説明

人間およびバイオテクノロジー産業において、DNAウイルスを予防、除去、治療するための、ピクロリザ・クロア抽出物

【課題】ピクロリザ・クロア植物の抽出物とその製造工程を開示する。
【解決手段】抽出物は、DNAおよびRNAウイルスに対しても、バクテリア、菌類、原虫といった微生物に対しても、強力な抗ウイルス作用を有する。該抽出物は、基本的に、ゴマノハグサ科植物に存在する親油性成分、特に、テルペンおよび脂肪酸を含む。該抽出物は、さらに、他の親油性成分および前記科の植物に存在する配糖体由来のアグリコンを含んでいてもよい。いくつかの抽出溶媒についても開示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓等の異常および疾病を治療するための植物抽出物に関し、より詳しくは、ウイルスおよび他の病原体および有害物質に起因する種々の肝臓の異常および疾病、一般的にDNAウイルスおよびRNAウイルスによって引き起こされる感染および疾病、種々のウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫に関連する感染および疾病または異常、バイオテクノロジーおよび発酵醸造産業で起こる培養物へのウイルス感染を、予防、除去、治療、および管理するための医薬用、栄養補助用および食品用の成分として、肝臓保護薬として、肝臓および他の臓器および系統に関する予防薬として使用するための、また、人間および動物の保健、および、研究や産業における他の用途に使用するための、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae family)植物の植物物質の抽出物および抽出物の分取物に関する。本発明は、また、前記抽出物を製造する工程にも関する。
【背景技術】
【0002】
ゴマノハグサ科の植物には、伝統的医学体系で報告されているように、薬理作用があることが知られている。これら植物の薬効は、この科の植物に存在する数多くの配糖体に起因している。ゴマノハグサ科の植物の中で、最も入手しやすいのは、ピクロリザ(Picrorrhiza)属(コオウレン属)の植物である。この属の中の3つは、毒性の無さと安全性から、特に興味深い。3つとは、ピクロリザ・クロア・ロイル(Picrorhiza kurrooa Royle)、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネル(Picrorhiza scrophulariflora Pennell)およびネオピクロリザ・スクロフラリフロラ(Neopicrorhiza scrophulariiflora)である。
【0003】
ピクロリザ・クロア(Picrorhiza kurrooa)(インドではKatukaとして知られる)は、インドで広く見られる植物である。ヒマラヤの高度3000〜5000メートルに生息する。抽出物は、肝臓保護薬と免疫調整薬としての性質があることで知られている。この植物の根は、インドのアーユルヴェーダ医学体系(伝統医学体系)で、喘息、気管支炎、マラリア、慢性赤痢、ウイルス性肝炎、胃のむかつき、サソリによる刺傷用に、また、食欲を刺激し消化力を高める苦味トニックとして、伝統的に使用されている。肝臓保護薬としての、また解熱目的での治療的価値で知られているが、これが肝炎や他のウイルスに対して作用するのか、または単なる肝臓の活性剤であるのかに関しては、従来技術の中には、開示や証拠がない。
【0004】
この植物は、中国、ネパール、ブータンおよび他の地域にも生息し、その根および匍匐茎は、伝統的に、赤痢、黄疸、骨蒸、肝臓保護、免疫調整機能の用途で使用されてきた。この植物、特に根は、テルペノイドおよび配糖体が豊富なことで知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
僅かに綴りの異なるPicrorhizaとPcrorrhiza(本日本語訳においてはいずれも「ピクロリザ」と記載)の語は、本明細書において互換性のある語として使用され、同じものを示している。種名のピクロリザ・クロア(Picrorhiza kurrooa)は、以後、簡略化のため、「PK」と略すことにする。本明細書においては、頭文字「PK」により、上述の3つのピクロリザの種の1つまたは複数の種を同時に指すことができるものとする。例えば、前記種の抽出物の混合物について考えている場合には、PKの語は前記全ての種を指すものとする。文脈に相応しい意味を選択するものとする。頭文字「P」は、ピクロリザ(Picrorhiza)の略語として使用される。”principle”と”factor”(本日本語訳においては共に「成分」と記載)も、本明細書において、互換性のある語として使用され、文脈により他の解釈を必要としない限り、同じものを意味するものとする。
【0006】
本明細書において「抽出」(extraction)と記載される場合、植物物質の抽出工程全体を指す場合と、このような工程中のステップの一つ(浸出または固−液抽出ステップ)である個々の抽出操作を指す場合がある。文脈に相応しい意味を選択するものとする。”component”と”constituent”(本日本語訳においては共に「成分」と記載)の語は、本明細書の数箇所において互換性のある語として使用されているが、意味するところは、文脈から非常に明確である。
【0007】
植物物質(plant matter)は、本発明の抽出工程の出発原料を指し、その工程の最後に現われる最終的な生成物を、抽出物(extract)と呼ぶ。「植物物質」の語は、工程中の植物物質、つまり、工程の様々な段階における植物物質を指す語としても使用されている。工程中の様々な段階における液体流は、抽出物または溶液と呼ばれる。文脈に相応しい意味を選択するものとする。
【0008】
PK中の有効成分は、従来技術において、クツキン(kutkin)と呼ばれ、配糖体であるクツコシド(kutkoside)を含む。有効成分には更にピクロシドI、II、IIIと呼ばれるイリドイド配糖体および他のピクロシドが含まれる。アポシニン、ドロジン(drosin)、および9つのククルビタシン配糖体など他の成分もいくつか特定されているが、最初に挙げたアポシニンは強力な抗炎症薬であり、他の2つについても、薬理作用があるとされている。これらの薬効成分は、前記科(ゴマノハグサ科)全体に一様に存在し、また特に、P.属の植物全てに存在している。従来技術では、今に至るまで、PK抽出物の薬効が、特定の有効成分に帰せられることはなかった。
【0009】
特にP.属の植物、また一般にゴマノハグサ科(S.科と略すことにする)の植物は、親油性成分と非親油性成分の両方を含んでいることが知られている。本明細書においては、前記科の親油性成分を略してLCで記し、同様に、前記科の非親油性成分を略してNLCと記すことにする。これは簡略化のためであり、本発明の範囲に何ら限定を設けるものではない。
【0010】
本発明者は、伝統医学または現代の従来技術において報告、議論、調査の対象となってきた、上記PKの薬効成分の全てが、主にNLCであることに気づいた。従来技術(伝統医学を含む)が、抽出溶媒として水およびアルコール(メタノールおよびエタノール)のみを使用するという殻に、自らを閉じ込めていたことは、注目に値するだろう。本発明者は、一般的に、前記溶媒は、前記NLCを抽出するが、LCを殆ど全て除外してしまうことに着目した。このような訳で、従来技術の注意はNLCとその薬理作用のみに向けられ、これら他の成分にまで拡大されることが無かった。
【0011】
P.植物物質の主要NLCは、その配糖体である。現代では、様々な植物配糖体の広範囲な薬理作用が、明らかにされている。薬理作用は、広範囲の疾病および異常に及んでいる。植物界では、様々な型の配糖体が発見されている。従来技術においては、少なくとも薬理作用と効果に関する限り、焦点と注目は完全にP.配糖体に集まっていた。従来技術は、S.科植物の他の成分の性質と範囲、つまり、前記LCとその医薬上の重要性に関する認識がなかったように見受けられる。このことは、多かれ少なかれLCも抽出し、研究、調査、医学的精査の対象としたであろう他の溶媒が、従来技術では実質上調査から除外されていたことを考えれば、理解に難くない。そのようなことがなければ、従来技術においても、LCの薬効の性質と範囲について研究されていたのではないだろうか。また、恐らく、水とアルコールによる抽出物だけでも少なからぬ薬効を示し、十分に広い調査範囲があったために、他の抽出溶媒、ひいてはS.科の親油性成分にまで、注意が広がらなかったのであろう。
【0012】
実験観察により、本発明者は、前記LC(S.科の親油性成分)の薬理活性が非常に高いレベルにあることを、明らかにした。前記LCの薬効の程度および範囲は、前記配糖体と比べて、かなり、驚くほどに高く広いと言っても間違いではないだろう。本発明は、前記LCについて考慮し、その並外れた医学的重要性、例えば抗ウイルス化合物を確認した、最初の発明である。本発明は、また、NLCの存在がLCの薬効を損ない減じる傾向があり、このため、NLCを実質的に含まないか、極少量しか含まないLC含有PK抽出物の製造が重要であることを明らかにした、最初の発明である。本発明者は、この目的のため、新規の工程を提供し、また、前記LCを選択的に抽出して前記NLCを実質的に除外するような抽出特性を持つ、適切な溶媒を特定するものである。
【0013】
本発明者は、NLCがLCの薬効を隠してしまうことに気づいた。前記LCを含有する抽出物に存在するどのNLCにも、LCの薬効を減じる効果がある。S.科のNLCの一部は、LCと反対の作用を有するのではないかと考えられる。メカニズムはともあれ、本発明は、LCが顕著な薬効を有すること、LC抽出物の薬効を完全に実現するためには、好ましくは、LC抽出物が、実質的にNLCを含まないようにするべきであることを実験的に明らかにした。
【0014】
以上のように、本発明における新規のPK抽出物と従来技術のPK抽出物は、前者の薬効成分が後者とは異なる点で、全く根本的に異なっている。前者の薬効成分は実質的に後者には存在せず、後者の薬効成分は、本明細書で以下に詳述する理由で、前者から実質的に除かれている。前者の薬効成分はS.科植物のLCであり、後者のようにS.科の配糖体ではない。
【0015】
前者の主要な薬効成分は、S.科の植物に含まれる脂肪酸、テルペン、そして、S.科植物配糖体に由来するアグリコンである。本工程で生じる前記脂肪酸、テルペン、およびアグリコンは、後者にはない。PK植物の配糖体には、ピクロシドI、II、III等があることが知られている。つまり、後者は、主に前記ピクロシドと、アポシニンと呼ばれる化合物からなり、一方で、前者には、実質的に、前記ピクロシドも他の配糖体も、またアポシニンも含まれていない。元の植物物質には前記ピクロシドが存在するが、本発明の抽出物に含まれているのは、それらに由来するアグリコンの方である。
【0016】
つまり、本発明の工程は、単なる物理的な抽出工程ではなく、化学変化をも含んでいると言える。本発明者は、抽出工程中で加水分解とエステル化反応が起き、その結果、抽出物中に前記アグリコンが現われるものと考えている。なんらの義務を負うものではないが、実験観察により、より高い薬効が既に実証されていることから、このような仮説を提示するものである。本発明には、抽出中に化学反応が起きることの実験的証拠があり、従って、本発明の抽出工程は、物理変化と化学変化の組合せである。本発明では、ヘキサン抽出物と、第1溶媒をエタノール、第2溶媒をヘキサンとする抽出物とを作成した。前者の方法では、LCの収率が35%高いことがわかった。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析により、アグリコン、ステロイドテルペンおよび長鎖の脂肪酸構造が、抽出物中に存在することが示された。収率の多い分は、ヘキサン抽出物中に存在する、これらアグリコン、ステロイドテルペンおよび長鎖の脂肪酸に相当すると考えられる。これらの化合物は(元々S.科の植物物質に存在している化合物も、それら化合物の反応生成物も)、エタノール−ヘキサン溶媒システムで得られた抽出物には、実質的に存在しない。エタノール−ヘキサン溶媒システムでは、抽出中にこれら化合物が排除される。
【0017】
本発明の抽出物は、さらに、S.科植物に存在する脂肪酸を含んでいる。S.科配糖体は、非常に苦い化合物であり、従来技術のPK抽出物を非常に不味くしている。これとは対照的に、本発明のPK抽出物は、苦味成分が全くないため、非常に味が良い。水およびアルコール抽出物には、多くの臭い成分が抽出され、その結果、従来技術のPK抽出物は強烈な不快臭があり、人間および動物が消費するための受容性を低下させている。S.科植物に含まれる、前記したピクロシドおよび他の配糖体は、非常に苦い化合物である。より少量ではあるが、PK植物には、他の苦味成分も存在する。他方、本発明の抽出物は、実質的に無臭である。全てにおいて、本発明の抽出物は、従来技術の抽出物とは異なる枠組みに入るものである。
【0018】
本発明の抽出物におけるテルペンおよび他の化合物の薬理作用のメカニズムは解明されておらず、従来技術の抽出物に対するそれら化合物の薬理作用の優位性に関する説明も得られていない。しかし、本発明者は、前記の一層優れた薬理活性が、本発明により実験的に明らかにされていることを強調する。
【0019】
つまり、従来技術の抽出物の短所は、S.科植物の前記テルペンおよび他のLCよりもかなり薬効の少ない配糖体成分の存在である。配糖体の薬効の範囲も、前記したテルペンおよびその他のLCより、かなり狭い。該配糖体には、肝臓保護作用はあるが、抗ウイルス作用はない。他方、前記LCは、DNAウイルスとRNAウイルスのいずれに対しても強力な抗ウイルス作用があり、従って、前記LCは、限られた肝臓保護、再生作用しか持たない前記NLCよりも、広範囲に作用する。従来技術の抽出物は、非常に苦く、ほとんど受け入れ難い程であり、またさらに、強烈な不快感のある臭い成分による受け入れ難さも加わっている。
【0020】
従来技術の抽出過程の短所は、水と、エタノールおよびメタノールの2種類のアルコールに溶媒を限定し、S.科植物のLCを含む、新規の、より良く、より有益な抽出物を生じさせる、全ての溶媒に範囲を広げていないことである。
【0021】
本発明者は、主に前記親油性成分を含むPKの使用が、肝炎ウイルスおよび他のDNAおよびRNA型のウイルスの作用を積極的に妨げることを、細胞株によって、実験的に明らかにした。さらに、これによりウイルス構造が破壊されることから、非常に効果的な抗ウイルス成分であることが確かである。
【0022】
よく知られているように、細胞膜の構造に関係のあるリン脂質には、2つの親油性の高いアルキル鎖と、他端にあるコリンリン酸を代表とする非常に親水性の高いイオン基が含まれている。本発明者は、これにより、PK抽出物の親油性部分が、ウイルス性疾患の治療において薬理学的により高い活性を呈するものと考えている。本発明者によるインビトロ調査は、複数の独立の研究所によって確認された。それによれば、PKの親油性成分は、B型肝炎、インフルエンザ、HIVのようなレトロウイルス、および他のウイルスを含む、DNAおよびRNAウイルスに対する非常に高い抗ウイルス特性を有することが確認された。
【0023】
従って、本発明の目的は、PK植物物質の親油性成分を実質的に主要成分とする、PK抽出物を提供することである。
【0024】
本発明の目的はさらに、実質的に全てのPKの親油性成分が抽出物中にも忠実に現われる、PK抽出物を提供することである。
【0025】
本発明の目的はさらに、PKの非親油性成分が実質的に存在しないかまたは最少化された、PK抽出物を提供することである。
【0026】
本発明の目的はさらに、PKに含まれる、苦味成分、特にPK配糖体、および、不快な臭い成分が、実質的に存在しないかまたは最少化された、PK抽出物を提供することである。
【0027】
本発明の目的はさらに、前記親油性成分を主要成分とし、PKの非親油性成分が、実質的に存在しないかまたは最少化される、PK抽出物製造のための抽出工程を提供することである。
【0028】
本発明の目的はさらに、PK植物物質に元々存在する親油性成分の完全な組が抽出物中に忠実に持ち出され、前記加水分解およびエステル化反応の進行が可能であるかまたは実際に促進される、前記抽出工程を提供することである。
【0029】
本発明の目的はさらに、最適な溶媒選択と抽出パラメータ選択により、元の植物物質に含まれるテルペンおよび脂肪酸の抽出が最大化され、さらに、配糖体からアグリコンへの転換と後続するその抽出が最大化される、PK抽出物製造のための抽出工程を提供することである。
【0030】
本発明の目的はさらに、主要成分が前記親油性成分である抽出物を得るためのPK抽出を行なうことができ、また、抽出されるPK植物物質に元々存在する非親油性成分および/または苦味成分および不快な臭い成分の抽出を実質的に防ぐかまたは最少化する、溶媒の組を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するため、本発明によれば、ウイルスおよび他の病原体および有害物質に起因する種々の肝臓の異常および疾病、一般的にDNAウイルスおよびRNAウイルスによって引き起こされる感染および疾病、種々のウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫に関連する感染および疾病または異常、バイオテクノロジーおよび発酵醸造産業で起こる培養物へのウイルス感染を、予防、除去、治療、および管理するための医薬用、栄養補助用および食品用の成分として、肝臓保護薬として、肝臓および他の臓器および系統に関する予防薬として使用するための、また、人間および動物の保健、および、研究や産業における他の用途に使用するための、前記科の植物の親油性成分を含有し、含有される主要な該親油性成分が前記科の植物の1つまたは複数のテルペンである、ゴマノハグサ科植物の植物物質の抽出物および抽出物の分取物が、提供される。
【0032】
上記目的を達成するため、本発明によれば、抽出される植物物質を入手するステップ、該植物物質に対して切る、細かく刻む、湯通しする(blanching)、乾燥させる、砕く、すり潰す、篩う等の所要の前処理を行なうステップ、前処理ステップを終えた植物物質を、1つの抽出操作または直列、並列または複合型に構成された複数の抽出操作の中で、所定温度で所定時間、前記植物物質中の親油性成分を選択的に抽出する所定の非水性の溶媒、一連の溶媒、または溶媒混合物と接触させるステップ、既知の何らかの方法により、抽出溶液を工程中の植物物質から分離するステップ、溶媒の蒸発など、既知の何らかの方法により溶媒を抽出溶液から分離し、濃縮された抽出溶液または固体状の生成物を生成するステップ、を含む、ゴマノハグサ科植物の一つまたは複数の植物の植物物質のための抽出工程が、提供される。
【0033】
従って、本発明のPK抽出物は、基本的に、S.科植物のテルペン成分を含有している。該抽出物は、S.科植物の前記テルペンの一つを含有しても、または前記テルペンの混合物を含有してもよい。好ましくは、テルペンは該抽出物の主要成分であり、テルペンおよび脂肪酸は、該抽出物中の前記親油性成分の主要部分を占める。該抽出物はさらに、S.科植物の脂肪酸を含有する。本発明のPK抽出物は、また、基本的に、S.科植物中に存在する配糖体由来のアグリコンを含有する。これら配糖体は、抽出条件の下で反応(加水分解など)または分解を起こして、それぞれ対応するアグリコンを生成し、それらアグリコンが、次に、本発明の溶媒によって、抽出物中に抽出される。前記テルペン、脂肪酸およびアグリコンの合計量、つまりLC全体の合計量が、80重量%以上であることが好ましい。本発明の抽出物は、前記苦味のある配糖体を含まず、抽出物中の他のNLCの量が、抽出物全体の0.01重量%〜20重量%であることが好ましい。前記配糖体、クツコシド、ピクロシド、アポシニン、およびドロジンの合計量が、抽出物の20重量%を超えないことが好ましい。抽出物の10%未満が水溶性であることが好ましい。
【0034】
本発明の範囲内で、本発明の前記PK抽出物は、前記S.科植物の如何なる種の抽出物であってもよい。本発明の抽出工程は、如何なる前記種に対しても、簡単かつ単純に拡張可能であることに気づくだろう。同様に簡単かつ単純に、前記工程は、前記種の混合物に対しても適用可能である。抽出物は、明細書中で先に述べた三つの種、つまり、ピクロリザ・クロア・ロイル、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネルおよびネオピクロリザ・スクロフラリフロラの混合物から抽出されることが好ましい。これら3種は、毒性の観点から好ましい。
【0035】
抽出に使用される植物物質は、根、匍匐茎、茎、葉、花、皮、種等、植物のどの部位でもよい。本発明の範囲内で、前記部位の如何なる混合物または組合せを抽出に使用してもよい。抽出される植物物質は根または匍匐茎であることが好ましく、二つの混合物であることが、さらに好ましい。前記部位の如何なる他の混合物も、本発明の範囲に含まれる。
【0036】
本発明の抽出工程は、固−液抽出工程である。本明細書中で先に述べたように、植物物質は、S.科植物の内のどの植物でもよい。本発明の範囲内で、植物物質は、異なる前記植物の植物物質の混合物でもよい。植物物質は、ピクロリザ・クロア・ロイル種、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネル種またはネオピクロリザ・スクロフラリフロラ種またはこれら3種の混合または組合せのものであることが好ましい。
【0037】
前記前処理ステップは任意に選択可能なものであり、その内の1つまたは複数を必要に応じて採用することができる。抽出は、水分を含んだ植物物質に対しても乾燥した植物物質に対しても実施可能である。植物物質は、天日乾燥またはプロセス乾燥によって予備乾燥することが好ましい。植物物質は、抽出ステップで良好な固−液接触が確保されるように、切って細かく刻み、小サイズ化することが好ましい。植物物質は、砕き、すり潰して、約1〜5mmまたはそれ以下のサイズにすることが好ましい。湯通し操作を行なうことが好ましい。
【0038】
本発明の工程で使用される溶媒は、非水性である。無極性溶媒が好ましいが、極性溶媒およびその他の溶媒も、本発明の範囲に含まれる。非アルコール溶媒が好ましいが、炭素原子4個以上の鎖長を有する1価アルコールについても、極性があっても使用可能である。該溶媒は、その構造または環状部分に、炭素原子数4個以上の炭化水素鎖を有することが好ましい。本発明の範囲を制限するものではないが、溶媒は、以下のリストの中の1つでもよい。
【0039】
ジクロロメタン、ヘキサン、n−ヘキサン、c−ヘキサン、トルエン、t−BuOMe、Et2O、メチルイソブチルケトン、酢酸ビニル、酢酸エチル、t−ブタノール、DMA、i−プロパノール、ギ酸、ホルムアミド、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、1−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2−ジメトキシ−エタン(グリム、DME)、ジメチルエーテル、ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、メタノール、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチルアミン、O−,M−およびP−キシレン、ホワイトスピリット、植物油、石油ナフサ、テレピン油、酸素化溶剤(アルコール、グリコールエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、ケトン、エステル、グリコールエーテル、グリコールエステルなど)。溶媒として使用される有機化合物には、芳香族化合物およびその他の炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミン、およびニトロ化炭化水素、ハロゲン化炭化水素があり、アンモニア、硫酸、塩化フッ化スルフリル、界面活性剤、洗剤、pH緩衝剤、水および重水などの無機溶媒もある。
【0040】
本発明の範囲内で、上記溶媒の中の任意の2種類以上の溶媒混合物を用いて、抽出を行なうことができる。または、本発明の範囲内で、上記から選択された2種類以上の溶媒を使用して、順に、抽出を行なうこともできる。
【0041】
本発明の抽出工程は、植物物質が適当な溶媒と接触させられる、固−液抽出ステップを含んでいる。本発明の抽出物は、本発明の範囲内で、本発明の工程または他の工程によって、製造することができる。本発明の範囲内で、本発明の抽出物は、抽出ステップを行なうための何らかの既知の方法(溶媒抽出、吸収ゲル抽出、液化ガス(CO等)抽出、酵素加工、膜濾過、液−液抽出、液−固抽出、樹脂抽出、逆相抽出、クロマトグラフィー等)によって、作成することができる。
【0042】
本発明の範囲内で、蒸発その他の方法で溶媒を除去した後の本発明の抽出物は、乾燥する、または、すり潰す、篩う、賦形剤へ吸着するなど、他の操作を行なってもよい。抽出物は、ナノ粒子、ナノゲル状でもよく、または、ワクチンまたはアジュバントの構成要素となるように加工してもよい。
【0043】
本発明の範囲内で、本発明の抽出物は、前記S.科植物の次の成分のうち、1つまたは複数をさらに含んでもよい:配糖体エステル、配糖体エーテル、脂肪族化合物、芳香族化合物、グリコシドカルボン酸塩、ステロイド配糖体、長鎖脂肪酸、アグリコン、アシル化アグリコン、脂肪アルコール、脂肪酸、ステロイドエステル、ステロイド脂肪酸、ステロイドアルコール、ステロール、テルペノイド、ステロイドトリテルペン、酸化トリテルペン、トリテルペンのエステル、トリテルペンの酸、トリテルペンのアルコール、ククルビタシン、炭素原子数5〜40のテルペノイド部分、長鎖ヒドロキシ脂肪酸部分、樹脂酸、ステロイド骨格上に構成されたトリテルペノイド。
【0044】
本発明の範囲内で、抽出物は、経口投与、静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、腹膜投与、直腸投与、経鼻投与、経皮投与、舌下投与、その他のための、如何なる既知の形態であってもよい。また、抽出物は、如何なる既知の薬用塩類の形態でもよく、色、香味、味、感触等のための添加物を含んでいてもよい。また、本発明の抽出物は、付加的効能または併用療法的効果またはその両方を付与する追加の治療成分を、添加された添加物として、含んでいてもよい。前記添加物は、栄養補助食品のもとになる栄養成分であってもよく、治療作用のある食品成分であってもよい。そのような添加物の例として、砂糖、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、金属、油、脂肪酸、アルコール、溶媒、および、他の植物抽出物、が挙げられる。本発明の抽出物は、適当な基材中に入れられるか、既知の何らかの賦形剤に吸着された、前記親油性成分の溶液または固体状成分であってもよい。本発明の抽出物は、任意の選択として、更に加工を施し、その性質、形態、形、色、感触を変更して、効果と受容性を高めてもよい。前記抽出物のそのような変更形態も全て本発明の範囲に入る。そのような変更工程の例としては、抽出物の標準化、様々な分取物を得るための分取、均質化、強化などが挙げられる。
【0045】
本発明の抽出物は、本発明の範囲内で、分取物の形態であってもよい。抽出物は、HPLC−高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー(GC)など、何らかの既知の方法によって分取することができる。本発明の範囲内で、任意の前記分取物またはその混合物は、本発明の抽出物を構成することができる。
【0046】
無極性炭化水素溶媒が好ましい。より好ましくは、溶媒は、n−ヘキサンである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明のより明確な理解のため、以下、本発明の実施例について説明するが、これらは、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0048】
1.前記PK植物の根および匍匐茎を入手し、天日乾燥した。手作業で、異物の除去を行なった。
【0049】
2.砂および土を除去するため、スプリンクラーによって、植物物質を水洗いした。
【0050】
3.水分を低下させるため、真空に引いて、植物物質を空気乾燥させた。
【0051】
4.次に植物物質を手作業ですり潰し、すり潰した植物物質を空気乾燥し、微量の水分まで除去した。
【0052】
5.この植物物質を1バッチ取って重量を測り、反応装置(抽出容器)に入れた。
【0053】
6.ヘキサンを加え、固体−液体混合物を加熱した。(任意の他の無極性溶媒に代えてもよい。)
7.加熱した混合物の撹拌を継続した。
【0054】
8.前記反応を含む抽出工程を、約24時間進行させた。
【0055】
9.植物物質と溶液を分離した。
【0056】
10.該溶液を、真空に引きながら他の容器に移送した。
【0057】
11.該溶液を3回濾過して、懸濁物と非溶解物を除去し、その後、該溶液を反応容器(蒸発器)に送り、真空に引いて溶媒を蒸発させた。蒸発の間、温度は、70℃未満に維持した。
【0058】
12.溶媒は回収し、抽出での再利用に回した。
【0059】
13.蒸発によって生じた固体残渣を、管理された雰囲気の中で真空に引いて空気乾燥した。乾燥した植物物質が、本発明の抽出生成物であり、これを、試験に回した。
【実施例2】
【0060】
1.実施例1のステップ1および2と同じ操作を行なった。
【0061】
2.PK植物物質を、機械的手段で小片にすり潰した。
【0062】
3.1バッチ分を測定して取り出し、反応装置(抽出容器)に入れた。
【0063】
4.ペンタンと酢酸エチルの溶媒混合物を反応装置に入れた。(ペンタン、酢酸エチル、アセトン、n−ヘキサン、エーテル、クロロホルムおよびテトラヒドロフランの任意の混合物に代えてもよい。)
5.反応装置の内容物を継続的にかき混ぜながら加熱した。約36時間、抽出を行なった。
【0064】
6.植物物質と溶液の分離を行なった。
【0065】
7.溶液を、真空に引きながら他の容器に移送した。
【0066】
8.溶液を3回濾過し、澄んだ液体を、真空に引きながら約80℃で蒸発させた。
【0067】
9.溶媒を回収した。
【0068】
10.蒸発によって生じた固体残渣を集め、窒素雰囲気(二酸化炭素に代えてもよい)の中で真空に引いて空気乾燥させた。
【0069】
11.乾燥された生成物が、本発明の抽出生成物であり、これを試験に回した。
【実施例3】
【0070】
1.実施例1のステップ1および2と同じ操作を行なった。
【0071】
2.PK植物物質をペースト状にすり潰し、十分な量の水と混合した。
【0072】
3.配糖体のエステル化反応を開始するため、有機酸(無機酸に代えてもよい)を加えてpHを下げた。
【0073】
4.約24時間撹拌を継続した。
【0074】
5.この段階で、n−ヘキサン溶媒(石油エーテルに代えてもよい)を加え、撹拌しながら約4時間、抽出を続けた。
【0075】
6.溶液の上澄みを移し(デカントし)、濾過した。
【0076】
7.真空に引きながらで約75℃に加熱し、溶液から溶媒を蒸発させた。
【0077】
8.半固体残渣を集め、真空に引きながら約80℃で脂肪分解し(lipolise)、更に加工して、粉末状にした。
【0078】
9.この粉末が本発明の抽出生成物であり、これを試験に回した。
【実施例4】
【0079】
1.実施例1のステップ1および2と同じ操作を行なった。
【0080】
2.PK植物物質をすり潰してペースト状にし、蒸気蒸留した。
【0081】
3.蒸気を凝縮させ、蒸気蒸留後の残留溶液を集めた。
【0082】
4.エステラーゼ酵素を加えた。pHと温度を調節して、溶液を約6時間撹拌した。
【0083】
5.酵素を変性させるため、真空に引いて、温度を約100℃まで上昇させた。
【0084】
6.その後、溶液を冷却した。
【0085】
7.石油エーテルを加え、混合物を約4時間撹拌した。
【0086】
8.溶液を濾過し、酵素の滓と非溶解性の粒子を取り除いた。
【0087】
9.溶液を、石油エーテル層と水層に分離した。
【0088】
10.真空に引きながら石油エーテルを加熱し、溶媒を蒸発させた。
【0089】
11.本発明の抽出生成物である固体残渣を集めた。
【0090】
12.抽出生成物を空気乾燥させ、試験に回した。
【0091】
13.水層から水を蒸発させた。蒸発は真空に引きながら行なった。残渣には、PK植物物質の水溶性成分が含まれていた。
【実施例5】
【0092】
1.実施例1のステップ1、2および3と同じ操作を行なった。
【0093】
2.PK植物物質を、機械的手段で小片にすり潰した。
【0094】
3.1バッチ分を測定して取り出し、抽出反応装置に入れた。
【0095】
4.計量したエタノール溶媒(メタノールに代えてもよい)を反応装置に入れた。
【0096】
5.反応装置の内容物を、撹拌しながら所要温度まで加熱し、その状態で約24時間維持した。
【0097】
6.溶液を真空に引きながら別の反応容器に移送した。
【0098】
7.溶液を3回濾過した。
【0099】
8.溶液に水を加え、約1時間撹拌した。
【0100】
9.n−ヘキサン溶媒(ペンタンに代えてもよい)を加え、内容物を、約6時間撹拌した。
【0101】
10.溶液を約4時間静置した。
【0102】
11.固体または半固体状の、本発明の抽出生成物を回収するため、真空に引きながら蒸発を行い、溶媒を蒸留した。
【0103】
12.水とアルコールを含んだ平衡液(balance liquid)を蒸留し、溶媒を回収した。
【0104】
13.生成物を窒素雰囲気(CO雰囲気に代えてもよい)で真空に引いて空気乾燥させ、試験と、微生物検査に回した。
【実施例6】
【0105】
1.実施例1のステップ1から3と同じ操作を行なった。
【0106】
2.実施例5のステップ2と同じ操作をおこなった。
【0107】
3.PK植物物質の1バッチ分を測定して取り出し、抽出反応装置に入れた。
【0108】
4.反応装置に所要量のn−ヘキサンを入れた(本実施例では、溶媒を、ペンタン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルおよび石油エーテルに代えてもよい)。
【0109】
5.反応装置の内容物を所要温度まで加熱し、約24時間撹拌した。
【0110】
6.溶液を、真空に引きながら他の容器に移送し、3回濾過した。
【0111】
7.真空に引きながら溶液を加熱して溶媒を蒸発させ、固体または半固体状の、本発明の抽出生成物を得た。
【0112】
8.窒素雰囲気(CO雰囲気に代えてもよい)で真空に引き、空気乾燥させることによって、生成物から残留溶媒を取り除いた。
【0113】
9.生成物を、物理的特性の試験と微生物的評価に回した。
【0114】
当業者であれば、上記以外の実施例および変更例を実施可能であり、そのような実施例および変更例も、本発明の範囲と精神に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴマノハグサ科植物の植物物質の抽出物および抽出物の分取物であって、ウイルスおよび他の病原体および有害物質に起因する種々の肝臓の異常および疾病、一般的にDNAウイルスおよびRNAウイルスによって引き起こされる感染および疾病、種々のウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫に関連する感染および疾病または異常、バイオテクノロジーおよび発酵醸造産業で起こる培養物へのウイルス感染を、予防、除去、治療、および管理するための医薬用、栄養補助用および食品用の成分として、肝臓保護薬として、肝臓および他の臓器および系統に関する予防薬として使用するための、また、人間および動物の保健、および、研究や産業における他の用途に使用するための、前記科の植物の親油性成分を含み、抽出物に含まれる主要な前記親油性成分が前記科の植物のテルペンおよび脂肪酸の内の1つまたは複数である、抽出物および抽出物の分取物。
【請求項2】
抽出物に含まれる前記親油性成分が、約80重量%より多いことを特徴とする、請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
主要な前記親油性成分が前記科の植物の脂肪酸およびテルペンの内の一つまたは複数を含み、前記脂肪酸およびテルペンの含有量が、抽出物中の前記親油性成分の約50重量%より多いことを特徴とする、請求項2に記載の抽出物。
【請求項4】
抽出物に含まれる非親油性成分が約0.01%〜20重量%であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の抽出物。
【請求項5】
抽出物に含まれる水溶性成分の量が、抽出物に含まれる前記親油性成分の量の約0.01〜10重量%であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の抽出物。
【請求項6】
抽出物に含まれる苦味成分および臭い成分の量が、約0.5重量%以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の抽出物。
【請求項7】
植物種のピクロリザ・クロア・ロイル、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネルまたはネオピクロリザ・スクロフラリフロラに由来し、好ましくは、前記種の内の2種以上の混合物から得られることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の抽出物。
【請求項8】
植物の葉、茎、匍匐茎、根、花、皮、種、その他から選択される植物の部位の一つまたは複数に由来し、好ましくは、根または匍匐茎、さらに好ましくは、それらの混合物に由来することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の抽出物。
【請求項9】
配糖体エステル、配糖体エーテル、脂肪族化合物、芳香族化合物、グリコシドカルボン酸塩、ステロイド配糖体、長鎖脂肪酸、アグリコン、アシル化アグリコン、脂肪アルコール、脂肪酸、ステロイドエステル、ステロイド脂肪酸、ステロイドアルコール、ステロール、テルペノイド、ステロイドトリテルペン、酸化トリテルペン、トリテルペンのエステル、トリテルペンの酸、トリテルペンのアルコール、ククルビタシン、炭素原子数5〜40のテルペノイド部分、テルペンおよびその脂肪酸、エステル、ステロール、ステロイド、アルコール、塩類、炭水化物、酸、サポニン、アルカロイド、フェノール、タンニン、リグニン、フラボノイド、ホルモン、色素、カテキン、タンパク質、ペプチド、イオン、酸化型、炭化水素、長鎖ヒドロキシ脂肪酸部分、樹脂酸、ステロイド骨格上に構成されたトリテルペノイドのような、前記S科植物の1つまたは複数の他の成分をさらに含有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の抽出物。
【請求項10】
経口投与、静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、腹膜投与、直腸投与、経鼻投与、経皮投与、皮膚投与、舌下投与、その他、に適した任意の既知の形態、または、ナノ粒子またはナノゲルまたは賦形剤に吸着された形態であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の抽出物。
【請求項11】
薬として認められた任意の既知の塩類の形態であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の抽出物。
【請求項12】
任意の既知の治療成分、栄養成分、色、香味、感触および臭い成分のような、1つまたは複数の添加物をさらに含有することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の抽出物。
【請求項13】
ゴマノハグサ科の1つまたは複数の植物の植物物質の抽出によって得られる抽出物であって、ウイルスおよび他の病原体および有害物質に起因する種々の肝臓の異常および疾病、一般的にDNAウイルスおよびRNAウイルスによって引き起こされる感染および疾病、種々のウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫に関連する感染および疾病または異常、バイオテクノロジーおよび発酵醸造産業で起こる培養物へのウイルス感染を、予防、除去、治療、および管理するための医薬用、栄養補助用および食品用の成分として、肝臓保護薬として、肝臓および他の臓器に関する予防薬として使用するための、また、人間および動物の保健、および、研究や産業における他の用途に使用するための、明細書に実質的に記載されるような、抽出物。
【請求項14】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィー(GC)またはその他の既知の分取方法によって得られる、請求項1乃至13のいずれかに記載の抽出物の分取物または、分取物の混合物。
【請求項15】
ウイルス、菌類、バクテリアおよび原虫によって引き起こされる、人間または動物における感染および疾病を、予防、除去、治療、管理するための、請求項1乃至14のいずれかに記載の抽出物の使用方法。
【請求項16】
前記感染および疾病が、人間および動物の肝臓のものであることを特徴とする、請求項15に記載の抽出物の使用方法。
【請求項17】
前記感染および疾病がRNAウイルスによって引き起こされることを特徴とする、請求項14または15に記載の抽出物の使用方法。
【請求項18】
前記感染および疾病が、DNAウイルスによって引き起こされるものであることを特徴とする、請求項14または15に記載の抽出物の使用方法。
【請求項19】
前記感染および疾病が、ヘルペス、肝炎ウイルス、インフルエンザ、口腔カンジダ症、接合菌症、スプロトリクム症、マイコバクテリウム結核症、肺炎連鎖球菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)、その他、の内の一つであることを特徴とする、請求項15に記載の抽出物の使用方法。
【請求項20】
前記抽出物が、追加的または補助的治療作用のための添加物、および/または、栄養、色、感触、香味、臭いその他のための成分を含有することを特徴とする、請求項15乃至19のいずれかに記載の抽出物の使用方法。
【請求項21】
ゴマノハグサ科植物の1つまたは複数の植物の植物物質の抽出工程であって、抽出する植物物質を入手するステップ、前記植物物質に、切る、細かく刻む、湯通しする、乾燥させる、砕く、すり潰す、篩う、またはその他の、所要の前処理を行なうステップ、前処理ステップを終えた植物物質を、1つの抽出操作または直列、並列または複合型に構成された複数の抽出操作の中で、所定温度で所定時間、前記植物物質中の親油性成分を選択的に抽出する所定の非水性の溶媒、一連の溶媒、または溶媒混合物と接触させるステップ、既知の何らかの方法により、抽出溶液を工程中の植物物質から分離するステップ、溶媒の蒸発のような既知の何らかの方法により溶媒を抽出溶液から分離し、濃縮された抽出溶液または固体状の生成物を生成するステップ、を含み、更に、任意の選択として、例えば、上澄みを移す、濾過する、その他のような、1つまたは複数の既知の処理操作を含む、抽出工程。
【請求項22】
前記溶媒、一連の溶媒、または溶媒混合物が、ジクロロメタン、ヘキサン、n−ヘキサン、c−ヘキサン、トルエン、t−BuOMe、Et2O、メチルイソブチルケトン、酢酸ビニル、酢酸エチル、t−ブタノール、DMA、i−プロパノール、ギ酸、ホルムアミド、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、1−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2−ジメトキシ−エタン(グリム、DME)、ジメチルエーテル、ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、メタノール、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチルアミン、O−,M−およびP−キシレン、ホワイトスピリット、植物油、石油ナフサ、テレピン油、(アルコール、グリコールエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、ケトン、エステル、グリコールエーテル、グリコールエステルのような)酸素化溶剤の中の一つまたはその混合物であり、溶媒として使用される有機化合物には、芳香族化合物およびその他の炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミン、およびニトロ化炭化水素、ハロゲン化炭化水素が含まれ、無機溶媒には、アンモニア、硫酸、塩化フッ化スルフリル、界面活性剤、洗剤、pH緩衝剤、水および重水が含まれることを特徴とする、請求項21に記載の抽出工程。
【請求項23】
溶媒がn−ヘキサンであることを特徴とする、請求項21または22に記載の抽出工程。
【請求項24】
抽出される植物物質が、ピクロリザ・クロア・ロイル、ピクロリザ・スクロフラリフロラ・ペネルまたはネオピクロリザ・スクロフラリフロラの植物種、好ましくは、前記種の2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項21乃至23のいずれかに記載の抽出工程。
【請求項25】
抽出される植物物質が、茎、葉、花、種、皮、匍匐茎、根、または植物の他の部位、好ましくは、根または匍匐茎、さらに好ましくは、前記根と匍匐茎の混合物を含むことを特徴とする、請求項21乃至24のいずれかに記載の抽出工程。
【請求項26】
明細書に実質的に記載された、ゴマノハグサ科植物の1つまたは複数の植物の植物物質のための抽出工程。
【請求項27】
請求項21乃至26のいずれかに記載の工程によって作成された、請求項1乃至14のいずれかに記載の抽出物または抽出物の分取物。
【請求項28】
前記抽出物が、錠剤、カプレット、カプセル、パッチ、ソフトゲル、局所ゲル、シロップ、トニック、粉末、発泡剤、飲料混合物、チュアブル、注射、ナノ粒子、その他のような、何らかの既知の形態で投与するために調剤されたことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の抽出物。

【公表番号】特表2013−501776(P2013−501776A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524333(P2012−524333)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000534
【国際公開番号】WO2011/024196
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(512026891)
【Fターム(参考)】