説明

人造大理石

【課題】無機充填剤の水酸化アルミニウムに起因する、加熱による白化を抑制することができる人造大理石を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂および無機充填剤を含有する樹脂組成物を成形して得られる人造大理石において、無機充填剤として水酸化アルミニウムを含有し、水酸化アルミニウムのNa2O含有量が0.06質量%以下であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンの天板などに用いられる人造大理石に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンの天板には、ビニルエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を用いた人造大理石が用いられている(特許文献1参照)。この人造大理石には、質感や硬度確保のために増量剤(無機充填剤)として水酸化アルミニウムが用いられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−293732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水酸化アルミニウムを用いた従来の人造大理石は、システムキッチンの天板に用いた場合、熱いフライパンなどが不用意に置かれると表面が焼けて変色する場合がある。
【0005】
この変色は、樹脂成分の熱劣化による黄変も要因の1つであるが、加熱により水酸化アルミニウムの熱分解が起こり、水が発生して人造大理石中に残留することで白化することも主な要因である。
【0006】
この変色を防ぐために、人造大理石上に鍋敷きなどを置き、その上に熱いフライパンを置くことで人造大理石への加熱を低減することなどが行われているが、このような間接的な方法ではなく加熱されても白化を抑制することができる技術が望まれていた。
【0007】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、無機充填剤の水酸化アルミニウムに起因する、加熱による白化を抑制することができる人造大理石を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の人造大理石は、熱硬化性樹脂および無機充填剤を含有する樹脂組成物を成形して得られる人造大理石において、無機充填剤として水酸化アルミニウムを含有し、水酸化アルミニウムのNa2O含有量が0.06質量%以下であることを特徴としている。
【0009】
この人造大理石において、人造大理石は、樹脂組成物を注型成形して得られたものであることが好ましい。
【0010】
この人造大理石において、人造大理石は、樹脂組成物をプレス成形して得られたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱による白化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明において、樹脂組成物に配合される熱硬化性樹脂としては、例えば、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いることができる。
【0014】
ビニルエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂、ノボラック型ビニルエステル樹脂などを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であり、両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型などを用いることができる。
【0016】
ノボラック型ビニルエステル樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であり、両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。
【0017】
ビスフェノール型ビニルエステル樹脂とノボラック型ビニルエステル樹脂はいずれも両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。
【0018】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和または飽和のポリカルボン酸と有機ポリオールとの縮合反応によって得られる熱硬化性樹脂である。
【0019】
不飽和または飽和のポリカルボン酸としては、例えば、脂肪族不飽和ポリカルボン酸、脂肪族飽和ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸などを用いることができる。
【0020】
脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸などを用いることができる。脂肪族飽和カルボン酸としては、例えば、セバシン酸、(無水)コハク酸、アジピン酸などを用いることができる。芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などを用いることができる。
【0021】
有機ポリオールとしては、例えば、脂肪族ポリオール、芳香族ポリオールなどを用いることができる。
【0022】
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、グリセリン、水素化ビスフェノールAなどを用いることができる。芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどを用いることができる。
【0023】
これらの不飽和または飽和のポリカルボン酸および有機ポリオールは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明において、樹脂組成物には、重合性単量体、低収縮剤、硬化剤などを配合することができる。
【0025】
重合性単量体としては、例えば、熱硬化性樹脂と架橋可能な不飽和単量体を用いることができる。具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどを用いることができる。
【0026】
低収縮剤は主に、不飽和ポリエステル樹脂を用いてプレス成形の材料としてSMC(シートモールディングコンパウンド)またはBMC(バルクモールディングコンパウンド)を用いる場合の硬化収縮を低減させる目的で配合される。低収縮剤としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレンポリ酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリスチレン変性共重合体樹脂などを用いることができる。
【0027】
硬化剤は、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を用いるSMC、BMCなどのように、100℃以上の高温、かつ圧力下でプレス成形する場合は、高温硬化系の硬化剤が用いられる。
【0028】
高温硬化系の硬化剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシドなどを用いることができる。
【0029】
また、熱硬化性樹脂としてビニルエステル樹脂または不飽和ポリエステル樹脂を用いて100℃未満の温度で注型成形する場合は中温硬化系の硬化剤が用いられる。
【0030】
中温硬化系の硬化剤としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどを用いることができる。
【0031】
上記の各成分の配合量は、特に限定されないが、例えば、SMCまたはBMC用の樹脂組成物の場合、熱硬化性樹脂100質量部に対して、重合性単量体5〜30質量部、低収縮剤5〜25質量部、硬化剤0.5〜2.5質量部の範囲内で配合することができる。
【0032】
本発明において、樹脂組成物には、上記の各成分に加えて、さらに他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、柄材、離型剤、顔料などを用いることができる。
【0033】
また、樹脂組成物をSMCまたはBMCとする場合には、増粘剤、重合防止剤、強化繊維などを配合することができる。
【0034】
増粘剤としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどの金属水酸化物や金属酸化物、イソシアネート化合物などを用いることができる。増粘剤は、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.2〜0.6質量部の範囲内で配合することができる。
【0035】
重合防止剤は、例えば、フェノール系重合防止剤、キノン系重合防止剤などを用いることができる。
【0036】
フェノール系重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどを用いることができる。
【0037】
キノン系重合防止剤としては、例えば、p−べンゾキノン、t−ブチル−p−べンゾキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−べンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−べンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−べンゾキノンなどを用いることができる。
【0038】
強化繊維としては、例えば、ガラス繊維を用いることができる。その他、炭素繊維、金属繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ワラストナイト、ポリエステル繊維などを用いることもできる。強化繊維は、例えば、最終成形品の10〜40質量%の範囲内で配合することができる。
【0039】
本発明において、樹脂組成物には、無機充填剤として水酸化アルミニウムが配合される。水酸化アルミニウムのNa2O含有量は、0.06質量%以下、好ましくは0.04質量%以下である。Na2O含有量を0.06質量%以下にすると、白化を抑制することができる。Na2O含有量の下限は特に限定されないが、入手のしやすさや製造コストなどを考慮すると0.01質量%以上が好ましい。
【0040】
人造大理石の構成成分としての水酸化アルミニウムは加熱により酸化アルミニウムと水に変化し、この時発生する水が人造大理石中に残留することで白化となって現れる。
【0041】
水酸化アルミニウムの結晶構造は例えばギブサイト型、バイヤライト型などがあるが、加熱により結晶構造が変化し、酸化アルミニウムと水に変化する。この結晶中には不純物としてNa2Oが少なからず存在するが、結晶構造はNa2Oにより緩み、加熱により分解されやすくなる。すなわちNa2Oを多く含むほど、水酸化アルミニウムの分解温度が低くなる。従ってNa2O含有量を低減することで、白化を抑制できる。
【0042】
水酸化アルミニウムは、平均粒径は2〜50μmであることが好ましい。この範囲内にすると、耐衝撃強度と成形性を高めることができる。なお、ここで平均粒径は、レーザー回折/散乱法による体積平均粒径として測定することができる。
【0043】
本発明において、無機充填剤としては、前記の水酸化アルミニウムを単独で用いる他に、シリカ、ガラスパウダーなどを併用することができる。この場合、成形品に人造大理石特有の透明感を付与するには水酸化アルミニウムの含有量を高めた方が良い。
【0044】
無機充填剤の配合量は、樹脂成分を100質量部とした場合に、100〜250質量部が好ましい。ここで樹脂成分とは、熱硬化性樹脂、重合性単量体、および低収縮剤を意味する。無機充填剤の配合量をこの範囲内にすると、耐衝撃強度と成形性を高めることができる。また、SMCの場合には、成形時におけるガラス繊維などの強化繊維の分散を均一にし、かつガラス繊維などの強化繊維への樹脂含浸が良好となり、繊維強化樹脂としての強度が発現し強度バラツキも低減することができる。
【0045】
BMCの場合、ニーダーなどの混練による比較的強力な含浸ができるため、樹脂成分を100質量部とした場合に450質量部程度まで無機充填剤を配合することができる。
【0046】
また、無機充填剤は、脂肪酸やカップリング剤などで表面処理されていることが好ましい。表面処理することで、微粒の無機充填剤の凝集や吸油などを抑制し、充填性を高めることができる。
【0047】
脂肪酸としては、例えば、一般式CnmCOOHで示されるものを用いることができる。具体的には、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などの飽和脂肪酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ネルボン酸などの不飽和脂肪酸などを用いることができる。
【0048】
カップリング剤としては、例えば、一般式R1−Si(OR2)3で示されるシランカップリング剤などを用いることができる。ここで、官能基R1としては、例えば、アミノプロピル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基、メルカプト基、ビニル基などを挙げることができる。官能基R2としては、例えば、メチル基、エチル基などを挙げることができる。
【0049】
本発明の人造大理石は、上記の成分を配合した樹脂組成物を注型成形して得られたものであることが好ましい。これにより、耐熱性や硬度に優れ、加熱による白化も抑制された人造大理石を容易に得ることができる。
【0050】
注型成形する場合、上記の成分を配合して撹拌機などにより混合し樹脂組成物を調製した後、この樹脂組成物を20〜50Torr程度の減圧下で真空脱泡処理する。そして減圧状態から開放して注型用金型に注入する。注入後、注型用金型を加熱することにより、樹脂組成物の硬化成形を行うことができる。
【0051】
また本発明の人造大理石は、上記の成分を配合した樹脂組成物をプレス成形して得られたものであることが好ましい。これにより、耐熱性や硬度に優れ、加熱による白化も抑制された人造大理石を容易に得ることができる。
【0052】
プレス成形は、例えば、樹脂組成物によりSMCまたはBMCを作製し、これを用いて行うことができる。
【0053】
SMCを作製する際には、強化繊維を含まない樹脂組成物をフィルムに塗布し、次に強化繊維を含浸させる。例えば、ロービング状のガラス繊維を切断し、これを樹脂組成物のフィルムに散布して含浸させる。次に、強化繊維を散布した樹脂組成物のフィルムの上にさらに強化繊維を含まない樹脂組成物のフィルムを積載し、ロールで含浸、脱泡し、シート状に賦形する。このシートを養生させることにより、SMCを作製することができる。
【0054】
得られたSMCは、1枚または複数枚を重ねて成形用金型に設置し加熱下にプレス成形することにより、所望の形状に成形することができる。
【0055】
BMCは、例えば、混練槽を用いて強化繊維を含まない樹脂組成物とガラス繊維などの強化繊維とを混練し、その後養生させることによって製造することができる。
【0056】
得られたBMCは、成型用金型に設置し加熱下にプレス成形することにより、所望の形状に成形することができる。
【0057】
以上のようにして得られる本発明の人造大理石は、加熱による白化を抑制することができることから、システムキッチンの天板などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
熱硬化性樹脂としてビニルエステル樹脂(昭和電工(株)製「リポキシR-804」)を用いた。この熱硬化性樹脂100質量部に対して、無機充填剤として水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、Na2O含有量0.04質量%)200質量部、硬化剤(日本油脂(株)製「パーキュアHO」)3.2質量部を配合し、さらに柄材を配合した。柄材は、茶色柄材5.0質量部、白色柄材3.5質量部を配合した。このようにして人造大理石用の樹脂組成物を調製した。
【0060】
なお、柄材は次の手順で調製した。上記の人造大理石製造用の樹脂組成物から柄材を除いた配合物に茶色のトナー2.0質量部を添加して茶色柄用樹脂組成物を調製し、また、白色のトナー0.6質量部を添加して白色柄用樹脂組成物を調製した。
【0061】
茶色柄用樹脂組成物および白色柄用樹脂組成物はそれぞれ0.003MPa(20Torr)の減圧下で60分間真空脱泡処理した。その後、厚み10mmの平板を成形する金型内に注入して金型温度95℃で150分間加熱して硬化させた。
【0062】
この硬化物をクラッシャーで粉砕した後、分級することにより、粒径2.36mm(7.5メッシュ)の茶色柄材と白色柄材を得た。
【0063】
次に、この人造大理石製造用の樹脂組成物を0.003MPa(20Torr)の減圧下で60分間真空脱泡処理した。これを200mm角、12mm厚みの平板を成形する金型内に注入して金型温度100℃で110分間加熱して硬化させることにより、人造大理石成形品を得た。
【0064】
<実施例2>
水酸化アルミニウムとしてNa2O含有量0.06質量%のものを用い、それ以外は実施例1と同様にして人造大理石成形品を得た。
【0065】
<実施例3>
樹脂組成物の配合成分として次のものを用いた。
・不飽和ポリエステル樹脂:昭和高分子(株)製 M−580
・重合性単量体:スチレン(三菱化学(株)製 CAS(100-42-5)準拠スチレンモノマー)
・低収縮剤:ポリスチレン樹脂(PSジャパン製 GPPS)
・硬化剤:t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製 パーブチルZ)
・重合防止剤:p−ベンゾキノン(和光純薬工業(株)製)
・フェノール類:ハイドロキノン(和光純薬工業(株)製)
・無機充填剤:水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、Na2O含有量0.04質量%)
・離型剤:ステアリン酸亜鉛(川村化学(株)製)
・柄材:実施例1で用いたものと同種類、同量を使用。
・ガラス繊維:日東紡製 チョップドストランド
【0066】
まず、不飽和ポリエステル樹脂80質量部、スチレン20質量部、ポリスチレン樹脂5質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート1質量部、p−ベンゾキノン0.05質量部、水酸化アルミニウム400質量部、ステアリン酸亜鉛5質量部、および柄材を混合した。次に、全量に対しガラス繊維が10質量%となるようにガラス繊維を混合しBMCを作製した。
【0067】
得られたBMCを、平板プレス機により130℃、10Mpaの条件でプレス成形し、200mm角、厚み12mmの板状の人造大理石成形品を得た。
【0068】
<実施例4>
水酸化アルミニウムとしてNa2O含有量0.06質量%のものを用い、それ以外は実施例3と同様にして人造大理石成形品を得た。
【0069】
<比較例1>
水酸化アルミニウムとしてNa2O含有量0.08質量%のものを用い、それ以外は実施例1と同様にして人造大理石成形品を得た。
【0070】
<比較例2>
水酸化アルミニウムとしてNa2O含有量0.14質量%のものを用い、それ以外は実施例1と同様にして人造大理石成形品を得た。
【0071】
<比較例3>
水酸化アルミニウムとしてNa2O含有量0.08質量%のものを用い、それ以外は実施例3と同様にして人造大理石成形品を得た。
【0072】
<比較例4>
水酸化アルミニウムとしてNa2O含有量0.14質量%のものを用い、それ以外は実施例3と同様にして人造大理石成形品を得た。
【0073】
実施例および比較例の人造大理石成形品について加熱試験を行った。加熱試験は、人造大理石成形品を250℃のオーブン内で10分間加熱した後、白化ΔLを測定することにより行った。白化ΔLは分光測色計で測定した。
[評価基準]
◎: 白化ΔL2.0未満
○: 白化ΔL2.0以上6.0未満
△: 白化ΔL6.0以上9.0未満
×: 白化ΔL9.0以上
【0074】
評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1より、水酸化アルミニウムのNa2O含有量を0.06質量%以下とした実施例1〜4では、加熱試験後も白化はほとんど見られなかった。
【0077】
これに対して水酸化アルミニウムのNa2O含有量が0.06質量%を超える0.08質量%のものを用いた比較例1、3ではやや白化がみられ、0.14質量%のものを用いた比較例2、4では白化が強くみられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂および無機充填剤を含有する樹脂組成物を成形して得られる人造大理石において、前記無機充填剤として水酸化アルミニウムを含有し、前記水酸化アルミニウムのNa2O含有量が0.06質量%以下であることを特徴とする人造大理石。
【請求項2】
前記人造大理石は、前記樹脂組成物を注型成形して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項3】
前記人造大理石は、前記樹脂組成物をプレス成形して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。

【公開番号】特開2013−91573(P2013−91573A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232665(P2011−232665)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】