人工乳首及び哺乳器
【課題】容易に製造でき、乳幼児の哺乳運動を行いやすい伸展可能な人工乳首及び哺乳器を提供すること。
【解決手段】哺乳瓶11に取り付けられる取付手段110と、取付手段に連接された乳首胴部120と、乳首胴部から突出して形成された乳頭部130と、を有し、少なくとも乳頭部及び/又は乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部102が形成されると共に、少なくとも、取付手段及び乳頭胴部の取付手段側は、伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、取付手段には、哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段150が形成され、少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成され人工乳首100。
【解決手段】哺乳瓶11に取り付けられる取付手段110と、取付手段に連接された乳首胴部120と、乳首胴部から突出して形成された乳頭部130と、を有し、少なくとも乳頭部及び/又は乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部102が形成されると共に、少なくとも、取付手段及び乳頭胴部の取付手段側は、伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、取付手段には、哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段150が形成され、少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成され人工乳首100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば乳幼児等が授乳等に際し利用する人工乳首及び哺乳器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工乳首は、例えば哺乳瓶に取り付けられ、乳幼児等がこの哺乳瓶に収容された搾乳した母乳やミルク等を飲むために用いられている。
図10は、従来の人工乳首1の概略断面図である。図10に示すように、人工乳首1は、その内部にミルク等が哺乳瓶等から流入する部分である中空部Aを有している。そして、この中空部Aを覆うように、乳頭部1b、乳首胴部1a及びベース部1cが形成されている。
そして、乳頭部1bには、ミルク等が噴出する開口1dが備えられている。このような人工乳首1が、図示しない哺乳瓶等に取り付けられ、この哺乳瓶に収容された母乳等を乳幼児が、人工乳首1を介して飲む構成となっている。
【0003】
図11は、乳幼児が母親等の乳首をくわえた状態を示す概略説明図である。乳幼児20は、図11に示すように、実際に母親等の乳房をくわえて舌の蠕動様運動を行い、分泌された母乳を嚥下するが、この一連の動作は、大きく分けて「哺乳準備段階」と「哺乳開始段階」に分けられる。以下、それぞれについて説明する。
【0004】
(哺乳準備段階)
図11に示すように、乳幼児20が母親等の乳房30を捉えるときは、先ず、自己の上口唇27a及び下口唇27bを大きく開き、自己の舌23が下歯槽堤28bを越え、下口唇27bに触れるような状態になる。
次に、乳房をくわえる段階となる。このとき、乳幼児20の上口唇27a及び下口唇27bは大きく開き、図11に示すように、例えば非常に柔らかいため変形し易い乳房30の乳輪31近傍に密着し、自然と外側、図においては上下方向にめくれるように開く。
また、乳幼児20は舌23によって母親等の乳首の先32aを自己の哺乳窩22の最深部まで伸びるように変形させることになる。このように乳幼児20が自己の哺乳窩22に乳首の先32aを当接させるまで伸ばすことを「第1次伸展」と呼ぶ。
【0005】
このように第1次伸展をさせられた乳首32は、図11の上口蓋21、上歯槽堤28a及び上口唇27a側に舌23によって押さえつけることになる。このとき乳首32全体は、同時に自己の頬の内側と舌23で包まれる。
また、特に舌23は包んでいる乳首32を変形させることで乳首32を隙間なく包むことになる。このとき乳首32は中実な組織体であることに伴い、変形させられても潰れきることなく、乳首の先32aに母乳を移動させられるようになっている。
これで、哺乳準備段階が終了する。
【0006】
(哺乳開始段階)
次に哺乳開始段階について説明する。この哺乳開始段階では、先ず、舌23による蠕動様運動が行われる。
具体的には、乳房30や乳輪31、乳首32に刺激を与え、母乳の分泌を促すと共に、母乳を乳首の先32aに移動させるため、図11において舌23がその先端側より膨らみ始め連続的に膨らみが舌23の根本側に向かって移動することになり、その膨らみが乳首の先32aを僅かに越えるところまで移動し、更に口腔内の奥に移動する。
【0007】
この状態を示したのが、図12(a)乃至(c)である。図12(a)乃至(c)は、図11の舌23と乳首の先32aとの関係において舌23の膨らみが、乳首の先32aを僅かに越え、更に口腔内の奥に蠕動様運動をしている状態を示す概略拡大説明図である。
このような舌23の先端から始まる膨らみの移動により、乳首32は伸び始める。そして、図12(a)に示すように、乳首の先32aは中実な組織体であるため、若干潰れるように変形しながら、更に先端側に向かって伸びることになる。そして、図12(b)に示すように、母乳が噴出する直前まで舌23の膨らみを蠕動様運動で移動させることに伴って乳首32は伸びることとなる。
これを上述の第1次伸展と区別するため「第2次伸展」と呼ぶ。このように舌23の先端側の膨らみが移動を始めることにより、「第2次伸展」が開始されることになる。
【0008】
この後、母乳の噴出段階となる。すなわち、第2次伸展によって舌23は母親等の母乳を乳首の先32a側に引き込むように、その膨らみを移動させる。そして、図12(a)に示すように蠕動様運動により舌23の膨らみが乳首の先32aの先端に達した時点では、乳首の先32a、舌23の膨らみ及び哺乳窩22の口腔の奥側の一部とその奥の軟口蓋24によって、密閉空間Eが形成される。
【0009】
次に、舌23を軟口蓋24に接触させたまま、更に蠕動様運動を行い舌23の膨らみを更に奥に移動させる。すると、図12(b)に示すように密閉空間Eの容積が大きくなり、密閉空間Eが陰圧となる。
このように陰圧となった密閉空間Eが形成されると、乳首の先32aはこの陰圧空間Eに引き込まれ、更に伸展する。この伸展により「第2次伸展」が完了する。
舌23の蠕動様運動による刺激やそれに伴う陰圧により分泌された母乳が乳幼児20の口腔内に噴出し、乳幼児20は図12(c)に示すように、舌23と軟口蓋24の接触を離して密閉空間Eを開放し、この噴出した母乳を乳幼児20が嚥下することになる。
このようにして、「第1次伸展」させた後に、乳幼児20は「第2次伸展」を約0.7秒に1回という早いサイクルで行うことで、母親等の母乳を飲むことになる。
【0010】
以上のように、乳幼児20は母親の乳首32から母乳を摂取するため、図10の人工乳首1を用いて、図示しない哺乳瓶内の母乳等を摂取する際にも同様に、舌による蠕動用運動を行うことになる。そして、この蠕動様運動により人工乳首100を伸展(伸長)させて母乳等を摂取することになる。
このため、乳幼児の舌の蠕動用運動により伸展する人工乳首が提案されている(例えば特許文献1)。
このような人工乳首には、特許文献1の図1に示すように、人工乳首の一部に肉厚が他より薄い肉薄部が配置されている。そして、乳幼児の舌による蠕動用運動が人工乳首に対して行われると、前記肉薄部が伸展し、人工乳首が伸展する構成となっている。
また、特許文献2の図1に示されるような、通常の人工乳首本体と、人工乳首本体を哺乳瓶に取り付けるためのキャップとを熱融着によって一体に形成したキャップ付き乳首も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−189496号公報(図1等)
【特許文献2】特開平1−313056号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に示すような人工乳首には、その図1に示すように、肉厚の薄い肉薄部を部分的に形成する必要があり、金型からの取り外しが困難である等のため製造が困難で、コストが上昇するという問題があった。
また、特許文献2に示すような人工乳首では、乳幼児が母乳授乳時と同様に哺乳を行おうとした場合に、上手く人工乳首が伸展しない等の問題があった。
【0013】
そこで、容易に製造でき、乳幼児が哺乳運動を行いやすい伸展可能な人工乳首及び哺乳器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、請求項1の発明によれば、哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、前記取付手段に連接された乳首胴部と、前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首であって、少なくとも前記乳頭部及び/又は前記乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、少なくとも、前記取付手段及び前記乳頭胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする人工乳首により達成される。
【0015】
請求項1の構成によれば、前記伸長部が乳幼児等の舌の蠕動様運動により、伸長(伸展)する伸展可能な人工乳首となる。そして、この伸展可能な人工乳首は、前記伸長部と前記剛性部が分離不能に結合されるよう一体に成形される。このため、従来のように人工乳首に肉厚の薄い伸長部を部分的に形成する必要がないため、容易に人工乳首を製造できると共に、伸長部が薄くなく裂ける恐れもない人工乳首とすることができる。
また、少なくとも、前記取付手段から前記乳頭胴部の前記取付手段側にかけては、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっている。このため、乳幼児の舌の蠕動様運動の影響が少ない領域となる前記取付手段付近が、前記哺乳瓶に確実に固定できる構成となっている。また、この剛性部に人工乳首に取り付けられた哺乳瓶内側と外気を連通する通気手段が形成されているため、確実に通気を行い、哺乳中に哺乳瓶内の圧力が低下して哺乳し難くなることを防ぐことができる。
【0016】
好ましくは、請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記伸長部及び前記剛性部が、金型内に硬度の異なる複数の素材を配置し、キャビティ内で前記複数の素材を加熱、溶融、加圧及び硬化させる圧縮成形で形成されることを特徴とする人工乳首である。
請求項2の構成によれば、前記金型内に硬度の異なる複数の素材、例えば、前記柔軟な素材及び前記剛性を有する素材を配置し、前記キャビティ内で加熱、溶融、加圧及び硬化するという工程を経て、前記人工乳首の前記伸長部と剛性部が形成されている。
このように圧縮成形で形成することで、前記人工乳首について、前記伸長部と前記剛性部を確実かつ容易に一体に形成することができる。
【0017】
好ましくは、請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の構成において、前記伸長部及び前記剛性部との境界部が密な状態に構成されていることを特徴とする人工乳首である。
請求項3の構成によれば、前記伸長部及び前記剛性部との境界部が密な状態に構成されているので、前記乳首胴部や前記乳頭部にある前記境界部において、舌の蠕動様運動に伴う前記人工乳首の変形が急な変化を起こさず、緩やかな変化となり、前記人工乳首がスムーズに伸長(伸展)する。このため、乳幼児等にとって使い易い人工乳首となる。
【0018】
好ましくは、請求項4の発明によれば、請求項1の構成において、液状とされた素材を金型内で成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の一方に相当する第1の成形物を成形した後に、前記第1の成形物を他の金型に収容し、他の液状とされた他の素材を成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の他方に相当する第2の成形物を成形すると共に、前記第1の成形物と前記第2の成形物とを一体に熱融着させるインサート成形で形成されることを特徴とする人工乳首である。
請求項4の構成によれば、前記伸長部又は前記剛性部の一方に相当する第1の成形物を成形した後に、前記第1の成形物を他の金型に収容し、他の液状とされた他の素材を成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の他方に相当する第2の成形物を成形すると共に、前記第1の成形物と前記第2の成形物とを一体に熱融着させるという工程を経て、前記人工乳首の前記伸長部と前記剛性部が形成されている。
このように射出成形機を使用し、前記伸長部と前記剛性部の一方の素材を成形し、他の金型内において、一方の成形物を他の素材と共に熱融着をさせながら形成することで、前記人工乳首について、前記伸長部と前記剛性部を確実かつ容易に一体に形成することができる。
なお、ここで示すインサート成形とは、一方の素材を、雌雄の金型内で成形した後、雌雄の一方に装着した状態で、雌雄の他方となる金型を交換して成形する、所謂二色成形も含まれる。
【0019】
好ましくは、請求項5の発明によれば、請求項4に記載の構成において、前記伸長部及び前記剛性部との境界部において、前記伸長部及び前記剛性部が、人工乳首外面側と人工乳首内面側で重なるよう積層された結合部が形成されていることを特徴とする人工乳首である。
請求項5の構成によれば、前記伸長部及び前記剛性部との境界部に、前記伸長部及び前記剛性部が、人工乳首外面側と人工乳首内面側で重なるよう積層されているため、この積層された結合部によって、前記伸長部及び前記剛性部とを確実に結合することができる。
【0020】
好ましくは、請求項6の発明によれば、請求項5に記載の構成において、少なくとも、前記結合部における人工乳首外面側に、前記伸長部が配置されていることを特徴とする人工乳首である。
請求項6の構成によれば、前記結合部における人工乳首外面側に、柔軟な素材で形成された前記伸長部が配置されるため、前記境界部において、乳幼児の舌の蠕動様運動に伴う変形が急な変化を起こさないため、滑らかな舌の動きを妨げることがない。
【0021】
前記課題は、請求項7の発明によれば、哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、前記取付手段に連接された乳首胴部と、前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首を備える哺乳器であって、前記人工乳首は、少なくとも前記乳頭部及び/又は乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、少なくとも、前記取付手段及び前記乳首胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする哺乳器により達成される。
請求項7の構成によれば、前記人工乳首は、前記伸長部が乳幼児等の舌の蠕動様運動により、伸長(伸展)する伸展可能な人工乳首となる。そして、この伸展可能な人工乳首は、前記伸長部と前記剛性部が分離不能に結合されるよう一体に成形される。このため、従来のように人工乳首に肉厚の薄い伸長部を部分的に形成する必要がないため、容易に人工乳首を製造することができ、かつ、人工乳首が哺乳瓶から不用意に外れてしまうことが無く、哺乳中でも哺乳瓶内の圧力を常圧に保つことができる哺乳器となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、容易に製造できて、乳幼児の哺乳運動を妨げることがない伸展可能な人工乳首及び哺乳器を提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る哺乳器の構成を示す概略図である。
【図2】図1の人工乳首等の構成を示す概略断面図である。
【図3】図2の人工乳首の製造方法を示す概略フローチャートである。
【図4】人工乳首の製造方法を示す概略説明図である。
【図5】図2の人工乳首を利用者である例えば、乳幼児が自己の口腔内に挿入した状態を示す概略説明図である。
【図6】第2の実施の形態の哺乳器の人工乳首の構成を示す概略断面図である。
【図7】第3の実施の形態に係る人工乳首を用いたおしゃぶりを示す概略図である。
【図8】第4の実施の形態の哺乳器の人工乳首の構成を示す概略断面図である。
【図9】第5の実施の形態の哺乳器の人工乳首の構成を示す概略断面図である。
【図10】従来の人工乳首の概略断面図である。
【図11】乳幼児が母親等の乳首をくわえた状態を示す概略説明図である。
【図12】図11の舌と乳首の先との関係において舌の膨らみが、乳首の先を僅かに越え、更に口腔内の奥に蠕動様運動をしている状態を示す概略拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
(第1の実施の形態)
(哺乳器10の全体構成等について)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る哺乳器10の構成を示す概略図である。図1に示すように、哺乳器10は、ミルク等の液体を収容するためのガラス製又は樹脂製の哺乳瓶11を有している。また、哺乳器10は、素材である例えば、シリコーンゴムから成る人工乳首100を有している。また、哺乳器10は、人工乳首100を哺乳瓶11に固定するための樹脂製のキャップ12を有している。
【0026】
図2は、図1の人工乳首100等の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、人工乳首100は、哺乳瓶11にキャップ12等により取り付けられる取付手段である例えば、ベース部110を有している。また、人工乳首100は、ベース部110に連接された乳首胴部120を有していると共に、乳首胴部120から突出して形成された乳頭部130を有している。
また、乳頭部130の先端には、哺乳瓶11内のミルクを利用者の口腔内で噴出させるための噴出開口140が形成されている。噴射開口140は、図2の平面から見て例えば、一個または複数の丸穴状の微細な開口や、十字状、Y字状又は一文字状のスリット等により形成されている。
【0027】
人工乳首100は、全体が例えば、シリコーンゴムにより形成されている。なお、本発明では、シリコーンゴムに限らずイソプレンゴムや、熱可塑性エラストマー、天然ゴム等であってもよい。
また、本実施の形態では、人工乳首100は硬度の異なる複数のシリコーンゴムにより形成されている。すなわち、図2の乳首胴部120から乳頭部130にかけての人工乳首100の中央部102は、柔軟な素材で形成されている。具体的には、硬度10度(JIS−K6235(ISO7619)におけるA型デュロメータにより硬度)のシリコーンゴムで形成されている。
また、図2のベース部110から乳首胴部120にかけての人工乳首100の基部101は、中央部102より剛性を有する素材である、例えば硬度30度のシリコーンゴムで形成されている。すなわち、ベース部110及び乳首胴部120のベース部110側が剛性部となっている。
また、乳頭部130の先端側である先端部103も基部101と同様に硬度30度のシリコーンゴムにより形成されている。
【0028】
このため、図2の中央部102は伸び易い伸長部となると共に、基部101と先端部103は、中央部102より伸びにくく剛性がある剛性部となっている。
すなわち、乳頭部100の先端部側と乳首胴部120のベース部110側並びにベース部110に剛性部が形成され、乳頭部130の先端部側と乳首胴部120の基端部側との間に伸長部が形成されている。
なお、ここでは基部101と先端部103は同一の材料として構成した例を示したが、例えば、先端部103を中央部102と同じ硬度の素材を採用し、その肉厚を増すように構成し、2種の素材で形成してもよい。また、先端部103に、例えば硬度20度の素材を使用し、3種の素材で形成してもよい。さらに、必要に応じて、3種以上の異なる硬度の素材を積層するよう構成してもよく、それぞれの素材における硬度は適宜選択することができる。
【0029】
ところで、剛性を有する素材で形成されたベース部110には、図2に示すように通気手段である例えば、通気弁150が形成されている。このため、哺乳に伴って哺乳瓶11内の圧力が低下した場合でも、この通気弁150によって外気が人工乳首100の内部となる哺乳瓶11内に流入し、負圧の発生を防ぐ構成となっている。
すなわち、通気弁150は、哺乳瓶11に取り付けられた人工乳首100の内外を連通する機能を有する。
また、キャップ12は、図2に示すように、哺乳瓶11の開口端部11aと螺合され、哺乳瓶11に対して固定される構成となっている。
このため、キャップ12は、図2に示すように、人工乳首100のベース部110を哺乳瓶11に対して固定でき、しかもその締め込み強さを調整でき、通気弁150による通気量を調整できる構成となっている。
特に、ベース部110は、上述のように硬度30度のシリコーンゴムからなる剛性部となっているので、ベース部110が変形等してキャップ12から外れ脱落等するのを有効に防止することができると共に、通気弁150が確実に作用する構成となっている。
【0030】
(人工乳首100の製造方法等について)
本実施の形態による哺乳器10は以上のように構成されているが、以下、本発明の特徴部分である人工乳首100の製造方法等について説明する。
図3は、図2の人工乳首100の製造方法を示す概略フローチャートである。また、図4は、人工乳首100の製造方法を示す概略説明図である。
図3のST1に示すように、先ず、キャビティ内に配置等される金型内に硬度30度のシリコーンゴム片、硬度10度のシリコーンゴム片、及び硬度30度のシリコーンゴム片を層を成すように挿入する。
具体的には、図4に示すように、人工乳首100の外形が凹状に形成された金型である例えば、雌型200内の図において下方である雌型下部210に、硬度30度のシリコーンゴム片300が配置される。次に、図4の雌型中央部220に、硬度10度のシリコーンゴム片310が配置される。さらに、図4の雌型上部230には、硬度30度のシリコーンゴム片300が配置される。
これにより、雌型200内には硬度の異なる複数のシリコーンゴム片300、310が層を成して配置されることになる。
【0031】
次に、図3のST2に示すように、雄型にあたる加熱したコア250を雌型200内に挿入する。具体的には、図4に示すコア250を雌型200内に挿入する。コア250は、雌型200内に挿入されると、雌型200との間に空間が形成される形状となっている。また、雌型200とコア250との間に形成される空間の形状が図2の人工乳首100の形状となるように構成されている。
したがって、図4のコア250が雌型200内に挿入されると、コア250は加熱されているため、予め配置されている硬度30度のシリコーンゴム片300及び硬度10のシリコーンゴム片310は、溶融される。
そして、溶融されたシリコーンゴム片300、310は、コア250の挿入圧力により加圧され、コア250と雌型200との間の空間に押し込められるように配置される。すなわち、図2の人工乳首100のような形状となる。
【0032】
次に、図3のST3に示すように、コア250を雌型200内で上下動(バンピング動作)させる。
これにより、雌型200内に配置され、溶融されたシリコーンゴム片300、310内に空気が混入することを未然に防止することができる。
次に、図3のST4及びST5に示すように、コア250のバンピング動作を停止させコア250を静止させ(型締め)、成形する。
すなわち、図4の雌型200内で溶融したシリコーンゴム片300、310を硬化等させて成形する。
こうして成形された人工乳首100を雌型200等から取り出すことで、図2に示すような形状を有する人工乳首100を製造することができる。
【0033】
このように製造された人工乳首100は、図2に示すように、中央部102に伸長部である硬度10度のシリコーンゴムを配置させることができる。また、基部101及び先端部103には、剛性部である硬度30度のシリコーンゴムを配置させることができる。
そして、この硬度10度のシリコーンゴムの部分は、柔らかく伸展し易いので、図12に示す、乳幼児20の舌23の蠕動用運動で伸展し易い伸展可能な人工乳首100を製造することができる。
すなわち、本実施の形態では、従来のように人工乳首の肉厚を薄くすることなく、伸長部を形成することができるので、肉厚の薄い部分で破断してしまう恐れがないだけでなく、人工乳首の肉厚を部分的に薄くする等の特別の工程が必要ない。また、上述のように、人工乳首100は、異なった硬度のシリコーンゴム片300、310を雌型200内に層を成して配置し、加熱したコア250を挿入して、シリコーンゴム片300、310をキャビティ内で溶融、加圧、硬化等を行う、圧縮成形により製造する。
このため、従来に比べ、低コスト且つ簡易に人工乳首100を製造することができる。
【0034】
また、図2の人工乳首100の剛性部である基部101及び先端部103と、伸長部である中央部102との境界部は、圧縮成形の溶融工程を経て形成されているため、境界部が明確に分断された状態となっておらず、密な状態、つまり剛性部と伸長部との中間程度の硬度とされた領域となっている。
このため、人工乳首100の中央部102と基部101及び先端部103とが、硬度の異なるシリコーンゴムが、中間領域となる密な状態の部位を介して隣接して配置された状態となり、この状態で、人工乳首100が伸展しても、これらの境界部で急激な変化が生じるのを未然に防ぐことができる。
すなわち、これらの境界部では、伸展の変化が穏やかな変化となるため、人工乳首100全体がスムーズに伸展(伸長)することとなり、利用者である乳幼児等にとって使い易い人工乳首100となる。
【0035】
(人工乳首100の動作例等について)
本実施の形態に係る人工乳首100は、以上のように構成されているが、以下その動作等について説明する。
図5は、図2の人工乳首100を利用者である例えば、乳幼児20が自己の口腔内に挿入した状態を示す概略説明図である。図5においては、図1の哺乳瓶11等は省略され、人工乳首100のみが表されている。
図5に示すように、 人工乳首100が、乳幼児20にくわえられると、人工乳首100の図2に示す先端部103は、乳幼児15の哺乳窩22に当接され、乳幼児20の舌23によって人工乳首100は図において上方へ押しつけられ、図9に示すような上述の哺乳準備段階が終了する。
なお、人工乳首100は、母親の乳首32と異なり、既に第1次伸展がされた長さとされているため、乳幼児20が人工乳首100をくわえることで、人工乳首100の先端部103を、乳幼児20は哺乳窩22に当接するよう変形させる構成となっている。
【0036】
その後、図12(a)乃至(c)に示すような、上述の乳幼児20の舌23による蠕動用運動が行われ、人工乳首100が伸展(伸長)し、上述の第2次伸展が生じる。
具体的には、図5の乳幼児20の舌23が、図12(a)乃至(c)の蠕動用運動を行うことで、人工乳首100を伸展させる。すなわち、人工乳首100の図5の伸長部にあたる中央部102は、硬度10度の柔らかいシリコーンゴムから成っているため、乳幼児20の舌23の蠕動様運動によって、より伸展(伸長)し易い構成となっている。
一方、図2の先端部103及び基部101は、硬度30度の剛性が高いシリコーンゴムから成っているため、舌23による蠕動様運動によって、人工乳首100が図5の上口蓋21に押しつけられても、人工乳首100が潰れることや、キャップ12から外れることを未然に防止すると共に、確実に通気弁150によって通気する構成となっている。
すなわち、人工乳首100が潰れることで、哺乳瓶11内のミルクが人工乳首100内を通過できず、これにより乳幼児20がミルクを摂取できない状態や、人工乳首100が内方に変形してしまうこと等を未然に防ぐことができることになる。
【0037】
このように、本実施の形態では、人工乳首100は、乳幼児20の舌23による蠕動用運動によって伸展し易く、且つ潰れ難いため、乳幼児20にとって使い易い構成となっている。
また、図2の中央部102(伸長部)は、図5に示すように乳幼児20の舌23による蠕動様運動が行われる領域に配置されている。このため、人工乳首100は、乳幼児20の舌23による蠕動様運動が滑らかに行いやすく、確実に伸展し易い構成となっている。この伸展や滑らかな舌の蠕動様運動により、よりスムーズに哺乳運動を行い易い人工乳首100となっている。
【0038】
また、乳幼児20の舌23による蠕動様運動で伸展し易い中央部102と、中央部102より伸展しにくい先端部103との境界部は、その硬さに差が生じ、乳幼児20に違和感を与えるおそれがある。しかし、本実施の形態では、上述のように圧縮成形により、境界部を硬度の中間領域となるよう、密な状態としているため、乳幼児20の舌23が当接しても、違和感を与えにくい構成となっている。このため、乳幼児20にとって使い易い人工乳首100となっている。
【0039】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態の哺乳器の人工乳首400の構成を示す概略断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、図6に示すように、人工乳首100の中央部402の内側に溝部402aが形成されている。すなわち、伸長部である中央部402には、剛性部である基部110及び先端部103の肉厚の厚みより、肉厚が薄い例えば、溝部402aが複数のリング状や螺旋状等で形成されている。
したがって、図12に示すように、乳幼児20が舌23で蠕動様運動を行うと、伸長部である中央部402aが、他の部分より薄いため、より伸展し易い構成となっている。このため、乳幼児20がより使い易い人工乳首400となる。
【0040】
本実施の形態の他の構成は、上述の第1の実施の形態の人工乳首100と同様であり、その製造方法も、第1の実施の形態と同様に、圧縮成形により成形する。
ただし、本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、溝部402aを有するため、図4のコア250と異なり、コアには、溝部402a形成用の突起部が設けられることになる。
本実施の形態では、溝部402aは圧縮成形により、同時に形成されるため、従来のような溝を形成するための特別な工程は不要である。このため、簡易且つ低コストで人工乳首400を成形することができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態に係る人工乳首600を用いたおしゃぶり500を示す概略図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態の人工乳首600は、図2の人工乳首100に噴出開口140を形成しない構成となっている。その他の構成は図2の人工乳首100と同様である。
そして、人工乳首600を第1の実施の形態と異なり、図7に示す座板部510に取りつける構成となっている。なお、図示していないが、本実施の形態におけるおしゃぶり500では、通気弁150を人工乳首100には設けず、座板部510等に通気部が形成されている。
したがって、乳幼児20が、おしゃぶり500を使用することで、舌23の蠕動様運動をスムーズに行うことが可能となるので、乳幼児20等に好ましい刺激を与えることができるおしゃぶり500となる。
【0042】
(第4の実施の形態)
図8は、第4の実施の形態の哺乳器の人工乳首600の構成を示す概略断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、図8に示すように、第1の実施の形態の人工乳首100とは異なり、先端部603が中央部602と異なる材料ではなく、中央部602から先端部603にかけて、柔軟な材料で一体に形成されており、基部601とベース部110よりなる剛性部に対して、柔軟部604が先端部603まで配置されている。
この時、先端部603に位置する柔軟部604は、第1の実施の形態よりも僅かに肉厚が厚く構成されており、蠕動様運動に伴って完全に潰れてしまうことを防ぐと共に、哺乳運動を妨げないよう適度に変形するよう構成されている。
また、剛性部である基部601と、伸長部である柔軟部604の境界には、結合部605が形成されている。この結合部605では、外面側に伸長部となる柔軟部604よりなる柔軟層605aが配置されており、内面側に剛性部となる基部601よりなる剛性層605bが配置されている。
このように外側に柔軟層605aを配置することで、第1の実施の形態と同様に、乳幼児が舌の蠕動様運動を行うに当って、剛性部と伸長部の境界における違和感を抑えて、哺乳運動を行いやすい人工乳首600としている。
【0043】
なお、この人工乳首600は第1の実施の形態とは異なる製造方法で形成されている。
本実施の形態における人工乳首600の製造方法は、インサート成形を金型上で行うことができる、所謂二色成形機で成形するものであり、第1の工程として、人工乳首600の内側の形状とされたコア型に対して、剛性部である基部601及びベース部110の外形形状とされた第1の雌型を嵌め合わせて型締めする。
その後、第2の工程として、剛性部となる比較的硬度の高い(例えば硬度30度)液状の材料を金型内に射出成形して剛性部を成形する(第1の成形物の一例)。
さらに、第3の工程として、型締めを解除して雌型を外し、成形された剛性部がコア型に装着された状態で、柔軟部604の外形形状とされた第2の雌型にコア型を嵌め合わせ、型締めする。
その後、第4の工程として、柔軟部604として使用される比較的硬度の低い(例えば硬度15度)液状の材料(他の素材の一例)を、金型内に射出成形して、柔軟部604を剛性部と一体になるよう、人工乳首600が成形される(第2の成成形物の成形及び第1の成形物と第2の成形物とを一体に熱融着する一例)。
この時、柔軟部604と基部601の境界部となる結合部605における接合面は、段状にされているため、溶融して結合する際に、接合面積が大きくなり、確実に接合されることとなる。
もちろん、剛性部のみを成形した後に、成形された剛性部を他の成形機の金型内に保持させて、柔軟部604を成形することで一体に成形してもよく、また、結合部605の接合面にさらに凹凸を設けて、確実に一体となるよう構成してもよい。
本実施の形態では、射出成形機を使用して、容易に製造できると共に、乳幼児が哺乳しやすい人工乳首600とすることができる。
【0044】
(第5の実施の形態)
図9は、第5の実施の形態の哺乳器の人工乳首700の構成を示す概略断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、図8に示される人工乳首600と同様に、インサート成形によって形成されているが、第4の実施の形態とは異なり、先端部703は比較的硬度の高い剛性部とされており、柔軟な材料よりなる中間部702をまたいで、先端部703と基部701をつなぐように、3本のリブ706(断面図のため、図では2本)が設けられている。
この3本のリブ706は、万一、哺乳中に人工乳首700の伸長部が潰れてしまった場合でも、母乳等の流路を確保するものであり、本数がさらに多くされていてもよく、斜めに設けても、螺旋状としてもよい。
また、リブ706を設けることで、第4の実施の形態における第1の工程と同様に、剛性部を一回で成形することができる。つまり、図示しない射出孔が剛性部側にあった場合でも、3本のリブ706を通じて先端部103側に同じ材料を供給することができる。
なお、本実施の形態では、第4の実施の形態と異なり、キャップ12は設けられておらず、剛性部よりなるベース部110が哺乳瓶11側に延伸されて装着部720が形成されており、装着部720からさらに外方に向かって着脱用のツマミ721が設けられた、所謂直付タイプの乳首とされている。すなわち、人工乳首700が、直接哺乳瓶11と係合するよう構成されている。
本実施の形態でも、射出成形機を使用して、容易に製造できると共に、乳幼児が哺乳しやすい人工乳首700とすることができる。
【0045】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。また、伸長部及び剛性部をリング状として、それぞれ交互に多数重なるように配置しても構わず、さらに螺旋状に重ねても構わない。
【符号の説明】
【0046】
10・・・哺乳器、11・・・哺乳瓶、11a・・・開口端部、12・・・キャップ、20・・・乳幼児、21・・・上口蓋、22・・・哺乳窩、23・・・舌、24・・・軟口蓋、27a・・・上口唇、27b・・・下口唇、28b・・・下歯槽堤、30・・・乳房、31・・・乳輪、32・・・乳首、32a・・・乳首の先、100、400、600・・・人工乳首、101、601、701・・・基部、102、402、602、702・・・中央部、103、604、704・・・先端部、110・・・ベース部、120、420・・・乳首胴部、130、430・・・乳頭部、140・・・噴出開口、150・・・通気弁、200・・・雌型、210・・・雌型下部、220・・・雌型中央部、230・・・雌型上部、250・・・コア、300・・・硬度30度のシリコーンゴム片、310・・・硬度10度のシリコーンゴム片、402a・・・溝部、500・・・おしゃぶり、510・・・座板部、A・・・中空部、E・・・密閉空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば乳幼児等が授乳等に際し利用する人工乳首及び哺乳器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工乳首は、例えば哺乳瓶に取り付けられ、乳幼児等がこの哺乳瓶に収容された搾乳した母乳やミルク等を飲むために用いられている。
図10は、従来の人工乳首1の概略断面図である。図10に示すように、人工乳首1は、その内部にミルク等が哺乳瓶等から流入する部分である中空部Aを有している。そして、この中空部Aを覆うように、乳頭部1b、乳首胴部1a及びベース部1cが形成されている。
そして、乳頭部1bには、ミルク等が噴出する開口1dが備えられている。このような人工乳首1が、図示しない哺乳瓶等に取り付けられ、この哺乳瓶に収容された母乳等を乳幼児が、人工乳首1を介して飲む構成となっている。
【0003】
図11は、乳幼児が母親等の乳首をくわえた状態を示す概略説明図である。乳幼児20は、図11に示すように、実際に母親等の乳房をくわえて舌の蠕動様運動を行い、分泌された母乳を嚥下するが、この一連の動作は、大きく分けて「哺乳準備段階」と「哺乳開始段階」に分けられる。以下、それぞれについて説明する。
【0004】
(哺乳準備段階)
図11に示すように、乳幼児20が母親等の乳房30を捉えるときは、先ず、自己の上口唇27a及び下口唇27bを大きく開き、自己の舌23が下歯槽堤28bを越え、下口唇27bに触れるような状態になる。
次に、乳房をくわえる段階となる。このとき、乳幼児20の上口唇27a及び下口唇27bは大きく開き、図11に示すように、例えば非常に柔らかいため変形し易い乳房30の乳輪31近傍に密着し、自然と外側、図においては上下方向にめくれるように開く。
また、乳幼児20は舌23によって母親等の乳首の先32aを自己の哺乳窩22の最深部まで伸びるように変形させることになる。このように乳幼児20が自己の哺乳窩22に乳首の先32aを当接させるまで伸ばすことを「第1次伸展」と呼ぶ。
【0005】
このように第1次伸展をさせられた乳首32は、図11の上口蓋21、上歯槽堤28a及び上口唇27a側に舌23によって押さえつけることになる。このとき乳首32全体は、同時に自己の頬の内側と舌23で包まれる。
また、特に舌23は包んでいる乳首32を変形させることで乳首32を隙間なく包むことになる。このとき乳首32は中実な組織体であることに伴い、変形させられても潰れきることなく、乳首の先32aに母乳を移動させられるようになっている。
これで、哺乳準備段階が終了する。
【0006】
(哺乳開始段階)
次に哺乳開始段階について説明する。この哺乳開始段階では、先ず、舌23による蠕動様運動が行われる。
具体的には、乳房30や乳輪31、乳首32に刺激を与え、母乳の分泌を促すと共に、母乳を乳首の先32aに移動させるため、図11において舌23がその先端側より膨らみ始め連続的に膨らみが舌23の根本側に向かって移動することになり、その膨らみが乳首の先32aを僅かに越えるところまで移動し、更に口腔内の奥に移動する。
【0007】
この状態を示したのが、図12(a)乃至(c)である。図12(a)乃至(c)は、図11の舌23と乳首の先32aとの関係において舌23の膨らみが、乳首の先32aを僅かに越え、更に口腔内の奥に蠕動様運動をしている状態を示す概略拡大説明図である。
このような舌23の先端から始まる膨らみの移動により、乳首32は伸び始める。そして、図12(a)に示すように、乳首の先32aは中実な組織体であるため、若干潰れるように変形しながら、更に先端側に向かって伸びることになる。そして、図12(b)に示すように、母乳が噴出する直前まで舌23の膨らみを蠕動様運動で移動させることに伴って乳首32は伸びることとなる。
これを上述の第1次伸展と区別するため「第2次伸展」と呼ぶ。このように舌23の先端側の膨らみが移動を始めることにより、「第2次伸展」が開始されることになる。
【0008】
この後、母乳の噴出段階となる。すなわち、第2次伸展によって舌23は母親等の母乳を乳首の先32a側に引き込むように、その膨らみを移動させる。そして、図12(a)に示すように蠕動様運動により舌23の膨らみが乳首の先32aの先端に達した時点では、乳首の先32a、舌23の膨らみ及び哺乳窩22の口腔の奥側の一部とその奥の軟口蓋24によって、密閉空間Eが形成される。
【0009】
次に、舌23を軟口蓋24に接触させたまま、更に蠕動様運動を行い舌23の膨らみを更に奥に移動させる。すると、図12(b)に示すように密閉空間Eの容積が大きくなり、密閉空間Eが陰圧となる。
このように陰圧となった密閉空間Eが形成されると、乳首の先32aはこの陰圧空間Eに引き込まれ、更に伸展する。この伸展により「第2次伸展」が完了する。
舌23の蠕動様運動による刺激やそれに伴う陰圧により分泌された母乳が乳幼児20の口腔内に噴出し、乳幼児20は図12(c)に示すように、舌23と軟口蓋24の接触を離して密閉空間Eを開放し、この噴出した母乳を乳幼児20が嚥下することになる。
このようにして、「第1次伸展」させた後に、乳幼児20は「第2次伸展」を約0.7秒に1回という早いサイクルで行うことで、母親等の母乳を飲むことになる。
【0010】
以上のように、乳幼児20は母親の乳首32から母乳を摂取するため、図10の人工乳首1を用いて、図示しない哺乳瓶内の母乳等を摂取する際にも同様に、舌による蠕動用運動を行うことになる。そして、この蠕動様運動により人工乳首100を伸展(伸長)させて母乳等を摂取することになる。
このため、乳幼児の舌の蠕動用運動により伸展する人工乳首が提案されている(例えば特許文献1)。
このような人工乳首には、特許文献1の図1に示すように、人工乳首の一部に肉厚が他より薄い肉薄部が配置されている。そして、乳幼児の舌による蠕動用運動が人工乳首に対して行われると、前記肉薄部が伸展し、人工乳首が伸展する構成となっている。
また、特許文献2の図1に示されるような、通常の人工乳首本体と、人工乳首本体を哺乳瓶に取り付けるためのキャップとを熱融着によって一体に形成したキャップ付き乳首も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−189496号公報(図1等)
【特許文献2】特開平1−313056号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に示すような人工乳首には、その図1に示すように、肉厚の薄い肉薄部を部分的に形成する必要があり、金型からの取り外しが困難である等のため製造が困難で、コストが上昇するという問題があった。
また、特許文献2に示すような人工乳首では、乳幼児が母乳授乳時と同様に哺乳を行おうとした場合に、上手く人工乳首が伸展しない等の問題があった。
【0013】
そこで、容易に製造でき、乳幼児が哺乳運動を行いやすい伸展可能な人工乳首及び哺乳器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、請求項1の発明によれば、哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、前記取付手段に連接された乳首胴部と、前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首であって、少なくとも前記乳頭部及び/又は前記乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、少なくとも、前記取付手段及び前記乳頭胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする人工乳首により達成される。
【0015】
請求項1の構成によれば、前記伸長部が乳幼児等の舌の蠕動様運動により、伸長(伸展)する伸展可能な人工乳首となる。そして、この伸展可能な人工乳首は、前記伸長部と前記剛性部が分離不能に結合されるよう一体に成形される。このため、従来のように人工乳首に肉厚の薄い伸長部を部分的に形成する必要がないため、容易に人工乳首を製造できると共に、伸長部が薄くなく裂ける恐れもない人工乳首とすることができる。
また、少なくとも、前記取付手段から前記乳頭胴部の前記取付手段側にかけては、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっている。このため、乳幼児の舌の蠕動様運動の影響が少ない領域となる前記取付手段付近が、前記哺乳瓶に確実に固定できる構成となっている。また、この剛性部に人工乳首に取り付けられた哺乳瓶内側と外気を連通する通気手段が形成されているため、確実に通気を行い、哺乳中に哺乳瓶内の圧力が低下して哺乳し難くなることを防ぐことができる。
【0016】
好ましくは、請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記伸長部及び前記剛性部が、金型内に硬度の異なる複数の素材を配置し、キャビティ内で前記複数の素材を加熱、溶融、加圧及び硬化させる圧縮成形で形成されることを特徴とする人工乳首である。
請求項2の構成によれば、前記金型内に硬度の異なる複数の素材、例えば、前記柔軟な素材及び前記剛性を有する素材を配置し、前記キャビティ内で加熱、溶融、加圧及び硬化するという工程を経て、前記人工乳首の前記伸長部と剛性部が形成されている。
このように圧縮成形で形成することで、前記人工乳首について、前記伸長部と前記剛性部を確実かつ容易に一体に形成することができる。
【0017】
好ましくは、請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の構成において、前記伸長部及び前記剛性部との境界部が密な状態に構成されていることを特徴とする人工乳首である。
請求項3の構成によれば、前記伸長部及び前記剛性部との境界部が密な状態に構成されているので、前記乳首胴部や前記乳頭部にある前記境界部において、舌の蠕動様運動に伴う前記人工乳首の変形が急な変化を起こさず、緩やかな変化となり、前記人工乳首がスムーズに伸長(伸展)する。このため、乳幼児等にとって使い易い人工乳首となる。
【0018】
好ましくは、請求項4の発明によれば、請求項1の構成において、液状とされた素材を金型内で成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の一方に相当する第1の成形物を成形した後に、前記第1の成形物を他の金型に収容し、他の液状とされた他の素材を成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の他方に相当する第2の成形物を成形すると共に、前記第1の成形物と前記第2の成形物とを一体に熱融着させるインサート成形で形成されることを特徴とする人工乳首である。
請求項4の構成によれば、前記伸長部又は前記剛性部の一方に相当する第1の成形物を成形した後に、前記第1の成形物を他の金型に収容し、他の液状とされた他の素材を成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の他方に相当する第2の成形物を成形すると共に、前記第1の成形物と前記第2の成形物とを一体に熱融着させるという工程を経て、前記人工乳首の前記伸長部と前記剛性部が形成されている。
このように射出成形機を使用し、前記伸長部と前記剛性部の一方の素材を成形し、他の金型内において、一方の成形物を他の素材と共に熱融着をさせながら形成することで、前記人工乳首について、前記伸長部と前記剛性部を確実かつ容易に一体に形成することができる。
なお、ここで示すインサート成形とは、一方の素材を、雌雄の金型内で成形した後、雌雄の一方に装着した状態で、雌雄の他方となる金型を交換して成形する、所謂二色成形も含まれる。
【0019】
好ましくは、請求項5の発明によれば、請求項4に記載の構成において、前記伸長部及び前記剛性部との境界部において、前記伸長部及び前記剛性部が、人工乳首外面側と人工乳首内面側で重なるよう積層された結合部が形成されていることを特徴とする人工乳首である。
請求項5の構成によれば、前記伸長部及び前記剛性部との境界部に、前記伸長部及び前記剛性部が、人工乳首外面側と人工乳首内面側で重なるよう積層されているため、この積層された結合部によって、前記伸長部及び前記剛性部とを確実に結合することができる。
【0020】
好ましくは、請求項6の発明によれば、請求項5に記載の構成において、少なくとも、前記結合部における人工乳首外面側に、前記伸長部が配置されていることを特徴とする人工乳首である。
請求項6の構成によれば、前記結合部における人工乳首外面側に、柔軟な素材で形成された前記伸長部が配置されるため、前記境界部において、乳幼児の舌の蠕動様運動に伴う変形が急な変化を起こさないため、滑らかな舌の動きを妨げることがない。
【0021】
前記課題は、請求項7の発明によれば、哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、前記取付手段に連接された乳首胴部と、前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首を備える哺乳器であって、前記人工乳首は、少なくとも前記乳頭部及び/又は乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、少なくとも、前記取付手段及び前記乳首胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする哺乳器により達成される。
請求項7の構成によれば、前記人工乳首は、前記伸長部が乳幼児等の舌の蠕動様運動により、伸長(伸展)する伸展可能な人工乳首となる。そして、この伸展可能な人工乳首は、前記伸長部と前記剛性部が分離不能に結合されるよう一体に成形される。このため、従来のように人工乳首に肉厚の薄い伸長部を部分的に形成する必要がないため、容易に人工乳首を製造することができ、かつ、人工乳首が哺乳瓶から不用意に外れてしまうことが無く、哺乳中でも哺乳瓶内の圧力を常圧に保つことができる哺乳器となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、容易に製造できて、乳幼児の哺乳運動を妨げることがない伸展可能な人工乳首及び哺乳器を提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る哺乳器の構成を示す概略図である。
【図2】図1の人工乳首等の構成を示す概略断面図である。
【図3】図2の人工乳首の製造方法を示す概略フローチャートである。
【図4】人工乳首の製造方法を示す概略説明図である。
【図5】図2の人工乳首を利用者である例えば、乳幼児が自己の口腔内に挿入した状態を示す概略説明図である。
【図6】第2の実施の形態の哺乳器の人工乳首の構成を示す概略断面図である。
【図7】第3の実施の形態に係る人工乳首を用いたおしゃぶりを示す概略図である。
【図8】第4の実施の形態の哺乳器の人工乳首の構成を示す概略断面図である。
【図9】第5の実施の形態の哺乳器の人工乳首の構成を示す概略断面図である。
【図10】従来の人工乳首の概略断面図である。
【図11】乳幼児が母親等の乳首をくわえた状態を示す概略説明図である。
【図12】図11の舌と乳首の先との関係において舌の膨らみが、乳首の先を僅かに越え、更に口腔内の奥に蠕動様運動をしている状態を示す概略拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
(第1の実施の形態)
(哺乳器10の全体構成等について)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る哺乳器10の構成を示す概略図である。図1に示すように、哺乳器10は、ミルク等の液体を収容するためのガラス製又は樹脂製の哺乳瓶11を有している。また、哺乳器10は、素材である例えば、シリコーンゴムから成る人工乳首100を有している。また、哺乳器10は、人工乳首100を哺乳瓶11に固定するための樹脂製のキャップ12を有している。
【0026】
図2は、図1の人工乳首100等の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、人工乳首100は、哺乳瓶11にキャップ12等により取り付けられる取付手段である例えば、ベース部110を有している。また、人工乳首100は、ベース部110に連接された乳首胴部120を有していると共に、乳首胴部120から突出して形成された乳頭部130を有している。
また、乳頭部130の先端には、哺乳瓶11内のミルクを利用者の口腔内で噴出させるための噴出開口140が形成されている。噴射開口140は、図2の平面から見て例えば、一個または複数の丸穴状の微細な開口や、十字状、Y字状又は一文字状のスリット等により形成されている。
【0027】
人工乳首100は、全体が例えば、シリコーンゴムにより形成されている。なお、本発明では、シリコーンゴムに限らずイソプレンゴムや、熱可塑性エラストマー、天然ゴム等であってもよい。
また、本実施の形態では、人工乳首100は硬度の異なる複数のシリコーンゴムにより形成されている。すなわち、図2の乳首胴部120から乳頭部130にかけての人工乳首100の中央部102は、柔軟な素材で形成されている。具体的には、硬度10度(JIS−K6235(ISO7619)におけるA型デュロメータにより硬度)のシリコーンゴムで形成されている。
また、図2のベース部110から乳首胴部120にかけての人工乳首100の基部101は、中央部102より剛性を有する素材である、例えば硬度30度のシリコーンゴムで形成されている。すなわち、ベース部110及び乳首胴部120のベース部110側が剛性部となっている。
また、乳頭部130の先端側である先端部103も基部101と同様に硬度30度のシリコーンゴムにより形成されている。
【0028】
このため、図2の中央部102は伸び易い伸長部となると共に、基部101と先端部103は、中央部102より伸びにくく剛性がある剛性部となっている。
すなわち、乳頭部100の先端部側と乳首胴部120のベース部110側並びにベース部110に剛性部が形成され、乳頭部130の先端部側と乳首胴部120の基端部側との間に伸長部が形成されている。
なお、ここでは基部101と先端部103は同一の材料として構成した例を示したが、例えば、先端部103を中央部102と同じ硬度の素材を採用し、その肉厚を増すように構成し、2種の素材で形成してもよい。また、先端部103に、例えば硬度20度の素材を使用し、3種の素材で形成してもよい。さらに、必要に応じて、3種以上の異なる硬度の素材を積層するよう構成してもよく、それぞれの素材における硬度は適宜選択することができる。
【0029】
ところで、剛性を有する素材で形成されたベース部110には、図2に示すように通気手段である例えば、通気弁150が形成されている。このため、哺乳に伴って哺乳瓶11内の圧力が低下した場合でも、この通気弁150によって外気が人工乳首100の内部となる哺乳瓶11内に流入し、負圧の発生を防ぐ構成となっている。
すなわち、通気弁150は、哺乳瓶11に取り付けられた人工乳首100の内外を連通する機能を有する。
また、キャップ12は、図2に示すように、哺乳瓶11の開口端部11aと螺合され、哺乳瓶11に対して固定される構成となっている。
このため、キャップ12は、図2に示すように、人工乳首100のベース部110を哺乳瓶11に対して固定でき、しかもその締め込み強さを調整でき、通気弁150による通気量を調整できる構成となっている。
特に、ベース部110は、上述のように硬度30度のシリコーンゴムからなる剛性部となっているので、ベース部110が変形等してキャップ12から外れ脱落等するのを有効に防止することができると共に、通気弁150が確実に作用する構成となっている。
【0030】
(人工乳首100の製造方法等について)
本実施の形態による哺乳器10は以上のように構成されているが、以下、本発明の特徴部分である人工乳首100の製造方法等について説明する。
図3は、図2の人工乳首100の製造方法を示す概略フローチャートである。また、図4は、人工乳首100の製造方法を示す概略説明図である。
図3のST1に示すように、先ず、キャビティ内に配置等される金型内に硬度30度のシリコーンゴム片、硬度10度のシリコーンゴム片、及び硬度30度のシリコーンゴム片を層を成すように挿入する。
具体的には、図4に示すように、人工乳首100の外形が凹状に形成された金型である例えば、雌型200内の図において下方である雌型下部210に、硬度30度のシリコーンゴム片300が配置される。次に、図4の雌型中央部220に、硬度10度のシリコーンゴム片310が配置される。さらに、図4の雌型上部230には、硬度30度のシリコーンゴム片300が配置される。
これにより、雌型200内には硬度の異なる複数のシリコーンゴム片300、310が層を成して配置されることになる。
【0031】
次に、図3のST2に示すように、雄型にあたる加熱したコア250を雌型200内に挿入する。具体的には、図4に示すコア250を雌型200内に挿入する。コア250は、雌型200内に挿入されると、雌型200との間に空間が形成される形状となっている。また、雌型200とコア250との間に形成される空間の形状が図2の人工乳首100の形状となるように構成されている。
したがって、図4のコア250が雌型200内に挿入されると、コア250は加熱されているため、予め配置されている硬度30度のシリコーンゴム片300及び硬度10のシリコーンゴム片310は、溶融される。
そして、溶融されたシリコーンゴム片300、310は、コア250の挿入圧力により加圧され、コア250と雌型200との間の空間に押し込められるように配置される。すなわち、図2の人工乳首100のような形状となる。
【0032】
次に、図3のST3に示すように、コア250を雌型200内で上下動(バンピング動作)させる。
これにより、雌型200内に配置され、溶融されたシリコーンゴム片300、310内に空気が混入することを未然に防止することができる。
次に、図3のST4及びST5に示すように、コア250のバンピング動作を停止させコア250を静止させ(型締め)、成形する。
すなわち、図4の雌型200内で溶融したシリコーンゴム片300、310を硬化等させて成形する。
こうして成形された人工乳首100を雌型200等から取り出すことで、図2に示すような形状を有する人工乳首100を製造することができる。
【0033】
このように製造された人工乳首100は、図2に示すように、中央部102に伸長部である硬度10度のシリコーンゴムを配置させることができる。また、基部101及び先端部103には、剛性部である硬度30度のシリコーンゴムを配置させることができる。
そして、この硬度10度のシリコーンゴムの部分は、柔らかく伸展し易いので、図12に示す、乳幼児20の舌23の蠕動用運動で伸展し易い伸展可能な人工乳首100を製造することができる。
すなわち、本実施の形態では、従来のように人工乳首の肉厚を薄くすることなく、伸長部を形成することができるので、肉厚の薄い部分で破断してしまう恐れがないだけでなく、人工乳首の肉厚を部分的に薄くする等の特別の工程が必要ない。また、上述のように、人工乳首100は、異なった硬度のシリコーンゴム片300、310を雌型200内に層を成して配置し、加熱したコア250を挿入して、シリコーンゴム片300、310をキャビティ内で溶融、加圧、硬化等を行う、圧縮成形により製造する。
このため、従来に比べ、低コスト且つ簡易に人工乳首100を製造することができる。
【0034】
また、図2の人工乳首100の剛性部である基部101及び先端部103と、伸長部である中央部102との境界部は、圧縮成形の溶融工程を経て形成されているため、境界部が明確に分断された状態となっておらず、密な状態、つまり剛性部と伸長部との中間程度の硬度とされた領域となっている。
このため、人工乳首100の中央部102と基部101及び先端部103とが、硬度の異なるシリコーンゴムが、中間領域となる密な状態の部位を介して隣接して配置された状態となり、この状態で、人工乳首100が伸展しても、これらの境界部で急激な変化が生じるのを未然に防ぐことができる。
すなわち、これらの境界部では、伸展の変化が穏やかな変化となるため、人工乳首100全体がスムーズに伸展(伸長)することとなり、利用者である乳幼児等にとって使い易い人工乳首100となる。
【0035】
(人工乳首100の動作例等について)
本実施の形態に係る人工乳首100は、以上のように構成されているが、以下その動作等について説明する。
図5は、図2の人工乳首100を利用者である例えば、乳幼児20が自己の口腔内に挿入した状態を示す概略説明図である。図5においては、図1の哺乳瓶11等は省略され、人工乳首100のみが表されている。
図5に示すように、 人工乳首100が、乳幼児20にくわえられると、人工乳首100の図2に示す先端部103は、乳幼児15の哺乳窩22に当接され、乳幼児20の舌23によって人工乳首100は図において上方へ押しつけられ、図9に示すような上述の哺乳準備段階が終了する。
なお、人工乳首100は、母親の乳首32と異なり、既に第1次伸展がされた長さとされているため、乳幼児20が人工乳首100をくわえることで、人工乳首100の先端部103を、乳幼児20は哺乳窩22に当接するよう変形させる構成となっている。
【0036】
その後、図12(a)乃至(c)に示すような、上述の乳幼児20の舌23による蠕動用運動が行われ、人工乳首100が伸展(伸長)し、上述の第2次伸展が生じる。
具体的には、図5の乳幼児20の舌23が、図12(a)乃至(c)の蠕動用運動を行うことで、人工乳首100を伸展させる。すなわち、人工乳首100の図5の伸長部にあたる中央部102は、硬度10度の柔らかいシリコーンゴムから成っているため、乳幼児20の舌23の蠕動様運動によって、より伸展(伸長)し易い構成となっている。
一方、図2の先端部103及び基部101は、硬度30度の剛性が高いシリコーンゴムから成っているため、舌23による蠕動様運動によって、人工乳首100が図5の上口蓋21に押しつけられても、人工乳首100が潰れることや、キャップ12から外れることを未然に防止すると共に、確実に通気弁150によって通気する構成となっている。
すなわち、人工乳首100が潰れることで、哺乳瓶11内のミルクが人工乳首100内を通過できず、これにより乳幼児20がミルクを摂取できない状態や、人工乳首100が内方に変形してしまうこと等を未然に防ぐことができることになる。
【0037】
このように、本実施の形態では、人工乳首100は、乳幼児20の舌23による蠕動用運動によって伸展し易く、且つ潰れ難いため、乳幼児20にとって使い易い構成となっている。
また、図2の中央部102(伸長部)は、図5に示すように乳幼児20の舌23による蠕動様運動が行われる領域に配置されている。このため、人工乳首100は、乳幼児20の舌23による蠕動様運動が滑らかに行いやすく、確実に伸展し易い構成となっている。この伸展や滑らかな舌の蠕動様運動により、よりスムーズに哺乳運動を行い易い人工乳首100となっている。
【0038】
また、乳幼児20の舌23による蠕動様運動で伸展し易い中央部102と、中央部102より伸展しにくい先端部103との境界部は、その硬さに差が生じ、乳幼児20に違和感を与えるおそれがある。しかし、本実施の形態では、上述のように圧縮成形により、境界部を硬度の中間領域となるよう、密な状態としているため、乳幼児20の舌23が当接しても、違和感を与えにくい構成となっている。このため、乳幼児20にとって使い易い人工乳首100となっている。
【0039】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態の哺乳器の人工乳首400の構成を示す概略断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、図6に示すように、人工乳首100の中央部402の内側に溝部402aが形成されている。すなわち、伸長部である中央部402には、剛性部である基部110及び先端部103の肉厚の厚みより、肉厚が薄い例えば、溝部402aが複数のリング状や螺旋状等で形成されている。
したがって、図12に示すように、乳幼児20が舌23で蠕動様運動を行うと、伸長部である中央部402aが、他の部分より薄いため、より伸展し易い構成となっている。このため、乳幼児20がより使い易い人工乳首400となる。
【0040】
本実施の形態の他の構成は、上述の第1の実施の形態の人工乳首100と同様であり、その製造方法も、第1の実施の形態と同様に、圧縮成形により成形する。
ただし、本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、溝部402aを有するため、図4のコア250と異なり、コアには、溝部402a形成用の突起部が設けられることになる。
本実施の形態では、溝部402aは圧縮成形により、同時に形成されるため、従来のような溝を形成するための特別な工程は不要である。このため、簡易且つ低コストで人工乳首400を成形することができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態に係る人工乳首600を用いたおしゃぶり500を示す概略図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態の人工乳首600は、図2の人工乳首100に噴出開口140を形成しない構成となっている。その他の構成は図2の人工乳首100と同様である。
そして、人工乳首600を第1の実施の形態と異なり、図7に示す座板部510に取りつける構成となっている。なお、図示していないが、本実施の形態におけるおしゃぶり500では、通気弁150を人工乳首100には設けず、座板部510等に通気部が形成されている。
したがって、乳幼児20が、おしゃぶり500を使用することで、舌23の蠕動様運動をスムーズに行うことが可能となるので、乳幼児20等に好ましい刺激を与えることができるおしゃぶり500となる。
【0042】
(第4の実施の形態)
図8は、第4の実施の形態の哺乳器の人工乳首600の構成を示す概略断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、図8に示すように、第1の実施の形態の人工乳首100とは異なり、先端部603が中央部602と異なる材料ではなく、中央部602から先端部603にかけて、柔軟な材料で一体に形成されており、基部601とベース部110よりなる剛性部に対して、柔軟部604が先端部603まで配置されている。
この時、先端部603に位置する柔軟部604は、第1の実施の形態よりも僅かに肉厚が厚く構成されており、蠕動様運動に伴って完全に潰れてしまうことを防ぐと共に、哺乳運動を妨げないよう適度に変形するよう構成されている。
また、剛性部である基部601と、伸長部である柔軟部604の境界には、結合部605が形成されている。この結合部605では、外面側に伸長部となる柔軟部604よりなる柔軟層605aが配置されており、内面側に剛性部となる基部601よりなる剛性層605bが配置されている。
このように外側に柔軟層605aを配置することで、第1の実施の形態と同様に、乳幼児が舌の蠕動様運動を行うに当って、剛性部と伸長部の境界における違和感を抑えて、哺乳運動を行いやすい人工乳首600としている。
【0043】
なお、この人工乳首600は第1の実施の形態とは異なる製造方法で形成されている。
本実施の形態における人工乳首600の製造方法は、インサート成形を金型上で行うことができる、所謂二色成形機で成形するものであり、第1の工程として、人工乳首600の内側の形状とされたコア型に対して、剛性部である基部601及びベース部110の外形形状とされた第1の雌型を嵌め合わせて型締めする。
その後、第2の工程として、剛性部となる比較的硬度の高い(例えば硬度30度)液状の材料を金型内に射出成形して剛性部を成形する(第1の成形物の一例)。
さらに、第3の工程として、型締めを解除して雌型を外し、成形された剛性部がコア型に装着された状態で、柔軟部604の外形形状とされた第2の雌型にコア型を嵌め合わせ、型締めする。
その後、第4の工程として、柔軟部604として使用される比較的硬度の低い(例えば硬度15度)液状の材料(他の素材の一例)を、金型内に射出成形して、柔軟部604を剛性部と一体になるよう、人工乳首600が成形される(第2の成成形物の成形及び第1の成形物と第2の成形物とを一体に熱融着する一例)。
この時、柔軟部604と基部601の境界部となる結合部605における接合面は、段状にされているため、溶融して結合する際に、接合面積が大きくなり、確実に接合されることとなる。
もちろん、剛性部のみを成形した後に、成形された剛性部を他の成形機の金型内に保持させて、柔軟部604を成形することで一体に成形してもよく、また、結合部605の接合面にさらに凹凸を設けて、確実に一体となるよう構成してもよい。
本実施の形態では、射出成形機を使用して、容易に製造できると共に、乳幼児が哺乳しやすい人工乳首600とすることができる。
【0044】
(第5の実施の形態)
図9は、第5の実施の形態の哺乳器の人工乳首700の構成を示す概略断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の人工乳首100と多くの構成が共通するため、共通部分は同一符号等として説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、図8に示される人工乳首600と同様に、インサート成形によって形成されているが、第4の実施の形態とは異なり、先端部703は比較的硬度の高い剛性部とされており、柔軟な材料よりなる中間部702をまたいで、先端部703と基部701をつなぐように、3本のリブ706(断面図のため、図では2本)が設けられている。
この3本のリブ706は、万一、哺乳中に人工乳首700の伸長部が潰れてしまった場合でも、母乳等の流路を確保するものであり、本数がさらに多くされていてもよく、斜めに設けても、螺旋状としてもよい。
また、リブ706を設けることで、第4の実施の形態における第1の工程と同様に、剛性部を一回で成形することができる。つまり、図示しない射出孔が剛性部側にあった場合でも、3本のリブ706を通じて先端部103側に同じ材料を供給することができる。
なお、本実施の形態では、第4の実施の形態と異なり、キャップ12は設けられておらず、剛性部よりなるベース部110が哺乳瓶11側に延伸されて装着部720が形成されており、装着部720からさらに外方に向かって着脱用のツマミ721が設けられた、所謂直付タイプの乳首とされている。すなわち、人工乳首700が、直接哺乳瓶11と係合するよう構成されている。
本実施の形態でも、射出成形機を使用して、容易に製造できると共に、乳幼児が哺乳しやすい人工乳首700とすることができる。
【0045】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。また、伸長部及び剛性部をリング状として、それぞれ交互に多数重なるように配置しても構わず、さらに螺旋状に重ねても構わない。
【符号の説明】
【0046】
10・・・哺乳器、11・・・哺乳瓶、11a・・・開口端部、12・・・キャップ、20・・・乳幼児、21・・・上口蓋、22・・・哺乳窩、23・・・舌、24・・・軟口蓋、27a・・・上口唇、27b・・・下口唇、28b・・・下歯槽堤、30・・・乳房、31・・・乳輪、32・・・乳首、32a・・・乳首の先、100、400、600・・・人工乳首、101、601、701・・・基部、102、402、602、702・・・中央部、103、604、704・・・先端部、110・・・ベース部、120、420・・・乳首胴部、130、430・・・乳頭部、140・・・噴出開口、150・・・通気弁、200・・・雌型、210・・・雌型下部、220・・・雌型中央部、230・・・雌型上部、250・・・コア、300・・・硬度30度のシリコーンゴム片、310・・・硬度10度のシリコーンゴム片、402a・・・溝部、500・・・おしゃぶり、510・・・座板部、A・・・中空部、E・・・密閉空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、
前記取付手段に連接された乳首胴部と、
前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首であって、
少なくとも前記乳頭部及び/又は前記乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、
少なくとも、前記取付手段及び前記乳頭胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、
少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする人工乳首。
【請求項2】
前記伸長部及び前記剛性部が、金型内に硬度の異なる複数の素材を配置し、キャビティ内で前記複数の素材を加熱、溶融、加圧及び硬化させる圧縮成形で形成されることを特徴とする請求項1に記載の人工乳首。
【請求項3】
前記伸長部及び前記剛性部との境界部が密な状態に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人工乳首。
【請求項4】
液状とされた素材を金型内で成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の一方に相当する第1の成形物を成形した後に、前記第1の成形物を他の金型に収容し、他の液状とされた他の素材を成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の他方に相当する第2の成形物を成形すると共に、前記第1の成形物と前記第2の成形物とを一体に熱融着させるインサート成形で形成されることを特徴とする請求項1に記載の人工乳首。
【請求項5】
前記伸長部及び前記剛性部との境界部において、前記伸長部及び前記剛性部が、人工乳首外面側と人工乳首内面側で重なるよう積層された結合部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の人工乳首。
【請求項6】
少なくとも、前記結合部における人工乳首外面側に、前記伸長部が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の人工乳首。
【請求項7】
哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、
前記取付手段に連接された乳首胴部と、
前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首を備える哺乳器であって、
前記人工乳首は、少なくとも前記乳頭部及び/又は前記乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、
少なくとも、前記取付手段及び前記乳首胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、
少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする哺乳器。
【請求項1】
哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、
前記取付手段に連接された乳首胴部と、
前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首であって、
少なくとも前記乳頭部及び/又は前記乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、
少なくとも、前記取付手段及び前記乳頭胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、
少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする人工乳首。
【請求項2】
前記伸長部及び前記剛性部が、金型内に硬度の異なる複数の素材を配置し、キャビティ内で前記複数の素材を加熱、溶融、加圧及び硬化させる圧縮成形で形成されることを特徴とする請求項1に記載の人工乳首。
【請求項3】
前記伸長部及び前記剛性部との境界部が密な状態に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人工乳首。
【請求項4】
液状とされた素材を金型内で成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の一方に相当する第1の成形物を成形した後に、前記第1の成形物を他の金型に収容し、他の液状とされた他の素材を成形することで、前記伸長部又は前記剛性部の他方に相当する第2の成形物を成形すると共に、前記第1の成形物と前記第2の成形物とを一体に熱融着させるインサート成形で形成されることを特徴とする請求項1に記載の人工乳首。
【請求項5】
前記伸長部及び前記剛性部との境界部において、前記伸長部及び前記剛性部が、人工乳首外面側と人工乳首内面側で重なるよう積層された結合部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の人工乳首。
【請求項6】
少なくとも、前記結合部における人工乳首外面側に、前記伸長部が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の人工乳首。
【請求項7】
哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、
前記取付手段に連接された乳首胴部と、
前記乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有する人工乳首を備える哺乳器であって、
前記人工乳首は、少なくとも前記乳頭部及び/又は前記乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、
少なくとも、前記取付手段及び前記乳首胴部の前記取付手段側は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記取付手段には、前記哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、
少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、
前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とする哺乳器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−184141(P2010−184141A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126120(P2010−126120)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【分割の表示】特願2004−191587(P2004−191587)の分割
【原出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000112288)ピジョン株式会社 (144)
【出願人】(000186902)昭和ホールディングス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【分割の表示】特願2004−191587(P2004−191587)の分割
【原出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000112288)ピジョン株式会社 (144)
【出願人】(000186902)昭和ホールディングス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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