説明

人工呼吸器用圧力調節装置およびこのような圧力調節装置を用いた人工呼吸器

【課題】調整操作部材28の回動操作が全体として簡単であり、調整操作部材28などが破損するおそれがないにもかかわらず、調整作動部材26、27の不必要な作動を確実に防止することができるとともに、調整操作部材28が回動しても調整作動部材28が作動しない状態における調整操作部材28の取り扱い時に違和感などを抱くおそれがない人工呼吸器用の圧力調節装置を提供する。
【解決手段】吸気ガス用入口部21aと吸気ガス用出口部21bとの間のガス通路に臨んでいる調節弁24と、調節弁24を弁座部67に弾性的に付勢する弾性付勢手段25とを備えている。調整操作部材28は、その復動時には、その回動によっても調整作動部材26、27を作動させず、引っ張り出し時には、その回動によって調整作動部材26、27を作動させる。上記復動時における調整操作部材28の回転時トルクは、4〜25cN・mの範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸補助を必要とする患者にガスを送る蘇生装置などの人工呼吸器に用いるための圧力調節装置に関するものである。また、本発明は、このような圧力調節装置を用いた人工呼吸器にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されている圧力調節装置(以下、「特許文献1の圧力調節装置」という。)は、吸気ガス用の入口部、吸気ガス用の出口部および第3の通気口部をそれぞれ有するハウジング機構を備えている。また、この特許文献1の圧力調節装置は、吸気ガス用入口部と吸気ガス用出口部との間のガス通路に臨むように、ハウジング機構のほぼ円筒形状の弁ハウジング内に配設された調節弁と、調節弁を弁ハウジング内に設けた弁座部に対して弾性的に付勢するコイルばねと、コイルばねの弾性付勢力を調整するために回転操作される調整操作キャップとをさらに備えている。そして、調整操作キャップは、弁ハウジングの筒状部の外周面に形成されたねじ部にねじ込まれている。また、弁ハウジングの筒状部には、上記第3の通気口としてのガス放出口が形成されている。そして、ガス通路を流れるガスの圧力と、ねじ部に対する調整操作キャップのねじ込みまたはねじ戻しの量とに応じて調整弁が開閉するので、ガス通路を流れるガスがこの開閉状態に応じてガス放出口部から部分的に外部に流出する。さらに、調整操作キャップが不必要に回動するのを防止するために、上記筒状部には、この調整操作キャップを覆うように、回動防止用の係止キャップが着脱自在に嵌め込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−239006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のように構成された特許文献1の圧力調節装置の場合には、操作者などが指で触れたときなどに調整操作キャップが不必要に回動するのを防止するためには、調整操作キャップを回動防止用係止キャップによって覆う必要がある。また、調整操作キャップをねじ込みまたはねじ戻しするためには、回動防止用係止キャップを調整操作キャップから取り外す必要がある。したがって、回動防止用係止キャップが余分に必要なために部品点数が多くなるだけでなく、回動防止用係止キャップを取り外してから調整操作キャップを回動操作する必要があるとともに、この回動操作後には回動防止用係止キャップを再び取り付ける必要があるから、調整操作キャップの回動操作が全体として煩雑である。また、回動防止用係止キャップの取り外しおよび取り付けの際にも調整操作キャップが不必要に回動するおそれがあり、さらに、回動防止用係止キャップを紛失してしまったり、取り付けるのを忘れてしまったりする可能性もあるから、調整操作キャップの不必要な回動を確実に防止する観点からも、問題がある。
【0005】
一方、本出願人は、特願2008−256546号において、特許文献1の圧力調整装置における上述のような欠点を比較的簡単な構成でもって効果的に是正し得るようにした新規な圧力調節装置をすでに提案している。なお、この特願2008ー256546号において提案された新規な圧力調節装置(以下、「先願の圧力調節装置」という。)においては、特許文献1の圧力調節装置において用いられている回動防止用の係止キャップが省略されている。そして、調整操作部材が調整作動部材に対して復動しているときには、調整操作部材が調整作動部材に対して空回りするように構成されるとともに、調整操作部材が調整作動部材に対して引っ張り出されたときには、調整操作部材の回動操作によって調整作動部材が作動して、弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成されている。
【0006】
したがって、先願の圧力調節装置によれば、特許文献1の圧力調節装置の場合のように、調整操作部材が不必要に回動するのを防止するために、回動防止用係止キャップによって調整操作部材を覆う必要がないから、調整操作部材の回動操作が全体として簡単である。また、調整作動部材の不必要な作動を確実に防止する観点からも、特に問題がない。さらに、調整操作部材が調整作動部材に対して復動しているときには、第1の状態の調整操作部材は調整作動部材に対して空回りするから、調整操作部材の回動が強制的に阻止される場合のように、調整操作部材を大きな力で回動させようとするおそれがなく、このために、調整操作部材、調整作動部材などが破損するおそれがない。
【0007】
しかし、先願の圧力調節装置において、調整操作部材の滑らかな第1の係合部がハウジング機構側の滑らかな第2の係合部に相対的に嵌合されていて、第1の係合部の内径と第2の係合部の外径とが互いにほぼ同一であれば、上記第1の状態のときには、調整操作部材が軽快に空回りし、また、調整操作部材が調整作動部材に対して引っ張り出された第2の状態のときには、調整作動部材が調整操作部材に加えられる小さなトルクでもって作動する。したがって、医師などの操作者は、上記第1の状態のときには、不安感や違和感を抱くおそれがあり、また、上記第2の状態のときには、不安感や違和感を抱くおそれがあるだけでなく、弾性付勢手段の弾性付勢力の微調整を行いにくいおそれがある。
【0008】
本発明は、特許文献1の圧力調整装置および先願の圧力調整装置における上述のような欠点を、比較的簡単な構成でもって、効果的に是正し得るようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、その第1の観点においては、呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置において、第1の通気口部、第2の通気口部および第3の通気口部をそれぞれ有しかつ上記第1の通気口部および第2の通気口部のうちの一方の通気口部が吸気ガス用の入口部として用いられることができるとともに他方の通気口部が吸気ガス用の出口部として用いられることができるハウジング機構と、上記第1の通気口部と上記第2の通気口部との間のガス通路に臨むように上記ハウジング機構に配設された調節弁と、上記ハウジング機構に設けた弁座部に上記調節弁を弾性的に付勢する弾性付勢手段と、上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動される調整作動部材と、上記調整作動部材を作動させるために回動操作される調整操作部材とをそれぞれ備え、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも低いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を閉塞するとともに、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも高いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を開放して、上記ガス通路のガスが上記第3の通気口部を流れるように構成され、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している第1の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動しても上記調整作動部材が作動しないように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して引っ張り出された第2の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動することによって上記調整作動部材が作動して、上記弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成され、上記第1の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが4〜25cN・m(好ましくは、5〜20cN・m、さらに好ましくは、7〜15cN・m)の範囲であることを特徴とする圧力調節装置に係るものである。
【0010】
そして、本発明は、上記第1の観点の第1の態様においては、上記第2の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが1.5〜10cN・m(さらに好ましくは、2〜8cN・m、最も好ましくは、3〜6cN・m)の範囲であるのが好ましい。また、本発明は、上記第1の観点の第2の態様においては、上記第2の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクに対する上記第1の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクの比が1.2〜5(さらに好ましくは、1.6〜4、最も好ましくは、2〜3)の範囲であるのが好ましい。
【0011】
さらに、本発明は、その第2の観点においては、呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置において、第1の通気口部、第2の通気口部および第3の通気口部をそれぞれ有しかつ上記第1の通気口部および第2の通気口部のうちの一方の通気口部が吸気ガス用の入口部として用いられることができるとともに他方の通気口部が吸気ガス用の出口部として用いられることができるハウジング機構と、上記第1の通気口部と上記第2の通気口部との間のガス通路に臨むように上記ハウジング機構に配設された調節弁と、上記ハウジング機構に設けた弁座部に上記調節弁を弾性的に付勢する弾性付勢手段と、上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動される調整作動部材と、上記調整作動部材を作動させるために回動操作される調整操作部材とをそれぞれ備え、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも低いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を閉塞するとともに、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも高いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を開放して、上記ガス通路のガスが上記第3の通気口部を流れるように構成され、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している第1の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動しても上記調整作動部材が作動しないように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して引っ張り出された第2の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動することによって上記調整作動部材が作動して、上記弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成され、第1の凹凸係合部が上記ハウジング機構側に設けられるとともに、上記第1の凹凸係合部に係合することができる第2の凹凸係合部が上記調整操作部材側に設けられ、上記第1の状態のときにおける上記第1の凹凸係合部と上記第2の凹凸係合部との係合によって、上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが増大するように構成されていることを特徴とする圧力調節装置に係るものである。
【0012】
そして、本発明は、上記第2の観点の第1の態様においては、上記第2の状態のときにおける上記第1の凹凸係合部と上記第2の凹凸係合部との係合によって、上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが増大するように構成されているのが好ましい。また、本発明は、上記第2の観点の第2の態様においては、上記第1の凹凸係合部が上記ハウジング機構の外周囲にほぼリング状に設けられた凹凸係合部であり、上記第2の凹凸係合部が上記調整操作部材の内周囲に間欠的に設けられた複数箇所の凹凸係合部であるのが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記第1および第2の観点の第1の態様においては、上記調整操作部材の上記引張り出しの方向には往復動しないように、上記ハウジング機構側に取り付けられた頂面部材と、上記頂面部材と上記調整操作部材との間に介装された円錐コイルばねとを備え、上記引張り出しの方向に往動している上記調整操作部材が上記円錐コイルばねによって上記復動の方向に弾性的に付勢されるように構成されているのが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、上記第1および第2の観点の第2の態様においては、上記調整作動部材が、上記ハウジング機構にそれぞれ配設された第1の調整作動部材および第2の調整作動部材を備え、上記第1の調整作動部材が、上記調整操作部材の回動操作によって回動して、上記第2の調整作動部材を回動させるように構成され、上記第2の調整作動部材が、その回動によって、上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動するように構成されているのが好ましい。このように構成すれば、調整操作部材の回動操作によって、第1の調整作動部材が回動し、この第1の調整作動部材の回動によって、第2の調整作動部材が弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動するので、弁座部に対する調節弁の圧着状態を調整する動作を確実かつ円滑に行うことができる。この場合、上記調整操作部材が調整操作キャップであり、上記調整操作キャップが上記第1の調整作動部材の頭部にほぼ被せられているのが好ましい。このように構成すれば、第1の調整作動部材に対して調整操作部材を容易かつ確実に回動操作することができるとともに、第1の調整作動部材に対する調整操作部材の回動伝達および回動非伝達を行うための連動・連動解除機構を第1の調整作動部材と調整操作部材との間に簡単かつ確実に構成することが可能である。
【0015】
また、本発明は、上記第1および第2の観点の第3の態様においては、上記調整操作部材が第1の回動伝達用係合部を備え、上記調整作動部材が第2の回動伝達用係合部を備え、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している復動位置にあるときには、上記調整操作部材の上記第1の回動伝達用係合部と上記調整作動部材の上記第2の回動伝達用係合部との相互の係合が解除されていて、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動しても上記調整作動部材が作動しないように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して上記復動位置から引っ張り出されたときには、上記第1の回動伝達用係合部と上記第2の回動伝達用係合部とが相互に係合することによって、上記調整操作部材の回動操作が上記調整作動部材に伝達されて、上記調整作動部材が作動するように構成されているのが好ましい。このように構成すれば、調整作動部材に対する調整操作部材の回動伝達および回動非伝達を達成するための連動・連動解除機構の構成を簡単にかつ動作を確実にすることが可能である。また、本発明は、上記第1および第2の観点の第4の態様においては、上記第3の通気口部に連なっている開口が上記調整操作部材の頂面部に形成されているのが好ましい。このように構成すれば、調整操作部材の頂面部に形成されている開口を操作者が指などで断続的に閉塞することによって、患者の呼吸回数を調節することが可能である。それでいて、操作者が指などで開口を閉塞するときに調整操作部材の頂面部を力強く押しても、調整操作部材が調整作動部材に対して空回りするから、調整作動部材が不必要に作動するおそれがない。
【0016】
さらに、本発明は、その第3の観点においては、上記第1および第2の観点における圧力調節装置によってガス圧が調節されるように構成されていることを特徴とする人工呼吸器に係るものである。そして、本発明は、上記第3の観点の第1の態様においては、上記圧力調整装置の上記吸気ガス用出口部に連結されることができる第2の吸気ガス用入口部を有するフェイスマスクをさらに備え、上記圧力調節装置の上記第1の通気口部および上記第2の通気口部のいずれもが上記フェイスマスクの上記第2の吸気ガス用入口部を選択的に連結し得るように構成され、上記第1および第2の通気口部のうちの、上記第2の吸気ガス用入口部を連結した通気口部が、上記圧力調節装置の上記吸気ガス用出口部として機能するように構成されるとともに、他方の通気口部が上記圧力調節装置の上記吸気ガス用入口部として機能するように構成されているのが好ましい。このように構成すれば、圧力調節装置の操作者は、この圧力調節装置を2通りの使用状態で使用することができるので、この2通りの使用状態のうちの自分に都合のよい使用状態で、圧力調節装置を使用することができて、好都合である。また、本発明は、上記第3の観点の第2の態様においては、上記圧力調節装置の上記第1の通気口部の軸心が上記第2の通気口部の軸心に対して成す角度が、75°〜105°(さらに好ましくは、80°〜100°、最も好ましくは、85°〜95°)の範囲であるのが好ましい。このように構成すれば、上記2通りの使用状態のうちのいずれの使用状態で使用しても、使用勝手が比較的良好である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、6および10に係る発明によれば、調整操作部材が不必要に回動するのを防止するために、回動防止用係止キャップによって調整操作部材を覆う必要がないから、調整操作部材の回動操作が全体として簡単である。また、調整作動部材の不必要な作動を確実に防止する観点からも、なんら問題がない。さらに、調整操作部材が調整作動部材に対して復動しているときには、調整操作部材の回動操作によりこの調整操作部材が回動しても調整作動部材が作動しないから、調整操作部材の回動が強制的に阻止される場合のように、調整操作部材を非常に大きな力で回動させようとするおそれがなく、このために、調整操作部材、調整作動部材などが破損するおそれがない。
【0018】
また、請求項1〜3、請求項6および請求項10に係る発明によれば、調整操作部材が調整作動部材に対して復動していて、調整操作部材の回動操作により調整操作部材が回動しても調整作動部材が作動しない第1の状態のときに、調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが比較的大きいから、医師などの操作者が上記第1の状態における調整操作部材の取り扱い時に不安感や違和感を抱くおそれがない。
【0019】
また、請求項4および請求項7に係る発明によれば、調整操作部材が調整作動部材に対して引張り出されていて、調整操作部材の回動操作により調整操作部材が回動することによって調整作動部材が作動して、弾性付勢手段の弾性付勢力が調整される第2の状態のときに、調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが或る程度大きいから、医師などの操作者が上記第2の状態における調整操作部材の操作時に不安感や違和感を抱くおそれがなく、しかも、弾性付勢手段の弾性付勢力の微調整を正確に行うのが容易である。
【0020】
また、請求項5に係る発明によれば、調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが上記第1の状態のときには上記第2の状態のときに較べて大きいから、上記第1の状態のときに調整操作部材を誤操作により回動させるおそれが少なく、さらに、上記第2の状態のときに調整操作部材の調整および微調整を良好に行うことができる。
【0021】
また、請求項8に係る発明によれば、ハウジング機構側に対して調整操作部材を回動させるのに必要な回動時トルクを、比較的簡単な構成でもって、確実に増大させることができる。
【0022】
さらに、請求項9に係る発明によれば、調整作動部材に対して調整操作部材を引っ張り出した第2の状態のときに、医師などの操作者が指で調整操作部材を回動操作させた後にこの調整操作部材から指を離すと、調整操作部材が円錐コイルばねの弾性付勢力によって自動的に復動するから、調整操作部材による調整操作を比較的簡単に行うことができる。また、調整操作部材を自動的に復動させるために頂面部材と調整操作部材との間に円錐コイルばねを介装させるようにしたから、ばねの収容スペースを幅狭にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明をTピース蘇生装置の圧力調節装置に適用した一実施例における斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示す圧力調節装置の分解斜視図である。(実施例1)
【図3】図1に示す圧力調節装置の縦断面図である。(実施例1)
【図4】図1に示す圧力調節装置の、PEEP設定時における図3と同様の縦断面図である。(実施例1)
【図5】図4のA−A線に沿った断面図である。(実施例1)
【図6】図4のB−B線に沿った断面図である。(実施例1)
【図7】図4のC−C線に沿った断面図である。(実施例1)
【図8】図1に示す圧力調節装置を組み込んだTピース蘇生装置の使用状態における第1の形態の概略的な斜視図である。(実施例1)
【図9】図8に示すTピース蘇生装置の使用状態における第2の形態の、蘇生装置本体を省略した概略的な斜視図である。(実施例1)
【図10】図8に示すTピース蘇生装置の第1の使用状態での、蘇生装置本体を省略した斜視図である。(実施例1)
【図11】図10に示すTピース蘇生装置の縦断面図である。(実施例1)
【図12】図8に示すTピース蘇生装置の第2の使用状態での、図8と同様の斜視図である。(実施例1)
【図13】図12に示すTピース蘇生装置の縦断面図である。(実施例1)
【図14】図10に示すフェイスマスクの斜視図である。(実施例1)
【図15】図2に示す各部品から図3に示す圧力調節装置を組み立てる手順のうちの前半の手順を順次示す縦断面図である。(実施例1)
【図16】図15に示す前半の手順に後続する後半の手順を順次示す縦断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
つぎに、本発明をTピース蘇生装置の圧力調節装置に適用した一実施例を、「1、Tピース蘇生装置全体の概略的構成」、「2、圧力調節装置の構成」、「3、圧力調節装置の組み立て手順」、「4、圧力調節装置の動作」および「5、Tピース蘇生装置の使用方法」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
1、Tピース蘇生装置全体の概略的構成
Tピース蘇生装置は、図8に示すように、蘇生装置本体1と、この蘇生装置本体1にガス供給チューブ2を介して吸気ガスを供給するガス源(図示せず)と、蘇生装置本体1からガス供給チューブ3を介して吸気ガスを供給される圧力調節装置4と、この圧力調節装置4に取り付けられるフェイスマスク5とを備えている。この場合、圧力調節装置4は、患者Tピースとも称されている。そして、フェイスマスク5のマスク本体5aの下面には、水泳用浮き輪を小さくしたような形状を有するリング状空気袋5bが取り付けられている。また、マスク本体5aの上面には、シリンジ(換言すれば、注射針が付いていない注射器−図示せず)などによってリング状空気袋5bに対して空気を注入したり空気を抜いたりするのに用いられる空気出し入れ用パイプ部5cが設けられている。さらに、この空気出し入れ用パイプ部5cとリング状空気袋5bの上面との間には、図11に示すように、リング状空気袋5bに対する空気の出し入れ時に開閉される弁7が設けられている。そして、ガス供給チューブ3の先端部には、接続用パイプ部8が取り付けられている。
【0026】
マスク本体5aの上面のほぼ中央部には、図8に示すように、圧力調節装置4に着脱可能に連結されるほぼ円筒状などのほぼ筒状の吸気ガス用入口部5dが設けられている。なお、フェイスマスク5は、気管カニューレ、鼻孔カニューレなどのカニューレであってもよい。そして、符号6は、上記ガス源の流量計であって、この流量計6は、上記ガス源からガス供給チューブ2を介して蘇生装置本体1に供給される吸気ガスの流量を調節するのに用いられる。また、図8においては、蘇生装置本体1およびその付近は、それ以外の部分に較べて縮小した状態で示されている。
【0027】
蘇生装置本体1には、図8に示すように、回路圧を表示する回路圧力計11と、最大開放圧を調節するのに用いられる最大開放圧調節摘み12と、吸気圧を調節するのに用いられる吸気圧調節摘み13とを備えている。また、蘇生装置本体1には、ガス導入口部14およびガス放出口部15が設けられている。そして、ガス導入口部14には、ガス供給チューブ2の終端部が接続される。また、ガス放出口部15には、ガス供給チューブ3の始端部が接続される。
【0028】
2、圧力調節装置の構成
圧力調節装置4は、図1〜図4に示すように、第1の管継手部または第1の通気口部としての分岐管部21aを有するほぼT字形状の分岐管(換言すれば、ハウジング機構としての多岐管)21を備えている。また、この分岐管部21aには、図8、図9および図11に示すように、ガス供給チューブ3が接続されるか、あるいは、図12および図13に示すように、図14に示すフェイスマスク5の円筒状などの筒状の吸気ガス用入口部5dが着脱自在に取り付けられる。そして、雄型としてのガス供給チューブ3が雌型としての分岐管部21aに接続されたときには(換言すれば、Tピース蘇生装置の第1の使用状態では)、分岐管部21aは、吸気ガス用の入口部としての吸気ガス供給口部を構成する。また、雄型としての吸気ガス用入口部5dが雌型としての分岐管部21aに取り付けられたときには(換言すれば、Tピース蘇生装置の第2の使用状態では)、この分岐管部21aは、吸気ガス用の出口部としての患者22に対するガス出入口部を構成する。さらに、多岐管21のうちの分岐管部21aとは異なる別の通気口部(図3に示す状態における多岐管21の下半部であって、第2の管継手部または第2の通気口部)21bには、上記第1の使用状態においては、図8、図9、図10および図11に示すように、図14に示すフェイスマスク5の吸気ガス用入口部5dが着脱自在に取り付けられ、そして、上記第2の使用状態においては、図12および図13に示すように、ガス供給チューブ3が接続される。そして、第2の管継手部21bは、上記第1の使用状態においては、患者22に対するガス出入り口部を構成し、上記第2の使用状態においては、吸気ガス供給口部を構成する。
【0029】
Tピース蘇生装置が上記第1の使用状態と上記第2の使用状態との両方の使用状態で使用できるようにするためには、図3に示すように、第1の管継手部21aの少なくとも先端部の内径と、第2の管継手部21bの少なくとも先端部の内径とが、互いにほぼ一致するとともに、接続用パイプ部8のうちの多岐管21との接続部の少なくとも先端部の外径と、吸気ガス用入口部5dの少なくとも先端部の外径とが、互いにほぼ一致しているのが好ましい。なお、図示の実施例においては、第1の管継手部21aの内径(換言すれば、内周囲の形状)、外径(換言すれば、外周囲の形状)および長さは、図3に示すように、第2の管継手部21bの内径、外径および長さとそれぞれほぼ一致している。
【0030】
上述のようにフェイスマスク5の筒状吸気ガス用入口部5dを圧力調節装置4の分岐管部21aと第2の管継手部21bとに選択的に嵌合して取り付けることができると、操作者23は、図8、図9、図10および図11に示す縦型での使用状態(換言すれば、上記第1の使用状態)と、図12および図13に示す横型での使用状態(換言すれば、第2の使用状態)との2通りの使用状態でもって、圧力調節装置4を使用することができる。そして、この点を考慮すると、多岐管21の中心線(換言すれば、軸心)Lが分岐管部21aの中心線Lと成す角度θは、図3に示すように、大よそ90°であるのが好ましい。このことは、下半部21bの中心線(換言すれば、軸心)Lが分岐管部21aの中心線Lと成す角度θについても、同様である。具体的には、図示の実施例においては、角度θおよび角度θのそれぞれは、約90°であるが、実用性の観点から見て一般的に、75°〜105°の範囲であるのが好ましく、80°〜100°の範囲であるのがさらに好ましく、85°〜95°の範囲であるのが最も好ましい。
【0031】
図2にそれぞれ示されている呼気終末陽圧(換言すれば、PEEP)調節弁24、弾性付勢手段としての反撥用コイルばね25、第2の調整作動部材または昇降型の調整作動部材としてのばね圧調節ねじ26、第1の調整作動部材としての回動型の調整作動部材27、調整操作部材としての調整操作キャップ28、弾性付勢手段としての反撥用円錐コイルばね(換言すれば、台形コイルばね)29、頂面部材31、Oリング32およびほぼ半円形状のストッパ部材33のような各部品は、多岐管21にそれぞれ予め取り付けられる。なお、図2においては、PEEP調節弁24、ばね圧調節ねじ26、回動型調整作動部材27、調整操作キャップ28および頂面部材31のそれぞれは、斜め上方からの図と斜め下方からの図との2通りで示されている。そして、多岐管21の上半部21cには、図3および図15(a)に示すように、Oリング32を嵌合支持させるためのほぼリング状の溝34が、上下一対のほぼリング状の突条部35、36によって形成されている。また、上側の突条部35のほぼ全周囲には、図2に示すように、この突条部35のほぼ上下方向のほぼ全長にわたって延在している多数の畝状部を有する凹凸係合部37が形成されている。なお、この凹凸係合部37は、図2および図7に示すように、上記畝状部としての断面がほぼ三角形状の凸条部37a(換言すれば、断面がほぼ三角形状の凹条部37b)が順次隣接しているものであってよい。
【0032】
多岐管21のほぼリング状の溝34には、図2および図15(a)に示すように、ほぼ180°などの角度でもって互いに対向している一対の取り付け孔41が形成されている。なお、これら一対の取り付け孔41のそれぞれは、貫通孔である。そして、ストッパ部材33のストッパ手段としての互いに対向する一対のストッパ用先端部33a、33bは、多岐管21へのこのストッパ部材33の取り付けのためにこれらの貫通孔41にそれぞれ挿入されて、多岐管21の上半部21cの内部空間43に突出している。また、多岐管21の上半部21cの内部空間43は、図3に示すように、隔離壁部44によってこの多岐管21の分岐管部21aおよび下半部21bのそれぞれから隔離(ただし、通気孔42を除く。)されている。そして、この上半部21cの下方部分の内周囲には、ばね圧調節ねじ26がねじ込まれる雌ねじ部45が形成されている。
【0033】
多岐管21の上面には、図2に示すように、互いにほぼ180°の角度を成して対向している一対の係止爪部46a、46bが突設されている。そして、これら一対の係止爪部46a、46bは、回動型調整作動部材27のほぼリング状の被係止部47の上面に係止される。また、多岐管21の上面には、互いにほぼ180°の角度を成して対向している一対の位置決め部48a、48bが突設されている。なお、これら一対の位置決め部48a、48bは、一対の係止爪部46a、46bに対してほぼ90°の角度を成していてよい。そして、これら一対の位置決め部48a、48bの上面には、被係止部47の下面が当接される。したがって、被係止部47は、一対の係止爪部46a、46bと一対の位置決め部48a、48bとの間に挟持されて、多岐管21に固定される。
【0034】
PEEP調整弁24は、図2に示すように、ほぼキャップ形状の弁本体24aと、この弁本体24aの上面に一体的に突設されている支持軸部24bとから成っている。そして、ばね圧調節ねじ26の外周囲には、雄ねじ部51が設けられている。また、ばね圧調節ねじ26の下半部分には、図2および図15(b)に示すように、その軸心がほぼ上下方向に延在しているほぼ円柱形状の孔40が形成されている。さらに、ばね圧調節ねじ26の上半部分には、ほぼ上下方向に延在していて、ほぼ円柱形状の孔40に連なっている開孔50が形成されている。そして、この開孔50の一半部分は孔40とほぼ同径である大径でほぼ半円形状の孔部50aによって構成され、他半部分は小径のほぼ半円形状の孔部50bによって構成されている。
【0035】
回動型調整作動部材27の上半部分には、図2および図3に示すように、ほぼ上下方向に貫通していて横断面がほぼ円形などであってよい中央開孔52が形成されている。そして、回動型調整作動部材27の下半部分は、ほぼ半円筒形状などの半筒形状の作動軸部53によって構成されている。また、回動型調整作動部材27の上端付近の外周囲には、ほぼリング状の係合用溝54が形成されている。さらに、回動型調整作動部材27の上下方向における中間部分には、ほぼ円盤形状の径大部55と、この径大部55の下面に隣接して形成されている回動伝達用係合部としての外周係合部56とが、それぞれ一体成形されている。なお、外周係合部56は、径大部55の外周囲を多角形状(図示の実施例においては、八角形)などに切断した形状を有している。
【0036】
調整操作キャップ28の上半部57は、図2および図16(a)に示すように、上面が開口しているほぼ円筒形状などのほぼ筒形状に構成されている。そして、この調整操作キャップ28の下半部58は、上半部57よりも径が多少小さいほぼ円筒形状に構成されている。また、上半部57と下半部58との間には、中間板部59がこれらの上半部57および下半部58と一体的に形成されている。さらに、上半部57の外周囲には、操作者23が指23aで握りやすいように、ほぼ上下方向に延在するように間欠的に形成された多数の溝61がほぼ等間隔などで形成されている。そして、下半部28には、下端から上端付近までほぼ上下方向に延在している複数本(図示の実施例においては、8本)のスリット62が形成されている。
【0037】
調整操作キャップ28の下半部58の内周面には、図2、図5および図16(a)に示すように、互いに隣接する一対のスリット62の間ごとに回動伝達用係合部としての内周係合部63が一体に形成されている。したがって、複数個(図示の実施例においては、8個)の内周係合部63が下半部58の内周面に設けられている。そして、内周係合部63のそれぞれは、回動型調整作動部材27の外周係合部56の各平坦面に一対一でそれぞれ対向し得るように、ほぼ横長の棒状に構成されている。また、ほぼ上下方向に延在している凹凸係合部としての複数本(図示の実施例においては、2本)の係合用突条部64が、内周係合部63のうちの例えば1個置きである複数個(図示の実施例においては、4個)の内周係合部63の下側に隣接して、下半部58の内周面に一体に形成されている。
【0038】
調整操作キャップ28の下半部58に形成されている複数本のスリット62は、図2および図16(a)に示すように、調整操作キャップ36の下半部58をその内周面から外周面まで貫通している。このために、下半部58の周側部分は、これらのスリット62によって、上半部57に対して内周面側および外周面側のいずれにも容易に弾性変形し得るようになっている。したがって、調整操作キャップ36をプラスチック成形するときに、この調整操作キャップ36からの内側金型の抜き出しが容易になる。また、調整操作キャップ28を回動型調整作動部材27に被せるときに、この回動型調整操作部材27の径大部55が調整操作キャップ28の内周係合部63を下側から上側へと容易に乗り越えることができる。
【0039】
頂面部材31は、図4に示すように、調整操作キャップ28の上半部57に収容し得る外周形状(図示の実施例においては、ほぼ円盤形状)を有するほぼ鍋蓋形状に構成されている。そして、この頂面部材31には、回動型調整作動部材27の中央開孔52にほぼ対応する中央開孔65が形成されている。また、この頂面部材31には、この中央開孔65に隣接するように、弾性変形可能な複数本(図示の実施例においては、4本)の腕部66が一体成形されている。
【0040】
3、圧力調節装置の組み立て手順
ハウジング機構としての多岐管21に図2に示す各部品(ただし、多岐管21を除く。)を取り付けて圧力調節装置4を組み立てる手順の一例を図15および図16を参照しつつ説明すると、つぎの(a)項〜(g)項に記載のとおりである。
【0041】
(a)まず、図15(a)に示すように、PEEP調節弁24の作動軸部24bを反撥用コイルばね25に相対的に挿通させてから、図15(b)に示すように、PEEP調節弁24の弁本体24aを多岐管21の上半部21cの内部空間43にその上端開口71から挿入して、通気孔42の外周部分から成る弁座部67上に載置する。
【0042】
(b)ついで、図15(b)および図15(c)に示すように、ばね調節ねじ26を多岐管21の上半部21cの内部空間43にその上端開口71から挿入してから、このばね圧調整ねじ26の雄ねじ部51を多岐管21の雌ねじ部45にねじ込む。この場合、反撥用コイルばね25の上端部分がばね圧調節ねじ26の円柱形状の孔40に相対的に挿入される。そして、上記ねじ込みを続けると、ばね圧調整ねじ26は、回転しながら下降するが、多岐管21の上半部21cの内部空間43に設けられた上向きの位置規制用段部72によってその最下降位置を規制される。
【0043】
(c)ついで、図15(c)に示すように、ストッパ部材33の一対のストッパ用先端部33a、33bが多岐管21の外周面側からその一対の取り付け孔41を貫通するように、ストッパ部材33を多岐管21のリング状溝34にはめることによって、ストッパ部材33を多岐管21に取り付ける。この場合、一対のストッパ用先端部33a、33bの先端部分が多岐管21の上半部21cの内部空間43に突出するので、ばね圧調節ねじ26の最上昇位置もこれらの先端部33a、33bによって規制される。
【0044】
(d)ついで、図15(c)に示すように、Oリング32を多岐管21のリング状溝34にはめる。この場合、多岐管21の上半部21cの内部空間43のガスが一対の取り付け孔41から多岐管21の外部に流出するのが、Oリング32によって防止される。
【0045】
(e)ついで、図15(c)および図16(a)に示すように、回動型調整作動部材27を多岐管21の上端開口71からその上半部21cの内部空間43に挿入して、多気管21に取り付ける。この場合、調整作動部材27の被係止部47が、前述のように、多気管21の一対の位置決め部48a、48bと一対の係止爪部46a、46bとの間に挟持されて、多気管21に固定される。また、調整作動部材27の作動軸部53は、ばね圧調節ねじ26の大径の孔部52aに挿通されてから、PEEP調節弁24の作動軸部24bの外周囲の半周部分を取り囲むように、コイルばね25内に挿入される。
【0046】
(f)ついで、図16(a)および図16(b)に示すように、調整操作キャップ28が回動型調整作動部材27を介して多岐管21に取り付けられる。この場合、調整操作キャップ28が調整作動部材27に被せられると、調整操作キャップ28の内周面に設けられている複数個の内周係合部63が、調整作動部材27の径大部55を上方から下方へと通過して、この調整作動部材27の複数個の外周係合部56にそれぞれ対向するようになるので、調整作動部材27に対する調整操作キャップ28の抜け止めが施される。これとともに、調整操作キャップ28の係合用突条部64が、図7に示すように、多岐管21の凹凸係合部37に凹凸係合する。
【0047】
(g)ついで、図16(b)および図16(c)に示すように、円錐コイルばね29および頂面部材31が、調整操作キャップ28の上半部57内に順次収容される。この場合、円錐コイルばね29は、回動型調整作動部材27の外周囲において、調整操作キャップ28の中間板部59と頂面部材31とに狭まれて、或る程度縮んだ状態になる。また、頂面部材31の複数本の腕部66は、この頂面部材31の中央開孔65の中心からいったん遠ざかるように往動して、この中央開孔65を大きくしてから元の位置に復動する。このために、腕部66の先端部分は、回動型調整作動部材27の係合用溝54にそれぞれ係合するので、調整作動部材27に対する頂面部材31の抜け止めが施される。
【0048】
上記(a)項〜(g)項に記載のような取り付け操作を行うことによって、図1、図3および図4に示す圧力調節装置4を組み立てることができる。そして、この圧力調節装置4においては、上記(f)項に記載のように、調整操作キャップ28の係合用突条部64が多岐管21の凹凸係合部37に凹凸係合している(図7参照)。したがって、調整操作キャップ28の滑らかな第1の係合部が多岐管21のこの第1の係合部とほぼ同形の滑らかな第2の係合部に良好な嵌合状態でもって係合している場合に較べて、多岐管21に対して調整操作キャップ28を回動させるときの回転時トルクの大きさは、つぎの「4、圧力調整装置の動作」の項に記載するように、十分に大きい値になる。
【0049】
4、圧力調節装置の動作
圧力調節装置4の第1の使用状態(図8〜図11参照)における動作を以下のとおりに説明する。なお、圧力調節装置4の第2の使用状態(図12および図13参照)の場合にも、上記第1の使用状態の場合とほぼ同様の動作が行われることは、きわめて明白である。
【0050】
前記ガス源からのガスが、図8にそれぞれ示すガス供給チューブ2、蘇生装置本体1、ガス供給チューブ3および接続用パイプ部8を経由して、図3に示す第1の管継手部(換言すれば、吸気ガス供給口部)21a(第2の使用状態では、第2の管継手部21b)から多岐管21内に導入される。この場合、医師などの操作者23が回動型調整作動部材27の中央開孔52の上端を指23aなどで閉塞していれば、このガスは、PEEP調整弁24の弁本体24aが一時的に開くことがあっても指32aなどでその上端が閉塞されている中央開孔52から外部に流出することはできないので、第2の管継手部(換言すれば、患者22に対するガス出入口部)21bからフェイスマスク5を経由して患者22に供給される。また、操作者23が中央開孔52の上端から指23aを離すと、上述のように多岐管21内に導入される上記ガス源からのガスが、PEEP調整弁24の弁本体24aの下面を押圧するとともに、患者22からの呼気も、多岐管21のガス出入口部21bの内部(換言すれば、ガス通路73)を経由して、PEEP調整弁24の弁本体24aの下面を押圧する。このために、上記ガスおよび上記呼気が、PEEP調節弁24の弁本体24aと弁座部67との間隙、内部空間43および中央開孔(換言すれば、呼気排気口部)52を経由して、外部に流出する可能性が生じる。
【0051】
すなわち、PEEP調整弁24の弁本体24aは、図3に示すように、弾性付勢手段としてのコイルばね25によって、弁座部67に弾性的に押圧されている。そして、上記ガス源からのガスおよび患者22からの呼気によるPEEP調整弁24の弁本体24aの下面に対するガス押圧力が、コイルばね25によるPEEP調整弁24の弁本体24aの上面に対する弾性押圧力よりも大きくなると、この大きくなった値に応じた大きさだけ、PEEP調整弁24の弁本体24aが弁座部67から浮き上がる(換言すれば、上方に離間する)。したがって、上記ガスおよび上記呼気は、PEEP調整弁24の弁本体24aと弁座部67との間隙、回動型調整作動部材27の作動軸部53の内周面とばね圧調整ねじ26の小径の孔部50bとによって形成される通気孔74(図6参照)および回動型調整作動部材27の中央開口52を経由して、外部に流出する。
【0052】
コイルばね25によるPEEP調整弁24の弁本体24aの上面に対する弾性押圧力の大きさは、調整操作キャップ28を操作することによって、調整することができる。この調整に際しては、まず、図3に示す調整操作キャップ28を円錐コイルばね29の弾性附性力に逆らって多岐管21、回動型調整作動部材27、頂面部材31などに対して上方に持ち上げる。この持ち上げは、図4および図5に示すように、調整操作キャップ28の内周係合部63が回動型調整作動部材27の径大部55に引っ掛かるまで、操作者23が指23aで行うことができる。この場合、円錐コイルばね29は、図4に示すように、ほぼ偏平な形状に弾性変形する。また、調整操作キャップ28の内周係合部63が、図4および図5に示すように、回動型調整作動部材27の外周係合部56に係合可能な状態になる。したがって、それまでは調整作動部材27との回動方向における係合が可能な状態が解除されていた調整操作キャップ28を時計方向または反時計方向に回動させることによって、回動型調整作動部材27(ひいては、作動軸部53)が調整操作キャップ28と一体となって回動するので、ばね圧調整ねじ26も同様に回動する。このために、多岐管21の雌ねじ部45にその雄ねじ部51がねじ込まれているばね調整ねじ26は、この雌ねじ部45に対してさらにねじ込みまたはねじ戻し(換言すれば、上方または下方にねじ送り)されるので、多岐管21に対して上昇または下降する。これによって、コイルばね25が、図4に示すように長くなるか、あるいは、図示していないように短くなるので、コイルばね25によるPEEP調整弁24に対する弁座部67への弾性押圧力が小さくなるか、あるいは、大きくなる。
【0053】
ついで、操作者23が調整操作キャップ28から指23aを離すと、調整操作キャップ28は、円錐コイルばね29の弾性附性力によって、図3に示す位置まで復動する。この場合、調整操作キャップ28を指23aで下方に押しても、もちろん同様に復動する。なお、図8に示すように指23aなどで開口52の上端を閉塞するときに(換言すれば、図3に示す状態において)調整作動部材27、頂面部材31、調整操作キャップ28などの各上端部を下方に力強く押しても、内周係合部63と外周係合部56とが不必要に係合することはないので、回動型調整作動部材27が誤操作によって回動するおそれがない。
【0054】
調整操作キャップ28の4ヶ所の長手状係合用突条部64は、図7に示すように、多岐管21のほぼリング状の凹凸係合部37に常時(換言すれば、図3に示す通常使用時と図4に示すPEEP調整弁24についての調整時との両方の状態において)係合している。このために、凹凸係合部37が第1のトルク増大手段を構成するとともに、係合用突条部64が第2のトルク増大手段を構成している。そして、これら第1および第2のトルク増大手段37、64が共働することによって、図3に示す通常使用時において、調整操作キャップ28が多岐管21に対して簡単にかつ不測に回動する場合のように、操作者23に不安感や違和感を抱かせるおそれがなく、操作者23は安心して上記通常使用を行うことができる。また、コイルばね25によるPEEP調整弁24の弾性押圧力の調整時(図4参照)において、調整操作キャップ28が多岐管21に対して簡単かつ不測に回動する場合のように、操作者23に不安感や違和感を抱かせたり、上記弾性押圧力の微調整がしにくかったりすることはなく、操作者23は上記弾性押圧力の調整および微調整を安心して行うことができる。
【0055】
図3に示す通常使用時においては、図示の実施例の場合には、操作者23が多岐管21に対して調整操作キャップ28を回動させるときに必要な回転時トルクは、約10cN・mであるが、実用性の観点からみて一般的に、4〜25cN・mの範囲であるのが好ましく、5〜20cN・mの範囲であるのがさらに好ましく、7〜15cN・mの範囲であるのが最も好ましい。
【0056】
一方、図4に示す調整時においては、図示の実施例の場合には、上記回転時トルクは、約4cN・mである。なお、図3に示す通常使用時の回転時トルクが図4に示す調整時の回転トルクの約2.5倍になる理由は、つぎに記載のとおりである。すなわち、図3に示す通常使用時には、調整操作部材28のスリット62の上端から多岐管21の係合用凹凸形状部37の上端に対応する箇所までの長さLの部分が押圧用の板ばね手段75(合計4個)の有効なばね部分として機能して、凹凸係合部37を押圧する。これに対し、図4に示す調整時には、これらの押圧用板ばね手段75が調整操作部材28のスリット62の上端から多岐管21の凹凸係合部37の上端に対応する箇所までの長さLの部分が押圧用板ばね手段75(合計4個)の有効ばね部分として機能して、これらの押圧用板ばね手段75が凹凸係合部37を押圧する。そして、長さLは、長さLの約1.5倍である。したがって、図4に示す調整時における4個の押圧用板ばね手段75の有効ばね長Lは、図3に示す通常使用時における4個の押圧用板ばね手段75の有効ばね長Lの約1.5倍であるから、有効ばね長Lの押圧用板ばね手段75は、凹凸係合部37に対して比較的柔らかい板ばねとして機能し、有効ばね長Lの押圧用板ばね手段75は、凹凸係合部37に対して比較的硬い板ばねとして機能する。
【0057】
図4に示す調整時においては、図示の実施例の場合には、操作者23が多岐管21に対して調整操作キャップ28を回動させるときに必要な回転時トルクは、上述のように約4cN・mであるが、実用性の観点から見て一般的に、1.5〜10cN・mの範囲であるのが好ましく、2〜8cN・mの範囲であるのがさらに好ましく、3〜6cN・mの範囲であるのが最も好ましい。
【0058】
図4に示す調整時の回転時トルクに対する図3に示す通常使用時の回転時トルクの比は、図示の実施例においては、約2.5であるが、実用性の観点からみて一般的に1.2〜5の範囲であるのが好ましく、1.6〜4の範囲であるのがさらに好ましく、2〜3の範囲であるのが最も好ましい。
【0059】
図3に示す通常使用時の回転時トルクが比較的大きいのは、図3に示す通常使用時に調整操作キャップ28を回動させる操作は誤操作であるから、操作者がこの点に気付きやすくすることと、大きな力を加えても調整操作キャップ28が回動しない場合に生ずる調整操作キャップ28、調整作動部材27などの破損を防止することとのためである。また、図4に示す調整時の回転時トルクが比較的小さいのは、この回転時トルクが大きすぎると、調整操作キャップ28の回動操作による調整および微調整が返って行いにくくなるからである。
【0060】
5、Tピース蘇生装置の使用方法
図1〜図14に示すTピース蘇生装置の使用方法(ただし、圧力調節装置4の第1の使用状態(図8〜図11参照)における使用方法)の一例を説明すると、つぎの(a)項〜(i)項に記載のとおりである。なお、圧力調節装置4の第2の使用状態(図12および図13参照)の場合も、上記第1の使用状態の場合とほぼ同様の使用方法でもってTピース蘇生装置を使用できることは、きわめて明白である。
(a)まず、患者22へのガス出入口部を構成している第2の管継手部21bにテスト肺(図示せず)を取り付ける。このテスト肺は、膨らむことができる風船であってよい。
(b)ついで、図8に示すガス供給チューブ2を蘇生装置本体1に接続する。
(c)ついで、どれぐらいのガスが上記ガス源からTピース蘇生装置に流入するのかを調整するために、図8に示す流量計6を調整する。
(d)ついで、頂面部材31の頂面付近に開口している回動型調整作動部材27の中央開孔52の上端開口を図8に示すように医師などの操作者23の指(図示の実施例においては、親指)23aで閉塞(すなわち、閉鎖)した状態において、最大開放圧調節摘み12を選択した値に合わせることによって、最大回路圧を設定する。
(e)ついで、図8に示すように回動型調整作動部材27の中央開孔52の上端開口を指23aで閉鎖した状態において、吸気圧調節摘み13を最大吸気圧に合わせることによって、最大吸気圧(換言すれば、PIP)を設定する。
(f)ついで、回動型調整作動部材27の中央開孔52の上端開口から指23aを離してから、まず、図3に示す状態にある調整操作キャップ28を多岐管21(ひいては、回動型調整作動部材27)に対して上方に持ち上げて、調整操作キャップ28の内周係合部63を回動型調整作動部材27の外周係合部56に係合させる。この場合、調整操作キャップ28の内周係合部63が回動型調整作動部材27の頭部55に引っ掛かって調整操作キャップ28が持ち上げられなくなるまで、調整操作キャップ28を上方に持ち上げればよい。ついで、調整操作キャップ28を必要に応じて時計方向または反時計方向に指23aで回動させて、回動型調整作動部材28を必要に応じて時計方向または反時計方向に回動させることによって、PEEP(すなわち、呼気終末陽圧)を望ましい値に設定する。
(g)ついで、患者22に対するガス出入口部(換言すれば、第2の管継手部)21bから前記テスト肺を取り外して、このガス出入口部21bにフェイスマスク5を取り付ける。そして、このフェイスマスク5を図8および図9に示すように患者22の口元に当てる。
(h)ついで、図8に示すように回動型調整作動部材27の中央開孔52の上端開口を指23aで断続的に閉塞することによって、患者22の呼吸回数を調節する。
(i)上記(e)項に記載した最大吸気圧を変更したい場合には、図8に示す吸気圧調節摘み13を再調節する必要がある。そして、これは、患者22に対して換気している間に行うことができて、上記テスト肺を再装着する必要がない。
【0061】
以上において、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0062】
例えば、上述の実施例においては、Tピース蘇生装置の圧力調節装置4に本発明を適用したが、Tピース蘇生装置以外の蘇生装置、その他の人工呼吸器の圧力調節装置にも、本発明を適用することができる。
【0063】
また、上述の実施例においては、調整作動部材をばね圧調整ねじ26および回動型調整作動部材27から構成したが、ばね圧調整ねじ26と回動型調整作動部材27とが互いに一体に結合された単一の部材から調整作動部材を構成してもよい。そして、この場合には、調整操作キャップ28の内周係合部63および/または回動型調整作動部材27の外周係合部56を軸心方向に比較的長く構成すればよい。
【0064】
また、上述の実施例においては、調整操作部材28をほぼキャップ形状に構成したが、ほぼ円板形状などのほぼ板形状に構成してもよい。そして、この場合には、ほぼ板形状の調整操作部材28を、回動型調整作動部材27に設けた筒軸部に対して、回動可能で軸心方向に摺動可能に構成すればよい。
【0065】
また、上述の実施例においては、弾性付勢手段としてコイルばね25を用いたが、ほぼS字形状などのほぼ波形形状の板ばねや、ゴムなどの弾性材料から成るほぼ柱状体形状などの弾性柱状体を用いることもできる。そして、この場合には、板ばねまたは弾性柱状体の両端部を調節弁24のばね受け用凹部またはばね受け用上面部とばね圧調整ねじ26のばね受け用凹部とにそれぞれ支持させることができる。また、弾性柱状体の一端部に調節弁を兼用させることもできる。
【0066】
また、上述の実施例においては、第2の調整作動部材(換言すれば、ばね圧調整ねじ)26を多岐管21の上半部21cの内周面に形成した雌ねじ部(換言すれば、送りねじ)45によってねじ送りするようにしたが、多岐管21の上半部21cの内周面に形成したカム溝と第2の調整作動部材26に形成したカムフオロワとによってカム送りするようにしてもよい。
【0067】
また、上述の実施例においては、調整操作キャップ28に第2のトルク増大手段または第2の凹凸係合部として突条部64を設けたが、第2のトルク増大手段または第2の凹凸係合部は、凹条部であってもよい。
【0068】
さらに、上述の実施例においては、第1のトルク増大手段としての第1の凹凸係合部37が、多岐管21の上半部21cのリング状突条部35のほぼ全周囲に形成されている多数の畝状部から構成されるとともに、第2のトルク増大手段としての第2の凹凸係合部64が、調整操作キャップ28の下半部58の内周面に間欠的に形成されている4個などの複数個の係合用突条部64から構成されている。しかし、第1および第2のトルク増大手段のいずれか一方または両方は、多数個の瘤状突起部が規則的または不規則に一体成形された面であってもよく、また、摩擦係数が比較的大きい単なる粗面であってもよく、この場合、上記粗面は、ゴム製の粗面であってもよい。また、調整操作キャップ28の下半部58の内周面の径を多岐管21の上半部21cのリング状突条部35の外周面の径よりも或る程度小さくすることによって、リング状突条部35の外周面が下半部58の内周面に圧入されるように構成すれば、第1および第2のトルク増大手段のいずれか一方または両方は、特に凹凸係合部でなくてもよい。
【符号の説明】
【0069】
4 圧力調節装置
5 フェイスマスク
5d 吸気ガス用入り口部
21 多岐管(ハウジング機構)
21a 分岐管部(吸気ガス用の入口部、第1の通気口部)
21b 下半部(患者に対するガス出入口部、吸気ガス用の出口部、第2の通気口部)
21c 上半部(第3の通気口部)
22 患者
24 吸気終末陽圧(PEEP)調節弁
25 反撥用コイルばね(弾性付勢手段)
26 ばね圧調整ねじ(第2の調整作動部材、昇降型調整作動部材)
27 回動型調整作動部材(第1の調整作動部材)
28 調整操作キャップ(PEEP調整キャップ、調整操作部材)
29 反撥用円錐コイルばね(弾性付勢手段)
31 頂面部材
37 第1の凹凸係合部(第1のトルク増大手段)
64 係合用突条部(第2の凹凸係合部、第2のトルク増大手段)
67 弁座部
73 ガス通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置において、
第1の通気口部、第2の通気口部および第3の通気口部をそれぞれ有しかつ上記第1の通気口部および第2の通気口部のうちの一方の通気口部が吸気ガス用の入口部として用いられることができるとともに他方の通気口部が吸気ガス用の出口部として用いられることができるハウジング機構と、
上記第1の通気口部と上記第2の通気口部との間のガス通路に臨むように上記ハウジング機構に配設された調節弁と、
上記ハウジング機構に設けた弁座部に上記調節弁を弾性的に付勢する弾性付勢手段と、
上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動される調整作動部材と、
上記調整作動部材を作動させるために回動操作される調整操作部材とをそれぞれ備え、
上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも低いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を閉塞するとともに、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも高いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を開放して、上記ガス通路のガスが上記第3の通気口部を流れるように構成され、
上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している第1の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動しても上記調整作動部材が作動しないように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して引っ張り出された第2の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動することによって上記調整作動部材が作動して、上記弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成され、
上記第1の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが4〜25cN・mの範囲であることを特徴とする圧力調節装置。
【請求項2】
上記第1の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが5〜20cN・mの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の圧力調節装置。
【請求項3】
上記第1の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが7〜15cN・mの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の圧力調節装置。
【請求項4】
上記第2の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが1.5〜10cN・mの範囲であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の圧力調節装置。
【請求項5】
上記第2の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクに対する上記第1の状態のときに上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクの比が1.2〜5の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の圧力調節装置。
【請求項6】
呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置において、
第1の通気口部、第2の通気口部および第3の通気口部をそれぞれ有しかつ上記第1の通気口部および第2の通気口部のうちの一方の通気口部が吸気ガス用の入口部として用いられることができるとともに他方の通気口部が吸気ガス用の出口部として用いられることができるハウジング機構と、
上記第1の通気口部と上記第2の通気口部との間のガス通路に臨むように上記ハウジング機構に配設された調節弁と、
上記ハウジング機構に設けた弁座部に上記調節弁を弾性的に付勢する弾性付勢手段と、
上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動される調整作動部材と、
上記調整作動部材を作動させるために回動操作される調整操作部材とをそれぞれ備え、
上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも低いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を閉塞するとともに、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも高いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を開放して、上記ガス通路のガスが上記第3の通気口部を流れるように構成され、
上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している第1の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動しても上記調整作動部材が作動しないように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して引っ張り出された第2の状態のときには、上記調整操作部材の回動操作により上記調整操作部材が回動することによって上記調整作動部材が作動して、上記弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成され、
第1の凹凸係合部が上記ハウジング機構側に設けられるとともに、上記第1の凹凸係合部に係合することができる第2の凹凸係合部が上記調整操作部材側に設けられ、
上記第1の状態のときにおける上記第1の凹凸係合部と上記第2の凹凸係合部との係合によって、上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが増大するように構成したことを特徴とする圧力調節装置。
【請求項7】
上記第2の状態のときにおける上記第1の凹凸係合部と上記第2の凹凸係合部との係合によって、上記調整操作部材を回動させるのに必要な回転時トルクが増大するように構成したことを特徴とする請求項6に記載の圧力調節装置。
【請求項8】
上記第1の凹凸係合部が上記ハウジング機構の外周囲にほぼリング状に設けられた凹凸係合部であり、
上記第2の凹凸係合部が上記調整操作部材の内周囲に間欠的に設けられた複数箇所の凹凸係合部であることを特徴とする請求項6または7に記載の圧力調節装置。
【請求項9】
上記調整操作部材の上記引張り出しの方向には往復動しないように、上記ハウジング機構側に取り付けられた頂面部材と、
上記頂面部材と上記調整操作部材との間に介装された円錐コイルばねとを備え、
上記引張り出しの方向に往動している上記調整操作部材が上記円錐コイルばねによって上記復動の方向に弾性的に付勢されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の圧力調節装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の圧力調節装置によってガス圧が調節されるように構成されていることを特徴とする人工呼吸器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−187730(P2010−187730A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32371(P2009−32371)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(390022541)アトムメディカル株式会社 (38)