説明

交通監視システム

【目的】設備の有効活用を図り、速度違反に留まらず多項目にわたって交通監視を行うことを可能にした交通監視システム、更には、車両に搭載すべき装置のコスト低減を可能にした交通監視システムを提供する。
【構成】
標識監視装置は、速度制限、駐車禁止、一方通行、進入禁止等の道路交通規制情報を送信し、車両に搭載した車両情報申告装置は、違反判定手段と、違反していると判断した場合に自己車両識別情報と違反情報とを、標識監視装置に送信する。また、違反判定手段を標識監視装置側に備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通監視システムに関し、詳細には速度違反に留まらず多項目にわたって、交通監視を行うことを可能にした交通監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故の大半は、速度制限超過が原因である場合が多く、特に、高速道路や比較的制限速度が早いバイパス道路におけるスリップ事故や追突事故等の重大事故の多くが制限速度超過に起因する例が多い。
そこで従来から種々の交通監視手段が講じられている。例えば、道路上のアーチ状構造物に、速度検知用レーダと車両撮影用カメラを設定した自動速度違反取締装置が知られている。これは、高い周波数の電波を走行中の車両等に前方から照射すると共に、その反射信号を受信し、受信電波の周波数が車両等の走行速度に応じて高くなるドップラー効果を利用して速度を検出するものである。更に、検出した速度が規制値を越えた場合、その車両のナンバープレートや運転者を撮影した写真を証拠に速度違反を取り締まるものである。
また、特許文献1には、車両前方のナンバープレートのみならず、車両後方のナンバープレートも撮影することによって、車両特定の確率を高める手段が提案されている。これは、接近する車両等の速度を測定し、速度が規定値を超えている場合は、カメラを起動して車両前方からナンバープレートを撮影すると共に、測定した車両速度から計算した所定時間後に、再び、車両の後方を狙って撮影する。即ち、後方からの撮影画面が、車両後方のナンバープレートを撮影するのに好適なタイミングを計算して、カメラのシャッターをレリーズすることによって前方のナンバープレート撮影に失敗しても、後方ナンバープレート撮影による車両確認を可能にするものである。
しかし、依然として、ナンバープレートが泥で汚れている場合や、故意に取り外した場合、あるいは撮影を妨げるようなカバーで覆われた場合は、正確に車両特定ができない場合があった。
【0003】
このような問題を解決する手段として、例えば特許文献2には、車両特定手段としてカメラ撮影を必要としない方法を提案している。
図6は、特許文献2に提案された車両速度監視システムの概要構成図である。この車両速度監視システムは、道路側部に設置される車両速度監視装置61と、車両に搭載される車載用速度違反申告装置62とから構成され、車両速度監視装置61は、無線送受信部63、アンテナ64、速度違反車両情報生成部65を備えている。また、車載用速度違反申告装置62は、アンテナ66、無線送受信部67、車両装置制御部68、走行速度計測部69、警告音発生部70、表示部71、車両固有情報記録部72、速度違反情報記録部73を備えている。
このように構成した車両速度監視システムの詳細な動作や制御方法は、特許文献2に開示されているので、ここでは簡単に説明する。先ず、車両速度監視装置61からは、予め設定された時間間隔でメモリに内蔵している速度規制情報を送信する。車載用速度違反申告装置62では、この信号を無線送受信部67により受信すると共に、走行速度計測部69により検出した自車両の走行速度情報と比較し、速度超過の場合は、車両固有情報記録部72に格納している車両番号、車両製造番号、車両製造メーカ名、車両所有者名、車両所有者住所等の固有データに、速度超過情報を付して、無線送受信部67からアンテナ66を介して車両速度監視装置61に送信する。また、車載用速度違反申告装置62は、速度違反と判断した際に、運転者に対して警報音を発生すると共に、その旨を表示部71により表示することによって、速度低減を促す手段も備えている。
なお、車載用速度違反申告装置62から速度違反の申告を受けた車両速度監視装置61は、取得した固有データと速度違反情報とを、最寄りの警察等の関係機関に通報し、後日、違反車両の所有者に然るべき通知が発送されることになる。
このような方法は、同特許文献2にも記載されているように、車両に速度違反申告機能を付加すべきことを法的に義務付ける必要があるが、それが実現すれば速度違反を未然に防止し、万一、違反した場合の検挙率を大幅に高めることになり、交通速度違反の抑制と交通事故の減少に大いに寄与することは明らかである。
【特許文献1】特開平4−149700号公報
【特許文献2】特開平11−110687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示された従来の方法では、車両速度監視装置61と、車両に搭載される車載用速度違反申告装置62との双方に、通信手段を備えているにも関わらず監視項目が速度違反のみに限られているので、設備の有効活用が図られていない。例えば、駐車禁止違反の取締は、周期的に見回りを行うパトロールカーによる他、地域住民の通報を待つ他はなく、路肩に違反駐車している車両に追突する事故が後を絶たない。また、一方通行道路は、進入禁止の標識を見落し易く、高速道路における一方通行禁止違反は、逆方向への走行に繋がり大事故発生の可能性が高く、実際にそのような事故も発生している。
なお、特許文献2に記載されたように、車両に搭載される車載用速度違反申告装置側に速度違反の判断機能を持たせる場合、各車両に搭載すべき装置のコストアップの可能性があるので、道路に設置する車両速度監視装置側に速度違反判断手段機能を持たせる方が経済的であるとも考えられる。
本発明は、このような従来の車両速度監視システムにおける諸事情に鑑みてなされたものであって、設備の有効活用を図り、速度違反に留まらず多項目にわたって、交通監視を行うことを可能にした交通監視システム、更には、車両に搭載すべき装置のコスト低減を可能にした交通監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために、車両に搭載された車両情報申告手段と、道路に沿って配置された標識監視手段と、車両の交通違反情報を管理する交通情報管理センターを含む交通監視システムであって、前記車両情報申告手段は、無線送受信手段と、自己の車両識別情報を記録したメモリ手段と、走行速度を含む走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記標識監視手段から質問信号を受信したときに、少なくとも自己車両識別情報と走行状態情報とを含む応答情報を前記標識監視手段に対して送信する走行状態通知手段と、緊急車両から送信される緊急通信情報を受信する手段、又は、前記標識監視手段が緊急車両から送信される緊急通信情報を受信し、その情報を近傍通過車両に送信することにより前記緊急通信情報を受信する手段と、を備え、前記標識監視手段は、道路近傍において道路交通規制を表示する道路交通規制表示手段と、前記道路交通規制の情報を記録した規制情報メモリ手段と、前記車両情報申告手段と通信可能な無線通信手段と、道路近傍に対して質問信号を送信すると共に、該質問信号に対する車両からの応答信号を受信し、該応答信号に含まれる車両識別情報と走行状態情報に基づいて、道路交通規制違反の有無を判断する違反判定手段と、道路交通規制違反の情報を前記交通情報管理センターに送信する手段と、緊急車両から送信される緊急通信情報を受信し、その情報を近傍通過車両に通報するとともに、前記道路交通規制表手段の道路交通規制内容を変更する手段と、を備え、前記交通情報管理センターは、前記標識監視手段から通報される車両の違反情報を管理する手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記車両情報申告手段は、更に、自己車両の車検情報、又は/及び当該車両に関する納税情報を記憶するメモリ手段と、該メモリ手段に記憶した情報を前記標識監視手段に通知する手段を備え、前記標識監視手段は、車両から通知される車検情報、又は/及び納税情報に基づいて、その車検の有効性、又は/及び納税納付済みか否かを判断する手段と、車検の有効性期限、又は/及び納税納付期限を過ぎている場合は、その旨を前記交通情報管理センターに通知するか、又は、当該車両に対し警告メッセージを送信する手段を備えてもよい。
【0007】
また、本発明は、前記車両情報申告手段は、更に、GPS位置検出手段を備え、前記標識監視手段に送信する応答信号に位置情報を含んでもよい。さらに、本発明は、前記標識監視手段は、近傍を通過する車両の速度検出手段、車両の映像を撮影するカメラ、メッセージ表示手段、速度規制内容変更手段、臨時的に交通規制を表示する手段、車両積載量計測手段、車両重量計測手段、の少なくとも一つを備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上説明したように、設備の有効活用を図り、速度違反に留まらず多項目にわたって監視を行うことが可能であり、更には、車両に搭載すべき装置のコスト低減を可能にした交通監視システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。また既に説明したものと同一部分ならびに同一事項には同一符号、番号を付し重複する説明は省略する。
図1は、本発明に係る交通監視システムの第一の実施例を示す概要構成図である。この例に示す交通監視システムは、道路に沿って配置する標識監視装置1と、車両等に搭載する車両情報申告装置2と、車両等の交通違反情報を管理する交通情報管理センター3を含んでいる。ここで、車両等は四輪自動車に限らず二輪車も含まれ、交通規制対象になる車両全てを含んでいる。
そして上記標識監視装置1は、無線通信装置4と、道路近傍において規定されている速度制限、駐車禁止、一方通行、進入禁止等の道路交通規制内容を表示する表示部5と、交通規制情報を記録した規制情報メモリ装置6と、上記無線通信装置4を介して交通規制情報を近傍の通過車両等に無線送信する制御装置7と、この信号を受信した車両等から送信される交通規制違反情報を必要に応じてメモリすると共に、それらの情報を公衆通信回線や専用通信回線等によって交通情報管理センター3に送出するためのモデム8を備えている。
【0010】
また、上記車両情報申告装置2は、人工衛星からの電波を受信することによって自車両の現在位置を検出するGPS位置検出装置10と、上記標識監視装置1の無線通信装置4と通信可能な無線送受信装置11と、自己のナンバープレート番号等の車両識別情報を記録した識別情報メモリ装置12と、自車両の速度を検出する走行速度検出装置13と、上記標識監視装置1から送信される交通規制情報を取得し、自車両等が交通規制に違反しているか否かを判断する違反判定部(手段)14と、交通規制に違反していると判断した場合に、自己の車両識別情報と違反情報とを上記標識監視装置1に対し、無線送受信装置11を介して送信する違反通知手段を備えている。なお、上記交通情報管理センター3は、上記標識局装置1から通報される車両等の違反情報を管理するものである。なお違反判定部14には、違反判定を行う上で必要なプログラムやデータを格納するためのROM15と、RAM16を備えている。なお、上記違反通知手段は、違反判定部14、ROM15、RAM16と無線送受信装置11により実現する他、違反であることを運転者に報知するための表示器17を備えている。また、上記識別情報メモリ装置12には、自車両ナンバープレート情報の他に、特許文献2に記載されているように、車体番号、車両製造番号、車両製造メーカ名、車両所有者名、車両所有者住所等の固有データを含めることもできる。
【0011】
このように構成した交通監視システムによれば、以下に説明するように速度違反のみならず、種々の交通規制違反を監視することが可能である。なお、この実施例における速度違反監視に関しては、特許文献2に開示された方法とほぼ同一の仕組みを採用しているので参照することができるが、本発明の交通監視システムでは、制限速度情報(速度規制情報)だけでなく、更に、道路近傍において規定されているその他の道路交通規制内容についても監視することが可能である。そのために、この例では制限速度情報の他に一例として駐車禁止、一方通行、進入禁止等の規制情報を記憶している規制情報メモリ装置6と、それら道路交通規制内容の所要のものを表示する表示部5とを備えると共に、これらの道路交通規制内容にうち必要なものを、無線通信装置4を介して近傍を通過する車両に搭載された車両情報申告装置2に送信する。
一方、これらの情報を受信する車両情報申告装置2には、違反判定部15を備えており、標識局装置1から受信した交通に関する規制情報に基づいて、自車両がこれらの規制に違反している否かを判断する。例えば、速度については、走行中に走行速度検出装置13によって検出し、標識局装置1から送信される規制速度情報と比較すると共に、速度が規制値を超えている場合は速度超過情報と、識別情報メモリ12から読み出した自車両識別情報とを標識局装置1に無線送受信装置11を介して送信する。
【0012】
本発明は、以上の実施例に限らず、種々変形が可能である。例えば、図2に示すように、交通規制違反の判断機能を標識監視装置1に持たせることによって、各車両に搭載する必要のある車両情報申告装置2の構成を簡単にしてコスト低減を図ることができる。即ち、図2は本発明の交通監視システムの変形実施例を示すブロック図であり、上記図1と同一構成部分は同一の符号を付して重複する説明は省略する。この例では、標識監視装置20に違反判定装置21を備えると共に、車両情報申告装置30では、その違反判定部に代わり簡単な構成の制御部(CPU)31を備えた点が特徴的である。このように構成した交通監視システムでは、標識監視装置20から定期的に、又は常時、質問信号を送信し、この質問信号を受信した車両情報申告装置30では、そのときの自車両の速度情報、進行方向情報、自車識別情報を返送する。そして標識監視装置20は、これらの返送信号に基づいて交通規定違反の有無を判断し、違反している場合は該当する車両情報申告装置30を搭載している車両に対し警告信号を送信すると共に、交通情報管理センター3にそれらの情報を通知する。
警報信号を受信した車両情報申告装置30では、音声や表示によって運転者にその旨を報知する。なお、警報信号を該当する車両にのみ伝達する為に、識別情報を選択呼び出し信号として使用した個別選択呼び出し方式を採用することが適当である。この構成によれば、多数の車両に搭載する必要のある車両情報申告装置30のコスト低減効果がありこれらのシステムを普及させる上で都合がよい。
なお、このように交通規制違反の判断機能を標識監視装置1に持たせ、更に、標識監視装置1に、通過する移動車両の速度検出機能も持たせるように構成すれば、車両情報申告装置30からは、単に、自車識別情報のみを送信すればよい。このとき標識監視装置1による速度検出手段としては、従来から知られている電波のドップラー効果によるもの、あるいは、道路中に所定間隔をもって埋め込んだ金属移動センサ(コイル)間を車両が通過する時間による速度検出等、種々の手段が利用できる。この例によっても、車両等の撮影は不要である。
【0013】
図3は、更に、本発明の他の実施例を示す車両情報申告装置の概要構成図である。この例に示す車両情報申告装置40は、自己車両の車検情報、又は/及び当該車両に関する納税情報を記憶するメモリ装置(以下、車検・納税情報メモリと云う)41を備えた点が特徴的である。即ち、この車検・納税情報メモリ41には、各車両の車検有効期間情報や、強制保険加入情報、整備点検情報等の必要な情報が記録されている。これらの情報記録も、法的手段によって義務付けられていることが好ましい。そして、上述した標識監視装置20から、車検・納税情報を返送する旨の質問信号が送信されると、これを受信した車両情報申告装置40からは自車識別情報と共に、車検・納税情報メモリ41から読み出した情報を返送する。標識監視装置20は、これらの返送信号に基づいて、車検の有効期間内であるか否か、また納税がなされているか否かを判断し、期間が過ぎていた場合や未納税の場合には、該当する車両情報申告装置30を搭載している車両に対し警告信号を送信すると共に、交通情報管理センター3にそれらの情報を通知する。また、同様に、警報信号を受信した車両情報申告装置30では、音声や表示によって、運転者にその旨を報知する。
【0014】
図4は、本発明の交通監視システムの他の実施例を示す概要構成図であり、侵入禁止領域への車両の侵入監視や、一方通行道路の逆走等を監視する場合の一例を示したものである。例えば標識監視装置50には進入禁止、一方通行の交通規制情報を保有し、その監視を行う場合、車両情報申告装置51にGPS位置検出装置や、ジャイロや速度センサからなる自立航法装置を搭載しておく。これは通常のGPS受信装置を用いたカーナビゲーション装置を利用しても良い。そして、標識監視装置1から送信される侵入禁止領域や一方通行禁止情報を受信した際に、自車両の進行方向を検出すると共に、規制情報と自車両の進行方向と比較して自ら規制違反か否かを判断すること、又は、進行方向情報を標識監視装置1に返送して、標識監視装置1において違反の有無を判断することができる。車両自ら判断する場合には、標識監視装置1から進入禁止方向や一方通行規制の方向(方角)を示す情報を付加して送信すれば、より正確な判断が可能である。
また本発明の車両情報申告装置51には、無線送受信装置11を搭載しているので、これらを有効に利用して、救急車やパトロールカー等の緊急車両52が接近したことを報知するように構成することもできる。即ち、図4に示すように、緊急車両52から送信する信号を、直接、車両情報申告装置51の無線送受信装置11によって受信する方法、あるいは標識監視装置1や交通情報管理センター3を介して車両情報申告装置51に緊急車両接近情報を報知する方法がある。更に、緊急車両52から送信する信号によって、標識監視装置1の交通規制内容を変更することも可能である。例えば、交通事故や火災の発生現場に通じる道路の迅速な閉鎖や、速度制限指示等を、無線によって行うことも、更なる事故防止に有用である。
【0015】
図5は、本発明によって駐車違反を監視する場合の一実施例を示す交通監視システムの概要図である。即ち、標識監視装置1(又は20、50)では表示部5に駐車禁止を示す道路標識を表示すると共に、車両情報申告装置2から駐車情報要求信号が送信されたとき、その要求に応答して標識監視装置1から駐車禁止信号を送信する。即ち、車両が停止しているとき、車両情報申告装置2から間欠的に駐車情報要求信号を送信し、標識監視装置1はこの信号中に含まれる車両識別情報信号を受信したとき駐停車の継続時間の計数を開始し、駐車情報要求信号が継続して受信される時間を積算する。そしてその継続時間が所定時間を経過した場合、駐車禁止と判断し、その旨を交通情報管理センターに通報する。または、違反判定手段を車両情報申告装置2が備えている場合には、駐車禁止である旨を示す信号を標識監視装置1から周期的に、又は、間欠的に送信し、車両情報申告装置2側で駐車禁止違反であることを判断して、標識監視装置1に通知するものであってもよい。
このとき、標識監視装置1では、その時の日時情報を付して記録すると共に、交通情報管理センター3に通知する。なお、駐車を禁止する領域にのみ信号が到達するように構成することが好ましいが、正確にその範囲を限定することが困難な場合は、例えば駐車を禁止する領域に漏洩同軸ケーブル53を敷設し、標識監視装置1から出力する規制信号をこの漏洩同軸ケーブル53から微弱な信号として放射することもできる。漏洩同軸ケーブルはその構造の特徴によって微弱な無線電波を放射し、又は、受信(ケーブルを介して標識監視装置1に伝達)することができるので、電波の到達範囲を正確に限定することが可能である。また、領域を限定して駐車禁止領域信号を伝達する方法としては、漏洩同軸を用いる他、超音波信号、赤外線信号等を送受信する端末装置を領域に配置することも考えられるので適宜選択することができる。
【0016】
本発明は、以上説明した他にも種々変形が可能であり、また、特許文献2に提案された方法を併用することも可能である。例えば、違反判定手段を標識監視装置側と車両情報申告装置側の両者に持たせた構成とし、監視する交通規制項目によって違反判定を標識監視装置側で行うか、車両情報申告装置側で行うかを選択することも可能であるし、両者の監視結果を照合して、違反を判断すれば、より正確な判定や監視が可能である。また、車両情報申告装置側にも違反特許文献2に記載されているように違反情報記録手段を備え、航空機器のフライトレコ−ダのように一定期間記録を保持することを法的に義務付けることも考えられる。更には、最近普及が著しいETCシステム(自動料金収受システム:Electronic Toll Collection Systems)や、研究が進んでいるITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport System)との連携や、それらに組み込んだ形での実施も想定される。
更に、本発明による交通監視システムを実現するための処理をコンピュータが制御可能なOSに従ってプログラミングすることも可能である。同一のOSを備えたコンピュータ機能を備えた装置に上記プログラムをインストールすることによって同じ処理方法により制御することができる。このようなプログラムを記録媒体に記録すれば、記録媒体を持ち運ぶことにより何処でもプログラムを稼動することができる。また、プログラムを格納する記録媒体としては半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD等)、磁気媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の交通監視システムの一例を示す概要図。
【図2】本発明の交通監視システムの変形実施例を示す概要図。
【図3】本発明の交通監視システムの変形実施例における車両情報申告装置の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の交通監視システムの他の変形実施例を示す概要図。
【図5】本発明に基づいて駐車違反監視を行う場合の交通監視システムの一例を示す概要図。
【図6】従来の交通監視システムの一例を示す概要図。
【符号の説明】
【0018】
1、20、50 標識監視装置、2、30、40、51 車両情報申告装置、3 交通情報管理センター、4 無線通信装置、5、17 表示器、6 規制情報メモリ装置、7 制御装置、8 モデム、9 アンテナ、10 GPS位置検出装置、11 無線送受信装置、12 識別情報メモリ、13 走行速度検出装置、14、21 違反判定部、15 ROM、16 RAM、31 CPU、41 車検・納税情報メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車両情報申告手段と、
道路に沿って配置された標識監視手段と、
車両の交通違反情報を管理する交通情報管理センターを含む交通監視システムであって、
前記車両情報申告手段は、
無線送受信手段と、
自己の車両識別情報を記録したメモリ手段と、
走行速度を含む走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記標識監視手段から質問信号を受信したときに、少なくとも自己車両識別情報と走行状態情報とを含む応答情報を前記標識監視手段に対して送信する走行状態通知手段と、
緊急車両から送信される緊急通信情報を受信する手段、又は、前記標識監視手段が緊急車両から送信される緊急通信情報を受信し、その情報を近傍通過車両に送信することにより前記緊急通信情報を受信する手段と、を備え、
前記標識監視手段は、
道路近傍において道路交通規制を表示する道路交通規制表示手段と、
前記道路交通規制の情報を記録した規制情報メモリ手段と、
前記車両情報申告手段と通信可能な無線通信手段と、
道路近傍に対して質問信号を送信すると共に、該質問信号に対する車両からの応答信号を受信し、該応答信号に含まれる車両識別情報と走行状態情報に基づいて、道路交通規制違反の有無を判断する違反判定手段と、
道路交通規制違反の情報を前記交通情報管理センターに送信する手段と、
緊急車両から送信される緊急通信情報を受信し、その情報を近傍通過車両に通報するとともに、前記道路交通規制表手段の道路交通規制内容を変更する手段と、を備え、
前記交通情報管理センターは、
前記標識監視手段から通報される車両の違反情報を管理する手段を備えたことを特徴とする交通監視システム。
【請求項2】
前記車両情報申告手段は、更に、自己車両の車検情報、又は/及び当該車両に関する納税情報を記憶するメモリ手段と、該メモリ手段に記憶した情報を前記標識監視手段に通知する手段を備え、前記標識監視手段は、車両から通知される車検情報、又は/及び納税情報に基づいて、その車検の有効性、又は/及び納税納付済みか否かを判断する手段と、車検の有効性期限、又は/及び納税納付期限を過ぎている場合は、その旨を前記交通情報管理センターに通知するか、又は、当該車両に対し警告メッセージを送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の交通監視システム。
【請求項3】
前記車両情報申告手段は、更に、GPS位置検出手段を備え、前記標識監視手段に送信する応答信号に位置情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の交通監視システム。
【請求項4】
前記標識監視手段は、近傍を通過する車両の速度検出手段、車両の映像を撮影するカメラ、メッセージ表示手段、速度規制内容変更手段、臨時的に交通規制を表示する手段、車両積載量計測手段、車両重量計測手段、の少なくとも一つを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の交通監視システム。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181875(P2012−181875A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142829(P2012−142829)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【分割の表示】特願2008−80777(P2008−80777)の分割
【原出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】