説明

交通情報表示装置および交通情報表示方法

【課題】視認性を高く保ちつつ、必要な交通情報を表示することができる交通情報表示装置20を提供する。
【解決手段】本発明の交通情報表示装置20は、車両14がこの先走行する可能性の高い道路を本線として推定し、推定した本線上において、車両14の現在位置から走行方向に、予め定められた距離である表示距離分離れた地点を本線終点として特定する本線計算部24と、車両14の現在位置から本線終点までの間の本線上の交差点を特定すると共に、特定した交差点に接続している道路を支線として特定し、特定し支線上において、車両14の現在位置から表示距離分離れた地点を支線終点として特定する支線計算部25と、本線上および支線上のそれぞれにおいて、車両14の現在位置から、本線終点および支線終点までの走行方向の交通情報を、表示装置203に表示させる表示制御部26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、道路の交通情報を表示装置に表示する交通情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車両の現在位置と目的地点を焦点とする楕円を求め、この楕円がかかるメッシュの交通情報を取得し、取得した交通情報を地図に重畳して表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−125504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、交通情報配信センターが、プローブカーから通知された渋滞情報等を集計することにより、各道路における詳細な交通情報を作成して配信することで、各車両は、詳細な交通情報をリアルタイムで入手することができるようになってきている。しかし、交通情報を表示する画面の領域は限られているため、全ての道路の交通情報を表示するとすれば、表示が煩雑になり、視認性が低下する。
【0005】
ここで、上記特許文献1のように、交通情報の取得対象となる領域を、所定の範囲に限定させることも考えられるが、限定された領域内では、全ての道路についての詳細な交通情報が含まれており、煩雑な表示になることは避けられない。
【0006】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、視認性を高く保ちつつ、必要な交通情報を表示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば、本発明は、車両に搭載され、道路の交通情報を表示装置に表示する交通情報表示装置であって、
前記車両がこの先走行する可能性の高い道路を本線として推定する本線推定部と、
推定された前記本線上において、前記車両の現在位置から走行方向に、予め定められた距離である表示距離分離れた地点を本線終点として特定する本線終点特定部と、
前記車両の現在位置から前記本線終点までの間の前記本線上の交差点を特定すると共に、特定した交差点に接続している道路を支線として特定する支線特定部と、
特定された前記支線上において、前記車両の現在位置から前記表示距離分離れた地点を支線終点として特定する支線終点特定部と、
前記本線上および前記支線上のそれぞれにおいて、前記車両の現在位置から、前記本線終点および前記支線終点までの走行方向の交通情報を、前記表示装置に表示させる交通情報表示制御部と
を備えることを特徴とする交通情報表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車載装置によれば、視認性を高く保ちつつ、必要な交通情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る交通情報表示システム10の構成を示すシステム構成図である。
【図2】交通情報表示装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】地図情報格納部27に格納されるリンクテーブル30のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】表示距離格納部28に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図5】道路ランク格納部21に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図6】表示道路情報格納部29に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図7】交通情報を表示する道路を抽出する過程を説明するための概念図である。
【図8】交通情報を表示する道路を抽出する過程を説明するための概念図である。
【図9】交通情報を表示する道路を抽出する過程を説明するための概念図である。
【図10】交通情報を表示する道路を抽出する過程を説明するための概念図である。
【図11】交通情報を表示する道路を抽出する過程を説明するための概念図である。
【図12】交通情報の表示例を説明するための概念図である。
【図13】交通情報表示装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】交通情報表示装置20の機能を実現するコンピュータ40の一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る交通情報表示システム10の構成を示すシステム構成図である。交通情報表示システム10は、交通情報配信サーバ11および交通情報表示装置20を備える。
【0012】
交通情報配信サーバ11は、通信回線12に接続されており、それぞれの道路に設置されたセンサから送信された情報や、それぞれの道路を走行中の車両から送信された情報を収集して、それぞれの道路の交通情報を逐次作成する。交通情報には、道路を構成するリンク毎に、当該リンクの渋滞の程度を示す情報や、事故現場を示す情報、交通規制の情報等が含まれる。そして、交通情報配信サーバ11は、所定のタイミング毎に、作成した交通情報を、通信回線12および基地局13を介して、それぞれの車両14に搭載された交通情報表示装置20へ配信する。
【0013】
交通情報表示装置20は、車両14に搭載され、無線通信により最寄りの基地局13と通信し、当該基地局13を介してサーバ11から配信された交通情報を受信する。そして、交通情報表示装置20は、後述する処理によって車両14が走行する可能性の高い道路を特定し、特定した道路について、交通情報配信サーバ11から配信された交通情報を表示する。
【0014】
図2は、交通情報表示装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。交通情報表示装置20は、道路ランク格納部21、交通情報受信部22、現在位置算出部23、本線計算部24、支線計算部25、表示制御部26、地図情報格納部27、表示距離格納部28、および表示道路情報格納部29を備える。
【0015】
地図情報格納部27には、地図を示す地図データ、および、道路を示すリンクの情報を含むリンクテーブルを予め格納している。リンクテーブルには、例えば図3に示すように、所定の地図領域毎のメッシュテーブル31が格納されている。それぞれのメッシュテーブル31には、それぞれのメッシュを識別するメッシュID32およびメッシュ内のリンクに関するデータであるリンクデータ33等が含まれる。
【0016】
それぞれのリンクデータ33には、それぞれのリンクを識別するリンクID330、リンクが含まれる道路の名称331、リンクの開始ノード座標332、リンクの終了ノード座標333、リンクの道路種別334、リンク長335、およびリンクの旅行時間336等が予め格納されている。
【0017】
表示距離格納部28には、例えば図4に示すように、地図の縮尺280に対応付けて、当該縮尺の地図において用いられる表示距離281が予め格納されている。当該表示距離の用いられ方については後述する。
【0018】
道路ランク格納部21には、例えば図5に示すように、それぞれの道路の規模を示すランク210に対応付けて、当該ランク210に該当する道路の道路種別211が予め格納されている。ランク210は、数値が低いほど規模が大きい道路であることを示す。また、道路ランク格納部21内には、ランクが降順または昇順になるようにデータが関連付けられている。
【0019】
表示道路情報格納部29には、例えば図6に示すように、地図の縮尺290に対応付けて、当該縮尺の地図において表示される道路の道路種別291が予め格納されている。図6において、「1」は、その縮尺において、対応する種別の道路が表示されることを示しており、「0」は、その縮尺において、対応する種別の道路が表示されないことを示している。このように、縮尺が小さい場合に、規模の小さい道路を表示しないことにより、表示装置203に表示される道路の数を減らし、視認性を高めている。
【0020】
図2に戻って説明を続ける。センサ200は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機や、方位センサ、距離センサ等であり、測地衛星から送信されたGPS信号や、車両の進行方位、車両の移動距離等を測定し、測定情報を現在位置算出部23に供給する。
【0021】
現在位置算出部23は、センサ200から供給された測定情報および地図情報格納部27に格納されたリンクデータに基づいて、交通情報表示装置20が搭載された車両14が例えば所定距離(例えば10m)移動する毎に、例えばマップマッチング等により当該車両14の現在位置および進行方向を算出し、算出した現在位置および進行方向を示す情報を本線計算部24に提供する。
【0022】
本線計算部24は、車両14がこの先走行する可能性の高い道路を本線として推定する。例えば、本線計算部24は、まず、現在位置算出部23から供給された車両14の現在位置および進行方向を示す情報に基づいて地図情報格納部27内のリンクデータを参照し、車両14が走行中の道路のリンクIDを特定する。そして、本線計算部24は、車両14の進行方向において、特定した道路に接続されている道路の中で、走行する可能性の高い道路のリンクIDを順次特定する。
【0023】
ここで、本線計算部24は、例えば、同一の名称の道路を継続して走行する可能性が高いという仮定の下に、車両14の進行方向において、車両14が走行中の道路と同一の名称の道路のリンクIDを本線のリンクIDとして順次選択する。車両14が走行中の道路に接続されている道路の中で、車両14が走行中の道路と同一の名称の道路が存在しない場合、本線計算部24は、例えば、車両14が走行中の道路と種別が同一の道路のリンクIDを選択する。
【0024】
種別が同一の道路が複数存在する場合、本線計算部24は、例えば、走行中の道路における車両14の進行方向に最も近い道路のリンクIDを選択する。車両14が走行中の道路と同一種別の道路が存在しない場合、本線計算部24は、後述する道路のランクの情報を元に、車両14が走行中の道路とランクが1つ異なる道路のリンクIDを選択する。
【0025】
本線計算部24が本線を特定する過程を示すと、例えば図7のようになる。本線計算部24は、車両14の現在位置を示すカーマーク100が位置するリンクを、車両の進行方向へ辿ることにより、本線101を構成する道路のリンクIDを特定する。
【0026】
次に、本線計算部24は、表示制御部26から提供された、表示装置203に現在表示されている地図の縮尺を示す情報に基づいて、当該縮尺に対応付けられている表示距離を表示距離格納部28から抽出する。そして、本線計算部24は、車両14の現在位置から、現在の縮尺に対応する表示距離分離れた本線101上の地点を本線終点102として特定する。ここで、本線終点102は、本線上を道なりに表示距離分辿ることにより特定された地点であってもよく、車両14の現在位置からの直線距離が表示距離となる本線上の地点であってもよい。
【0027】
そして、本線計算部24は、特定した本線を構成するリンクのリンクIDおよび本線終点の座標を示す情報を、支線計算部25および表示制御部26に通知する。なお、目的地点までの経路が設定されている場合、本線計算部24は、当該経路を本線として特定する。
【0028】
支線計算部25は、本線を構成するリンクのリンクIDおよび本線終点の座標を示す情報を本線計算部24から受け取った場合に、地図情報格納部27内のリンクデータを参照し、本線を構成するリンクを車両14の現在位置から本線終点まで順次辿って、本線が他の道路と接続する交差点を特定する。
【0029】
例えば、例えば図8に示すように、支線計算部25は、本線101を構成するリンクを車両14の現在位置を示すカーマーク100から本線終点102まで順次辿ることにより、本線101が他の道路と接続する交差点103〜105を特定する。
【0030】
次に、支線計算部25は、特定した交差点103〜105に接続している道路を構成するリンクについて道路ランク格納部21を参照し、本線を構成するリンクのランクと同一のランク、1つ上のランク、または1つ下のランクの少なくともいずれかに属するリンクを含む道路を、支線として特定する。
【0031】
図8では、本線101が「一般国道」の道路種別に対応するランク2(図5参照)に属しており、道路106〜109に含まれるリンクが「高速自動車国道」、「一般国道」、または「都道府県道」の道路種別に対応するランク1〜3に属しており、道路110および111に含まれるリンクが「市町村道」または「私道」の道路種別に対応するランク4または5に属している例を示している。従って、支線計算部25は、図8の例では、道路106〜109を支線として特定する。
【0032】
次に、支線計算部25は、表示制御部26から提供された、表示装置203に現在表示されている地図の縮尺を示す情報に基づいて、当該縮尺に対応付けられている表示距離を表示距離格納部28から抽出する。そして、支線計算部25は、本線計算部24によって特定された本線および支線計算部25が特定した支線上を辿ることにより、車両14の現在位置から、現在の縮尺に対応する表示距離分離れた支線上の地点を支線終点として特定する。なお、支線終点は、車両14の現在位置からの直線距離が表示距離となる支線上の地点であってもよい。
【0033】
図9に示す例では、支線計算部25は、支線として特定した道路106〜109上に、支線終点112〜115をそれぞれ特定する。なお、支線計算部25は、支線として特定しなかった道路110および111上には支線終点を特定しない。支線計算部25は、特定したそれぞれの支線を構成するリンクのリンクIDおよび支線終点の座標を示す情報を表示制御部26に通知する。
【0034】
交通情報受信部22は、FM多重放送や電波ビーコン等を介して配信される交通情報をアンテナ201を介して受信し、受信した交通情報を表示制御部26に供給する。交通情報には、リンクのID毎に、当該リンクの渋滞の程度を示す情報や、事故現場を示す情報、交通規制の情報等が含まれる。
【0035】
表示制御部26は、表示装置203に表示する地図の縮尺を示す情報を、入力装置202を介してユーザから受け付け、受け付けた縮尺の情報を本線計算部24および支線計算部25に提供する。また、表示制御部26は、支線計算部25から受信した支線を構成するリンクのリンクIDの中で、車両14が侵入する可能性の高いリンクのリンクIDを抽出する。
【0036】
具体的には、表示制御部26は、例えば、図10に示すように、車両14の現在位置(カーマーク100の位置)を始点とし、本線終点102を終点とする本線ベクトル116を算出し、それぞれの支線について、交差点を始点とし、支線終点を終点とする支線ベクトル117〜120を算出する。例えば、支線ベクトル117は、交差点103を始点とし、当該交差点103に接続している支線上の支線終点112を終点とするベクトルである。
【0037】
次に、表示制御部26は、例えば図11に示すように、始点が一致するように本線ベクトル116および各支線ベクトル117〜120を平行移動させ、本線ベクトル116とのなす角度が所定値未満の支線ベクトルを抽出する。表示制御部26は、例えば、本線ベクトル116の方向を基準として、本線ベクトル116との方向の差が例えば±90度未満の範囲に含まれる支線ベクトルを特定する。図11の例では、支線ベクトル117および119が抽出される。そして、表示制御部26は、抽出した支線ベクトル117および119のそれぞれに対応する支線を、車両14が侵入する可能性の高い支線として特定する。
【0038】
次に、表示制御部26は、地図情報格納部27を参照し、本線計算部24から受け取ったリンクIDに対応するリンクの道路種別を特定し、特定した道路種別に基づいて表示道路情報格納部29を参照し、本線計算部24から受け取ったリンクIDに対応するリンクの中で、ユーザから受け付けた縮尺において表示されるべきリンクのリンクIDを抽出する。
【0039】
また、表示制御部26は、支線計算部25から受け取ったリンクIDに基づいて、図10および図11で説明した手順で特定した支線に含まれるリンクの道路種別を地図情報格納部27を参照して特定する。そして、表示制御部26は、特定した道路種別に基づいて表示道路情報格納部29を参照し、図10および図11で説明した手順で特定した支線に含まれるリンクの中で、ユーザから受け付けた縮尺において表示されるべきリンクのリンクIDを抽出する。
【0040】
そして、表示制御部26は、例えば図12に示すように、抽出したリンクIDに対応するリンクについて、車両14の現在位置から本線終点または支線終点までの区間における、車両14の現在位置から本線終点または支線終点に至る方向の交通情報を表示装置203に表示する。図12に示す例では、交通情報として各道路の渋滞情報を示しており、矢印121が渋滞中を示しており、矢印122〜124が混雑を示しており、矢印125および126が順調を示している。
【0041】
図12に示すように、本願の交通情報表示装置20は、車両14が進入する可能性の高い道路の交通情報を表示装置203に表示するため、車両14が進入する可能性の低い道路の交通情報が表示されず、表示装置203に表示される情報を減らすことができ、表示される交通情報の視認性を高めることができる。また、本願の交通情報表示装置20は、図12に示すように、車両14が進入する可能性の高い道路を走行する場合の走行方向について交通情報を表示するため、表示装置203に表示される交通情報の情報量をさらに減らすことができる。
【0042】
次に、交通情報表示装置20の動作について、図13のフローチャートを参照して説明する。交通情報表示装置20は、例えば、予め定められた周期毎に、本フローチャートに示した動作を開始する。なお、交通情報表示装置20内の現在位置算出部23は、本フローチャートとは異なるタイミングで逐次車両14の現在位置を算出しており、表示制御部26は、入力装置202を介してユーザから地図の縮尺を示す情報を受け付ける都度、受け付けた縮尺の情報を本線計算部24および支線計算部25に提供する。
【0043】
まず、本線計算部24は、現在位置算出部23から供給された車両14の現在位置および進行方向を示す情報に基づいて地図情報格納部27内のリンクデータを参照し、車両14が走行中の道路のリンクIDを特定し、車両14の進行方向において、特定した道路に接続されている道路の中で、走行する可能性の高い道路のリンクIDを順次特定することで、本線101(図7参照)を推定する(S100)。
【0044】
次に、本線計算部24は、表示制御部26から提供された、表示装置203に現在表示されている地図の縮尺を示す情報に基づいて、当該縮尺に対応付けられている表示距離を表示距離格納部28から抽出する。そして、本線計算部24は、特定した本線101上に、車両14の現在位置から、現在の縮尺に対応する表示距離分離れた地点を本線終点102(図7参照)として特定し(S101)、特定した本線101を構成するリンクのリンクIDおよび本線終点102の座標を示す情報を、支線計算部25および表示制御部26に通知する。
【0045】
次に、支線計算部25は、地図情報格納部27内のリンクデータを参照し、本線101を構成するリンクを車両14の現在位置から本線終点102まで順次辿って、本線101が他の道路と接続する交差点103〜105(図8参照)を特定する。そして、支線計算部25は、特定した交差点103〜105に接続している道路106〜111のそれぞれを構成するリンクについて道路ランク格納部21を参照し、本線を構成するリンクのランクと同一のランク、1つ上のランク、または1つ下のランクの少なくともいずれかに属するリンクを含む道路を、支線として特定する(S102)。
【0046】
次に、支線計算部25は、表示制御部26から提供された、表示装置203に現在表示されている地図の縮尺を示す情報に基づいて、当該縮尺に対応付けられている表示距離を表示距離格納部28から抽出する。そして、支線計算部25は、本線計算部24によって特定された本線および支線計算部25が特定した支線上を辿ることにより、車両14の現在位置から、現在の縮尺に対応する表示距離分離れた支線上の地点を支線終点として特定し(S103)、特定したそれぞれの支線を構成するリンクのリンクIDおよび支線終点の座標を示す情報を表示制御部26に通知する。
【0047】
次に、表示制御部26は、例えば図10で説明したように、車両14の現在位置を始点とし、本線終点102を終点とする本線ベクトル116を算出し、それぞれの支線について、交差点を始点とし、支線終点を終点とする支線ベクトル117〜120を算出する(S104)。そして、表示制御部26は、例えば図11で説明したように、本線ベクトル116とのなす角度が所定値未満の支線ベクトル(図11の例では支線ベクトル117および119)を抽出する(S105)。
【0048】
次に、表示制御部26は、抽出した支線ベクトルに対応する支線を、車両14が侵入する可能性の高い支線として抽出する。そして、表示制御部26は、特定した支線に含まれているリンクのリンクIDおよびステップS101において特定したリンクIDについて、地図情報格納部27を参照してリンクの道路種別を特定し、特定した道路種別に基づいて表示道路情報格納部29を参照し、ユーザから受け付けた縮尺において表示されるべきリンクのリンクIDを抽出する(S106)。
【0049】
次に、表示制御部26は、抽出したリンクIDに対応するリンクについて、車両14の現在位置から本線終点または支線終点までの区間における、車両14の現在位置から本線終点または支線終点に至る方向の交通情報を表示装置203に表示し(S107)、交通情報表示装置20は、本フローチャートに示す動作を終了する。
【0050】
図14は、交通情報表示装置20の機能を実現するコンピュータ40の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、HDD(Hard Disk Drive)44、無線通信機45、入力インターフェイス(I/F)46、出力インターフェイス(I/F)47、およびメディアインターフェイス(I/F)48を備える。
【0051】
CPU41は、ROM43またはHDD44に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM43は、コンピュータ40の起動時にCPU41によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ40のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。HDD44は、CPU41によって実行されるプログラムやデータ等を格納する。
【0052】
無線通信機45は、アンテナ201を介して基地局13から受信したデータをCPU41に提供すると共に、CPU41が生成したデータをアンテナ201を介して基地局13へ送信する。入力インターフェイス46は、センサ200や入力装置202からの信号を受信してCPU41へ送る。出力インターフェイス47は、CPU41から取得したデータを表示装置203へ出力する。
【0053】
メディアインターフェイス48は、記録媒体49に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM42を介してCPU41に提供する。CPU41は、当該プログラムを、メディアインターフェイス48を介して記録媒体49からRAM42上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体49は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0054】
コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、交通情報受信部22、現在位置算出部23、本線計算部24、支線計算部25、および表示制御部26の各機能を実現する。なお、道路ランク格納部21、地図情報格納部27、表示距離格納部28、および表示道路情報格納部29内のデータは、HDD44内に格納される。コンピュータ40は、これらのプログラムを記録媒体49から読み取って実行するが、他の例として、コンピュータ40はこれらのプログラムを無線通信機45を介して取得するようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0056】
上記説明から明らかなように、本実施形態の交通情報表示装置20によれば、視認性を高く保ちつつ、必要な交通情報を表示することができる。
【0057】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0058】
例えば、上記した交通情報表示装置20は、車両14に搭載されるが、本発明の交通情報表示装置20は、必ずしも車両14に取り付けられている必要はなく、車両14と共に移動するものであれば、PND(Portable Navigation Device)や携帯情報端末等で実現されてもよい。また、本実施形態では、交通情報表示装置20と表示装置203とは別体として説明されているが、本発明はこれに限られず、交通情報表示装置20と表示装置203とが一体に構成されていてもよい。
【0059】
また、上記した実施形態において、交通情報表示装置20は、渋滞がなく車両の通行が順調な道路についても渋滞がない旨を示す交通情報を表示するが(例えば図12の矢印125や126参照)、本発明はこれに限られず、渋滞がなく車両の通行が順調な道路については渋滞がない旨を示す交通情報を表示しないようにしてもよい。これにより、さらに表示される情報量を削減することができ、視認性を高めることができる。
【0060】
また、上記した実施形態において、交通情報表示装置20は、本線上、および、本線に接続する支線の中で所定の条件を満たす支線上において交通情報を表示するが、本発明はこれに限られず、支線上の交差点に接続されている道路の中で、所定の条件を満たす道路についても、走行方向における交通情報を表示するようにしてもよい。
【0061】
なお、上記した交通情報表示装置20内の各構成要素は、本実施形態に係る交通情報表示装置20の構成の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて機能別に区分したものである。そのため、構成要素の区分方法やその名称によって、本願発明が制限されることはない。本実施形態に係る交通情報表示装置20の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に区分することもできるし、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように区分することもできる。また、それぞれの処理は、ソフトウェアによる処理として実現されてもよく、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10・・・交通情報表示システム、11・・・交通情報配信サーバ、12・・・通信回線、13・・・基地局、14・・・車両、20・・・交通情報表示装置、21・・・道路ランク格納部、22・・・交通情報受信部、23・・・現在位置算出部、24・・・本線計算部、25・・・支線計算部、26・・・表示制御部、27・・・地図情報格納部、28・・・表示距離格納部、29・・・表示道路情報格納部、30・・・リンクテーブル、31・・・メッシュテーブル、32・・・メッシュID、33・・・リンクデータ、40・・・コンピュータ、41・・・CPU、42・・・RAM、43・・・ROM、44・・・HDD、45・・・無線通信機、46・・・入力インターフェイス、47・・・出力インターフェイス、48・・・メディアインターフェイス、49・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、道路の交通情報を表示装置に表示する交通情報表示装置であって、
前記車両がこの先走行する可能性の高い道路を本線として推定する本線推定部と、
推定された前記本線上において、前記車両の現在位置から走行方向に、予め定められた距離である表示距離分離れた地点を本線終点として特定する本線終点特定部と、
前記車両の現在位置から前記本線終点までの間の前記本線上の交差点を特定すると共に、特定した交差点に接続している道路を支線として特定する支線特定部と、
特定された前記支線上において、前記車両の現在位置から前記表示距離分離れた地点を支線終点として特定する支線終点特定部と、
前記本線上および前記支線上のそれぞれにおいて、前記車両の現在位置から、前記本線終点および前記支線終点までの走行方向の交通情報を、前記表示装置に表示させる交通情報表示制御部と
を備えることを特徴とする交通情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の交通情報表示装置であって、
前記表示装置に表示されている地図の縮尺毎に、前記表示距離を格納する表示距離格納部をさらに備え、
前記本線終点特定部および前記支線終点特定部は、
前記表示装置に表示されている地図の縮尺に対応する表示距離を、前記表示距離格納部から取得することを特徴とする交通情報表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交通情報表示装置であって、
道路の規模を示すランク順に、当該ランクに該当する道路の種別を格納する道路ランク格納部をさらに備え、
前記支線特定部は、
前記本線上に特定した交差点に接続している道路の中で、前記本線推定部によって推定された道路と同一のランク、1つ上のランク、または1つ下のランクの少なくともいずれかに属する道路を、支線として特定することを特徴とする交通情報表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の交通情報表示装置であって、
前記交通情報表示制御部は、
前記本線について、前記車両の現在位置を始点とし、前記本線終点を終点とする本線ベクトルを算出し、
それぞれの前記支線について、当該支線が前記本線と接続する交差点を始点とし、当該支線の支線終点を終点とする支線ベクトルを算出し、
前記本線ベクトルとのなす角が、予め定められた角度未満の支線ベクトルを特定し、特定した支線ベクトルに対応する支線を、交通情報の表示対象となる支線として採用することを特徴とする交通情報表示装置。
【請求項5】
車両に搭載され、道路の交通情報を表示装置に表示する交通情報表示装置における交通情報表示方法であって、
前記交通情報表示装置が、
前記車両がこの先走行する可能性の高い道路を本線として推定する本線推定ステップと、
推定された前記本線上において、前記車両の現在位置から走行方向に、予め定められた距離である表示距離分離れた地点を本線終点として特定する本線終点特定ステップと、
前記車両の現在位置から前記本線終点までの間の前記本線上の交差点を特定すると共に、特定した交差点に接続している道路を支線として特定する支線特定ステップと、
特定された前記支線上において、前記車両の現在位置から前記表示距離分離れた地点を支線終点として特定する支線終点特定ステップと、
前記本線上および前記支線上のそれぞれにおいて、前記車両の現在位置から、前記本線終点および前記支線終点までの走行方向の交通情報を、前記表示装置に表示させる交通情報表示制御ステップと
を実行することを特徴とする交通情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−15400(P2013−15400A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148093(P2011−148093)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】