人体検知方法及び人体検知システム

【課題】自動車ボディの塗装ブースなどに用いられ、人が静止している場合、或いは人の動きが非常に小さい場合でも人の存在を検知することができる、検知精度に優れた人体検知方法及び安価な人体検知システムを提供する。
【解決手段】人の侵入を検知すべき場所に設置されて、当該場所内の人の存在を検知する赤外線センサ3と、前記赤外線センサ3をスイングさせるスイング手段30とを備える人体検知システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の存在を検知するための赤外線センサを使用した人体検知方法及び人体検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティや危険防止などの目的で、室内への人間の侵入や室内にいる人間の存在の有無を検知するための、検知精度に優れた人体検知方法及び人体検知システムが求められている。
【0003】
人体検知の方法には幾つか種類があり、主な方法としては、赤外線センサ、赤外線カメラ、超音波センサ、画像処理、圧力センサを用いた方法が挙げられる。
【0004】
赤外線センサを用いる人体検知方法は、人の体温くらいの温度を検知することで人体とそれ以外の物を識別する方法であるが、人体が完全に静止している場合は検知不可であるという短所がある。
超音波センサを用いる人体検知方法は、超音波を発信し跳ね返ってきた波を検知することで移動する物体が存在することを認識する方法であるが、動くものすべてを認識するため、人体と他の物体との識別ができないという短所がある。
画像処理を用いる人体検知方法は、CCDカメラなどで取り込んだ映像に色などの条件を加えることで識別する方法であるが、人体と他の物体が同色の場合、人体だけを検知できないという短所がある。
圧力センサを用いる人体検知方法は、荷重が加わり発生した歪みを検知することでそこに物体が存在することを認識する方法であるが、自動車ボディの静電塗装を行う塗装ブースに用いる場合には、塗料を被ってしまい長期的に使用できないという短所がある。
【0005】
自動車のボディの静電塗装においては、空拭き、溶剤拭き、エアブローなどの塗装前の準備作業を行う塗装準備室の後段に、自動塗装装置(ロボット)が設置された自動塗装ブースが連接されており、コンベアなどで塗装準備室内に搬送されてきた被塗物の塗装準備作業を行った後、自動塗装ブースに搬入して自動塗装装置により無人で塗装を行っている。
この自動塗装ブースは、例えば、静電塗装機(スプレーガン)を多関節型多軸制御マシンのロボットアームの先端に取り付けた自動塗装装置が配されて、静電塗装機に高電圧を印加した状態で、この静電塗装機を被塗物の塗装面に対して前後左右に移動させて塗装しているので、塗装装置が稼働中に作業者が自動塗装ブースに侵入すると非常に危険である。
【0006】
塗装ブースの危険域への人の侵入を検知する人体検知システムとして、危険域の出入口付近にセンサを設置し、人の侵入を検知すると自動塗装装置を停止させる人体検知システムが知られている。
しかしながら、このような人体検知システムには、メンテナンスなどの理由で塗装ブース内に作業者が残っていたとしても自動塗装装置を再稼動できてしまい作業者が危険にさらされるという問題があった。さらに、センサを避けて或いは切って入る作業者、又はセンサの無い所からの人の侵入には対応できないという問題もあった。
【0007】
上記課題を解決するための、塗装ブース内に存在する人を検知する人体検知システムとして、塗装ブース内の空間にそれぞれ設けられた、人の存在を感知する適当数の赤外線式動体検知センサを備えたワーク加電塗装システム(特許文献1)、板金塗装される自動車の停止位置の床面で自動車の外表面に沿った位置にある開口部の上方に、赤外線センサからなる作業員検出手段が設けられた板金塗装用集塵装置(特許文献2)、可視光撮像装置及び赤外線撮像装置の画像信号に基づき、作業者が自動塗装ゾーンに侵入したことを検出する画像処理装置(特許文献3)、可視光撮像装置及び赤外線撮像装置の画像信号に基づき、作業者が自動塗装ゾーンにいないことを確認する塗装ラインの安全起動装置(特許文献4)などが開示されている。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1〜4の人体検知システムは、作業者が完全に静止している場合、或いは作業者の動きが非常に小さい場合に、作業者を検知できないという問題があった。また、この問題を回避する手段として赤外線カメラを使用した場合、大変高価になり現実的でない。
塗装ロボットの修正やメンテナンスは同じ位置で行うため、作業者があまり動かない。また、作業者は、塗装ブースの中では、塗料からの保護のために防護服を着用しており、作業者の動きは非常に小さくなりがちである。そのためセンサによる検知が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−229452号公報
【特許文献2】特開平10−85693号公報
【特許文献3】特開平10−99733号公報
【特許文献4】特開平10−99734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述したような問題点を解決すべくなされたものであって、自動車ボディの塗装ブースなどに用いられ、人が静止している場合、或いは人の動きが非常に小さい場合でも人の存在を検知することができる、検知精度に優れた人体検知方法及び安価な人体検知システムを提供するものであり、この人体検知システムを複数台数設置することにより、広範囲に対象場所全域を監視でき、より安全性の高いシステムを提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、人の侵入を検知すべき場所に赤外線センサを設置し、前記赤外線センサをスイングさせることにより、当該場所内の人の存在を検知することを特徴とする人体検知方法に関する。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記場所が塗装装置を備える塗装ブースであることを特徴とする請求項1記載の人体検知方法に関する。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記赤外線センサにより人体を検知した時、前記塗装ブース内の前記塗装装置を停止させることを特徴とする請求項2記載の人体検知方法に関する。
【0014】
請求項4に係る発明は、人の侵入を検知すべき場所に設置されて、当該場所内の人の存在を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサをスイングさせるスイング手段とを備える人体検知システムに関する。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記場所が塗装装置を備える塗装ブースであることを特徴とする請求項4記載の人体検知システムに関する。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記赤外線センサにより人体を検知した時、前記塗装ブース内の前記塗装装置を停止させる塗装装置停止手段を備えることを特徴とする請求項5記載の人体検知システムに関する。
【0017】
請求項7に係る発明は、前記スイング手段が、中心軸周りに回転する風車と、前記風車を回転させるためのエアーを供給するエアー供給装置と、前記エアー供給装置に接続され、前記風車に対してエアーを噴出するように前記中心軸から偏心した位置に吹出口が配置されたエアー供給管と、前記風車に対して前記赤外線センサを固定するとともに前記風車と共に回転するセンサ固定部材と、を備えており、前記エアー供給装置から前記エアー供給管を通ってエアーが噴出されることにより前記風車が回転し、この回転を利用して前記センサ固定部材と共に前記赤外線センサがスイングすることを特徴とする請求項4乃至6いずれかに記載の人体検知システムに関する。
【0018】
請求項8に係る発明は、前記スイング手段が、前記風車が回転した時に前記センサ固定部材が衝突することにより風車の回転を止める回転規制部材と、前記風車が取り付けられた風車取付板と、前記回転規制部材に対して前記風車取付板を揺動可能に連結する連結機構と、を備えており、前記連結機構は、前記風車の正方向及び逆方向の回転に伴って、前記センサ固定部材が前記回転規制部材に衝突した時に作用する力により、前記風車取付板が正逆方向に揺動することを許容し、前記風車取付板の揺動により前記風車に対する前記吹出口の位置が変化し、これにより前記風車の回転方向が変化することを特徴とする請求項7記載の人体検知システムに関する。
【0019】
請求項9に係る発明は、前記エアー供給装置と接続された第二エアー供給管を備えており、前記第二エアー供給管は、その吹出口が前記赤外線センサの受光面前方においてエアカーテンを形成するように配置されていることを特徴とする請求項7又は8記載の人体検知システムに関する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、人の侵入を検知すべき場所に設置された赤外線センサをスイングさせることにより、人が静止している場合、或いは人の動きが非常に小さい場合においても、室内での人の存在の有無を精度良く検知することができる人体検知方法を提供することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、赤外線センサが塗装装置を備える塗装ブースに設置されることにより、塗装ブース内において人の存在を確実に検知して、事故の発生を防止することができる人体検知方法を提供することができる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、赤外線センサにより人体を検知した時、塗装ブース内の塗装装置を停止させる人体検知方法であることにより、メンテナンスなどの理由で塗装ブース内に作業者が存在する場合に高電圧が印加された塗装装置が稼動して作業者が危険に晒されてしまうことを防ぐことができる人体検知方法を提供することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、人体検知システムが赤外線センサをスイングさせるスイング手段を備えていることにより、人が静止している場合、或いは人の動きが非常に小さい場合においても、室内での人の存在の有無を精度良く検知することができる安価な人体検知システムを提供することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、人体検知システムが塗装装置を備える塗装ブースに設置されることにより、塗装ブース内において人の存在を確実に検知して、事故の発生を防止することができる人体検知システムを提供することができる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、赤外線センサにより人体を検知した時、塗装ブース内の塗装装置を停止させる塗装装置停止手段を備える人体検知システムであることにより、メンテナンスなどの理由で塗装ブース内に作業者が存在する場合に高電圧が印加された塗装装置が稼動して作業者が危険に晒されてしまうことを防ぐことができる人体検知システムを提供することができる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、前記スイング手段が、中心軸周りに回転する風車と、前記風車を回転させるためのエアーを供給するエアー供給装置と、前記エアー供給装置に接続され、前記風車に対してエアーを噴出するように前記中心軸から偏心した位置に吹出口が配置されたエアー供給管と、前記風車に対して前記赤外線センサを固定するとともに前記風車と共に回転するセンサ固定部材と、を備えており、前記エアー供給装置から前記エアー供給管を通ってエアーが噴出されることにより前記風車が回転し、この回転を利用して前記センサ固定部材と共に前記赤外線センサがスイングすることを特徴とする人体検知システムであることにより、複雑な構成を必要とせずに、人が静止している場合、或いは人の動きが非常に小さい場合においても、室内での人の存在の有無をより精度良く検知することができる人体検知システムを提供することができる。また、駆動源が電気ではなくエアーであるので、塗装に用いる溶剤の蒸気が混合した空気と電気火花との接触による爆発の危険性がない人体検知システムを提供することができる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、前記スイング手段が、前記風車が回転した時に前記センサ固定部材が衝突することにより風車の回転を止める回転規制部材と、前記風車が取り付けられた風車取付板と、前記回転規制部材に対して前記風車取付板を揺動可能に連結する連結機構と、を備えており、前記連結機構は、前記風車の正方向及び逆方向の回転に伴って、前記センサ固定部材が前記回転規制部材に衝突した時に作用する力により、前記風車取付板が正逆方向に揺動することを許容し、前記風車取付板の揺動により前記風車に対する前記吹出口の位置が変化し、これにより前記風車の回転方向が変化することを特徴とする人体検知システムであることにより、複雑な構成を必要とせずに安定して赤外線センサをスイングさせることができ、これにより、人が静止している場合、或いは人の動きが非常に小さい場合においても、室内での人の存在の有無をより精度良く検知することができる人体検知システムを提供することができる。また、回転規制部材の配設位置を変更することによりスイングの角度を容易に調整することができる人体検知システムを提供することができる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、前記エアー供給装置と接続された第二エアー供給管を備えており、前記第二エアー供給管は、その吹出口が前記赤外線センサの受光面前方においてエアカーテンを形成するように配置されていることを特徴とする人体検知システムであることにより、赤外線センサへの塗料付着によって人体の検知精度が落ちることがなく、赤外線センサの長期使用を可能にすることができる人体検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】塗装ブースの概要を説明するための平面図である。
【図2】塗装装置の概要を説明するための正面図である。
【図3】赤外線センサとスイング手段の構成を説明するための正面図である。
【図4】赤外線センサとスイング手段の構成を説明するための平面図である。
【図5】赤外線センサとスイング手段の構成を説明するための底面図である。
【図6】赤外線センサとスイング手段の構成を説明するための右側面図である。
【図7】赤外線センサとスイング手段の構成を説明するための左側面図である。
【図8】実施例及び比較例の赤外線センサからの出力信号の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る人体検知方法及び人体検知システムについて図を参照しながら説明する。
【0031】
本発明の人体検知方法は、人の侵入を検知すべき場所に赤外線センサを設置し、この赤外線センサをスイングさせることにより、当該場所内の人の存在を検知することを特徴とする人体検知方法である。
本発明の人体検知方法は、塗装装置を備える塗装ブース内の人の存在の検知に好適に用いられる。
本発明の人体検知方法は、赤外線センサにより人体を検知した時、塗装ブース内の塗装装置を停止させることができることが望ましい。
本発明の人体検知方法は、例えば以下に示す人体検知システムにより実現可能である。
【0032】
本発明の人体検知システムは、赤外線センサと、この赤外線センサをスイングさせるスイング手段とを備える。
赤外線センサは、赤外領域の光(赤外線)を受光し電気信号に変換して、必要な情報を取り出すセンサである。本発明において焦電型赤外線センサが好適に用いられる。
焦電型赤外線センサは、焦電効果を有する焦電素子を備えており、焦電素子が受光する赤外線の光量の変化を検知するものである。
【0033】
人が完全に静止している場合、或いは動きが非常に小さい場合、焦電素子が受光する赤外線の光量の変化が小さい。赤外線センサをスイングさせるスイング手段は、人が静止している場合、或いは人の動きが非常に小さい場合において、赤外線センサが人の存在を検知できないことを防ぐために備えられる。これは、センサ側を動作させ、対象(人)が移動しているように認識させることにより人の検知を可能にしている。
スイング手段の構成は特に限定されるものではなく、スイングの角度及び赤外線センサの取り付け位置は、人体検知の際、死角がでないように適宜決定することができる。スイングの速度は、用いる赤外線センサの種類により人体検知の精度が高くなる値を適宜決定すればよい。
【0034】
本発明の人体検知システムが用いられる用途は特に限定されるものではないが、オフィスなどへの不審者侵入を防止するセキュリティのため、或いは自動車ボディの塗装のための塗装ブース内での危険防止のためなどに好適に用いることができる。
【0035】
以下、人体検知システムが塗装ブースに用いられる場合の実施形態について説明する。
図1は、塗装ブースの概要を説明するための平面図である。
塗装ブース(100)の床の中央部には、車体(31)を載せた台車が通るためのレール(32)が設置されており、レール(32)の左右両側に自動塗装装置(21)が並べられている。床には余分な塗料を排出するために金網が敷かれている。塗装ブース(100)の周りは壁に囲まれ、その空間内は約20℃〜28℃の恒温に保たれている。
【0036】
図2は、塗装装置の概要を説明するための正面図である。
レールの上を運ばれてきた車体(31)は、自動塗装装置(21)によって塗装される。自動塗装装置(21)には、多関節型多軸制御マシン(22)のロボットアーム(23)の先端に高電圧が印加される静電塗装装置(24)が取り付けられており、塗装中は作業者の立ち入りは禁止されている。
【0037】
図1,2に示すように赤外線センサ(3)が塗装ブース内の壁面などに設置されることにより、塗装ブース内の人の存在を検知する。
本発明の人体検知システムは、赤外線センサが人体を検知した時、塗装ブース内の塗装装置を停止させる塗装装置停止手段を備えていることが好ましい。これにより、メンテナンスなどの理由で塗装ブース内に作業者が存在する場合に塗装装置が稼動して作業者が危険に晒されることを防ぐことができる。
塗装装置停止手段は、赤外線センサが人を検知している間は、塗装装置を再稼動させることができないようにするものである。或いは、一旦赤外線センサが人を検知すると、塗装装置停止手段を解除しない限り塗装装置を再稼動させることができないようにしてもよい。
塗装装置停止手段の形態、及び赤外線センサと塗装装置停止手段の通信方法は、特に限定されるものではなく、上記目的を達成することができるものであればよい。
【0038】
図3は人体検知システムの構成を説明するための正面図であり、図4はその平面図、図5はその底面図、図6はその右側面図、図7はその左側面図である。
本発明の人体検知システムは、赤外線センサ(3)と、赤外線センサ(3)をスイングさせるスイング手段(30)を備えている。尚、以下に説明するスイング手段(30)は一例であり、本発明においては、赤外線センサをスイングさせることができる機能を有するものであれば、エアーで駆動するもの、電気モーターで駆動するものなどを含めて、その構成は特に限定されない。
ここで、一例として挙げる風車を利用したスイング手段(30)は、風車(1)と、この風車を回転させるためのエアーを供給するエアー供給装置(2)とを備えている。エアー供給装置(2)にはエアー供給管(5)が接続され、このエアー供給管(5)は、風車(1)に対してエアーを噴出するように風車(1)の中心軸から偏心した位置に吹出口が配置されている。
スイング手段(30)は、風車(1)に対して赤外線センサ(3)を固定するとともに風車(1)と共に回転するセンサ固定部材(4)を備えている。センサ固定部材(4)は、風車(1)の中心軸から偏心した位置に風車(1)と固定され、垂直上側(風車(1)の中心軸と平行)に延伸するように配設された棒状体からなる。赤外線センサ(3)は、センサ固定部材(4)の先端側面に、受光面が風車(1)の外周方向に向けられるように固定される。
エアー供給装置(2)からエアー供給管(5)を通ってエアーが噴出されることにより風車(1)が回転し、同時にセンサ固定部材(4)とセンサ固定部材(4)に固定される赤外線センサ(3)も回転する。
【0039】
スイング手段(30)は、風車(1)が回転した時にセンサ固定部材(4)が衝突することにより風車の回転を止める回転規制部材(7)を備えている。回転規制部材(7)は、風車(1)の上側に風車(1)の中心からずれた位置に配され、エアー供給管(5)のエアー吹出方向と平行に延伸している(図6,7における図面奥行き方向)。回転規制部材(7)は風車(1)の中心軸を挟むように2つ備えることできるが、片側1つであってもよい。図示のように回転規制部材(7)を2つ備える場合、回転規制部材(7)の間の距離を変えて配設することにより、赤外線センサ(1)のスイング角度を調整することができる。
【0040】
スイング手段(30)は、風車(1)が取り付けられた風車取付板(12)を備えている。図7において、風車取付板(12)は風車(1)の下側に配され、風車(1)が回転可能に固定されている。
【0041】
スイング手段(30)は、回転規制部材(7)に対して風車取付板(12)を揺動可能に連結する連結機構(40)を備えている。
連結機構(40)は、回転規制部材(7)を支持する規制部材支持部材(8)を備えている。規制部材支持部材(8)はコの字形であり、平坦部(8b)と、回転規制部材(7)が固定される曲げ部(8a)からなり、平坦部(8b)にはピン(10)が固定されている。
連結機構(40)は、平坦部(8b)の上面に、水平方向において回転規制部材(7)に対し垂直に延伸する長板(9)を3枚備えている。両端の長板(9a)、(9c)は中央部に長穴(9d)を備えており、長穴(9d)にはピン(10)が挿入されている。長板(9a)、(9b)、(9c)は両端にて長板連結部材(13)によって連結されている。
連結機構(40)は、中央の長板(9b)の両端に固定され下側に延伸する柱部材(11)を備えており、柱部材(11)は風車取付板(12)と固定されている。
【0042】
連結機構(40)は、風車(1)の正方向及び逆方向の回転に伴って、センサ固定部材(4)が回転規制部材(7)に衝突した時に作用する力により、風車取付板(12)が正逆方向に揺動することを許容する。
エアー供給管(5)からのエアーの噴出により風車(1)が回転すると、センサ固定部材(4)が一方の回転規制部材(7)と衝突する。この衝突により、風車(1)の回転は止まろうとするが、すぐには止まらずに回転力により回転規制部材(7)に押圧力を加える。この押圧力により、回転規制部材(7)は、風車(1)と同方向に規制部材支持部材(8)と共に回転する。規制部材支持部材(8)の回転により、ピン(10)が挿入された長板(9)、柱部材(11)が図4の矢印方向に移動し、風車取付板(12)が一方向に移動する。この移動により風車(1)も同じく移動し、これにより風車(1)に対するエアー供給管(5)の吹出口の位置が変化する。具体的には、風車(1)の中心軸を挟んでその位置を反対側へと移動する。これにより風車(1)に当たるエアーの位置が変化し回転方向が逆方向に変化する。風車(1)が逆方向に回転すると、センサ固定部材(4)がもう一方の回転規制部材(7)と衝突し、上述した作用により、長板(9)、柱部材(11)が図4の矢印方向(先ほどと反対方向)に移動し、風車取付板(12)が逆方向に移動する。これにより、風車(1)に対するエアーの吹出口の位置が変化し、元の位置に戻る。これを繰り返すことで赤外線センサ(3)をスイングさせることができる。
【0043】
スイング手段(30)は塗装ブースの壁面又は天井に好適に設置することができる。壁面に設置する場合は、赤外線センサ(3)が取り付けられる高さは人の身長くらいが好ましく、具体的には1500mm以上で広域を見通せる位置が好ましい。
また、天井に赤外線を出す照明器具がある場合、塗装ロボットの表面が照明器具から出る赤外線を反射してしまい、その赤外線をセンサが誤検知してしまう虞があるため、誤検知を防止するためのセンサを覆うフード(14)を備えることができる。
【0044】
フード(14)は規制部材支持部材(8)の上側に配設される。フード(14)は空間を覆うように形成されているが、図3における左側のみ壁が無く、上板(14a)は下板(14b)に比べて左側に延伸している。
本発明の人体検知システムは、エアー供給装置(2)に接続された第二エアー供給管(6)を備えている。第二エアー供給管(6)は、その吹出口が赤外線センサ(3)の受光面前方においてエアカーテンを形成するように配置されている。
第二エアー供給管(6)は、フード(14)の上部に配設される。第二エアー供給管(6)の先端には、エアーが下向きに噴出するようにノズル(15)が取り付けられる。ノズル(15)は図3において下板(14b)左端と上板(14a)左端の間に取り付けられる。第二エアー供給管(6)から下向きにエアーが噴出されることにより、エアカーテンが形成され、赤外線センサ(3)に塗料の飛沫が付着するのを防ぐことができる。これにより、人体の検知精度が落ちることがなく、赤外線センサ(3)の長期使用が可能となる。
【実施例】
【0045】
以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明に係る人体検知システムは、これらに限定されるものではない。
【0046】
実施例1
赤外線センサとして焦電型MPモーションセンサ(パナソニック社製)を用いた。このセンサは多数のセルで構成され、複数のセルで人間の体温の温度分布の変化を検知する。表1にこの赤外線センサの仕様を示す。
【0047】
【表1】

【0048】
赤外線センサからの検出信号を測定するため、モバイル型絶縁高電圧入力レコーダであるWave Shot! 2000(キーエンス社製)を用いた。赤外線センサのGNDに黒端子、OUTに赤端子を接続することで波形を出力した。白端子は接続しなかった。
【0049】
赤外線センサを、風車(1)、エアー供給装置(2)、センサ固定部材(4)、エアー供給管(5)(6)、回転規制部材(7)、風車取付板(12)、連結機構(40)を備えるスイング装置に設置し、このスイング装置を赤外線受光部が高さ1700mmの位置となるように塗装ブース内の壁面に設置した。
【0050】
塗装装置の付近に防護服を着た人間を静止状態で存在させ、赤外線センサをスイング装置によりスイングさせながら、赤外線センサからの出力信号を測定した。図8の上側のグラフがその結果である。赤外線センサの出力はONが人間を検知、OFFが非検知を示している。センサの出力信号が密になっており、静止状態の人間を検知できていることが確認できる。
【0051】
比較例1
実施例1と赤外線センサをスイングさせないことを除いて同じ条件で、赤外線センサからの出力信号を測定した。図8の下側のグラフがその結果である。センサの出力信号はOFFの部分が長く、人間が検知できていないことが確認できる。
【0052】
この結果から、赤外線センサをスイングさせることで、人間が静止していても検知に成功していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、オフィスなどへの不審者侵入を防止するセキュリティのため、或いは自動車ボディの塗装のための塗装ブース内での危険防止のための人体検知システムとして、好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 風車
2 エアー供給装置
3 赤外線センサ
4 センサ固定部材
5 エアー供給管
6 第二エアー供給管
7 回転規制部材
8 規制部材支持部材
9 長板
10 ピン
11 柱部材
12 風車取付板
13 長板連結部材
14 フード
15 ノズル
21 自動塗装装置
30 スイング手段
40 連結機構
100 塗装ブース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の侵入を検知すべき場所に赤外線センサを設置し、前記赤外線センサをスイングさせることにより、当該場所内の人の存在を検知することを特徴とする人体検知方法。
【請求項2】
前記場所が塗装装置を備える塗装ブースであることを特徴とする請求項1記載の人体検知方法。
【請求項3】
前記赤外線センサにより人体を検知した時、前記塗装ブース内の前記塗装装置を停止させることを特徴とする請求項2記載の人体検知方法。
【請求項4】
人の侵入を検知すべき場所に設置されて、当該場所内の人の存在を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサをスイングさせるスイング手段とを備える人体検知システム。
【請求項5】
前記場所が塗装装置を備える塗装ブースであることを特徴とする請求項4記載の人体検知システム。
【請求項6】
前記赤外線センサにより人体を検知した時、前記塗装ブース内の前記塗装装置を停止させる塗装装置停止手段を備えることを特徴とする請求項5記載の人体検知システム。
【請求項7】
前記スイング手段が、
中心軸周りに回転する風車と、
前記風車を回転させるためのエアーを供給するエアー供給装置と、
前記エアー供給装置に接続され、前記風車に対してエアーを噴出するように前記中心軸から偏心した位置に吹出口が配置されたエアー供給管と、
前記風車に対して前記赤外線センサを固定するとともに前記風車と共に回転するセンサ固定部材と、を備えており、
前記エアー供給装置から前記エアー供給管を通ってエアーが噴出されることにより前記風車が回転し、この回転を利用して前記センサ固定部材と共に前記赤外線センサがスイングすることを特徴とする請求項4乃至6いずれかに記載の人体検知システム。
【請求項8】
前記スイング手段が、
前記風車が回転した時に前記センサ固定部材が衝突することにより風車の回転を止める回転規制部材と、
前記風車が取り付けられた風車取付板と、
前記回転規制部材に対して前記風車取付板を揺動可能に連結する連結機構と、を備えており、
前記連結機構は、前記風車の正方向及び逆方向の回転に伴って、前記センサ固定部材が前記回転規制部材に衝突した時に作用する力により、前記風車取付板が正逆方向に揺動することを許容し、
前記風車取付板の揺動により前記風車に対する前記吹出口の位置が変化し、これにより前記風車の回転方向が変化する
ことを特徴とする請求項7記載の人体検知システム。
【請求項9】
前記エアー供給装置と接続された第二エアー供給管を備えており、
前記第二エアー供給管は、その吹出口が前記赤外線センサの受光面前方においてエアカーテンを形成するように配置されていることを特徴とする請求項7又は8記載の人体検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−36516(P2013−36516A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172271(P2011−172271)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(509093026)公立大学法人高知工科大学 (95)
【Fターム(参考)】