説明

人体及び小型動物を撮影するためのコンピュータ断層撮影システム

X線源とX線検出ユニットとを具備するコンピュータ断層撮影装置。X線源は、電界を印加されたときに各々が電子を放出する複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットを有するカソードと、放出された電子の衝突を受けたときにX線を放出するアノードターゲットと、コリメータとを具備する。各電子放出ユニットは、電子電界放出材料を含む。電子電界放出材料は、ナノ構造化材料、又は複数のナノチューブ、又は複数のナノワイヤを含む。コンピュータ断層撮影方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(米国政府の後援による研究開発に関する宣言)
本発明の少なくともいくつかの側面は、契約番号N00014-98-1-0597の下に米国政府の支援を受けて達成された。米国政府は本発明について一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、X線放射源の電界放出カソードに関する。特に、本発明は、診断、撮影及び検査の用途に使用するのに適し、個別にアドレス可能なマルチビームX線を伴う線状X線放射源又は面X線放射源におけるカーボンナノチューブ電界放出カソード、並びにそのようなカソードの製造及び動作の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
以下の本発明の背景の説明の中では、特定の構造及び方法に言及する。ただし、その言及は、必ずしもそれらの構造及び方法が、適用される法の規定の下における従来技術であると認めたものと解釈すべきではない。出願人等は、参照された主題のうちのいずれも本発明に対して従来技術を構成しないことを明示する権利を留保する。
【0004】
コンピュータ断層撮影(CT)技術は、医療、産業及びセキュリティの分野で、撮影を目的として広く使用されている。典型的なコンピュータ断層撮影装置の構造は、大きな発展を遂げてきた。例えば、従来のX線撮影の場合、3次元(3−D)被検体を照射して、2次元(2−D)画像を形成する。その結果、照射方向の空間分解能は損なわれる。コンピュータ断層撮影システムにおいては、複数の異なる方向から被検体の投影画像を得ることにより、この限界を克服できる。通常、被検体は静止し、1つのX線源が被検体の周囲で回転し、異なる回転角で画像を生成する。その後、投影画像は収集され、被検体の3次元画像を再構成するために、それらの画像を使用できる。
【0005】
X線源の回転は、システムの設計に相当に大きな要求を課し、撮影速度を低下させる可能性がある。電子ビームコンピュータ断層撮影(EBCT)システムは、この問題に対処できる。典型的なEBCTシステムにおいては、カソードにより発生された電子は、1つの金属リング又は複数のリングから構成されるガントリの中に配置されたアノードの面に沿ってスキャンされる。スキャンは、電界及び磁界により実行される。しかし、この装置は高価であり、通常のコンピュータ断層撮影システムと比較して、かなり広いスペースを必要とする。従って、可搬性に優れ、費用効率のよい小型の静止X線源コンピュータ断層撮影システムが大いに望まれている。
【0006】
断層撮影システムなどのいくつかのシステムにおいては、X線源は固定され、投影画像を収集するために、被検体が回転される。マイクロコンピュータ断層撮影システムでは、通常、X線源は、被検体に対してファンビームを発生する。場合によっては、画像を記録するために、コーンビーム及び2次元検出器が使用される。被検体は回転され、回転角ごとに画像が収集される。2次元面検出器の一例は、X線光子を可視光に変換するシンチレーション結晶と、結晶の背後に配置され、画像を収集する電荷結合検出器(CCD)カメラとから構成される。一般に、固体検出器及び気体検出器も使用される。
【0007】
画質の観点からは、単色X線を使用するのが好ましい。これは、コンピュータ断層撮影による線形吸収係数測定が不可欠であり、この係数が、入射X線光子のエネルギーによって決まるためである。しかし、シンクロトロン放射源を除いて、多くのコンピュータ断層撮影システムにおいては、X線の強さを増し、それにより、データ収集時間を短縮するように、単色X線ではなく、連続エネルギーX線が使用される。多くのコンピュータ断層撮影システムでは、単一のX線源からのX線放射の不均一な空間分布及びX線ビームの発散を最小限にするために、X線源が被検体から遠く離れた場所に配置されることが多い。その結果、発生されるX線光子のうち、撮影に使用されるのは、そのごく一部である。
【0008】
完全定置型コンピュータ断層撮影システムを提供することが極めて望ましい。そのようなシステムは、患者の周囲でX線源を回転させる必要を少なくするか、又は回転を全く不要にする。更に、新規なX線源構造を、それらのX線源の精密制御と組み合わせることにより、撮影技術を開発でき、且つ現在のデータ収集方法を改善できる。
【発明の開示】
【0009】
(発明の概要)
コンピュータ断層撮影装置の一実施形態は、X線源とX線検出ユニットとを具備する。上記X線源は、電界を印加されたときに各々が電子を放出する複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットを有するカソードと、放出された電子の衝突を受けたときにX線を放出するアノードターゲットと、コリメータとを具備する。
【0010】
X線源とX線検出ユニットとを含み、上記X線源は、電界を印加されたときに各々が電子を放出する複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットを有するカソードと、放出された電子の衝突を受けたときにX線を放出するアノードターゲットと、コリメータとを具備するコンピュータ断層撮影装置を動作させるための方法の一実施形態は、電子を放出させるために、複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも第1のユニットに電界を印加するステップと、放出された電子をアノードターゲット上の複数の焦点のうちの1つに集束するステップと、放出された電子をアノードターゲットに衝突させ、放出X線放射を形成するステップと、放出されたX線放射をコリメートするステップと、コリメートされたX線放射を被検体に通過させるステップと、X線検出ユニットによってX線放射を検出するステップと、検出されたX線放射を記録するステップを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここで開示されるコンピュータ断層撮影のためのX線システム及びX線撮影方法は、米国特許出願第09/679,303号(名称「X-RAY GENERATING MECHANISM USING ELECTRON FIELD EMISSION CATHODE」)、米国特許出願第10/051,183号(名称「LARGE-AREA INDIVIDUALLY ADDRESSABLE MULTI-BEAM X-RAY SYSTEM AND METHOD OF FORMING SAME」)、及び、米国特許出願第10/309,126号(名称「X-RAY GENERATING MECHANISM USING ELECTRON FIELD EMISSION CATHODE」)、を含む我々の以前の開示内容に基づく。なお、これら全ての特許出願の開示内容全体は、この引用により、本明細書に組み込まれる。米国特許出願第09/679,303号は、ナノ構造を含む材料を組み込んだX線発生装置を開示する。米国特許出願第10/051,183号は、X線を発生するための構造を開示する。その構造は、カーボンナノチューブなどの電界放出材料で構成される基体(substrate)を用いた、複数の個別に電気的にアドレス可能な静止電界放出電子源を有する。この電界放出電子源は、プログラム可能なシーケンスで電子を電界放出するために、所定の周波数で電気的に切り替え可能である。
【0012】
コンピュータ断層撮影装置の一実施形態は、X線源とX線検出ユニットとを具備する。図1は、X線放射源100の一例の概略図を示す。X線源100は、電界(E)を印加されたときに各々が電子106を放出する複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニット104を有するカソード102と、放出された電子106の衝突を受けたときにX線110を放出するアノードターゲット108と、コリメータ112とを含む。
【0013】
実施形態においては、電子放出ユニット104は、電子電界放出材料を含む。例えば、電子電界放出材料は、ナノ構造化材料を含むことができる。別の例では、電子電界放出材料は、複数のナノチューブ又は複数のナノワイヤを含む。ナノチューブは、無機材料を含むことができる。例えば、ナノワイヤは、炭素、ホウ素、窒素、イオウ及びタングステンより成る群から選択された少なくとも1つの電界放出材料を含むことができる。ナノワイヤは、ケイ素、ゲルマニウム、炭素、酸素、インジウム、カドミウム、ガリウム、酸化物、窒化物、ケイ化物及びホウ化物より成る群から選択された少なくとも1つの電界放出材料を含むことができる。ナノワイヤは、化学気相成長、溶液合成及びレーザーアブレーションを含む様々な技術により製造できる。J. Hu他による論文「Chemistry and Physics in One Dimension: Synthesis and Properties of Nanowires and Nanotubes」(Accounts of Chemical Research、第32巻、435〜445ページ、1999年)は、それらの製造方法のうちのいくつかを説明する。この引用により上記文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
カソード102は、支持構造体114の上に配列された1つ以上の個別にプログラム可能及び/又はアドレス可能な電子放出ユニット104を含むことができる。一実施形態においては、電子放出ユニット104は、1つ以上の電子放出画素である。電子放出画素は、何らかの適切な電子源であればよい。一実施形態においては、電子放出画素は、複数の単壁カーボンナノチューブ(SWNT)、複数の多壁カーボンナノチューブ(MWNT)、複数の二重壁カーボンナノチューブ(DWNT)、又はそれらの混合物を含む電子電界放出材料などの電子電界放出源である。適切な電子電界放出源の例は、以下に示す文献に開示されるカーボンナノチューブを利用する電子電界放出源を含む。
【0015】
米国特許出願第09/296,572号(名称「DEVICE COMPRISING CARBON NANOTUBE FIELD EMITTER STRUCTURE AND PROCESS FOR FORMING DEVICE)。カーボンナノチューブを利用した電子放出構造を開示する。この引用によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
米国特許出願第09/351,537号(名称「DEVICE COMPRISING THIN FILM CARBON NANOTUBE ELECTRON FIELD EMITTER STRUCTURE」)。高い放出電流密度を有するカーボンナノチューブ電界放出構造を開示する。この引用によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
米国特許第6,277,318号(名称「METHOD FOR FABRICATION OF PATTERNED CARBON NANOTUBE FILMS」)。基板上に、パターニングされた接着カーボンナノチューブ膜を製造する方法を開示する。この引用によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
Bower他による、米国特許出願第09/679,303号(名称「X-RAY GENERATING MECHANISM USING ELECTRON FIELD EMISSION CATHODE」)。ナノ構造含有材料を組み込んだX線発生装置を開示する。この引用によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる
米国特許出願第09/817,164号(名称「COATED ELECTRODE WITH ENHANCED ELECTRON EMISSION AND IGNITION CHARACTERISTICS」)。第1の電極材料と、接着促進層と、接着促進層の少なくとも一部の上に配置されたカーボンナノチューブ含有材料とを含む電極、並びにそのような電極を組み込んだ関連装置を開示する。この引用によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
米国特許出願第09/881,684号(名称「METHOD OF MAKING NANOTUBE-BASED MATERIAL WITH ENHANCED FIELD EMISSION」)。ナノチューブを利用する材料の放出特性を改善するために、材料に異物種を導入する技術を開示する。この引用によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0016】
電子放出画素は、個別に制御できることが好ましい。例えば、各電子放出画素は、個別に電気的にアドレス可能であり、コントローラは、個別の電子放出画素に対して、あるいは1つの電子放出画素群又は複数の電子放出画素に対して、もしくは指定されたシーケンス又はパターンに従って、又は無作為になど、何らかの所望の方式で、電子放出画素に電界を供給できる。個別制御に適する方法は、米国特許出願第10/051,183号に開示されている。この引用により、その開示内容全体が本明細書に組み込まれる。米国特許出願第10/051,183号は、ターゲットの入射ポイントに向かって、プログラム可能なシーケンスで電子を電界放出し、それにより、周波数及び位置に関して、電界放出電子源の周波数及び位置に対応するX線を発生するために、所定の周波数で電界放出電子源を電気的に切り替えることにより、個別制御を実行することを開示する。その他の適切な制御方法は、米国特許出願第09/679,303号及び米国特許出願第10/309,126号にも開示されている。これらの引用により、開示内容全体が、それぞれ、本明細書に組み込まれる。その他の個別制御の例は、Brodie及びC. A. Spindtの「Vacuum Microelectronics」(Advances in Electronics and Electron Physics、第83巻、1〜106ページ、1992年)に開示されている。
【0017】
X線源は、ゲート電極を更に具備しうる。図1に示されるX線源100の実施形態は、カソード102とアノードターゲット108との間に配置されたゲート電極116を含む。ゲート電極116と、複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニット104のうちの1つ以上のユニットとの間に電界が印加されたとき、ゲート電極116は、複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニット104のうちの1つ以上から、放出電子106を抽出できる。例えば、ゲート電極106が、複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニット104のうちの1つ以上のユニットに関して、正電位であるように、電界を印加できる。電界の電界強度は、0.1ボルト/μm(V/μm)〜100V/μm、好ましくは0.5V/μm〜20V/μmであることが可能である。複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも1つは、0.01mA/cmを超える電流密度、好ましくは0.1mA/cmを超える電流密度に対して、3V/μm未満の放出閾値を有し、0.1〜100mAの総電流を放出する。一実施形態においては、100V/μmの電界に対して、放出電流は、ナノチューブ1つ当たり、ほぼ100μA以下である。
【0018】
図2は、62μm〜280μmのギャップ距離(gap distance)を有するカーボンナノチューブカソードに関して、電圧に対する電流密度(A/cm)を示す。ギャップ距離が短くなるにつれて、電流密度も減少する。表1は、所定の電界に対する電流密度の値を示す。図2及び表1の値は、単なる例であり、試料の作成状況及び測定の実行方法に応じて、値は大きく異なる場合がある。
【0019】
表1 カソードの放出特性
------------------------------------------------------------------
電流密度(mA/cm2) 電界(V/μm)
------------------------------------------------------------------
1 2
10 2.5
100 4
700 5.3
------------------------------------------------------------------
【0020】
図2及び表1に示される単壁カーボンナノチューブ膜の放出電流−電圧(I−V)特性は、直径1ミリメートル(mm)(アノード)を有する半球形集電装置を使用し、アノード‐カソード間距離を様々に変えて、5×10−8Torrの基準圧力で測定された。図2及び図2中の挿入グラフにより示されるように、カーボンナノチューブ膜は、1mA/cmの電流密度に対して、2V/μmの閾値電界を有する従来のファウラー−ノルトハイム挙動(Fowler-Nordheim behavior)を示す。W. Zhu、C. Bower、O. Zhou、G. P. Kochanski及びS. JinのAppl. Phys. Lett.、第75巻、873ページ(1999年)(この引用により、同文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。)に開示されるような前述の方法を使用して、有効放出面積が計算された。様々な電子流密度に対して対応する電界は、表1に記載される。1A/cmを超える放出電流密度は、容易に実現された。
【0021】
放出材料は、O. Zhou、H. Shimoda、B. Gao、S. J. Oh、L. Fleming及びG. Z. Yueの「Materials Science of Carbon Nanotubes: Fabrication, Integration, and Properties of Macroscopic Structures of Carbon Nanotubes」(Acc. Chem. Res.、第35巻、1,045〜1,053ページ、2002年)(この引用により同文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。)に開示されるようなレーザーアブレーション方法により製造された清浄単壁カーボンナノチューブ(SWNT)束であった。放出材料は、約95wt%のSWNT束を含み、平均SWNT直径は1.4ナノメートル(nm)、束直径は約50nmである。米国特許出願第09/996,695号(この引用により同文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。)に開示される方法とほぼ同様の電気泳動蒸着により、平坦な金属円板を、一様なSWNT膜によって被覆した。SWNT被覆膜と基板との接着を増強するために、熱蒸発、又は、米国特許第6,277,318号(この引用により同文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。)に開示される方法とほぼ同様の電気化学めっきにより、ナノチューブ蒸着前に、まず、基板の表面に鉄の中間層を付着させた。ナノチューブ膜の厚さ及び実装密度は、電流、蒸着時間及びナノチューブ懸濁液の濃度により調整された。膜は、使用前に、800℃で真空熱処理された。
【0022】
コンピュータ断層撮影装置の一実施形態は、X線検出ユニット118を更に含む。どのようなX線検出ユニットでも、使用可能である。例えば、X線検出ユニットは、X線シンチレーション材料とデジタル画像収集装置とを含むことが可能である。適切なデジタル画像収集装置は、電荷結合素子(CCD)、あるいは固体撮影装置又は気体撮影装置を含む。更に、データの収集、格納及び再構成のために、コンピュータ断層撮影装置は、X線検出ユニットと、コントローラ、記憶装置又は複合式コントローラ/記憶装置120との間に、制御システムを有することができる。デジタル画像収集装置は、X線放射のX線強度をデジタル記録する。撮影されるべき被検体、例えば、被検体支持台上に載置された被検体の大きさ及び向きに応じて、X線放射の各ビームは、例えば、透過X線源の場合には、被検体の一部を通過でき、反射X線源の場合には、被検体の一部から反射できる。その後、X線放射は、対応するX線検出ユニットにより検出される。
【0023】
図3は、コリメート単色X線放射源300の一実施形態の概略図である。コリメート単色X線放射源300は、X線源302とX線検出ユニット304とを含み、これらは共に、図1に関して説明されたX線源及びX線検出ユニットとほぼ同様であってよい。更に、コリメート単色X線放射源300は、放出されるX線308の光路内の、コリメータ310の後に配置されたモノクロメータ306を含む。適切なモノクロメータの一例は、あるエネルギーを有するX線光子を選択する結晶を含む。適切な結晶の例は、グラファイト又はケイ素(Si)の単結晶を含む。発出するX線ビームのエネルギーは、回折条件により選択される。所定のエネルギーを有する回折ビームを発生するように、ある特定の回折角が選択される。異なる回折角を選択することにより、異なるエネルギーを有する単色X線ビームを選択できる。
【0024】
コンピュータ断層撮影システムの一実施形態は、患者又は動物に適用される医療用途、並びに構造又は容器などに適用される工業用途及び検査用途に合わせて、所望の形態のX線ビームを関心被検体に向けて誘導するために、何らかの適切な幾何学的形状を有するX線源を有することができる。例えば、X線源は、線状X線源、アーチ形X線源及び/又は面状X線源であってもよい。
【0025】
図4は、コンピュータ断層撮影装置の一実施形態の概略図である。コンピュータ断層撮影装置400は、線走査X線源(linear scanning x-ray source)402と、被検体支持台404と、検出器406とを具備する。線走査X線源402は、カソード408と、アノードターゲット410と、コリメータ412とを具備する。カソード408は、支持構造体416上に配列された個別にプログラム可能な電子放出ユニット414のアレイを含む。
【0026】
複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニット414の適切な構造は、1つの面に、1本の軸に沿って線状に配列された構造を含む。個別にプログラム可能な各電子放出ユニットは、アノードターゲット410上の複数の焦点のうちの1つに集束される。
【0027】
線走査X線源は、透過型構成又は反射型構成のいずれかを有することができる。透過型構成を有する線走査X線源の場合、アノードは、自立型であるか、又は炭素などの原子番号の小さい材料の上に蒸着可能な金属膜である。アノードは、カソードに対して、より高い電位にある。1つの特定の例においては、アノードは電気的に接地される。カソードには、負電位が印加される。X線源にゲート電極を含めることができ、カソードから電子を抽出するために、ゲート電極は、カソードに対して正電位であることが可能である。
【0028】
1つの特定の例においては、全てのプログラム可能な電子放出ユニットは、同一の電位にある。プログラム可能な電子放出ユニットの各々は、対応する1つのゲート電極を有する。特定のプログラム可能な電子放出ユニットと、対応するゲート電極との間に発生される電界が、臨界値(例えば、3/μm以下)を超えると、そのユニットから電子が抽出される。
【0029】
別の実施形態においては、アノード電圧による電界が、カソードから電界放出電子を抽出するのに十分であるように、アノードとカソードとの距離が設定される。この実施形態では、いくつかの放出ユニットからの電子放出を抑制するために、ゲート電極に逆バイアス電圧が印加される。第1の電子電界放出ユニットの群を抑制し、及び/又は第2のプログラム可能な電子放出ユニットの群を活性化するために、この逆バイアス電圧は、ゲート電極に沿って走査される。
【0030】
各々の個別にプログラム可能な電子放出ユニットは、電子電界放出材料から成る層を具備する。層の個々の電子電界放出材料又は電子電界放出材料群は、電子放出画素のアレイ又は行列又はパターンを形成できる。図4の実施形態の場合、電子電界放出材料は、カーボンナノチューブの層であるが、図1及び図3に関して実質的に説明されたようなナノ構造化材料、ナノチューブ及びナノワイヤを含めて、任意の適切な電界放出材料を使用できる。例えば、単壁ナノチューブ、多壁ナノチューブ、二重壁ナノチューブ、又はそれらの混合物などのカーボンナノチューブから成る層である。電界放出材料は、リソグラフィにより形成されたSpindt型チップであってもよい。
【0031】
カソード404とゲート電極418との間に電位が印加されている状況の下で、各々の電子放出ユニット414から、電子420が放出される。印加電位の印加制御の状態に従って、電子放出ユニットのアレイからの電子の電界放出は、単一の画素からの放出、あるいは無作為に配列された画素群又はあるパターンで配列された画素群からの放出、もしくは全ての画素からの放出のいずれであってもよい。例えば、ゲートとカソードとの間に印加されるバイアス電位は、電子を抽出する。更に、放出された電子を所望のエネルギーレベルまで加速するために、ゲートとアノードとの間に、例えば、10〜200KV/cm程度の大きな電圧が発生される。電子放出ユニットからの放出電子は、加速され、アノードターゲット410の、例えば、対応する1つのX線放出画素にそれぞれ衝突する。X線放出画素の一例は、銅(Cu)及びタングステン(W)などの金属ターゲット材料から成る薄い層と、熱を消散するターゲット支持材料とを含む。アノードが電子の衝突を受けたときに、例えば、アノードが、加速された電子に対するターゲットである場合、アノードから、X線放射422が放出される。放出されたX線放射は、コリメータ412を通過し、オプションとして設けられるモノクロメータ(図4には不図示)を通過する。コリメータ412により、各X線放射画素は、一様なファンビーム形状のような特定の形状のX線放射422を発生する。しかし、ペンシルビーム形状又はコーンビーム形状を含めて、適切などのような形状のX線放射420でも形成できる。
【0032】
コンピュータ断層撮影装置400は、X線検出器406を有する。X線検出器406の一例は、複数のX線検出ユニット424を具備する。各々のX線検出ユニット424は、X線シンチレーション材料と、電荷結合素子(CCD)、あるいは固体撮影装置又は気体撮影装置などのデジタル画像収集装置とを含む。デジタル画像収集装置は、X線放射422のX線強度をデジタル記録する。被検体支持台404上の被検体426の大きさ及び向きに応じて、X線放射422の各ビームは、例えば透過X線源の場合は、被検体426の一部を通過でき、例えば反射X線源の場合には、被検体426の一部から反射できる。その後、X線放射422は、対応するX線検出ユニット424により検出される。
【0033】
図4に示される実施形態においては、X線検出器は、複数のX線検出ユニットから成る2次元行列を含む。検出スキーマは、線状X線源により発生されるX線ビームの種類によって決まる。一実施形態においては、アノードの各焦点から、ファンビーム形状のX線ビームが発生される。ファンビームは、被検体426の1つのスライスを照明する。照明される領域は、使用されるコリメータの形状により規定される。被検体を通過した特定の焦点からのX線ビームの強度は、X線検出器のX線検出ユニットのうちの、あらかじめ選択されたユニット群により測定される。各焦点は、X線検出器の1つのX線検出ユニット群と関連する。
【0034】
被検体の画像を収集するために、2つのモードを使用できる。一方のモードにおいては、焦点を巡って順次移動しているアノードからX線ビームを発生するために、電子放出ユニットは、1つずつ起動される。走査中、1つの特定のX線ビームから画像を記録するために、X線検出器の対応するX線検出ユニットもスイッチオンされる。例えば、対応するX線検出ユニットは、順次又は1つずつスイッチオンされる。別のモードでは、全ての電子放出ユニットが同時にオンされる。被検体の画像を収集し且つ/又は記録するために、X線検出ユニットも、同時にスイッチオンされる。
【0035】
別の実施形態においては、コリメータは、各焦点からコーンビーム形状のX線放射が発生されるように設計される。この場合、電子放出ユニットは、順次又は1つずつ起動される。特定のユニットがオンされると、アノードの対応する焦点から、コーンビームX線が発生される。X線ビームは、被検体426全体を照射する。この特定のX線ビームにより形成された被検体の画像は、X線検出器全体により収集及び/又は記録される。その後、画像は、例えば、コンピュータに格納される。次に、異なる投影角度から被検体全体の別の画像を生成するために、シーケンスにおける次の順番の電子放出ユニットがスイッチオンされる。X線源の全ての放出ユニット又は一部の放出ユニットに対して、このプロセスが繰り返される。
【0036】
図5は、アーチ形X線源として配列された直線走査X線源(linear scanning x-ray source)502を有するコンピュータ断層撮影装置500の一実施形態の概略図である。X線源502は、コーンビーム形状などの特定の形状のX線放射504を発生する。しかし、適切なコリメータを選択することにより、ペンシルビーム形状又はファンビーム形状を含めて、適切などのような形状のX線放射504でも形成できる。図5に示される実施形態においては、コンピュータ断層撮影装置500は、直線走査X線源502と、被検体回転台506と、検出器508とを含む。直線走査X線源502は、一連のカソード510と、アーチ形支持構造体514上に一列に並んだ対応するアノードターゲット512とを含む。X線源502及びX線検出ユニット508は、図1及び図3のX線源及びX線検出ユニットに関して説明したものとほぼ同様であってもよい。
【0037】
アーチ形支持構造体514は、アノードの各焦点が、被検体回転台の中心から、例えば、被検体台の回転の中心から、あるいは被検体台の中心回転軸から、等距離にあるように構成される。更に、好ましいケースにおいては、各検出ユニットも被検体に対して等距離にあるように、2次元検出器は湾曲面を有する。
【0038】
図5のコンピュータ断層撮影装置500は、X線検出器508を有する。ここで説明するように、X線検出ユニットは、X線源により発生されるX線放射の幾何学的形状に基づいて、適切などのような種類及び/又は適切などのような構造であってもよい。先に説明した形状と同様に、検出器の面の好ましい幾何学的形状は、各検出ユニットが被検体から等距離にあるような湾曲面である。X線検出器508の一例は、複数のX線検出ユニット516を具備する。各X線検出ユニット516は、X線シンチレーション材料と、電荷結合素子(CCD)、あるいは固体撮影装置又は気体撮影装置などのデジタル画像収集装置とを含む。デジタル画像収集装置は、X線放射504のX線強度をデジタル記録する。被検体支持台506上の被検体518の大きさ及び向きに応じて、X線放射504の各ビームは、例えば透過X線源の場合は、被検体518の一部を通過でき、例えば反射X線源の場合には、被検体518の一部から反射できる。その後、X線放射504は、対応するX線検出ユニット516により検出される。
【0039】
図6は、コンピュータ断層撮影装置600の一実施形態の概略図である。コンピュータ断層撮影装置600は、面走査X線源(area scanning x-ray source)602と、被検体回転台604と、検出器606とを含む。面走査X線源602は、一連のカソード608と、平面形状の支持構造体612に1列に並んだ対応するアノードターゲット610とを含む。X線源602及びX線検出ユニット606は、図1及び図3に関して説明したものとほぼ同様であってもよい。コンピュータ断層撮影装置600は、ペンシルビーム形状などの特定の幾何学的形状のX線放射614を発生する平面X線源として配置された面直線走査X線源(area linear scanning x-ray source)602を有する。しかし、適切なコリメータを選択することにより、コーンビーム形状又はファンビーム形状を含めて、適切などのような形状のX線放射614でも形成できる。図6に示される実施形態においては、カソードの個別にプログラム可能な電子放出ユニットは、平面形状の支持構造体の1つのエリアに沿って配列され、個別にプログラム可能な各電子放出ユニットは、アノードターゲット610の複数の焦点のうちの1つに集束される。
【0040】
図6のコンピュータ断層撮影装置600は、X線検出器606を有する。ここで説明するように、X線検出ユニットは、X線源により発生されるX線放射の幾何学的形状に基づいて、適切などのような種類及び/又は適切などのような構造であってもよい。X線検出器606の一例は、複数のX線検出ユニット616を具備する。各X線検出ユニット616は、X線シンチレーション材料と、電荷結合素子(CCD)、あるいは固体撮影装置又は気体撮影装置などのデジタル画像収集装置とを含む。X線検出ユニットは、マトリクス状またはアレイ状などの適切な形に配列されることが可能である。デジタル画像収集装置は、X線放射614のX線強度をデジタル記録する。被検体支持台604上の被検体618の大きさ及び向きに応じて、X線放射614の各ビームは、例えば透過X線源の場合は、被検体618の一部を通過でき、例えば反射X線源の場合には、被検体618の一部から反射できる。その後、X線放射614は、対応するX線検出ユニット616により検出される。
【0041】
コンピュータ断層撮影装置を動作させる方法は、複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも第1のユニットに電界を印加することを含む。電界を印加することにより、電子の放出が起こる。放出電子は、アノードターゲットの複数の焦点のうちの1つに集束される。放出電子は、アノードターゲットに衝突し、放出X線放射を形成する。放出X線放射は、コーンビーム形状、ペンシルビーム形状又はファンビーム形状などの幾何学的形状にコリメートされ、被検体を通過する。その後、X線放射は、X線検出ユニットにより検出され、記録される。
【0042】
被検体台上に位置決めされた被検体を回転させずに、多数の検出X線放射画像を生成するために、この方法を反復できる。例えば、コンピュータ断層撮影装置において、被検体を異なる角度から照射するか、又は異なる平面において照射するか、あるいは他の方向から照射する放出X線を発生するために、X線源の複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットの各々を特定のシーケンスで動作させるか、又は特定のパターンに従って1つの群として動作させることが可能である。従って、個別にプログラム可能な電子放出ユニットの特定のシーケンス又は特定のグループ分けに対して、印加する過程、集束する過程、衝突させる過程、コリメートする過程、通過させる過程、検出する過程及び記録する過程を繰り返すことにより、多数の検出X線放射画像を生成できる。例えば、コンピュータ断層撮影装置の動作を繰り返す間に、少なくとも第2の個別にプログラム可能な電子放出ユニットに、電界が印加される。更に、集束する過程が繰り返されるとき、放出電子は、アノードターゲットの複数の焦点のうちの第2の焦点に集束される。
【0043】
コリメートする過程は、特定の幾何学的形状のX線放射ビームを発生できる。例えば、ファンビーム形状のX線放射、ペンシルビーム形状のX線放射又はコーンビーム形状のX線放射を発生するために、放出X線放射がコリメートされるように、コリメータを選択できる。これらのX線放射ビーム形状の各々に関連して、拡大立体投影画像、平行投影画像、又は3次元画像の再構成のための異なる視角からの投影画像などの撮影技術がある。
【0044】
コンピュータ断層撮影装置を動作させる方法の動作中、カソードとゲート電極との間に、電界が印加される。ゲート電極は、カソードの個別にプログラム可能な電子放出ユニットに関して正電位にある。電界の電界強度の例は、0.1V/μm〜100V/μm、好ましくは0.5V/μm〜20V/μmである。電界が印加されると、放出電子は、所定のエネルギーまで加速される。
【0045】
別の方法の例においては、ゲート電極と、複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも2つのユニットとの間で、順次、電界が発生される。電界は、所定の時点で、個別にプログラム可能な電子放出ユニットごと又は個別にプログラム可能な電子放出ユニット群ごとに、カソード上の第1の場所からカソード上の第2の場所へ移行しつつ発生される。印加電界は、所定の周波数及びパルス幅を有する。周波数は、1秒間に電界がスイッチオンされる回数を判定する。周波数に制限はない。例えば、周波数は、0.01〜10Hzの範囲であってもよい。パルス幅は、電界がスイッチオンされる継続時間を決定する。この継続時間にも制限はない。例えば、継続時間は、1マイクロ秒〜1分の範囲の値をとりうる。電界が順次発生されるたびに、被検体の1つのビューが照明され、X線画像が収集される。従って、動作が順次行われると、被検体の複数のビューが収集される。
【0046】
コンピュータ断層撮影装置を動作させる方法の別の例においては、ゲート電極と、複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも2つのユニットとの間で、電界が発生される。電界は、所定の時点で、個別にプログラム可能な電子放出ユニットごと又は個別にプログラム可能な電子放出ユニット群ごとに、所定の掃引速度で、カソード上の第1の場所からカソード上の第2の場所へ、順次発生される。例えば、掃引速度(sweep rate)は、0.01Hz〜10Hzの範囲の値をとりうる。順次発生される電界は、被検体を照明し、複数のビューを生成する。後の検索及び/又は解析に備えて、それらのビューは、順次収集される。
【0047】
本発明の1つの特定の実施形態においては、ゲート電極に印加される電界の周波数及びパルス幅は、X線検出器のデータ収集時間と同期される。X線検出器がデータを収集しているときにのみ、X線放射は発生される。X線の発生とデータ収集とを同期させることで、撮影中に被検体が受ける不必要な被曝線量を著しく減少できる。
【0048】
本発明の更に別の実施形態では、ゲート電極に印加される電界の周波数及びパルス幅、従って、発生されるX線の周波数及びパルス幅は、生理学的信号、被検体からの内部信号、又は外部信号源のいずれかと同期される。例えば、運動している被検体の鮮明な画像を得るために、心臓信号又は呼吸信号により、発生するX線の周波数及びパルス幅をゲート制御してもよい。
【0049】
被検体の所定の向きに対して、コーンビームの形状を有するX線放射は、複数の異なる焦点から発出し、複数の異なる角度から被検体に入射する。それらに対応する2次元投影画像も、様々に異なる。これは、X線ビームが、空間内の複数の異なる点から発出し、それぞれ異なる投影角度を有するためである。その結果、広い視覚範囲から多数の画像を収集することにより、被検体の内部構造を得ることができる。従って、線状X線源に沿った1回の掃引で、短時間のうちに、被検体を回転させずに、多数の2次元画像が収集される。これにより、画像収集速度は大幅に増す。
【0050】
走査X線ビームを発生するために、所定の速度で、放射画素を通って、ゲートとカソードとの間のパルス電界が掃引される。電界は、各画素が、所定の持続時間にわたり、所定のシーケンスで、ある電流を放出するような値に設定され、これは、掃引電界のパルス幅により判定される。このプロセス中、アノードとゲートとの間の電圧は、一定値のままである。電子がアノードに衝突すると、その衝突点からX線放射が放出される。カソードを通って電界が掃引するにつれて、X線放射の発出点は、アノードの面に沿って掃引する。
【0051】
ゲートにおける電界のパルス幅、周波数及び掃引速度は、収集される画像が、焦点の位置と位置合わせされるように検出器を制御する電子回路と同期される。例えば、コントローラは、電界と検出器とを同期させることができる。
【0052】
コンピュータ断層撮影装置の一例の動作中、X線源からのX線放射は、被検体支持台上に支持された被検体を照射する。コンピュータ断層撮影装置の一例における被検体支持台は、固定された台であってもよいし、あるいは所定の一連の角度にわたり回転されてもよい。単一ビームX線源及び回転試料ステージを使用するコンピュータ断層撮影システムの一例は、M. D. Bentley、M. C. Ortiz、E. L. Ritman及びJ. C. Romeroの「The Use of Microcomputed Tomography to Study Microvasculature in Small Rodents」(AJP Regulatory Integrative Comp Physiol、282、R1267〜R1279,2002年)に記載されている。この引用により、同文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0053】
コンピュータ断層撮影を動作させるための別の方法においては、被検体は、被検体台上に位置決めされ、一連の角度にわたり回転される。被検体が回転するたびに、印加する過程、収束する過程、衝突させる過程、コリメートする過程、通過させる過程、検出する過程及び記録する過程が、一連の検出X線放射画像を得るために繰り返される。その後、被検体の3次元ボリュームを形成するために、X線放射画像を再構成できる。例えば、被検体3次元ボリュームを形成するために、画像再構成アルゴリズムを使用して、検出X線放射画像を再構成できる。例えば、L. A. FeldkampのFeldkamp他、L. C. Davis及びJ. W. Kressにより開発されたコーンビーム再構成アルゴリズム「Practical cone-beam algorithm」(J. Opt. Soc. Am.、第1巻、612〜619ページ、1984年)を、そのような目的に合わせて変形してもよい。この引用により、同文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
この例のコンピュータ断層撮影システムは、2つの異なるモードで動作する。第1のモード、例えば、コンピュータ断層撮影モードでは、X線源及び検出器は、被検体の周囲で回転され、1つの画像として再構成されるべき一連の3次元コーンビーム投影を生成する。第2のモードにおいては、X線透視ユニットと同様に、単一の投影から、一連の2次元画像が収集される。2次元投影方向がわかっているため、第1のモードからの3次元投影にそれをマッピングし、被検体の部位限定を実行してもよい。関心被検体を空間的に部位限定するために、多数のアレイX線源要素が利用されてもよい。
【0055】
例えば、被検体支持台は、第1の角度に設定され、1本の線に沿った一連のX線放射ビームを発生するために、X線源の全てのカソードは、同時にオンされる。各X線検出ユニットは、被検体の1つのスライスの投影画像などの1つの画像を記録する。全ての画像は、デジタル組み合わせされ、X線源の所定の角度に対する被検体の1つの二次元画像が形成される。このようにして、全てのスライス投影が組み合わされる。その後、被検体支持台は、第2の角度に設定され、画像を収集するプロセスが繰り返される。ステージを回転させることにより、試料の複数の2次元画像(試料が1°回転するたびに画像1枚で、画像360枚など)が得られる。それらの画像は、リアルタイムで組み合わせられてもよいし、あるいは電子的に格納され、後に組み合わせられてもよい。
【0056】
被検体の一連の3次元画像を得るために、被検体は、30°、60°又は90°などの一連の角度を通って回転される。回転が終了するたびに、新たな一連の画像が撮影される。被検体の3次元ボリュームを再構成するために必要とされる複数組の画像を得るために、数度の回転が実行されるだけでよい。5°、10°又は15°のような、より小さな角度で被検体を回転させることにより、半径方向分解能を向上させてもよい。
【0057】
被検体が装着され、静止している被検体台の周囲で、X線源及び検出器が回転される。X線源が被検体の周囲で回転し続ける状態で、画像収集は、連続して実行されてもよい。各々の回転角で、各X線源を選択的にパルス動作させて、又はパルス動作させずに、多数回の収集を実行することにより、より高い半径方向分解能を実現してもよい。
【0058】
コンピュータ断層撮影装置の多数の実施形態が可能である。それらの実施形態は、先に説明した特徴の一部又は全てを含む。
【0059】
コンピュータ断層撮影装置の一実施形態が、図7に示される。コンピュータ断層撮影装置700は、円形のX線源702と、被検体ステージ704と、円形の検出器706とを具備する。円形のX線源は、X線源が描く円の中心に向いたX線発生要素のアレイを含む。検出器は、X線源の円に隣接して、同様の配列で、例えば、検出器の円を描くように配置される。円形のX線源の各々を個別に制御することにより、検出器又はX線源を回転させずに、あるいはごくわずかな回転、例えば、15°以下の回転によって、多数のスライス投影を生成できる。半径方向分解能を向上するために、X線源又は検出器のいずれかに、わずかな回転を取り入れてもよい。この実施形態においては、ほぼ瞬時に単一スライス撮影を実行でき、それを制限するのは、X線源のスイッチング速度と、1つの投影を収集するために必要な時間のみである。尚、スイッチング速度は、10Hz以上であってもよく、収集時間は、検出器の感度及びX線束生成パルスによって決まるが、1μ秒程度の短さである。これに対して、現在の医療用コンピュータ断層撮影システムは、1つのスライスを収集するために、少なくとも250〜500msecを必要とする。
【0060】
コンピュータ断層撮影装置の別の実施形態が、図8に示される。コンピュータ断層撮影装置800は、電子ビーム源802と、被検体台804と、面検出器806とを具備する。円形のX線源は、円の中心に面するX線発生要素のアレイから構成される。検出器は、X線源の円に隣接して、類似する配列で配置される。各々のX線源を個別に制御することにより、検出器又はX線源を回転させる必要なく、多数のスライス投影を生成できる。半径方向分解能を向上するために、X線源又は検出器のいずれかに、わずかな(15°以下)回転を取り入れてもよい。このシステムでは、ほぼ瞬時に単一スライス撮影を実行でき、それを制限するのは、X線源のスイッチング速度と、1つの投影を収集するために必要な時間のみである。現在の医療用CTシステムは、1つのスライスを収集するために、少なくとも250〜500msecを必要とする。
【0061】
コンピュータ断層撮影装置の別の実施形態が、図9に示される。コンピュータ断層撮影装置900は、電子ビーム源902と、被検体台904と、面検出器906とを具備する。システムは、2つの異なるモードで動作するように設計される。第1のモードであるコンピュータ断層撮影モードにおいては、X線源及び検出器は、被検体の周囲で回転され、再構成のために、一連の3Dコーンビーム投影を生成する。第2のモードでは、システムは、蛍光透視ユニットと同様に、単一の投影から、一連の2D画像を収集する。2D投影の方向がわかっているため、最初に測定された3D投影に、それをマッピングし、被検体の部位限定を実行してもよい。関心被検体を空間的に部位限定するために、多数のアレイX線源要素を利用してもよい。
【0062】
コンピュータ断層撮影装置の別の実施形態が、図10に示される。コンピュータ断層撮影装置1000は、電子ビーム源1002と、被検体台1004と、面検出器1006と、固定タングステンリング1008とを具備する。電子の発生源、例えば、電界放出カソードは、被検体ステージを取り囲む固定タングステンリングにおいて、物理的に指向されるか、又は磁気的に操縦されればよい。電子源からの電子は、固定タングステンリングに衝突し、X線光子を発生する。X線光子は、被検体に戻るように誘導される。固定X線ターゲットリング、例えば、タングステンリングの複数の異なる場所へ電子ビームが誘導されるように、電子源を機械的に移動することにより、X線の多数の投影を実現してもよい。被検体は静止したままであり、検出器も同様である。電子を所望のエネルギーまで加速するために、カソードとターゲットリングとの間に、高電圧が印加される。
【0063】
実施形態においては、コンピュータ断層撮影データ収集と関連する撮影技術を使用できる。しかし、ここで説明したコンピュータ断層撮影装置の実施形態によって、更に別の撮影技術を利用できる。例えば、従来の医療用コンピュータ断層撮影技術では、患者の周囲を回転するときに、X線コンピュータ断層撮影管を連続してオン状態にしておくことが必要であった。しかし、ナノチューブを利用するX線源は、X線源の厳密な切り替え制御が可能であるため、より精巧な撮影パターンが可能である。例えば、撮影用X線源の従来の環状経路の代わりに、星形のパターンを利用し、リングの両側で、X線源を順次起動してもよい。更に、X線の短時間バーストを発生する能力があることによって、被検体の被爆時間も短縮される;バーストは、X線源及び検出器が、次の角度で位置決めされるときにのみ必要とされ、中間位置では、X線をオンする必要はない。被曝線量の減少は、患者にとって、大きな利点である。また、空間分解能を低下させることにより、すなわち、角度のサンプリング数を少なくすることにより、被曝線量の減少を実現してもよい。角度サンプリングの数を減らすことは、高速コンピュータ断層撮影スクリーニングツールを作成する上で有用であろう。コンピュータ断層撮影の3次元収集能力と共に、通常のX線透視装置の時間分解能を取り入れて、高速、多角度コンピュータ断層撮影透視も可能になる。X線源の厳密な制御により、心臓ゲート制御が可能になり、これは、心臓撮影と関連する画質を向上する際には不可欠である。更に、X線源がアドレス可能であるので、X線源において、撮影用スライス厚の制御が可能になる。
【0064】
ここで説明した実施形態のコンピュータ断層撮影装置及びコンピュータ断層撮影方法の適用用途は、次に挙げる用途を含むと考えられるが、それらに限定されるわけではない。
【0065】
臨床撮影:高速全身撮影又は特定人体部分の撮影、外傷、脳卒中などの現場診断における頭部などの特定の人体部分に使用される可搬式撮影装置、脳、肝臓及び他の器官の灌流のための動的コントラストの検討、動いている人体部分(肺、心臓など)のゲート制御式撮影、スクリーニング又は小児科での使用を目的とする低被曝線量撮影技術、X線透視及び回折撮影技術などの臨床撮影への応用
【0066】
小動物の撮影:体内構造を観察するための小動物のコンピュータ断層撮影、動物の表現型を識別するための高速スクリーニング、小動物の(造影剤を使用する、又は使用しない)動的検討などの小動物の撮影への応用
【0067】
産業分野への応用:非破壊試験及び容器検査、例えば、税関検査などの産業分野への応用
【0068】
本発明の好ましい実施形態に関連して、本発明を説明したが、添付の請求の範囲において定義される本発明の趣旨の範囲から逸脱せずに、特定して説明されない追加、削除、変形及び置き換えを実施できることは、当業者により理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、X線放射源の一例の概略図である。
【図2】図2は、62μm〜280μmの間隙を有するカーボンナノチューブカソードに関して、電圧に対する電流密度(A/cm2)を示す図である。
【図3】図3は、コリメートされた単色X線放射源の一実施形態の概略図である。
【図4】図4は、ファンビームを伴う線状X線放射源の一実施形態の概略図である。
【図5】図5は、コーンビームを伴うアーチ形X線放射源の一実施形態の概略図である。
【図6】図6は、ペンシルビームを伴う面X線放射源の一実施形態の概略図である。
【図7】図7は、固定台に対して回転される線状X線放射源を有するCTシステムの一実施形態の概略図である。
【図8】図8は、固定台に対して位置決めされる円形X線放射源を有するCTシステムの一実施形態の概略図である。
【図9】図9は、コンピュータ断層撮影モード及び単一投影モードで動作可能なX線放射源の一実施形態の概略図である。
【図10】図10は、電子ビーム源を再位置決めし且つ/又は電子ビームを操向することにより電子ビームが衝突するリングターゲットを有するCTシステムの一実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界が印加されたときに各々が電子ビームを放出する複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットを有するカソードと、放出された電子ビームの衝突を受けたときにX線ビームを放出するアノードターゲットと、コリメータとを有するX線源と、
X線検出ユニットと、
を具備するコンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
各電子放出ユニットは、電子電界放出材料を含む、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記電子電界放出材料は、ナノ構造材料を含む、請求項2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記電子電界放出材料は、複数のナノチューブ又は複数のナノワイヤを含む、請求項2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記ナノチューブは、炭素、ホウ素、窒素、イオウ及びタングステンより成る群から選択された少なくとも1つの電界放出材料を含む、請求項4記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記ナノワイヤは、ケイ素、ゲルマニウム、炭素、酸素、インジウム、カドミウム、ガリウム、酸化物、窒化物、ケイ化物及びホウ化物より成る群から選択された少なくとも1つの電界放出材料を含む、請求項4記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記電子電界放出材料は、複数の単壁カーボンナノチューブ、複数の多壁カーボンナノチューブ、複数の二重壁カーボンナノチューブ、又はそれらの混合物を含む請求項2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記X線源は、ゲート電極を更に具備し、前記ゲート電極と、前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの1つ以上のユニットとの間に、電界が印加されたときに、前記ゲート電極は、前記1つ以上の個別にプログラム可能な電子放出ユニットから、放出電子を抽出する、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記ゲート電極は、前記カソードと前記アノードターゲットとの間に配置されるか、又は、前記カソードと同一の平面に、前記カソードから電気的に隔離されて配置されるか、あるいは、ゲート裏構造(back-gate stucture)を形成するために、前記カソードの背後に配置される、請求項8記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの前記1つ以上のユニットに関して前記ゲート電極が正電位になるように電界が印加され、その電界の電界強度は、0.1V/μmないし100V/μmである、請求項8記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記電界強度は、0.5V/μmないし20V/μmである、請求項10記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
前記X線検出ユニットがデータを収集するように動作するとき、被検体がX線ビームに照射されるように、前記ゲート電極に印加される電界の周波数及びパルス幅は、データ収集のために前記X線検出ユニットと同期される、請求項8記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
前記周波数及びパルス幅は、被検体の生理学的信号又は外部信号源と同期される、請求項12記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項14】
放出されるX線の光路内の、前記コリメータの後に配置されたモノクロメータを更に具備する、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項15】
前記モノクロメータは、所定のエネルギーを有するX線光子を選択する結晶を含む、請求項14記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項16】
前記X線検出ユニットは、X線シンチレーション材料とデジタル画像収集装置とを含む、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項17】
前記デジタル画像収集装置は、電荷結合素子を含む、請求項16記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項18】
データ収集及び再構成のための制御システムを更に具備する、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項19】
前記カソード及び前記アノードターゲットを収納する真空容器を更に具備する、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項20】
前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも1つのユニットは、0.01mA/cmを超える電流密度に対して、3V/μ未満の放出閾値を有し、0.1ないし100mAの総電流を放出する、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項21】
前記電流密度は、0.1mA/cmより大きい、請求項20記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項22】
100V/μm未満の電界に対して、放出電流は、ナノチューブごとに100μA以下である、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項23】
前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットは、1つの平面において、1本の軸に沿って線状に配列され、前記個別にプログラム可能な電子放出ユニットの各々は、アノードターゲットの複数の焦点のうちの1つに集束される、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項24】
前記コリメータは、ファンビーム、コーンビーム又はペンシルビームの形状のX線放射を発生する、請求項23記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項25】
前記複数の焦点は、前記X線検出ユニット上に線状に配列される、請求項23記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項26】
前記アノードターゲットと前記X線検出ユニットとの間に、被検体台を更に具備する、請求項23記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項27】
前記被検体台は、前記X線源に対して静止されない、請求項26記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項28】
前記X線源は、透過X線源である、請求項23記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項29】
前記X線源は、反射X線源である、請求項22記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項30】
前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットは、アーチを描くように1列に配列され、前記個別にプログラム可能な電子放出ユニットの各々は、前記アノードターゲット上の複数の焦点のうちの1つに集束される、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項31】
前記コリメータは、ファンビーム、コーンビーム又はペンシルビームの形状のX線放射を発生する、請求項30記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項32】
各焦点が被検体台の回転の中心から等距離にあり、かつ、各焦点が該被検体台の中心回転軸に集束するように、前記アーチが位置決めされる、請求項30記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項33】
前記複数の焦点は、前記X線検出ユニット上で1列に配列される、請求項30記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項34】
前記アノードターゲットと前記X線検出ユニットとの間に、被検体台を更に具備する、請求項30記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項35】
前記被検体台は、前記X線源に対して静止されない、請求項34記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項36】
前記X線源は、透過X線源である、請求項30記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項37】
前記X線源は、反射X線源である、請求項30記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項38】
前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットは、1つの平面の1つの領域に配列され、前記個別にプログラム可能な電子放出ユニットの各々は、前記アノードターゲット上の複数の焦点のうちの1つに集束される、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項39】
前記コリメータは、ファンビーム、コーンビーム又はペンシルビームの形状のX線放射を発生する、請求項38記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項40】
前記アノードターゲットと前記X線検出ユニットとの間に、被検体台を更に具備する、請求項38記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項41】
前記被検体台は、前記X線源に対して静止されない、請求項40記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項42】
前記X線源は、透過X線源である、請求項38記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項43】
前記X線源は、反射X線源である、請求項38記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項44】
前記コンピュータ断層撮影装置は、可搬式である、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項45】
前記コンピュータ断層撮影装置は、マイクロコンピュータ断層撮影システムである、請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項46】
電界を印加されたときに各々が電子ビームを放出する複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットを有するカソードと、放出された電子ビームの衝突を受けたときにX線ビームを放出するアノードターゲットと、コリメータとを含むX線源と、X線検出ユニットとを含むコンピュータ断層撮影装置を動作させる方法であって、
電子ビームを放出させるために、前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも第1のユニットに前記電界を印加する印加ステップと、
放出された前記電子ビームを、前記アノードターゲットの複数の焦点のうちの1つに集束する集束ステップと、
放出された前記電子ビームを前記アノードターゲットに衝突させ、X線放射ビームを形成する衝突ステップと、
前記X線放射ビームをコリメートするコリメートステップと、
コリメートされた前記X線放射ビームを被検体に通過させる通過ステップと、
前記X線検出ユニットによって、前記X線放射ビームを検出する検出ステップと、
検出された前記X線放射ビームを、X線放射画像として記録する記録ステップと、
を有する方法。
【請求項47】
被検体台上に位置決めされた前記被検体を回転させずに、複数のX線放射画像を生成すべく、前記印加ステップ、集束ステップ、衝突ステップ、コリメートステップ、通過ステップ、検出ステップ、及び記録ステップを繰り返すための繰り返しステップを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記繰り返しステップの実行中に、少なくとも第2の個別にプログラム可能な電子放出ユニットに電界が印加される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記集束ステップが繰り返されるとき、放出された前記電子ビームは、前記アノードターゲット上の複数の焦点のうちの第2の焦点に集束される、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記コリメートステップはファンビームの形状のX線放射を発生し、前記X線放射画像は被検体の拡大立体投影画像である、請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記コリメートステップはペンシルビームの形状のX線放射を発生し、前記X線放射画像は被検体の平行投影画像である、請求項47記載の方法。
【請求項52】
前記被検体は、被検体台に載置され、
更に、
前記被検体台上の前記被検体を、一連の角度にわたり回転させる回転ステップと、
前記被検体が回転されるたびに、前記印加ステップ、集束ステップ、衝突ステップ、コリメートステップ、通過ステップ、検出ステップ、及び記録ステップを繰り返して、一連のX線放射画像を得るステップと、
を有する、請求項46記載の方法。
【請求項53】
前記一連のX線放射画像から、前記被検体台上に位置決めされた前記被検体の3次元ボリュームを再構成するステップを含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記X線放射画像は、前記被検体の前記3次元ボリュームを形成するための画像再構成アルゴリズムを使用して再構成される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記X線源は、前記カソードと前記アノードターゲットとの間に配置されたゲート電極を更に含み、前記ゲート電極が、前記個別にプログラム可能な電子放出ユニットに関して正電位になるように電界が印加され、その電界の電界強度は、0.1V/μmないし100V/μmである、請求項46記載の方法。
【請求項56】
前記電界強度は、0.5V/μmないし20V/μmである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記電界は、前記ゲート電極と、前記個別にプログラム可能な電子放出ユニットとの間で同時に発生される、請求項55記載の方法。
【請求項58】
前記カソードと前記アノードターゲットとの間で発生された電界により、放出された前記電子ビームは所定のエネルギーまで加速される、請求項46記載の方法。
【請求項59】
各電子放出ユニットから放出された前記電子ビームは、前記アノードターゲット上の1本の線の中にある複数の焦点のうちの、それぞれ異なる焦点に集束される、請求項46記載の方法。
【請求項60】
前記コリメータは、ファンビーム、コーンビーム又はペンシルビームの形状のX線放射を発生する、請求項59記載の方法。
【請求項61】
各焦点からの前記ファンビームの形状のX線放射は、前記被検体台上の前記被検体の1つのスライスを通過し、スライス画像を形成するために、前記X線検出ユニットの1つ以上の画素により検出される、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記被検体の2次元画像を形成するために、前記被検体の複数のスライス画像が同時に形成され、デジタル的に合成される、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記被検体を、第1の位置から第2の位置へ、0.1°ないし10°の角度だけ回転させる回転ステップと、
前記第1の位置及び第2の位置で、1つの2次元画像を得るステップと、
を更に含む、請求項46記載の方法。
【請求項64】
得られた複数の前記2次元画像は、前記被検体の3次元画像を形成するための画像再構成アルゴリズムを使用して合成される、請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記ゲート電極と、前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも2つのユニットとの間で、所定の時間に1つの個別にプログラム可能な電子放出ユニットずつ、前記カソード上の第1の場所から前記カソード上の第2の場所へ、順次、電界が発生され、その電界の順次発生は、任意の2つの個別にプログラム可能な電子放出ユニットの間で、0.01ないし10Hzのオン−オフ周波数を有する、請求項46記載の方法。
【請求項66】
各ユニットにおける継続時間は、1μsecないし1分である、請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記被検体の複数のビューが収集される、請求項65記載の方法。
【請求項68】
前記ゲート電極と、前記複数の個別にプログラム可能な電子放出ユニットのうちの少なくとも2つのユニットとの間で、所定の時間に1つの個別にプログラム可能な電子放出ユニットずつ、前記カソード上の第1の場所から前記カソード上の第2の場所へ、0.01ないし10Hzの掃引速度で、順次、電界が発生される、請求項46記載の方法。
【請求項69】
前記被検体の複数のビューが収集される、請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記コリメートステップは、ファンビーム形状、コーンビーム形状又はペンシルビーム形状を発生する、請求項46記載の方法。
【請求項71】
前記コリメートステップは、前記被検体全体を照射するファンビーム形状を生成する、請求項46記載の方法。
【請求項72】
前記コリメートステップは、前記被検体の一部を照明するペンシルビーム形状を生成する、請求項46記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2006−524548(P2006−524548A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513282(P2006−513282)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012660
【国際公開番号】WO2005/016113
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【Fターム(参考)】