人工浮島


【課題】耐久年数の長期化図った人工浮島の構造を提供し、またコンクリートブロック同士の接触や衝突を防止する連結用ツールを提供することを目的とする。
【解決手段】発泡樹脂製浮力体に斜め方向に上面から側面へ貫通させた複数の斜孔を形成し、側面をポーラスコンクリート枠で覆う。植生基盤体上に生育する植物の茎根を前記斜孔に誘導し、さらにポーラスコンクリート枠外まで伸長させて、浮力体とポーラスコンクリートとを緊結化させる。また、人工浮島の外枠をなすポーラスコンクリート枠に埋め込んだボルトの一部を上面に突出させ、隣接する人工浮島間を跨ぐ平面板と、隣接する各人工浮島の外枠に接触するように平面板に垂直に取り付けた垂直板とを備えた連結ゴムにより、人工浮島間を所定距離離間させ、連結ゴムにボルトを挿通させてナットで締め付ける。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工浮島に係り、製作費とメンテナンス費を抑え、長期に耐用可能な人工浮島と、接続した人工浮島同士の衝突を防止する人工浮島に関する。
【背景技術】
【0002】
人工浮島は古くから湖沼、貯水池等の景観の保持などを目的に設置され、現在は人工浮島を設置する目的は複数挙げられ、多くの事例でそれらの複合的な効果が期待されている。例えば、飛来する野鳥に、天敵から守りうる休息の場、営巣の場、餌料の場を提供すること、また、人工浮島を数多く設置して、水中へ日光を遮蔽する効果と水温上昇の低減、これによる植物プランクトンの発生量の減少、動物プランクトンの増加とこれらを餌料とする魚類の増殖を目的とすることが挙げられる。特に水深の深い貯水池などでの設置では、人工浮島下側に新たな材料を追加することにより魚卵付着と孵化の場が提供されている。さらには、人工浮島を鎖状に連結して岸辺に沿って多数基設置することにより、自然土壌、自然草木を利用した護岸や岸辺を、吹送流や波浪による洗掘等から保全する場合もある。
【0003】
人工浮島は各形式のものが研究,開発されている。例えば、植生基盤材に繊維マットを使用したマットタイプのもの、丸太を組み合わせて浮力体としたもの等が挙げられる。特に、コンクリートタイプは、大型の浮力体をコンクリートで覆ったもので、外力を受けやすい場所に設置することが可能である。
【0004】
しかし、従来の人工浮島は吹送流や波浪に対する強度や堅牢度が低く、耐用年数もあまり長くなかった。そのため、長年の野鳥保護や自然護岸維持などの目的に使用するのには不向きであった。また、毎年の保守管理に手間がかかるため、イニシャルコストが安価であっても、維持管理費がかかりライフサイクルコストが高価になるという問題があった。
【0005】
特許文献1には、発泡体を混合して連続空隙を形成したコンクリートブロックの外部に木枠を配する発明が開示されている。この発明によれば、植生基盤本体が形成されたコンクリートブロックの破損を防止して、浮島としての本来の機能を長期にわたって維持することができるとしている。また、特許文献2には、コンクリート又は軽量コンクリートによって成形した有底容器に発泡スチロールを内装し、それらの空隙に浸水阻止浮部材を充填する発明が開示されている。この発明によれば、有底容器にひび割れが生じた場合でも、浸水阻止浮部材で水の浸漬を阻止するため、長期にわたって水面の緑化を図ることができるとしている。
【特許文献1】特開2006−14676号公報
【特許文献2】特開平11−151048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の発明を用いると、コンクリートブロックの衝突は防げるが、木枠は水中で腐食しやすく、木枠自身の製作にも手間を要する。また、万一木枠に損傷を受けた場合、木枠を再製作する必要があり、木枠に植生基盤材を固定するために釣糸等による係合が必要となる。その結果、維持管理コストが高価になるという問題がある。また、特許文献2の発明を用いると、隣接するコンクリートブロックを密着させて連結するため、景観的な面積を大きく取ることができない。また、長年の波浪により連結するボルト,ナットが一度ゆるむと、コンクリート同士は衝突を繰り返して破損する恐れがある。その結果、コンクリートブロックとその中に収納された植生基盤体とが分離し、人工浮島としての機能が果たせなくなる。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、製作コストと設置コストを抑え、また、植物の茎根を構成する引張り強度の大きい生体植物繊維が人工浮島の強度と緊結度を高め、更なる耐久年数の増加を図った人工浮島を提供することを目的とする。
また、植生基盤体のコンクリート枠部を形成するコンクリートブロック同士の接触、あるいは衝突を防止し、長年にわたり安全に、かつ確実に複数の人工浮島を保持することができ、さらに、維持管理コストの低減が実現可能な連結用ツールを用いて接続された人工浮島を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る人工浮島は、気中と水中とを連通する複数の貫通孔が形成された浮力体と、前記浮力体の上面に載置される繊維状の植生基盤体と、前記浮力体と前記植生基盤体との側面を覆うポーラスコンクリート枠と、を備え、前記貫通孔と前記植生基盤体とを、紐状体で結束するとともに、前記植生基盤体に給水し、前記植生基盤体上の植物の茎根を、前記貫通孔を介して前記ポーラスコンクリート枠内を通過させて枠外まで伸長させ、前記浮力体と前記ポーラスコンクリート枠とを緊結させたことを特徴とする。
【0009】
前記ポーラスコンクリート枠は、連続空隙率15%以上であるように構成してもよい。
【0010】
また、前記ポーラスコンクリート枠は、その高さが100mm〜1000mmであるように構成してもよい。
【0011】
また、前記浮力体は、発泡倍率50倍程度の合成樹脂から成形されるように構成してもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る人工浮島は、隣接する人工浮島間を跨ぐ平面ゴム板と、隣接する各前記人工浮島の外枠に接触するように前記平面ゴム板に垂直に取り付けた垂直ゴム板と、を備えた連結体で、該連結体を用いて、前記人工浮島間の相対的変動を抑制しながら所定距離離間させて人工浮島同士が接続されたことを特徴とする。
【0013】
前記連結体は、前記人工浮島の重量や前記人工浮島に作用する外力をもとにその厚さと板組とが決定されるように構成してもよい。
【0014】
また、前記人工浮島に埋め込んだボルトの一部を上面に突出させ、前記連結体に形成された複数のボルト孔に前記ボルトを挿通させてナットで締め付けるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、人工浮島を一般的な材料の加工、組み合わせによって生産できるため製作コストを安く抑えることができ、また、一般の貨物車両で現地まで搬送し、簡単な昇降機器で水面まで下ろし、指定の設置地点まで小型船舶で曳航してごく少人数で設置し得るので、設置コストを安価に抑えることができるという効果を奏する。
また、植物の茎根がポーラスコンクリート内部を通過してその外側にまで達することにより、コンクリート枠を形成するポーラスコンクリート部と発泡樹脂製浮力体とを緊結させることができる。そして、人工浮島本体の材質が風化して弱体化した時にも、茎根の繁茂は続いていくので、人工浮島の耐用年数を長くするという効果を奏する。
また、剛度を有した連結ゴムを用いて人工浮島を形成するため、人工浮島同士の接触あるいは衝突による互いの破壊を防ぐことが出来る。その結果、人工浮島を長期間耐用させることができるという効果を奏する。
さらに、連結ゴムをナットで止める構造であるため、連結ゴムの交換や、一部の人工浮島を補修のために取り外したりする場合に、ナットを取り外すだけでこれらのメンテナンスを実施することができる。その結果、メンテナンス費用を低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る人工浮島を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る人工浮島の一部を切り欠いた斜視図を示している。人工浮島10は、ポーラスコンクリート層11と普通コンクリート層12とから形成されたコンクリート枠と、コンクリート枠部に内装された発泡樹脂製浮力体20と植生基盤体30と、を備えている。
【0018】
コンクリート枠の平面形状は正方形の枠状をなし、その高さ(厚み)は後述するように浮力計算が行われた後、平面寸法や用途に応じて決定されている。コンクリート枠の高さ中央部は、ポーラスコンクリート層11からなり、ポーラスコンクリート層11を挟み込むように、その上部と下部とは普通コンクリート層12から形成されている。植物の茎根がポーラスコンクリート層11内部を通過可能なように、ポーラスコンクリート層11は、連続空隙率が15%以上となるように、セメントと粗骨材の配合設計がなされている。また、長年にわたり引張り強度の低下を防ぐために、ポーラスコンクリート層11の水セメント比(W/C)は、0.25〜0.30に設定されている。さらに、その内部には、繊維強化プラスチックの長棒(以下、FRP補強材15とする)が配されている。FRP補強材15は、ポーラスコンクリート層11の引張強度の補強を目的に、コンクリート枠4辺の上下に適当な間隔をあけて2本設置されている。また後述するように、ボルト13には人工浮島の連結を保持するため外力が作用するが、この外力によるコンクリート枠上下端部の破壊を防ぐため、ポーラスコンクリート層11の上下側は普通コンクリート層12が形成されている。そして、下側の普通コンクリート層12が上側よりも厚く形成されることにより、浮体となる人工浮島10の安定を図ることができる。
【0019】
コンクリート枠の四隅にはボルト13及びアイボルト14がコンクリート枠に固定されている。コンクリート枠の上面にはステンレス製のボルト13が、下面にはアイボルト14が突出している。ボルト13は後述する連結ゴム40(図3(a))を介して人工浮島10同士の連結に使用される。また、下面に突出したアイボルト14は、アンカーロープ16の固定用に使用される。
【0020】
コンクリート枠内には、発泡樹脂製浮力体20と植生基盤材30とが収容されている。発泡樹脂製浮力体20は正方形の平面形状をなし、コンクリート枠天端よりも20mm〜50mm低めた高さに設定されている。この発泡樹脂製浮力体20には、発泡倍率50倍程度の発泡ポリエチレンまたは発泡ポリスチレンが使用されている。発泡樹脂製浮力体20の下面には、ウレタン系樹脂塗布面23が形成されている。ウレタン系樹脂は、耐衝撃性と耐久性との向上を目的として、1.5mm程度(3回塗り程度)の厚みに塗布されている。なお、人工浮島10を環境条件の厳しい場所に設置する場合には、ウレタン系樹脂を発泡樹脂製浮力体20の全面に塗布して耐用年数の向上を図ってもよい。
【0021】
発泡樹脂製浮力体20の上面には20mm〜50mmの厚みをもった植生基盤体30が設置され、植生基盤体30とコンクリート枠との天端位置を合わせている。植生基盤体30は、植物の成育、茎根の成長に効果を発揮できるように、多数の空隙を持つ天然繊維または合成繊維(軟質ポリエステル等)から形成されている。近年は、リサイクル製品が市販されてきており、これを植生基盤体30として使用してもよい。植生基盤体30の上面には、次第に根分かれしながら成長していく植物の茎根50が生育されている。
【0022】
発泡樹脂製浮力体20と植生基盤体30には、4つの紐通し孔32(発泡樹脂製浮力体20では垂直貫通孔21と称している)が形成されている。この紐通し孔32に、樹脂繊維糸を編みこんだ紐状体31が挿通され、発泡樹脂製浮力体20の下面で結ばれている。紐状体31は、発泡樹脂製浮力体20と植生基盤体30とを一体化させるとともに、発泡樹脂製浮力体20下面から紐状体31の毛細管現象により植生基盤体30に水分補給が行われる。なお、植生基盤体30の寸法が大きく、2本の紐状体31による水の補給では十分でない場合は、紐通し孔32を増やして設置する紐状体31を増やせばよい。
【0023】
本発明に係る人工浮島10の製作は、成形された発泡樹脂製浮力体20を配置し、それを取り囲むようにコンクリート枠用の型枠が配置される。そして、ボルト13やアイボルト14、FRP補強材15が所定位置に配され、ポーラスコンクリートと普通コンクリートとが層状をなすように打設される。打設されたポーラスコンクリートと普通コンクリートとはバイブレータを用いて締め固められ、適切な温度管理の下で養生される。その結果、コンクリート枠と発泡樹脂製浮力体20とを緊結性のある一体成型品として生産することができる。
【0024】
次にコンクリート枠に内装された発泡樹脂製浮力体の詳細について説明する。図2は植生基盤体を取り外した人工浮島を示しており、図2(a)は人工浮島の一部を切り欠いた斜視図、図2(b)は矢視IIb-IIbで示した断面図を示している。発泡樹脂製浮力体20には、コンクリート枠と一体成形される前に、16個の貫通孔21,22があけられている。中央に配された4個の貫通孔は、垂直方向に発泡樹脂製浮力体20内を貫通した垂直貫通孔21である。また、垂直貫通孔21の周囲に配された貫通孔は、発泡樹脂製浮力体20の斜め方向に形成された斜め貫通孔22であり、発泡樹脂製浮力体20の上面と側面とを貫通している。また、発泡樹脂浮力体20の側面には、矩形断面を有した分離防止溝24が形成されている。これにより、発泡樹脂浮力体20が経年変化により縮んだ場合にも、発泡樹脂浮力体20とコンクリート枠とが分離するのを防止することができる。
【0025】
垂直貫通孔21は、植生基盤体30の紐通し孔32(図1)と同じ平面位置に形成され、紐状体31が挿通される。紐状体31は発泡樹脂製浮力体20の下側で結ばれることにより、発泡樹脂製浮力体20と植生基盤体30とを一体化し、植生基盤体30への給水が行われる。
【0026】
斜め貫通孔22は、植生基盤体30上に繁茂した植物の茎根50(図1)を伸長させるための誘導孔として機能する。植生基盤体30上で生育する植物の茎根50は、斜め貫通孔22を伝わって下方に伸長する。やがて、ポーラスコンクリート層11の空隙に入り込み、茎根50の一部はポーラスコンクリート層11内部を通過してその外側にまで達する。この茎根50は生体植物繊維であり、数多くの細い繊維が伸張し、それぞれが強い引張り強度をもっている。そのため、冬季で完全に枯れてしまったとしても、容易に人工浮島10が分解されることはない。そして、春季が来ると新しい茎根が造られる。これらはコンクリート枠を形成するポーラスコンクリート層11と発泡樹脂製浮力体20との緊結化に長年にわたって役立つ。そして、長い年月を経て人工浮島10本体が風化により弱体化してきた時にも茎根の繁茂は続いていくので、人工浮島10の耐用年数を長くすることが可能となる。
【0027】
図3は、本発明に係る人工浮島を複数接続して一体化させた人工浮島(以下、人工浮島群と記す)を示しており、図3(a)は、連結ゴムを用いて4つの人工浮島を一体化させた人工浮島群の斜視図であり、図3(b)は矢視IIIb-IIIbで示した人工浮島群の連結部に着目した側面図である。人工浮島10を接続する連結ゴム40には、ボルト13を挿通可能なボルト孔43(図4(a))が形成されている。人工浮島10に固定されたボルト13は、ボルト孔43に挿通されナット44で締め付けられることにより、連結ゴム40による人工浮島10の接続が行われる。締め付けに用いるナット44は、1種、3種ナットによるダブルナットとしてゆるみ止め効果をもたせ、連結ゴム40が長期間はずれないようにすることが望ましい。連結ゴム40は人工浮島10を2個接続するものと、4個接続する2種類が用意され、連結ゴム40の種類を選択することにより、好みの人工浮島10の配列を実現することができる。
【0028】
図4は隣接した人工浮島4個を接続する連結ゴムの詳細図であり、図4(a)は連結ゴム下方からの斜視図である。連結ゴム40は、隣接する人工浮島10間を跨ぐ平面板41と、この平面板41と垂直に取り付き人工浮島10の位置決めや変動を抑制する垂直板42とから構成されている。平面板41には、人工浮島10のボルト13(図1)と取り合う位置に、ボルト孔43が4箇所形成されている。垂直板42は、人工浮島10の角部と接触するように平面板41に取り付けられている。垂直板離れLは、隣接する人工浮島間が50mm以上になるように設定されている。また、垂直板高さHは、人口浮島の高さ(厚さ)と同等程度とすることが好ましいが、それ以下の高さとする場合も平面板41と垂直板42との厚さを適切に設定することにより、人工浮島10同士の衝突を防止することができる。なお、連結ゴム40は専用の型枠により一体成形して製作してもよいし、接着剤により平面板41に垂直板42を取り付けてもよい。
【0029】
次に、上述した各部材の形状や寸法について説明する。上述では、正方形の平面形状を有した人工浮島10について説明したが、円形、長円形、楕円形、正方形、長方形、多角形、または自然の島を模した形状等のいずれの形状も製作することができる。また、人工浮島10の一基の寸法は、製作、輸送コストを考慮して、車載可能な寸法であることが好ましい。このような寸法にすると、小規模な昇降設備により水面まで下ろして小型船舶での曳航が可能となる。また、人工浮島10の高さ(厚さ)は、ポーラスコンクリート層11と普通コンクリート層12とからなるコンクリート枠と発泡樹脂製浮力体20とを組み合わせた浮力計算により決定されるが、平面寸法や用途に応じて100mm〜1000mm程度であることが好ましい。
【0030】
上述では、12個の斜め貫通孔22が形成された発泡樹脂製浮力体20について説明したが、斜め貫通孔22の個数は自由に設定することができる。例えば、人工浮島10の寸法にも依存するが、茎根が発達が著しい植物を生育する場合には、斜め貫通孔22を密に配置して茎根の伸長を阻害しないようにすることが好ましい。なお、発泡樹脂製浮力体20の製作性を考慮して、垂直貫通孔21と斜め貫通孔22の孔径を同じにしておくのがよい。この孔径は、植物の茎根の繁茂状況や、垂直貫通孔21に挿通させた紐状体31による植生基盤体30への給水量等が考慮され決定されるが、5mm〜15mm程度とすることが好ましい。
【0031】
上述した人工浮島を連結する連結ゴム40は、人工浮島同士の相対的変位により、圧縮、引張、捩れ等、様々な外力が発生する。そのため、連結ゴム40には、これらの外力により容易に変形することなく、人工浮島10の衝突を防止するのに十分な剛性が求められる。人工浮島10の重量や人工浮島10に作用する設計外力にもよるが、連結ゴム40の厚みは10mm〜20mm程度であれば、人工浮島10の衝突を防止することができる。なお、連結ゴム40の厚みを増加させても人工浮島10の衝突の恐れがある場合は、連結ゴム40に補強材を予め設置してもよい。例えば図4(b)に示すように、垂直板42と同じゴム厚からなる連結ゴム補強材45を設置することにより、連結ゴム40の剛度を高め、外力に対する変形を小さくすることができる。また、人工浮島10が他の形状である場合、平面板41と垂直板42とを人工浮島10の形状に合わせて形成させ、人工浮島10同士の適当な離間距離を保持できる形状とすることにより、人工浮島10の衝突を防ぐことができる。
【0032】
上述では、連結ゴム40をダブルナットにて締め付ける方法について説明したが、ゆるみ止め効果を持った他の方法を用いてもよい。例えば、ボルト13に割りピンを通す方法等が挙げられるが、何らかの原因により連結ゴム40の交換する必要が生じる場合を考慮し、人力で比較的容易に取り外せる構造がよい。このような構造にすると、連結ゴム40の交換や、一部の人工浮島10の補修するための取り外しを、ナット44を取り外すだけで実施することができる。その結果、メンテナンスが容易になり、メンテナンス費用を低減させることができる。
【0033】
また、上記実施形態では、四隅にボルト13が設置された人工浮島10について説明したが、隣接する人工浮島10がない場合は、ボルト13を設置する必要はない。また、1つの人工浮島10単独で供用される場合には、ボルト13が不要であるほか、コンクリート枠上側の普通コンクリート層12をポーラスコンクリート製とすることができる。
【0034】
図5は本発明に係る人工浮島群に植物が繁茂した状態を示した斜視図である。植物は植生基盤体の上部では、枝葉として繁茂して成長にしたがって垂れ下がる。茎根は下方に伸長し、発泡樹脂製浮力体20に作られた斜め貫通孔22に誘導される。そして、ポーラスコンクリート層11の空隙に入り込み、ポーラスコンクリート層11内部を通過してその外側にまで達する。以上のように形成された人工浮島を単体あるいは複数で設置することにより、水面上に草木の小島を出現させてその景観を大幅に改善できるほか、野鳥に休息の場、営巣の場、餌料の場を提供することが出来る。この野鳥の保護では必要に応じて止まり木や、空からの猛禽類や水面を遊泳してくる蛇類から幼鳥の被害を防ぐための遮蔽具等を取り付けることも出来る。また、水面下にネツト状、あるいは多数の紐状繊維材を吊り下げることにより、魚卵付着スペースを増やすのに役立つほか、仔魚を肉食成魚から保護するのに役立てることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る人工浮島の一部を切り欠いた斜視図。
【図2】植生基盤体を取り外した人工浮島を示した図であり、(a)は人工浮島の一部を切り欠いた斜視図、(b)は矢視IIb-IIbで示した断面図。
【図3】本発明に係る人工浮島を接続して一体化させた人工浮島群を示しており、(a)は人工浮島群の斜視図、(b)は矢視IIIb-IIIbで示した人工浮島の連結部に着目した側面図。
【図4】本発明に係る人工浮島を4個接続する連結ゴムの詳細図であり、(a)は連結ゴム下方からの斜視図、(b)は連結ゴムの補強例を示した斜視図。
【図5】本発明に係る人工浮島群に植物が繁茂した状態を示した斜視図。
【符号の説明】
【0036】
10 人工浮島(群)
11 ポーラスコンクリート層
12 普通コンクリート層
13 ボルト
14 アイボルト
15 FRP補強材
16 アンカーロープ
20 発泡樹脂製浮力体
21 垂直貫通孔
22 斜め貫通孔
23 ウレタン系樹脂塗布面
24 分離防止溝
30 植生基盤体
31 紐状体
32 紐通し孔
40 連結ゴム
41 平面板
42 垂直板
43 ボルト孔
44 ナット
45 連結ゴム補強材
50 茎根
L 垂直板離れ
H 垂直板高さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気中と水中とを連通する複数の貫通孔が形成された浮力体と、
前記浮力体の上面に載置される繊維状の植生基盤体と、
前記浮力体と前記植生基盤体との側面を覆うポーラスコンクリート枠と、を備え、
前記貫通孔と前記植生基盤体とを、紐状体で結束するとともに、前記植生基盤体に給水し、
前記植生基盤体上の植物の茎根を、前記貫通孔を介して前記ポーラスコンクリート枠内を通過させて枠外まで伸長させ、前記浮力体と前記ポーラスコンクリート枠とを緊結させたことを特徴とする人工浮島。
【請求項2】
前記ポーラスコンクリート枠は、連続空隙率15%以上であることを特徴とする請求項1に記載の人工浮島。
【請求項3】
前記ポーラスコンクリート枠は、その高さが100mm〜1000mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工浮島。
【請求項4】
前記浮力体は、発泡倍率50倍程度の合成樹脂から成形されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の人工浮島。
【請求項5】
隣接する人工浮島間を跨ぐ平面ゴム板と、隣接する各前記人工浮島の外枠に接触するように前記平面ゴム板に垂直に取り付けた垂直ゴム板と、を備えた連結体で、
該連結体を用いて、前記人工浮島間の相対的変動を抑制しながら所定距離離間させて人工浮島同士が接続されたことを特徴とする人工浮島。
【請求項6】
前記連結体は、前記人工浮島の重量や前記人工浮島に作用する外力をもとにその厚さと板組とが決定されたことを特徴とする請求項5に記載の人工浮島。
【請求項7】
前記人工浮島に埋め込んだボルトの一部を上面に突出させ、
前記連結体に形成された複数のボルト孔に前記ボルトを挿通させてナットで締め付けることを特徴とする請求項5又は6に記載の人工浮島。


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【公開番号】特開2009−27990(P2009−27990A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
生活必需品 | 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業 | 園芸;野菜,花,稲,果樹,ぶどう,ホップ,海草の栽培;林業;灌水 | 水耕栽培;土なし栽培
【出願番号】特願2007−196749(P2007−196749)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(503175298)株式会社きら和ぎ
【Fターム(参考)】
水耕栽培 | 栽培用容器共通事項 | 容器の素材 | 人工素材 | 合成樹脂 | 発泡樹脂
水耕栽培 | 栽培用容器共通事項 | 容器の支持、取付機構
水耕栽培 | 播種、植生用器具、容器 | 培地収容容器、培地包装体 | 培地収容容器 | 植生面方形のもの
水耕栽培 | 播種、植生用器具、容器 | 浮遊式栽培用具 | 浮体の構造
水耕栽培 | 液の給排水装置 | 栽培植物、培地への液の供給 | 毛細管現象利用
水耕栽培 | 培地材 | 素材 | 人工素材 | 合成樹脂 | 発泡樹脂
水耕栽培 | 培地材 | 素材 | 天然素材
水耕栽培 | 培地材 | 素材 | 天然素材 | 植物性
水耕栽培 | 培地材 | 形状、構造 | 繊維状のもの