人工的に作り出した多孔性を有する動的な生体活性骨移植材料
本開示は、人工的に作り出した多孔性を有する動的な生理活性骨移植材料に関する。ある実施形態では、移植に望ましい形状に成形可能な多孔質母材の中に配置された生体活性ガラス繊維を有する骨移植材料が提供される。材料は、添加剤を実質的に含まず、そして少なくとも1つのナノファイバを含むことができる。多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含む1つ以上の細孔サイズの組合せを含んでもよい。別の実施形態では、母材を有して成る骨移植インプラントであって、母材は、重なって絡まり合った複数の生体活性ガラス繊維を含み、生体活性ガラス繊維内に提供された様々な細孔に基づく分散細孔を有する、骨移植インプラントが提供される。分散細孔は、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含むことができ、母材は、患者に移植するのに望ましい形状に成形可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本発明は、「動的な生体活性骨移植材料およびその使用方法」の名称で2010年10月5日に出願された米国仮出願第61/389,964号および「骨移植材料」の名称で2009年10月29日に出願された米国仮出願第61/256,287号に基づく優先権を主張しており、それら両方を参照して全体を本明細書に組み込む。本出願はまた、「動的な生体活性ナノファイバ足場」の名称で2008年5月12日に出願された米国仮出願第61/127,172号に基づく優先権を主張して同じ名称で2009年5月7日に出願された同時係属中の米国特許出願第12/437,531号に関連する。
【0002】
<技術分野>
本発明の開示は、概して、骨移植材料およびその材料を用いる方法に関する。特に、本発明の開示は、人工的に作り出した多孔性(engineered porosity)を有する動的な生体活性の合成骨移植材料と、その材料から形成されたインプラントおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
改良された骨移植材料は、継続的に必要とされてきた。既知の自家移植材料は、許容できる物理的・生物学性質を有しており、骨成長に適した構造を示す。しかしながら、自家移植骨を使用するには、患者に複数回の手術または広範囲の手術を行うことを必要とし、その結果、患者を麻酔下におく時間が増加し、相当な痛みと、合併症および他の感染症のリスクの増大と、そして供与部(donor site)の罹患とをもたらす。
【0004】
代わりに、骨移植のために同種移植デバイスを用いることができる。同種移植デバイスは提供者の骨から加工される。同種移植デバイスは、適切な構造を有すると共に患者のリスクと痛みを低減できる追加の利点もあるが、同様に、感染症伝播と拒絶反応の可能性から生じるリスク増加を招く。自家移植および同種移植デバイスは、形状および寸法のバリエーションの観点からさらに制限される。
【0005】
残念ながら、自家移植および同種移植デバイスは採取された天然材料から製造されるので、その品質は本質的に変動する。同様に、自家移植品(autograft supplies)は、患者からどれくらいの骨を安全に取り出せるかによっても制限を受け、その量は、重病または弱っている場合には厳しく制限されるだろう。
【0006】
多種多様な合成骨移植材料が現在使用可能である。近年、例えば生体活性ガラス(bioactive glass:「BAG」)粒子系材料などの新しい材料は、天然骨由来の移植材料の代わりまたは補うものとしてますます実現可能なになっている。これらの新しい(骨由来ではない:non-bone derived)材料は、痛みを伴い本質的にリスクのある患者への採取手順(harvesting procedures)を回避できる利点がある。また、骨由来ではない材料の使用により、感染症伝播のリスクを減らすことができる。自家移植および同種移植デバイスと同様に、これらの新しい人工材料は、骨再生を促進する骨伝導足場(osteoconductive scaffolds)として機能することができる。好ましくは、移植材料は吸収可能で、最終的には新生骨の組織に置き換わる。
【0007】
今日入手可能な多くの人工骨移植は、例えばリン酸カルシウムを含有する組成物など、天然骨と類似の性質を有する材料を含んでいる。典型的なリン酸カルシウム組成物は、タイプB炭酸ヒドロキシアパタイト(carbonated hydroxyapatite)(Ca5(PO4)3x(CO3)x(OH))を含む。リン酸カルシウムセラミックは調製され、そしてこれに限定されないが、成形体およびセメントを含む様々な形態で哺乳動物に移植されている。例えばヒドロキシアパタイト(HA)、リン酸三カルシウム(TCP)、リン酸四カルシウム(TTCP)、ならびに他のリン酸カルシウム(CAP)塩およびミネラルなどの別の化学量論的組成物は全て、天然骨の適応性、生体適合性、構造および強度にマッチさせるために使用されている。リン酸カルシウム系材料は広く受け入れられているが、それらは、幅広い臨床的応用で利用するのに必要な取り扱い易さ、柔軟性、および液体キャリア/貯蔵媒体として機能する能力が欠如している。リン酸カルシウム材料は本質的に硬く、取り扱い易くするために、キャリア材料との混合物の一部として一般的に提供される。そのような混合物は、典型的には、活性リン酸カルシウム成分(active calcium phosphate ingredient) とキャリアとの比率が約50:50であり、10:90くらい低くてもよい。
【0008】
骨の血管再生(revascularization)、骨折治癒、および骨リモデリングを促進する多孔率、細孔径および細孔径分布の役割は、骨移植材料の成功のために重要な要因であると認識されてきた。しかしながら、現在入手可能な骨移植材料は、理想的な移植材料に必要とされる必須の化学的および物理的性質が未だに欠如している。例えば、現在入手可能な骨移植材料は早く吸収されすぎる傾向にあり、その一方でいくつかの骨移植材料は、材料の化学組成と構造に起因して、吸収されるのに長くかかりすぎる。例えば、ヒドロキシアパタイトから形成されたある材料は、吸収されるのに長くかかりすぎ、その一方で硫化カルシウムまたはB-TCPから形成された材料は、早く吸収されすぎる傾向にある。さらに、もし材料の多孔率が高すぎれば(例えば約90%)、吸収が起こった後に残る基材は、骨伝導を支援するのに十分ではないおそれがある。反対に、もし材料の多孔率が低すぎれば(例えば30%)、あまりに多くの材料を吸収しなくてはならず、長い吸収率(longer resorption rates)をもたらす。さらに、過剰な材料は、細胞湿潤のために残余の移植材料中に残された空間が十分ではないおそれがあることを意味する。一方、移植材料が軟らかすぎて、臨床的利用の間に加えられる様々な物理的圧力によって、移植材料に保持された液体が失われるかもしれない。
【0009】
したがって、最適な骨移植に必要とされる必要な生体材料、構造、および臨床的取り扱いを提供する改良された骨移植材料の必要性が残されている。さらに必要なのは、新しい組織の形成が、単にテンプレートからではなく生理学的プロセスを通して達成できるように、骨移植のための改良された作動機構を提供できる動的な生体活性骨移植材料である。同様に、必要に応じて、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔(porosity)などの様々なレベルの細孔を有するように製造できる人工的な骨移植材料の必要性も残されている。さらに、異なる手術用途および解剖学的用途に必要とされる臨床的に関連する形状へと容易にモールド成形または成形(molded or shaped)できる材料を提供すると同時に、差動的(differential)又は段階的(staged)な吸収能を有するように選択的に構成および構造化できる骨移植材料に対する必要性が残されている。特に、様々な程度の多孔率、差分的な生体吸収性(bioresorbability)、圧縮抵抗および放射線不透過性(radiopacity)の特徴を含み、さらに、例えばコラーゲンなどのキャリア材料に対する活性成分の含有量を最大にする骨移植材料を提供することは非常に望ましいだろう。さらに望ましくは、上記の利点を全て有し、さらに、臨床背景(clinical setting)で容易に取り扱うことのできる薬物送達(drug delivery)を可能にするだけでなく、抗菌性も含む骨移植材料であろう。本発明の開示の実施形態は、これらの必要性およびその他の必要性に対応している。
【発明の概要】
【0010】
本発明の開示は、人工的に作り出した多孔性(engineered porosity)を有する生体活性骨移植材料、ならびにそのような材料から形成されたインプラントおよびその使用を提供する。これらの骨移植材料は動的(dynamic)であり、それゆえ所望通りにモールド成形および成形することができる。これらの骨移植材料は、最適な骨移植に必要な生体材料、構造、および臨床的取り扱いを提供することにより、上述の満たされていない要求に対応する。さらに、これらの骨移植材料は、新しい組織の形成が、単にテンプレートおよび置換(replacement)からではなく誘導および形成の生理学的プロセスを通して達成できるように、骨移植のための改良された作動機構を提供する。さらに、これらの人工的な骨移植は、必要に応じて、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔などの様々なレベルの細孔を有するように製造することができる。骨移植材料は、異なる手術用途および解剖学的用途に必要とされる臨床的に関連する形状へと容易にモールド成形または成形できると同時に、差分的又は段階的な吸収能を有するように選択的に構成および構造化できる。さらに、これらの骨移植材料は、様々な程度の多孔率、差分的な生体吸収性、圧縮抵抗および放射線不透過性を有してもよく、例えばコラーゲンなどのキャリア材料に対する活性成分の含有量を最大にすることもできる。これらの骨移植材料はまた、薬物送達を可能にするだけでなく抗菌性も有する。これらの材料は、臨床背景で容易に取り扱うこともできる。
【0011】
ある実施形態では、移植に望ましい形状に成形可能な多孔質母材(porous matrix)の中に配置された生体活性ガラス繊維を有する骨移植材料が提供される。材料は、添加剤を実質的に含まず、そして少なくとも1つのナノファイバを含むことができる。多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含む1つ以上の細孔サイズの組合せを含んでもよい。
【0012】
別の実施形態では、母材を有して成る骨移植インプラントであって、母材は、重なって(overlapping)絡まり合った(interlocking)複数の生体活性ガラス繊維を含み、生体活性ガラス繊維内に提供された様々な細孔(a range of pores)に基づく分散した細孔(分散細孔:distributed porosity)を有する、骨移植インプラントが提供される。分散細孔は、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含むことができ、母材は、患者に移植するのに望ましい形状に成形可能である。分散細孔は、ナノ細孔を含むことができる。
【0013】
さらに別の実施形態では、骨欠損を治療する方法を提供する。方法は、治療すべき骨欠損を確認すること(identifying)を含む。骨欠損は、人間の患者の中に存在するものであってもよい。次の工程は、生体活性ガラス繊維からなる多孔質の繊維性母材を含む骨移植材料を提供することを含み、繊維は約5ナノメートル〜約100マイクロメートルに及ぶ繊維径で特徴付けられており、母材の孔は約100ナノメートル〜約1ミリメートルに及ぶ。骨移植材料はその後に骨欠損に導入されるインプラントに成形され、そして、骨欠損で骨形成活性(osteogenic activity)を生じて骨修復を促進することができる。
【0014】
骨移植材料を導入する前に、例えばモールドトレイ(mold tray)を材料で満たすこと等によって、材料をモールド成形又は成形してもよい。必要に応じて、材料をモールドトレイ内で圧縮してもよい。モールドトレイに導入する前に、材料に液体を添加してもよい。液体は、生理食塩水でもよく、または血液などの自然発生する体液でもよい。骨移植材料は、差動的に活性化されてもよい。例えば、多孔質の繊維母材は、異なる吸収率を有する生体吸収性サブコンポーネントの組合せを含んでいてもよい。サブコンポーネントは繊維または粒子を含んでいてもよく、または両方の組合せでもよい。ある実施形態では、母材は1種以上の繊維を含んでもよく、各繊維は異なる吸収率を有していてもよい。早く吸収される繊維は導入工程の後に吸収されて、強い初期骨成長を誘導してもよい。残った母材は、長い時間をかけてゆっくり成長できるように、長期間にわたってその部位にとどまるようにデザインされてもよい。
【0015】
骨移植材料は、欠損に注入(injected)されてもよく、または欠損に塗り付け(plastered)られてもよい。さらに、材料は欠損内に詰められてもよい。
【0016】
本発明の開示の上述の特徴およびその他の特徴は、添付の図面を参照しながら以下の典型的な実施形態の記載を検討することにより、本発明の開示に関連する技術分野の当業者にとって明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明の開示の第1の実施形態に係る動的な繊維状生体活性ガラス母材の図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの母材の拡大図である。
【図2A】図2Aは、図1の繊維状生体活性ガラス母材から形成された、絡まり合ってもつれた第1の多孔質構造体の斜視図である。
【図2B】図2Bは、図1の繊維状生体活性ガラス母材から形成された、絡まり合ってもつれた第2の多孔質構造体の斜視図である。
【図2C】図2Cは、図1の繊維状生体活性ガラス母材から形成された、絡まり合ってもつれた第3の多孔質構造体の斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の開示の別の実施形態に係る、繊維と粒子を両方有する動的な生体活性ガラス母材の図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの母材の拡大図である。
【図4A】図4Aは、交互の繊維層に対して交差する方向関係にある繊維層を降下(descending)することにより、組織化された(organized)平行な繊維配列を有する本発明の開示に係る典型的な生体活性ガラス繊維の骨移植材料の図である。
【図4B】図4Bは、生体活性ガラス粒子を含むランダム配列した織りガラス構造体(spun-glass structure)内の典型的な生体活性ガラス繊維骨移植材料の図である。
【図4C】図4Cは、先の繊維層に対して異なる程度の多孔性を有してそれによりセルフィルター機能性(cell filter functionality)を提供するように配列された繊維層を降下することにより、メッシュとして構成され、典型的な生体活性ガラス繊維の骨移植材料の図である。
【図5A】図5Aは、本発明の開示の医療キットの実施形態に係る包装容器(packaging container)の斜視図である。
【図5B】図5Bは、キット内に置かれた繊維状生体活性骨移植材料を含んだ図5Aの実施形態の斜視図である。
【図5C】図5Cは、キットから取り外した図5Bの骨移植材料の斜視図である。
【図6A】図6Aは、細孔径分布に基づく骨移植材料の実施形態の容積寄与をグラフで示す。
【図6B】図6Bは、細孔径分布に基づく骨移植材料の実施形態の表面積寄与をグラフで示す。
【図7】図7は、本発明の開示の実施形態の繊維の1日後および3日後の経時顕微鏡写真を示す。
【図8】図8は、本発明の開示の実施形態の繊維の3日後の経時顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、種々の時間間隔において本発明の開示の実施形態の繊維の細胞増殖特性を示す一連の経時顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、本発明の開示の実施形態の繊維の試験中に示された種々の時間間隔での骨芽細胞の増殖のグラフを示す。
【図11】図11は、間葉幹細胞が播種された繊維の顕微鏡写真を示す。
【図12】図12は、骨移植材料の実施形態の性能を他の材料と比較するために哺乳動物で行われた試験からの種々の時間間隔での一連のX線画像を示す。
【図13】図13は、骨移植材料の実施形態と図12の他の材料とによって示された種々の時間間隔での新生骨成長のグラフでの比較を示す。
【図14】図14は、骨移植材料の実施形態と図12の他の材料による長い時間をかけて残った残留材料の種々の時間間隔におけるグラフでの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
合成材料により自然組織を治癒するための標準的な方法は、所望の最終生成物のミクロ構造とマクロ構造とを有するデバイスを提供することであった。所望の最終生成物が海綿骨である場合、従来の骨移植材料は、海綿骨の構造(architecture)を模倣するように人工的に作り出されてきた。これが骨移植の現在の標準であったが、骨は生きた組織(または生体組織)であるという事実を考慮していない。各骨梁は、負荷、応力および/または損傷に応じて、活発な生物学的リモデリング(active biologic remodeling)を絶えず受けている。さらに、海綿骨および皮質骨は、血管の広大なネットワークを支持することができる。このネットワークは、骨の周囲の生体環境を維持するために栄養素を届けるだけでなく、基本的な生物学的機能に必要な赤血球と骨髄を支持する。したがって、単に、同じ構造を備えた非生物(non-biologic)の合成材料を提供するだけでは、最適な骨の治癒と骨の健康には不十分である。代わりに、必要とされているのは、骨の生体構造を再構築することのできる機構である。
【0019】
従来の合成物は、正常な骨組織が組織化および形成するための型(cast)として、またはテンプレートとして働く。これらの合成物は自然発生しないので、正常な骨が発達するのを可能にするためには、最終的には型またはテンプレートは吸収されなくてはならない。もしこれらの構造化された合成物が吸収されず、適切な骨の治癒ができなければ、それらは、骨の治癒にとって障害物となるだけでなく、有害になる可能性のある単なる異物になる。この現象は、ゆっくり吸収されるまたは吸収されない合成物を用いた多くの研究で観察されている。これらの合成物は、骨に似ているだけの、まさに不活性な非生物構造体であるので、それらは正常な骨の治癒と発達に対して機械的なブロックとしてふるまう。
【0020】
骨は生きた生物組織であり、不活性な構造体は骨の治癒を妨げるだけである、という理解のもとで、本発明により異なる生理学的アプローチが提示される。治癒とは、いくつかの初期反応から始まるフェーズプロセス(phasic process)である。各フェーズは、前のフェーズで発生した反応に基づいている。次々と起こる(複数の)フェーズの後にやっと、最終生成物--骨--の最終的な発達が起こる。従来の方法は、治癒プロセスへの触媒として不活性の最終生成物を置くことによって、置き換えるかまたは何らかの形で治癒を刺激していた。この早まった行為は、明らかに骨の発達と治癒の生理学的プロセスを考慮していない。
【0021】
骨治癒の生理学的プロセスは、(a)炎症(inflammation)、(b)骨形成(osteogenesis)、および(c)リモデリング(remodeling)の3つのフェーズに分類することができる。炎症は、損傷に対する最初の反応であり、治癒プロセスを開始する走化性因子(chemotactic Factor)を提供することにより自然の触媒となる。骨形成は次のフェーズであり、そこでは骨芽細胞が反応して、骨の基本物質である類骨を作り出し始める。リモデリングは最終フェーズであり、そこで破骨細胞と骨細胞は骨の三次元構造を再構築する。
【0022】
通常の組織修復プロセスでは、最初のフェーズにおいて、細胞が付着するための線維状構造を提供する線維素塊(fibrin clot)が形成される。これは、すべての結合組織(connective tissu)の治癒の基礎となるものである。それこそが、直接的な細胞付着と細胞間の結合性とを可能にするこの線維状構造である。最終的に、早期の治癒フェーズにおける細胞増殖と骨形成とを刺激(stimulate)し、そして生理学的リモデリングが起こるようにすることが目標である。所望の最終生成物は、生体組織であって不活性足場ではないので、主目的は、開始(initiation)と骨形成に関与する天然線維ネットワーク(natural fiber network)を高めることによって、できるだけ多くの生きた骨を刺激することである。
【0023】
本発明の開示の骨移植材料は、線維素塊の繊維状構造を提示することにより、正常な生理学的治癒プロセスを再現しようとするものである。繊維から形成されたこの生体活性物質は、骨伝導性(osteoconductive)も骨刺激性(osteostimulative)も両方あるので、この繊維状ネットワークは、骨誘導をさらに高めて加速するだろう。さらに、生体活性繊維の材料または足場の動的性質は、現在の移植材料のように最終的な骨形成を妨げる非生物テンプレートを置くよりも、骨形成の自然な開始と刺激を可能にする。本発明の材料の繊維は、骨芽細胞増殖または他の細胞表現型を選択的に刺激することが知られている既知の化学反応を提供するように、人工的に作り出すことができる。
【0024】
本発明の開示は、骨移植材料と、それらの材料から形成された骨移植インプラントを提供する。これらの骨移植材料は、最適な骨移植に必要な生体活性、構造、および臨床的取り扱いを提供する。さらに、これらの骨移植材料は、新しい組織の形成が、単にテンプレートからではなく生理学的プロセスを通して達成できるように、骨移植のための改良された作動機構を提供する。
さらに、これらの人工的な骨移植材料は、必要に応じて、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔などの様々なレベルの細孔を有するように製造することができる。骨移植材料は、異なる手術用途および解剖学的用途に必要とされる臨床的に関連する形状へと容易にモールド成形または成形できると同時に、差動的又は段階的な吸収能を有するように選択的に構成および構造化することができる。さらに、これらの骨移植材料は、様々な程度の多孔率、差分的な生体吸収性、圧縮抵抗および放射線不透過性を有してもよく、例えばコラーゲンなどのキャリア材料に対する活性成分の含有量を最大にすることもできる。これらの骨移植材料はまた、薬物送達を可能にするだけでなく抗菌性も有する。これらの材料は、臨床背景で容易に取り扱うこともできる。
【0025】
本発明の開示の実施形態では、動的で、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔を有する超多孔性(ultraporous)の骨移植材料を用いてもよい。骨移植材料は、生体活性(「BAG」)繊維またはBAG繊維と材料粒子の組合せを含むことができる。骨移植材料は、繊維の寸法と長さに起因して、その多孔質構造を維持しながら所望の形状にモールド成形または詰め込む(packed)ことのできる動的構造体(a dynamic structure)になる。骨移植材料は、骨伝導性および/または骨刺激性であってもよい。実施形態で使用される構成要素(components)の直径および化学組成を変えることにより、骨移植材料は差動的な活性化(すなわち吸収性)を有してもよく、それにより抗生物質を含む薬物送達のような有利な機能を容易にしてもよい。さらに、骨移植の繊維の性質は、骨形成に必要な自然な骨治癒プロセスの刺激と誘導を可能にする。
【0026】
骨移植材料の実施形態は、比較的小径の、特に直径100ナノメートル未満のBAG繊維を含むことができる。ある実施形態では、繊維径は10ナノメートル未満にすることができ、他の実施形態では、繊維径は約5ナノメートルにすることができる。実施形態で使用される材料は生体活性材料なので、体液と相互作用したときに、骨移植材料はその表面にCaP層を形成してもよい。
【0027】
別の実施形態では、骨移植材料は繊維と組み合わせて粒子を含んでもよい。粒子物質の存在は、機械的強度および圧縮抵抗を提供するためだけでなく、骨移植材料の吸収率および吸収プロファイルを変更または制御するために利用されてもよい。粒子は生体活性ガラス、硫化カルシウム、リン酸カルシウム、またはヒドロキシアパタイトであってもよい。粒子は中実でもよく、または中空でもよい。
【0028】
骨移植材料はモールド成形可能であってもよく、使いやすい臨床的取り扱いのために機能性モールド型に梱包(package)することができる。さらに、骨移植材料は、例えばさらに取り扱い易くするために、コラーゲン等の他の添加剤と混合することができる。骨移植材料とコラーゲンの混合物はフォーム(foam)の形態にされてもよく、フォームはストリップ(strip)、連続するロールシート(rolled sheet)、スポンジまたは栓にさらに成形されてもよい。しかしながら、フォームは、様々な形状と寸法を有するいずれの形態をとってもよいことが理解される。さらに、骨移植材料とコラーゲンの混合物は、パテまたは他のモールド可能な材料の形を取ってもよい。例えば、ある実施形態では、BAG繊維および粒子は、コラーゲンのスラリーと混合され、所望の形状のモールド型に注がれ、そして凍結(frozen)されて所望のフォーム形状を得ることができる。コラーゲン(collaged)を用いたタイプに依存する他の実施例では、フォームは固定された形状を有することができ、またはフォームは生理食塩水、血液または骨髄穿刺液(bone marrow aspirate)などの液体を添加してパテに変えてもよい。代わりに、骨移植材料は注入可能な材料の形態であってもよい。
【0029】
パテは骨移植材料を、例えばCMC、ヒアルロン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどの他の添加剤と組み合わせることで製造することができる。パテは注入または塗り付けることにより損傷部位に直接塗布できるので、骨移植材料をパテの形態で提供できることにより材料を容易に使用できるようになる。また、パテ混合物の取り扱い易さと成形性(moldability)により、臨床医は所望の形状に容易にかつ迅速に成形することができる。
【0030】
以下、図面に示した実施形態を参照する。それにもかかわらず、それにより本発明の開示の範囲の限定を意図するものではなく、図示されたデバイスの代替案またはさらなる変形と、そこに図示された本発明の開示の原理のさらなる用途は、本発明の開示に関連する技術分野の当業者にとって通常起こりうると予期されることが理解されるだろう。
【0031】
本発明の開示は、生体適合性で生体吸収性の構造母材を骨の修復用または治療用のインプラントの形状に導入する目的で、多種多様な組成および構造の形態に製造することのできる合成骨移植材料に関する。骨移植材料は、差動的生体吸収性を有する骨刺激性および/または骨伝導性インプラントにすることができる。いくつかの実施形態では、骨移植材料は実質的にBAG繊維を含んでいる。
【0032】
ある実施形態では、骨移植材料は、例えば生体活性ガラス粒子の含有量および構造的特徴だけでなく生体活性ガラス繊維の直径、寸法、形状および表面特性などの組成および製造の変化(compositional and manufacturing variables)と、例えばリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の追加の添加剤の含有物(inclusion)とを制御することにより、選択的に決定されることができる。そのような製造の変更を選択的に制御することにより、例えば多孔性、生体吸収性、組織および/または細胞透過、カルシウム生物学的利用性(calcium bioavailability)、柔軟性、強度、圧縮性などの選択可能な特性の程度を有する人工的な骨移植材料を提供することができる。開示した骨移植材料のこれらおよび他の特徴は、以下でより詳細に説明されている。
【0033】
骨移植材料に使用される生体活性ガラスは、45S5(46.1モル%SiO2, 26.9モル%CaO, 24.4モル%Na2Oおよび2.5モル%P2O5)、58S(60モル%SiO2, 36モル%CaO and 4モル%P2O5)、S70C30(70モル%SiO2, 30モル%CaO)等に類似する組成を有していてもよい。もちろん、シリコンフリーの(シリコンを含まない)生体活性ガラスを利用してもよい。
例えば、SiO2フリー(SiO2を含まない)で、シリコンの代わりにホウ素を有する生体活性ガラス組成物を用いることもできる。骨移植材料は、例えば、(例えばストロンチウムを組み込むことによって)増加したX線不透過性、体内での遅いまたは早い溶解速度(dissolution rate)、表面テクスチャニング(surface texturing)等の特定の希望の特性を有するように調節(tailor)されてもよい。
【0034】
骨移植材料は、骨欠損内での骨活性(bone activity)のための足場として機能することができる。骨移植に使用される足場材料は、例えば45S5ガラスなどの生体活性ガラスであってもよく、それは骨伝導性および骨刺激性の両方にできる。出願人によって決定されたように、生体活性ガラスは、材料の組成中のナトリウムの存在により、自然に固有の抗菌性を有していてもよい。本発明の繊維状骨移植材料によって提供される広大な表面積は、この材料の使用による抗菌性の利点を可能にする。
【0035】
本発明の開示の骨移植材料は、可撓性でモールド成形可能にすることができ、または特定の形状の構造体を模倣し、増強し、もしくは置き換えるために予備成形することができる。例えば、骨移植材料は、外科手術で使用される臼蓋カップまたは骨格をモデルにしたその他のコンポーネントに形成することができる。骨移植材料は、例えばストリップ、ブロック、くさび(wedges)等の臨床的に有用な任意の形状に成形することもできる。以下により詳細に説明されているように、この形状は繊維状材料をモールド成形によって、または単に切断(cutting)、引き裂き(tearing)、折り畳み(folding)、分離(separating)によって、その臨床的応用に望まれる形態に成形される。
【0036】
実施の形態では骨移植材料は生体活性ガラス繊維から形成されており、必要に応じて、繊維は所定の断面直径寸法を有するように製造されてもよい。繊維は、常に一定の繊維を作り出すために、例えば電気紡績(electro-spinning)またはレーザ紡績で形成してもよい。ある実施形態では、骨移植材料は均一な直径の繊維の足場から形成してもよい。さらに、生体活性ガラス繊維は様々な直径および/または断面形状を有するように形成されてもよく、中空チューブとして引き延ばされてもよい(drawn)。さらに、繊維は、多種多様な形状の提供のために、メッシュ状、織布状(provision)、絡まり合ったもの(intertangled)等にすることができる。
【0037】
例えば、各繊維が他の繊維と並ぶ(juxtaposed)ようにまたはずれる(out of alignment)ように製造された生体活性ガラス繊維の骨移植材料は、材料内の個々のガラス繊維のランダムな関係により作り出された多量の空隙により、グラスウールまたは「コットンボール」の外観を有する骨移植材料をもたらしうる。そのような製造によって、特定の患者の外科手技における外科的または解剖学的な要求を満たすために外科医が材料を所望の全体形状に手で成形できるように、骨移植材料を全体にわたって軟質または柔軟(pliable)な質感(texture)にすることが可能になる。そのような材料はまた、例えば含まれた生体活性ガラス粒子、抗菌繊維、粒状薬剤、例えば銅(血管新生の高い金属である)、ストロンチウム、マグネシウム、亜鉛などの微量の元素または金属、鉱物カルシウム源(mineralogical calcium sources)など、骨移植材料全体にわたってランダムに分散した添加剤を組み込むのにも容易に役立つ。さらに、生体活性ガラス繊維は、有機酸(例えばギ酸、ヒアルロン酸など)、鉱物カルシウム源(例えばリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなど)、抗菌剤、抗ウイルス剤、ビタミン、X線不透過剤(x-ray opacifiers)、または他のそのような材料によって被覆してもよい。
【0038】
骨移植材料は、様々な吸収率を有する繊維から人工的に作り出してもよい。繊維の吸収率は、その材料組成およびその直径によって決定または制御することができる。材料組成は、遅い反応対早い反応の生成物をもたらす。同様に、小さい直径の繊維は大きい直径の繊維より早く吸収され得る。また、材料の全細孔(overall porosity)は、吸収率に影響することができる。
高い多孔率を有する材料は、細胞にとって除去すべき材料がわずかであることを意味している。反対に、低い多孔率を有する材料は、細胞がより多くの仕事をこなす必要があり、吸収がより遅いことを意味している。したがって、骨移植材料は、任意の性能のために直径のみならず適切な材料組成を有する繊維を含んでいてもよい。所望の結果を達成するために、材料内に異なる繊維の組合せを含んでいてもよい。
【0039】
生体活性ガラス繊維と同様に、生体活性ガラス粒子の包含は、幅広い寸法と形態とを有する粒子を用いて達成されて、粗い表面、非常に大きい表面積等を含むことができる。
例えば、粒子は、粒子内部の表面を露出できるように、穿孔(perforations)を備えた内腔(interior lumens)を含むように作られてもよい(tailored)。そのような粒子はより迅速に吸収されて、作られた材料は異なる吸収性によって特徴付けることができるだろう。孔を開けられたまたは多孔性の粒子は、例えば均一な直径または均一な孔径によって特徴付けられてもよい。粒子によって提供された多孔性は、骨移植材料または骨移植材料から形成されたインプラントにふさわしい多孔性の二次的な範囲(secondary range)としてみなされてもよい。生体活性ガラスの繊維および粒子の寸法、横径(transverse diameter)、表面の質感、および形態を変更することにより、もし含まれていれば、製造者は、患者に移植する前および後に材料の機能に大きな影響を及ぼし得る選択的に変更可能な特徴を備えた生体活性ガラス骨移植材料を提供する能力を有している。ナノおよびマクロサイズの細孔は、優れた流体の浸透性(fluid soak)および保持能力を提供し、そのことが生体活性を高め、それに応じて修復プロセスを高める。
【0040】
図1Aおよび図1Bは、本発明の開示に係る第1の実施形態の繊維状足場10を示している。足場10は、三次元多孔質支持足場または母材(three-dimensional porous support scaffold or matrix)10を規定する絡まり合った複数の繊維15から構成されている。支持母材10は、絡み合ったまたは織り合わされているがそれらの交差点17で必ずしも融合していない生体活性ガラス繊維15から構成されている。よって、繊維15の少なくともいくつかはある自由度で互いに移動して、本質的に動的な支持ウェブ(支持織物:support web)10を生じてもよい。得られた動的な繊維状足場10の支柱(struts)19として使用される繊維15の組成は、典型的な生体活性ガラス、セラミックまたはガラス−セラミックの製剤(formulations)であり、様々な繊維径および構造寸法(construct size)の中で足場繊維15が生体活性の特質を有することで一般に特徴付けられる。
【0041】
動的足場10を規定する繊維15の直径は、繊維15をそれらの交差点15で焼結、融合、またその他の付着することなしに、ただし必要なら、足場10をさらに固くするためにいくつかのそのような融合または付着を用いてもよいが、得られた三次元足場10それ自身の固有の絡まり合いを可能にするために、典型的には著しく小さい。従って、足場10は完全にばらばらにならないように自己拘束されているが、組織形成とそれによる増殖に対して十分な支持を提供しながら柔軟性が残るように足場10にその動的な性質を付与するために、支持支柱19を規定する個々の繊維15は、短い距離だけ互いに自由に動く。さらに、ナノサイズの繊維を利用できることにより、細胞の付着と反応性に利用可能な表面積を著しく高めることができる。
【0042】
以下に詳細に説明するように、実質的に1マイクロメートル(1000ナノメートル)未満の直径を有することで特徴付けられる複数の繊維15は、実質的に100ナノメートル未満の直径を有することで特徴付けられる複数の繊維15と同様に、動的な足場10を形成するのに十分である。足場10はまた、多様な直径分布を有する複数の繊維15から構成されてもよく、直径の組合せは、動的な柔軟性、構造的支持(structural support)、内部空隙の寸法(internal void size)、空隙の分布、圧縮率、溶解速度および吸収率などの特定の組合せを生成するために用いられる。例えば、いくつかの繊維15は、初期の骨成長を誘導するために、反応が早く迅速に骨に吸収されてもよい。さらに、他の繊維15または粒子などの骨移植材料の残った材料は、より長い時間にわたって吸収されて、先に吸収された材料がなくなった後に骨成長を支え続けるように設計されてもよい。骨成長活性の第1バースト(first burst)後に手術部位が十分に治癒しない場合、このようなタイプの層状または段階的な吸収は臨床的に重要であるだろう。吸収の様々なレベルが発生するように提供することにより、材料は、治癒プロセスにわたるよりよい制御を可能にし、「全か無か」の状況を回避することができる。
【0043】
典型的には、構造物内にある繊維径はナノレベルから始まる範囲で変動し(range)、ここでナノファイバは1ミクロン未満(サブミクロン)、約100ミクロン以下の直径の繊維と規定されており、より典型的には、繊維径は約0.005ミクロン〜約10ミクロンの範囲で変動し、さらに典型的には、繊維径は約0.05ミクロン〜約6ミクロンの範囲で変動し、さらにより典型的には、繊維径は、0.5ミクロン〜約20ミクロンの範囲で変動し、さらに典型的には、繊維径は、約1ミクロン〜約6ミクロンの範囲で変動する。すべてのケースにおいて、必用に応じて、得られる足場10の1つ以上の特徴を変化させるために所定量のより大きい繊維(larger fibers)を加えてもよい。より小さい(典型的には10マイクロメートル未満の)直径の繊維15の量が減って、足場構造体(scaffolding construct)10の多くが比較的大きい直径の繊維15を含むにつれ、構造体10全体は典型的には自己束縛が低下する傾向を示すことに注目すべきである。したがって、構成する繊維15の相対的な直径およびアスペクト比を変更することにより、得られる足場構造体(scaffold structure)10は、高い又は低い柔軟性を有するように、および高い又は低い荷重支持剛性(load-bearing rigidity)を有するように調節されてもよい。さらに、細胞の付着と反応性に利用可能な表面積を著しく高めるために、繊維15は特定の寸法で、例えばナノスケールの大きさで構成されてもよい。ある実施形態では、骨移植材料は少なくとも1つのナノファイバを含んでいる。
【0044】
動的な足場10の機構に影響を及ぼす1つの要因は、比較的小さい直径の繊維15の組み込みと得られるインプラント20である。多孔性の繊維足場10は、絡まり合って(interlocking)、もつれた(entangled)、配向した三次元繊維インプラント20が得られる様々な方法で形成することができる。
【0045】
図1Aおよび図1Bに示すように、それらの繊維15は必ずしも連続していなくてもよく、短く不連続でもよく、または長く連続した繊維15と短く不連続の繊維15との組合せでもよい。繊維15は接触して交差点17を規定し、さらに細孔または空隙37も規定する。繊維の寸法および相互作用のモードを変化させることにより、得られたインプラントの細孔径分布のみならずその多孔性も制御できる。これにより、細孔径および分布の制御のみならずインプラントの全細孔(total porosity)(約95%以下またはそれ以上)の制御が可能になり、ナノ(約1ミクロン未満で、100ナノメートルほどの小ささ、またはより小さい細孔直径)、ミクロ(約1〜約10ミクロンの細孔直径)、メソ(約10〜約100ミクロンの細孔直径)、およびマクロ(約100ミクロンを越え、1mmほどの大きさ、またはより大きい細孔直径)の所定の細孔を備えるように材料を形成することができる。細孔37は、選択された形成技術のみならず、細孔径と細孔径分布、選択された繊維寸法範囲と寸法分布の機能により、典型的に約100ナノメートル〜約1mmの寸法の範囲で変動する。しかしながら、繊維と細孔径はこれらの範囲に限定されるものではなく、この説明はナノファイバおよびナノ細孔に焦点を当てているが、本発明の開示の骨移植材料はマクロサイズの繊維および細孔を等しく含んで繊維および細孔の直径の範囲を作り出すことが理解されるだろう。
【0046】
典型的なインプラント20の内部にある細孔径の1つの分布の効果と、その容積寄与(volumetric contribution)および表面積寄与(surface area contribution)の例を、図6Aおよび図6Bを参照しながら示し、それらはさらに以下で説明する。よって、得られたインプラントまたはデバイス20は、スパンレイド(spunlaid)又はスパンブロー(spun blown)処理、メルトブロー(melt blown)処理、湿式マット(wet laid matt)または「ガラス組織」処理等を経て形成された不織布であってもよく、またフェルト、ガーゼ、コットンボール、綿菓子等の特徴を有するように形成されてもよい。
【0047】
典型的には、マクロ、メソ、およびミクロ細孔はデバイス20内に同時に発生し、より典型的には、それらは相互接続している。当業者は水銀圧入ポロシメトリー(mercury intrusion porosimetry)、ヘリウムピクノメトリー(helium pycnometry)、走査型電子顕微鏡等の種々の技術を用いて細孔を容易に特徴付けることができるので、本明細書では、細孔の各タイプを過度に定量化する必要はない。かなりの程度の特定タイプの細孔を有するとしてデバイス20を特徴付けるためには、所望の寸法範囲にあるわずかな孔よりは多くの存在が必要ではあるが、具体的な個数またはパーセンテージ(割合)は要求されない。むしろ、マクロ、メゾ、マイクロ、および/またはナノ細孔を決定するために、当業者による定性評価が使用されるだろう。いくつかの実施形態では、多孔質の繊維状インプラント20の全細孔(overall porosity)は、細孔容積で測定して一般的にパーセントで表現すると、比較的高くなるだろう。0パーセントの細孔容積は、完全にまたは理論的に高密度な材料を指している。言い換えれば、ゼロ細孔(zero porosity)の材料は、細孔を全く有していない。同様に、100パーセントの細孔容積は、「全て細孔」または空気を示しているだろう。当業者は、細孔容積の概念に精通しており、それを容易に計算して適用することができるだろう。
【0048】
骨移植インプラント20は、典型的には約30%を越える細孔容積を有しており、より典型的には約50%または60%を越える細孔容積を有していてもよく、または日常的に達成可能(routinely attainable)であってもよい。いくつかの実施形態では、足場インプラント20は、少なくとも約70%の細孔容積を有していてもよく、他の実施形態では、約75%または80%を越える細孔容積を有していてもよい。骨移植インプラントは、約90%〜97%を越える細孔容積を有するように調製されてもよい。
【0049】
いくつかの骨移植インプラント20にとって、マクロ、メソ、およびミクロ細孔を、またいくつかのケースではナノ細孔を含む細孔勾配(porosity gradient)を有することは有利である。言い換えれば、インプラント20は、孔の配置のみならず孔の寸法がインプラント20の全体にわたって変化するように、細孔勾配を有することができる。骨移植インプラント20が湿った場合、適切な圧縮抵抗および柔軟性を作り出すための繊維と粒子の組合せは維持される。骨移植インプラント20はまた、典型的には相互接続した細孔により特徴付けることもでき、そのことが増加した毛細管現象とウィッキング能(水分を運ぶ能力:wicking capability)に関連づけられる。そのような骨移植インプラント20は、時間をかけて徐放するために液体物質を迅速に運んで(wicking)保持することができなくてはならない。
【0050】
繊維15は、典型的には、例えば生理的変動、細胞の圧力差、脈動する治癒環境内での流体力学など、その環境内での変化に応じて足場10のわずかな柔軟性と動きを提供する非融合の結合(non-fused linkages)35を有している。この生体内環境は治癒プロセスの経過にわたって変化できるまたは変化するであろうし、数ヶ月またはそれ以上もの長い間にわたって持続するだろう。足場10は典型的には、治癒メカニズムが阻害されないように、治癒プロセスを通してその適切な支持特性と孔37の分布を保持する。治癒プロセスの間、絡まり合ってもつれた繊維15の母材によって規定された孔37は、体液と骨移植材料を新生骨成長の部位に運ぶのに役立ってもよい。液体はまた、治癒プロセスに対する動的な応答において、足場10そして特に孔37が寸法および形状を変えるように、生体活性ガラス等から形成された繊維15をゆっくり溶解する。
【0051】
足場10は、典型的には、細胞、小分子、タンパク質、生理学的流体、血液、骨髄、酸素等にとって十分に透過性の三次元微細構造を備えており、足場10の全容積にわたって流れる。さらに、足場10の動的性質は、ミクロ環境を検出またはミクロ環境に応答する能力と、応力および圧力を加えた要素に基づいてミクロ環境内のその構造20を調節する能力とそれにを付与する。
【0052】
さらに、足場10は典型的には、例えば、通常は骨、組織または同様の生物学的部位で見いだされるような空隙、孔または組織平面などの不規則な形状の欠損内に物理的に配置されたときに、骨移植材料またはデバイス20に適合性(compliance)するように十分な三次元形状を有している。デバイス20は典型的には、欠損に挿入されるときにいくらかの圧縮を受け、その一方で足場10の透過特性は維持されている。典型的には、骨空隙充填材の配置と同様に、デバイス20は欠損壁内の天然組織の2mm以内に留まる。
【0053】
足場10から形成された骨移植インプラントまたはデバイス20は、フェルト、コットンボール、織物(textile fabrics)テキスタイル布地、ガーゼ等と類似して見えてもよい。これらの形態は、液体、タンパク質、骨髄穿刺液、細胞を運び、付着し、および包含する能力のみならず、それらの存在をかなりの容積の内部に保持する能力を有しているが、必ずしも全てが完全に保持されてなくてもよく、例えば、圧縮されたときにいくらかの液体が構造から放出されてもよい。
【0054】
骨移植インプラントまたはデバイス20の他の利点は、「親」の微細構造と同等のものを保持しながら、取り扱い、注入性(injectability)、配置、低侵襲注入(minimally invasive injection)、部位の適合性および保持力等を向上するために、動的な繊維状足場10をキャリアまたは修飾剤(modifiers)で修飾(modify)または混合するそれらの能力である。そのようなキャリアは、足場10のミクロスケール(典型的には100マイクロメートル未満のオーダー)の構造を維持しながら、デバイス20のマクロスケールの取り扱い特性を理想的に修飾する。これらのキャリアは、足場の形状、微細構造、化学的性質および/または生体活性の性質を実質的に変えることなく、急速に(典型的には約2週間未満で、より典型的には約2日未満で)吸収する。これらのキャリアは、ポロキサマー(polaxamer)、グリセロール、アルカリ性酸化物コポリマー(alkaline oxide copolymers)、骨髄穿刺液等が挙げられる。
【0055】
図2Aは、例えばストリップ状またはシート状のインプラント20の実施形態を示す。図2Bは、例えばコットンボールに類似の三次元構造の形態にされたインプラント20の実施形態を示す。
ある実施例では、複数の絡まり合った繊維15が、コットンボールの一般的な外観を有するランダム配向の集合体(assemblage)20に紡糸またはブロー(spun or blown)される。繊維15は、典型的には、約10000nm(10マイクロメートル)以下の範囲において実質的に約1000nm(1マイクロメートル)未満の直径を有することで特徴付けられる。得られたコットンボールデバイス20は、使いやすい寸法に形成することができるが、典型的には圧縮されていない直径で約1〜約6センチメートルから形成されてもよく、そして最初の寸法の約1/2〜1/4に圧縮されてもよい。いくつかのケースでは、デバイス20は、(それが液体で湿って、その種の固定によってデバイスを所望の形状および密度にし、または真空圧縮されるまでは)圧縮力が取り除かれると、実質的に元の寸法および形状に戻ることができる。しかしながら、多くのケースで、デバイス20は変形されたままになるだろう。繊維の直径の範囲を、約10nm未満から約10ミクロンを越えるまで変更しながら、いくつかの繊維15の相対的な直径を変更することにより、「コットンボール」から「綿菓子」まで変動する構造体が作り出されでもよい。
【0056】
図2Cは、例えば織って作ったメッシュ状のインプラント20の実施形態を示す。ある実施例では、繊維15は、織って、編んで、またはその他の成形で、ガーゼ状の構成(consistency)を有する織物のデバイス20にしてもよい。繊維15は、典型的に直径が約1マイクロメートルを越えており、直径が約100マイクロメータより大きくてもよい。繊維が多少または完全に規則正しくても、繊維15のミクロスケールの方向は典型的にはランダムである。マクロスケールでは、繊維15は典型的にはより規則正しい。これらのデバイス20の構成は、自己拘束の効果を維持するために、それらの中に取り込まれた小さい繊維15の変更された量を有していてもよい。
【0057】
図3Aおよび図3Bは、本発明の開示の他の実施形態を示しており、図1Aおよび図1Bについて上述したような生理活性繊維状足場110であるが、ガラスの小球(microspheres)または粒子140を有する。ガラス粒子140は、典型的には、繊維115と同様にいくつかの一般的な組成物から形成されているが、その代わりに、他の異なる組成物から形成されてもよい。インプラント120内に粒子140が存在することの1つの利点は、インプラント120の全体的な圧縮抵抗への寄与である。インプラント120の1つの機能は、典型的には、骨の再生に供給される栄養液の吸収および保持であるので、液体が時期尚早に「絞り出される」ことのないように、インプラントに圧縮力に対するいくつかのレベルの抵抗を提供するのに有利である。粒子140(これは球体か粒子であるが)がインプラントを固くし、その他の点では主として絡まり合った繊維115から成る多孔質足場である。粒子140は、柱(pillar)として機能し、インプラント120全体に構造的な支持をもらたす。
【0058】
ガラス粒子140は、典型的にはほぼ球形であるが、他の規則的なまたは不規則な形状を有していてもよい。ガラス粒子140は典型的には寸法が変化し、およそ繊維115(より典型的には支柱119)の幅から、典型的な繊維幅を越える大きさのオーダーの直径までの範囲で変動する直径を有する。必要に応じて、粒子140はほぼ球体状から楕円体状(spheroidal)まで、または楕円形(elliptical)から不規則形状まで形状が変化してもよい。粒子140はさらに、ほぼ平坦なプレートレット(platelets)として形成してもよく、さらに、有効表面積と溶解速度とを増加するために、プレートレット(または他の形状物)は穿孔または内部空隙を有して成形されてもよい。同様に、骨細胞付着(bone cell attachmen)、粒子の塗布性(particulate coatability)等の要因に影響を与えるために、粒子140の形状を変更してもよい。
【0059】
ある実施形態では、ガラス粒子140は約20ミクロン〜約1ミリメートルの平均直径を有していてもよい。別の実施形態では、粒子140は約300〜500ミクロンの平均直径を有していてもよい。さらに別の実施形態では、ガラス粒子140は約350ミクロンの平均直径を有していてもよい。
【0060】
繊維と同様に、生体活性ガラス粒子140は、有機酸(例えばギ酸、ヒアルロン酸など)、鉱物カルシウム源(例えばリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなど)、抗菌剤、抗ウイルス剤、ビタミン、X線不透過剤(x-ray opacifiers)、または他のそのような材料によって被覆してもよい。小さい粒子は、繊維の交差点117の中または周囲にひっかかる(lodge)傾向にあり、大きい粒子は、足場120自身の名かに埋め込まれて繊維115のウェブによって適所に保持される傾向にある。細孔サイズの小球は、細孔137内にひっかかる傾向があるだろう。
【0061】
ガラス微粒子140は、所定の生理活性材料から構成されてもよく、ミネラル、骨成長培地(bone growth media)等の所定の選択を所定の速度で放出するように、足場110を体外(in vitro)に配置する所定の期間にわたって溶解するように調整することができる。生体活性ガラスの吸収速度を調整し、そしてミネラル等が身体に導入される速度(同様に、増加した圧縮抵抗を足場インプラント20に提供するためにどれくらい長く粒子140を利用可能にするか)を調節するために、ガラス微粒子140の組成、寸法、形状を変更してもよい。たとえば、所定の生体活性ガラスの組成と粒子容積において、不規則な形状の粒子140は球状の粒子140よりも広い表面積を有することになり、よってより急速に溶解するだろう。
【0062】
さらに、ガラス粒子140は、所定の速度と所定の期間で骨再成部位の周囲に放出されるべき医薬品、抗生物質、抗ウイルス剤、ビタミン等の特定の混合物で充填された生体活性ガラス、ポリマー等の中空の小球であってもよい。放出速度と放出の持続時間は、粒子サイズ、細孔と肉厚等の関数のみならず、それらの分布関数であろう。
【0063】
上述したように、骨移植材料の形状やテクスチャは、全体的な容積、表面積および柔軟性を最大にするようにランダムに構成することができ、または全く対称的に、生体活性ガラス繊維から、例えば、メッシュまたはマトリクスタイプのアセンブリなどのより固くかつ均一な配置に製造することができる。図4A〜図4Cに図示した非限定的な実施例で例示されているように、メッシュまたはマトリクスアセンブリでは、ガラス繊維は、指向的に(in a directional manner)柔軟性を制限する積層配置で配置することができ、または、繊維は、交互の層がお互いに交差する関係で層状にすることができる。図4Aでは、マトリクスアセンブリ110は、繊維115および粒子140を含む個々の層(discrete layers)を備えた秩序構成(ordered configuration)を有するように示されている。図4Bでは、マトリクスアセンブリは、繊維115および粒子140のランダム配置構成(randomly arranged configuration)を有するように示されている。図4Cでは、マトリクスアセンブリ110は、各層の全体にわたって繊維115と粒子140の間隔の違いにより、層が異なる細孔を有している構成を有するように示されている。すなわち、不均一に間隔をあけた繊維115および粒子140が原因で、細孔137の寸法はマトリクスアセンブリ全体で異なっている。本明細書の概念を図示する目的で、図4A〜図4Cは個々に整列した(discretely aligned)繊維115を示しているが、材料110の個々の層は組織化されずにランダムに配置された繊維115および粒子140を含んでいてもよいと理解されるべきである。
【0064】
本発明の開示の利点は、外科医が使用する材料の同様に変更された機能性をもたらす多種多様な代わりの構成および構造配置である。図4A〜図4Cに図示するように、本発明の開示の骨移植材料は、生体活性ガラス繊維構造体の内部に、埋め込まれた生体活性ガラス粒子を含むことができる。量、寸法、および粒子の特徴によって決定されているような粒子を内包することにより、得られた骨移植材料の圧縮性、生体吸収性および多孔性に影響を与えることができる。骨生成と患者の回復を支援するために、例えばリン酸カルシウム(CaP)、カルシウム硫酸塩(CaS)、ヒドロキシアパタイト(HA)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethycellulose:CMC)、コラーゲン、グリセリン、ゼラチンなどの追加の添加剤を、生理活性ガラス繊維の骨移植材料の変更された構造体のいずれかに含むこともできる。このような添加剤は、0〜90パーセントの多孔質であってもよい。別の添加剤、コラーゲンを含んでいてもよく、98パーセント以下の細孔を有する超多孔性の種類であってもよい。
【0065】
ある実施形態では、骨移植材料の表面積は、材料の構造的マトリクス内への骨内部成長を高めるために最大にされます。別の有用な可変(useful variable)は、選択された細胞が材料内に浸透する深さを制御する細胞フィルタとして機能するように例えばナノ、ミクロ、メゾおよびマクロ細孔などの異なる細孔の(複数の)層を提供するために、選択的に構成される(composed and configured)骨移植材料の性能である。骨移植材料の調製は、異なる断面直径、形状および/または組成を有する生体活性ガラスの繊維および/または粒子を含むように選択的に変更できるので、差動的吸収能を備えた骨移植材料を製造するために材料特性を調整することができる。この特徴により、特定の状況または患者のニーズに合わせて外科医が骨移植材料を選択することが可能になる。材料の生体活性ガラスマトリクス中への骨内部成長の早さを制御することにより、外科医は、個々の患者の特定のニーズに適した骨移植材料を選択する際に、ほぼ無制限の適応性を発揮することができます。
【0066】
別の実施形態では、生体活性ガラスは、カルシウムをストロンチウムに部分的に置き換えて処方された。カルシウムをストロンチウムに部分的な置換することにより、減少した吸収/反応速度と、さらに増加した放射線濃度または放射線不透過性(radioopacity)を有する生体活性ガラスが生成される。したがって、生体活性ガラスは、長期間にわたって体内に存在し続けて、そしてより容易に視認できるX線ターゲットも提供する。
【0067】
別の実施形態では、銀(または他の抗菌材料)を生体活性ガラス繊維足場の構造マトリクスに組み込むことができる。銀は抗菌材料であり、生体活性ガラス材料の固有の抗菌性能を高めるさせる。典型的には、非常に細い繊維が移植部位で溶解して銀がすぐに放出されるように、銀は非常に細い生体活性ガラス繊維へのドーパントとして追加されて、銀が抗菌剤として作用して手術直後の感染症を防ぐことができ、その一方、残りの足場材料は自身の仕事をこなす。代わりに、Agを繊維として導入して生体活性ガラス繊維と折り合わしても、上述のガラス粒子と類似の粒子として導入しても、またその他で導入してもよい。もちろん、アルカリ性(8〜10の高pH)ガラスを作り出すために、繊維を形成する生体活性ガラスの組成を変えることで、抗菌性能を有する材料を提供できるだろう。
【0068】
この発明の1つの利点は、動的であること、および基本的な構造と細孔とを失うことなく、様々な形状または形態に容易にモールド成形できることである。材料を機能トレイ(functional tray)内にこん包(packaging)することにより、ここでトレイはモールド型として働いて、手術室内で材料を様々な形状で提供できる。特に、材料は、血液、生理食塩水、骨髄、その他の天然の体液等を加えたときに、凝集塊(cohesive mass)になる。
【0069】
ある実施形態では、図5A〜図5Cに示すように、骨移植材料は外科キット200の一部として提供される。キット200は、凹部またはくぼみ212、より典型的には入れ子状になった凹部(nested recesses)のセットを有しており骨移植材10、110を保管し、保持し、そして操作するためのトレイ部210と、トレイ部210に封止的に嵌め込むための蓋部220とを含む。トレイ部210および蓋部220は、典型的には熱可塑性材料から形成されているが、代わりに任意の使いやすい材料から作ってもよい。
【0070】
深い凹部チャンバ212は、そこに装填された(so-loaded)骨移植材料が同様に単純な形状を有するように、典型的には、例えば矩形ブロックまたはくさび形などの単純な形状を有している。他の形状は、「動的な活性骨移植材料および取り扱い方法」の名称で2010年10月28日に出願された同時係属中で共同所有の米国特許出願第12/914376に記載されており、その開示を参照して本明細書に組み込む。
【0071】
骨移植材10、110は、典型的には、絡み合ったまたは織り合わされた生体活性ガラス繊維の塊(mass)として提供される。生体活性ガラス繊維は、骨の空洞(bony cavity)に外科的に配置する準備のできている形式(format)(例えば、織物またはメッシュ形式など)で提供されてもよく、または、生体活性ガラスの塊をより柔軟で構造的に一体(structurally unitary)にレンダリングするのを支援するために、例えば生理食塩水、グリセロール、ゼラチン、血漿、またはコラーゲンゲルもしくはチップなどの液体の添加を必要とする配置前に、追加の調製を必要とする様式(例えば、より緩い絡み合いの形式)で提供されてもよい。そのような液体は、任意でキットパッケージ200に含まれてもよく、または分離して提供されてもよい。
【0072】
ある実施例では、キット200は、トレイ本体210と、トレイ本体に嵌め込むことのできる蓋200とを含んで提供される。トレイ本体210は、生体活性ガラス繊維10の容積(volume)を含むための1つ以上の凹部212を含んでいる。生体活性ガラス繊維の容積は、織られ、編まれ、絡み合わされてもよく、または緩いスタックとして提供されてもよい。生体活性ガラス繊維の容積は、任意で、例えば抗菌性銀、ポリマー、または代わりのガラス組成物などの他の組成の繊維を含むことができ、また、任意で、粒状物質もしくは同じ生体活性ガラス組成の粒子、または例えば代わりのガラス、金属、金属酸化物、医薬品、栄養素、および/または抗菌剤等の代わりの組成を含むこともできる。キットはまた、生体活性ガラスの容積と混合するために生理食塩水またはコラーゲンゲルなどの液体を任意で含んでいてもよい。
【0073】
操作の際は、外科医はキット200の蓋220を取り除いて、含まれている生体活性ガラス材10の部分(portion)を取り外す。その後、骨の空洞に挿入するために、外科医が生体活性ガラス材料を成形し、サイズに切って(sized)もよい。所望する程度の柔軟性および/または構造的統一性(structural integrity)を達成するために、このプロセスは、例えば生理食塩水、コラーゲンゲル、血漿、血液などの適切な液体を生体活性ガラス材料に添加することを含んでもよい。生体活性ガラス材料が所望のサイズと形状に成形されたら、それを骨の空洞に挿入する。このプロセスは、単一の操作として、または一連の工程として行うことができる。
【0074】
図6A及び図6Bは、細孔径分布に基づいた骨移植材料の実施形態の容積寄与(volumetric contribution)と表面積寄与(surface area contribution)を示している。記述してきたように、ある実施形態では、インプラント20の骨移植材料は、例えばナノ、ミクロメゾ、マイクロ多孔性などの様々な多孔性を有する構造を有している。図6A及び図6Bに示すように、メソ細孔とミクロ細孔は、骨移植材料の容積の大部分に寄与するが、ナノ細孔は、骨移植材料によって提供される表面積のかなりの大部分に貢献します。つまり、所定の容積に対する高表面をより高く(higher surface higher)得るために、実施形態は、所定の容積に対して、ナノ細孔を含む細孔分布(porosity distribution)を利用してもよい。もちろん、実施形態によって、これらおよび他の特徴および利点が提供することができる。
【0075】
図7は、本発明の開示の実施形態の繊維を37℃の擬似体液に浸漬して1日後および3日後の経時顕微鏡写真であり、一方、図8は、本発明の開示の実施形態の繊維を37℃の擬似体液に浸漬して3日後の経時顕微鏡写真である。
【0076】
図9は、本発明の開示のガラス繊維足場で2日、4日および6日の培養をした骨芽細胞を示す一連の経時電子顕微鏡写真(SEMs)である。図示されているように、6日のインキュベーションの間に細胞密度が増加している。図10は、1つの足場あたり100000個のMC3T3−E1細胞を初期播種(initial seeding)して2日、4日および6日の図9のガラス繊維足場で示された骨芽細胞の増殖のグラフを示している。図11は、間葉幹細胞(mesenchymal stem cells)が播種された繊維の顕微鏡写真を示す。このような細胞は、骨芽細胞の増殖と分化の骨刺激効果を支援することができる。この効果は、DNA含有量の測定と、オステオカルシンおよびアルカリホスファターゼの濃度レベルの上昇した存在とに基づいて測定することができる。
【0077】
<比較動物実験>
図12〜図14は、本発明の開示の繊維性骨移植材料の実施形態の哺乳動物(具体的にはこのケースではウサギ)での試験の結果を示す。試験では、直径約5mm、長さ10mmの大きさを有する両側大腿骨遠位欠損(bilateral distal femoral bone defect)を作成した。本開示の骨移植材料の実施形態に加えて、この比較研究において、市販の骨移植代用品のプロダクト#1(Product #1)も共に試験を行った。プロダクト#1は、ケイ酸塩の代用骨移植材料(マサチューセッツ州フォックスボローのApaTech社から入手可能なACTIFUSE(商標))である。研究中に、本発明の開示の骨移植材料は、従来の合成骨移植材料を用いたときに比べて、より動的な骨成長反応(bone growth response)を誘い(solicit)、より生理的な骨の治癒とリモデリングをもたらすことが観察された。6ヵ月の時点で、手術部位での骨リモデリングの証拠と共に、基材の大部分は吸収された。さらに、骨組織は周囲の骨と一体化したように見えた。
【0078】
この研究から、図12は、骨移植材料の実施形態とプロダクト1との性能を6週、12週、24週で比較して行われた試験からの一連のX線画像を示している。
【0079】
図13は、比較研究中において、骨移植材料の実施形態とプロダクトの中の6週、12週および24週後の新生骨の存在のパーセンテージ(割合)のグラフでの比較を示している。
【0080】
図14は、比較研究中において、骨移植材料の実施形態とプロダクト1の中の6週、12週および24週後の残留材料のパーセンテージ(割合)のグラフでの比較を示している。
【0081】
以下の表1は、本開示の繊維状材料とプロダクト1についての6週、12週および24週での平均最大圧縮強度(average ultimate compressive strength)(重量ポンド:ibf)と、平均最大圧縮応力(average ultimate compressive stress)(重量ポンド毎平方インチ:psi)を、手術していない天然骨と比較して示している。見てわかるように、試験された骨移植材料の実施形態は、プロダクト1よりも天然骨によく似た機械的性質を示している。
【0082】
【表1】
【0083】
さらに、6週、12週および24週での組織学的評価では、新生骨の成長は、プロダクト1を用いるよりも骨移植の実施形態の中でより正常であるように見えた。たとえば、新生骨の成長量が骨移植の実施形態とプロダクト1との両方で同じだった場合でも、成長の質が異なっていた。骨移植の実施形態では、マイクロファイバは完全に吸収されて、生理的負荷に適応するためにリモデリングが始まっていた正常で健康な骨に置き換わる。また、骨移植の実施形態は、全体にわたって均一で良好に分散した細胞増殖を示した。製品1は、骨沈着に類似の局所的な成長を示した。24週間または6ヵ月の時点で、プロダクト1の骨沈着は、線維組織の成長に分解されてしまったように見えた。逆に、24週または6ヵ月の時点で、骨移植の実施形態の残っている繊維のほぼ全てが新しい細胞で覆われており、そして形成された新しい血管の証拠があった。言い換えれば、健康な骨の正常な構造は、骨移植の実施形態の中にすでに現れている。したがって、組織学的なイメージは、この時点ですでに発生していると考えられている骨のリモデリングを支持している。
【0084】
本発明の開示の骨移植材は、骨移植に使用するために記述されているが、本発明の開示の移植材料はまた、軟組織や軟骨の修復にも同様に適用できると考えられる。したがって、本明細書で提供される繊維状移植材料の用途は、さまざまな医療用途、特に新しい結合組織の形成が望まれている場合を含むことができる。
【0085】
本発明の開示は、図面と上記記載において詳細に図示および説明してきたが、それらは実例であって制限的な性質のものではないと見なされるべきである。実施形態は、ベストモード要件および実施可能要件を満足するように上記明細書で図示され説明されていると理解される。当業者はほぼ無限の数のわずかな変化および変更を上記の実施形態に容易に行えること、およびそのような実施形態のバリエーションの全てを本明細書中で説明しようとするのは現実的ではないことが理解される。従って、本発明の開示の精神内にある全ての変化および変更は保護されることが望まれていると理解される。
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本発明は、「動的な生体活性骨移植材料およびその使用方法」の名称で2010年10月5日に出願された米国仮出願第61/389,964号および「骨移植材料」の名称で2009年10月29日に出願された米国仮出願第61/256,287号に基づく優先権を主張しており、それら両方を参照して全体を本明細書に組み込む。本出願はまた、「動的な生体活性ナノファイバ足場」の名称で2008年5月12日に出願された米国仮出願第61/127,172号に基づく優先権を主張して同じ名称で2009年5月7日に出願された同時係属中の米国特許出願第12/437,531号に関連する。
【0002】
<技術分野>
本発明の開示は、概して、骨移植材料およびその材料を用いる方法に関する。特に、本発明の開示は、人工的に作り出した多孔性(engineered porosity)を有する動的な生体活性の合成骨移植材料と、その材料から形成されたインプラントおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
改良された骨移植材料は、継続的に必要とされてきた。既知の自家移植材料は、許容できる物理的・生物学性質を有しており、骨成長に適した構造を示す。しかしながら、自家移植骨を使用するには、患者に複数回の手術または広範囲の手術を行うことを必要とし、その結果、患者を麻酔下におく時間が増加し、相当な痛みと、合併症および他の感染症のリスクの増大と、そして供与部(donor site)の罹患とをもたらす。
【0004】
代わりに、骨移植のために同種移植デバイスを用いることができる。同種移植デバイスは提供者の骨から加工される。同種移植デバイスは、適切な構造を有すると共に患者のリスクと痛みを低減できる追加の利点もあるが、同様に、感染症伝播と拒絶反応の可能性から生じるリスク増加を招く。自家移植および同種移植デバイスは、形状および寸法のバリエーションの観点からさらに制限される。
【0005】
残念ながら、自家移植および同種移植デバイスは採取された天然材料から製造されるので、その品質は本質的に変動する。同様に、自家移植品(autograft supplies)は、患者からどれくらいの骨を安全に取り出せるかによっても制限を受け、その量は、重病または弱っている場合には厳しく制限されるだろう。
【0006】
多種多様な合成骨移植材料が現在使用可能である。近年、例えば生体活性ガラス(bioactive glass:「BAG」)粒子系材料などの新しい材料は、天然骨由来の移植材料の代わりまたは補うものとしてますます実現可能なになっている。これらの新しい(骨由来ではない:non-bone derived)材料は、痛みを伴い本質的にリスクのある患者への採取手順(harvesting procedures)を回避できる利点がある。また、骨由来ではない材料の使用により、感染症伝播のリスクを減らすことができる。自家移植および同種移植デバイスと同様に、これらの新しい人工材料は、骨再生を促進する骨伝導足場(osteoconductive scaffolds)として機能することができる。好ましくは、移植材料は吸収可能で、最終的には新生骨の組織に置き換わる。
【0007】
今日入手可能な多くの人工骨移植は、例えばリン酸カルシウムを含有する組成物など、天然骨と類似の性質を有する材料を含んでいる。典型的なリン酸カルシウム組成物は、タイプB炭酸ヒドロキシアパタイト(carbonated hydroxyapatite)(Ca5(PO4)3x(CO3)x(OH))を含む。リン酸カルシウムセラミックは調製され、そしてこれに限定されないが、成形体およびセメントを含む様々な形態で哺乳動物に移植されている。例えばヒドロキシアパタイト(HA)、リン酸三カルシウム(TCP)、リン酸四カルシウム(TTCP)、ならびに他のリン酸カルシウム(CAP)塩およびミネラルなどの別の化学量論的組成物は全て、天然骨の適応性、生体適合性、構造および強度にマッチさせるために使用されている。リン酸カルシウム系材料は広く受け入れられているが、それらは、幅広い臨床的応用で利用するのに必要な取り扱い易さ、柔軟性、および液体キャリア/貯蔵媒体として機能する能力が欠如している。リン酸カルシウム材料は本質的に硬く、取り扱い易くするために、キャリア材料との混合物の一部として一般的に提供される。そのような混合物は、典型的には、活性リン酸カルシウム成分(active calcium phosphate ingredient) とキャリアとの比率が約50:50であり、10:90くらい低くてもよい。
【0008】
骨の血管再生(revascularization)、骨折治癒、および骨リモデリングを促進する多孔率、細孔径および細孔径分布の役割は、骨移植材料の成功のために重要な要因であると認識されてきた。しかしながら、現在入手可能な骨移植材料は、理想的な移植材料に必要とされる必須の化学的および物理的性質が未だに欠如している。例えば、現在入手可能な骨移植材料は早く吸収されすぎる傾向にあり、その一方でいくつかの骨移植材料は、材料の化学組成と構造に起因して、吸収されるのに長くかかりすぎる。例えば、ヒドロキシアパタイトから形成されたある材料は、吸収されるのに長くかかりすぎ、その一方で硫化カルシウムまたはB-TCPから形成された材料は、早く吸収されすぎる傾向にある。さらに、もし材料の多孔率が高すぎれば(例えば約90%)、吸収が起こった後に残る基材は、骨伝導を支援するのに十分ではないおそれがある。反対に、もし材料の多孔率が低すぎれば(例えば30%)、あまりに多くの材料を吸収しなくてはならず、長い吸収率(longer resorption rates)をもたらす。さらに、過剰な材料は、細胞湿潤のために残余の移植材料中に残された空間が十分ではないおそれがあることを意味する。一方、移植材料が軟らかすぎて、臨床的利用の間に加えられる様々な物理的圧力によって、移植材料に保持された液体が失われるかもしれない。
【0009】
したがって、最適な骨移植に必要とされる必要な生体材料、構造、および臨床的取り扱いを提供する改良された骨移植材料の必要性が残されている。さらに必要なのは、新しい組織の形成が、単にテンプレートからではなく生理学的プロセスを通して達成できるように、骨移植のための改良された作動機構を提供できる動的な生体活性骨移植材料である。同様に、必要に応じて、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔(porosity)などの様々なレベルの細孔を有するように製造できる人工的な骨移植材料の必要性も残されている。さらに、異なる手術用途および解剖学的用途に必要とされる臨床的に関連する形状へと容易にモールド成形または成形(molded or shaped)できる材料を提供すると同時に、差動的(differential)又は段階的(staged)な吸収能を有するように選択的に構成および構造化できる骨移植材料に対する必要性が残されている。特に、様々な程度の多孔率、差分的な生体吸収性(bioresorbability)、圧縮抵抗および放射線不透過性(radiopacity)の特徴を含み、さらに、例えばコラーゲンなどのキャリア材料に対する活性成分の含有量を最大にする骨移植材料を提供することは非常に望ましいだろう。さらに望ましくは、上記の利点を全て有し、さらに、臨床背景(clinical setting)で容易に取り扱うことのできる薬物送達(drug delivery)を可能にするだけでなく、抗菌性も含む骨移植材料であろう。本発明の開示の実施形態は、これらの必要性およびその他の必要性に対応している。
【発明の概要】
【0010】
本発明の開示は、人工的に作り出した多孔性(engineered porosity)を有する生体活性骨移植材料、ならびにそのような材料から形成されたインプラントおよびその使用を提供する。これらの骨移植材料は動的(dynamic)であり、それゆえ所望通りにモールド成形および成形することができる。これらの骨移植材料は、最適な骨移植に必要な生体材料、構造、および臨床的取り扱いを提供することにより、上述の満たされていない要求に対応する。さらに、これらの骨移植材料は、新しい組織の形成が、単にテンプレートおよび置換(replacement)からではなく誘導および形成の生理学的プロセスを通して達成できるように、骨移植のための改良された作動機構を提供する。さらに、これらの人工的な骨移植は、必要に応じて、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔などの様々なレベルの細孔を有するように製造することができる。骨移植材料は、異なる手術用途および解剖学的用途に必要とされる臨床的に関連する形状へと容易にモールド成形または成形できると同時に、差分的又は段階的な吸収能を有するように選択的に構成および構造化できる。さらに、これらの骨移植材料は、様々な程度の多孔率、差分的な生体吸収性、圧縮抵抗および放射線不透過性を有してもよく、例えばコラーゲンなどのキャリア材料に対する活性成分の含有量を最大にすることもできる。これらの骨移植材料はまた、薬物送達を可能にするだけでなく抗菌性も有する。これらの材料は、臨床背景で容易に取り扱うこともできる。
【0011】
ある実施形態では、移植に望ましい形状に成形可能な多孔質母材(porous matrix)の中に配置された生体活性ガラス繊維を有する骨移植材料が提供される。材料は、添加剤を実質的に含まず、そして少なくとも1つのナノファイバを含むことができる。多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含む1つ以上の細孔サイズの組合せを含んでもよい。
【0012】
別の実施形態では、母材を有して成る骨移植インプラントであって、母材は、重なって(overlapping)絡まり合った(interlocking)複数の生体活性ガラス繊維を含み、生体活性ガラス繊維内に提供された様々な細孔(a range of pores)に基づく分散した細孔(分散細孔:distributed porosity)を有する、骨移植インプラントが提供される。分散細孔は、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含むことができ、母材は、患者に移植するのに望ましい形状に成形可能である。分散細孔は、ナノ細孔を含むことができる。
【0013】
さらに別の実施形態では、骨欠損を治療する方法を提供する。方法は、治療すべき骨欠損を確認すること(identifying)を含む。骨欠損は、人間の患者の中に存在するものであってもよい。次の工程は、生体活性ガラス繊維からなる多孔質の繊維性母材を含む骨移植材料を提供することを含み、繊維は約5ナノメートル〜約100マイクロメートルに及ぶ繊維径で特徴付けられており、母材の孔は約100ナノメートル〜約1ミリメートルに及ぶ。骨移植材料はその後に骨欠損に導入されるインプラントに成形され、そして、骨欠損で骨形成活性(osteogenic activity)を生じて骨修復を促進することができる。
【0014】
骨移植材料を導入する前に、例えばモールドトレイ(mold tray)を材料で満たすこと等によって、材料をモールド成形又は成形してもよい。必要に応じて、材料をモールドトレイ内で圧縮してもよい。モールドトレイに導入する前に、材料に液体を添加してもよい。液体は、生理食塩水でもよく、または血液などの自然発生する体液でもよい。骨移植材料は、差動的に活性化されてもよい。例えば、多孔質の繊維母材は、異なる吸収率を有する生体吸収性サブコンポーネントの組合せを含んでいてもよい。サブコンポーネントは繊維または粒子を含んでいてもよく、または両方の組合せでもよい。ある実施形態では、母材は1種以上の繊維を含んでもよく、各繊維は異なる吸収率を有していてもよい。早く吸収される繊維は導入工程の後に吸収されて、強い初期骨成長を誘導してもよい。残った母材は、長い時間をかけてゆっくり成長できるように、長期間にわたってその部位にとどまるようにデザインされてもよい。
【0015】
骨移植材料は、欠損に注入(injected)されてもよく、または欠損に塗り付け(plastered)られてもよい。さらに、材料は欠損内に詰められてもよい。
【0016】
本発明の開示の上述の特徴およびその他の特徴は、添付の図面を参照しながら以下の典型的な実施形態の記載を検討することにより、本発明の開示に関連する技術分野の当業者にとって明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明の開示の第1の実施形態に係る動的な繊維状生体活性ガラス母材の図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの母材の拡大図である。
【図2A】図2Aは、図1の繊維状生体活性ガラス母材から形成された、絡まり合ってもつれた第1の多孔質構造体の斜視図である。
【図2B】図2Bは、図1の繊維状生体活性ガラス母材から形成された、絡まり合ってもつれた第2の多孔質構造体の斜視図である。
【図2C】図2Cは、図1の繊維状生体活性ガラス母材から形成された、絡まり合ってもつれた第3の多孔質構造体の斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の開示の別の実施形態に係る、繊維と粒子を両方有する動的な生体活性ガラス母材の図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの母材の拡大図である。
【図4A】図4Aは、交互の繊維層に対して交差する方向関係にある繊維層を降下(descending)することにより、組織化された(organized)平行な繊維配列を有する本発明の開示に係る典型的な生体活性ガラス繊維の骨移植材料の図である。
【図4B】図4Bは、生体活性ガラス粒子を含むランダム配列した織りガラス構造体(spun-glass structure)内の典型的な生体活性ガラス繊維骨移植材料の図である。
【図4C】図4Cは、先の繊維層に対して異なる程度の多孔性を有してそれによりセルフィルター機能性(cell filter functionality)を提供するように配列された繊維層を降下することにより、メッシュとして構成され、典型的な生体活性ガラス繊維の骨移植材料の図である。
【図5A】図5Aは、本発明の開示の医療キットの実施形態に係る包装容器(packaging container)の斜視図である。
【図5B】図5Bは、キット内に置かれた繊維状生体活性骨移植材料を含んだ図5Aの実施形態の斜視図である。
【図5C】図5Cは、キットから取り外した図5Bの骨移植材料の斜視図である。
【図6A】図6Aは、細孔径分布に基づく骨移植材料の実施形態の容積寄与をグラフで示す。
【図6B】図6Bは、細孔径分布に基づく骨移植材料の実施形態の表面積寄与をグラフで示す。
【図7】図7は、本発明の開示の実施形態の繊維の1日後および3日後の経時顕微鏡写真を示す。
【図8】図8は、本発明の開示の実施形態の繊維の3日後の経時顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、種々の時間間隔において本発明の開示の実施形態の繊維の細胞増殖特性を示す一連の経時顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、本発明の開示の実施形態の繊維の試験中に示された種々の時間間隔での骨芽細胞の増殖のグラフを示す。
【図11】図11は、間葉幹細胞が播種された繊維の顕微鏡写真を示す。
【図12】図12は、骨移植材料の実施形態の性能を他の材料と比較するために哺乳動物で行われた試験からの種々の時間間隔での一連のX線画像を示す。
【図13】図13は、骨移植材料の実施形態と図12の他の材料とによって示された種々の時間間隔での新生骨成長のグラフでの比較を示す。
【図14】図14は、骨移植材料の実施形態と図12の他の材料による長い時間をかけて残った残留材料の種々の時間間隔におけるグラフでの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
合成材料により自然組織を治癒するための標準的な方法は、所望の最終生成物のミクロ構造とマクロ構造とを有するデバイスを提供することであった。所望の最終生成物が海綿骨である場合、従来の骨移植材料は、海綿骨の構造(architecture)を模倣するように人工的に作り出されてきた。これが骨移植の現在の標準であったが、骨は生きた組織(または生体組織)であるという事実を考慮していない。各骨梁は、負荷、応力および/または損傷に応じて、活発な生物学的リモデリング(active biologic remodeling)を絶えず受けている。さらに、海綿骨および皮質骨は、血管の広大なネットワークを支持することができる。このネットワークは、骨の周囲の生体環境を維持するために栄養素を届けるだけでなく、基本的な生物学的機能に必要な赤血球と骨髄を支持する。したがって、単に、同じ構造を備えた非生物(non-biologic)の合成材料を提供するだけでは、最適な骨の治癒と骨の健康には不十分である。代わりに、必要とされているのは、骨の生体構造を再構築することのできる機構である。
【0019】
従来の合成物は、正常な骨組織が組織化および形成するための型(cast)として、またはテンプレートとして働く。これらの合成物は自然発生しないので、正常な骨が発達するのを可能にするためには、最終的には型またはテンプレートは吸収されなくてはならない。もしこれらの構造化された合成物が吸収されず、適切な骨の治癒ができなければ、それらは、骨の治癒にとって障害物となるだけでなく、有害になる可能性のある単なる異物になる。この現象は、ゆっくり吸収されるまたは吸収されない合成物を用いた多くの研究で観察されている。これらの合成物は、骨に似ているだけの、まさに不活性な非生物構造体であるので、それらは正常な骨の治癒と発達に対して機械的なブロックとしてふるまう。
【0020】
骨は生きた生物組織であり、不活性な構造体は骨の治癒を妨げるだけである、という理解のもとで、本発明により異なる生理学的アプローチが提示される。治癒とは、いくつかの初期反応から始まるフェーズプロセス(phasic process)である。各フェーズは、前のフェーズで発生した反応に基づいている。次々と起こる(複数の)フェーズの後にやっと、最終生成物--骨--の最終的な発達が起こる。従来の方法は、治癒プロセスへの触媒として不活性の最終生成物を置くことによって、置き換えるかまたは何らかの形で治癒を刺激していた。この早まった行為は、明らかに骨の発達と治癒の生理学的プロセスを考慮していない。
【0021】
骨治癒の生理学的プロセスは、(a)炎症(inflammation)、(b)骨形成(osteogenesis)、および(c)リモデリング(remodeling)の3つのフェーズに分類することができる。炎症は、損傷に対する最初の反応であり、治癒プロセスを開始する走化性因子(chemotactic Factor)を提供することにより自然の触媒となる。骨形成は次のフェーズであり、そこでは骨芽細胞が反応して、骨の基本物質である類骨を作り出し始める。リモデリングは最終フェーズであり、そこで破骨細胞と骨細胞は骨の三次元構造を再構築する。
【0022】
通常の組織修復プロセスでは、最初のフェーズにおいて、細胞が付着するための線維状構造を提供する線維素塊(fibrin clot)が形成される。これは、すべての結合組織(connective tissu)の治癒の基礎となるものである。それこそが、直接的な細胞付着と細胞間の結合性とを可能にするこの線維状構造である。最終的に、早期の治癒フェーズにおける細胞増殖と骨形成とを刺激(stimulate)し、そして生理学的リモデリングが起こるようにすることが目標である。所望の最終生成物は、生体組織であって不活性足場ではないので、主目的は、開始(initiation)と骨形成に関与する天然線維ネットワーク(natural fiber network)を高めることによって、できるだけ多くの生きた骨を刺激することである。
【0023】
本発明の開示の骨移植材料は、線維素塊の繊維状構造を提示することにより、正常な生理学的治癒プロセスを再現しようとするものである。繊維から形成されたこの生体活性物質は、骨伝導性(osteoconductive)も骨刺激性(osteostimulative)も両方あるので、この繊維状ネットワークは、骨誘導をさらに高めて加速するだろう。さらに、生体活性繊維の材料または足場の動的性質は、現在の移植材料のように最終的な骨形成を妨げる非生物テンプレートを置くよりも、骨形成の自然な開始と刺激を可能にする。本発明の材料の繊維は、骨芽細胞増殖または他の細胞表現型を選択的に刺激することが知られている既知の化学反応を提供するように、人工的に作り出すことができる。
【0024】
本発明の開示は、骨移植材料と、それらの材料から形成された骨移植インプラントを提供する。これらの骨移植材料は、最適な骨移植に必要な生体活性、構造、および臨床的取り扱いを提供する。さらに、これらの骨移植材料は、新しい組織の形成が、単にテンプレートからではなく生理学的プロセスを通して達成できるように、骨移植のための改良された作動機構を提供する。
さらに、これらの人工的な骨移植材料は、必要に応じて、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔などの様々なレベルの細孔を有するように製造することができる。骨移植材料は、異なる手術用途および解剖学的用途に必要とされる臨床的に関連する形状へと容易にモールド成形または成形できると同時に、差動的又は段階的な吸収能を有するように選択的に構成および構造化することができる。さらに、これらの骨移植材料は、様々な程度の多孔率、差分的な生体吸収性、圧縮抵抗および放射線不透過性を有してもよく、例えばコラーゲンなどのキャリア材料に対する活性成分の含有量を最大にすることもできる。これらの骨移植材料はまた、薬物送達を可能にするだけでなく抗菌性も有する。これらの材料は、臨床背景で容易に取り扱うこともできる。
【0025】
本発明の開示の実施形態では、動的で、例えばナノ、ミクロ、メソおよびマクロ細孔を有する超多孔性(ultraporous)の骨移植材料を用いてもよい。骨移植材料は、生体活性(「BAG」)繊維またはBAG繊維と材料粒子の組合せを含むことができる。骨移植材料は、繊維の寸法と長さに起因して、その多孔質構造を維持しながら所望の形状にモールド成形または詰め込む(packed)ことのできる動的構造体(a dynamic structure)になる。骨移植材料は、骨伝導性および/または骨刺激性であってもよい。実施形態で使用される構成要素(components)の直径および化学組成を変えることにより、骨移植材料は差動的な活性化(すなわち吸収性)を有してもよく、それにより抗生物質を含む薬物送達のような有利な機能を容易にしてもよい。さらに、骨移植の繊維の性質は、骨形成に必要な自然な骨治癒プロセスの刺激と誘導を可能にする。
【0026】
骨移植材料の実施形態は、比較的小径の、特に直径100ナノメートル未満のBAG繊維を含むことができる。ある実施形態では、繊維径は10ナノメートル未満にすることができ、他の実施形態では、繊維径は約5ナノメートルにすることができる。実施形態で使用される材料は生体活性材料なので、体液と相互作用したときに、骨移植材料はその表面にCaP層を形成してもよい。
【0027】
別の実施形態では、骨移植材料は繊維と組み合わせて粒子を含んでもよい。粒子物質の存在は、機械的強度および圧縮抵抗を提供するためだけでなく、骨移植材料の吸収率および吸収プロファイルを変更または制御するために利用されてもよい。粒子は生体活性ガラス、硫化カルシウム、リン酸カルシウム、またはヒドロキシアパタイトであってもよい。粒子は中実でもよく、または中空でもよい。
【0028】
骨移植材料はモールド成形可能であってもよく、使いやすい臨床的取り扱いのために機能性モールド型に梱包(package)することができる。さらに、骨移植材料は、例えばさらに取り扱い易くするために、コラーゲン等の他の添加剤と混合することができる。骨移植材料とコラーゲンの混合物はフォーム(foam)の形態にされてもよく、フォームはストリップ(strip)、連続するロールシート(rolled sheet)、スポンジまたは栓にさらに成形されてもよい。しかしながら、フォームは、様々な形状と寸法を有するいずれの形態をとってもよいことが理解される。さらに、骨移植材料とコラーゲンの混合物は、パテまたは他のモールド可能な材料の形を取ってもよい。例えば、ある実施形態では、BAG繊維および粒子は、コラーゲンのスラリーと混合され、所望の形状のモールド型に注がれ、そして凍結(frozen)されて所望のフォーム形状を得ることができる。コラーゲン(collaged)を用いたタイプに依存する他の実施例では、フォームは固定された形状を有することができ、またはフォームは生理食塩水、血液または骨髄穿刺液(bone marrow aspirate)などの液体を添加してパテに変えてもよい。代わりに、骨移植材料は注入可能な材料の形態であってもよい。
【0029】
パテは骨移植材料を、例えばCMC、ヒアルロン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどの他の添加剤と組み合わせることで製造することができる。パテは注入または塗り付けることにより損傷部位に直接塗布できるので、骨移植材料をパテの形態で提供できることにより材料を容易に使用できるようになる。また、パテ混合物の取り扱い易さと成形性(moldability)により、臨床医は所望の形状に容易にかつ迅速に成形することができる。
【0030】
以下、図面に示した実施形態を参照する。それにもかかわらず、それにより本発明の開示の範囲の限定を意図するものではなく、図示されたデバイスの代替案またはさらなる変形と、そこに図示された本発明の開示の原理のさらなる用途は、本発明の開示に関連する技術分野の当業者にとって通常起こりうると予期されることが理解されるだろう。
【0031】
本発明の開示は、生体適合性で生体吸収性の構造母材を骨の修復用または治療用のインプラントの形状に導入する目的で、多種多様な組成および構造の形態に製造することのできる合成骨移植材料に関する。骨移植材料は、差動的生体吸収性を有する骨刺激性および/または骨伝導性インプラントにすることができる。いくつかの実施形態では、骨移植材料は実質的にBAG繊維を含んでいる。
【0032】
ある実施形態では、骨移植材料は、例えば生体活性ガラス粒子の含有量および構造的特徴だけでなく生体活性ガラス繊維の直径、寸法、形状および表面特性などの組成および製造の変化(compositional and manufacturing variables)と、例えばリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の追加の添加剤の含有物(inclusion)とを制御することにより、選択的に決定されることができる。そのような製造の変更を選択的に制御することにより、例えば多孔性、生体吸収性、組織および/または細胞透過、カルシウム生物学的利用性(calcium bioavailability)、柔軟性、強度、圧縮性などの選択可能な特性の程度を有する人工的な骨移植材料を提供することができる。開示した骨移植材料のこれらおよび他の特徴は、以下でより詳細に説明されている。
【0033】
骨移植材料に使用される生体活性ガラスは、45S5(46.1モル%SiO2, 26.9モル%CaO, 24.4モル%Na2Oおよび2.5モル%P2O5)、58S(60モル%SiO2, 36モル%CaO and 4モル%P2O5)、S70C30(70モル%SiO2, 30モル%CaO)等に類似する組成を有していてもよい。もちろん、シリコンフリーの(シリコンを含まない)生体活性ガラスを利用してもよい。
例えば、SiO2フリー(SiO2を含まない)で、シリコンの代わりにホウ素を有する生体活性ガラス組成物を用いることもできる。骨移植材料は、例えば、(例えばストロンチウムを組み込むことによって)増加したX線不透過性、体内での遅いまたは早い溶解速度(dissolution rate)、表面テクスチャニング(surface texturing)等の特定の希望の特性を有するように調節(tailor)されてもよい。
【0034】
骨移植材料は、骨欠損内での骨活性(bone activity)のための足場として機能することができる。骨移植に使用される足場材料は、例えば45S5ガラスなどの生体活性ガラスであってもよく、それは骨伝導性および骨刺激性の両方にできる。出願人によって決定されたように、生体活性ガラスは、材料の組成中のナトリウムの存在により、自然に固有の抗菌性を有していてもよい。本発明の繊維状骨移植材料によって提供される広大な表面積は、この材料の使用による抗菌性の利点を可能にする。
【0035】
本発明の開示の骨移植材料は、可撓性でモールド成形可能にすることができ、または特定の形状の構造体を模倣し、増強し、もしくは置き換えるために予備成形することができる。例えば、骨移植材料は、外科手術で使用される臼蓋カップまたは骨格をモデルにしたその他のコンポーネントに形成することができる。骨移植材料は、例えばストリップ、ブロック、くさび(wedges)等の臨床的に有用な任意の形状に成形することもできる。以下により詳細に説明されているように、この形状は繊維状材料をモールド成形によって、または単に切断(cutting)、引き裂き(tearing)、折り畳み(folding)、分離(separating)によって、その臨床的応用に望まれる形態に成形される。
【0036】
実施の形態では骨移植材料は生体活性ガラス繊維から形成されており、必要に応じて、繊維は所定の断面直径寸法を有するように製造されてもよい。繊維は、常に一定の繊維を作り出すために、例えば電気紡績(electro-spinning)またはレーザ紡績で形成してもよい。ある実施形態では、骨移植材料は均一な直径の繊維の足場から形成してもよい。さらに、生体活性ガラス繊維は様々な直径および/または断面形状を有するように形成されてもよく、中空チューブとして引き延ばされてもよい(drawn)。さらに、繊維は、多種多様な形状の提供のために、メッシュ状、織布状(provision)、絡まり合ったもの(intertangled)等にすることができる。
【0037】
例えば、各繊維が他の繊維と並ぶ(juxtaposed)ようにまたはずれる(out of alignment)ように製造された生体活性ガラス繊維の骨移植材料は、材料内の個々のガラス繊維のランダムな関係により作り出された多量の空隙により、グラスウールまたは「コットンボール」の外観を有する骨移植材料をもたらしうる。そのような製造によって、特定の患者の外科手技における外科的または解剖学的な要求を満たすために外科医が材料を所望の全体形状に手で成形できるように、骨移植材料を全体にわたって軟質または柔軟(pliable)な質感(texture)にすることが可能になる。そのような材料はまた、例えば含まれた生体活性ガラス粒子、抗菌繊維、粒状薬剤、例えば銅(血管新生の高い金属である)、ストロンチウム、マグネシウム、亜鉛などの微量の元素または金属、鉱物カルシウム源(mineralogical calcium sources)など、骨移植材料全体にわたってランダムに分散した添加剤を組み込むのにも容易に役立つ。さらに、生体活性ガラス繊維は、有機酸(例えばギ酸、ヒアルロン酸など)、鉱物カルシウム源(例えばリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなど)、抗菌剤、抗ウイルス剤、ビタミン、X線不透過剤(x-ray opacifiers)、または他のそのような材料によって被覆してもよい。
【0038】
骨移植材料は、様々な吸収率を有する繊維から人工的に作り出してもよい。繊維の吸収率は、その材料組成およびその直径によって決定または制御することができる。材料組成は、遅い反応対早い反応の生成物をもたらす。同様に、小さい直径の繊維は大きい直径の繊維より早く吸収され得る。また、材料の全細孔(overall porosity)は、吸収率に影響することができる。
高い多孔率を有する材料は、細胞にとって除去すべき材料がわずかであることを意味している。反対に、低い多孔率を有する材料は、細胞がより多くの仕事をこなす必要があり、吸収がより遅いことを意味している。したがって、骨移植材料は、任意の性能のために直径のみならず適切な材料組成を有する繊維を含んでいてもよい。所望の結果を達成するために、材料内に異なる繊維の組合せを含んでいてもよい。
【0039】
生体活性ガラス繊維と同様に、生体活性ガラス粒子の包含は、幅広い寸法と形態とを有する粒子を用いて達成されて、粗い表面、非常に大きい表面積等を含むことができる。
例えば、粒子は、粒子内部の表面を露出できるように、穿孔(perforations)を備えた内腔(interior lumens)を含むように作られてもよい(tailored)。そのような粒子はより迅速に吸収されて、作られた材料は異なる吸収性によって特徴付けることができるだろう。孔を開けられたまたは多孔性の粒子は、例えば均一な直径または均一な孔径によって特徴付けられてもよい。粒子によって提供された多孔性は、骨移植材料または骨移植材料から形成されたインプラントにふさわしい多孔性の二次的な範囲(secondary range)としてみなされてもよい。生体活性ガラスの繊維および粒子の寸法、横径(transverse diameter)、表面の質感、および形態を変更することにより、もし含まれていれば、製造者は、患者に移植する前および後に材料の機能に大きな影響を及ぼし得る選択的に変更可能な特徴を備えた生体活性ガラス骨移植材料を提供する能力を有している。ナノおよびマクロサイズの細孔は、優れた流体の浸透性(fluid soak)および保持能力を提供し、そのことが生体活性を高め、それに応じて修復プロセスを高める。
【0040】
図1Aおよび図1Bは、本発明の開示に係る第1の実施形態の繊維状足場10を示している。足場10は、三次元多孔質支持足場または母材(three-dimensional porous support scaffold or matrix)10を規定する絡まり合った複数の繊維15から構成されている。支持母材10は、絡み合ったまたは織り合わされているがそれらの交差点17で必ずしも融合していない生体活性ガラス繊維15から構成されている。よって、繊維15の少なくともいくつかはある自由度で互いに移動して、本質的に動的な支持ウェブ(支持織物:support web)10を生じてもよい。得られた動的な繊維状足場10の支柱(struts)19として使用される繊維15の組成は、典型的な生体活性ガラス、セラミックまたはガラス−セラミックの製剤(formulations)であり、様々な繊維径および構造寸法(construct size)の中で足場繊維15が生体活性の特質を有することで一般に特徴付けられる。
【0041】
動的足場10を規定する繊維15の直径は、繊維15をそれらの交差点15で焼結、融合、またその他の付着することなしに、ただし必要なら、足場10をさらに固くするためにいくつかのそのような融合または付着を用いてもよいが、得られた三次元足場10それ自身の固有の絡まり合いを可能にするために、典型的には著しく小さい。従って、足場10は完全にばらばらにならないように自己拘束されているが、組織形成とそれによる増殖に対して十分な支持を提供しながら柔軟性が残るように足場10にその動的な性質を付与するために、支持支柱19を規定する個々の繊維15は、短い距離だけ互いに自由に動く。さらに、ナノサイズの繊維を利用できることにより、細胞の付着と反応性に利用可能な表面積を著しく高めることができる。
【0042】
以下に詳細に説明するように、実質的に1マイクロメートル(1000ナノメートル)未満の直径を有することで特徴付けられる複数の繊維15は、実質的に100ナノメートル未満の直径を有することで特徴付けられる複数の繊維15と同様に、動的な足場10を形成するのに十分である。足場10はまた、多様な直径分布を有する複数の繊維15から構成されてもよく、直径の組合せは、動的な柔軟性、構造的支持(structural support)、内部空隙の寸法(internal void size)、空隙の分布、圧縮率、溶解速度および吸収率などの特定の組合せを生成するために用いられる。例えば、いくつかの繊維15は、初期の骨成長を誘導するために、反応が早く迅速に骨に吸収されてもよい。さらに、他の繊維15または粒子などの骨移植材料の残った材料は、より長い時間にわたって吸収されて、先に吸収された材料がなくなった後に骨成長を支え続けるように設計されてもよい。骨成長活性の第1バースト(first burst)後に手術部位が十分に治癒しない場合、このようなタイプの層状または段階的な吸収は臨床的に重要であるだろう。吸収の様々なレベルが発生するように提供することにより、材料は、治癒プロセスにわたるよりよい制御を可能にし、「全か無か」の状況を回避することができる。
【0043】
典型的には、構造物内にある繊維径はナノレベルから始まる範囲で変動し(range)、ここでナノファイバは1ミクロン未満(サブミクロン)、約100ミクロン以下の直径の繊維と規定されており、より典型的には、繊維径は約0.005ミクロン〜約10ミクロンの範囲で変動し、さらに典型的には、繊維径は約0.05ミクロン〜約6ミクロンの範囲で変動し、さらにより典型的には、繊維径は、0.5ミクロン〜約20ミクロンの範囲で変動し、さらに典型的には、繊維径は、約1ミクロン〜約6ミクロンの範囲で変動する。すべてのケースにおいて、必用に応じて、得られる足場10の1つ以上の特徴を変化させるために所定量のより大きい繊維(larger fibers)を加えてもよい。より小さい(典型的には10マイクロメートル未満の)直径の繊維15の量が減って、足場構造体(scaffolding construct)10の多くが比較的大きい直径の繊維15を含むにつれ、構造体10全体は典型的には自己束縛が低下する傾向を示すことに注目すべきである。したがって、構成する繊維15の相対的な直径およびアスペクト比を変更することにより、得られる足場構造体(scaffold structure)10は、高い又は低い柔軟性を有するように、および高い又は低い荷重支持剛性(load-bearing rigidity)を有するように調節されてもよい。さらに、細胞の付着と反応性に利用可能な表面積を著しく高めるために、繊維15は特定の寸法で、例えばナノスケールの大きさで構成されてもよい。ある実施形態では、骨移植材料は少なくとも1つのナノファイバを含んでいる。
【0044】
動的な足場10の機構に影響を及ぼす1つの要因は、比較的小さい直径の繊維15の組み込みと得られるインプラント20である。多孔性の繊維足場10は、絡まり合って(interlocking)、もつれた(entangled)、配向した三次元繊維インプラント20が得られる様々な方法で形成することができる。
【0045】
図1Aおよび図1Bに示すように、それらの繊維15は必ずしも連続していなくてもよく、短く不連続でもよく、または長く連続した繊維15と短く不連続の繊維15との組合せでもよい。繊維15は接触して交差点17を規定し、さらに細孔または空隙37も規定する。繊維の寸法および相互作用のモードを変化させることにより、得られたインプラントの細孔径分布のみならずその多孔性も制御できる。これにより、細孔径および分布の制御のみならずインプラントの全細孔(total porosity)(約95%以下またはそれ以上)の制御が可能になり、ナノ(約1ミクロン未満で、100ナノメートルほどの小ささ、またはより小さい細孔直径)、ミクロ(約1〜約10ミクロンの細孔直径)、メソ(約10〜約100ミクロンの細孔直径)、およびマクロ(約100ミクロンを越え、1mmほどの大きさ、またはより大きい細孔直径)の所定の細孔を備えるように材料を形成することができる。細孔37は、選択された形成技術のみならず、細孔径と細孔径分布、選択された繊維寸法範囲と寸法分布の機能により、典型的に約100ナノメートル〜約1mmの寸法の範囲で変動する。しかしながら、繊維と細孔径はこれらの範囲に限定されるものではなく、この説明はナノファイバおよびナノ細孔に焦点を当てているが、本発明の開示の骨移植材料はマクロサイズの繊維および細孔を等しく含んで繊維および細孔の直径の範囲を作り出すことが理解されるだろう。
【0046】
典型的なインプラント20の内部にある細孔径の1つの分布の効果と、その容積寄与(volumetric contribution)および表面積寄与(surface area contribution)の例を、図6Aおよび図6Bを参照しながら示し、それらはさらに以下で説明する。よって、得られたインプラントまたはデバイス20は、スパンレイド(spunlaid)又はスパンブロー(spun blown)処理、メルトブロー(melt blown)処理、湿式マット(wet laid matt)または「ガラス組織」処理等を経て形成された不織布であってもよく、またフェルト、ガーゼ、コットンボール、綿菓子等の特徴を有するように形成されてもよい。
【0047】
典型的には、マクロ、メソ、およびミクロ細孔はデバイス20内に同時に発生し、より典型的には、それらは相互接続している。当業者は水銀圧入ポロシメトリー(mercury intrusion porosimetry)、ヘリウムピクノメトリー(helium pycnometry)、走査型電子顕微鏡等の種々の技術を用いて細孔を容易に特徴付けることができるので、本明細書では、細孔の各タイプを過度に定量化する必要はない。かなりの程度の特定タイプの細孔を有するとしてデバイス20を特徴付けるためには、所望の寸法範囲にあるわずかな孔よりは多くの存在が必要ではあるが、具体的な個数またはパーセンテージ(割合)は要求されない。むしろ、マクロ、メゾ、マイクロ、および/またはナノ細孔を決定するために、当業者による定性評価が使用されるだろう。いくつかの実施形態では、多孔質の繊維状インプラント20の全細孔(overall porosity)は、細孔容積で測定して一般的にパーセントで表現すると、比較的高くなるだろう。0パーセントの細孔容積は、完全にまたは理論的に高密度な材料を指している。言い換えれば、ゼロ細孔(zero porosity)の材料は、細孔を全く有していない。同様に、100パーセントの細孔容積は、「全て細孔」または空気を示しているだろう。当業者は、細孔容積の概念に精通しており、それを容易に計算して適用することができるだろう。
【0048】
骨移植インプラント20は、典型的には約30%を越える細孔容積を有しており、より典型的には約50%または60%を越える細孔容積を有していてもよく、または日常的に達成可能(routinely attainable)であってもよい。いくつかの実施形態では、足場インプラント20は、少なくとも約70%の細孔容積を有していてもよく、他の実施形態では、約75%または80%を越える細孔容積を有していてもよい。骨移植インプラントは、約90%〜97%を越える細孔容積を有するように調製されてもよい。
【0049】
いくつかの骨移植インプラント20にとって、マクロ、メソ、およびミクロ細孔を、またいくつかのケースではナノ細孔を含む細孔勾配(porosity gradient)を有することは有利である。言い換えれば、インプラント20は、孔の配置のみならず孔の寸法がインプラント20の全体にわたって変化するように、細孔勾配を有することができる。骨移植インプラント20が湿った場合、適切な圧縮抵抗および柔軟性を作り出すための繊維と粒子の組合せは維持される。骨移植インプラント20はまた、典型的には相互接続した細孔により特徴付けることもでき、そのことが増加した毛細管現象とウィッキング能(水分を運ぶ能力:wicking capability)に関連づけられる。そのような骨移植インプラント20は、時間をかけて徐放するために液体物質を迅速に運んで(wicking)保持することができなくてはならない。
【0050】
繊維15は、典型的には、例えば生理的変動、細胞の圧力差、脈動する治癒環境内での流体力学など、その環境内での変化に応じて足場10のわずかな柔軟性と動きを提供する非融合の結合(non-fused linkages)35を有している。この生体内環境は治癒プロセスの経過にわたって変化できるまたは変化するであろうし、数ヶ月またはそれ以上もの長い間にわたって持続するだろう。足場10は典型的には、治癒メカニズムが阻害されないように、治癒プロセスを通してその適切な支持特性と孔37の分布を保持する。治癒プロセスの間、絡まり合ってもつれた繊維15の母材によって規定された孔37は、体液と骨移植材料を新生骨成長の部位に運ぶのに役立ってもよい。液体はまた、治癒プロセスに対する動的な応答において、足場10そして特に孔37が寸法および形状を変えるように、生体活性ガラス等から形成された繊維15をゆっくり溶解する。
【0051】
足場10は、典型的には、細胞、小分子、タンパク質、生理学的流体、血液、骨髄、酸素等にとって十分に透過性の三次元微細構造を備えており、足場10の全容積にわたって流れる。さらに、足場10の動的性質は、ミクロ環境を検出またはミクロ環境に応答する能力と、応力および圧力を加えた要素に基づいてミクロ環境内のその構造20を調節する能力とそれにを付与する。
【0052】
さらに、足場10は典型的には、例えば、通常は骨、組織または同様の生物学的部位で見いだされるような空隙、孔または組織平面などの不規則な形状の欠損内に物理的に配置されたときに、骨移植材料またはデバイス20に適合性(compliance)するように十分な三次元形状を有している。デバイス20は典型的には、欠損に挿入されるときにいくらかの圧縮を受け、その一方で足場10の透過特性は維持されている。典型的には、骨空隙充填材の配置と同様に、デバイス20は欠損壁内の天然組織の2mm以内に留まる。
【0053】
足場10から形成された骨移植インプラントまたはデバイス20は、フェルト、コットンボール、織物(textile fabrics)テキスタイル布地、ガーゼ等と類似して見えてもよい。これらの形態は、液体、タンパク質、骨髄穿刺液、細胞を運び、付着し、および包含する能力のみならず、それらの存在をかなりの容積の内部に保持する能力を有しているが、必ずしも全てが完全に保持されてなくてもよく、例えば、圧縮されたときにいくらかの液体が構造から放出されてもよい。
【0054】
骨移植インプラントまたはデバイス20の他の利点は、「親」の微細構造と同等のものを保持しながら、取り扱い、注入性(injectability)、配置、低侵襲注入(minimally invasive injection)、部位の適合性および保持力等を向上するために、動的な繊維状足場10をキャリアまたは修飾剤(modifiers)で修飾(modify)または混合するそれらの能力である。そのようなキャリアは、足場10のミクロスケール(典型的には100マイクロメートル未満のオーダー)の構造を維持しながら、デバイス20のマクロスケールの取り扱い特性を理想的に修飾する。これらのキャリアは、足場の形状、微細構造、化学的性質および/または生体活性の性質を実質的に変えることなく、急速に(典型的には約2週間未満で、より典型的には約2日未満で)吸収する。これらのキャリアは、ポロキサマー(polaxamer)、グリセロール、アルカリ性酸化物コポリマー(alkaline oxide copolymers)、骨髄穿刺液等が挙げられる。
【0055】
図2Aは、例えばストリップ状またはシート状のインプラント20の実施形態を示す。図2Bは、例えばコットンボールに類似の三次元構造の形態にされたインプラント20の実施形態を示す。
ある実施例では、複数の絡まり合った繊維15が、コットンボールの一般的な外観を有するランダム配向の集合体(assemblage)20に紡糸またはブロー(spun or blown)される。繊維15は、典型的には、約10000nm(10マイクロメートル)以下の範囲において実質的に約1000nm(1マイクロメートル)未満の直径を有することで特徴付けられる。得られたコットンボールデバイス20は、使いやすい寸法に形成することができるが、典型的には圧縮されていない直径で約1〜約6センチメートルから形成されてもよく、そして最初の寸法の約1/2〜1/4に圧縮されてもよい。いくつかのケースでは、デバイス20は、(それが液体で湿って、その種の固定によってデバイスを所望の形状および密度にし、または真空圧縮されるまでは)圧縮力が取り除かれると、実質的に元の寸法および形状に戻ることができる。しかしながら、多くのケースで、デバイス20は変形されたままになるだろう。繊維の直径の範囲を、約10nm未満から約10ミクロンを越えるまで変更しながら、いくつかの繊維15の相対的な直径を変更することにより、「コットンボール」から「綿菓子」まで変動する構造体が作り出されでもよい。
【0056】
図2Cは、例えば織って作ったメッシュ状のインプラント20の実施形態を示す。ある実施例では、繊維15は、織って、編んで、またはその他の成形で、ガーゼ状の構成(consistency)を有する織物のデバイス20にしてもよい。繊維15は、典型的に直径が約1マイクロメートルを越えており、直径が約100マイクロメータより大きくてもよい。繊維が多少または完全に規則正しくても、繊維15のミクロスケールの方向は典型的にはランダムである。マクロスケールでは、繊維15は典型的にはより規則正しい。これらのデバイス20の構成は、自己拘束の効果を維持するために、それらの中に取り込まれた小さい繊維15の変更された量を有していてもよい。
【0057】
図3Aおよび図3Bは、本発明の開示の他の実施形態を示しており、図1Aおよび図1Bについて上述したような生理活性繊維状足場110であるが、ガラスの小球(microspheres)または粒子140を有する。ガラス粒子140は、典型的には、繊維115と同様にいくつかの一般的な組成物から形成されているが、その代わりに、他の異なる組成物から形成されてもよい。インプラント120内に粒子140が存在することの1つの利点は、インプラント120の全体的な圧縮抵抗への寄与である。インプラント120の1つの機能は、典型的には、骨の再生に供給される栄養液の吸収および保持であるので、液体が時期尚早に「絞り出される」ことのないように、インプラントに圧縮力に対するいくつかのレベルの抵抗を提供するのに有利である。粒子140(これは球体か粒子であるが)がインプラントを固くし、その他の点では主として絡まり合った繊維115から成る多孔質足場である。粒子140は、柱(pillar)として機能し、インプラント120全体に構造的な支持をもらたす。
【0058】
ガラス粒子140は、典型的にはほぼ球形であるが、他の規則的なまたは不規則な形状を有していてもよい。ガラス粒子140は典型的には寸法が変化し、およそ繊維115(より典型的には支柱119)の幅から、典型的な繊維幅を越える大きさのオーダーの直径までの範囲で変動する直径を有する。必要に応じて、粒子140はほぼ球体状から楕円体状(spheroidal)まで、または楕円形(elliptical)から不規則形状まで形状が変化してもよい。粒子140はさらに、ほぼ平坦なプレートレット(platelets)として形成してもよく、さらに、有効表面積と溶解速度とを増加するために、プレートレット(または他の形状物)は穿孔または内部空隙を有して成形されてもよい。同様に、骨細胞付着(bone cell attachmen)、粒子の塗布性(particulate coatability)等の要因に影響を与えるために、粒子140の形状を変更してもよい。
【0059】
ある実施形態では、ガラス粒子140は約20ミクロン〜約1ミリメートルの平均直径を有していてもよい。別の実施形態では、粒子140は約300〜500ミクロンの平均直径を有していてもよい。さらに別の実施形態では、ガラス粒子140は約350ミクロンの平均直径を有していてもよい。
【0060】
繊維と同様に、生体活性ガラス粒子140は、有機酸(例えばギ酸、ヒアルロン酸など)、鉱物カルシウム源(例えばリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなど)、抗菌剤、抗ウイルス剤、ビタミン、X線不透過剤(x-ray opacifiers)、または他のそのような材料によって被覆してもよい。小さい粒子は、繊維の交差点117の中または周囲にひっかかる(lodge)傾向にあり、大きい粒子は、足場120自身の名かに埋め込まれて繊維115のウェブによって適所に保持される傾向にある。細孔サイズの小球は、細孔137内にひっかかる傾向があるだろう。
【0061】
ガラス微粒子140は、所定の生理活性材料から構成されてもよく、ミネラル、骨成長培地(bone growth media)等の所定の選択を所定の速度で放出するように、足場110を体外(in vitro)に配置する所定の期間にわたって溶解するように調整することができる。生体活性ガラスの吸収速度を調整し、そしてミネラル等が身体に導入される速度(同様に、増加した圧縮抵抗を足場インプラント20に提供するためにどれくらい長く粒子140を利用可能にするか)を調節するために、ガラス微粒子140の組成、寸法、形状を変更してもよい。たとえば、所定の生体活性ガラスの組成と粒子容積において、不規則な形状の粒子140は球状の粒子140よりも広い表面積を有することになり、よってより急速に溶解するだろう。
【0062】
さらに、ガラス粒子140は、所定の速度と所定の期間で骨再成部位の周囲に放出されるべき医薬品、抗生物質、抗ウイルス剤、ビタミン等の特定の混合物で充填された生体活性ガラス、ポリマー等の中空の小球であってもよい。放出速度と放出の持続時間は、粒子サイズ、細孔と肉厚等の関数のみならず、それらの分布関数であろう。
【0063】
上述したように、骨移植材料の形状やテクスチャは、全体的な容積、表面積および柔軟性を最大にするようにランダムに構成することができ、または全く対称的に、生体活性ガラス繊維から、例えば、メッシュまたはマトリクスタイプのアセンブリなどのより固くかつ均一な配置に製造することができる。図4A〜図4Cに図示した非限定的な実施例で例示されているように、メッシュまたはマトリクスアセンブリでは、ガラス繊維は、指向的に(in a directional manner)柔軟性を制限する積層配置で配置することができ、または、繊維は、交互の層がお互いに交差する関係で層状にすることができる。図4Aでは、マトリクスアセンブリ110は、繊維115および粒子140を含む個々の層(discrete layers)を備えた秩序構成(ordered configuration)を有するように示されている。図4Bでは、マトリクスアセンブリは、繊維115および粒子140のランダム配置構成(randomly arranged configuration)を有するように示されている。図4Cでは、マトリクスアセンブリ110は、各層の全体にわたって繊維115と粒子140の間隔の違いにより、層が異なる細孔を有している構成を有するように示されている。すなわち、不均一に間隔をあけた繊維115および粒子140が原因で、細孔137の寸法はマトリクスアセンブリ全体で異なっている。本明細書の概念を図示する目的で、図4A〜図4Cは個々に整列した(discretely aligned)繊維115を示しているが、材料110の個々の層は組織化されずにランダムに配置された繊維115および粒子140を含んでいてもよいと理解されるべきである。
【0064】
本発明の開示の利点は、外科医が使用する材料の同様に変更された機能性をもたらす多種多様な代わりの構成および構造配置である。図4A〜図4Cに図示するように、本発明の開示の骨移植材料は、生体活性ガラス繊維構造体の内部に、埋め込まれた生体活性ガラス粒子を含むことができる。量、寸法、および粒子の特徴によって決定されているような粒子を内包することにより、得られた骨移植材料の圧縮性、生体吸収性および多孔性に影響を与えることができる。骨生成と患者の回復を支援するために、例えばリン酸カルシウム(CaP)、カルシウム硫酸塩(CaS)、ヒドロキシアパタイト(HA)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethycellulose:CMC)、コラーゲン、グリセリン、ゼラチンなどの追加の添加剤を、生理活性ガラス繊維の骨移植材料の変更された構造体のいずれかに含むこともできる。このような添加剤は、0〜90パーセントの多孔質であってもよい。別の添加剤、コラーゲンを含んでいてもよく、98パーセント以下の細孔を有する超多孔性の種類であってもよい。
【0065】
ある実施形態では、骨移植材料の表面積は、材料の構造的マトリクス内への骨内部成長を高めるために最大にされます。別の有用な可変(useful variable)は、選択された細胞が材料内に浸透する深さを制御する細胞フィルタとして機能するように例えばナノ、ミクロ、メゾおよびマクロ細孔などの異なる細孔の(複数の)層を提供するために、選択的に構成される(composed and configured)骨移植材料の性能である。骨移植材料の調製は、異なる断面直径、形状および/または組成を有する生体活性ガラスの繊維および/または粒子を含むように選択的に変更できるので、差動的吸収能を備えた骨移植材料を製造するために材料特性を調整することができる。この特徴により、特定の状況または患者のニーズに合わせて外科医が骨移植材料を選択することが可能になる。材料の生体活性ガラスマトリクス中への骨内部成長の早さを制御することにより、外科医は、個々の患者の特定のニーズに適した骨移植材料を選択する際に、ほぼ無制限の適応性を発揮することができます。
【0066】
別の実施形態では、生体活性ガラスは、カルシウムをストロンチウムに部分的に置き換えて処方された。カルシウムをストロンチウムに部分的な置換することにより、減少した吸収/反応速度と、さらに増加した放射線濃度または放射線不透過性(radioopacity)を有する生体活性ガラスが生成される。したがって、生体活性ガラスは、長期間にわたって体内に存在し続けて、そしてより容易に視認できるX線ターゲットも提供する。
【0067】
別の実施形態では、銀(または他の抗菌材料)を生体活性ガラス繊維足場の構造マトリクスに組み込むことができる。銀は抗菌材料であり、生体活性ガラス材料の固有の抗菌性能を高めるさせる。典型的には、非常に細い繊維が移植部位で溶解して銀がすぐに放出されるように、銀は非常に細い生体活性ガラス繊維へのドーパントとして追加されて、銀が抗菌剤として作用して手術直後の感染症を防ぐことができ、その一方、残りの足場材料は自身の仕事をこなす。代わりに、Agを繊維として導入して生体活性ガラス繊維と折り合わしても、上述のガラス粒子と類似の粒子として導入しても、またその他で導入してもよい。もちろん、アルカリ性(8〜10の高pH)ガラスを作り出すために、繊維を形成する生体活性ガラスの組成を変えることで、抗菌性能を有する材料を提供できるだろう。
【0068】
この発明の1つの利点は、動的であること、および基本的な構造と細孔とを失うことなく、様々な形状または形態に容易にモールド成形できることである。材料を機能トレイ(functional tray)内にこん包(packaging)することにより、ここでトレイはモールド型として働いて、手術室内で材料を様々な形状で提供できる。特に、材料は、血液、生理食塩水、骨髄、その他の天然の体液等を加えたときに、凝集塊(cohesive mass)になる。
【0069】
ある実施形態では、図5A〜図5Cに示すように、骨移植材料は外科キット200の一部として提供される。キット200は、凹部またはくぼみ212、より典型的には入れ子状になった凹部(nested recesses)のセットを有しており骨移植材10、110を保管し、保持し、そして操作するためのトレイ部210と、トレイ部210に封止的に嵌め込むための蓋部220とを含む。トレイ部210および蓋部220は、典型的には熱可塑性材料から形成されているが、代わりに任意の使いやすい材料から作ってもよい。
【0070】
深い凹部チャンバ212は、そこに装填された(so-loaded)骨移植材料が同様に単純な形状を有するように、典型的には、例えば矩形ブロックまたはくさび形などの単純な形状を有している。他の形状は、「動的な活性骨移植材料および取り扱い方法」の名称で2010年10月28日に出願された同時係属中で共同所有の米国特許出願第12/914376に記載されており、その開示を参照して本明細書に組み込む。
【0071】
骨移植材10、110は、典型的には、絡み合ったまたは織り合わされた生体活性ガラス繊維の塊(mass)として提供される。生体活性ガラス繊維は、骨の空洞(bony cavity)に外科的に配置する準備のできている形式(format)(例えば、織物またはメッシュ形式など)で提供されてもよく、または、生体活性ガラスの塊をより柔軟で構造的に一体(structurally unitary)にレンダリングするのを支援するために、例えば生理食塩水、グリセロール、ゼラチン、血漿、またはコラーゲンゲルもしくはチップなどの液体の添加を必要とする配置前に、追加の調製を必要とする様式(例えば、より緩い絡み合いの形式)で提供されてもよい。そのような液体は、任意でキットパッケージ200に含まれてもよく、または分離して提供されてもよい。
【0072】
ある実施例では、キット200は、トレイ本体210と、トレイ本体に嵌め込むことのできる蓋200とを含んで提供される。トレイ本体210は、生体活性ガラス繊維10の容積(volume)を含むための1つ以上の凹部212を含んでいる。生体活性ガラス繊維の容積は、織られ、編まれ、絡み合わされてもよく、または緩いスタックとして提供されてもよい。生体活性ガラス繊維の容積は、任意で、例えば抗菌性銀、ポリマー、または代わりのガラス組成物などの他の組成の繊維を含むことができ、また、任意で、粒状物質もしくは同じ生体活性ガラス組成の粒子、または例えば代わりのガラス、金属、金属酸化物、医薬品、栄養素、および/または抗菌剤等の代わりの組成を含むこともできる。キットはまた、生体活性ガラスの容積と混合するために生理食塩水またはコラーゲンゲルなどの液体を任意で含んでいてもよい。
【0073】
操作の際は、外科医はキット200の蓋220を取り除いて、含まれている生体活性ガラス材10の部分(portion)を取り外す。その後、骨の空洞に挿入するために、外科医が生体活性ガラス材料を成形し、サイズに切って(sized)もよい。所望する程度の柔軟性および/または構造的統一性(structural integrity)を達成するために、このプロセスは、例えば生理食塩水、コラーゲンゲル、血漿、血液などの適切な液体を生体活性ガラス材料に添加することを含んでもよい。生体活性ガラス材料が所望のサイズと形状に成形されたら、それを骨の空洞に挿入する。このプロセスは、単一の操作として、または一連の工程として行うことができる。
【0074】
図6A及び図6Bは、細孔径分布に基づいた骨移植材料の実施形態の容積寄与(volumetric contribution)と表面積寄与(surface area contribution)を示している。記述してきたように、ある実施形態では、インプラント20の骨移植材料は、例えばナノ、ミクロメゾ、マイクロ多孔性などの様々な多孔性を有する構造を有している。図6A及び図6Bに示すように、メソ細孔とミクロ細孔は、骨移植材料の容積の大部分に寄与するが、ナノ細孔は、骨移植材料によって提供される表面積のかなりの大部分に貢献します。つまり、所定の容積に対する高表面をより高く(higher surface higher)得るために、実施形態は、所定の容積に対して、ナノ細孔を含む細孔分布(porosity distribution)を利用してもよい。もちろん、実施形態によって、これらおよび他の特徴および利点が提供することができる。
【0075】
図7は、本発明の開示の実施形態の繊維を37℃の擬似体液に浸漬して1日後および3日後の経時顕微鏡写真であり、一方、図8は、本発明の開示の実施形態の繊維を37℃の擬似体液に浸漬して3日後の経時顕微鏡写真である。
【0076】
図9は、本発明の開示のガラス繊維足場で2日、4日および6日の培養をした骨芽細胞を示す一連の経時電子顕微鏡写真(SEMs)である。図示されているように、6日のインキュベーションの間に細胞密度が増加している。図10は、1つの足場あたり100000個のMC3T3−E1細胞を初期播種(initial seeding)して2日、4日および6日の図9のガラス繊維足場で示された骨芽細胞の増殖のグラフを示している。図11は、間葉幹細胞(mesenchymal stem cells)が播種された繊維の顕微鏡写真を示す。このような細胞は、骨芽細胞の増殖と分化の骨刺激効果を支援することができる。この効果は、DNA含有量の測定と、オステオカルシンおよびアルカリホスファターゼの濃度レベルの上昇した存在とに基づいて測定することができる。
【0077】
<比較動物実験>
図12〜図14は、本発明の開示の繊維性骨移植材料の実施形態の哺乳動物(具体的にはこのケースではウサギ)での試験の結果を示す。試験では、直径約5mm、長さ10mmの大きさを有する両側大腿骨遠位欠損(bilateral distal femoral bone defect)を作成した。本開示の骨移植材料の実施形態に加えて、この比較研究において、市販の骨移植代用品のプロダクト#1(Product #1)も共に試験を行った。プロダクト#1は、ケイ酸塩の代用骨移植材料(マサチューセッツ州フォックスボローのApaTech社から入手可能なACTIFUSE(商標))である。研究中に、本発明の開示の骨移植材料は、従来の合成骨移植材料を用いたときに比べて、より動的な骨成長反応(bone growth response)を誘い(solicit)、より生理的な骨の治癒とリモデリングをもたらすことが観察された。6ヵ月の時点で、手術部位での骨リモデリングの証拠と共に、基材の大部分は吸収された。さらに、骨組織は周囲の骨と一体化したように見えた。
【0078】
この研究から、図12は、骨移植材料の実施形態とプロダクト1との性能を6週、12週、24週で比較して行われた試験からの一連のX線画像を示している。
【0079】
図13は、比較研究中において、骨移植材料の実施形態とプロダクトの中の6週、12週および24週後の新生骨の存在のパーセンテージ(割合)のグラフでの比較を示している。
【0080】
図14は、比較研究中において、骨移植材料の実施形態とプロダクト1の中の6週、12週および24週後の残留材料のパーセンテージ(割合)のグラフでの比較を示している。
【0081】
以下の表1は、本開示の繊維状材料とプロダクト1についての6週、12週および24週での平均最大圧縮強度(average ultimate compressive strength)(重量ポンド:ibf)と、平均最大圧縮応力(average ultimate compressive stress)(重量ポンド毎平方インチ:psi)を、手術していない天然骨と比較して示している。見てわかるように、試験された骨移植材料の実施形態は、プロダクト1よりも天然骨によく似た機械的性質を示している。
【0082】
【表1】
【0083】
さらに、6週、12週および24週での組織学的評価では、新生骨の成長は、プロダクト1を用いるよりも骨移植の実施形態の中でより正常であるように見えた。たとえば、新生骨の成長量が骨移植の実施形態とプロダクト1との両方で同じだった場合でも、成長の質が異なっていた。骨移植の実施形態では、マイクロファイバは完全に吸収されて、生理的負荷に適応するためにリモデリングが始まっていた正常で健康な骨に置き換わる。また、骨移植の実施形態は、全体にわたって均一で良好に分散した細胞増殖を示した。製品1は、骨沈着に類似の局所的な成長を示した。24週間または6ヵ月の時点で、プロダクト1の骨沈着は、線維組織の成長に分解されてしまったように見えた。逆に、24週または6ヵ月の時点で、骨移植の実施形態の残っている繊維のほぼ全てが新しい細胞で覆われており、そして形成された新しい血管の証拠があった。言い換えれば、健康な骨の正常な構造は、骨移植の実施形態の中にすでに現れている。したがって、組織学的なイメージは、この時点ですでに発生していると考えられている骨のリモデリングを支持している。
【0084】
本発明の開示の骨移植材は、骨移植に使用するために記述されているが、本発明の開示の移植材料はまた、軟組織や軟骨の修復にも同様に適用できると考えられる。したがって、本明細書で提供される繊維状移植材料の用途は、さまざまな医療用途、特に新しい結合組織の形成が望まれている場合を含むことができる。
【0085】
本発明の開示は、図面と上記記載において詳細に図示および説明してきたが、それらは実例であって制限的な性質のものではないと見なされるべきである。実施形態は、ベストモード要件および実施可能要件を満足するように上記明細書で図示され説明されていると理解される。当業者はほぼ無限の数のわずかな変化および変更を上記の実施形態に容易に行えること、およびそのような実施形態のバリエーションの全てを本明細書中で説明しようとするのは現実的ではないことが理解される。従って、本発明の開示の精神内にある全ての変化および変更は保護されることが望まれていると理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植に望ましい形状に成形可能な多孔質母材の中に配置された生体活性ガラス繊維を含む骨移植材料であって、
前記骨移植材料は添加剤を実質的に含まず、少なくとも1つの前記繊維がナノファイバであることを特徴とする骨移植材料。
【請求項2】
前記多孔質母材は粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項3】
前記多孔質母材は少なくともナノ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項4】
前記多孔質母材は少なくともミクロ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項5】
前記多孔質母材は少なくともメソ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項6】
前記多孔質母材は少なくともマクロ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項7】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔から成る群から選択される少なくとも2つの細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項8】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔から成る群から選択される少なくとも2つの細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項9】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔から成る群から選択される少なくとも3つの細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項10】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項11】
前記多孔質母材は、移植のために成形する前に、少なくとも95%の細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項12】
前記多孔質母材は、移植のために成形した後に、少なくとも80%の細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項13】
重なって絡まり合った複数の生体活性ガラス繊維を含み且つ前記生体活性ガラス繊維内に提供された様々な細孔に基づく分散細孔を有して成る母材、を含む骨移植インプラントであって、前記分散細孔はマクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含み、前記母材は患者に移植するための所望の形状に形成可能であることを特徴とする骨移植インプラント。
【請求項14】
前記分散細孔はナノ細孔をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項15】
前記分散細孔は、前記ガラス繊維に加えて前記母材の全体に分散した複数の粒子に基づいていることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項16】
前記粒子は、追加の複数の細孔を前記分散細孔に提供する穿孔を備えた内腔を含むことを特徴とする請求項15に記載の骨移植インプラント。
【請求項17】
ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔の組合せは、前記母材を横切る勾配に基づいて分散されていることを特徴とする請求項14に記載の骨移植インプラント。
【請求項18】
細孔の前記勾配は、前記骨移植インプラントの一部分の吸収に対して可変的に影響を与えるように構成されることを特徴とする請求項13に記載の骨移植インプラント。
【請求項19】
前記母材は、少なくとも30%の細孔を備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項20】
前記母材は、前記望ましい形状に成形する前に、少なくとも95%の細孔を備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項21】
前記母材は、前記望ましい形状に成形した後に、少なくとも80%の細孔を備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項1】
移植に望ましい形状に成形可能な多孔質母材の中に配置された生体活性ガラス繊維を含む骨移植材料であって、
前記骨移植材料は添加剤を実質的に含まず、少なくとも1つの前記繊維がナノファイバであることを特徴とする骨移植材料。
【請求項2】
前記多孔質母材は粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項3】
前記多孔質母材は少なくともナノ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項4】
前記多孔質母材は少なくともミクロ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項5】
前記多孔質母材は少なくともメソ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項6】
前記多孔質母材は少なくともマクロ細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項7】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔から成る群から選択される少なくとも2つの細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項8】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔から成る群から選択される少なくとも2つの細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項9】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔から成る群から選択される少なくとも3つの細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項10】
前記多孔質母材は、ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項11】
前記多孔質母材は、移植のために成形する前に、少なくとも95%の細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項12】
前記多孔質母材は、移植のために成形した後に、少なくとも80%の細孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植材料。
【請求項13】
重なって絡まり合った複数の生体活性ガラス繊維を含み且つ前記生体活性ガラス繊維内に提供された様々な細孔に基づく分散細孔を有して成る母材、を含む骨移植インプラントであって、前記分散細孔はマクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔を含み、前記母材は患者に移植するための所望の形状に形成可能であることを特徴とする骨移植インプラント。
【請求項14】
前記分散細孔はナノ細孔をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項15】
前記分散細孔は、前記ガラス繊維に加えて前記母材の全体に分散した複数の粒子に基づいていることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項16】
前記粒子は、追加の複数の細孔を前記分散細孔に提供する穿孔を備えた内腔を含むことを特徴とする請求項15に記載の骨移植インプラント。
【請求項17】
ナノ細孔、マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔の組合せは、前記母材を横切る勾配に基づいて分散されていることを特徴とする請求項14に記載の骨移植インプラント。
【請求項18】
細孔の前記勾配は、前記骨移植インプラントの一部分の吸収に対して可変的に影響を与えるように構成されることを特徴とする請求項13に記載の骨移植インプラント。
【請求項19】
前記母材は、少なくとも30%の細孔を備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項20】
前記母材は、前記望ましい形状に成形する前に、少なくとも95%の細孔を備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【請求項21】
前記母材は、前記望ましい形状に成形した後に、少なくとも80%の細孔を備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の骨移植インプラント。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−509260(P2013−509260A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537071(P2012−537071)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054535
【国際公開番号】WO2011/053719
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512112703)プロシディアン・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】PROSIDYAN,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054535
【国際公開番号】WO2011/053719
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512112703)プロシディアン・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】PROSIDYAN,INC.
【Fターム(参考)】
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