説明

交通情報提供装置及び方法

【課題】 ドライバーが経路の交通状況に応じた経路選択を行い易い旅行時間を提供することができる、交通情報提供装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、互いに代替可能な複数の経路10,12の少なくともいずれかに関する旅行時間を車両5に提供する交通情報提供装置である。この提供装置は、対象経路10,12に対する現時点の旅行時間T1,T2を取得する取得手段と、対象経路19,12の旅行時間に対して現時点以降に生じる仮定変動分ΔD1,ΔD2を求める第1の演算手段と、現時点の旅行時間T1,T2と仮定変動分ΔD1,ΔD2とに基づいて、車両5に提供する提供旅行時間を求める第2の演算手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現時点の旅行時間を調整した予測旅行時間を車両に提供する交通情報提供装置及び方法に関する。
より具体的には、経路に対する流入交通量の変動要因となる制御パラメータ(信号制御パラメータ等)を利用して、現時点の旅行時間を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の交通情報をドライバーに提供する技術として、財団法人道路交通情報通信システムセンターによるVICS(Vehicle Information and Communication System:なお、「VICS」は上記財団法人の登録商標)が広く知られている。
このVICSは、各種の路側センサ(車両感知器やループコイル等)から収集した車両台数や車両速度等よりなる定点観測情報に基づいて、各路線での渋滞やリンク旅行時間を含む交通情報を集計し、その交通情報を、ビーコンによる狭域通信やFM放送等の広域通信によって車両の車載装置に送信するものである。
【0003】
上記VICSにおいて、各車両が実際に走行した道路の旅行時間データは、道路の渋滞を把握したり最適経路を計算したりするために必要であり、時々刻々と変化するため、リアルタイムで現時の旅行時間データを把握することが重要である。
このため、VICSでは、各車両が実際に走行した道路の旅行時間データを、車両感知器や光ビーコン等でデータベースに集積し、多数の旅行時間データに基づいて現時点のリンク旅行時間を演算処理して、関係機関や車両に配信するシステムとなっている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
そして、リンク旅行時間を受信した車両においては、例えばナビゲーション機能を有する車載装置により、リンク旅行時間をリンクコストとして採用して、自身の出発地から目的地までのリンクコスト(総旅行時間)が最小となる経路を探索し、最短時間で目的地に到着できる経路をドライバーに提示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−344006号公報
【特許文献2】特開2004−101504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ナビゲーション機能を有する車載装置では、現時点のリンク旅行時間をリンクコストとして、自身の出発地から目的地までのリンクコストが最小となる経路を探索するようになっている。
ここで、始点と終点がほぼ等しい複数の経路を想定し、それらに関して提供される旅行時間に大きな差がないとすると、いずれの経路を選択するかはドライバーの経験や嗜好等に委ねられる部分が大きい。
【0007】
この場合、例えば現時点で経路に渋滞が発生しており、その渋滞区間の代替路となる迂回路があっても、迂回路の利用を進めることが困難で、渋滞が悪化してしまう可能性がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ドライバーが経路の交通状況に応じた経路選択を行い易い旅行時間を提供することができる交通情報提供装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の交通情報提供装置は、互いに代替可能な複数の経路の少なくともいずれかに関する旅行時間を車両に提供する交通情報提供装置であって、対象経路に対する現時点の旅行時間を取得する取得手段と、前記対象経路の旅行時間に対して現時点以降に生じる仮定変動分を求める第1の演算手段と、前記現時点の旅行時間と前記仮定変動分とに基づいて、前記車両に提供する提供旅行時間を求める第2の演算手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
なお、本発明において、「互いに代替可能な複数の経路」とは、後述する実施形態における「渋滞区間」とその「迂回路」のように、一方が他方を代替可能である、始点と終点が一致する複数の経路のことをいう。
もっとも、上記複数の経路は互いに代替可能であればよいので、その始点と終点は必ずしも厳密に一致している必要はなく、車両の搭乗者にとって実質的に同一の地点ないしエリアであれば足りる。また、この「互いに代替可能な複数の経路」は3つ以上であってもよい。
【0010】
また、本発明において、「経路に関する旅行時間」は、その経路の始点から終点までの旅行時間だけでなく、当該経路の構成要素となる各リンクの旅行時間であってもよい。
この場合、各リンクの提供旅行時間は、経路自体の旅行時間について求めた提供旅行時間を各リンクに按分して算出することができる。
【0011】
本発明の交通情報提供装置によれば、第1の演算手段が、対象経路の旅行時間に対して現時点以降に生じる仮定変動分を求め、第2の演算手段が、現時点の旅行時間と仮定変動分とに基づいて、車両に提供する提供旅行時間を求めるので、交通状況に応じた経路選択をドライバーが行い易い提供旅行時間を生成することができる。
【0012】
(2) 本発明の交通情報提供装置において、前記取得手段が、更に、前記対象経路上の交通信号機に対して現時点以降に実行させる制御パラメータを取得している場合には、前記第1の演算手段は、前記制御パラメータに基づいて前記仮定変動分を求めることができる。この制御パラメータは、例えば、対象経路に含まれる交通信号機に対する現時点以降の信号制御パラメータである。
この信号制御パラメータは、スプリット、サイクル長及びオフセット等よりなり、いずれも、対象経路に対する流入交通量の変動に大きな影響を与えるものであり、これらのパラメータを用いて現時点の旅行時間に対する仮定変動分を算出することができる。
【0013】
(3) 本発明の交通情報提供装置において、前記第2の演算手段は、前記対象経路が流入交通量を現時点以降に増加させる経路である場合には、前記現時点の旅行時間よりも短時間となるように前記提供旅行時間を求める。
(4) また、前記旅行時間調整手段は、前記第2の演算手段は、前記対象経路が流入交通量を現時点以降に減少させる経路である場合には、前記現時点の旅行時間よりも長時間となるように前記提供旅行時間を求める。
【0014】
このように、本発明の交通情報提供装置によれば、制御パラメータの変化に伴って予測される流入交通量の増減に対応して現時点の旅行時間に対して現時点以降(現時点を含む。)に生じる仮定変動分求められるので、合理的な根拠に基づいた信頼度の高い提供旅行時間を生成することができる。
【0015】
(5) ところで、制御パラメータの変化により流入交通量を減少させる経路としては、例えば後述の実施形態における「渋滞区間」があるが、車両が複数の経路の中から当該渋滞区間を選択すると、流入交通量の増加に対する旅行時間の増加量が飛躍的に大きくなるという特性がある。
従って、複数の経路に上記渋滞区間が含まれる場合には、車両が当該渋滞区間を選択した場合の旅行時間の調整量をも考慮して、提供旅行時間を生成することが好ましい。
【0016】
そこで、本発明の交通情報提供装置において、前記第1の演算手段は、前記対象経路が流入交通量を現時点以降に減少させる経路である場合には、前記対象経路を前記車両が選択した場合の時間増分に応じて前記仮定変動分を求めることが好ましい。
この場合、上記経路を車両が選択した場合の時間増分に応じて仮定変動分を求めるので、車両が当該経路を選択した場合の提供旅行時間を正確に求めることができる。
【0017】
(6) 本発明の交通情報提供方法は、上記交通情報提供装置が実行する提供方法であって、当該提供装置と同様の作用効果を有する。
すなわち、本発明の交通情報提供方法は、互いに代替可能な複数の経路の少なくともいずれかに関する旅行時間を車両に提供する交通情報提供方法であって、対象経路に対する現時点の旅行時間を取得するステップと、前記対象経路の旅行時間に対して現時点以降に生じる仮定変動分を求めるステップと、前記現時点の旅行時間と前記仮定変動分とに基づいて、前記車両に提供する提供旅行時間を求めるステップと、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上の通り、本発明によれば、ドライバーが経路の交通状況に応じた経路選択を行い易い旅行時間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】交通信号制御システムの概要を示す概略構成図である。
【図2】交通信号機の概要を示す概略構成図である。
【図3】中央装置の構成を示すブロック図である。
【図4】交通信号制御機の構成を示すブロック図である。
【図5】車載装置の構成を示すブロック図である。
【図6】流入抑制交差点にある交通信号機の概要を示す概略構成図であり、中央装置が実行する制御処理フローを含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明を採用した交通信号制御システムの全体構成を示している。
図1に示すように、本実施形態の交通信号制御システムは、交通信号機1、車載装置2(図2参照)、車両感知器3、中央装置4、車載装置2を搭載した車両5などを含む。
【0021】
各交通信号機1は、複数の交差点Ci(i=1〜12)のそれぞれに設置され、電話回線等の通信回線6を介してルータ7に接続されている。このルータ7は交通管制センター内の中央装置4に接続され、中央装置4は、制御エリア内の交差点Ciの各交通信号機1とLAN(Local Area Network)を構成している。
従って、中央装置4は、各交通信号機1と双方向通信が可能であり、各交通信号機1は他の交通信号機1とも双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0022】
車両感知器3は、各交差点Ciに流入する車両台数をカウントするために、対応する各交差点Ciの上流側に設置されており、図示しない通信回線を介して対応する各交通信号機1と繋がっている。
なお、図1では、図示を簡略化するために、各交差点Ciに信号灯器1bが1つだけ描写されているが、実際の各交差点Ciには、例えば図2に示すように、互いに交差する道路の上り下り用として4つの信号灯器1bが設置されている。
【0023】
また、図1に示すように、本実施形態では、中央装置4が管轄する制御エリアの道路構造は、比較的交通量の多い南北方向の主道路RMと、比較的交通量の少ない東西方向の従道路RSとから構成されているものとする。
更に、図2に示すように、主道路RMは、北行きの上り線RM1と南行きの下り線RM2とを備え、従道路RSは、東行きの上り線RS1と西行きの下り線RS2とを備えているものとする。
【0024】
〔中央装置〕
図3は、中央装置4の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、中央装置4は、制御部401、表示部402、通信部403、記憶部404及び操作部405を含んでいる。
中央装置4の制御部401は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなり、交通信号機1や車両感知器3からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。中央装置4の制御部401は、内部バスを介して上記ハードウェア各部と繋がっており、これら各部の動作も制御する。
【0025】
中央装置4の制御部401は、自身のネットワークに属する交差点Ciの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うものであり、交通状況に応じて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)を設定する交通感応制御を行う。
なお、中央装置4の制御部401は、通信部403を介してVICSセンター(図示せず)とも繋がっており、自身の制御エリア内の現時点のリンク旅行時間を算出して当該VICSセンターに送信している。
【0026】
中央装置4の通信部403は、通信回線6を介してLAN側と接続された通信インタフェースであり、所定時間ごとの信号灯器1bの灯色切り替えタイミング等に関する信号制御指令S1と、渋滞情報等を含む交通情報S2と、自身が行う交通制御の種別に関する制御種別情報S6とを各交通信号機1に送信している(図1及び図2参照)。
なお、上記制御種別情報S6で識別される制御種別には、中央装置4が通常時に行う各種の感応制御の他、後述する優先制御と流入抑制制御も含まれる。
【0027】
信号制御指令S1と制御種別情報S6は、信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は例えば5分ごとに送信される。
また、中央装置4の通信部403は、各交通信号機1の通信部103から、車載装置2が搭載されている車両5の車両ID、位置情報S3及び速度情報S4と、車両感知器3の感知信号S5とをリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で受信している(図1及び図2参照)。
【0028】
中央装置4の記憶部404は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、後述する優先制御や流入抑制制御を含む交通感応制御を行う制御プログラム、この交通感応制御に用いる信号制御パラメータの演算プログラム、及び、想定される複数の経路(例えば、後述する渋滞区間10と迂回路12)の旅行時間を調整するための旅行時間調整プログラム等を記憶している。
また、中央装置4の記憶部404は、制御部401が生成した前記信号制御指令S1、交通情報S2及び制御種別情報S6と、LAN側から取得した車両ID、位置情報S3、速度情報S5及び感知信号S5を一時的に記憶する。
【0029】
中央装置4の記憶部404は、制御エリア内で経験的に渋滞が多発する渋滞区間10と、この渋滞区間10の上流側に位置する流入抑止交差点11と、その渋滞区間10で実際に渋滞が発生した場合に当該区間10の代替路となるべき迂回路12とを、予め記憶している。
図1に示す例では、交差点C6から交差点C5に向かう方向の主道路RMの上り線が渋滞区間10に設定され、この渋滞区間10が始まる交差点C6が流入抑止交差点11となっている。また、交差点C6→交差点C2→交差点C1に至るルートが迂回路12に設定されている。なお、この迂回路12は最小コスト経路探索によって決定してもよい。
【0030】
中央装置4の制御部401は、前記交通感応制御の一貫として、渋滞区間10での渋滞を抑制するために、迂回路12への優先制御と渋滞区間10への流入抑制制御を行う。
また、中央装置4の制御部401は、優先制御と流入抑制制御を行う場合に、その渋滞区間10と迂回路12について、現時点の旅行時間を調整した予測旅行時間を生成する。なお、上記優先制御及び流入抑制制御の内容と、渋滞区間10と迂回路12の予測旅行時間の生成処理については、後述する。
【0031】
中央装置4の表示部402は、自身が管理するエリアの道路地図と、この道路地図上のすべての交通信号機1や光ビーコン(図示せず)等の位置が表示された表示画面により構成され、中央オペレータに渋滞や事故等の交通状況を報知するものである。
中央装置4の操作部405は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部405によって中央オペレータが上記表示部402に対する表示切り替え操作等を行えるようになっている。
【0032】
〔交通信号機〕
図2は、制御エリアに含まれる各交通信号機1の全体構成を示す模式図である。
図2に示すように、本実施形態の交通信号機1は、主道路の上下線RM1,RM2及び従道路の上下線RS1,RS2のそれぞれに設置された4つの信号灯器1bと、この信号灯器1bと通信回線8を介して接続された交通信号制御機1aとを備えている。
【0033】
交通信号制御機1aは、中央装置4から信号制御指令S1を受信し、当該信号制御指令S1に基づいて、各信号灯器1bの青、黄、赤及び右折矢等の各信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する(図2参照)。
交通信号制御機1aは、中央装置4から受信した交通情報S2と自身が記憶している交差点IDを、所定周期(例えば、0.1秒ごと)で車載装置2に送信する。また、交通信号制御機1aは、車載装置2から車両5の位置情報S3及び速度情報S4を受信し、車両感知器5から感知信号S5を受信する(図2参照)。
【0034】
図4は、上記交通信号制御機1aの構成を示すブロック図である。
図4に示すように、交通信号制御機1aは、制御部101、灯器駆動部102、有線通信部103、無線通信部105及び記憶部104を含んでいる。
交通信号制御機1aの制御部101は、一又は複数のマイクロコンピュータから構成されている。制御部101には、内部バスを介して灯器駆動部102、通信部103及び記憶部104が接続されており、制御部101はこれらのハードウェア各部の動作を制御する。
【0035】
この交通信号制御機1aの制御部101は、中央装置4が交通感応制御(後述の優先制御や流入抑制制御を含む。)を行った結果の出力である信号制御指令S1に従って各信号灯器1bを駆動し、その指令S1に基づく所定のタイミングで各信号灯器1bの信号灯色を切り替える。
灯器駆動部102は、半導体リレー(図示せず)を備え、上記制御部101から入力された出力指令S1に基づいて、複数の信号灯器1bの青色灯、黄色灯、赤色灯それぞれに対応して各色の信号灯に供給される交流電圧(AC100V)又は直流電圧をオン/オフする。
【0036】
交通信号制御機1aの有線通信部103は、中央装置4及び車両感知器3との間で有線通信を行う通信インタフェースであり、渋滞発生の有無に拘わらず、信号制御指令S1、交通情報S2及び制御種別情報S6を中央装置4から受信し、車両の感知信号S5を車両感知器3から受信する(図2参照)。
また、交通信号制御機1aの無線通信部105は、交差点Ciに流入する車両5の車載装置2との間で無線通信を行う通信インタフェースであり、渋滞発生の有無に拘わらず、交通情報S2を車載装置2に送信し、車両5の車両ID、位置情報S3及び速度情報S4を車載装置2から受信する(図2参照)。
【0037】
上記無線通信部105は、無線LANやWiMAX(World Interoperability for Microwave Access)などの中・広域通信装置よりなり、車両5に搭載された車載装置2との間で各種情報を無線通信することができる。
図2に示すように、この無線通信部105は、交差点Ciに流入するすべての道路RM1,RM2,RS1,RS2上の車両5の車載装置2と通信可能となっている。そして、本実施形態の無線通信部105は、車載装置2に対して交差点IDとともに対象となるリンク(図2の例では主道路RM1)のリンクIDを送信する。
【0038】
車載装置2は、無線通信部105から受信した情報に付されたリンクIDと走行中のリンクのリンクIDを照合することにより、自身に必要な情報を選択する。また、無線通信部105の通信領域の延長(上り線RM1の走行方向長さ)は、50〜200m程度に設定されている。
交通信号制御機1aの記憶部104は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、有線通信部103が受信した信号制御指令S1、交通情報S2、感知信号S5及び制御種別情報S6や、無線通信部105が受信した車両5の車両ID、位置情報S3及び速度情報S4等を記憶する。
【0039】
〔車載装置〕
車両5に搭載された車載装置2は、交通信号制御機1aとの間で各種情報を無線通信する通信機能と、搭乗者が設定した目的地に案内するナビゲーション機能を有する。図5は、その車載装置2の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、車載装置2は、GPS処理部201、方位センサ202、車速取得部203、通信部204、記憶部205、操作部206、表示部207、音声出力部208及び処理部209等を含んでいる。
【0040】
GPS処理部201は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報、GPS衛星の軌道、測位補正情報等に基づいて、車両5の位置(緯度、経度及び高度)を計測する。
方位センサ202は、光ファイバジャイロなどで構成されており、車両5の方位及び角速度を計測する。車速取得部203は、車速センサ(図示せず)が車輪の角速度を検出することにより計測した車両5の速度データを取得する。
【0041】
車載装置2の通信部204は、車両5がある交差点Ciに向かって走行中に、交通信号制御機1aの無線通信部105の通信領域に入ると、その無線通信部105が送信する交通情報S2等の情報を受信し、自身の車両ID、位置情報S3及び速度情報S4をリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)に無線通信部105に送信する。
車載装置2の記憶部205は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、通信部204が受信した交通情報S2等を記憶する。また、記憶部205は、道路地図データを記憶している。
【0042】
この道路地図データには、交差点IDと交差点の位置とを対応付けた交差点データ、リンクIDと、リンクの始点・終点・補間点(道路が折れ曲がる地点に対応)それぞれの位置と、リンクの始点に接続するリンクのリンクIDと、リンクの終点に接続するリンクのリンクIDと、リンクコストとを対応付けたリンクデータなどから構成されている。
【0043】
リンクコストは、例えば、リンクとその終点に接続するリンクの組み合わせの数だけ用意されており、リンクの始点に進入してから当該リンクの終点を退出し、次に接続するリンクの始点に進入するまでに要する時間が設定されている。
すなわち、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコスト(時間)と、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト(時間)、つまり、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。
【0044】
車載装置2の操作部206は、タッチパネルやボタン等から構成されており、ドライバーを含む車両5の搭乗者が目的地の設定等を行えるようになっている。
車載装置2の表示部207は、車両5のダッシュボード部分に取り付けられたモニタ装置(図示せず)よりなり、処理部209が作成した画像データを搭乗者に表示する。また、音声出力部208は、処理部209が作成した音声データをスピーカー(図示せず)から出力する。
【0045】
車載装置2の処理部209は、1又は複数のマイクロコンピュータ等から構成されており、GPS処理部201、方位センサ202、車速取得部203、通信部204、記憶部205、操作部206、表示部207、音声出力部208の各処理を制御する。
また、処理部209は、GPS処理部201が計測した車両5の位置、方位センサ202が計測した車両5の方位及び角速度、車速取得部203が取得した車両5の速度の各データ、記憶部205に記憶している道路地図データに基づいてマップマッチング処理を行い、道路地図データのリンク上における車両5の位置を求める。
【0046】
〔中央装置の制御内容〕
次に、図1及び図6を参照しつつ、中央装置4の制御部401が実行する制御内容のうち、優先制御及び流入抑制制御の内容と、予測旅行時間の生成処理について説明する。
【0047】
〔渋滞判定〕
前記した通り、中央装置4は、制御エリア内で経験的に渋滞が多発する渋滞区間10と、この渋滞区間10の上流側に位置する流入抑止交差点12と、その渋滞区間10で実際に渋滞が発生した場合の迂回路12とを、記憶部404において記憶している。
【0048】
そこで、中央装置4の制御部401は、渋滞区間10に設置された車両感知器3からの感知信号S5や、渋滞区間10を走行する車両5からのアップリンク情報等から、渋滞区間10での待ち行列長さを常時検出しており、この待ち行列長さを所定の閾値と比較することにより、当該渋滞区間10で渋滞が発生したか否かを判定している(図6のステップST1)。
【0049】
〔迂回路への優先制御〕
次に、中央装置4の制御部401は、上記判定によって渋滞区間10における渋滞発生を検出すると、流入抑制交差点11の上流側を走行する車両5が迂回路12を選択し易くなるように、当該迂回路12に含まれる交差点Ciの信号制御パラメータを設定する優先制御を行う(図6のステップST2)。
【0050】
具体的には、中央装置4の制御部401は、迂回路12に含まれる交差点Ciに関して当該迂回路12の迂回方向がこれと反対の方向よりも優先されるオフセットを演算し、このように演算したオフセットを実行するための信号制御指令S1を、迂回路12に含まれる各交差点Ciの交通信号制御機1aに配信する。
【0051】
中央装置4の制御部401は、上り方向と下り方向の交通量を用いてシミュレーションを行い、各リンクの上り下り方向別のリンク指標の加重和である評価指標を最小化するオフセットを検索する。リンク指標は、各リンクにおいて車両の信号待ち時間に停止回数や赤開始前後に交差点に到着する車両台数である事故危険度を重み付きで加えた値である。
例えば、図1に示す例では、渋滞区間10に対応する迂回路12は、交差点C6→交差点C2→交差点C1を通過するルートになっている。
【0052】
この場合、中央装置4の制御部401は、交差点C6と交差点C2を通る従道路RSに関して、迂回路12の進行方向である上り方向(東行き)がこれと反対の下り方向(西行き)よりも信号待ち時間が小さくなるように、上り方向のリンク指標に大きな優先度(重み)を付けたオフセットを演算する。
【0053】
また、同様に、中央装置4の制御部401は、交差点C2と交差点C1を通る主道路RMに関して、迂回路12の進行方向である上り方向(北行き)がこれと反対の下り方向(南行き)よりも信号待ち時間が小さくなるように、上り方向のリンク指標に大きな優先度(重み)を付けたオフセットを演算する。
そして、中央装置4の制御部401は、上記のように演算したオフセットを実行するための信号制御指令S1を、交差点C6、交差点C2及び交差点C1の交通信号制御機1aに配信する。
【0054】
〔渋滞区間への流入抑制制御〕
また、中央装置4の制御部401は、前記渋滞判定によって渋滞区間10における渋滞発生を検出すると、更に、流入抑制交差点11の上流側を走行する車両5が渋滞区間10に進入し難くなるように、流入抑制交差点11の信号制御パラメータを設定する流入抑制制御を行う(図6のステップST3)。
【0055】
具体的には、中央装置4の制御部401は、渋滞区間10に進入しようとする交通流に対する現示長さを短縮する。
【0056】
すなわち、図6に示す流入抑制交差点11(交差点C6)を例に取ると、主道路の上り線RM1の直進青時間を所定時間(例えば、10秒程度)だけ短縮し、右折青時間を所定時間(例えば、10秒程度)だけ延長するとともに、従道路の下り線RS2の右折矢時間を所定時間(例えば、5秒程度)だけ短縮し、直進青時間を所定時間(例えば、5秒程度)だけ延長する。
【0057】
〔迂回率に基づくパラメータの変更〕
中央装置4の制御部401は、優先制御や流入抑制制御を行う場合、流入抑制交差点11の上流側を走行していた車両5のうち、迂回路12を選択した当該車両5の割合(以下、迂回率という。)を実測する。
この迂回率の実測は、例えば、流入抑止交差点11の交通信号制御機1aと通信した車両5の台数に対する、迂回路12に含まれる交差点Ciの交通信号制御機1aと通信した車両5の台数の比で求めることができる。また、右折車両の台数をカウントする車両感知器がある交差点Ciの場合には、一定方向への通行台数に対する右折台数の比で迂回率を実測することもできる。
【0058】
中央装置4の制御部401は、実測した上記迂回率に基づいて、迂回路12に含まれる交差点Ciの信号制御パラメータの設定と、流入抑制交差点11に対する信号パラメータの設定をやり直す。
具体的には、中央装置4の制御部401は、優先制御や流入抑制制御を実施中であるのに迂回率が比較的小さいと判断した場合には、迂回路12の進行方向の優先度(重み)を更に増大させてオフセットを演算し、このオフセットを実行するための信号制御指令S1を、交差点C6、交差点C2及び交差点C1の交通信号制御機1aに配信する。
【0059】
また、中央装置4の制御部401は、渋滞区間10に進入しようとする交通流に対する現示長さを更に短縮し、この信号現示を実行するための信号制御指令S1を、当該流入抑制交差点11の交通信号制御機1aに配信する。
このように、本実施形態の中央装置4によれば、迂回率に基づいて優先制御や流入抑制制御で使用する信号制御パラメータを変更するので、よりきめの細かい優先制御及び流入抑制制御を行うことができる。
【0060】
〔旅行時間の調整(提供旅行時間の生成処理)〕
中央装置4の制御部401は、優先制御や流入抑制制御を実行する場合、更に、信号制御パラメータに基づいて、渋滞区間10と迂回路12に関する現時点の旅行時間を調整して、それらの経路10,12に関する提供旅行時間を生成する。以下、この旅行時間の調整処理について説明する。
【0061】
なお、渋滞区間10と迂回路12の現時点の旅行時間T1,T2は、現時点のリンク旅行時間を合算して解析サイクルごとに生成される。
また、以下においては、渋滞区間10と迂回路12の旅行時間T1,T2をそのまま調整して、その提供旅行時間を生成する場合を説明するが、その各経路10,12に関するリンク旅行時間を車両5側に提供する場合には、経路10,12の提供旅行時間を各リンクに按分してリンク旅行時間の予測値とすればよい。
【0062】
〔迂回路の提供旅行時間〕
まず、中央装置4の制御部401は、前記優先制御における迂回路12のオフセット算出時のシミュレーションの際に、現在のオフセットおよび最適解として得られたオフセットに対して、上りの各リンクについての車両1台当たりの信号待ち時間の合計をそれぞれ算出する。
【0063】
その合計値をそれぞれD1(秒)及びD’1(秒)とすると、迂回路12への優先制御を実行した際の、当該迂回路12での旅行時間の短縮量(仮定変動分)は、ΔD1=D1−D’1と予測することができる。
そこで、中央装置4の制御部401は、現時点の旅行時間T1(秒)から上記短縮量ΔD1を差し引いた値(=T1−ΔD1)を、迂回路12の提供旅行時間として生成する。
【0064】
〔渋滞区間の提供旅行時間〕
一方、渋滞区間10の流入抑制交差点11での待ち行列長をL(m)、平均車頭間隔をh(m)、流入路RM1の飽和交通流率をs(台/秒)、サイクル長をCy(秒)、現在の青時間をG(秒)、流入抑制制御による青時間の短縮量をΔG(秒)とすると、流入抑制交差点11における、流入抑制制御の前後の車両1台当たりの信号待ち時間は、それぞれ次のように算出することができる。
【0065】
(a) 現在の車両1台当たりの信号待ち時間D2
D2=LCy/shG
(b) 流入抑制制御を実施した後の車両1台当たりの信号待ち時間D’2
D’2=LCy/sh(G−ΔG)
【0066】
従って、流入抑制制御による渋滞区間10の旅行時間の増加量(仮定変動分)は、ΔD2=D’2−D2と予測することができる。
そこで、中央装置4の制御部401は、現在の旅行時間T2(秒)に上記増加量ΔD2を加えた値(=T2+ΔD2)を、渋滞区間10の提供旅行時間として生成する。
なお,上記平均車頭間隔hと飽和交通流率sは、予め実際に計測した統計的な値を定数として記憶部404に記憶しておく。
【0067】
〔渋滞区間の予測旅行時間に対する調整〕
ところで、一般に、経路の旅行時間には、道路が混雑するにつれて、流入交通量の増加に対する旅行時間の増加量(仮定変動分)が飛躍的に大きくなるという特性がある。
このため、車両5が渋滞区間10と非渋滞である迂回路12のどちらか一方を選択して走行するときに、迂回路12を選択した場合には、当該迂回路12の旅行時間に与える影響は軽微であるが、渋滞区間10を選択した場合には、当該渋滞区間10の旅行時間に少なからず影響を与えることになる。
【0068】
そこで、中央装置4の制御部401は、迂回路12の旅行時間T1については、車両5が当該迂回路12を選択した場合の時間増分を考慮せず、上記提供旅行時間(T1−ΔD1)をそのまま車両5に提供する旅行時間とする。
また、中央装置4の制御部401は、渋滞区間10の旅行時間(=T2+ΔD2)については、その提供を受けた車両5が当該渋滞区間10を選択した場合の時間増分ΔT2を更に現時点の旅行時間T2に付加して、車両5に対する提供旅行時間とする。
【0069】
具体的には,渋滞区間10のボトルネック交差点のサイクル長をCy、青時間をGとすると、流入車両5が1台増加した場合の渋滞区間10の旅行時間T2の増加量ΔT2(秒)は、ΔT2=Cy/sG の式で算出することができる。
なお、1台の車両5が渋滞区間10を選択した場合には、他にも渋滞区間10を選択する車両5があると考えられるので、その台数を換算するための換算係数aをあらかじめ設定しておき、現在の旅行時間T2にaΔT2を付加して提供旅行時間を生成することにしてもよい。
【0070】
〔車両への情報提供〕
更に、中央装置4の制御部401は、各経路10,12の現時点の旅行時間T1,T2に対して信号制御パラメータに基づく仮定変動分ΔD1,ΔD2を考慮した前記提供旅行時間を生成すると、その提供旅行時間を含めた各種の交通情報を車両5に提供する(図6のステップST5)。
具体的には、中央装置4の制御部401は、優先制御や流入抑制制御を行う場合、制御種別がその優先制御や流入抑制制御である制御種別情報S6を生成しており、優先制御を行う場合、渋滞区間10と迂回路12の経路情報S7と、迂回路12での信号切り替えタイミングに関する信号情報S8を生成している。
【0071】
そこで、中央装置4の通信部403は、上記制御種別情報S6、経路情報S7、信号情報S8及び予測旅行時間情報S9を、流入抑止交差点11やその上流側の交差点にある交通信号制御機1aに送信する。
なお、中央装置4の通信部403は、信号情報S8については、迂回路12に含まれる交差点Ci(図例では交差点C2及びC1)の交通信号制御機1aに対しても送信する。
【0072】
一方、流入抑止交差点11の交通信号制御機1aの無線通信部105は、上記各情報S6〜S9を車両5の車載装置2に送信する(図6の太矢印参照)。
制御種別情報S6を受信した車載装置2は、その表示部207や音声出力部208によって当該情報S6を搭乗者に報知する。このため、流入抑制交差点11に向かって走行する車両5の搭乗者は、優先制御又は流入抑制制御若しくはこれらの双方が実施中であることを予め察知することができる。
【0073】
また、上記経路情報S7と信号情報S8を受信した車載装置2は、その表示部207や音声出力部208によって当該情報S7,S8を搭乗者に報知する。
このため、流入抑制交差点11に向かって走行する車両5の搭乗者や、迂回路12を走行中の車両の搭乗者は、迂回路12への道順と、その迂回路12を走行する際の信号切り替えタイミングを事前に察知することができ、迂回路12をより安全かつ確実に走行することができる。
【0074】
更に、提供旅行時間情報S9を受信した車載装置2は、その表示部207や音声出力部208によって当該情報S9を搭乗者に報知したり、或いは、その提供旅行時間情報S9がリンク旅行時間で与えられている場合には、そのリンク旅行時間を用いて最適経路を求めたりする。
この場合、提供旅行時間情報S9に含まれる渋滞区間10や迂回路12の旅行時間は、優先制御や流入抑制制御を行う場合に流入交通量の変動要因となる信号制御パラメータに基づいて算出されているので、現時点の旅行時間T1,T2を任意の固定値で調整して予測旅行時間を求める場合に比べて、信頼度の高いものとなっている。
【0075】
このため、上記提供旅行時間情報S9に従って車両5がいずれかの経路10,12を走行した場合でも、ほぼその時間通りに各経路10,12を走行することができる。
従って、上記提供旅行時間情報S9を車両5に提供することにより、車両5のドライバーが交通状況に応じた経路選択を行い易くなり、車両5側での経路選択率に影響を与えることができる。
【0076】
なお、車両5の車載装置2に対する、制御種別情報S6、経路情報S7、信号情報S8及び予測旅行時間情報S9の提供方法としては、交通信号制御機1aの無線通信部105からの情報送信だけなく、中央装置4に設けた無線通信装置が各車両5に対して直接送信したり、光ビーコン等の他の通信インフラが各車両5に対して送信したりする方法を採用することもできる。
【0077】
このように、本実施形態の中央装置4によれば、経路10,12に対する流入交通量の変動要因となる信号制御パラメータ(オフセット等)に基づいて現時点の旅行時間T1,T2を調整して、交通状況に即した提供旅行時間を生成し、この提供旅行時間を車両5に提供するので、車両5のドライバーが交通状況に応じた経路選択を行い易くなり、車両5側の経路選択率(本実施形態では、渋滞区間10又は迂回路12の選択率)に影響を与えることができる。
【0078】
〔その他の変形例〕
上記実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、渋滞区間10及び迂回路12の現時点の旅行時間T1,T2を調整して提供旅行時間を生成しているが、互いに代替可能な複数の経路は、渋滞区間10及び迂回路12に限定されるものではなく、流入交通量を変動させるために信号制御パラメータを変化させる経路等の、現時点の旅行時間T1,T2に対する仮定変動分を推定可能な経路であればよい。
【0080】
また上記実施形態において、中央装置4の制御部401は、渋滞区間10の旅行時間(=T2+ΔD2)に対して更に時間増分ΔT2又はaΔT2を加算した値を現時点における渋滞区間10の旅行時間として提供した。しかしながら、現時点の旅行時間T2に時間増分ΔT2又はaΔT2を加算した値を現時点における渋滞区間10の旅行時間として提供するようにしてもよい。このように現時点以降の車両の経路選択など、現時点以降に生じる仮定変動分により変動させた旅行時間を、現時点の旅行時間として提供する。これによって、渋滞のような交通状況に応じた経路選択を車両5のドライバーが行い易くなり、その結果、迂回路の利用などが進められる。
また、中央装置4が提供旅行時間を生成する場合に限らず、LANに含まれる複数の交通信号機1が、中央装置4による制御とは別個に予測旅行時間を生成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 交通信号機
1a 交通信号制御機
1b 信号灯器
101 制御部
102 灯器駆動部
103 有線通信部
104 記憶部
105 無線通信部(情報提供手段)
2 車載装置
201 GPS処理部
202 方位センサ
203 車速取得部
204 通信部
205 記憶部
206 操作部
207 表示部
208 音声出力部
209 処理部
3 車両感知器
4 中央装置(交通情報提供装置)
401 制御部(取得手段、第1の演算手段、第2の演算手段)
402 表示部
403 通信部(情報提供手段)
404 記憶部
405 操作部
5 車両
10 渋滞区間
11 流入抑制交差点
12 迂回路
Ci 交差点
S1 信号制御指令
S2 交通情報
S3 位置情報
S4 速度情報
S5 感知信号
S6 制御種別情報
S7 経路情報
S8 信号情報
S9 予測旅行時間情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに代替可能な複数の経路の少なくともいずれかに関する旅行時間を車両に提供する交通情報提供装置であって、
対象経路に対する現時点の旅行時間を取得する取得手段と、
前記対象経路の旅行時間に対して現時点以降に生じる仮定変動分を求める第1の演算手段と、
前記現時点の旅行時間と前記仮定変動分とに基づいて、前記車両に提供する提供旅行時間を求める第2の演算手段と、
を備えていることを特徴とする交通情報提供装置。
【請求項2】
前記取得手段は、更に、前記対象経路上の交通信号機に対して現時点以降に実行させる制御パラメータを取得し、
前記第1の演算手段は、前記制御パラメータに基づいて前記仮定変動分を求める請求項1に記載の交通情報提供装置。
【請求項3】
前記第2の演算手段は、前記対象経路が流入交通量を現時点以降に増加させる経路である場合には、前記現時点の旅行時間よりも短時間となるように前記提供旅行時間を求める請求項1又は2に記載の交通情報提供装置。
【請求項4】
前記第2の演算手段は、前記対象経路が流入交通量を現時点以降に減少させる経路である場合には、前記現時点の旅行時間よりも長時間となるように前記提供旅行時間を求める請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通情報提供装置。
【請求項5】
前記第1の演算手段は、前記対象経路が流入交通量を現時点以降に減少させる経路である場合には、前記対象経路を前記車両が選択した場合の時間増分に応じて前記仮定変動分を求める請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通情報提供装置。
【請求項6】
互いに代替可能な複数の経路の少なくともいずれかに関する旅行時間を車両に提供する交通情報提供方法であって、
対象経路に対する現時点の旅行時間を取得するステップと、
前記対象経路の旅行時間に対して現時点以降に生じる仮定変動分を求めるステップと、 前記現時点の旅行時間と前記仮定変動分とに基づいて、前記車両に提供する提供旅行時間を求めるステップと、
を備えている交通情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−250580(P2010−250580A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99666(P2009−99666)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】