説明

人または動物の体の組織または器官とくに眼球の後部部分のエコーグラフ検査用超音波トランスデューサの使用

【課題】人または動物の体の組織または器官のエコーグラフ検査装置を提供する。
【解決手段】公称励振周波数が20MHzより高く、約20mmから約25mmの焦点距離の超音波トランスデューサに結合されているトランスデューサ装置と、検査の後で後方散乱させられた無線周波数信号を増幅および保存する装置であって、好ましくは、増幅された信号を記録する装置に組合わされた装置と、画像の形で信号を処理する装置と、組織の特徴付けを実行するために信号を処理する装置との少なくとも1つの装置に関連する装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人または動物の体の組織または器官の、とくに眼球の、ことに眼球の後部部分の、更に詳しくいえば黄斑部のエコーグラフ検査法を実施する装置のための高周波、長焦点超音波トランスデューサの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
C.PalvinおよびF.Fosterが高周波エコーグラフ装置(50MHz)による眼の検査についての一連の研究について最初に発表した。
【0003】
研究所の装置に関する1990年における彼等の最初の発表(C.J.Palvin、M.D.Sherar、F.S.Foster:無損傷眼の表面下超音波顕微鏡画像形成(Subsuface ultrasound microscopic imaging of the intact eye)、Opthalmology 97:244、1990、およびC.J.Palvin、M.Easterbrook、J.J.Hurwitz、K.Harasiewiccz、F.Stuart Foster:前部強膜疾患の評価における超音波バイオマロスコピー(Ultrasound biomicroscopy in the assesment of anterior scleral disease)、American Journal of Opthalmology、1993年11月号、116:628〜635)以来、非常に多くの研究がこの革新を継続し、Humphrey−Zeissにより超音波バイオマイクロスコープ(UBM)の商品名で販売された装置が出現した。それ以後多くの研究者がその技術を用いて生体内の前部の二次元(2D)検査についての発表を増大した。
【0004】
J.Colemanの支援の下にR.Silverman、V.Allemann,およびD.Reinsteinによるいくつかの論文は単なる2D画像形成の段階をはるかに越えており、周波数内容の分析をそれに関連付けた。
【0005】
その高周波エコーグラフの主な革新は、それの軸線方向および横方向の解像度が約50μmで、生体内の表面視覚膜外皮(superficial ocular membrane envelope)を巨視的組織学的部分に匹敵するやり方で検査することを可能にしている。
【0006】
この技術の主な限界は実験装置または商用装置の分析深度が浅いことにある。ほとんどの論文が、幅4mmで深さ4mmの窓に関し、そのために観察がレンズの後面に達することなく眼の前部に限られ、または毛様体偏平部の上でトランスデューサを動かしながら後部部分のすぐ前の部分に観察が限定されていた。超音波ビームの周波数が高くなると、ビームが通る媒体によるビームの減衰が増大する。
【0007】
50MHzないし80MHzのトランスデューサを用いることにより網膜上で50ミクロンの解像度を得ることを望むことは非現実的であるように見えるが、我々の目的は後の部分の映像の解像度の大幅な向上を達成することであった。眼を写真機と比較すると、前部部分が対物レンズとして作用して光学的問題を共有し、後部分は、写真フィルムとして作用する網膜によって構成されている特殊な組織により視覚的潜在能力を決定する。
【0008】
網膜検査の質を向上させる必要性には2つの重要な概念が関連させられている。それらの概念は、 ・現在では、希望を持たせるような研究にもかかわらず、網膜移植の可能性は無いが、前部の重要な要素は交換できる(角膜移植、白内障手術)、 ・網膜視細胞の最高の集中は黄斑として知られている非常に小さい領域に位置している。視力はそれの完全性に依存している。
【0009】
一般的な規則として、それはバイオマイクロスコピーおよび血管造影などの光学的手段によって検査されている。しかし、そのような検査は眼の媒体の透明性に関連する諸問題(白内障、出血)により制約され、それらはたかだか網膜の平面像を提供するだけである。
【0010】
Bモード・エコーグラフィは網膜の断面映像を提供し、硝子体−網膜の関係を一層正確に検査する。しかし、10MHz装置の解像度は網膜を全体的に検査するためには十分であるが、血管造影ほど微細である黄斑領域の分析は行わない。
【0011】
更に、10MHzのエコーグラフにより前部部分の検査を行うためには、焦点区域を前部部分の上23mmに配置させるように適切なキュープル(cupule)での浸漬を行う必要がある。
【0012】
しかし、高周波装置の出現以来、映像解像度の違いは、10MHzのエコーグラフによる前部部分の検査は2番手まで等級が低下したようなものである。
【0013】
世界的な規模で販売されている唯一の装置(UBM)は最大深度4mm、軸線方向解像度が50ミクロンで2D映像を生ずる50MHz装置である。更に、その装置は4mmの幅に制限された窓を表示するが、それは単一のB−走査部分内で前部部分全体を検査するためには不十分である。3D映像を生ずるためおよび組織を特徴付けるための付属機能が製造者により提供されていない。
【0014】
1990年におけるC.Palvin、およびF.S.Fosterによる初期の研究は、前部部分の2D映像を生ずるために50MHzないし100MHzのプローブを有する研究装置を用いて行われた。その装置を用いて、前部部分の解剖学的および生理学的検査に関する種々の研究成果が発表された(C.J.Palvin、J.A.McWhae、F.S.Foster:前部部分腫瘍の超音波バイオマイクロスコピー(Ultrasound biomicroscopy of anterior segment tumour):Opthalmology99:1222、1992、およびC.Tello、T.Chi,G.Shepps、J.Liebmann、R.Ritch:pseudophakic悪性緑内障における超音波バイオマイクロスコピー(Ultradound biomicroscopy in pseudophakic malignant glaucoma):Opthalmology、1993、Vol.100、9:1330〜1334)、およびとくに緑内障病理学における紅彩−角膜角(irido−corneal angle)およびそれの形態変化 (morphological variations)が研究された。いくつかの論文が、50ミクロンないし60ミクロンの解像度のB−走査セクションで、紅彩の腫瘍の映像を与えて、それらの病変のエコー構造(echostructure)を表示可能にし、かつそれの限界をより良く定めることを可能にもした (C.J.Palvin、J.A.McWhae、J.A.McGowan、F.S.Foster:後部分腫瘍の超音波バイオマイクロスコピー(Ultrasound biomicroscopy of anterior segment tumour Opthalmology99:1222、1992、およびL.Zografos、L.Chamot、L.Bercher:前部ぶどう膜黒色腫の保存的処置に対する超音波バイオマイクロスコピーの寄与(Contribution of an Ultrasound biomicroscopy to conservative treatment of anterior uveal melanoma)、Klin.Monast.Augen.、1996;208(S):414−417)。
【0015】
同じ著者たちが、高い解像度で後部分に接近することによって、たとえば、眼内移植の位置を監視することを含む白内障外科手術後の患者の監視を可能にすることを示した。同様に、緑内障の手術後に、外科処置の有効性を確認できることが多大な進歩に寄与した。
【0016】
その装置の商用版(Aeiss−HumphreyのUBM)が、色素(pigment)緑内障の生理学および悪性緑内障の生理学についてのC.Telloによるものなど、非常に多くの国際的な発表の基礎を提供した(C.Tello、T.Chi、G.Shepps、J.Liebmann、R.Ritch:pseudophakic、悪性緑内障における超音波バイオマイクロスコピー (Ultradound biomicroscopy in pseudophakic malignant glaucoma):Opthalmology、1993、Vol.100、9:1330〜1334)。
【0017】
J.Colemanのチームが、信号処理を用いて角膜検査の改良に関する、たとえば、角膜の種々の層の厚さを2ミクロンの解像度で示す角膜のMAPPUを可能にする、60MHzトランスデューサの研究装置を用いた。それを基にしてR.SilvermanとD.Reinsteinが1992年と1993年に研究を発表した(D.Z.Reinstein、 RH..Silverman、S.L.Trokel、およびD.J.Coleman:角膜パキメータ局所解剖学(Cornealpachymetric topography)、Opthalmology、1993年3月、Vol.103、3:432〜438、およびD.S.Reinstein、R.H.Silverman、M.J.Rondeau、D.J.Coleman:高周波デジタル信号処理による上皮細胞および角膜測定(Epithelial and corneal measurements by high frequency ultrasound digital signal processing)、Opthalmology、1994年1月、Vol.101、1:140〜146参照)。 そのチームは既に、70年代および80年代における10MHzエコーグラフによる眼の腫瘍の組織特徴付けにおける最も進歩したものの1つであったので(D.J.Coleman、F.L.Lizzi:眼の腫瘍のコンピュータ化超音波組織特徴付け(Computerized ultrasonic tissue characterization of ocular tumors、American Journal of Opthalmology、1983年;96:165−175参照)、N.Allemannの業績によって、高周波での前部部分の定量分析についての最初の発表が1993年に同じ研究所から行われたのは当然であった(N.Allemann、W.Chanon、R.H.Silverman、D.T.Azar、D.Z.Reinstein、W.J.Stark、D.J.Colman:エキシマレーザ角膜切除後の角膜傷の高周波超音波定量分析(High frequency ultrasound quantitatve analysis of corneal scarring following eximer laser keratectomy)、Arch.Opthalmol.、1993;111:968−973、およびN.Allemann、R.H.Silverman、D.Z.Reinstein、D.J.Colman:前房出血における高周波超音波映像形成およびハイフェマのトラウマ殊分析(High frequency ultrasound imaging and special analysis in trauma to hyphema)、Opthalmology、1993年9月号;Vol.100、9:1351−1357参照)。
【0018】
1995年に、R.Silvermanは前部部分の種々の病理学の50MHzで得られた後方散乱されたパラメトリック映像の3D再構成について発表した(R.H.Silverman、他:前部部分病理学の三次元高周波超音波パラメータ映像形成(Three−dimensional high frequency ultrasound parameter imaging of anterior segment pathology)、Opthalmology、1995、102、837−843参照)。
【0019】
超音波エコーグラフにより後部部分を分析するという疑問についての文献による検索によって、たった4件の刊行物が見付かった。それらの全ては、後部部分のほとんどの前方部分についてUBMを用いて行われたものであった。それらの刊行物は、1994年に、T.Boker等が毛様偏平部硝子体切除術後の強膜切開術の研究について発表した(T.Boker、M.Spitznas:毛様偏平部硝子体切除術後の強膜切開術場所検査用超音波バイオマイクロスコピー(Ultrasound biomicroscopy for examination of the sclerotomy site after pars plana vitrectomy)、American Journal of Opthalmology、1994:15;118(6);613〜815参照)。
【0020】
・1995年に、C.Azzolini等が硝子体腔の前部分における硝子体内シリコーン残滓の存在の映像化を行った(C.Azzolini、L.Pierro、M.Condenotti、F.Bandello、R.Brancato:シリコーンオイルの眼内使用後の超音波バイオマイクロスコピー(Ultrasound biomicroscopy following the intraocular use of silicone oil)、International Opthalmology 1995−96、19(3):191−195参照)。
【0021】
・1996年にL.Zogarfosが(L.Zogarfos、L.Chamot、L.Rercher:前部ぶどう膜黒色腫の保存的処置に対する超音波バイオマイクロスコピーの寄与(Contribution of ultrasound biomicroscopy to conservative treatment of anterior uveal melanomia)、Klin.Monast.Augen.、1996;208(5);414−417参照)毛様体に接触しているか、接近しているぶどう膜黒色腫の55例についてのUBM研究を発表した。その研究の結論は、高周波超音波信号の高い減衰のために眼の壁のすぐ近くに位置している構造へのUBMの使用が制限されることを示している。しかし、保存的処置後のぶどう膜黒色腫の監視における高周波エコーグラフの寄与はかなりなものであることが見受けられた。および、 ・1997年に、A.ミナモト等が(A.ミナモト、K.E.ナカノ、S.タニモト:硝子体切除術後の持続的低眼圧の診断における超音波バイオマイクロスコピー(Ultrasound biomicroscopy in the diagnosis of persistent hypotony after vitrectomy、American Journal of Opthalmology、1997;123(5):711−713)硝子体切除術後の低眼圧の場合に前部部分と後部部分との接合部にある毛様体(ciliary body)の分離について研究した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
数多くの文献が19MHzエコーグラフにおける後部部分での研究に関するものであって、とくに黄斑領域での研究が調べられている。
【0023】
国際文献の最近の論評には10MHzより高い周波数の共通に使用されたプローブでのエコーグラフよる黄斑領域の検査に関する刊行物は見られない。
【0024】
われわれの研究の独自性は、黄斑分析の解像度を高くすることにより、硝子体内2D図像学(iconography)における改良にあるのであって、3D映像を発生するための道を切り開くものである。
【0025】
まったく驚くべきことに、既存の装置では組織内への浸透が4mmないし5mmの深さに制約されているために既存の装置では不可能であると考えられていた、眼球の後部部分の高周波エコーグラフ分析が、約25mmに焦点を合わされた50MHzプローブを用いることにより実際に行えることが判明している。したがって、優秀な諸条件の下で、眼球の後部分およびとくに黄斑領域を本発明によって分析することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明が、人または動物の体の組織または器官の、とくに眼球の、ことに眼球の後部部分の、更に詳しくいえば黄斑領域の、および動眼筋肉、眼窩脂肪、および視神経などの、眼球の背後に位置している組織の、エコーグラフ検査装置の製造における、公称励振周波数が20MHzより高く、好ましくは50MHzないし80MHzの範囲内にあり、焦点距離が10mmより長くて、好ましくは約25mmより長い、超音波トランスデューサの使用に関するものである理由がそれである。
【0027】
本発明に関連して検査するのに適切である組織または器官の例として、皮膚の種々の層、筋肉、および腱、甲状腺、肝臓、およびすい臓について述べることができる 本発明は、眼球の後部分および前記眼球の背後にある組織を検査することが望まれた時に、超音波ビームが眼のレンズにより吸収されることを阻止するために超音波トランスデューサが毛様体偏平部の上を動かされる超音波トランスデューサの使用にも関するものである。
【0028】
超音波ビームが眼のレンズにより吸収されることを避けるために超音波トランスデューサが毛様体偏平部の上を動かされることが好ましい。
【0029】
最後に、本発明は、10mmより、好ましくは約25mmより長い、長い焦点距離の超音波トランスデューサに結合されている高周波(20MHzないし200MHz)トランスデューサ装置と、 検査の後で後方散乱させられた無線周波数信号を増幅および保存する装置であって、好ましくは、増幅された信号を記録する装置に組合わされた装置と、画像の形で信号を処理する装置と、組織の特徴付けを実行するために信号を処理する装置との少なくとも1つの装置に関連した装置と、を備えるエコーグラフ検査装置にも拡張される。
【0030】
本発明の有利な特徴によれば、そのような装置は、眼の前方壁の付近を動かされるように制御されるプローブの形で実現される超音波トランスデューサを備えている。その動きは、直交する2本の軸線に沿って行うことができ、または円弧状経路に沿って行うことができる。
【0031】
プローブは2本の直交変位軸線に直交する第3の軸線に沿って焦点を合わせることができ、または電子焦点装置を使用することにより、動かすことなく焦点を合わせることができる。
【0032】
本発明においては、プローブはプラスチック物質の膜により保護されているので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】10MHzでの従来のB走査の画像(上図)の間の比較を示す。
【図2】後壁に小さな起伏がある6番の眼球の黄斑領域を通る10MHzエコーグラフ断面を示す。
【図3】窓内で選択された振幅パラメータを変化している間に得られた種々のC走査を示す。
【図4】AVSプログラムを適用した後で得られた3D図の1つをプリントした結果を示す。
【図5】3番目の眼球の、同じ黄斑領域を通る、巨視的組織学的断面(左の図)と超音波顕微鏡断面との比較の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、使用する実験装置および方法の例について、とくに、観察された主な結果を示す添付図面を参照して説明する。
【0035】
実験は各種の眼球に対して行った。
【0036】
動物の眼球: ペントバービタールの過剰投与により安楽死させた直後のニュージーランドラビットの眼に対して最初の試験を行った。エコーグラフ分析の前に、9/1000塩化ナトリウム溶液内に置き、対象とする同じ部位を種々のセンサで観察可能にする保持装置によりセンサの下に眼球を置いた。それらの眼球は、センサを、角膜上および前部部分上でのピント合わせを比較するために用いた。
【0037】
Bouin溶液内で固定された豚の眼を、25mmに焦点を合わされた50MHzプローブの最初の試験のために用いた。豚の眼球の大きさは人の眼球に非常に近く、後部部分の検査のための良いモデルを提供する。
【0038】
人の眼球 科学のために献体した病気だった3人の人から得た人の眼球6個を我々は用いた。
【0039】
・眼球1と2は、眼球摘出の2月前に、特定の病理なしに死亡した75才の人からきたものである。
【0040】
・眼球3と4は、眼球摘出の14日前に、脳血管事故で死亡した48才の人からきたものである。
【0041】
・眼球5と6は、眼球摘出の7日前に、高速道路事故で死亡した41才の人からきたものである。
【0042】
死体は冷凍して保存された。そのために角膜上に、白くて細いすじ状のかなりの接眼人工物が生じ、かつ硝子体上に硝子体内繊維状の人工物が生じた。
【0043】
眼球自体には引っ張り力を及ぼすことなしに、結膜辺縁(limbus conjunctivae)の切断(dissection)と、動眼(ocularmotor)筋肉のフッキング(hooking)および切開とにより、その後で、先端部が丸められている湾曲したはさみを用いて動脈と視神経および後部毛様体神経を切断することによって摘出が行われた。
【0044】
各眼球対に対して、眼球の一方が、摘出の1時間以内の新鮮である研究すべき生理学的血清中に直ちに置かれた。エコーグラフによる研究が終了した後で、新鮮な眼が摘出された夜よりも遅くなくBouin溶液によって固定された。
【0045】
第2の眼球は、後で分析されるように、摘出後直ちにBouino溶液によって固定された。
【0046】
6個の眼球は全て似ている外観のものであって、張力(tension)が非常に小さいので、眼球を球形に戻すためにインシュリン注射によって血清を眼に再び満たすことを要する。網膜の医原性剥離を避けるために、毛様体偏平部内への注入により硝子体腔内に数立方センチメートルが注入された。自己封じ逆角膜切開(self−sealing inverse corneal incision)により前房内に血清を注入することにより眼への再充填は終了させられた。この注入の目的は。レンズが硝子体内注入単独の作用の下に前方へ動くと、紅彩ー角膜角を人工的に閉じて前房を偏平にするので、その動きを阻止するためであった。
【0047】
各眼球は従来のエコーグラフ(10MHz)を用いて、その後で超音波顕微鏡(50MHz)を用いて分析された。準備が行われた後で、人の眼球は組織学的分析のために研究所へ送られた。
【0048】
使用した各種の装置を以下に簡単に説明する。
【0049】
超音波顕微鏡 各種のフッ化ポリビニリデン(PVDF)トランスデューサをPanametrics 5900トランスデューサにより励起して広帯域超音波ビームを発生した。
【0050】
後方散乱させられた超音波信号を増幅し、その後で、Lecroy 9450A発振器により400MHzの標本化周波数で8ビットにデジタル化した。各獲得ごとに、信号対雑音比を高くするために、信号をオッシロスコープで平均化した。その後で、無線周波数信号の包絡線をヒルベルト変換で計算した後で、Dell 486 PCコンピュータがA−走査を処理し、B−モードで映像を再構成した。
【0051】
直交している2本の変位軸XとYに沿って動く高精度(0.1μm)スッテピングモータ(Newport Microcontrol)によって、三次元情報が獲得可能にされた。モータはPCにより制御した。
【0052】
後部分の3D獲得のために、X変位ステップが100μmに選択し、Y軸ステップは200μmであるように選択した。
【0053】
平均して、獲得フィールドは14mm(X軸に沿って)×8mm(Y軸に沿って)であった。X軸に沿って140本の線があり、Y軸に沿って40本の線があった。各線は標化科周波数(200MHzまたは400MHz)の関数として2000個または4000個の点を有していた。
【0054】
獲得深さは平均して8mmであった。
【0055】
PVDFトランスデューサ 後部分の検査のために焦点距離がかなり短いプローブを使用した。
【0056】
・80MHzで放射する、焦点距離が7.5mm、直径が3mm、焦点における中心周波数が60MHzであるKrautkramerプローブ。それの軸線方向解像度は20μmないし30μm、横方向解像度は60μmないし80μmであった。
【0057】
・33MHzで放射する、焦点距離が12.5mm、直径が6mm、焦点における中心周波数が26MHzであるSofratestプローブ。それの軸線方向解像度は64μm、横方向解像度は120μmであった。
【0058】
網膜を検査するために、超音波ビームが毛様体偏平部を経て眼球を通過できるようにするために十分である焦点距離を持つプローブを我々は使用した。それは、50MHzで放射する、焦点距離が25mm、直径が6mm、焦点における中心周波数が28MHzであるPanametricsプローブであった。生理学的血清内での焦点におけるそれの軸線方向解像度は70μm、横方向解像度は125μmであった。
【0059】
有利なことに、本発明に従って、眼球とエコーグラフプローブの間で結合を行う溶液にトランスデューサの活動部分が接触するようになることを阻止するようにトランスデューサを被覆するプラスチック物質の(粘着フィルム型の)フィルムすなわち膜によって、全てのプローブは浸漬浴から分離された。
【0060】
現在では、既知の装置では、用いられるプローブはトランスデューサのための何等特殊な保護なしに浸漬浴中に直接入れられている。これにはトランスデューサを再び使用できる前にそれを消毒することを要する。その消毒は完全に満足できるやり方では行われない。
【0061】
10MHzエコーグラフ装置 高周波装置により得られた網膜の像は、プローブが23mmに焦点を合わされていて、軸線方向および横方向の解像度が約1mmである従来の10MHzエコーグラフィによって得られた像と比較される。これは現在のやり方で利用できる種類の検査にすぎない。
【0062】
超音波顕微鏡でデータを獲得する直前に我々はコンパクト装置(BVIからの)で眼球の画像を得た。その装置は現在入手できる最高の性能の眼エコーグラフィ装置の1つである。
【0063】
後壁から来る信号の周波数応答の分析: 超音波バイオマイクロスコープによって得られた網膜像を分析して後部壁の周波数応答を発見した。後部眼壁の周波数応答をとくに分析するためには、対象とする区域を選択することが実用であった。
【0064】
無線周波数信号に戻って、各眼球の10個の映像を無作為に選択した。第1の側壁ピーク(parietal peak)を検出するように、それらの映像の種々のA走査をしきい値処理した(thresholded)。この第1のピークからA走査線が零へ向かって移動させられ、全ての点に零の値が与えられていたその千の端部に硝子体部分がずらされた。減少されたこのしきい値処理によって、前方に向かって窪んでいるBモードでの側壁像から零からスタートしている垂直側壁像(parietal iomage)まで行くことが可能にされる。このステップによって分析窓をより良く選択することが可能にされ、黄斑壁の全部に焦点が合わされる。
【0065】
周波数応答の線ごとの解析のために高速フーリエ変換周波数領域に(FFT)を用いて周波数領域に入った。
【0066】
解析された点が側壁点(parietal point)に本当に一致するようにするために、代わりに、網膜が位置させられている後部壁の前部部分を解析するように、解析を点100から点128まで窓で囲んだ(windowed)。それは周波数応答曲線が、考察中の窓に対して、線ごとに、どのようにして得られたかを示すものである。
【0067】
各断面に対して、全ての線の平均を求めた。その後で各眼に対して無作為にとった10の断面において平均を求めた。
【0068】
網膜の3D画像化 X軸とY軸に沿って直線走査する超音波顕微鏡により網膜の画像が得られた。得られたデータを2つの異なるやり方で処理して画像の再生を改良し、医師が容易に認識できる表示を得ることを求める。
【0069】
データの第1の表示はエコーグラフィにより検査される眼の後ろの平面映像を提供するC走査表現を用いた。比較によって、網膜の血管撮影型表現になじんでいる眼科医が理解できる黄斑領域の映像を得る各種の方法を我々は研究した。網膜が前部が開かれてくぼんでいたとしても、眼の後は平面写真の形でそれの上に再現される。
【0070】
3Dエコーグラフ獲得を基にして、C走査はX軸およびY軸に交わる平面を取ることを可能にする。そのような平行平面を複数個含む窓を選択することにより、この信号の振幅最大型、最小型、平均型、または中間型の演算子を用いた後は、C走査は情報を単一の平面画像に減少する。
【0071】
ユニックスおよびAVSソフトウエアの下で動作しているシリコン・グラフィック・ワ−クステーションを使用したデータの第2の表現。処理は以下のシーケンスに従う。
【0072】
・データを読み込む。
【0073】
・49個の点で平均を求め、その後で、オーバーサンプルされた画像のサイズを縮小するように7つの値から1つを保持することによりデータを減少する。
【0074】
・−32000ないし+32000の灰色調からデータ値を0ないし255の灰色調へ変換する。
【0075】
・しきい値操作(thresholding):対象とする領域を示すように、15のしきい値を0ないし255の範囲の値に加えた。
【0076】
・網膜に接触するようになる硝子体バンド間に関連させられている硝子体画像を解消するように31画素の長さを持つ水平構造を用いる形態学的開放動作。
【0077】
・硝子体−網膜アタッチメントに関連させられた人工物を解消するために3画素の長さを持つ垂直構造要素での形態学的開放動作。
【0078】
・黒い物体に対しては200より小さい寸法の穴に充填する(近接する領域による画素のラベル付け、およびその後の小さいスポットの解消を基にして)。
【0079】
・白い物体に対しては500画素より小さいサイズの物体を無くす。硝子体腔と眼の後部壁との間の境界を表す網膜の輪郭のみを保持するように黒画素または白画素の小さいスポットをなくすためにそれら2つの操作は役立つ。
【0080】
・輪郭の不規則さを減少するために横断面形状の数学的閉成操作。
【0081】
・このようにして得られた物体の表面の3D表示。カラーレーザプリンタを用いて画像は再生された。
【0082】
組織学: 人の眼球6個をパリ所在のHotel Dieu Hospitalのanatomocytoplathology眼研究所へ送った。
【0083】
全ての眼はBouinの溶液内で固定され、そのうちの半分は摘出直後に固定され、他の半分は新鮮な眼球に対するエコーグラフ分析後に、ただし、眼球摘出から固定までの間に12時間を越える時間が経過しないようにして、固定された。
【0084】
眼球を切断し、パラフィン内に封じ込め、その後で超ミクロトーム(Reichart OMU)を用いて非常に薄い(2μm厚)の断面を作成した。
【0085】
HESを用いて種々の断面を染色し、選択した顕微鏡を用いて分析を行った。
後部部分を検査している間に、下記の結果が観察された。
【0086】
25mmに焦点を合わされた50MHz(焦点の長さで28MHz)プローブを用いる可能性によって、通常の手法で使用できる黄斑(macula)の非侵襲的生体内検査のための基礎を置くように、種々の動物の眼球およびその後で人の眼球の毛様体偏平部の上にトランスデューサを我々が配置することが可能にされた。
【0087】
超音波ビームは最初は眼の周囲壁を通り、その後で硝子体腔全体を通って、最後に眼の後部壁に達する。トランスデューサに面する毛様体偏平部を露出させるように眼球を配置することにより、視神経円板(optic disk)の側頭部に配置されている黄斑領域において後部部分を直接検査できる。視神経円板は、より高い周波数におけるように、10MHzエコーグラフで識別できるマークである。
【0088】
固定されている豚の眼球に対して行われた最初の試験は、固定後の網膜組織の質が悪かったにもかかわらず後部壁を表示するのに役立った。しかし、行われた試験は、人の眼球の検査結果を最適にするようにエコーグラフデータを獲得する装置の種々のパラメータを調整することを支援した。
【0089】
ダンピングが50オームに設定されていたゼネレータに接続され、出力が2マイクロジュールである、25mmに焦点を合わされている50MHz Panametricsプローブで最良の画像が得られた。Lecroyオシロスコープが点ごとの30回の測定の平均化を行った。
【0090】
3D獲得が開始された時に、モータがX軸に沿って100ミクロンのステップで、およびY軸に沿って200ミクロンのステップで動いた。
【0091】
人の眼球の平均軸線方向長さは23.5mmであるので、オラ・セッラタ(ora serrata)上にトランスデューサを配置するとプローブの焦点を黄斑網膜(macular retina)上に合わせることが可能にされた。10MHzエコーグラフィにより得られた黄斑断面と比較された眼球1と2に行われた断面の分析によって、50MHz Panametricsプローブで得られた画像の解像度がより高い個とが示された。
【0092】
図1は、10MHzでの従来のB走査の画像(上図)の間の比較を示すものであって、眼球1番で、網膜壁に僅かな起伏をもって硝子体の再形成が存在することが分かる。
【0093】
より高い周波数の黄斑画像(下図)が、断面の底で見ることができる網膜フォールド(retinal fold)で得られた最初の画像の1つを示す。硝子体の細いバンドが網膜フォールドに取り付けられている。
【0094】
眼球3、4、5、および6で得られた画像はもっと鮮明である。
【0095】
図2は後部壁に小さな起伏がある6番の眼球の黄斑領域を通る10MHzエコーグラフ断面を示す。
【0096】
同じ領域を通る高周波断面は後部壁の変形を、従来のエコーグラフィでは検出されない硝子体牽引(vitreous traction)の存在とともにより正確に示す。
【0097】
それらのエコーグラフ画像はプラスチック物質のフィルムすなわち膜により被覆されている高周波プローブで得られたものであり、前部部分を検査するために現在販売されている装置のプローブは浸漬浴から保護されていないトランスデューサを使用している。
【0098】
網膜信号の周波数応答の解析: Panametricsプローブの放射周波数(50MHz)と、血清中の焦点におけるそれの最高周波数(28MHz)とが与えられると、眼の媒体を通った後の焦点の近くで実際に見出される最高周波数の測定を我々は始める。後部部分の画像の空間解像度を決定するのはこの周波数である。100本の無線周波数線(radiofrequency line)でしきい値操作(thresholding)を行い、かつ網膜の最初の点を零まで移動させた後で、FFTが各網膜画像に対する周波数応答の平均曲線を与えた。
【0099】
6個の眼球のおのおのの無作為に選択された10個の断面についてこの操作を行うと、同じプローブの焦点において測定されたそのプローブからの28MHzより僅かに低い21MHzの平均値が与えられた。この信号周波数変化は眼の構造(辺縁壁、および、減衰性のコラーゲン構造が、組織自己溶解および体の凍結に関連する死後の作り変え(reshape)によって劣化させられた硝子体腔)を通る超音波の波に起因するものである。
【0100】
眼球3と4はより高い周波数応答(22.033MHzおよび21.638MHz)を有していた。その理由はガラス体液がより良い状態にあり、したがって超音波ビームの減衰が小さかったためであるかもしれない。
【0101】
この結果は、我々の研究で使用した超音波顕微鏡が、分析されている人の眼球の後部壁において21MHzの周波数、すなわち、信号の周波数減衰がはるかに小さい従来の10MHzプローブで現在見出されている周波数の最低2倍、を得ることを可能にすることを示す。
【0102】
我々の装置で焦点において得られる21MHzによって、眼の後部壁を検査した時に、従来の10MHz装置と比較して、最低2倍高い解像度を我々が得ることを可能にされた。
【0103】
3D獲得はC走査表現を種々の人の眼球に適用すること、したがって、眼の背後の平らな図を与えることを可能した。
【0104】
図3は窓内で選択された振幅パラメータを変化している間に得られた種々のC走査を示す。最良の情報を与えるのは信号の振幅に平均値を与えることである。関連する例は、眼の後部壁の表面上の網膜層と一緒にその後部壁の前部部分に対応する900の平面の窓を我々が選択した対象である3番の眼球に関するものである。
【0105】
・1番上の画像は解釈が困難である画像をもたらす最小型オペレータの適用を示す。
【0106】
・第2の画像は同じ900の平面上の最大型のオペレータの適用に対応するもので、曖昧な画像を出現させる。
【0107】
・第3の画像は眼の後ろの出現を識別するために役立つ平均化の結果であって、眼科医が毎日の診療で種々の拡大鏡で行っている観察に類似する。画像の1番上では視神経円板(optic disk)に対応する丸くされたハイポ・エコー発生(rounded hypo−echo−generating)構造を特定することが可能である。視神経円板からスタートして、より多くのエコーを発生し、かつ左下へ斜めに伸びる「カースト(cast)」を見ることが可能である。この画像は、この領域を通る種々のB走査において見出される最大網膜フォールド(retinal fold)に対応する。
【0108】
・得られた表現のうち、最後の画像は黄斑のある網膜(macular retina)の状態を明らかに、かつ有益に示すために最良である。この画像は中間型オペレータを獲得の同じ900の平面上に適用することによって得られたものである。網膜フォールドと視神経円板はほとんど実物のように現れ、臨床画像(clinical image)および従来の血管撮影に極めて良く匹敵する。
【0109】
C走査を用いることにより、たとえば、網膜の下の平面または視神経円板の深い層について研究することを可能にするように、種々の深さに配置されている平面の窓を選択することが可能である。この利点によって、介在する媒体に適用される透明諸条件とは無関係に、黄斑の深い平面に情報を与えることによりこの装置を血管撮影検査に対して高度に相補的なものにすることが可能にされる。たとえば、硝子質媒体内または網膜の表面層内に出血があった時に欠陥撮影は解釈が困難である。
【0110】
より有利な応用の1つが、年齢に関連する黄斑変性(ARMD)に関連する黄斑下血管新生膜(submacular neovascular membrane)を検査することかもしれない。この常に頻繁で高度に無効にする病変 (evermore frequent and highly invalidating pathology)は、顕微鏡的網膜下剖検により膜が取り出される極めて見込みのある新規な外科処置を受けている。組織学的レベルにおいてエコーグラフ画像形成に結び付けられている血管撮影検査はそれらの膜の形、大きさ、および厚さについてのよりよい理解を外科医に与え、しかもそれの網膜下関係の特定も行う。この種の画像形成は物理病理学(physiopathology)のよりよい評価を可能にもする。
【0111】
3D復元のための基礎として役立てるために3番の人の眼球を選択した。その眼球は最も容易に識別できる網膜フォールド(retina fold)を有する眼球であった。
【0112】
図4はAVSプログラムを適用した後で得られた3D図の1つをプリントした結果を示す。網膜面の前方に非常に明らかなレリーフを形成する網膜フォールドを識別することが可能である。しかし、それの輪郭は不整形であって、おそらく、網膜とガラス体液の間の不完全な区分化によって拡大される。
【0113】
そのような3D画像形成の対象は、とくに測定ボリューム(measure volume)が容易であるので、厚さを生じた時に、後部部分の病状のより全体的な図与えることである。臨床応用が、非常にしばしばである年齢に関連する黄斑変性と、かつ後部部分の腫瘍とにも迅速に向けられる。腫瘍では、我々の装置の利点は、それらの病変の体積と範囲を研究するばかりでなく、超音波の減衰パラメータおよび拡散パラメータを解析することによりそれの組織を特徴付けるように、無線周波数信号からの情報の全てを保存することである。
【0114】
種々の人の眼球の組織学的解析がはるかに巨視的に見ることができる全ての眼球における自己溶解を悪くする前部網膜物質の損失を生じた網膜の広範囲な衛死があるが、網膜は折り曲りで厚くなったように見える場所である後ポール(pole)と、人工物に起因する分離領域とで見えるままである。それは非常に自己溶解された層の間に核層を有する。
【0115】
しかし、層のこのスタックは困難なしに網膜を認識可能にする。網膜の折り曲げられた層と、網膜の焦点を厚くすることとが光学ディスク、自己溶解に抵抗した唯一の部分である、に近接する網膜の両側と、眼の開きまで見ることができる。
【0116】
脈絡膜面は毛様体面から走っていることが明らかに見ることができる。そこでは脈絡膜は、容易に認識される、比較的良く保存された導管および線維性構造である。
【0117】
図5は3番目の眼球の、同じ黄斑領域を通る、巨視的組織学的断面(左の図)と超音波顕微鏡断面との比較の例を示す。
【0118】
組織学的断面では、明らかな網膜フォールド(A)と、その後で図の上へ向かって、一連のあまり目立っていない網膜フォールドとを見ることができる。網膜下の空間は骨疽物質(B)により、その後で、それの保存されている血管構造によって認識できる脈絡膜(C)により占められている。筋状の外観の強膜壁(D)はどのような異常も呈示しない。
【0119】
エコーグラフ図では、エコー発生マージンの形で現れる同じ網膜フォールド (A)と、それに続く組織学的断面におけるのと同じ起伏とを見ることができる。網膜の下には、網膜下壊死に対応する少ないエコー(B)を発生する小さい空間がある。更に後ろには、脈絡膜に対応する、多くのエコー(C)を発生する円弧状層と、その後の、中間エコー発生性能(D)を有するように見える強膜壁とがある。
【0120】
したがって、エコーグラフにより認識される種々の網膜フォールドは網膜下壊死を有する死後網膜フォールドに対応するが、強膜の出現が保存されている。
【0121】
組織学的断面が超音波顕微鏡のB走査と比較されると、少ないエコーを発生することを見ることができる網膜下壊死物質により強膜から網膜が分離された時に、約400ミクロンで組織学的に測定された、網膜層のみを極めて明らかに認識することが可能である。
【0122】
この分析は、10MHzプローブの分析と比較すると、本発明により提供されるかなりの進歩を表す。
【0123】
それは、我々が採用した人の眼球上で見出される網膜フォールド、たとえば、ARMD、を含んでいる黄斑が濃くなった部分を解析することを可能にして、良いエコーグラフモデルを与える。
【0124】
視覚の良い質のために重要である眼のこの領域のより良い検査を達成する可能性は、最初に単に種々の黄斑病状を図解のための手段として、その後で高密度の光受容器を持つ眼の前記領域から来るエコーグラフ情報の定量分析を得るための手段として、この技術がより一層頻繁に使用されることになるという希望に導く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公称励振周波数が20MHzより高く、約20mmから約25mmの焦点距離の超音波トランスデューサに結合されているトランスデューサ装置と、
検査の後で後方散乱させられた無線周波数信号を増幅および保存する装置であって、好ましくは、増幅された信号を記録する装置に組合わされた装置と、画像の形で信号を処理する装置と、組織の特徴付けを実行するために信号を処理する装置との少なくとも1つの装置に関連する装置と、
を備える、人または動物の体の組織または器官の深く浸透するエコーグラフ検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、超音波トランスデューサは眼の前方壁の付近を動かされるように制御されるプローブの形で実現されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置であって、超音波トランスデューサは直交する2本の軸線に沿って変位させられることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2記載の装置であって、トランスデューサは円弧状に変位させられることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3記載の装置であって、超音波トランスデューサは2本の直交変位軸線に直交する第3の軸線に沿って焦点を合わせられることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の装置であって、超音波トランスデューサは電子焦点装置を使用することにより、動かすことなく焦点を合わされることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の装置であって、超音波トランスデューサはプラスチック物質の膜により保護されていることを特徴とする装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−240114(P2011−240114A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41552(P2011−41552)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【分割の表示】特願2000−525034(P2000−525034)の分割
【原出願日】平成10年12月18日(1998.12.18)
【出願人】(500288027)
【氏名又は名称原語表記】MICHEL PUECH
【Fターム(参考)】