説明

人体検出装置

【課題】 本発明は、安定した人体の動きの検出を行うことができる人体検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 撮像装置により撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けることで、画像検出部に製作上のバラツキが生じても、装置全体として補正することが可能となり、撮像する画像データの値を一定にすることができ、動きの量をずれなく演算することができて、人体の検出の安定化を図ることができる。また、オフセット調整手段により調整した調整値を不揮発性半導体メモリに記憶しておくことで、撮像の都度調整する必要はなくなり、工場出荷時に記憶させておけば現場設置後もそのまま使用することができる

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮像装置を有し、人体の動きを検出し異常が生じた場合には、遠隔場所に居る他者に警報を発する人体検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、人体の動きを検出する人体検出装置においては、監視領域を撮像装置により所定時間間隔で撮像し、前回画像と今回画像の画像データを記憶させたのち演算比較して、画像データに差異が生じていれば動きがあると判断し、差異が生じていない状態が一定時間経過継続すれば動きがなくなったものと判断していた。この動きの量は画像を構成する各画素の階調のデータを数値化して比較判定させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような人体検出装置においては、監視領域を撮像する撮像装置を構成する各部品、特に画像検出部材の製作上のばらつきが生じる。このため、同じ条件で撮像したとしても、画像のデータ値が異なり、演算結果に差異が生じるという問題があった。これにより、人体の検出が不安定となる等の難点を有していた。
【0004】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、安定した人体の動きの検出を行うことができる人体検出装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の人体検出装置は、監視領域を所定時間間隔で撮像する撮像装置と、マイクロコンピュータから構成され前記撮像装置を制御する制御装置と、EEPROM等からなる不揮発性半導体メモリとからなるものであって、撮像装置により撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けると共に該オフセット調整手段により調整した調整値を前記不揮発性半導体メモリに記憶し、該不揮発性半導体メモリに記憶した調整値を用いて撮像するようにしたことを第1の特徴としている。この第1の特徴によれば、撮像装置により撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けることで、画像検出部に製作上のバラツキが生じても、装置全体として補正することが可能となり、撮像する画像データの値を一定にすることができ、動きの量をずれなく演算することができて、人体の検出の安定化を図ることができる。また、オフセット調整手段により調整した調整値を不揮発性半導体メモリに記憶しておくことで、撮像の都度調整する必要はなくなり、工場出荷時に記憶させておけば現場設置後もそのまま使用することができる。
【0006】また、本発明の人体検出装置は、監視領域を所定時間間隔で撮像する撮像装置と、マイクロコンピュータから構成され前記撮像装置を制御する制御装置と、EEPROM等からなる不揮発性半導体メモリとからなるものであって、撮像装置により撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けると共に該オフセット調整手段により調整した調整値を前記不揮発性半導体メモリに記憶し、該不揮発性半導体メモリに記憶した調整値を用いて撮像するようにし、かつ、前記調整値は装置の周囲の明るさ及び撮像条件を一定にして決定するようにしたことを第2の特徴としている。この第2の特徴によれば、上記の特徴に加え、調整値は装置の周囲の明るさ及び撮像条件を一定にして決定するようにしたことで、装置周囲を暗くし撮像時間を一定にして調整値を決定すれば、最低値としての設定が可能となり、また逆に装置周囲を明くし撮像時間を一定にして調整値を決定すれば、最高値としての設定が可能となり、この2点を使用して制御すれば、安定した検出を行うことができる。
【0007】また、本発明の人体検出装置は、監視領域を所定時間間隔で撮像する撮像装置と、マイクロコンピュータから構成され前記撮像装置を制御する制御装置と、EEPROM等からなる不揮発性半導体メモリとからなるものであって、検知エリアの全域の画像データを平均するエリア全域平均値演算手段を設け、撮像装置により撮像した画像データの階調平均値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けると共に該オフセット調整手段により調整した調整値を前記不揮発性半導体メモリに記憶し、該不揮発性半導体メモリに記憶した調整値を用いて撮像するようにし、かつ、前記調整値は装置の周囲の明るさ及び撮像条件を一定にして決定するようにしたことを第3の特徴としている。この第3の特徴によれば、撮像装置により撮像した画像データの画素平均値が一定範囲内となるようにオフセット調整することで、安定した補正値が得られ、後刻の動き量の演算精度を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態を示す全体構成図である。図2は本発明の一実施形態を示す電気回路のブロック図である。図3は人体検出センサの画像検出部の1画素を構成する画像コア回路の構成を示す回路図である。図4はセンサの撮像範囲と検知範囲及び検知領域との関係を示す説明図である。
【0009】図1は本発明の一実施形態の概略を示すものであって、浴室1の内部には浴槽2及び洗場3を設けてある。4は浴室1への出入口である。5は人体検出装置であり、その詳細については後述するが、浴室1の内壁面上部に取り付けてある。具体的には、浴槽2の長手方向に接する浴室壁面の上部位置に取り付けてある。温水機器40には、該温水機器40を遠隔位置から操作する浴室に設置した風呂リモコン60及び台所に設置した台所リモコン70を接続してある。そして人体検出装置5は、本実施形態では浴室1の壁面に取り付けているが、この例に限ることなく、浴室1の天井面に取り付けても良い。人体検出装置5は、人工網膜チップを組み込んだ撮像装置を有し、浴室1における人体の動きを撮像して画像処理する人体検出センサ51と、赤外線による熱検知により人体を検知する赤外線センサ52とから構成している。この人体検出装置5の設置は浴室に限られず、トイレ、洗面所等密閉空間であってもよい。
【0010】浴室1には温水機器40を遠隔操作する風呂リモコン60を設置し、また台所には温水機器40を遠隔操作する台所リモコン70を設置している。ここに、温水機器40とは、浴槽に給湯等水を加熱するための機器であり、具体的には給湯器付風呂釜、給湯器付暖房機、温水暖房機、給湯器等により構成されている。温水機器にはガスを燃料とするもののみならず石油を燃料とするものでもよい。温水機器40と、リモコン60、70と、人体検出センサ51との接続については、図1のものにおいては、まず温水機器40と台所リモコン70とがケーブル41により接続され、次に温水機器40と風呂リモコン60とがケーブル41で接続され、さらに温水機器40と人体検出センサ51とがケーブル41で接続されている。そして、給湯器等を制御する前記リモコン60、70には、浴室1に入浴者がいることを知らせる液晶表示パネル等の表示部を有しており、人体検出装置5が入浴者を検知して、検知信号を出力すると、表示部が点灯等表示するようにしてもよい。表示部は上記のものに限られず、入浴者の動きが一定時間無かった場合、浴槽で寝ているかまたは倒れたと推測し、まず風呂リモコン60で警報音あるいは音声により注意を喚起し、浴室側から応答が所定時間内にない場合には、台所リモコン70において警報音あるいは音声により家族等他者に警報報知するようにしておけばよい。また、人体検出装置をトイレに設置する場合には、温水便座を遠隔操作するリモコン等に報知手段を設けておけばよい。さらに、人体検出装置を洗面所に設置する場合には、洗面所の給湯カランの湯温等を遠隔操作する機器あるいは洗面所の暖房機のリモコン等に報知手段を設けておけばよい。
【0011】そして、温水機器40の内部には熱交換器及びバーナが内蔵されており、制御のための各種センサを設けてある。また、温水機器40から浴槽2に対して給湯落しこみ管46が接続配管されている。また、人体検出装置5を作動させるための電源は、温水機器40の電源プラグ47から導入され、温水機器40のコントローラ42部の図示しないトランスを介して降圧され低電圧化されて供給される。
【0012】図2は人工網膜チップを利用した人体検出センサ51と、赤外線センサ52とからなる人体検出装置5の具体構成を示したものである。人体検出センサ51は監視領域を撮像する撮像装置6と、撮像装置6を制御すると共に処理情報を判定等する制御装置7とから構成されている。また、制御装置7と温水機器本体あるいは外部のリモコン60、70とは例えば後述する通信IC等の通信部53により送受信するようにしてある。そして、人体検出センサ51の他に赤外線センサ52を同一のケース体内に設け、その制御装置7を共用し、浴室1が暗い場合の監視の相互補填を行なうようにしてある。
【0013】前記撮像装置6の撮像部8は、縦128×横128画素からなる画像検出部9、結像レンズ10、スキャナ11、マルチプレクサ12及びスキャナ駆動制御部13から構成されている。画像検出部9の画素はそれぞれモノクロ256階調「レベル0(黒)〜255(白)の256階調」で表現される。尚、実際の撮像においては、画像検出部9の全画素のうちの一部画素(32×32)を使用してもよい。
【0014】そして、撮像部8においては、浴室内の画像は、結像レンズ10によって画像検出部9に結像される。スキャナ11は、スキャナ駆動制御部13によって駆動制御されており、スキャナ駆動制御部13は画像検出部9の各画素列を順次一定周期毎に受光状態(オン状態)となるように制御している。受光状態となった1列の各画素から同時に出力された光電流は、マルチプレクサ12によって複数の電気信号は1つの電気信号にまとめられ、増幅器14で増幅された後、アナログ電圧として出力される。アナログデータからデジタルデータへの変換は制御装置7により行うようにしてある。
【0015】また、画像検出部9の各画素は、図3に示すように画素コア回路17によって構成されている。画素コア回路17は受光素子18、電荷蓄積回路19、感度可変回路20から構成されており、感度可変端子21及びリセット端子22がスキャナ11に接続され、光電流出力端子23がマルチプレクサ12に接続されている。
【0016】図2においてゲイン調整部16は、画像出力部15における画像平均値(画像の明るさ)をチェックし、画像平均値が適切な範囲から外れていれば、増幅器14によって撮像装置6のゲインを調整すると共にスキャナ駆動制御部13によって画像検出部9の蓄積時間を調整し、適正な明るさの画像が得られるように調光する。
【0017】人工網膜チップを用いた撮像装置6では、画像の階調平均値は、画像検出部9を構成する全画素における階調(0階調(黒)〜255階調(白)の256階調)の平均値であり、0〜255の値で表わさせる。この画像の平均値は増幅器14のゲインと画像検出部9の画像蓄積時間によって決定される。ここで、ゲインはカメラの絞りに相当し、画像蓄積時間はカメラのシャッタースピードに相当する。従って、撮像装置6の適正な画像階調平均値を得ようとすれば、適当なゲインに固定しておき、画像蓄積時間を調整すればよい。あるいは、適当な画像蓄積時間を固定しておき、ゲインを調整するようにすればよい。画像出力部15の出側にはオフセット調整を行うためのレジスタ33が設けてある。
【0018】そして、図2において少なくとも撮像をおこなう画像検出部9とスキャナ11とスキャナ駆動部13とゲイン調整部16とは1チップで構成されている。このチップは人工網膜チップと称される。また、このチップの裏面位置には、制御装置7を設けてあり、この制御装置7はマイクロコンピュータからなり、この内部には人体検出センサ51による検知処理を行なう検知領域を複数の領域に分割する領域分割手段24、オフセット調整手段34等をソフトウエアとして組み込んである。オフセット調整手段34は撮像装置により撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するものである。
【0019】領域分割手段24は図4に示すように、制御装置7に入力された画像情報を処理するためのポイントテーブル25を複数域に分割するものである。すなわち人体検出センサ51による検出可能な撮像能力範囲(ポイントテーブル25全体に相当)を、まず画像処理の必要な検知領域26と、画像処理を行なわない非検知領域27とに区画している。すなわち、撮像能力範囲のすべてを検知領域とはしていない。これにより検出処理可能な検出処理領域のうちの一部を、実際に検知し処理するセンサ検知領域として使用することで画像の処理範囲を限定して、画像処理の速度を早めている。
【0020】さらに前記の検知領域26を、図4のように、入口領域29と洗場領域30と浴槽領域31との3つの領域に分割するようにしてある。検知領域26の分割については、この例に限られることなく、入口領域29と該入口領域29以外の領域の2つに分割してもよい。例えば、洗場領域30及び浴槽領域31を合わせて1つの領域に設定しても差しつかえない。ここに入口領域29とは、浴室の場合には浴室内であって浴室への出入口ドアの近傍に位置する領域をいう。洗場領域30とは、主として頭や体を洗う床部の領域をいい、また、浴槽領域31とは浴槽が位置している領域をさす。このように分割された領域毎に、順次画像情報が制御装置に入力されて、領域毎および分割したエリア全体について検出、演算等の処理がなされるのである。
【0021】そして、人体検出センサ51を構成する結像レンズ10と撮像装置6と制御装置7とは、前記赤外線センサ52と共に1つのケースに納められ、人体センサセットとして壁面等に取り付けられる。取り付け位置は浴室への出入口4を含め、浴室1全体を監視領域として視野角内におさめるようにすれば良い。
【0022】そして、撮像装置6の検出出力と赤外線センサ52の検知出力はそれぞれ判定手段32へ入力される。判定手段32は撮像装置6からの出力と赤外線センサからの出力に基づき、浴室における入浴者の有無や入浴者の動きなどを総合的に判断するようになっている。
【0023】人工網膜により検出した画像は次のように画像処理される。画像を制御、処理する制御装置7は、画像検出部9を構成する全画素から画像情報を所定時間毎に受信し、所定時間毎に画像情報を受け取ると、該画像情報を処理し、判定手段32により入浴者の動きを判定するのである。
【0024】次に、撮像装置6で捉えた画像から人の動きを抽出するための画像処理方法を説明する。マイクロコンピュータで構成される制御装置7は、所定時間毎に画像情報を受け取ると、当該画像情報から入浴者の動きを所定の解析アルゴリズムに従って解析し、入浴者の動きを監視する。
【0025】具体的には、いま図9(a)のように正方形の物体の画像(明画像)Pが位置P1から位置P2へ移動したとする。このとき、明るい画素を記号B、暗い画素を記号Dで表わせば、前画像は図9(b)で表わされ、現画像は図9(c)で表わされる。この前後の画像は、画像記憶手段により一旦記憶される。撮像された画像は順次更新され常に最新の両画像が記憶されるようになっている。そして制御装置7に設けた動き量を演算する手段により、分割された領域毎に前記2枚の画像が比較されて、各領域の各画素(x、y)毎に、前画像pの受光量Pp(x、y)と現画像nの受光量Pn(x、y)との差分(動き量)
D(x、y)=Pn(x、y)−Pp(x、y)
が演算され、演算結果は図10のような差分画像として得ることができる。
【0026】図10の差分画像においては、差分D(x、y)が正の画素は+記号で表わし、負の画素は−記号で表わし、D(x、y)がゼロの画素は0記号で表わしている。このような差分の総和を捉えることで、動きがあるか否かを領域毎に判定することができ、この判定は制御装置7に設けた動き有無判定手段にて行われる。動き量が生じていなければ動き無しと判定され、動き量が生じていれば動き有りと判定される。
【0027】そして、マイクロコンピュータからなる制御装置7には図6に示すように、各種の演算、制御手段がプログラムされている。エリア全域平均値演算手段80は、前述した検知領域26全域の画像の階調平均値を演算するものである。具体的には、検知エリア全域領域の階調の平均値であり、検知領域における各画素毎の画像データを加算したものを、検知領域の画素数で割ったものであり、0〜255の値で表わされる。また、第1比較手段81は、前記エリア全域平均値演算手段80により演算された平均値を予め定めた一定値と比較しそれ以下か否かを判定する手段である。第2比較手段82は、前記エリア全域平均値演算手段80により演算された平均値を予め定めた所定値と比較しそれ以上か否かを判定する手段である。一定値は所定値よりも大きな値としてある。オフセット調整手段34は前述したように、撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するものであり、図6のものにおいては、検知エリア全域における画像データの階調平均値が一定範囲内となるように調整するものである。
【0028】動き量演算手段83は前述したように前画像と現画像とを各画素毎に差分値を演算し、動きの量を演算するものである。そして、判定手段32により、算出した値が一定値以上か否かを判定するようにしてある。制御装置7にはEEPROM等の不揮発性半導体メモリ85を接続してあり、工場からの出荷前に前記オフセット調整手段34により調整した調整値をこのメモリに記憶し、人体検出装置の設置後はこのメモリに記憶させた調整値を使用して監視領域を撮像するようにしてある。
【0029】本発明は検知エリア全域の画像データの階調平均値を同時に演算しているが、この例に限られず、図7に示すように、各領域毎に平均値を演算し最終的に全域の画像データの階調平均値を求めるようにしてもよい。すなわち、入口領域平均値演算手段86により、入口領域29における画像の階調平均値を演算するものである。また洗場領域平均値演算手段87は、洗場領域30における画像の階調平均値を演算するものである。また浴槽領域平均値演算手段88は、浴槽領域31における画像の階調平均値を演算するものである。このように分割された各領域毎の画像の階調平均値を演算し、最後に全域の階調平均値を算出するようにしている。
【0030】次にレジスタによるオフセット調整についてのフローを図8について説明する。図8においてまず、工場出荷前の検査時において適宜の手段により、人体検出装置51の制御装置7にプログラムされたオフセット調整手段34にオフセット調整開始の指令を与える(ステップS11)。以後装置の調整が可能となる。調整を行う時には、人体検出装置51の周囲の明るさ及び撮像条件を一定にして行われる。例えば周囲を暗くて、暗いときのオフセット調整を行う。その後周囲を明かるくして、明るいときのオフセット調整を行うようにすればよい。暗闇での調整に際しては、まずゲイン調整部16のゲインを暗ゲインにセットする(ステップS12)。次に、画像蓄積のための蓄積時間を所定時間にセットする(ステップS13)。この後、模擬的な浴室を撮像する(ステップS14)。撮像装置により撮像した1枚の画像について、エリア全域平均値演算手段80により検知エリア全域の画像データの階調平均値を演算する(ステップS15)。次に、第1比較手段81により、エリア全域平均値演算手段80により演算された階調平均値を予め定めた一定値と比較し、それ以下か否かが判定される(ステップS16)。
【0031】一定値以下であれば(ステップS16でイエスの場合)調整の必要ないため次のフローに進み、一定値を超えている場合には(ステップS16でノーの場合)、レジスタ33のOレジスタの値を−1する(ステップS17)。これを順次繰り返して階調平均値が一定値以下になれば、次に第2比較手段82により、階調平均値を予め定めた所定値と比較し、それ以上か否かが判定される(ステップS18)。所定値以上であれば(ステップS18でイエスの場合)調整の必要ないため次のフローに進み、階調平均値が所定値を超えている場合には(ステップS18でノーの場合)、レジスタ33のOレジスタの値を+1する(ステップS19)。これを順次繰り返しエリア全域の階調平均値が所定値以上になるように調整する。このように、撮像装置により撮像した画像データの出力値である階調平均値が一定範囲に入ったとき、その値をEEPROMからなる不揮発性半導体メモリに記憶させる(ステップS20)。このように暗闇でのオフセットの調整がなされたのち、明所でのオフセット調整を行えばよい。これらの調整は、装置が工場から出荷される前に行うようにしているが、装置を設置した後の試運転時に行うようにしてもよい。調整後においては、部材のバラツキによる演算のずれがなくなり、最適の状態で撮像でき、動き量の演算を行うことができる。尚、図8の実施例はOレジスタのみによるオフセット調整例を示したが、この例に限られず図11に示すように、Oレジスタの他にVレジスタを調整するようにして、2段階で調整するようにしてもよい。即ち、前記と同様に、撮像装置により撮像し(ステップS20)、この撮像した1枚の画像について、エリア全域平均値演算手段80により検知エリア全域の画像データの階調平均値を演算する(ステップS21)。次に、エリア全域平均値演算手段80により演算された階調平均値を予め定めた第2の一定値と比較し、それ以下か否かが判定される(ステップS22)。
【0031】一定値以下であれば(ステップS22でイエスの場合)調整の必要ないため次のフローに進み、第2の一定値を超えている場合には(ステップS22でノーの場合)、レジスタ33のVレジスタの値を−1する(ステップS23)。これを順次繰り返して階調平均値が第2の一定値以下になれば、次に階調平均値を予め定めた第2の所定値と比較し、それ以上か否かが判定される(ステップS24)。第2の所定値以上であれば(ステップS24でイエスの場合)調整の必要ないため次のフローに進み、階調平均値が所定値を超えている場合には(ステップS24でノーの場合)、レジスタ33のVレジスタの値を+1する(ステップS25)。これを順次繰り返しエリア全域の階調平均値が第2の所定値以上になるように調整する。この調整が終了した後に、前述したOレジスタのオフセット調整を行うようにしてある。2段階の調整を行うことで、撮像の精度をさらに向上させることができる。
【0032】次に、上記調整後において、浴室1に人が入室したか否か等の判別について説明する。図5において、人が浴室1に入り始めると、まず待機状態にある赤外線センサ52が人体を検知してオンとなる(ステップS1)と共にタイマセットされ(ステップS2)、人体検出センサ51が一定時間内に洗場において人を検知すると(ステップS3)、入室したものと判断する(ステップS4)。
【0033】この入室判定において、人体検出センサ51による人体検知には撮像及び動き量の演算等に時間を要すること、あるいは浴室1が暗い場合には監視感度が鈍いことから、赤外線センサ52を併用し、赤外線センサ52が検出した後、人体検出センサ51が共に人を検出することで、人体検出センサ51の弱点を補い、入室の確実を期しているものである。
【0034】また、浴室1からの退出時においても、赤外線センサ52がオフとなった場合(ステップS5においてノーの場合)で、かつ、人体検出センサ51が動き量を検知しない場合(ステップS6においてノーの場合)であることを条件に、浴室1から退出したものと判断させている(ステップS7)。なお、退出判定にはさらに、図示しない、退出スイッチのオフを条件としてもよい。赤外線センサ52のみでは入口部に立ち止まったままであるとオフとなり、退出したものと誤って判断することが有り得るので、両センサの人体非検出により退出判断して、この赤外線センサ52の弱点を他のセンサを使用することで補完している。
【0035】そして、人体検出センサ51が洗場3において人を検知しなかった場合(ステップS3でノーの場合)でも、浴槽2において人を検知すると(ステップS8)、所定時間内に赤外線センサ52及び人体検出センサ51が共に人を検知している場合には(ステップS9、S10)、入室しているものと判断することとしている(ステップS4)。
【0036】次に、前述したように入室判断がされると、人体停止の検出フローに入り、撮像装置6によって前述したように所定時間間隔で監視領域を撮像して、前画像と現画像とを一旦制御装置7に記憶させる。次に、制御装置7にプログラムされた動き量演算手段83により、各領域毎の各画素毎に、前画像の受光量と現画像の受光量との差分(動き量)を演算する。そして、これらの情報は制御装置7の判定手段32に送られ、人体の動き停止の判定がなされるのである。
【0037】なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内で各種設計変更可能である。例えば、本実施形態ではシステムバスルームについて説明したが、この例に限られることなくこれ以外の既存の浴室にも設置できるものである。さらに、浴室以外にトイレ、洗面所等においても用いることができるものである。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明は、動きの量をずれなく演算することができて、人体の検出の安定化を図ることができる。また、オフセット調整手段により調整した調整値を不揮発性半導体メモリに記憶しておくことで、撮像の都度調整する必要はなくなり、工場出荷時に記憶させておけば現場設置後もそのまま使用することができる。また本発明は、調整値は装置の周囲の明るさ及び撮像条件を一定にして決定するようにしたことで、安定した検出を行うことができる。さらに本発明は、撮像装置により撮像した画像データの画素平均値が一定範囲内となるようにオフセット調整することで、安定した補正値が得られ、後刻の動き量の演算精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態を示す電気回路のブロック図である。
【図3】図3は人体検出センサの画像検出部の1画素を構成する画像コア回路の構成を示す回路図である。
【図4】図4はセンサの撮像範囲と検知範囲及び検知領域との関係を示す説明図である。
【図5】図5は本発明の一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】図6は本発明の一実施形態の電気ブロック図である。
【図7】図7は本発明の他実施形態の電気ブロック図である。
【図8】図8は本発明の制御フローを示すフローチャートである。
【図9】図9の(a)は右下方へ向けて移動した物体の現画像と前画像を示す図、(b)は前画像の明暗を各画素毎に示す図、(c)は現画像の明暗を各画素毎に示す図である。
【図10】図10は画像の境界に対応する画素における明暗の変化を示す差分画像を表わした図である。
【図11】図11は本発明の他の実施例の制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 浴室
2 浴槽
3 洗場
4 出入口
5 人体センサ
6 撮像装置
7 制御装置
9 画像検出部
15 画像出力部
17 画像コア回路
24 領域分割手段
26 検知領域
29 入口領域
30 洗場領域
31 浴槽領域
32 判定手段
33 レジスタ
34 オフセット調整手段
51 人体検出センサ
52 赤外線センサ
60 風呂リモコン
70 台所リモコン
80 エリア全域平均値演算手段
81 第1比較手段
82 第2比較手段
83 動き量演算手段
85 不揮発性半導体メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 監視領域を所定時間間隔で撮像する撮像装置と、マイクロコンピュータから構成され前記撮像装置を制御する制御装置と、EEPROM等からなる不揮発性半導体メモリとからなるものであって、撮像装置により撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けると共に該オフセット調整手段により調整した調整値を前記不揮発性半導体メモリに記憶し、該不揮発性半導体メモリに記憶した調整値を用いて撮像するようにしたことを特徴とする人体検出装置。
【請求項2】 監視領域を所定時間間隔で撮像する撮像装置と、マイクロコンピュータから構成され前記撮像装置を制御する制御装置と、EEPROM等からなる不揮発性半導体メモリとからなるものであって、撮像装置により撮像した画像データの出力値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けると共に該オフセット調整手段により調整した調整値を前記不揮発性半導体メモリに記憶し、該不揮発性半導体メモリに記憶した調整値を用いて撮像するようにし、かつ、前記調整値は装置の周囲の明るさ及び撮像条件を一定にして決定するようにしたことを特徴とする人体検出装置。
【請求項3】 監視領域を所定時間間隔で撮像する撮像装置と、マイクロコンピュータから構成され前記撮像装置を制御する制御装置と、EEPROM等からなる不揮発性半導体メモリとからなるものであって、検知エリアの全域の画像データを平均するエリア全域平均値演算手段を設け、撮像装置により撮像した画像データの階調平均値が一定範囲となるようにオフセット調整するオフセット調整手段を設けると共に該オフセット調整手段により調整した調整値を前記不揮発性半導体メモリに記憶し、該不揮発性半導体メモリに記憶した調整値を用いて撮像するようにし、かつ、前記調整値は装置の周囲の明るさ及び撮像条件を一定にして決定するようにしたことを特徴とする人体検出装置。

【図3】
image rotate


【図10】
image rotate


【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図11】
image rotate


【公開番号】特開2003−51081(P2003−51081A)
【公開日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−239262(P2001−239262)
【出願日】平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】