説明

交通路用透光性パネル

【課題】高速で走行する車両や、車両に積載された貨物が衝突したり、交通路内の小石や砂利等が車両に弾き飛ばされて衝突した場合や、屋外で長期間使用した場合に、変色して美観を損ねたり、表面がヒビ割れて劣化してしまう等の不具合を生じさせない透光性パネルを提供する。
【解決手段】交通路に沿って配置して使用される交通路用透光性パネル1であって、該交通路用透光性パネルは、板ガラス3と板ガラスと3の間に、ポリカーボネート板4を樹脂中間層5を介して接着されたものであり、前記強化板ガラスを交通路側に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や線路等の交通路に沿って配置して使用される交通路用透光性パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や鉄道等の車両の走行により生じる騒音を軽減するために、道路や線路に沿って遮音壁とよばれる壁をその両側または片側に設置することがある。例えば、市街地を走る自動車専用道路および新幹線の線路は高架としその両側に遮音壁が設置され、採光のために、通常、透光性パネルが組み込まれている。
【0003】
透光性パネルが用いられる遮音壁には、遮音性能が要求されるとともに衝撃耐久性および設置が簡便であることが要求され、それらを満たすものとして、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の透明性樹脂板からなる1枚パネルが透光性パネルとして広く使用されていた。
【0004】
一方で、特許文献1には、道路に沿って配置して使用される道路用透光性パネルが開示されており、該透光性パネルはガラス板を樹脂中間層を介してはり合わせた合わせガラスで形成されたものである。透光性パネルの板材としてガラスを用いることにより、屋外使用における耐久性や美観が向上し、広く普及する趨勢にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−169957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車専用道路や鉄道の線路は、車両が高速で走行するため、車両や車両に積載されて貨物が透光性パネルに衝突してしまうことがある。また、車両が走行する交通路内の小石や砂利等が車両に弾き飛ばされ、遮音壁の透光性パネル部分に衝突することがある。
【0007】
前述した車両や貨物は透光性パネルに強い衝撃を与え、また、小石や砂利等のような衝突時の衝突面が小さな飛来物は、透光性パネルに対して局所的に強い貫通力を加えるため、透光性パネルは衝撃や貫通力に対して高い耐久性を有することが求められる。
【0008】
前述した樹脂を用いた透光性パネルのうち、ポリカーボネート樹脂は上記のような貫通力や衝撃に対する耐久性に優れた素材であるが、一方で、屋外で長期間使用した場合、変色して美観を損ねたり、表面がヒビ割れる等の不具合が生じてポリカーボネート自身が劣化してしまうという問題があった。
【0009】
引用文献1に記載された透光性パネルは、交通路側に強化板ガラスが配置されるものであり、ポリカーボネート樹脂に見られるような不具合が生じない。しかし一方で、ガラス板はその特性上、前述したような飛来物の貫通力に対する強度が低く破壊され易いことから、その破片が飛散してしまうことがあり、高速で車両が走行する交通路に沿って配置するには飛来物への対策が不十分であった。
【0010】
本発明は美観を損ねることなく、交通路用に利用可能な耐久性を有する透光性パネルを得ることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、交通路に沿って配置して使用される交通路用透光性パネルであって、該交通路用透光性パネルは、板ガラスと板ガラスとの間に、ポリカーボネート板を中間樹脂層を介して接着されたものであることを特徴とする交通路用透光性パネルである。
【0012】
また、本発明は、通路側に配置される板ガラスが、強化ガラスであることを特徴とする交通路用透光性パネルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、美観を損ねることなく、衝撃や貫通力に対して耐久性を有する交通路用透光性パネルが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の交通路用透光性パネルの一例の側面の拡大図。
【図2】本発明の交通路用透光性パネルの強化板ガラスを用いた一例の側面の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、板ガラスと板ガラスとの間に、ポリカーボネート板を中間樹脂層を介して接着された交通路用透光性パネル(以下、透光性パネルと記載することもある)であり、好ましくは、交通路側に強化板ガラス面、民地側にガラス板面が向くように配置される。
【0016】
また、ポリカーボネート板を板ガラス間に内包することにより、耐衝撃性及び耐貫通性を向上せしめることが可能となる。ポリカーボネート板はガラスより耐衝撃性及び耐貫通性に優れており、特に飛来物の貫通が大幅に抑制される。また、ポリカーボネート板が貫通された場合、該ポリカーボネート板は貫通孔を生じるが、ガラス板のように破片を生じ割れることはなく、板形状を維持することが可能である。それにより、ガラス片が生じたとしてもポリカーボネート板と接着している中間樹脂層が形状を維持することが可能となり、ガラス片が飛散することを防ぐことが可能となる。
【0017】
図1及び図2は、本発明の交通路用透光性パネルの一例の側面の拡大図である。図1及び図2に示すように、透光性パネル1は、板ガラス3又は強化板ガラス2、板ガラス3、ポリカーボネート板4、を樹脂中間膜5、6を介して接着させてなる。
【0018】
強化板ガラス2及び板ガラス3に用いられるガラスは、好適な可視光線透過性を示すものであれば特に限定されるものではないが、例えば、通常使用されているフロ−ト板ガラス、又はロ−ルアウト法で製造されたソーダ石灰ガラス等無機質の透明性があるガラスを使用できる。当該ガラスには、クリアガラス、高透過ガラス等の無色のもの、熱線吸収ガラス等の緑等に着色されたもの共に使用可能で、可視光透過率を考慮すると、クリアガラス、高透過ガラス等の無色ガラスを使用することが好ましく、また、ポリカーボネートは紫外光が照射されることにより黄変を生じるため、熱線吸収ガラスを使用することが好ましい。また、強化板ガラス2は、上記のガラスを風冷強化、化学強化等の各種強化方法を用いて強化された強化ガラスであればよい。
【0019】
板ガラス3は強化板ガラス2を用いるのが好ましく、特に交通路側に用いるのが好ましい。また、民地側の板ガラス3は、強化ガラスとしてもよく、網入りガラスを用いてもよい。網入りガラスを用いる場合は、両面磨き仕上げ、および型板ガラスがあるが、本発明の交通路用透光性パネルには、視認性の高い両面磨き仕上げの網入り板ガラスを用いてもよい。
【0020】
また、市街地に透光性パネルを設置する場合、反射光によるギラつきを防止するために、強化板ガラス2及び板ガラス3に防眩機能を有する塗装膜や機能層を形成するのが好ましい。
【0021】
また、ポリカーボネート板4が紫外光により黄変するのを防止するために、強化板ガラス2及び板ガラス3の面上に、熱線の吸収性能または反射性能を有する機能性薄膜を貼着または形成するのが好ましい。
【0022】
樹脂中間層5、6を形成する樹脂中間膜としては、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタンなどを主成分とする中間膜または化学組成を変えて粘性等の物性を異ならせた透明樹脂を積層させて遮音性能を高めた遮音性中間膜が挙げられる。接着強度を考慮した場合、ウレタンを主成分とする中間膜を使用することが好ましい。
【0023】
上記の樹脂中間膜は、熱線吸収機能や熱線反射機能を有するものを用いるのが好ましく、また、該樹脂中間膜上に熱線吸収機能や熱線反射機能を有する機能性層を形成してもよい。該機能性層としては、塗膜、スパッタリング膜、樹脂膜、等様々な形態の膜を使用することが可能である。更に、上記熱線吸収機能や熱線反射機能を有する微粒子を樹脂中間膜及び機能層の膜に分散させてもよい。
【0024】
板ガラス3又は強化板ガラス2、板ガラス3、ポリカーボネート4の間に、上記のポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン、遮音性中間膜等の透明性樹脂からなる樹脂中間膜5、6を挟み込んだ後で加熱溶融させて、直接接着させて合わせガラスとし透光性パネル1に使用する。
【0025】
このとき、ポリカーボネート板4と、強化板ガラス2及び板ガラス3とは、加熱に対する熱膨張率が異なるため、ポリカーボネート板4がたわみ等の変形を生じ易い。本発明のようにガラス板の間に矜持させることにより、上記の熱による変形を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 交通路用透光性パネル
2 強化板ガラス
3 板ガラス
4 ポリカーボネート板
5 樹脂中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通路に沿って配置して使用される交通路用透光性パネルであって、該交通路用透光性パネルは、板ガラスと板ガラスとの間に、ポリカーボネート板を中間樹脂層を介して接着されたものであることを特徴とする交通路用透光性パネル。
【請求項2】
交通路側に配置される板ガラスが、強化ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の交通路用透光性パネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の交通路用透光性パネルを有する道路用又は鉄道用の遮音壁。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の交通路用透光性パネル有する道路用又は鉄道用の防護柵。


【図1】
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【図2】
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