説明

交通情報板システム

【課題】 走行する車両の交通量に応じて表示部の輝度を調整することができ、消費電力を低減させて、交通情報板の運転コストを低減させることのできる交通情報板システムを提供する。
【解決手段】 交通情報板2は、所定の交通情報を表示させる表示部8と、車両感知器11から送られる車両1の有無情報に基づいて、交通情報板2付近における車両1に対する情報伝達効率を判定して、この情報伝達効率に基づいて交通情報板2の表示部8の輝度を調整する制御部7と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通情報板システムに係り、特に、走行する車両の交通量に応じて表示部の輝度を調整することができ、消費電力を低減させて、交通情報板の運転コストを低減させることを可能とした交通情報板システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、交通管制センターやVICSセンターから送信される交通情報を道路に設置された交通情報板に表示させ、車両の運転者に対して、現在の交通情報を知らせる交通情報板システムが多く用いられている。
【0003】
このような交通情報板システムとして、従来から、例えば、各方面の交通情報を表示する道路情報板と、各車両に搭載され、該車両の目的地または通過地点に関する車両データを送信するナビゲーション装置と、道路情報板を視認可能な可視エリアを走行する車両から、車両データを受信する路側機と、車両データに基づき、可視エリア内の車両の目的地または通過地点を判断し、各方面に向かう車両の台数を各方面毎に予測し、各方面毎の車両台数に基づき、全ての交通情報を表示する一周期時間のうち、各方面の前記各交通情報に割り当てる表示時間をそれぞれ設定し、表示時間に基づき、道路情報板に交通情報を表示する交通情報管理サーバとを備えるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開特開2008−158956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術は、各方面毎の車両台数に基づいて、全ての交通情報を表示する一周期時間のうち、各方面の各交通情報に割り当てる表示時間をそれぞれ設定して、道路情報板に交通情報を表示するものであり、運転者に必要な交通情報を必要な表示時間で表示させることができるものであるが、交通情報板の表示部に交通情報を表示させる場合の輝度については、従来、交通情報板に照度計を設置し、昼間、夜間など、太陽光による照度に基づいて、表示部の輝度を制御するようにしていた。
【0006】
そのため、外部の照度に応じた表示部の輝度調整を行うものの、道路の交通量が少ない場合、あるいは車両が全く走行していない場合でも、表示部に交通情報を表示するものであるため、表示部の消費電力が常に必要であり、交通情報板の運転コストが高くなってしまうという問題を有している。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、走行する車両の交通量に応じて表示部の輝度を調整することができ、消費電力を低減させて、交通情報板の運転コストを低減させることのできる交通情報板システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る交通情報板システムは、道路の所定箇所に設置され交通管制センターおよびVICSセンターからの交通情報が送られる交通情報板と、前記道路を走行する車両の有無を感知する車両感知器と、を備え、
前記交通情報板は、所定の交通情報を表示させる表示部と、前記車両感知器から送られる車両の有無情報に基づいて、交通情報板付近における車両に対する情報伝達効率を判定して、この情報伝達効率に基づいて交通情報板の前記表示部の輝度を調整する制御部と、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記車両感知器は、道路を走行する車両の速度をさらに感知するものであり、
前記制御部は、前記車両感知器から送られる車両の速度情報に基づいて、交通情報板付近における車両の到着予測時間を算出し、この到着予測時間に応じて情報伝達効率を判定するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、制御部により、車両感知器から送られる車両の有無情報に基づいて、交通情報板付近における車両に対する情報伝達効率を判定して、この情報伝達効率に基づいて交通情報板の表示部の輝度を調整するようにしているので、車両が少ない場合など、情報伝達効率が低い場合には、表示部の輝度を低減させることにより、電力量を低減させることができ、その結果、運転コストを著しく低減させることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、制御部により、車両感知器から送られる車両の速度情報に基づいて、交通情報板付近における車両の到着予測時間を算出し、この到着予測時間に応じて情報伝達効率を判定するようにしているので、交通情報板付近に存在する車両を正確に算出することができ、より正確に情報伝達効率を判定することができ、その結果、電力量を低減させることができ、運転コストを著しく低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る交通情報板システムの実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る交通情報板システムの実施形態における制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明に係る交通情報板システムの実施形態を示す概略図である。図1に示すように、車両が走行する道路1の所定箇所には、交通情報板2が設置されている。交通情報板2には、中央の交通管制センター3との情報の送受信を行うための通信回線4が接続されており、交通情報板2には、VICSセンター5からの所定の通信手段を介して情報を受信するためのアンテナ6が設置されている。また、交通情報板2の設置箇所から道路の上流側の所定箇所には、例えば、遠赤外線やドップラー感知などにより道路を走行する車両の有無および車両の速度を感知するための車両感知器11が設置されている。
【0015】
また、図2は本発明に係る交通情報システムの制御構成を示したものであり、本実施形態においては、図2に示すように、交通情報板2は、制御部7を備えており、交通制御板は、所定の交通情報を表示させる表示部8を備えている。また、交通情報板2には、交通管制センター3との情報の送受信を行うための通信部9が設けられており、さらに、交通情報板2には、アンテナ6により受信されるVICSセンター5からの情報が入力される受信部10が設けられている。
【0016】
また、制御部7は、通信部9を介して、交通管制センター3との間で、逐次情報の送受信を行うものであり、交通管制センター3から交通情報板2に送信される情報としては、例えば、事故情報や告知情報などの緊急情報、情報板の設置箇所に応じた提供範囲の地図データベースの情報などがある。また、交通情報板2から交通管制センター3に送信される情報としては、例えば、交通情報板2からあらかじめ設定された時間に、いつ、どのような情報を表示したかを表す稼動情報がある。また、制御部7は、受信部10によりVICSセンター5から受信した交通情報に基づいて、交通情報板2の設置場所に応じて地図情報上に、道路1の渋滞箇所や交通規制箇所などを展開するとともに、渋滞情報または交通規制情報をテキストに展開するように構成されている。そして、制御部7は、交通情報の優先順位を判断して、表示部8に表示させるように構成されている。
【0017】
また、制御部7には、車両感知器11からの車両感知信号が入力されるように構成されており、制御部7は、車両感知信号により送られる車両の有無情報および車両の速度情報に基づいて、交通情報板2付近における車両の到着予測時間および車両の道路占有率を算出し、交通情報板2による情報伝達効率を判定するように構成されている。そして、制御部7は、算出した情報伝達効率に基づいて交通情報板2の表示部8をどの程度の明るさで表示するか、あるいは消灯するかを判断し、表示部8の輝度を調整するように構成されている。
【0018】
ここで、車両占有率は、車両感知器11による車両の有無を感知した場合に、所定時間当たりの車両の台数により求められるものであり、車両の到着予測情報は、車両感知器11による車両の速度情報および交通情報板2と車両感知器11との距離に基づいて、交通情報板2に到達する時間を求めるものである。
【0019】
そして、制御部7は、車両に対する情報伝達効率があらかじめ定めた設定値より多い場合は、道路を走行する車両が多いと判断されることから、表示部8の輝度は、最大に制御され、情報伝達効率が一定値より低い場合は、道路を走行する車両が少ないと判断されることから、表示部8の輝度を低減させるように制御するものである。情報伝達効率の設定値は、任意に設定することができるものであり、さらに、情報伝達効率の設定値を複数設定し、表示部8の輝度を複数の段階に調整するようにしてもよい。
【0020】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0021】
まず、本実施形態においては、交通情報板2の制御部7により、通信部9を介して交通管制センター3からの緊急情報などを受信するとともに、受信部10によりVICSセンター5から交通情報を受信し、制御部7により、道路1の渋滞箇所や交通規制箇所などを表示部8に表示させる。
【0022】
また、車両感知器11からの車両感知信号が制御部7に入力されると、制御部7は、車両感知信号により送られる車両の有無情報および車両の速度情報に基づいて、交通情報板2付近における車両の到着予測時間および車両の道路占有率を算出し、交通情報板2による情報伝達効率を判定する。そして、制御部7は、算出した情報伝達効率に基づいて交通情報板2の表示部8をどの程度の明るさで表示するか、あるいは消滅するかを判断し、表示部8の輝度を調整するものである。
【0023】
以上述べたように本実施形態においては、制御部7により、算出した情報伝達効率に基づいて交通情報板2の表示部8の輝度を調整するようにしているので、車両が少ない場合など、情報伝達効率が低い場合には、表示部8の輝度を低減させることにより、電力量を低減させることができ、その結果、運転コストを著しく低減させることができる。
【0024】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 道路
2 交通情報板
3 交通管制センター
4 通信回線
5 VICSセンター
6 アンテナ
7 制御部
8 表示部
9 通信部
10 受信部
11 車両感知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の所定箇所に設置され交通管制センターおよびVICSセンターからの交通情報が送られる交通情報板と、前記道路を走行する車両の有無を感知する車両感知器と、を備え、
前記交通情報板は、所定の交通情報を表示させる表示部と、前記車両感知器から送られる車両の有無情報に基づいて、交通情報板付近における車両に対する情報伝達効率を判定して、この情報伝達効率に基づいて交通情報板の前記表示部の輝度を調整する制御部と、
を備えていることを特徴とする交通情報板システム。
【請求項2】
前記車両感知器は、道路を走行する車両の速度をさらに感知するものであり、
前記制御部は、前記車両感知器から送られる車両の速度情報に基づいて、交通情報板付近における車両の到着予測時間を算出し、この到着予測時間に応じて情報伝達効率を判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の交通情報板システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−247846(P2012−247846A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117091(P2011−117091)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】