説明

人工降雨システム

【課題】降雨を必要とするすべての要降雨地に自然雨に近い人工雨を降雨させるに適した簡便構造で取扱性のよい人工降雨システムを提供する。
【解決手段】要降雨地の1つとして車8の走行テスト路7には複数個の人工降雨装置1が走行テスト路7に沿ってほぼ均一に配置される。この人工降雨装置1には細管及びフレキシブルチューブ等とからなる人工降雨用ノズル5が配置される。この人工降雨用ノズル5の形状,寸法及びこれに供給される供給水の水量や圧力を一定数値に設定することにより、フレキシブルチューブの先端から自然雨に近い人工雨が噴出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車の走行テスト路やグランド、畑等の降雨を必要とする要降雨地に自然雨に近い人工雨を万偏なく、かつ均一に降雨させるための人工降雨システムに係り、特に、構造が簡単で、設置のための設置費用が安く、取扱性もよく、移動や撤去が可能な人工降雨システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車の走行テスト路には降雨時における車の走行状態を確認するための降雨装置が必要である。また、グランド、畑等には土煙や砂ぼこりの防止のための噴出が必要である。この場合、降雨としては自然雨に近いものが好ましい。また、要降雨地には、万偏なく均一の噴出が必要である。従来技術では、このための降雨装置が各種考えられ、そのためのシステムも考えられているが、構造が簡単で、しかも自然雨に近い人工雨が降雨でき、安価で、取扱性がよく、撤去も可能なものは見当らない。例えば、公知技術として「特許文献1」や「特許文献2」が挙げられるが、これ等のものは定置式のものであり、構造も複雑であり、かつ自然雨に近いものへの条件設定が難しいという問題点がある。
【特許文献1】特開平11−138067
【特許文献2】特開平10−113588
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人工降雨システムとしては前記のように要降雨地に万偏なく均一の噴出が必要であり、その噴出も自然雨に近い人工雨であることが必要である。このためには、このシステムに使用される人工降雨装置は移動式であり、簡便構造のものが必要となる。また、要降雨地の形態に対応し設置が簡単で、また、不必要時には撤去可能のものが望ましい。また、自然雨に近い人工雨を求めるには水供給源からの水を内径の小さい細管から噴出させることが必要であり、更に細管の先にフレキシブルチューブを取り付け、フレキシブルチューブからの噴出によりフレキシブルチューブを振れさせて噴出エリアを大きくすることが必要である。なお、フレキシブルチューブの先端からある圧力の水が噴出される場合は、ユリオリの加速度の原理により、このフレキシブルチューブに振れが生ずることは公知技術として知られている。
【0004】
本発明は、以上の事情に鑑みて発明されたものであり、要降雨地に万偏なく、かつ均一に降雨ができ、その降雨が自然雨に近い人工雨であり、かつシステム構造としては簡便な構造と安価のものからなり、取扱性がよい人工降雨システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、要降雨地に自然雨に近い人工雨を万偏なく降雨させるための人工降雨システムであって、該システムは、人工降雨装置を前記要降雨地に複数個ほぼ均一に配置するものからなり、また、前記人工降雨装置は、水供給源に連結される複数個の人工降雨用ノズルを配置するものからなり、前記人工降雨用ノズルは、細管とこの先端側に連結されるフレキシブルチューブからなることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記要降雨地が、車の走行テスト路のように人工雨を必要とする路面、ハウス栽培地、ビル屋上の緑化地、畑、空き地、グランド、公園、砂地であることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、前記人工降雨用ノズルの細管及びフレキシブルチューブの内径が1mm乃至3mmのものからなることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の発明は、前記人工降雨用ノズルのフレキシブルチューブの細管側の一部には噴出時における前記フレキシブルチューブの振れを制御するガイドフィンが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の人工降雨システムによれば、要降雨地には複数個の人工降雨装置がほぼ均一に配置され、この人工降雨装置には細管とフレキシブルチューブとからなる人工降雨用ノズルがあり、この配置により要降雨地に対し、自然雨に近い人工雨を降雨させることができる。また、人工降雨装置は、人工降雨用ノズルを備えたものからなり、人工降雨用ノズルは、水供給源(水道水供給源でもよい)に連結するだけでよく、装置の全体構造が簡便で安価であり、取扱性がよく、撤去も可能である効果を有する。
【0010】
また、請求項2の人工降雨システムによれば、要降雨地としては車の走行テスト路のように降雨テストが必要の路面や、土煙や砂ぼこり防止のため適当な降雨の必要な各種場所に簡便に設備される効果を有する。
【0011】
また、請求項3の人工降雨システムによれば、人工降雨用ノズルとして内径1mm乃至3mmの細管やフレキシブルチューブが採用され、人工雨の実現が可能となる。
【0012】
また、請求項4の人工降雨システムによれば、フレキシブルチューブの振れ制御用のガイドフィンが設けられるため、より自然雨に近い人工雨の降雨が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の人工降雨システムの実施の形態を図面を参照して詳述する。
【実施例1】
【0014】
実施例1はこの人工降雨システムを車の走行テスト路7に適用したものである。この走行テスト路7は、例えば、幅Wが3mで長さLが70m乃至100mのものからなり、車8はこの走行テスト路7を長さLだけ走行する際において人工降雨システムによる降雨が与えられ、降雨時における車8に関する種々のテストが行われる。この場合、車8の降雨テストとしては自然雨に近い人工雨で降雨させることが必要になる。
【0015】
人工降雨システムとしては、この場合は図示のような構造の人工降雨装置1が適用される。この人工降雨装置1は、走行テスト路7に沿って複数個(図示では4個)均一に配置されこの複数個の配列により幅w3mで長さL70m乃至100mの走行テスト路7に万偏なく、かつ均一の降雨を行うことができる。
【0016】
人工降雨装置1は、本実施例では、走行テスト路7の路側に立設される立柱2と、この先端側から走行テスト路7の幅方向に沿って伸延する横管3と、走行テスト路7の路表面側に向かって垂下する縦管4と、縦管4に複数個配置される人工降雨用ノズル5とからなる。なお、人工降雨用ノズル5には水供給源(水道水供給源でもよい)6が連結される。勿論、人工降雨装置1は図示の構造のものに限定されるものではない。人工降雨用ノズル5の詳細構造については後に説明するが、人工降雨用ノズル5の形状とこれに供給される水供給源6からの水量や圧力を適宜制御することにより、人工降雨用ノズル5から自然雨に近い人工雨を噴出させることができる。
【実施例2】
【0017】
図2は実施例2を示す。この場合の要降雨地としては土煙や砂ぼこりの発生するグランド9が一例として挙げられる。この場合の人工降雨システムとしては図示のような人工降雨装置1aを備えたものが一例として採用されるが、図示のようにこの人工降雨装置1aは単一のものでなくてもよく、複数個配置されるものでもよい。この人工降雨装置1aは立柱2a、横管3a、縦管4a及び縦管4aの前後に配置される複数個の人工降雨用ノズル5からなる。また、人工降雨用ノズル5は水供給源6に連結される。このように、縦管4aに前後方向に複数個の人工降雨用ノズル5を配置することによりグランド9には万偏と、かつ均一の人工雨を噴出させることができ、土煙や砂ぼこりの発生が防止される。
【0018】
以上の実施例1及び2で走行テスト路7やグランド10における人工降雨システムの適用を説明したが、要降雨地であれば、すべての場所に同様に適用されることは勿論である。例えば、ハウス栽培地、ビル屋上の緑化地、畑、空き地、公園、砂地等が挙げられるが、勿論これ等に限定するものではない。
【実施例3】
【0019】
図3は実施例3を示す。人工降雨装置1bの1つの例を示すものであり、この構造のものが実施例1や実施例2の人工降雨システムに適用されてもよく、また、この構造以外のものも適用されてもよいことは勿論である。この場合の特徴としては、人工降雨用ノズル5の位置を噴出対象物8aの形態や噴出条件に合わせて移動させることができる。また、その可変構造は図3のものに限定するものではない。
【0020】
この人工降雨装置1bは、立柱2bと、これに回動可能に、かつ上下動可能に取り付けられたアーム10と、アーム10の先端に枢支される回動管11と、回動管11の長手方向に沿って配置される人工降雨用ノズル5等とからなる。以上の構造により、人工降雨用ノズル5の位置を噴出対象物8aに対応しX,Y,Z方向に変えることができる。
【0021】
次に、図4,図5により、以上の実施例1,2,3に使用されている人工降雨用ノズル5の構造を説明する。人工降雨用ノズル5は、図略の水供給源に連結されるホース12及びソケット13に螺着される継手部14と、これに連結される細管15と、細管15に連結されるフレキシブルチューブ16等とからなる。なお、細管15及びフレキシブルチューブ16の内径dは1mm乃至3mmの範囲のものが採用されているが、水供給源6からの水量や圧力や細管15及びフレキシブルチューブ16の長さ等を勘案し、適宜のものが選択できる。この構造の人工降雨用ノズル5を用いることにより、フレキシブルチューブ16の先端から自然雨に近い人工雨が噴出される。また、この噴出に伴ってフレキシブルチューブ16が振れ、広範囲の部分への噴出が行われる。
【0022】
図4に示した人工降雨用ノズル5の場合には、フレキシブルチューブ16の振れが大き過ぎる場合が生じ、隣接する人工降雨用ノズル5と干渉する恐れがある。このため、図5に示す人工降雨用ノズル5aはフレキシブルチューブ16の細管15側の一部に図示のようなガイドフィン17を設けたものが挙げられる。このガイドフィン17の構造も各種のものが採用されるが、このガイドフィン17によりフレキシブルチューブ16の振れを制御し、干渉等を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
前記のように、本発明の人工降雨システムは、要降雨地のすべてに適用されるものであり、かつ撤去可能であり、用途に応じて設置される簡便のものであり、その利用範囲は極めて広い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の人工降雨システムの人工降雨装置の一例を示す模式的斜視図。
【図2】本発明の人工降雨システムの人工降雨装置の他の例を示す模式的斜視図。
【図3】本発明の人工降雨システムに適用されるX,Y,Z方向に可変の人工降雨装置の一例を示す模式的平面図。
【図4】本発明の人工降雨装置に適用される人工降雨用ノズルを示す平面図。
【図5】本発明の人工降雨装置は適用されるガイドフィン付き人工降雨用ノズルを示す平面図。
【符号の説明】
【0025】
1 人工降雨装置
1a 人工降雨装置
1b 人工降雨装置
2 立柱
2a 立柱
3 横管
3a 横管
4 縦管
4a 縦管
5 人工降雨用ノズル
5a 人工降雨用ノズル
6 水供給源
7 走行テスト路
8 車
8a 噴出対象物
9 グランド
10 アーム
11 回動管
12 ホース
13 ソケット
14 継手部
15 細管
16 フレキシブルチューブ
17 ガイドフィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
降雨を必要とする場所(以下、要降雨地、という)に自然雨に近い人工雨を万偏なく降雨させるための人工降雨システムであって、該システムは、人工降雨装置を前記要降雨地に複数個ほぼ均一に配置するものからなり、前記人工降雨装置は、水供給源に連結される複数個の人工降雨用ノズルを配置するものからなり、前記人工降雨用ノズルは細管と、この先端側に連結されるフレキシブルチューブからなることを特徴とする人工降雨システム。
【請求項2】
前記要降雨地が、車の走行テスト路のように人工雨を必要とする路面、ハウス栽培地、ビル屋上の緑化地、畑、空き地、グランド、公園、砂地であることを特徴とする請求項1に記載の人工降雨システム。
【請求項3】
前記人工降雨用ノズルの細管及びフレキシブルチューブの内径が1mm乃至3mmのものからなることを特徴とする請求項1に記載の人工降雨システム。
【請求項4】
前記人工降雨用ノズルのフレキシブルチューブの細管側の一部には降雨時における前記フレキシブルチューブの振れを制御するガイドフィンが設けられることを特徴とする請求項1に記載の人工降雨システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−205143(P2006−205143A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46172(P2005−46172)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(502391600)株式会社テクノコア (4)
【Fターム(参考)】