説明

交通情報表示装置及び方法

【課題】 交通情報を含めた情報の視認性を向上させることができる交通情報表示装置等提供する。
【解決手段】 渋滞情報を取得するVICS受信部4と、現在の車両位置から進行方向に対する走行経路を算出する経路探索部11,走行予定路設定部12と、算出された走行経路のうちの渋滞情報によって特定される渋滞区間の長さに応じて、当該渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出する進入交差点抽出部13,退出交差点抽出部14と、抽出された退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点を抽出する退出リンク抽出部16と、抽出された退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点から進入ノードまでの迂回経路を算出する迂回経路探索部15とを備え、交通情報抽出部17によって走行経路及び迂回経路上の渋滞情報のみを抽出し、交通情報表示制御部18によって表示部8に渋滞情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞情報といった交通情報を車載機に表示する交通情報表示装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、渋滞などの交通情報を表示する技術としては、下記の特許文献1などに記載されたナビゲーション装置が知られている。
【0003】
このナビゲーション装置は、目的地が設定されていない場合には、走行中の路線の接続性から仮想経路を設定し、当該仮想経路に探索重み付けを行って経路探索を行う。そして、ナビゲーション装置は、仮想経路と経路探索を行った結果としての経路とで囲まれる領域内に限定して、当該領域内の全ての交通情報を表示している。
【特許文献1】特開平9−270093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したナビゲーション装置では、仮想経路と当該仮想経路に探索重み付をして経路探索を行った結果としての経路とに囲まれた領域内の全ての交通情報を表示させているので、車両進行方向のみならず対向する方向についての交通情報も表示してしまう。したがって、交通情報の表示を行う領域が、道路が密集している地域や渋滞箇所が多い地域などである場合には、交通情報のために地図が煩雑に見えてしまい視認性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、交通情報を含めた情報の視認性を向上させることができる交通情報表示装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、運転者に対して交通情報を表示するときに、現在の車両位置から進行方向に対する走行経路における渋滞区間の渋滞長に応じて、当該渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出し、当該抽出した退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点から進入ノードまでの迂回経路を算出する。そして、本発明は、上述の課題を解決するために、渋滞情報のうち走行経路及び迂回経路上の渋滞情報のみを表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者に対して交通情報を表示する場合に、現在の車両位置から進行方向に対する走行経路及び渋滞区間を迂回する迂回経路上の渋滞情報を表示するので、表示させる渋滞情報の量を少なくすることができ、渋滞情報の視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
[第1実施形態]
本発明は、例えば図1に示すように構成された第1実施形態として示す交通情報表示装置に適用される。この交通情報表示装置は、制御部1に、GPS受信部2、ジャイロセンサ3、VICS受信部4、通信制御部5、操作入力部6、音声出力部7、表示部8、データ記憶部9が接続されて構成されている。この交通情報表示装置は、車両の起動時(イグニッションオン)に動作し、車両の運転者に対し、走行経路や当該走行経路における渋滞情報などの各種の交通情報を表示するものである。
【0010】
GPS受信部2は、GPS衛星からの信号を受信して、所定時間ごとに現在位置情報を生成する。この自車両の現在位置情報は、制御部1に供給される。また、ジャイロセンサ3は、自車両の向きの変位を検出する角速度センサであり、当該角速度情報を所定時間毎に制御部1に供給する。これにより、制御部1は、現在位置情報及び角速度情報を用いて、正確な自車両の現在位置情報を取得する。
【0011】
VICS受信部4は、FM多重放送や道路上の発信機から受信した交通情報を図形や文字で表示するものである。この交通情報は、VICSセンターなどと称される情報提供システムで編集及び処理されている。この交通情報としては、渋滞情報や交通規制情報などの道路交通情報である。この受信した交通情報は、リアルタイムで更新されて配信され、リアルタイムで表示部8上の画像に重畳表示することが可能となっている。
【0012】
このように交通情報表示装置によって受信する交通情報のうちの渋滞情報は、交通情報表示装置における地図表示に用いられる地図データのノード及び道路リンクといったような道路を一定区分に細分化した区分毎、当該区分における上下方向それぞれについて配信される。すなわち、ある道路を表す道路リンクの渋滞情報は、対向する進行方向のそれぞれについての渋滞度合いを表す情報を含んでいる。このVICS受信部4は、渋滞情報を取得する情報取得手段として機能する。
【0013】
通信制御部5は、交通情報表示装置の制御部1によって、GPS受信部2、VICS受信部4の通信処理を制御する。
【0014】
操作入力部6は、車両運転者が操作可能なボタン群やダイヤル機構、表示部8の表示画面上に設置されたタッチパネル機構などからなる。この操作入力部6は、車両運転者が行った操作を検出して操作入力信号として制御部1に供給する。
【0015】
音声出力部7は、制御部1の制御に従って音声信号が供給されるスピーカなどからなる。音声出力部7は、音声信号に従って、交通情報表示装置の操作を促す音声や、走行経路案内のための音声、交通情報として伝達すべき音声などを出力する。
【0016】
表示部8は、車両運転者から視認可能な位置に設けられた液晶ディスプレイからなる。この表示部8は、制御部1から供給された画像信号に従って動作し、車両運転者に提示する地図、当該地図上の走行経路、当該走行経路に応じた交通情報としての渋滞情報などを表示する。また、この表示部8は、操作入力部6としてのタッチパネル機構が設置されたタイプである場合には、当該交通情報表示装置の動作を選択するメニュー表示などを行う。
【0017】
データ記憶部9は、交通情報表示装置が各種情報を車両運転者に伝達するための各種の情報を記憶するハードディスク装置などからなる。このデータ記憶部9に記憶されている情報としては、地図情報、走行履歴情報、各種音声を出力するための音声テンプレート情報、表示の仕方などの表示設定情報などが含まれる。
【0018】
制御部1は、経路探索部11と、走行予定路設定部12と、進入交差点抽出部13と、退出交差点抽出部14と、迂回経路探索部15と、退出リンク抽出部16と、交通情報抽出部17と、交通情報表示制御部18とを有する。この制御部1は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocessing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて説明を行っている。
【0019】
経路探索部11は、GPS受信部2及びジャイロセンサ3から供給された情報に基づいて自車両の現在位置情報を取得する。そして経路探索部11は、当該現在位置情報及びデータ記憶部9に記憶された地図情報を用いて、自車両が走行する走行経路を算出する。経路探索部11は、操作入力部6の操作に従って自車両の目的地が設定されている場合には、現在位置から目的地までの推奨経路を演算する。そして、走行予定路設定部12は、現在位置から目的地までの推奨経路を、今後に自車両が走行を予定する走行予定路として設定する。この走行予定路は、後述するように、交通情報を提示する範囲を決定するための情報として用いられる。
【0020】
一方、経路推定探索部19は、自車両の目的地が設定されていない状態で自車両が走行している場合には、現在位置から車両進行方向に対する仮想的な走行経路を算出する。このとき、経路推定部19は、現在に自車両が走行している走行路に沿って走行するものとして走行経路を探索し、現在に走行している走行路が途切れる場合には道路種別が等しい路線を仮想的な走行経路として探索する。更に、現在に走行している走行路と等しい路線が途切れる場合には、経路推定部19は、途切れる前の路線とのなす角度が最も直進に近い路線を仮想的な走行経路として推定する。これにより、経路推定部19は、表示部8に表示する範囲の地図内における仮想的な走行経路を探索することができる。この推定された仮想的な走行経路は、走行予定路設定部12によって走行予定路として設定される。
【0021】
走行予定路設定部12は、経路推定部19によって算出された走行経路を、交通情報を表示するための走行予定路の情報として進入交差点抽出部13、退出交差点抽出部14及び迂回経路探索部15に供給する。
【0022】
進入交差点抽出部13及び退出交差点抽出部14は、走行予定路設定部12により設定された走行予定路のうちのVICS受信部4によって取得された渋滞情報によって特定される渋滞区間の長さに応じて(例えば長さが1km以上)、当該渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出する。進入交差点抽出部13及び退出交差点抽出部14は、交通情報に含まれる渋滞情報のうちで走行予定路を構成する道路リンクの渋滞情報に基づいて、渋滞区間の長さを認識する。そして、進入交差点抽出部13及び退出交差点抽出部14は、走行予定路に含まれる退出ノード及び進入ノードから、渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出する。このとき、退出交差点抽出部14は、当該渋滞区間が長いために迂回が必要である場合には、当該渋滞区間の手前で走行予定路を退出する退出交差点(退出ノード)を抽出する。また、進入交差点抽出部13は、当該渋滞区間が長いために迂回が必要である場合に、当該渋滞区間が終了した以降の走行予定路上の地点で走行予定路に進入する進入交差点(進入ノード)を抽出する。このような進入交差点抽出部13及び退出交差点抽出部14は、渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出するノード抽出手段として機能する。
【0023】
退出リンク抽出部16は、退出交差点抽出部14によって抽出された退出ノードを用いて、当該退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点を抽出する。具体的には、退出リンク抽出部16は、退出交差点抽出部14によって抽出された退出ノードに接続された道路リンクを地図データから読み出し、各道路リンクの終点を抽出する。なお、抽出する道路リンクのうち走行予定路を構成する道路リンクは抽出対象外とする。このような退出リンク抽出部16は、ノード抽出手段によって抽出された退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点を抽出する退出終点抽出手段として機能する。
【0024】
迂回経路探索部15は、進入交差点抽出部13によって抽出された進入ノードと、退出リンク抽出部16によって抽出された退出リンクの終点とに基づいて、走行予定路における渋滞区間を迂回して再度走行予定路に戻る迂回経路を探索する。このとき、迂回経路探索部15は、退出リンクの終点を起点とし進入ノードに至るまでの迂回経路を算出する。ここで、走行予定路を構成する道路リンクの重み付けを重くする、すなわち当該道路リンクを選ばれにくくすることにより、退出リンクから進入ノードまでの最短の迂回経路を探索できる。このような迂回経路探索部15は、退出ノードにおける終点から抽出された進入ノードまでの迂回経路を算出する迂回経路算出手段として機能する。
【0025】
交通情報抽出部17は、VICS受信部4によって取得された自車両周辺の渋滞情報のうち、走行予定路設定部12によって設定された走行予定路、退出リンク抽出部16及び迂回経路探索部15によって探索された迂回経路における渋滞情報を抽出する。ここで、交通情報抽出部17は、走行予定路において自車両の進行方向及び迂回経路の渋滞情報のうちの退出ノードから進入ノードに向かう渋滞情報のみを抽出する。
【0026】
交通情報表示制御部18は、交通情報抽出部17によって抽出された渋滞情報を、データ記憶部9に記憶された地図に重畳させて、表示部8によって表示させる。また、この交通情報表示制御部18は、走行予定路及び迂回経路のみの渋滞情報を表示させても良いが、これに限らず、走行予定路及び迂回経路の渋滞情報を強調処理することによって、その他の渋滞情報とを区別し、走行予定路及び迂回経路の視認性を向上させるような画像処理を施した画像を表示部8に表示させても良い。
【0027】
このような交通情報表示装置は、VICS受信部4によって受信して表示可能な渋滞情報のうち、走行予定路及び迂回経路上の渋滞情報であって、自車両の進行方向における渋滞情報のみを表示させるので、表示部8に表示させる渋滞情報の量を少なくすることができる。これにより、交通情報表示装置によれば、道路が密集している地域や渋滞箇所が多い地域でも経路が見やすく、渋滞情報の視認性を向上させることができる。
【0028】
つぎに、このように構成された交通情報表示装置によって、渋滞情報を表示部8に表示させるときの処理手順及び具体的な処理例について、図2のフローチャート及び図3乃至図8を参照して説明する。
【0029】
交通情報表示装置は、所定期間ごとにステップS1にて走行予定路設定部12による走行予定路の設定処理を開始する。そして、ステップS2において、走行予定路設定部12は、経路探索部11によって走行経路が既に設定されているか否かを判定する。目的地が設定されていないために走行経路が設定されていない場合には、ステップS3において、自車両の進行方向における仮想的な走行経路を設定し、当該仮想的な走行経路を走行予定路に設定する。一方、車両運転者によって目的地が設定され、当該目的地までの推奨経路が設定されている場合には、ステップS4において、走行予定路設定部12が、当該推奨経路を走行予定路に設定する。
【0030】
このステップS1乃至ステップS4によって設定された走行予定路は、例えば図3のようになる。この図3においては、三角形で表した自車両21と、太線で表した走行予定路22と、細線で表した走行予定路22外の周辺道路23とを示している。
【0031】
次のステップS5においては、進入交差点抽出部13及び退出交差点抽出部14によって、走行予定路設定部12によって設定された走行予定路から、渋滞区間を迂回するための退出交差点及び進入交差点を抽出する。例えば図4に示すように、自車両21の進行方向に設定された走行予定路22に渋滞区間が存在する場合に、退出交差点抽出部14は、自車両21から渋滞区間までの間の交差点を示すノードのうち、自車両から所定距離内に存在する交差点を退出交差点24a,24b(退出ノード)とする。また、進入交差点抽出部13は、自車両21から渋滞区間を超えた走行予定路22の交差点を示すノードのうち、自車両から所定距離以上に存在する交差点を進入交差点25(進入ノード)とする。なお、渋滞の程度としては、「順調」、「混雑」、「渋滞」といったレベルで区別されるが、「渋滞」となっている道路リンクを渋滞区間としても良く、「渋滞」及び「混雑」となっている道路リンクを渋滞区間としても良い。
【0032】
次のステップS6においては、退出リンク抽出部16によって、例えば図5に示すように、ステップS5にて抽出された退出交差点24a,24bから分岐した道路リンクを退出リンクとして抽出する。退出交差点24aからは3本の退出リンク26a−1,26a−2,26a−3を抽出し、退出交差点24bからは2本の退出リンク26b−1,26b−2を抽出する(以下、これらの退出リンクを総称して「退出リンク26」という)。ここで、退出リンク抽出部16は、退出交差点24a,24bに接続された道路リンクのうち走行予定路に重複する道路リンクについては退出リンクとしては抽出しない。
【0033】
次のステップS7においては、迂回経路探索部15により、ステップS6にて抽出された退出リンク26の終点から、ステップS5にて抽出された進入交差点25までの迂回経路を探索する。例えば図6に示すように、退出リンク26a−1の終点から進入交差点25までの迂回経路27a、退出リンク26a−2の終点から進入交差点25までの迂回経路27c、退出リンク26b−2の終点(退出リンク26a−3の終点と同じ)から進入交差点25までの迂回経路27bを探索する。これにより、迂回経路探索部15は、走行予定路22上の渋滞区間を迂回する迂回経路群(以下、総称して「迂回経路27」という)を取得することができる。
【0034】
次のステップS8においては、交通情報抽出部17によって、ステップS1にて設定された走行予定路、ステップS7にて探索された迂回経路を構成する道路リンク上の交通情報を抽出する。ここで、交通情報抽出部17には、VICS受信部4によって取得された自車両周辺の交通情報が供給されており、当該交通情報のうちから走行予定路及び迂回経路上の交通情報のみを抽出する。例えば図6に示すように走行予定路22及び迂回経路27a〜27cが設定されている場合、交通情報抽出部17は、図7に示すように、走行予定路22及び迂回経路27a〜27c上の渋滞情報であって、自車両21が進入交差点25に到達する方向における渋滞情報のみを抽出する。
【0035】
そして、次のステップS9においては、交通情報表示制御部18によって、図7に示すように自車両21及び渋滞情報を含む表示データを作成して表示部8に供給して、交通情報を表示させる。
【0036】
したがって、この交通情報表示装置では、例えば図8に示すような渋滞情報をVICS受信部4にて受信している場合でも、その全てを表示させることなく、図7に示すように、自車両が進行する方向であって、走行予定路及び迂回経路上の渋滞情報のみを抽出して表示させることができる。
【0037】
以上説明したように、本発明の第1実施形態として示した交通情報表示装置によれば、現在の車両位置から進行方向に対する走行予定路を算出し、当該走行予定路の渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出する。そして、交通情報表示装置は、退出ノードを含む道路リンクにおける終点から進入ノードまでの迂回経路を算出し、走行予定路及び迂回経路上の車両進行方向における渋滞情報のみを表示することができる。したがって、この交通情報表示装置によれば、各道路について双方向の渋滞情報を表示することがないので、多くの交通情報を表示させることによって表示内容が煩雑となることなく、交通情報を含めた情報の視認性を向上させることができる。
【0038】
また、この交通情報表示装置によれば、退出ノードとして、自車両から所定距離内に存在する交差点を抽出するので、現在位置から所定距離内に存在する交差点から分岐した道路での渋滞情報を表示することができる。したがって、この交通情報表示装置によれば、遠く離れた交差点から分岐した渋滞情報を表示することなく、交通情報の視認性を低下させることを回避できる。
【0039】
更に、この交通情報表示装置によれば、取得された渋滞情報のうち走行予定路上の渋滞情報を抽出し、抽出された走行予定路上の渋滞を迂回する迂回経路を算出し、取得された前記渋滞情報のうち迂回経路上の渋滞情報を抽出する。これにより、この交通情報表示装置によれば、走行予定路及び迂回経路上の渋滞情報のみを表示することができる。したがって、この交通情報表示装置によれば、多くの交通情報を表示させることによって表示内容が煩雑となることなく、交通情報を含めた情報の視認性を向上させることができる。
【0040】
[第2実施形態]
つぎに、本発明の第2実施形態として示す交通情報表示装置について説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0041】
この交通情報表示装置は、走行予定路上に複数の渋滞区間が存在する場合に、当該渋滞区間ごとに迂回経路を設定するものである。この交通情報表示装置は、図9に示すように、走行予定路上の区間29−1,29−2,29−3,29−4,29−5を受信した場合に、渋滞区間29−1と、混雑区間29−3,渋滞区間29−4とを迂回すると判定する。この場合、進入交差点抽出部13及び退出交差点抽出部14によって、渋滞区間29−1を迂回するための退出交差点24a及び進入交差点25aを設定し、混雑区間29−3,渋滞区間29−4を迂回するための退出交差点24b及び進入交差点25bを設定する。
【0042】
そして、退出リンク抽出部16は退出交差点24aから分岐した退出リンクを抽出し、迂回経路探索部15は、退出交差点24aの退出リンクの終点から進入交差点25aに到達する迂回経路群を算出し、迂回経路群に対応する交通情報30a,30b,30cを表示することができる。また、退出リンク抽出部16は退出交差点24bから分岐した退出リンクを抽出し、迂回経路探索部15は、退出交差点24bの退出リンクの終点から進入交差点25bに到達する迂回経路群を算出し、迂回経路群に対応する交通情報31a,31bを表示することができる。
【0043】
これにより、走行予定路上の区間29−1,29−2,29−3,29−4,29−5、交通情報30a,30b,30c,31a,31bのうち、自車両21の走行方向の一方向のみの渋滞情報を表示することができる。
【0044】
このような交通情報表示装置によれば、複数の渋滞区間がある場合には、それぞれの渋滞区間に対して上述したステップS5〜ステップS8の処理を行って、走行予定路及び迂回経路の渋滞情報を表示させることができる。これにより、交通情報表示装置は、図7に示した渋滞情報をVICS受信部4にて受信している場合でも、その全てを表示させることなく、図9に示すように、自車両が進行する方向であって、走行予定路及び迂回経路上の渋滞情報のみを抽出して表示させることができ、交通情報の視認性を向上させることができる。
【0045】
[第3実施形態]
つぎに、本発明の第3実施形態として示す交通情報表示装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0046】
この交通情報表示装置は、走行予定路上に複数の渋滞区間が存在する場合に、非渋滞区間を介して隣接する渋滞区間同士のうち、現在の車両位置から近い一方の渋滞区間における進入ノードを含む道路リンクの始点から、他方の渋滞区間における退出ノードを含む道路リンクの終点までの迂回経路を算出するものである。
【0047】
具体的には、図10に示すように、渋滞又は混雑していない走行予定路上の非渋滞区間29−2を介して隣接している渋滞区間29−1と混雑区間29−3,渋滞区間29−4とが存在する場合には、第2実施形態で説明したように、交通情報表示装置は、走行予定路上の渋滞区間29−1を迂回するために退出交差点24aから進入交差点25aまでの交通情報30a,30b,30cを表示すると共に、混雑区間29−3,渋滞区間29−4を迂回するために退出交差点24bから進入交差点25bまでの交通情報31a,31bを表示する。
【0048】
そして、迂回経路探索部15は、交通情報30a,30b,30cのうち、現在の自車両21に近い渋滞区間29−1における進入交差点25aを含む道路リンクの始点41a,41bから、他方の混雑区間29−3,渋滞区間29−4における退出交差点24bを含む道路リンクの終点42a,42bまでの経路を算出する。これによって、迂回経路探索部15は、進入交差点25aと接続された道路リンクの始点41aから退出交差点24bと接続された道路リンクの終点42aまでの区間43aと、進入交差点25aと接続された道路リンクの始点41bから退出交差点24bと接続された道路リンクの終点42bまでの区間43bとを迂回経路として追加することができる。
【0049】
これにより、交通情報抽出部17は、追加した区間43a,43bの渋滞情報も併せて抽出して、表示部8に表示させることができる。したがって、この交通情報表示装置によれば、複数の渋滞区間が存在する場合に、自車両から手前の渋滞区間29−1を迂回して再度走行予定路の非渋滞区間29−2に戻るか、非渋滞区間29−2に戻らずに渋滞区間29−3,29−4を迂回する迂回経路31a,31bに向けて走行するかを選択するための区間43a,30bの渋滞情報を表示することができる。
【0050】
これにより、交通情報表示装置は、図8に示した渋滞情報をVICS受信部4にて受信している場合でも、その全てを表示させることなく、図10に示すように、自車両が進行する方向であって、走行予定路及び迂回経路に加えて迂回経路同士を接続する区間の渋滞情報を抽出して表示させることができ、交通情報の視認性を向上させることができる。
【0051】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置により、走行予定路を設定した状態を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置により、走行予定路上に退出交差点及び進入交差点を設定した状態を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置により、退出交差点から退出リンクを設定した状態を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置により、迂回経路を設定した状態を説明する図である。
【図7】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置により、走行予定路及び迂回経路上の渋滞情報を抽出することを説明する図である。
【図8】本発明の第1実施形態として示す交通情報表示装置によって受信した渋滞情報の全てを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態として示す交通情報表示装置により、複数の渋滞区間のそれぞれに対して迂回経路を設定して渋滞情報を抽出することを説明する図である。
【図10】本発明の第3実施形態として示す交通情報表示装置により、複数の渋滞区間のそれぞれに対して迂回経路を設定し、当該迂回経路同士を接続する区間の渋滞情報を抽出することを説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 制御部
2 GPS受信部
3 ジャイロセンサ
4 VICS受信部
5 通信制御部
6 操作入力部
7 音声出力部
8 表示部
9 データ記憶部
11 経路探索部
12 走行予定路設定部
13 進入交差点抽出部
14 退出交差点抽出部
15 迂回経路探索部
16 退出リンク抽出部
17 交通情報抽出部
18 交通情報表示制御部
19 経路推定部
21 自車両
22 走行予定路
23 周辺道路
24 退出交差点
25 進入交差点
26 退出リンク
27 迂回経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
渋滞情報を取得する情報取得手段と、
現在の車両位置から進行方向に対する走行経路を算出する走行経路算出手段と、
前記走行経路算出手段により算出された走行経路のうちの渋滞情報によって特定される渋滞区間の長さに応じて、当該渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出するノード抽出手段と、
前記ノード抽出手段によって抽出された退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点を抽出する退出終点抽出手段と、
前記退出終点抽出手段により抽出された前記終点から、前記ノード抽出手段により抽出された進入ノードまでの迂回経路を算出する迂回経路算出手段と、
前記走行経路及び前記迂回経路算出手段により算出した迂回経路上の渋滞情報を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする交通情報表示装置。
【請求項2】
前記走行経路算出手段は、自車両の目的地が設定されていない状態で自車両が進行している場合には、現在位置から車両進行方向に対する仮想的な走行経路を算出することを特徴とする請求項1に記載の交通情報表示装置。
【請求項3】
前記退出ノードは、自車両から所定距離内に存在する交差点であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通情報表示装置。
【請求項4】
前記進入ノードは、自車両から所定距離以上に存在する交差点であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通情報表示装置。
【請求項5】
前記走行経路算出手段により算出された走行経路上に、前記渋滞情報によって特定される渋滞区間が複数存在する場合に、当該各渋滞区間のそれぞれに対して、前記ノード抽出手段により退出ノード及び進入ノードを抽出し、当該退出終点抽出手段により退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点を抽出し、前記迂回経路算出手段により迂回経路を算出して、前記表示手段により前記走行経路及び複数の迂回経路上の渋滞情報を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の交通情報表示装置。
【請求項6】
前記迂回経路算出手段は、前記走行経路算出手段により算出された走行経路上に、前記渋滞情報によって特定される渋滞区間が複数存在する場合に、非渋滞区間を介して隣接する渋滞区間同士のうち、現在の車両位置から近い一方の渋滞区間における進入ノードを含む道路リンクの始点から、他方の渋滞区間における退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点までの迂回経路を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の交通情報表示装置。
【請求項7】
現在の車両位置から進行方向に対する走行経路における渋滞区間の長さに応じて、当該渋滞区間を迂回するための退出ノード及び進入ノードを抽出し、当該抽出した退出ノードを始点とした道路リンクにおける終点から進入ノードまでの迂回経路を算出し、前記走行経路及び前記迂回経路上の渋滞情報を表示することを特徴とする交通情報表示方法。
【請求項8】
渋滞情報を取得する情報取得手段と、
走行経路を算出する走行経路算出手段と、
前記情報取得手段によって取得された前記渋滞情報のうち、前記走行経路上の渋滞情報を抽出する走行経路渋滞情報抽出手段と、
前記走行経路渋滞情報抽出手段によって抽出された前記走行経路上の渋滞を迂回する迂回経路を算出する迂回経路算出手段と、
前記情報取得手段によって取得された前記渋滞情報のうち、前記迂回経路上の渋滞情報を抽出する迂回経路渋滞情報抽出手段と
を備えることを特徴とする交通情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−25691(P2010−25691A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185991(P2008−185991)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】