説明

人体装着具

【課題】着用者の体型に合うよう最適な装着状態一度決めれば、その後再び装着する際に着用者の体型に合う最適な状態で容易に装着することができる人体装着具を提供する。
【解決手段】本発明の人体装着具10は、人体装着具本体1と、人体装着具本体1に設けられた止着部2と、一方面が止着部2に着脱可能に固定された位置決めシート片3とを有する人体装着具であって、位置決めシート片3の他方面には記位置決めシート片3を人体装着具本体1に留めるための固定手段4が備えられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の体型(大きさや形状等)に合わせて装着され且つ繰り返し着脱される人体装着具に関するものであり、人体の上半身に着用するジャケット等の衣類や姿勢矯正具;人体の下半身に着用するズボン、スカート、使い捨ておむつ、使い捨てパンツ、おむつカバー;手袋;帽子;患部保護具等の人体装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、おむつカバー、姿勢矯正具、患部保護具などの人体装着具は、通常、着用者の体型(大きさや形状等)に合わせて装着され、その後、繰り返し着脱されることがある。例えば、介護用の使い捨ておむつは、使い捨ておむつの内側に補助パッド(尿パッド)を装着して使用し、補助パッドのみを交換して再び装着することにより一定期間(半日〜3日程度)使用し続ける場合がある。
【0003】
従来から、フック部材とループ部材との係合により繰り返し着脱が可能なフック・ループ・ファスナー(いわゆる面ファスナー)を備えた使い捨ておむつが知られており、このような使い捨ておむつの着脱にはフック・ループ・ファスナーが利用されている。例えば、特許文献1には、雄部材(フック部材)を有する止着テープが、該雄部材がトップシートに面するようにトップシート上に折り返され、折り返された止着テープの雄部材の位置する部分が局部的に押圧されることにより雄部材がトップシート(ループ部材)に仮留めされている使い捨ておむつが記載されている。また、特許文献2には、基材シートの一方端に形成された折返し片に雄部材(フック部材)が取り付けられ、前記基材シートが雄部材と係合可能な不織布(ループ部材)を有する使い捨ておむつ用の止着テープが記載されている。面ファスナーを備えたこれら使い捨ておむつにおいては、通常、前腹部の外装側にループ部材が設けられたり、前腹部の外装側のほぼ全面がループ部材として機能する不織布で構成され、後背部の両側端にはフック部材が設けられた止着テープが取り付けられ、使い捨ておむつは、止着テープが設けられたフック部材を広域にわたるループ部材上で着用者の体型に合うように位置決めすることにより装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−87308号公報
【特許文献2】特開2002−45214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の面ファスナーを備えた使い捨ておむつでは、介護者が着用者の体型に合うようにフック部材を正確に位置決めして装着しても、フック部材を一度取り外してしまうと、再度この使い捨ておむつを着用者に装着する時に改めて位置決めし直す必要があった。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用者の体型に合うよう最適な装着状態を一度決めれば、その後再び装着する際に着用者の体型に合う最適な状態で容易に装着することができる人体装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し得た本発明の人体装着具は、人体装着具本体と、前記人体装着具本体に設けられた止着部と、一方面が前記止着部に着脱可能に固定された位置決めシート片とを有する人体装着具であって、前記位置決めシート片の他方面には前記位置決めシート片を前記人体装着具本体に留めるための固定手段が備えられていることを特徴とするものである。本発明では、人体装着具を着用者に初めに装着する際に、位置決めシート片を着用者の体型に合うよう最適な位置に位置決めして人体装着具本体に固定する。そして、着用者への装着を一旦解除するために位置決めシート片と止着部を剥離すれば、位置決めシート片は人体装着具本体に固定されたままになる。従って、その後人体装着具を着用者に再び装着しようとする際に止着部を位置決めシート片に再び固定することで元の装着状態を容易に再現できる。
【0008】
本発明の人体装着具においては、前記位置決めシート片の一方面にループ部材が設けられ、前記止着部にフック部材が設けられている、または、前記位置決めシート片の一方面にフック部材が設けられ、前記止着部にループ部材が設けられている態様が好ましい。これにより、位置決めシート片の一方面と止着部とがフック・ループ・ファスナー(いわゆる面ファスナー)のフック部材とループ部材で固定され、止着部と位置決めシート片との着脱を多数回繰り返しても固定力を維持しやすくなる。
【0009】
本発明の人体装着具においては、前記固定手段が接着剤層である態様が好ましい。位置決めシート片を人体装着具本体に留めるための固定手段が接着剤層であれば、簡単に位置決めシート片を人体装着具本体に固定することができる。
【0010】
本発明の人体装着具においては、前記止着部に摘み部が連設されている態様が好ましい。止着部に摘み部が連設されていることにより、この摘み部を持って止着部を位置決めシート片に対して容易に着脱することができる。
【0011】
本発明の人体装着具においては、前記止着部および/または前記位置決めシート片が複数設けられている態様が好ましい。これにより、止着部と位置決めシートを複数箇所で確実に留めて人体装着具を装着することができ、着用者の体型に合わせて人体装着具をフィットさせやすくなる。なお、止着部の数と位置決めシート片の数は同じであってもよいし異なっていてもよく、例えば、一の止着部に対して複数の位置決めシート片が固定されているような態様や、一の位置決めシート片に対して複数の止着部が固定されているような態様であってもよい。
【0012】
本発明の人体装着具においては、前記位置決めシート片は前記止着部の面積よりも大きい態様が好ましい。これにより、人体装着具の装着を一旦解除した後、再び装着するべく止着部を位置決めシート片に接合する際に、位置決めシート片に止着部を重ねる位置がずれて止着部の一部分しか接合されていない状態になるのを防止しやすくなる。なぜなら、大きな領域の位置決めシート片に小さな領域の止着部を重ねることになるからである。
【0013】
本発明の人体装着具においては、前記位置決めシート片の前記一方面には前記止着部の着脱位置を示す印が設けられている態様が好ましい。これにより、人体装着具の装着を一旦外した後、再び装着するべく人体装着具本体に固定した位置決めシート片に止着部を接合させる際に、位置決めシート片に設けられた印を目安に止着部を重ねることができるようになる。従って、止着部を重ねる位置がずれて位置決めシート片に対して止着部の一部分しか接合しない状態になるのを防ぐことができる。
【0014】
本発明の人体装着具は、使い捨ておむつとして用いられるほか、おむつカバー、姿勢矯正具、患部保護具として用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の人体装着具によれば、着用者の体型に合うよう一旦位置決めシート片を適切に位置決めすれば、その後再び装着する際に着用者の体型に合う最適な状態で容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の人体装着具の装着前の状態を説明するための模式断面図である。
【図2】本発明の人体装着具の装着時の状態を説明するための模式断面図である。
【図3】本発明の人体装着具を一旦装着した後に取り外したときの状態を説明するための模式断面図である。
【図4】本発明の人体装着具の一例である使い捨ておむつの一実施形態を示す概略図である。
【図5】図4に示す使い捨ておむつのV−V線の断面模式図である。
【図6】本発明の人体装着具である姿勢矯正具の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の人体装着具は、人体に装着する物品であり、着用者の体型(大きさや形状等)に合わせて装着され且つ繰り返し着脱される用途において好適に用いられる。人体装着具としては、人体の上半身に着用するジャケット等の衣類や姿勢矯正具、人体の下半身に着用するズボンやスカートやおむつカバー、また手袋、帽子等が挙げられる。人体装着具は使い捨て物品にも適用でき、使い捨ておむつや使い捨てパンツ、患部保護具等にも適用できる。
【0018】
本発明の人体装着具は人体装着具本体と位置決めシート片を有し、人体装着具本体により人体の一部を覆い、人体の一部を覆うことにより重なり合った人体装着具本体の一部と他部とを位置決めシート片により連結して、装着することができる。
【0019】
以下、図1〜図3を用いて本発明の人体装着具について説明する。なお、本発明の人体装着具は、下記実施態様に限定されるものではない。図1は、装着前の人体装着具の状態を説明するための模式断面図であり、図2は、装着時の人体装着具の状態を説明するための模式断面図であり、図3は、一旦装着した後に取り外したときの人体装着具の状態を説明するための模式断面図である。
【0020】
本発明の人体装着具10は、図1に示すように、人体装着具本体1(部位1a、部位1bを含む)と、人体装着具本体1の部位1aに設けられた止着部2と、一方面が止着部2に着脱可能に固定された位置決めシート片3とを有し、位置決めシート片3の他方面には位置決めシート片3を人体装着具本体1の部位1bに留めるための固定手段4を備えたものである。すなわち人体装着具10は、止着部2を有する人体装着具本体1と、一方面と他方面を有する位置決めシート片3を有し、位置決めシート片3の一方面は止着部2に着脱可能に固定され、位置決めシート片3の他方面には、位置決めシート片3を人体装着具本体1に留めるための固定手段4が備えられている。
【0021】
人体装着具本体1は、1つの部材から構成されていてもよく、複数の部材から構成されていてもよい。例えば、人体装着具本体1は、複数の部材が連結して構成されていてもよい。
【0022】
人体装着具本体1は止着部2を有し、止着部2に位置決めシート片3が着脱可能に固定される。本発明において止着部2とは、人体装着具本体1のうち位置決めシート片3が着脱可能に固定される領域を意味する。
【0023】
位置決めシート片3を止着部2に着脱可能に固定するための部材としては、例えば図1に示す実施形態の人体装着具10では、フック・ループ・ファスナー(いわゆる面ファスナー)が採用されている。すなわち、図1においては、止着部2にフック部材6が設けられ、位置決めシート片3にはループ部材5が設けられ、装着前の人体装着具10においては、これらフック部材6とループ部材5とが係合している。
【0024】
本発明において、位置決めシート片3はシート状であり、止着部2に着脱可能に固定するための部材と人体装着具本体1の部位1bに留めるための固定手段4とを包含するものである。例えば、図1に示す実施形態では、止着部2に着脱可能に固定するための部材としてはループ部材5が相当する。人体装着具本体1の部位1bに留めるための固定手段4としては例えば、接着剤層が相当する。このループ部材5から接着剤層までを本発明では位置決めシート片3と呼ぶ。
【0025】
例えば、止着部2に着脱可能に固定するための部材または固定手段4のいずれかにループ部材の機能を持たせる場合、該ループ部材として不織布を利用することができる。また、例えば止着部2にループ部材の機能を持たせる場合は、部位1aにおける人体装着具本体1として不織布を用いてもよい。さらに、例えば止着部2にフック部材を設けてもよく、この場合、接着剤層などの固定手段4を設けた不織布を位置決めシート片3として用いることができる。このとき、位置決めシート片3は、固定手段4を設けた側の面が人体装着具本体1の部位1bに固定され、他方の面がループ部材として機能し止着部2のフック部材と係合する。さらに、止着部2と人体装着具本体1の部位1bの両方にフック部材を設けてもよく、この場合、不織布をそのまま位置決めシート片3として用いることもできる。
【0026】
本発明の人体装着具10は、図1〜図3に示すように、人体装着具本体1の2箇所の部位1a、1bを止着することにより着用者に装着され、その後、部位1a、1bの止着を解除することにより着用者から取り外されるものである。各状態における位置決めシート片3の動きは次の通りである。すなわち、人体装着具本体1の部位1a、1bを止着する前(装着前)は、図1に示すように、位置決めシート片3は部位1aの止着部2に固定され、部位1bには留められていない状態にある。人体装着具本体1の部位1a、1bを止着するには、位置決めシート片3と止着部2とが固定されている状態のまま位置決めシート片3を部位1b上に配置して、固定手段4により部位1bに固定する。装着時には、図2に示すように位置決めシート片3は部位1bに移動した状態となる。その後、人体装着具10を取り外すには、位置決めシート片3から止着部2を剥離すればよく、その結果、位置決めシート片3は、図3に示すように部位1bに残ったままの状態となる。このように位置決めシート片3が人体装着具本体1の部位1bに残ったままであると、人体装着具10を再装着する際、位置決めシート片3をターゲットにしながら止着部2を位置決めシート片3に再び固定することで元の最適な装着状態を容易に再現できる。
【0027】
本発明において、止着部2は、人体装着具本体1のうち、人体装着具10を着用者に装着するに当たり、互いに重ねて留めなければならない部位1a、1bの一方に設けられる。特に、装着時、重なり合った部位1a、1bのうち着用者の体から遠い方(外方)にある部位に止着部2を設けることが、人体装着具10を着用者の体型に合うよう締め付けながら、位置決めシート片3を取り付ける位置を決めやすくなるという点で好ましい。従って、止着部2は、人体装着具本体1の内側(着用者側)に設けられることが好ましい。
【0028】
本発明においては、位置決めシート片3の一方面にループ部材5が設けられ、止着部2にフック部材6が設けられていることが好ましい。また、図面には示されていないが、位置決めシート片3の一方面にフック部材が設けられ、止着部2にループ部材が設けられていることも好ましい。その結果、位置決めシート片3と止着部2とがフック部材とループ部材とで係合されることとなる。つまり、位置決めシート片3を着脱可能に固定する部材として、上述したようにフック・ループ・ファスナーを採用した態様が好ましい。止着部2と位置決めシート片3とがフック・ループ・ファスナーで固定されていると、止着部2と位置決めシート片3との着脱を多数回繰り返しても固定力を維持しやすくなる。
【0029】
なお、止着部2と位置決めシート片3とを着脱可能に固定するための部材としては、フック・ループ・ファスナーに限定されるものではなく、例えば仮止め用テープや貼付・剥離が自在なテープ等として利用されている低粘着性の粘着剤など、着脱可能な手段であれば特に制限なく採用することができる。このような粘着剤を採用する場合には、少なくとも止着部2と位置決めシート片3のいずれか一方に粘着剤からなる層(粘着剤層)が形成されていればよい。このとき、止着部2と位置決めシート片3とが着脱可能となるために、止着部2と位置決めシート片3の粘着剤層が設けられない一方は、プラスチックフィルムが設けられる、あるいはプラスチックフィルムから構成されることが好ましい。
【0030】
フック部材6およびループ部材5は、基材に多数のフックが形成された公知のフック部材(雄部材)および基材に多数のループが形成された公知のループ部材(雌部材)を用いて、それぞれ形成できる。フック部材およびループ部材における基材の材質は、人体装着具の種類や目的等を勘案して適宜選択すればよく特に制限されないが、例えば、人体装着具が使い捨ておむつである場合には、各種不織布やポリオレフィン等の合成樹脂等が挙げられ、中でも人体に装着したときの蒸れを防止する上では、不織布もしくは複数の孔を設けた合成樹脂フィルムが好ましい。例えば、止着部2に設けるフック部材またはループ部材は、フック部材またはループ部材をホットメルト接着剤やヒートシール等により人体装着具本体1の止着部2の一部または全面に貼付けることで形成できる。
【0031】
止着部2には、摘み部が連設されていることが好ましい。すなわち、止着部2は、止着部2の縁の少なくとも一部が人体装着具本体1の縁から内方に位置するように設けられることが好ましく、その結果、人体装着具本体1の縁から止着部2の間の部分に摘み部が形成される。止着部2に摘み部が連設されていることにより、この摘み部を持って止着部2を位置決めシート片3に対して容易に着脱することができる。例えば、後述する図4中符号7で示す部分が摘み部である。止着部2および摘み部の材質は、人体装着具の種類や目的等を勘案して適宜選択すればよく特に制限されないが、例えば、人体装着具が使い捨ておむつである場合には、各種不織布やポリオレフィン等の合成樹脂等が挙げられ、中でも人体に装着したときの蒸れを防止する上では、不織布もしくは複数の孔を設けた合成樹脂フィルムが好ましい。
【0032】
位置決めシート片3は、上述したように、一方面に止着部2に着脱可能に固定するための部材(図1に示す実施形態においてはループ部材5)を備えるとともに、他方面に位置決めシート片3を人体装着具本体1の部位1bに留めるための固定手段4を備えている。位置決めシート片3を人体装着具本体1に留めるための固定手段4は、図1に示す実施形態においては接着剤層である。このように固定手段4が接着剤層であると、簡単かつ確実に位置決めシート片3を固定することができるので好ましい。また、固定手段4は、位置決めした後、押圧するなどの簡単な操作で固定できるものであればよく、着脱を可能にするものである必要はないが、例えば人体装着具本体1にループ部材またはフック部材を設け、フック部材またはループ部材を固定手段4としてもよい。固定手段4は、上述した接着剤層、ループ部材またはフック部材に限定されるものではなく、公知の他の固定手段を採用することができる。なお、固定手段4が接着剤層である場合には、固定手段(接着剤層)4を覆うように離型紙等(図1においては図示せず)を配置して、使用時まで接着剤層4を保護しておくことが好ましい。
【0033】
位置決めシート片3は止着部2の面積よりも大きいことが好ましい。これにより、人体装着具10の装着を一旦外した後、再び装着するべく人体装着具本体1の部位1bに固定した位置決めシート片3に止着部2を接合する際に、大きな領域の位置決めシート片3に小さな領域の止着部2を重ねることになる。従って、止着部2を位置決めシート片3に重ねた際、止着部2を重ねる位置がずれて位置決めシート片3に対して止着部2の一部分しか接合していない状態になるのを防ぐことができる。
【0034】
位置決めシート片3の一方面、すなわち止着部2に着脱可能に固定される側の面には、止着部2の着脱位置を示す印が設けられていることが好ましい。これにより、人体装着具10の装着を一旦外した後、再び装着するべく位置決めシート片3に止着部2を接合させる際に、位置決めシート片3に設けられた印を目安に止着部2を重ねることができるようになる。従って、止着部2を重ねる位置がずれて位置決めシート片3に対して止着部2の一部分しか接合しない状態になるのを防ぐことができる。なお、止着部の着脱位置を示す印は特に限定されるものではなく、例えば印刷されたものでもよいし、位置決めシート片3に糸を縫込んだものでもよい。
【0035】
止着部2および/または位置決めシート片3は複数設けられていることが好ましい。これにより、止着部2と位置決めシート片3を複数箇所で確実に留めて人体装着具10を装着することができ、より高いフィット性で着用者の体型に合わせることが可能になる。なお、止着部2の数と位置決めシート片3の数は同じであってもよいし異なっていてもよく、例えば、一の止着部2に対して複数の位置決めシート片3が固定されているような態様や、一の位置決めシート片3に対して複数の止着部2が固定されているような態様であってもよい。
【0036】
本発明の人体装着具は、着用者の体型(大きさや形状等)に合わせて装着され且つ繰り返し着脱される用途において好適に用いられるものであり、具体的には、使い捨ておむつ、おむつカバー、姿勢矯正具または患部保護具として用いられることが好ましい。
【0037】
次に、図4、図5を用いて、本発明の人体装着具の好ましい態様について使い捨ておむつを例に挙げて説明する。図4は、本発明の人体装着具の一例である使い捨ておむつの一実施形態を示す概略図であり、図5は、図4に示す使い捨ておむつのV−V線の断面模式図である。
【0038】
図4および図5において、使い捨ておむつ20は、液透過性のトップシート11および液不透過性のバックシート12が積層されてなるおむつ本体13(人体装着具本体1の部位1bに相当)と、おむつ本体13を装着するための止着基材シート14(人体装着具本体1の部位1aに相当)とを有している。おむつ本体13は、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とに分けられ、股部にはトップシート11とバックシート12との間に挟まれた吸収性コア(図示せず)が配設されている。止着基材シート14は、おむつ本体13の後背部の両側端部においてトップシート11とバックシート12との間に挟持されている。なお、前腹部とは装着する際に着用者の腹側に当てる部分を意味し、後背部とは装着する際に着用者の尻側に当てる部分を意味し、股部とは前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を意味する。
【0039】
使い捨ておむつ20では、止着基材シート14とおむつ本体13とが連結して人体装着具本体が構成されている。使い捨ておむつ20は、止着基材シート14(一部が人体装着具本体1の部位1aに相当)をおむつ本体13の前腹部の中央部(人体装着具本体1の部位1bに相当)に止着することにより、着用者に装着するものである。この止着を可能にするために、止着基材シート14は、上述した止着部2および位置決めシート片3と、さらに固定手段4である接着剤層を有し、その上で、接着剤層を保護するために離型紙8を設けている。
【0040】
図4においては、図面の右側の後背部側端部に装着前の止着部2および位置決めシート片3の状態を示し、一方、図面の左側の後背部側端部に装着時の止着部2および位置決めシート片3の状態を示している。
【0041】
まず、図4の右側の側端部に示した装着前の状態について説明する。図4および図5に示すように後背部右側の止着基材シート14は折り返されており、その折り返し部分に2つの止着部2が形成されている。止着部2の裏側(折り返し部分の内側)には、その最先端部分を除いてフック部材6が設けられており、フック部材6が設けられていない最先端部分が摘み部7となる。その結果、摘み部7が止着部2に連設されることとなる。フック部材6は位置決めシート片3の一方面に設けられたループ部材5と係合しており、位置決めシート片3の他方面には接着剤層(固定手段)4が設けられている。そして、接着剤層4は、止着基材シート14に接着剤等で貼り付けられた離型紙8によって保護されている。このように装着前の使い捨ておむつ20においては、止着部2および位置決めシート片3は、折り返された止着基材シート14に挟まれた状態になっている。
【0042】
装着前に上述した状態である使い捨ておむつ20を着用者に装着するには、接着剤層4を離型紙8から剥離して位置決めシート片3をおむつ本体13の前腹部の中央部(人体装着具本体1の部位1bに相当)に移動させ、着用者の体型に合うように位置決めし、接着剤層4をバックシート12側に押圧すればよい。そうすると、位置決めシート片3は前腹部の中央部に固定され、図4の左側の側端部に示した装着時の状態になる。すなわち、装着時の使い捨ておむつ20においては、おむつ本体13の部位1bのバックシート12上に位置決めシート片3の接着剤層4が固定され、位置決めシート片3のループ部材5と止着部2のフック部材6とが係合することにより、止着基材シート14(人体装着具本体1の部位1aに相当)とおむつ本体13(人体装着具本体1の部位1bに相当)とが着用者の体型に合う最適な状態で止着された状態となる。
【0043】
このようにして装着された使い捨ておむつ20を取り外す際には、止着部2のフック部材6を位置決めシート片3のループ部材5から剥離すればよく、その後再び装着する際には、おむつ本体13に固定された位置決めシート片3のループ部材5上に止着部2のフック部材6を重ね合わせて両者を係合させればよい。これにより、着用者の体型に合う最適な状態で容易に再装着することができる。
【0044】
因みに、特許文献1、2に記載されるような従来の使い捨ておむつでは、様々な着用者に対してのフィット性を高めるためにフック部材の位置決めを行う際の選択範囲を確保する必要があり、ループ部材が使い捨ておむつの前腹部に過剰に広範囲に設けられていた。しかし、図4および図5に示すように位置決めシート片3を有する使い捨ておむつ20においては、従来使い捨ておむつに設けられていたループ部材を位置決めシート片3に代用でき、位置決めシート片3の面積を過剰に大きくしなくてすむため、材料コストを抑制しやすい。
【0045】
トップシート11は、装着時に着用者の肌側(内側)に位置するシートであり、液透過性のシート材料で形成されている。トップシート11としては、例えば、セルロース、レーヨン等の親水性繊維から形成された不織布;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布であって、当該疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの;等が用いられる。また、トップシート11として、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
【0046】
バックシート12は、装着時に着用者の肌側とは反対の側(外側)に位置するシートであり、液不透過性のシート材料で形成されている。バックシート12としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布;プラスチックフィルム;等が用いられる。また、バックシート12として、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。なお、本発明において、不透過性とは、撥水性の意味も含むものとする。
【0047】
なお、人体装着具本体1の部位1bにループ部材を設け、フック部材を固定手段4とする場合には、部位1bをバックシート12で構成し、バックシート12としてループ部材として機能しうる不織布を用いることも一つの実施態様である。この場合、バックシート12に用いる不織布は、対応させるフック部に係合しやすいものであることが好ましく、例えば、目付けは5〜50g/m2であることが好ましく、10〜30g/m2であることがより好ましい。
【0048】
トップシート11とバックシート12の間に配設される吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できるものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパー)や液透過性不織布シート等で覆ったものを用いたりすればよい。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、粉砕したパルプ繊維、セルロース繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。吸収性材料としては、少なくとも吸水性樹脂を含んでいることが好ましい。また、吸収性材料として、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いてもよい。吸収性コアの形状は、特に限定されず、例えば、長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等の形状が挙げられる。
【0049】
吸収性コアとトップシート11との間、吸収性コアとバックシート12との間は、例えば接着剤(特にホットメルト接着剤)により部分的もしくは全面的に接合されていることが好ましい。
【0050】
止着基材シート14としては、例えば、セルロース、レーヨン等の親水性繊維や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布シートを用いることが、装着時に蒸れが生じない程度の通気性を保持させるうえで好ましい。
【0051】
トップシート11とバックシート12との間に挟持された止着基材シート14は、例えば、ヒートシールや接着剤(特にホットメルト接着剤)により接合されている。なお、図4および図5においては、止着基材シート14は、トップシート11とバックシート12との間に挟持された状態で接合されているが、例えばトップシート11とバックシート12のいずれか一方に接合されていてもよい。
【0052】
なお、図4には図示しないが、使い捨ておむつ20には、腰周り部や脚周り部に弾性部材を配設することができる。弾性部材としては、ウレタンフィルム、ウレタン糸、ウレタンフォーム、糸ゴムなど、通常の使い捨ておむつに使用される伸縮弾性体を使用することができる。これらの伸縮弾性体は伸張状態で配置され、ホットメルト接着剤、澱粉系またはカルボキシメチルセルロースなどの水溶性の糊または流動性の高い接着剤、もしくは熱や超音波によって接着固定されてもよいし、縫製により固定されてもよい。
【0053】
また、図4には図示しないが、使い捨ておむつ20には、尿漏れ等を確実に防止するため、通常の使い捨ておむつに設けられる各種フラップを配設することができる。例えば、トップシート等に固定される固定部と該固定部から上方に延在する起立部とを有するフラップを、吸収性コアの幅方向両側縁部において長手方向に延在するように設ければよい。なお、かかるフラップの起立部において長手方向に延在するように弾性部材を配設してもよい。
【0054】
次に、図6を用いて、本発明の人体装着具の他の好ましい実施態様について姿勢矯正具を例に挙げて説明する。図6は、本発明の人体装着具の一例である姿勢矯正具の一実施形態を示す概略図である。図6は、姿勢矯正具を展開し内側(着用者に接する側)から見たときの概略図である。
【0055】
図6において、姿勢矯正具30は、背当て部21と、背当て部21の両側に連設された前合せ部22(左前合せ部22aと右前合せ部22bを含む)と、背当て部21と前合わせ部22とを繋ぐ肩部23とを有する矯正具本体29を含む。姿勢矯正具30において、矯正具本体29の一部が人体装着具本体1の部位1bに相当する。姿勢矯正具30は、背当て部21と前合せ部22と肩部23により形成される2つの開口部24に着用者の両腕を通し、左右の前合わせ部22a、22bを重ね合わせて留めることにより装着される。そして、この姿勢矯正具30には、左前合わせ部22aから肩部23に沿って背当て部21の下端まで左伸縮帯片25aが配置され、右前合わせ部22bから肩部23に沿って背当て部21の下端まで右伸縮帯片25bが配置され、これら左右の伸縮帯片25a、25bが背当て部21において互いに交差している。姿勢矯正具30は、このように左右の伸縮帯片25a、25bが設けられていることにより、着用者の背中を伸ばす姿勢矯正機能を発揮する。
【0056】
姿勢矯正具30は、さらに、左前合せ部22aの側端部に連設された止着基材シート26を有し、止着基材シート26の一部が人体装着具本体1の部位1aに相当する。図6に示す姿勢矯正具30は、止着基材シート26を右前合わせ部22bの下部に止着することにより、着用者に装着するものである。また、図6には示されていないが、止着基材シート26を右前合せ部22bの側端部に連設してもよく、この場合、止着基材シート26を左前合せ部22aに止着することにより姿勢矯正具30を装着することができる。この止着を可能にするために、姿勢矯正具30における止着基材シート26は、止着部2および位置決めシート片3を有している。そして、止着部2にはフック部材が設けられ、位置決めシート片3の一方面にはループ部材が止着部2のフック部材に面するように設けられている。さらに、この実施形態においては、フック・ループ・ファスナーを固定手段として用いている。すなわち、右前合わせ部22bの下部(人体装着具本体1の部位1bに相当)にループ部材27が設けられるとともに、位置決めシート片3の他方面には、前記固定手段としてフック部材28が設けられている。従って、位置決めシート片3の一方面には止着部2と着脱可能に接合されたループ部材が設けられ、他方面にはループ部材27と係合可能なフック部材28が設けられている。このとき、ループ部材27とフック部材28との係合力が、止着部2のフック部材と位置決めシート片3の一方面に設けられたループ部材との係合力よりも大きくなることが望ましい。
【0057】
このような姿勢矯正具30を着用者に装着するには、止着基材シート26を右前合わせ部22bの下部に移動させ、着用者の体型に合うように位置決めし、止着基材シート26のフック部材28を右前合せ部22bの下部に設けられたループ部材27に係合させればよい。そして、装着を取り外すときには止着部2のフック部材と位置決めシート片3の一方側に設けられたループ部材を分離する。再度装着する際には、止着部2のフック部材と位置決めシート片3の一方側に設けられたループ部材とを係合させればよい。
【0058】
姿勢矯正具30を構成する前合わせ部22、肩部23等の構成部材には、薄地で柔らかい伸縮性のある繊維素材、例えばメッシュ地を使用するのが好ましい。一方、背当て部21および伸縮帯片25には、例えば、強力な伸縮力のある織布が好ましく用いられ、具体的には、ナイロン糸と合成ゴム糸の混紡糸とから織った布などが利用できる。なお、伸縮帯片25は、例えば、適度に伸長した状態で、前合わせ部22、肩部23、背当て部21にそれぞれ直接縫い付けて固定すればよい。
【符号の説明】
【0059】
1 :人体装着具本体
2 :止着部
3 :位置決めシート片
4 :固定手段(接着剤層)
5、27 :ループ部材
6、28 :フック部材
7 :摘み部
8 :離型紙
10:人体装着具
11:トップシート
12:バックシート
13:おむつ本体
14、26:止着基材シート
20:使い捨ておむつ(人体装着具)
21:背当て部
22:前合わせ部
23:肩部
24:開口部
25:伸縮帯片
29:矯正具本体
30:姿勢矯正具(人体装着具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体装着具本体と、前記人体装着具本体に設けられた止着部と、一方面が前記止着部に着脱可能に固定された位置決めシート片とを有する人体装着具であって、
前記位置決めシート片の他方面には前記位置決めシート片を前記人体装着具本体に留めるための固定手段が備えられていることを特徴とする人体装着具。
【請求項2】
前記位置決めシート片の一方面にループ部材が設けられ、前記止着部にフック部材が設けられている、または、
前記位置決めシート片の一方面にフック部材が設けられ、前記止着部にループ部材が設けられている請求項1に記載の人体装着具。
【請求項3】
前記固定手段が接着剤層である請求項1または2に記載の人体装着具。
【請求項4】
前記止着部には摘み部が連設されている請求項1〜3のいずれかに記載の人体装着具。
【請求項5】
前記止着部および/または前記位置決めシート片が複数設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の人体装着具。
【請求項6】
前記位置決めシート片は前記止着部の面積よりも大きい請求項1〜5のいずれかに記載の人体装着具。
【請求項7】
前記位置決めシート片の前記一方面には前記止着部の着脱位置を示す印が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の人体装着具。
【請求項8】
使い捨ておむつとして用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の人体装着具。
【請求項9】
おむつカバーとして用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の人体装着具。
【請求項10】
姿勢矯正具として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の人体装着具。
【請求項11】
患部保護具として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の人体装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−16581(P2012−16581A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119501(P2011−119501)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】