説明

人体検知装置

【課題】 ドップラ信号を利用した人体検知装置において、少ない演算量で、人の行動状態を的確に把握する。
【解決手段】 人体によって反射された伝播波のドップラ信号を利用した人体検知装置であって、人体に向けて伝播波を放射する伝播波発信部と、人体によって反射された伝播波を受信する伝播波受信部と、上記伝播波発信部によって放射された伝播波及び上記伝播波受信部によって受信された伝播波に基づいてドップラ信号を生成するドップラ信号生成部と、このドップラ信号生成部によって生成されたドップラ信号を解析してドップラ信号の振幅を算出するドップラ信号解析部と、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点よりも所定期間前の上記ドップラ信号の振幅に基いて人体までの距離を推定し、その推定結果に基いて人体の行動状態を判定する行動状態判定部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体検知装置に関し、特に、検知対象物である人体によって反射された伝播波のドップラ信号を利用した人体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開昭62−132484号広報(特許文献1)には、マイクロ波を小便器の正面の領域に発射し、検知対象物から反射されたマイクロ波のドップラ周波数信号を、複数の異なる周波数帯域に分けて検出し、これらの複数のドップラ周波数帯域での検出信号が一定の順序で発生したことを使って人の行動を判定している。
【0003】
また、特開平9−80150号公報(特許文献2)には、人体検知装置が記載されている。この人体検知装置においては、マイクロ波を便器正面に発射し、対象物で反射されたマイクロ波を受信し、そのドップラ周波数信号のパワースペクトルを求め、このパワースペクトルのピーク値に基づいて人の行動状態を判定している。
【0004】
更に、特開2006−214156号公報(特許文献3)に記載されている小便器洗浄装置においては、マイクロ波ドップラセンサの出力信号に、特定の周波数帯域信号のみを通過させる複数の周波数フィルタを用い、これらの複数の周波数フィルタを通過した出力信号に基づいて人の行動状態を判定している。
【0005】
これらの特許文献1〜特許文献3に記載されたマイクロ波を用いた人体検知装置は、現在広く普及している赤外線を用いた人体検知装置とは異なり、小便器等に適用した場合、小便器本体等に赤外線を透過させるための窓を設ける必要がないので装置を設置する条件の制約が少なく、すっきりしたデザインの小便器を実現することができる。
【0006】
【特許文献1】特開昭62−132484号
【特許文献2】特開平9−80150号公報
【特許文献3】特開2006−214156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の人体検知装置においては、人が小便器や大便器を使用する時に動く速度や移動方向などは、その時々に応じて様々に異なる。そのため、複数の周波数帯での信号が一定の順序で出現したかというだけで確実に人の行動を判断する事は不可能である。例えば、小便器に最初はゆっくり近づき、途中で一旦止まって、更に早足で小便器に近づいてくる場合と、最初は早足でその後次第に速度を落としながら近づく場合は明らかに同じドップラ周波数パターンにならない。このように多種多様な人が移動するパターンを全てデータベース化することは困難であるという問題がある。また、周波数情報だけで行動を判断しているために、検知対象外の移動体、例えば他の人の移動や水の流れを検知対象物の動きと誤検知することが生じる。
【0008】
また、特許文献2に記載の人体検知装置においては、検出されたドップラ信号にフーリエ変換を施してパワースペクトルを求めているため、人の行動状態を時系列的に細かく捉えることができないという問題がある。即ち、特開平9−80150号公報記載の人体検知装置においては、ドップラ信号を5msec間隔で0.64secに亘ってサンプリングされた128個のデータに対して高速フーリエ変換を行って、パワースペクトルを求めている。このようにして得られたパワースペクトルから得られるピーク周波数や振幅の情報は、データをサンプリングした0.64sec間の平均値を表すものであり、検知すべき人の行動の変化を、即座に検知することができないという問題がある。
【0009】
また、高速フーリエ変換によってパワースペクトルを求める方法においては、サンプリングするデータ数を少なくすれば、得られるピーク周波数の分解能が低下するという問題がある。また、サンプリングの間隔を短くし、短時間に多数のデータを取得して高速フーリエ変換を行うと、演算量が増大すると共に、多量の演算により人体検知装置が消費する電力が大きくなるという問題もある。
【0010】
一方、特許文献3に記載の装置において使用されている周波数フィルタは、検出されたドップラ信号にデジタルフィルタを施すことにより実現することができるが、デジタルフィルタ演算についても数10個以上のサンプリングデータが必要になる。また、単一のデジタルフィルタを使用して、周波数領域の単一のデータを得ただけでは、検知すべき人の行動を十分に把握することができないことから、特開2006−214156号公報記載の装置では3種類のフィルタを用いている。このようにフィルタ数を増やせば、演算量が増大し高性能のマイコンを使う必要があり、安価に人体検出装置を実現することができない問題がある。
【0011】
従って、本発明は、人体によって反射された伝播波のドップラ信号を利用した人体検知装置において、少ない演算量で、人の行動状態を的確に把握することができる人体検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明は、人体によって反射された伝播波のドップラ信号を利用した人体検知装置であって、人体に向けて伝播波を放射する伝播波発信部と、人体によって反射された伝播波を受信する伝播波受信部と、
上記伝播波発信部によって放射された伝播波及び上記伝播波受信部によって受信された伝播波に基づいてドップラ信号を生成するドップラ信号生成部と、このドップラ信号生成部によって生成されたドップラ信号を解析してドップラ信号の振幅を算出するドップラ信号解析部と、上記ドップラ信号の振幅が所定の第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点よりも所定期間前の上記ドップラ信号の振幅に基いて人体までの距離を推定し、その推定結果に基いて人体の行動状態を判定する行動状態判定部と、
を有することを特徴としている。
【0013】
このように構成された本発明においては、ドップラ信号解析部は、ドップラ信号からは、その振幅を算出すればよいので、例えば、ドップラ信号を自己回帰モデルを使った粒子フィルタで解析することができ、そして、ドップラ信号の振幅が第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点よりも所定期間前の上記ドップラ信号の振幅を利用することで、簡単に人体までの距離を推定することができ、その距離に基いて人体の行動状態を的確に判定することができる。よって、人体の行動状態を判定するためにフーリエ変換やデジタルフィルタ演算が不要であり、ドップラ信号解析部に要求される演算量が少なくてすむ。
【0014】
また、請求項2記載の本発明は、上記行動状態判定部は、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点よりも所定時間だけ前の範囲にて、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値よりも大きな第二振幅閾値を上回っていると、人体の接近静止と判断して接近停止検知信号を出力することを特徴とする
【0015】
このように構成された本発明においては、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点よりも所定時間だけ前の範囲にて、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値よりも大きな第二振幅閾値を上回っていると人体の接近静止と判断する。このことは、センサの原理的な特徴である、人がセンサに近づけばドップラ信号の振幅は大きくなり、センサから離れればその振幅が小さくなることを用いているのであり、第一振幅閾値を下回った時点の位置の近傍に大きなドップラ信号の振幅があるのかを判断すれば人がセンサの近くにいることが分かり、そうでないときは人がセンサから離れていると判断できる。なお、第一振幅閾値を下回った時点より所定時間だけ前の振幅を見ているのは、ドップラ信号のもう一つの特徴である定在波の影響を除去するためである。以上により、ドップラ信号が第一振幅閾値を下回った際に、人が遠くに離れているのか、近くで静止したためなのかを簡単に把握することができる。
【0016】
また、請求項3記載の本発明は、上記行動状態判定部は、上記接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が、上記第一振幅閾値よりも大きく上記第二振幅閾値よりも小さい第三振幅閾値を上回ると、その継続時間を計時し、その計時時間が所定の時間閾値を越えると人体の離隔と判断して上記接近停止検知信号の出力を停止することを特徴としている。
【0017】
このように構成された本発明によれば、接近停止判定後に人体が動き出したかどうかをドップラ信号の振幅が第一振幅閾値より大きな第三振幅閾値を上回ったことで検出しているため、人体が揺れる程度の動きをキャンセルすることができる。そして、動き出してからの継続時間が所定の時間閾値を上回ると、接近停止状態でなくなったと判定して接近停止検知信号の出力を的確なタイミングて停止することができる。
【0018】
また請求項4記載の本発明は、上記ドップラ信号解析部は、上記ドップラ信号生成部によって生成されたドップラ信号を解析してドップラ信号の振幅と周波数とを算出し、その振幅が所定の第一振幅閾値を上回ると、その時のドップラ信号の周波数に基いて上記人体の移動速度を算出すると共に、その算出された移動速度と上記第一振幅閾値を上回ってからの時間に基いて上記人体の累積移動距離を算出する累積移動距離を算出し、上記行動状態判定部は、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回った時点で、その時点の累積移動距離より所定の距離閾値だけ前の範囲内において、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値よりも大きな第二振幅閾値を上回っていると、人体の接近静止と判断して接近停止検知信号を出力することを特徴とする。
【0019】
このように構成された本発明においては、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点の累積移動距離より所定の距離閾値だけ前の範囲内において、上記ドップラ信号の振幅に基いて人体までの距離を推定し、その推定結果に基いて人体の行動状態を判定する。このことは、センサの原理的な特徴である、人がセンサに近づけばドップラ信号の振幅は大きくなり、センサから離れればその振幅が小さくなることを用いているのであり、第一振幅閾値を下回った時点の位置の近傍に第二振幅閾値を上回る大きなドップラ信号の振幅があるのかを判断すれば人がセンサの近くにいることが分かり、そうでないときは人がセンサから離れていると判断できる。なお、第一振幅閾値を下回った時点の累積移動距離より所定の距離閾値だけ前の範囲内の振幅を見ているのは、ドップラ信号のもう一つの特徴である定在波の影響を除去するためである。以上により、ドップラ信号が第一振幅閾値を下回った際に、人が遠くに離れているのか、センサからセンシング対象としたい距離以内の近くで静止したためなのかを的確に把握することができる。
【0020】
また請求項5記載の本発明は、上記行動状態判定部は、上記接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が、上記第一振幅閾値よりも大きく上記第二振幅閾値よりも小さい第三振幅閾値を上回ると、上記人体の累積移動距離の算出を開始し、その累積移動距離が所定の距離閾値を越えると人体の離隔と判断して上記接近停止検知信号の出力を停止することを特徴としている。
【0021】
このように構成された本発明によれば、接近停止判定後に人体が動き出したかどうかをドップラ信号の振幅が第一振幅閾値より大きな第三振幅閾値を上回ったことで検出しているため、人体が揺れる程度の動きをキャンセルすることができる。そして、動き出してからの累積移動距離が所定の距離閾値を上回ると、接近停止状態でなくなったと判定して接近停止検知信号の出力を的確なタイミングて停止することができる。
【0022】
また請求項6記載の本発明は、上記行動状態判定部は、上記接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回ると、上記人体の累積移動距離の算出を開始し、その後に上記第一振幅閾値を下回った時点で、その時点の累積移動距離より所定の距離閾値だけ前の範囲内において、上記ドップラ信号の振幅が上記第二振幅閾値よりも大きな第四振幅閾値を上回っていると、人体の接近静止と判断して第二接近停止検知信号を出力することを特徴としている。
【0023】
このように構成された本発明においては、接近停止と判定した後に、その判定に用いた第一振幅閾値よりも大きな第四振幅閾値を用いて、上記接近停止よりも更に近づいたことを検出して第二接近停止検出信号を出力するよう構成されているため、人体の接近停止状態を的確に判定することができる。
【0024】
また請求項7記載の本発明は、上記行動状態判定部は、上記第二接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が、上記第一振幅閾値よりも大きく上記第四振幅閾値よりも小さい第五振幅閾値を上回ると、上記人体の累積移動距離の算出を開始し、その累積移動距離が所定の距離閾値を越えると人体の離隔と判断して上記第二接近停止検知信号の出力を停止すると共に上記接近停止検出信号を出力し、その後に累積移動距離が上記距離閾値よりも大きい第二距離閾値を越えると上記接近停止信号の出力を停止することを特徴としている。
【0025】
このように構成された本発明によれば、第二接近停止検出後には、これ以上のセンサに接近した動きが無くなるので、次に人体が動くのは、センサから離れる方向であるため、ドップラ信号の振幅値が第五振幅閾値を越えると、その累積移動距離に基いて第二接近停止検出の出力を停止(解除)し、更に連続して人体が動いていれば、接近停止検出の出力・停止するようにしているため、的確に人体の離隔を検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の人体検知装置によれば、少ない演算量で人の行動状態を的確に把握することができる。また、人の動きに比例するドップラ信号の周波数だけでなく、センサと人の距離に依存するドップラ信号の振幅強度を使用して人の行動を判断しているために、他の人の動きや水の流れなどに惑わされること無く、正確に人の行動を判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態による小便器の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】小便器の事例によるドップラ信号生成部により生成されたドップラ信号の一例を示すグラフである。
【図3】図2に示した小便器使用時のドップラ信号に基づいて、粒子フィルタを用いて計算された移動速度、信号振幅および累積移動距離の一例を表すグラフである。
【図4】図2に示した小便器使用時のドップラ信号の値、移動速度、信号振幅、累積移動距離及び判定された人の行動を示すグラフの一例を示す。
【図5】本発明の実施形態の小便器における処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態による大便器の全体の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態による大便器の事例によるドップラ信号生成部により生成されたドップラ信号の一例を示すグラフである。
【図8】図7に示した大便器使用時のドップラ信号に基づいて、粒子フィルタを用いて計算された移動速度、信号振幅および累積移動距離の一例を表すグラフである。
【図9】図7に示した大便器使用時のドップラ信号の値、移動速度、信号振幅、累積移動距離及び判定された人の行動を示すグラフの一例を示す。
【図10】本発明の実施形態の大便器における処理を示すフローチャート(前半)である。
【図11】本発明の実施形態の大便器における処理を示すフローチャート(後半)である。
【図12】本発明の小便器(第二の実施形態)における処理を示すフローチャートである。
【図13】図12に示した小便器使用時のドップラ信号の値、移動速度、信号振幅、累積移動距離及び判定された人の行動を示すグラフの一例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
添付図面を参照して、本発明の好ましい第一実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による小便器の全体の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、本発明の実施形態による小便器1は、小便器本体2と、この小便器本体2に内蔵された人体検知装置4と、小便器本体2を洗浄する洗浄水を吐出、停止させる電磁弁6と、この電磁弁6を制御する電磁弁制御部8と、を有する。
【0030】
本実施形態の小便器1は、人が小用を足しに小便器本体2に接近して立ち止まったことを人体検知装置4が検知すると、電磁弁制御部8が電磁弁6に信号を送り、これを所定時間開放させて小便器本体2の前洗浄を行うように構成されている。さらに、小便器1は、小用を足した人が小便器本体2から離れたことを人体検知装置4が検知すると、電磁弁制御部8が電磁弁6に信号を送り、これを所定時間開放させて小便器本体2の後洗浄を行うように構成されている。
【0031】
小便器本体2は、小便を受けるボウル部2aと、このボウル部2aを洗浄する洗浄水を吐水させるための、ボウル部上部に設けられた吐水口2bと、小便及び洗浄水を排出するための排水口2cと、を有する。
電磁弁6は、吐水口2bに接続された給水管路に設けられ、電磁弁制御部8から送られた信号により開閉されるように構成されている。
【0032】
電磁弁制御部8は、人体検知装置4が、人が小用を足しに小便器本体2に接近して立ち止まったことを表す「人体の接近」を検知すると、この検知信号を受けて所定時間電磁弁6を開放させ、前洗浄を行うように構成されている。また、電磁弁制御部8は、人体検知装置4が、小用を足した人が小便器本体2から離れたことを人体検知装置4が検知すると、この検知信号を受けて所定時間電磁弁6を開放させ、後洗浄を行うように構成されている。具体的には、電磁弁制御部8は、マイクロプロセッサ、メモリ(図示せず)等により構成することができる。
【0033】
人体検知装置4は、小便器本体2に内蔵され、検知対象物である人体に向けて伝播波であるマイクロ波を放射する伝播波発信部であるマイクロ波発信部10と、このマイクロ波発信部10から放射され、人体によって反射されたマイクロ波を受信する伝播波受信部であるマイクロ波受信部12と、マイクロ波発信部10が放射したマイクロ波及びマイクロ波受信部12が受信したマイクロ波に基づいて、ドップラ信号を生成するドップラ信号生成部14と、を有する。
【0034】
さらに、人体検知装置4は、ドップラ信号生成部14により生成されたドップラ信号を解析し、ドップラ信号の周波数、検知対象物の移動速度と検知対象物を検知し始めてからの累積移動距離を及びドップラ信号の振幅を算出するドップラ信号解析部16と、このドップラ信号解析部16からの出力、及び、サンプリング周期の一期前の行動状態判定結果に基づいて人の行動状態を判定する行動状態判定部18と、を有する。なお、本実施形態においては、人体検知装置4は小便器本体2に内蔵されているが、人体検知装置4を小便器本体2の外部に配置することもできる。
【0035】
マイクロ波発信部10は、マイクロ波を小便器本体2の裏側から、小便器1に近づく人体に向けて放射するように構成されている。具体的には、マイクロ波発信部10は、所定の周波数のマイクロ波を所定の時間間隔で発信するマイクロ波発振器により構成することができる。マイクロ波発信部10から放射されたマイクロ波は陶器製の小便器本体2を透過して、小便器本体2の前方に向けて放射される。
【0036】
マイクロ波受信部12は、マイクロ波発信部10から放射され、検知すべき人体によって反射されたマイクロ波を受信するように構成されている。人体によって反射されたマイクロ波は、再び小便器本体2を透過して、小便器本体2の裏側に配置されたマイクロ波受信部12により受信される。具体的には、マイクロ波受信部12は、マイクロ波受信器により構成することができる。
【0037】
ドップラ信号生成部14は、マイクロ波発信部10から放射されたマイクロ波の一部と、マイクロ波受信部12が受信したマイクロ波をミキサで混合することにより、ドップラ信号を生成するように構成されている。生成されるドップラ信号は、マイクロ波を反射した人体の移動速度に応じた周波数成分を多く含む信号であり、移動速度が大きい場合には周波数が高くなり、移動速度が小さい場合には周波数が低くなる。
【0038】
ドップラ信号解析部16は、ドップラ信号生成部14が生成したドップラ信号を、例えば自己回帰モデルを使用して解析し、ドップラ信号の周波数、及びドップラ信号の振幅を算出すると共に、この算出された周波数に基いて検知対象物の移動速度を算出し、その移動速度とサンプリング時間との積により単位時間の移動距離を算出し、それを積算して累積移動距離を算出するように構成されている。
【0039】
行動状態判定部18は、ドップラ信号解析部16により算出された累積移動距離、ドップラ信号の振幅、及び、サンプリング周期の一期前の行動判定結果に基づいて、「人体の接近」、「人体の退去」等の人の行動状態を判定するように構成されている。なお、行動状態判定部18における演算処理の詳細は後述する。また、具体的には、ドップラ信号生成部14、ドップラ信号解析部16、及び行動状態判定部18は、A/D変換器、メモリ、マイクロプロセッサ、及びこれを作動させるプログラム等により構成することができる。
【0040】
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の実施形態におけるドップラ信号解析部16、及び行動状態判定部18が実行する処理を説明する。
図2は、本発明適用の小便器でドップラ信号生成部により生成されたドップラ信号の一例を示すグラフである。図3は、図2に示したドップラ信号に基づいて、粒子フィルタと自己回帰モデルを用いて計算された人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離の一例を表すグラフである。図4は、サンプリングされたドップラ信号の値、これに基づいて計算された人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離、及び行動状態判定部によって判定された人の行動の一例を示すグラフである。
【0041】
まず、小便器1に遠方から人が接近し、小便器1の近傍でしばらく静止し、その後、体を半回転し、小便器1から離れて行った場合には、ドップラ信号生成部14から、図2に示すようなドップラ信号が出力される。なお、図2の横軸は時系列を表し、横軸の数値はデータをサンプリングしたステップ数を示しており、縦軸はドップラ信号の振幅を示している。また、図2においては、ドップラ信号は4/1024sec間隔でサンプリングされている。なお、図2には4/1024sec間隔でサンプリングされたデータを示しているが、図2よりも粗い間隔でドップラ信号をサンプリングしても本発明を適用することができる。
【0042】
ドップラ信号解析部16は、図2に示すドップラ信号を、例えば自己回帰モデルを使った粒子フィルタ技術を使って、ドップラ信号の周波数、ドップラ信号の振幅を算出する。人の移動速度vとドップラ周波数fdは次式の関係があり、ドップラ周波数を求めることにより、算出できる。
fd=2fs・v/c (数式1)
ここで
fd:ドップラ周波数
fs:マイクロ波センサの送信周波数(本事例では10.525GHz)
vt:時刻tでの人の移動速度
c:光の速度(3×10m/sec)
である。累計移動距離Lは時刻tでの人の移動速度が求まれば、次式で計算できる。
L=Σ(vt・△t) (数式2)
ここで
△t:人の移動速度を算出する間隔(サンプリング周期)
である。
【0043】
数式1および2を使ってドップラ信号解析部16が人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを算出を開始するのは、ドップラ信号の振幅が予め設定していた第一振幅閾値としての閾値B以上になったときである。閾値Bはセンサの前に人が居ない状態のセンサ信号のふらつき(暗ノイズ)より大きな値で、センサが何らかの物体からの反射波を検知したと考えられる値として設定しておく。
【0044】
さらに、本実施形態においては、ドップラ信号解析部16は、人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを算出し、図3のような結果を得ることができる。
【0045】
ドップラ信号解析部16が算出した人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを使って、行動状態判定部18は人の行動を判定する。なお、人の行動状態を示す指標は初期状態で「4」という、人がセンサの前に居ないということを示す値に設定されている。この状態で人がセンサに接近してくると、ドップラ信号の振幅が前記閾値Bより大きくなった時点で、ドップラ信号解析部16が人の移動速度及び累計移動距離Lを算出する。行動状態判定部は、1期前の人の行動状態が「4」で、累計移動距離が0より大きくなれば、人の行動状態の推定指標を「4」から「0」に変更するようになっている。ここで人の行動状態の推定指標「0」はセンサが人を感知したことを示すが、まだ、センサまでの距離が予め設定してある(a+e)より遠い状態を示す。これを接近1と定義する。
【0046】
一方、小便器を使用する人の動作の特徴として、小用前などある特定の動作を行う前に、数百msec以内という短い時間、静止していると見なせる状態が存在することを見出した。また、人が小便器を使う場合、ある程度小便器に接近する必要がある。小便器を使用するとき、人と小便器の間隔を最大30cmとして、体の小さな子供がセンサの前に立って、体を動かしたときの信号振幅強度を第二振幅閾値としての閾値Aとして、一旦人が静止した位置から15cm以内に信号振幅閾値Aを超える信号があるときは、人がセンサから45cm以内に存在し、静止していると判断し、現時点の位置から距離閾値としての15cm以内の信号振幅強度が信号振幅Aより小さいときは人がセンサから45cm以内には居ないと判断する。図4では、2秒を過ぎたところで、人の静止が検知されており、その前の距離15cmまでに閾値Aを超える信号が存在したために、人がセンサから45cmの距離以内に存在しているということになり、人の行動状態の推定指標が一期前の判断「0」から「1」に変更される。この状態を接近2と定義する。
人が静止した位置から、距離閾値(例えば15cm)以内に信号振幅閾値Aより大きいかを判断しているのは、ドップラ信号にしばしば発生する定在波による影響を除去する目的のためである。定在波は多重反射の複数の電波の重なりから生じ、その発生箇所は電波の伝達距離に依存し、電波の波長による。マイクロ波の波長は数cmであるから、その波長より十分長い区間を距離閾値として監視すれば、必ず定在波の影響の無い領域が現れる。
【0047】
また、一期前の人の行動状態の推定指標が「1」の状態で、人がセンサから距離45cm以内で静止していると判断した後、信号振幅閾値Aの8割程度の値であるドップラ信号の振幅の第三振幅閾値としての閾値Dを予め設定しておき、この閾値D以下の大きさのドップラ信号の振幅強度のとき、移動距離を0にし、閾値Dを越えてから、人の移動距離および累計移動距離を算出している。このようにすることで、人が小用のために動かす手の動きやわずかな体動の影響を除去し、人が本当に動き始めてからの移動距離が計算できる。このようにして一期前の人の行動状態の推定指標が「1」の状態で、人の累計移動距離がさらに10cm以上になったとき、行動状態判定部18は一期前の判断「1」から「0」に変更される。
【0048】
また、一期前の人の行動状態の推定指標が「0」の状態で、センサの振幅強度が小さく、静止状態と判断したとき、その時点の位置から距離25cm以内に振幅強度の閾値A以上の大きさの信号がなければ、人はセンサから55cm以上離れているとして、行動状態判定部18は一期前の判断「0」から「4」に変更される。もし、その時点から距離25cm以内に振幅強度A以上の大きさの信号があったときは、センサから55cm以内の距離にいて静止しているだけとして人の行動状態の推定指標は「0」のままに保つ。
【0049】
次に、図5を参照して、本発明の実施形態による小便器1の作用を説明する。図5は、本実施形態の小便器における人体検知装置4による処理を示すフローチャートである。
【0050】
まず、図5のステップS1において、人体検知装置4の電源が投入されると、ステップS2に進み待機モードとなる。この待機モードにおいて、マイクロ波発信部10は小便器1の前方にマイクロ波を放射し、マイクロ波受信部12はマイクロ波を受信する。ドップラ信号生成部14は、放射したマイクロ波と受信したマイクロ波に基づいてドップラ信号を生成する。さらに、ドップラ信号解析部16は、マイクロ波の振幅強度が人体が存在しない時にドップラ信号に現れる暗ノイズと同等レベルの大きさの閾値B(第一振幅閾値)より大きいとき、生成され、サンプリングされたドップラ信号を解析して、人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離を逐次計算する。
【0051】
次に、ステップS3において、小便器1の近傍に人が接近したか否かが判断される。即ち、行動状態判定部18は、計算された人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離と一期前の行動状態判断結果に基づいて、人が接近したか否かを判定する。行動状態判定部18は、次の(a)(b)2つの条件が満たされれば、人が「接近」と見なす。(a)一期前の行動状態判定が「人が不在」である。(b)累計移動距離が0より大きい。
【0052】
これら(a)(b)の2つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部18は、人の行動状態が小便器近傍への「接近」であると判定し、処理はステップS4に進む。3つの条件が満たされていない場合には、ステップS2に戻り待機状態が持続される。
【0053】
ステップS4においては、人の行動状態は「接近」であると認識される。さらに、ステップS5において、小便器1に接近した人が静止し、小用を開始するか否かが判断される。即ち、行動状態判定部18は、次の(c)〜(e)の3つの条件が満たされているか否かを判断する。(c)一期前の行動状態判定が「接近」である。(d)信号振幅が閾値Bより小さい(e)現時点の位置から15cm以内の距離に信号振幅強度の閾値A(第二振幅閾値)より大きな信号がある。
【0054】
これら(c)〜(e)の3つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部18は、小便器近傍へ接近した人が小用を開始したと判定(接近静止と判断して接近停止信号を出力)し、処理はステップS6に進む。一方、ステップS3において接近状態が認識された後、所定時間経過しても、人が小用を開始したと判定されない場合には、ステップS7に進み、人が退去したかを判定することなる。
【0055】
ステップS6において、人体検知装置4は接近停止検知信号である「判断1」となり、それに基いて電磁弁制御部8は、電磁弁6に制御信号を送り、電磁弁6を所定時間開放させる。これにより、小便器本体2の吐水口2bから洗浄水が吐水され、ボウル部2aが前洗浄される。
【0056】
次に、ステップS7において、人が小便器1の近傍から退去したか否かが判断される。即ち、閾値Dをを越える信号が得られると、行動状態判定部18は、次の(f)(g)の2つの条件が満たされているか否かを判断する。(f)一期前の人の状態行動判断が「小用を開始した」である。(g)小用を開始したと判断した時点から、累計移動距離が10cm以上移動した。
【0057】
これら(f)(g)の2つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部18は、小用を開始した人が退去したと判定し、処理はステップS8に進む。一方、2つの条件が満たされていない場合には、ステップS7における判定が繰り返される。
【0058】
ステップS8では、判断は「0」となる。(静止検知信号「1」の出力は停止される。)
【0059】
ステップS9では、ステップ8で「退去」と判定された状態で、ステップ5の小用の有無データが保存されていたメモリから呼び出され、小用が判定されていれば、ステップ10に進み。小用が判定されていないときはステップS2に戻る。
【0060】
ステップS10において、電磁弁制御部8は、電磁弁6に制御信号を送り、電磁弁6を所定時間開放させる。これにより、小便器本体2の吐水口2bから洗浄水が吐水され、ボウル部2aが後洗浄される。
【0061】
次に、本発明の大便器への実施形態を説明する。図6は本発明の大便器の実施形態をあらわすものである。図6の大便器は便器110、便器110の後部に設置され、便器110に洗浄水を供給する洗浄タンク112、便器110に設置された人体局部洗浄機構を有する温水洗浄便座115から構成されている。また、便器110には、人の接近と着座を検知するためのマイクロ波センサを使った人体検知装置200を備えている。
【0062】
本実施形態の大便器110は、人が大便器本体110に接近したことを人体検知装置200が検知すると、温水洗浄便座115内にある制御部(図示せず)が便ふた121を開閉させるモータに信号を送り、便ふたを開にさせて人が大便器110に着座できるように構成されている。さらに、大便器110の人体検知装置200が人がシート面120に着座したことを検知すると、人がリモコン51の操作部を操作し、赤外発信部52からの信号を温水洗浄便座部の受信窓(図示せず)で受信した信号を受けて、温水洗浄便座115内部にある制御部がその信号に従った動作を実現させるようになっている。具体的には例えば、局部洗浄や乾燥などの機能である。人が大便器本体110から離れたことを人体検知装置200が検知すると、人がリモコン51の操作部を操作し、赤外発信部52からの信号を温水洗浄便座部の受信窓(図示せず)で受信した信号を受けても、温水洗浄便座内にある制御部は機能動作しないように構成されている。更に人体検知装置200が人が着座した後、大便器110から遠ざかることを検知すると、温水洗浄便座115内にある制御部が洗浄タンク112の電磁弁を制御して、洗浄タンク112の水を流し、大便器110を洗浄する。所定の時間、電磁弁を開にした後、制御部により電磁弁が閉じられ、再び洗浄タンク112に水をためる。次に更に人が大便器から遠ざかるか、完全に人体検知装置が人を検知しなくなったとき、温水洗浄便座115内にある制御部が便ふた121を開閉させるモータに信号を送り、便ふたを閉にするように構成されている。
【0063】
図6で示したマイクロ波センサを有した大便器に人が接近し、着座、使用後に離座、トイレから退出したときのマイクロ波センサのセンシング結果の1例が図7である。図7にはセンサの出力データと共に人がどのような動作をしているかを示している。まず、センシングを開始した時点では人を感知していない。約6秒の時点で、人の検知開始に相当するドップラ信号振幅強度を観測し、その後、人の動作に応じたドップラ信号を得ることができる。その後、約13秒前後の時点で人が静止したためにドップラ信号の振幅強度がほとんど0になる。ここで便器を使用し、使用後の約25秒の時点で人が立ち上がり、反転動作を行い、便器から離反している。
【0064】
次に、図7から図9を参照して、本発明の大便器に適用した実施形態におけるドップラ信号解析部、及び行動状態判定部が実行する処理を説明する。図8は、図7に示したドップラ信号に基づいて、粒子フィルタと自己回帰モデルを用いて計算された人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離の一例を表すグラフである。図9は、サンプリングされたドップラ信号の値、これに基づいて計算された人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離、及び行動状態判定部によって判定された人の行動の一例を示すグラフである。
【0065】
まず、大便器110に遠方から人が接近し、大便器110の近傍で一旦停止し、その後、体を半回転して着座動作を行う、着座中はドップラ信号は振幅強度が小さく、ほとんど人が居ない状態と同じ信号となる。更に便器使用が終了し、大便器110から離座して立ち上がり、大便器110から遠ざかってトイレブースを退去すると図7のようなドップラ信号が出力される。なお、図7の横軸は時刻を表し、縦軸はドップラ信号の振幅を示している。
【0066】
図7のようなドップラ信号を受け取ったドップラ信号解析部(図6では図示せず)は、図7に示すドップラ信号を、例えば自己回帰モデルを使った粒子フィルタ技術と、数式1、数式2の関係を使って、人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを算出する。
【0067】
数式1および2を使ってドップラ信号解析部が人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを算出を開始するのは、ドップラ信号の振幅が予め設定していた第一振幅閾値である閾値B以上になったときである。閾値Bはセンサの前に人が居ない状態のセンサ信号のふらつき(暗ノイズ)より大きな値で、センサが何らかの物体からの反射波を検知したと考えられる値として設定しておく。実施例2では、閾値Bを2500とした。
【0068】
さらに、本実施形態においては、ドップラ信号解析部が、人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを算出し、図8のような結果を得ることができる。
【0069】
ドップラ信号解析部が算出した人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを使って、行動状態判定部(図6では図示せず)は人の行動を次のように判定し、図9の判定結果となる。人の行動状態を示す判定は人がセンサの前に居ないということを「4」という数値で示す。この状態で人がセンサに接近してくると、ドップラ信号の振幅が前記閾値Bより大きくなった時点で、ドップラ信号解析部が人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離Lを算出する。行動状態判定部は、1期前の人の行動状態が「4」で、累計移動距離が0より大きくなれば、人の行動状態の判断結果を「4」から「0」に変更するようになっている。ここで人の行動状態の判断結果「0」はセンサが人を感知したことを示すが、まだ、センサまでの距離が予め設定してある(a+e)より遠い状態を示す。本実施例では距離aを30cm、距離eを15cmとしている。
【0070】
更に大便器を使用する人の動作の特徴として、便器使用前などある特定の動作を行う前に、数百msec以内という短い時間、静止していると見なせる状態が存在することを見出した。ここで静止していると見なせるとは、人体検知装置のドップラ信号の振幅強度が、人がセンサの前に居ない状態のときの振幅強度レベルと同等である状態と定義する。また、人が大便器を使うには、ある程度大便器に接近する必要がある。大便器を使用するとき一旦大便器前で静止する距離を最大30cmとして、この距離で体の小さな子供がセンサの前に立って、体を動かしたときの信号振幅強度をA2(第二振幅閾値)として、一旦人が静止した位置から15cm以内に信号振幅閾値A2を超える信号があるときは、人がセンサから45cm以内に存在し、静止していると判断し、現時点の位置から15cm以内の信号振幅強度が信号振幅A2より小さいときは人がセンサから45cm以内には居ないと判断する。図9では、10秒の少し前で、人の静止が検知されており、その前の距離15cmまでに閾値A2を超える信号が存在したために、人がセンサから45cmの距離以内に存在しているということになり、人の行動状態の判断は一期前の判断「0」から「1」に変更される。判断「1」は便器から45cm以内に人が存在することを示す。本実施例では信号振幅の閾値A2として、10000を採用した。
【0071】
また、一期前の人の行動状態の判断が「1」の状態で、人がセンサから距離45cm以内で静止していると判断した後、信号振幅閾値A2の8割程度の値であるドップラ信号の振幅の閾値D2(第三振幅閾値)を予め設定しておき、この閾値D2以下の大きさのドップラ信号の振幅強度のとき、移動距離を0にし、閾値D2を越えてから、人の移動距離および累計移動距離を算出している。このようにすることで、人が用便のために動かす手の動きやわずかな体動の影響を除去し、人が本当に動き始めてからの移動距離が計算できる。また一期前の人の行動状態の判断が「1」の状態で、人の累計移動距離がさらに5cm以上になり、ドップラ信号振幅がセンサからの距離15cm以内のとき生じる第四振幅閾値としてのドップラ信号振幅強度A3とするとき、A3>A2という関係になり、現時点の位置から5cm以内にドップラ信号振幅値がA3以上であったかで、人が更にセンサに近づいているかを検知し、そのとき行動状態判定部は一期前の判断「1」から「3」に変更される。
判断「3」はセンサから15cm以内で人が動いているということを検知したことになる。また本実施例では閾値D2として8000、A3として15000を用いた。
【0072】
次に、一期前の人の行動状態の判定が「3」の状態で、センサの振幅強度が小さく、静止状態と判断したとき、その時点の位置から距離15cm以内に振幅強度の閾値A3以上の大きさの信号があれば、人は着座しているとして、行動状態判定部は一期前の判断「3」から「5」に変更される。判断「5」は人がシート120に着座している状態を示す。もし、その時点から距離15cm以内に振幅強度A3以上の大きさの信号がなかったときは、センサから45cm以内の距離にいて静止しているだけとして人の行動状態の推定指標は「1」のままに保つ。
【0073】
次に、一期前の人の行動状態の判定が「5」の状態で、センサが人の動きを第五振幅閾値である振幅D3(例えば、振幅D3は振幅A3の8割りの信号とする)以上のドップラ信号があるかどうかで検知し、行動判定「5」の位置から10cm以上累計移動距離が増加すると行動状態判定部は一期前の判断「5」から「6」に変更される。判断「6」は人がシート120から離座したことを示す。
【0074】
更に、一期前の人の行動状態の推定指標が「6」の状態で、センサの振幅強度が小さく、静止状態と判断したとき、現時点の位置から25cm以内に信号振幅強度A2以上の振幅強度があれば、行動状態判定部は一期前の判断「6」から「1」に変更される。
【0075】
更に、一期前の人の行動状態の推定指標が「1」の状態で、「1」になった時点から5cm以上移動し、その時点の位置から15cm以内に信号振幅A2を越える信号がないとき、行動状態判定部は一期前の判断「1」から「0」に変更される。
【0076】
更に、一期前の人の行動状態の推定指標が「0」の状態で、センサの振幅強度が小さく、静止状態と判断したとき、その時点の位置から20cm以内に信号振幅A2を越える信号がないとき、行動状態判定部は一期前の判断「1」から「4」に変更される。
【0077】
次に本発明を大便器に適用したときのフローチャート図10及び図11でその動作を説明する。まず、図10のステップS51において、人体検知装置200の電源が投入されると、ステップS52に進み待機モードとなる。この待機モードにおいて、マイクロ波発信部(図示せず)は大便器110の前方にマイクロ波を放射し、マイクロ波受信部(図示せず)はマイクロ波を受信する。ドップラ信号生成部(図示せず)は、放射したマイクロ波と受信したマイクロ波に基づいてドップラ信号を生成する。この状態で人がセンサに接近してくると、ドップラ信号の振幅が前記閾値B(泰一振幅閾値)より大きくなった時点で、ドップラ信号解析部(図示せず)は、サンプリングされたドップラ信号を解析して、人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離を逐次計算する。
【0078】
次に、ステップS53において、大便器110からの距離(a+e:本実施例では45cm)以内に人が接近したか否かが判断される。即ち、行動状態判定部(図示せず)は、計算された人の移動速度及びドップラ信号の振幅、累計移動距離と一期前の行動状態判断結果に基づいて、人が接近したか否かを判定する。行動状態判定部は、次の(a)(b)2つの条件が満たされれば、人が「接近1」と見なす。(a)一期前の行動状態判定が「人が不在」である。(b)累計移動距離が0より大きい。
【0079】
これら(a)(b)の2つの条件が満たされている場合には、処理はステップS54に進み、行動状態判定部は、人の行動状態が大便器から距離(a+e)以内に居るという「接近1」であると判定し、同時に温水洗浄便座115内部にある制御部を用いて、便ふた121の開閉駆動を行うモータを駆動させ、便ふた121を開とする。3つの条件が満たされていない場合には、ステップS52に戻り待機状態が持続される。
【0080】
さらに、ステップS55においては、大便器110に接近1した人が更に便器に接近したか否かが判断される。即ち、行動状態判定部は、次の(c)〜(e)の3つの条件が満たされているか否かで接近停止動作かを判断する。(c)一期前の行動状態判定が「接近(「0」)」である。(d)信号振幅が小さく静止状態と判定された信号になった。(e)現時点の位置から15cm以内の距離に信号振幅強度の閾値A2(第二振幅閾値)より大きな信号がある。
【0081】
これら(c)〜(e)の3つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部は、大便器近傍へ接近した人が大便器から15cm以内に接近して停止したとして判断を「接近2」とし、処理はステップS56に進む。一方、ステップS54において接近1状態が認識された後、所定時間経過しても、人が大便器から15cm以内に接近したと判定されない場合には、ステップS55またはステップ67に進む。
【0082】
ステップS56においては、人の行動状態は「接近2」であると認識される。さらに、ステップS57において、人が大便器の極近傍で動けば、ドップラ信号振幅強度の閾値A3より大きな信号となる。このことを使って行動状態判定部は、次の(f)(g)の2つの条件が満たされているか否かで「着座動作」かを判断する。(f)一期前の行動状態判定が「接近2」である。(g)現時点の位置から15cm以内の距離に信号振幅強度の閾値A3より大きな信号がある。
【0083】
これら(f)(g)の2つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部は、人が大便器着座しようとしているとして、ステップ58で判断を「着座動作」とし、ステップ59に進む。(f)(g)が満たされないときは、ステップ57またはステップ65に進む。
【0084】
次に、ステップS59において、人が大便器に着座したか否かが判断される。即ち、行動状態判定部は、次の(h)〜(j)の3つの条件が満たされているか否かを判断する。(h)一期前の人の状態行動判断が「着座動作(「3」)」である。(i)ドップラ信号の振幅強度が小さく、静止状態と判定できる。(j)静止した位置から10cm以内に振幅強度A3(第四振幅閾値)を超える信号がある。
【0085】
これら(h)〜(j)の3つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部は、ステップ60で人が「着座」したと判定し、処理はステップS60に進む。このステップS60では、判断として着座(「5」:第二接近停止検知信号)とする。同時に温水洗浄便座115内部にある制御部から信号を出し、局部洗浄ノズル(図示せず)を駆動するモータを動作させ、局部洗浄ノズルを収納部から少し前方に出し、洗浄水を流してノズルの清掃をある設定された時間実施し、洗浄水を止水し、洗浄ノズルを収納部に収納する。また、着座を検知した時点で、リモコン51の操作信号を局部洗浄機能部115内部の操作信号受信部(図示せず)がリモコン操作信号を受信し、その信号どおりに温水洗浄便座115内部にある制御部が機能するように制御部内のマイクロプロセッサを用いて実施する。一方、3つの条件が満たされていない場合には、ステップS58における判定が繰り返され、リモコン51の操作信号は局部洗浄機能部115では無視され、機能しないようにされか、ステップ63に進む。
【0086】
ステップS61において、人が便器から離れたか否かが判断される。即ち、行動状態判定部は、閾値D3を越えた振幅信号が得られると、次の(n)〜(p)の3つの条件が満たされているか否かを判断する。(n)一期前の人の状態行動判断が「着座」である。(o)静止状態から5cm以上移動した(p)現在の位置から10cm以内に振幅強度A3を超える信号がない。
【0087】
これら(n)〜(p)の3つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部は、人が離座した後、少し大便器から離れたと判定し、ステップ62で「離座」と判定し、処理はステップS63に進む。同時にリモコン51の操作信号を局部洗浄機能部115内部の操作信号受信部(図示せず)がリモコン操作信号を受信しても、その信号どおりに温水洗浄便座115内部にある制御部が機能するように制御部内のマイコンを用いて実施する。一方、3つの条件が満たされていない場合には、ステップS61における判定が繰り返され、リモコンの操作は機能する。
【0088】
ステップS63において、離座した人が更に大便器から離れようとしているかか否かが判断される。即ち、行動状態判定部は、次の(q)〜(s)の3つの条件が満たされているか否かを判断する。(n)一期前の人の状態行動判断が「離座」である。(o)静止状態から20cm以上移動した(p)現在の位置から10cm以内に振幅強度A2を超える信号がない。
【0089】
これら(q)〜(s)の3つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部は、ステップ64で人が少し大便器から離れたと判定し、「接近2」と判断する。処理はステップS65に進む。同時に、温水洗浄便座115内部にある制御部を用いて、洗浄水タンク112の電磁弁(図示せず)を制御して、洗浄水を流し、大便器110を洗浄するようにする。一方これら(q)〜(s)の3つの条件が満たされていないときは、ステップ63を繰り返すか、ステップ59に戻る。
【0090】
ステップS65において、既に「接近2」程度の距離に大便器から離れた人が更に便器から遠ざかり、「接近1」と同じ距離になったか否かが判断される。即ち、行動状態判定部は、次の(t)〜(v)の3つの条件が満たされているか否かを判断する。(t)一期前の人の状態行動判断が「接近2)」である。(u)ドップラ信号振幅強度が小さく静止と判定できる(v)現在の位置から15cm以内に振幅強度A2を超える信号がない。
【0091】
これら(t)〜(v)の3つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部は、人が便器に対して「接近1」と同じ距離居るとして、ステップ66で「接近1」と判定し、処理はステップS67に進む。同時に、温水洗浄便座115内部にある制御部を用いて、便ふた121の開閉駆動を行うモータを駆動させ、便ふた121を閉とする。一方、これら(t)〜(v)の3つの条件が満たされていないときは、ステップ63に戻る。
【0092】
ステップS67において、既に「接近1」程度の距離に大便器から離れた人が更に便器から遠ざかり、「退出」状態になったか否かが判断される。即ち、行動状態判定部は、次の(t)〜(v)の3つの条件が満たされているか否かを判断する。(t)一期前の人の状態行動判断が「接近1」である。(u)ドップラ信号振幅強度が小さく静止と判定できる(v)現在の位置から15cm以内に振幅強度A2を超える信号がない。
【0093】
これら(t)〜(v)の3つの条件が満たされている場合には、行動状態判定部は、人が「退出」したとして、ステップ68で「退出」と判定し、処理はステップS68に進む。ステップ68になれば、再びステップ51からのフローを繰り返す。一方、これら(t)〜(v)の3つの条件が満たされていないときはステップ53に戻る。
【0094】
次に、図12おおび図13を参照して、本発明の第二の実施形態に関わる小便器におけるドップラ信号解析部16、及び行動状態判定部18が実行する処理を説明する。本実施例はドップラセンサ信号の周波数解析を行わず、振幅強度と時間を使った行動判定で、これを行うには、まず、ステップ101で検知を開始すると、ステップ103でセンサの信号振幅が人の接近を示す予め設定している第一振幅閾値である検知開始信号振幅より大きいかどうかを判断する。ここで信号振幅が検知開始信号振幅より小さいときはステップ102に戻り、信号振幅が検知開始信号振幅より大きいとき、人が接近したと判断し、ステップ104に進む。
【0095】
ステップ104では、人がセンサ(便器)に接近していると判断し、判断を「0」から、判断「1」に変える。この判断の変更の様子は図13の事例に示すようになる。人の接近を検知したら、ステップ105に進む。
【0096】
ステップ105ではセンサが人を検知した時刻を基準に、予め設定した振幅算出間隔(本実施例では700msec)以内で最も信号振幅が小さい値を基準信号振幅として算出し、振幅算出間隔内で人が静止するまでの区間で信号振幅の最大値を第一振幅値として、また第一振幅値の前後で第一振幅値に次ぐ、第二の大きさの信号振幅を第二振幅値として算出する。
【0097】
ステップ106では、後述する手段で予め設定している第三振幅値より大きな信号振幅となった後で、かつ検知開始信号振幅より小さな信号振幅が予め設定した閾時間以上継続したかを判断し、継続したときはステップ108に進み、ステップ108では人がセンサ前で静止状態かセンサ前から居なくなったと判断する。もし継続時間が短ければステップ107に進む。
【0098】
ステップ107では、センサが検知を開始してから、振幅算出時間以上経過したかを判断し、時間が経過していないときは、センサまでの途中で止まったものと判断し、ステップ105に戻る。時間が経過しているときは、人がセンサの前から居なくなったものと判断し、判断「0」として、ステップ115に進む。
【0099】
ステップ108では人の判断が2通りのままであるが、ステップ109で第四信号振幅(第二振幅閾値)より大きな信号振幅値となった最新の時刻を基準に予め設定した立ち去り時間を使って、ステップ108に進んだ時刻から第四信号振幅より大きな信号振幅値となった最新の時刻の差の時間が立ち去り時間以上か、未満かを判断する。時間が立ち去り時間未満のときは、ステップ110に進み、人がセンサ前で静止しているとして判断を判断「1」から判断「2」に変える。もし、時間が立ち去り時間以上であれば、人はセンサ前から居なくなったとして判断「0」とし、ステップ115に進む。
【0100】
ステップ111では、信号振幅が第四振幅値の予め設定した100%を超えない割合(本実施例では80%)である第三振幅閾値以上であれば、体を含む大きな物体が移動したと判断し、ステップ112に進み、判断を判断「2」から判断「1」の移動判断とする。
【0101】
ステップ113では、信号振幅値が検知開始信号振幅より小さい時間が、予め設定した閾時間以上継続すれば、ステップ114に進み、継続が短ければステップ112に戻る。
【0102】
ステップ114では第四信号振幅より大きな信号振幅値となった最新の時刻の差の時間が立ち去り時間以上かを判断し、立ち去り時間以上であれば、ステップ115に進み、判断を不在「0」とする。もし、立ち去り時間未満であればステップ112に戻り、人が移動の途中で少し止まっただけと判断する。
【0103】
ステップ116では、第一振幅値と第三振幅値を比較し、小さい方を新しい第三振幅値とし、第二振幅値と第四振幅値を比較し、小さい方を新しい第四振幅値とする。このようにすることにより、便器の設置環境に応じた閾値の更新が可能となる。
【0104】
さらに、上述した実施形態においては、検知対象物に向けて放射する伝播波としてマイクロ波を使用していたが、マイクロ波以外の電磁波、レーザ光、超音波等、ドップラー効果を利用した計測が可能な任意の伝播波を使用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 本発明の実施形態による小便器
2 小便器本体
2a ボウル部
2b 吐水口
2c 排水口
4 人体検知装置
6 電磁弁
8 電磁弁制御部
10 マイクロ波発信部(伝播波発信部)
12 マイクロ波受信部(伝播波受信部)
14 ドップラ信号生成部
16 ドップラ信号解析部
18 行動状態判定部
51 リモコン
52 リモコン送信部
110 大便器
112 洗浄タンク
113 排水レバー
114 手洗い吐水口
115 温水洗浄便座
120 便ふた
200 人体検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体によって反射された伝播波のドップラ信号を利用した人体検知装置であって、
人体に向けて伝播波を放射する伝播波発信部と、
人体によって反射された伝播波を受信する伝播波受信部と、
上記伝播波発信部によって放射された伝播波及び上記伝播波受信部によって受信された伝播波に基づいてドップラ信号を生成するドップラ信号生成部と、
このドップラ信号生成部によって生成されたドップラ信号を解析してドップラ信号の振幅を算出するドップラ信号解析部と、
上記ドップラ信号の振幅が所定の第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点よりも所定期間前の上記ドップラ信号の振幅に基いて人体までの距離を推定し、その推定結果に基いて人体の行動状態を判定する行動状態判定部と、
を有することを特徴とする人体検知装置。
【請求項2】
上記行動状態判定部は、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回ると、その時点よりも所定時間だけ前の範囲にて、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値よりも大きな第二振幅閾値を上回っていると、人体の接近静止と判断して接近停止検知信号を出力することを特徴とする請求項1記載の人体検知装置。
【請求項3】
上記行動状態判定部は、上記接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が、上記第一振幅閾値よりも大きく上記第二振幅閾値よりも小さい第三振幅閾値を上回ると、その継続時間を計時し、その計時時間が所定の時間閾値を越えると人体の離隔と判断して上記接近停止検知信号の出力を停止することを特徴とする請求項2記載の人体検知装置。
【請求項4】
上記ドップラ信号解析部は、上記ドップラ信号生成部によって生成されたドップラ信号を解析してドップラ信号の振幅と周波数とを算出し、その振幅が所定の第一振幅閾値を上回ると、その時のドップラ信号の周波数に基いて上記人体の移動速度を算出すると共に、その算出された移動速度と上記第一振幅閾値を上回ってからの時間に基いて上記人体の累積移動距離を算出する累積移動距離を算出し、
上記行動状態判定部は、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回った後に上記第一振幅閾値を下回った時点で、その時点の累積移動距離より所定の距離閾値だけ前の範囲内において、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値よりも大きな第二振幅閾値を上回っていると、人体の接近静止と判断して接近停止検知信号を出力することを特徴とする請求項1記載の人体検知装置。
【請求項5】
上記行動状態判定部は、上記接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が、上記第一振幅閾値よりも大きく上記第二振幅閾値よりも小さい第三振幅閾値を上回ると、上記人体の累積移動距離の算出を開始し、その累積移動距離が所定の距離閾値を越えると人体の離隔と判断して上記接近停止検知信号の出力を停止することを特徴とする請求項4記載の人体検知装置。
【請求項6】
上記行動状態判定部は、上記接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が上記第一振幅閾値を上回ると、上記人体の累積移動距離の算出を開始し、その後に上記第一振幅閾値を下回った時点で、その時点の累積移動距離より所定の距離閾値だけ前の範囲内において、上記ドップラ信号の振幅が上記第二振幅閾値よりも大きな第四振幅閾値を上回っていると、人体の接近静止と判断して第二接近停止検知信号を出力することを特徴とする請求項4記載の人体検知装置。
【請求項7】
上記行動状態判定部は、上記第二接近停止信号を出力した後に、上記ドップラ信号の振幅が、上記第一振幅閾値よりも大きく上記第四振幅閾値よりも小さい第五振幅閾値を上回ると、上記人体の累積移動距離の算出を開始し、その累積移動距離が所定の距離閾値を越えると人体の離隔と判断して上記第二接近停止検知信号の出力を停止すると共に上記接近停止検出信号を出力し、その後に累積移動距離が上記距離閾値よりも大きい第二距離閾値を越えると上記接近停止信号の出力を停止することを特徴とする請求項6記載の人体検知装置。

【図1】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−102783(P2011−102783A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258530(P2009−258530)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】