説明

人工衛星の光学器械の防護装置

【課題】人工衛星の光学器械の防護装置を提供する。
【解決手段】光学器械が搭載された本体を含む人工衛星の、光学器械を防護するための装置に関し、前記防護装置が折り畳まれた位置及び展開された位置を有し、それが展開された位置において複数の剛性パネル202、203を備え、本装置が光学器械を防護するように配置された、その断面が多角形のパイプを形成し、パイプの縦軸が光学器械の焦点軸に実質的に平行であり、多角形断面のパイプの複数の面が折り畳まれた位置においてパネル202、203により形成され、前記パネル202、203が衛星の本体に対して保持されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工衛星の光学器械を防護する装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの鏡を有する人工衛星の光学器械は、この鏡の表面への直達日射入力に対して防護される必要がある。その防護手段は光学的妨害を回避し、焦点面近傍の温度調節を可能にする。この防護は器械の光学効率を確保する。
【0003】
これらの器械は打ち上げロケットによって軌道に置かれる人工衛星に搭載される。打ち上げロケットのノーズコーン下部に割り当てられる小さい容積のため、光学器械の前方に配置される固定した防護装置を持つことは不可能である。従って、飛行において作動段階の前にこの防護部を展開することが必要である。
【0004】
大きな構造物を展開する場合に遭遇する技術的問題は、主として次の通りである。
【0005】
格納された構成において、宇宙船の打ち上げに起因する機械的応力及び熱応力にも関わらず、この構造物を格納し、折り畳まれた構成においてこの構造物の完全性(とりわけ非常に壊れやすい熱的保護要素が劣化しないこと)を維持するための制約された容積。
【0006】
展開中において、展開の最後における衝撃を避けるための、運動学及び速度調節に関する展開の制御。
【0007】
展開された構成において、宇宙船の操縦性を保証するための、飛行中の安定性と剛性の確保、及び太陽光の入射が制限されること、および視界が邪魔されないことを確実にするための、構造物の正しい位置決めの確保。
【0008】
図1は、先行技術による人工衛星の光学器械を防護する装置を表わす。この装置は、人工衛星100から一定の距離に位置する平らな太陽遮蔽板101を備える。平らな遮蔽板を使用するために、一定の任務においては、大型の回転する要素(太陽遮蔽板)を必要とする。この解決策もまた、信頼性の問題、AOCS(Attitude Orbit Control System=姿勢軌道制御システム)妨害の問題、光学測定における妨害の問題、及び使用される機械要素に起因する寿命の問題を齎す。
【0009】
さらに、一定期間中の太陽光の入射を避けるため、太陽遮蔽板の追加的旋回台が必要であり、それはこの種類の解決策の複雑さを更に増大させる。
【0010】
従って、光線の閉じた防護がより効果的な解決策であり、それは作動段階に亘って何の運動も伴わないためである。
【0011】
この種類の包み込む防護を生み出すために、フレキシブルな素地を保持し位置決めするための展開可能な保持構造に基づく、多くの技術を用いることが可能である。
【0012】
この保持構造は膨張が可能であり、飛行中に剛性を持たせ得るが、計算によるモデル化が困難で、試験するのに複雑であるため、その展開制御は複雑となる。さらに、剛性化する方法は不可逆的であり、それゆえ飛行を目的とするモデルを地上で試験することができない。
【0013】
断熱シートから成るフレキシブルな円筒形の鞘の使用に基づく、フレキシブルな防護装置が既に知られている。この要素は格納段階の間はそれ自体が折り畳まれており、次に展開されて張力を与えられる。この解決策は多くの欠点を示す。第一に、格納時には、断熱の緩衝物を形成する膜の劣化を回避するのが困難である。それらは非常に壊れやすく機械的応力に敏感である。劣化した膜は展開状態において粒子を生じて測定器の上へ散乱させ、その光学効率を低下させる。さらに、コンパクトな格納を得るため、フレキシブルな要素は折り畳まれる必要があり、この折り畳みは一般に不可逆的で、膜を脆化させる影響を及ぼす。最後に、展開される部品要素の量と、可動構成要素の量と、構成要素間の摩擦の量は、展開の計算を困難にし、再現を難しくする。その結果、良好な最終的位置決めを確実にするための、フレキシブルな要素への張力の付与時に要するエネルギーが過大に見積もられ、それは一定の構成要素及び膜に対する劣化を生じさせ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、衛星が打ち上げロケットのノーズコーンの下部に取り付けられることを可能にするために、格納位置において十分コンパクトで、制御され調節された展開を可能にし、一旦展開されると、散在する太陽光線の入射に対する効果的な防護を提供し、衛星の制御を可能にする十分な剛性を有する、衛星の光学器械を防護するための装置を提案することにより、上述の問題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明の主題は、光学器械が搭載された本体(201)を含む人工衛星の光学器械を防護するための装置であって、前記防護装置が折り畳まれた位置及び展開された位置を有し、それが展開された位置において複数の剛性パネル(202、203)を備え、本装置が光学器械を防護するように配置された、断面が多角形のパイプを形成し、パイプの縦軸(220)が光学器械の焦点軸に実質的に平行であり、多角形断面のパイプの複数の面が折り畳まれた位置においてパネル(202、203)により形成され、前記パネル(202、203)が衛星の本体に対して保持されていることを特徴とする。
【0016】
有利には、1つの面は少なくとも1つの第一段を有し、1つの段は、第一パネル及び第二パネルを備え、第一段の第一パネルは第一の継手により衛星の本体に繋がれ、第二パネルは第二の継手により第一パネルに繋がれ、装置が一段のみを有する場合は第一段が最終段と呼ばれる。
【0017】
有利には、防護装置は少なくとも1つの追加段を備え、追加段の第一パネルは隣の段の第二パネルに繋がれ、本体から最も遠い段が最終段と呼ばれる。
【0018】
有利には、防護装置はパネルを折り畳まれた位置において保持する手段もまた備える。
【0019】
有利には、光学器械は主鏡を備え、本装置は主鏡に向けて光を反射するように、最終段の第二パネルへと固定された副次的な光学要素もまた備える。
【0020】
有利には、防護装置は展開可能な構造の継手配列のレベルにおいて固定された太陽発電機もまた備える。
【0021】
有利には、パネルは中実である。
【0022】
有利には、パネルは張力をかけられた膜がその上に固定されている剛体フレームを含む。
【0023】
有利には、防護パネルはそれらの表面上に直接位置する能動及び受動制御要素を含み、本装置は温度調節機能を備える。
【0024】
有利には、防護装置は継手配列のレベルにおいて固定された展開可能なラジエータを含む。
【0025】
有利には、防護装置は展開の最後にパネルを保持するための周辺的ロック手段を含む。
【0026】
本発明は、全ての展開パラメータを全体的に制御するように、剛性要素を用いる。これらの剛性要素は、複合ハニカムタイプの一様なパネル、又はフレキシブルな膜がその上で張られている剛性フレームの一様なパネルで構成され得る。折り畳まれた位置において、本発明による装置は、打ち上げロケットのノーズコーン内に収容されるのに十分な程コンパクトである。
【0027】
本装置の展開は、調節され、同期化され又は順序付けられ、それゆえ制御され得る。展開の動力学はモデル化でき、そして試験による相関は実現可能である。展開は地上で行なうことができ、飛行状態において再現可能である。
【0028】
太陽光の入射は、相互に重なる各パネルの要素から成る邪魔板により「ブロック」される。また、展開可能な構造を覆うような同じ熱的素地から成る縁部のシールにより遊隙が完全に制御され再現可能であるため、光密性もまた生み出すことができる。
【0029】
また、一定のパネル上に太陽電池、又は別の任意の(能動又は受動)熱調節要素を組み込むこともまた可能である。
【0030】
太陽発電機又はラジエータのような一定のパネルに対して、展開可能な要素を組み込むこともまた可能である。
【0031】
本発明は、制限されない例として与えられている詳細記述を読むことにより、そして図の助けでより良く理解され、他の利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】先行技術による防護装置を表わす。
【図2a】本発明による防護装置の第一の実施例を表わす。
【図2b】本発明による防護装置の第一の実施例を表わす。
【図2c】本発明による防護装置の第一の実施例を表わす。
【図2d】本発明による防護装置の第一の実施例を表わす。
【図3】本発明による防護装置の第一の実施例における、パネルを折り畳まれた位置及び展開された位置に保持する手段の位置決めを表わす。
【図4】パネルを一緒に繋ぐための例示的継手を表わす。
【図5】2つのパネル段を備える、本発明による防護装置の第一の変形実施形態を表わす。
【図6】副次的な光学的部分を備えた、本発明による防護装置の第二の変形実施形態を表わす。
【図7】太陽発電機を備えた、本発明による防護装置の第三の変形実施形態を表わす。
【図8】展開可能なラジエータを備えた、本発明による防護装置の第四の変形実施形態を表わす。
【図9a】ロック装置を備えた、本発明による防護装置の第五の変形実施形態を表わす。
【図9b】ロック装置を備えた、本発明による防護装置の第五の変形実施形態を表わす。
【図9c】ロック装置を備えた、本発明による防護装置の第五の変形実施形態を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の解決策は、その技術的特性が完全に既知であり、制御され、そして再現可能な剛性要素を使用する。この解決策は、長さが数十mにも達し得る展開可能な多角形の形状の装置をコンパクトに、及び剛性を伴って格納できるようにする。
【0034】
本装置は、展開された構成において多角形のパイプを形成する、継手で結合されたパネルを含む。この形態を得るために、多角形の各々の面はそれ自体で動力化された継手によって一緒に繋がれたパネルの部分組立品で構成され、各部分組立品はその基礎部において根元の接合部の継手により衛星に繋がれ、そして別の部分組立品に対してその反対側端部において繋がれ、同様に、場合によっては周辺的なロックシステムにより繋がれる。端部及び周辺部におけるこれらの結合は、閉じた構造を得ることを可能にし、それゆえ組立品の全体剛性を確保する。
【0035】
潜在的に、この構造は動力化された継手のグループによって閉じられているため、全ての構造の展開速度を、邪魔板の根元接合部に位置する単一の調節システムにより制御できる。運動の同期は、様々な継手を調節装置に繋ぐ一組のケーブル及びプーリーによって得られる。
【0036】
図2は本発明による防護装置の第一の実施例を表わす。この制限されない例において、展開されている装置は六角形断面のパイプである。パイプの面の数は、より多くても少なくても良い。
【0037】
本例の装置は6つの面を含む。各々の面は、第一の継手211を経由して人工衛星の本体201に繋がれた第一パネル202、及び第二の継手212を経由して第一パネル202に繋がれた第二パネル203を含む。
【0038】
継手213は、展開された位置において、隣接する面に属するパネルをしっかりと保持できるようにする。
【0039】
パイプは縦軸220を有する。
【0040】
図2aは、折り畳まれた位置における防護装置を持つ、衛星の横断面図を示す。各々の面のパネル202、203は衛星の本体201に対して保持されている。
【0041】
図2bは、中間位置における防護装置を持つ、衛星の横断面図を示す。第一パネル202は、第一の継手211の周りで衛星201の本体に対して旋回する。第二パネル203は、第二の継手212の周りで第一パネル202に対して旋回する。回転は縦軸220に直交する軸の上で行われる。
【0042】
図2cは、展開された位置における防護装置を持つ、衛星の横断面図を示す。パネル202、203は、その縦軸220が光学器械の焦点軸に実質的に一致する、六角形断面のシリンダーを形成する。継手は、後で記述(図4)の中で説明されるように、展開された構成においてロックされ得る特性を有する。パネルは全て相互に繋がれているため、これらの多重ロックは大きな全体剛性を確実にする。その一例が図9に表わされている追加のロックシステムは、パネルの部分組立品を中央の領域で一つに繋ぐことによって、より大きな剛性を提供することができる。
【0043】
図2dは、展開された位置における防護装置の透視図である。この図において、パネルの部分組立品を繋ぐために使用されるロックシステムと同様に、隣接する面に属するパネルをしっかりと保持できるようにする、軸受213が識別され得る。
【0044】
第一の継手211は、衛星201の本体に隣接する縁の中央に置かれている。第二の継手212は、第一パネル202と第二パネル203間の隣接する縁の中央又は角に置かれている。
【0045】
本発明の一つの特徴によれば、本装置はパネルを折り畳まれた位置に保持する手段を備える。図3は、本発明による防護装置の第一の実施例における、折り畳まれた位置でのパネルを保持する手段の位置決めを表わす。この実施例において、保持手段は結束用脚301及び結束用タイビーム302を含む。
【0046】
結束用脚301は、衛星の本体201に固定される三脚又は一体物の金具である。結束用タイビーム302は、第二パネル203上に位置する。本例において、パネルの各部分組立品は、張力を与えるナットによってそれらの各端部において保持されている、横断タイビームにより結束用脚に対して押し付けられ保持される。
【0047】
折り畳まれた位置において、タイビーム302は結束用脚301の上に位置する解放ナットによって固定される。従ってパネルは衛星の本体201に対して格納状態で保持される。1つの面のタイビームは、この面の第一パネル202を横断する。
【0048】
展開された位置に切り換えるためには、脚はタイビームを解放し、それらは次に本装置の最終段パネル203の外面上に突出する。展開された位置において、タイビームは光学器械の視野に入らないように、第二パネル203の外面上に位置する。
【0049】
図4は複数のパネルを一緒に繋ぐための例示的な継手を表わす。
【0050】
例として継手212は、例えば第一パネル202に繋がれた第一端P10を有する第一の部分401、及び第二パネル203に繋がれた第二端P20を有する第二の部分402を含む。第一の部分401は第二の部分402に繋がれ、第二の部分402に対して第一軸411の周りに回転移動できる。第二の部分402はまた、図示されていない渦巻ばねにより、第一軸411の周りに、及び第一の部分401に対して回転方向に動力化される。その継手は、第一の部分401に繋がれ、図示されていないばねにより、第二軸412に従って第一の部分401に対し回転方向に動力化された第三の部分403を含む。第三の部分403は、第一の部分401が一旦第二の部分402のストッパー404と接触すると、第一の部分401の逆方向への回転を防止する、戻り防止ストッパー405を有する。
【0051】
継手は、パネルに動力化機能、ガイド機能、及びロック機能を提供する。
【0052】
第一パネルを衛星の本体に繋ぐために使用される継手に関して、第一端P10は第一パネル202に繋がれ、第二端P20は衛星の本体201に繋がれる。
【0053】
折り畳まれた位置において、パネル同士は平行である。展開された位置において、第二パネルは、それが第一パネル202に対して実質的に広げられるまで、第一の回転軸411の周りに旋回する。
【0054】
本発明の一実施形態において、防護装置は追加の段を含む。追加の段の第一パネルは、そのとき隣接する段の第二パネルに繋がれる。衛星の本体201から最も遠い段は最終段と呼ばれる。従って多数の段を組み立てることが可能である。それゆえ、良好な全体剛性を維持しながら幾つかの類似した段の積み重ねを作ることができる。
【0055】
図5は、パネルの2つの段501、502を含む、本発明による防護装置の第一の変形の実施形態を表わす。2つの段501、502は、継手503によって繋がれた類似の構造である2つのパネル501.1、501.2、502.1、502.2を有する。2つの段は継手で繋がれている。
【0056】
折り畳まれた位置510において、パネルのグループは展開された位置における最終段502の最終パネル502.2の外面上に位置するであろう、横断する結束用タイビームのシステムにより、前記と同じやり方で衛星の本体に対して保持される。複数の段は同様のやり方で連続的に展開される。展開された位置520において、2つの段501、502はシリンダーを形成する。
【0057】
そのパネルが衛星の本体と実質的に同じ高さを有する一段の場合、高さが衛星の本体高さの2倍に等しい防護装置が得られる。
【0058】
そのパネルが衛星の本体と実質的に同じ高さを有する二段の場合、高さが衛星の本体高さの4倍に等しい防護装置が得られる。
【0059】
本発明の1つの変形の実施形態によれば、光学器械は主鏡を備える。防護装置は、展開された位置において光を主鏡に向けて反射するように、例えば最終段の第二パネルに固定された副鏡である光学要素もまた備える。展開可能な保持構造の欠陥を修正できるようにする、精細な焦点合わせシステムに取り付けられた副鏡を持つこともまた可能である。
【0060】
従って防護装置は、その先端部分に光学要素を含むことができ、これによって構造物全体として展開可能であるという利点もまた有する。
【0061】
図6は副次的な光学的部分を備えた、本発明による防護装置の第二の変形の実施形態を表わす。
【0062】
折り畳まれた位置において、副鏡は光学器械の主鏡に対向して保持される。
【0063】
展開された位置において、副鏡は主鏡から少し離れて置かれる。
【0064】
図7は太陽発電機を備えた、本発明による防護装置の第三の変形の実施形態を表わす。本発明による別の変形の実施形態によれば、光学器械は展開可能な構造の継手配列のレベルにおいて固定され、図示されている例においては、最終段の第二のパネルの端部に固定された太陽発電機をまた備える。
【0065】
折り畳まれた位置において、太陽発電機又は太陽電池パネルは、それらが継手によってそこに連結されている第二パネルに対して保持される。
【0066】
太陽電池パネルは、防護装置とは別個に展開され得る。各太陽電池パネルは、それを第二パネルにつないでいる継手の周りを回転することにより展開される。それらは任務の開始時から作動でき、防護装置は第二段において開放されることができる。
【0067】
展開された位置において、太陽発電機はパイプの縦軸に対して、好ましくは直角であるが、しかし衛星に対する太陽の向きに従って、どのような角度にでも向けられ得る。
【0068】
図8は、展開可能なラジエータを備えた、本発明による防護装置の第四の変形の実施形態を表わす。本発明の別の変形の実施形態によれば、展開可能な構造は、その構造の継手配列の中の1つのレベルに、そして好ましくは、根元接合部の継手211の配列のレベルにおける主要な光学的部分の近傍か、又は最終段のパネルの継手213の配列のレベルにおける副次的な光学的部分の近傍の何れかに固定された、展開可能なラジエータ801をまた含む。
【0069】
折り畳まれた位置において、展開可能なラジエータ801は、それらが継手によってそこに連結されている第二パネルに対して保持される。
【0070】
各々の展開可能なラジエータ801は、それを様々なパネルにつないでいる継手の周りを回転することにより展開される。それらは任務の開始時から作動でき、それらが最終段のパネル上に位置する場合、防護装置は第二段において開放されることができる。
【0071】
展開された位置において、展開可能なラジエータ801はパイプの縦軸に対して好ましくは直角であるが、しかし衛星に対する空間の向きに従って、どのような角度にでも向けられ得る。
【0072】
有利には、防護装置は展開の最後にパネルを保持することにより、良好な全体剛性を確実にする周辺的ロック手段もまた備える。
【0073】
図9a、9b、9cは、永久磁石の設計に基づくロック装置の、1つの例示的実施形態を表わす。一例として、図9aは展開の最後においてパネルをロックするシステムの、辺縁位置を表わす。図9bは「展開の最後」の構成におけるパネルを表わし、図9cは展開され、ロックされた構成におけるパネルを表わす。パネルの部分組立品202a、203aはオスのテーパ付き端部を有する金具901を備え、パネルの部分組立品202b、203bはメスのテーパ付き端部を有する金具902を備える。2つの金具の各々は、各金具にそれぞれ順番に取り付けられた永久磁石903、904を備える。展開の最後に、継手システムはオスのテーパ付き端部を有する金具901が、メスのテーパ付き端部を有する金具902の中へ嵌まり込むように、パネル202a、203a及び202b、203bの端部が相互に対向して位置することを可能にする。磁石903と904及びその結果生じる磁気吸引の効果の下で2つの金具は接触し、次に互いに対して保持されたまま留まる。
【0074】
本発明の1つの変形によれば、パネルはハニカムタイプの複合パネル、又は強化複合鉄板タイプの半剛体要素で構成され得る。
【0075】
本発明の1つの変形によれば、パネルはそこに張力を掛けられた膜が固定される剛体フレームを含む。
【0076】
器械の良好な効率を保証するため、防護装置はパネルの表面上に直接位置する能動及び受動制御要素の追加に基づく、温度調節器の機能もまた提供し得る。
【0077】
(能動及び受動)温度制御を可能にする構成要素は、安定し制御された表面に結合され、それゆえ折り畳まれた位置及び展開中における機械的応力から保護される。
【0078】
様々な実施形態は相互に組み合わせられ得る。太陽発電機、副次的な光学的部分、及び温度調節システムを有する、多くの段を備えた装置を持つことが可能である。
【符号の説明】
【0079】
100…人工衛星、
101…太陽遮蔽板、
201…人工衛星の本体、
202…第一パネル、
202a…パネルの部分組立品、
202b…パネルの部分組立品、
203…第二パネル、
203a…パネルの部分組立品、
203b…パネルの部分組立品、
211…第一の継手、
212…第二の継手、
213…最終段のパネルの継手、
220…パイプの縦軸、
301…結束用脚、
302…タイビーム、
401…第一の部分、
402…第二の部分、
403…第三の部分、
404…第二の部分のストッパー、
405…戻り防止ストッパー、
411…第一軸、
412…第二軸、
P10…継手の第一端、
P20…継手の第二端、
501…パネルの段、
501.1…パネル、
501.2…パネル、
502…パネルの段、
502.1…パネル、
502.2…パネル、
503…継手、
510…折り畳まれた位置、
520…展開された位置、
601…主鏡、
602…副次的な光学要素、
701…太陽発電機、
801…展開可能なラジエータ、
900…周辺的ロック手段、
901…オスのテーパ付き端部を有する金具、
902…メスのテーパ付き端部を有する金具、
903…永久磁石、
904…永久磁石。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学器械が搭載された本体(201)を含む人工衛星の、前記光学器械を防護するための装置(200)であって、前記防護装置が折り畳まれた位置及び展開された位置を有し、複数の剛性パネル(202、203)を備え、前記パネルが前記折り畳まれた位置において前記衛星の前記本体に対し保持され、前記光学器械を防護するように配置された前記展開位置において多角形断面のパイプを形成し、前記パイプの縦軸(220)が前記光学器械の焦点軸に実質的に平行であり、前記装置は、前記多角形の各々の面が前記複数の剛性パネルの部分組立品で構成され、前記剛性パネルがそれ自体で動力化された継手(211、212、213)によって一緒に繋がれていることを特徴とする防護装置。
【請求項2】
前記多角形の1つの面が少なくとも1つの第一段を有し、1つの段が、第一パネル(202)及び第二パネル(203)を備え、前記第一段の前記第一パネル(202)が第一の継手(211)により前記衛星の前記本体(201)に繋がれ、前記第二パネル(203)が第二の継手(212)により前記第一パネル(202)に繋がれ、前記装置が一段のみを有する場合は前記第一段が最終段と呼ばれることを特徴とする、請求項1に記載の防護装置。
【請求項3】
前記第一の継手(211)が、前記衛星の前記本体(201)に隣接する縁の中央に置かれ、前記第二の継手(212)が、前記第一パネル(202)と前記第二パネル(203)間の隣接する縁の中央又は角に置かれることを特徴とする、請求項2に記載の防護装置。
【請求項4】
前記第二の継手(212)が前記第一パネル(202)に繋がれた第一の部分(401、P10)、及び前記第二パネル(203)に繋がれた第二の部分(402、P20)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の防護装置。
【請求項5】
前記第一の部分が前記第二の部分に繋がれ、前記第二の部分に対して第一軸(411)の周りに回転移動でき、そして前記第一の部分に繋がれて、第二軸(412)に従い前記第一の部分に対して回転方向に動力化された、第三の部分(403)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の防護装置。
【請求項6】
前記第一の部分が一旦前記第二の部分の戻り防止ストッパー(405)と接触すると、前記第一の部分の逆方向への回転を防止する、前記戻り防止ストッパー(405)を第三の部分が有することを特徴とする、請求項5に記載の防護装置。
【請求項7】
前記折り畳まれた位置において前記パネルを保持するための手段(301、302)もまた備えることを特徴とする、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の防護装置。
【請求項8】
前記光学器械が主鏡(601)を備え、前記装置が前記主鏡(601)に向けて光を反射するように、前記最終段の前記第二パネル(203)へと固定された副次的な光学要素(602)もまた備えることを特徴とする、請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の防護装置。
【請求項9】
展開可能な構造の継手配列のレベルにおいて固定された太陽発電機(701)もまた備えることを特徴とする、請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の防護装置。
【請求項10】
張力をかけられた膜がその上に固定されている剛体フレームを前記パネルが含むことを特徴とする、請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の防護装置。
【請求項11】
前記防護パネルが、それらの面上に直接位置する能動及び受動制御要素を含み、その装置が温度調節機能を備えることを特徴とする、請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の防護装置。
【請求項12】
継手配列のレベルにおいて固定された展開可能なラジエータ(801)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項11の何れか一項に記載の防護装置。
【請求項13】
展開の最後に前記パネルを保持するための周辺的ロック手段(900)もまた含むことを特徴とする、請求項12に記載の防護装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【公開番号】特開2012−224330(P2012−224330A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−94881(P2012−94881)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(505157485)テールズ (231)