説明

人工毛髪用収縮性繊維を含有する頭飾製品用繊維束ならびに頭飾製品

【課題】 ボリューム感に富み、非常に軽く優れた風合いを商品に与える事が出来る頭飾製品用繊維束を提供すること。断面形状や繊維の残留収縮を利用して、収縮による嵩高を向上させる事が提案されているが目標の嵩高性や風合いが得られず商品性が低下する問題があった。
【解決手段】 人工毛髪用収縮性繊維を20重量%以上含有してなる頭飾製品用繊維束に乾熱処理することにより、通常の繊維の物性を損なう事なく、優れた嵩高性を付与出来る事を見出し本発明に到達した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、ドールヘアー等に用いられる新規な人工毛髪用収縮性繊維及びそれを用いた頭飾製品用繊維束に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に人工毛髪に使用される合成繊維としては、モダクリル繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等がある。従来、これらの繊維を用いて、かつら、ヘアーピース、ブレード等の人工毛髪用商品に加工する場合に、その商品にあった繊維の断面形状が研究され、改良が重ねられてきた。例えば、嵩高でボリューム感に富んだ商品を得るために特許文献1〜3では、断面形状により嵩高性を向上させうる繊維が提案されているが、断面形状による嵩高効果は限界があり風合いも低下するとういう課題もあり、まだ改善の余地がある。特許文献4では、人形用の頭に植毛されたファイバーを繊維の残留収縮を利用して熱処理する事で細かく不均一な捲縮を付与する事ができたり、又、特許文献5では、残留収縮率の差が5〜80%である2種以上の繊維を混合させ熱処理する事で任意に捲縮を付与することが出来るとの記載があるとの記載があるが捲縮が細かすぎたり、不均一な捲縮しか得られずに触感が硬くなったり、目標の嵩高性や風合いが得られず商品性が低下する問題があった。特許文献6では、ポリ塩化ビニル系繊維を用い、カールを均一に発現付与させる事ができるとの記載があるが、嵩高性については満足できるものは得られていないのが現状である。又、捲縮を付与させる加工方法としては、ギヤクリンプ法が作業性の観点から一般的である。しかし、得られた捲縮形状が人工的であり繊維に常に一定の短い捲縮しか付与できない。風合いについても満足されるものが得られていない。又、操業性も悪く著しく生産性の低下をきたしている。そういった事から、繊維束の嵩高性は、繊維の断面形状により決定されているのが現状であった。
【特許文献1】実開昭56−42980号公報
【特許文献2】特開平8−296112号公報
【特許文献3】特開平8−302519号公報
【特許文献4】特開平6−287801号公報
【特許文献5】特開平9−302513号公報
【特許文献6】特開2003−293213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の目的は、人工毛髪用収縮繊維を含有させた頭飾製品用繊維束を用いる事により、従来よりも嵩高性を向上させ、且つソフトな触感を付与した新規な頭飾製品を提供するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、アクリルニトリルを30重量%以上含有するアクリル系重合体からなる人工毛髪用繊維であって、90〜150℃にて1.2〜4.0倍に延伸され、かつ単糸繊度が25〜95デシテックスである事を特徴とする前記繊維を20重量%以上含有してなる頭飾製品用繊維束を見出した。また、前記頭髪装飾が、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、又はドールヘアーである事が好ましい。また、前記人工毛髪用収縮性繊維に80〜130℃好ましくは90〜100℃の乾熱処理を施した繊維束を形成してなることを特徴とする頭飾用繊維束に関する。また、前記頭飾製品用繊維束において、繊維束が、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、又はドールヘアーである頭飾製品に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る頭飾製品用繊維束は、ブレード用、エクステンションヘアー用をはじめとする頭飾製品用繊維束として、ボリューム感に富み、非常に軽く優れた風合いを商品に与える事が出来る。又、低コストで極めて容易に捲縮を発現する事ができ加工時の操業性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の詳細について説明する。本発明でいうアクリル系重合体とは、アクリロニトリルを30重量%以上含有している重合体が用いられる。又、アクリロニトリルの他にこれと共重合しうるビニル系単量体を用いて重合してもよい。共重合しうるビニル系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、又はそれらのモノ、又はジアルキル置換体、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、メタクロイルオキシベンゼンスルホン酸、メタクロイルオキシプロピルスルホン酸、又はこれらの金属塩類、及びアンモニウムやアミン塩類、グリシジルアルキレート、グリシジルメタクリレート、アクリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等がある。この中でも塩化ビニル、塩化ビニリデンが好ましい。上記のような重合体を、有機溶剤、例えばアセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等に溶解させて紡糸原液とする。尚、必要に応じて、耐光性等に効果のある安定剤等を添加してもよい。又、光沢の調整のために種々の添加剤を適量加えても差し支えない。更に、着色繊維とするために、適宜顔料、染料等を使用してもよい。
この紡糸原液を通常、湿式あるいは乾式の紡糸法でノズルより紡出し、延伸、熱処理を行っても良い。得られた糸条を90〜150℃、好ましくは115℃〜140℃で1.2〜4.0倍に延伸して、100℃で30分処理における乾熱収縮率が5%以上有する収縮性繊維を得ることができる。延伸温度が90℃より低いと繊維への熱伝導が不十分で所定の延伸倍率まで延伸する事が困難となる。また、150℃を超えると、延伸可能ではあるが収縮率が低下してしまう為好ましくない。尚、本発明の人工毛髪用収縮性繊維が有する乾熱収縮率は、乾熱100℃下で5%以上、好ましくは10%以上である。乾熱収縮率が5%に満たない人工毛髪用繊維は、捲縮の発現性が悪く、満足できる嵩高性が得られない。
本発明の人工毛髪用収縮性繊維の断面形状については特に限定されないが、人工毛髪としての嵩高性やカール特性や櫛通り性等の美容特性を勘案すると、好ましい断面形状としては、馬蹄形、C字形、中空形、楕円形、円形、亜鈴形及びY字形などが適している。
本発明でいう乾熱収縮率とは、乾熱100℃における収縮率を意味するものであり、具体的には、1デシテックス当たり10mg/デシテックス荷重下の試長(Lw)を測定し、収縮は、対流型オーブン中で乾熱100℃、30分処理で収縮させた後、室温に戻し10mg/デシテックス荷重下の試長(L`w)を測定し、下記式により収縮率を求めた。
乾熱収縮率(%)=Lw−L`w ×100
Lw
本発明の人工毛髪用収縮性繊維における単繊維繊度は、25〜95デシテックスの範囲が望ましいが、好ましくは、30〜80デシテックスである。25デシテックス未満では人工毛髪としての外観上細すぎ、且つ柔らかすぎ、95デシテックスを超えると太すぎるため風合いが硬すぎて、いずれの場合も人工毛髪用の原料として不適である。
【0007】
本発明の、頭飾製品用繊維束を構成する人工毛髪用収縮性繊維の含有量は、あまりにも少ない場合には、得られる頭飾製品のボリュームが低下するようになるので、20重量%以上とされる。なおかつボリュームを向上させる為には30重量%以上であることが好ましく。特に好ましくは40重量%以上である事がより好ましい。頭飾製品用繊維束を構成する人工毛髪用収縮性繊維以外の繊維は特に限定がなく、例えばポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフイン系繊維、アクリロニトリル系繊維など合成繊維が挙げられる。この中でも、ポリ塩化ビニル系繊維、アクリル系繊維が好ましく、アクリル系繊維としては、30重量%以上のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリル系共重合体からなるものが好ましい。特にアクリル系繊維は人工毛髪として最も適しており、繊維の特性上、軽くボリュームがあり触感が柔らかく、含有させることでその特徴がより効果的に現れる。
【0008】
本発明の捲縮が発現された繊維束は、人工毛髪用収縮性繊維を20重量%以上含有してなる頭飾製品用繊維束を80〜130℃好ましくは90〜110℃の乾熱処理をする事により、収縮性繊維が収縮されることにより同時に収縮性繊維以外の繊維が引っ張られて捲縮が発現する。熱処理方法は湿熱処理でも良い。目的とする商品にあった波形形状の捲縮を付与する事でブレード、エクステンションヘアー等の加工性が向上する。本発明の人工 毛髪用収縮性繊維及び繊維束は、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、又はドールヘアー等の頭髪装飾用として用いるものであるが、ギヤクリンプ等の捲縮加工を施した繊維束は、上記頭飾用繊維束の中でも、特にブレード、エクステンションヘアー等に好適である。
見掛け嵩高さとは、以下の条件により測定されるものである。即ち、捲縮前の繊維束を正確に0.5mに切り揃え、50gを計り取り、繊維束Fとする。この繊維束Fを図1(イ)に示すような、長さ(L)×幅(W)=30cm×4cmで両端が開放された溝を有する溝状容器1に静置し、上から溝と同寸法の薄板2を静かに置いて、0.33g/cm2の荷重をかけ、1分間経過後の溝状容器1内にある高さHを測定した。Hは、図1(ロ)に示す溝状容器1の内側底辺から薄板2下面までの高さ(cm)である。
【0009】
ソフト感、嵩高性、軽さ、総合評価は、以下に示す方法に従って調べた。その結果を表1に示す。
【0010】
【表1】

ソフト感は、5名で官能テスト(捲縮発現後の繊維束の柔らかさ)を行って判断した。
嵩高性は、見掛け嵩高さと商品のボリューム感を評価した。軽さは、商品の軽さ感を評価した。総合評価は、ソフト感、嵩高性、軽さにおいて全て満足できるものを合格(○)、それ以外の場合を不合格とした。
【実施例】
【0011】
(実施例1)
アクリロニトリル49重量%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソーダ1重量%からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解し、更にカーボンブラック0.6重量%, カチオン液状染料(保土谷化学製)レッド;0.25重量%,イエロー;0.4%重量%をを添加させ、27.5重量%の紡糸原液を調整した。この紡糸原液を亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.1で20重量%で20℃のアセトン水溶液中に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、120℃で2.5倍の乾熱延伸を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は50dtexであり、乾熱収縮率は13.3%の収縮性繊維を得た。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で5:5の割合となるように調整し、乾熱温度90℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=3.5cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
【0012】
(実施例2)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、Y字型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.2で25重量%で18℃のアセトン水溶液に紡糸した。この繊維は、実施例1と同様の方法で乾燥〜乾熱延伸を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は51dtexであり、乾熱収縮率は12.5%であった。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY;亜鈴型断面形状(株式会社カネカ製)と重量比で7:3の割合でY字及び亜鈴断面のミックス断面となるように調整し、乾熱温度85℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=6.5cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
【0013】
(実施例3)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.1で20重量%で20℃のアセトン水溶液に紡糸した。この繊維は、実施例1と同様の方法で乾燥〜乾熱延伸を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は55.6dtexであり、乾熱収縮率は15.1%であった。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で6:4の割合となるように調整し、乾熱温度95℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=5.0cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.1で20重量%で20℃のアセトン水溶液に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、120℃で1.8倍の乾熱延伸を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は50dtexであり、乾熱収縮率は5.3%であった。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で4:6の割合となるように調整し、乾熱温度95℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=2.5cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.1で20重量%で20℃のアセトン水溶液に紡糸した。この繊維は、実施例1と同様の方法で乾燥〜乾熱延伸を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は50dtexであり、乾熱収縮率は13.3%であった。得られた繊維を塩化ビニル繊維ADM(株式会社カネカ製)と重量比で4:6の割合となるように調整し、乾熱温度95℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=3.3cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.4で20重量%で18℃のアセトン水溶液に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、120℃で2.5倍の乾熱延伸を行い、更に145℃で弛緩熱処理を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は46dtexであり、乾熱収縮率は1.5%であった。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で5:5の割合となるように調整し、乾熱温度90℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=1.0cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.4で20重量%で18℃のアセトン水溶液に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、120℃で2.5倍の乾熱延伸を行い、更に150℃で弛緩熱処理を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は51dtexであり、乾熱収縮率は1.1%であった。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で5:5の割合となるように調整し、乾熱温度90℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=1.1cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、馬蹄型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.4で20重量%で18℃のアセトン水溶液に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、120℃で2.8倍の乾熱延伸を行い、更に130℃で弛緩熱処理を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は43dtexであり、乾熱収縮率は4.2%であった。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で6:4の割合となるように調整し、乾熱温度95℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=2.5cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(比較例4)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.4で20重量%で18℃のアセトン水溶液に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、140℃で2.5倍の乾熱延伸を行い、更に155℃で弛緩熱処理を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は50dtexであり、乾熱収縮率は3.5%であった。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で5:5の割合となるように調整し、乾熱温度90℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=2.3cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(比較例5)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.4で20重量%で18℃のアセトン水溶液に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、120℃で2.5倍の乾熱延伸を行い、更に145℃で弛緩熱処理を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は46dtexであり、乾熱収縮率は1.5%であった。得られた繊維を塩化ビニル繊維ADM(株式会社カネカ製)と重量比で5:5の割合となるように調整し、乾熱温度90℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=3.5cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
(比較例6)
実施例1と同様の紡糸原液を用いて、亜鈴型紡糸ノズルを用いて、ノズルドラフト1.4で20重量%で18℃のアセトン水溶液に紡出し、得られた繊維を水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍の延伸を行い、次いで130℃で乾燥処理後、120℃で2.5倍の乾熱延伸を行った。こうして得られた繊維の単糸繊度は50dtexであり、乾熱収縮率は13.3%の収縮性繊維を得た。得られた繊維をモダクリル繊維WEAVY(株式会社カネカ製)と重量比で1:9の割合となるように調整し、乾熱温度90℃で60分処理し、櫛で十分に整条し、見掛けの嵩高さを図1に示す測定容器にて測定した所、高さH=1.5cmであった。頭髪製品としての嵩高性とソフト感及び軽さ等について官能評価を行い、総合評価を行った。これらの結果を表1に示した。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】捲縮前及び捲縮後の嵩高さを測定する方法を示す説明図であり、(イ)は斜視図で(ロ)は測定時の断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 測定容器
2 測定容器用蓋
3 人工毛髪用収縮性繊維、捲縮発現後の繊維束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリルニトリルを30重量%以上含有するアクリル系重合体からなる人工毛髪用繊維であって、90〜150℃にて1.2〜4.0倍に延伸され、かつ単糸繊度が25〜95デシテックスである事を特徴とする前記繊維を20重量%以上含有してなる頭飾製品用繊維束。
【請求項2】
前記人工毛髪用収縮繊維が、100℃で30分処理における乾熱収縮率が5%以上を有することを特徴とする請求項1記載の頭飾製品用繊維束。
【請求項3】
前記人工毛髪用収縮繊維と非収縮性のアクリロニトリル系繊維からなる請求項1または請求項2に記載の頭飾製品用繊維束。
【請求項4】
かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、又はドールヘアーから選ばれる請求項1〜3記載の頭飾製品用繊維束からなる頭飾製品。
【請求項5】
請求項1〜3いずれかに記載の人工毛髪用収縮性繊維に80〜130℃で乾熱処理を施し、捲縮が発現された繊維束を形成してなることを特徴とする頭飾用繊維束ならびに請求項4記載の頭飾製品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−307387(P2006−307387A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132025(P2005−132025)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】