説明

人工ゼオライト、及び、軽質オレフィンの製造方法

【課題】軽質オレフィン類のような石油化学製品の製造に用いることのできる高性能・高品質なペンタシル型ゼオライトを、産業廃棄物を利用して、経済的に有利な方法で安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】碍子廃材を高温溶融後、急冷して得た粉砕物を主原料とし、原料中のアルミニウム原子の数を1としたときの、原料中の珪素の原子の数が7.5以上03mmol/g以上であり、かつ、ペンタシル型構造を有する人工ゼオライト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンやプロピレンなどの軽質オレフィン製造用の触媒、そのような触媒の原料として用いることができる人工ゼオライト、および、該触媒を用いた軽質オレフィンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軽質オレフィン(エチレン・プロピレン)は、化学工業の基礎原料として種々の化学物質に変換されて利用されている。現在、これらの軽質オレフィンは、主にナフサ等の飽和炭化水素の熱分解や、ゼオライト触媒を用いた接触分解法で製造されている。接触分解法で利用されているゼオライトは、主にFAU型、MFI型(いずれも、InternationalZeolite Associationの定義に基づく構造コード)であるが、軽質オレフィンの収率を高めるためには、ZSM−5ゼオライトに代表されるMFI型ゼオライトが特に効果的であることが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
また、軽質オレフィンは、メタノールやエタノール、ジメチルエーテル等のような含酸素化合物を原料としてゼオライト触媒で反応させることによっても合成することができるが、このような反応でも、MFI型ゼオライトが特に効果的であることが知られている(非特許文献2)。MFI型ゼオライトは、酸素10員環構造をもつ「ペンタシル型」ゼオライトの1種であり(非特許文献3)、ペンタシル型の構造が軽質オレフィンの生成に適していると言える。
【0004】
ZSM−5ゼオライトに代表されるMFI型ゼオライトの合成方法についてはこれまで数多く報告されている(非特許文献4)。これらのゼオライトの合成の際には、珪素源、アルミニウム源が必要であるが、触媒として使用可能な高品質のゼオライトを安定して得るためには、高い純度で安定した品質の珪素源、およびアルミニウム源を使用する必要がある。
【0005】
珪素源としては例えば高純度コロイダルシリカ、または水ガラス等が用いられており、アルミニウム源としては高純度水酸化アルミニウム、アルミナゾル、あるいはベーマイト等を使用するのが一般的である。これらの高純度の珪素源、アルミニウム源を用いてMFI型ゼオライトを合成した場合、触媒として高い性能のものが得られるが、価格が高価になるという課題があった。
【0006】
一方、ゼオライト合成のコストを低減するために、石炭灰やスラグ等の産業廃棄物を利用したゼオライト合成法が報告されている(例えば特許文献1〜4)。しかしながら、これらの産業廃棄物を利用して、軽質オレフィン類のような石油化学製品の製造に用いることのできる高性能・高品質なMFI型ゼオライトを、経済的に有利な方法で安定して製造する方法は、これまで確立されていなかった。
【非特許文献1】「ゼオライトの科学と工学」、小野嘉夫、八嶋建明編、講談社サイエンティフィク刊、2000年、169ページ
【非特許文献2】「C1ケミストリー」、触媒学会編、講談社サイエンティフィク刊、1984年、130ページ
【非特許文献3】「ゼオライトの科学と応用」、冨永博夫編、講談社サイエンティフィク刊、1987年、87ページ
【非特許文献4】「ゼオライトの科学と応用」、冨永博夫編、講談社サイエンティフィク刊、1987年、88ページ
【特許文献1】特許第33227105号公報
【特許文献2】特許第3708484号公報
【特許文献3】特開2002−173320公報
【特許文献4】特開2002−68731公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、多量に発生し、有用な処分方法が嘱望されている産業廃棄物である廃碍子を利用して、経済的に有利で、かつ、好適に用いることができる軽質オレフィン製造用の触媒、及び、その原料となるペンタシル型ゼオライト(例えばMFI型ゼオライト)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の人工ゼオライトは前記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、碍子廃材を高温で溶融した後、急冷して粉砕して得た粉砕物を主原料とし、原料中のアルミニウム原子の数を1としたときの、原料中の珪素の原子の数が7.5以上となるように原料を調製した後、密閉容器内のアルカリ水溶液中で加熱反応処理を行って得られる人工ゼオライトであり、100℃の0.5体積%−アンモニアガス・ヘリウムガス混合雰囲気中でアンモニアガスを飽和吸着させた後、100℃から700℃まで20℃/分の昇温速度で加熱したときに100℃以上250℃未満の加熱期間に放出されるアンモニア放出量を100としたときに、250℃以上700℃以下の加熱期間に放出されるアンモニア放出量が200以上であり、これらアンモニア放出量の和から算出される酸量が0.03mmol/g以上であり、かつ、ペンタシル型構造を有することを特徴とする人工ゼオライトである。
【0009】
本発明の人工ゼオライトは、請求項2に記載の通り、前記請求項1に記載の人工ゼオライトにおいて、前記人工ゼオライトが、水素型化処理されたものであることを特徴とする軽質オレフィン製造用触媒の製造方法である。
【0010】
本発明の人工ゼオライトは、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の人工ゼオライトにおいて、前記加熱反応処理において、
下記化学式1で示される化合物、
【化1】

下記化学式2で示される化合物、化学式RX(式中Rはアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)で示される化合物、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)の組合せA、
【化2】

化学式RNHR10(式中RおよびR10はアルキル基)で示される化合物、化学式R11X(式中R11はアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)で示される化合物、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)との組合せB、及び、
化学式NH12で示される化合物(式中R12はアルキル基)、化学式R13X(式中R13はアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)で示される化合物との組合せCから選ばれる1つ以上のテンプレート剤を併用するとともに、
前記水素型化処理工程の前に、前記ペンタシル型構造を有する人工ゼオライト内のテンプレート剤を除去するテンプレート除去工程を経て製造されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の人工ゼオライトは、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の人工ゼオライトにおいて、前記加熱反応処理が、加圧下100℃超の温度で行われたことを特徴とする。
【0012】
本発明の人工ゼオライトは、請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の人工ゼオライトにおいて、前記碍子廃材の溶融が、プラズマ炉により行われたことを特徴とする。
【0013】
本発明の人工ゼオライトは、請求項6に記載の通り、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の人工ゼオライトにおいて、前記急冷が、溶融した碍子廃材を水中に導入して行われたことを特徴とする。
【0014】
本発明の人工ゼオライトは、請求項7に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の人工ゼオライトにおいて、前記テンプレート剤として、前記化学式1で示される化合物を用い、かつ、該化学式中のR〜Rがすべて、炭素数2以上5以下の同じアルキル基であることを特徴とする。
【0015】
本発明の軽質オレフィンの製造方法は、請求項8に記載の通り、前記請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の人工ゼオライトを軽質オレフィン製造用触媒として用いて、炭化水素化合物、及び/または、含酸素有機化合物を反応させて軽質オレフィンを製造することを特徴とする軽質オレフィンの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の人工ゼオライトは、多量に発生する廃棄物である廃碍子を原料としながらも従来の軽質オレフィン製造用触媒同様に高い性能を有する軽質オレフィン製造用触媒の原料として用いることができる。
【0017】
本発明の人工ゼオライトによれば、碍子廃材をその特性を充分活かして有効利用し、経済的に有利な方法で、従来の軽量オレフィン製造用触媒と同様な、化学工業原料として有用な軽質オレフィンを高収率で製造可能な高活性な軽量オレフィン製造用触媒とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の人工ゼオライトは、碍子廃材を高温で溶融した後、急冷して粉砕して得た粉砕物を主原料とし、原料中のアルミニウム原子の数を1としたときの、原料中の珪素の原子の数が7.5以上となるように原料を調製した後、密閉容器内のアルカリ水溶液中で加熱反応処理を行って得られる人工ゼオライトであり、100℃の0.5体積%−アンモニアガス・ヘリウムガス混合雰囲気中でアンモニアガスを飽和吸着させた後、100℃から700℃まで20℃/分の昇温速度で加熱したときに100℃以上250℃未満の加熱期間に放出されるアンモニア放出量を100としたときに、250℃以上700℃以下の加熱期間に放出されるアンモニア放出量が200以上である。
【0019】
ここで、アンモニアガスを飽和吸着させる条件としては、内径0.8cmの石英管(測定用セル)に0.1gの測定対象サンプルを入れて、400℃に保ちながら100%ヘリウムガスを50mL/分(0℃、1気圧換算、以下同様。)で流しながら2時間加熱処理して脱水させた後、100℃に保ちながら50mL/分の流量で0.5体積%−アンモニアガス・ヘリウムガス混合ガス(ヘリウムガスは99.5体積%)を45分間流通させることによって行った。
【0020】
上記の飽和吸着処理後、ゼオライトの温度を100℃に保ったまま、100%ヘリウムガスを50mL/分の流量で30分間流通した後、ガスを停止し、次いで、測定用セルを1時間真空排気した。その後、100%ヘリウムガスを50mL/分の流量で流通させながら、100℃から710℃まで20℃/分の昇温速度で加熱しながら、測定用セルの出口ガス中のアンモニア濃度を、質量分析計で定量した。なお、これらの測定は、市販の触媒物性測定装置(例えば日本ベル株式会社製、TPD−1−AT型)を用いて測定することができる。
【0021】
この測定のときに、100℃以上250℃未満の加熱時間に放出されるアンモニア放出量(積算量)を100とした場合に、250℃以上700℃以下の加熱期間に放出されるアンモニア放出量(以下、「弱酸点部結合アンモニア放出量(100)に対する強酸点部結合アンモニア放出量」とも云う。)が200以上であることが軽質オレフィンを高収率で製造可能な高活性ゼオライト触媒として用いる場合、必要である。
【0022】
ここで、250℃までに放出されるアンモニアは人工ゼオライト中の弱い固体酸部分に吸着されたものであり、250℃以上の温度で放出されるアンモニアは人工ゼオライト中の強い固体酸部分に吸着されたものであると考えられ、後者の強い固体酸部分は軽質オレフィン製造における触媒作用への関与が大きい部分であると考えられており、弱酸点部結合アンモニア量(100)に対する強酸点部結合アンモニア量が200を越えることにより、軽質オレフィン製造における優れた触媒活性が生じると考えられる。
【0023】
さらに、酸量が0.03mmol/g以上であることが、軽質オレフィンを高収率で製造可能な軽質オレフィン製造用触媒を得る場合、必要である。ここで、酸量とは人工ゼオライト1g当たりの前記弱酸点部結合アンモニア放出量(mol)と強酸点部結合アンモニア放出量(mol)との和である。
【0024】
また、本発明の人工ゼオライトは、軽質オレフィン製造用触媒として用いた場合に高い性能を得るためにペンタシル型構造を有することが必要である。
【0025】
このような、本発明の人工ゼオライトは例えば次のようにして得ることができる。
すなわち、碍子廃材を高温で溶融した後、急冷して粉砕して得た粉砕物を主原料とし、原料中のアルミニウム原子の数を1としたときの、原料中の珪素の原子の数が7.5以上となるように原料を調製した後、密閉容器内のアルカリ水溶液中で加熱反応処理を行ってペンタシル型構造を有する人工ゼオライトを得て、その後、前記人工ゼオライトに対して、水素型化処理を行う。
【0026】
碍子廃材とする廃碍子は高圧送電用、一般送電用など、珪素を含む一般的なものを用いることができる。これらには、金属金具などがセメント等を接着剤として接着されている場合や硫黄などが塗布されていることがあるが、このような碍子以外のものは予め除去し、汚れ等は予め除去することが好ましい。ただし、有機物等は高温処理で除去されるので、付着物の種類によりこれら付着物の除去を行わないことも可能である。
【0027】
碍子廃材は、溶融時に大型の炉で溶融する場合にはそのまま用いても良いが、通常は0.01mm〜5mm程度に粉砕する。
【0028】
基本的には珪素源としてはこれら碍子廃材で充分であるが、廃碍子にはアルミニウムが含まれており、合成しようとするゼオライトの組成によっては、アルミニウムが少なすぎたり、多すぎたりする場合があり、このため、廃光ファイバ、あるいは、スート法などによる光ファイバ製造過程で発生する微細な二酸化ケイ素粉末廃棄物(白色スート)や、光ファイバへの延伸工程で発生する端材(石英ガラス未利用物)を珪素供給原料(含珪素無機化合物)として配合して用いたり、あるいは、石炭灰、廃陶石粉砕物、陶器粉砕物、磁器粉砕物、アルミドロス、廃金属アルミニウムなどをアルミニウム供給原料(含アルミニウム無機化合物)として配合して用いることができる。後述の含珪素無機化合物及び含アルミニウム無機化合物を溶融時に添加する場合には碍子廃材と同程度の大きさとする。
【0029】
これら碍子以外の原料の場合、結晶していないもの、あるいは、結晶の大きさが小さいものに関しては、必要に応じて微粉化して、碍子廃材を溶融・冷却した後に、添加・配合しても良い。すなわち、前記アルカリ水溶液中での加熱処理の前までに、原料中の珪素原子存在量とアルミニウム原子存在量との比を調整する工程があれば良い。
【0030】
ここで、前記のように碍子廃材に他の材料を加えて原料中の珪素原子存在量とアルミニウム原子存在量との比を調整する以外に、碍子廃材に、あるいは、碍子廃材を溶融し急冷したものに対して、例えば、塩酸などの酸を用いて珪素原子存在量とアルミニウム原子存在量との成分調整を行うことができ、また、これら両者は併用することも可能である。
【0031】
このようにして、前記碍子廃材に、あるいは、碍子廃材を溶融し急冷したものに、含珪素無機化合物、及び/または、含アルミニウム無機化合物(これらを副原料とも云う)を添加して、原料中のアルミニウム原子の数を1としたときの、原料中の珪素の原子の数(この比をケイバン比とも云う)が、ペンタシル型構造を有するZSM−5などの高機能な固体酸触媒であるゼオライトを得るためには、7.5以上、好ましくは10以上とする。
【0032】
碍子廃材の溶融は、一般的な加熱手段で行うことができるが、加熱効率や溶融するまでに必要な時間等を勘案すると、プラズマ炉によることが望ましい。プラズマ炉としては酸素プラズマ炉、空気プラズマ炉、あるいは、アルゴンプラズマ炉などが挙げられるが、運転コストが低く、原料に付着した有機物の影響を除去できる空気プラズマ炉であることが望ましい。
【0033】
溶融時の加熱温度、加熱時間としては、碍子廃材及び副原料が完全に溶融する温度であることが必要である。溶融が完全でないと、これら原料の結晶が残ってしまい、次工程(アルカリ水溶液中で加熱処理)での収率及び収量が著しく低下する。用いる碍子廃材にもよるが、通常、1300〜1500℃以上2000℃以下である。
【0034】
本発明において、溶融後に溶融物を急冷することが必要である。この急冷により、ガラス質の破砕物が得られる。急冷としては水へ溶融物を投入することが、コスト、安全性、工程や装置設計の安易さなどから好ましい。ここで、急冷が充分でない、すなわち緩冷の場合には、結晶が生成してしまい、結果として次工程(アルカリ水溶液中で加熱処理)での収率及び収量が著しく低下する。
【0035】
前記急冷により溶融物はガラス質の固体となると同時に微細化する。しかし、アルカリ水溶液中で加熱処理での反応速度を高くするために、必要に応じて、さらに微細化する。粒径が0.1μm以上0.1mm以下とすることが望ましい。
【0036】
このようにして得られた、ガラス質の原料から、次工程であるアルカリ水溶液での加熱処理で、珪素成分及びアルミニウム成分が溶液中に溶出し、これら両成分からゼオライトが形成される。
【0037】
アルカリ水溶液で用いるアルカリ金属成分、そのイオン半径(水和イオンの半径が関与する場合もある)は得られるゼオライトの孔径に影響を及ぼすので、所望のゼオライトに併せて適宜選択するが、通常は水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウムを用いる。このとき、高い反応性、及び、低コストが達成できる。
【0038】
アルカリ水溶液中の水酸化物イオンはまた、その溶液中の反応において原料から珪素成分やアルミニウム成分を取り出し、珪素・酸素四面体構造、及び、アルミニウム・酸素四面体構造からなる立体骨格を形成させる反応を可能とする。
【0039】
反応温度としては、反応速度を高めるために、60℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上250℃未満の温度で行う。100℃未満であると熱処理時間を長くなって実用的でなくなる。一方、250℃以上とすると、装置にかかるコストが大きくなりすぎる。さらに好ましい処理温度は140℃以上180℃以下である。一般的に処理温度の上昇と共に、得られるゼオライトの粒径は大きくなる。
【0040】
本発明におけるアルカリ水溶液中での加熱反応処理では、ペンタシル型構造を有するZSM−5などの高機能な固体酸触媒として用いることができるゼオライトをより選択的に、効率よく得るためにはテンプレート剤を併用することが好ましい。
【0041】
テンプレート剤は人工ゼオライトの細孔の形状・大きさを決定する重要な働きをする。すなわち、主として珪素・酸素四面体構造、及び、アルミニウム・酸素四面体構造からなる立体骨格はこのテンプレート剤を囲むようにして形成される。従ってテンプレート剤の形状・大きさの選択は重要である。
【0042】
ここで、本発明では、テンプレート剤としては、第四アンモニウム塩、ないし、第四アンモニウム塩状の立体構造を形成する化合物の組合せを用いる。このようなものとして、下記化学式1で示される化合物、
【化3】

下記化学式2で示される化合物、化学式RX(式中Rはアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)で示される化合物、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)の組合せA、
【化4】

化学式RNHR10(式中RおよびR10はアルキル基)で示される化合物、化学式R11X(式中R11はアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)で示される化合物、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)との組合せB、あるいは、化学式NH12で示される化合物(式中R12はアルキル基)、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)、化学式R13X(式中R13はアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)で示される化合物、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)との組合せCなどを併用する。
【0043】
ここで、得られる人工ゼオライトの、主として珪素・酸素四面体構造、及び、アルミニウム・酸素四面体構造からなる立体骨格に欠陥が生じないよう、第四アンモニウム塩、ないし、第四アンモニウム塩状の立体構造を形成する化合物の組合せは正四面体構造を形成するものとなることが望ましく、そのため、前記テンプレート剤として、前記組合せAを用いる場合にはR〜Rがすべておなじアルキル基であることが望ましく、また、得られる人工ゼオライトを用いて最終的に得られる軽質オレフィン製造用触媒の触媒性能が高くなるために、このようなアルキル基の炭素数としては2以上5以下であることが望ましい。
【0044】
同様に、前記テンプレート剤として、前記組合せBを用いる場合には、R〜R11が同じアルキル基であることが望ましく、またこれらアルキル基の炭素数は2以上5以下であることが望ましい。なお、化学式2で示される化合物と化学式RXで示される化合物との配合比は1:2ないしその近傍とすることが望ましい。
【0045】
さらに、前記テンプレート剤として、前記組合せCを用いる場合には、R12とR13とが同じアルキル基であることが望ましく、またこれらアルキル基の炭素数は2以上5以下であることが望ましい。なお、化学式NH12で示される化合物と化学式R13Xで示される化合物との配合比は1:3ないしその近傍とすることが望ましい。
【0046】
本発明の人工ゼオライトでは、組合せA〜Cでは、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)、いわゆるケトン類の配合を行う。
【0047】
ここでR14及びR15は同じアルキルであることが好ましく、さらに、組合せA〜Cで併用するアミンのアルキル基と同じものであることがより好ましい。
【0048】
これらケトン類は配合物中原料における珪素重量を1としたときに対して、通常、0.01以上5以下となるように配合する。配合量が0.01未満であると反応が遅延して収率が低くなりやすく、5超であると副反応が起こり、原料が無駄となり、あるいは、人工ゼオライトの合成反応を阻害する可能性もある。
【0049】
テンプレート剤は通常、前記の内、いずれか1つ(1つの組合せ)を用いるが、これらを2つ以上組み合わせて用いても良い。
【0050】
これらテンプレート剤は配合物中原料における珪素重量を1としたときに対して、通常、0.1以上0.5以下となるように配合することが好ましい。配合量が0.1未満であると反応が遅延して収率が低くなりやすく、0.5超であると有機化合物どうしの反応、つまり副反応が起こり、テンプレート剤が有効に用いられずに無駄となり、あるいは、人工ゼオライトの生成反応を阻害する可能性もある。好ましい範囲は0.15以上0.45以下である。
【0051】
本発明の人工ゼオライトの合成には、前記原料(溶融急冷粉砕物、必要に応じて副原料)、前記テンプレート、さらに、前記ケトン類を必要に応じて、添加し、アルカリ水溶液中で反応させる。
【0052】
水溶液の水は反応液が良好に撹拌できる程度で充分である。水が多すぎれば反応速度は遅くなり、少なければ撹拌が充分できず、反応が不均一となる。
【0053】
これら原料を密閉容器(反応容器)内に入れ、加熱して反応させることにより人工ゼオライトの、主として珪素・酸素四面体構造、及び、アルミニウム・酸素四面体構造からなる立体骨格を形成することができる。
【0054】
この加熱反応処理時間としては、予め検討して決定するが、例えば、140℃での処理では、通常30分以上数時間程度であり、一般に、温度が低いときには長くし、温度が高ければ短くする。
【0055】
加熱反応処理終了後、通常は冷却後に、反応容器から反応物を取り出し、必要に応じて水、アルコール等などで適宜洗浄後、乾燥する。
【0056】
テンプレート剤を併用して加熱反応処理を行った場合にはゼオライトの結晶格子の中にテンプレート剤が取り込まれており、このままでは触媒として有効に用いることができないので、テンプレート除去工程によりテンプレート剤を除去する。
【0057】
テンプレート剤の除去のためには、酸素含有雰囲気下で加熱処理(焼成処理)を行って酸化させて除去する。
【0058】
このとき、アルカリ水溶液中での加熱処理で形成された主として珪素・酸素四面体構造、及び、アルミニウム・酸素四面体構造からなる立体骨格内のテンプレート剤が雰囲気中の酸素(例えば空気中の酸素ガス)により酸化除去される。例えば500℃以上で行う。前記骨格は耐熱性が高いが、コスト的な要因により、通常は600℃以下で行う。
【0059】
また、上記乾式酸化法の他に、過酸化水素水などの酸化剤を用いて湿式酸化を行ってもよく、このとき、熱履歴温度が低いので人工ゼオライトへのダメージがより少なくなる。
【0060】
このようにテンプレートが除去された人工ゼオライトに対して水素型化処理を行う。具体的はたとえば室温以上80℃程度で、0.5〜10mol/Lの可溶性な酸のアンモニウム塩の水溶液に、1分〜10時間程度浸漬し、その後乾燥し、必要に応じては数回繰り返した後、200℃〜800℃、好ましくは350〜800℃での加熱処理を行う。また、必要に応じて濃度を調整した塩酸や硝酸などの酸で処理して水素型化することもできる。
【0061】
前記酸処理で用いる酸としては、硫酸、硝酸、各種リン酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、多価のカルボン酸、あるいは/及び、これら酸のアンモニウム塩が挙げられる。また、水素型陽イオン交換樹脂を用いて水素型化しても良い。
【0062】
このようにして得られる水素型化された人工ゼオライトは、軽量オレフィンを製造する際に特に有用な軽質オレフィン製造用触媒として用いることができる。
【実施例】
【0063】
以下に本発明の人工ゼオライトの実施例について具体的に説明する。
【0064】
<実施例1>
碍子廃材としては、高圧送電用の碍子(金属金具、セメント、汚れ等付着物を除去したもの)を用いた。粒径が2〜4mm程度となるように粉砕した。このもののケイバン比は2.9であった。
【0065】
次いで、前記粉砕した碍子廃材10kgを空気プラズマ型プラズマ炉内で1600℃に加熱して充分に溶融させた。この溶融物をプラズマ炉底部に設けた炉底口から室温の水(約1m)中へ投下し、急冷した。
【0066】
得られた溶融急冷物は急冷により粉砕されており、その粒径は2mm〜5mmであり、これをホソカワ粉体研究所製の粉砕器で粒径が1μm〜100μm程度で平均粒径が40μmとなるように粉砕し、急冷粉砕物を得た。
【0067】
前記急冷粉砕物500gと、含珪素無機化合物として、白色スート(スート法による光ファイバ製造過程で発生する微細な二酸化ケイ素粉末廃棄物)2000gとを混合して、混合原料を得た。
【0068】
テンプレート剤としては、テトラプロピルアンモニウムブロマイドを用いたてアルカリ水溶液での加熱処理を行った。
【0069】
前記混合原料に対してテトラプロピルアンモニウムブロマイドを3kg、及び、水酸化ナトリウム400gを75kgの水に溶かしたアルカリ溶液を加え、圧力容器内に仕込んだ後、撹拌しながら160℃で2時間保った。
【0070】
2時間後得られた試料を濾過し、乾燥させた反応物は1.66kgあった。さらにこの反応物の一部を空気中で550℃、2時間の燃焼処理を行い、反応物中のテンプレートを酸化除去し、人工ゼオライトαを得た。得られた人工ゼオライトαのX線回折解析を行った。結果を図1に示す。図1の結果は市販のZSM−5での解析結果と一致し、得られた人工ゼオライトαはZSM−5タイプの人工ゼオライトであることが確認された。
【0071】
人工ゼオライトαの結晶径は3.9μm、酸量は0.04mmol/g、ケイバン比は59.6であった。
【0072】
次いで、上記人工ゼオライトα10gを11mol/Lの塩化アンモニウム水溶液50mlに加えて2時間震盪した後、濾過後水洗し、次いで、550℃で、2時間空気中で加熱して水素型化処理を行い、本発明に係る人工ゼオライトαを得た。
【0073】
人工ゼオライトαは人工ゼオライトαと同様にZSM−5タイプの人工ゼオライトであり、平均結晶径は3.9μm、ケイバン比は59.6であることを確認した。このゼオライトに対し、日本ベル株式会社製TPD−1−AT型触媒物性測定装置を用いて、100℃の0.5体積%−アンモニアガス・ヘリウムガス混合雰囲気中でアンモニアガスを飽和吸着させた後、100℃から700℃まで20℃/分の昇温速度で加熱してアンモニアの吸着・脱離分析を行ったところ、酸量は0.04mmol/gであり、弱酸点部結合アンモニア放出量(100)に対する強酸点部結合アンモニア放出量は、364であった。
【0074】
<実施例2>
前記、人工ゼオライトαと同様に、ただし、白色スートの配合量を2000gではなく1100gとするとともに、燃焼処理条件を変更して、500℃で2時間加熱した後、300℃で2時間加熱して、本発明に係る人工ゼオライトβを得た。この人工ゼオライトβのX線回折解析の結果を図2に、それぞれ示す。
【0075】
次いで、人工ゼオライトβに対して人工ゼオライトα同様に水素型化処理を行い、本発明に係る人工ゼオライトβを得た。この人工ゼオライトβの諸物性を表1に示した。
【0076】
<実施例3>
前記、人工ゼオライトαと同様に、ただし、白色スートの配合量を2000gではなく600gとするとともに、燃焼処理条件を変更して、500℃で2時間加熱して、本発明に係る人工ゼオライトγを得た。この人工ゼオライトγのX線回折解析の結果を図3に、それぞれ示す。
【0077】
次いで、人工ゼオライトγに対して人工ゼオライトα同様に水素型化処理を行い、本発明に係る人工ゼオライトγを得た。この人工ゼオライトγの諸物性を表1に示した。
【0078】
【表1】

【0079】
<評価サンプルの作製>
前記人工ゼオライトα、β、及び、γh、を、それぞれ40MPaの荷重で圧縮固化させた後、乳鉢で粉砕し、ふるい分けして平均粒子径1.5mmの成型粒子を分取して、触媒能評価サンプルとした。
【0080】
<評価1: ジメチルエーテルの転化反応>
各触媒能評価サンプルの1gを、固定床流通式反応器(内径1.4cm、長さ40cmのステンレス製反応管、外径0.3cmの熱電対用鞘管付き)に充填した。このとき、触媒層の上下には石英ウールおよび0.2mmφのアルミナボールを充填した。
【0081】
この反応管に、流量制御器(マスフローコントローラー)を用いて空気を40mL/分(0℃、1気圧換算、以下同じ)で供給しながら外部加熱ヒーターによって触媒層の温度を650℃まで昇温し、そのまま1時間放置(前処理)した。前処理終了後、触媒層の温度を500℃とし、含酸素有機化合物原料としてジメチルエーテルを3mL/分、スチームを0.5g/時、内部標準として窒素を30mL/分で供給し、ジメチルエーテルの転化反応を行った。
【0082】
反応開始1時間後に、反応管出口の生成物(水分を除く)をガスクロマトグラフィーにより分析し、ジメチルエーテルの転化率と、エチレン、プロピレン、ブテン、及び、その他の重質分(炭素数5以上の炭化水素、芳香族炭化水素を含む)の発生量(質量%)を調べた。ここで、ジメチルエーテルの転化率、及び、各生成物の収率は、下記式(I)及び式(II)によって算出した。結果を表2に示す。
【0083】
[数1]
転化率(%)=[1−(未反応ジメチルエーテル量/供給ジメチルエーテル量)]×100 ・・・(I)
【0084】
[数2]
生成物の収率(質量%)=[生成物質量/供給ジメチルエーテル中の(炭素+水素)質量]×100 ・・・(II)
【0085】
【表2】

【0086】
表2に示される結果より、本発明に係る人工ゼオライトは廃碍子を主原料として得られたにもかかわらず、軽質オレフィン製造用触媒として用いたときに、優れた触媒活性が得られることが判る。
【0087】
<評価2: 1−ブテンの転化反応>
前記と同様に、ただし、反応管に、流量制御器(マスフローコントローラー)を用いて空気を40mL/分(0℃、1気圧換算、以下同じ)で供給しながら外部加熱ヒーターによって触媒層の温度を650℃まで昇温し、そのまま1時間前処理を行った。前処理終了後、触媒層の温度を500℃とし、炭化水素化合物原料として1−ブテンを6mL/分、スチームを1g/時、内部標準として窒素を20mL/分で供給し、1−ブテンの転化反応を行った。
【0088】
反応開始1時間後に、反応管出口の生成物(水分を除く)をガスクロマトグラフィーにより分析し、ブテンの転化率、エチレン、プロピレン、及び、その他の重質分(炭素数5以上の炭化水素、芳香族炭化水素を含む)の発生量(質量%)を調べた。ここで、1−ブテンの転化率、及び、各生成物の収率は、下記式(III)及び式(IV)によって算出した。結果を表3に示す。
【0089】
[数3]
転化率(%)=[1−(未反応1−ブテン + 2−ブテン + イソブチレン量)/供給1−ブテン量]×100 ・・・(III)
【0090】
[数4]
生成物の収率(質量%)=[生成物質量/供給1−ブテン質量]×100 ・・・(IV)

【0091】
【表3】

【0092】
表3に示される結果より、本発明に係る人工ゼオライトは廃碍子を主原料として得られたにもかかわらず、軽質オレフィン製造用触媒として用いた場合に、優れた触媒活性が得られることが判る。
【0093】
<評価3: エタノールからの軽質オレフィン製造反応>
表1に記載の人工ゼオライトβを1g用いて、評価1と同じステンレス製反応管に充填し、評価1同様に前処理を行った。その後、触媒層の温度を550℃とし、含酸素有機化合物原料としてエタノール50質量%の水溶液をマイクロポンプを用いて、4.1g/時の供給速度で供給して反応させた(0℃1気圧換算のガスとして、エタノール:16.6mL/分、スチーム:42.5mL/分、窒素(内部標準)20mL/分として供給)。
【0094】
反応開始1時間後に反応管出口の生成物(水を除く)をガスクロマトグラフィーにより分析し、エタノールの転化率、エチレン、プロピレン、ブテン、及び、その他の重質分(炭素数5以上の炭化水素、芳香族炭化水素を含む)の発生量(質量%)を調べた。ここで、エタノールの転化率、及び、各生成物の収率は、下記式(V)及び式(VI)によって算出した。結果を表4に示す。
【0095】
[数5]
転化率(%)=[1−(未反応エタノール/供給エタノール量)]×100 ・・・(V)
【0096】
[数6]
生成物の収率(質量%)=[生成物質量/供給エタノール中の炭素及び水素の質量)]×100 ・・・(VI)
【0097】
【表4】

【0098】
表4に示される結果より、本発明に係る人工ゼオライトによれば含酸素有機化合物であるエタノールからの軽質オレフィン製造も可能であること、そのときの転化率が極めて高いことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】実施例1で得られた人工ゼオライトのX線回折解析結果を示す図である。
【図2】実施例2で得られた人工ゼオライトのX線回折解析結果を示す図である。
【図3】実施例3で得られた人工ゼオライトのX線回折解析結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
碍子廃材を高温で溶融した後、急冷して粉砕して得た粉砕物を主原料とし、原料中のアルミニウム原子の数を1としたときの、原料中の珪素の原子の数が7.5以上となるように原料を調製した後、密閉容器内のアルカリ水溶液中で加熱反応処理を行って得られる人工ゼオライトであり、
100℃の0.5体積%−アンモニアガス・ヘリウムガス混合雰囲気中でアンモニアガスを飽和吸着させた後、100℃から700℃まで20℃/分の昇温速度で加熱したときに100℃以上250℃未満の加熱期間に放出されるアンモニア放出量を100としたときに、250℃以上700℃以下の加熱期間に放出されるアンモニア放出量が200以上であり、
これらアンモニア放出量の和から算出される酸量が0.03mmol/g以上であり、かつ、
ペンタシル型構造を有することを特徴とする人工ゼオライト。
【請求項2】
前記人工ゼオライトが、水素型化処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の人工ゼオライト。
【請求項3】
前記加熱反応処理において、
下記化学式1で示される化合物、
【化1】

下記化学式2で示される化合物、化学式RX(式中Rはアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)で示される化合物、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)の組合せA、
【化2】

化学式RNHR10(式中RおよびR10はアルキル基)で示される化合物、化学式R11X(式中R11はアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)で示される化合物、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)との組合せB、及び、
化学式NH12で示される化合物(式中R12はアルキル基)、化学式R13X(式中R13はアルキル基、Xはハロゲン化物イオンまたは水酸化物イオン)、及び、化学式R14COR15で示される化合物(式中R14及びR15はアルキル基)で示される化合物との組合せCから選ばれる1つ以上のテンプレート剤を併用するとともに、
前記水素型化処理工程の前に、前記ペンタシル型構造を有する人工ゼオライト内のテンプレート剤を除去するテンプレート除去工程を経て製造されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の人工ゼオライト。
【請求項4】
前記加熱反応処理が、加圧下100℃超の温度で行われたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の人工ゼオライト。
【請求項5】
前記碍子廃材の溶融が、プラズマ炉により行われたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の人工ゼオライト。
【請求項6】
前記急冷が、溶融した碍子廃材を水中に導入して行われたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の人工ゼオライト。
【請求項7】
前記テンプレート剤として、前記化学式1で示される化合物を用い、かつ、該化学式中のR〜Rがすべて、炭素数2以上5以下の同じアルキル基であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の人工ゼオライト。
【請求項8】
前記請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の人工ゼオライトを軽質オレフィン製造用触媒として用いて、炭化水素化合物、及び/または、含酸素有機化合物を反応させて軽質オレフィンを製造することを特徴とする軽質オレフィンの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−256163(P2009−256163A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163595(P2008−163595)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(390028244)プロメトロンテクニクス株式会社 (3)
【出願人】(000220642)東京電設サービス株式会社 (21)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】