説明

人工股関節用カップおよびそれを用いた人工股関節

【課題】ライナーがシェルから脱転するのを抑制することができるとともに、製造が容易である人工股関節用カップおよびそれを用いた人工股関節を提供すること。
【解決手段】ライナー10およびシェル20を備え、ライナー10の外周面はライナーテーパ面14を有し、シェル20の内周面はシェルテーパ面24を有し、各テーパ面14,24は互いに異なるテーパ角度を有し、シェルテーパ面24は、ライナーテーパ面14が最初に当接する一端25側から他端26側に向かうにつれて面粗さが小さくなるように粗面化されている人工股関節用カップ2と、人工股関節用カップ2を備える人工股関節とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寛骨の臼蓋に固定される人工股関節用カップと、それを用いた人工股関節に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、疾患や事故等で機能が低下した股関節の機能を回復させるために、股関節を人工のものに置換する人工股関節置換術が行われている。人工股関節は、寛骨の臼蓋に固定される人工股関節用カップ(以下、「カップ」と言うことがある。)と、大腿骨に固定されるステムと、ステムのステムネック部に嵌合される略球状の人工骨頭と、を備えている。カップは、人工骨頭を摺動可能に収容するカップ状のライナーと、このライナーを収容するカップ状のシェルと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ライナーに相当する挿入体が、シェルに相当する支持部材の内室に円すい形クランプ部を介して固定される人工関節補正具が記載されている。円すい形クランプ部は、人工関節補正具の開口部側に位置している区域で、挿入体のクランプ面を、支持部材のクランプ面に密着させることによって形成されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている人工関節補正具は、挿入体および支持部材の各々のクランプ面の角度が異なっているので、クランプ面同士の接触面積が小さい。そのため、特許文献1に記載されている人工関節補正具には、挿入体と支持部材との嵌合力が十分ではなく、挿入体が支持部材から脱転し易いという問題がある。
【0005】
挿入体および支持部材の各々のクランプ面の角度を同じにすれば、互いのクランプ面同士が全面で当接するようになり、その結果、嵌合力が向上して脱転を抑制することができるとも考えられる。
しかし、挿入体および支持部材の各々のクランプ面を同じ角度に成形するのは容易ではなく、コストが高くなるとともに、歩留りも低下し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4041190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ライナーがシェルから脱転するのを抑制することができるとともに、製造が容易である人工股関節用カップおよびそれを用いた人工股関節を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)人工骨頭を摺動可能に収容するカップ状のライナーと、該ライナーを収容するカップ状のシェルと、を備える人工股関節用カップであって、前記ライナーの外周面は、該ライナーの開口部側に位置しているライナーテーパ面を有し、前記シェルの内周面は、該シェルの開口部側に位置しているとともに、前記ライナーテーパ面とテーパ嵌合可能なシェルテーパ面を有し、前記ライナーテーパ面およびシェルテーパ面は、互いに異なるテーパ角度を有し、前記シェルテーパ面は、前記ライナーテーパ面とテーパ嵌合するとき、ライナーテーパ面が最初に当接する一端側から他端側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されていることを特徴とする人工股関節用カップ。
(2)前記シェルテーパ面は、前記ライナーテーパ面よりも低硬度である前記(1)記載の人工股関節用カップ。
(3)前記シェルテーパ面は、前記ライナーテーパ面よりもテーパ角度が小さく、かつシェルの開口部側に位置している一端側から、シェルの開口部から離隔する側に位置している他端側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されている前記(1)または(2)記載の人工股関節用カップ。
(4)前記シェルテーパ面は、前記ライナーテーパ面よりもテーパ角度が大きく、かつシェルの開口部から離隔する側に位置している一端側から、シェルの開口部側に位置している他端側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されている前記(1)または(2)記載の人工股関節用カップ。
(5)前記シェルテーパ面の面粗さを構成する複数の凹凸のうち、前記シェルテーパ面の一端側に位置している凹部の底部と、前記シェルテーパ面の他端側に位置している凹部の底部とを結ぶ直線と、前記シェルの中心軸に平行な直線とのなす角度が、前記ライナーテーパ面のテーパ角度と略同じである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の人工股関節用カップ。
(6)前記シェルテーパ面の長さが、前記ライナーテーパ面の長さと略同じである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の人工股関節用カップ。
(7)前記ライナーがセラミックスからなり、前記シェルが金属からなる前記(1)〜(6)のいずれかに記載の人工股関節用カップ。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の人工股関節用カップと、大腿骨に固定されるステムと、該ステムのステムネック部に嵌合され、かつ前記ライナーに摺動可能に収容される人工骨頭と、を備えることを特徴とする人工股関節。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ライナーをシェルに強固に嵌合固定させて、ライナーがシェルから脱転するのを抑制することができるという効果がある。しかも、ライナーおよびシェルの各々のテーパ面におけるテーパ角度を同じにする必要がなく、それゆえ低いコストで歩留りよく容易に製造できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る人工股関節を示す部分拡大断面図である。
【図2】図1に示す人工股関節用カップを示す概略説明図である。
【図3】図1に示すライナーを示す拡大断面図である。
【図4】図1に示すシェルを示す拡大断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る人工股関節用カップを示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る人工股関節用カップおよび人工股関節について、図1〜図4を参照して詳細に説明する。図1および図2に示すように、本実施形態の人工股関節1は、寛骨100の臼蓋101に固定されている人工股関節用カップ2と、大腿骨102に固定されているステム4と、ステム4の一端4a、すなわちステムネック部に嵌合されている略球状の人工骨頭3と、を備えている。
【0012】
カップ2は、人工骨頭3を摺動可能に収容しているライナー10と、ライナー10を収容しているシェル20と、を備えている。
【0013】
ライナー10は、図3に示すように、カップ状の形状を有しており、略半球状の内周面11と、略半球状の外周面12と、開口部13と、を有している。ライナー10は、内周面11に人工骨頭3を摺動可能に収容し、外周面12を介してシェル20に収容される。
【0014】
内周面11の縁部11aは、曲面状に構成されている。これにより、内周面11に収容される人工骨頭3の表面に、傷が付くのを抑制することができる。外周面12は、滑らかな面で構成されているのが好ましい。これにより、後述するライナーテーパ面14とシェルテーパ面24とがスムーズにテーパ嵌合され易くなり、かつシェル20と接触したときに応力が集中して破壊されるのを抑制することができる。外周面12の縁部12aは、斜面状に構成されている。これにより、シェル20に収容される際の衝撃で外周面12の縁部12aが欠損するのを抑制することができる。なお、縁部12aは、曲面状に構成されていてもよい。
【0015】
外周面12は、開口部13側に位置しているライナーテーパ面14を有している。ライナーテーパ面14は、開口部13側の外周面12の全周にわたって位置しており、外周面12の縁部12aに向かうにつれて、大径になるようにテーパ状に形成されている。
【0016】
ライナーテーパ面14は、テーパ角度θ1を有している。本明細書において「テーパ角度θ1」とは、ライナー10の中心軸S1に平行な直線L1と、ライナーテーパ面14またはライナーテーパ面14の仮想延長線L2とのなす角度をいう。テーパ角度θ1としては、5〜15°程度が適当である。テーパ角度θ1があまり小さいと、シェル20の外径およびライナー10の内径が一定の場合には、ライナー10の厚みが薄くなるので、ライナー10の強度が低下してライナー10が破壊されるおそれがある。テーパ角度θ1があまり大きいと、ライナー10とシェル20との嵌合力が低くなるおそれがある。
【0017】
一方、シェル20は、図4に示すように、カップ状の形状を有しており、略半球状の内周面21と、略半球状の外周面22と、開口部23と、を有している。シェル20は、内周面21にライナー10を収容し、外周面22を介して臼蓋101に固定される。シェル20は、骨セメントを用いて臼蓋101に固定されていてもよいし、外周面22を粗面化し、粗面化された外周面22と骨組織との結合力によって臼蓋101に固定されていてもよい。
【0018】
外周面22の縁部22aは、曲面状に構成されている。これにより、臼蓋101に固定する際の衝撃で外周面22の縁部22aが欠損するのを抑制することができる。
【0019】
内周面21は、開口部23側に位置しているとともに、上述したライナーテーパ面14とテーパ嵌合可能なシェルテーパ面24を有している。シェルテーパ面24は、開口部23側の内周面21の全周にわたって位置しており、内周面21の縁部21aに向かうにつれて、大径になるようにテーパ状に形成されている。
【0020】
シェルテーパ面24は、テーパ角度θ2を有している。本明細書において「テーパ角度θ2」とは、シェル20の中心軸S2に平行な直線L3と、シェルテーパ面24またはシェルテーパ面24の仮想延長線L4とのなす角度をいう。テーパ角度θ2としては、5〜15°程度が適当である。テーパ角度θ2があまり小さいと、シェル20の外径およびライナー10の内径が一定の場合には、ライナー10の厚みが薄くなるので、ライナー10の強度が低下してライナー10が破壊されるおそれがある。テーパ角度θ2があまり大きいと、ライナー10とシェル20との嵌合力が低くなるおそれがある。
【0021】
ここで、上述したテーパ角度θ1,θ2は、低いコストで歩留りよく容易に製造する上で、互いに異なる角度を有している。テーパ角度θ1とテーパ角度θ2との差は、シェルテーパ面24にライナーテーパ面14をテーパ嵌合できる限り、特に限定されないが、絶対値で0.01〜0.4°程度が適当である。
【0022】
本実施形態では、図2に示すように、シェルテーパ面24のテーパ角度θ2が、ライナーテーパ面14のテーパ角度θ1よりも小さくなるように構成されている。すなわち、テーパ角度θ1,θ2は、テーパ角度θ1>テーパ角度θ2の関係を有している。したがって、シェルテーパ面24にライナーテーパ面14をテーパ嵌合させるとき、シェルテーパ面24の開口部23側に位置している一端25側に、ライナーテーパ面14が最初に当接することになる。
【0023】
シェルテーパ面24は、ライナーテーパ面14が最初に当接する一端25側から、シェルテーパ面24の開口部23から離隔する側に位置している他端26側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されている。そして、シェルテーパ面24は、ライナーテーパ面14よりも低硬度に構成されている。したがって、シェルテーパ面24にライナーテーパ面14をテーパ嵌合させると、シェルテーパ面24のうち面粗さの大きい領域が、ライナーテーパ面14から受ける外方に向かう力によって押しつぶされる。その結果、シェルテーパ面24とライナーテーパ面14との嵌合面積が大きくなり、それに伴ってライナー10とシェル20との嵌合力が向上し、それゆえライナー10がシェル20に強固に嵌合固定され、ライナー10がシェル20から脱転し難くなる。
【0024】
シェルテーパ面24の粗面化は、例えば切削加工等によって行うことができる。本明細書において「面粗さ」とは、最大高さ粗さ(Rz)をいう。最大高さ粗さ(Rz)は、例えばJIS B 0601−2001に準拠してMitutoyo社製の表面性状測定機「SV−C3100」等を用いて測定することができる。
【0025】
粗面化されているシェルテーパ面24のうち、最大面粗さとしては、最大高さ粗さ(Rz)で表して5〜25μmであるのが好ましく、10〜20μmであるのがより好ましい。最大面粗さがあまり大きいと、シェルテーパ面24にライナーテーパ面14をテーパ嵌合させたときに、シェルテーパ面24の面粗さの大きい領域が十分に押しつぶされず、シェルテーパ面24とライナーテーパ面14との嵌合安定性が低下するおそれがあるので好ましくない。最大面粗さがあまり小さいと、下記で説明する最小面粗さとの差が小さくなり、シェルテーパ面24を粗面化することによる効果が得られ難くなるので好ましくない。
【0026】
粗面化されているシェルテーパ面24のうち、最小面粗さとしては、最大高さ粗さ(Rz)で表して0.5〜10μmであるのが好ましく、1〜7μmであるのがより好ましい。最小面粗さがあまり大きいと、最大面粗さとの差が小さくなり、シェルテーパ面24を粗面化することによる効果が得られ難くなるので好ましくない。最小面粗さがあまり小さいと、例えば切削加工によってシェルテーパ面24を粗面化する場合には、切削加工性が低下するので好ましくない。
【0027】
シェルテーパ面24の面粗さを構成する複数の凹凸のうち、シェルテーパ面24の一端25側に位置している凹部の底部と、シェルテーパ面24の他端26側に位置している凹部の底部とを結ぶ直線L5と、シェル20の中心軸S2に平行な直線L3とのなす角度θ3は、ライナーテーパ面14のテーパ角度θ1と略同じである。これにより、シェルテーパ面24にライナーテーパ面14をテーパ嵌合させて、シェルテーパ面24の面粗さの大きい領域が押しつぶされると、シェルテーパ面24のテーパ角度θ2が角度θ3に近づくようになる。その結果、シェルテーパ面24のテーパ角度θ2と、ライナーテーパ面14のテーパ角度θ1との差が小さくなり、シェルテーパ面24とライナーテーパ面14との嵌合面積が大きくなるので、ライナー10がシェル20に強固に嵌合固定される。
【0028】
シェルテーパ面24の長さは、ライナーテーパ面14の長さと略同じである。これにより、シェルテーパ面24とライナーテーパ面14との嵌合面積を大きくすることができ、それゆえライナー10がシェル20に強固に嵌合固定される。本明細書において「シェルテーパ面24の長さ」とは、シェルテーパ面24のうち、シェル20の中心軸S2に沿う方向における寸法をいう。本明細書において「ライナーテーパ面14の長さ」とは、ライナーテーパ面14のうち、ライナー10の中心軸S1に沿う方向における寸法をいう。
【0029】
ライナー10はセラミックスからなり、シェル20は金属からなるのが好ましい。これにより、シェルテーパ面24を、ライナーテーパ面14よりも低硬度に構成することができる。セラミックスとしては、例えばアルミナ、ジルコニア等が挙げられ、金属としては、例えばチタン、チタン合金、コバルト−クロム合金等が挙げられる。なお、ライナー10,シェル20の各々の構成材料は、シェルテーパ面24をライナーテーパ面14よりも低硬度に構成できる限り、特に限定されるものではなく、上述した組み合わせに限定されるものでもない。
【0030】
一方、ステム4は、湾曲した略棒状の形状を有しており、その構成材料としては、例えばチタン合金、コバルト−クロム合金等が挙げられる。ステム4は、ステムネック部である一端4aが人工骨頭3に形成されている凹部3aに挿入されて人工骨頭3に嵌合され、他端4bが大腿骨102に挿入固定されている。他端4bは、骨セメントを用いて大腿骨102に固定されていてもよいし、他端4bの表面を粗面化し、粗面化された他端4bの表面と骨組織との結合力によって大腿骨102に固定されていてもよい。人工骨頭3の構成材料としては、例えばコバルト−クロム合金等の金属、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス等が挙げられる。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態に係る人工股関節用カップについて、図5を参照して詳細に説明する。なお、図5においては、上述した図1〜図4と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0032】
本実施形態のカップ2’は、図5に示すように、シェルテーパ面24’のテーパ角度θ2が、ライナーテーパ面14’のテーパ角度θ1よりも大きくなるように構成されている。すなわち、テーパ角度θ1,θ2は、上述した一実施形態のカップ2とは逆の、テーパ角度θ1<テーパ角度θ2の関係を有している。したがって、シェルテーパ面24’にライナーテーパ面14’をテーパ嵌合させるとき、シェルテーパ面24’の開口部23’から離隔する側に位置している一端27側に、ライナーテーパ面14’が最初に当接することになる。
【0033】
シェルテーパ面24’は、ライナーテーパ面14’が最初に当接する一端27側から、開口部23’側に位置している他端28側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されている。そして、シェルテーパ面24’は、ライナーテーパ面14’よりも低硬度に構成されている。したがって、シェルテーパ面24’にライナーテーパ面14’をテーパ嵌合させると、シェルテーパ面24’のうち面粗さの大きい領域が、ライナーテーパ面14’から受ける外方に向かう力によって押しつぶされる。その結果、シェルテーパ面24’とライナーテーパ面14’との嵌合面積が大きくなり、それに伴ってライナー10’とシェル20’との嵌合力が向上し、それゆえライナー10’がシェル20’に強固に嵌合固定され、ライナー10’がシェル20’から脱転し難くなる。その他の構成は、上述した一実施形態のカップ2と同様であるので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0034】
1 人工股関節
2 人工股関節用カップ
3 人工骨頭
4 ステム
4a,25,27 一端
4b,26,28 他端
10 ライナー
11,21 内周面
11a,12a,21a,22a 縁部
12,22 外周面
13,23 開口部
14 ライナーテーパ面
20 シェル
24 シェルテーパ面
100 寛骨
101 臼蓋
102 大腿骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工骨頭を摺動可能に収容するカップ状のライナーと、
該ライナーを収容するカップ状のシェルと、
を備える人工股関節用カップであって、
前記ライナーの外周面は、該ライナーの開口部側に位置しているライナーテーパ面を有し、
前記シェルの内周面は、該シェルの開口部側に位置しているとともに、前記ライナーテーパ面とテーパ嵌合可能なシェルテーパ面を有し、
前記ライナーテーパ面およびシェルテーパ面は、互いに異なるテーパ角度を有し、
前記シェルテーパ面は、
前記ライナーテーパ面とテーパ嵌合するとき、ライナーテーパ面が最初に当接する一端側から他端側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されていることを特徴とする人工股関節用カップ。
【請求項2】
前記シェルテーパ面は、前記ライナーテーパ面よりも低硬度である請求項1記載の人工股関節用カップ。
【請求項3】
前記シェルテーパ面は、
前記ライナーテーパ面よりもテーパ角度が小さく、
かつシェルの開口部側に位置している一端側から、シェルの開口部から離隔する側に位置している他端側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されている請求項1または2記載の人工股関節用カップ。
【請求項4】
前記シェルテーパ面は、
前記ライナーテーパ面よりもテーパ角度が大きく、
かつシェルの開口部から離隔する側に位置している一端側から、シェルの開口部側に位置している他端側に向かうにつれて、面粗さが小さくなるように粗面化されている請求項1または2記載の人工股関節用カップ。
【請求項5】
前記シェルテーパ面の面粗さを構成する複数の凹凸のうち、前記シェルテーパ面の一端側に位置している凹部の底部と、前記シェルテーパ面の他端側に位置している凹部の底部とを結ぶ直線と、
前記シェルの中心軸に平行な直線とのなす角度が、
前記ライナーテーパ面のテーパ角度と略同じである請求項1〜4のいずれかに記載の人工股関節用カップ。
【請求項6】
前記シェルテーパ面の長さが、前記ライナーテーパ面の長さと略同じである請求項1〜5のいずれかに記載の人工股関節用カップ。
【請求項7】
前記ライナーがセラミックスからなり、前記シェルが金属からなる請求項1〜6のいずれかに記載の人工股関節用カップ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の人工股関節用カップと、
大腿骨に固定されるステムと、
該ステムのステムネック部に嵌合され、かつ前記ライナーに摺動可能に収容される人工骨頭と、
を備えることを特徴とする人工股関節。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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