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人体検知装置および自動水栓装置
説明

人体検知装置および自動水栓装置

【課題】消費電力を実質的に低減する水栓装置を提供する。
【解決手段】所定検知領域に送信したマイクロ波の反射波を受信し、前記所定検知領域に送信したマイクロ波と受信した反射波とに基づいてドップラ信号を生成し、ドップラ信号に基づいて前記所定検知領域における人体の存在を検知する水栓装置であって、前記反射波の受信と、前記反射波に基づくドップラ信号の生成と、を所定のサンプリング周期毎に実行しており、前記ドップラ信号が基準値からピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記ピーク値以降のサンプリングを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体検知装置および自動水栓装置に関し、特に、伝播波(例えば、マイクロ波等の電波)の反射波を利用して人体や物体の接近や離脱を検知する人体検知装置および自動水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面器や便器等に吐水を行う水栓装置には、対象物の存在を自動検出して自動的に吐水を行う自動水栓装置がある。この自動水栓装置は、対象物の検知に赤外線センサを用いることが一般的であったが、近年、電波センサも用いられるようになってきている。電波センサは、陶器を透過可能であり、陶器の裏面や内面にセンサを隠蔽できることから、センサ配置の自由度が向上するという利点がある。なお、電波センサとしては、例えば、マイクロ波等の電波を用いたドップラセンサが挙げられる。
【0003】
ドップラセンサは、マイクロ波を発信し、このマイクロ波の反射波を受信することにより、マイクロ波を反射した対象物等の位置や距離、対象物等の動き、等を検出することができる。対象物等によって反射されたマイクロ波は、対象物が静止している場合は定在波信号により構成され、対象物が動いている場合は定在波信号とドップラ信号とを含む。すなわち、マイクロ波の反射波を解析すれば、定在波信号に基づいて対象物との距離を検出可能であり、ドップラ信号に基づいて対象物の動きを検出可能である。
【0004】
一方、近年では、設置性の向上等の観点から外部からの電力供給を不要化するため、電池駆動の水栓装置も開発されている。電池駆動の水栓装置は、省電力化のため、水栓装置内を流れる水力を利用した発電機を内蔵したものもある。ここで、ドップラセンサは、赤外線センサに比べて一般に消費電力が高い。よって、ドップラセンサを水栓装置に用いる場合は、大容量電池が必要となるし、電池容量が小さい水栓装置においてドップラセンサを用いる場合は、ドップラセンサの省電力化が必要となる。
【0005】
ここで、ドップラセンサを省電力化する技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された便器洗浄装置は、ドップラセンサを用いて人体等の対象物を検出して自動的な吐水を行っており、センサに対して対象物が所定の範囲内に入るまでは、定在波信号に基づいて対象物の検出を行い、対象物が所定の範囲内に入ると、ドップラ信号に基づいて対象物の検出を行っている。ドップラ信号を用いた対象物の検出の方が定在波信号を用いた対象物の検出に比べて検出精度が高く、その逆に、定在波信号を用いた対象物の検出の方がドップラ信号を用いた対象物の検出に比べて演算量が少なく、電力消費が少ないためである。
【0006】
具体的には、受信したマイクロ波からドップラ信号を検出する際に、ドップラ信号の周波数成分やその大きさを抽出するためにデジタルフィルタ演算等、複数のデータを用いて膨大な演算処理をする必要があり、その演算処理にともなう消費電力は大きい。このため、特許文献1のように、対象物が所定の範囲内に入るまでは定在波信号に基づく対象物の検出を行い、所定の範囲内に入った後はドップラ信号に基づく対象物の検出を行うことで、消費電力の低減が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−31825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1の技術においては、マイクロ波ドップラセンサにおける消費電力を低減するため、マイクロ波ドップラセンサが所定周期で間欠動作するように制御している。しかしながら、マイクロ波ドップラセンサは、停止状態から起動するまでに一定時間を必要とする。その一方で、ドップラ成分に基づいて対象物の動きを検出するためにはドップラ成分の周波数を特定する必要がある。
【0009】
DFT(離散フーリエ変換)の原理上、サンプリング周波数の1/2までの周波数帯域のスペクトル情報を得ることができる。すなわち、ドップラ成分の周波数を特定するためには、少なくとも、検出したい信号の周波数の2倍以上のサンプリング周波数が必要ということになる。
【0010】
ここで、人体検出のためのドップラ信号として50Hz以下を想定すると、マイクロ波ドップラセンサを間欠的にオフできる時間は、原理上は20msec×(1/2)=10msecだが、実質的には、このオフ時間の経過よりもマイクロ波ドップラセンサの起動時間分だけ前に、マイクロ波ドップラセンサを起動する必要がある。従って、マイクロ波ドップラセンサを間欠動作させたとしても、マイクロ波ドップラセンサのオフ時間は起動時間によって侵食され、マイクロ波ドップラセンサに係る消費電力の低減効果が薄まる結果となる。
【0011】
むろん、マイクロ波ドップラセンサに限らず、他の電波センサを用いた場合も、上述したマイクロ波ドップラセンサと同様に、受信した電波の周波数を特定する際にはサンプリング周波数の問題が存在し、消費電力の実質的な低減を妨げる要因となっていた。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、人体検知装置が備える電波センサの駆動に係る消費電力を実質的に低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様の1つは、所定検知領域に送信した伝播波の反射波を受信し、前記所定検知領域に送信した伝播波と受信した前記反射波とに基づいてドップラ信号を生成し、前記ドップラ信号に基づいて前記所定検知領域における人体の存在を検知する人体検知装置であって、前記反射波の受信と、前記反射波に基づくドップラ信号の生成と、を所定のサンプリング周期毎に実行しており、前記ドップラ信号が所定値から第1のピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止する構成としてある。
【0014】
前記構成においては、ピーク値の近傍において実行されるサンプリングは実行しており、実際にサンプリングされたデータに基づいてピーク位置を特定することができる。従って、ピーク位置に基づいてドップラ信号の周波数を特定可能であり、前記所定検知領域に人体が侵入したときに人体の動きを検知する精度を低下させない。
その一方で、ピーク位置の特定に必ずしも必要でないサンプリング点については、可能な限りサンプリングを省略しており、省略されたサンプリング点に対応するタイミングで伝播波の送信、反射波の受信、ドップラ信号の生成、等の処理を停止することが可能となる。
よって、動き検知の精度を維持しつつ、人体検知装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0015】
本発明の選択的な態様の1つは、前記ドップラ信号が所定の基準値と交差した点から前記第1のピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止する構成としてある。
【0016】
前記構成においては、前記ドップラ信号が所定の基準値と交差した点から前記第1のピーク値となるまでの約1/4周期におけるサンプリング数に基づいて、その後の約1/4周期においてサンプリングを停止するサンプリング点を決定している。すなわち、半波毎の短周期の中で、サンプリング停止するサンプリング点が決定されており、サンプリング停止される範囲は、1/4周期の置きにしか発生しない。従って、基準値との交差点と、ピーク値と、が必ず判明しているため、ドップラ信号が大きく変動してもサンプリング精度が低下しにくく、サンプリング精度の低下が更に防止される。
【0017】
本発明の選択的な態様の1つは、前記ドップラ信号が、前記第1のピーク値の直前に現れる第2のピーク値から、前記第1のピーク値になるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止する構成としてある。
【0018】
前記構成においては、前記ドップラ信号が、前記第1のピーク値の直前に現れる第2のピーク値から、前記第1のピーク値になるまで約1/2周期におけるサンプリング数に基づいて、その後の約1/2周期においてサンプリングを停止するサンプリング点を決定している。すなわち、半波毎の短周期の中で、サンプリング停止するサンプリング点が決定されており、サンプリング停止される範囲は1/2周期の置きに発生する。従って、上述したサンプリング停止される範囲が1/4周期置きに発生する場合に比べると精度は低下しやすいが、処理が簡単になるため演算量を低下することができる。
【0019】
本発明の選択的な態様の1つは、前記サンプリングの停止により欠落したサンプリングデータを、前記第1のピーク値を検出する前のサンプリングデータを利用して補間する構成としてある。
【0020】
前記構成においては、サンプリングを停止してデータの欠落したサンプリング点のデータを補間するため、デジタルフィルタ等を用いてドップラ信号の周波数をサンプリング周期毎に解析することが可能であり、精度良くドップラ信号の周波数を特定することができる。
【0021】
本発明の他の態様は、所定検知領域に送信した伝播波の反射波を受信し、前記所定検知領域に送信した伝播波と受信した前記反射波とに基づいてドップラ信号を生成し、前記ドップラ信号に基づいて前記所定検知領域における物体の存在を検知する自動水栓装置であって、前記反射波の受信と、前記反射波に基づくドップラ信号の生成と、を所定のサンプリング周期毎に実行しており、前記ドップラ信号が所定値から第1のピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止する構成としてある。
【0022】
前記構成においては、ピーク値の近傍において実行されるサンプリングは実行しており、実際にサンプリングされたデータに基づいてピーク位置を特定することができる。従って、ピーク位置に基づいてドップラ信号の周波数を特定可能であり、前記所定検知領域に物体が侵入したときに物体の動きを検知する精度を低下させない。
その一方で、ピーク位置の特定に必ずしも必要でないサンプリング点については、可能な限りサンプリングを省略しており、省略されたサンプリング点に対応するタイミングで伝播波の送信、反射波の受信、ドップラ信号の生成、等の処理を停止することが可能となる。
よって、動き検知の精度を維持しつつ、自動水栓装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0023】
上述した人体検出装置や自動水栓装置は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、本技術は上記人体検出装置や自動水栓装置を備える人体検出システム、上述した装置の構成に対応した工程を有する人体検出装置や自動水栓装置の制御方法、上述した装置の構成に対応した機能をコンピュータに実現させる人体検出プログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、動き検知の精度を維持しつつ、人体検知装置の消費電力を実質的に低減することが可能な人体検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る水栓装置の概略を断面的に示した図である。
【図2】本実施形態に係る水栓装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る人体検出処理を適用しない場合の人体検出処理の概要を説明する図である。
【図4】人体検出処理の第1実施例の概要を説明する図である。
【図5】人体検出処理の第1実施例に係るフローチャートである。
【図6】人体検出処理の第2実施例の概要を説明する図である。
【図7】人体検出処理の第2実施例に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)人体検出処理の第1実施例:
(3)人体検出処理の第2実施例:
(4)まとめ:
【0027】
(1)本実施形態の構成:
<概略構成>
図1は、本実施形態に係る水栓装置1の概略を断面的に示した図であり、図2は、本実施形態に係る水栓装置1の構成を示すブロック図である。水栓装置1は、対象物(人体や物体等)を検出して自動的な吐水を行うものであり、洗面台に備え付けられる洗面器2に対して吐水を行う。本実施形態では、水栓装置1が、人体検知装置や自動水栓装置を構成する。
【0028】
洗面器2は、洗面カウンタ3の上面に設けられる。洗面カウンタ3上には、洗面器2のボール面2aに対して水を吐出するためのスパウトを構成する水栓4が設けられる。水栓4は、水を吐出する吐水口4aを有し、この吐水口4aから吐出される水が洗面器2のボール面2a内に吐出されるように設けられる。
【0029】
水栓4が吐水口4aから吐出する水は、給水路5により供給される。給水路5は、水道管等の給水源から供給される水を吐水口4aへと導く。洗面器2には、排水路6が接続されている。排水路6は、吐水口4aから洗面器2のボール面2a内に吐水された水を排出する。
【0030】
水栓装置1は、電磁弁11と、マイクロ波ドップラセンサ12と、制御部13とを備える。電磁弁11は、給水路5に設けられ、給水路5の開閉を行う。電磁弁11が開くと、給水路5から供給される水が吐水口4aから吐出される吐水状態となり、電磁弁11が閉じると、給水路5から供給される水が吐水口4aから吐出されない止水状態となる。
【0031】
電磁弁11は、制御部13に接続されており、電磁弁11の開閉動作は、制御部13によって制御される。電磁弁11は、制御部13からの制御信号に従って電気的に制御され、給水路5の開閉を行う。このように、電磁弁11は、吐水口4aから吐水される水の給水路5を開閉する給水バルブとして機能する。
【0032】
マイクロ波ドップラセンサ12は、吐水口4aに接近する対象物を検出する。この吐水口4aの吐水先が、マイクロ波ドップラセンサ12の検知領域となる。マイクロ波ドップラセンサ12は、マイクロ波を送信し、送信したマイクロ波を受けた人体等の対象物から反射したマイクロ波を受信することにより、対象物の位置や動き等を検出する。
【0033】
マイクロ波ドップラセンサ12は、水栓4の吐水口4a近くの内部に設けられ、洗面台の使用者側(図1において左側)に向けてマイクロ波を送信するように配置される。マイクロ波ドップラセンサ12は、吐水口4aに人体が近づいてきたことや、吐水口4aに近づいた人体から吐水口4aに向けて手が差し出されたこと等を検出するために用いられる。
【0034】
マイクロ波ドップラセンサ12は、制御部13に接続される。制御部13は、マイクロ波ドップラセンサ12の出力する信号を入力され、この信号に基づいて対象物の位置や動き等を検知する。なお、本実施形態では、ドップラセンサとしてマイクロ波を用いるマイクロ波ドップラセンサ12が採用されているが、例えば超音波やミリ波を用いるドップラセンサ等であってもよい。さらに、ドップラセンサはマイクロ波のみならず、他の周波数の電波を伝播波に用いてもよいし、光等を伝播波に用いてもよい。
【0035】
制御部13は、マイクロ波ドップラセンサ12の出力する信号に基づいて電磁弁11の開閉動作を制御する。このため、制御部13には、上記のとおりマイクロ波ドップラセンサ12からの出力信号が入力される。また、制御部13からは、電磁弁11に対する制御信号が出力される。
【0036】
以上のように、本実施形態の水栓装置1は、電磁弁11と、マイクロ波ドップラセンサ12と、制御部13とを備え、制御部13により、マイクロ波ドップラセンサ12による検出信号に基づいて、電磁弁11の開閉動作を制御することで、吐水口4aに接近する対象物の検出、つまり人体検出を行うことで、洗面台の使用者の動き等に応じた吐水を行う。以下、本実施形態の水栓装置1の各部の詳細について説明する。
【0037】
<マイクロ波ドップラセンサ>
図2に示すように、マイクロ波ドップラセンサ12は、発振回路部21と、送信部22と、受信部23と、ミキシング部24とを有する。発振回路部21は、マイクロ波ドップラセンサ12が送信する電波(マイクロ波)を得るための電気信号を生成する。発振回路部21は、電気信号として、例えば10.525GHzの周波数を有する信号を生成し、送信信号S1として出力する。
【0038】
送信部22は、発振回路部21が出力する送信信号S1を受け、この送信信号S1を送信する。例えば、発振回路部21により生成される信号が10.525GHzの周波数を有する信号である場合、送信部22は、10.525GHzのマイクロ波を送信する。受信部23は、送信部22から送信されたマイクロ波が検出対象となる対象物10によって反射された反射波を受信する。受信部23は、受信した反射波(マイクロ波を含む電波)を電気信号に変換し、受信信号S2として出力する。なお、送信部22および受信部23は、信号の送受信を行うためのアンテナを有する。
【0039】
ミキシング部24は、発振回路部21から出力される送信信号S1と、受信部23から出力される受信信号S2とを混合(ミキシング)して、センサ出力S3として出力する。ミキシング部24が出力するセンサ出力S3は、制御部13に入力される。
【0040】
センサ出力S3には、定在波信号とドップラ信号とが含まれる。定在波信号は、対象物10との距離、つまり対象物10の位置の検出に用いられ、ドップラ信号は、対象物10の動きの検出に用いられる。
【0041】
<制御部>
次に、制御部13について説明する。図2に示すように、制御部13は、ローパスフィルタ部31と、アンプ部32と、ドップラ信号検出部33と、定在波信号検出部34と、対象物検出部35と、電磁弁制御部36と、センサ制御部37と、記憶部38とを有する。また、対象物検出部35は、人体動作検出部39と、人体位置検出部40とを含む。また、制御部13は、時間を計測するためのタイマ41を有する。
【0042】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリや入出力インターフェイス等の各種機能部分を備え、これら各種機能部分は、データ通信用のバス等により互いに通信可能に接続される。制御部13が有するCPUは、メモリの1つであるROM(Read Only Memory)に記憶される制御プログラム等に従って所定の演算を行う演算部として機能する。制御部13は、入出力インターフェイスとして、少なくとも、マイクロ波ドップラセンサ12からの入力信号を受けるための入力インターフェイス、および電磁弁11に対する制御信号を出力するための出力インターフェイスを有する。
【0043】
<ドップラ信号S6の生成>
ローパスフィルタ部31は、入力された信号から、送信信号S1や受信信号S2の周波数帯域であるマイクロ波周波数帯域の成分を除去するローパスフィルタ部31を有する。ローパスフィルタ部31は、マイクロ波ドップラセンサ12から入力されるセンサ出力S3から、マイクロ波周波数帯域の成分を除去した信号S4を生成し、この信号S4をアンプ部32に出力する。
【0044】
アンプ部32は、ローパスフィルタ部31から出力された信号S4の入力を受け、入力された信号を増幅した増幅信号S5を生成し、この増幅信号S5をドップラ信号検出部33に出力する。
【0045】
ドップラ信号検出部33は、アンプ部32が出力した増幅信号S5の入力を受ける。ドップラ信号検出部33は、入力された増幅信号S5の周波数成分のうち、人体検出に不要な周波数帯域の成分を除去するフィルタを有し、このフィルタにより、増幅信号S5から人体検出に不要な周波数帯域の成分を除去する。人体検出に不要な周波数帯域は、例えば、50Hzを上回る周波数帯域である。ドップラ信号検出部33は、増幅信号S5から人体検出に不要な周波数帯域の成分を除去した信号を、人体検出用のドップラ信号S6として出力する。
【0046】
すなわち、アンプ部32が出力する増幅信号S5は、定在波信号である直流成分とドップラ信号である交流成分とを含んでおり、この増幅信号S5から人体検出に不要な周波数帯域の成分を除去することにより、ドップラ信号が抽出される。より具体的には、ドップラ信号検出部33は、増幅信号S5をA/D変換によりデジタル信号とした後、マイクロコンピュータ等によるソフト処理としてデジタルフィルタ演算等を行うことにより、ドップラ信号S6を抽出する。
【0047】
ここで、ドップラ信号S6に基づいて行う対象物(人体等)の動き検出について説明する。次式(1)は、ドップラ周波数シフトに係る基本式である。マイクロ波ドップラセンサ12は、次式(1)に基づく演算処理を行うことにより、対象物の動きを検出する。
【0048】
基本式:ΔF=FS−Fb=2×FS×ν/c ・・・(1)
ΔF:ドップラ周波数(センサ出力S3に含まれるドップラ信号の周波数)
FS:送信周波数(送信信号S1の周波数)
Fb:反射周波数(受信信号S2の周波数)
ν:検出対象物の移動速度
c:光速(300×10m/s)
【0049】
上記式(1)に示すように、送信部22から送信された送信周波数FSのマイクロ波は、速度νで移動している対象物10によって反射される。この対象物10からの反射波を、マイクロ波ドップラセンサ12の受信部23が受信する。受信部23により受信される反射波の周波数は、相対運動によるドップラ周波数シフトを受け、送信周波数FSとは異なる反射周波数Fbとなっている。
【0050】
以上説明したように、ミキシング部24において送信信号S1と受信信号S2とがミキシングされた信号から、ローパスフィルタ部31が高周波成分を除去することによって、センサ出力S3からドップラ周波数以外の周波数成分が除去された信号が抽出される。そして、ドップラ信号検出部33によって人体検出のための周波数帯域(例えば50Hz以下)の成分が抽出され、人体検出用のドップラ信号S6が得られる。
【0051】
そして、ドップラ信号検出部33から出力されたドップラ信号S6は、対象物検出部35が有する人体動作検出部39に入力される。人体動作検出部39は、入力されたドップラ信号S6に基づき、対象物10の動きから、対象物10が吐水口4aから吐出される水を受ける程度の位置に達したこと等を検出する。
【0052】
<定在波信号S7の生成>
一方、定在波信号検出部34も、アンプ部32から出力された増幅信号S5の入力を受ける。定在波信号検出部34は、入力された増幅信号S5から定在波信号を検出する。上記のとおりアンプ部32から出力される増幅信号S5は、定在波信号である直流成分とドップラ信号である交流成分とを含む。この増幅信号S5から、ドップラ信号の成分が除去されることにより、定在波信号が抽出される。
【0053】
具体的には、定在波信号検出部34は、交流成分除去回路として機能するローパスフィルタ回路を有する。定在波信号検出部34は、ローパスフィルタ回路により、増幅信号S5からドップラ信号成分を除去することで、定在波信号を抽出する。つまり、定在波信号検出部34は、アンプ部32から出力される増幅信号S5から交流成分を除去することで、定在波信号S7を抽出して出力する。
【0054】
なお、定在波信号検出部34においては、対象物10に対する距離の検出精度を向上するための信号処理が適宜採用される。具体的には、例えば次のような処理が行われる。
【0055】
定在波信号は、マイクロ波ドップラセンサ12と対象物10との距離が長いほど信号レベル(電圧レベル)が小さくなるように周期的に変化する信号である。このように周期的に信号レベルが変化する定在波信号においては、1/2周期ごとに振幅が大きな腹部と振幅が小さな節部とが交互に存在するため、対象物10に対する距離について十分な検出精度が得られない場合がある。ここで、定在波信号の信号レベルは、周期的に変化する波形の振幅値に相当する。
【0056】
そこで、定在波信号検出部34において、まず、上記のとおりローパスフィルタ回路によって得られる定在波信号から、位相をシフトさせた信号を生成する。次に、ローパスフィルタ回路から出力された定在波信号、および位相をシフトさせた信号の各信号を、全波整流する。そして、全波整流した各信号を、加算し、合成信号とする。このようにして得られた合成信号は、マイクロ波ドップラセンサ12と対象物10との距離に応じた信号レベルの信号となる。
【0057】
このような信号処理を行うことにより、合成信号として、マイクロ波ドップラセンサ12が配置される水栓4の吐水口4aと対象物10としての人体との距離が近いほどレベルが大きくなる信号が得られる。これにより、対象物10に対する距離について検出精度の向上を図ることができる。なお、この信号処理においては、加算されて合成される、互いに位相が異なる定在波信号の数が多いほど、算出される合成信号は滑らかな曲線となり、より高い検出精度を得ることができる。
【0058】
このような対象物10に対する距離の検出精度向上のための信号処理を行う場合、定在波信号検出部34においては、例えば、定在波信号の位相をシフトさせるための位相シフト回路や、信号の全波整流を行うための全波整流回路や、全波整流した信号を加算して合成するための加算回路等が備えられる。
【0059】
定在波信号検出部34から出力された定在波信号S7は、対象物検出部35が有する人体位置検出部40に入力される。人体位置検出部40は、入力された定在波信号S7に基づき、対象物10が吐水口4aに対して所定の範囲内に入ったことや、対象物10が吐水口4aに対して所定の範囲内から出たこと等を検出する。
【0060】
<その他制御>
電磁弁制御部36は、対象物検出部35から出力される検出信号に基づいて、電磁弁11の開閉動作を制御する。具体的には、電磁弁制御部36は、対象物検出部35の人体動作検出部39においてドップラ信号検出部33から入力されたドップラ信号S6に基づいて対象物10が吐水口4aから吐出される水を受ける程度の位置に達したことが検出されると、電磁弁11を開動作させる。
【0061】
センサ制御部37は、マイクロ波ドップラセンサ12の動作を制御する。センサ制御部37によるマイクロ波ドップラセンサ12の動作の制御には、マイクロ波ドップラセンサ12のサンプリング周期の制御が含まれる。
【0062】
ここで、マイクロ波ドップラセンサ12のサンプリング周期(以下単に「サンプリング周期」という。)とは、マイクロ波ドップラセンサ12を所定の周期で間欠的に動作させる際の動作周期である。例えば、マイクロ波ドップラセンサ12の動作を2msec間隔で周期的に行う場合、サンプリング周期は2msecとなる。この場合、マイクロ波ドップラセンサ12においては、2msecごとに、受信部23によって対象物10から反射波が受信され、センサ出力S3が出力される。
【0063】
サンプリング数が多いほど、高い精度でデータの検出を行うことができるが、消費電力が多くなる。逆に、サンプリング数が少ないほど、データの検出精度は低くなるが、消費電力が少なくなる。
【0064】
本実施形態の水栓装置1は、2msecと比較的短い周期でサンプリングを行い、ドップラ信号の周波数特定に不可欠なサンプリング点のサンプリングは実行しつつ、ドップラ信号の周波数特定に必須でないサンプリング点のサンプリングは停止するようにしてある。このように、高周期でサンプリングを行うことにより、周波数の特定精度を向上しつつ、省略可能なサンプリングを実行しないことにより、消費電力の低減を図っている。
【0065】
記憶部38は、水栓装置1の制御プログラムや後述するような水栓装置1における吐水制御に用いられる各種データ等を記憶する。記憶部38は、例えばCPUに接続されるROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0066】
(2)人体検出処理の第1実施例:
図3は、本実施形態に係る人体検出処理を適用しない場合の人体検出処理の概要を説明する図であり、図4は、本実施形態に係る人体検出処理の第1実施例の概要を説明する図である。これらの図には、マイクロ波ドップラセンサ12にサンプリングを行わせるタイミング、すなわちサンプリング点を黒丸にて示してある。
【0067】
<従来の人体検出処理>
なお、マイクロ波ドップラセンサ12が実行するサンプリングは、上述したように、制御部13の備えるセンサ制御部37によって制御されている。また、人体の動作を検知している場合は、サンプリングを実行すると、ローパスフィルタ部31、アンプ部32、ドップラ信号検出部33、人体動作検出部39、にてそれぞれ演算処理が実行され、人体の位置を検出している場合は、サンプリングを実行すると、ローパスフィルタ部31、アンプ部32、定在波信号検出部34、人体位置検出部40、にてそれぞれ演算処理が実行されることになる。
【0068】
図3に示す従来の人体検出処理では、センサ制御部37は、常にマイクロ波ドップラセンサ12にセンサ出力S3を出力させている。そして、制御部13は、例えば、一定の時間間隔Δtのサンプリング周期で、デジタルフィルタ演算に係る各部を動作させ、サンプリング点S0〜S18に対応するデータを順次に取得している。時間間隔Δtは、実用的には2msec程度であれば十分な精度でドップラ信号のピーク位置を特定可能であり、時間間隔Δtを1msec程度とするとさらに精度が向上する。
【0069】
なお、ピーク位置の特定は、得られたサンプリング点S0〜S18を解析により行われ、例えば、サンプリング点S0〜S18の中で極値を取るサンプリング点をピーク位置とすることができる。ピーク位置が特定されると、ピークの発生周期、すなわち、ドップラ信号の周波数が特定される。このドップラ信号の周波数には、水栓装置1の使用者の動きを反映されているため、ドップラ信号の周波数に基づいて水栓装置1の使用者の動きを特定することができる。
【0070】
<第1実施例の人体検出処理>
本実施形態に係る人体検出処理では、少なくとも、ドップラ信号のピーク近傍にあるサンプリング点においては、実際に送受信した電波に基づいて生成されたドップラ信号から実際にサンプリングし、その他のサンプリング点においては、適宜に補間演算を用いている。すなわち、その他のサンプリング点は、実際にサンプリングするサンプリング点と補間演算によりデータを生成されるサンプリング点とを含む。これにより、サンプリング回数を減少させ、サンプリングに係る演算処理の実行回数を減少させ、消費電力の増大を抑制している。
【0071】
以下、図4を参照しつつ具体的に説明する。図4では、例えば、サンプリング点S6とS7の間にピークがあり、このピークを挟んで、一方の側にサンプリング点S3〜S6があり、他方の側にサンプリング点S7〜S10がある。
【0072】
ここで、ピーク値近傍のサンプリング点S6,S7,S8は、ドップラ信号の周波数を特定するために必須であり、実際に送受信した電波に基づいて生成されたドップラ信号から実際にサンプリングしてデータを取得する必要がある。ただし、ピークの一方の側にあるサンプリング点S3,S4は、実際に送受信した電波に基づいて生成されたドップラ信号から実際にサンプリングしてデータを取得されるものの、同じピークの他方の側にあるサンプリング点S9,S10は、サンプリングが為されず、データが欠落している。
【0073】
このデータが欠落しているサンプリング点のデータは、ピーク位置に基づいて周波数や振幅を検知するだけであれば無くても構わないが、デジタルフィルタ等を行う際に連続的なデータが必要な場合は、何らかの方法で補間する必要がある。
【0074】
補間方法としては、例えば、ピーク値を検出する前のサンプリングデータを利用して補間する方法、一次関数で近似する方法、三角関数で近似する方法、等がある。むろん、二次以上の関数を用いて近似することも可能である。以下、各補間方法について説明する。
【0075】
<ピーク値検出前のデータで補間>
ピーク値を検出する前のサンプリングデータを利用して補間する場合、様々な手法が採用可能であるため、以下では、図4に示す場合を例に取り、数例の具体的手法を記載する。
【0076】
1つ目は、まず、ピーク値として検出されたサンプリング点S7の次のサンプリング点S8において得られたサンプリングデータを基準とし、このサンプリングデータと、ピーク値として検出されたサンプリング点S7より前にサンプリングされる数点のサンプリング点S6,S5,S4,S3において得られたサンプリングデータと、を順次に比較し、サンプリング点S8と一番近いサンプリングデータを有するサンプリング点を探索する。
【0077】
具体的には、サンプリング点S8とサンプリング点S6、サンプリング点S8とサンプリング点S5、サンプリング点S8とサンプリング点S4、サンプリング点S8とサンプリング点S3、のサンプリングデータを順次に比較する。このとき、サンプリング点S5とサンプリング点S8が最も近似する。
【0078】
なお、サンプリングデータは、サンプリング点の並び順に漸増することが分かっているため、サンプリング点S6に比べてサンプリング点S5の方がサンプリング点S8のサンプリングデータに近似し、サンプリング点S4に比べてサンプリング点S5の方がサンプリングデータに近似することが判明した時点で、最も近似するのはサンプリング点S5であると判断して、比較を終了してもよい。
【0079】
このようにして最も近似するサンプリング点が判明すると、サンプリング点S8及びサンプリング点S5を基点として、図4に矢印にて示すように、ピークから離れる順に、取得済みのサンプリング点S4,S3のサンプリングデータにて、欠落しているサンプリング点S9,S10のデータを順次に補間する。
【0080】
2つ目は、真のピーク位置を基準として、補間対象となるサンプリング点の対称位置に最も近い位置にあるサンプリング点のサンプリングデータで補間する手法である。ここで利用する真のピーク位置は、例えば、デジタルフィルタ演算によって求めたり、ピーク値として検出されたサンプリング点の左右の直近における基準値との交差点を探索し、これら交差点の中点をピーク値としたりすることができる。
【0081】
具体的には、サンプリング点S6とサンプリング点S7の間に真のピーク値がある。そこで、図4に矢印にて示すように、このピーク値を中心として対称位置に最も近いサンプリング点S4にてサンプリング点S9を補間し、同様に、ピーク値を中心として対称位置に最も近いサンプリング点S3にてサンプリング点S10を補間する。
【0082】
3つ目は、ピーク値として検出されたサンプリング点S7を中心として対称位置にあるサンプリング点のサンプリングデータで補間する手法である。本手法では、ピーク値として検出されたサンプリング点と真のピーク位置とのずれが大きいほど、不正確になる可能性があるが、補間処理は高速に行うことができる。
【0083】
具体的には、サンプリング点S9のサンプリングデータを補間する場合は、サンプリング点S9はサンプリング点S7から右に2つ離れているため、サンプリング点S7から左に2つ離れたサンプリング点S5のデータで補間する。同様に、サンプリング点S10のサンプリングデータを補間する場合は、サンプリング点S10はサンプリング点S7から右に3つ離れているため、サンプリング点S7から左に3つ離れたサンプリング点S4のデータで補間する。
【0084】
<一次関数による補間>
一次関数を用いて補間する場合、補間範囲の前後数点のサンプリングデータに基づいて、実測されていない範囲のドップラ信号を近似計算し、この近似計算により算出された近似直線上の値であってサンプリング点に対応する値を、サンプリングの停止によりデータが欠落したサンプリング点のデータに補間する。
【0085】
<三角関数による補間>
三角関数を用いて補間する場合も、一次関数の場合と同様に、補間範囲の前後数点のサンプリングデータに基づいて、実測されていない範囲のドップラ信号を近似計算し、この近似計算により算出された近似曲線上の値であってサンプリング点に対応する値を、サンプリングの停止によりデータが欠落したサンプリング点のデータに補間する。
【0086】
なお、ドップラ信号の周波数変動状況に応じて、適切な三角関数を選択するようにしてもよい。ドップラ信号は、使用者が接近中は、近づくほど歩く速度が遅くなるため周波数は徐々に小さくなっていく傾向がある。そこで、ドップラ信号の周波数を記憶部38等に記憶しておき、周波数の変動傾向に応じた三角関数を適宜に選択して近似計算に用いる。ドップラ信号の周波数は、後述する各実施例において説明するように、ピーク位置に基づいて求めても良いし、デジタルフィルタ演算等により求めてもよい。
【0087】
具体的には、近時のドップラ信号の周波数が、例えば、20Hz→15Hz→10Hzと変動している場合は、次の周期では、5Hzになると予測できる。そこで、近似計算に用いる三角関数として、F(t)=A・sin(2π・5t)を用いることにより、より精度の高い近似結果を得ることができる。
【0088】
<フローチャートの説明>
図5は、人体検出処理の第1実施例に係るフローチャートである。なお、同図に示す処理は、水栓装置1の電源が投入されている間、制御部13により、既定のサンプリング周期で周期的に繰り返し実行されているものとする。より具体的には、例えば、1msecもしくは2msec置きに、図5に示す処理を周期的に繰り返し実行する。
【0089】
処理が開始されると、制御部13は、サンプリング回数をカウントするための、カウンタのカウント値Cを1増加させる(S100)。具体的には、後述するサンプリング(S120)が実行される度に1増加するようになっている。このカウンタは、サンプリングを休止する数(以下、サンプリング休止数と記載する。)の算出、及び、サンプリングを休止した回数がサンプリング休止数に達したか否かの判定、に用いられる。
【0090】
このカウンタは、ドップラ信号が基準値と交差したときに(S270:Yes)クリアされる(S280)。そして、後述するトップ検出中は、ドップラ信号の次のピークを越えた後の最初のサンプリング点までのサンプリング数が、カウンタによりカウントされ、後述するボトム検出中は、ドップラ信号のボトムを超えた後の最初のサンプリング点までのサンプリング数が、カウンタによりカウントされる。
【0091】
このようにしてカウントされたカウント値は、基準点からトップまでのサンプリング点数、もしくは、基準点からボトムまでのサンプリング点数に、1を加えた値に相当する。ただし、ピーク検出タイミングの誤差を考慮して、これらサンプリング点数に、2を加えた値に相当すると考えることもできる。
【0092】
また、カウンタは、後述する休止カウント算出処理が終了すると(S180、S230)クリアされる(S200、S250)。従って、その後にカウントアップされるカウント値Cは、サンプリング休止中のサンプリング数に相当する値となる。また、このカウント値Cは、休止カウント算出処理が終了してから、次の基準値を検出するまでのサンプリング数にほぼ一致する値である。
【0093】
制御部13は、カウンタの値を1増加させると(S100)、次に、サンプリング休止中であるか否かを判断する(S110)。本実施形態においては、記憶部38に、後述するサンプリング休止フラグがセットされているか否かにより、この判断が行われる。サンプリング休止フラグがセットされていない場合は(S110:No)、サンプリング休止中でないと判断して、サンプリングを実行する(S120)。
【0094】
ここで、サンプリング実行時における、水栓装置1の動作を説明する。
本実施形態においては、上述したように、マイクロ波ドップラセンサ12は常時起動しているが、マイクロ波の送信や電波の受信はサンプリングが実行されるときを除いて停止しており、制御部13も、デジタルフィルタ演算に係る各部の動作を停止している。
【0095】
そして、サンプリング休止中で無いと判断されると、センサ制御部37がマイクロ波ドップラセンサ12を制御して、サンプリング期間に相当する時間だけマイクロ波の送信と電波の受信を行わせ、センサ出力S3を出力させる。さらに、このセンサ出力S3に基づいて、人体動作の検出や人体位置の検出を実行する。よって、実際にサンプリングを実行するときを除き、デジタルフィルタ演算に係る電力消費を抑制できる。
【0096】
サンプリング処理が完了すると(S120)、次に、データ補間処理(S130〜S150)が実行される。データ補間処理においては、まず、データ補間の要否が判断される(S130)。具体的には、サンプリング休止後、最初にステップS120においてサンプリングを行った場合は、データ補間が必要と判断され(S130:Yes)、その他の場合は、データ補間が不要と判断される(S130:No)。
【0097】
本実施形態においては、記憶部38にセットされる補間フラグに基づいて、データ補間の要否を判断しており、補間フラグがセットされている場合は、データ補間が必要と判断され(S130:Yes)、補間フラグがセットされていない場合は、データ補間が不要と判断される(S130:No)。
【0098】
この補間フラグは、サンプリング休止数に相当する回数のサンプリングを休止し終えたときに(S290)セットされ(S310)、データ補間が完了したときに(S140)クリアされる(S150)。データ補間は、上述した各種の補間方法により実行可能である。
【0099】
データ補間処理が完了もしくはスキップされると(S150、S130:No)、次に来るドップラ信号のピークが、トップかボトムかを判断する(S160)。この判断においては、直前に検出されたピークがトップであった場合は、次に来るピークはボトムと判断され(S160:ボトム検出)、直前に検出されたピークがボトムであった場合は、次に来るピークはトップと判断される(S160:トップ検出)。
【0100】
本実施形態では、直前にピークを検出したときに、検出されたピークの種類と反対のピークを示す設定値を記憶部38に記憶するようになっており、ステップS160の判断は、記憶部38に記憶されている設定値に基づいて行われる。
【0101】
ここで、トップ検出が設定されている場合は(S160:トップ検出)、ステップS120においてサンプリングされた値が、前回にサンプリングされた値に比べて、減少しているか判断する(S170)。ここで、次に来るトップを経過する前のサンプリング値は、その直前のサンプリング値より増加するため(S170:No)、ステップS270に進む。
【0102】
一方、トップを経過して最初のサンプリング値は、その直前のサンプリング値より減少するため(S170:Yes)、ステップS180に進む。すなわち、トップを経過して最初のサンプリング点であるか否かを、簡単な比較演算により判断できる。
【0103】
なお、本実施例1においては、基準値からピークまでのサンプリング数を検出するため、ピークから次のピークまでにカウントされるサンプリング点には、最初のピークから基準値までのサンプリング点も含まれてしまう。
【0104】
そこで、データが漸増中に(S170:No)基準値との交差を検出すると(S270:Yes)、カウント値Cをいったんクリアする(S280)。この処理により、基準値からピークまでのサンプリング数を正確に検出できるようになる。
【0105】
ステップS180においては、カウント値Cに基づいて、休止カウント数Dを算出する。具体的には、まず、カウント値Cを記憶部38に記憶する。以下では、このとき記憶部38に記憶されるカウント値を、「休止カウントベース値」と呼ぶことにする。
【0106】
次に、休止カウントベース値から、ピークを越えてサンプリングされたサンプリング回数に相当する値として、1を減算する。次に、休止カウントベース値から、ピークを挟んで対称配置されているサンプリング点の数との誤差を考慮して、所定数を減算する。本実施形態では、この誤差を1または2としてある。
【0107】
このようにして、休止カウントベース値から1と誤差相当数とを減算した値を、以下では、休止カウント数Dと呼ぶことにする。このようにして、休止カウント数Dが算出されると、休止フラグを記憶部38にセットし(S190)、カウンタをクリアし(S200)、記憶部38に記憶される設定値をボトム検出に変更して(S210)、処理を終了する。
【0108】
なお、本実施形態では、休止カウント数Dの算出時に、誤差のみを考慮して数値を変動させているが、ドップラ信号の振幅変動状況に応じて休止カウント数Dを調整してもよい。例えば、使用者が接近中は、ドップラ信号の振幅が徐々に増大する。そこで、ドップラ信号の振幅を記憶部38等に記憶しておき、振幅の変動傾向に応じた係数を休止カウント数Dに乗ずることにより、振幅が増大傾向にあれば、休止カウント数Dを増加させ、振幅が減少傾向にあれば、休止カウント数Dを減少させる補正を加える。このような補正を行うことにより、実際にサンプリングを休止可能なサンプリング点数に最適化された休止カウント数Dが得られ、消費電力の低減と、人体の検出精度の維持とを、より的確に実現することができる。
【0109】
一方、ボトム検出が設定されている場合は(S160:ボトム検出)、ステップS120においてサンプリングされた値が、前回にサンプリングされた値に比べて、増加しているか判断する(S220)。ここで、次に来るボトムを経過する前のサンプリング値は、その直前のサンプリング値より減少するため(S220:No)、ステップS270に進む。
【0110】
一方、ボトムを経過して最初のサンプリング値は、その直前のサンプリング値より増加するため(S220:Yes)、ステップS230に進む。すなわち、ボトムを通過して最初のサンプリング点であるか否かを、簡単な比較演算により判断できる。
【0111】
なお、データが漸減中に(S220:No)基準値との交差を検出したときの(S270:Yes)処理は、上述したトップ検出の場合と同様であり、カウンタをいったんクリアする(S280)。この処理により、基準値からピークまでのサンプリング数を正確に検出できるようになる。
【0112】
ステップS230においては、カウント値Cに基づいて、サンプリング休止数を算出する。この休止カウント数Dの算出も、上述したトップ検出の場合と同様であり、休止カウントベース値を記憶部38に記憶し、休止カウントベース値から、ピークを越えてサンプリングされたサンプリング回数に相当する値として1を減算し、休止カウントベース値からピークを挟んで対称配置されているサンプリング点の数との誤差を考慮して所定数を減算することにより行われる。
【0113】
このようにして、休止カウント数Dが算出されると、休止フラグを記憶部38にセットし(S240)、カウンタをクリアし(S250)、記憶部38に記憶される設定値をトップ検出に変更して(S260)、処理を終了する。
【0114】
次にサンプリング休止中の処理について説明する。
この処理は、ステップS110においてサンプリング休止中と判断されたときに実行されるものであり、本実施形態においては、記憶部38にサンプリング休止フラグが記憶されているときに実行される。
【0115】
まず、ステップS290において、カウント値Cと休止カウント数Dとを比較する。カウント値Cと休止カウント数Dが等しければ、サンプリングの休止回数が休止カウント数Dに達したと判断し(S290:Yes)、休止フラグをクリアするとともに(S300)、補間フラグをセットし(S310)、処理を終了する。従って、適切な回数だけサンプリングを休止することができる。
【0116】
一方、カウント値Cと休止カウント数Dが異なる場合は、サンプリングの休止回数が休止カウント数Dに達していないと判断し(S290:No)、処理を終了する。
【0117】
(3)人体検出処理の第2実施例:
図6は、本実施形態に係る人体検出処理の第2実施例の概要を説明する図である。同図には、マイクロ波ドップラセンサ12にサンプリングを行わせるタイミング、すなわちサンプリング点を黒丸にて示してある。本第2実施例では、図6に示すように、ピーク値から次のピーク値までのサンプリング数に基づいて、当該次のピーク値からさらに次のピーク値までのサンプリングの少なくとも一部を停止する。
【0118】
図6では、例えば、サンプリング点S6とS7の間にピークがあり、このピークを挟んで、一方の側にサンプリング点S1〜S6があり、他方の側にサンプリング点S7〜S12がある。
【0119】
ここで、ピーク位置近傍のサンプリング点S6,S7,S8は、ドップラ信号の周波数を特定するために必須であり、実際に送受信した電波に基づいて生成されたドップラ信号から実際にサンプリングしてデータを取得する必要がある。ただし、1つのピークの一方の側にあるサンプリング点S1〜S5は、実際に送受信した電波に基づいて生成されたドップラ信号から実際にサンプリングしてデータを取得されるものの、同じピークの他方の側にあるサンプリング点S9〜S12は、サンプリングが為されず、データが欠落している。
【0120】
このデータが欠落しているサンプリング点のデータは、上述した第1実施例と同様に、ピーク位置に基づいて周波数や振幅を検知するだけであれば無くても構わないが、デジタルフィルタ等を行う際に連続的なデータが必要な場合は、何らかの方法で補間する必要がある。なお、補間方法としては、上述した第1実施例と同様の手法にて、補間することができる。
【0121】
<フローチャートの説明>
図7は、人体検出処理の第2実施例に係るフローチャートである。なお、同図に示す処理は、水栓装置1の電源が投入されている間、制御部13により、既定のサンプリング周期で周期的に繰り返し実行されているものとする。より具体的には、例えば、1msecもしくは2msec置きに、図7に示す処理を周期的に繰り返し実行する。
【0122】
なお、図7に示す処理は、図5に示す処理と大部分が共通し、具体的には、図5に示すステップS100〜S160,S290〜S310と、図7に示すステップS400〜S460,S550〜S570とは、それぞれ共通するため、以下では、処理が相違する部分のみ説明する。
【0123】
まず、本第2実施例では、第1実施例のステップS270〜S280に相当する処理を行わないため、基準値と交差してもカウンタのカウント値Cをクリアしない。従って、トップ検出中にカウントアップされるカウント値Cは、その直前に検出されたボトムを経過した直後のサンプリング点の次のサンプリング点から、その次に検出されるトップを経過した直後のサンプリング点の次のサンプリング点までの、サンプリング点数に相当する。ただし、ピーク検出タイミングの誤差がある場合は、1または2程度の誤差が生じる場合がある。
【0124】
このように、基準値との交差時にカウンタ値Cのクリアを行わないため、ステップS470の判断分岐において、サンプリング値が、その直前のサンプリング値より増加している場合(S470:No)、そのまま処理を終了する。同様に、ステップS520の判断分岐において、サンプリング値が、その直前のサンプリング値より減少している場合も(S520:No)、そのまま処理を終了する。
【0125】
次に、ステップS480において実行される休止カウント数算出処理では、第1実施例に示すステップS180と同様に、休止カウントベース値から1ならびに誤差を減算して休止カウント数Dを算出するが、基準値との交差時にクリアされていないカウント値Cに基づいて算出されているため、第1実施例において算出される休止カウント数Dに比べて大き目の値となる。
【0126】
次に、本第2実施例では、トップ検出中のサンプリング点数に基づいてボトム検出中のサンプリングを休止するように構成されているため、ボトム検出中にデータ値の増加を検出しても(S520:Yes)、休止カウント数算出処理や休止フラグのセットは行わず、カウント値Cのクリア(S530)と、設定をトップ検出に変更する処理(S540)のみを実行して処理を終了する。
【0127】
以上説明した第2実施例に係る人体検出処理によれば、ピーク位置は確実に実測されるため、ドップラ信号の周波数の検出精度は一定以上に維持されるが、上述した第1実施例に係る人体検出処理に比べると、周波数の検出精度に比べると、やや精度が落ちる可能性がある。ただし、サンプリングを停止するサンプリング点数は、第1実施例に比べて増加するため、演算処理の負荷が低下し、消費電力は、第1実施例に係る人体検出処理に比べて低下する可能性がある。
【0128】
(4)まとめ:
以上説明した実施形態によれば、所定検知領域に送信したマイクロ波の反射波を受信し、前記所定検知領域に送信したマイクロ波と受信した反射波とに基づいてドップラ信号を生成し、ドップラ信号に基づいて前記所定検知領域における人体の存在を検知する水栓装置1であって、前記反射波の受信と、前記反射波に基づくドップラ信号の生成と、を所定のサンプリング周期毎に実行しており、前記ドップラ信号が基準値からピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記ピーク値以降のサンプリングを停止する水栓装置1を提供可能となる。この水栓装置1においては、ドップラ信号の周波数の検出精度を従来の水栓装置1に比べて低下させることなく、消費電力を実質的に低減することができる。
【0129】
なお、上述した第1実施例では、基準値と交差した後のトップ検出中に、実際にサンプリングを実行してデータを取得し、基準値と交差する前のボトム検出中に、サンプリングの停止を行っていたが、これに限るものではない。例えば、基準値と交差した後のボトム検出中に、実際にサンプリングを実行してデータを取得し、基準値と交差する前のトップ検出中に、サンプリングの停止を行っても構わない。
【0130】
また、上述した第2実施例では、トップ検出中に、実際にサンプリングを実行してデータを取得し、ボトム検出中に、サンプリングの停止を行っていたが、これに限る者ではない。例えば、ボトム検出中に、実際にサンプリングを実行してデータを取得し、トップ検出中に、サンプリングの停止を行っても構わない。
【0131】
なお、本技術は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0132】
1…水栓装置、2…洗面器、2a…ボール面、3…洗面カウンタ、4…水栓、4a…吐水口、5…給水路、6…排水路、10…対象物、11…電磁弁、12…マイクロ波ドップラセンサ、13…制御部、21…発振回路部、22…送信部、23…受信部、24…ミキシング部、31…ローパスフィルタ部、32…アンプ部、33…ドップラ信号検出部、34…定在波信号検出部、35…対象物検出部、36…電磁弁制御部、37…センサ制御部、38…記憶部、39…人体動作検出部、40…人体位置検出部、41…タイマ、D…休止カウント数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定検知領域に送信した伝播波の反射波を受信し、前記所定検知領域に送信した伝播波と受信した前記反射波とに基づいてドップラ信号を生成し、前記ドップラ信号に基づいて前記所定検知領域における人体の存在を検知する人体検知装置であって、
前記反射波の受信と、前記反射波に基づくドップラ信号の生成と、を所定のサンプリング周期毎に実行しており、
前記ドップラ信号が所定値から第1のピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止することを特徴とする人体検知装置。
【請求項2】
前記ドップラ信号が所定の基準値と交差した点から前記第1のピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止する請求項1に記載の人体検知装置。
【請求項3】
前記ドップラ信号が、前記第1のピーク値の直前に現れる第2のピーク値から、前記第1のピーク値になるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止する請求項1に記載の人体検知装置。
【請求項4】
前記サンプリングの停止により欠落したサンプリングデータを、前記第1のピーク値を検出する前のサンプリングデータを利用して補間する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の人体検知装置。
【請求項5】
所定検知領域に送信した伝播波の反射波を受信し、前記所定検知領域に送信した伝播波と受信した前記反射波とに基づいてドップラ信号を生成し、前記ドップラ信号に基づいて前記所定検知領域における物体の存在を検知する自動水栓装置であって、
前記反射波の受信と、前記反射波に基づくドップラ信号の生成と、を所定のサンプリング周期毎に実行しており、
前記ドップラ信号が所定値から第1のピーク値となるまでのサンプリング数を計数し、当該サンプリング数に応じた回数だけ、前記第1のピーク値以降のサンプリングを停止することを特徴とする自動水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76581(P2013−76581A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215462(P2011−215462)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】