特徴空間ベクトルおよび主成分得点ベクトルを算出し、さらに、その算出した主成分得点ベクトルを主成分得点ベクトル記憶部22に格納する。そして、変化点検出部15は、前記算出された特徴空間ベクトルについてそのベクトルの方向の変化点を検出する。また、イベント区間分割部16は、その変化点に基づき道路区間を分割し、イベント割付部17は、その分割された道路区間に対し、プローブデータに付されていたイベントラベルを割り付け、道路区間情報とイベントラベルとをイベントデータとしてイベントデータ記憶部23に格納する。イベントデータ配信部18は、イベントデータ記憶部23に格納されているイベントデータを車載端末装置30へ配信する。
【0024】
なお、センタ装置10における特徴空間射影処理部14以下の各機能ブロックの機能については、後記するところにより詳しく説明する。
【0025】
図1において、センタ装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と記憶装置とを含んで構成されたコンピュータによって構成され、センタ装置10の前記した各機能ブロックの機能は、前記CPUが前記記憶装置に記憶された所定のプログラムを実行することによって実現される。なお、記憶装置は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク装置などによって構成される。
【0026】
同様に、車載端末装置30は、図示しないCPUと記憶装置とを含んで構成されたコンピュータによって構成され、車載端末装置30の前記した各機能ブロックの機能は、前記CPUが前記記憶装置に記憶された所定のプログラムを実行することによって実現される。なお、記憶装置は、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスク装置などによって構成される。
【0027】
図2は、第1の実施形態において、車載端末装置からセンタ装置へ送信されるプローブデータ、および、センタ装置から車載端末装置へ配信されるイベントデータの構成を示した図である。
【0028】
図2において、プローブデータの日時情報は、そのプローブデータが取得されたときの日時を表す情報である。また、区間情報は、そのプローブデータが取得された道路リンク(交差点間を結ぶ道路を道路リンクという)における道路区間に係る情報であり、道路リンクの識別情報、その道路リンクにおけるイベント発生位置情報、そのイベントに係るプローブデータが存在する区間の距離情報などの情報を含む。また、イベントラベルは、イベント検出部32で付加されたそのイベントの種類を識別する情報である。
【0029】
なお、車載端末装置30が道路リンクの識別情報や位置情報などを含んだ道路地図情報を有しない場合には、車載端末装置30では、道路リンクの識別情報を付すことができない。この場合には、イベント発生位置情報としてGPS受信機などから得られる緯度・経度情報を用い、道路リンクの識別情報については、センタ装置10で付加するようにしても構わない。
【0030】
また、プローブデータの本体は、センサ#i(i=1,…,s:ただし、sはセンサの数)から取得されるデータdij(j=1,…,n:nはデータの数)によって構成される。なお、センサ#iから取得されるdijは、一般には、時系列のデータとして取得されるが、本実施形態においては、時系列のデータが、例えば、走行距離センサのデータと組み合せることによって、走行距離を主軸とするデータに変換されたデータ、例えば、車両が1m走行するごとに得られるデータであるとする。
【0031】
また、アップリンク判定部36によってアップリンクが指示された場合には、アップリンクするプローブデータは、センサ#i(i=1,…,s)から取得されたデータdijそのものではなく、直交成分分解部35によって抽出された主成分得点ベクトルについての直交成分のデータとなる。
【0032】
また、センタ装置10から車載端末装置30へ配信されるイベントデータは、日時情報と区間情報とイベントラベルとを含んで構成される。この場合の区間情報は、道路リンクの識別情報とその道路リンクにおける少なくとも2地点の位置情報とを含む。また、イベントラベルは、イベント割付部17によってその区間に割り付けられるイベントラベルであり、複数のイベントラベルが割り付けられても構わない。
【0033】
なお、イベントデータ記憶部23には、以上のように構成されたイベントデータが多数記憶されることになる。そして、イベントデータ配信部18は、前記イベントデータを車載端末装置30ごとに個別に配信してもよいが、通常は、所定のエリア内に所在する複数の車載端末装置30に対して、そのエリアに含まれる道路区間の区間情報を有するイベントデータをマルチキャストなどにより一斉に配信する。
【0034】
図3は、第1の実施形態に係る交通情報収集・配信システムにおける処理の流れの概要を示した図である。すなわち、この処理の流れは、車載端末装置30がセンサ50からプローブデータを取得して、そのプローブデータからイベントを検出し、必要最小限のプローブデータだけをセンタ装置10にアップリンクし、センタ装置10がそのアップリンクされたプローブデータをそれまで保有しているイベントデータと統合または分離して、新たなイベントデータを生成し、保有および生成したイベントデータを配信するまでの処理を示したものである。なお、この処理において、車載端末装置30は、複数(多数)存在することを想定している。
【0035】
図3に示すように、車載端末装置30は、センサ50から取得したプローブデータによって渋滞といったようなイベントを検出すると(ステップS10)、センタ装置10に対して「アップリンク通知」を送信する(ステップS11)。「アップリンク通知」は、車載端末装置30がセンタ装置10に対し、プローブデータのアップリンクをしようとしていることを知らせる通知である。また、本実施形態の場合、「アップリンク通知」は、センタ装置10に対し、主成分得点ベクトルの送信を要求する情報であるといってもよい。なお、「アップリンク通知」には、車載端末装置30を搭載した車両の現在位置情報が添付される。
【0036】
センタ装置10は、「アップリンク通知」を受信すると、添付された車両の現在位置情報に基づき主成分得点ベクトル記憶部22を参照して、当該車両が走行中の道路リンクにイベント統合済み区間があるか否かを判定する(ステップS12)。イベント統合済み区間とは、ここでは、主成分得点ベクトルが対応付けられている道路区間であることを意味し、その詳細については後記する。
【0037】
そして、その判定の結果、イベント統合済み区間があったときには(ステップS12でYes)、センタ装置10は、当該統合済み区間情報を含んだ主成分得点ベクトルを車載端末装置30へ送信する(ステップS13)。また、イベント統合済み区間がなかったときには(ステップS12でNo)、センタ装置10は、車載端末装置30へ「無条件アップリンク要求」を送信する(ステップS14)。
【0038】
一方、車載端末装置30は、そのとき受信したデータが「無条件アップリンク要求」であったときには(ステップS15でYes)、イベントラベルを含み、そのイベントに係る全プローブデータをセンタ装置10へアップリンクする(ステップS16)。また、その受信したデータが「無条件アップリンク要求」でなかったとき(ステップS15でNo)、つまり、受信したデータが統合済み区間情報を含んだ主成分得点ベクトルであったときには、車載端末装置30は、その統合済み区間情報に基づきプローブデータを区間分割する(ステップS17)。
【0039】
そして、その区間分割によって前記統合済み区間に含まれない新規区間が生じた場合には、その新規区間のプローブデータを抽出する。また、前記統合済み区間内に含まれるプローブデータについては、主成分得点ベクトルによる直交成分分解を行い(ステップS18)、その直交成分をイベントの新規成分として抽出する。このようにして、プローブデータの新規区間または新規成分(直交成分)が抽出されたときには(ステップS19でYes)、車載端末装置30は、イベントラベルを含み、前記抽出部分のプローブデータをセンタ装置10へアップリンクする(ステップS20)。また、新規区間も新規成分も抽出されなかったときには(ステップS19でNo)、プローブデータのアップリンクを行わない。
【0040】
次に、センタ装置10は、車載端末装置30からアップリンクされたプローブデータ(全プローブデータ、新規区間または新規成分のプローブデータ)を受信すると、そのプローブデータをいったん現況プローブデータ記憶部21に格納した上で、イベント統合済み区間と新規区間とを含む新たなイベント統合区間に属するプローブデータについて特徴空間射影処理を行い、その結果得られる特徴空間ベクトルの変化点を検出することによって、イベント区間を分割する(ステップS21)。そして、センタ装置10は、その分割したイベント区間へイベントラベルを割付け、イベント区間の区間情報とイベントラベルを対応付けて、イベントデータ記憶部23に格納する(ステップS22)。
【0041】
また、センタ装置10は、イベントデータ記憶部23に格納したイベントデータを、例えば、5分ごとなど所定時間ごとに、車載端末装置30に配信する(ステップS23)。また、車載端末装置30は、その配信されたイベントデータを受信し、その受信したイベントデータに含まれる区間情報と当該車両の現在位置とを照合し、その現在位置を包含する区間情報を有するイベントデータがあったときには、そのイベントデータを表示装置に表示する(ステップS24)。
【0042】
以上、図3に示した処理によって、センタ装置10は、道路を走行中の複数の車両それぞれに搭載された車載装置30からイベントデータ、つまり、交通情報を収集することができ、また、その収集した交通情報を車載装置30へ配信することができる。従って、車載装置30は、自らが検出する前であっても、他の車載装置30によって検出されたイベントデータ、つまり、交通情報を取得し、表示することができる。
【0043】
続いて、以上の処理において本実施形態を特徴付ける処理について、例などを用いて、さらに詳しく説明する。
【0044】
図4は、第1の実施形態に係る主成分分析における特徴空間射影処理の例を模式的に示した図である。主成分分析は、多数のデータから互いに相関のあるデータを抽出し、それらのデータを統合することにより、そのデータ量を削減し、そのデータが有する特徴を把握しやすくしようとする技術である。従って、同じイベントについて複数の車両の車載端末装置30から取得されるプローブデータ同士には、当然ながら高い相関があると考えられるので、主成分分析を適用することによって、それらのプローブデータを統合化することができるのである。
【0045】
例えば、図4に示すように、複数の車載端末装置30によってデータA、データB、データCのプローブデータが取得されたとする。このとき、データA,B,Cの相関は非常に高い。従って、これらは同じイベントによって形成されたデータということができる。ただし、データCは、例えば、車両の個体差などによってデータの変化率が大きいものになっており、データA、データBとは少しだけ相関性が小さくなっている。
【0046】
このようなデータA,B,Cに対して主成分分析を施すと、データの種類の数が減少した、いわゆる、特徴空間のデータに変換することができる。このようなデータ変換は、しばしば、特徴空間射影と呼ばれる。図4においては、データA,B,Cは、データA,B,Cが相関をもって変化する成分のデータXと、データCがデータA,Bと無相関に変化する成分のデータYとに変換されている。つまり、特徴空間の座標軸は、相関の高いデータを代表させることができるように選択される。
【0047】
本実施形態のセンタ装置10においては、以上のような特徴空間射影は、特徴空間射影処理部14で行われる。なお、プローブデータ空間におけるデータA,B,Cが特徴空間に射影されて得られたデータX、データYは、それぞれ、主成分得点ベクトルと呼ばれる。換言すれば、主成分得点ベクトルは、特徴空間におけるデータの座標軸ごとの座標値の履歴情報である。この特徴空間射影で得られた主成分得点ベクトルは、主成分得点ベクトル記憶部22に記憶される
【0048】
特徴空間におけるデータが表す座標値は、特徴空間ベクトルと呼ばれているが、本実施形態では、その特徴空間ベクトルの方向の変化を捉えて、それをイベントの変化点と判断する。例えば、図4の例では、データXは、そのノルム(ベクトルの大きさの絶対値)が大きく、当該イベントの寄与が大きいデータである。また、データYは、そのノルムが小さく、当該イベントの寄与が小さいデータである。複数のベクトルの合成において、合成されるベクトルの方向は、ノルムが大きいベクトルの方向の影響を受けるので、この場合の特徴空間ベクトルの方向は、データXの値の影響を大きく受ける。従って、図4の例では、破線で示した位置付近でデータXの値が大きく変化しているので、特徴空間ベクトルもその破線の位置付近で、大きく変化していることになる。そこで、その破線付近でイベントが変化しているものと判断する。
【0049】
従って、本実施形態においては、特徴空間ベクトルの変化点を検出して、その変化点によりイベント区間を分割する。ちなみに、図4の例では、破線より前の区間をイベントαとし、破線より後の区間をイベントβとしている。なお、センタ装置10においては、これらの処理を変化点検出部15およびイベント区間分割部16で行っている。
【0050】
ここで、主成分得点ベクトルと特徴空間ベクトルはそれぞれ別物であることを補足して注意しておく。例えば、dij(i=1,…,s,j=1,…,n)をプローブデータとし、ckj(k=1,…,u,j=1,…,n,u<s)をそのプローブデータが特徴空間射影によって変換された特徴空間のデータであるとする。このとき、ckjを行列Cの要素とすると、行列Cの列ベクトル(c1j,c2j,…,cuj(j=1,…,n)が特徴空間ベクトルであり、行ベクトル(ck1,ck2,…,ckn)(k=1,…,u)が主成分得点ベクトルである。
【0051】
図5は、第1の実施形態に係るセンタ装置におけるイベント統合区間決定の考え方を示した図である。車載端末装置30からセンタ装置10に新規のプローブデータがアップリンクされたときには、センタ装置10の現況プローブデータ記憶部21には、先行する車両の車載端末装置30からアップリンクされたプローブデータがすでに存在することが多い。図5では、そのプローブデータを既存プローブデータ#1,#2,…,#mと表記している。
【0052】
また、図5に示すように、それらの既存プローブデータ#1,#2,…,#mのイベント区間は、道路の混雑状況や車両の走行状況などのために位置のずれを生じる。しかしながら、センタ装置10は、そのイベント区間に重なりがある限りは、そのプローブデータが同じイベントに由来するものとして、そのイベント区間をすべて含むような区間に統合して特徴空間射影処理を行う。
【0053】
従って、新規のプローブデータがアップリンクされたときには、先行してアップリンクされた既存プローブデータ#1,#2,…,#mにより、それらのイベント区間はいったん統合されていることになる。そこで、本実施形態では、新規のプローブデータがアップリンクされたときすでに存在するプローブデータのイベント区間を統合したイベント区間をイベント統合済み区間という。
【0054】
センタ装置10は、新規のプローブデータがアップリンクされたときには、そのイベント統合済み区間と新たなプローブデータのイベント区間との論理和により新規のイベント統合区間を形成し、既存プローブデータ#1,#2,…,#mと新規のプローブデータとについて特徴空間射影処理を行う。このとき、イベント統合済み区間に所定時間以上の時間を経過した古いプローブデータが存在した場合には、その古いプローブデータは、特徴空間射影処理の対象から除外する。
【0055】
なお、図5のようにイベント区間の範囲が異なるようなプローブデータに対して、特徴空間射影処理を行う場合には、各プローブデータは、特徴空間射影処理対象のイベント統合区間に対して欠損値を有することになる。これに対しては、本実施形態では、計算量が多くはなるが、欠損区間の値を推定して補間する欠損値付き主成分分析法を利用するものとする。
【0056】
図6は、第1の実施形態に係るセンタ装置におけるイベントラベル割付の例を示した図である。
【0057】
センタ装置10は、プローブデータのアップリンクを受けると、以上に説明したようにして、新規のイベント統合区間に対して、特徴空間射影処理を行い、特徴空間ベクトルの変化点を検出し、イベント区間を分割する。そして、センタ装置10は、その分割したイベント区間のそれぞれにイベントラベルを割り付ける。
【0058】
このイベントラベルの割付に当たっては、統合の対象となったプローブデータすべてについて同じイベントラベルが付されていたか否かを判定する。そして、すべて同じイベントラベルが付されていたときには、そのイベントラベルを前記分割したイベント区間に割り付ける。また、すべて同じイベントラベルが付されていなかったとき、つまり、異なるイベントラベルが混在していたときには、多数決により最も多いイベントラベルを選択し、その最多数のイベントラベルをそのイベント区間に割り付ける。
【0059】
ちなみに、図6においては、イベント#1のイベント区間のプローブデータに付されたイベントラベルは、すべて同じ「渋滞」であったので、イベント#1のイベント区間には「渋滞」のイベントラベルが割り付けられている。また、イベント#3およびイベント#4のイベント区間には、多数決により、それぞれ、「障害物」および「スリップ」のイベントラベルが割り付けられている。
【0060】
図7は、第1の実施形態に係る車載端末装置におけるプローブデータの分割および直交成分分解の例を示した図、図8は、その直交成分分解の基本的な考え方を示した図である。
【0061】
車載端末装置30は、前記したように、プローブデータをアップリンクするに当たっては、「アップリンク通知」をセンタ装置10に送信する。これに対しセンタ装置10は、その車載端末装置30を搭載した車両が走行中の道路リンクに既存のイベント統合済み区間があるか否かを判定し、既存のイベント統合済み区間があったときには、そのイベント統合済み区間に含まれる既存のプローブデータについての特徴空間射影処理によってすでに得られている主成分得点ベクトルを車載端末装置30へ送信する。
【0062】
車載端末装置30は、主成分得点ベクトルを受信し、受信した主成分得点ベクトルのイベント区間と、アップリンクしようとしているプローブデータのイベント区間(以下、新規アップリンク区間という)とを比較する。そして、図7に示すように、新規アップリンク区間を主成分得点ベクトルのイベント区間内に含まれる区間(1)と、主成分得点ベクトルのイベント区間に含まれない区間(2)とに分割する(プローブデータ分割部34)。一方、区間(1)の部分のプローブデータについては、そのプローブデータを、受信した主成分得点ベクトルの基底ベクトルに射影して、射影成分(a)と、主成分得点ベクトルの基底ベクトルに直交する直交成分(b)とに分解する(直交成分分解部35)。そして、区間(2)の部分のプローブデータについては、それまでのイベント統合済み区間に含まれないイベント情報を有している可能性があるので、アップリンクの対象とする。
【0063】
図8において、(例1)Yのようなプローブデータは、主成分得点ベクトルをAとしたとき、その基底ベクトルへの射影成分Yとそれに直交する成分Yとに分解される。すなわち、直交成分Yは、主成分得点ベクトルAに含まれない何らかのイベント情報を有していることを意味するので、直交成分Yをアップリンクの対象とする。ただし、図8(例2)Yのように、直交成分Yがあってもそのノルムが小さい場合には、それに対応するイベントが存在しないと判断して、アップリンクの対象としない。車載端末装置30は、適宜、閾値を設け、抽出された直交成分Yのノルムをその閾値と比較することにより、直交成分の有無を判定する。
【0064】
以上のように、直交成分のノルムが所定の閾値に達しない場合には、車載端末装置30は、その部分のプローブデータにはセンタ装置10がすでに有しているイベント情報以外に新たな情報はないものと判断して、そのプローブデータをアップリンクの対象から外す。よって、車載端末装置30からセンタ装置10へアップリンクされるプローブデータの量を削減することができる。
【0065】
図9は、第1の実施形態に係る車載端末装置におけるイベントデータの表示方法の例を示した図である。
【0066】
車載端末装置30は、センタ装置10から配信されるイベントデータを受信し、その受信したイベントデータを車載端末装置30の表示装置に表示する。このとき、図9に示したように、センタ装置10は、既存のイベント統合済み区間により割り付けられたイベント#1,#2,#3に対しては「既存フラグ」を付けて配信し、新規プローブデータによって割り付けられたイベント#4,#5に対しては「新規フラグ」を付して配信する。そして、車載端末装置30は、「既存フラグ」が付されたイベントデータと「新規フラグ」が付されたイベントデータとを、その色や形状などによって互いに識別可能なように、表示装置に表示する。
【0067】
また、車載端末装置30自身が検出したイベントについて、配信されたイベントデータに含まれないイベントがあったときには、車載端末装置30は、その自身が検出したイベントを、配信されたイベントとはその色や形状などによって識別可能なように、表示装置に表示する。
【0068】
図10は、第1の実施形態に係るセンタ装置の動作フローを示した図である。図10に示すように、センタ装置10は、車載端末装置30から送信されるアップリンク通知を受信すると(ステップS31)、そのアップリンク通知に添付されている当該車両の現在位置情報に基づき主成分得点ベクトル記憶部22を参照して、当該車両が走行中の道路リンクにイベント統合済み区間があるか否かを判定する(ステップS32)。そして、その道路リンクにイベント統合済み区間があったときには(ステップS32でYes)、センタ装置10は、そのイベント統合済み区間に係る主成分得点ベクトルを車載端末装置30に送信する(ステップS33)。一方、イベント統合済み区間がなかったときには(ステップS32でNo)、無条件アップリンク要求を車載端末装置30に送信する(図示省略:ただし、図3ステップS14に相当)。
【0069】
次に、センタ装置10は、車載端末装置30から送信されるプローブデータを受信すると(ステップS34)、その受信したプローブデータを現況プローブデータ記憶部21に格納する(ステップS35)。そして、センタ装置10は、現況プローブデータ記憶部21内に格納されているデータ(プローブデータ)のタイムスタンプを確認し(ステップS36)、現況タイムウィンドウ幅から外れるデータがあるか否かを判定する(ステップS37)。その判定の結果、現況タイムウィンドウ幅から外れるデータがあったときには(ステップS37でYes)、その現況タイムウィンドウ幅から外れるデータを現況プローブデータ記憶部21から除去する(ステップS38)。
【0070】
続いて、センタ装置10は、前記受信したプローブデータのイベント区間と前記イベント統合済み区間とにより形成されるイベント統合区間に含まれるプローブデータについて主成分分析の特徴空間射影処理を行う(ステップS39)。そして、センタ装置10は、特徴空間射影処理によって得られる特徴空間ベクトルの変化点検出を行い(ステップS40)、さらに、その変化点に基づきイベント区間を分割する(ステップS41)。
【0071】
次に、センタ装置10は、ステップS42〜ステップS46をループ処理することにより、前記分割されたそれぞれのイベント区間に対してイベントラベルを割り付ける(図6参照)。そのループ処理では、センタ装置10は、イベント区間とプローブデータに付されたイベント検出位置とを照合し(ステップS43)、当該イベントイベント区間内にあるプローブデータに付されたイベントラベルを集計する(ステップS44)。そして、当該イベント区間にあるイベントラベルの中で、最多数のイベントラベルをそのイベント区間の代表イベントラベルとして割り付ける(ステップS45)。
【0072】
最後に、センタ装置10は、以上のイベントラベルの割付によってラベリングされたイベントデータを車載端末装置30に配信する(ステップS47)。なお、配信するときの1つのイベントデータの構成は図2によるが、図9で示したように、イベントデータを既存プローブデータによるものと、新規プローブデータによるものとを区別する場合には、その識別フラグ(「既存」フラグおよび「新規」フラグ)を付すものとする。
【0073】
図11は、第1の実施形態に係る車載端末装置の動作フローを示した図である。図11に示すように、車載端末装置30は、センサ50によって取得されたプローブデータからイベントを検出すると(ステップS51)、センタ装置10へ「アップリンク通知」を送信する(ステップS52)。そうすると、センタ装置10から主成分得点ベクトルまたは無条件アップリンク要求が送信されてくるので、車載端末装置30は、それが主成分得点ベクトルであるか否かを判定する(ステップS53)。
【0074】
そして、その判定の結果、それが主成分得点ベクトルでなかったとき(ステップS53でNo)、つまり、無条件アップリンク要求であったときには、車載端末装置30は、プローブデータとイベントラベルとをセンタ装置10にアップリンクする(ステップS54)。一方、それが主成分得点ベクトルであったときには(ステップS53でYes)、図5に示したようにして、その主成分得点ベクトルに含まれるイベント統合済み区間の情報に基づき、当該プローブデータを分割する(ステップS55)。
【0075】
次に、車載端末装置30は、前記分割したプローブデータのうち既存区間(イベント統合済み区間)に含まれる部分のプローブデータを、前記受信した主成分得点ベクトルにより直交成分分解し(ステップS56:図8参照)、その直交成分のノルムが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS57)。その判定の結果、その直交成分のノルムが所定の閾値以上であったときには(ステップS57でYes)、車載端末装置30は、新規区間のプローブデータと既存区間の直交成分とイベントラベルとをセンタ装置10にアップリンクする(ステップS58)。一方、その直交成分のノルムが所定の閾値に達しなかったときには(ステップS57でNo)、車載端末装置30は、新規区間のプローブデータとイベントラベルとをセンタ装置10にアップリンクする(ステップS59)。
【0076】
続いて、車載端末装置30は、センタ装置10から配信されるイベントデータを受信し(ステップS60)、受信したイベントデータを表示装置に表示する(ステップS61)。その表示の方法については、図9に示した通りである。
【0077】
以上、第1の実施形態によれば、車載端末装置30は、イベントを検出したとき、プローブデータをすべてセンタ装置10に送信するのではなく、(1)センタ装置10から主成分得点ベクトルが送信されなかったとき、(2)センタ装置10から送信された主成分得点ベクトルとの直交成分があったとき、(3)センタ装置10から送信された主成分得点ベクトルの区間外であったときに、そのプローブデータまたは主成分得点ベクトルとの直交成分をセンタ装置10に送信する。すなわち、車載端末装置30は、センタ装置10が有するプローブデータの特徴と同じ特徴を有するプローブデータであったときには、そのプローブデータをセンタ装置10に送信しない。従って、同一のイベントが複数の車両の車載端末装置30によって検出されても、そのプローブデータが類似したものであったときには、それらのプローブデータは、重複してセンタ装置10へ送信されることはない。よって、車載端末装置30からセンタ装置10へ送信されるプローブデータの量を削減することができ、その結果、センタ装置10の処理負荷も軽減される。
【0078】
また、第1の実施形態によれば、主成分分析法の特徴空間射影処理によって複数のプローブデータから類似する特徴データを抽出し、その抽出した特徴データが存在する道路区間に対してイベントを割り付けている。この主成分分析法は、多数のデータの中から互いに相関する特徴データを抽出するだけであるので、適応共鳴理論のように教示データを必要とすることもなく、また、プローブデータの種類、つまり、センサ50の種類やその個体差に依存しない結果が得られる。従って、第1の実施形態においては、センタ装置10に次々にプローブデータが入力されても、センタ装置10は、リアルタイムに、かつ、継続的に、プローブデータから特徴データを抽出し、その特徴データにイベントを割り付けることができ、さらに、その割り付けたイベントを車載端末装置に配信することができる。
【0079】
なお、以上に説明した第1の実施形態は、様々な変形が可能である。例えば、センタ装置10から定期的に主成分得点ベクトルを配信するようにし、車載端末装置30がイベントを検出したとき、センタ装置10への「アップリンク通知」の送信を省略するようにしても構わない。この場合も第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、以上に説明した第1の実施形態における車載端末装置30は、通信機能を有するカーナビゲーション装置の一部として実現することができる。この場合には、車載端末装置30は、センタ装置10から配信されるイベントデータを容易に地図上に表示することができる。従って、車載端末装置30は、配信を受けたイベントデータを、自車がそのイベントが発生した道路リンクに差しかかったときに表示するように限定する必要はなく、いつでもその時点でのイベント、つまり、交通情報を地図上表示することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
続いて、図12以下の図面を参照して、本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。ここで、図12は、本発明の第2の実施形態に係る交通情報収集・配信システムの機能ブロックの構成の例を示した図である。
【0082】
図12に示すように、第2の実施形態に係る交通情報収集・配信システム101は、センタ装置110と、プローブカーに搭載されたプローブカー車載端末装置130と、一般の車両に搭載された携帯型ナビ端末装置140と、によって構成される。ここで、センタ装置110と、プローブカー車載端末装置130または携帯型ナビ端末装置140とは、携帯電話回線やインターネットなど図示しない通信ネットワークを介して、互いに通信可能に接続されている。
【0083】
携帯型ナビ端末装置140は、一般には、PND(Personal Navigation Device)と呼ばれ、車両への着脱が容易で、簡易的な機能を有する安価なナビゲーション装置である。そのため、PNDには、ナビゲーションに必要とされる最小限のセンサ、例えば、GPS(Global Positioning System)位置センサ、ジャイロなどの方向センサ、加速度センサなどが接続されるに過ぎない。しかしながら、これらのセンサは、車両の走行状況を検知する重要なセンサであり、図12では、運動センサ152と表している。
【0084】
これに対し、プローブカー車載端末装置130は、交通情報を取得するプローブカーに搭載され、図12に示すように、プローブカー車載端末装置130には運動センサ152だけでなく環境センサ151も接続される。ここで、環境センサ151は、主として、車両の周囲の状況を検知するセンサであり、例えば、車載レーダ、赤外線カメラ、スリップセンサなどを想定することができる。なお、本実施形態では、環境センサ151の出力情報は、車両走行状況の正常/異常、つまり、道路におけるイベントを識別する情報として利用される。
【0085】
図12に示すように、プローブカー車載端末装置130は、プローブデータ取得部131と、プローブデータ記憶部133と、プローブデータ送信部132と、を含んで構成される。
【0086】
ここで、プローブデータ取得部131は、所定の時間ごとに、または、車両が所定の距離を走行するごとに、環境センサ151および運動センサ152からそれぞれプローブデータを取得し、取得したプローブデータをプローブデータ記憶部133に一時記憶する。そして、プローブデータ送信部132は、そのプローブデータ記憶部133に一時記憶されているプローブデータを、1トリップごとにセンタ装置110へ送信する。
【0087】
ここで、1トリップとは、車両が所定の道路区間(例えば、交差点と交差点とを結ぶ道路区間などであり、以下、道路リンクという)を走行することをいう。また、1トリップのプローブデータとは、車両が、あるとき、ある道路リンクを走行することにより得られるプローブデータをいう。従って、同じ車両が同じ道路リンクを異なる日時に走行した場合には、それらは、それぞれ異なるトリップのプローブデータになる。
【0088】
以上のように、本実施形態では、プローブカー車載端末装置130は、環境センサ151および運動センサ152から取得するプローブデータを、センタ装置110へ送信する機能さえ備えていればよい。従って、プローブカー車載端末装置130は、いわゆるプローブカーに搭載されたものに限定されることはなく、環境センサ151および運動センサ152が接続され、かつ、センタ装置110と通信可能な構成を有するものであれば、一般車両に搭載されたナビゲーション装置であってもよい。
【0089】
次に、携帯型ナビ端末装置140は、運動プローブデータ取得部141と、運動プローブデータ送信部142と、イベントデータ受信部143と、イベントデータ表示部144と、運動プローブデータ記憶部145と、イベントデータ記憶部146と、を含んで構成される。
【0090】
ここで、運動プローブデータ取得部141は、所定の時間ごとに、または、車両が所定の距離を走行するごとに、運動センサ152から運動プローブデータを取得し、取得した運動プローブデータを運動プローブデータ記憶部145に一時記憶する。そして、運動プローブデータ送信部142は、運動プローブデータ記憶部145に一時記憶されている運動プローブデータを、1トリップごとにセンタ装置110へ送信する。
【0091】
また、イベントデータ受信部143は、センタ装置110から配信される道路リンクなどに対応付けられたイベントデータを受信し、受信したイベントデータをイベントデータ記憶部146に記憶する。また、イベントデータ表示部144は、イベントデータ記憶部146に記憶されているイベントデータを、地図データなどに重ね合わせて表示装置160に表示する。
【0092】
以上のように、本実施形態では、携帯型ナビ端末装置140は、環境センサ151に接続される必要はないものの、運動センサ152に接続され、運動センサ152から取得した運動プローブデータをセンタ装置110へ送信するというプローブカーの車載端末装置としての機能を有している。また、携帯型ナビ端末装置140は、センタ装置110から送信される道路リンクのイベントデータを表示装置160に表示するというナビゲーション端末装置としての機能も有している。
【0093】
続いて、センタ装置110の構成およびその動作について説明する。図12に示すように、センタ装置110は、プローブデータ蓄積処理部110aと、リアルタイムイベント処理部110bと、に大別されて構成されている。以下、センタ装置110の構成および動作を、プローブデータ蓄積処理部110aと、リアルタイムイベント処理部110bと、に分けて説明する。
【0094】
なお、センタ装置110において、プローブデータ蓄積処理部110aは、プローブカー車載端末装置130から送信される運動プローブデータおよび環境プローブデータに基づき、道路にイベントが存在しない状況での運動プローブデータの特徴空間の基底ベクトルを生成するとともに、運動プローブデータのその特徴空間との残差によりイベントを検出するためのイベント検出閾値を算出し、それらを基底ベクトル記憶部125およびイベント検出閾値記憶部126に蓄積する処理を担当する。
【0095】
また、リアルタイムイベント処理部110bは、携帯型ナビ端末装置140から送信される運動プローブデータを受信して、その運動プローブデータと、基底ベクトル記憶部125に蓄積されている特徴空間の基底ベクトルと、イベント検出閾値記憶部126に蓄積されているイベント検出閾値と、によりイベントを検出し、検出したイベントを所定の記憶装置に登録するとともに、その記憶装置に登録されているイベントデータを携帯型ナビ端末装置140へ配信する処理を担当する。
【0096】
図12に示すように、センタ装置110のプローブデータ蓄積処理部110aは、プローブデータ受信部111、運動プローブデータ分離部112、特徴空間生成部113、異常残差検出部114、正常残差検出部115、イベント検出閾値算出部116などの処理機能ブロックと、環境プローブデータ記憶部121、運動プローブデータ記憶部122、異常プローブデータ記憶部123、正常プローブデータ記憶部124、基底ベクトル記憶部125、イベント検出閾値記憶部126などの記憶機能ブロックと、を含んで構成される。
【0097】
プローブデータ受信部111は、プローブカー車載端末装置130から送信されるプローブデータを受信し、受信したプローブデータにそのプローブデータを一意に識別可能なトリップIDを付加し、さらに、そのときのタイムスタンプやそのプローブデータが取得された道路リンクを識別するリンクIDなどを付加する。そして、プローブデータ受信部111は、そのトリップIDなどが付加されたプローブデータを、適宜、環境プローブデータと運動プローブデータとに分別し、分別したプローブデータをそれぞれ、環境プローブデータ記憶部121および運動プローブデータ記憶部122に一時記憶する。
【0098】
運動プローブデータ分離部112は、運動プローブデータ記憶部122に一時記憶されている運動プローブデータの正常または異常を、環境プローブデータ記憶部121に一時記憶されている運動プローブデータと同じトリップIDを有する環境プローブデータに基づき判定する。すなわち、運動プローブデータ分離部112は、環境プローブデータに障害物やスリップなどの異常値が検出された場合には、その運動プローブデータを異常と判定し、異常値が検出されなかった場合には、その運動プローブデータを正常と判定する。
【0099】
そして、運動プローブデータ分離部112は、その判定により、運動プローブデータが正常と判定した場合には、その運動プローブデータを正常プローブデータ記憶部124に蓄積し、異常と判定した場合には、その運動プローブデータを異常プローブデータ記憶部123に蓄積する。すなわち、道路リンクに何のイベントもなかった場合(つまり、正常時)の運動プローブデータは、正常プローブデータ記憶部124に蓄積され、道路リンクに何らかのイベントが生じていた場合(つまり、異常時)の運動プローブデータは、異常プローブデータ記憶部123に蓄積される。
【0100】
なお、異常プローブデータが異常プローブデータ記憶部123に蓄積されるときには、異常プローブデータには、その異常プローブデータに対応する環境プローブデータの異常値に応じて定められるイベントの識別情報(例えば、障害物あり、車線規制、道路凍結などの情報)が付される。
【0101】
次に、特徴空間生成部113は、正常プローブデータ記憶部124に蓄積された正常プローブデータをリンクIDつまり道路リンクごとにソートし、ソートした道路リンクごとの正常プローブデータに対して主成分分析を実施し、その特徴空間を生成する。そして、特徴空間生成部113は、生成した特徴空間の基底ベクトルを、それぞれの道路リンクに対応付けて、基底ベクトル記憶部125に格納する。なお、特徴空間の基底ベクトルは、当該道路リンクにイベントが存在しないとき、その道路リンクを走行する車両の運動の特徴を表したものに相当する。
【0102】
正常残差検出部115は、それぞれの道路リンクごとの正常プローブデータについて、その正常プローブデータから生成された特徴空間との残差を算出する。また、同様に、異常残差検出部114は、それぞれの道路リンクごとの異常プローブデータについて、その道路リンクの正常プローブデータから生成された特徴空間との残差を算出する。なお、プローブデータが表すベクトルとそのベクトルの特徴空間への射影ベクトルとの差のベクトルを、残差ベクトルといい、その残差ベクトルの絶対値(ノルム)を残差という。なお、以下では、残差ベクトルを略して、単に、残差ということもある。
【0103】
次に、図13および図14を参照して、残差について説明しておく。ここで、図13は、正常プローブデータの残差を説明するための模式図、図14は、異常プローブデータの残差を説明するための模式図である。
【0104】
図13(a)は、正常プローブデータ記憶部124に蓄積された正常プローブデータの例を示したもので、ここでの正常プローブデータは、運動プローブデータのうち、例として、車両の進行方向に対する横方向の加速度を表している。前記したように、本実施形態では、プローブデータは、車両の1トリップごとに、例えば、10m間隔のデータとして取得される。従って、ここでは、1トリップの加速度のプローブデータは、ある道路区間(道路リンク)における加速度の位置による変化履歴を離散値で表現したベクトルであるということができる。例えば、そのトリップの道路区間が200mあれば、10m間隔に21個の加速度データが得られるので、そのトリップの加速度データは、21次元のベクトル空間を構成する。
【0105】
特徴空間生成部113が主成分分析するときには、分析の対象となる加速度のプローブデータをリンクIDごとにソートする。つまり、主成分分析は、ソートされたそれぞれの道路リンクの加速度のプローブデータに対して実施される。従って、その道路リンクの加速度のプローブデータが21次元のベクトルで、その道路リンクに対し、nトリップの加速度のプローブデータが取得されていた場合には、特徴空間生成部113は、n行×21列の行列に対して主成分分析を行う。
【0106】
図13(b)には、その主成分分析によって得られた特徴空間の基底ベクトルの例を、基底1および基底2として表している。すなわち、この例の場合、特徴空間は、基底1ベクトルおよび基底2ベクトルによって張られる空間(この例では、2次元の平面である)で表される。なお、特徴空間は、2次元に限定されるものではない。
【0107】
これらの基底ベクトルは、当該道路リンクにおけるnトリップの加速度のプローブデータに共通する加速度の変化履歴パターンの成分といえる。従って、その道路リンクに障害物の出現や道路凍結などのイベントがない場合、そのトリップの加速度のプローブデータは、その基底ベクトルを適宜合成したベクトルによって近似的に表すことができる。
【0108】
図13(b)において、白丸は、図13(a)に含まれる加速度のプローブデータのベクトルが表す点の位置を示したものである。また、黒丸は、その加速度のプローブデータのベクトルが表す点を特徴空間(基底1ベクトルおよび基底2ベクトルによって張られる空間)に射影したときの射影点である。このとき、残差は、白丸が表す位置(プローブデータのベクトルが表す点)と黒丸が表す位置(射影点)との距離として表される。図13では、加速度のプローブデータは、イベントが存在しない場合の正常プローブデータであるので、通常、その残差が大きくなることはない。従って、プローブデータが正常プローブデータである場合、射影点は、プローブデータを特徴空間上で表した近似点であるということもできる。
【0109】
図14(a)は、異常プローブデータ記憶部123に蓄積された異常プローブデータの例を示したもので、ここでの異常プローブデータは、運動プローブデータのうち、例として、車両の進行方向に対しての横方向の加速度を表している。なお、異常プローブデータと正常プローブデータとの違いは、そのプローブデータが取得されたとき、当該道路リンクにイベントが存在していたか否かの違いであり、データの構成などは、両者ともに同じである。
【0110】
図14(b)において、特徴空間の基底ベクトルである基底1および基底2は、正常プローブデータにより生成されるものであるため、異常プローブデータについては、その残差は大きくなる場合が多くなる。すなわち、車両が障害物の回避動作をしたり、凍結のためスリップしたりした場合には、その加速度の履歴変化は、当然、それのイベントがなかった場合に比べ、異なったものとなる。従って、その異常プローブデータは、基底ベクトルを適宜合成するだけでは、表すことができない場合が多くなる。つまり、図14(b)において、その異常プローブデータのベクトルが表す点(白丸)とその射影点(黒丸)との距離は、大きくなることが多くなる。
【0111】
以上、図13および図14に説明した事実により、正常プローブデータの特徴空間に対する残差(以下、正常残差という)は、通常、小さく、異常プローブデータの特徴空間に対する残差(以下、異常残差という)は、通常、大きいということができる。
【0112】
次に、図12および図15を参照して、イベント検出閾値算出部116の動作について説明する。図15は、イベント検出閾値算出部116によって作成される正常残差および異常残差のヒストグラムの例を示した図である。
【0113】
イベント検出閾値算出部116は、正常残差検出部115で検出された正常残差について、それぞれの道路リンクごとに、その正常残差の頻度分布(ヒストグラム)を作成し、さらに、異常残差検出部114で検出された異常残差について、それぞれの道路リンクごとに、その異常残差の頻度分布を作成する。そうすると、図15に示すように、正常残差は、残差が小さい側に分布し、異常残差は、残差が大きい側に分布する。
【0114】
次に、イベント検出閾値算出部116は、正常残差と異常残差の中間に、イベント検出閾値を設定する。このイベント検出閾値は、ある運動プローブデータが取得されたとき、その運動プローブデータが正常プローブデータに属すべきものであるか、または、異常プローブデータに属すべきものであるかを判定する閾値である。従って、その判定により、その運動プローブデータが異常プローブデータに属すべきものであると判定された場合には、その運動プローブデータが取得された道路リンクには、何らかのイベントが存在することが推定される。
【0115】
図15に示すように、一般には、正常残差のヒストグラムと異常残差のヒストグラムとは、重なり合う部分を有する。従って、イベント検出閾値によるイベントの検出では、通常、誤報または失報を避けることができない。そこで、ここで、誤報率および失報率を定義しておく。
【0116】
誤報率は、イベントが発生していないにもかかわらず、イベントが発生していると判定する確率であり、その値は、正常残差の全頻度数に対するイベント検出閾値より大きい正常残差の頻度数の比、によって定義することができる。また、失報率は、イベントが発生しているにもかかわらず、イベントが発生していないと判定する確率であり、その値は、異常残差の全頻度数に対するイベント検出閾値より小さい異常残差の頻度数の比、によって定義することができる。
【0117】
図15から分かるように、イベント検出閾値を大きくすると、誤報率は減少するが、失報率は増加する。一方、イベント検出閾値を小さくすると、失報率は減少するが、誤報率は増加する。そこで、イベント検出閾値算出部116の処理においては、例えば、誤報率と失報率と比があらかじめ定めておいた比に等しくなるようにイベント検出閾値を設定する。このとき、その比が「1」の場合は、誤報率と失報率とが等しいことを意味する。あるいは、誤報率または失報率に上限値を定めておき、その上限値を満足するようにイベント検出閾値を設定してもよい。
【0118】
イベント検出閾値算出部116は、以上のようにして、それぞれの道路リンクに対してイベント検出閾値を設定し、その設定したイベント検出閾値を道路リンクに対応付けてイベント検出閾値記憶部126に格納する。
【0119】
以上により、センタ装置110のプローブデータ蓄積処理部110aの構成および動作の説明を終えるが、プローブデータ蓄積処理部110aにより行われる処理は、次に説明するリアルタイムイベント処理部110bの動作を機能させるための事前の準備処理である。この準備処理は、例えば、プローブカー車載端末装置130を搭載したプローブカーを、例えば、1か月間、所定の対象となるエリアの道路を隈なく走行させることにより実施することができる。そして、その走行により、それぞれの道路リンクに対し、正常時および異常時について、それぞれ統計処理可能な数のプロープデータが取得され、その結果として、それぞれの道路リンクに対し、特徴空間の基底ベクトルとイベント検出閾値が求められる。
【0120】
続いて、図12を参照して、センタ装置110のリアルタイムイベント処理部110bの機能および動作について説明する。図12に示すように、リアルタイムイベント処理部110bは、運動プローブデータ受信部117、残差検出部118、イベント検出部119、イベントデータ配信部120などの処理機能ブロックと、運動プローブデータ記憶部127、イベントデータ記憶部128などの記憶機能ブロックとを含んで構成される。
【0121】
運動プローブデータ受信部117は、携帯型ナビ端末装置140から送信される運動プローブデータを受信し、受信した運動プローブデータを運動プローブデータ記憶部145に一時記憶する。このとき、運動プローブデータ受信部117は、その運動プローブデータに含まれるGPS位置データなどに基づき、その運動プローブデータが取得された道路リンクのリンクIDを求め、そのリンクIDを一時記憶する運動プローブデータに付加する。なお、リンクIDの付加は、携帯型ナビ端末装置140の運動プローブデータ送信部142で行ってもよい。
【0122】
次に、残差検出部118は、基底ベクトル記憶部125を参照して、前記運動プローブデータに付加されたリンクIDを有する道路リンクに対応する基底ベクトルを読み出す。そして、残差検出部118は、その読み出された基底ベクトルによって張られる特徴空間に対して、前記運動プローブデータの残差を検出する。
【0123】
次に、イベント検出部119は、イベント検出閾値記憶部126を参照して、前記リンクIDを有する道路リンクに対応するイベント検出閾値を読み出す。そして、イベント検出部119は、残差検出部118によって検出された残差と、前記読み出したイベント検出閾値と、に基づき、図15で説明したようにして、イベントの有無を検出する。その結果、イベントが検出された場合には、そのイベントを当該道路リンクに対応付けて、イベントデータとしてイベントデータ記憶部128に登録する。
【0124】
また、イベントデータ配信部120は、イベントデータ記憶部128を参照して、前記取得された運動プローブデータに付されたリンクIDにより指定される道路リンクを含む所定の地域の道路リンクについて、その道路リンクそれぞれに対応して登録されているイベントデータを読み出し、その読み出したイベントデータを携帯型ナビ端末装置140へ配信する。
【0125】
図16は、携帯型ナビ端末装置140から取得される運動プローブデータの残差を説明するための模式図である。図16(a)は、運動プローブデータ記憶部127に一時記憶されるプローブデータの例を示したもので、ここでの運動プローブデータは、図13および図14の場合と同様に、車両の進行方向に対する横方向の加速度を表し、例えば、21個の離散値を有する21次元のベクトルで表される。
【0126】
図16(b)において、基底1および基底2で表される基底ベクトルは、基底ベクトル記憶部125から、当該運動プローブデータが取得された道路リンクに対応する基底ベクトルを、読み出して取得したものである。この場合、特徴空間は2次元(平面)で表される。また、図16(b)において、白丸は、当該運動プローブデータが表す位置を示し、黒丸は、当該運動プローブデータの特徴空間への射影点を示している。
【0127】
このとき、残差は、プローブデータが表す位置と射影点との距離によって表され、残差検出部118によって求められる。その残差は、通常、イベントがない場合には小さく、イベントがある場合には大きくなる。そこで、イベント検出部119は、事前に求められているイベント検出閾値をイベント検出閾値記憶部126から読み出し、残差検出部118によって求めた残差をそのイベント検出閾値と比較することによって、イベントの有無を検出する。
【0128】
図12において、リアルタイムイベント処理部110bは、多数の携帯型ナビ端末装置140から次々に送信されてくる運動プローブデータについて、イベントを検出し、イベントが検出された場合には、そのイベントをイベントデータとしてイベントデータ記憶部128に登録する。
【0129】
一般に、道路に発生するイベントは、時々刻々変化するものであるので、イベントデータ記憶部128に登録されたイベントデータは、所定の時間が経過すると削除されるものとする。また、イベント検出部119は、所定の時間内に同じ道路リンクに対し、「イベントあり」または「イベントなし」の異なる結果を検出した場合には、例えば、多数決によりイベントの有無を判定する。
【0130】
以上により、センタ装置110のリアルタイムイベント処理部110bの構成および動作の説明を終える。
【0131】
なお、以上に説明したセンタ装置110は、図示しないCPUと記憶装置とを備えたコンピュータによって実現される。その場合、記憶装置には、所定のプログラムが格納され、CPUがそのプログラムを実行することにより、プローブデータ受信部111、運動プローブデータ分離部112、特徴空間生成部113、異常残差検出部114、正常残差検出部115、イベント検出閾値算出部116、運動プローブデータ受信部117、残差検出部118、イベント検出部119、イベントデータ配信部120などの処理機能ブロックの機能が実現される。また、環境プローブデータ記憶部121、運動プローブデータ記憶部122、異常プローブデータ記憶部123、正常プローブデータ記憶部124、基底ベクトル記憶部125、イベント検出閾値記憶部126、運動プローブデータ記憶部127、イベントデータ記憶部128などの記憶機能ブロックは、前記記憶装置上に構成される。
【0132】
次に、図12、図17および図18を参照して、以上に説明したセンタ装置110の動作を、フロー図にまとめた形で説明する。ここで、図17は、プローブデータ蓄積処理部110aの動作フローを示した図、図18は、リアルタイムイベント処理部110bの動作フローを示した図である。
【0133】
まず、図17を用いて、プローブデータ蓄積処理部110aの動作フローについて説明する。
【0134】
センタ装置110は、プローブデータ受信部111の処理として、プローブカー車載端末装置130から送信される環境プローブデータおよび運動プローブデータを受信し(ステップS101)、その受信した環境プローブデータおよび運動プローブデータをそれぞれ、環境プローブデータ記憶部121および運動プローブデータ記憶部122へ一時記憶する。
【0135】
次に、センタ装置110は、運動プローブデータ分離部112の処理として、環境プローブデータ記憶部121に一時記憶されている環境プローブデータに基づき、運動プローブデータ記憶部122に一時記憶されている運動プローブデータを、正常プローブデータと異常プローブデータとに分離し(ステップS102)、分離した正常プローブデータと異常プローブデータとをそれぞれ、正常プローブデータ記憶部124および異常プローブデータ記憶部123に蓄積する。なお、前記したように、その分離処理では、運動プローブデータは、その運動プローブデータに対応する環境プローブデータに障害物やスリップなどの異常値が検出された場合には、異常プローブデータに分類され、異常値が検出されなかった場合には、正常プローブデータに分類される。
【0136】
次に、センタ装置110は、特徴空間生成部の処理として、それぞれの道路リンクごとに、正常プローブデータの特徴空間を生成し、その基底ベクトルを基底ベクトル記憶部125に格納する(ステップS103)。
【0137】
次に、センタ装置110は、正常残差検出部115の処理として、正常プローブデータ記憶部124に記憶されている正常プローブデータについて、それぞれの道路リンクごとに、その正常プローブデータの特徴空間に対する残差を検出する(ステップS104)。また、センタ装置110は、異常残差検出部114の処理として、異常プローブデータ記憶部123に記憶されている異常プローブデータについて、それぞれの道路リンクごとに、その異常プローブデータの特徴空間に対する残差を検出する(ステップS105)。
【0138】
次に、センタ装置110は、イベント検出閾値算出部116の処理として、それぞれの道路リンクごとに、正常残差検出部115によって検出された残差(正常残差)のヒストグラムと異常残差検出部114によって検出された残差(異常残差)のヒストグラムとに基づき、イベント検出閾値を算出し、その算出したイベント検出閾値をイベント検出閾値記憶部126に格納する(ステップS106)。
【0139】
続いて、図18を用いて、リアルタイムイベント処理部110bの動作フローについて説明する。
【0140】
センタ装置110は、運動プローブデータ受信部117の処理として、携帯型ナビ端末装置140から送信される運動プローブデータを受信し(ステップS111)、受信した運動プローブデータを運動プローブデータ記憶部145に一時記憶する。
【0141】
次に、センタ装置110は、残差検出部118の処理として、基底ベクトル記憶部125を参照して、当該道路リンク(受信した運動プローブデータが取得された道路リンク)の基底ベクトルを取得する(ステップS112)。そして、センタ装置110は、その基底ベクトルにより張られる特徴空間と、受信した運動プローブデータとの残差を検出する(ステップS113)。
【0142】
次に、センタ装置110は、イベント検出部119の処理として、イベント検出閾値記憶部126を参照して、当該道路リンクのイベント検出閾値を取得する(ステップS114)。そして、センタ装置110は、ステップS113で検出した残差とステップS114で取得したイベント検出閾値に基づき、当該道路リンクのイベントを検出し(ステップS115)、さらに、その検出したイベントをイベントデータ記憶部146に登録する(ステップS116)。
【0143】
また、センタ装置110は、イベントデータ配信部120の処理として、イベントデータ記憶部146を参照して、当該道路リンクを含む所定の地域の道路リンクに登録されているイベントを取得し(ステップS117)、その道路リンクに登録されているイベントをイベントデータとして携帯型ナビ端末装置へ配信する(ステップS118)。
【0144】
以上、ここまでの第2の実施形態の説明では、説明を分かりやすくするために、残差は残差ベクトルの絶対値(大きさ)としている。その場合には、イベント検出閾値は、それぞれの道路リンクに対して1つしか設定されないので、イベント検出部119は、イベントの有無を検出することはできるが、イベントの種類を検出することができない。そこで、以下では、第2の実施形態においても、イベントの種類を検出可能なことを説明する。以下では、それを可能にするために、残差を本来の定義である残差ベクトルで考える。
【0145】
図19は、イベントの種類を検出するための基本的な考え方を説明する模式図である。図19において、基底1および基底2は、特徴空間の基底ベクトルであり、白丸は、異常プローブデータのベクトルが表す位置、黒丸は、その異常プローブデータの特徴空間への射影点である。このとき、残差ベクトルは、異常プローブデータのベクトルと射影点が表す射影ベクトルとの差のベクトルとして表される。
【0146】
一般に、車両の運動プローブデータは、障害物回避、車線規制、道路凍結といった道路リンクに発生するイベントによって異なった特徴を有するが、そのイベントの種類が同じ場合には、同じような特徴を表す筈である。すなわち、図19に例示するように、残差ベクトルの方向は、イベントの種類が異なる場合には、それぞれ異なる方向になり、また、イベントの種類が同じ場合には、同じような方向になる。なお、図19では、特徴空間に直交する残差ベクトルが直交しないように表示されているが、もともと多次元空間のベクトルを3次元空間で表示しているために、やむを得ず、そのように表示したものである。概念的には、特徴空間と残差ベクトルとは直交する。
【0147】
この場合には、残差の方向とイベントとをあらかじめ対応付けておく必要がある。その対応付けを行うためには、異常プローブデータ記憶部123に蓄積された異常プローブデータをイベント(イベントのの識別情報)ごとにソーティングする。そして、ソーティングされたそれぞれのイベントごとに、図15に示すようなヒストグラムを作成する。このとき、そのヒストグラムの横軸は、残差ベクトルの大きさではなく、残差ベクトルの方向である。
【0148】
一般には、残差ベクトルが多次元のベクトルであるため、残差ベクトルの方向は、多次元ベクトルで表される。従って、そのヒストグラムは、多次元空間の中でのヒストグラムとして表される。このような場合、そのヒストグラムをその多次元空間のそれぞれの座標軸に沿った断面で眺めると、図15に説明した場合と同様にして、それぞれの座標軸に沿ったイベント検出閾値を設定することができる。例えば、m次元の残差ベクトルの場合には、m個のイベント検出閾値を設定することができる。
【0149】
そこで、イベント検出閾値検出部116は、それぞれの道路リンクごとに、さらに、それぞれのイベントの種類ごとに、残差ベクトルの次元数(例えば、m個)のイベント検出閾値を算出し、その算出した例えばm個のイベント検出閾値を、イベント検出閾値記憶部126に格納しておく。そして、イベント検出部119は、携帯型ナビ端末装置140から取得した運動プローブデータの残差ベクトルの方向を、それぞれのイベントの種類ごとに、m個のイベント検出閾値と比較することにより、そのイベントの種類を判定する。このとき、取得した運動プローブデータの残差ベクトルが、m個のイベント検出閾値のすべてを満足しなくても、例えば、2/3以上のイベント検出閾値を満足した場合には、その方向は同じ方向を向いていると判定してもよい。
【0150】
以上のようにして、センタ装置110は、携帯型ナビ端末装置140から取得した運動プローブデータの残差ベクトルの方向を判定することによって、イベントの種類を検出することができるようになる。
【0151】
以上、本発明の第2の実施形態によれば、事前に、道路リンクごとの車両走行の特徴空間を生成しておき、そのイベント検出閾値を算出しておくことにより、運動プローブデータしか取得できないPNDなどの携帯型ナビ端末装置140から受信した運動プローブデータであっても、その運動プローブデータからその道路リンクに発生しているイベントを検出することができるようになる。また、その検出したイベントを、道路リンクごとに記憶装置に登録し、その登録した道路リンクのイベントを携帯型ナビ端末装置140に配信することができる。すなわち、本実施形態によれば、運動プローブデータしか取得できない携帯型ナビ端末装置140であっても、道路リンクのイベントを収集するプローブカーとして利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る交通情報収集・配信システムの機能ブロックの構成の例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態において、車載端末装置からセンタ装置へ送信されるプローブデータ、および、センタ装置から車載端末装置へ配信されるイベントデータの構成を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る交通情報収集・配信システムにおける処理の流れの概要を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る主成分分析における特徴空間射影処理の例を模式的に示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るセンタ装置におけるイベント統合区間決定の考え方を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るセンタ装置におけるイベントラベル割付の例を示した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る車載端末装置におけるプローブデータの分割および直交成分分解の例を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る車載端末装置におけるプローブデータの直交成分分解の基本的な考え方を示した図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る車載端末装置におけるイベントデータの表示方法の例を示した図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るセンタ装置の動作フローを示した図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る車載端末装置の動作フローを示した図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る交通情報収集・配信システムの機能ブロックの構成の例を示した図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る正常プローブデータの残差を説明するための模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る異常プローブデータの残差を説明するための模式図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るイベント検出閾値算出部によって作成される正常残差および異常残差のヒストグラムの例を示した図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る携帯型ナビ端末装置から取得される運動プローブデータの残差を説明するための模式図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係るプローブデータ蓄積処理部の動作フローを示した図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係るリアルタイムイベント処理部の動作フローを示した図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係るイベントの種類を検出するための基本的な考え方を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0153】
1 交通情報収集・配信システム
10 センタ装置
11 プローブデータ受信部
12 プローブデータ更新部
13 主成分得点ベクトル送信部
14 特徴空間射影処理部
15 変化点検出部
16 イベント区間分割部
17 イベント割付部
18 イベントデータ配信部
21 現況プローブデータ記憶部
22 主成分得点ベクトル記憶部
23 イベントデータ記憶部
30 車載端末装置
31 プローブデータ取得部
32 イベント検出部
33 プローブデータ送信部
34 プローブデータ分割部
35 直交成分分解部
36 アップリンク判定部
37 主成分得点ベクトル受信部
38 イベントデータ受信部
39 イベントデータ表示部
41 プローブデータ記憶部
50 センサ
60 表示装置
101 交通情報収集・配信システム
110 センタ装置
110a プローブデータ蓄積処理部
110b リアルタイムイベント処理部
111 プローブデータ受信部
112 運動プローブデータ分離部
113 特徴空間生成部
114 異常残差検出部
115 正常残差検出部
116 イベント検出閾値算出部
117 運動プローブデータ受信部
118 残差検出部
119 イベント検出部
120 イベントデータ配信部
121 環境プローブデータ記憶部
122 運動プローブデータ記憶部
123 異常プローブデータ記憶部
124 正常プローブデータ記憶部
125 基底ベクトル記憶部
126 イベント検出閾値記憶部
127 運動プローブデータ記憶部
128 イベントデータ記憶部
130 プローブカー車載端末装置
131 プローブデータ取得部
132 プローブデータ送信部
133 プローブデータ記憶部
140 携帯型ナビ端末装置
141 運動プローブデータ取得部
142 運動プローブデータ送信部
143 イベントデータ受信部
144 イベントデータ表示部
145 運動プローブデータ記憶部
146 イベントデータ記憶部
151 環境センサ
152 運動センサ
160 表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、その車両が備えるセンサからプローブデータを取得する車載端末装置と、前記車載端末装置から送信された情報を受信して一時記憶する一時記憶手段を備え、その一時記憶された情報に基づき、道路の交通状況に係るイベント情報を取得するセンタ装置と、が通信可能に接続され、
前記車載端末装置が、
前記プローブデータから所定のイベントを検出したときには、そのイベントが検出された道路区間に係る前記プローブデータと、そのイベントを識別するイベント識別情報と、を前記センタ装置に送信し、
前記センタ装置が、
前記車載端末装置から送信された前記プローブデータと前記イベント識別情報とを受信し、その受信した前記プローブデータと前記イベント識別情報とを前記一時記憶手段に一時記憶し、
前記一時記憶手段に記憶されているプローブデータのうち、その対応する道路区間の一部を互いに共有するような複数のプローブデータについて、主成分分析による特徴空間射影処理を行い、
前記特徴空間射影処理によって得られた特徴空間ベクトルによりその特徴空間ベクトルの方向の変化点を検出し、
前記検出した変化点により前記複数のプローブデータに係る道路区間を分割し、
前記分割したそれぞれの道路区間に、その道路区間を含む前記複数のプローブデータそれぞれに対応するイベント識別情報の1つを割り付け、
前記割り付けたイベント識別情報とその道路区間の所在位置を示す区間情報とを前記車載端末装置に配信し、
前記車載端末装置が、
前記イベント識別情報と前記区間情報とを受信し、その受信した前記イベント識別情報によって示されるイベント情報と前記区間情報とを表示装置に表示すること
を特徴とする交通情報収集・配信方法。
【請求項2】
前記センタ装置は、さらに、
前記特徴空間射影処理によって主成分得点ベクトルを得、その主成分得点ベクトルを前記車載端末装置に送信し、
前記車載端末装置は、前記主成分得点ベクトルを受信したときには、
前記取得したプローブデータを前記主成分得点ベクトルが対応している道路区間に含まれる区間内データと、その道路区間に含まれない区間外データと、に分割し、
前記区間内データについては、前記主成分得点ベクトルに対する直交成分データを抽出し、
前記直交成分データが所定の閾値以上であったときには、前記直交成分データと前記区間外データとをプローブデータとして前記センタ装置へ送信し、
前記直交成分データが所定の閾値未満であったときには、前記区間外データをプローブデータとして前記センタ装置へ送信すること
を特徴とする請求項1に記載の交通情報収集・配信方法。
【請求項3】
前記車載端末装置は、さらに、
前記プローブデータを前記センサから取得後、そのプローブデータを前記センタ装置に送信する前に、前記センタ装置に対し前記主成分得点ベクトルの送信を要求する主成分得点ベクトル要求情報を送信し、
前記センタ装置は、
前記主成分得点ベクトル要求情報を受信したときには、前記車載端末装置の現在位置が含まれる道路区間に係る前記主成分得点ベクトルを前記車載端末装置に送信すること
を特徴とする請求項2に記載の交通情報収集・配信方法。
【請求項4】
前記センタ装置は、
前記分割したそれぞれの道路区間にイベント識別情報を割り付けるときには、その道路区間を含む複数のプローブデータに対応する複数のイベント識別情報の中で最多数のイベント識別情報を割り付けること
を特徴とする請求項1に記載の交通情報収集・配信方法。
【請求項5】
前記車載端末装置は、
当該車両が走行中の道路区間について前記配信されたイベント識別情報に、自らが取得したプローブデータにより検出したイベントのイベント識別情報が含まれていなかったときには、前記配信されたイベント識別情報が示すイベント情報に併せて、前記自らが検出したイベントのイベント情報を表示装置に表示すること
を特徴とする請求項1に記載の交通情報収集・配信方法。
【請求項6】
車両に搭載され、その車両が備えるセンサからプローブデータを取得する車載端末装置と、前記車載端末装置から送信された情報を受信して一時記憶する一時記憶手段を備え、その一時記憶された情報に基づき、道路の交通状況に係るイベント情報を取得するセンタ装置と、を通信可能に接続して構成した交通情報収集・配信システムであって、
前記車載端末装置は、
前記プローブデータから所定のイベントを検出したときには、そのイベントが検出された道路区間に係る前記プローブデータと、そのイベントを識別するイベント識別情報と、を前記センタ装置に送信し、
前記センタ装置は、
前記車載端末装置から送信された前記プローブデータと前記イベント識別情報とを受信し、その受信した前記プローブデータと前記イベント識別情報とを前記一時記憶手段に一時記憶し、
前記一時記憶手段に記憶されているプローブデータのうち、その対応する道路区間の一部を互いに共有するような複数のプローブデータについて、主成分分析による特徴空間射影処理を行い、
前記特徴空間射影処理によって得られた特徴空間ベクトルによりその特徴空間ベクトルの方向の変化点を検出し、
前記検出した変化点により前記複数のプローブデータに係る道路区間を分割し、
前記分割したそれぞれの道路区間に、その道路区間を含む前記複数のプローブデータそれぞれに対応するイベント識別情報の1つを割り付け、
前記割り付けたイベント識別情報とその道路区間の所在位置を示す区間情報とを前記車載端末装置に配信し、
前記車載端末装置は、
前記イベント識別情報と前記区間情報とを受信し、その受信した前記イベント識別情報によって示されるイベント情報と前記区間情報とを表示装置に表示すること
を特徴とする交通情報収集・配信システム。
【請求項7】
前記センタ装置は、さらに、
前記特徴空間射影処理によって主成分得点ベクトルを得、その主成分得点ベクトルを前記車載端末装置に送信し、
前記車載端末装置は、前記主成分得点ベクトルを受信したときには、
前記取得したプローブデータを前記主成分得点ベクトルが対応している道路区間に含まれる区間内データと、その道路区間に含まれない区間外データと、に分割し、
前記区間内データについては、前記主成分得点ベクトルに対する直交成分データを抽出し、
前記直交成分データが所定の閾値以上であったときには、前記直交成分データと前記区間外データとをプローブデータとして前記センタ装置へ送信し、
前記直交成分データが所定の閾値未満であったときには、前記区間外データをプローブデータとして前記センタ装置へ送信すること
を特徴とする請求項6に記載の交通情報収集・配信システム。
【請求項8】
前記車載端末装置は、さらに、
前記プローブデータを前記センサから取得後、そのプローブデータを前記センタ装置に送信する前に、前記センタ装置に対し前記主成分得点ベクトルの送信を要求する主成分得点ベクトル要求情報を送信し、
前記センタ装置は、
前記主成分得点ベクトル要求情報を受信したときには、前記車載端末装置の現在位置が含まれる道路区間に係る前記主成分得点ベクトルを前記車載端末装置に送信すること
を特徴とする請求項7に記載の交通情報収集・配信システム。
【請求項9】
前記センタ装置は、
前記分割したそれぞれの道路区間にイベント識別情報を割り付けるときには、その道路区間を含む複数のプローブデータに対応する複数のイベント識別情報の中で最多数のイベント識別情報を割り付けること
を特徴とする請求項6に記載の交通情報収集・配信システム。
【請求項10】
前記車載端末装置は、
当該車両が走行中の道路区間について前記配信されたイベント識別情報に、自らが取得したプローブデータにより検出したイベントのイベント識別情報が含まれていなかったときには、前記配信されたイベント識別情報が示すイベント情報に併せて、前記自らが検出したイベントのイベント情報を表示装置に表示すること
を特徴とする請求項6に記載の交通情報収集・配信システム。
【請求項11】
車両に搭載され、その車両が備えるセンサからプローブデータを取得する車載端末装置と、前記車載端末装置から送信された情報を受信して一時記憶する一時記憶手段を備え、その一時記憶された情報に基づき、道路の交通状況に係るイベント情報を取得するセンタ装置と、を通信可能に接続して構成した交通情報収集・配信システムに用いられるセンタ装置であって、
前記車載端末装置が前記プローブデータにより所定のイベントを検出したときに送信したプローブデータと前記イベントのイベント識別情報とを受信し、
前記受信した前記プローブデータと前記イベント識別情報とを前記一時記憶手段に一時記憶し、
前記一時記憶手段に記憶されているプローブデータのうち、その対応する道路区間の一部を互いに共有するような複数のプローブデータについて、主成分分析による特徴空間射影処理を行い、
前記特徴空間射影処理によって得られた特徴空間ベクトルによりその特徴空間ベクトルの方向の変化点を検出し、
前記検出した変化点により前記複数のプローブデータに係る道路区間を分割し、
前記分割したそれぞれの道路区間に、その道路区間を含む前記複数のプローブデータそれぞれに対応するイベント識別情報の1つを割り付け、
前記割り付けたイベント識別情報とその道路区間の所在位置を示す区間情報とを前記車載端末装置に配信すること
を特徴とするセンタ装置。
【請求項12】
前記特徴空間射影処理によって主成分得点ベクトルを得、その主成分得点ベクトルを前記車載端末装置に送信すること
を特徴とする請求項11に記載のセンタ装置。
【請求項13】
前記車載端末装置から送信される主成分得点ベクトル要求情報を受信したときに、前記車載端末装置の現在位置が含まれる道路区間に係る前記主成分得点ベクトルを前記車載端末装置に送信すること
を特徴とする請求項12に記載のセンタ装置。
【請求項14】
前記分割したそれぞれの道路区間にイベント識別情報を割り付けるときに、その道路区間を含む複数のプローブデータに対応する複数のイベント識別情報の中で最多数のイベント識別情報を割り付けること
を特徴とする請求項11に記載のセンタ装置。
【請求項15】
車両に搭載され、その車両が備えるセンサからプローブデータを取得する車載端末装置と、前記車載端末装置から送信された情報を受信して一時記憶する一時記憶手段を備え、その一時記憶された情報に基づき、道路の交通状況に係るイベント情報を取得するセンタ装置と、を通信可能に接続して構成した交通情報収集・配信システムに用いられる車載端末装置であって、
前記プローブデータから所定のイベントを検出したときには、そのイベントが検出された道路区間に係る前記プローブデータと、そのイベントを識別するイベント識別情報と、をセンタ装置に送信し、
前記センタ装置が、そのプローブデータとイベント識別情報とを受信し、その受信した前記プローブデータと前記イベント識別情報とを前記一時記憶手段に一時記憶し、前記一時記憶手段に記憶されているプローブデータのうち、その対応する道路区間の一部を互いに共有するような複数のプローブデータについて、主成分分析による特徴空間射影処理を行い、前記特徴空間射影処理によって得られた特徴空間ベクトルによりその特徴空間ベクトルの方向の変化点を検出し、前記検出した変化点により前記複数のプローブデータに係る道路区間を分割し、前記分割したそれぞれの道路区間に、その道路区間を含む前記複数のプローブデータそれぞれに対応するイベント識別情報の1つを割り付けることによって取得し、配信した前記道路区間の所在位置を示す区間情報とその道路区間に割り付けられたイベント識別情報とを受信し、
その受信した前記イベント識別情報によって示されるイベント情報と区間情報とを表示装置に表示すること
を特徴とする車載端末装置。
【請求項16】
前記センタ装置が送信した前記特徴空間射影処理による主成分得点ベクトルを受信したときには、
前記取得したプローブデータを前記主成分得点ベクトルが対応している道路区間に含まれる区間内データと、その道路区間に含まれない区間外データと、に分割し、
前記区間内データについては、前記主成分得点ベクトルに対する直交成分データを抽出し、
前記直交成分データが所定の閾値以上であったときには、前記直交成分データと前記区間外データとをプローブデータとして前記センタ装置へ送信し、
前記直交成分データが所定の閾値未満であったときには、前記区間外データをプローブデータとして前記センタ装置へ送信すること
を特徴とする請求項15に記載の車載端末装置。
【請求項17】
前記プローブデータを前記センサから取得後、そのプローブデータを前記センタ装置に送信する前に、前記センタ装置に対し前記主成分得点ベクトルの送信を要求する主成分得点ベクトル要求情報を、さらに、送信し、
を特徴とする請求項16に記載の車載端末装置。
【請求項18】
当該車両が走行中の道路区間について前記配信されたイベント識別情報に、自らが取得したプローブデータにより検出したイベントのイベント識別情報が含まれていなかったときには、前記配信されたイベント識別情報が示すイベント情報に併せて、前記自らが検出したイベントのイベント情報を表示装置に表示すること
を特徴とする請求項15に記載の車載端末装置。
【請求項19】
第1の車両に搭載され、その第1の車両が備えるセンサから運動プローブデータおよび環境プローブデータを取得する第1の車載端末装置と、第2の車両に搭載され、その第2の車両が備えるセンサから運動プローブデータを取得する第2の車載端末装置と、記憶手段を備え、前記第1の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータおよび前記環境プローブデータと前記第2の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータとに基づき、道路の交通状況に係るイベントを検出するとともに、前記検出したイベントのイベント情報を前記第2の車載端末装置へ配信するセンタ装置と、が通信可能に接続されて構成され、
前記センタ装置が、
前記第1の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータを、その運動プローブデータと併せて取得した前記環境プローブデータに基づき、正常プローブデータと異常プローブデータとに分離し、前記分離した正常プローブデータと異常プローブデータとを所定の道路区間ごとに前記記憶手段に蓄積し、
前記道路区間ごとに、蓄積した前記正常プローブデータに対する主成分分析を行い、その主成分分析により得られる特徴空間の基底ベクトルを前記記憶手段に蓄積し、
前記道路区間ごとに、前記得られた特徴空間と前記正常プローブデータとの残差の頻度情報と、前記得られた特徴空間と前記異常プローブデータとの残差の頻度情報と、に基づきイベント検出閾値を算出し、前記算出したイベント検出閾値を前記記憶手段に蓄積し、
その後、
前記第2の車載端末装置から前記運動プローブデータを取得し、
前記記憶手段を参照して、前記運動プローブデータが取得された道路区間に対応する前記基底ベクトルと前記イベント検出閾値とを取得し、
前記運動プローブデータと前記基底ベクトルにより張られる特徴空間との残差、および、前記イベント検出閾値に基づき、前記運動ローブデータが取得された道路区間におけるイベントを検出し、
前記検出したイベントのイベント情報を前記道路区間に対応付けて、前記記憶手段に蓄積し、
前記記憶手段を参照して、前記記憶手段に蓄積されている前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を取得し、
前記取得した前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を前記第2の車載端末装置へ配信し、
前記第2の車載端末装置が、
前記配信された前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を受信し、前記受信した前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を表示装置に表示すること
を特徴とする交通情報収集・配信方法。
【請求項20】
第1の車両に搭載され、その第1の車両が備えるセンサから運動プローブデータおよび環境プローブデータを取得する第1の車載端末装置と、第2の車両に搭載され、その第2の車両が備えるセンサから運動プローブデータを取得する第2の車載端末装置と、記憶手段を備え、前記第1の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータおよび前記環境プローブデータと前記第2の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータとに基づき、道路の交通状況に係るイベントを検出するとともに、前記検出したイベントのイベント情報を前記第2の車載端末装置へ配信するセンタ装置と、を通信可能に接続して構成した交通情報収集・配信システムであって、
前記センタ装置が、
前記第1の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータを、その運動プローブデータと併せて取得した前記環境プローブデータに基づき、正常プローブデータと異常プローブデータとに分離し、前記分離した正常プローブデータと異常プローブデータとを所定の道路区間ごとに前記記憶手段に蓄積し、
前記道路区間ごとに、蓄積した前記正常プローブデータに対する主成分分析を行い、その主成分分析により得られる特徴空間の基底ベクトルを前記記憶手段に蓄積し、
前記道路区間ごとに、前記得られた特徴空間と前記正常プローブデータとの残差の頻度情報と、前記得られた特徴空間と前記異常プローブデータとの残差の頻度情報と、に基づきイベント検出閾値を算出し、前記算出したイベント検出閾値を前記記憶手段に蓄積し、
その後、
前記第2の車載端末装置から前記運動プローブデータを取得し、
前記記憶手段を参照して、前記運動プローブデータが取得された道路区間に対応する前記基底ベクトルと前記イベント検出閾値とを取得し、
前記運動プローブデータと前記基底ベクトルにより張られる特徴空間との残差、および、前記イベント検出閾値に基づき、前記運動ローブデータが取得された道路区間におけるイベントを検出し、
前記検出したイベントのイベント情報を前記道路区間に対応付けて、前記記憶手段に蓄積し、
前記記憶手段を参照して、前記記憶手段に蓄積されている前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を取得し、
前記取得した前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を前記第2の車載端末装置へ配信し、
前記第2の車載端末装置が、
前記配信された前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を受信し、前記受信した前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を表示装置に表示すること
を特徴とする交通情報収集・配信システム。
【請求項21】
第1の車両に搭載され、その第1の車両が備えるセンサから運動プローブデータおよび環境プローブデータを取得する第1の車載端末装置と、第2の車両に搭載され、その第2の車両が備えるセンサから運動プローブデータを取得する第2の車載端末装置と、に通信可能に接続されるとともに、記憶手段を備え、前記第1の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータおよび前記環境プローブデータと前記第2の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータとに基づき、道路の交通状況に係るイベントを検出するとともに、前記検出したイベントのイベント情報を前記第2の車載端末装置へ配信するセンタ装置であって、
前記第1の車載端末装置から取得した前記運動プローブデータを、その運動プローブデータと併せて取得した前記環境プローブデータに基づき、正常プローブデータと異常プローブデータとに分離し、前記分離した正常プローブデータと異常プローブデータとを所定の道路区間ごとに前記記憶手段に蓄積し、
前記道路区間ごとに、蓄積した前記正常プローブデータに対する主成分分析を行い、その主成分分析により得られる特徴空間の基底ベクトルを前記記憶手段に蓄積し、
前記道路区間ごとに、前記得られた特徴空間と前記正常プローブデータとの残差の頻度情報と、前記得られた特徴空間と前記異常プローブデータとの残差の頻度情報と、に基づきイベント検出閾値を算出し、前記算出したイベント検出閾値を前記記憶手段に蓄積し、
その後、
前記第2の車載端末装置から前記運動プローブデータを取得し、
前記記憶手段を参照して、前記運動プローブデータが取得された道路区間に対応する前記基底ベクトルと前記イベント検出閾値とを取得し、
前記運動プローブデータと前記基底ベクトルにより張られる特徴空間との残差、および、前記イベント検出閾値に基づき、前記運動ローブデータが取得された道路区間におけるイベントを検出し、
前記検出したイベントのイベント情報を前記道路区間に対応付けて、前記記憶手段に蓄積し、
前記記憶手段を参照して、前記記憶手段に蓄積されている前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を取得し、
前記取得した前記道路区間およびその周辺の道路区間に対応付けられたイベント情報を前記第2の車載端末装置へ配信すること
を特徴とするセンタ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−90829(P2008−90829A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228255(P2007−228255)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】