説明

人形やロボット等の関節装置

【課題】 人形やロボット等の胴体部に対し肢体部をスムースに動けるようにし、かつ、その取り付けを簡便化し、さらに、コストも低減することができる関節装置を提供する。
【解決手段】 ロボット等の胴体部Aに内蔵する取付板部3の左右両サイドに横杆部4を設けた固定側関節部材1と、ロボット等の左右の肢体部B,Cに内蔵する一対の取付板部8の一端に肢体部B,Cの外部へ貫出する突出部9を設けた一対の可動側関節部材2とを具え、互いに嵌着して相互の球面運動を可能とする球形ジャーナル5と球面軸受10の一方を固定側関節部材1における横杆部4に設けるとともに他方を可動側関節部材2の突出部9に設け、さらに、球面軸受10に嵌着した球形ジャーナル5の横杆部4を嵌入させて固定側関節部材1の横杆部4に対し可動側関節部材2の突出部9を略直交するように屈曲可能とする切欠部11を球面軸受10の開口縁部に設ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は人形やロボット等の関節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人形やロボット等は、その胴体部に対し肢体部をスムースに動けるように連結することが望ましい。そこで、本出願人は先に、球面軸受と、そこに嵌着する球形ジャーナルを用いて、肢体部の運動の自由度を大きくすることができる人形やロボット等の関節装置を提案した(実用新案登録第3077258号参照)。しかしながら、その関節装置は、胴体部に対し片側の肢体部のみを連結するためのもので、両側の肢体部を連結するには2セット必要であった。したがって、取り付けが面倒であり、コストも高くなるという不満があった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
そこで本考案は、人形やロボット等の胴体部に対し肢体部をスムースに動けるように連結することができ、かつ、その取り付けを簡便化することができるとともに、コストも低減することができる関節装置の提供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本考案の人形やロボット等の関節装置は、人形やロボット等の胴体部Aに内蔵して固定可能な取付板部3の左右両サイドにそれぞれ胴体部Aの外部へ突出する横杆部4を設けた固定側関節部材1と、人形やロボット等の左右の肢体部B,Cにそれぞれ内蔵して固定可能な一対の取付板部8のそれぞれの一端に肢体部B,Cの外部へ貫出する突出部9を設けた一対の可動側関節部材2とを具え、互いに嵌着して相互の球面運動を可能とする球形ジャーナル5と球面軸受10の一方を固定側関節部材1における左右両サイドの横杆部4にそれぞれ設けるとともに他方を一対の可動側関節部材2におけるそれぞれの突出部9に設け、さらに、球面軸受10に嵌着した球形ジャーナル5の横杆部4を嵌入させて固定側関節部材1の横杆部4に対し可動側関節部材2の突出部9を略直交するように屈曲可能とする切欠部11を球面軸受10の開口縁部に設けたことを特徴とする、という構成にしたものである。
【0005】
【考案の実施の形態】
以下、図を用いて本考案の実施の形態について説明する。なお、図は本考案の一実施例を示したものであって、本考案はこの実施例に限定するものではない。
まず、本考案の関節装置は、固定側関節部材1と、左右一対の可動側関節部材2とによって構成するものである。
【0006】
固定側関節部材1は、中央部に人形やロボット等の胴体部Aに内蔵して固定する取付板部3を有している。そして、その取付板部3の左右両サイドにそれぞれ胴体部Aの外部へ突出する横杆部4を一体に設けている。さらに、その左右の横杆部4の先端に球形ジャーナル5を一体に設けている。なお、胴体部Aに対する取付板部3の固定手段は自由であるが、例えば、その固定手段として、図示した実施例のように、取付板部3の両面にそれぞれ係止ピン6を突設するとともに、取付板部3の両側縁部にそれぞれ掛止片7を突設することができる。
【0007】
可動側関節部材2は同一構造のものを左右一対具えている。この可動側関節部材2も左右の肢体部B,C、例えば両脚部に内蔵して固定する取付板部8を有している。そして、その取付板部8は一端に肢体部B,Cの外部へ貫出する突出部9を一体に設けている。さらに、その突出部9には上記の固定側関節部材1の球形ジャーナル5を嵌着させる球面軸受10を設けている。すなわち、球形ジャーナル5が球面軸受10に嵌着することにより固定側関節部材1と可動側関節部材2は連結する。そして、球形ジャーナル5と球面軸受10は嵌着した状態で相互に球面運動することができる。また、球面軸受10の開口縁部における左右対称位置には固定側関節部材1の横杆部4が嵌入可能な切欠部11を設けて、横杆部4と突出部9を相互に略直交するように屈曲自在としている。なお、肢体部B,Cに対する取付板部8の固定手段は自由であるが、例えば、その固定手段として、図示した実施例のように、取付板部8の両面にそれぞれ係止ピン12を突設することができる。
【0008】
固定側関節部材1と可動側関節部材2は共にプラスチック製とすることができる。このようにプラスチック製にすると、その材料弾性を利用して、可動側関節部材2の球面軸受10に対し固定側関節部材1の球形ジャーナル5を着脱自在にすることができる。
【0009】
なお、上記の実施例では、固定側関節部材1の横杆部4に球形ジャーナル5を設け、可動側関節部材2の突出9に球面軸受10を設けているが、これを逆にして、固定側関節部材1の横杆部4に球面軸受10を設け、可動側関節部材2の突出部9に球形ジャーナル5を設ける構成にすることも可能である。
【0010】
【考案の効果】
本考案の人形やロボット等の関節装置は上記の通りであり、まず、固定側関節部材1に対し可動側関節部材2を球面軸受10と球形ジャーナル5を介して連結したことにより、可動側関節部材2の運動の自由度が大きくなって、人形やロボット等の肢体部B,Cの動作がスムースになるという効果がある。次に、固定側関節部材1の左右両サイドにそれぞれ可動側関節部材2を連結したことにより、これを1セット備えるだけで、左右の肢体部B,Cを一緒に胴体部Aに取り付けることができるので、従来のように関節装置を2セット備えて左右の肢体部B,Cを別々に胴体部Aに取り付ける場合に比べて、人形やロボット等の胴体部Aや肢体部B,Cに対する取り付けが簡便化するとともに、材料費等を削減してコストを低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロボットに取り付けた状態を示す正面図である。
【図2】固定側関節部材に対し可動側関節部材を同一平面上に伸展した状態の平面図である。
【図3】図2のX−Y線断面図である。
【図4】固定側関節部材に対し可動側関節部材を同一平面上に伸展した状態の正面図である。
【図5】固定側関節部材に対し可動側関節部材を同一平面上に伸展した状態で一方の可動側関節部材を回転した状態の平面図である。
【符号の説明】
1 固定側関節部材
2 可動側関節部材
3 取付板部
4 横杆部
5 球形ジャーナル
6 係止ピン
7 掛止片
8 取付板部
9 突出部
10 球面軸受
11 切欠部
12 係止ピン
A 胴体部
B 肢体部
C 肢体部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 人形やロボット等の胴体部Aに内蔵して固定可能な取付板部3の左右両サイドにそれぞれ胴体部Aの外部へ突出する横杆部4を設けた固定側関節部材1と、人形やロボット等の左右の肢体部B,Cにそれぞれ内蔵して固定可能な一対の取付板部8のそれぞれの一端に肢体部B,Cの外部へ貫出する突出部9を設けた一対の可動側関節部材2とを具え、互いに嵌着して相互の球面運動を可能とする球形ジャーナル5と球面軸受10の一方を固定側関節部材1における左右両サイドの横杆部4にそれぞれ設けるとともに他方を一対の可動側関節部材2におけるそれぞれの突出部9に設け、さらに、球面軸受10に嵌着した球形ジャーナル5の横杆部4を嵌入させて固定側関節部材1の横杆部4に対し可動側関節部材2の突出部9を略直交するように屈曲可能とする切欠部11を球面軸受10の開口縁部に設けたことを特徴とする人形やロボット等の関節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】実用新案登録第3088135号(U3088135)
【登録日】平成14年6月12日(2002.6.12)
【発行日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【考案の名称】人形やロボット等の関節装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−862(U2002−862)
【出願日】平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願人】(599138261)
【出願人】(000001166)株式会社講談社 (2)
【出願人】(500498154)
【出願人】(591142840)株式会社丸福 (1)