説明

人体検出システム

【課題】 建物内の人体の検出の安定性を従来より向上することができる安価な人体検出システムを提供する。
【解決手段】 侵入者検出システム10は、電磁波を発生させる無線通信装置20と、侵入者の有無の検出を行う侵入者検出装置30とを備え、侵入者検出装置30は、無線通信装置20によって発生させられた電磁波の電界変化によって侵入者の有無の検出を行う侵入者検出手段と、侵入者検出手段によって侵入者が検出されたときに警告を行う警告手段とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の人体を電磁波によって検出する人体検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、一人暮らしの女性が、帰宅したときに既に住戸に居た侵入者と出会ってしまった結果、侵入者から直接被害にあったり、最悪の場合には殺害されたりする事件が多く起きており、社会不安のひとつになってきている。
【0003】
このような事件を予防するためには、一人暮らしの人が警備保障会社と契約することも1つの策である。しかしながら、通常、一人暮らしの人にとって、警備保障会社と個別契約をすることは経済的な負担が大きい。したがって、一人暮らしの人であっても経済的に手軽に利用できる技術が求められている。
【0004】
経済的に手軽に利用できる技術としては、建物の中に存在する侵入者を電磁波によって検出する技術が考えられる。人体を電磁波によって検出する技術としては、人体から発生する赤外線を用いる方法(例えば、特許文献1−3参照。)や、電磁波を用いて住居などへの不審者を検出する方法(例えば、特許文献4、5参照。)や、地震などで倒壊した建物の瓦礫の下の生存者を探査したりする方法(例えば、特許文献6−9参照。)や、テレビ会社によって発生させられた電波を用いて人体の有無を検出する方法(例えば、非特許文献1参照。)が知られている。
【特許文献1】特許第2737287号公報
【特許文献2】特開平9−292473号公報
【特許文献3】特開2001−297380号公報
【特許文献4】特開平7−175993号公報
【特許文献5】特開2001−14561号公報
【特許文献6】特開平9−304525号公報
【特許文献7】特開平11−6874号公報
【特許文献8】特開平11−202043号公報
【特許文献9】特開2002−311153号公報
【非特許文献1】「TV放送波を用いた屋内侵入検知システムの提案」、西正博、吉田彰顕、2005年電子情報通信学会総合大会、B−1−41
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1−3に記載の技術においては、侵入者から見通すことができる範囲に赤外線受信装置を設置する必要があるので、区切りの多い住戸では赤外線受信装置の数が多く必要となり、簡易な構成では実現し難いという問題があった。さらに、赤外線受信装置が温度変化の影響を受け、安定性に欠けるという問題があった。
【0006】
また、特許文献4、5に記載の技術においては、不審者を検出するために住居などの周りへの仕掛けが必要であるので、簡易な構成では実現し難いという問題があった。
【0007】
また、特許文献6−9に記載の技術においては、有人操作を前提としているので、経済的に手軽に利用できるようにするためには、無人操作を可能にするための改良が更に必要であるという問題があった。
【0008】
また、非特許文献1に記載の技術においては、ビルの中での住戸の位置によって、テレビ電波を安定的に受信することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、建物内の人体の検出の安定性を従来より向上することができる安価な人体検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の人体検出システムは、電磁波を発生させる電磁波発生装置と、人体の有無の検出を行う人体検出装置とを備え、前記人体検出装置は、前記電磁波の電界変化によって前記検出を行う人体検出手段と、前記人体検出手段によって前記人体が検出されたときに警告を行う警告手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成により、本発明の人体検出システムは、人体の発生する赤外線やテレビ電波のような不安定な電磁波ではなく、電磁波発生装置によって発生させられた電磁波を利用して人体を検出するので、建物内の人体の検出の安定性を従来より向上することができる。また、本発明の人体検出システムは、簡易な構成によって実現することができるので、従来より安価に実現することができる。
【0012】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、周波数が2.4GHz帯又は5GHz帯である前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明の人体検出システムは、一般に普及している無線LANシステムの周波数帯域を利用できる。
【0014】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、周波数が5GHz帯であって断続的に送信されて1回の送信持続時間が4ms未満である前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明の人体検出システムは、法律的に利用許可を受けることが不要である電磁波を利用するので、無線LANシステムと同様に簡易に利用できる。
【0016】
また、本発明の人体検出システムの前記電磁波発生装置は、前記電磁波を用いて通信を行う通信モードと、前記電磁波を用いて前記人体検出装置に前記検出を行わせる人体検出モードとを切り替えるモード切替手段を備えた無線通信装置であることを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明の人体検出システムは、一般に普及している無線LANシステムの周波数帯域を利用できる。
【0018】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルのうち空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする。
【0019】
この構成により、本発明の人体検出システムは、空きチャンネルを有効に活用することができる。
【0020】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記検出に使用する前記チャンネルを所定時間毎に切り替えることを特徴とする。
【0021】
この構成により、本発明の人体検出システムは、周波数の異なる複数のチャンネルを人体の検出に利用するので、1つのチャンネルのみを人体の検出に利用する場合と比較して、人体の検出の精度を向上することができる。
【0022】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、断続的に送信されて送信間隔が100ms以下である前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする。
【0023】
この構成により、本発明の人体検出システムは、時速3kmで移動する人体の約8.3cm以下の移動を検出することができるので、人体がゆっくり移動しても人体を検出することができる。
【0024】
また、本発明の人体検出システムの前記送信間隔は、20msであることを特徴とする。
【0025】
この構成により、本発明の人体検出システムは、時速3kmで移動する人体の約1.7cmの移動を検出することができるので、人体がゆっくり移動しても人体を検出することができる。
【0026】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、複数回の前記電界変化の時間間隔によって前記検出を行うことを特徴とする。
【0027】
この構成により、本発明の人体検出システムは、複数回の前記電界変化の時間間隔が人の移動時間(時速3km位)に相当するときに、人体を検出することができる。
【0028】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、断続的に送信された前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記人体を検出したときに前記人体を検出した前記電磁波より送信間隔が短い前記電磁波の電界変化によって前記検出を再度行うことを特徴とする。
【0029】
この構成により、本発明の人体検出システムは、人体の検出を段階的に行わない場合と比較して、人体の検出精度を向上することができる。
【0030】
また、本発明の人体検出システムは、複数の端末と、前記端末と通信を行うアクセスポイントとを備え、前記端末は、電磁波を発生させる電磁波発生装置と、人体の検出を行う人体検出装置とを備え、前記人体検出装置は、前記電磁波の電界変化によって前記検出を行う人体検出手段と、前記人体検出手段によって前記人体が検出されたときに警告を行う警告手段とを備え、前記電磁波発生装置は、前記電磁波を用いて通信を行う通信モードと、前記電磁波を用いて前記人体検出装置に前記検出を行わせる人体検出モードとを切り替えるモード切替手段を備えた無線通信装置であり、前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルのうち空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記複数の端末は、それぞれ別々の前記空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記アクセスポイントは、前記人体が検出されたエリアを、前記人体が検出された前記空きチャンネルを使用している前記端末が設置されたエリアと判定することを特徴とする。
【0031】
この構成により、本発明の人体検出システムは、一般に普及している無線LANシステムの周波数帯域を利用できる。
【0032】
また、本発明の人体検出システムは、複数の端末と、前記端末と通信を行うアクセスポイントとを備え、前記端末は、電磁波を発生させる電磁波発生装置と、人体の検出を行う人体検出装置とを備え、前記人体検出装置は、前記電磁波の電界変化によって前記検出を行う人体検出手段と、前記人体検出手段によって前記人体が検出されたときに警告を行う警告手段とを備え、前記電磁波発生装置は、前記電磁波を用いて通信を行う通信モードと、前記電磁波を用いて前記人体検出装置に前記検出を行わせる人体検出モードとを切り替えるモード切替手段を備えた無線通信装置であり、前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルのうち空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記複数の端末は、それぞれ別々のパターンで送信された前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記アクセスポイントは、前記人体が検出されたエリアを、前記人体が検出された前記パターンで前記検出を行っている前記端末が設置されたエリアと判定することを特徴とする。
【0033】
この構成により、本発明の人体検出システムは、一般に普及している無線LANシステムの周波数帯域を利用できる。
【0034】
また、本発明の人体検出システムの前記別々のパターンは、所定時間における送信回数が異なるパターンであることを特徴とする。
【0035】
この構成により、本発明の人体検出システムは、一般に普及している無線LANシステムの周波数帯域を利用できる。
【0036】
また、本発明の人体検出システムの前記人体検出手段は、前記人体と、人以外の動物の体とを前記電磁波の電界変化によって区別することを特徴とする。
【0037】
この構成により、本発明の人体検出システムは、ペットなどの動物の体を人体として誤って検出することを防止することができる。
【0038】
また、本発明の人体検出方法は、電磁波を発生させ、前記電磁波の電界変化によって人体の有無の検出を行い、前記人体が検出されたときに警告を行うことを特徴とする。
【0039】
この構成により、本発明の人体検出方法は、人体の発生する赤外線やテレビ電波のような不安定な電磁波ではなく、安定した電磁波を利用して人体を検出するので、建物内の人体の検出の安定性を従来より向上することができる。また、本発明の人体検出方法は、簡易な構成によって実現することができるので、従来より安価に実現することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、建物内の人体の検出の安定性を従来より向上することができる安価な人体検出システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0042】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る人体検出システムとしての侵入者検出システムの構成について説明する。
【0043】
図1に示すように、本実施の形態に係る侵入者検出システム10は、マンションなどの建物の住戸90(図2参照。)内の無線LAN(Local Area Network)を構成する装置の1つであって電磁波を発生させる電磁波発生装置としての無線通信装置20と、無線通信装置20によって発生させられた電磁波の電界変化によって侵入者の検出を行う人体検出装置としての侵入者検出装置30とを備えている。
【0044】
無線LANは、最近の情報通信技術(ICT)の進展によって情報通信装置が普及したため、家庭内でも利用されてきている。無線LANでは、複数のチャンネル(最大64チャンネル。家庭用としては通常8チャンネル程度。)が利用できる。無線LANでは、隣接するエリア間の混信をさけるため中心周波数の異なるチャンネルを機器に割り当てて利用する。今後家庭でのネットワーク化の進展でさまざまな機器がつながるようになると思われるが、実際に利用される機器は数個以内と思われ、無線LANのチャンネル容量(図3に示す2.4GHzの場合は14チャンネル)を考えると、通信に使われていないチャンネル、即ち、空きチャンネルが必ず存在すると思われる。
【0045】
図4に示すように、無線通信装置20は、電磁波を送信するアンテナ21と、住戸90(図2参照。)内に設置されている図示していない他の装置と無線LANを介した通信を行う通信部22と、住戸90内の無線LANの電磁波を利用するモードを切り替えるモード切替手段としてのモード切替部23とを備えている。
【0046】
モード切替部23は、通信部22による通常の通信に住戸90内の無線LANの電磁波を使用する通信モードと、住戸90の住人が外出しているときの人体の検出に住戸90内の無線LANの電磁波を利用する人体検出モードとを切り替えるようになっている。
【0047】
図5に示すように、侵入者検出装置30は、電磁波を受信するアンテナ31と、人体が住戸90(図2参照。)内を移動した場合にアンテナ31によって受信された電磁波の強度変化の量及び持続時間を侵入者の特徴として記憶した侵入者特徴記憶部32と、アンテナ31によって受信された電磁波の強度変化の量及び持続時間と侵入者特徴記憶部32によって記憶された電磁波の強度変化の量及び持続時間とに基づいて侵入者の有無を検出する人体検出手段としての侵入者検出部33と、侵入者検出部33による判断結果に基づいて警告を行う警告手段としての警告部34とを備えている。
【0048】
侵入者検出部33は、アンテナ31によって受信された電磁波の強度変化の量及び持続時間と、侵入者特徴記憶部32によって記憶された電磁波の強度変化の量及び持続時間とを比較して類似度を計算し、予め定められた値以上の類似度が得られた場合、侵入者有りと判断するようになっており、人体検出ソフトによって動作するコンピュータである。
【0049】
次に、侵入者検出システム10の動作について説明する。
【0050】
住戸90の住人は、外出するときに、通信モードから人体検出モードに切り替わることを無線通信装置20に指示する。
【0051】
無線通信装置20は、住戸90の住人からの指示を受けて、モード切替部23によって通信モードから人体検出モードに切り替わり、侵入者検出装置30に起動信号を送信する。
【0052】
侵入者検出装置30は、無線通信装置20からの起動信号を受けて図6に示す動作を開始し、無線LANの空きチャンネルのうち侵入者の有無が判断されていないチャンネルをカウントするチャンネルカウンタAと、侵入者有りと検出された回数をカウントする検出カウンタKと、侵入者の有無の判断の時間間隔をカウントする時間間隔カウンタTとを初期設定して今回の検出処理を開始する(S61)。侵入者検出装置30は、S61の初期設定において、無線LANのチャンネルのうち空きチャンネルの数aをチャンネルカウンタAの値に設定し、検出カウンタK及び時間間隔カウンタTの値を0に設定する。
【0053】
次いで、侵入者検出装置30は、チャンネルカウンタAの値が0であるか否かを判断する(S62)。
【0054】
そして、侵入者検出装置30は、チャンネルカウンタAの値が0ではないとS62において判断すると、今回の検出処理において侵入者の有無を未だ判断していないチャンネルを1つ選択してチャンネルカウンタAの値から1を引く(S63)。
【0055】
次いで、侵入者検出装置30は、S63において選択したチャンネルについて、アンテナ31によって受信された電磁波の強度変化の量及び持続時間と、侵入者特徴記憶部32によって記憶された電磁波の強度変化の量及び持続時間とに基づいて侵入者の有無を侵入者検出部33によって判断する(S64)。即ち、複数回の電界変化の時間間隔が人の移動時間(時速3km位)に相当するときに、人体を検出することができる。
【0056】
そして、侵入者検出装置30は、侵入者有りとS64において判断すると、検出カウンタKの値に1を足して(S65)、時間間隔カウンタTの値が所定の時間t以上になったか否かを判断する(S66)。
【0057】
一方、侵入者検出装置30は、侵入者無しとS64において判断すると、検出カウンタKの値を変更せずに、時間間隔カウンタTの値が時間t以上になったか否かを判断する(S66)。
【0058】
そして、侵入者検出装置30は、時間間隔カウンタTの値が時間t以上になっていないとS66において判断すると、時間間隔カウンタTの値に時間tを足して(S67)、S62の処理を再び実行する。ここで、tは、図6に示す動作の開始後の初めてのS67においては、開始後からの経過時間であり、2回目以降のS67においては、前回のS67からの経過時間である。
【0059】
侵入者検出装置30は、チャンネルカウンタAの値が0であるとS62において判断したときや、時間間隔カウンタTの値が時間t以上になったとS66において判断したとき、検出カウンタKの値が所定の回数k以上であるか否かを判断する(S68)。
【0060】
そして、侵入者検出装置30は、検出カウンタKの値が所定の回数k以上であるとS68において判断すると、警告を行って(S69)、図6に示す処理を終了する。なお、侵入者検出装置30は、S69の警告を事前に設定された方法によって行う。例えば、侵入者検出装置30は、侵入者が居るということを住人に携帯電話などの通信機器を介して通報したり、住戸90において警告音を発生したりすることによって、S69の警告を行う。
【0061】
一方、侵入者検出装置30は、検出カウンタKの値が所定の回数k以上ではないとS68において判断すると、今回の検出処理を終了してS61の処理を再び実行する。
【0062】
なお、侵入者検出装置30は、図6に示す動作において、無線LANのチャンネルのうち全ての空きチャンネルについて侵入者の有無が判断されたときと、侵入者の有無の判断の時間が所定の時間tに達したときとの何れか早く生じた方を機会として、警告を行うか否かを判断しているが、それぞれを機会として警告を行うか否かを判断し、何れか一方のときのみ警告を行うと判断した場合には「注意」、両方とも警告を行うと判断した場合には「危険」というように警告にレベルを設けても良い。
【0063】
以上に説明したように、侵入者検出システム10は、住戸90内に侵入者が居るときに外出中の住人に警告を行うことができるので、住戸90の住人の安心や安全を実現することができる。
【0064】
例えば、図2に示す住戸90において侵入者が玄関90aから経路91、92、93、94に沿って6畳間90b、8畳間90c、キッチン90dを経由して再び玄関90aに戻った場合、アンテナ31によって受信される電磁波は、侵入者の移動に起因する乱れが生じて強度が図7に示すように変化する。ここで、電磁波の強度が急峻に変化している時間帯は、侵入者が移動している時間帯である。侵入者検出システム10は、電磁波の強度が急峻に変化している場合に住戸90内に侵入者が居ると判断することができ、外出中の住人に警告を行うことができる。
【0065】
また、侵入者検出システム10は、侵入者の発生する赤外線やテレビ電波のような不安定な電磁波ではなく、無線通信装置20によって発生させられた電磁波を利用して侵入者を検出するので、住戸90の中に存在する侵入者の検出の安定性を従来より向上することができる。また、侵入者検出システム10は、簡易な構成によって実現することができるので、従来より安価に実現することができる。
【0066】
住戸90の住人が外出している場合、住戸90内の無線LANは、本来の役割である伝送路として使用されることは少ないと思われる。侵入者検出システム10は、無線LANが伝送路として使用されないときに、無線LANを構成する無線通信装置20を有効に利用することができる。
【0067】
侵入者検出システム10は、周波数の異なる複数のチャンネルを侵入者の検出に利用するので、1つのチャンネルのみを侵入者の検出に利用する場合と比較して、侵入者の検出の精度を向上することができる。
【0068】
侵入者検出システム10は、時間tを100ms以下とすれば、時速3kmで移動する侵入者の約8.3cm以下の移動を検出することができるので、侵入者がゆっくり移動しても侵入者を検出することができる。特に、侵入者検出システム10は、時間tを20msとすれば、時速3kmで移動する侵入者の約1.7cmの移動を検出することができる。
【0069】
なお、侵入者検出システム10は、時間tを100msとして侵入者を検出した後、時間tを20msとして再度侵入者を検出するようにすれば、侵入者の検出を段階的に行わない場合と比較して、侵入者の検出の精度を向上することができる。
【0070】
また、侵入者検出システム10は、使用する電磁波として、法律的に許可されている周波数が2.4GHz帯又は5GHz帯である電磁波を用いると良い。更に、侵入者検出システム10は、周波数が5GHz帯であって断続的に送信されて1回の送信持続時間が4ms未満である電磁波を用いれば、法律的に利用許可を受けることが不要であるので良い。
【0071】
なお、侵入者検出システム10は、本実施の形態においては専用の装置として住戸90に設置されているが、テレビなどの家電に組み込まれて住戸90に設置されても良い。
【0072】
なお、人体と、人以外の動物の体とは、誘電率が異なるため、人と、動物とが同じように移動したとしても、電磁波の電界変化は異なる。したがって、侵入者検出部33は、人体と、人以外の動物の体とを電磁波の電界変化によって区別するようになっていても良い。この構成により、侵入者検出システム10は、ペットなどの動物の体を人体として誤って検出することを防止することができる。
【0073】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係る人体検出システムとしての侵入者検出システムの構成について説明する。
【0074】
図8に示すように、本実施の形態に係る侵入者検出システム100は、4階建てのマンション190の1階にある住戸191に設置された端末110aと、マンション190の2階にある住戸192に設置された端末110bと、マンション190の3階にある住戸193に設置された端末110cと、マンション190の屋上に設置されて端末110a、110b、110cと通信を行うアクセスポイント120とを備えている。
【0075】
端末110a、110b、110cは、第1の実施の形態に係る無線通信装置20(図1参照。)と同様な図示していない無線通信装置と、第1の実施の形態に係る侵入者検出装置30(図1参照。)と同様な図示していない侵入者検出装置とをそれぞれ備えている。
【0076】
端末110a、110b、110cは、それぞれチャンネルa、b、cにおける電磁波の電界変化によって侵入者を検出するようになっている。
【0077】
次に、侵入者検出システム100の動作について説明する。
【0078】
例えば端末110aが侵入者を検出すると、アクセスポイント120は、侵入者が検出されたエリアを、侵入者が検出されたチャンネルaを使用している端末110aが設置されたエリア、即ち、住戸191と判定する。
【0079】
(第3の実施の形態)
まず、本発明の第3の実施の形態に係る人体検出システムとしての侵入者検出システムの構成について説明する。
【0080】
本実施の形態に係る侵入者検出システムの構成は、第2の実施の形態に係る侵入者検出システム100(図8参照。)の構成とほぼ同様である。したがって、本実施の形態に係る侵入者検出システムの構成のうち侵入者検出システム100の構成と同様な構成については、侵入者検出システム100の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
端末110a、110b、110cは、同一のチャンネルaにおける電磁波の電界変化によって侵入者を検出するようになっているが、図9に示すように、それぞれ別々のパターンで送信された電磁波の電界変化によって侵入者を検出するようになっている。
【0082】
パターンは、所定時間tにおける信号幅t及び信号間隔tによって調整される。
【0083】
端末110aのパターンは、図9(a)に示すように、時間tにおける送信回数が3回のパターンである。端末110bのパターンは、図9(b)に示すように、時間tにおける送信回数が4回のパターンである。端末110cのパターンは、図9(c)に示すように、時間tにおける送信回数が5回のパターンである。
【0084】
次に、本実施の形態に係る侵入者検出システムの動作について説明する。
【0085】
例えば端末110aが侵入者を検出すると、侵入者を検出したという情報が端末110aからアクセスポイント120に時間tに3回送信される。したがって、アクセスポイント120は、侵入者が検出されたエリアを、侵入者が検出されたパターン、即ち、時間tで3回というパターンで侵入者を検出している端末110aが設置されたエリア、即ち、住戸191と判定する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る侵入者検出システムの構成を示すブロック図
【図2】図1に示す侵入者検出システムが設置された住戸の間取図
【図3】図1に示す侵入者検出システムにおいて使用されるチャンネルの一例を示す図
【図4】図1に示す侵入者検出システムの無線通信装置の構成を示すブロック図
【図5】図1に示す侵入者検出システムの侵入者検出装置の構成を示すブロック図
【図6】図5に示す侵入者検出装置の動作を示すフローチャート
【図7】図2に示す住戸内を侵入者が移動した場合に図5に示す侵入者検出装置によって受信される電磁波の電界強度の変化の一例を示す図
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る侵入者検出システムが設置されたマンションの正面図
【図9】(a)本発明の第3の実施の形態に係る侵入者検出システムの端末のうちマンションの1階にある住戸に設置された端末によって送信される電磁波のパターンを示す図 (b)本発明の第3の実施の形態に係る侵入者検出システムの端末のうちマンションの2階にある住戸に設置された端末によって送信される電磁波のパターンを示す図 (c)本発明の第3の実施の形態に係る侵入者検出システムの端末のうちマンションの3階にある住戸に設置された端末によって送信される電磁波のパターンを示す図
【符号の説明】
【0087】
10 侵入者検出システム(人体検出システム)
20 無線通信装置(電磁波発生装置)
21 アンテナ
22 通信部
23 モード切替部(モード切替手段)
30 侵入者検出装置(人体検出装置)
31 アンテナ
32 侵入者特徴記憶部
33 侵入者検出部(人体検出手段)
34 警告部(警告手段)
100 侵入者検出システム(人体検出システム)
110a、110b、110c 端末
120 アクセスポイント


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を発生させる電磁波発生装置と、人体の有無の検出を行う人体検出装置とを備え、
前記人体検出装置は、前記電磁波の電界変化によって前記検出を行う人体検出手段と、前記人体検出手段によって前記人体が検出されたときに警告を行う警告手段とを備えたことを特徴とする人体検出システム。
【請求項2】
前記人体検出手段は、周波数が2.4GHz帯又は5GHz帯である前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の人体検出システム。
【請求項3】
前記人体検出手段は、周波数が5GHz帯であって断続的に送信されて1回の送信持続時間が4ms未満である前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の人体検出システム。
【請求項4】
前記電磁波発生装置は、前記電磁波を用いて通信を行う通信モードと、前記電磁波を用いて前記人体検出装置に前記検出を行わせる人体検出モードとを切り替えるモード切替手段を備えた無線通信装置であることを特徴とする請求項1に記載の人体検出システム。
【請求項5】
前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルのうち空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする請求項4に記載の人体検出システム。
【請求項6】
前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記検出に使用する前記チャンネルを所定時間毎に切り替えることを特徴とする請求項4に記載の人体検出システム。
【請求項7】
前記人体検出手段は、断続的に送信されて送信間隔が100ms以下である前記電磁波の電界変化によって前記検出を行うことを特徴とする請求項4に記載の人体検出システム。
【請求項8】
前記送信間隔は、20msであることを特徴とする請求項7に記載の人体検出システム。
【請求項9】
前記人体検出手段は、複数回の前記電界変化の時間間隔によって前記検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の人体検出システム。
【請求項10】
前記人体検出手段は、断続的に送信された前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、前記人体を検出したときに前記人体を検出した前記電磁波より送信間隔が短い前記電磁波の電界変化によって前記検出を再度行うことを特徴とする請求項4に記載の人体検出システム。
【請求項11】
複数の端末と、前記端末と通信を行うアクセスポイントとを備え、
前記端末は、電磁波を発生させる電磁波発生装置と、人体の検出を行う人体検出装置とを備え、
前記人体検出装置は、前記電磁波の電界変化によって前記検出を行う人体検出手段と、前記人体検出手段によって前記人体が検出されたときに警告を行う警告手段とを備え、
前記電磁波発生装置は、前記電磁波を用いて通信を行う通信モードと、前記電磁波を用いて前記人体検出装置に前記検出を行わせる人体検出モードとを切り替えるモード切替手段を備えた無線通信装置であり、
前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルのうち空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、
前記複数の端末は、それぞれ別々の前記空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、
前記アクセスポイントは、前記人体が検出されたエリアを、前記人体が検出された前記空きチャンネルを使用している前記端末が設置されたエリアと判定することを特徴とする請求項5に記載の人体検出システム。
【請求項12】
複数の端末と、前記端末と通信を行うアクセスポイントとを備え、
前記端末は、電磁波を発生させる電磁波発生装置と、人体の検出を行う人体検出装置とを備え、
前記人体検出装置は、前記電磁波の電界変化によって前記検出を行う人体検出手段と、前記人体検出手段によって前記人体が検出されたときに警告を行う警告手段とを備え、
前記電磁波発生装置は、前記電磁波を用いて通信を行う通信モードと、前記電磁波を用いて前記人体検出装置に前記検出を行わせる人体検出モードとを切り替えるモード切替手段を備えた無線通信装置であり、
前記人体検出手段は、前記通信のためのチャンネルのうち空きチャンネルにおける前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、
前記複数の端末は、それぞれ別々のパターンで送信された前記電磁波の電界変化によって前記検出を行い、
前記アクセスポイントは、前記人体が検出されたエリアを、前記人体が検出された前記パターンで前記検出を行っている前記端末が設置されたエリアと判定することを特徴とする請求項5に記載の人体検出システム。
【請求項13】
前記別々のパターンは、所定時間における送信回数が異なるパターンであることを特徴とする請求項11に記載の人体検出システム。
【請求項14】
前記人体検出手段は、前記人体と、人以外の動物の体とを前記電磁波の電界変化によって区別することを特徴とする請求項1に記載の人体検出システム。
【請求項15】
電磁波を発生させ、前記電磁波の電界変化によって人体の有無の検出を行い、前記人体が検出されたときに警告を行うことを特徴とする人体検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−282347(P2008−282347A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128341(P2007−128341)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(501257118)特定非営利活動法人ウェアラブル環境情報ネット推進機構 (6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】