説明

人参の花または人参の種子抽出物を含有する皮膚外用剤組成物

本発明は、人参の花抽出物の用途と人参の種子抽出物の用途に関する。人参の種子抽出物は、人参の種子油または人参の種子粕抽出物を含む。上記用途は、皮膚保護用途、抗老化、抗しわ、皮膚弾力改善、美白、皮膚保湿、アトピーなどの皮膚乾燥疾患の予防及び改善、角質除去、皮脂調節、抗炎症、ニキビなどの皮膚トラブル予防または改善、皮膚血色改善、脱毛予防、抗ふけ、毛髪の光沢及び柔らかさ改善、顔またはボディーのボリューム及び弾力増進、顔またはボディーのライン改善を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参の花抽出物の用途と人参の種子抽出物の用途に関する。人参の種子抽出物は、人参の種子油または人参の種子粕抽出物を含む。より詳しくは、本発明は、人参の花抽出物または人参の種子抽出物の皮膚保護用途、抗老化用途、抗しわ用途、皮膚弾力改善用途、美白用途、皮膚保湿用途、アトピーなどの皮膚乾燥疾患の予防及び改善用途、皮脂調節用途、抗炎症用途、ニキビなどの皮膚トラブルの予防または改善用途、角質除去、皮膚血色改善、脱毛予防、抗ふけ、毛髪の光沢及び柔らかさの改善、顔またはボディーのボリュームや弾力増進、顔またはボディーのラインの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
人参(Panax ginseng C.A. Meyer)は、ウコギ科人参属に属する植物で、韓国、中国、日本等にかけての地域において2、000年余りの前から使われてきた生薬であり、経験的に疾病を予防し寿命をのばす目的から使われてきた。人参の今まで知られた効能や効果は、中枢神経系に対する作用、抗発癌作用と坑癌活性、免疫機能調節作用、抗糖尿作用、肝機能亢進効能、心血管障害改善及び抗動脈硬化作用、血圧調節作用、更年期障害改善及び骨粗鬆症に及ぼす効果、抗ストレス及び抗疲労作用、抗酸化活性及び老化抑制効能などが知られている。
【0003】
人参の代表的な生理活性成分であるギンセノシドは、人参の地上及び地下部に一様に分布されている。しかし、人参の根、人参の葉、人参の実など、その部位によってギンセノシドの含量と組成には大きな差がある。特に、人参の花は、人参の根とは異なるギンセノシド成分含量と成分を基に、他の部位とは異なる優れた肝保護効能があることが報告された(J.Nat.Prod、66;922−927、2003.)。一方、人参の種子の場合には、人参を栽培するための手段のみとして使われたため、人参の種子、特に人参の種子に含有された種子油に関する研究は、人参の種子油の脂肪酸組成と植物ステロールの含量分析(J.Agric.Food Chem.50、744−750、2002)に止まる程度である。
【0004】
最近、天然化粧品に関する消費者の関心が高まりつつあり、且つ漢方素材を活用する多くの化粧品が発売される中で、人参も化粧品の重要な皮膚効能を持つ植物素材として研究されてきている。しかしながら、その大半は人参の根を利用したものである。具体的に、人参の根の抽出物または人参の根のギンセノシド成分と人参の多糖体を活用したものばかりであって、人参の花または人参の種子の成分による皮膚効能に関する研究は全くないといってもいい実情である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、皮膚に有用な皮膚外用剤を提供することをその目的とする。
【0006】
本発明の一実施例の目的は、皮膚を保護する組成物を提供することである。
【0007】
本発明の他の一実施例の目的は、毛髪を保護する組成物を提供することである。
【0008】
本発明のまた他の一実施例の目的は、老化を予防または改善する組成物を提供することである。
【0009】
本発明のまた他の一実施例の目的は、しわを予防または改善する組成物を提供することである。
【0010】
本発明のまた他の一実施例の目的は、皮膚弾力を改善する組成物を提供することである。
【0011】
本発明のまた他の一実施例の目的は、皮膚美白用組成物を提供することである。
【0012】
本発明のまた他の一実施例の目的は、皮膚保湿用組成物を提供することである。
【0013】
本発明のまた他の一実施例の目的は、アトピーなどの皮膚乾燥疾患を予防または改善する組成物を提供することである。
【0014】
本発明のまた他の一実施例の目的は、皮膚角質を除去する組成物を提供することである。
【0015】
本発明のまた他の一実施例の目的は、皮膚の皮脂を調節する組成物を提供することである。
【0016】
本発明のまた他の一実施例の目的は、炎症を予防または緩和する組成物を提供することである。
【0017】
本発明のまた他の一実施例の目的は、頭皮の炎症を予防または緩和、または刺激を緩和する組成物を提供することである。
【0018】
本発明のまた他の一実施例の目的は、ニキビなどの皮膚トラブルを予防または改善する組成物を提供することである。
【0019】
本発明のまた他の一実施例の目的は、頭皮に発生するニキビなどの皮膚トラブルを予防または改善する組成物を提供することである。
【0020】
本発明のまた他の一実施例の目的は、皮膚の血色を改善する組成物を提供することである。
【0021】
本発明のまた他の一実施例の目的は、脱毛予防用組成物を提供することである。
【0022】
本発明のまた他の一実施例の目的は、抗ふけ用組成物を提供することである。
【0023】
本発明のまた他の一実施例の目的は、毛髪の光沢または柔らかさを改善する組成物を提供することである。
【0024】
本発明のまた他の一実施例の目的は、顔またはボディーのボリューム及び弾力を改善させる組成物を提供することである。
【0025】
本発明のまた他の一実施例の目的は、顔またはボディーのラインを改善する組成物を提供することである。
【0026】
上記目的を達成するために、本発明による皮膚外用剤組成物は、人参の花抽出物または人参の種子抽出物を有効成分として含有する。
【0027】
本発明の一実施例による皮膚外用剤組成物において、上記人参の種子抽出物は人参の種子油であればよい。上記人参の種子抽出物が人参の種子油の場合、その含量は皮膚外用剤組成物の総重量に対して0.001ないし100重量%であることが好ましい。
【0028】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物において、上記人参の種子抽出物は人参の種子粕抽出物であればよい。上記人参の種子粕抽出物の含量は、皮膚外用剤組成物の総重量に対して0.001ないし10重量%であることが好ましい。
【0029】
本発明の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、皮膚損傷を抑制して皮膚を保護する用途を持つことを特徴とする。ここで皮膚は頭皮または毛髪を含む。すなわち、本明細書では、頭皮または毛髪の損傷を抑制して毛髪を保護する皮膚外用剤組成物が開示される。
【0030】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、酸化または紫外線による皮膚損傷を抑制する作用によって皮膚を保護することを特徴とする。ここで皮膚は頭皮または毛髪を含む。すなわち、酸化または紫外線による頭皮または毛髪の損傷を抑制することで頭皮または毛髪を保護する皮膚外用剤組成物が開示される。
【0031】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、皮膚老化を予防または改善する用途を持つことを特徴とする。
【0032】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、酸化または紫外線による皮膚損傷抑制、コラーゲン生成促進またはマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP−1)の生合成阻害によって皮膚の老化を抑制することを特徴とする。
【0033】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、皮膚しわを予防または改善させる用途を持つことを特徴とする。
【0034】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、コラーゲン生成促進またはマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP−1)の生合成阻害によって皮膚しわを予防または改善させることを特徴とする。
【0035】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、皮膚弾力を改善させる用途を持つことを特徴とする。
【0036】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、皮膚美白用途を持つことを特徴とする。
【0037】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、メラニン生成抑制または皮膚に沈着された色素の美白化によって皮膚美白を遂行することを特徴とする。
【0038】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、皮膚保湿用途を持つことを特徴とする。
【0039】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、角質形成細胞の分化促進またはトランスグルタミナーゼ発現促進によって皮膚水分を保持することを特徴とする。
【0040】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、アトピーまたは乾癬を含む皮膚乾燥疾患を予防または改善する用途を持つことを特徴とする。
【0041】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、角質除去用途を持つことを特徴とする。
【0042】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、皮膚の皮脂調節用途を持つことを特徴とする。
【0043】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、皮脂の分泌を抑制することで皮膚の皮脂を調節することを特徴とする。
【0044】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は炎症の予防または改善、または刺激緩和の用途を持つことを特徴とする。ここで皮膚は頭皮を含む。すなわち、本明細書では、頭皮の炎症を予防または改善し、頭皮への刺激を緩和する用途を持つ皮膚外用剤組成物が開示される。
【0045】
本発明のまた他の一実施例による皮膚外用剤組成物は、ニキビを含む皮膚トラブルを予防または改善する用途を持つことを特徴とする。ここで皮膚は頭皮を含む。すなわち、本明細書では、頭皮にニキビを含む皮膚トラブルが発生することを予防し、既に発生した皮膚トラブルを改善させる用途を持つ皮膚外用剤組成物が提供される。
【0046】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、皮膚血色を改善する用途を持つことを特徴とする。
【0047】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、脱毛予防の用途を持つことを特徴とする。
【0048】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、抗ふけ用途を持つことを特徴とする。
【0049】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、毛髪の光沢または柔らかさを増進させる用途を持つことを特徴とする。
【0050】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、顔またはボディーのボリューム及び弾力を増進させる用途を持つことを特徴とする。
【0051】
本発明のまた他の一実施例において、皮膚外用剤組成物は、顔またはボディーのラインを改善させる用途を持つことを特徴とする。
【0052】
本発明では、人参の地上部のうち、人参の根とは差別的成分と組成を有する人参の花抽出物または人参の種子抽出物を有効成分として含有することで、皮膚保護、抗老化、抗しわ、皮膚弾力改善、美白、皮膚保湿、アトピーなどの皮膚乾燥疾患の予防及び改善、角質除去、皮脂調節、抗炎症、ニキビなどの皮膚トラブル予防または改善、皮膚血色改善、脱毛予防、抗ふけ、毛髪の光沢及び柔らかさ改善、顔またはボディーのボリューム及び弾力増進、顔またはボディーのライン改善をする組成物を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施例による人参の花抽出物の活性酸素生成抑制実験結果を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の一実施例による人参の花抽出物のDNA酸化的損傷抑制活性を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の一実施例による人参の花抽出物がI型プロコラーゲン生成に及ぼす効果を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の一実施例による人参の花抽出物がMMP−1の発現に及ぼす効果を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の一実施例による人参の花抽出物がメラニン生成に及ぼす効果を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明による人参の種子抽出物によるメラニン生成抑制効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書において「抽出物」とは、天然物からその中の成分を抽出して得られた物質であれば、抽出方法や成分の種類に関わらずその全てを含む。例えば、水や有機溶媒を利用して天然物から溶媒に溶解される成分を抽出して得られたもの、天然物の特定の成分、例えば、油のような特定の成分のみを抽出して得られたものなどを全て含む広義の概念である。
【0055】
本明細書において「人参の種子油」とは、人参の種子から得られた油のことを意味する。例えば、ヘキサン、エーテル、塩化メチレンなどの有機溶媒を利用して人参の種子から抽出された抽出物であってよい。
【0056】
本明細書において「人参の種子粕」とは、人参の種子から油を除去して残った残りの部分を意味する。例えば、ヘキサン、エーテル、塩化メチレンなどの有機溶媒を利用して人参の種子から油を抽出して残った残りの部分であってよい。
【0057】
本明細書において「皮膚」とは、動物の体表を覆う組職を意味し、顔またはボディーなどの体表を覆う組職だけでなく、頭皮と毛髪を含む最も広義の概念である。
【0058】
本発明の実施例において、上記人参は朝鮮人参(Panax ginseng C.A.Meyer)である。
【0059】
本発明の実施例において、上記人参の花抽出物は、皮膚外用剤組成物の形態に応じて組成物の総重量に対して0.001〜10の重量%で混合されていてよいが、必ずしもこれに制限されることではない。
【0060】
本発明の実施例による人参の花抽出物は、乾燥した人参の花に水、水を含む有機溶媒(エタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、酢酸エチル、クロロホルムなど)、または人参の花の1〜10倍(wt/v%)の有機溶媒を入れて常温で一日間放置することで調製すればよい。好ましくは、同工程を2回繰り返して抽出液を得る。また、好ましくは、抽出液からクロロフィルを除去した後、そのろ過液を真空濃縮機で濃縮して人参の花抽出物の乾固物を得ることができる。
【0061】
本発明のまた他の一実施例において、上記人参の種子抽出物は人参の種子油であり、その油は、皮膚外用剤組成物の形態に応じて組成物の総重量に対して0.001〜100重量%で混合されていてよい。上記人参の種子油が0.001重量%未満であると、その効果が微々たるものとなるためである。
【0062】
本発明のまた他の一実施例において、上記人参の種子油は、乾燥した人参の種子を粉砕した後、その粉砕物の1ないし10倍(wt/v%)の有機溶媒(ヘキサン、エーテル、塩化メチレンなど)を入れて常温で一日間放置して抽出することができる。例えば、同工程を3回繰り返して抽出液を得て、抽出液をろ過した後、そのろ過液を真空濃縮機で濃縮して人参の種子油を得ることができる。
【0063】
本発明の一実施例による皮膚外用剤組成物において、上記人参の種子粕抽出物は、皮膚外用剤組成物の形態に応じて組成物の総重量に対して0.001〜10重量%で混合されていてよい。人参の種子粕抽出物が0.001重量%未満であると、その効果が微々たるものとなるためであり、10重量%を超えると、含量の増加に比べての効果の増加が大きくないためである。
【0064】
上記人参の種子粕抽出物は、次のような方法にて調製すればよい。乾燥された人参の種子を粉碎した後、その粉砕物の1〜10倍(wt/v%)のヘキサンなどの有機溶媒を入れて常温で一日間放置して抽出する。同工程を3回繰り返して人参の種子から油を除去し、油が除去されて残った人参の種子粕に、水、水を含む有機溶媒(エタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、酢酸エチル、クロロホルムなど)、または1〜10倍(wt/v%)の有機溶媒を入れて常温で一日間放置して抽出することができる。同工程を3回繰り返して抽出液を得て、抽出液をろ過した後、そのろ過液を真空濃縮機で濃縮して人参の種子粕抽出物の乾固物を得ることができる。
【0065】
人の皮膚は歳をとるにつれて様々な内的、外的要因によって変化を経験する。すなわち、内的には新陳代謝を調節する各種のホルモンの分泌が減少し、免疫細胞の機能と細胞の活性が低下することで生体に必要な免疫タンパク質及び生体構成タンパク質の生合成が低減し、外的にはオゾン層の破壊によって太陽光線のうち地表に到逹する紫外線の含量が増加し且つ環境汚染の深刻化に伴い、自由ラジカル及び活性有害酸素などが増加することで、皮膚の厚さが薄くなり、しわが増加し、弾力が落ちるのみならず、血色も悪くなって皮膚がくすんで見えるようになり、皮膚トラブルが多発し、染みしみやそばかす及び黒いしみも増加するなど、様々な変化を引き起こすようになる。
【0066】
老化の進行に伴い、皮膚を構成する物質であるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、及び糖蛋白質の含有量及び配列が変わったり減少したりする症状が現れ、自由ラジカル及び活性有害酸素による酸化的ストレスを受けるようになる。また、老化の進行や紫外線によって、皮膚を構成する大半の細胞では、炎症を起こすと知られている前炎症性サイトカインを生成する酵素であるシクロオキシゲナーゼ−2(Cox−2)の生合成が増加し、これら炎症性因子によって皮膚組職を分解する酵素であるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の生合成が増加し、誘導性酸化窒素合成酵素(iNOS)による一酸化窒素(NO)の生成が増加することと知られている。すなわち、自然的に進行する内因性老化による細胞活性の減少及び微細炎症によって基質物質の生合成が減少し、様々な有害環境によるストレスの増加や太陽光線による活性酸素種の増加といった外的要因によって分解及び変性が加速化して皮膚基質が破壊されて薄くなりながら、皮膚老化の諸症状が現われるようになる。
【0067】
本明細書に開示された皮膚外用剤組成物は、活性酸素の生成を抑制し且つ活性酸素によって誘発された酸化的損傷を抑制する効能のある人参の花抽出物または人参の種子抽出物を有効成分として含有することで、活性酸素または紫外線などによる細胞の損傷を予防することができ、この結果、皮膚を保護することができる。また、活性酸素または紫外線による老化の進行を抑制することができる。さらに、人参の花抽出物及び人参の種子抽出物は、COX−2の生合成を抑制することで炎症を予防または改善させることができ、この結果、皮膚トラブルを緩和させることができる。ここで皮膚とは頭皮を含む。すなわち、本明細書に開示された人参の花抽出物または人参の種子抽出物は、頭皮または毛髪で発生する活性酸素または紫外線などによる細胞の損傷を予防し、頭皮の炎症を予防または改善させ、パーマや毛染めなどによる頭皮の刺激を緩和させる用途として使用されていてよい。また、本明細書に開示された人参の花抽出物または人参の種子抽出物は、皮膚のしわを予防または改善させる用途としても使用されていてよい。
【0068】
人の肌色を決めるには様々な要因が関与するが、その中でもメラニン色素を作るメラノサイトの活動性、血管の分布、皮膚の厚さ及びカロチノイド、ビリルビンなどの人体内外の色素含有の有無などの要因が重要である。
【0069】
その中でも特に重要な要因は、人体内のメラノサイトにおいてチロシナーゼなどの多くの酵素が作用して生成されるメラニンという黒色色素である。このメラニン色素の形成には、遺伝的要因、ホルモン分泌、ストレスなどに関連した生理的要因や紫外線の照射などのような環境的要因などが影響を及ぼす。
【0070】
ヒト皮膚のメラニン細胞において生成されるメラニン色素は、黒い色素とタンパク質との複合体形態を有するフェノール系高分子物質であって、太陽から照射される紫外線を遮断して真皮の下の皮膚機関を保護するとともに、皮膚生体内にできた自由ラジカルなどを捕捉するなど、皮膚内タンパク質と遺伝子を保護する有用な役割を司る。
【0071】
このように皮膚内外のストレス的刺激によってできたメラニンは、ストレスが消えても皮膚角質化によって外部に排出される前までは消えない安定した物質である。しかし、メラニンが必要以上に多くできると、しみやそばかす、斑点などのような色素沈着症を誘発し、美容上よくない結果をもたらすようになる。
【0072】
本明細書に開示された人参の花抽出物または人参の種子抽出物は、メラニンの生成を抑制することで皮膚を美白させることができる。この結果、人参の花抽出物または人参の種子抽出物を有効成分として含有する、本明細書に開示された皮膚外用剤組成物は、皮膚美白の用途として使用されていてよい。
【0073】
皮膚において最外郭に位置した表皮の最も重要な機能は、外部からの様々な刺激(化学物質、大気汚染物質、乾燥した環境、紫外線などの物理、化学的刺激因子)に対する防御や皮膚からの体内水分の過度な発散を防ぐ保護機能であり、このような保護機能は、角質形成細胞から構成された角質層が正常に形成されてはじめて発揮され得る。表皮においても最も外側に存在する角質層は、角質形成細胞から形成され、分化が完結した角質細胞とそれを覆う脂質層とで構成されている。角質細胞は、表皮最下層において持続的に増殖する基底細胞が段階的に形態や機能上の変化を経て、皮膚表面まで上がってきた特徴的な細胞であり、所定の期間が経過すると古い角質細胞は皮膚から脱落し、新しい角質細胞がその機能を担うようになるが、このような繰り返しの一連の変化過程を「表皮細胞の分化」または「角化」と呼ぶ。角化過程の際に角質形成細胞が天然保湿因子(NMF)と細胞間脂肪質(セラミド、コレステロール、脂肪酸)を生成しながら角質層を形成して、該角質層が堅固さと柔軟性をもつことで皮膚障壁としての機能を果たせるようになる。
【0074】
しかしながら、このような角質層は、過度な洗顔や、お風呂などの生活習慣的要素や、乾燥した大気、汚染物質などの環境的な要因、そしてアトピー性皮膚や老人性皮膚のような内因性疾患などによってその機能が損失され易く、実際のところ、現代に入ってさらに増えた多くの要因によって、最近、乾燥皮膚症状及びこれによる諸障害を訴える人が増えつつある。このため、適切な皮膚水分を保持するために外部から水分を供給したり、体内からの水分損失を防止するための研究が数多く進められてきており、実際に、保湿能のある数多くの保湿剤が開発され、主に化粧品分野において多用されている。
【0075】
しかし、生活環境においてヒトに対する危害要因がますます増加してきており、また老齢人口の急増に伴い、角質層のターンオーバー速度が遅くなり、角質形成細胞の脂質合成能力が低下し、または表皮における正常な細胞の分裂、成熟及び分化が円滑に行われないことで、角質層の保湿因子や脂質の量が減少して正常な角質層の機能を保つことができない状態、すなわち、皮膚障壁機能が瓦解された状態の皮膚を持っている人が増加しつつある。
【0076】
このような異常な表皮細胞の分裂、分化によって皮膚は皮膚乾燥症、アトピー、乾癬などの様々な皮膚疾患を誘発するようになり、かかる諸疾患は、保湿機能のみを有する通常の保湿剤だけではその症状を若干緩和させることはできるものの、根本的な治癒を期待することは難しい実情である。
【0077】
本明細書に開示された人参の花抽出物または人参の種子抽出物は、角質形成細胞の分化を促進することで、古い角質細胞の脱落と新しい角質細胞の生成過程である「表皮細胞の分化」または「角化」過程を助け、この結果、角質を効果的に除去することができる効能を持つ。本明細書に開示された皮膚外用剤組成物は、上記のように優れた角質除去効能を持つ人参の花抽出物または人参の種子抽出物を有効成分として含有することで、角質除去用組成物として有効に使用することができる。
【0078】
また、本明細書に開示された人参の花抽出物または人参の種子抽出物は、角質層のターンオーバー速度を正常範囲で保持することで角質層の保湿因子と脂質の量を正常に保持できるようにする。また、トランスグルタミナーゼ発現を促進する。この結果、皮膚の保湿を可能にする。
【0079】
また、本明細書に開示された人参の花抽出物または人参の種子抽出物は、角質形成細胞の分化を促進し且つ皮膚水分を保持することで皮膚障壁機能を強化させることができ、この結果、アトピーや乾癬のような皮膚乾燥疾患を予防または治療することができる。
【0080】
一般的に頭皮及び顔を含む皮膚における皮脂は、皮膚の保湿保持や微生物の侵入を防ぐ役割を司るが、皮脂か過剰分泌すると脱毛が促進し、ニキビが悪化し、ニキビによる毛穴の拡大が促進し、脂漏性皮膚炎が発生するなどの様々な疾患が誘発される。
【0081】
このような皮脂の過分泌は様々な原因によって発生するが、その中でも最も重要なことは皮脂腺の活性において皮脂分泌を促進するのに関与するホルモンの一つであるジヒドロテストステロン(DHT)の量によって皮脂腺細胞が活性化して皮脂が過分泌する。すなわち、脱毛においては細胞内においてテストステロン(T)が5−α−レダクターゼタイプ2によって男性ホルモンの一つであるジヒドロテストステロンに転換されるとともに、細胞質内にある受容体タンパク質と結合して核内に入って脱毛を誘発するが、皮膚や皮脂腺ではテストステロンが5−α−レダクターゼタイプ1によってジヒドロテストステロンに転換され、皮脂腺細胞が活性化して分化が促進されることで皮脂腺内の皮脂を過分泌してニキビを誘発する。
【0082】
単純な皮脂の過分泌の他、皮膚に発生するトラブルであるニキビ、脱毛などは、皮膚の微細な炎症反応によってさらに悪化するようになる。ニキビの発生原因をみると、過度な皮脂か毛嚢に蓄積されることでニキビ菌の活動が活性化し、炎症が誘発されるという段階を持っている。
【0083】
本明細書に開示された人参の花抽出物または人参の種子抽出物は、皮脂分泌を抑制することで、皮脂の過分泌によるニキビ、毛穴拡大、脂漏性皮膚炎などを予防または改善させることができる。
【0084】
本明細書に開示された皮膚外用剤組成物は、脂肪細胞の分化を促進することで顔とボディーのボリューム及び弾力を増進させることができる。顔とボディーのうちボリュームと弾力の増進が求められる部位に、本明細書に開示された皮膚外用剤組成物を塗布すると、ボリュームと弾力が増進する。ボリュームと弾力の増進が求められる部位は、老化によって陥没した部位であってよい。例えば、老化によって陥没した頬の肉などが挙げられる。陥没した頬に、本明細書に開示された皮膚外用剤組成物を塗布すると、脂肪細胞分化を促進することでボリュームを増進させることができる。また、ボリュームと弾力の増進が求められる部位の他の例として、胸と臀部が挙げられる。胸と臀部に本明細書に開示された皮膚外用剤組成物を塗布すると、胸と臀部が弾力があり豊満になるという効果が得られる。
【0085】
また、本明細書に開示された皮膚外用剤組成物は、顔とボディーのラインを改善することができる。有効成分として含有された人参の花抽出物または人参の種子抽出物が脂肪細胞の分化を促進することで顔とボディーのボリューム及び弾力を増進させ、コラーゲンの生合成を促進し、且つコラーゲンの分解を抑制することで、老化などの原因によって損傷された顔とボディーのラインを改善させることができる。
【0086】
本発明による化粧品の剤形は、化粧品学または皮膚科学的に許容可能な媒質または基材を含有する。これは、局所適用に適合したすべての剤形で、例えば、溶液、ゲル、固体、ペースト無水生成物、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微細顆粒球または、イオン型(リポソーム)及び非イオン型の小嚢分散剤の形態として、またはクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレーまたはコンシールスティックの形態で提供されていてよい。これら組成物は、当該分野の通常的な方法によって調製されていてよい。また、本発明による組成物は、泡沫の形態でまたは圧縮された推進剤をさらに含有したエアロゾル組成物の形態で使用されていてもよい。
【0087】
本発明の化粧品は、脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤、ゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発砲剤、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須油、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小嚢または化粧品に通常的に使用される任意の他の成分のような化粧品学または皮膚科学分野において通常的に使用される補助剤を含有していてよい。上記補助剤は、化粧品学または皮膚科学分野において一般的に使用される量で導入される。
【0088】
本発明の人参の花抽出物または人参の種子抽出物を含む皮膚外用剤は、その剤形において特に限定されることではなく、例えば、柔軟化粧水、収斂化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、アイエッセンス、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、パウダー、ボディーローション、ボディークリーム、ボディーオイル及びボディーエッセンスなどの化粧料にて剤形化されていてよい。
【0089】
本発明による皮膚外用剤組成物は、薬剤学的組成物であってよい。上記薬剤学的組成物は、防腐剤、安定化剤、水和剤または乳化促進剤、浸透圧の調節のための塩及び/または緩衝剤などの薬剤学的補助剤及びその他、治療的に有用な物質をさらに含有していてよい。上記薬剤学的組成物は、ローション、クリーム、軟膏、またはゲルなどに剤形化されていてよい。
【0090】
上記薬剤学的組成物は、経皮投与されることが好ましい。
【0091】
上記薬剤学的組成物の有効成分である人参の花抽出物または人参の種子抽出物の投与量は、治療を受ける対象の年齢、性別、体重と、治療する特定の疾患または病理状態、疾患または病理状態の深刻度、投与経路、及び処方者の判断によって変わり得る。このような因子に基づいた投与量の決定は当業者の水準内にある。一般的に投与量は、0.0001mg/kg/日ないし略2000g/kg/日の範囲である。
【0092】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明の構成及び効果をより具体的に説明する。なお、これら実験例及び実施例は本発明に関する理解を助けるための例示の目的として提供されたものに過ぎず、本発明の範疇及び範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0093】
[実施例1]人参の花抽出物の調製
乾燥した人参の花1kgに70%(v/v)エタノール10Lを入れ、常温で一日間放置して抽出した。同工程を2回繰り返して抽出液を得て、得られた抽出液をろ過した後、そのろ過液を真空濃縮機で2Lに濃縮した。しかる後、同量のエーテルを添加してろ過液からエーテル層を除去することでクロロフィルを除去した。同工程を3回繰り返した後、残った抽出液を真空濃縮機で濃縮して乾固物150gを得た。
【0094】
[実施例2]人参の種子油の調製
乾燥した人参の種子1kgを粉砕した後、ヘキサン10Lを入れ、常温で一日間放置して抽出した。同工程を3回繰り返して抽出液を得て、抽出液をろ過した後、そのろ過液を真空濃縮機で濃縮して人参の種子油120gを得た。このようにして得た抽出物油に水酸化ナトリウムを添加して遊離脂肪酸を除去し、蒸留水で3回水洗した後、カーボンを使用して脱色させてから、100℃の真空状態で不活性ガスにて異臭成分を除去して人参の種子油100gを得た。
【0095】
[実施例3]人参の種子粕抽出物の調製
乾燥した人参の種子1kgを粉砕した後、ヘキサン10Lを入れ、常温で一日間放置して抽出した。同工程を3回繰り返して人参の種子から油を除去し、油が除去されて残った人参の種子粕に水10Lを入れ、常温で一日間放置して抽出した。同工程を3回繰り返して抽出液を得て、抽出液をろ過した後、そのろ過液を真空濃縮機で濃縮して乾固物100gを得た。
【0096】
[試験例1]活性酸素種生成抑制
紫外線(UV)照射によって細胞から発生する活性酸素種(ROS)を除去する能力を比較する実験を通じて、人参の花抽出物と人参の種子抽出物の抗酸化効果を調査した。
人参の花抽出物の陽性対照群として一般に抗酸化効果を比較するのに使用されるビタミンC(Sigma Co.社製)を使用した。また試験物質を処理していない群を対照群として使用した。ヒトHaCaT角質形成細胞断層培養系(P Boukamp、German Cancer Research Center、Heidelberg.Germany)を紫外線(UVB 30mJ/cm2)で処理した後、実施例1に従って調製された抽出物10ppm、50ppm、100ppmでそれぞれ処理した。しかる後、ジクロロジヒドロフルオロセイン・ジアセテート(DCFH−DA;Molecular Probes、Inc)を蛍光プレートリーダで測定した。紫外線で処理していない対照群を100とし、これに対する割合でROS生成の割合を計算した。その結果を表1と図1に示した。
【0097】
【表1】

【0098】
人参の種子抽出物の陽性対照群として一般に抗酸化効果を比較するのに使用されるトロロックス(trolox)(Aldrich Co.社製)を使用した。また試験物質を処理していない群を対照群として使用した。ヒトHaCaT角質形成細胞断層培養系(P Boukamp、German Cancer Research Center、Heidelberg.Germany)を紫外線(UVB 30mJ/cm2)で処理した後、実施例2に従って調製された人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物で下表2のようにそれぞれ処理した。しかる後、DCFH−DA(Molecular Probes、Inc)を蛍光プレートリーダで測定した。紫外線で処理した対照群に対する割合でROS生成抑制の割合を計算した。その結果を下表2に表した。
【0099】
【表2】

【0100】
上記実施例1に従って調製された人参の花抽出物、実施例2に従って調製された人参の種子油、及び実施例3の人参の種子粕抽出物は、ヒトHaCaT角質形成細胞断層培養系において対照群に比べてUVによって生成された活性酸素を有意に消去する効果を示した。これは、抗酸化物質の活性指標として使用されるビタミンCまたはトロロックスとほぼ同じ程度の優れた活性である。すなわち、本発明の実施例1に従って調製された人参の花抽出物、実施例2に従って調製された人参の種子油、及び実施例3の人参の種子粕抽出物は、皮膚損傷の原因になる活性酸素を有意に消去することで頭皮と毛髪を含む皮膚を保護し、さらには、しわの生成、弾力の低下、及び色素沈着などを予防する効果を持つことができることを確認した。
【0101】
[試験例2]単細胞ゲル電気泳動(SCGE;コメットアッセイ)によるDNA酸化的損傷に対する阻害活性の評価
ヒトの正常線維芽細胞(自体一次培養)を24時間培養した後、実施例1の人参の花抽出物、実施例2に従って調製された人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物とビタミンEをそれぞれ濃度別に処理し、12時間後に陽性対照群であるH22(最終濃度10−3M)を処理した後、電気泳動法にて染色した結果を蛍光燎微鏡で観察した。このとき、イメージアナライザーであるKOMET 3.1(Kinetic Imaging、England)を使用して25個の各細胞においてDNA切断の結果から示されたテール(tail)の長さ(μm)を分析し、その結果を下表3及び図2に示した。
【0102】
【表3】

【0103】
上記表3の結果において、細胞ゲル電気泳動による実施例1に従って調製された人参の花抽出物と、実施例2の人参の種子油、実施例3の人参の種子粕抽出物は、有意ある酸化的DNA損傷抑制活性を示し、これにより、本発明による人参の花抽出物または人参の種子抽出物がヒドロキシルラジカル(・OH)によるDNAの単鎖切断を抑制するDNA酸化的損傷抑制剤として作用することを確認することができた。これは、頭皮または毛髪を含む皮膚の細胞の遺伝子を保護する重要な防御効果である。
【0104】
[試験例3]I型プロコラーゲン生成分析(I型プロコラーゲンアッセイ)
ヒト線維芽細胞を105個の濃度で12穴平板培養器にて培養した後、実施例1の人参の花抽出物1ppm、10ppm、50ppmを含む培地、または実施例2の人参の種子油、または実施例3の人参の種子粕抽出物1ppm、10ppmを含む培地と表4のように交換した。培養後三日目に細胞を収穫し、ELISA方法を用いて生成されたI型プロコラーゲンの量を定量した。陽性対照群としてTGF−β(ヒト形質転換因子−β1、Roche Co.)を使用した。その結果は、人参の花抽出物と人参の種子抽出物を含んでいない対照群を0にし、陽性対照群を100にして測定した値との比較値として算出した。これを表4と図3に示した。
【0105】
【表4】

【0106】
ヒト正常線維芽細胞断層培養系における、実施例1の人参の花抽出物、および実施例2の人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物は、対照群に比べてI型プロコラーゲン生成を明らかに促進させる効果を示した。すなわち、本発明による人参の花抽出物または人参の種子抽出物を含有する皮膚外用剤組成物は、コラーゲン生成を促進することでヒト皮膚の老化によって発生するコラーゲン減少現象を緩和することができる。
【0107】
[試験例4]MMP−1発現抑制分析
ヒト線維芽細胞を105個の濃度で12穴平板培養器にて培養してから紫外線Bを40mJ/cm2で照射した後、実施例1の人参の花抽出物1ppm、10ppm及び50ppmを含む培地と交換した。培養後二日目に細胞を収穫してELISA方法を用いて生成されたマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP−1)の量を定量した。その結果は、試験物質を含まない紫外線を照射していない対照群を100にして測定した値との比較値として算出し、陽性対照群は、レチノイン酸(RA、Sigma.Co.)を使用した。これを表5及び図4に示した。
【0108】
【表5】

【0109】
ヒト正常線維芽細胞断層培養系における、本発明による実施例1の人参の花抽出物は、UVB 40mJ/cm2によって誘導されるMMP−1の発現を有意に抑制した。したがって、本発明による実施例1の人参の花抽出物は、内的老化または外的環境要因によって発生する皮膚組職分解酵素であるMMP−1の生合成を阻害することで皮膚内コラーゲンの減少を抑制し、しわを改善することができることが分かる。
【0110】
[試験例5]ヒト皮膚しわの改善効果
30〜50歳の顔面しわのある試験対象者120人に対し、下表6に表した組成を有する実施例1の人参の花抽出物を含有する栄養クリーム(実施例4)及び実施例2の人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物を含有する栄養クリーム(実施例5)、人参の花抽出物と人参の種子抽出物を含有していないことを除いては、上記実施例4、5と同じ組成物(比較例1)の栄養クリームを調製した後、これらの皮膚しわ改善効果を比較評価した(単位:重量%)。
【0111】
【表6】

【0112】
被験者らは、それぞれ顔面の左部には実施例4または5を、右部には比較例1を3ヶ月間使用した。クリーム使用以前の顔面の両方部の皮膚状態を測定しておいた後、クリーム使用後3ヶ月後に同一部位を再測定して皮膚しわの変化を測定した。24℃、相対湿度40%の恒温・恒湿室で目尻部位のしわをレプルリカで写し取ってビジオメーター装置(C+K社製)で皮膚しわを測定した。皮膚しわの変化量は次式1で計算した。
【0113】
【数1】

【0114】
上記式1中、「Tdi」はD90での測定部位の値であり、「Tdo」はD0での測定部位の値である。
【0115】
上記式1で結果を計算した結果、比較例1を使用した部位の皮膚しわは、6.1±7%(平均±標準偏差)の減少値を示すのに対し、実施例4を使用した部位の皮膚しわは、35±8%、実施例5を使用した部位の皮膚しわは、32±5%の減少値を示し、優れた皮膚しわ改善効果を示した。
【0116】
[試験例6]ヒトの皮膚弾力改善効果
上記表6の組成にて調製した実施例4、5及び比較例1の皮膚弾力改善効果を測定した。30歳以上の女性60人を対象に3つのグループに分けて、各組に上記実施例4または5及び比較例1の栄養クリームを毎日2回ずつ12週間顔面に塗布した後、皮膚弾力測定器(Cutometer SEM 575、C+K Electronic Co.社製、Germany)を利用して皮膚弾力を測定した。その結果を計算した結果、比較例1を使用した部位の弾力効果は、0.21±0.14(平均±標準偏差)を示したのに対し、実施例4を使用した部位の弾力効果は、0.30±0.10、実施例5を使用した部位の弾力効果は、0.29±0.08を示し、優れた皮膚弾力改善効果を示した。上記結果値は、皮膚弾力測定器の皮膚粘弾性(viscoelasticity)の性質のことを意味する。
【0117】
上記結果から、実施例1の人参の花抽出物が含有された実施例4の栄養クリームを使用した場合、140%程度の皮膚弾力増進効果を示すことが分かる。
【0118】
[試験例7]鼠の色素細胞を利用したメラニン生成抑制の分析
実施例1の人参の花抽出物及び実施例2の人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物のメラニン生成抑制効果を調べるために鼠の色素細胞を利用した。
【0119】
先ず、C57BL/6マウス来由の鼠色素細胞(Mel−Ab細胞)(Dooley、T.P.et al、Skin pharmacol、7、pp 188−200)をダルベッコ改変イーグル(DMEM)に10%ウシ胎児血清、100nM 2−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート及び1nMコレラ毒素を添加した培地で37℃、5%CO2の条件下に培養した。培養したMel−Ab細胞を0.25%トリプシン−EDTAで分離し、24−ウェルプレートに105細胞/ウェルの濃度で細胞を培養した後、二日目から三日連続でそれぞれ10ppm、50ppm及び100ppmの人参の花抽出物(実施例1)、人参の種子油(実施例2)と人参の種子粕抽出物(実施例3)を加えて培養した。このとき、アルブチン(Sigma Co.社製)は、陽性対照群として使用した。次いで、培養液を除去し、PBSで洗浄した後、1N水酸化ナトリウムで細胞を溶解し、400nmで吸光度を測定した後、次式2によってメラニン生成抑制率を計算した。その結果を下表7、図5及び図6に示した(Dooley法)。
【0120】
【数2】

【0121】
【表7】

【0122】
上記表7に表すように、本発明による実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油及び実施例3の人参の種子粕抽出物は、アルブチンとほぼ同じ程度のメラニン生成抑制率を示すことを確認した。このことから、本発明による実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油及び実施例3の人参の種子粕抽出物が、優れた美白効果を示すことを確認することができた。
【0123】
[試験例8]ヒト皮膚に対する美白
実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物のヒト皮膚に対する美白効果を調べるために下記のような実験を施した。
【0124】
先ず、健康な12人の男性を対象に被験者の上膊部位に直径1.5cmの穴があいた不透明テープを付着した後、各被験者の最小紅斑量の1.5〜2倍程度の紫外線(UVB)を照射して皮膚の黒化を誘導した。
【0125】
上記紫外線の照射後、試験物質である実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油、実施例3の人参の種子粕抽出物とヒドロキノンをそれぞれ塗り、1ヶ所は何も塗らずに10週間状態変化を観察した。1週単位で皮膚の色を色差計 CR2002(日本のミノルタ社製)で測定した。
【0126】
その後、上記各試験物質の塗布開始時点と塗布完了時点とでの肌色の差(ΔL*)を次式3によって計算し、その結果を下表8に表した。なお、美白効果は、試料塗布部位と対照群部位のΔL*の比較で判定するが、ΔL*値が2程度であると、沈着した色素の美白化が明らかと判定し、1.5程度以上であると、美白効果があると判定することができる。
【0127】
【数3】

【0128】
【表8】

【0129】
上記表8に表すように、本発明による実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油及び実施例3の人参の種子粕抽出物は、ヒドロキノンとほぼ同じ程度の肌色の明度を示すことを確認した。これは、上記人参の花抽出物、人参の種子油及び人参の種子粕抽出物が紫外線によって生成された色素沈着を改善し、肌色を明るくするためである。
【0130】
[試験例9]ヒト角質形成細胞の分化誘導
角質形成細胞及びヒト皮膚細胞株(HaCaT)の分化時に生成される周辺帯(CE)の量を測定して、本発明による実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油及び実施例3の人参の種子粕抽出物の細胞分化促進効果を調べた。
【0131】
1次培養したヒトの角質形成細胞を培養用フラスコに入れて底部に付着させた後、下表9に表した試験物質を濃度別に培養液に添加し、細胞が底面積の70〜80%程度育成されるまで5日間培養した。この細胞を収穫してリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した後、2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と20mM濃度のジチオスレイトール(DTT)を含有した10mM濃度のトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)1mlを加えて超音波処理、加熱、遠心分離を施した沈殿物を、再びPBS 1mlに懸濁させ、340nmでの吸光度を測定した。これとは別に、上記超音波処理後の溶液の一部を取ってタンパク質の含量を測定し、細胞分化程度の評価の際に基準にした。低カルシウム(0.03mM)処理群と高カルシウム(1.2mM)処理群とをそれぞれ陰性/陽性対照群にし、低カルシウム濃度に試験物質を添加して実施した試験結果を、下表9に表した。
【0132】
【表9】

【0133】
上記表9の結果から、実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油及び実施例3の人参の種子粕抽出物は、角質形成細胞において分化を促進することを確認することができた。これは、古い角質細胞の脱落と新しい角質細胞の生成周期のターンオーバー周期を正常化させ、皮膚保湿を強化することができることを意味する。また、人参の花抽出物、人参の種子油及び人参の種子粕抽出物が皮膚角質の除去を促進することができることを示すことである。
【0134】
[試験例10]ヒト角質形成細胞のトランスグルタミナーゼの発現効果
ヒト角質形成細胞を96穴型細胞培養プレートの各ウェルに5×104個を入れて24時間付着させた。付着させた皮膚細胞株に試験物質を処理した後、二日経過した後、培地を除去し、−20℃の冷蔵庫に保管した。細胞の凍結−解凍を2回繰り返し、細胞を破壊させた後、−20℃で保管したアセトン:エタノール(1:1、v/v)を処理し、4℃で30分間放置して細胞を固定させた。その後、室温で放置して有機溶媒を蒸発させ、ブロッキング(1%ウシ血清アルブミン)、トランスグルタミナーゼ抗体(1次抗体)、HRPアンチ−マウス抗体(二次抗体)を処理し、発色はo−フェニレンジアミン(OPD)を添加して行った。発現量は490nmで吸光度を測定し、補正は630nmでバックグラウンドを測定して行った。低カルシウム(0.03mM)処理群と高カルシウム(1.2mM)処理群とをそれぞれ陰性/陽性対照群にし、低カルシウム濃度に実施例1の人参の花抽出物1ppm、10ppm、100ppmを添加して実施した試験結果を、下表10に表した。
【0135】
【表10】

【0136】
上記表10の結果において、本発明による実施例1の人参の花抽出物は、対照群に比べて優れた発現を示した。このことから、本発明による実施例1の人参の花抽出物がトランスグルタミナーゼの発現を向上させることが分かった。
【0137】
[試験例11]ヒトでの皮膚保湿力の増加
皮膚乾燥症がある50〜60代の成人男女75人を3つのグループに分け、各組に実施例4、実施例5と比較例1を毎日2回ずつ4週間顔面に塗布した。塗布開始前と、塗布後1週、2週、4週経過した時点、及び塗布を中止して2週経過(総6週経過)した後に、恒温、恒湿条件(24℃、相対湿度40%)下にコニオメーターで皮膚水分量を測定し、その結果を、下表11に表した。試験結果は、試験開始直前に測定したコニオメーターの値を基準にし、一定期間措置した後の測定値の増加分を百分率で表したものである。
【0138】
【表11】

【0139】
コニオメーターは、表皮の電気伝導度値を測定して皮膚に存在する水分量を測定する皮膚水分測定器である。上記表11に表されるように、実施例1の人参の花抽出物が含有された実施例4、実施例2の人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物が含有された実施例5の物質を塗布した群の方が、比較例1を塗布した対照群に比べて皮膚水分量がより増加した。また、実施例4及び実施例5の栄養クリームの塗布を中止して2週経過後(総6週経過)に皮膚水分を測定した数値が1〜2週経過後の数値とほぼ同じ数値を示しており、実施例4または実施例5を塗布しなくても所定期間にかけて本発明による人参の花抽出物、人参の種子油または人参の種子粕抽出物の塗布による皮膚水分が持続的に保持されることが分かった。
【0140】
[試験例12]皮脂分泌抑制効果
脂性肌緩和効果を測定するために、20〜45歳の脂性肌女性30人の額部分に、そのうち10人に対しては実施例4(人参の花抽出物含有)を、他の10人に対しては実施例5(人参の種子油と人参の種子粕抽出物含有)を、また他の10人に対しては比較例1を朝、夕方の1日2回塗布して使用させた後、1週、2週、3週、及び4週後に皮膚の皮脂分測定器(Sebumeter SM810)を利用して皮膚の皮脂分泌量を測定した。実験は20℃、相対湿度20%の条件下に行われ、下表12にその測定結果を表した。結果は被験者10人の平均値で示した。脂性肌の場合、測定値が220以上であり、正常肌の場合、100ないし220の間である。
【0141】
【表12】

【0142】
上記表12の結果において、本発明による実施例1の人参の花抽出物を含有する実施例4及び人参の種子抽出物を含有する実施例5の栄養クリームが過度な皮脂分泌を抑制する効果を示し、皮脂調節効果があることを確認することができた。これにより、頭皮を含む皮膚においてできる過度な皮脂によるニキビやトラブルも防止することができる。
【0143】
[試験例13]リポ多糖(LPS)誘導されたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の生合成抑制効果
ヒト線維芽細胞を105個の濃度で12穴平板培養器にて培養してからLPS処理を施した後、実施例1の人参の花抽出物を1ppm、10ppm及び100ppm含む培地、実施例2の人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物を1ppm、50ppm含む培地に入れ替えした。培養後二日目に細胞を収穫してウエスタンプロット方法にて生成されたCOX−2の量を定量した。対照群を100にし、濃度計で測定した値との比較値を下表13に表した。このとき、対照群は実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油及び実施例3の人参の種子粕抽出物を処理せずに培養した未処理群である。
【0144】
【表13】

【0145】
上記表13の結果から分かるように、本発明による実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油及び実施例3の人参の種子粕抽出物は、炎症反応誘発因子であるLPSで誘導されたCOX−2の生合成を濃度依存的に減少させて炎症反応を抑制することが分かった。また、これにより、皮膚トラブルを緩和させることができる効能を示した。
【0146】
[試験例14]ニキビ及び皮膚トラブル改善効果
実験への参加者は、平素ニキビを含めた皮膚トラブルのひどい女性15人であって、恒温・恒湿室でせっけんでの洗顔後30分間適応させ、ニキビの個数及び炎症が伴われた個数を比較して皮膚トラブルの程度を測定した。
【0147】
上記被験者に対して実施例4、実施例5及び比較例1の栄養クリームをそれぞれ4週間使用させた後ニキビ及び皮膚トラブルの程度を比較し、その結果を下表14に表した。
【0148】
【表14】

【0149】
上記表14の結果から分かるように、本発明による実施例1の人参の花抽出物を含む実施例4、実施例2の人参の種子油と実施例3の人参の種子粕抽出物を含む実施例5を4週間塗布した結果、既存のニキビ個数の減少及び炎症に伴うトラブルの改善効果が示された。
【0150】
[試験例15]ヒト皮膚(顔)の血色改善効果
本発明の人参の花抽出物を含有する組成物に対し、皮膚での血液循環促進効果を評価するために、レーザードプラー灌流画像(LDPI)を利用して皮膚での血液循環位を測定した。LDPIは皮膚での血液循環を測定する機器として広く知られており、現在も使用されている機器であり、皮膚の毛細管に対して血液の速度や量だけでなく小動脈と小静脈での血流まで測定することができる非常に敏感な機器である。
【0151】
恒温・恒湿室内でせっけんでの洗顔後30分間適応させ、LDPIと皮膚温度測定器具である赤外(IR)カメラを利用して初期値を測定した。実験への参加者は、平素手足冷え性のある女性40人で、LDPIで額の下部分の初期血流量を測定し、IRカメラを利用して額、眼の下及び頬の皮膚温度初期値を測定した。
【0152】
実施例4と5を1週間被験者に対して使用させた後に血流量と皮膚温度(℃)を初期測定値と比較し、その結果をそれぞれ下表15に表した。
【0153】
【表15】

【0154】
上記のように、本発明による人参の花抽出物を含有した実施例4及び人参の種子油と人参の種子粕抽出物を含有した実施例5を使用した結果、被験者らの顔から末梢血液循環改善効果によって血色が改善することを確認することができ、これは、究極的に本発明による人参の花抽出物または人参の種子抽出物を含有する場合、皮膚の栄養分を効果的に伝達し、皮膚老化を抑制し且つ遅延させるのに寄与することができることを示唆する。
【0155】
[実施例6〜8及び比較例2]
上記実施例1に従い調製された人参の花抽出物、実施例2と3に従い調製された人参の種子油及び人参の種子粕抽出物を含有する組成物を、下表16の組成どおり混合して調製した。
【0156】
【表16】

【0157】
[試験例16]脱毛防止効果
初期脱毛現象のある被験者30人を対象にして脱毛防止効果に関する実験を16週間施した。上記実施例6、7、8、及び比較例2の組成物を1日1回ずつ16週間使用させてから16週が経過した後、髪を洗う際に脱け毛を収集してその本数を数え、その結果を表17に表した。
【0158】
【表17】

【0159】
上記表17に表すように、人参の花抽出物、人参の種子油、または人参の種子粕抽出物を含有した組成物を処理した場合、比較例に比べて脱け毛の本数が有意に減少することを確認することができた。
【0160】
[試験例17]ふけ菌抑制効果
上記実施例1(人参の花抽出物)、実施例2(人参の種子油)及び実施例3(人参の種子粕抽出物)がピチロスポルム・オバレ(Pityrosporum ovale)(ATCC 12087)を抑制する効果があるか否かを調べるために液体培地希釈法を用いて実験を行った。このとき、二重希釈を行ってから、32℃で24時間及び48時間定置培養した後、その懸濁された程度により菌の増殖有無を判断し、菌の増殖がない最小濃度を最小阻害濃度(MIC)と決定した。なお、混合液が不透明で菌の増殖有無を判断しにくい場合は、顕微鏡観察を通じて確認した。その結果を下表18に表した。
【0161】
【表18】

【0162】
上記表18から、人参の花抽出物、人参の種子油及び人参の種子粕抽出物のMICの減少程度が優れていることが分かる。したがって、人参の花抽出物、人参の種子油及び人参の種子粕抽出物は、頭垢の治療及び防止に効果的に使用できる。
【0163】
[試験例18]毛髪光沢改善効果
毛髪試料0.1gをシャンプー0.1gで洗浄してから流れる水にきれいに洗った後、毛髪試料を25℃、50%湿度条件下に6時間乾燥させた。しかる後、上記表16の実施例6、7、8、及び比較例2の組成物をそれぞれ0.1gずつ塗布し、次のような方法にてゴニオフォトメーターを使用して光沢を測定した。
【0164】
毛髪試料をハロゲンランプが装着されているゴニオフォトメーターで光沢を測定した。上記ゴニオフォトメーターでは、光の入射角は30度であり、0から90度までの反射した値を得ることができる。光沢度は次式4で計算した。
【0165】
【数4】

【0166】
光沢は、乱反射が少なくて正反射が多いほど良い結果を示しており、その測定結果を下表19に示した。
【0167】
【表19】

【0168】
上記表19の結果から、人参の花抽出物または人参の種子抽出物を含有した組成物を処理した場合、比較例に比べて毛髪光沢が有意に改善することを確認することができた。
【0169】
[試験例19]脂肪細胞の分化促進効果
ヒトの骨髄中間葉幹細胞(hBM−MSCs)をロンザ社(Lonza、Inc.Walkersbille、MD、USA)から購入し、ロンザ社の指針書によって培養した。脂肪細胞分化は、インドメタシンの代わりにトログリタゾン(TRO)を使用して中間葉幹細胞の脂肪細胞分化を誘導したことを除いては、ロンザ社で勧奨する方法にて行った。具体的に、中間葉幹細胞の培養液にインシュリン1g/ml、デキサメタゾン(DEXA)1M、イソブチルメチルキサンチン(IBX)0.5mM及びTRO 2Mを入れて培養して、中間葉幹細胞を脂肪細胞に分化させた。実験群の場合、脂肪細胞分化への誘導時に実施例1の人参の花抽出物、実施例2の人参の種子油、実施例3の人参の種子粕抽出物、トログリタゾン、及びグリベンクラミド(Sigma−aldrich、U.S.Aから購入)をそれぞれ10M処理後(十日間二日置きに処理)、各10Mを培地に添加した。中間葉幹細胞の脂肪細胞分化を誘導して十日後、細胞培養液を除去してPBSで細胞を洗浄してから、10%ホルマリン/PBS溶液0.2ml/cm2を使用して細胞を10分間固定させた。固定された細胞を60%イソプロパノール溶液0.5ml/cm2で1回洗浄し、オイルレッドO(Oil Red O)を60%イソプロパノールに溶かしてなる染色液を0.2ml/cm2で10分間脂肪細胞内の脂質体を染色した。染色されたオイルレッドOを100%イソプロパノール溶液で溶出させた後、500nmの波長で吸光度を測定した。その結果を下表20に表した。各データ値は、IDX(−)陰性対照群で補正した。
【0170】
【表20】

【0171】
上記表20から分かるように、人参の花抽出物及び人参の種子抽出物は、脂肪細胞の分化を促進することを確認することができた(P値<0.01)。
【0172】
以下、本発明による組成物の剤形例を説明するが、これに限定されるものではない。
【0173】
[製剤例1]柔軟化粧水(スキンローション)
【0174】
【表21】

【0175】
[製剤例2]栄養化粧水(ミルクローション)
【0176】
【表22】

【0177】
[製剤例3]マッサージクリーム
【0178】
【表23】

【0179】
[製剤例4]パック
【0180】
【表24】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人参の種子抽出物及び人参の花抽出物のうち一つ以上を有効成分として含有する皮膚外用剤組成物。
【請求項2】
前記人参の種子抽出物は、人参の種子油である、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】
前記人参の種子抽出物は、皮膚外用剤組成物の総重量に対して0.001〜100重量%の濃度で含有される、請求項2に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
前記人参の種子抽出物は、人参の種子粕抽出物である、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
前記人参の種子粕抽出物は、皮膚外用剤組成物の総重量に対して0.001〜10重量%の濃度で含有される、請求項4に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】
皮膚損傷を抑制して皮膚を保護するために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項7】
酸化または紫外線による皮膚損傷を減少させることによって皮膚を保護するための、請求項6に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項8】
前記皮膚は、頭皮または毛髪である、請求項6に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項9】
皮膚老化を予防または改善するために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項10】
酸化または紫外線による皮膚損傷抑制、コラーゲン生成促進またはマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP−1)の生合成阻害によって皮膚の老化を抑制するための、請求項9に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項11】
皮膚しわを予防または改善させるために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項12】
コラーゲン生成促進またはマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP−1)の生合成阻害によって皮膚しわを予防または改善させる、請求項11に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項13】
皮膚弾力を改善させるために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項14】
皮膚美白のために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項15】
メラニン生成抑制または皮膚に沈着された色素の美白化によって皮膚美白を遂行する、請求項14に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項16】
皮膚保湿のために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項17】
角質形成細胞の分化促進またはトランスグルタミナーゼ発現促進によって皮膚水分を保持する、請求項16に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項18】
アトピーまたは乾癬を含む皮膚乾燥疾患を予防または改善するために使用される、請求項16に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項19】
皮膚角質除去のために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項20】
皮膚の皮脂調節のために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項21】
皮脂の分泌を抑制することによって皮膚の皮脂を調節する、請求項20に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項22】
炎症の予防または改善、または刺激緩和のために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項23】
前記皮膚は頭皮である、請求項22に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項24】
ニキビを含む皮膚トラブルを予防または改善するために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項25】
前記皮膚は頭皮である、請求項24に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項26】
皮膚血色を改善するために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項27】
前記皮膚は、頭皮または毛髪である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項28】
脱毛予防のために使用される、請求項27に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項29】
抗ふけのために使用される、請求項27に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項30】
毛髪の光沢または柔らかさを改善するために使用される、請求項27に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項31】
顔またはボディーのボリューム及び弾力を改善するために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項32】
脂肪細胞の分化促進によって顔またはボディーのボリューム及び弾力を改善する、請求項31に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項33】
顔またはボディーラインを改善するために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−522881(P2011−522881A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513407(P2011−513407)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002206
【国際公開番号】WO2009/151212
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(505118718)アモーレパシフィック コーポレイション (21)
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【Fターム(参考)】