説明

人工構造物特定装置及びその方法、並びに人工構造物を特定するためのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】プローブカーの走行履歴データを用いて、人工構造物の存在を自動的に作成する装置及びその方法を提供する。
【解決手段】プローブカーの走行履歴データから当該プローブカーの走行路面の傾斜角を走行路面傾斜角として算出し、地図データから当該走行路面が位置する地点の傾斜角を地形傾斜角として算出し、算出された走行路面傾斜角と算出された地形傾斜角とを比較し、当該比較結果に基づいて、人工構造物の存在を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカーの走行履歴データを用いた人工構造物特定装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エコロジーの観点から、ドライバによる省燃費運転が推奨されている。一般に、走行時の燃料消費量は、走行速度等の他に、道路勾配によっても大きく変動することが知られている。
特許文献1には、車両上においてその進行方向に設置された重力加速度センサ及び車輪速センサから得られるデータにより、走行中の車両に対する路面傾斜角を検出する装置が開示されている。
一方、国土地理院が整備した地形に則ったメッシュ標高データ情報から道路勾配を自動算出する技術も種々提案されている(特許文献2〜5)。
しかしながら、上記自動算出されたデータにおいて、トンネル、橋等の人工構造物が存在する箇所や、区画整理工事等経時変化した箇所に対し、安価に、かつ、実際に即して、地図データを補正することが要求されていた。
本件発明に関連する従来技術を開示する特許文献6及び7も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2626003号公報
【特許文献2】特開2010−060642号公報
【特許文献3】特開2004−037141号公報
【特許文献4】特開2008−089606号公報
【特許文献5】特開2005−173681号公報
【特許文献6】特開2001−356014号公報
【特許文献7】特開2009−236714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきた結果、プローブカーの走行履歴データから得られる走行路面の傾斜角情報と、地図データから得られる当該走行路面の位置に対応する地形の傾斜角情報との比較により、当該位置における人工構造物の存在が特定できることに想到した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
プローブカーの走行履歴データを保存する走行履歴データ保存部と、
地図データを保存する地図データ保存部と、
前記走行履歴データから前記プローブカーの走行路面の傾斜角を走行路面傾斜角として算出する走行路面傾斜角算出部と、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の傾斜角を地形傾斜角として算出する地形傾斜角算出部と、
前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角とを比較する傾斜角比較部と、
前記傾斜角比較部の比較結果に基づいて、人工構造物の存在を特定する人工構造物特定部と、
を備える、ことを特徴とする人工構造物特定装置。
【0006】
このように規定される第1の局面の人工構造物特定装置によれば、プローブカーの走行履歴データから算出される走行路面傾斜角と、地図データから算出される当該走行路面の位置に対応する地形傾斜角とを比較し、例えば両者の差が所定値以上であるとき、当該位置に人工構造物が存在すると特定する。このように、地図データから得られる傾斜角情報の比較対象として、実際に車輌が走行した際の走行履歴データに基づき得られた傾斜角情報を用いれば、実際に即して人工構造物の存在を特定することが可能となる。
【0007】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の人工構造物特定装置において、前記走行履歴データから前記走行路面の高度を走行路面高度として決定する走行路面高度決定部と、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の標高を地形標高として決定する地形標高決定部と、
前記走行路面高度と前記地形標高とを比較する高度比較部と、
前記高度比較部の比較結果に基づき、前記傾斜角比較部の比較結果を検証する高度検証部と、を備え、
前記人工構造物特定部は、前記高度検証部の検証結果を参照して前記人工構造物の存在を特定する。
【0008】
このように規定される第2の局面の人工構造物特定装置によれば、プローブカーの走行履歴データから得られる走行路面高度と、地図データから得られる当該走行路面の位置に対応する地形標高との比較結果を用いて、上記傾斜角情報で得られた結果を検証し、人工構造物の存在を特定する。例えば、傾斜角情報の比較結果において、走行路面傾斜角と地形傾斜角との差が所定値未満であっても、上記位置における上記走行路面高度と上記地形標高との差が所定値以上認められる場合、当該位置に人工構造物が存在する旨、特定する。このように、高度情報を用いた、いわゆるダブルチェックを行うことにより、より正確に人工構造物の存在を特定することができる。
【0009】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面に規定の人工構造物特定装置において、前記人工構造物特定部において前記人工構造物の存在が最初に特定される点を始点と判別する始点判別部と、
前記人工構造物特定部において前記始点から連続して前記人工構造物の存在が特定される最後の点を終点と判別する終点判別部と、を備える。
【0010】
このように規定される第3の局面の人工構造物特定装置によれば、人工構造物特定部において人工構造物の存在が特定された連続する座標について、最初の座標を始点と判別し、当該始点から連続して人工構造物の存在が特定された最後の座標を終点を判別する。したがって、各位置における人工構造物の存在の有無だけでなく、始終点を有する一つの人工構造物を認識することが可能となる。一つの人工構造物として認識できれば、地図データの補正等を行う際、容易に行うことができる。
【0011】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第1〜第3のいずれかの局面に規定の人工構造物特定装置において、前記人工構造物特定部で前記人工構造物の存在が特定された第1地点と前記人工構造物の存在が特定された第2地点とから形成される区間を形成する区間形成部と、
前記走行履歴データから、前記区間の走行距離を実走距離として演算する実走距離演算部と、
前記地図データから、前記区間の地形に沿った距離を地形距離として演算する地形距離演算部と、
前記実走距離と前記地形距離とを比較する距離比較部と、
前記距離比較部の比較結果に基づき、前記人工構造物特定部で特定された特定結果を検証する距離検証部と、を備える。
【0012】
このように規定される第4の局面の人工構造物特定装置によれば、人工構造物の存在が特定された区間について、当該区間の走行履歴データから得られる実走距離情報と、地図データから得られる地形距離情報との比較結果を用いて、特定された当該人工構造物の存在を検証する。例えば、人工構造物特定部において人工構造物の存在が特定された第1地点及び第2地点から形成される区間における、実走距離と地形距離との差が所定値以上であれば、当該区間に人工構造物が存在する旨を確認することができる。人工構造物が設けられている区間では、実際に車輌が走行する距離は、地図データに基づく地形に沿った距離と差が出ることから、このように距離情報を用いたダブルチェックを行えば、より正確に人工構造物の存在を特定することが可能となる。
【0013】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第2〜第4のいずれかの局面に規定の人工構造物特定装置において、前記傾斜角比較部において前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角との差が所定値以下のとき、前記走行路面高度の値を前記地形標高の値に補正する走行路面高度補正部、を備え、
前記走行路面高度決定部は、補正された前記走行路面高度を用いて前記走行路面高度を決定する。
【0014】
このように規定される第5の局面の人工構造物特定装置によれば、走行路面高度を決定するに際し、適宜補正して得られた走行路面高度を用いる。走行路面高度決定部において用いる走行路面高度が、走行履歴データの高度と地図データの標高とが合致する箇所(例えば、走行スタート地点等)を基準地点として、その基準地点からの走行距離と走行路面傾斜角とから得られる高度である場合、適宜走行路面高度を補正することが好ましい。所定座標あるいは所定区間において、走行路面傾斜角と地形傾斜角との差が所定値以下と認められる場合、すなわち、走行車輌が地図データに示される道路を走行していると推定される場合、走行路面高度の値を地形標高の値に補正する。このように、補正されたより正確な走行路面高度を用いれば、より精度良く人工構造物の存在を特定することが可能となる。
【0015】
また、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
プローブカーの走行履歴データから前記プローブカーの走行路面の傾斜角を走行路面傾斜角として算出する走行路面傾斜角算出ステップと、
地図データから前記走行路面が位置する地点の傾斜角を地形傾斜角として算出する地形傾斜角算出ステップと、
前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角とを比較する傾斜角比較ステップと、
前記傾斜角比較ステップの比較結果に基づいて、人工構造物の存在を特定する人工構造物特定ステップと、
を備える、ことを特徴とする人工構造物特定方法。
このように規定される第6の局面に規定の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
第6の局面の人工構造物特定方法において、前記走行履歴データから前記走行路面の高度を走行路面高度として決定する走行路面高度決定ステップと、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の標高を地形標高として決定する地形標高決定ステップと、
前記走行路面高度と前記地形標高とを比較する高度比較ステップと、
前記高度比較ステップの比較結果に基づき、前記傾斜角比較ステップの比較結果を検証する高度検証ステップと、を備え、
前記人工構造物特定ステップは、前記高度検証ステップの検証結果を参照して前記人工構造物の存在を特定する。
このように規定される第7の局面に規定の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第6又は第7の局面の人工構造物特定方法において、前記人工構造物特定ステップにおいて前記人工構造物の存在が最初に特定される点を始点と判別する始点判別ステップと、
前記人工構造物特定ステップにおいて前記始点から連続して前記人工構造物の存在が特定される最後の点を終点と判別する終点判別ステップと、を備える。
このように規定される第8の局面に規定の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第6〜第8のいずれかの局面に規定の人工構造物特定方法において、前記人工構造物特定ステップで前記人工構造物の存在が特定された第1地点と前記人工構造物の存在が特定された第2地点とから形成される区間を形成する区間形成ステップと、
前記走行履歴データから、前記区間の走行距離を実走距離として演算する実走距離演算ステップと、
前記地図データから、前記区間の地形に沿った距離を地形距離として演算する地形距離演算ステップと、
前記実走距離と前記地形距離とを比較する距離比較ステップと、
前記距離比較ステップの比較結果に基づき、前記人工構造物特定ステップで特定された特定結果を検証する距離検証ステップと、を備える。
このように規定される第9の局面に規定の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜第9のいずれかの局面に規定の人工構造物特定方法において、前記傾斜角比較ステップにおいて前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角との差が所定値以下のとき、前記走行路面高度の値を前記地形標高の値に補正する走行路面高度補正ステップ、を備え、
前記走行路面高度決定ステップは、補正された前記走行路面高度を用いて前記走行路面高度を決定する。
このように規定される第10の局面に規定の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
更に、この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
人工構造物を特定するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
プローブカーの走行履歴データから前記プローブカーの走行路面の傾斜角を走行路面傾斜角として算出する走行路面傾斜角算出手段と、
地図データから前記走行路面が位置する地点の傾斜角を地形傾斜角として算出する地形傾斜角算出手段と、
前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角とを比較する傾斜角比較手段と、
前記傾斜角比較手段の比較結果に基づいて、人工構造物の存在を特定する人工構造物特定手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
このように規定される第11の局面に規定の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第11の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記走行履歴データから前記走行路面の高度を走行路面高度として決定する走行路面高度決定手段と、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の標高を地形標高として決定する地形標高決定手段と、
前記走行路面高度と前記地形標高とを比較する高度比較手段と、
前記高度比較手段の比較結果に基づき、前記傾斜角比較手段の比較結果を検証する高度検証手段、として機能させ、
前記人工構造物特定手段は、前記高度検証手段の検証結果を参照して前記人工構造物の存在を特定する。
このように規定される第12の局面に規定の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0022】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
第11又は第12の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記人工構造物特定手段において前記人工構造物の存在が最初に特定される点を始点と判別する始点判別手段と、
前記人工構造物特定手段において前記始点から連続して前記人工構造物の存在が特定される最後の点を終点と判別する終点判別手段、として機能させる。
このように規定される第13の局面に規定の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0023】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第11〜第13のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記人工構造物特定手段で前記人工構造物の存在が特定された第1地点と前記人工構造物の存在が特定された第2地点とから形成される区間を形成する区間形成手段と、
前記走行履歴データから、前記区間の走行距離を実走距離として演算する実走距離演算手段と、
前記地図データから、前記区間の地形に沿った距離を地形距離として演算する地形距離演算手段と、
前記実走距離と前記地形距離とを比較する距離比較手段と、
前記距離比較手段の比較結果に基づき、前記人工構造物特定手段で特定された特定結果を検証する距離検証手段、として機能させる。
このように規定される第14の局面に規定の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0024】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第12〜第14のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記傾斜角比較手段において前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角との差が所定値以下のとき、前記走行路面高度の値を前記地形標高の値に補正する走行路面高度補正手段、として機能させ、
前記走行路面高度決定手段は、補正された前記走行路面高度を用いて前記走行路面高度を決定する。
このように規定される第15の局面に規定の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0025】
第11〜第15のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第16の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の人工構造物特定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の人工構造物特定装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施の形態の人工構造物特定装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の人工構造物特定装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施の形態の人工構造物特定装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施の形態の人工構造物特定装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の人工構造物特定装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施の形態の人工構造物特定装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態の人工構造物特定装置を構成するコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施の形態の人工構造物特定装置を説明する。
図1に、この発明の実施の形態の人工構造物特定装置1の概略構成を示す。
図1に示すように、この人工構造物特定装置1は、走行履歴データ保存部2、地図データ保存部3、走行路面傾斜角算出部4、走行路面傾斜角保存部5、地形傾斜角算出部6、地形傾斜角保存部7、傾斜角比較部8、人工構造物特定部9及び人工構造物情報保存部10を備える。
【0028】
走行履歴データ保存部2には、実際に車輌が走行した際の走行履歴データが保存される。走行履歴データとしては、例えば、プローブ情報を挙げることができる。当該プローブ情報には、少なくとも座標情報、車輪速センサで計測した加速度、重力加速度センサで計測した加速度(前後加速度)が含まれる。が含まれる。GPS等の位置検出機能を有する車輌であればこれらの情報を特定することができる。更に、時間情報、速度情報、方位情報、高度情報、アクセル開度、エンジン回転数、ヨーレイト、ストップランプ、ABSウォーニングランプ、燃料消費量、電力残存容量、舵角(ハンドルの回転角度情報)、シフトレバー情報、プローブカーを特定するID情報等を備えることが好ましい。
地図データ保存部3には、地図データが保存される。当該地図データは、所定サイズのメッシュに区切った領域単位で表され、地形の標高情報が付与されたデータであることが好ましい。このようなデータとして、例えば、メッシュ標高データを挙げることができる。当該メッシュ標高データとは、国土地理院が公開している標高データであり、全国地図が、1辺の長さが50m又は10m程度の小さな正方形の領域に細かく区分され、各領域の中心の標高がそれぞれ記憶されているデータである。
【0029】
走行路面傾斜角算出部4は、プローブカーの走行履歴データから走行路面の傾斜角を算出する。ここで、走行路面傾斜角とは、走行道路における車輌進行方向の傾斜角をいう。走行路面傾斜角を算出する方法は、特に限定されないが、例えば、走行履歴データとして得られる、重力加速度センサで計測された加速度から車輪速センサで計測した加速度を引くことにより算出することができる。算出された走行路面傾斜角は、当該走行路面傾斜角が算出された位置の座標情報とともに走行路面傾斜角保存部5に保存される。
地形傾斜角算出部6は、走行路面傾斜角保存部5から走行路面傾斜角が算出された位置の座標情報を読み出し、地図データ保存部3に保存された標高情報と距離情報から、当該座標における地形の傾斜角を算出する。算出された地形傾斜角は、当該地形傾斜角が算出された位置の座標情報とともに地形傾斜角保存部7に保存される。
【0030】
傾斜角比較部8は、走行路面傾斜角保存部5に保存された走行路面傾斜角と地形傾斜角保存部7に保存された地形傾斜角とを比較する。
人工構造物特定部9は、傾斜角比較部8の比較結果に基づいて、走行路面傾斜角及び地形傾斜角が算出された位置の座標における人工構造物の存在を特定する。当該特定の方法としては、特に限定されないが、走行路面傾斜角と地形傾斜角との差が所定値以上であるとき、当該座標に人工構造物が存在する旨、特定することができる。当該特定結果は、人工構造物情報保存部10に保存される。
【0031】
図2を用いて、図1に示す人工構造物特定装置1の動作を説明する。
まず、ステップ1では、走行路面傾斜角算出部4は、走行履歴データ保存部2を参照して、走行履歴データに含まれる重力加速度センサで計測された加速度と車輪速センサで計測した加速度とから走行路面傾斜角を算出し、当該算出結果を、当該走行路面傾斜角が算出された位置の座標情報とともに走行路面傾斜角保存部5へ保存する。
ステップ3では、地形傾斜角算出部6は、走行路面傾斜角保存部5へ走行路面傾斜角とともに保存された座標情報を読み出し、当該座標における地形の傾斜角を算出する。すなわち、ステップ3において、地形傾斜角算出部6は、地図データ保存部3を参照して、地図データに含まれる標高情報と距離情報から、上記座標における地形傾斜角を算出し、当該算出結果を地形傾斜角保存部7に保存する。
ステップ5では、ステップ1で得られた走行路面傾斜角とステップ3で得られた地形傾斜角とを比較する。比較の結果、両傾斜角の差が所定値以上のとき(ステップ7:Yes)、上記座標において人工構造物の存在を特定し、当該特定結果を人工構造物情報保存部10へ保存する(ステップ9)。
【0032】
図3に、他の実施の形態の人工構造物特定装置21を示す。図3において、図1と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図3に示す人工構造物特定装置21では、図1に示す人工構造物特定装置1において、走行路面高度決定部23、走行路面高度保存部24、地形標高決定部25、地形標高保存部26、高度比較部27及び高度検証部28を更に備えている。
【0033】
走行路面高度決定部23は、走行路面傾斜角保存部5から走行路面傾斜角が算出された位置の座標を読み出し、プローブカーの走行履歴データから、当該座標における走行路面の高度を決定する。当該走行路面高度は、特に限定されないが、プローブカーに備えられた高度検出機器から高度情報を得ることによって行うことができる。他の例として、走行履歴データの高度が、地図データに含まれる標高と合致する箇所(例えば、走行スタート地点)を基準地点として、その基準地点からの走行距離と走行路面傾斜角とを用いて、当該座標の高度を決定することもできる。
このようにして得られる走行路面高度を用いる場合、適宜補正された走行路面高度を用いることが好ましい。当該補正の方法としては、例えば、傾斜角比較部8において、走行路面傾斜角と地形傾斜角との差が所定値以下の座標において、走行路面高度の値を地形標高の値に補正することができる。
ここで、走行路面傾斜角と地形傾斜角との差が所定値以下であっても、人工構造物の存在が特定されるような場合には、走行路面高度の値を補正しないこととするのが好ましい。このように適宜補正された値を用いて走行路面高度を決定すれば、より精度良く人工構造物の存在を特定することができる。決定された走行路面高度は、当該走行路面高度が決定された位置の座標情報とともに走行路面高度保存部24に保存される。
【0034】
地形標高決定部25は、走行路面傾斜角保存部5から走行路面傾斜角が算出された位置の座標を読み出し、地図データ保存部3に保存された標高情報を当該座標における地形標高と決定する。決定された地形標高は、当該地形標高が決定された位置の座標情報とともに地形標高保存部26に保存される。
高度比較部27は、走行路面高度保存部24に保存された走行路面高度と地形標高保存部26に保存された地形標高とを比較する。
高度検証部28は、当該高度比較部27で得られた比較結果を用いて、傾斜角比較部8の比較結果を検証する。
【0035】
人工構造物特定部29は、上記座標上における人工構造物の存在を特定する際、高度検証部27の検証結果を参照する。即ち、傾斜角比較部8の比較結果において、走行路面傾斜角と地形傾斜角との差が所定値未満である場合であっても、高度比較部27の比較結果において、所定値以上の差が認められる場合、人工構造物特定部29は、当該座標に人工構造物が存在する旨、特定することとなる。当該特定結果は、人工構造物情報保存部30に保存される。
このように、走行路面高度と地形標高との比較結果を用いて検証を行えば、より正確に人工構造物の存在を特定することができる。例えば、渓谷に架けられた橋を車輌が走行した場合など、橋の長手方向中央部分において走行路面傾斜角と地形傾斜角とが合致する場合がある。このような場合において当該高度情報を比較することにより、当該座標に人工構造物が存在する旨、特定可能である。山に設けられたトンネルについても同様に、高度情報により検証を行えば、より正確にトンネルの存在を特定することができる。
【0036】
図4を用いて、図3に示す人工構造物特定装置21の動作を説明する。図4において、図2と同一のステップには同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図4において、ステップ21では、走行路面高度決定部23は、走行路面傾斜角保存部5へ走行路面傾斜角とともに保存された座標情報を読み出し、当該座標における走行路面高度を決定する。すなわち、ステップ21において、走行路面高度決定部23は、走行履歴データ保存部2を参照して、走行履歴データに含まれる高度情報から上記座標における走行路面高度を決定し、当該決定結果を走行路面高度保存部24に保存する。
ステップ23では、地形標高決定部25は、走行路面傾斜角保存部5へ走行路面傾斜角とともに保存された座標情報を読み出し、地図データ保存部3に保存される標高情報から当該座標における地形の標高を決定する。ステップ21で得られた走行路面高度及びステップ23で得られた地形標高は、高度比較部27において比較される(ステップ25)。
【0037】
続くステップ27では、ステップ5の比較の結果、両傾斜角の差が所定値以上のとき(ステップ27:Yes)、上記座標において人工構造物の存在を特定する(ステップ30)。一方、ステップ5の比較結果において、両傾斜角の差が所定値未満のとき(ステップ27:No)、ステップ29が実行される。
ステップ29は、上記両傾斜角の比較からは人工構造物の存在は特定されなかった座標において、高度比較部27の比較結果を参照し、高度検証部28が当該座標における人工構造物の存在の有無を検証する。すなわち、ステップ25の比較の結果、走行路面高度と地形標高との差が所定値以上のとき(ステップ29:Yes)、人工構造物特定部29は、上記座標において人工構造物が存在する旨特定する(ステップ30)。
このように、傾斜角の比較によっては人工構造物が特定されない場合において、高度の比較結果を用いて検証を行えば、例えば、山に設けられたトンネルや渓谷に架けられた橋等の人工構造物をより正確に特定することができる。
【0038】
図5に、他の実施の形態の人工構造物特定装置31を示す。図5において、図1及び図3と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図5に示す人工構造物特定装置31は、図3に示す人工構造物特定装置21において、始点判別部33及び終点判別部34を更に備えている。
始点判別部33は、人工構造物特定部29において、人工構造物の存在が特定された連続する座標について、最初の座標を始点と判別する。
終点判別部34は、上記始点から連続して人工構造物の存在が特定された最後の座標を終点と判別する。
当該判別された始点及び終点に関する情報は、人工構造物特定部29で特定された特定結果と併せて、人工構造物情報保存部35に保存される。
このように始点判別部33及び終点判別部34を備えることにより、各座標における人工構造物の存在の有無だけでなく、始終点を有する一つの人工構造物を認識することが可能となる。一つの人工構造物として認識できれば、地図データの補正等を容易に行うことができる。
【0039】
図6に、他の実施の形態の人工構造物特定装置41を示す。図6において、図1、図3及び図5と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図6に示す人工構造物特定装置41は、図1に示す人工構造物特定装置1において、区間形成部42、実走距離演算部43、地形距離演算部44、距離比較部45、距離検証部46及びフィルタ部47を更に備えている。
区間形成部42は、人工構造物特定部9において人工構造物の存在が特定された第1地点及び第2地点を抽出し、両地点からなる区間を形成する。
【0040】
実走距離演算部43は、走行履歴データ保存部2を参照し、区間形成部42で形成された区間に対応する座標間の走行距離を実走距離として演算する。
地形距離演算部44は、地図データ保存部3を参照し、上記区間に対応する座標間の地形に沿った距離を地形距離として演算する。
距離比較部45は、実走距離演算部43で演算された実走距離と地形距離演算部44で演算された地形距離とを比較する。
距離検証部46は、当該距離比較部45で得られた比較結果において、当該座標間に人工構造物が存在する旨の検証を行う。人工構造物が設けられている区間では、実際に車輌が走行する距離と、地図データに基づく地形に沿った距離とが異なる。すなわち、当該座標間の実走距離と地形距離との差が所定値以上であれば、当該座標間に人工構造物が存在することをダブルチェックすることができる。したがって、より精度良く人工構造物の存在を特定することが可能となる。
フィルタ部47は、距離検証部46の検証の結果、上記座標間の実走距離と地形距離との差が所定値未満である場合には、人工構造物特定部29で特定された人工構造物情報をキャンセルする。一方、距離検証部46において、人工構造物が存在する旨の検証が行われた場合には、人工構造物特定部29で特定された人工構造物情報をそのまま維持し、当該情報を人工構造物保存部48に保存する。
【0041】
図7を用いて、図6に示す人工構造物特定装置41の動作を説明する。図7において、図2及び図4と同一のステップには同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図7において、ステップ41では、区間形成部42は、ステップ9で人工構造物が存在する旨の特定がされた地点のうち、第1地点及び第2地点を抽出し、両地点からなる区間を形成する。
ステップ43では、実走距離演算部43は、走行履歴データ保存部2を参照して、ステップ41で形成された区間の実走距離を演算する。また、ステップ45では、地形距離演算部44は、地図データ保存部3を参照して、上記区間における地形に沿った距離を演算する。ステップ43で得られた実走距離及びステップ45で得られた地形距離は、距離比較部45において比較される(ステップ47)。
続くステップ49では、ステップ47の比較結果において、両距離の差が所定値以上のとき(ステップ49:Yes)、ステップ9で特定された人工構造物情報を維持する。一方、両者の差が所定値未満のとき(ステップ49:No)、ステップ9で特定された人工構造物情報をキャンセルする(ステップ50)。
【0042】
図8に、他の実施の形態の人工構造物特定装置51を示す。図8において、図1、図3、図5及び図6と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図8に示す人工構造物特定装置51は、図5に示す人工構造物特定装置31において、図6に示す人工構造物特定装置41に備えられた区間形成部42、実走距離演算部43、地形距離演算部44、距離比較部45、距離検証部46及びフィルタ部47を更に備えている。
人工構造物特定装置51において、区間形成部42は、始点判別部43で判別された始点と終点判別部44で判別された終点とからなる区間を形成する。
距離検証部46は、距離比較部45で得られた上記区間における実走距離及び地形距離の比較結果において、当該区間に人工構造物が存在する旨の検証を行う。当該区間の実走距離と地形距離との差が所定値以上であれば、当該区間に人工構造物が存在することをダブルチェックすることができる。したがって、より精度良く人工構造物の存在を特定することが可能となる。
【0043】
図9は人工構造物特定装置21のハード構成を示すブロック図である。
この装置21のハード構成は、一般的なコンピュータシステムと同様に中央制御装置221に対してシステムバス222を介して各種の要素が結合されたものである。
中央制御装置221は汎用的なCPU、メモリ制御装置、バス制御装置、割り込み制御装置更にはDMA(直接メモリアクセス)装置を含み、システムバス222もデータライン、アドレスライン、制御ラインを含む。システムバス222にはRAM(ランダムアクセスメモリ)223、不揮発メモリ(ROM224,CMOS−RAM225等)からなるメモリ回路が接続されている。RAM223に格納されるデータは中央制御装置221や他のハードウエア要素によって読み取られたり、書き換えられたりする。不揮発メモリのデータは読み取り専用であり、装置をオフとしたときにもそこのデータは喪失されない。このハードウエアを制御するシステムプログラムはハードディスク装置227に保存されており、また、RAM223に保存されており、ディスクドライブ制御装置226を介して適宜中央制御装置221に読みこまれて使用される。このハードディスク装置227には、汎用的な構成のコンピュータシステムを人工構造物特定装置21として動作させるためのコンピュータプログラムを保存する領域が確保される。
このハードディスク装置227の所定の領域が、人工構造物特定部29の特定結果を保存する保存部用に割り付けられる。
ハードディスク装置227の他の領域が走行履歴データ保存部2及び地図データ保存部3用に割り付けられる。
【0044】
システムバス222には、フレキシブルディスク232に対してデータの読み込み及び書き込みを行うフレキシブルドライブ制御装置231、コンパクトディスク234に対してそれからデータの読み取りを行うCD/DVD制御装置233が接続されている。この例ではプリンタインターフェース237にプリンタ238を接続させている。
システムバス222にはキーボード・マウス制御装置241が接続され、キーボード242及びマウス243からのデータ入力を可能としている。モニタ245がモニタ制御装置244を介してシステムバス222に接続されている。モニタ245にはCRTタイプ、液晶タイプ、プラズマディスプレイタイプなどを利用することができる。
各種の要素(モデムなど)の増設を可能とするため空きのスロット251が準備されている。
【0045】
この装置21はネットワークアダプタ261を介して、ネットワークNに接続されていてもよく、このネットワーク(インターネット)Nにはプローブカーが連結されることとできる。
【0046】
このコンピュータシステムからなる人工構造物特定装置21を稼動させるために必要なプログラム(OSプログラム、アプリケーションプログラム(本発明のものも含む))は、各種の記録媒体を介してシステムの中にインストールされる。例えば非書き込み記録媒体(CD−ROM、ROMカード等)、書き込み可能記録媒体(FD、DVD等)、更にはネットワークNを利用して通信媒体の形式でインストールすることも可能である。勿論、不揮発メモリ224、225やハードディスク装置227に予めこれらのプログラムを書きこんでおくこともできる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。さらには、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0048】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 21 31 41 51 人工構造物特定装置
2 走行履歴データ保存部
3 地図データ保存部
4 走行路面傾斜角算出部
6 地形傾斜角算出部
8 傾斜角比較部
9 29 人工構造物特定部
23 走行路面高度決定部
25 地形標高決定部
27 高度比較部
28 高度検証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカーの走行履歴データを保存する走行履歴データ保存部と、
地図データを保存する地図データ保存部と、
前記走行履歴データから前記プローブカーの走行路面の傾斜角を走行路面傾斜角として算出する走行路面傾斜角算出部と、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の傾斜角を地形傾斜角として算出する地形傾斜角算出部と、
前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角とを比較する傾斜角比較部と、
前記傾斜角比較部の比較結果に基づいて、人工構造物の存在を特定する人工構造物特定部と、
を備える、ことを特徴とする人工構造物特定装置。
【請求項2】
前記走行履歴データから前記走行路面の高度を走行路面高度として決定する走行路面高度決定部と、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の標高を地形標高として決定する地形標高決定部と、
前記走行路面高度と前記地形標高とを比較する高度比較部と、
前記高度比較部の比較結果に基づき、前記傾斜角比較部の比較結果を検証する高度検証部と、を備え、
前記人工構造物特定部は、前記高度検証部の検証結果を参照して前記人工構造物の存在を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工構造物特定装置。
【請求項3】
前記人工構造物特定部において前記人工構造物の存在が最初に特定される点を始点と判別する始点判別部と、
前記人工構造物特定部において前記始点から連続して前記人工構造物の存在が特定される最後の点を終点と判別する終点判別部と、
を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の人工構造物特定装置。
【請求項4】
前記人工構造物特定部で前記人工構造物の存在が特定された第1地点と前記人工構造物の存在が特定された第2地点とから形成される区間を形成する区間形成部と、
前記走行履歴データから、前記区間の走行距離を実走距離として演算する実走距離演算部と、
前記地図データから、前記区間の地形に沿った距離を地形距離として演算する地形距離演算部と、
前記実走距離と前記地形距離とを比較する距離比較部と、
前記距離比較部の比較結果に基づき、前記人工構造物特定部で特定された特定結果を検証する距離検証部と、
を備える、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工構造物特定装置。
【請求項5】
前記傾斜角比較部において前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角との差が所定値以下のとき、前記走行路面高度の値を前記地形標高の値に補正する走行路面高度補正部、を備え、
前記走行路面高度決定部は、補正された前記走行路面高度を用いて前記走行路面高度を決定する、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の人工構造物特定装置。
【請求項6】
プローブカーの走行履歴データから前記プローブカーの走行路面の傾斜角を走行路面傾斜角として算出する走行路面傾斜角算出ステップと、
地図データから前記走行路面が位置する地点の傾斜角を地形傾斜角として算出する地形傾斜角算出ステップと、
前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角とを比較する傾斜角比較ステップと、
前記傾斜角比較ステップの比較結果に基づいて、人工構造物の存在を特定する人工構造物特定ステップと、
を備える、ことを特徴とする人工構造物特定方法。
【請求項7】
前記走行履歴データから前記走行路面の高度を走行路面高度として決定する走行路面高度決定ステップと、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の標高を地形標高として決定する地形標高決定ステップと、
前記走行路面高度と前記地形標高とを比較する高度比較ステップと、
前記高度比較ステップの比較結果に基づき、前記傾斜角比較ステップの比較結果を検証する高度検証ステップと、を備え、
前記人工構造物特定ステップは、前記高度検証ステップの検証結果を参照して前記人工構造物の存在を特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の人工構造物特定方法。
【請求項8】
前記人工構造物特定ステップにおいて前記人工構造物の存在が最初に特定される点を始点と判別する始点判別ステップと、
前記人工構造物特定ステップにおいて前記始点から連続して前記人工構造物の存在が特定される最後の点を終点と判別する終点判別ステップと、
を備える、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の人工構造物特定方法。
【請求項9】
前記人工構造物特定ステップで前記人工構造物の存在が特定された第1地点と前記人工構造物の存在が特定された第2地点とから形成される区間を形成する区間形成ステップと、
前記走行履歴データから、前記区間の走行距離を実走距離として演算する実走距離演算ステップと、
前記地図データから、前記区間の地形に沿った距離を地形距離として演算する地形距離演算ステップと、
前記実走距離と前記地形距離とを比較する距離比較ステップと、
前記距離比較ステップの比較結果に基づき、前記人工構造物特定ステップで特定された特定結果を検証する距離検証ステップと、
を備える、ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の人工構造物特定方法。
【請求項10】
前記傾斜角比較ステップにおいて前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角との差が所定値以下のとき、前記走行路面高度の値を前記地形標高の値に補正する走行路面高度補正ステップ、を備え、
前記走行路面高度決定ステップは、補正された前記走行路面高度を用いて前記走行路面高度を決定する、
ことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の人工構造物特定方法。
【請求項11】
人工構造物を特定するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
プローブカーの走行履歴データから前記プローブカーの走行路面の傾斜角を走行路面傾斜角として算出する走行路面傾斜角算出手段と、
地図データから前記走行路面が位置する地点の傾斜角を地形傾斜角として算出する地形傾斜角算出手段と、
前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角とを比較する傾斜角比較手段と、
前記傾斜角比較手段の比較結果に基づいて、人工構造物の存在を特定する人工構造物特定手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、更に、
前記走行履歴データから前記走行路面の高度を走行路面高度として決定する走行路面高度決定手段と、
前記地図データから前記走行路面が位置する地点の標高を地形標高として決定する地形標高決定手段と、
前記走行路面高度と前記地形標高とを比較する高度比較手段と、
前記高度比較手段の比較結果に基づき、前記傾斜角比較手段の比較結果を検証する高度検証手段、として機能させ、
前記人工構造物特定手段は、前記高度検証手段の検証結果を参照して前記人工構造物の存在を特定する、
ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータを、更に、
前記人工構造物特定手段において前記人工構造物の存在が最初に特定される点を始点と判別する始点判別手段と、
前記人工構造物特定手段において前記始点から連続して前記人工構造物の存在が特定される最後の点を終点と判別する終点判別手段、
として機能させる、ことを特徴とする請求項11又は12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、更に、
前記人工構造物特定手段で前記人工構造物の存在が特定された第1地点と前記人工構造物の存在が特定された第2地点とから形成される区間を形成する区間形成手段と、
前記走行履歴データから、前記区間の走行距離を実走距離として演算する実走距離演算手段と、
前記地図データから、前記区間の地形に沿った距離を地形距離として演算する地形距離演算手段と、
前記実走距離と前記地形距離とを比較する距離比較手段と、
前記距離比較手段の比較結果に基づき、前記人工構造物特定手段で特定された特定結果を検証する距離検証手段、
として機能させる、ことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータを、更に、
前記傾斜角比較手段において前記走行路面傾斜角と前記地形傾斜角との差が所定値以下のとき、前記走行路面高度の値を前記地形標高の値に補正する走行路面高度補正手段、として機能させ、
前記走行路面高度決定手段は、補正された前記走行路面高度を用いて前記走行路面高度を決定する、
ことを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−232974(P2011−232974A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103077(P2010−103077)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】