説明

人工呼吸器用流量計

【課題】本発明は、このような人工呼吸器用の管内を流れる気体の流量測定において、超音波式の流量計を採用して、流路内への突出物をなくし圧力損失を少なくすると同時に、応答性の優れた流量計を提供するものである。
【解決手段】本発明は、人工呼吸器用流量計において、流量測定方式として超音波方式を採用し、超音波送受波器を流路内に突出させない構造の流量測定装置とした。そして、対向する一対の超音波送受波器を正対する位置から若干ずらして配置することにより送受信される超音波が超音波送受波器間で多重反射を多く繰り返さないで、残響を速やかに収束できる構造とした。また、送受信機を2系統配備し、これらを交互送信することにより繰り返し周期を短くできるようにした。さらに、超音波送受波器を患者の口元に近い分岐管で二対配置し、吸気流量、呼気流量ともに正確に測定できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療の分野において、特に人工呼吸器用の管内を流れる気体の流量を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工呼吸器は、新生児から老人まで、特に呼吸が不調になっている緊急性の高い患者に対して用いられる医療器である。近年の人工呼吸器の発展は目覚しく、人工呼吸器を用いることによって生ずる肺損傷などの危険性を著しく低下させることに成功している。そのような人工呼吸器にあっては、従来から計測されてきた気道内圧力の計測管理だけではなく、吸気、呼気の流量も計測管理されている。
【0003】
人工呼吸器用の管内を流れる気体用の流量計としては、熱線式流量計が多く用いられている。熱線式流量計は小型で応答性が良好でダイナミックレンジが広いのが特長である。
しかし、熱線式の場合は流路内にセンサである熱線部が突出しており、センサが呼気によって汚れたり細菌が付着したりする。
また、管内に突出物が存在することにより管内で圧力損失を生じやすく、患者に呼吸負担をかけることになるので好ましくない。
【0004】
一方、産業用、特に半導体製造工場などで使用されている気体用の超音波流量計は、流路内に突出物がないので圧力損失やセンサ部の汚れの課題を克服できる(特許文献1を参照)が、安定した流量を観測する場合に使用されることが多く、応答性の点では先に述べた熱線式流量計に比較して劣っている。
【0005】
超音波流量計の応答性を低下させている原因として、「超音波を照射した際に管内に超音波の残響が生じるので、次に超音波を照射する時は、この残響が消失するまで待たざるを得ない」ことが挙げられる。
すなわち、計測の繰り返し周期が長くなるので、応答性が劣化する。
【0006】
また、産業用の超音波流量計では、超音波送受波器を電気的に駆動して超音波を放射する場合、送信回路から大きな電圧のインパルス信号やステップ信号を加えて送波しているのが一般的である。
その場合、次に超音波送受波器を駆動するためには、一定時間回路を待機させる必要がある。その時間は、駆動した後に電圧が元に戻るのに要する時間である。
これは、特に受信信号のベースライン復帰時間(受信信号のゼロ復帰)と言われている。
すなわち、最低でもこの時間だけは次の送信を待たざるを得ないので、これも繰り返し周期を長くし、応答性を劣化させる原因となっている。
【0007】
また、超音波流量計では、1組の送受信回路を、あるときは上流側の送受波器を駆動し下流側の送受波器からの信号を受信し、またあるときは下流側の送受波器を駆動し上流側の送受波器からの信号を受信するというように切り替えて使用するために、受信回路を送受波器の直後に設置することはしなかった。
そのため、送受波器の高いインピーダンスで得られた信号が信号線を伝搬するので、外部ノイズの影響を受け易かった。
さらに、一対の送受波器に感度差があったとしても、送受信回路は1組なので、その差を調整することもできなかった。これらは、いずれも誤差を生ずる原因の1つになっていた。
【0008】
次に、人工呼吸器用流量計は、吸気流量、呼気流量ともに人工呼吸器装置本体の内部で測定していることが多い(特許文献2を参照)。
その場合は、各流量計で測定される流量は、患者の口元から離れた位置で測定されており、途中の損失分をも含んで測定されているので、やや不正確にならざるを得ないという問題も抱えている。
【0009】
【特許文献1】特開2006‐208159号公報
【特許文献2】特表2006‐506723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような人工呼吸器用の管内を流れる気体の流量測定において、超音波式の流量計を採用して、流路内への突出物をなくし圧力損失を少なくすると同時に、応答性の優れた流量計を提供するものである。
また、吸気流量、呼気流量ともに口元に近いところで測定し、より正確な流量測定を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、人工呼吸器の呼気または吸気用の配管中に組み込まれる流量計に於いて、
(a)測定管流路の上流側と下流側に流路内に突出しないように対向させて配置された一対の超音波送受波器S,Sと、
(b)上流側超音波送受波器Sから超音波を流路に放射してから該超音波が下流側超音波送受波器Sに到達するまでの超音波伝搬時間tと下流側超音波送受波器Sから超音波を流路に放射してから該超音波が上流側超音波送受波器Sに到達するまでの超音波伝搬時間tとを測定する手段と、
(c)測定された伝搬時間t、tとを用いて流路を流れる流体の流量を算出する手段と、
(d)算出された流量の値を人工呼吸器等に出力する手段とからなり、
(e)かつ対向する一対の超音波送受波器S,Sを、互いの超音波送受波面が正対する角度から5°以内の角度δをなすように向かい合わせて配置されたことを特徴とする構造を有する人工呼吸器用流量計とした。
【0012】
また、
(a)超音波送受波器を駆動する送信回路と、超音波送受波器が受信した信号を増幅する受信回路とを2系統設置し、
(b)一方の系統の送信回路Tと受信回路Rは上流側の超音波送受波器Sに接続され、(c)他方の系統の送信回路Tと受信回路Rは下流側の超音波送受波器Sに接続され、(d)送信回路T、Tは専ら該超音波送受波器S、Sをそれぞれ駆動し、
(e)受信回路R、Rは専ら該超音波送受波器S、Sからの信号をそれぞれ増幅し、(f)送信回路T、Tが超音波送受波器S、Sを一定周期で交互にそれぞれを駆動し、
(g)さらに受信回路R、Rを、それぞれ超音波送受波器S、Sの一体的直後に設置し、かつそれぞれの受信回路に感度調整機能を付加したことを特徴とする構造を有する人工呼吸器用流量計とした。
【0013】
さらに、
(a)呼気用管路と吸気用管路と患者の気道や口腔に誘導する気道誘導用管路とを分岐する分岐管と、
(b)分岐管内に流路内に突出しないように対向させて配置された二対の超音波送受波器、すなわちSIU,SIDおよびSEU,SEDと、
(c)二対の超音波送受波器の中で、一方の対は吸気用管路側の超音波送受波器SIUと気道誘導用管路側の超音波送受波器SIDとで構成され、
(d)他方の対は呼気用管路側の超音波送受波器SEDと気道誘導用管路側の超音波送受波器SEUとで構成され、
(e)それぞれの対で上流側超音波送受波器SIU、SEUから超音波を流路に放射してから該超音波が下流側超音波送受波器SID、SEDに到達するまでの超音波伝搬時間tID、EDと下流側超音波送受波器SID、SEDから超音波を流路に放射してから該超音波が上流側超音波送受波器SIU、SEUに到達するまでの超音波伝搬時間tIU、EUとを測定する手段と、
(f)測定された2組の伝搬時間tIUID、tEUEDとを用いて吸気用管路から気道誘導用管路に流れる流体の流量Qと気道誘導用管路から呼気用管路に流れる流体の流量Qを算出する手段と、
(g)求められた流量Q、Qの値を人工呼吸器等に出力する手段とからなり、
(h)対向する該二対の超音波送受波器SIU,SIDおよびSEU,SEDを、互いの超音波送受波面が正対する角度から若干それた角度δをなすように向かい合わせて配置され、
(i)分岐管の位置に流量計を2系統配置し、吸気流量Qと呼気流量Qを口元で同時に測定できることを特徴とする構造を有する人工呼吸器用流量計とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、超音波方式を採用し、超音波送受波器を流路内に突出させない構造としたので、超音波送受波器が呼気によって汚れたり細菌が付着したりすることもなく、同時に圧力損失も著しく少なくすることができる。
【0015】
また、対向する一対の超音波送受波器を正対する位置から若干ずらして配置することにより、送受信される超音波が超音波送受波器間で多重反射を繰り返さないで残響を低減できる構造としたので、計測の繰り返し周期を短くでき流量測定装置の応答性を改善できる。
【0016】
また、送信回路と受信回路とを2系統設置し、送信回路Tと受信回路Rは超音波送受波器Sに接続し、送信回路Tと受信回路Rは超音波送受波器Sに接続し、送信回路T、Tが超音波送受波器S、Sを一定周期で交互にそれぞれを駆動する交互送信方式としたので、一方の送受信系統のベースラインがゼロ復帰する時間のおよそ半分の待ち時間で他方の送受信系統の送信回路で送受波器を駆動できる。
結果として、送信回路駆動のための繰り返し周期を半分にでき、その分だけ応答性を改善できる。
【0017】
また、受信回路R、Rを、それぞれ超音波送受波器S、Sの一体的直後に設置したので、出力インピーダンスが高い超音波送受波器から低いインピーダンスに変換して信号を取り出すことが可能となり外部からのノイズの影響を低減できるとともに、かつそれぞれの受信回路に感度調整機能を付加したので、超音波受波器のバラツキによる受信波形の変動に基づく誤差を低減できる。
【0018】
さらに、呼気用管路と吸気用管路と患者の気道や口腔に誘導する気道誘導用管路とを分岐する分岐管内に二対の超音波送受波器を配置し、これらを用いて吸気用管路から気道誘導用管路に流れる吸気流量Qと気道誘導用管路から呼気用管路に呼気流量Qを求めるようにしたので、より正確な吸気流量と呼気流量を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、人工呼吸器用流量計において、流量測定方式として超音波方式を採用し、超音波送受波器を流路内に突出させない構造の流量測定装置とした。そして、対向する一対の超音波送受波器を正対する位置から若干ずらして配置することにより送受信される超音波が超音波送受波器間で多重反射を多く繰り返さないで、残響を速やかに収束できる構造とした。
また、送受信機を2系統配備し、これらを交互送信することにより繰り返し周期を短くできるようにした。
さらに、超音波送受波器を患者の口元に近い分岐管で二対配置し、吸気流量、呼気流量ともに正確に測定できるようにした。
【実施例1】
【0020】
本発明の特長を表す流量測定装置のセル部の構造を図1に示す。
図1に示すように、流路は直径Dの直管になっており、その上流部と下流部に流路を挟んで対向した位置に一対の超音波送受波器S、Sが配置されている。
超音波送受波器を取り付けている測定管と流路は角度θをなして交差している。
一対の超音波送受波器は測定管の奥で正対する位置から5°以内の角度δだけずれて取り付けられている。
超音波が伝搬する距離は流れの存在しない部分の伝搬距離L(L/2+L/2)と流れが存在する部分の伝搬距離Lの和となる。
また、Xは流れが存在する部分の伝搬距離Lを流路の軸方向に沿ってとった長さである。
【0021】
流量測定原理については、図1に示される記号を用いて、下流側の超音波送受波器Sから送信された超音波が上流側の超音波送受波器Sに到達するまでの伝搬時間tと上流側の超音波送受波器Sから送信された超音波が下流側の超音波送受波器Sに到達するまでの伝搬時間tとは次のように表される。
【0022】
【数1】

【0023】
【数2】

ここで、t'とt'とを次のように表すこととする。
【0024】
【数3】

【0025】
【数4】


これらを用いて整理すると式は次のように変形される。


ここで、(1)〜(4)式を用い、音速C=340m/s が流速V=1〜5m/s に比較して相当に大きいことを考慮するとt'とt'は近似的に次のように表され

流速Vは次式で表される。
【0026】
【数5】

ここで、音速Cは、流速V=0のときの伝搬時間tから求められ、また音速Cが流速Vに比較して相当に大きいことを考慮すると、tを近似的に相加平均でも相乗平均にでも置き換えて良いので、次式で表される。
【0027】
【数6】

(6)式を用いると、流速Vは次式で表される。
【0028】
【数7】

したがって、流量Qは流速Vに管の断面積Aを乗じて求められる。
【0029】
【数8】

【0030】
管および測定管の材質は、金属、プラスチックスなど用途によって適切なものを使用する。
超音波送受波器は、圧電材料からなる振動板をケースの前面の壁に固着した構造になっている。
振動板の前面はプラスチックス樹脂で覆われている。
超音波送受波器のリード線は背面から取られており、流量測定装置に接続される。
【0031】
図2に本発明による流量測定装置の実施例に関する回路ブロック図を示す。
制御部から各種指令信号を出力して回路の各部が動作する。
【0032】
例えば、制御部内の主同期のトリガ信号により、制御部が駆動用トリガ信号を発信して送信回路Tを動作させ上流側の超音波送受波器Sに駆動電圧入力が加わり流路に超音波が放射される。
この超音波は下流側の超音波送受波器Sに受信され電気信号に変換されて受信回路Rに入力される。
【0033】
このとき送受信回路は2系統独立になっているので、送信回路Tが上流側の超音波送受波器Sを駆動した際の駆動信号は受信回路Rに入力されることはない。
受信回路Rには下流側の超音波送受波器Sからの信号だけが入力されるので、受信信号のSNは良好な状態に保たれる。
【0034】
また、受信回路Rには上流側の超音波送受波器Sの駆動信号がそのまま入力するが、受信回路内部の前段に設けられたリミッタで一定電圧以下に制限されると同時に、受信回路の入力抵抗と超音波送受波器の静電容量によって決定される時間の時定数によりベースラインは復帰し、受信回路として正常に機能する。
【0035】
受信回路Rの出力は切換器・比較器を経由して受信パルス信号となり伝播時間測定手段の測時ゲート発生器に入力される。
測時ゲート発生器では制御部から出力された送信回路Tの駆動用トリガ信号と比較器から出力された受信パルス信号を用いて超音波が送波されてから受波されるまでの超音波伝播時間tに相当する長さを有するゲートパルスを生成し計数器に送る。
計数器は超音波伝播時間tをデジタル数値に変換し、流量演算手段の演算器に入力する。
【0036】
次に、先の主同期のトリガ信号から一定周期T遅れて、制御部が駆動用トリガ信号を発信して送信回路Tを動作させ下流側の超音波送受波器Sに駆動電圧入力が加わり流路に超音波が放射される。
この超音波は上流側の超音波送受波器Sに受信され電気信号に変換されて受信回路Rに入力される。受信回路Rの出力は切換器・比較器を経由して受信パルス信号となり伝播時間測定手段の測時ゲート発生器に入力される。
測時ゲート発生器では制御部から出力された送信回路Tの駆動用トリガ信号と比較器から出力された受信パルス信号を用いて超音波が送波されてから受波されるまでの超音波伝播時間tに相当する長さを有するゲートパルスを生成し計数器に送る。
計数器は超音波伝播時間tをデジタル数値に変換し、流量演算手段の演算器に入力する。
【0037】
本装置では、上で述べたように超音波伝播時間tとtの測定を一定周期Tごとに交互に繰り返しながら行い、演算器にこれらの値を入力する。
演算器では常に新しいtとtの値を用いて、次式の計算を行ってその時々の瞬時流量Qを算出する。
Q=KA(L/2X)(tーt)/(t*t) (1)
ただし、Kは流量補正係数、Aは流路の断面積、Lは送受波器間の距離、Xは送受波器間の流路軸方向に沿った有効距離である。
LとXは図1中に記号で示されている。Kはセル形状と流量に依存し、実験的に求められる。
【0038】
上で求められた瞬時流量Qの値は、周期Tごとに更新され、データ出力手段の表示器に表示される。表示器および表示方式は色々なものが用いられるが、横軸が時間で縦軸が流量を示す曲線がCRTなどに表示されるものが一般的である。
また、この周期は数msと短時間なので、場合によっては時間的に平均化して異常値の影響を受け難くするために平滑化された値を表示することもある。
平滑化の程度は目的や測定環境にしたがって決定される。
【実施例2】
【0039】
(セルのその他の実施例)
流量測定装置のセル部の構造として他の実施例を図3に示す。
図3に示すように、超音波送受波器S、Sが流路の同じ側に設置されており、一方の超音波送受波器から放射された超音波は管の内壁で一度反射してから他の超音波送受波器に受信される構造となっている。
ここでも、一対の超音波送受波器は正対する位置から若干の角度δだけずれた位置に取り付けられている。同様に超音波が伝搬する距離は流れの存在しない部分の伝搬距離L(L/2+L/2)と流れが存在する部分の伝搬距離Lの和となる。
また、Xは流れが存在する部分の伝搬距離Lを流路の軸方向に沿ってとった長さである。
このような構造にすることによって、超音波伝搬距離を長くすることが可能となり、結果的に測定精度の向上を期待できる。
【0040】
図3に示す実施例の場合の瞬時流量Qを表す式か次のようになる。
Q=KA(L/2X)(tーt)/(t*t) (2)
ただし流量補正係数Kは(1)式のKとは異なるものとなる。
【実施例3】
【0041】
(分岐管でQ,Qを測定するためのセルの構造)
分岐管でQ,Qを測定するためのセル構造の実施例を図4に示す。
図4に示すように、吸気管からの入り口内側に超音波送受波器SIUが配置され、気道管の外側で呼気管側に超音波送受波器SIDが配置されて吸気流量Qを測定する。
また気道外側で吸気管側に超音波送受波器SEUが設置され、呼気管への出口内側に超音波送受波器SEDが配置されて呼気流量Qを測定する。
ここでも、一対の超音波送受波器は正対する位置から若干の角度δだけずれた位置に取り付けられている。
このような構造にすることによって、口元に最も近い位置で吸気流量と呼気流量を同時に測定できる。
【実施例4】
【0042】
流量測定装置のセル部の構造として別の実施例を図5に示す。
図5に示すように、超音波の伝搬経路の中で、吸気管、呼気管の内部の長さができるだけ長くなるような構造としたものである。
したがって、超音波送受波器SIUは吸気管の外側に、超音波送受波器SEDも呼気管の外側に配置される構造となっている。このことによって測定精度の良い方法となることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の特長を表す流量測定装置のセル部の構造図である。
【図2】本発明による流量測定装置の実施例に関する回路ブロック図である。
【図3】流量測定装置のセル部の構造として他の実施例の構造図である。
【図4】分岐管でQ,Qを測定するためのセル構造の実施例の構造図である。
【図5】流量測定装置のセル部の構造として別の実施例の構造図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工呼吸器の呼気または吸気用の配管中に組み込まれる流量計に於いて、
(a)測定管流路の上流側と下流側に流路内に突出しないように対向させて配置された一対の超音波送受波器S,Sと、
(b)上流側超音波送受波器Sから超音波を流路に放射してから該超音波が下流側超音波送受波器Sに到達するまでの超音波伝搬時間tと、下流側超音波送受波器Sから超音波を流路に放射してから該超音波が上流側超音波送受波器Sに到達するまでの超音波伝搬時間tとを測定する手段と、
(c)測定された伝搬時間t、tとを用いて流路を流れる流体の流量を算出する手段と、
(d)算出された流量の値を人工呼吸器等に出力する手段とからなり、
(e)かつ対向する一対の超音波送受波器を、互いの超音波送受波面が正対する角度から5°以内の角度δをなすように向かい合わせて配置されたことを特徴とする人工呼吸器用流量計。
【請求項2】
(a)超音波送受波器を駆動する送信回路と、超音波送受波器が受信した信号を増幅する受信回路とを2系統設置し、
(b)一方の系統の送信回路Tと受信回路Rは上流側の超音波送受波器Sに接続され、
(c)他方の系統の送信回路Tと受信回路Rは下流側の超音波送受波器Sに接続され、
(d)送信回路T、Tは専ら該超音波送受波器S、Sをそれぞれ駆動し
(e)受信回路R、Rは専ら該超音波送受波器S、Sからの信号をそれぞれ増幅し、
(f)送信回路T、Tが超音波送受波器S、Sを一定周期で交互にそれぞれを駆動することを特徴とする人工呼吸器用流量計。
【請求項3】
請求項2に記載した超音波流量計において、受信回路R、Rを、それぞれ超音波送受波器S、Sの一体的直後に設置し、かつそれぞれの受信回路に感度調整機能を付加したことを特徴とする人工呼吸器用流量計。
【請求項4】
人工呼吸器の呼気または吸気用の配管中に組み込まれる流量計に於いて、
(a)呼気用管路と吸気用管路と患者の気道や口腔に誘導する気道誘導用管路とを分岐する分岐管と
(b)分岐管内に流路内に突出しないように対向させて配置された二対の超音波送受波器、すなわちSIU,SIDおよびSEU,SEDと、
(c)二対の超音波送受波器の中で、一方の対は吸気用管路側の超音波送受波器SIUと気道誘導用管路側の超音波送受波器SIDとで構成され、
(d)他方の対は呼気用管路側の超音波送受波器SEDと気道誘導用管路側の超音波送受波器SEUとで構成され、
(e)それぞれの対で上流側超音波送受波器SIU、SEUから超音波を流路に放射してから該超音波が下流側超音波送受波器SID、SEDに到達するまでの超音波伝搬時間tID、tEDと下流側超音波送受波器SID、SEDから超音波を流路に放射してから該超音波が上流側超音波送受波器SIU、SEUに到達するまでの超音波伝搬時間tIU、tEUとを測定する手段と、
(f)測定された2組の伝搬時間tIUID、tEUEDとを用いて吸気用管路から気道誘導用管路に流れる流体の流量Qと気道誘導用管路から呼気用管路に流れる流体の流量Qを算出する手段と、
(g)求められた流量Q、Qの値を人工呼吸器等に出力する手段とからなり、
(h)対向する該二対の超音波送受波器を、互いの超音波送受波面が正対する角度から若干それた角度δをなすように向かい合わせて配置され、
(i)分岐管の位置に流量計を2系統配置し、吸気流量Qと呼気流量Qを口元で同時に測定できることを特徴とする人工呼吸器用流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−58444(P2009−58444A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227137(P2007−227137)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(591108178)秋田県 (126)
【出願人】(000138060)株式会社メトラン (23)
【出願人】(507294395)株式会社ホクシンエレクトロニクス (7)
【Fターム(参考)】