説明

人工爪又はチップ構成及びその製造方法

【課題】剥離層に折り目又はしわが形成されない人工爪又はチップ構成及びその製造方法を提供する。
【解決手段】人工爪10又はチップ構成及びこれを製造する方法が提供される。この構成は、自爪に対応する形状を備えた凹状の下面24を有する少なくとも1つの本体を含む。この構成はまた、第1の表面と、反対側の第2の表面とを有する接着剤層30を含む。第1の表面は、少なくとも1つの本体の凹状の下面24に付着しており、第2の表面は、自爪に貼り付けられたときに自爪に付着するように設けられる。この構成はさらに、接着剤層30の第2の表面を覆い、かつ自爪に貼り付けるために接着剤層30の第2の表面を露出させるように除去可能な、剥離層40を含む。剥離層40には、接着剤層30の第1の表面が少なくとも1つの本体の凹状の下面に付着した後も剥離層40の表面が滑らかなままであるように、複数のスリットが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、人工爪(例えば、手の爪又は足の爪)、付け爪、チップ等に関し、より具体的には、除去可能な保護層を備えた接着剤を有する、予めテープが貼付された人工爪、及びこれを製造する方法に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、その内容の全体を参照としてここに援用する、2009年12月8日に出願された米国特許出願第12/632,980号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
一般に爪の形状に製造された薄い成形プラスチック部材から作られた装飾用の爪アクセサリーが、当該技術分野において一般に公知である。(例えば、Changに発行された米国特許第6,394,100号(特許文献1)を参照。)典型的に、ユーザは、少量の液体接着剤を爪アクセサリー又は自爪に塗布し、爪アクセサリーを自爪に貼り付ける。代替的技術として、Mast他に発行された米国特許第4,745,934号(特許文献2)は、人工爪をユーザの自爪に取り付けるための、接着性プレスオンタブ・システムを提供する。このタブは、本質的には、人工爪と自爪との間に配置される、剥離層付き両面接着テープである。
【0003】
予め付与された感圧性層を有する装飾用の爪を提供するためにいくつかの試みがなされているが、その成功の程度は様々である。例えば、Hoffman他に発行された米国特許第5,415,903号(特許文献3)は、アクリル酸とチタニウムキレートエステルとを要するアクリル系コポリマーで作られた接着剤組成物を有する粘着性積層体を記載する。Holt他に発行された米国特許第6,042,679号(特許文献4)は、当該技術分野で公知のアクリル系感圧性接着剤を、損傷した爪を処置する方法に用いることができることを記載する。Hokama他に発行された米国特許第5,044,384号(特許文献5)は、当該技術分野で公知の感圧性接着剤を、迅速な耐久性のあるマニキュアを完成するための方法に用いることができることを記載する。Beckerに発行された米国特許第4,860,774号(特許文献6)は、市販の感圧性接着剤を、爪を補強する方法に用いることができることを記載する。
【0004】
Hanに発行された米国特許第7,185,660号(特許文献7)は、製造プロセス中は剥離層により覆われている接着剤層によって予めテープが貼付された(pre−taped)人工爪と、人工爪を製造する方法とを記載する。剥離層は、接着剤層を覆っており、自爪に貼り付けるために接着剤層を露出させるように剥離可能である。
【0005】
しかしながら、製造中に、接着剤層が、人工爪の凹状の下面に接触及び付着するように押し付けられるときに、剥離層に折り目又はしわが形成されることがあり、その結果、接着性が損なわれた、あまり望ましくない製品がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,394,100号明細書
【特許文献2】米国特許第4,745,934号明細書
【特許文献3】米国特許第5,415,903号明細書
【特許文献4】米国特許第6,042,679号明細書
【特許文献5】米国特許第5,044,384号明細書
【特許文献6】米国特許第4,860,774号明細書
【特許文献7】米国特許第7,185,660号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、少なくとも上述の問題及び/又は短所に対処し、かつ少なくとも以下に説明される利点を提供するために為された。したがって、本発明の態様は、接着剤層を覆う剥離層から切り出されたスリットを有する人工爪又はチップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、人工爪又はチップ構成が提供される。人工爪又はチップ構成は、自爪の少なくとも一部の形状に対応する形状を備えた凹状の下面を有する少なくとも1つの本体を含む。人工爪又はチップ構成はまた、第1の表面と、反対側の第2の表面とを有する接着剤層も含む。第1の表面は、少なくとも1つの本体の凹状の下面の少なくとも一部に付着しており、第2の表面は、自爪に貼り付けられたときに自爪の少なくとも一部に付着するように設けられる。人工爪又はチップ構成はさらに、接着剤層の第2の表面の少なくとも一部を覆い、かつ自爪の少なくとも一部に貼り付けるために接着剤層の第2の表面の少なくとも一部を露出させるように除去可能な剥離層を含む。剥離層は、接着剤層の第1の表面が少なくとも1つの本体の凹状の下面に付着した後も剥離層の表面が平坦で滑らかなままであるように、1つ又はそれ以上のスリットを含む。
【0009】
本発明の別の態様によると、人工爪又はネイルチップの製造方法が提供される。人工爪又はネイルチップの少なくとも一部に対応する形状と、凸面と、凹面とを有する少なくとも1つの本体を、金型部品のウェル部分内で形成する。少なくとも1つの本体の上に複合ストリップを配置する。複合ストリップは、剥離層と、第1の表面及び第2の表面を有する接着剤層とを含む。第1の表面は、少なくとも1つの本体の凹面に面し、第2の表面は、剥離層により覆われる。ダイを用いて、1つ又はそれ以上のスリットを剥離層内に切り込む。接着剤層の少なくとも一部が少なくとも1つの本体の凹面に付着するように、複合ストリップに圧力を印加する。少なくとも1つの本体の凹面に付着した複合ストリップの一部への圧力の印加を低減又は除去する。1つ又はそれ以上のスリットにより、複合ストリップが少なくとも1つの本体の凹面に付着した後も剥離層の表面は平坦で滑らかなままである。
【0010】
本発明の上記及びその他の態様、特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の人工爪の第1の実施形態を示す。
【図2】図1における本発明の第1の実施形態による底面斜視図である。
【図3】本発明の実施形態による加工のための金型の側面図である。
【図4】本発明の人工爪の第2の実施形態の側面図である。
【図5】図4における本発明の第2の実施形態の底面斜視図である。
【図6】本発明の人工爪の第3の実施形態の側面図である。
【図7】図6における本発明の第3の実施形態の底面斜視図である。
【図8】本発明の人工爪の第4の実施形態の側面図である。
【図9】図8における本発明の第4の実施形態の底面斜視図である。
【図10A】1つ又はそれ以上のスリットを含む本発明の人工爪の実施形態を示す。
【図10B】1つ又はそれ以上のスリットを含む本発明の人工爪の実施形態を示す。
【図10C】1つ又はそれ以上のスリットを含む本発明の人工爪の実施形態を示す。
【図10D】1つ又はそれ以上のスリットを含む本発明の人工爪の実施形態を示す。
【図10E】1つ又はそれ以上のスリットを含む本発明の人工爪の実施形態を示す。
【図11】1つ又はそれ以上のスロットを含む本発明の実施形態を示す。
【図12】1つ又はそれ以上のチャネルを含む本発明の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。同一又は同様の構成要素は、別の図面に描かれていても、同一又は同様の参照符号により示されることがある。当該技術分野において公知の構成又はプロセスの詳細な説明は、本発明の主題を不明瞭にすることを避けるために省略されることがある。
【0013】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態による人工爪10を示す。「人工爪」という用語は、ユーザの自爪(例えば、手の爪又は足の爪)の表面全体を覆って付けることが意図されるフルカバー爪、ユーザの自爪の少なくとも一部に付けることが意図される付け爪又は「ネイルチップ」などを含むことができるがこれらに限定されない。
【0014】
図1及び図2に示されるように、人工爪10は、自爪の少なくとも一部の形状に対応するポリマー本体20を含むことができる。ポリマー本体20は、フルカバー爪、部分用人工爪部分及び/又は人工ネイルチップとして設計することができる。ポリマー本体20は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)プラスチックとポリカーボネートとの組成物から作ることができる。さらに、ポリマー本体20は、ABSプラスチック、ナイロン、酢酸テナイト(tenite acetate)、酢酸ビニル、ポリカーボネート、塩化ビニル等のような、人工爪の製造に通常使用されているいかなるプラスチック様材料から作ることもできる。
【0015】
ポリマー本体20に適した硬質材料の例は、BASF Corporationから入手可能なスチレン−ブタジエン・ブロックコポリマーであるStyrolux.RTM.684D(SBC)、ニュージャージー州ロッカウェイ所在のCyro Industriesから入手可能なアクリル系マルチポリマーであるCyro.RTM.R40(アクリル系)、GE Plasticsから入手可能なポリカーボネートであるLexane KR01(PC)(商品名)、Chevron Phillips Chemical Companyから入手可能なスチレン−ブタジエン・コポリマーであるK−resin.RTM.(SBC)、日本国東京所在の電気化学工業株式会社(DENKA)から入手可能なメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン・ターポリマーであるTP−UXS(MMBS)(商品名)、Samsung Cheil Industriesから入手可能なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンであるStarex.RTM.5010(ABS)、Nova Chemicalsから入手可能なスチレン−メチルメタクリレート・コポリマーであるZylar(登録商標)220(SMMC)及びNAS(登録商標)30、及びToray Resin Companyから入手可能なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンであるToyalac920(透明ABS)を含むことができる。
【0016】
ポリマー本体20は、約0.35mmから0.65mmまでの間の厚さを有することが好ましいが、厚さは用途によって様々であってよい。ポリマー本体20は、ユーザの自爪の表面から遠い側に設けられた上面22と、ユーザの自爪の上面に面するように構築された下面24とを含むことができる。下面24の少なくとも一部、好ましくは、ユーザの自爪の甘皮により近くあることが意図される下面24の近位部分に、接着剤層30を固定することができる。接着剤層30は、ユーザの自爪に貼り付けられるときに、ユーザの自爪の上面に付着するように構成される。接着剤層30は、例えば、キャリアフィルム上で乾燥された、水性アクリル系コポリマー・エマルジョンから形成されたアクリルエステルと酢酸ビニルとのコポリマーを含むのがよい。
【0017】
剥離層40を接着剤層30の上に設けて、これを覆うことができる。剥離層40は、ユーザの自爪に貼り付けるために接着剤層30を露出させるように、接着剤層30から除去することができる。特に、本発明の第1の実施形態によれば、剥離層40は、層40を接着剤層30から除去することを容易にするための、ポリマー本体20の外周を超えて外方に延びるタブ42を含む。本実施形態によれば、図1及び図2に示されるように、タブ42は、例えばユーザの自爪の甘皮に又はその近くに付けるように設けられたポリマー本体20の前縁部において、層40の前縁部に一体的に及び/又は分離可能に接続することができる。
【0018】
タブ42がポリマー本体20及び/又は人工爪10の外周を超えて配置されていることにより、ユーザは、ポリマー本体20上に設けられた接着剤層30から、より簡単に、素早く剥離層40を除去することができる。なぜなら、接着剤層30から剥離層40を除去するためにユーザが剥離層40のタブ42をつかむことを可能にする構造が存在するからである。そのうえ、包装時には、タブ42を、当初は下面24の下に位置するように折り曲げておくことが可能である。このタブ42の構成(すなわち、折り曲げ)は、人工爪10(又はチップ/付け爪)をより簡単に包装することを容易にし、タブ42が損傷すること又は意図せずに外れる可能性を減らし及び/又は防止することができる。ユーザ又はそれ以外のだれかが剥離層40を除去しようとするときには、タブ42を伸ばして、ポリマー本体20の外周を超えて延びるようにすることができる。
【0019】
接着剤層30は、感圧性接着剤を含むフィルムを含むことができ、剥離層40は、シリコン処理された紙又はプラスチックフィルムを含むことができる。本発明の1つの実施形態によると、接着剤層30は、およそ0.100mmから0.150mmの間の厚さを有する独立(支持されていない)積層フィルムであることが好ましい。接着剤層30は、接着剤が両側にコーティングされたビニルフィルムとすることができる。例えば、剥離層40は、プラスチック、紙又はその他の材料で作ることができ、ユーザが引っ張ったときに簡単に除去することができるように構成された、接着剤層30に接する表面を有することができる。
【0020】
本発明の実施形態において、人工爪を製造するための方法を提供することができる。例えば、自爪の少なくとも一部に対応する形状を有する少なくとも1つのポリマー本体を形成することができる。図3には、射出成形用金型が示されており、これは、ポリマー本体、すなわち、図示された4つのポリマー本体20a、20b、20c、20dを形成するための金型部品50を含む。金型部品50は、少なくとも1つ、好ましくはいくつかのキャビティ又はウェル部分、すなわち、図3に示されるように、4つのウェル部分52a、52b、52c、52dを含む。各ウェル部分52a、52b、52c、52dは、それぞれのポリマー本体20a、20b、20c、20dの形状、サイズ及び厚さを有する。金型部品50内で形成される各ポリマー本体20a、20b、20c、20dは、凸面22a、22b、22c、22d及び凹面24a、24b、24c、24dを有する。
【0021】
ポリマー本体20a、20b、20c、20dを形成した後、複合ストリップ300がポリマー本体の上に配置される。複合ストリップ300は、第1の層表面32及び第2の層表面34を有する接着剤層30と、剥離層40とを含むことができる。例えば、複合ストリップ300は、片側がシリコン処理された紙又はプラスチックフィルムで覆われた感圧性接着剤フィルムを含むことができる。第1の層表面32は、ポリマー本体20a、20b、20c、20dの凹面24a、24b、24c、24dに面する。第2の層表面34は、剥離層40によって覆われることができる。
【0022】
本発明の実施形態によると、次に、ガス圧及び/又は空気圧を、金型部品50の方に、具体的には第2の層表面34の方に向けることができる。したがって、このようにして、接着剤層30の第1の層表面32が、ポリマー本体20a、20b、20c、20dの凹面24a、24b、24c、24dに接触及び付着するように押し付けられる。本発明の別の実施形態によると、1つ又はそれ以上のロボットアームを用いて、複合ストリップ300をポリマー本体20a、20b、20c、20dの上に押し付け、複合ストリップ300がこれらのポリマー本体20a、20b、20c、20dに接触するようにすることが可能である。ロボットアームは、コンピュータ構成(例えば、マイクロプロセッサ)を通じて制御することが可能であり、このコンピュータ構成は、コンピュータアクセス可能媒体(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ドライブ、メモリスティック、RAM、ROM等)上にあるソフトウェアを実装及び/又は実行して、複合ストリップ300をポリマー本体20a、20b、20c、20dの上に押し付けることができる。
【0023】
人工爪10の第2の実施形態が、図4及び図5に示される。図1及び図2に示される第1の実施形態において付されたのと同じように符号が付された、図4及び図5に示される第2の実施形態のすべての要素は、同一又は同様の要素である。第1の実施形態と第2の実施形態との間の差異は、タブ43がポリマー本体20及び/又は人工爪10の側部に設けられていることである。特に、本発明の第2の実施形態によると、接着剤層30から剥離層40を除去することを容易にするために設けられたタブ43は、ポリマー本体20の外周を超えて外方に延びる。詳細には、タブ43は、例えばポリマー本体20の右側縁部において、剥離層40の右側縁部に一体的に及び/又は分離可能に接続することができる。
【0024】
人工爪10の第3の実施形態が、図6及び図7に示される。図4及び図5に示される第2の実施形態において付されたのと同じように符号が付された、図6及び図7において与えられる第3の実施形態のすべての要素は、同一又は同様の要素である。第2の実施形態と第3の実施形態との間の差異は、タブ44が、ポリマー本体20及び/又は人工爪10の、タブ43が設けられた側と反対側の側部に設けられていることである。特に、タブ44は、例えばポリマー本体20の左側縁部において、剥離層40の左側縁部に一体的に及び/又は分離可能に接続することができる。
【0025】
人工爪10の第4の実施形態が、図8及び図9に示される。図1から図7に示される第1、第2及び第3の実施形態において付されたのと同じように符号が付された、図8及び図9において与えられる第4の実施形態のすべての要素は、同一又は同様の要素である。第4の実施形態と、第1、第2及び第3の実施形態との間の差異は、3つ全てのタブ42、43、44がポリマー本体20及び/又は人工爪10のそれぞれの側部に設けられたことである。したがって、人工爪10のユーザは、接着剤層をユーザの自爪の少なくとも一部の上面に貼り付けることができるようにするために、3つのタブ42、43、44のうちのいずれか1つ又はそれ以上を引っ張って、剥離層40を接着剤層30から除去することができる。
【0026】
再び図3を参照すると、ガス圧及び/又は空気圧が金型部品50の方に、具体的には第2の層表面34の方に向けられ、接着剤層30の第1の層表面32がポリマー本体20a、20b、20c、20dの凹面24a、24b、24c、24dに接触及び付着するように押し付けられたときに、剥離層40に折り目又はしわが形成されることがある。
【0027】
したがって、本発明の人工爪の実施形態は、1つ又はそれ以上のスリット401を有する剥離層40を含む。図10に示されるように、スリット401は、(a)垂直向き、(b)水平向き、(c)スリット401が剥離層40の縁部402まで延びた、水平と垂直とが混在した向き、(d)スリット401が剥離層の縁部402まで延びた、放射状の向き、及び(e)水平と垂直と放射状とが混在した向きで、設けることができる。
【0028】
スリット401の放射状の向きは、凹面24a、24b、24c、24dが最も大きい凹みを呈する線に沿った向きとされることが好ましく、剥離層40の中心に向かう方向の線に限定されない。したがって、接着剤層30がポリマー本体20a、20b、20c、20dの凹面24a、24b、24c、24dに接触及び付着するように押し付けられたときに、剥離層40は、スリット401により与えられる空間及び可撓性により、もはや折り目やひだも付かず、しわも寄らなくなる。
【0029】
図10(e)に示される本発明の実施形態において、組合せの向きは、2組の不連続な水平スリット501と、2組の不連続な垂直スリット502と、剥離層40の縁部402から約45度の角度で延びる1つ又はそれ以上の放射状スリット503とを含む。
【0030】
スリット401(又は501、502及び503)を有する層40を製造するための方法は、ダイ打抜きプロセスによって行われることが好ましい。ダイは、上述の向きのうちの1つに従って、すなわち、スリット401が、垂直、水平、混在、放射状、又は組合せの向きで設けられるように作られる。具体的には、ダイは、剥離層40に切り込まれるスリット401の数及び向きに従って成形される。複合ストリップ300に圧力をかける前又はそれと同時に、成形されたダイを用いて、スリット401が剥離層40に切り込まれる。図11及び図12に関して後述するように、スリットは、スリット401よりも幅広の切れ目を剥離層40に切り込むことにより形成される、1つ又はそれ以上のスロット411又はチャネル421を含むことができる。人工爪を製造するための方法は、その後は上述のように進行する。剥離層に対するダイ打ち抜きプロセスの結果として、スリット、スロット又はチャネルを接着剤層にも形成することができる。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態は、図11に示され、1つ又はそれ以上のスロット411を有する剥離層40を含み、このスロット411は、スリット401より幅広である。1つ又はそれ以上のスリット401について上述したように、スロット411は、(a)垂直向き、(b)水平向き、(c)スロット411が剥離層40の縁部402まで延びた、水平と垂直とが混在した向き、(d)スロット411が剥離層の縁部402まで延びた、放射状の向き、及び図10(e)に示された組合せの向きと同様の向きで、設けることができる。
【0032】
スロット411の放射状の向きは、凹面24a、24b、24c、24dが最も大きな凹みを呈する線に沿った向きとされることが好ましく、剥離層40の中心に向かう方向の線に限定されない。したがって、接着剤層30がポリマー本体20a、20b、20c、20dの凹面24a、24b、24c、24dに接触及び付着するように押し付けられたときに、剥離層40は、スロット411により与えられる空間及び可撓性により、もはや折り目やひだも付かず、しわも寄らなくなる。
【0033】
図12は、本発明のさらなる好ましい実施形態を示し、1つ又はそれ以上のチャネル421を有する剥離層40を含み、チャネル421は、スロット411より幅広であり、接着剤層30及び剥離層40内の開口部を含む。それゆえ、チャネル421内で、ポリマー本体20の下面24がユーザの環境に露出される。
【0034】
1つ又はそれ以上のスリット401について上述したように、チャネル421は、(a)垂直向き、(b)水平向き、(c)チャネル421が剥離層40の縁部402まで延びた、水平と垂直とが混在した向き、(d)チャネル421が剥離層の縁部402まで延びた、放射状の向き、及び図10(e)に示された組合せの向きと同様の向きで、設けることができる。
【0035】
チャネル421の放射状の向きは、凹面24a、24b、24c、24dが最も大きな凹みを呈する線に沿った向きとされることが好ましく、剥離層40の中心に向かう方向の線に限定されない。したがって、接着剤層30がポリマー本体20a、20b、20c、20dの凹面24a、24b、24c、24dに接触及び付着するように押し付けられたときに、剥離層40は、チャネル421により与えられる空間及び可撓性により、もはや折り目もひだも付かず、しわも寄らなくなる。
【0036】
本発明を、その特定の実施形態に関して図示し、説明してきたが、特許請求の範囲により定義される本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、その形態及び細部における様々な変更を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。
【符号の説明】
【0037】
10:人工爪
20、20a、20b、20c、20d:ポリマー本体
22:上面
22a、22b、22c、22d:凸面
24:下面
24a、24b、24c、24d:凹面
30:接着剤層
32:第1の層表面
34:第2の層表面
40:剥離層
42、43、44:タブ
50:金型部品
52a、52b、52c、52d:ウェル部分
300:複合ストリップ
401:スリット
402:縁部
411:スロット
421:チャネル
501:不連続な水平スリット
502:不連続な垂直スリット
503:放射状スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自爪の少なくとも一部の形状に対応する形状を備えた凹状の下面を有する少なくとも1つの本体と、
第1の表面と前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有し、前記第1の表面は、前記少なくとも1つの本体の前記凹状の下面の少なくとも一部に付着しており、前記第2の表面は、前記自爪に貼り付けられるときに前記自爪の少なくとも一部に付着するように設けられている、接着剤層と、
前記接着剤層の前記第2の表面の少なくとも一部を覆い、かつ前記自爪の少なくとも一部への貼り付けのために前記接着剤層の前記第2の表面の少なくとも一部を露出させるように除去可能な剥離層と、を備え、
前記剥離層は、前記接着剤層の前記第1の表面が前記少なくとも1つの本体の前記凹状の下面に付着した後も前記剥離層の表面が滑らかなままであるように、1つ又はそれ以上のスリットを含む、
ことを特徴とする人工爪又はチップ構成。
【請求項2】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記少なくとも1つの本体の長さに沿って垂直な方向を向いている、請求項1に記載の人工爪又はチップ構成。
【請求項3】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記少なくとも1つの本体の幅を横切って水平な方向を向いている、請求項1に記載の人工爪又はチップ構成。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記少なくとも1つの本体の長さに沿って垂直に延び、かつ前記少なくとも1つの本体の幅を横切って水平に延びており、前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記剥離層の縁部を通って延びている、請求項1に記載の人工爪又はチップ構成。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記剥離層の縁部を通って放射状に延びている、請求項1に記載の人工爪又はチップ構成。
【請求項6】
人工爪又はネイルチップの製造方法であって、
前記人工爪又はネイルチップの少なくとも一部に対応する形状と、凸面と、凹面とを有する少なくとも1つの本体を、金型部品のウェル部分内で形成するステップと、
前記少なくとも1つの本体の上に複合ストリップを配置するステップとを含み、前記複合ストリップは、1つ又はそれ以上のスリットを有する剥離層と、第1の表面と第2の表面とを有する接着剤層とを含み、前記第1の表面が前記少なくとも1つの本体の前記凹面に面し、前記第2の表面が前記剥離層により覆われており、
ダイを用いて、1つ又はそれ以上のスリットを前記剥離層内に切り込むステップと、
前記複合ストリップに圧力を印加して、前記接着剤層の少なくとも一部を前記少なくとも1つの本体の前記凹面に付着させるステップと、
前記少なくとも1つの本体の前記凹面に付着した前記複合ストリップの一部への圧力の印加を低減又は除去するステップと、を含み、
前記1つ又はそれ以上のスリットにより、前記複合ストリップが前記少なくとも1つの本体の前記凹面に付着した後も前記剥離層の表面が滑らかなままであることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記少なくとも1つの本体の長さに沿って垂直な方向を向いている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記少なくとも1つの本体の幅を横切って水平な方向を向いている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記少なくとも1つの本体の長さに沿って垂直に延び、かつ前記少なくとも1つの本体の幅を横切って水平に延びており、前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記剥離層の縁部を通って延びている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又はそれ以上のスリットが、前記剥離層の縁部を通って放射状に延びている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
自爪の少なくとも一部の形状に対応する形状を備えた凹状の下面を有する少なくとも1つの本体と、
第1の表面と前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有し、前記第1の表面は、前記少なくとも1つの本体の前記凹状の下面の少なくとも一部に付着しており、前記第2の表面は、前記自爪に貼り付けられるときに前記自爪の少なくとも一部に付着するように設けられている、接着剤層と、
前記接着剤層の前記第2の表面の少なくとも一部を覆い、かつ前記自爪の少なくとも一部への貼り付けのために前記接着剤層の前記第2の表面の少なくとも一部を露出させるように除去可能な剥離層と、を備え、
前記剥離層は、前記少なくとも1つの本体の外周の外側に外方に延びる少なくとも1つのタブを含み、かつ、前記剥離層は、前記接着剤層の前記第1の表面が前記少なくとも1つの本体の前記凹状の下面に付着した後も前記剥離層の表面が滑らかなままであるように、1つ又はそれ以上のスリットを含む、
ことを特徴とする人工爪又はチップ構成。
【請求項12】
自爪の少なくとも一部の形状に対応する形状を備えた凹状の下面を有する少なくとも1つの本体と、
第1の表面と前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有し、前記第1の表面は、前記少なくとも1つの本体の前記凹状の下面の少なくとも一部に付着しており、前記第2の表面は、前記自爪に貼り付けられるときに前記自爪の少なくとも一部に付着するように設けられている、接着剤層と、
前記接着剤層の前記第2の表面の少なくとも一部を覆い、かつ前記自爪の少なくとも一部への貼り付けのために前記接着剤層の前記第2の表面の少なくとも一部を露出させるように除去可能な剥離層と、を備え、
前記剥離層は、前記接着剤層の前記第1の表面が前記少なくとも1つの本体の前記凹状の下面に付着した後も前記剥離層の表面が滑らかなままであるように、1つ又はそれ以上のスリットを含み、
前記剥離層の前記1つ又はそれ以上のスリットは、1つ又はそれ以上の不連続な水平スリットと、1つ又はそれ以上の不連続な垂直スリットと、前記剥離層の縁部から延びる1つ又はそれ以上の放射状スリットとを含む、
ことを特徴とする人工爪又はチップ構成。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図10E】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−166022(P2012−166022A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25161(P2012−25161)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(500492071)キス ネイル プロダクツ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】