説明

人工衛星用電力供給システム

【課題】 衛星間電力伝送に頼らずに、日陰を周回する人工衛星に対して、常時電力を供給するための電力供給システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 地上に設置され、人工衛星に対し電磁波を送電する送信アンテナと送信アンテナから送信する電磁波の位相を制御する移相制御器を有して、分散配置された複数の送電ユニットと、人工衛星から送信された位置情報と送電ユニットの送信アンテナの位置情報に基づいて各送電ユニットから人工衛星に送信する電磁波の位相を設定する制御ユニットによって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工衛星に対して電力を供給する電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工衛星は太陽電池パドルを有しており、軌道を周回する際、日照時には太陽電池パドルにより電力を供給し、また、日陰時には、日照時に自前のバッテリに蓄電しておいた電力を供給して運用している。太陽電池パドルは電力の供給源が太陽光であることにより、太陽の可視範囲及び可視期間を十分に考慮して人工衛星システムを構築する必要がある。また、日陰時に対応するためにバッテリなどの補助電力が必要となり、このことが人工衛星システムの設計及び運用上の大きな制約となっている。
【0003】
一方、地球の陰側に位置する電力事情の悪い衛星に対し、送電衛星から、電磁波を用いて、近接軌道を飛翔している衛星に電力を伝送する衛星間電力伝送システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−278888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の衛星間電力伝送システムでは、静止軌道の送電衛星から低軌道の人工衛星に電力を送電するため、静止軌道の可視範囲外を飛翔する衛星については電力供給ができない。このため、低軌道の人工衛星が、日陰時に静止衛星の可視範囲内に入るように軌道決定する必要があり、軌道設計の複雑化を招き、設計の自由度が制約されるという問題があった。また、極軌道を周回する低軌道衛星に電力供給する場合、赤道を周回する静止衛星との間に軌道ずれを生じるので、周回衛星が静止衛星から可視範囲外とならないように衛星間電力供給用の静止衛星を複数個配置する必要が生じた。
【0006】
また、静止衛星自体が日陰に位置する場合は、電力供給能力が低下するという問題があった。
【0007】
さらに、同一軌道を周回する仲間の衛星から電力供給を受ける方法もあるが、この場合は複数の衛星を同一軌道に配置する必要があり、衛星の運用上、効率が悪くなるという問題があった。また、電力供給を行うための送信アンテナの搭載数や配置に制約があるので、衛星を打ち上げた後は、電力供給を行う相手の衛星が特定され、電力供給を行う相手の衛星を自由に選択できないという問題があった。
【0008】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、衛星間電力伝送に頼らずに、日陰を周回する人工衛星に対して、常時電力を供給するための電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による人工衛星用電力供給システムは、地上に設置され、受信した電磁波から搭載機器への供給電力を得る人工衛星に対し電磁波を送電する送信アンテナと、位相情報に基づいて上記送信アンテナから送信する電磁波の位相を制御する移相制御器とを有し、上記人工衛星の通過軌道が送信アンテナの視野範囲内にあるように離間配置された複数の送電ユニットと、
上記人工衛星から送信された位置情報と上記送電ユニットの送信アンテナの位置情報に基づいて、上記各送電ユニットから人工衛星に対して送信する電磁波の位相情報を求め、求めた位相情報を各送電ユニットに送信する制御ユニットと、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明による人工衛星用電力供給システムは、地上に送電ユニットを多数配置することにより、人工衛星に対して電力を常時供給することを可能にすることができる。また、送電ユニットの配置数、配置位置は任意に選択できるため、人工衛星システムを構築する上で自由度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1に係る人工衛星用の電力供給システムは、遠隔地に複数配置された送電ユニットから電力をマイクロ波に変換し位相を揃えて人工衛星に向けて放射し、人工衛星においては、放射されたマイクロ波を受信し直流電力に変換して、搭載機器に電力を供給することを特徴とする。以下、図を用いて実施の形態1の詳細を説明する。
【0012】
図1は実施の形態1に係る、マイクロ波により人工衛星への電力供給を実現するための人工衛星用の電力供給システム全体の構成を示す概略図である。図1において、送電ユニット1は、地上に設置され、供給電源に基づいて電気エネルギーを生成し、それをマイクロ波に変換して放射する設備である。制御ユニット2は送電ユニット1がマイクロ波を放射する際に必要な制御信号を算出し、各送電ユニット1へ通知する設備であり、地上に設置される。
【0013】
人工衛星3は送電ユニット1からのマイクロ波を受信し直流電力へと変換して、これを利用して搭載機器に電力を供給し運用される。送信アンテナ4は送電ユニット1に設置され、送電ユニット1がマイクロ波を放射するためのものである。通信アンテナ5は人工衛星3が送信する位置信号などの各種信号を制御ユニット2が受信するためのものである。受信アンテナ6は人工衛星3に搭載され、送電ユニット1から放射されたマイクロ波を受信するためのものである。なお、制御ユニット2および通信アンテナ5は、静止衛星に搭載されても良い。
【0014】
送電ユニット1は、地上の発電所などと同様にして電気エネルギーを生成する。発電所または変電所等の地上の既存の発電所から電気エネルギーの供給を受けてもよい。送電ユニット1は、制御ユニット2からの制御信号に含まれる制御情報を受けて、電気エネルギーを適宜変圧、安定化してマイクロ波に変換し、電力調整および位相調整した後、送信アンテナ4を介して人工衛星3に放射する。人工衛星3は、送信アンテナ4から放射されたマイクロ波を受信アンテナ6により受信し、直流電力に変換し、搭載機器に電力を分配供給する。送電ユニット1がマイクロ波を放射できる範囲は限られるため、図1に示しているように送電ユニット1を複数分散して配置し、それぞれが人工衛星3にマイクロ波を放射することで、多方向からの電力供給を可能とする。この際、人工衛星3の通過軌道100上における特定の範囲で受信アンテナ6が送信アンテナ4から可視(視野範囲内)となるように、送電ユニット1の配置が設定される。この特定の範囲では、図のように分散配置された複数の送信アンテナ4からの送信電波が重なりを有するように配置が決定されている。これによって、供給電力量を大きくすることができる。
【0015】
勿論、人工衛星3が日陰を通過する軌道上で、その軌道上の一部の複数領域もしくは全ての領域を包絡するように、送電ユニット1の配置を決定しても良い。例えば、数個(N個、Nは2以上の整数)の送電ユニット1の群を一組にして、複数組(M組、Mは2以上の整数)の送電ユニット1の群を、分散させて配置しても良い。また、極軌道を周回する人工衛星に対しては、一組の送電ユニット1群を、赤道上に所定間隔(例えば、軌道高さに応じて10°〜90°間隔)で分散させて配置することによって、軌道上を1周する間に少なくとも1度は、送電ユニット1から電力供給を受けることが可能となる。なお、軌道上の全ての領域を包絡するように送電ユニット1を配置すれば、送電ユニット1から送電されるマイクロ波に途切れを生じることはなくなるが、送電ユニット1の設置が増加する。したがって、送電ユニット1の配置間隔や、設置位置は、人工衛星3のミッションに応じて必要な数と間隔に設定すれば良い。
【0016】
このとき、各送電ユニット1と人工衛星3については、相対的な位置関係が変化するので、複数の送電ユニット1から独立にマイクロ波を放射すると、それらのマイクロ波は互いに干渉して、打ち消し合い、或いは、意図しない方向へマイクロ波が放射されてしまう。また、状況によっては電力密度が必要以上に高くなり人工衛星3を破壊する可能性もある。そこで、制御ユニット2では人工衛星3から受信する位置情報をもとに各送電ユニット1に対する位相調整量、電力調整量を算出し、送電ユニット1へ制御信号として送信する。各送電ユニット1では、制御信号をもとに個々のマイクロ波の位相及び放射電力を適宜調整することで、人工衛星3に対して適切に電力を供給可能にする。この際、各送電ユニット1では、送信アンテナ4が放射する電波の電波軸の方向を適宜調整する。
【0017】
次に、図2により、各送電ユニット1が放射するマイクロ波の位相調整の原理を説明する。
図2において#1〜#nと示した平板は、同時にマイクロ波を放射する送電ユニット#1〜#nにおける送信アンテナ4のアンテナ面を示す。人工衛星3は制御ユニット2に対して人工衛星3の位置情報(6自由度)を送出するための通信アンテナを有している。人工衛星3が自己の位置情報を特定する一例としてスターセンサを用いて高精度に姿勢角を同定し、GPS衛星を利用して地上との相対位置を高精度に特定する方法などがある。GPS衛星を利用した衛星航法測位では、L1周波数とL2周波数の二周波数を用いた干渉測位によって、cm精度の測位を行うことが可能である。制御ユニット2は通信アンテナ5により人工衛星3からの位置情報を受信する。各送電ユニット1の送信アンテナ4の位置情報は、その配置により決定し既知である。
【0018】
制御ユニット2は各送信アンテナ4の位置情報と、受信した人工衛星3の位置情報とにより、受信アンテナ6のアンテナ面に対して直行する仮想平面Sを定義する。次に、制御ユニット2は仮想平面Sと送電ユニット#1〜#nとの、送信アンテナ4のアンテナ面の差分をそれぞれ求める。この差分は、図示のように並進成分(アンテナ面の中央位置基準)ΔZと回転成分Δθであり、ΔZ成分は他の送電ユニット1との間の位相の調整分、Δθ成分は仮想平面Sに直行する方向への位相の調整分となる。すなわち、各送信アンテナ4のアンテナ面の調整としては、ΔZ+Δθ分の位相調整を行えば良い。例えば、送信アンテナ4(♯1)、(♯2)、(♯n)の各位相差のΔZ成分が0となるように、送信する搬送波の位相調整を行い、回転成分Δθが0となるように送信アンテナ4の電波軸方向を調整する。送信アンテナ4がアレーアンテナである場合は、アレーアンテナを構成するアンテナ素子の位相調整を行う。このような位相同期の原理を用いて、制御ユニット2において、送電ユニット1が送信するマイクロ波の位相調整量を算出する。
【0019】
上記説明では、送電ユニット#1〜#nのもつ送信アンテナ4はそれぞれ一個と仮定したが、1つの送電ユニットが複数の人工衛星3を対象として送電するために、複数の送信アンテナ4を具備していてもよい。この場合は、同時に放射する全ての送信アンテナ4のアンテナ面に対して同様に仮想平面Sを定義して位相調整量を計算する。
【0020】
次いで、各送電ユニット1が放射するマイクロ波の電力調整量について説明する。
各送電ユニット1の負荷状況、及び、送電能力に応じて制御ユニット2により送電する電力量を決定する。単純な例として、n個の送電ユニット#1〜#nからマイクロ波を放射する場合において、全送電ユニットに対する電力調整量が一定の場合、すなわち、全送電ユニットから等電力Pのマイクロ波を放射する場合を考える。
まず、制御ユニット2は、各送信アンテナ4の位置情報と、受信した人工衛星3の位置情報とにより、各送電ユニット#1〜#nから人工衛星までの距離を求める。この際、制御ユニット2は通信アンテナ5により人工衛星3から位置情報を受信し、各送電ユニット1の送信アンテナ4の位置情報はその配置により決定し既知であることは上述した通りである。
【0021】
ここで、マイクロ波の電力は距離の二乗に反比例して減衰するため、各送電ユニット#1〜#nから人工衛星までの距離をl1〜lnとすると、人工衛星3の位置におけるマイクロ波の総電力は、およそP(1/l12+…1/ln2)を定数倍したものとして算出することができる。従って、人工衛星3が必要とする電力に対して、放射する電力P、すなわち、電力調整量を決定することができる。実際には、大気による減衰などがあるため、放射する際には理論上の値よりも高い電力を放射することになる。また、放射電力Pに対して送電ユニットの送電能力を超える場合には、同時に放射する送電ユニット数を増やすなどの対策を取る。
【0022】
次に、送電ユニット1と制御ユニット2の構成について図3により説明する。送電ユニット1において、発電部7は電気エネルギーを発電するものであり、送信部8は電気エネルギーをマイクロ波に変換するものである。送信部8において、受信機9は制御ユニット2からの制御信号を受信するもので、復調器10は制御信号に含まれる位相調整量及び電力調整量を復調するものである。
【0023】
移相器11は制御信号に含まれる位相調整量に応じてマイクロ波を移相するもので、高出力増幅器12は制御信号に含まれる電力調整量に応じて放射するマイクロ波を高出力増幅するものである。移相演算器13は位相調整量に基づいて移相器11への指令を生成するものであり、利得演算器14は電力調整量に基づいて高出力増幅器12への指令を生成するものである。制御ユニット2において、発振器15は基準信号を生成するものであり、ミキサ16は各送電ユニットの位相調整量、電力調整量を基準信号にミキシングして制御信号を生成するものである。また、送信機17は送電ユニット1に向けて制御信号を送信するためのものである。位相調整量演算器18は上記の位相調整の原理により各送電ユニット1への位相調整量を算出するもので、電力調整量演算器19は電力調整量を算出する。変調器20は位相調整量演算器18および電力調整量演算器19が算出した各調整量を制御信号として変調する。
【0024】
次に、送電ユニット1でのマイクロ波への変換とその放射について説明する。
送電ユニット1は発電部7において電気エネルギーを生成し、適宜変圧及び安定化して送信部内の高出力増幅器12へ入力する。送信部8が生成するマイクロ波は、受信機9により制御ユニット2から受信した制御信号から復調される位相調整量、電力調整量に基づき生成する。位相調整量を制御ユニット2から受信するのは、各送電ユニット1において放射するマイクロ波の位相を揃えるためである。電力調整量は、人工衛星3の受信アンテナ6に届くマイクロ波の電力密度が適切になるように、各送電ユニット1における放射電力を決定するためのものである。この位相調整量をもとに移相器11によって移相し、電力調整量をもとに高出力増幅器12によって高出力増幅することにより、発電部7において生成した電気エネルギーをマイクロ波に変換する。このマイクロ波を送信アンテナ4によって人工衛星3に向けて放射する。移相器11におけるマイクロ波の移相は、制御ユニット2からの位相調整量に基づいて移相演算器13から指令される。高出力増幅器12におけるマイクロ波の増幅利得は、制御ユニット2からの電力調整量に基づいて利得演算器14から指令される。
【0025】
次に制御ユニット2による送電ユニット1の制御について説明する。制御ユニット2は、通信アンテナ5により人工衛星3の位置情報を受信する。受信した位置情報をもとに人工衛星3に近い送電可能な送電ユニット1を選択する。位相調整量演算器18は、受信した人工衛星3の位置情報および各送電ユニット1の送信アンテナ4の配置情報に基づいて、上記の位相同期の原理により位相調整量演算器18により各送電ユニット1への位相調整量を算出する。また各送電ユニット1が放射するマイクロ波が、人工衛星3において適切な電力密度となるように電力調整量を決定する。このようにして算出した位相調整量および電力調整量を変調して制御信号とし、各送電ユニット1に対して送信機17から送信する。
【0026】
このように構成された送電ユニット1と制御ユニット2は、送電ユニット1を逐次増数し、制御ユニット2から制御信号として制御情報(位相調整量、電力調整量)を与えることにより、増数された送電ユニット1を含めた全体のマイクロ波の位相を同期させ、放射電力の配分を決定することができる。このため、各送電ユニット1内の高出力増幅器12、及び送電線の能力限界に関係なく、送電する電力を高めていくことができる。また、同時に複数の送電ユニット1を相互に運用することによって、各送電ユニット1の送電可能範囲を補うことが可能である。送信機17と受信機9との間の通信は、例えば有線ケーブルで繋がれた信号ラインを用いても良いし、RF送信機、RF受信機などによる無線によるものでも良い。ただし、各送電ユニット1の放射するマイクロ波の位相の同期を取る必要があるため、通信回線の伝送遅延が不定であるような場合については、各送電ユニットにおいてGPS衛星などを利用して各送電ユニットの時刻同期を取ることで、それに基づいて位相の同期を取る。
【0027】
次に、人工衛星3の構成について図4により説明する。
人工衛星3は、制御ユニット2と、受信アンテナ6と、通信アンテナ50と、測位装置51と、整流器21と、電力制御器22と、分配器23と、搭載機器52を備える。人工衛星3内において、整流器21は受信アンテナ6により受信したマイクロ波を直流変換する。電力制御器22は直流変換された電力を変圧、安定化する。分配器23は電力制御器22により安定化された電力を衛星搭載の各機器に分配供給するものである。また、人工衛星3は、測位装置51によってGPS衛星からの衛星航法測位用信号を用いて衛星航法測位によって自己位置を測位する。人工衛星3は、制御ユニット2に対し、自己の位置情報を含む各種信号を通信アンテナ50によって送信する。
【0028】
人工衛星3の個々の受信アンテナ6により受信された送電ユニット1からのマイクロ波は、整流器21によって直流変換され、電力制御器22により適宜変圧、安定化され、分配器23によって衛星に搭載している各搭載機器52に電力として分配供給される。
【0029】
以上説明したように、人工衛星3に電力を供給する送電ユニット1を、多数地上に配置することにより、人工衛星3が軌道上で常に電力の供給を受けることができる。また、人工衛星3の運用上において、人工衛星3で高電力を必要とする軌道上における特定の範囲の一部もしくは全てをカバーするように、送電ユニット1を配置することにより、人工衛星3の必要電力を確保することが可能である。特に、人工衛星3が、地上の観測のために人工衛星3の一定面を地球指向しているような地上観測衛星である場合には、その地球指向面にマイクロ波の受信アンテナ21を搭載することで、受信アンテナ6は常時、地上側を向くため地上からの送電を受けるのに適している。また、地上に送電ユニット1を設置する場合は、設置位置の変更や増設を容易に行うことができる。
【0030】
このように、この実施の形態1による人工衛星用の電力供給システムは、地上に設置され、受信した電磁波から複数の搭載機器に電源を供給するための供給電力を得る人工衛星に対し電磁波を送電する送信アンテナと、位相情報に基づいて上記送信アンテナから送信する電磁波の位相を制御する移相制御器とを有し、上記人工衛星の通過軌道が送信アンテナの視野範囲内にあるように離間配置された複数の送電ユニットと、上記人工衛星から送信された位置情報と上記送電ユニットの送信アンテナの位置情報に基づいて、上記各送電ユニットから人工衛星に対して送信する電磁波の位相情報を求め、求めた位相情報を各送電ユニットに送信する制御ユニットとを、備えることを特徴としている。これにより、地上に送電ユニットを多数配置することによって、人工衛星に対して電力を常時供給することを可能にすることができる。また、送電ユニットの配置数、配置位置は任意に選択できるため、人工衛星システムを構築する上で自由度が高いという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施の形態1に係る人工衛星への電力供給システムの構成を示す図
【図2】各送電ユニットが放射するマイクロ波の位相同期の原理を示す図
【図3】実施の形態1に係る送電ユニット、制御ユニットの構成を示すブロック図
【図4】実施の形態1に係る人工衛星の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0032】
1 送電ユニット,2 制御ユニット,3 人工衛星,4 送信アンテナ,5 通信アンテナ,6 受信アンテナ,7 発電部,8 送信部,9 受信機,10 復調器,11 移相器,12 高出力増幅器,13 移相演算器,14 利得演算器,15 発振器,16 ミキサ,17 送信機,18 位相調整量演算器,19 電力調整量演算器,20 変調器,21 整流器,22 電力制御器,23 分配器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置され、受信した電磁波から搭載機器への供給電力を得る人工衛星に対し電磁波を送電する送信アンテナと、位相情報に基づいて上記送信アンテナから送信する電磁波の位相を制御する移相制御器とを有し、上記人工衛星の通過軌道が送信アンテナの視野範囲内にあるように離間配置された複数の送電ユニットと、
上記人工衛星から送信された位置情報と上記送電ユニットの送信アンテナの位置情報に基づいて、上記各送電ユニットから人工衛星に対して送信する電磁波の位相情報を求め、求めた位相情報を各送電ユニットに送信する制御ユニットと、
を備えた人工衛星用電力供給システム。
【請求項2】
自己位置を測位する測位装置と、上記測位装置で測位した位置情報を送信する送信装置と、地上から送電された電磁波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナで受信した電磁波から衛星搭載機器に供給する電力を得る電源と、を有した人工衛星と、
地上に設置され、上記人工衛星に対し電磁波を送電する送信アンテナと、位相情報に基づいて上記送信アンテナから送信する電磁波の位相を制御する移相制御器とを有し、上記人工衛星の通過軌道が送信アンテナから可視となるように離間配置された複数の送電ユニットと、
上記人工衛星から位置情報を受ける通信アンテナと、
上記通信アンテナで受信した人工衛星の位置情報と上記送電ユニットの送信アンテナの位置に基づいて、上記各送電ユニットから人工衛星に対して送信する電磁波が、上記人工衛星の送信アンテナにて概略等位相となるための、上記各送電ユニットに対応した位相情報を求め、求めた各送電ユニットに対応した位相情報を各送電ユニットに送信する送信機とを有した制御ユニットと、
を備えた人工衛星用電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−211868(P2008−211868A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44017(P2007−44017)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】