説明

交通監視ポイント検出装置及びプログラム

【課題】 周囲に存在する交通監視ポイントを検出し、それに関する適切・有益な情報を
報知することで、安全運転に寄与することのできる交通監視ポイント検出装置を提供する
こと
【解決手段】 自車の位置を検出するGPS受信機と、交通監視ポイントの位置情報を記
憶するデータベースと、GPS受信機で検出された現在位置情報と、データベースに格納
された交通監視ポイントの位置情報とに基づき、警報対象の交通監視ポイントを抽出し、
抽出された交通監視ポイントについての警報を表示部のメイン表示領域R1に描画出力す
る制御部と、を備える。制御部が行う交通監視ポイントについての警報は、その交通監視
ポイントについての実写画像がある場合には、それを描画し、実写画像が無い場合には警
報の種類に関連づけられた画像を描画するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置に基づいて周囲の車両速度測定装置等の交通監視をする交通監視物その他の交通監視ポイントを検出する交通監視ポイント検出装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両速度測定装置等の検出対象となる目標物の位置情報を記憶保持しておき、GPSにより検出した自車の現在位置と目標物の位置とが所定の関係になった場合に警報を発するようにした目標物検出装置がある(例えば、特許文献1等)。
【0003】
上記の特許文献1等の目標物検出装置の場合、例えば、目標物と車両の現在位置が設定された距離(例えば、1kmや500m等)に至った際に、「500m先、○○です。」(○○は、目標物を特定する情報(ループコイル等)等の音声による警報を出力したり、ディスプレイ上に係る情報をテキストで出力表示したりする。
【0004】
これらの目標物検出装置は、例えば車両速度測定装置への接近をドライバーに知らせることで、ドライバーが知らず知らずのうちに速度を出しすぎてしまうのを予防することに貢献している。特に、車両速度測定装置は、一般的に速度を超過しやすい場所等に設置されていることが多いため、危険性のある場所で、ドライバーに対して速度超過への注意を喚起することができる。このように、目標物として車両速度測定装置等の交通監視ポイントを検出する目標物検出装置は、安全運転に寄与している。したがって、こうした目標物検出装置は安全運転に寄与するものである。なお、目標物検出装置の検出対象とする目標物は、交通監視ポイント以外にもランドマークその他の各種の物を設定することができるが、本発明では、安全運転に有益な情報の提供をする装置であるため、目標物は、交通監視ポイントとなる。従って、本発明では、一般的な汎用性のある目標物検出装置と区別するため、交通監視ポイント検出装置と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3070388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近のこの種の目標物検出装置である交通監視ポイント検出装置では、ディスプレイに表示する情報として、上記のように目標物と車両の現在位置が設定された距離になったことをテキスト表示するものに加えて、或いは、それに替えて、目標物までの残り距離を採用するものがある。これは、元々、上記の設定された距離で警報を発するために車両の現在位置から目標物までの距離は逐次算出しているので、その算出結果である目標物までの距離を、ディスプレイ上に表示する機能を付加することで対応できる。これにより、徐々に目標物に近付いていることや、目標物までの具体的な距離を知ることができるので、安全運転のためにより有益な情報を提供することができる。
しかし、従来のこの種の装置は、専ら、目標物の位置情報を登録し、車両の現在位置が目標物に近づいた場合にそのことを報知するものであり、ディスプレイにも自車位置と目標物の位置を表示することが行われるものの、ドライバーに対して安全運転促進のために提供する情報が依然として少ない。
【0007】
本発明は、係る問題を解決するためになされたもので、周囲に存在する交通監視ポイントを検出し、それに関する適切・有益な情報を報知することで、安全運転に寄与することのできる交通監視ポイント検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、(0)複数の交通監視ポイントについて、各交通監視ポイントの監視の種類と位置情報を記憶し、前記複数の交通監視ポイントの一部の交通監視ポイントに対して個々の前記交通監視ポイント固有の情報を記憶し、前記交通監視ポイント固有の情報とは相違した監視の種類に合わせた注意を促すための警報情報を記憶し、自車の現在位置情報と、前記交通監視ポイントの位置情報とに基づき、警報対象の交通監視ポイントを抽出し、抽出した交通監視ポイントについての前記交通監視ポイント固有の情報が記憶されている場合にその交通監視ポイントについての前記交通監視ポイント固有の情報を出力する機能と、抽出した交通監視ポイントについての前記監視の種類に対応した警報情報を出力する機能とを備えるようにした。
(1)自車の位置を検出する位置検出手段と、交通監視ポイントの位置情報を記憶するデータベースと、前記位置検出手段で検出された現在位置情報と、前記データベースに格納された交通監視ポイントの位置情報とに基づき、警報対象の交通監視ポイントを抽出する抽出手段と、その抽出手段により抽出された交通監視ポイントについての警報を発する警報手段と、を備え、前記警報手段は、前記抽出手段で抽出された交通監視ポイントについての実写画像がある場合には、それを描画し、実写画像が無い場合には警報の種類に関連づけられた画像を描画するようにした。
自車の位置を検出する位置検出手段と、交通監視ポイントの位置情報を記憶するデータベースと、前記位置検出手段で検出された現在位置情報と、前記データベースに格納された交通監視ポイントの位置情報とに基づき、警報対象の交通監視ポイントを抽出する抽出手段と、その抽出手段により抽出された交通監視ポイントについての警報を発する警報手段と、を備え前記データベースは、前記交通監視ポイントが非常設の場合、その交通監視ポイントにおける監視の頻度を示す頻度情報を関連づけて記憶し、前記警報手段は、前記抽出手段で抽出された交通監視ポイントに関連づけられた前記頻度情報に基づき、警報の仕方を制御するようにした。
前記警報の仕方の制御は、前記抽出手段で抽出された交通監視ポイントに関連づけられた前記頻度情報が基準値に満たない場合、前記警報手段は、正規の警報をしない制御を行うようにするとよい。
前記正規の警報をしない制御は、警報しない場合と、簡易な警報(音声のみ/表示のみ等)な少なくとも一方とすることができる。
前記基準値は、ユーザ設定により変更できるようにするとよい。
前記データベースに格納された前記交通監視ポイントについての情報は、交通監視ポイントごとに更新登録された時に関する情報を格納し、前記警報手段は、その時に関する情報に基づき、古い情報については前記基準値を超えていても正規の警報を発しないようにするとよい。
【0009】
交通監視ポイントは、各種の交通監視が行われる箇所のことであり、自動的に監視する装置にて常時監視を行う固定式のものと、非常設で適宜のタイミングで設置等した監視装置を用いたり、人による目視等によったりして行われる移動式のものがある。監視する内容としては、車両の走行速度,交差点での一時停止,シートベルト着用,飲酒運転,運転中の携帯電話の使用の有無等がある。このようないずれも、交通事故の多発地点や、スピードを出しやすく交通事故を誘発しやすい場所等で行われるので、それらの場所を事前にドライバーに通知することで、特に危険な場所で交通規則を遵守した安全運転を促すことができる。
交通監視ポイントは、頻繁に監視を行う場所もあれば、一年の1回や数回などあまり行わないような場所もある。それら頻度が異なる交通監視ポイントに対し、一律に報知をするようにすると、登録数の増加や、都内等の元々交通監視ポイントが多い地域を走行する場合には、頻繁に報知なされることになり、かえってその報知が煩わしくなったり、報知自体になれてしまい重要な場所で見逃したりする恐れがある。そこで、頻度情報に基づき、警報の仕方を制御するとよい。頻度情報が基準値以上の交通監視ポイントについてのみ正規の報知を行うようにすると、適切な情報量(報知回数・頻度)となり、ユーザに対して安全運転のための重要な情報提供であることを知らせることができる。
【0010】
前記データベースは、前記交通監視ポイントについての詳細情報を関連づけて格納し、前記警報手段は、前記抽出手段で抽出された前記交通監視ポイントについての詳細情報を報知する機能を備えることができる。詳細情報としては、その交通監視ポイントにおける監視の内容(種類・方式)等や、その交通監視ポイントにおいて交通監視のために用いられる監視装置が常設設置の場合にはその監視装置(車両速度測定装置やナンバープレート読み取り装置等)を撮像した実際の写真(実写画像)や、制限速度や、監視の種類・方法等がある。これらの詳細情報を合わせて報知することで、より交通監視ポイントの存在とその内容等を理解できるので、その状況に合わせた運転を行うことができ、安全運転を促す情報提供に適する。また、これらの詳細情報の報知の方法としては、写真等の画像については、表示部への描画出力となるが、制限速度等については、係る情報をそのままテキスト或いはマーク等のイメージ情報として表示部に描画出力したり、音声で出力したりするなど各種の態様で報知できる。
【0011】
(2)前記詳細情報は、前記交通監視ポイントを撮像した実際の写真データであり、前記詳細情報を報知する機能は、その写真データを表示部に描画するようにするとよい。このように実際の写真データを描画出力すると、ドライバーはその存在(監視内容)を容易に理解したり、実際の交通監視ポイントでその監視のための装置の存在を認識したりすることで、安全運転を図ることができるので好ましい。
【0012】
(3)前記詳細情報は、前記交通監視ポイントの設置位置における制限速度とすることができる。この制限速度を報知(音声/テキスト・イメージ等の描画等)することで、ドライバーは法定速度の超過をしていないかの確認をすることができ、速度超過している場合には減速することで、事故の発生を未然に防止或いは可能性の低減を図ることができる。
【0013】
(4)(2)の発明を前提とし、前記詳細情報は、前記交通監視ポイントの設置位置における制限速度であり、前記詳細情報を報知する機能は、その制限速度を、制限速度の道路標識の態様でその交通監視ポイントの写真データに重ねて前記表示部に描画するものとするとよい。従来、その道路の制限速度を表示するものがある。しかし、交通監視ポイントと、その道路の制限速度が異なる場合もある(たとえば、現在走行中の道路とは別の道路上に交通監視ポイントがある場合や、現在走行中の道路を右折した場合にその先にある交通監視ポイントがある場合など)。このような場合、検出された報知対象の交通監視ポイントの写真上にその交通監視ポイントの制限速度の道路標識の態様で重ねて描画することで、その交通監視ポイントで求められる制限速度を容易かつ直感的に把握することができる。
【0014】
(5)(3),(4)の発明を前提とし、車両の走行速度を検出する手段を設け、前記警報手段は、前記制限速度とともに前記検出した走行速度も合わせて報知するようにするとよい。走行速度の検出は、たとえば、位置検出手段により検出された現在位置の履歴と、その移動にかかった時間から速度を算出して求めるようにしても良いし、別途車両速度を測定する装置を設けたり、車速パルスや車内LANを送信される情報等から認識したりするものなど、各種のものを利用することができる。実際の走行速度も合わせて報知することで、ドライバーは、詳細情報として提供される制限速度と走行速度を同時(ほぼ同時・一緒)に認識することができ、その情報が表示部に出力される場合には別途視線を本装置から車両の速度メータに移す必要がないし、音声で提供される場合には前方等の車両の周囲の状況を見続けることができるので、安全運転に寄与できる。
【0015】
(7)交通監視ポイントにおける監視の種類をあわせて記憶保持し、前記警報手段は、前記監視の種類に合わせた注意を促す報知を行うようにするとよい。交通監視ポイントにおける監視の種類によっては、注意する内容も異なる。そこで、その種類に合わせて、適切な注意を促す報知をすることで、適切な安全情報の提供をすることができるので好ましい。監視の種類に合わせた報知とは、たとえば、注意を向ける方向(前方/後方等)や、注意をする物(車両・装置等)を示す絵等がある。
【0016】
(9)前記交通監視ポイントの属性情報として、特定不明を設け、前記警報手段は、前記属性情報が特定不明の交通監視ポイントについて警報をする場合、予め決められた一般の注意警報を発するようにするとよい。このように、“特定不明“という属性の登録を許容すると共に、それにあった警報・報知内容(スピード注意・注意等)を用意することで、詳細情報が一度に全部整備できなくても報知可能となるので好ましい。そして、属性情報は、前記詳細情報、前記頻度情報、前記監視の種類,時に関する情報のそれぞれに設けるとよい。
【0017】
(10)前記データベースに格納された前記交通監視ポイントについての情報は、交通監視ポイントごとに更新登録された時に関する情報を格納し、前記警報手段は、その時に関する情報に基づき、古い情報については正規の警報を発しないようにすると良い。「時」とは、日時情報,日付,月など各種の形式を利用できる。要は、新しい情報か否かを区別できればよいので、たとえば、具体的な日付等の絶対的に識別できる情報に限ることはなく、たとえば、FIFO方式で記録したり、登録順レコード番号を付与したりするようにして、相対的に古い/新しい情報がわかるようにしても良い。交通監視ポイントは、交通事故の発生状況等に応じて監視する頻度等を変えたり、監視する場所自体を変えたりする。従って、登録した情報が古い場合には現在の状況に合っていない可能性がある。そこで、古いものは正規の警報を発しないようにすることで、現在の状況にあった適切な情報提供をすることができる。
【0018】
さらには、個々の前記詳細情報、前記頻度情報、前記監視の種類ごとに更新登録された時に関する情報を格納し、前記警報手段は、その時に関する情報に基づき、報知態様を変えるようにするとよい。特に個々の情報ごとに異なる時に関する基準を設け、当該異なる時に関する基準に基づき報知態様を変えるようにするとよい。一例を示すと、写真データについては、撮影日から1年以内の日付であれば表示するようにし、制限速度は調査日から3年以内なら表示するようにし、調査日から頻度情報は2年以内なら表示するようにし、調査日から監視の種類は2年以内なら表示するようにする。このようにすることで、各交通監視ポイントにおいて個々の情報に応じた適切な報知を行なうことができる。
また、本発明のプログラムは、上記の各交通監視ポイント検出装置における前記抽出手段と前記警報手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとした。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、交通監視ポイントが非常設の場合、頻度情報を関連づけて記憶しているので、周囲に存在する交通監視ポイントを検出した場合に、頻度情報に基づいて、その交通監視ポイントに関する適切・有益な情報を報知することで、安全運転に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図2】表示部の表示態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の好適な一実施の形態を示している。図1に示すように、各種の電波等を受信する受信機として、位置検出手段たるGPS受信機1と、マイクロ波受信機2と、無線受信機3と、を備えている。GPS受信機1は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(経度,緯度)を制御部4に送る。
【0022】
マイクロ波受信機2は、所定周波数帯のマイクロ波を受信するもので、その設定された周波数帯のマイクロ波を受信した場合に、その受信したマイクロ波の信号レベルを検出する。具体的には、その信号レベルであり電界強度に対応するRSSI電圧を利用する。上記の所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。無線受信機3は、飛来する所定周波数帯の無線を受信する。
この所定周波数は、例えば、緊急車両が基地局に対して自車位置を通知する際に使用する無線の周波数帯とすることができる。
【0023】
制御部4は、上記の各種の受信機から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部6,警報ランプ7,スピーカ8等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。この受信機から入力される情報に基づく警報内容を決定する所定の処理は、基本的従来と同様のものを利用することができる。つまり、一定の条件を具備する信号を受信・取得した場合には、対応する警報を出力する。なお、スピーカ8を用いた警報は、ブザーや音声等がある。
【0024】
本発明と関係する、GPS受信機1により検出した位置情報(自車両の現在位置情報)に基づく警報について、更に説明する。データベース5には、検出対象の目標物(交通監視装置等の交通監視ポイント)について、その監視の種類と位置情報(経度:緯度)と頻度等の情報が関連づけられたテーブル構造として格納される。さらに、その交通監視ポイント固有の警報表示情報が存在する場合には、当該警報表示情報を直接或いはその情報を特定するための情報(ファイル名等)も併せて格納される。これらの目標物に関する情報は、出荷時に一定の目標物について登録されている。このデータは、公知の各種の手法により、更新可能となる。データベース5は、制御部4のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。さらに、データベース5には、道路地図データも格納されている。
【0025】
監視の種類は、たとえば、車両速度の監視・一時停止監視・飲酒運転・シートベルト着用・運転中の携帯電話の使用などの交通規則を遵守しているか否かの監視の種類と、たとえば車両速度の監視において、車両速度測定装置を常設して常時計測監視する固定式と、不定期に警官が監視位置に移動しそこにおいて当該警官が車両速度測定装置を操作して車両を測定する移動式のように、監視装置の設置が常設か否か区別や、レーダ,ループコイル・光電管等の車両速度の計測方式の区別など、各種の情報がある。
【0026】
頻度は、特に移動式のように不定期で監視をする交通監視ポイントにおける監視の頻度に関する情報である。すなわち、交通監視は、同じ場所で繰り返し行われるポイントもあれば、年に1回程度しか行わないようなポイントもある。すなわち、各ポイントの重みは同一ではないと言える。そこで、本実施形態では、交通監視ポイント毎に、頻度に関して以下のようなランク分けを行い、頻度情報として関連づけて登録するようにした。なお、交通監視ポイントごとに、そのポイントにおけるデータ(頻度情報)を更新した日付も併せて格納するようにしている。なお、頻度が不明なもの(データの提供元が分からないものを含む)については、中間レベルであるレベル3として扱う。レベルが高いものほど、その情報の信頼度は高いといえる。つまり、レベルが高いものほど、現在その交通監視ポイントで実際に監視している可能性が高いといえる。また、更新した日付が格納されている場合、その日付が最新のものほど、そのレベルについての信頼度は高いといえる。換言すると、更新した日付が古い場合、その交通監視ポイントにおける現在のレベル(頻度)とあっていない可能性が高くなる。つまり、登録(更新)したときは、比較的頻繁に監視が行われ、レベルが4や5等の高いものであったところ、その後の交通状況の変化等により現在は監視回数(頻度)が下がり実際のレベルが低下したり、或いはその逆になったりする。
【0027】
レベル1:1回見かけたことの程度あるポイント。ただし、ここ数年は見ていない。
レベル2:複数回見かけたことの程度あるポイント。ただし、ここ1年は見ていない。
レベル3:年に1回は見かけるポイント
レベル4:年に複数回は見かけるポイント
レベル5:地元民なら誰でも知っている超有名なポイント
【0028】
交通監視ポイント固有の警報表示情報は、たとえば、その交通監視ポイントにおける実際の速度測定装置の写真や、その場所の制限速度などがある。このように写真情報を関連づけて登録しておくことで、交通監視ポイントへの接近に伴う警報の際に実写画像を表示することができる。
【0029】
また、データベース5その他の記憶手段には、監視の種類に対応した警報の仕方(警報情報)を登録している。この警報情報は、上記の交通監視ポイント固有の警報表示情報とは相違し、汎用性のある(監視の種類が同じであれば、同じ警報情報となる)警報の仕方で済むので、個々の交通監視ポイントについての上記のデータベースに格納する情報とは別に分けて格納したが、固有の警報表示情報と同様に各警報情報を各交通監視ポイントに関連づけて格納してももちろん良い。そして、監視情報としては、たとえば、監視の種類
が、警察官が道路脇に移動式の速度測定装置を設置して計測するような移動式の場合、「前方駐車車両注意」という音声情報と、道路の左に車両(ライトバン)が停車している画像情報などがある。また、監視の種類が、警官が車両で追尾し、前方を走行している車両の速度を計測する様な移動式(追尾式とも称する)の場合、「後方注意」という音声情報と、パトカー等の警察車両等の画像情報などがある。また、監視の種類が、道路脇に設置した常設の車両速度測定装置を用いる固定式の場合、「前方注意」という音声情報と、その固定式の車両速度測定装置を示す絵等の画像情報などがある。なお、上記の実写画像が登録されている場合、この車両速度測定装置の絵の画像情報は、併せて表示しても良いし、実写画像のみ/絵の画像のみのように一方を選択して表示してもよい。監視の種類が、一時停止無視を監視するものの場合、「一時停止注意」という音声情報と、「一時停止線など」の絵といった画像情報などがある。なお、内容が不明な場合等の一般的な警報情報としては、「スピード注意」といった音声情報がある。
【0030】
制御部4は、GPS受信機1から与えられた自車の現在位置を取得すると、データベース5をアクセスし、その現在位置の周囲(例えば、半径2km)に存在する目標物を抽出し、抽出した目標物の監視の種類から、警報情報を決定し、決定した警報情報に従ってその警報を出力するための出力機器に対して警報指示を出力する。また、交通監視ポイント固有の警報表示情報(実写画像や制限速度等)がある場合には、適宜のタイミングでそれを出力する。
【0031】
また、頻度に基づくレベル情報に基づき、警報の仕方を制御することができる。すなわち、制御部4は、予め設定されたレベル以上のもののみを警報対象とし、設定値(基準値)未満のレベルのものについては、警報しなかったり、音声のみ/表示のみ等の簡易な警報をするようにしたりするなどの正規な警報を抑制するようにするとよい。この設定値は、たとえばレベル3とすることができるし、この値は、初期設定で適当な値にしておき、ユーザ設定により変更できるようにすると良い。このように、一定のレベル以上にならないと警報しないようにすると、登録する交通監視ポイントが爆発的に増えても警報が鳴りっぱなしになるようなことはなくなる。
【0032】
また、目標物についてのデータの更新日時が古いものは、警報しない(簡易な警報をする)等の正規の警報をする対象から除外するようにしても良い。このように除外するか否かの設定や、古いものを選択する基準(本日よりも一定期間(設定する))もユーザ設定により変更できるようにしている。また、データの管理としては、更新の日付が古いデータは削除する機能を設けると良い。この場合の削除対象となるデータを選定するための“古い”という基準は、上記の正規の形成を抑制するための“古い”を規定する基準と同じでも良いし、さらに古いものとしても良い。上記のユーザによる各種条件の設定は、制御部4に接続された図示省略のスイッチや、表示部6に設けたタッチパネル等で、入力可能である。
【0033】
さらに、本実施形態では、制御部4は、走行速度を求める機能を備えている。すなわち、GPS受信機1から与えられた自車の現在位置の履歴から、走行距離を求めることができ、その走行距離を移動するのにかかった時間に基づき、走行速度を算出することができる。なお、別途走行速度を測定・取得する機能・装置を設けてももちろん良い。
【0034】
図2は、表示部6に表示される表示態様の一例を示している。本実施形態では、表示部6は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現される。図に示すように、表示部6は、主として目標物である交通監視ポイントと自車との位置関係を示すための表示領域(メイン表示領域)R1を備えている。また、このメイン表示領域R1には、地図画面を併せて描画している。この地図画面は、自車位置の周辺の地図データをデータベース5内に格納された地図データベースから読み出して生成される。さらに、本実施形態では、地図画面を俯瞰図状態で描画しているが、通常の2D(平面)で描画しても良い。
【0035】
このメイン表示領域R1には、その表示領域中に複数の目標物が存在する場合、係る複数の目標物を同時に描画可能となっている。自車と目標物とは、共にアイコン(マーク)で示している。自車は、略三角形で形成される自車位置アイコンI0で示す。この自車位置アイコンI0を中心とした所定半径(切替可)からなる円の範囲内に存在する目標物(ターゲット)が、その存在位置にターゲットアイコンTとして描画される。なお、図2では、表示領域R1内には、目標物となる交通監視ポイントは1つのみ存在している。
【0036】
更に、目標物は、六角形をベースとした形状のターゲットアイコンTで示す。具体的には、図2(b)に示すように、正六角形の枠Pの内側に、立方体の各辺を描画したスケルトン状の枠体(一種のワイヤーフレーム)P0を配置した図形としている。そして、枠Pは点滅(ブリンキング)させ、枠体P0は回転させる。このように、ターゲットアイコンTを構成する図形を変化させる(アニメーション化する)ことで、ターゲットアイコンひいては目標物が存在していることを着目されやすくする。
【0037】
さらに、メイン表示領域R1中に存在する車両に最も近い目標物をフォーカスターゲットとする。このフォーカスターゲットについてのターゲットアイコンTの表示態様であるが、本実施形態では、通常のターゲットアイコンTの周囲に装飾アイコンSIと、種別情報KIを併せて描画するようにしている。この装飾アイコンSIは、回転する立方体の枠体P0の回転中心を中心とし、六角形の枠Pよりも外側に位置する円弧とし、その円弧の長さ(中心角)は、そのフォーカスターゲットとなる目標物までの自車から残り距離に比例するようにしている。つまり、一定の距離に近づいたならば、所定の長さの上記の装飾アイコンSIを描画し、自車両が目標物に近づいていくにつれて徐々に短くしていき、残り距離が0のときに円弧部分が無くなるように制御する。このように一種のインジケータのようにすることで、フォーカスターゲットのターゲットアイコンTを見るだけで、ドライバーは、おおよその目標物までの残り距離を知ることができ、また、装飾アイコンSIが徐々に短くなっていることで目標物に近づいていることが理解できる。
【0038】
この一定の距離は、たとえば、一般道路で1000m,高速道路で2000mのように道路種別に応じて変えると好ましいが、道路種別に関係なく同じ値にしても良い。道路種別は、たとえば、車速(位置情報の履歴と経過時間が求めることができる)が、基準速度(たとえば80km/h)以上で常時走行しているか否かにより高速道路か否かを判定したり、本実施形態では道路地図データを持たしているので、現在位置と道路地図データとから自車両が高速道路の上に位置しているか否を判定したりすることにより求めることができる。
【0039】
また、種別情報KIは、フォーカスターゲットのターゲットアイコンTに対応する目標物の種類をテキスト表示するものである。目標物の種類は、データベース5に目標物に関連付けて格納されているので、その情報を取得し、目標物の種類に対応するテキストデータを該当位置(フォーカスターゲットのターゲットアイコンTの右隣)に表示する。図では、目標物がある特定の計測方式からなる車両速度測定装置であったため、それを示す“H”を表示している。目標物の種類(監視の種類)と、警報情報の一つとしての表示するテキストデータと、を対応づけたテーブルをデータベース5に格納しているので、メイン表示領域R1の表示画面に描画・表示する内容を制御する表示制御部(制御部4の一機能として実現することができる)は、係るフォーカスターゲットとされた交通監視ポイントについての監視の種類を抽出したならば、上記のテーブルを参照して対応する種別情報KIを表示することができる。
【0040】
その結果、単にターゲットアイコンTに対応する目標物が、自車からどの方向に存在し、およそどれくらい離れているかの情報を得るだけでなく、現在の走行している道路上或いはその後に走行しようとする経路(道路)上に目標物が存在しているか否かを容易に認識することができる。そして、車両速度測定装置は、一般的に速度を超過しやすい場所,危険性のある場所等に設置されることが多いので、その存在位置を地図情報に重ねて知ることで、自己が走行している道路の先がそのように危険な場所であるか否かを事前にすることで、安全運転を図ることができる。
【0041】
更に、表示制御部は、メイン表示領域R1に表示する各種のアイコンと地図画面との間で、位置合わせをし、同期をとって表示をする。つまり、本実施形態では、車両の進行方向を上にするとともに、自車位置アイコンの表示位置を固定(メイン表示領域R1の表示されている領域の下方中央部位)にしているので、地図画面もそれに合わせ、表示位置を変更する。つまり、自車両の進行方向が変わった(曲がった)ならばそれに合わせて画面を回転させ、自車両が前進したならば表示する地図画面を下方にスクロール移動させる。係る表示の制御は、カーナビゲーションシステムにおける地図の表示制御(自車両の位置を、画面中央に固定した状態で地図画面を適宜スクロール等する制御)を利用することで実現できる。
【0042】
図2は、フォーカスターゲットとなる交通監視ポイントが自車位置との関係で一定の距離以下に近づき、その交通監視ポイントについての詳細情報を通知するための詳細情報ウインドウWを画面の右端から中央に向けてスライドインさせて描画した状態を示している。このスライドインに伴い、メイン表示領域R1では、自車位置アイコンI0の位置を移動させて描画するようにしている。本例では、詳細情報ウインドウWが右から左へスライドインするので、自車位置アイコンI0の位置も左へずらして描画する。もちろん、このとき自車位置アイコンI0の位置を移動させるので、地図画面もそれにあわせてスライドすることになるし、他のターゲットアイコン等も同期してスライドするように描画を制御する。
【0043】
このように横から、詳細情報ウインドウWをスライドインさせることで、注目させることができるとともに、ドライバーに対して目標物が一定の距離以下に近付いていることを知らせることができる。換言すると、フォーカスターゲットに該当する交通監視ポイントが存在していなかったり、存在していても一定の距離以上離れていたりした場合には、メイン表示領域R1のみが表示されることになり、それに伴い、自車位置アイコンI0の表示位置も、表示部6の表示画面全体の画面下方中央部位となる。
【0044】
本実施形態では、詳細情報ウインドウWに表示する情報として、フォーカスターゲットとなった交通監視ポイントに関連する画像データGDと、その交通監視ポイントにおける制限速度を表示する制限速度マークMを含むものとし、さらに、詳細情報ウインドウW内の下方には、テキストとして、交通監視ポイントの監視の種類(図では、“Hシステム”),残り距離(図では、“500m”),自車両の走行速度(図では、“95km”)を表示するようにしている。なお、この走行速度は、制御部4がGPS受信機1からの信号に基づいて算出したものを用いている。
【0045】
画像データGDは、その交通監視ポイントについての写真(実写画像)がある場合には、それを描画し、実写画像が無い場合には警報の種類に関連づけられた画像を描画する。制限速度マークMは、制限速度の標識を模した円形で周囲を赤色の枠とその枠の中央に制限速度を数字で描画した態様とする(図では、制限速度100km/h)。このような形態をとることで、ドライバーは、直感的・瞬時に制限速度を認識できる。また、その制限速度マークMの下側に現在の車両の走行速度を描画するレイアウトを採ったので、上下を見比べることで、制限速度を遵守して走行しているか否かを認識し、仮に速度オーバーとなっている場合に、減速して交通規則を守った安全運転を図ることができる。
【0046】
また、自車両の走行速度が制限速度以下か否かを判断し、速度オーバーの場合には、自車両の走行速度の表示を、色を変えたり(たとえば赤色)、ブリンキングさせたりして注目させ、減速を促すようにするとよい。
【0047】
さらに、頻度・信頼度を画像データGD上に描画するようにしてもよい。この描画の態様としては、例えば、レベル1〜レベル5の数値に併せた★マークを描画し、併せてレベルを音声でスピーカ8から報知する(例えば「レベル5です」のように報知)制御を行なうようにすることができる(音声と描画はいずれか一方でも可)。また、別の態様としては、レベルに応じて音量や警報の派手さを変化させるようにすることもできる。
【0048】
さらに本実施形態では、交通監視ポイントの実写画像を描画するため、ユーザであるドライバーは、その先にある交通監視ポイントを直感的に理解できると共に、通過の確認も確実かつ容易に行えることができるので、安全運転のために有益な情報の提供を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 GPS受信機
2 マイクロ波受信機
3 無線受信機
4 制御部
5 データベース
6 表示部
7 ランプ
8 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交通監視ポイントについて、各交通監視ポイントの監視の種類と位置情報を記憶し、
前記複数の交通監視ポイントの一部の交通監視ポイントに対して個々の前記交通監視ポイント固有の情報を記憶し、
前記交通監視ポイント固有の情報とは相違した前記監視の種類に合わせた注意を促すための警報情報を記憶し、
自車の現在位置情報と、前記交通監視ポイントの位置情報とに基づき、警報対象の交通監視ポイントを抽出し、
抽出した交通監視ポイントについての前記交通監視ポイント固有の情報が記憶されている場合にその交通監視ポイントについての前記交通監視ポイント固有の情報を出力する機能と、
抽出した交通監視ポイントについての前記監視の種類に対応した警報情報を出力する機能と
備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記監視の種類に合わせた注意は、注意を向けるべき方向であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記交通監視ポイントの属性情報として、特定不明を設け、
前記属性情報が特定不明の交通監視ポイントについて警報をする場合、予め決められた一般の注意警報を発するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の交通監視ポイント検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の電子機器における機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−211929(P2012−211929A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175578(P2012−175578)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2011−214787(P2011−214787)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】